JP2023146365A - 圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2023146365000001
【課題】従来に比べて省エネルギー効果に優れた圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法の提供。
【解決手段】吸着工程と均圧工程との間、及び、再生工程と均圧工程との間に休止工程を設けるとともに、製品ガスの取出流量の減少量に応じて前記休止工程の時間を変化させる圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法において、前記休止工程において、前記休止工程を実施中の吸着塔10又は吸着塔20と前記製品ガスを貯留するための製品槽32との間に配置された切替弁12又は切替弁22を開いて前記休止工程を実施中の吸着塔10又は吸着塔20から製品槽32に製品ガスを導出する工程を有することを特徴とする、圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法に関する。
吸着工程と再生工程とを繰り返す吸着塔に原料混合ガスを供給し、前記吸着塔内に充填した各種吸着剤に易吸着成分を吸着させることによって原料混合ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離する圧力変動吸着ガス分離法が広く行われており、例えば、吸着剤として分子ふるい炭素を使用し、空気から窒素ガス(空気より窒素濃度の高い濃縮窒素も含む:以下同)を製造する方法(窒素PSA)が広く実用に供されている。
特許文献1には、吸着剤を充填した複数の吸着塔のそれぞれについて、少なくとも吸着工程、均圧工程及び再生工程を繰り返すことにより、原料混合ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離して製品ガスを製造する圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法において、前記吸着工程と前記均圧工程との間、及び、前記再生工程と前記均圧工程との間に休止工程を設けるとともに、製品ガスの取出流量の減少量に応じて前記休止工程の時間を変化させることを特徴とする圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法が記載されている。
特開2003-088721号公報
しかし、より省エネルギー効果に優れた圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法が求められている。
本発明は、従来に比べて省エネルギー効果に優れた圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、図1に構成概要を示す圧力変動吸着ガス分離装置において、休止工程中に吸着塔10(20)と製品槽32との間のガス流路に配置された切替弁12(22)を開くと、より省エネルギー効果に優れることを知得し、本発明を完成させた。
本発明は以下の態様を含む。
[1] 吸着剤を充填した複数の吸着塔のそれぞれについて、少なくとも吸着工程、均圧工程及び再生工程を繰り返すことにより、原料ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離して製品ガスを製造する圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法であって、前記吸着工程と前記均圧工程との間、及び、前記再生工程と前記均圧工程との間に休止工程を設けるとともに、製品ガスの取出流量の減少量に応じて前記休止工程の時間を変化させる圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法において、
前記休止工程において、前記休止工程を実施中の吸着塔と前記製品ガスを貯留するための製品槽との間に配置された切替弁を開いて前記休止工程を実施中の吸着塔から前記製品槽に製品ガスを導出する工程を有することを特徴とする、圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[2] 前記休止工程において前記切替弁を開く時間が、前記休止工程の全時間の5%から100%である、[1]に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[3] 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記休止工程を実施中の吸着塔の圧力によって調整する、[1]又は[2]に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[4] 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記製品槽の圧力によって調整する、[1]又は[2]に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[5] 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記製品槽内の前記製品ガスの純度によって調整する、[1]又は[2]に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[6] 運転時の前記製品ガスの流量が通常の運転時の前記製品ガスの流量の0%~90%である、[1]~[5]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[7] 前記製品槽の圧力を測定し、測定した圧力とあらかじめ設定した設定圧力とを比較し、製品槽内の圧力が前記設定圧力より低くなったときに、前記休止工程を終了する、[1]~[6]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[8] 前記製品ガスの取出流量を測定し、前記製品ガスの取出流量が規定値以上に至ったときに、前記休止工程を終了する、[1]~[6]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[9] 前記製品ガスの不純物濃度を測定し、規定不純物濃度以上に至ったときに、前記休止工程を終了する、[8]に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
