JP2023143185A - 3次元造形用フィラメント - Google Patents

3次元造形用フィラメント Download PDF

Info

Publication number
JP2023143185A
JP2023143185A JP2022050423A JP2022050423A JP2023143185A JP 2023143185 A JP2023143185 A JP 2023143185A JP 2022050423 A JP2022050423 A JP 2022050423A JP 2022050423 A JP2022050423 A JP 2022050423A JP 2023143185 A JP2023143185 A JP 2023143185A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
filament
thermoplastic resin
sea
dimensional modeling
cross
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022050423A
Other languages
English (en)
Inventor
亜希子 平野
Akiko Hirano
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Mitsubishi Chemical Corp filed Critical Mitsubishi Chemical Corp
Priority to JP2022050423A priority Critical patent/JP2023143185A/ja
Publication of JP2023143185A publication Critical patent/JP2023143185A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

【課題】本発明は、多層構造を有する3次元造形用フィラメントにおいて、それぞれの層がもつすべての特性を効率的に発現、併存できる3次元造形用フィラメントを得ることを課題とする。【解決手段】本発明の3次元造形用フィラメントは、長手方向に垂直な断面に海島構造を有し、該海島構造の海部が熱可塑性樹脂(A)を含有し、該海島構造の島部が熱可塑性樹脂(B)を含有し、該海島構造が、フィラメントの長手方向に連続しており、フィラメント中に、特定の島比率をもつ。【選択図】なし

Description

本発明は、3次元造形用材料、特に材料押出方式(ME方式)に用いる3次元造形用フ
ィラメントに関する。
また、本発明は、3次元造形用フィラメント、巻回体、3次元造形用カートリッジに関
する。
付加造形技術(アディティブ・マニュファクチュアリング)、即ち今日一般的に3次元
プリンタ(3Dプリンター)と呼称されているシステム(例えば米国のストラタシス・イ
ンコーポレイテッド社製の熱積層堆積(FDM)システム)は、コンピュータ支援設計(
CAD)モデルを基にして3次元物体を層状に構築するために用いられている。その中で
も材料押出方式(ME方式)は、原料を熱可塑性樹脂からなるフィラメントとして押出ヘ
ッドへ挿入し、加熱溶融しながら押出ヘッドに備えたノズル部位からチャンバー内のX-
Y平面基盤(造形テーブル)上に連続的に押し出し、押し出した樹脂を既に堆積している
樹脂積層体上に堆積させると共に融着させ、これが冷却するにつれ一体固化する、という
簡単なシステムであるため、広く用いられるようになってきている。ME方式では、通常
、造形テーブルに対するノズル位置がX-Y平面に垂直方向なZ軸方向に上昇しつつ、前
記押出工程が繰り返されることによりCADモデルに類似した3次元物体が構築される(
例えば、特許文献1、2参照)。
近年、3次元プリンタに対して、単なるデザインの確認だけではなく、最終製品や製造
ツールの造形といった産業用途への利用も期待されるようになってきており、そのため上
記フィラメントも、さまざまな高機能化が求められている。そこで、上記フィラメントを
多層構造とすることで、フィラメントに複数の機能を付与する技術が開示されている(例
えば、特許文献3参照)。
例えば、多層構造化の1つとして、フィラメントを芯鞘構造とすることで、造形した成
形体の層間の接着性を向上する方法も検討されている(例えば、特許文献4~5参照)。
また例えば多層構造化の1つとして、フィラメントを海島構造とすることで、芯鞘構造
よりも、それぞれの層がもつすべての特性をより効率的に発現、併存できる3次元造形用
フィラメントが提供できることが開示されている。(例えば、特許文献6参照)
日本国特表2003-502184号公報 日本国特表2003-534159号公報 日本国特開2016-193602号公報 国際公開第2019/151235号 国際公開第2019/235104号 国際公開第2021/153637号
ここで、特許文献6に記載のような海島構造を持つフィラメントにおいて、筆者らが詳
細に検討したところ、特許文献6に開示されている技術では確かに、海および島を構成す
る樹脂の双方の機能が、芯鞘フィラメントよりも高いレベルで維持できるものの、ここに
開示されている技術のみでは、未だ不十分であることがわかった。
例えば、特許文献6では、海および島を構成する樹脂の機能の例として、海層では層間
接着性、島層では耐熱性を挙げ、これらが高度に両立できるとしている。しかし、特許文
献6では、耐熱性としては、造形した造形物を静置状態で加熱した際の耐熱性を評価して
いるのみであり、筆者らが詳細に検討したところ、造形時すなわち、ノズルからの局所的
な加熱や、造形テーブルの駆動による振動がある状態で、高い造形雰囲気(チャンバー)
温度下で造形を行った場合は、特許文献6に開示されているフィラメントでは、造形物に
、十分な耐熱性を担保できないことが分かった。
本発明は上記課題を解決するものであって、海島構造を有する3次元造形用フィラメン
トにおいて、それぞれの層がもつすべての特性をより効率的に発現、併存できる3次元造
形用フィラメントを提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、長手方向に垂直な断面に海島構造を有し、該海島
構造の海部が熱可塑性樹脂(A)を含有し、該海島構造の島部が熱可塑性樹脂(B)を含
有する3次元造形用フィラメントとし、フィラメント中の島部を特定の配置とすることで
、上記課題を解決できると考えた。
すなわち、本発明は下記<1>~<16>に関するものである。
<1> 長手方向に垂直な断面に海島構造を有し、該海島構造の海部が熱可塑性樹脂(A
)を含有し、該海島構造の島部が熱可塑性樹脂(B)を含有し、該海島構造が、フィラメ
ントの長手方向に連続している3次元造形用フィラメントであって、以下(i)および(ii)
を満たすことを特徴とする、3次元造形用フィラメント。
(i)フィラメントの直径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の、断
面中心から直径の2/5Dの円内における島部の面積割合が、直径2/5Dの円の面積に
対して60%以上99%以下。
(ii)フィラメントの長手方向に垂直な断面において、フィラメントの断面積に対して、島
部の面積割合が40%より大きい。
<2> 前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂(B)のガラス
転移温度よりも低い<1>に記載の3次元造形用フィラメント。
<3> 前記熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化温度が、前記熱可塑性樹脂(B)
の降温過程での結晶化温度よりも低い<1>又は<2>に記載の3次元造形用フィラメン
ト。
<4> 前記熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化熱量が、前記熱可塑性樹脂(B)
の降温過程での結晶化熱量よりも低い<1>~<3>のいずれかに記載の3次元造形用フ
ィラメント。
<5> 前記熱可塑性樹脂(A)が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹
脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリ
エーテルイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエ
ーテルケトンケトンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、<1>~<4>の
いずれかに記載の3次元造形用フィラメント。
<6> 前記熱可塑性樹脂(B)が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹
脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリ
エーテルイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエ
ーテルケトンケトンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、<1>~<5>の
いずれかに記載の3次元造形用フィラメント。
<7> 前記海島構造の島部が、フィラメントの長手方向に垂直な断面において2個以上
10個以下に分かれている<1>~<6>のいずれかに記載の3次元造形用フィラメント

