JP2023149333A - 遠心式流体機械 - Google Patents
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Abstract
【課題】吸込流路の一層の小型化を進めた際にも、低コスト、高性能な遠心式流体機械を提供する。【解決手段】吸込流路8は、吸込ノズル3内に相当する吸込ノズル流路部と、前記吸込ノズル3に作動ガスを反吸込ノズル側へと回り込ませるための環状流路部10と、該環状流路部10と接続されていると共に、前記環状流路部10からの流れを半径方向内向きから軸方向へと転向させるL字ベンド部を有している遠心式流体機械であって、前記ケーシング5は、前記吸込ノズル3の入口フランジ部と前記環状流路の外径との間の途中位置から前記環状流路の内径位置のうちで、その周方向範囲が前記回転軸方向から見た際に、前記吸込ノズル3が取り付けられている付近にかけての前記ケーシング5の壁面のうちの前記回転軸方向の上流側端の壁面が前記回転軸方向の上流側に***した壁面***構造物20Aを有していることを特徴とする。【選択図】図3
Description
本発明は遠心式流体機械に係り、特に、遠心式流体機械に作動ガスを導く吸込流路を備えているものに好適な遠心式流体機械に関する。
一般に、遠心式流体機械には、遠心式流体機械に作動ガスを導くための吸込流路がケーシングの側面部に設けられている。
この遠心形流体機械における吸込流路の例が、特許文献1及び2に記載されている。
特許文献1に記載の遠心形流体機械における従来の吸込流路は、遠心圧縮機の初段羽根車への流入流れの周方向への流量分布を均一化するため、吸込ケーシングの流路内に、羽根車回転軸と同心の円弧状のガイドフェンスを設けている。
このガイドフェンスの回転軸方向の高さ(軸方向高さ)は、吸込ケーシング内の流路における半径位置での流路軸方向高さよりも低くなっており、吸込ノズルから噴流状に流入する作動ガスの一部を、ガイドフェンスに沿って流れるようにすることで、作動ガスの流れを反吸込ノズル側まで回り込ませ、初段羽根車への流入流れの速度分布の均一化を図っている。
一方、特許文献2に記載の遠心形流体機械における従来の吸込流路は、遠心圧縮機の初段羽根車への流入流量の周方向への流量分布を均一化するため、吸込ノズル中の上流側整流部に、吸込配管の開口部から導入される作動ガスが反吸込ノズル側の左右へとなるべく同流量で流れるよう分離するための径方向に延びる翼型状の断面を有する整流フィンを設けると共に、作動ガスを反吸込ノズル側へと導く流路内に、作動ガスの流通方向を案内するためのインレットガイドベーンを、円周方向に間隔を空けて複数設置している。
遠心式流体機械においては、近年、コスト低減や機場内における省スペース化の観点から、より一層の小型化が求められている。遠心式流体機械の小型化では、遠心式流体機械全体の回転軸方向の長さは少なくとも現状と同等に保ちつつ、遠心式流体機械を小径化することが必要となる。これに伴い上述した吸込流路についても、回転軸方向の長さは現状と同等としながら、小径化する必要がある。
このように、吸込流路の一層の小型化を進めて行くと、吸込流路の外径が小さくなることで流路断面積が減少していく。そのため、吸込ノズルから噴流状に流入する作動ガスを、反吸込ノズル側まで回り込ませるために設置する特許文献1或いは特許文献2に記載されているようなガイドフェンスや整流フィン、インレットガイドベーンなどの構造物を、吸込流路内に設置するためのスペースが十分確保できなくなる。
また、吸込ノズルから噴流状に流入する作動ガスを、反吸込ノズル側まで回り込ませるための十分な流路断面積が確保できなくなるため、特許文献1或いは特許文献2に記載されているような整流構造物を限られたスペース内に設置したとしても、作動ガスの回り込みが十分に生じなくなり、吸込ノズル設置位置付近の吸込流路部分のみを作動ガスが集中的に流れるようになってしまう。
このようなことから、初段羽根車への流入流れの周方向への流量分布の均一性や、初段羽根車の設計入口羽根角に対する流れのマッチングが、著しく悪化してしまう。