ただし、前記規定不純物濃度は、下記式(I)により計算された値である。
y=x(a-b)/α+b (I)
式(I)中、xは[8]に記載の製品ガスの取出流量[Nm/h]であり、yは規定不純物濃度であり、αは製品ガス100%取出流量[Nm/h]であり、aは製品ガス100%取出流量時の酸素濃度であり、bは製品ガス0%取出流量時の酸素濃度である。
[10] 前記休止工程の最大継続時間をあらかじめ設定しておき、休止工程の経過時間が前記最大継続時間に至ったときに、前記休止工程を終了する、[1]~[6]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[11] 前記製品ガスの取出流量を減量して製造した後、製品ガスの取出流量を増加させる場合に、吸着塔に前記原料ガスを供給する原料ガス供給配管の圧力を測定し、所定の吸着工程時間中に前記原料ガス供給配管の圧力があらかじめ定めた圧力に到達する回数をカウントし、吸着工程終了時に前記回数が0である場合は、吸着工程の時間を延長する、[1]~[10]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
[12] 前記原料ガスが空気、前記吸着剤が分子ふるい炭素、前記製品ガスが窒素であり、前記吸着工程が加圧下で行われ、前記再生工程が大気圧下で行われる、[1]~[11]のいずれかに記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
本発明によれば、省エネルギー効果に優れた圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法を提供できる。
図1は、本発明の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法を実施するための圧力変動吸着ガス分離装置の一例を示す系統図である。 図2は、本発明の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法による第1の制御例を示すフローチャートである。 図3は、本発明の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法による第2の制御例を示すフローチャートである。 図4は、実施例2及び比較例3の条件で、製品取出率20~80%の減量運転を行っているときの総運転時間あたりの減量運転実施率を示すグラフである(横軸:製品取出率(%)、縦軸:減量運転実施率(%))。 図5は、実施例2及び比較例3の条件で、製品取出率20~80%の減量運転を行っているときの製品窒素ガス中の酸素濃度を示すグラフである(横軸:製品取出率(%)、縦軸製品窒素ガス中の酸素濃度(ppm))。
以下では本発明の実施形態を詳細に説明するが、本発明は後述する実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変形が可能である。
本発明において、「~」を用いて表される数値範囲には、その両端の数値が含まれるものとする。
なお、本発明では、仕様値通りの純度、圧力及び製品ガスの取出流量で運転する状態を通常運転あるいは100%運転という。そして、製品ガスの取出流量を仕様流量よりも少ない量に変化させる状態を減量方向運転といい、一旦減量方向運転した状態から通常運転に戻る状態を増量方向運転という。このとき、減量方向運転も増量方向運転も、通常運転からみれば製品ガスの取出流量は減少している状態であるから、両者を併せて減量運転という。
図1及び図2は、本発明の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法の第1形態例を示すものである。
図1は、本実施形態の圧力変動吸着ガス分離装置の一例を示す系統図である。
図2は、図1に示す圧力変動吸着ガス分離装置を使用した本実施形態の運転方法による第1の制御例を示すフローチャートである。
図1に示す圧力変動吸着ガス分離装置は、空気から窒素を製造するPSA装置であって、このPSA装置は、2基の吸着塔10,20と、原料となる空気を供給するための空気圧縮機31と、吸着塔10,20から取り出した製品窒素ガスを貯留する製品槽32と、吸着塔10及び吸着塔20を吸着工程、均圧工程及び再生工程に切換えるための複数の切替弁11~13,21~23、41~43及び流量調節弁(絞り)44とを備えている。なお、切替弁12,22には逆止弁を使用することができ、流量調節弁44は、流量が調節可能なものであってもよく、流量(開口径)が固定されたオリフィス等であってもよい。
また、運転制御用の機器として、空気圧縮機31から吸着塔に圧縮原料空気を供給する原料空気配管33の圧力を測定する空気圧力計(PR1)34と、製品槽32の圧力を測定する窒素圧力計(PR2)35と、製品槽32から使用先(ユーザー)に製品窒素ガスを供給する製品ガス配管36の流量(製品ガスの取出流量)を測定する窒素流量計(FI)37と、窒素流量計37が測定した窒素流量をデータ変換するためのA/D変換器38と、A/D変換器38からの流量信号並びに空気圧力計34及び窒素圧力計35からの圧力信号に基づいて各種演算処理を行い、その結果に基づいて前記各切替弁の開閉を制御する弁制御装置39と、を備えている。
吸着塔10及び吸着塔20の内部には、酸素・窒素を主成分とする空気中の酸素を優先的に吸着する分子ふるい炭素等の吸着剤が充填されている。また、空気圧力計34及び窒素圧力計35には接点付き圧力計が用いられており、窒素流量計37には出力機能付流量計が用いられている。なお、接点付き圧力計とは、任意に設定された圧力になったら接点出力を出す、いわゆる無電圧接点又はオープンコレクタであり、オープンコレクタとは、出力トランジスタのコレクタをユーザーに開放し、種々の応用ができるようにしたものである。また、出力機能付き流量計とは、測定流量を、4~20mAの直流電流や1~5Vの直流電圧で出力できるものである。