<8> フィラメント径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の断面
中心から直径9/10Dの円内における島部の面積割合が、直径9/10Dの円の面積に
対して35%以上99%以下である、<1>~<7>のいずれかに記載の3次元造形用フ
ィラメント。
<9> フィラメント径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の断面
中心から直径98/100Dの円外が全て海部である、<1>~<8>のいずれかに記載
の3次元造形用フィラメント。
<10> 前記海島構造の前記海部の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が、
熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)より5~100℃低い、<1~<9のいず
れかに記載の3次元造形用フィラメント。
<11> 前記島部の径dが50μm以上1500μm以下である、<1>~<10>の
いずれかに記載の3次元造形用フィラメント。
<12> <1>~<11>のいずれかに記載の3次元造形用フィラメントからなる樹脂
成形体。
<13> <1>~<11>のいずれかに記載の3次元造形用フィラメントの巻回体。
<14> <1>~<11>のいずれかに記載の3次元造形用フィラメントからなる3次
元造形用カートリッジ。
本発明によれば、多層構造を有する3次元造形用フィラメントにおいて、それぞれの層
がもつすべての特性をより効率的に発現、併存できる3次元造形用フィラメントを提供す
ることができる。
図1は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図2は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図3は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図4は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図5は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図6は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図7は、本発明の3次元造形用フィラメント断面における海島構造の一例を説明する模式図である。 図8は、3次元造形用フィラメント断面における芯鞘構造の一例を説明する模式図である。 図9は、3次元造形用フィラメントを用いて造形されるダンベル状サンプルの引張方向を垂直にして立てた状態を説明するダンベル状サンプルの全体斜視図である。 図10は、3次元造形用フィラメントを用いて造形されるダンベル状サンプルの引張方向の断面を説明する模式図である。 図11は、3次元造形用フィラメントを用いて造形されるダンベル状サンプルを、6本ならべた状態を説明する模式図である。 図12は、実施例1で得られた3次元造形用フィラメントの断面観察結果を示す写真図である。 図13は、実施例2で得られた3次元造形用フィラメントの断面観察結果を示す写真図である。 図14は、比較例1で得られた3次元造形用フィラメントの断面観察結果を示す写真図である。 図15は、比較例2で得られた3次元造形用フィラメントの断面観察結果を示す写真図である。 図16は、比較例3で得られた3次元造形用フィラメントの断面観察結果を示す写真図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に
説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内
容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で種々変形して実施することが
できる。
なお、本明細書において、「質量」は「重量」と同義である。
本発明は、長手方向に垂直な断面に海島構造を有し、該海島構造の海部が熱可塑性樹脂
(A)を含有し、該海島構造の島部が熱可塑性樹脂(B)を含有し、該海島構造が、フィ
ラメントの長手方向に連続している3次元造形用フィラメントであり、以下(i)および(ii
)を満たすものである。
(i)フィラメントの直径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の、断
面中心から直径の2/5Dの円内における島部の面積割合が、直径2/5Dの円の面積に
対して60%以上99%以下。
(ii)フィラメントの長手方向に垂直な断面において、フィラメントの断面積に対して、島
部の面積割合が40%より大きい。
<3次元造形用フィラメント>
1.海島構造の形状
本発明の3次元造形用フィラメントは海成分からなる海部および島成分からなる島部を
含む海島構造を有する。海部および島部とは、フィラメントの長軸に対して垂直な断面(
径方向の断面)において、互いに異なる組成を有する領域である。また、海島構造におい
ては、海成分(海部)内に複数の島成分(島部)が点在する。
ここで、本発明の3次元造形用フィラメントにおける海島構造を、図1~5を用いて説
明する。図1~5はフィラメントの断面図であり、フィラメントの任意の箇所を、フィラ
メントの長手方向に対して垂直に切断して断面を観察した図である。
図1~3に示す3次元造形用フィラメントは、熱可塑性樹脂(A)を含有する海部1に
熱可塑性樹脂(B)を含有する島部2が点在している。断面において島部の数は特に制限
されないが、たとえば図1では、島部2は3個であり、図2ではより多数の島部2を有す
る様子を図示している。また、島部2の形状は円形でなくてもよく、例えば図3に示すよ
うな扇形や、それ以外にも星型、四角形、多角形などが挙げられる。また、複数ある島が
、同じ形状や大きさであってもよいし、それぞれ異なる形状や大きさであってもよい。
また、島部は熱可塑性樹脂(B)のみを含んで構成されていてもよいが、図4や図5に
符号3で示すように、島部の一部を、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)の双
方と物性が異なる、熱可塑性樹脂(C)で構成してもよい。熱可塑性樹脂(C)としては
、上記熱可塑性樹脂(A)や熱可塑性樹脂(B)として以下に例示するものと同様のもの
が使用できる。
ここで、本発明の3次元造形用フィラメントは、それぞれの層がもつすべての特性を効
率的に発現、併存させる観点及び3次元造形物内での物性を統一する観点から、垂直な断
面における海島構造は形状が大きく変化することなく長手方向に連続していることが好ま
しい。
また、本発明の3次元造形用フィラメントは、造形される樹脂成形体へのボイド混入を
防ぎ、樹脂成形体の強度や外観を向上させる観点から、フィラメントの長軸に対して垂直
な断面における空隙率は5%以下であることが好ましく、3%以下であることがより好ま
しく、1%以下であることがさらに好ましく、0.1%以下であることが特に好ましく、
0.01%以下であることが最も好ましい。
例えば、海部を構成する海成分として以下に詳述する熱可塑性樹脂(A)を用い、島部
を構成する島成分として熱可塑性樹脂(B)をそれぞれ含有することで、高機能の3次元
造形用フィラメントを提供することができる。
本発明の3次元造形用フィラメントが本発明の効果を奏する理由は、未だ明らかではな
いが、以下のように推察される。
つまり、本発明の3次元造形用フィラメントは海部および島部を含む海島構造とするこ
とで、海部を構成する熱可塑性樹脂(A)の体積を増やした場合も、島部を構成する熱可
塑性樹脂(B)がフィラメント断面中に平均的に配置されることで、熱可塑性樹脂(B)
の特性も効率よくフィラメント全体に反映することができる。結果、本発明の3次元造形
用フィラメントは、それぞれの層がもつすべての特性を効率的に発現、併存できると考え
られる。
本発明の3次元造形用フィラメントは、フィラメントの直径をDとした場合に、フィラ
メントの長手方向に垂直な断面の、断面中心から直径の2/5Dの円内における島部の面
積割合が、直径2/5Dの円の面積に対して60%以上99%以下であるため、それぞれ
の層が持つすべての特性を、より効率的に発現、共存できる。すなわち、熱可塑性樹脂(
B)を含有する島部の割合が、フィラメントの中心に近い部分にも一定量存在することで
、熱可塑性樹脂(B)の特性を最大限に引き出しながら、かつ熱可塑性樹脂(A)の特性
も効率的に発現でき、結果、双方の特性を高いレベルで3次元造形用フィラメントに反映
することができる。また、双方の樹脂の特性を、よりいっそう高いレベルで協奏させる観
点から、この面積割合が61%以上であることが好ましく、63%以上であることがさら
に好ましく、65%以上であることが最も好ましい。また、95%以下であることが好ま
しく、90%以下であることがより好ましく、85%以下であることが最も好ましい。
本発明の3次元造形用フィラメントは、フィラメントの長手方向に垂直な断面において
、フィラメントの断面積に対して、島部の面積割合が40%より大きいため、フィラメン
トの中心近傍から表面近傍まで広い範囲に、島部を構成する熱可塑性樹脂(B)を平均的
に配置することができ、海部を構成する熱可塑性樹脂(A)の特性を損なわずに、より高
いレベルで熱可塑性樹脂(B)の特性を発揮することができる。この観点から、この面積
割合は、42%以上が好ましく、45%以上がより好ましい。また、90%以下であるこ
とが好ましく、80%以下であることがより好ましい。
本発明の海島構造の3次元造形用フィラメントは、フィラメントの長軸方向に対して垂
直な断面において、フィラメント径をDとした場合に、断面中心から直径9/10Dの円
内において、島部の占める面積が直径9/10Dの円の面積に対して35%以上99%以