本発明は上述の点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、吸込流路の一層の小型化を進めた際にも、吸込ノズルからの流れを反吸込ノズル側まで十分に回り込ませ、初段羽根車への流入流れの周方向への流量分布の一様性や初段羽根車の設計入口羽根角に対する流れのマッチングを向上させ、低コストで、かつ、高性能とすることが可能な遠心式流体機械を提供することにある。
本発明の遠心式流体機械は、上記目的を達成するために、回転軸と、該回転軸に取り付けた遠心羽根車と、前記回転軸及び前記遠心羽根車を収容する円筒状のケーシングと、該ケーシングの初段羽根車側の端部に吸込ケーシングとを備え、
遠心式流体機械に作動ガスを導くために前記円筒状のケーシングの側面部に吸込ノズルを設け、この吸込ノズルから吸い込まれた前記作動ガスを遠心羽根車に導く吸込流路を、前記円筒状のケーシング及び前記吸込ケーシングの内部に形成し、前記吸込流路は、前記吸込ノズル内に相当する吸込ノズル流路部と、前記吸込ノズルに前記作動ガスを反吸込ノズル側へと回り込ませるための環状流路部と、該環状流路部と接続されていると共に、前記環状流路部からの流れを半径方向内向きから軸方向へと転向させるL字ベンド部を有している遠心式流体機械であって、
前記ケーシングは、前記吸込ノズルの入口フランジ部と前記環状流路の外径との間の途中位置から前記環状流路の内径位置のうちで、その周方向範囲が前記回転軸方向から見た際に、前記吸込ノズルが取り付けられている付近にかけての前記ケーシングの壁面のうちの前記回転軸方向の上流側端の壁面が前記回転軸方向の上流側に***した壁面***構造物を有していることを特徴とする。
遠心式流体機械に作動ガスを導くために前記円筒状のケーシングの側面部に吸込ノズルを設け、この吸込ノズルから吸い込まれた前記作動ガスを遠心羽根車に導く吸込流路を、前記円筒状のケーシング及び前記吸込ケーシングの内部に形成し、前記吸込流路は、前記吸込ノズル内に相当する吸込ノズル流路部と、前記吸込ノズルに前記作動ガスを反吸込ノズル側へと回り込ませるための環状流路部と、該環状流路部と接続されていると共に、前記環状流路部からの流れを半径方向内向きから軸方向へと転向させるL字ベンド部を有している遠心式流体機械であって、
前記ケーシングは、前記吸込ノズルの入口フランジ部と前記環状流路の外径との間の途中位置から前記環状流路の内径位置のうちで、その周方向範囲が前記回転軸方向から見た際に、前記吸込ノズルが取り付けられている付近にかけての前記ケーシングの壁面のうちの前記回転軸方向の上流側端の壁面が前記回転軸方向の上流側に***した壁面***構造物を有していることを特徴とする。
本発明によれば、吸込流路の一層の小型化を進めた際にも、吸込ノズルからの流れを反吸込ノズル側まで十分に回り込ませ、初段羽根車への流入流れの周方向への流量分布の一様性や初段羽根車の設計入口羽根角に対する流れのマッチングを向上させ、低コストで、かつ、高性能な遠心式流体機械とすることが可能となる。
以下、図示した実施例に基づいて本発明の遠心式流体機械を説明する。なお、以下に説明する各図において、同一の構成部品には同符号を使用し、説明が重複する場合は、その説明を省略する場合がある。また、本実施例では、多段遠心圧縮機を例にして説明するが、その他の遠心式流体機械にも本発明は適用可能である。
図1は、一般的な多段遠心圧縮機100の縦断面図であり、図2は、図1に示した多段遠心圧縮機100のA-A線に沿った断面図である。
図1に示すように、多段遠心圧縮機100は、1本の回転軸2に複数の遠心羽根車1が取り付けられており、回転軸2の両端部は、軸受ケース14aに保持された軸受14bで回転自在に支承されている。
各段の遠心羽根車1の半径方向外径側には、作動ガスの流路がほぼ径方向に形成されており、この流路は、ディフューザを形成する。ディフューザには、周方向に間隔を置いて配置された複数の翼を有する羽根付ディフューザや翼を全く有しない羽根なしディフューザが用いられる。図1では、羽根付ディフューザ15を示している。
羽根付ディフューザ15の下流側は、次段の遠心羽根車1への吸込流路を形成するために、作動ガスの流れを半径方向外向き流れから半径方向の内向き流れにするリターンチャネル16となっている。
このリターンチャンネル16には、作動ガスの流れを整流するために、リターンベーン17が周方向に間隔をおいて配置されている。羽根付ディフューザ15及びリターンチャンネル16は、静止流路12を構成する。