さらに、切替弁43及び流量調節弁44は、装置の運転操作において再生工程中にパージ操作を含む場合であって、当該パージ操作が本発明方法の休止工程と重なるときに、パージガス供給側の吸着塔からパージガスが流出して前記吸着塔の圧力が低下することを防止するためのものであって、切替弁43を閉じることによって吸着塔を完全に孤立させるためのものである。
また、休止工程中において、製品槽32内の製品窒素ガスは、ユーザーに連続して供給され続けているので、製品槽32の圧力は次第に低下するが、吸着剤として分子ふるい炭素を使用したとき、吸着工程終了後の休止工程中には、塔内のガスが分子ふるい炭素に吸着されて吸着塔内の圧力も次第に低下する。このため、製品槽32と吸着塔10,20との大きさの関係によっては、製品槽よりも吸着塔の圧力低下の方が大きく、吸着塔の圧力が製品槽の圧力よりも低くなり、製品槽内の製品窒素ガスが吸着塔に逆流することがあり得る。したがって、切替弁12,22として逆止弁を用いることにより、製品槽から吸着塔への窒素ガスの逆流を確実に防止できる。
本実施形態の基本的な運転方法は、従来から行われている吸着工程、再生工程、均圧工程に、休止工程を付加したものであって、吸着塔10及び吸着塔20は、各工程を以下のように組み合わせた操作を繰返して行う。
Figure 2023146365000002
吸着工程は、原料空気又は製品ガスを吸着塔に供給しながら吸着塔の圧力を上げる昇圧操作と、原料空気を供給しながら製品ガスを吸着塔から取り出す操作とを含む工程である。吸着工程は加圧下で行われることが好ましい。吸着工程の時間は、減量方向運転のときは、通常運転のときの時間と同じである。増量方向運転のときは、吸着工程終了時にあらかじめ設定した吸着塔圧力に達しないと製品の仕様純度を保てなくなるので、それを回避するために、吸着工程時間を延長するようにしている。
再生工程は、吸着塔の圧力を下げて易吸着成分を吸着剤から脱着させ、吸着塔を再生して次の吸着工程に備えるものである。再生工程は大気圧下で行われることが好ましい。吸着塔の圧力を下げることと同時に、又はそれに続いて、製品ガスで吸着塔をパージする操作や、その他の操作を加えてもよい。
均圧工程は、吸着塔10と吸着塔20とを連通させて塔内のガスを移動させることにより、圧力を回収する工程である。両塔を連通させる方式は、吸着塔の上(製品出口側)同士、下(原料入口側)同士、又は上下両方のいずれでもよく、両塔の圧力は完全に等しくならなくてもよい。
休止工程は、切替弁11,13,21,23、41~43を閉じ、吸着塔10及び吸着塔20に原料空気が流入しない状態とする工程である。
休止工程は、休止工程を実施中の吸着塔10又は吸着塔20と製品槽32との間の切替弁12又は切替弁22を開いて、休止工程を実施中の吸着塔10又は吸着塔20から製品槽32に製品ガスを導出する工程を有する。
休止工程において切替弁12又は切替弁22を開く時間は、休止工程の全時間によって調整してもよく、この場合、休止工程の全時間の5%から100%が好ましい。
また、休止工程において切替弁12又は切替弁22を開く時間は、休止工程を実施中の吸着塔10又は吸着塔20の圧力によって調整してもよい。
また、休止工程において切替弁12又は切替弁22を開く時間は、製品槽32の圧力によって調整してもよい。
切替弁12,22として開閉弁ではなく逆止弁を使用すると、製品槽32の圧力よりも吸着塔10又は吸着塔20の圧力が高い間は、吸着塔10又は20から製品槽32に向かって製品ガスが流れる状態となる。
さらに、休止工程において切替弁12又は切替弁22を開く時間は、製品槽32内の製品ガスの純度によって調整してもよい。
この休止工程の時間は、減量方向運転のときは長くなり、増量方向運転のときは、直前の減量運転の休止時間よりも短くなる。この休止工程中は、切替弁11,21が閉じられているから、空気圧縮機31はアンロード運転となる。これにより、単位時間当たりのアンロード運転への切換回数を、従来法に比べて非常に少なくすることができる。このように、減量運転の程度(製品ガスの取出流量の減少量)に応じて時間を変化させる休止工程は、本発明方法の特徴的な工程である。
減量運転時においても、ユーザーは製品ガスを使用しているので、休止工程の時間は、減量運転の程度に応じて、製品槽の圧力が仕様圧力を満たすように決められる。すなわち、製品槽の圧力が仕様圧力以上を維持している間に休止工程を終了させ、吸着工程を開始した吸着塔から製品槽に製品窒素が供給できるように、休止工程の時間が設定される。
ユーザーは、仕様流量内で製品ガスの取出流量を自由に変更するので、PSA装置においては、製品ガスの取出流量が仕様流量のときの通常運転と、任意の製品ガスの取出流量に減少させるときの減量方向運転と、減少後の製品ガスの取出流量を仕様流量に戻すときの増量方向運転とを、製品ガスの取出流量に応じて円滑に切換える必要がある。
次に、上記装置を使用した第1の制御例を、図2を参照しながら説明する。なお、製品ガスの取出流量は窒素流量計37により製品ガス流量として、製品槽32の圧力は窒素圧力計35により製品槽圧力として、圧縮原料空気の圧力は空気圧力計34により原料空気配管圧力として、それぞれ常時測定されている。
第1の制御例における減量運転は、製品窒素ガスの仕様流量を100%とするとき、100%未満の任意に定めた設定流量より少ない量の条件時に適用できるが、設定流量を通常の運転時の0%~90%とすることが好ましい。設定流量は、製品槽32の最低圧力、製品槽32の大きさ、製品ガスの取出流量の変動幅(減量運転の程度)等の条件を考慮して定めることができる。
まず、一方の吸着塔10が吸着工程、他方の吸着塔20が再生工程に切り替ったとき(ステップ101)、ステップ102で製品ガス流量及び原料空気配管圧力のデータを取得し、ステップ103で製品ガス流量をあらかじめ設定されている第1の設定流量FR1と比較する。このステップ103で製品ガス流量が第1の設定流量FR1を超えていると判定されたときは(YES)、ステップ104に進んで積算時間IT1を加算する。
次に、ステップ105で原料空気配管圧力とあらかじめ設定されている第1の設定圧力P1とを比較する。このステップ105で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1を超えていると判定されたときは(YES)、ステップ106に進んで設定圧力到達回数のカウントを行う。