下であることが好ましい。このように、熱可塑性樹脂(B)を含有する島部の割合が一定
量フィラメント中に存在することで、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)双方
の特性を、高いレベルで3次元造形用フィラメントに反映することができると考えられる
。また、双方の樹脂の特性を高いレベルで協奏させる観点から、この面積割合が40%以
上であることが好ましく、43%以上であることがより好ましく、45%以上であること
がさらに好ましく、50%以上が特に好ましく、54%以上が最も好ましい。また、95
%以下であることが好ましく、90%以下であることがより好ましく、88%以下である
ことがさらに好ましく、80%以下が特に好ましく、75%以下が最も好ましい。
本発明の海島構造の3次元造形用フィラメントは、図1~5のように全ての島部が海部
で覆われていてもよいし、図6のように一部の島部がフィラメント表面に露出する部分を
有していてもよいし、図7のようにすべての島部がフィラメント表面に露出する部分を有
していてもよい。ただし、海部に、層間の接着性向上や、その他造形物の表面特性(表面
平滑性、表面の触感など)の改質機能を持たせる場合は、図1~5のように全ての島部が
海部で覆われていた方が、機能性を有する海部の保持率が高まることから好ましい形態と
なる。
本発明において、3次元造形用フィラメントの長軸方向に対して垂直な断面において、
フィラメントの長手方向に垂直な断面の断面中心から直径98/100Dの円外が全て海
部であることが好ましい。つまりフィラメント表面が海成分で覆われていることが好まし
い。フィラメント表面が海成分で覆われていることで、海部が層間接着性向上機能や表面
特性改質機能を有する場合、その効果を発揮しやすい。たとえば、層間接着性や、表面平
滑性、表面の触感などを向上できる。また、上記海部の機能を最大限に発揮する観点から
、断面の断面中心から直径95/100Dの円外が全て海部であることがより好ましく9
0/100Dの円外が全て海部であることがさらに好ましく、85/100Dの円外が全
て海部であることが特に好ましく、79/100Dの円外が全て海部であることが最も好
ましい。
2.その他の物性等
本発明の3次元造形用フィラメントの直径(フィラメント径D)は、材料押出方式(M
E方式)による樹脂成形体の造形に使用するシステム等の仕様に依存するが、1.0mm
以上であることが好ましく、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは1.6m
m以上、特に好ましくは1.7mm以上であり、一方、上限は5.0mm以下であること
が好ましく、より好ましくは4.0mm以下、さらに好ましくは3.5mm以下、特に好
ましくは3.0mm以下である。更にフィラメント径Dの精度はフィラメントの任意の測
定点に対して±5%以内の誤差に収めることが原料供給の安定性の観点から好ましい。特
に、本発明の3次元造形用フィラメントは、フィラメント径Dの標準偏差が0.07mm
以下であることが好ましく、0.06mm以下であることが特に好ましい。
また、本発明の3次元造形用フィラメントの外形は特に規定されず、その長手方向に垂
直な断面が円形以外でも、四角形や多角形、星型などの形状が挙げられるが、造形性の観
点から、断面が真円度の高い円形であることが好ましい。フィラメント断面の外形の真円
度は、0.93以上であることが好ましく、0.95以上であることが特に好ましい。真
円度の上限は1.0である。なお真円度は、フィラメント断面における長径と短径を計測
し、短径/長径の比率から求められる。比率が1.0に近いほどフィラメントの断面形状
が真円に近いことを意味する。
本発明の3次元造形用フィラメントの長手方向に垂直な断面における島部の数は特に限
定されないが、2個以上10個以下に分かれていることが好ましい。島部が2個以上であ
ることによって、島部を構成する熱可塑性樹脂(B)の特性をより効率的に3次元造形用
フィラメントに反映することができる。島部は、3個以上がより好ましい。一方、島部に
対する海部の割合を高めるために、フィラメントの断面における島部は10個以下が好ま
しく、9個以下がより好ましく、8個以下がさらに好ましく、7個以下が特に好ましく、
6個以下が最も好ましく、4個以下がよりいっそう好ましい。
3次元造形用フィラメントの島部は、その断面形状は、円状に限定されるものではなく
、多角断面、偏平断面、レンズ型断面、三葉断面、六葉断面などいわゆるマルチローバル
断面と呼ばれる3~8ヶ所の凸部と同数の凹部を有する異形断面、中空断面その他公知の
異形断面などでも構わない。マルチローバル断面の異形度は1.2以上6.0以下が好ま
しい。ここでいう異形度とは、断面形状の外接円径を断面形状の内接円径で除したもので
ある。異形度が1.2以上であると異形断面の凹凸が大きいので、島成分と海成分の接触
面積が大きくなっており、剥離が抑制される。一方、異形度が6.0以下であると、強度
が高くなる。
島部の径dは、生産性の観点から、50μm以上であることが好ましく、100μm以
上であることがより好ましく、200μm以上がさらに好ましく、300μm以上が尚好
ましく、400μm以上が特に好ましく、500μm以上が最も好ましい。径dの下限が
上記範囲であることで3次元造形用フィラメント中の熱可塑性樹脂(B)の特性をより効
率的に3次元造形用フィラメントに反映することができる。また、径dの上限は1500
μm以下であることが好ましく、1200μm以下であることがより好ましく、1000
μm以下であることがさらに好ましく、900μm以下であることが尚好ましく、800
μm以下であることが特に好ましく、700μm以下であることが最も好ましい。径dの
上限が上記範囲であることで樹脂と熱可塑性樹脂(A)の特性をより効率的に3次元造形
用フィラメントに反映することができる。島部の径dは、3次元造形用フィラメントの断
面をマイクロスコープにて観察し、断面画像から計測できる。本発明では、各島部の中で
最も長くなる径を島部の径とし、島部の個数で平均した値を島部の径dとする。
3.熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)
本発明において、熱可塑性樹脂(A)と、熱可塑性樹脂(B)は、1つ以上の異なる物
性を有する。ここで物性とは、樹脂組成、分子量、添加剤の配合、色味、熱特性(融点、
ガラス転移温度、昇温における結晶化温度、降温における結晶化温度、結晶融解熱量、結
晶化熱量など)、溶融特性(MFR、溶融粘度、せん断貯蔵弾性率など、)、機械特性(
引張貯蔵弾性率、引張強度、耐衝撃強度、線膨張係数、熱伝導率、吸水率、表面硬度など
)等が挙げられ、これらのうち、どれか1つあるいは2つ以上が異なる。
熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)は、熱溶融により押し出しが可能な材質
であればよく、造形する成形体に付与する機能に応じて適宜選択することができる。例え
ば、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(ABS樹脂)、メチルメタク
リレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂(MBS樹脂)、ポリスチレン、ポリ塩化ビ
ニル、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、変性ポリフェニレンエーテル、ポ
リエーテルイミドなどの非晶性樹脂、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリ
ビニルアルコール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケ
トンケトンなどの結晶性樹脂、オレフィン系、スチレン系、ポリエステル系の熱可塑性エ
ラストマー、及びそれらの混合物が好適に用いられる。
より具体的には、熱可塑性樹脂(A)は、好ましくは、アクリロニトリル-ブタジエン
-スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリ
カーボネート、ポリエーテルイミドなどの非晶性樹脂や、ポリエステル、ポリオレフィン
、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンなどの結晶性樹
脂を含むことが好ましく、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチル
メタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネートなどの非晶性樹脂
や、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィンなどの結晶性樹脂を含むことがより好ま
しく、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート-ブ
タジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネートなどの非晶性樹脂や、ポリエステル、
ポリアミド、ポリオレフィンなどの結晶性樹脂を含むことがさらに好ましく、アクリロニ
トリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレ
ン共重合樹脂などの非晶性樹脂や、ポリエステル、ポリアミドなどの結晶性樹脂を含むこ
とが特に好ましく、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチルメタク
リレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂などの非晶性樹脂を含むことが最も好ましい

