JP2023137922A - 耐力壁と耐力壁架構 - Google Patents

耐力壁と耐力壁架構 Download PDF

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学 中川
Manabu Nakagawa
智裕 薮田
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Abstract

【課題】地震時の変形の際の一体性が確保され、外観意匠性に優れた高耐力の耐力壁と、耐震性に優れた耐力壁架構を提供すること。【解決手段】一対の鉄骨柱13と一対の鉄骨梁11,12とにより形成される鉄骨架構10において、一対の鉄骨梁11,12に対して取り付けられる、耐力壁20であり、正面視矩形もしくは略矩形の木質面材30と、木質面材30の上方と下方において、木質面材30の左右端から内部に亘って内挿されている、鋼板40とを有し、木質面材30と鋼板40の広幅面同士が第1固定手段50により固定され、鋼板40の左右の端面にはそれぞれフランジ45が設けられ、フランジ45と木質面材30の端面が第2固定手段55により固定されている。【選択図】図1

Description

本発明は、耐力壁と耐力壁架構に関する。
一対の鉄骨柱と一対の鉄骨梁とにより形成される架構(鉄骨架構)の内部に、木質面材により形成される耐力壁(耐力パネル)を配置し、一対の鉄骨梁に対して木質の耐力壁が取り付けられている耐力壁架構が鉄骨建物に適用される場合がある。木質面材はせん断剛性が高く、外観意匠性に優れていることから、耐力壁への適用に好適となる。また、耐力壁の剛性をさらに高めるべく、木質面材と鋼板が組み合わされたハイブリット型の耐力壁もあり、例えば、鋼板が木質面材により挟まれた形態の耐力壁によれば、優れた外観意匠性を保持しつつ、より一層剛性が高められた耐力壁を備えた耐力壁架構が形成される。
ここで、特許文献1には、木質面材と鋼板により形成される耐力壁が提案されている。この耐力壁は、建物の水平方向に間隔をあけて配置され建物の上下方向にのびる一対の縦材と、建物の上下方向に間隔をあけて配置され前記一対の縦材を建物の水平方向につなぐ一対の横材と、を有する枠材と、木質材料を用いて板状に形成された木質面材と、金属材料を用いて板状に形成され、建物の上下方向に間隔をあけて配列された複数の開口部を有し、木質面材に接合された状態で該木質面材と共に枠材に固定された金属面材とを備えている。ここで、金属面材(鋼板)と木質面材はそれらの広幅面同士が接着剤により接合され、金属面材と枠材はそれらの広幅面同士が釘により接合される。
特開2020-117873号公報
特許文献1に記載の耐力壁では、木質面材と鋼板の広幅面同士と、鋼板と枠材(木質枠材)の広幅面同士が接着剤や釘により接合されることで耐力壁としての一体性が確保されている。このように、積層部材の広幅面同士が単に接着剤や釘で接合されているのみの構造では、例えば、架構に地震時の水平力が作用して架構と耐力壁が大きく変形した際に、各構成部材の接合部が外れて相互にばらばらになり、繰り返し作用する水平力に対して耐力壁として機能しなくなる恐れがある。
また、耐力壁の二つの広幅面のうちの一方側には木質枠材が配設されていることから、枠材の内側には鋼板が露出しており、従って、耐力壁の一方の広幅面における外観意匠性が低下することになる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、地震時の変形の際の木質面材と鋼板の一体性が確保され、外観意匠性に優れた高耐力の耐力壁と、耐震性に優れた耐力壁架構を提供することを目的としている。
前記目的を達成すべく、本発明による耐力壁の一態様は、
一対の鉄骨柱と一対の鉄骨梁とにより形成される鉄骨架構において、該一対の鉄骨梁に対して取り付けられる、耐力壁であって、
正面視矩形もしくは略矩形の木質面材と、
前記木質面材の上方と下方において、該木質面材の左右端から内部に亘って内挿されている、鋼板とを有し、
前記木質面材と前記鋼板の広幅面同士が第1固定手段により固定され、
前記鋼板の左右の端面にはそれぞれフランジが設けられており、該フランジと前記木質面材の端面が第2固定手段により固定されていることを特徴とする。