そして、ステップ107であらかじめ計測されている吸着・再生工程開始からの経過時間(吸着・再生時間)があらかじめ設定されている第1の設定時間T1と比較され、吸着・再生時間が第1の設定時間T1以上になっていなければ(NO)、ステップ102に戻ってこれらのステップを繰り返す。この間は、一方の吸着塔10が吸着工程を継続しており、他方の吸着塔20が再生工程を継続している状態である。
なお、ステップ104における積算時間IT1の加算は、ステップ102~107のループを実行する時間に等しい時間を積算時間IT1に加算する。例えば、ステップ103での判断が0.1秒間隔で行われているときには、ステップ104を実行するときに、毎回0.1秒を積算時間IT1に加えていく。したがって、ステップ102~107のループを実行している期間、すなわち、吸着工程開始から、第1の設定時間T1に設定された時間に到達するまでの間に、第1の設定流量FR1を超える流量で製品ガスがユーザーに供給された合計時間を知ることができる。また、ステップ106における設定圧力到達回数のカウントは、この吸着工程の間に、原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1に到達したか否かを判断できればよいため、ステップ106の実行時にフラグに1を代入するだけでもよく、実行毎に1を加えるようにしてもよい。
ステップ107で吸着・再生時間が第1の設定時間T1に達したと判定されると、ステップ108で前記設定圧力到達回数が1と比較され、1未満(通常はゼロ)、すなわち、ステップ105で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1を超えたと判定されることが1回も無かった場合は(NO)、ステップ109に進んで吸着延長時間のカウントが行われた後、ステップ110に進んでステップ109でカウントされた吸着延長時間とあらかじめ設定されている第2の設定時間T2とを比較する。
このステップ110で吸着延長時間が第2の設定時間T2に達していないと判定されたときには(NO)、ステップ102に戻って前記各ステップを繰り返す。なお、ステップ109における吸着延長時間のカウントも、前記ステップ104における積算時間IT1の加算と同様に、実行時に所定の時間、例えば0.1秒を吸着延長時間に加算していく。
ステップ110からステップ102に戻るループは、ステップ105で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1を超えたと判定され、ステップ106で設定圧力到達回数がカウントされ、ステップ108で設定圧力到達回数が1以上と判定されたとき(YES)、又はステップ110で吸着延長時間が第2の設定時間T2に達したと判定されたとき(YES)、のいずれかで終了してステップ111に進む。
ステップ111では、ステップ104で算出した積算時間IT1とあらかじめ設定された第3の設定時間T3とが比較される。ここで、積算時間IT1が第3の設定時間T3よりも短い場合は(NO)、1サイクル当たりの製品取出量が設定量より少なかったことを示すものであるから、減量方向運転を行うことになり、ステップ112に進んで休止工程が始まる。ステップ112では、ステップ104やステップ109と同様にして休止工程の経過時間(休止時間)のカウントが行われ、続いてステップ113で製品ガス流量(製品ガスの取出流量)、製品槽圧力、及び製品ガスの不純物濃度のデータ取得が行われる。ここで、規定不純物濃度C1は、下記式(I)により計算された値である。
y=x(a-b)/α+b (I)
式(I)中、xは製品ガスの取出流量[Nm/h]であり、yは規定不純物濃度C1であり、αは製品ガス100%取出流量[Nm/h]であり、aは製品ガス100%取出流量時の酸素濃度であり、bは製品ガス0%取出流量時の酸素濃度である。
次のステップ114では、製品槽圧力とあらかじめ設定された第2の設定圧力P2との比較、製品ガス流量と第2の設定流量FR2との比較、ステップ112でカウントした休止時間とあらかじめ設定された第4の設定時間T4との比較、がそれぞれ行われる。そして、製品槽圧力が第2の設定圧力P2を下回った場合、製品ガス流量が第2の設定流量FR2を上回った場合、休止時間が第4の設定時間T4を上回った場合、製品ガスの不純物濃度が規定不純物濃度C1を上回った場合、のいずれか一つが成立したときに、休止工程が終了してステップ115に進み、均圧工程が始まり、所定の均圧工程が終了すると、吸着塔10が再生工程、吸着塔20が吸着工程に切り替えられてステップ101に戻る。第1の設定流量FR1は、吸着工程中の製品ガスの取出流量の変化に対応するためであり、第2の設定流量FR2は休止工程中の製品ガスの取出流量の変化に対応するために設定する流量であるが、第1の設定流量FR1と第2の設定流量FR2とは同じであってもよい。
ステップ114で前記条件が一つも成立しない場合は、ステップ112に戻って休止工程が継続される。この休止工程の最長時間は、第4の設定時間T4に設定された時間となり、休止工程の中断は、製品槽内に貯留した製品ガス量が少なくなって製品槽圧力が下がり、製品槽への製品ガスの補給が必要になったとき、そして、製品ガスの取出流量が増大して第2の設定流量FR2を上回ったときのいずれかであり、増量方向運転が行われることになる。
したがって、各設定流量、各設定時間、各設定圧力、製品ガスの不純物濃度のそれぞれの設定値を、ユーザーの製品ガス使用状況等に応じて適切に設定することにより、製品ガスの取出流量に応じて自動的にかつ効率よく減量方向運転及び増量方向運転を行うことができる。
例えば、第1の設定流量FR1を仕様流量(100%運転)に対して80%の数値に設定しておくと、製品ガスの取出流量が変動する場合であっても、80%以上の製品ガスがユーザーに供給されている合計時間をステップ103,ステップ104を実行することによって積算することができ、積算した時間が第3の設定時間T3以上であれば、休止工程を行わずに通常運転を継続し、第3の設定時間T3未満であれば、製品ガスの取出流量が減少したと判断して休止工程を開始し、減量運転を行うようにする。
