JP2023128215A - 環境汚染浄化補助剤、製造方法及びその散布装置 - Google Patents

環境汚染浄化補助剤、製造方法及びその散布装置 Download PDF

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Abstract

【課題】汚染水又は汚染土壌中に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(Extracellular polymeric substances EPS)を増殖させて、汚染物質の分解を促進し、継続的に汚染水や汚染土壌を浄化する。【解決手段】果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、水と混合したものと、サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合して原液とした環境汚染浄化補助剤であり、環境汚染浄化補助剤の使用に際し、不純物が混入されていない水で希釈して、汚染域に継続的に滴下又は散布し、その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させて、バイオフィルム、コロニーの生育を促進させ、汚染域中の汚染物質の分解に係る微生物の活動環境を整えて、汚染物質の分解を促進し、継続的に汚染水や汚染土壌を浄化する。【選択図】図1

Description

本発明は、石油汚染海域や工場跡地の石油汚染土壌、汚染地下水及び工場排水や家庭からの生活排水、商業施設からの排水などに含まれる有害物質や有機化合物による汚染域に継続して滴下又は散布し、汚染域を継続的に浄化する環境汚染浄化補助剤、製造方法及びその散布装置に関する。
従来より、海域等において石油による環境汚染に対しては、水面上の石油は汲み取ったり、吸着マットで除去したり、界面活性剤を散布して分解処理されている。海域汚染は、潮流や風の影響で広範囲に拡散されるので処理が難しく、最終的には微生物等による生分解(自然浄化)に頼っている。石油による環境汚染は、千種類以上の炭化水素の複合汚染である。揮発性の高い炭化水素や生分解を受けやすい直鎖アルカンなどは比較的短期間で除去、分解されるが、難揮発性の高分子炭化水素、特に多環芳香族炭化水素(PAHS)が長期間残留し、生態系に悪影響を与えている。
窒素、燐、有機化合物等の除去は、主に活性汚泥法で処理されている。処理槽内での処理で、主に生活排水や工場排水で使用されている。
EM菌(Effective Microorganisms有用微生物群)等の人工的に培養された微生物を汚染域に投入して水質を浄化する方法もある。
更に、汚染物質を含む汚泥が堆積した河川、湖沼、港湾又は沿岸海域では、これらの汚泥を浚渫して産業廃棄物処分場へ運搬処分されている。
このような汚染域の浄化剤、浄化方法に関する技術については、例えば、特許文献1の「微生物を利用して汚泥を減量できる水質浄化方法、その方法に用いる担持体およびその方法を用いる水質浄化装置」には、バサルト長繊維担持体および、グルタチオン還元型を含む化学処理剤、を含有する水循環層を有する水質浄化装置、グルタチオン還元型を含む化学処理剤を有する水循環層中に配設されたバサルト長繊維からなる坦時体に、被処理水を通水して、被処理水中の生物汚泥を減容および・または減量する、水質浄化方法が提案されている。
特開2018-134597号公報
石油の海洋汚染について、海面において一旦広範囲に拡散した石油汚染物質は、最終的には微生物による生分解(自然浄化)により処理しているが、その処理に長時間を要するものであった。難揮発性の炭化水素については長期間残留し、生態系に影響を及ぼすという問題を有している。
また、窒素、燐等の化学物質の処理には専用の処理設備が必要であり、主に下水、生活排水、工場排水等の汚染水を専用設備で処理していた。そのために処理できる量が比較的少ないという問題を有している。これらの処理方法は、河川や湖沼や海域の水質浄化には利用できなかった。
EM菌等の人工的に培養して作られた微生物を汚染域に投入することで水質を浄化する技術は、汚染域に既存する微生物との生存競争や寿命により死滅することで、比較的短期間で効果が失われやすく、持続性が無いことや浄化可能範囲が限定的であるという問題を有している。
汚染物質を含む汚泥が堆積した河川、湖沼、港湾、沿岸海域では汚泥を浚渫して処分場へ運搬処分する方法は、浚渫中の二次汚染や処理場不足という問題を有している。浚渫を行うことなくその場で分解処理できる処理方法の開発が望まれている。
<バイオフィルムの活用>
<バイオフィルムとは>