本態様によれば、木質面材の上方と下方にそれぞれ鋼板が内挿され、鋼板の左右の端面にフランジが設けられていて、木質面材と鋼板の広幅面同士が第1固定手段により固定され、フランジと木質面材の端面が第2固定手段により固定されていることにより、木質面材と鋼板及びフランジが直交する二面で相互に固定されることから、地震時に大きく変形した場合でも、木質面材と鋼板の一体性が確保された耐力壁を形成できる。さらに、鋼板が木質面材に内挿されていることにより、木質面材の二つの広幅面の双方から鋼板の全体が視認されることが抑制され、外観意匠性に優れた耐力壁を形成できる。
ここで、「木質面材の上方と下方にそれぞれ鋼板が内挿されている」とは、木質面材の上限端に溝が設けられていて、双方の溝に鋼板が内挿されている形態や、例えば二つの木質面材の内部の上方と下方に鋼板が挟まれている形態等が挙げられる。また、「木質面材が正面視矩形もしくは略矩形」とは、長方形もしくは正方形の正面視矩形の他に、例えば矩形の四つの隅角部がテーパー状に切り欠かれていたり、隅角部が掘り込むように切り欠かれている等、隅角部に切り欠きが設けられている正面視形状を略矩形として加える意味である。木質面材は、例えば構造用合板等により形成される。また、耐力壁は、耐力パネルや耐力壁パネル等と称してもよい。
また、本発明による耐力壁の他の態様において、
前記鋼板は正面視コの字状を呈していて、前記木質面材の左右の隅角部から下方もしくは上方に延びていることを特徴とする。
本態様によれば、鋼板が正面視コの字状を呈していて、上方の鋼板は木質面材の左右の隅角部から下方に延び、下方の鋼板は木質面材の左右の隅角部から上方に延びていることにより、鉄骨架構に本態様の耐力壁が組み込まれた耐力壁架構において地震時の水平力が作用して全体が変形した際に、曲げモーメントの負担領域(もしくは伝達領域)となる耐力壁の隅角部領域を補強することができる。また、耐力壁の上下の中央領域は、主としてせん断力の負担領域(もしくは伝達領域)となる。
ここで、隅角部領域を補強するのに要する上下幅を備えた鋼板を適用してもよいが、本態様のように隅角部領域の補強に必要となる平面視形状(コの字状)の鋼板を適用することで、鋼板使用量を可及的に抑制しながら、耐力壁における曲げモーメント負担領域となる隅角部領域を効果的に補強することが可能になる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
前記鋼板が、正面視L型の二つの分割鋼板により形成されていることを特徴とする。
本態様によれば、鋼板が正面視L型の二つの分割鋼板によって形成されていることにより、木質面材に対する鋼板の取り付け性が良好になる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
前記第1固定手段がドリフトピンであり、
前記第2固定手段がラグスクリューボルトであることを特徴とする。
本態様によれば、木質面材と鋼板の広幅面同士を接合する第1固定手段がドリフトピンであることにより、双方を強固に接合しながら、耐力壁を正面から見た際に、頭部を有していないドリフトピンは視認し難く、ドリフトピンが挿通される孔が正面に露出しているだけであることから、耐力壁の外観意匠性が損なわれることがない。また、木質面材の左右の端面とフランジを接合する第2固定手段がラグスクリューボルトであることにより、ラグスクリューボルトの有する頭部がフランジを外側から押さえ付けた状態で木質面材の端面に対して強固に接続することができる。
ここで、鉄骨架構に本態様の耐力壁が組み込まれた耐力壁架構において、耐力壁の上方と下方の隅角部領域が上記する曲げモーメントの負担領域となることから、隅角部領域においてラグスクリューボルトにてフランジと木質面材の端面が強固に接合されていることから、曲げモーメントが作用した場合でもフランジと木質面材の端面の一体性が保証される。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
前記木質面材が、CLTパネルもしくはLVLパネルであることを特徴とする。
本態様によれば、木質面材としてCLT(Cross Laminated Timber)パネルもしくはLVL(Laminated Veneer Lumber)パネルを適用することにより、せん断耐力が高く、可及的に広幅の木質面材を形成できる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
前記木質面材の上端と下端にそれぞれ内挿溝が設けられており、該内挿溝に前記鋼板の一部が内挿されていることを特徴とする。