この休止工程の時間は、最長時間が第4の設定時間T4により設定されており、製品ガスの取出流量が継続して少ないときには、第4の設定時間T4により設定された時間、休止工程が行われる。
この休止工程の途中で製品ガスの取出流量が増加すると、増加した製品ガス流量がデータとして取得されるので、製品ガス流量が第2の設定流量FR2、すなわち仕様流量の80%を一瞬でも超えると、ステップ114での判断によって休止工程が中断される。また、製品ガス流量の増加が僅かで第2の設定流量FR2を超えないような場合であっても、休止工程中は、製品槽における吸着塔からの製品ガスの流入がなく、製品ガスが流出するのみなので、製品槽の圧力は常に低下することになり、取得した製品槽圧力データが第2の設定圧力P2より低くなると、ステップ114での判断によって休止工程が中断される。
すなわち、100%運転を行っている状態で製品ガスの取出流量が、例えば80%未満になると前記積算時間IT1が小さくなるので、自動的に減量方向運転が行われて休止工程が実施される。
60%程度の減量運転を行っているときに、製品ガスの取出流量がさらに減少すると、製品槽圧力の低下速度が遅くなるので、その分休止工程の時間が長くなり、第4の設定時間T4に設定された時間まで休止工程が行われ、例えば40%減量運転の状態になる。逆に、製品ガスの取出流量が増加すると、製品槽圧力の低下速度が速くなるので、その分休止工程の時間が短くなり、増量方向運転が行われて例えば80%減量運転の状態となる。また、製品ガスの取出流量がさらに増加して第2の設定流量FR2を超えたときも、その時点で休止工程が終了するので、増量方向運転が行われて80%減量運転又は100%運転の状態に移行する。このように、製品ガスの取出流量に応じて休止工程の時間が自動的にかつ無段階に連続的に調整され、最適な減量運転が行われる。
一方、吸着工程では、減量運転を行っているときや、減量方向運転を行っているときは、第1の設定時間T1で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1に到達するために必要とする空気量よりも過剰な空気量が空気圧縮機から供給され、空気配管圧力が第1の設定圧力P1以上となるので、ステップ105からステップ106が実行され、設定圧力到達回数が1以上となるので、ステップ108での判断によって吸着工程の時間延長は行わずに、ステップ111の休止工程の実施判断に進むことになる。
しかし、100%運転への急激な流量変化を伴う増量方向運転を行っているときの1サイクル当たりの製品槽の圧力差は安定状態の100%運転時の製品槽の圧力差よりも大きいので、あらかじめ設定した吸着工程時間内では吸着塔の圧力が十分に上昇せず、設定圧力到達回数がカウントされないことになる。したがって、ステップ108での判断によって吸着工程延長が行われ、第2の設定時間T2に到達するまで、又は原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1以上になるまで吸着工程が延長される。すなわち、第2の設定時間T2を適切に設定することにより、また、途中で所定圧力に到達したときに吸着工程の延長を中断することにより、吸着塔圧力の第1の設定圧力P1への未到達に伴う製品純度の劣化を抑制することができる。
上記各設定値は、前述のように、製品ガスの取出流量及び圧力、製品槽の大きさ、減量運転の程度等の条件によって定められるものであるが、通常は、次のような範囲に設定することが好ましい。
まず、第1の設定流量FR1は、仕様流量に対して80%程度が好ましい。第3の設定時間T3とも関連するが、第1の設定流量FR1を高い値にした場合、仕様圧力を満足するために第2の設定圧力P2を高く設定する必要があり、減量運転は行うが休止工程時間が短くなって効果的な減量運転を行えなくなり、小さい値にすると休止工程に入ることが少なくなって効果的な減量運転を行えなくなるときがある。
第1の設定圧力P1は、圧縮機の最高吐出圧力より40~120kPa低い圧力が好ましく、60~90kPa低い圧力がより好ましい。第2の設定圧力P2は、第1の設定流量FR1及び第2の設定流量FR2の影響を受ける。例えば、第1の設定流量FR1及び第2の設定流量FR2が仕様流量に対して80%の流量である場合の第2の設定圧力P2は、仕様圧力より10~100kPa高い圧力が好ましく、30~80kPa高い圧力がより好ましい。第1の設定圧力P1及び第2の設定圧力P2共に、圧力差を小さくし過ぎるとガスの供給が円滑に行われなくなることがあり、圧力差を大きくし過ぎると、吸着塔や圧縮機の負担が大きくなって設備費に影響が出るおそれがある。
また、第1の設定時間T1は100%運転のときの吸着工程時間であり、製品仕様や吸着剤の種類によって最適な時間が自ら定まってくる。第2の設定時間T2は吸着延長時間であるから、通常は、吸着工程時間である第1の設定時間T1の10%程度が好ましい。第2の設定時間T2を長くし過ぎると仕様純度を満足できなくなる可能性が出てくる。第3の設定時間T3は、積算時間IT1に対応するものであるから、第1の設定流量FR1の設定値により異なってくる。第1の設定流量FR1を仕様流量の80%に設定した場合、第3の設定時間T3は、吸着工程時間である第1の設定時間T1の80%程度が好ましい。これによって適度に休止工程を行うことができる。第4の設定時間T4は、最大休止工程時間であり、製品ガスの取出流量の変動幅、製品槽の容量、吸着塔の大きさ、減量運転の程度、製品ガス純度等の条件によって異なってくる。第4の設定時間T4としては、通常、第1の設定時間T1の吸着工程時間に対して2.0倍以下が好ましく、1.5倍以下がより好ましい。第4の設定時間T4をこれよりも長い時間に設定すると、製品槽が巨大なものとなってしまうおそれがある。
第2の設定時間T2、すなわち吸着工程延長時間は、製品仕様や吸着剤の種類、その他の条件によって異なってくる。しかし、分子ふるい炭素を用いて空気から窒素を製造するPSAにおいては、吸着工程は長くても150秒程度であり、通常は120秒程度以内であるから、延長する時間は、15秒以内が好ましく、10秒以内がより好ましい。
図3は、本実施形態の運転方法において、電力削減効果をさらに高めた第2の制御例を示すフローチャートである。本制御例では、弁制御装置39において、前記流量信号に基づいて適切な休止時間の計算を行うようにしている。