バイオフィルムとは微生物の集合体のことで、数種の細菌がコロニーを作って増殖した膜状のもので、細菌が外的要因から身を守るために作るものである。バイオフィルム内では嫌気性細菌、好気性細菌、従属栄養細菌、独立栄養細菌まで様々な微生物が存在し、その中で様々な情報伝達を行いながらコロニーを形成することで、内部の微生物の生育、増殖に欠かすことのできない存在である。
<生態系におけるバイオフィルム>
岩石や堆積物、堆積物粒子、植物、大型藻類の表面など、あらゆる場所に存在し、バイオフィルム内部と外部では微生物の生息密度が異なり、水中では内部の生息密度は外部に比べ、数百~数千倍密度が高い。
<バイオフィルム形成における細胞外高分子物質(EPS)の役割>
EPSはバイオフィルムの支持体や防護膜として機能するだけでなく、バイオフィルム内部の微生物への養分の運搬や保持、酵素の伝達などバイオフィルム内部の環境の恒常性を保つ役割を担うものであり、バイオフィルム内の微生物の生育、増殖に重要な役割を担っている。
<バイオフィルムの活用>
本発明の発明者は微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、バイオフィルム内の微生物を効率的に育成し、利用することで、汚染の原因物質である、有害物質や有機化合物を分解し、浄化することが可能であることに着目した。
本発明は、かかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、汚染域中の微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させて、汚染物質の分解を促進し、汚染域を継続的に浄化する環境汚染浄化補助剤、製造方法及びその散布装置を提供することにある。
本発明の環境汚染浄化補助剤は、汚染水又は汚染土壌の汚染域に継続的に滴下又は散布して、その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(Extracellular polymeric substances EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、それらのバイオフィルム内で育成、増殖させた汚染物の分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応での働きで効率的に汚染物を分解して浄化する環境汚染浄化補助剤であって、
果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、水と混合したものと、
サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合して原液とした環境汚染浄化補助剤であり、
該環境汚染浄化補助剤の使用に際し、不純物が混入されていない水で希釈して、汚染域に継続的に滴下又は散布し、
その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、このバイオフィルム内の汚染物の分解や浄化に寄与する微生物をも育成、増殖させ、それらの汚染物の分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応で効率的に作用し汚染物を分解処理して継続的に汚染域を浄化する、ことを特徴とする。
前記汚染物である油脂の分解や浄化に寄与する微生物は、
石油耐性・分解菌Rrhodochrous S-2、ベンゼン耐性・分解菌Rhodococcus sp.33等の炭化水素耐性属細菌である。
前記汚染物である有機系物質の分解や浄化に寄与する微生物は、
ズーグレア、シュードモナス、バチルス、硝化細菌、グラム陽性菌、グラム陰性菌、窒素固定菌等の好気性微生物である。
前記汚染物である有機系物質の分解や浄化に寄与する微生物は、
硫酸塩還元菌、酸生成菌、メタン生成菌、水素生成菌、脱窒菌等の嫌気性微生物である。
前記汚染物である無機系物質の分解や浄化に寄与する微生物は、
アンモニア酸化細菌、硫黄酸化細菌、水素細菌、鉄酸化細菌等の酸化、還元により水素、硫化水素、鉄イオンなどの無機物からエネルギーを獲得できる化学合成独立栄養細菌である
前記汚染物である無機系物質の分解や浄化に寄与する微生物は、
緑色硫酸細菌、紅色硫黄細菌、紅色非硫黄細菌等のエネルギー源として光を利用し、主な炭素源として二酸化炭素を利用して無機物を有機物に変換する光合成独立栄養細菌である。
前記汚染物である無機系物質の浄化に寄与する微生物は、炭化水素耐性菌である。
