JP2023140325A - 偏光フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光板 - Google Patents

偏光フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光板 Download PDF

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JP2023140325A JP2023043687A JP2023043687A JP2023140325A JP 2023140325 A JP2023140325 A JP 2023140325A JP 2023043687 A JP2023043687 A JP 2023043687A JP 2023043687 A JP2023043687 A JP 2023043687A JP 2023140325 A JP2023140325 A JP 2023140325A
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裕貴 萱場
Yuki KAYABA
大均 任
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Abstract

【課題】長時間の耐熱耐久性に優れる偏光板を得ることが可能な偏光フィルム、その偏光板を備えた液晶表示装置およびその製造方法、ならびに上記偏光板に用いる偏光フィルムを提供すること。【解決手段】偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を含有する層を有することを特徴とする偏光フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、偏光フィルム、およびその製造方法、ならびに偏光に関する。さらに詳しく
は、長時間の耐熱耐久性に優れる偏光板を得ることが可能な偏光フィルム(ポリビニルア
ルコール系偏光板)に関する。
近年、液晶表示装置の発展はめざましく、スマートフォン、タブレット、パーソナルコ
ンピューター、液晶テレビ、プロジェクター、車載パネル等に幅広く使用されている。上
記液晶表示装置には偏光板が使用されており、偏光板としては、主として、ポリビニルア
ルコール系フィルムにヨウ素または二色性染料を吸着配向させた偏光フィルムに、保護フ
ィルムを積層したものが使用されている。近年、液晶表示装置の用途が拡大されるのに伴
い、その使用環境は温度範囲および湿度範囲共に従来に比べてより広範囲に広がってきて
おり、そのため、従来よりも一段と耐熱耐久性に優れ、かつ高い偏光度を示す偏光板が必
要とされている。
偏光板の耐熱耐久性を向上させる方法としては、例えば特定のアゾ系染料を用いた偏光
膜を使用したり(例えば、特許文献1参照)、ヨウ素が吸着配向しており、さらに二色性
有機染料を含有する偏光フィルムを使用したり(例えば、特許文献2参照)する方法が提
案されている。
また、ヨウ素が吸着配向している偏光子を含み、ヨウ素の位相差値Riが160nm以
上であり、特定の光学特性を有する偏光板(例えば、特許文献3参照)や、ヨウ素とカリ
ウムの重量比とホウ素元素量を規定した偏光板(例えば、特許文献4参照)も耐熱耐久性
が優れる偏光板として提案されている。
国際公開第2016/186196号 特開2012-3172号公報 特開2016-139151号公報 国際公開第2016/060087号
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、特定染料を用いることで高い耐熱耐久
性を有する偏光フィルムが得られるものの、その偏光度は99.9%と低いものであり、
コントラストが不充分であるという問題点がある。
上記特許文献2においても、高い偏光性能を有する偏光フィルムが得られるものの、そ
の製造過程において、二色性染料で染色する染色槽とヨウ素で染色する染色槽の二つ以上
の染色槽を設ける必要があり、さらには、偏光フィルムの色調調整を行うためには2種類
以上の染色槽のきめ細かい濃度管理も必要となることから、生産性が低いという問題点が
ある。
さらに、上記特許文献3の開示技術では、85℃程度での耐熱試験の光学特性低下は抑
制できるものの、より過酷な温度条件下での耐熱耐久性は改善できないという問題点があ
る。
上記特許文献4の開示技術でも、105℃で30分間放置した際の700nmにおける