本態様によれば、木質面材の上端と下端にそれぞれ内挿溝が設けられ、各内挿溝に鋼板の一部が内挿されて第1固定手段と第2固定手段を介して相互に固定されていることにより、一枚の木質面材の上下端に鋼板の一部が埋設されていることから、全体の厚みを厚くすることなく、高剛性で外観意匠性に優れた耐力壁を形成できる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
二つの前記木質面材の上方と下方においてそれぞれ、前記鋼板の一部が挟持されていることを特徴とする。
本態様によれば、二つの木質面材の上方と下方においてそれぞれ、鋼板の一部が挟持されていることにより、より一層剛性が高く、外観意匠性に優れた耐力壁を形成できる。
また、本発明による耐力壁の他の態様は、
前記木質面材の隅角部に切り欠きが設けられており、
前記切り欠きに前記フランジの一部が張り出していることを特徴とする。
本態様によれば、木質面材の隅角部に切り欠きが設けられ、切り欠きにフランジの一部が張り出していることにより、鉄骨架構に設けられているガセットプレート(以下の第2ガセットプレート)とフランジをボルト接合する際の取り付け性が良好になる。
また、本発明による耐力壁架構の一態様は、
前記耐力壁を構成する前記鋼板の他部が、該木質面材の上端と下端から張り出しており、
前記鋼板の他部と前記鉄骨梁がボルト接合されていることを特徴とする。
本態様によれば、鉄骨架構の内部に本発明の耐力壁が組み込まれていることにより、耐震性と外観意匠性の双方に優れた耐力壁架構を形成することができる。
また、本発明による耐力壁架構の他の態様において、
前記鉄骨梁には、前記鉄骨架構の構面に平行に延びる第1ガセットプレートと、該第1ガセットプレートの端部に接合されて、該構面に直交する方向に延びる第2ガセットプレートが取り付けられており、
前記第1ガセットプレートと前記鋼板の他部がボルト接合され、
前記第2ガセットプレートと前記フランジがボルト接合されていることを特徴とする。
本態様によれば、鉄骨梁に設けられている鉄骨架構の構面に平行に延びる第1ガセットプレートに対して耐力壁を構成する鋼板の他部がボルト接合され、第1ガセットプレートの端部に接合されて構面に直交する方向に延びる第2ガセットプレートに対して、鋼板の左右の端面にそれぞれ設けられているフランジがボルト接合されていることにより、鉄骨梁と耐力壁が直交二方向に延びる複数のボルトによって強固に接合された耐力壁架構が形成される。ここで、ボルト接合は、高力ボルトによる接合が望ましい。
また、本発明による耐力壁架構の他の態様は、
前記第1ガセットプレートと前記鋼板の他部が、高力ボルトによる一面摩擦接合により接合され、
前記第2ガセットプレートと前記フランジが、高力ボルトによる一面摩擦接合もしくは二面摩擦接合により接合されていることを特徴とする。
本態様によれば、第1ガセットプレートと鋼板の他部が、高力ボルトによる一面摩擦接合により接合されていることにより、地震時における耐力壁架構の変形の際に生じるせん断力を伝達可能に鉄骨梁と鋼板の他部を接合できる。また、第2ガセットプレートとフランジが、高力ボルトによる一面摩擦接合もしくは二面摩擦接合によって接合されていることにより、地震時における耐力壁架構の変形の際に生じる曲げモーメントを伝達可能に鉄骨梁と鋼板に設けられているフランジを接合できる。
また、本発明による耐力壁架構の他の態様において、
前記一対の鉄骨梁の少なくとも一方には、前記耐力壁よりも該鉄骨梁を先行降伏させるための先行降伏手段が設けられていることを特徴とする。
本態様によれば、一対の鉄骨梁の少なくとも一方に、耐力壁よりも鉄骨梁を先行降伏させるための先行降伏手段が設けられていることにより、地震時においても耐力壁の剛性が保持された、耐震性能に優れた耐力壁架構を形成することができる。
ここで、先行降伏手段としては、鉄骨架構のウェブ等に設けられている、断面欠損用孔等を挙げることができる。
以上の説明から理解できるように、本発明の耐力壁と耐力壁架構によれば、地震時の変形の際の木質面材と鋼板の一体性が確保され、外観意匠性に優れた高耐力の耐力壁と、耐震性に優れた耐力壁架構を提供することができる。
実施形態に係る耐力壁架構の一例の正面図である。 図1のII方向矢視図であって、実施形態に係る耐力壁架構の一例の側面図である。 実施形態に係る耐力壁架構を形成する、鉄骨架構の一例の正面図である。 図3のIV方向矢視図であって、鉄骨架構の一例の側面図である。 実施形態に係る耐力壁の一例の正面図である。 図5のVI方向矢視図であって、実施形態に係る耐力壁の一例の側面図である。 実施形態に係る耐力壁の他の例の正面図である。 (a)は、鉄骨架構の鉄骨梁に設けられている先行降伏手段の一例を示す図であり、(b)は、鉄骨架構の鉄骨梁に設けられている先行降伏手段の他の例を示す図である。