最終段の下流側であって、かつ、遠心羽根車1の半径方向外側には、スクロール18が形成されており、最終段の遠心羽根車1から流出する高圧の作動ガスを集めて吐出ノズル13から機外へと吐出するように構成されている。
羽根付ディフューザ15とリターンチャンネル16との間であって、ケーシング5と回転軸2との間には、回転軸2と僅かな隙間をもって前段の遠心羽根車1から吐出された作動ガスが後段の遠心羽根車1に流入するのを防止するための軸封部19が取り付けられている。
軸封部19は、最終段の遠心羽根車1から吐出された作動ガスが、スクロール18に流入することなく直接機外に漏洩するのを防止するために、最終段の遠心羽根車1の裏面側にも回転軸2と僅かな隙間をもって配置されている。
また、機外から初段の遠心羽根車1に直接流入するのを防止するために、初段の遠心羽根車1の吸込側であって軸方向前方にも回転軸2と僅かな隙間をもって配置されている。これらの軸封部19には、通常、ラビリンスシールが用いられている。
初段の遠心羽根車1に作動ガスを導入する吸込ケーシング6の形状は、その他の段の静止流路12とは異なった形状となっている。即ち、遠心羽根車1及び回転軸2を収容する円筒形のケーシング5の初段の遠心羽根車1側の端部には、吸込ケーシング6が形成されている。
そして、吸込ケーシング6では、初段の遠心羽根車1での軸方向への吸込を可能にするために、ケーシング5の円筒側面部に、その入口(吸込ノズルフランジ部4)の断面形状が円形であり、内径側に行くに従って断面形状が、図1に示す多段遠心圧縮機100の中心断面に対して面対称となるオーバル形となるような断面形状を有する吸込ノズル3が形成されている。
この吸込ノズル3から吸い込まれた作動ガスは、半径方向内側に導かれ初段の遠心羽根車1の吸込部に流入する。
ここで、作動ガスの機外からの導入口である吸込ノズルフランジ部4から初段の遠心羽根車1の吸込口1aまでの間のケーシング5、並びに吸込ケーシング6で囲まれた内部の空間を以下、作動ガスが通過する吸込流路8と呼ぶ。
吸込流路8は、吸込ノズル3が存在する位置に相当する吸込ノズル流路部9と、吸込ノズル流路部9と内径側において接続され、円環状に形成された作動ガスを吸込ノズル3に近い側(吸込ノズル3側)から遠い側(反吸込ノズル側)へと回り込ませるために設けられた環状流路部10及び環状流路部10と内径側において接続され、作動ガスを半径方向内向きから回転軸2の下流側方向へと転向させるL字ベンド部11とから構成される。
図1に示すように、環状流路部10は、半径方向には環状流路外径10aと環状流路内径10bとの間で、回転軸方向(以下、軸方向という)には、ケーシング5の回転軸方向上流側端の壁面5aと吸込ケーシング6の回転軸方向下流側端の壁面6aとの間でそれぞれ囲まれて形成される領域である。
なお、環状流路部10における反吸込ノズル側への作動ガスの回り込み促進を狙い、環状流路内径10bの位置における環状流路部10の軸方向幅は、環状流路外径10aの位置における環状流路部10の軸方向幅よりも狭めて設定されることが多い。環状流路内径10bの半径方向位置については、環状流路部10の軸方向の流路幅が、L字ベンド部11の外径側の軸方向流路幅と略等しくなった位置として定義する。
図2は、図1のA-A線に沿った断面図であり、吸込ノズル流路部9を高速で流通する作動ガスは、吸込ノズル流路部9の出口、即ち、吸込ノズル流路部9と環状流路部10の外径10a1の位置における接続部において環状流路部10内に噴流状に流入する。
そのため、作動ガスの多くは、吸込ノズル流路部9からの流入流れ方向7を維持したまま、全周にわたって存在する環状流路部10及びL字ベンド部11のうち、吸込ノズル3が設置してある周方向範囲(以下、吸込ノズル直下部3aという)を集中して流れ、初段の遠心羽根車1の吸込口1aに流入する。
一方、吸込ノズル直下部3a付近を通過しない作動ガスは、環状流路部10を反吸込ノズル側(図2の下側)へと回り込みながら各周方向位置においてL字ベンド部11に流入し(図2の下部の環状流路部10からL字ベント部11に流入している矢印で示す流れ)、更に、初段の遠心羽根車1の吸込口1aへと至る。
そのため、通常、初段の遠心羽根車1の吸込口1aでは均一な流量の流れとはならず、吸込ノズル3側の流量が大で、反吸込ノズル側の流量が小となる不均一な流量分布となる。