吸光度を2.3以上に維持できるものの、さらに長時間にわたり高温環境下に晒した際の
耐熱耐久性は改善できないという問題点がある。
そこで、本発明ではこのような背景下において、長時間の耐熱耐久性に優れる偏光板を
得ることが可能な偏光フィルム、その偏光板を備えた液晶表示装置およびその製造方法、
ならびに上記偏光板に用いる偏光フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者等は、このような事情に鑑み鋭意研究を重ねた結果、偏光フィルムの表面に酸
捕捉剤を含有する層を設けることにより、長時間の耐熱耐久性に優れる偏光板を得ること
が可能となることを見出した。
即ち、本発明の第1の要旨は、偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を含有
する層を有することを特徴とする偏光フィルムである。
第2の要旨は、酸捕捉剤がカルボジイミド化合物である偏光フィルムである。
第3の要旨は、ポリビニルアルコール系フィルムを複数の処理槽を通過させる偏光フィ
ルムの製造方法であって、最後の処理槽を通過させた後に、ポリビニルアルコール系フィ
ルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布する偏光フィルムの製造方法である。
第4の要旨は、請求項1または2記載の偏光フィルムの少なくとも一方の表面に保護フ
ィルムを有する偏光板である。
本発明の偏光フィルムを用いて得られる偏光板は、長時間の耐熱耐久性試験においても
赤変が起こりにくく、耐熱耐久性に優れるものである。
以下に、本発明の実施の形態を詳細に説明する。しかし、本発明は、これら実施の形態
に限定されるものではない。
本発明の偏光フィルムは、偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を含有する
層を有することを特徴とする。
〔酸捕捉剤〕
本発明で用いられる酸捕捉剤は、偏光板の保護フィルムが加水分解されて生じた酸が偏
光フィルムのポリエン化を抑制して、偏光フィルムがポリエン化により赤変することを防
ぐ役割をするものである。
上記酸捕捉剤としては、例えば、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基を有する化合
物、エポキシ基を有する化合物が代表的に挙げられる。また、アルキルリン酸を有する化
合物、アルキルリン酸を有する化合物、アミノ基を有する化合物、オキサジンを有する化
合物、ポリエステル樹脂等も挙げられる。
これらの中でも、酸との反応が早く高温でのポリエン化抑制に効果が大きい点で、カル
ボジイミド化合物が好ましい。なお、かかるカルボジイミド化合物は、単独で用いてもよ
いし、他の酸捕捉剤と併用してもよい。
上記カルボジイミド化合物として具体的には、ジイソプロピルカルボジイミド、ジメチ
ルカルボジイミド、ジシクロヘキシルカルボジイミド、ジオクチルカルボジイミド、ジフ
ェニルカルボジイミド、t-ブチルイソプロピルカルボジイミド、ジ-t-ブチルカルボジイ
ミド、ジ-β-ナフチルカルボジイミド等も挙げられる、低分子量のものも高分子量のもの
も用いることができる。
カルボジイミド基を有する化合物の分子量は特に規定はしないが、重量平均分子量が5
00以上であると好ましく、1000以上が更に好ましい。一方、重量平均分子量の上限
としては、200、000以下が好ましく、100,000以下が更に好ましい。重量平
均分子量が低すぎるとカルボジイミド基が少なく、高温でのポリエン化抑制に効果が少な
く、接着力も弱くなる傾向があり、高すぎると水への分散性が悪く塗布が均一になりにく
い傾向がある。
カルボジイミド基を有する化合物において、酸と反応するカルボジイミド基の量を表す
指標の1つとしてカルボジイミド基当量が挙げられ、カルボジイミド基当量はカルボジイ
ミド基1molあたりの分子量であり100~1000の範囲が好ましい。カルボジイミ
ド当量が小さすぎると高温でのポリエン化抑制効果の寄与が少なくなる傾向がある。一方
、カルボジイミド当量が大きすぎると疎水性が強く水に相溶しにくくなり取り扱いが難し
くなる傾向がある。
なお、酸捕捉剤は、加水分解安定剤、酸キャッチャー、酸捕獲剤、酸掃去剤、酸捕獲剤
等と称されることもあるが、本発明においては、これらの呼称による差異なく用いること
ができる。
本発明の偏光フィルムは、例えば、まず、ポリビニルアルコール系樹脂を原料としてポ