まず、一方の吸着塔10が吸着工程、他方の吸着塔20が再生工程に切り替ったとき(ステップ201)、ステップ202で空気圧力計34から原料空気配管圧力のデータを取得し、ステップ203で原料空気配管圧力とあらかじめ設定されている第1の設定圧力P1’とを比較する。
このステップ203で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1’を超えていると判定されたときは(YES)、ステップ204に進んで設定圧力到達回数をカウントする。なお、このステップ204における設定圧力到達回数のカウントは、この吸着工程の間に、原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1’に到達したか否かを判断できればよいため、ステップ204の実行時にフラグに1を代入するだけでもよく、実行毎に1を加えるようにしてもよい。
ステップ205であらかじめ計測されている吸着・再生工程開始からの経過時間(吸着・再生時間)と、あらかじめ設定されている第1の設定時間T1’とを比較し、吸着・再生時間が第1の設定時間T1’以上になっていなければ(NO)、ステップ202に戻ってステップ202,203,204を繰り返す。この間は、一方の吸着塔10が吸着工程を継続しており、他方の吸着塔20が再生工程を継続している状態である。
ステップ205で吸着・再生時間が第1の設定時間T1’に達したと判定されると、ステップ206で前記設定圧力到達回数が1と比較され、1未満(通常はゼロ)、すなわち、ステップ203で原料空気配管圧力が第1の設定圧力P1’を超えたと判定されることが1回も無かったときには(NO)、ステップ207に進んで吸着時間延長のカウントが行われた後、ステップ208に進んでステップ207でカウントされた吸着延長時間とあらかじめ設定されている第2の設定時間T2’とを比較する。
このステップ208で吸着延長時間が第2の設定時間T2’に達していないと判定されたときには(NO)、ステップ202に戻って前記各ステップを繰り返す。なお、ステップ207における吸着時間延長のカウントは、このステップ207の実行間隔に対応した時間、例えば0.1秒を加算していくようにすればよい。
ステップ208からステップ202に戻るループは、ステップ206で設定圧力到達回数が1以上になったと判定されたとき、すなわち、ステップ203で製品槽圧力が第1の設定圧力P1’を超えていると判定されたとき、又はステップ208で吸着延長時間が第2の設定時間T2’に達したと判定されたとき(YES)、のいずれかで終了してステップ209に進む。
ステップ209では、休止時間がカウントされる。この休止時間のカウントも、前記ステップ209の実行間隔に対応した時間、例えば0.1秒を加算していくようにすればよい。続いて、ステップ210で窒素流量計37からの製品ガス流量(製品ガスの取出流量)及び窒素圧力計35からの製品槽圧力のデータを取得し、取得した製品ガス流量のデータに基づき、ステップ211で前記製品ガス流量に対応した最適な休止時間を弁制御装置39で計算する。さらに、ステップ210では製品ガスの不純物濃度を取得する。ただし、製品ガスの不純物濃度の取得は、ステップ217よりも前のステップで行えばよく、例えば、ステップ209で行うなどしてもよく、必ずしもステップ210で行う必要はない。
この製品ガス流量に基づく最適な休止時間、即ち休止工程の継続時間y[sec]の計算は、一つの吸着塔が吸着工程及び均圧工程を行う時間、即ちPSA装置の半サイクルの時間をx[sec]、このPSA装置の仕様流量、即ち装置からの100%製品ガスの取出流量をα[Nm/h]、現在の製品ガスの取出流量(製品ガス流量)をβ[Nm/h]とし、通常運転、減量運転に関係なく、1サイクル中にPSA装置から取り出す製品ガス量が常に等しい(一定である)と仮定すると、
y=a・x(α-β)/β
という計算式で求めることができる。
なお、式中のaは製品純度調整用として、製品純度や装置構成に応じて設定される補正係数であって、0.5以上1.2以下の範囲内に設定される。この補正係数aを1.2を超える数値にすると、休止時間が必要以上に長くなって仕様純度を満足できなくなり、0.5未満にすると、休止時間が短くなって所望の電力削減効果が得られなくなる。
前記計算式で得られた休止時間は、計算結果fとして記憶されるとともに計算回数もカウントされる。ステップ212で計算回数が1と判定されたときには(YES)、ステップ213に進んで前記計算結果fを第1の計算結果f1として記憶する。一方、ステップ212で計算回数が1ではないとき(NO)、即ち2回以上計算を行っているときは、ステップ214に進んで前記計算結果fを第2の計算結果f2として記憶した後、ステップ215で、これより以前に記憶した第1の計算結果f1と、今回記憶した第2の計算結果f2とを比較する。
そして、休止工程中に製品ガス流量が変化し、第1の計算結果f1が第2の計算結果f2よりも大であると判定されたときには(YES)、ステップ216に進んで第1の計算結果f1を第2の計算結果f2に置き換える。第1の計算結果f1が第2の計算結果f2よりも大ではないと判定したときには(NO)、第1の計算結果f1をそのまま維持する。
このように、各ステップを経ることによって第1の計算結果f1を確定させた後、休止工程の終了判定を行うステップ217に進む。このステップ217においては、製品槽圧力とあらかじめ設定された第2の設定圧力P2’との比較、ステップ209でカウントした休止工程の経過時間(休止時間)と第1の計算結果f1との比較、ステップ209でカウントした休止時間とあらかじめ設定された第4の設定時間T4’との比較、ステップ210で取得した製品ガスの不純物濃度と規定不純物濃度C1’との比較、の4項目の条件比較がそれぞれ行われる。ここで、規定不純物濃度C1’は、下記式(I)により計算された値である。
y=x(a-b)/α+b (I)
式(I)中、xは製品ガスの取出流量[Nm/h]であり、yは規定不純物濃度C1’であり、αは製品ガス100%取出流量[Nm/h]であり、aは製品ガス100%取出流量時の酸素濃度であり、bは製品ガス0%取出流量時の酸素濃度である。