ここで、多段遠心圧縮機100が従来並みのサイズである場合の吸込流路8内の吸込ノズル流路部9及び環状流路部10の外径10a2の流路壁面形状線のイメージを、図2中に一点鎖線で示し、また、この際の環状流路部10の径方向高さを両矢印10cとして示している。
一方、多段遠心圧縮機100を小径化した場合の吸込流路8内の吸込ノズル流路部9及び環状流路部10の外径10a1の流路壁面形状線のイメージを、図2中に太実線(環状流路部10の外径10a1)で示し、また、この際の環状流路部10の径方向高さを両矢印10dとして示している。
多段遠心圧縮機100が従来並みのサイズである場合、環状流路部10の径方向高さ10cが十分大きく取れるため、環状流路部10を通過する作動ガスが反吸込ノズル側へ比較的回り込み易くなるため、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける流量分布の不均一性は比較的小さい。
しかしながら、多段遠心圧縮機100を小径化した場合、環状流路内径10bは従来から変化しないため(多段遠心圧縮機100の小径化とは、遠心羽根車1の径はそのままで、ケーシング5の外径を小さくすることなので、環状流路内径10bは従来から変化しない)、環状流路部10の径方向高さ10dが非常に小さくなり、また、環状流路部10の軸方向流路幅も従来同等とする必要があるため、環状流路部10を通過する作動ガスの反吸込ノズル側への回り込みが大幅に悪化し、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける流量分布の不均一性が極めて大きくなる。
また、作動ガスの環状流路部10を通っての反吸込ノズル側への回り込みが十分行われないことで、吸込ノズル流路部9からの流入流れ方向7、即ち、図2の鉛直方向下側を維持したまま大半の作動ガスがL字ベンド部11に流入してしまう。
そのため、L字ベンド部11のうちで特に吸込ノズル直下部3aよりも反吸込ノズル側に位置する領域(図2の吸込ノズル直下部3aを表している点線部分より下側の領域)では、作動ガスが大きな予旋回成分を有し、その結果、軸方向に対して大きな旋回角を持って初段の遠心羽根車1の吸込口1aに流入してしまう。
これにより、初段の遠心羽根車1の設計入口羽根角に対する流入流れのマッチングが悪化し、効率の低下や作動範囲の悪化を招いてしまう。加えて、環状流路部10の流路断面積が非常に小さくなると共に、L部ベンド部11において、作動ガスが半径方向内向きに流れる部分の半径方向の流路長も短くせざるを得ない。
従って、作動ガスの反吸込ノズル側への回り込みを促進するためのガイドフェンスや整流フィン、インレットガイドベーンなどの構造物も設置できなくなるため、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける流量分布の不均一性の悪化を改善する従来手法も活用が困難となってしまう。
そこで、本実施例では、多段遠心圧縮機100を小径化した際にも、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける流量分布の不均一性や設計入口羽根角に対する流入流れのマッチングの悪化を抑制するため、ケーシング5の軸方向上流側端の壁面5aを軸方向上流側に向けて部分的に***させた壁面***構造物20Aを設けている。
そして、この壁面***構造物20Aにより、吸込ノズル流路部9から鉛直方向下側に流入する流れを積極的に左右の環状流路に振り分けることで、流入流れがそのまま吸込ノズル直下部3a付近の環状流路部10へと流れ込むことを防止している。
この壁面***構造物20Aの形状とその設置効果の詳細を、図3及び図4を用いて説明する。
図3は、本発明の実施例における多段遠心圧縮機100の吸込流路付近の縦断面図を、また、図4は、図3に示した多段遠心圧縮機100のA-A線に沿った断面図を示す。
図3に示すように、本実施例における壁面***構造物20Aの半径方向における***開始半径20aは、吸込ノズルフランジ部4と環状流路外径10a1の間、***終了位置20bは、吸込ノズルフランジ部4と吸込ノズル側の環状流路内径10bの間となっている。