リビニルアルコール系フィルムを得、ついで、そのポリビニルアルコール系フィルムを原
反として、膨潤,染色,ホウ酸架橋,延伸,洗浄,乾燥等の偏光フィルム製造工程を経て
製造することができる。
特には、上記偏光フィルム製造工程において、ポリビニルアルコール系フィルムを複数
の処理槽を通過させ、それらの最後の処理槽を通過させた後に、ポリビニルアルコール系
フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布する製造方法が簡便に酸捕捉剤をフィ
ルム上に含有させることができる点で好ましい。
以下、上記偏光フィルムの製造方法の一例を、工程順に詳しく説明する。
〔ポリビニルアルコール系フィルムの形成材料〕
まず、上記ポリビニルアルコール系フィルムの形成材料である上記ポリビニルアルコー
ル系樹脂について説明する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂としては、通常、未変性のポリビニルアルコール系樹
脂、すなわち、酢酸ビニルを重合して得られるポリ酢酸ビニルをケン化して製造される樹
脂が用いられる。必要に応じて、酢酸ビニルと、少量(通常、10モル%以下、好ましく
は5モル%以下)の酢酸ビニルと共重合可能な成分との共重合体をケン化して得られる樹
脂を用いることもできる。酢酸ビニルと共重合可能な成分としては、例えば、不飽和カル
ボン酸類(例えば、塩、エステル、アミド、ニトリル等を含む)、炭素数2~30のオレ
フィン類(例えば、エチレン、プロピレン、n-ブテン、イソブテン等)、ビニルエーテ
ル類、不飽和スルホン酸塩等が挙げられる。また、ケン化後の水酸基を化学修飾して得ら
れる変性ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。
また、上記ポリビニルアルコール系樹脂として、側鎖に1,2-ジオール構造を有する
ポリビニルアルコール系樹脂を用いることもできる。この側鎖に1,2-ジオール構造を
有するポリビニルアルコール系樹脂は、例えば、(i)酢酸ビニルと3,4-ジアセトキ
シ-1-ブテンとの共重合体をケン化する方法、(ii)酢酸ビニルとビニルエチレンカ
ーボネートとの共重合体をケン化および脱炭酸する方法、(iii)酢酸ビニルと2,2
-ジアルキル-4-ビニル-1,3-ジオキソランとの共重合体をケン化および脱ケター
ル化する方法、(iv)酢酸ビニルとグリセリンモノアリルエーテルとの共重合体をケン
化する方法、等により得られる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分子量は、上記偏光フィルムの製造上の観
点から、10万~30万であることが好ましく、特に好ましくは11万~28万、更に好
ましくは12万~26万である。すなわち、この重量平均分子量が小さすぎると、ポリビ
ニルアルコール系樹脂を光学フィルムとする場合に充分な光学性能が得られにくい傾向が
あり、大きすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムから上記偏光フィルムを製造する
際の延伸が困難となる傾向がある。なお、上記ポリビニルアルコール系樹脂の重量平均分
子量は、GPC-MALS法により測定される重量平均分子量である。
上記ポリビニルアルコール系樹脂の平均ケン化度は、上記偏光フィルムの光学性能の観
点から、通常98モル%以上であることが好ましく、特に好ましくは99モル%以上、更
に好ましくは99.5モル%以上、殊に好ましくは99.8モル%以上である。すなわち
、この平均ケン化度が小さすぎると、ポリビニルアルコール系フィルムから製造される上
記偏光フィルムが、充分な光学性能を有さない傾向がある。
ここで、上記平均ケン化度は、JIS K 6726に準じて測定されるものである。
上記ポリビニルアルコール系樹脂として、変性種、変性量、重量平均分子量、平均ケン
化度等の異なる2種以上のものを併用してもよい。
ついで、上記ポリビニルアルコール系樹脂を用いて、ポリビニルアルコール系樹脂水溶
液を調製する。そのポリビニルアルコール系樹脂水溶液について説明する。
上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、前述したポリビニルアルコール系樹脂を水
等の溶媒に溶解したものである。溶媒として、水の他に、例えば、ジメチルスルホキシド
(DMSO);N-メチルピロリドン;グリセリン、エチレングリコール、プロピレング
リコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール
、トリメチロールプロパン等の多価アルコール;エチレンジアミン、ジエチレントリアミ
ン等のアミン類;およびこれらの混合物を併用することもできる。
上記ポリビニルアルコール系樹脂水溶液には、ポリビニルアルコール系樹脂以外に、必
要に応じて、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、エチレングリコール、トリエ
チレングリコール、ポリエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の一般的に使用
される可塑剤や、ノニオン性、アニオン性、およびカチオン性の少なくとも一つの界面活
性剤を含有させることができ、これらを含有することが製膜性の点から好ましい。これら
から選ばれる1種を単独で、または2種以上を併せて用いることができる。
このようにして得られるポリビニルアルコール系樹脂水溶液の樹脂濃度は、生産性の観
点から、15~60重量%であることが好ましく、特に好ましくは17~55重量%、更
に好ましくは20~50重量%である。すなわち、この水溶液の樹脂濃度が低すぎると、
乾燥負荷が大きくなるため生産性が低下する傾向があり、高すぎると、粘度が高くなりす
ぎて均一な溶液ができにくくなる傾向がある。
得られたポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、通常、脱泡処理される。脱泡方法とし
ては、例えば、静置脱泡や多軸押出機による脱泡等の方法があげられる。多軸押出機とし
ては、ベントを有した多軸押出機であればよく、通常はベントを有した二軸押出機が用い
られる。
〔ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法〕
上記脱泡処理の後、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液は、一定量ずつT型スリットダ
イに導入され、回転するキャストドラム上に吐出および流延されて、連続キャスト法によ
り製膜される。そして、その製膜されたフィルムを乾燥等することにより、ポリビニルア
ルコール系フィルムを得る。このポリビニルアルコール系フィルムの製造方法を説明する
上記連続キャスト法とは、例えば、ポリビニルアルコール系樹脂水溶液を、T型スリッ
トダイから、回転するキャストドラム、エンドレスベルト、樹脂フィルム等のキャスト型
に吐出および流延して製膜する手法である。
上記キャストドラム等のキャスト型の表面温度は、40~99℃であることが好ましく
、特に好ましくは60~95℃である。キャスト型で製膜されたフィルムの乾燥は、その
フィルムの表面と裏面とを複数本の熱ロールの外周部に交互に接触させながら搬送させる
ことにより行なわれる。この熱ロールによる乾燥後、そのフィルムに熱処理を行ってもよ
い。熱処理については、60~150℃で行われることが好ましく、特には80~130
℃が好ましい。上記乾燥および必要に応じて熱処理が行われた上記フィルムは、そのフィ
ルムの両側端部を切断除去(スリット)され、上記ポリビニルアルコール系フィルムに形
成される。そして、そのポリビニルアルコール系フィルムは、芯管に巻き取られ、フィル
ムロールに形成される。
上記ポリビニルアルコール系フィルムの厚さは、5~75μmであることが好ましく、
偏光フィルムの薄型化の点から、特に好ましくは10~60μmであり、耐久性の点から
、更に好ましくは15~60μmである。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムの幅は、4m以上であることが好ましく、
大面化の点からより好ましくは4.5m以上、破断回避の点から特に好ましくは4.5~
6mである。
また、上記ポリビニルアルコール系フィルムの長さは、4km以上であることが好まし
く、大面積化の点からより好ましくは4.5km以上、輸送重量の点から特に好ましくは
4.5~50kmである。
〔フィルムの製造方法〕
以下、上記ポリビニルアルコール系フィルムを用いて得られる本発明の偏光フィルムの
実施の形態を製造する方法について説明する。
上記偏光フィルムの製造は、上記フィルムロールからポリビニルアルコール系フィルム
を繰り出して水平方向に移送し、膨潤、染色、ホウ酸架橋、延伸、洗浄、乾燥等の工程を
経て行われる。これら工程について説明する。
膨潤工程は、染色工程の前に施される。膨潤工程は、通常、上記ポリビニルアルコール