以下、実施形態に係る耐力壁架構と耐力壁の一例について、添付の図面を参照しながら説明する。尚、本明細書及び図面において、実質的に同一の構成要素については、同一の符号を付することにより重複した説明を省く場合がある。
[実施形態に係る耐力壁架構と耐力壁]
図1乃至図8を参照して、実施形態に係る耐力壁架構と耐力壁の一例について説明する。ここで、図1は、実施形態に係る耐力壁架構の一例の正面図であり、図2は、図1のII方向矢視図であって、実施形態に係る耐力壁架構の一例の側面図である。また、図3は、実施形態に係る耐力壁架構を形成する、鉄骨架構の一例の正面図であり、図4は、図3のIV方向矢視図であって、鉄骨架構の一例の側面図である。さらに、図5は、実施形態に係る耐力壁の一例の正面図であり、図6は、図5のVI方向矢視図であって、実施形態に係る耐力壁の一例の側面図である。
耐力壁架構70は、一対の鉄骨柱13と、一対の鉄骨梁11,12とにより形成される鉄骨架構10において、一対の鉄骨梁11,12に対して耐力壁20が取り付けられることにより形成される。ここで、図示例の鉄骨梁11は、一階と二階の階間の梁であり、鉄骨梁12は土台を形成する梁であるが、一対の鉄骨梁が、より上階の梁(例えば3階と2階の梁)等であってもよい。
図示例の鉄骨柱13と鉄骨梁11,12は、いずれもH形鋼により形成されている。ここで、鉄骨柱は、例えば角形鋼管等により形成されてもよい。
上下の鉄骨梁11,12のウェブ11a、12aには、複数(図示例は3つ)の断面欠損用孔18が設けられている。この断面欠損用孔18は、地震時に、耐力壁架構70に対して繰り返しの水平力Hが作用し、正面視矩形の耐力壁架構70が左右に正面視平行四辺形(もしくは略平行四辺形)に繰り返し変形した際に、耐力壁20よりも鉄骨架構10の一部を先行降伏させるための先行降伏手段の一例である。
図3及び図4に示すように、上方の鉄骨梁11の下フランジ11cの下面と、下方の鉄骨梁12の上フランジ12bの上面にはそれぞれ、鉄骨架構10の構面に平行に延びる第1ガセットプレート15が溶接接合されている。第1ガセットプレート15には、複数のボルト孔17が開設されている。
第1ガセットプレート15の左右端には、第1ガセットプレート15に直交する第2ガセットプレート16が溶接接合されている。第2ガセットプレート16にも、複数のボルト孔17が開設されている。
鉄骨梁11,12のウェブ11a、12aの両側面のうち、第2ガセットプレート16に対応する位置には、補強リブ11d、12dが設けられている。
図1に示すように、上下の第1ガセットプレート15に対して、正面視略矩形(略長方形)の耐力壁20(耐力壁パネル)が高力ボルト60を介して一面摩擦接合されることにより、鉄骨架構10と耐力壁20とを有する耐力壁架構70が形成される。
図5及び図6に示すように、耐力壁20は、正面視形状(広幅面31の形状)が略矩形の木質面材30と、木質面材30の上方と下方において、木質面材の左右の側端面32から内部に亘って内挿されている、鋼板40とを有する。より具体的には、木質面材30の上端面33の中央位置には、左端から右端に亘り、正面視コの字状の内挿溝35が設けられており、木質面材30の下端面34の中央位置には、左端から右端に亘り、正面視コの字状の内挿溝36が設けられている。そして、それぞれの内挿溝35,36に対して、正面視コの字状の鋼板40の一部が内挿されている。
木質面材30には、CLTパネルもしくはLVLパネルが適用される。これらのパネルを適用することにより、せん断耐力が高く、可及的に広幅の木質面材を形成できる。
例えば、CLTパネルにおいては、縦横の寸法が12m×2.6mまでの広範なパネルを適用できる。また、CLTパネルは、複数の板材が繊維方向を交差(直交)させた態様で積層されていることから、変形に対して特に強く、耐力壁の構成部材として好適である。
正面視コの字状の内挿溝35,36に対して、同様に、正面視コの字状で、内挿溝35,36よりも上下方向の幅の大きな鋼板40の一部が内挿され、鋼板40の他部が木質面材30の上端面33と下端面34から上方と下方に突出している。