また、図4に示すように、本実施例における壁面***構造物20AのA-A線に沿った断面内における横方向の広がり幅は、壁面***構造物20Aの***開始半径20aから***終了半径である環状流路内径10bに相当する円弧内のうちの吸込ノズル直下部3a付近にかけて、図4中の横向きの両矢印20cで示すように、内径側に(***終了位置20bに)向かうに従って徐々に広がる構造となっている。
なお、壁面***構造物20Aの***終了位置20bにおける壁面***の横方向の広がり幅20cは、***終了半径位置における吸込ノズル3と壁面***構造物20Aの両壁面で構成される流路の横方向流路幅20dが、環状流路部10の径方向高さ10dに対して同等になるように決定するのが、この付近の作動ガスの急な加減速が生じないようにするために望ましい。
更に、本実施例における壁面***構造物20Aの軸方向上流側への***の形状詳細について説明するため、図5(a)、図5(b)、図5(c)に、図4のB―B線に沿った断面における吸込流路8の流路断面図を示す。
図5(a)に示すように、本実施例における壁面***構造物20A1は、図中に縦の一点鎖線で示す多段遠心圧縮機100の縦断面中心線上において、その軸方向上流側への***高さが最大となり、縦断面中心線から横方向に離れるに随って、その軸方向上流側への***高さが線形的に小さくなるように断面三角形状に構成しても良い。
また、図5(b)に示すように、本実施例における壁面***構造物20A2は、縦断面中心線上において、その軸方向上流側への***高さが最大となる一方、縦断面中心線から横方向に離れるに従って、その軸方向上流側への***高さが非線形的に小さくなるように断面半円形状に構成しても良い。
更に、図5(c)に示すように、本実施例における壁面***構造物20A3は、壁面***の横方向の広がり幅20cの全域にわたって、その軸方向上流側への***高さが一定となるように、断面長方形状に構成しても良い。
このように、壁面***構造物20Aの***領域の軸方向上流側への***高さについては様々な形状が考えられるが、壁面***の成形の容易さの観点からは、図5(c)に示す壁面***構造物20A3のような壁面***の横方向の広がり幅20cの全域にわたって、その軸方向上流側への***高さが一定となるように構成するのが望ましい。
なお、本実施例における壁面***構造物20Aの軸方向上流側への最大***高さを、図3中の左右方向の両矢印或いは図5(a)、図5(b)、図5(c)の上下方向の両矢印20eとして示している。
本実施例の壁面***構造物20Aの最大***高さ20eは、ケーシング5の上流側端の壁面5aを始点として軸方向上流側に向けて自由に設定可能であるが、その最大値は、環状流路内径10bの半径位置におけるケーシング5の上流側端の壁面5aの軸方向位置までとし、壁面***構造物20Aの軸方向上流側端がL字ベンド部11の流路中まで至らないようにする。
このようにすることで、壁面***構造物20AとL字ベンド部11との間に、外径側流路壁面が軸方向上流側に突出するような壁面段差が生じることを防止し、L字ベンド部11を半径方向内側へと流通する作動ガスの流れに剥離が生じないようにすることができる。
また、壁面***構造物20Aによる吸込ノズル流路部9から鉛直下側方向に流入する流れの左右環状流路への振り分け効果を最大化する観点から、壁面***構造物20Aによる最大***高さ20eは、上記最大値、即ち、環状流路内径10bの半径位置におけるケーシング5の上流側端の壁面5aの軸方向位置までに設定するのが望ましい。
本実施例のような壁面***構造物20Aを設けることによる効果を、以下に説明する。
まず、壁面***構造物20Aを、吸込ノズル流路部9の***開始半径20aから環状流路内径10bまで、比較的広い空間が存在する吸込ノズル直下部3a付近の周方向領域に限定して設置しているため、多段遠心圧縮機100を小径化した際にも、作動ガスの反吸込ノズル側への回り込みを促進するための構造物の設置を容易にしている。
また、この壁面***構造物20Aの設置により、吸込ノズル流路部9から鉛直下側方向に流入する流れの大半を積極的に左右の環状流路に振り分けることが可能となり、流入流れの大半がそのまま吸込ノズル直下部3a付近の環状流路部10へと流れ込むことが防止される。