系フィルムを、膨潤処理槽内で処理液に浸漬することにより行われる。膨潤工程により、
ポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れを洗浄することができるほかに、ポリビニル
アルコール系フィルムを膨潤させることで染色ムラ等を防止する効果もある。上記処理液
としては、通常、水が用いられる。この処理液は、主成分が水であれば、ヨウ化化合物、
界面活性剤等の添加物、アルコール等が少量入っていてもよい。その処理液の温度は、通
常10~45℃程度であり、その処理液への浸漬時間は、通常、0.1~10分間程度で
ある。
染色工程は、通常、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、染色処理槽内でヨウ素ま
たは二色性染料を含有する液体に浸漬させることによって行なわれる。その液体としては
、通常、ヨウ素-ヨウ化カリウムの水溶液が用いられ、ヨウ素の濃度は0.1~2g/L
、ヨウ化カリウムの濃度は1~100g/Lが適当である。染色時間は30~500秒程
度が実用的である。上記液体の温度は5~50℃が好ましい。上記水溶液には、水溶媒以
外に水と相溶性のある有機溶媒を少量含有させてもよい。
ホウ酸架橋工程は、通常、上記ポリビニルアルコール系フィルムを、ホウ酸処理槽内で
ホウ酸やホウ砂等のホウ素化合物を含有する液体に浸漬することにより行われる。その液
体は、水溶液または水-有機溶媒混合液であり、その液体の上記ホウ素化合物の濃度は1
0~100g/L程度である。その液体中にはヨウ化カリウムを共存させるのが、偏光性
能の安定化の点で好ましい。その液体の温度は30~70℃程度、その液体への浸漬時間
は0.1~20分程度が好ましい。
延伸工程は、独立して行ってもよいし、上記膨潤工程、染色工程、ホウ酸架橋工程の少
なくとも一部の工程中に行ってもよい。そして、総延伸倍率が一軸方向に3~10倍、好
ましくは3.5~6倍とすることが好ましい。この際、延伸方向の直角方向にも若干の延
伸(幅方向の収縮を防止する程度、またはそれ以上の延伸)を行なっても差し支えない。
延伸時の、延伸する上記ポリビニルアルコール系フィルムの回りの温度は、40~170
℃が好ましい。
洗浄工程は、例えば、洗浄処理槽内で水またはヨウ化カリウム等のヨウ化物水溶液にポ
リビニルアルコール系フィルムを浸漬することにより行われる。洗浄工程により、ポリビ
ニルアルコール系フィルムの表面に発生する析出物を除去することができる。ヨウ化カリ
ウム水溶液を用いる場合のヨウ化カリウム濃度は、通常、1~80g/L程度である。洗
浄時の上記ヨウ化物水溶液の温度は、通常、5~50℃、好ましくは10~45℃である
。上記水またはヨウ化物水溶液への浸漬時間は、通常、1~300秒間、好ましくは10
~240秒間である。なお、水洗浄とヨウ化カリウム水溶液による洗浄は、適宜組み合わ
せて行ってもよい。
乾燥工程は、通常、上記洗浄工程中の最後の洗浄処理槽内を通過後、大気中で雰囲気温
度40~100℃、好ましくは70~98℃で、0.5~20分間乾燥することが行われ
る。
本発明においては、上記偏光フィルム製造工程において、ポリビニルアルコール系フィ
ルムを複数の処理槽を通過させるものであるが、酸捕捉剤はいずれかの処理槽を通過した
後に塗布すればよい。
かかる塗布のタイミングとしては、後半の処理槽の通過後が好ましく、最後の処理槽を
通過させた後に、ポリビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を
塗布することが特に好ましく、最後の処理槽が洗浄処理槽であることが殊に好ましい。
更に、最後の処理槽が洗浄処理槽であり、最後の洗浄処理槽通過後、乾燥工程前に、偏
光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布することが、酸捕捉剤層が簡便に形
成できる点で好ましい。
また、偏光フィルムの両面に酸捕捉剤を塗布することが好ましい。
偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布する際には、酸捕捉剤の水溶液
として塗布することが好ましく、かかる酸捕捉剤水溶液の濃度は、通常0.01~5重量
%、好ましくは0.1~3重量%、特に好ましくは0.3~1.5重量%である。かかる
濃度が低すぎると、酸捕捉剤の塗布量が少なく、耐熱耐久性の向上に寄与しない傾向があ