本発明の環境汚染浄化補助剤の製造方法は、汚染水又は汚染土壌の汚染域に継続的に滴下又は散布して、その汚染域に既存する分解微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させ、バイオフィルムを形成し、かつこのバイオフィルム内において分解や浄化に寄与する微生物を育成、増殖させ、それらの分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応で汚染物を効率的に分解や浄化処理して継続的に汚染域を浄化する環境汚染浄化補助剤の製造方法であって、
先ず、果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、に水を加えて混合して酵素水を生成し、
次に、該酵素水に、サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合した混合液を生成し、
最後に該混合液を、55~60℃で1時間以上加熱し、その後常温で冷却して原液を生成し、
該原液を水で1000倍~5000倍に希釈して汚染域に滴下又は散布して使用する、ことを特徴とする。
本発明の散布装置は、環境汚染浄化補助剤を不純物が混入していない水で希釈して、汚染された湖沼に散布する環境汚染浄化補助剤の散布装置であって、
汚染域の水面に浮くフロート(11)に取り付けられた複数のスプリンクラー(12)と、
各スプリンクラー(12)に繋げた、タンク(13)内に充填した環境汚染浄化補助剤を供給するチューブ(14)と、を備え、
各スプリンクラー(12)はフロート(11)上に水面を常に浮いているので、湖沼の水量の変化により水面が上下しても、前記環境汚染浄化補助剤を散布することができる、ことを特徴とする。
また、本発明の散布装置は、環境汚染浄化補助剤を不純物が混入されていない水で希釈して、汚染された海域、湖沼に散布する環境汚染浄化補助剤の散布装置であって、
曳航船(21)に曳かれる台船(22)と、
該台船(22)に横長に取り付けられた、多数の滴下孔が開けられた滴下パイプ(23)と、
該台船(22)の船底に設けられたタンク(26)と、
該タンク(26)内の環境汚染浄化補助剤をチューブに通して滴下パイプ(23)に供給するポンプ(27)と、を備え、
台船(22)を曳航船(21)が曳航しながら滴下パイプ(23)から環境汚染浄化補助剤を散布する、ことを特徴とする。
本発明の環境汚染浄化補助剤は、河川、湖沼、ダム、港湾、沿岸海域等の汚染域に継続的に滴下又は散布することで、汚染域に存在する微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させて、バイオフィルムの形成を促進させることで、バイオフィルム内の微生物を効率的に育成、増殖させ、汚染域中の微生物の数を増やすことで汚染物質の分解を促進させること、酵素の触媒反応により、微生物と汚染物質の接触確率を向上して、微生物による汚染物質の分解を促進させること、更に、生体の酸化、還元反応や光合成作用等の化学反応を促進させること、等の相乗効果で汚染域中の汚染物質の分解に係る微生物の活動環境を整えて、汚染物質の分解を促進し、汚染域を継続的に浄化する。
本発明の環境汚染浄化補助剤を汚染域に継続的に滴下又は散布することで、浄化できる主な汚染物質は、油(ベンゼン)、有機化合物全般、一部の無機物である。
油(ベンゼン)は、汚染域中に存在する炭化水素耐性属細菌や、それが分泌する細胞外高分子物質(EPS)の分解能を利用することで分解、浄化が可能である。
有機化合物の分解は汚染域中に存在する従属栄養細菌を利用することで分解可能である。
無機物の分解は汚染域中に存在する化学合成独立栄養細菌や光合成独立栄養細菌や炭化水素耐性菌を利用することで分解可能である。
本発明の環境汚染浄化補助剤の散布装置は、一定量を継続的に汚染域に滴下することができる。フロート(11)にスプリンクラー(12)を取り付けた方式、滴下パイプ(23)の台船(22)を曳航する方式の散布装置は、更に広域に滴下することができる。
本発明の環境汚染浄化補助剤により汚染域を分解・浄化するメカニズムと、従来の分解・浄化するメカニズムを説明するフロー図である。 本発明の環境汚染浄化補助剤の製造方法を示すフロー図である。 本発明の環境汚染浄化補助剤を汚泥に滴下した時に水を滴下したサンプルとの細胞外高分子物質(EPS)の生成率の比較を示すグラフである。 本発明の環境汚染浄化補助剤を原油に滴下した時の容量変化(分解量の変化)を時間比で示したグラフである。 本発明の環境汚染浄化補助剤を活性汚泥中に滴下した時に水を滴下したサンプルとのバクテリア数の比較顕微鏡写真である。 本発明の環境汚染浄化補助剤を油に滴下した時の油の分解過程を映した写真である。 河川に本発明の環境汚染浄化補助剤を滴下する場合の滴下状況を示す写真である。 河川で本発明の環境汚染浄化補助剤を河川流量に対して8ppm滴下、使用した時の滴下前の汚染状況写真と滴下6ヶ月後と滴下1年後の状況写真である。 