木質面材30の広幅面31のうち、内挿溝35,36に対応する位置には、複数のピン孔37が開設されており、内挿溝35,36に内挿される鋼板40の一部におけるピン孔37に対応する位置にも不図示のピン孔が開設されており、内挿溝35,36に対して鋼板40の一部が内挿され、対応するピン孔37と鋼板40のピン孔が位置合わせされて連通孔を形成し、各連通孔に対してドリフトピン50(第1固定手段の一例)が挿通されることにより、木質面材30と鋼板40の双方の広幅面同士が接合される。
また、鋼板40の左右端面にはそれぞれ、鋼製のフランジ45が溶接接合されている。木質面材30の内挿溝35,36に鋼板40を内挿した際に、左右のフランジ45は木質面材30の左右の側端面32の一部に当接するようになっている。
木質面材30の左右の側端面32には、複数のボルト孔38が開設されている。また、フランジ45にも、複数のボルト孔46が開設されている。
木質面材30の内挿溝35,36に鋼板40が内挿され、左右のフランジ45が木質面材30の左右の側端面32の一部に当接した状態において、双方の対応するボルト孔38、46は位置合わせされるようになっており、ボルト孔38、46が位置合わせされて連通孔を形成し、連通孔に対してラグスクリューボルト55(第2固定手段の一例)が打ち込まれることにより、フランジ45がラグスクリューボルト55の頭部に押し付けられながら、フランジと木質面材30の左右の側端面32が強固に固定される。
鋼板40が木質面材30に固定された姿勢において、鋼板40の上方と下方の他部は木質面材30の上端面33と下端面34から上下に張り出し、この上下に張り出している他部には、複数のボルト孔42が開設されている。
このように、木質面材30の上方と下方の内挿溝35,36に対して鋼板40の一部が内挿され、双方の広幅面同士がドリフトピン50により固定され、木質面材30の左右の側端面32と鋼板40の左右端に設けられているフランジ45がラグスクリューボルト55によって固定されることにより、木質面材30と上下の鋼板40を有する耐力壁20が形成される。
図5に示すように、木質面材30の隅角部には切り欠き39が設けられている。このように、木質面材30の四つの隅角部に切り欠き39が設けられていることにより、木質面材30の正面視形状は略矩形(長方形の隅角部が欠損した形状)を呈している。そして、切り欠き39には、鋼板40の左右端にあるフランジ45の一部が張り出している。
図1に示すように、木質面材30の上下端から上方と下方に張り出す鋼板40の他部と、上下の鉄骨梁11,12から構面内に張り出す第1ガセットプレート15を位置合わせした際に、双方の対応するボルト孔42,17が連通孔を形成し、連通孔に対して高力ボルト60を挿通することにより、第1ガセットプレート15と鋼板40の他部が一面摩擦接合される。
一方、第1ガセットプレート15の左右端に溶接接合されている一対の第2ガセットプレート16にも複数のボルト孔17が開設されており、第2ガセットプレート16とフランジ45が当接した姿勢において、相応の対応するボルト孔17,46が位置合わせされて連通孔を形成する。第2ガセットプレート16とフランジ45を一対の添え板65が挟んだ状態で、連通孔に高力ボルト60を挿通することにより、第2ガセットプレート16とフランジ45が二面摩擦接合される。
ここで、第2ガセットプレート16とフランジ45は、一面摩擦接合により接合されてもよい。
ところで、第2ガセットプレート16とフランジ45が一面摩擦接合される形態では、鉄骨梁11,12から下方と上方へ張り出すそれぞれ左右一対の第2ガセットプレート16の内部に対して、耐力壁20の左右端にあるフランジ45が位置合わせされ、対応する第2ガセットプレート16とフランジ45が高力ボルト60により接合される。この際、左右の第2ガセットプレート16の間に、当該第2ガセットプレート16とフランジ45が干渉することなく耐力壁20を配設できるように、左右の第2ガセットプレート16の間の幅よりも左右のフランジ45の間の幅が小さくなるように双方を加工もしくは製作するのがよいが、この場合は、対応する第2ガセットプレート16とフランジ45の間に隙間が生じる可能性がある。
このようにフランジ45と第2ガセットプレート16の間に隙間が生じている場合は、フィラープレート等を双方の間に挿入して隙間を閉塞した状態で、高力ボルト60による第2ガセットプレート16とフランジ45の接合を行えばよい。