従って、多段遠心圧縮機100を小径化した際にも、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける流量分布の均一性を改善することが可能となる。
ここで、吸込ノズル流路部9から鉛直下側方向に流入する流れの一部は、上記した壁面***構造物20Aにより左右に振り分けられることなく、そのままL字ベンド部11に到達する。
しかしながら、そのような流入流れの状態となる領域は、吸込ノズル直下部3a付近の周方向領域内で、かつ、L字ベンド部11の流路が存在する軸方向領域内に限定される。
この領域を通過して流入する作動ガスのイメージを、図4の吸込ノズル直下部3a付近の周方向領域内のL字ベンド部11付近に下向きの点線矢印として示している。
図4に示すように、この領域を通過して流入する作動ガスは、鉛直方向下側向きに環状流路部10とL字ベンド部11を流下して初段の遠心羽根車1の吸込口1aまで至ったとしても、軸方向に対して大きな旋回角を持つことがないため、初段の遠心羽根車1の設計入口羽根角に対する流入流れのマッチングの悪化をもたらすことはない。
一方、壁面***構造物20Aにより環状流路部10の左右方向に振り分けられた大半の作動ガスのイメージを、図4の環状流路部10からL字ベンド部11にかけての実線の矢印で示している。
このように、壁面***構造物20Aにより環状流路部10の左右方向に振り分けられた大半の作動ガスは、環状流路部10を回り込みながら回転軸中心方向に向きを変えつつL字ベンド部11を通過し、初段の遠心羽根車1の吸込口1aまで至る。
従って、軸方向に対して大きな旋回角を持つことなく初段の遠心羽根車1へと流入することになり、初段の遠心羽根車1の設計入口羽根角に対する流入流れのマッチングが良好に保たれる。
このように、多段遠心圧縮機100を小径化した際にも、初段の遠心羽根車1の設計入口羽根角に対する流入流れのマッチングを、初段の遠心羽根車1の吸込口1aにおける全域で良好に保ち、効率の低下や作動範囲の悪化を防止することが可能となる。
また、上述したように、壁面***構造物20Aの設置領域が狭い範囲に限定され、吸込流路8内の作動ガスの流下方向への急な加減速が生じないよう流路形状が調整されていると共に、壁面***構造物20AとL字ベンド部11との間に、外径側流路壁面が軸方向上流側に突出するような壁面段差が生じないように設定されている。
従って、壁面***構造物20Aを設置したことによる流入流れの流路壁面への衝突により生じる損失や作動ガスの急な加減速により生じる剥離損失、吸込流路8内の流路に存在する壁面突起により生じる剥離損失などの圧力損失の発生が抑制される。
このため、流路中に障害物となる壁面***構造物20Aを設置していても、多段遠心圧縮機100の効率が悪化することがない。
なお、本実施例における壁面***構造物20Aは、図4に示すように、軸方向上流側から見た場合に略三角形状の形状としている。この場合、壁面***構造物20Aの左右の流路壁面と、環状流路内径10bとの接続部が滑らかに接続されない場合があるため、図6或いは図7のように、壁面***構造物20Aを構成しても良い。
図6は、本発明の多段遠心圧縮機100の実施例2における壁面***構造物20Bの形状を示し、図4に相当する断面図である。
図6に示す本実施例では、***開始半径20aにおける壁面***構造物20Bの先端が尖頭状となっていると共に、***終了半径である環状流路内径10bの位置において、壁面***構造物20Bの左右の流路壁面と、環状流路内径10bに相当する円弧とが滑らかに接するようにした壁面***構造物の例である。
図7は、本発明の多段遠心圧縮機100の実施例3における壁面***構造物20Cの形状を示し、図4に相当する断面図である。
図7に示す本実施例では、***開始半径20aにおける壁面***構造物20Cの先端が鈍頭状となっていると共に、***終了半径である環状流路内径10bの位置において、壁面***構造物20Cの左右の流路壁面と、環状流路内径10bに相当する円弧とが滑らかに接するようにした壁面***構造物の例である。
図6に示す実施例2及び図7に示す実施例3の何れの例も、壁面***構造物20B及び20Cの左右の流路壁面に沿って流入する作動ガスに、剥離が生じないよう壁面***構造物20B及び20Cの先端から左右の流路壁面の終端にかけての流路形状が滑らかに変化するように流路壁面形状を構成するのが望ましい。