り、高すぎると酸捕捉剤水溶液の粘度が高く、均一に塗工しづらくなる傾向がある。
かかる塗布方法は公知一般の方法に従い塗布すればよく、例えば、スプレーコート、ス
ピンコート、ダイコート、ナイフコートなどが挙げられる。本発明においては酸捕捉剤水
溶液を乾燥工程前のロールに滴下することで既存の工程から追加工程が必要とせずに生産
性を維持しながら酸捕捉剤層を形成する点が望ましい。
ここで、本発明において、使用する酸捕捉剤は高分子構造を有するため偏光フィルムの
乾燥工程で揮発することがなく、また酸補足剤はホウ酸架橋された偏光フィルム表面に短
時間で少量塗布されるためフィルム表面から内部への浸透もおこりにくい。そのため、ポ
リビニルアルコール系フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布すると、偏光フ
ィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を含有する層を有する本発明の偏光フィルムが
得られるものである。
その偏光フィルムの偏光度は、好ましくは99.90%以上、特に好ましくは99.9
2%以上である。この偏光度が低すぎると、液晶ディスプレイ等の液晶表示装置における
コントラストを確保することができなくなる傾向がある。
さらに、上記偏光フィルムの単体透過率は、好ましくは42%以上である。この単体透
過率が低すぎると液晶ディスプレイ等の液晶表示装置の高輝度化を達成できなくなる傾向
がある。
単体透過率は、分光光度計を用いて偏光フィルム単体の光線透過率を測定して得られる
値である。
〔偏光板の製造方法〕
そして、得られた上記偏光フィルムの片面または両面に、接着剤を介して、光学的に等
方性な保護フィルムを貼合することにより、少なくとも片面に保護フィルムを備えた偏光
板が得られる。
上記保護フィルムとしては、例えば、トリアセチルセルロースやジアセチルセルロース
のようなアセチルセルロース系樹脂からなるフィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポ
リエチレンナフタレート及びポリブチレンテレフタレートのようなポリエステル系樹脂か
らなるフィルム、ポリカーボネート系樹脂フィルム、シクロオレフィン系樹脂フィルム、
アクリル系樹脂フィルム、ポリプロピレン系樹脂の鎖状オレフィン系樹脂からなるフィル
ムがあげられる。
上記偏光フィルムと保護フィルムとの貼合は、公知の方法により行われるが、例えば、
液状の接着剤組成物を、偏光フィルム、保護フィルム、またはその両方に均一に塗布した
後、両者を貼り合わせて圧着し、加熱や活性エネルギー線を照射することにより行われる
上記偏光板の偏光度は、好ましくは99.9%以上、特に好ましくは99.92%以上
である。この偏光度が低すぎると液晶ディスプレイ等の液晶表示装置におけるコントラス
トを確保することができなくなる傾向がある。
なお、偏光度は、一般的に2枚の偏光板を、その配向方向が同一方向になるように重ね
合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線透過率(H11)と、2枚の偏光板を、配向
方向が互いに直交する方向になる様に重ね合わせた状態で、波長λにおいて測定した光線
透過率(H1)より、下式にしたがって算出される。
偏光度=〔(H11-H1)/(H11+H1)〕1/2
さらに、上記偏光板の単体透過率は、好ましくは42%以上である。この単体透過率が
低すぎると液晶ディスプレイ等の液晶表示装置の高輝度化を達成できなくなる傾向がある

単体透過率は、分光光度計を用いて偏光板単体の光線透過率を測定して得られる値であ
る。
上記偏光フィルムおよびそれを用いてなる偏光板は、耐熱耐久性と偏光性能に優れ、携
帯情報端末機、パソコン、テレビ、プロジェクター、サイネージ、電子卓上計算機、電子
時計、ワープロ、電子ペーパー、ゲーム機、ビデオ、カメラ、フォトアルバム、温度計、
オーディオ、自動車や機械類の計器類等の液晶表示装置、サングラス、防眩メガネ、立体
メガネ、ウェアラブルディスプレイ、表示素子(CRT、LCD、有機EL、電子ペーパ
ー等)用反射防止層、光通信機器、医療機器、建築材料、玩具等に好ましく用いられる。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えな
い限り以下の実施例に限定されるものではない。
各物性について、次のようにして測定を行った。
<測定条件>
(1)耐熱耐久試験