これらの樹脂は、適宜、二種以上を混合して用いてもよい。
また、熱可塑性樹脂(B)は、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、
メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリエー
テルイミドなどの非晶性樹脂や、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケ
トン、ポリエーテルケトンケトンなどの結晶性樹脂を含むことが好ましく、アクリロニト
リル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチレン
共重合樹脂、ポリカーボネート、などの非晶性樹脂や、ポリアミド、ポリエーテルエーテ
ルケトン、ポリエーテルケトンケトンなどの結晶性樹脂を含むことが好ましく、アクリロ
ニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メチルメタクリレート-ブタジエン-スチ
レン共重合樹脂などの非晶性樹脂や、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエ
ーテルケトンケトンなどの結晶性樹脂を含むことが好ましく、アクリロニトリル-ブタジ
エン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネートなどの非晶性樹脂を含むことが最も好まし
い。
これらの樹脂は、適宜、二種以上を混合して用いてもよい。
さらに、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)には、カーボンブラック、炭素
繊維、ガラス繊維、タルク、マイカ、ナノクレイ、マグネシウムなどのフィラー、酸化防
止剤、滑剤、着色剤などの添加剤を適宜混合することができる。
<異なる物性の好ましい例>
(熱特性が異なる)
1つの実施形態では、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の熱特性が異なること
が好ましい。これにより、本発明の3次元造形用フィラメントを用いて造形した成形体で
は、たとえば耐熱性と層間接着性や、あるいは耐熱性と造形性(造形時の反り抑制)など
の、2つの機能を高いレベルで維持することができると考えられる。
熱特性のなかでも、熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度が熱可塑性樹脂(B)のガラ
ス転移温度よりも低いことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化温度が熱可塑性樹脂(B)の降温過程
での結晶化温度よりも低いことが好ましい。
また、熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化熱量が熱可塑性樹脂(B)の降温過程
での結晶化熱量よりも低いことが好ましい。
例えば、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)双方が非晶性樹脂の場合は、熱
可塑性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度(
Tg)よりも低いことが好ましい。なお、ここで非晶性樹脂とは、示差走査熱量測定にお
いて昇温速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が、5J/g未満である樹脂のことで
ある。層間接着性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のTgは、熱可塑性樹脂(B)のTg
より5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましく、15℃以上低い
ことがさらに好ましく、20℃以上低いことが特に好ましく、25℃以上低いことが最も
好ましい。また、生産性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のTgは、熱可塑性樹脂(B)
のTgより100℃以下低いことが好ましく、80℃以下低いことがより好ましく、60
℃以下低いことがさらに好ましく、50℃以下低いことが特に好ましい。ガラス転移温度
は、組成や分子量、可塑剤や相溶系樹脂とのブレンドなどによって調整できる。ガラス転
移温度は、実施例に記載の手法で測定できる。
また例えば、熱可塑性樹脂(A)および熱可塑性樹脂(B)双方が結晶性樹脂の場合は
、熱可塑性樹脂(A)の、示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測定される結
晶化温度(Tc)が、熱可塑性樹脂(B)の示差走査熱量測定における冷却速度10℃/
分で測定される結晶化温度(Tc)よりも低いことが好ましい。なお、ここで結晶性樹脂
とは、示差走査熱量測定において昇温速度10℃/分で測定される結晶融解熱量が、5J
/g以上である樹脂のことである。層間接着性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のTcは
、熱可塑性樹脂(B)のTcより5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがよ
り好ましく、20℃以上低いことがさらに好ましく、40℃以上低いことが特に好ましく
、50℃以上低いことが最も好ましい。また、生産性の観点から、熱可塑性樹脂(A)の
Tcは、熱可塑性樹脂(B)のTcより150℃以下低いことが好ましく、130℃以下
低いことがより好ましく、110℃以下低いことがさらに好ましく、90℃以下低いこと
が特に好ましく、80℃以下低いことが最も好ましい。降温過程での結晶化温度(Tc)
は、組成や分子量、核剤の添加や、相溶系樹脂とのブレンドなどによって調整できる。ま
た、降温過程での結晶化温度は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて
、試料約10mgを加熱速度10℃/分で室温から結晶融解温度(融点Tm)+20℃ま
で昇温し、該温度で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で30℃まで降温した際の降
温過程から測定することができる。
また例えば、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)のどちらかが結晶性樹脂で、ど
ちらかが非晶性樹脂の場合は、層間接着性の観点から、熱可塑性樹脂(A)の、ガラス転
移温度(Tg)と降温過程での結晶化温度(Tc)のうち、観測できるものの中で一番温
度が高いものが、熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)と降温過程での結晶化温
度(Tc)のうち、観測できるものの中で一番温度が低いものより、1℃以上低いことが
好ましく、5℃以上低いことがより好ましく、10℃以上低いことがさらに好ましく、1
5℃以上低いことが特に好ましく、20℃以上低いことが最も好ましい。また、生産性の
観点から、150℃以下低いことが好ましく、130℃以下低いことがより好ましく、1
10℃以下低いことがさらに好ましく、90℃以下低いことが特に好ましく、80℃以下
低いことが最も好ましい。
また例えば、熱可塑性樹脂(A)の示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測
定される結晶化熱量(ΔHc)は、熱可塑性樹脂(B)の、示差走査熱量測定における冷
却速度10℃/分で測定される結晶化熱量(ΔHc)よりも低いことが好ましい。ここで
、層間接着性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のΔHcは、熱可塑性樹脂(B)のΔHc
より1J/g以上低いことが好ましく、5J/g以上低いことがより好ましく、10J/
g以上低いことがさらに好ましく、15J/g以上低いことが特に好ましく、20J/g
以上低いことが最も好ましい。また、後述する樹脂成形体の耐熱性の観点から、100J
/g以下低いことが好ましく、90J/g以下低いことがより好ましく、80J/g以下
低いことがさらに好ましく、70J/g以下低いことが特に好ましく、60J/g以下低
いことが最も好ましい。
またさらに、熱可塑性樹脂(A)の示差走査熱量測定における冷却速度10℃/分で測
定される結晶化熱量(ΔHc)は、0J/g以上60J/g未満であることが、耐熱性お
よび層間接着性の観点から好ましい。後述する樹脂成形体の耐熱性の観点から、熱可塑性
樹脂(A)の結晶化熱量(ΔHc)は、1J/g以上であることが好ましく、5J/g以
上であることがより好ましく、10J/g以上であることが更に好ましい。また、後述す
る樹脂成形体の層間の接着性の観点から、60J/g以下であることが好ましく、50J
/g以下であることがより好ましく、45J/g以下であることがさらに好ましい。