このような実施例2及び3の構成であっても、実施例1と同様な効果を得ることができる。
なお、実施例1-3における壁面***構造物物20A、20B又は20Cの成形法については、機械加工などでケーシング5を加工する際に、壁面***構造物物20A、20B又は20Cとケーシング5を一体で成形しても良い。
しかしながら、壁面***構造物20A、20B又は20Cの形状が複雑で、ケーシング5との一体成形が難しい場合には、従来通りの形状にてケーシング5を成形後、壁面***構造物20A、20B及び20Cを構成する別部材を、締結手段であるボルト等でケーシング5に後から締結し成形しても良い。
このように壁面***構造物20A、20B又は20Cの成形法を工夫することで、低コストで壁面***構造物20A、20B又は20Cを成形することができる。
以上説明した本実施例の遠心式流体機械100における吸込流路形状によれば、ケーシング5を小型化した際にも、吸込ノズル部3からの流れを反吸込ノズル側まで十分に回り込ませ、初段羽根車への流入流れの周方向への流量分布の一様性や初段羽根車の設計入口羽根角に対する流れのマッチングを向上させることができ、低コストで、かつ、高性能な遠心式流体機械100を得ることができる。
以上の説明は、多段の遠心式圧縮機についてであり、本発明を多段機に適用した場合に効果が顕著であるが、単段機の遠心式圧縮機に本発明を適用しても同様の効果が得られる。
なお、本発明は上述した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明したすべての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換える事が可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加える事も可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をする事が可能である。
1…遠心羽根車、1a…遠心羽根車の吸込口、2…回転軸、3…吸込ノズル、3a…吸込ノズル直下部、4…吸込ノズルフランジ部、5…ケーシング、5a…ケーシングの回転軸方向上流側端の壁面、6…吸込ケーシング、6a…吸込ケーシングの回転軸方向下流側端の壁面、7…吸込ノズル流路部からの流入流れの方向、8…吸込流路、9…吸込ノズル流路部、10…環状流路部、10a、10a1、10a2…環状流路外径、10b…環状流路内径、10c…環状流路部の径方向高さ、10d…多段遠心圧縮機を小径化した際の環状流路部の径方向高さ、11…L字ベンド部、12…静止流路、13…吐出ノズル、14a…軸受ケース、14b…軸受、15…羽根付ディフューザ、16…リターンチャネル、17…リターンベーン、18…スクロール、19…軸封部、20A、20A1、20A2。20A3、20B、20C…壁面***構造物、20a…壁面***構造物の***開始半径、20b…壁面***構造物の***終了半径、20c…壁面***構造物の横方向の広がり幅、20d…***終了位置における吸込ノズルと壁面***構造物の両壁面で構成される流路の横方向流路幅、20e…壁面***構造物の軸方向上流側への最大***高さ、100…多段遠心圧縮機。
Claims (13)
- 回転軸と、該回転軸に取り付けた遠心羽根車と、前記回転軸及び前記遠心羽根車を収容する円筒状のケーシングと、該ケーシングの初段羽根車側の端部に吸込ケーシングとを備え、
遠心式流体機械に作動ガスを導くために前記円筒状のケーシングの側面部に吸込ノズルを設け、この吸込ノズルから吸い込まれた前記作動ガスを遠心羽根車に導く吸込流路を、前記円筒状のケーシング及び前記吸込ケーシングの内部に形成し、前記吸込流路は、前記吸込ノズル内に相当する吸込ノズル流路部と、前記吸込ノズルに前記作動ガスを反吸込ノズル側へと回り込ませるための環状流路部と、該環状流路部と接続されていると共に、前記環状流路部からの流れを半径方向内向きから軸方向へと転向させるL字ベンド部を有している遠心式流体機械であって、