海域における本発明の環境汚染浄化補助剤を排水口における流出量に対し、10ppm滴下、使用したケースの施工例写真と水質透明度写真とCOD値の実験前と実験後の対比および、改善率である。 本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのCOD値の水質データの推移を示すグラフである。 本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのTN(総窒素量)の水質データの推移を示すグラフである。 本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのTP(総リン量)の水質データの推移を示すグラフである。 (a)(b)(c)は活性汚泥法の公共汚水処理場に本発明の環境汚染浄化補助剤を使用したときの状態を示す写真である。 本発明の環境汚染浄化補助剤を、湖沼における汚染域にスプリンクラー方式で散布する方法の概略説明図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図、(c)はタンク部分の拡大正面図、(d)はスプリンクラー、フロートとチューブ部分の拡大正面図、(E)はスプリンクラーとフロート部分の拡大正面図である。 海域等の汚染域が広大な場合に本発明の環境汚染浄化補助剤を汚染域に散布する際に、専用船で散布する方式の概略説明図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図、(c)は全体側面図である。
<環境汚染浄化補助剤の浄化メカニズム>
図1は本発明の環境汚染浄化補助剤により汚染域を分解・浄化するメカニズムと、従来の分解・浄化するメカニズムを説明するフロー図である。
本発明の環境汚染浄化補助剤は、汚染域中の微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS Extracellular polymeric substances)の増殖に寄与する、酵母、黒酢のもろみ、ビタミンBと、栄養源であるグルコース(ブドウ糖)と果物から抽出した酵素を混合した環境汚染浄化補助剤である。
本発明の環境汚染浄化補助剤は、次のようなメカニズムにより汚染域を浄化する。
本発明の環境汚染浄化補助剤により増殖される細胞外高分子物質とは、微生物が環境へと分泌する高分子である。この細胞外高分子物質が形成するバイオフィルム(生物膜)は細菌をはじめ微生物に付着する。更に、バイオフィルム(生物膜)は一般的な生態環境において固体や液体の表面に付着する。このバイオフィルムは、都合の良い生息条件を獲得して同質の物質を増殖させる機能を有する、
細胞外高分子物質は、バイオフィルムの物理化学的特性を決定する基本的な構成要素と考えられている。細胞外高分子物質は、主に多糖類とタンパク質から成り、そのほか、DNAや脂質や腐植物質といった巨大分子も含む。また、細胞外高分子物質は、細菌群衆の生息地の構成材料である。これは、細胞の外表面に付着し続けるか、増殖培地中に分泌されている。これらの化合物は、その表面でのバイオフィルムの形成および細胞接着に重要な物質である。
細胞外高分子物質(EPS)を増殖させて、バイオフィルムの形成を促進させることで、バイオフィルム内の微生物を効率的に育成、増殖させる。汚染域中の微生物の数を増やすことで汚染物質の分解を促進させること、酵素の触媒反応により、微生物と汚染物質の接触確率を向上して、微生物による汚染物質の分解を促進させること、更に、生体の酸化、還元反応や光合成作用等の化学反応を促進させること、等の相乗効果で汚染域中の汚染物質の分解に係る微生物の活動環境を整えて、汚染物質の分解を促進し、汚染域を継続的に浄化する。
そこで、この細胞外高分子物質を増殖させる際に必要な物質として、本発明の環境汚染浄化補助剤が機能する。本発明の環境汚染浄化補助剤は、汚染域中の微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させることに寄与するアミノ酸を豊富に含有する酵母、黒酢のもろみと触媒機能を有する酵素と補酵素の機能を有するビタミンBと微生物の栄養源であるグルコース(ブドウ糖)と、を混合したものである。
この環境汚染浄化補助剤の使用に際し、不純物が混入されていない水で希釈して、汚染域に継続的に滴下又は散布し、その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質を増殖させて、バイオフィルムの形成を促進させることで、バイオフィルム内の微生物を効率的に育成、増殖させ、汚染域中の微生物の数を増やすことで汚染物質の分解を促進させること、酵素の触媒反応により、微生物と汚染物質の接触確率を向上して、微生物による汚染物質の分解を促進させること、更に、生体の酸化、還元反応や光合成作用等の化学反応を促進させること、等の相乗効果で汚染域中の汚染物質の分解に係る微生物の活動環境を整えて、汚染物質の分解を促進し、汚染域を継続的に浄化することができる。