ここで、上記結晶化熱量(ΔHc)は、熱可塑性樹脂の組成や分子量、核剤の添加や、
相溶系及び非相溶系非晶性樹脂とのブレンドなどによって調整できる。上記結晶化熱量(
ΔHc)は、示差走査熱量計を用いて、JIS K7121に準じて、試料約10mgを
加熱速度10℃/分で室温から結晶融解温度(融点Tm)+20℃まで昇温し、該温度で
1分間保持した後、冷却速度10℃/分で30℃まで降温した際の降温過程で測定された
サーモグラムから求めることができる。
(添加剤の配合が異なる)
1つの実施形態では、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の、添加剤の配合が異
なることが好ましい。配合が異なるとは、添加される添加剤の種類が異なっていてもよい
し、添加量が異なっていてもよいし、そのどちらともが異なっていてもよい。ここで添加
剤とは、カーボンブラック、炭素繊維、ガラス繊維、ガラスウール、セルロースナノファ
イバー、タルク、マイカ、ナノクレイ、マグネシウムなどのフィラーや、酸化防止剤、滑
剤、着色剤などが挙げられる。
特に、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)で、上記フィラーの配合量が異なるこ
とが好ましい。一般的にフィラーを添加することで、造形した成形体の強度は高くなる一
方で、層間接着性が低下するという課題があるが、本発明の実施形態とすることで、高強
度と層間接着性の2つの機能を高いレベルで維持することができると考えられる。ここで
、熱可塑性樹脂(A)のフィラーの配合量が、熱可塑性樹脂(B)のフィラー配合量より
少ないことが好ましい。ここで、層間接着性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のフィラー
の配合量が、熱可塑性樹脂(B)のフィラー配合量より、1重量%以上低いことが好まし
く、5重量%以上低いことがより好ましく、10重量%以上低いことがさらに好ましく、
15重量%以上低いことが特に好ましく、20重量%以上低いことが最も好ましい。また
、造形物の強度や、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)との物性差が開きすぎない
観点から、100重量%以下低いことが好ましく、80重量%以下低いことがより好まし
く、70重量%以下低いことがさらに好ましく、60重量%以下低いことが特に好ましく
、50重量%以下低いことが最も好ましい。
さらに、熱可塑性樹脂(A)のフィラーの配合量は、接着性の観点から20重量%以下
が好ましく、10重量%以下がより好ましい。また、強度や熱可塑性樹脂(B)との物性
差が開きすぎない観点から、0重量%以上が好ましく、1重量%以上がより好ましい。ま
た、熱可塑性樹脂(B)のフィラー配合量は、強度の観点から5重量%以上が好ましく、
10重量%以上がより好ましく、20重量%以上がさらに好ましい、また、溶融時の粘度
が上がりすぎない観点や、熱可塑性樹脂(A)との物性差が開きすぎない観点から、50
重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましい。
(溶融特性が異なる)
1つの実施形態では、熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)の、溶融特性が異なる
ことが好ましい。これにより、造形した成形体の表面平滑性を向上させながら、造形時の
糸引きや熱による変形を抑制することができる。このとき、造形時の成形温度(ノズル温
度)下において、熱可塑性樹脂(A)の溶融粘度が、熱可塑性樹脂の(B)の溶融粘度よ
り低い、すなわちMFRが高いことが好ましい。すなわち、造形時に熱可塑性樹脂(A)
の流動によって成形体の表面の平滑性が向上する一方で、熱可塑性樹脂の(B)が流動し
にくいことで造形時の糸引きや熱による変形が抑制できると考えられ、かつ本発明の実施
形態とすることで、表面平滑性と造形性を高いレベルで維持することができると考えられ
る。ここで、表面平滑性の観点から、熱可塑性樹脂(A)のMFRは、熱可塑性樹脂(B
)のMFRより、0.5g/10分以上高いことが好ましく、1g/10分以上高いこと
がより好ましく、2g/10分以上高いことがさらに好ましく、5g/10分以上高いこ
とが最も好ましい。また、造形性や生産性の観点から、50g/10分以下高いことが好
ましく、40g/10分以下高いことがより好ましく、30g/10分以下高いことがさ
らに好ましい。ここで、MFRは、JIS K7210に準じて、造形時のノズル温度下
で2.16kgf荷重で測定することができる。
(3次元造形用フィラメントの製造方法)
本発明の3次元造形用フィラメントは、海部が含有する熱可塑性樹脂(A)と、島部が
含有する熱可塑性樹脂(B)(および必要に応じて熱可塑性樹脂(C))とを用いて製造
される。本発明の3次元造形用フィラメントの製造方法は特に制限されるものではないが
、好ましくは溶融押出法によって製造される。
たとえば、本発明の3次元造形用フィラメントの海島構造は、熱可塑性樹脂(A)と熱
可塑性樹脂(B)を、非相溶の樹脂の組み合わせとし、ブレンドおよび溶融混練によって
構成してもよい。この方法であれば、島部の大きさや数を、ブレンド比率や溶融混練条件
によって容易に調整することができる。
また、例えば熱可塑性樹脂(A)と熱可塑性樹脂(B)をそれぞれ別に溶融し、溶融積
層押出することで上記海島構造を作製することもできる。この場合は、上記海島構造が、
フィラメントの長さ方向に連続した3次元造形用フィラメントとなる。この方法では、断
面の海島構造は、主として共押出する口金やノズルの積層形状によるため、樹脂種の海島
構造への影響は比較的小さく、樹脂種の選択範囲が広いという利点がある。
なかでも、上述の熱可塑性樹脂(A)、熱可塑性樹脂(B)、および必要に応じて熱可
塑性樹脂(C)を、それぞれ別の押出機で溶融し、上述した海島構造を持つ積層ブロック
や積層口金を用いて溶融積層押出することによりフィラメントとする方法が好ましい。
<3次元造形用フィラメントの巻回体及び3次元造形用カートリッジ>
本発明の3次元造形用フィラメントを用いて3次元造形用プリンタにより樹脂成形体を
造形するにあたり、3次元造形用フィラメントを安定に保存すること、及び、3次元造形
用プリンタに3次元造形用フィラメントを安定供給することが求められる。そのために、
本発明の3次元造形用フィラメントは、ボビンに巻きとった巻回体として密閉包装されて
いる、又は、巻回体が3次元造形用プリンタ装着用カートリッジ(以下、単に「3次元造
形用カートリッジ」と称することがある。)に収納されていることが、長期保存、安定し
た繰り出し、湿気等の環境要因からの保護、捩れ防止等の観点から好ましい。3次元造形
用カートリッジとしては、ボビンに巻き取った巻回体の他、内部に防湿材または吸湿材を
使用し、少なくとも3次元造形用フィラメントを繰り出すオリフィス部以外が密閉されて
いる構造のものが挙げられる。
通常、3次元造形用フィラメントをボビンに巻きとった巻回体、又は、巻回体を含む3
次元造形用カートリッジは3次元造形用プリンタ内又は周囲に設置され、成形中は常に3
次元造形用カートリッジから3次元造形用フィラメントが3次元造形用プリンタに導入さ
れ続ける。
<樹脂成形体>
(樹脂成形体の造形方法)
本発明の樹脂成形体の造形方法においては、本発明の3次元造形用フィラメントを用い
、3次元造形用プリンタにより造形することにより樹脂成形体を得る。3次元造形用プリ
ンタによる造形方法としては、材料押出方式(ME方式)、粉末床溶融結合方式(PBF
方式)、マルチジェットフュージョン方式、材料噴射方式(MJ方式)、液槽光重合方式
(VP方式)などが挙げられる。本発明の3次元造形用フィラメントは、材料押出方式(
ME方式)に好適に用いることができる。以下、材料押出方式(ME方式)の場合を例示
して説明する。
ME方式の3次元造形用プリンタは一般に、チャンバーを有しており、該チャンバー内
に、加熱可能な基盤(造形テーブル)、ガントリー構造に設置された押出ヘッド、加熱溶
融器、フィラメントのガイド、フィラメントカートリッジ設置部等の原料供給部を備えて
いる。3次元造形用プリンタの中には押出ヘッドと加熱溶融器とが一体化されているもの
もある。
押出ヘッドはガントリー構造に設置されることにより、基盤のX-Y平面上に任意に移
動させることができる。基盤は目的の3次元物体や支持材等を構築するプラットフォーム
であり、加熱保温することで樹脂成形体との接着性を得たり、得られる樹脂成形体を所望
の3次元物体として寸法安定性を改善したりできる仕様であることが好ましい。また、基
盤と樹脂成形体との接着性を向上させるため、基盤上に粘着性のある糊を塗布したり、樹
脂成形体との接着性が良好なシート等を貼りつけたりしてもよい。ここで樹脂成形体との
接着性が良好なシートとしては、無機繊維のシートなど表面に細かな凹凸を有するシート
や、樹脂成形体と同種の樹脂からなるシートなどが挙げられる。なお、押出ヘッドと基盤
とは、通常、少なくとも一方がX-Y平面に垂直なZ軸方向に可動となっている。
3次元造形用フィラメントは原料供給部から繰り出され、対向する1組のローラー又は