一方、図示例のように、第2ガセットプレート16とフランジ45が二面摩擦接合される形態では、仮にフランジ45と第2ガセットプレート16の間に隙間が生じている場合でも、一対の添え板65でフランジ45と第2ガセットプレート16を挟んで二面摩擦接合することにより、例えば1mm乃至数mm程度の隙間を吸収しながらボルト接合することが可能になる。このことから、接合強度が高くなることに加えて、施工性を考慮しても、フランジ45と第2ガセットプレート16の接合は二面摩擦接合が好ましい。
また、木質面材30の隅角部に切り欠き39が設けられていることにより、この第2ガセットプレート16とフランジ45の接合を良好に行うことができる。仮に、木質面材の隅角部がそのまま残っていると、第2ガセットプレート16とフランジ45のボルト接合が難しくなる。
図1に示すように、地震時の水平力Hが作用して耐力壁架構70が左右に変形した際には、耐力壁架構70に曲げモーメントとせん断力が生じる。
耐力壁架構70では、耐力壁20における隅角部領域を曲げ負担領域MA(もしくは、曲げ伝達領域)とし、耐力壁20の上方及び下方の中央領域をせん断力負担領域SA(もしくは、せん断力伝達領域)としている。
このように、耐力壁20の隅角部領域に曲げモーメントを負担させる設計思想の下、正面視コの字状の鋼板40を木質面材30の上下端面に内挿し、木質面材30の左右の側端面32は鋼板40の左右端に設けられているフランジ45にて被覆し、ラグスクリューボルト55により強固に固定する構造を採用している。
この構造により、例えば大地震の際の曲げモーメントが耐力壁20の隅角部領域に生じても、鋼板40(及びフランジ45)と木質面材30の側端面32の一体性が確保され、耐力壁20の耐震性能が十分に発揮される。
また、耐力壁20では、正面視コの字状の鋼板40を適用したことにより、例えば正面視矩形の鋼板に比べて、可及的に鋼板の面積を小さくしながら耐力壁20の隅角部領域を広範囲に亘って補強することができるため、材料コストを抑制しながら高剛性の耐力壁20が形成される。
さらに、鋼板40が木質面材30に内挿されていることにより、木質面材30の二つの広幅面31の双方から鋼板40の全体が視認されることが抑制され、外観意匠性に優れた耐力壁20を形成できる。
ここで、図示例は、木質面材30の上下端面に設けられている内挿溝35,36に対して鋼板40の一部を内挿した形態であるが、例えば、二つの木質面材の上方と下方においてそれぞれ、鋼板の一部が挟持されている形態であってもよい(図示せず)。図示例の耐力壁20によれば、一つの木質面材30の厚み内に設けられている内挿溝35,36に対して鋼板40の一部が内挿されていることから、耐力壁20の厚みを厚くすることなく、木質面材30と鋼板40のハイブリット構造を形成できる利点がある。一方、二つの木質面材で鋼板の一部を挟持する形態では、耐力壁の厚みが厚くなるものの、耐力壁の全体剛性をより一層高めることができる利点がある。
次に、図7を参照して、実施形態に係る耐力壁の他の例を説明する。ここで、図7は、実施形態に係る耐力壁の他の例の正面図と側面図である。
図7に示す耐力壁20Aは、木質面材30の上下の内挿溝35,36にそれぞれ、正面視L形の分割鋼板40Aが内挿され、全体として正面視コの字状の鋼板が形成されている形態である。
このように、二つの分割鋼板40Aを有する耐力壁20Aでは、寸法が二倍の鋼板40に比べて分割鋼板40Aのハンドリング性や取り付け性がよく、耐力壁20Aの加工性がより一層良好になる。
図8(a)、(b)には、鉄骨架構の鉄骨梁に設けられている先行降伏手段の一例を示している。
図8(a)に示す例は、図1に示す先行降伏手段を拡大して示したものであり、鉄骨梁11のウェブ11aに設けられている、複数(図示例は3つ)の断面欠損用孔18である。
一方、図8(b)に示す例は、鉄骨梁11の上フランジ11bと下フランジ11cに設けられている、断面欠損用切り欠き19である。この断面欠損用切り欠き19は、ドックボーンとも称される。
鉄骨梁11,12に対して、いずれの先行降伏手段を適用した場合でも、耐力壁20に先行して鉄骨梁11,12を先行して降伏させることにより、靱性の高い耐力壁架構70を形成することができる。
尚、上記実施形態に挙げた構成等に対し、その他の構成要素が組み合わされるなどした他の実施形態であってもよく、ここで示した構成に本発明が何等限定されるものではない。この点に関しては、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更することが可能であり、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
10:鉄骨架構
11:鉄骨梁
11a:ウェブ