まず、得られた偏光板の両面に粘着剤シートを貼り合わせ3.8cm角に切り出した後
、4.0cm×8.0cmのガラス板(1mm厚)と貼り合せ、ガラス板/粘着剤シート
/偏光板/粘着剤シート/ガラス板の順に積層を行なった。かかる積層物に円筒型液晶用
加圧脱泡装置を用いて50℃で0.5MPaの圧力を20分かけて圧着させて耐熱耐久試
験サンプルを得た。
作製した耐熱耐久試験用サンプルを105℃の乾燥機に投入し、550時間後および1
050時間後のサンプルの外観を下記基準に従い評価した。
(評価基準)
〇:偏光板に赤変が見られなかった
△:偏光板の一部が薄く赤変した
×:偏光板の全体が濃く赤変した
(酸捕捉剤水溶液の調製)
・塗布剤(A)
水198.5gに酸捕捉剤としてカルボジイミド含有物質(日清紡ケミカル株式会社製「
V―04」有効成分40%)1.5gを溶解し、カルボジイミドの0.3重量%水溶液を
得た。
・塗布剤(B)
水192.5gに酸捕捉剤としてカルボジイミド含有物質(日清紡ケミカル株式会社製「
V―04」有効成分40%)7.5gを溶解し、カルボジイミドの1.5重量%水溶液を
得た。
<実施例1>
(偏光フィルムおよび偏光板の作製)
膜厚30μmのポリビニルアルコール系フィルムをロールから繰り出し、水平方向に搬
送しながら、水温22℃の水槽に浸漬して膨潤させながら流れ方向(MD方向)に1.2
倍に延伸した。次に、ヨウ素1.2g/L、ヨウ化カリウム25g/Lよりなる28℃の
水溶液中に浸漬して染色しながら流れ方向(MD方向)に2.2倍に延伸し、ついでホウ
酸30g/L、ヨウ化カリウム30g/Lの組成の水溶液(57℃)に浸漬してホウ酸架
橋しながら流れ方向(MD方向)に5.7倍に一軸延伸した。最後に、ヨウ化カリウム水
溶液で洗浄を行い、最後の洗浄槽から搬送されたポリビニルアルコール系フィルムの両面
に塗布剤(A)を塗布した。その後80℃で40秒間乾燥して総延伸倍率5.9倍の偏光
フィルムを得た。
得られた偏光フィルムの両面に、ポリビニルアルコール水溶液を接着剤として用いて、
膜厚40μmのトリアセチルセルロースフィルムを貼合し、80℃で乾燥して単体透過率
42.7%、偏光度99.99%の偏光板を得た。
得られた偏光板を用いて耐熱耐久試験を行なった。その結果を下記表1に示す。
<実施例2>
実施例1において塗布剤(A)を塗布剤(B)に変更した以外は実施例1と同様にして
偏光フィルムおよび偏光板を得た。得られた偏光板を用いて耐熱耐久試験を行なった。そ
の結果を下記表1に示す。
<比較例1>
実施例1において塗布剤(A)を塗布しなかった以外は実施例1と同様にして偏光フィ
ルムおよび偏光板を得た。得られた偏光板を用いて耐熱耐久試験をおこなった。その結果
を下記表1に示す。
Figure 2023140325000001
実施例1、2で得られた偏光板は、偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を
含有する層を有する偏光フィルムを用いて得られたものであるため、該層を有しない比較
例1の偏光板と比べて長時間の耐熱耐久性に優れるものであることがわかる。
上記実施例においては、本発明における具体的な形態について示したが、上記実施例は
単なる例示にすぎず、限定的に解釈されるものではない。当業者に明らかな様々な変形は
、本発明の範囲内であることが企図されている。
本発明の偏光フィルムを用いて得られる偏光板は、長時間の耐熱耐久性に優れ、各種液
晶表示装置および高い耐久性と偏光性能の必要とされる車載用途、各種環境で求められる
工業計器類の表示用途等に好ましく用いられるものである。

Claims (4)

  1. 偏光フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を含有する層を有することを特徴とす
    る偏光フィルム。
  2. 酸捕捉剤がカルボジイミド化合物であることを特徴とする請求項1記載の偏光フィルム
  3. ポリビニルアルコール系フィルムを複数の処理槽を通過させる請求項1または2記載の
    偏光フィルムの製造方法であって、最後の処理槽を通過させた後に、ポリビニルアルコー
    ル系フィルムの少なくとも一方の表面に酸捕捉剤を塗布することを特徴とする偏光フィル
    ムの製造方法。
  4. 請求項1または2記載の偏光フィルムの少なくとも一方の表面に保護フィルムを有する
    ことを特徴とする偏光板。
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