ギアーにより押出ヘッドへ送り込まれ、押出ヘッドにて加熱溶融され、先端ノズルより押
し出される。CADモデルを基にして発信される信号により、押出ヘッドはその位置を移
動しながら原料を基盤上に供給して積層堆積させていく。この工程が完了した後、基盤か
ら積層堆積物を取り出し、必要に応じて支持材等を剥離したり、余分な部分を切除したり
して所望の3次元物体として樹脂成形体を得ることができる。
押出ヘッドへ連続的に原料を供給する手段は、フィラメント又はファイバーを繰り出て
供給する方法、粉体又は液体をタンク等から定量フィーダを介して供給する方法、ペレッ
ト又は顆粒を押出機等で可塑化したものを押し出して供給する方法等が例示できる。これ
らの中でも、工程の簡便さと供給安定性の観点から、フィラメントを繰り出して供給する
方法、即ち、前述の本発明の3次元造形用フィラメントを繰り出して供給する方法が最も
好ましい。
3次元造形用プリンタにフィラメントを供給する場合、ニップロールやギアロール等の
駆動ロールにフィラメントを係合させて、引き取りながら押出ヘッドへ供給することが一
般的である。ここでフィラメントと駆動ロールとの係合による把持をより強固にすること
で原料供給を安定化させるために、フィラメントの表面に微小凹凸形状を転写させておい
たり、係合部との摩擦抵抗を大きくするための無機添加剤、展着剤、粘着剤、ゴム等を、
熱可塑性樹脂(A)に配合したりすることも好ましい。フィラメントに太さムラがある場
合、フィラメントと駆動ロールとの係合による把持が行えず、駆動ロールが空転しフィラ
メントを押出ヘッドに供給出来なくなる場合がある。
本発明の樹脂成形体は、本発明の3次元造形用フィラメントのみを用いて造形されても
よいし、造形物の形状をサポートするための支持材料からなるフィラメントと同時に造形
してもよい。支持材料を用いて造形された部分は、必要に応じて、造形完了後に除去され
る。
(樹脂成形体の用途)
本発明の樹脂成形体は、種々特性、たとえば強度や表面外観、耐熱性、耐久性などに優
れたものである。用途については特に制限されるものではないが、文房具;玩具;携帯電
話やスマートフォン等のカバー;グリップ等の部品;学校教材、家電製品、OA機器の補
修部品、自動車、オートバイ、自転車等の各種パーツ;電機・電子機器用資材、農業用資
材、園芸用資材、漁業用資材、土木・建築用資材、医療用品等の用途に好適に用いること
ができる。
以下に実施例でさらに詳しく説明するが、これらにより本発明は何ら制限を受けるもの
ではない。なお、本実施例中に表示される種々の測定値および評価は次のようにして行っ
た。
(1)ガラス転移温度(Tg)
(株)パーキンエルマー製の示差走査熱量計、商品名「Pyris1 DSC」を用い
て、JIS K7121に準じて、樹脂原料約10mgを加熱速度10℃/分で室温から
250℃まで昇温し、該温度で1分間保持した。その後、冷却速度10℃/分で30℃ま
で降温し、再度、加熱速度10℃/分で250℃まで昇温した時に測定された各サーモグ
ラムから、ガラス転移温度(Tg)(℃)(再昇温過程)を求めた。なお、各値は、少数
第二位を四捨五入して記載した。
(2)断面における各層の面積比および、2/5D円内の島面積比率の観測
実施例および比較例にて得られた3次元造形用フィラメントの断面を、マイクロスコー
プにて観察し、断面画像から計測した。
(3)耐熱性
実施例および比較例にて得られた3次元造形用フィラメントを用いて、図9、10に示
すように、サンプル長さ75mm、幅10mm、厚み5mmのダンベルの片側に5mmの
リブ5を付けたダンベル状サンプル4を、図11のように2cm間隔で6本並べ、各ダン
ベルの軸方向(引張方向)をZ軸方向(積層方向)として、3次元プリンタ(3Dgen
ce社製、製品名INDUSTRY F340)にて造形した。造形条件は、プリント速
度60mm/秒、内部充填率を100%とし、基盤温度を100℃、ノズル温度265℃
、造形時のチャンバー温度は85℃で造形を実施した。こうして得られた造形物(樹脂成
形体)の造形外観から、以下の基準で耐熱性を評価した。
OK:6本全てのダンベルが良好に造形できた。
NG:6本のうちいずれか1本以上のダンベルの造形外観が乱れていた。
(4)層間接着強度
上記耐熱性評価で得られたダンベル状の樹脂成型体について、JIS K 7161に
準拠して引張強度を測定することにより評価した。初期のチャック間距離45mm、速度
50mm/min、23℃で引張試験を行い、引張破断伸びから、層間接着強度を以下の
ように評価した。
Good:引張破断伸びが6%以上
OK:引張破断伸びが5%以上6%未満
NG:引張破断伸びが5%未満
<使用原料>
ABS樹脂:Chi Mei Corp.製、商品名:PA757、Tg:104℃
PBS樹脂:三菱ケミカル社製、製品名:バイオPBS FD92、Tg:0℃未満、T
m:86℃
<実施例および比較例>
[実施例1]
(各層の原料準備)
上記のABS樹脂を90質量部、PBS樹脂を10質量部の割合で混合し、25mmφ
の2軸押し出し機にて250℃で溶融混練押出して、海部用(あるいは鞘層用)の原料(
A)とした。なお、この原料(A)は、Tgが80℃程度であった。また、島部用(ある
いは芯層用)の原料(B)としては、上記のABS樹脂をそのまま用いた。
この際、原料(A)のJIS K7210に準じて、各温度下で2.16kgf荷重で
測定した各温度のMFRは、220℃で2.2(g/10min)、240℃で5.4(
g/10min)、260℃で9.3(g/10min)であった。
また、原料(B)のJIS K7210に準じて、各温度下で2.16kgf荷重で測
定した各温度のMFRは、220℃で1.7(g/10min)、240℃で5.0(g
/10min)、260℃で7.4(g/10min)であった。
(フィラメント作製)
断面が図1に類似する海島構造を持つ3次元造形用フィラメントを、上記原料(A)を
海島構造の海部、上記原料(B)を海島構造の島部となるように、原料(A)と原料(B
)との押出量比率を1:1として溶融温度230~250℃にて共押出後、40℃の冷却
水中で冷却し、直径1.75mmのフィラメントを得た。
このフィラメントの断面観察結果を図12に、各種評価結果を表1に示す。
[実施例2]
断面が図1に類似する海島構造を持つ3次元造形用フィラメントを、原料(A)と原料
(B)との押出量比率を1.3:1とした以外は実施例1と同様にして、直径1.75m
mのフィラメントを得た。
このフィラメントの断面観察結果を図13に、各種評価結果を表1に示す。
[比較例1]
断面が図1に類似する海島構造を持つ3次元造形用フィラメントを、原料(A)と原料
(B)との押出量比率を1.5:1とした以外は実施例1と同様にして、直径1.75m
mのフィラメントを得た。
このフィラメントの断面観察結果を図14に、各種評価結果を表1に示す。なお、この
フィラメントでは85℃ではダンベルの造形外観が不良となったため、引張試験による層
間接着性の評価は実施しなかった。
[比較例2]
断面を図3に類似する海島構造にした以外は、比較例1と同じ方法で、直径1.75m
mのフィラメントを得た。
このフィラメントの断面観察結果を図15に、各種評価結果を表1に示す。なお、この
フィラメントでは85℃ではダンベルの造形外観が不良となったため、引張試験による層
間接着性の評価は実施しなかった。
[比較例3]
断面が図8の芯鞘構造を持つ3次元造形用フィラメントを、上記原料(A)を鞘部、上
記原料(B)を芯部となるように、原料(A)と原料(B)との押出量比率を1:1とし
て、溶融温度230~250℃にて共押出後、40℃の冷却水中で冷却し、直径1.75
mmのフィラメントを得た。
このフィラメントの断面観察結果を図16に、各種評価結果を表1に示す。
Figure 2023143185000001
上記実施例および比較例では、海部あるいは鞘層に用いた原料(A)のTgが、島部あ
るいは芯層に用いた原料(B)のTgよりも低い。これは、3次元造形用フィラメントに
、原料(A)で層間接着性を、原料(B)で耐熱性を付与することを意図している。
実施例では、フィラメント中における島比率が本特許の範囲内のため、耐熱性および層
間接着性双方に優れる結果となった。海部が、造形物の積層間を効率的に埋めることで、
破断のきっかけとなる造形物中のボイド(欠陥)を低減させながら、一方で島部が効率的
に配置され、耐熱性も保持できたと考えられる。
一方で比較例1~2は、2/5D円内の島比率が本特許の範囲より低いため、耐熱性に
劣ったと考えられる。また比較例3は、島比率としては本特許の範囲内ではあるが、海島
構造ではないため、海部が、造形物の積層間を効率的に埋めることができず、層間接着性
に劣ったと考えられる。
本発明の海島構造を持つ3次元造形用フィラメントは、それぞれの層がもつすべての特
性を効率的に発現、併存できる3次元造形用フィラメントが得られ、特に3次元造形にお
ける造形物の耐熱性や層間接着性の向上に好適に用いられる。
1:海部(熱可塑性樹脂(A)からなる海部)
2:島部(熱可塑性樹脂(B)からなる島部)
3:島部(熱可塑性樹脂(C)からなる島部)
4:ダンベル状サンプル
5:リブ