そして、製品槽圧力が第2の設定圧力P2’を下回った場合、休止時間が第1の計算結果f1を上回った場合、休止時間が第4の設定時間T4’を上回った場合、製品ガスの不純物濃度が規定不純物濃度C1’を上回った場合、のいずれか一つが成立したときには、ステップ218に進んで休止工程を終了させ、均圧工程を開始する。前記4項目の条件比較が全て成立しなかった場合は、ステップ209に戻って休止工程が継続され、各ステップが繰り返される。
本制御例で休止工程の最終ステップであるステップ217において、製品槽圧力とあらかじめ製品圧力を維持するために設定された第2の設定圧力P2’との比較、及び、ステップ209でカウントした休止時間とあらかじめ設定された第4の設定時間T4’との比較は、前記第1形態例で示した制御例と同じであるが、休止時間と第1の計算結果f1との比較による休止工程の終了判定が異なっている。
すなわち、前記第1の制御例では、あらかじめ休止工程を行う製品ガス流量(第1の設定流量FR1)及び休止工程を終了する製品ガス流量(第2の設定流量FR2)をそれぞれ設定しておき、これらの設定流量に基づいて休止工程を行っていたが、本制御例では、製品ガスの取出流量の変化に基づいて休止工程の継続時間を調整するようにしている。
例えば、吸着工程時間が90秒、均圧工程時間が5秒、製品ガスの100%取出流量が100[Nm/h]であるとする。半サイクルの時間は95秒であるから、現在の製品ガスの取出流量が100[Nm/h]であれば、補正係数aを1.0とすると、前記計算式から休止工程の継続時間(第1の計算結果f1)は0秒となり、ステップ217での1回目の判定で、休止時間が第1の計算結果f1を上回ることになるので、休止時間はステップ209からステップ217に至るまでの極短時間、即ち約0秒となる。
一方、現在の製品ガスの取出流量が50[Nm/h]であれば、前記計算式から休止工程の継続時間は95秒となり、ステップ217で製品槽圧力が第2の設定圧力P2’を下回るか、休止時間が第4の設定時間T4’を上回るか、又は休止時間が95秒を上回る判定が行われるまで休止工程が行われることになる。ちなみに、現在の製品ガスの取出流量が80[Nm/h]のときの継続時間は約24秒、60[Nm/h]のときの継続時間は約64秒となる。
また、ステップ215とステップ216とから分かるように、現在の製品ガス流量に基づく第2の計算結果f2が、第1の計算結果f1より小さいときだけ、第1の計算結果f1を第2の計算結果f2で置き換えるようにしている。したがって、製品ガスの取出流量が減量傾向にあるときには、第2の計算結果f2が次第に増加することになるが、第1の計算結果f1を置き換えないので、この半サイクルは、1回目の計算により得た休止時間によりステップ217での判定が行われ、休止時間がこれより長くなることはない。
一方、製品ガスの取出流量が増量傾向にあるときには、第2の計算結果f2が次第に減少することになるので、第1の計算結果f1が逐次置き換えられ、最も短い休止時間が判定に用いられることになる。これにより、製品ガスの取出流量の増加に速やかに対応することができるから、小型の製品槽を使用しても、製品槽圧力が急激に低下することを防止できる。
以下では実施例によって本発明をより具体的に説明するが、本発明は後述する実施例によって限定されるものではない。
[比較例1]
図1に示した構成の窒素PSA装置を使用した。吸着塔10及び吸着塔20の内部には分子ふるい炭素を充填し、空気を分離して製品窒素ガス仕様純度が99.9体積%で、製品ガス仕様圧力が500kPa・Gの窒素を製造した。製品槽32の容積は吸着塔容積の2倍とした。吸着再生工程時間(設定時間T1)は75秒とし、均圧工程時間は4秒とした。また、窒素流量計37にはマスフローメーターを、空気圧力計34及び窒素圧力計35にはそれぞれデジタル圧力計を使用し、各切換弁には空圧式自動弁を使用した。
図2に示した制御手順により減量運転を行った。ただし、休止工程中に切替弁12又は切替弁22を開くことはなかった。このときの設定流量FR1,FR2は共に仕様流量の50%(20Nm/h)、設定時間T2は吸着時間(設定時間T1)の80%、原料空気配管の設定圧力P1は640kPaG、製品槽圧力の設定圧力Pは590kPaG、休止工程の設定時間T4は1800秒とした。50%の減量運転を行っているときの休止時間は36秒、製品窒素ガス中の酸素濃度の最大値は約10ppmとなった。
[比較例2]
設定流量FR1,FR2は共に仕様流量の100%(40Nm/h)とした。その他の条件は比較例1と同様とした。
製品窒素ガス中の酸素濃度は約270ppmとなった。
[実施例1]
休止工程中に切替弁12又は切替弁22を常時開として、吸着塔10又は吸着塔20から製品槽32に製品ガスを導出した。切替弁12又は切替弁22は、休止工程の全時間開とした。その他の条件は比較例1と同様とした。
このときの設定流量FR1,FR2は共に仕様流量の50%(20Nm/h)、設定時間T2は吸着時間(設定時間T1)の80%、原料空気配管の設定圧力P1は640kPaG、製品槽圧力の設定圧力Pは590kPaG、休止工程の設定時間T4は1800秒とした。50%の減量運転を行っているときの休止工程時間は46秒、製品窒素ガス中の酸素濃度の最大値は約17ppmとなった。
実施例1は比較例1と比較して製品窒素ガス中の酸素濃度は高い値を示したが、比較例2と比較すると製品窒素ガス中の酸素濃度の上昇は許容範囲内であった。
比較例1よりも実施例1の方が休止工程時間が長く、省エネルギー効果に優れていた。
[比較例3]
設定流量FR1、FR2を仕様流量の80%(32Nm/h)から20%(8Nm/h)まで変動させることとした。その他の条件は比較例1と同様とした。このときの設定時間T2は吸着時間(設定時間T1)の80%、原料空気配管の設定圧力P1は640kPaG、製品槽圧力の設定圧力Pは590kPaG、休止工程の設定時間T4は1800秒とした。
[実施例2]
休止工程中に切替弁12又は切替弁22を常時開として、吸着塔10又は吸着塔20から製品槽32に製品ガスを導出した。切替弁12又は切替弁22は、休止工程の全時間開とした。その他の条件は比較例3と同様とした。