11b:上フランジ
11c:下フランジ
11d:補強リブ
12:鉄骨梁(土台)
12a:ウェブ
12b:上フランジ
12d:補強リブ
13:鉄骨柱
15:第1ガセットプレート
16:第2ガセットプレート
17:ボルト孔
18:断面欠損用孔
19:(断面欠損用切り欠き)ドッグボーン
20,20A:耐力壁
30:木質面材
31:広幅面
32:側端面
33:上端面
34:下端面
35,36:内挿溝
37:ピン孔
38:ボルト孔
39:切り欠き
40:鋼板
42:ボルト孔
40A:分割鋼板
45:フランジ
46:ボルト孔
50:ドリフトピン(第1固定手段)
55:ラグスクリューボルト(第2固定手段)
60:高力ボルト
65:添え板
70:耐力壁架構
H:水平力
MA:曲げ負担領域
SA:せん断負担領域

Claims (12)

  1. 一対の鉄骨柱と一対の鉄骨梁とにより形成される鉄骨架構において、該一対の鉄骨梁に対して取り付けられる、耐力壁であって、
    正面視矩形もしくは略矩形の木質面材と、
    前記木質面材の上方と下方において、該木質面材の左右端から内部に亘って内挿されている、鋼板とを有し、
    前記木質面材と前記鋼板の広幅面同士が第1固定手段により固定され、
    前記鋼板の左右の端面にはそれぞれフランジが設けられており、該フランジと前記木質面材の端面が第2固定手段により固定されていることを特徴とする、耐力壁。
  2. 前記鋼板は正面視コの字状を呈していて、前記木質面材の左右の隅角部から下方もしくは上方に延びていることを特徴とする、請求項1に記載の耐力壁。
  3. 前記鋼板が、正面視L型の二つの分割鋼板により形成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の耐力壁。
  4. 前記第1固定手段がドリフトピンであり、
    前記第2固定手段がラグスクリューボルトであることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の耐力壁。
  5. 前記木質面材が、CLTパネルもしくはLVLパネルであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の耐力壁。
  6. 前記木質面材の上端と下端にそれぞれ内挿溝が設けられており、該内挿溝に前記鋼板の一部が内挿されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐力壁。
  7. 二つの前記木質面材の上方と下方においてそれぞれ、前記鋼板の一部が挟持されていることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の耐力壁。
  8. 前記木質面材の隅角部に切り欠きが設けられており、
    前記切り欠きに前記フランジの一部が張り出していることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の耐力壁。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の耐力壁を構成する前記鋼板の他部が、該木質面材の上端と下端から張り出しており、
    前記鋼板の他部と前記鉄骨梁がボルト接合されていることを特徴とする、耐力壁架構。
  10. 前記鉄骨梁には、前記鉄骨架構の構面に平行に延びる第1ガセットプレートと、該第1ガセットプレートの端部に接合されて、該構面に直交する方向に延びる第2ガセットプレートが取り付けられており、
    前記第1ガセットプレートと前記鋼板の他部がボルト接合され、
    前記第2ガセットプレートと前記フランジがボルト接合されていることを特徴とする、請求項9に記載の耐力壁架構。
  11. 前記第1ガセットプレートと前記鋼板の他部が、高力ボルトによる一面摩擦接合により接合され、
    前記第2ガセットプレートと前記フランジが、高力ボルトによる一面摩擦接合もしくは二面摩擦接合により接合されていることを特徴とする、請求項10に記載の耐力壁架構。
  12. 前記一対の鉄骨梁の少なくとも一方には、前記耐力壁よりも該鉄骨梁を先行降伏させるための先行降伏手段が設けられていることを特徴とする、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の耐力壁架構。
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