Claims (14)

  1. 長手方向に垂直な断面に海島構造を有し、該海島構造の海部が熱可塑性樹脂(A)を含
    有し、該海島構造の島部が熱可塑性樹脂(B)を含有し、該海島構造が、フィラメントの
    長手方向に連続している3次元造形用フィラメントであって、以下(i)および(ii)を満た
    すことを特徴とする、3次元造形用フィラメント。
    (i)フィラメントの直径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の、断
    面中心から直径の2/5Dの円内における島部の面積割合が、直径2/5Dの円の面積に
    対して60%以上99%以下。
    (ii)フィラメントの長手方向に垂直な断面において、フィラメントの断面積に対して、島
    部の面積割合が40%より大きい。
  2. 前記熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度が、前記熱可塑性樹脂(B)のガラス転移温
    度よりも低い請求項1に記載の3次元造形用フィラメント。
  3. 前記熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化温度が、前記熱可塑性樹脂(B)の降温
    過程での結晶化温度よりも低い請求項1又は2に記載の3次元造形用フィラメント。
  4. 前記熱可塑性樹脂(A)の降温過程での結晶化熱量が、前記熱可塑性樹脂(B)の降温
    過程での結晶化熱量よりも低い請求項1~3のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラ
    メント。
  5. 前記熱可塑性樹脂(A)が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メ
    チルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテ
    ルイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテル
    ケトンケトンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~4のいずれか
    1項に記載の3次元造形用フィラメント。
  6. 前記熱可塑性樹脂(B)が、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、メ
    チルメタクリレート-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテ
    ルイミド、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及びポリエーテル
    ケトンケトンからなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項1~5のいずれか
    1項に記載の3次元造形用フィラメント。
  7. 前記海島構造の島部が、フィラメントの長手方向に垂直な断面において2個以上10個
    以下に分かれている請求項1~6のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラメント。
  8. フィラメント径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の断面中心か
    ら直径9/10Dの円内における島部の面積割合が、直径9/10Dの円の面積に対して
    35%以上99%以下である、請求項1~7のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラ
    メント。
  9. フィラメント径をDとした場合に、フィラメントの長手方向に垂直な断面の断面中心か
    ら直径98/100Dの円外が全て海部である、請求項1~8のいずれか1項に記載の3
    次元造形用フィラメント。
  10. 前記海島構造の前記海部の熱可塑性樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)が、熱可塑性
    樹脂(B)のガラス転移温度(Tg)より5~100℃低い、請求項1~9のいずれか1
    項に記載の3次元造形用フィラメント。
  11. 前記島部の径dが50μm以上1500μm以下である、請求項1~10のいずれか1
    項に記載の3次元造形用フィラメント。
  12. 請求項1~11のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラメントからなる樹脂成形体
  13. 請求項1~11のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラメントの巻回体。
  14. 請求項1~11のいずれか1項に記載の3次元造形用フィラメントからなる3次元造形
    用カートリッジ。
JP2022050423A 2022-03-25 2022-03-25 3次元造形用フィラメント Pending JP2023143185A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022050423A JP2023143185A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 3次元造形用フィラメント