実施例2及び比較例3の条件で、製品取出率20~80%の減量運転を行っているときの総運転時間あたりの減量運転実施率を図4に示す。なお、図4において、実線は実施例2、破線は比較例3(従来法)による減量運転を実施した場合の製品取出率(%)と減量運転実施率(%)との関係を示す。各減量運転時において、比較例3よりも実施例2の方が減量運転実施率が高く、省エネルギー効果に優れていた。
実施例2及び比較例3の条件で、製品取出率20~80%の減量運転を行っているときの製品窒素ガス中の酸素濃度を図5に示す。なお、図5において、実線は実施例2、破線は比較例3(従来法)による減量運転を実施した場合の製品取出率(%)と製品窒素ガス中の酸素濃度(ppm)との関係を示す。各減量運転時において、比較例3よりも実施例2の方が酸素濃度が高い結果となったが、製品窒素ガス仕様純度である99.9体積%の条件は満たす結果となった。
本発明の運転方法は、原料ガスが空気、吸着剤が分子ふるい炭素、製品ガスが窒素であり、吸着工程が加圧下で行われ、再生工程が大気圧下で行われる圧力変動吸着ガス分離装置に最適である。
10…吸着塔;11…切替弁;12…切替弁;13…切替弁;20…吸着塔;21…切替弁;22…切替弁;23…切替弁;31…空気圧縮機;32…製品槽;33…原料空気配管;34…空気圧力計;35…窒素圧力計;36…製品ガス配管;37…窒素流量計;38…A/D変換器;39…弁制御装置;41…切替弁;42…切替弁;43…切替弁;44…流量調節弁.

Claims (12)

  1. 吸着剤を充填した複数の吸着塔のそれぞれについて、少なくとも吸着工程、均圧工程及び再生工程を繰り返すことにより、原料ガス中の易吸着成分と難吸着成分とを分離して製品ガスを製造する圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法であって、前記吸着工程と前記均圧工程との間、及び、前記再生工程と前記均圧工程との間に休止工程を設けるとともに、製品ガスの取出流量の減少量に応じて前記休止工程の時間を変化させる圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法において、
    前記休止工程において、前記休止工程を実施中の吸着塔と前記製品ガスを貯留するための製品槽との間に配置された切替弁を開いて前記休止工程を実施中の吸着塔から前記製品槽に製品ガスを導出する工程を有することを特徴とする、圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  2. 前記休止工程において前記切替弁を開く時間が、前記休止工程の全時間の5%から100%である、請求項1に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  3. 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記休止工程を実施中の吸着塔の圧力によって調整する、請求項1又は2に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  4. 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記製品槽の圧力によって調整する、請求項1又は2に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  5. 前記休止工程において前記切替弁を開く時間を、前記製品槽内の前記製品ガスの純度によって調整する、請求項1又は2に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  6. 運転時の前記製品ガスの流量が通常の運転時の前記製品ガスの流量の0%~90%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  7. 前記製品槽の圧力を測定し、測定した圧力とあらかじめ設定した設定圧力とを比較し、製品槽内の圧力が前記設定圧力より低くなったときに、前記休止工程を終了する、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  8. 前記製品ガスの取出流量を測定し、前記製品ガスの取出流量が規定値以上に至ったときに、前記休止工程を終了する、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  9. 前記製品ガスの不純物濃度を測定し、規定不純物濃度以上に至ったときに、前記休止工程を終了する、請求項8に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
    ただし、前記規定不純物濃度は、下記式(I)により計算された値である。
    y=x(a-b)/α+b (I)
    式(I)中、xは請求項8に記載の製品ガスの取出流量[Nm/h]であり、yは規定不純物濃度であり、αは製品ガス100%取出流量[Nm/h]であり、aは製品ガス100%取出流量時の酸素濃度であり、bは製品ガス0%取出流量時の酸素濃度である。
  10. 前記休止工程の最大継続時間をあらかじめ設定しておき、休止工程の経過時間が前記最大継続時間に至ったときに、前記休止工程を終了する、請求項1~6のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  11. 前記製品ガスの取出流量を減量して製造した後、製品ガスの取出流量を増加させる場合に、吸着塔に前記原料ガスを供給する原料ガス供給配管の圧力を測定し、所定の吸着工程時間中に前記原料ガス供給配管の圧力があらかじめ定めた圧力に到達する回数をカウントし、吸着工程終了時に前記回数が0である場合は、吸着工程の時間を延長する、請求項1~10のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
  12. 前記原料ガスが空気、前記吸着剤が分子ふるい炭素、前記製品ガスが窒素であり、前記吸着工程が加圧下で行われ、前記再生工程が大気圧下で行われる、請求項1~11のいずれか1項に記載の圧力変動吸着ガス分離装置の運転方法。
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