前記ケーシングは、前記吸込ノズルの入口フランジ部と前記環状流路部の外径との間の途中位置から前記環状流路部の内径位置のうちで、その周方向範囲が前記回転軸方向から見た際に、前記吸込ノズルが取り付けられている付近にかけての前記ケーシングの壁面のうちの前記回転軸方向の上流側端の壁面が、前記回転軸方向の上流側に***した壁面***構造物を有していることを特徴とする遠心式流体機械。 - 前記壁面***構造物は、前記吸込ノズル流路部から鉛直方向下側に流入する流れを左右の前記環状流路部に振り分けることを特徴とする請求項1に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物の半径方向における***開始半径は前記吸込ノズルのフランジ部と前記環状流路部の外径の間、前記壁面***構造物の半径方向における***終了位置は前記吸込ノズルのフランジ部と前記吸込ノズル側の前記環状流路部の内径の間であることを特徴とする請求項1又は2に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物の前記吸込ノズル側の***開始半径位置から前記環状流路部の内径側壁面位置に相当する***終了半径位置にかけての前記回転軸の上流側から見た際の前記壁面***構造物の横方向の***幅が、前記壁面***構造物の***開始位置から***終了位置に向うに従って徐々に広がっていることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物の***終了半径位置における壁面***の横方向の広がり幅は、前記***終了半径位置における前記吸込ノズルと前記壁面***構造物との両壁面で構成される流路の横方向流路幅が、前記環状流路部の径方向高さに対して同等になるように決定されることを特徴とする請求項4に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物は、前記遠心式流体機械の縦断面中心線上において、回転軸方向の上流側への***高さが最大になると共に、縦断面中心線から横方向に離れるに従って前記回転軸方向の上流側への***高さが線形的に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物は、前記遠心式流体機械の縦断面中心線上において、回転軸方向の上流側への***高さが最大になると共に、縦断面中心線から横方向に離れるに従って前記回転軸方向の上流側への***高さが非線形的に小さくなるように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物の前記回転軸方向の***高さは、前記壁面***構造物の全域にわたって一定であることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物の最大***高さは、前記環状流路部の内径の半径位置における前記ケーシングの上流側端の軸方向位置までであることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物を前記回転軸方向の上流側から見た際に、前記吸込ノズル側の***開始位置における前記壁面***構造物の先端は尖頭状となっていると共に、前記壁面***構造物の***終了位置においては、前記環状流路部の内径位置に相当する円弧に対し滑らかに接続されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物を前記回転軸方向の上流側から見た際に、前記吸込ノズル側の***開始位置における前記壁面***構造物の先端は鈍頭状となっていると共に、前記壁面***構造物の***終了位置においては、前記環状流路部の内径位置に相当する円弧に対し滑らかに接続されていることを特徴とする請求項3に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物は、前記ケーシングと一体で成形されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の遠心式流体機械。
- 前記壁面***構造物は、前記ケーシングと別部材で構成されると共に、前記ケーシングに締結部材で締結されていることを特徴とする請求項1乃至11の何れか1項に記載の遠心式流体機械。
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