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022050423A JP2023143185A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 3次元造形用フィラメント

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023143185A true JP2023143185A (ja) 2023-10-06

Family

ID=88219636

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022050423A Pending JP2023143185A (ja) 2022-03-25 2022-03-25 3次元造形用フィラメント

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023143185A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6761568B2 (ja) 線条樹脂成形体の製造方法及び3次元オブジェクトの造形方法
WO2016159259A1 (ja) 線条樹脂成形体、3次元オブジェクトの造形方法、及び線条樹脂成形体の製造方法
JP6761567B2 (ja) 線条樹脂成形体の製造方法
JP7004941B2 (ja) 線条樹脂成形体
JP6820500B2 (ja) 線条樹脂成形体
TWI690410B (zh) 三次元造形物的製造方法及三次元造形物製造用的絲
US20190010327A1 (en) Improved performance monofilament manufactured articles
JP7184079B2 (ja) ポリアミド系3次元プリンタ用材料
JP2018537320A (ja) 特性が改善され、調整された物体を製造するための付加製造方法
JPWO2019151235A1 (ja) 3次元造形用材料、3次元造形用フィラメント、該フィラメントの巻回体および3次元プリンター用カートリッジ
JP2016210947A (ja) 材料押出式3次元プリンター用フィラメント用樹脂
WO2021153637A1 (ja) 3次元造形用フィラメント
US20210086492A1 (en) 3d printer material
JP2018130871A (ja) 3次元印刷装置用フィラメント
JPWO2019151234A1 (ja) 3次元造形用材料、3次元造形用フィラメント、該フィラメントの巻回体および3次元プリンター用カートリッジ
JP2023143185A (ja) 3次元造形用フィラメント
CN112159588A (zh) 一种低翘曲3d打印pa/ppo合金耗材及其制备方法
US20220267593A1 (en) Filament for three-dimensional printing
JP6960721B2 (ja) 洗浄用のフィラメント、及び3dプリンタのクリーニング方法
KR102473147B1 (ko) 3d 프린팅용 조성물 및 이를 이용한 3d 프린터용 필라멘트
WO2021025161A1 (ja) 材料押出方式(me方式)3次元プリンタ用フィラメント、樹脂成型体、巻回体、および、3次元プリンタ装着用カートリッジ
WO2023149561A1 (ja) 3次元造形用材料、及びそれを用いた樹脂成形体
JP2022080968A (ja) 結晶性樹脂フィラメントを用いた3次元造形物およびその造形方法
JP2024070634A (ja) 3次元プリンタ用材料及びこれを用いた樹脂成形体の製造方法
JP2023053430A (ja) 3次元造形用材料、及びそれを用いた樹脂成形体