<環境汚染浄化補助剤の製造方法>
図2は本発明の環境汚染浄化補助剤の製造方法を示すフロー図である。
本発明の環境汚染浄化補助剤は、図2に示すような製造方法により製造する。本発明の環境汚染浄化補助剤は、先ず、果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、に水を加えて混合して酵素水を生成する。
酵素は、その原材料として例えば青パパイヤを使用する。青パパイヤの果実に、黒酢のもろみと水を混合し、撹拌機でよく攪拌することで青パパイヤ酵素水が完成する。この酵素水を製造する際に、ミネラルウォーターを使用することが望ましい。
青パパイヤ酵素には、有害物質の分解や免疫力の向上及び科学的な物質から発生する活性酸素を除去する抗酸化機能がある。さらに、酵素水は生体内における化学反応に対して触媒として働き、その反応速度を速める役割を有する。
本発明で使用する青パパイヤ酵素は、果物から抽出されるブロメライン酵素であれば良く、青パパイヤ酵素に限定されるものではない。
黒酢のもろみは、クエン酸、アミノ酸を豊富に含有している。黒酢のもろみは焼酎を蒸留する工程で生まれる副産物である酒粕を原料として使用した酢である。黒酢のもろみ中のアミノ酸はたんぱく質の質を決定する重要な成分で、生命の源となる栄養成分である。アミノ酸は酵母にも多く含有しており、それが微生物の細胞外高分子物質(EPS)の生成に大きく関与している。
次に、この青パパイヤ酵素水に、サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合した混合液を生成する。酵母は、例えばビール酵母を使用する。この酵母にはサッカロミケス属の酵母であればそれに限定されるものではない。例えばパン酵母やワイン酵母でも良い。後述する実験で用いた環境汚染浄化補助剤の製造に用いた酵母はビール酵母を使用しているが、それに限定されるものではなく、サッカロミケス属の酵母であればよい。
ビール酵母にはアミノ酸やビタミンB、各種ミネラル類、食物繊維をバランスよく含む。他にも抗酸化力や有害物質と結合して排出する機能を持つグルタチオンや細胞膜にはエルゴステロールという脂肪成分を含有する。
ビタミンBは、あらゆる酵素の補酵素であり、アミノ酸の代謝には欠かせない栄養素である。グルコース(ブドウ糖)は微生物の栄養源である。
最後にそれらの混入液を55℃で1時間以上加熱した後、常温で冷却したものをろ過して環境汚染浄化補助剤の原液が完成する。この環境汚染浄化補助剤を使用する際には原液を水で1000~5000倍に希釈する。
本発明者は食品等の増粘、ゲル化、安定化、の目的で使用される多糖類の中で、キサンタンガムの生産方法に注目した。
キサンタンガムは、微生物がブドウ糖などを栄養源として菌体外に分泌した多糖類、を、回収、精製して生産したもので、側鎖に含まれるカルボシル基とピルビン酸により、マイナスの荷電を持った水溶性高分子である。つまり、細胞外高分子物質(EPS)の主成分である多糖類を回収、精製されたものである。
本発明者はキサンタンガム生産過程で、微生物の栄養源としてブドウ糖が使用されていることに着目した。
ブドウ糖は太陽エネルギーを使って、水と二酸化炭素から光合成によって作られたもので、細胞呼吸のための最も重要なエネルギー源であり、微生物とそれらが分泌する細胞外高分子物質(EPS)の増殖に有効であると考えて、本発明の環境汚染浄化補助剤に加えることとした。
図3は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚泥に滴下した時に水を滴下したサンプルとの細胞外高分子物質(EPS)の生成率の比較を示すグラフである。
図示では、汚泥に環境汚染浄化補助剤を滴下したものを実線で示し、汚泥と水のみは点線で示す。環境汚染浄化補助剤を滴下した汚泥は、20日、40日、更に60日と汚泥中の細胞外高分子物質(EPS)が約1.8%から60日目には約2.2%と約22%増加している。又、本発明の環境汚染浄化補助剤を継続滴下することでEPSが時間の経過に伴い増加していることが分かる。水を滴下したサンプルは、ほとんど変化が見られなかったことから、本発明の環境汚染浄化補助剤には微生物の細胞外高分子物質(EPS)を増殖させる機能が有ることが分かる。細胞外高分子物質(EPS)は微生物が分泌するものであることから、EPSの増加は微生物の増加を意味している。過去の多くの実施例においても、環境汚染浄化補助剤を汚染域に滴下後、時間の経過に伴い浄化率(改善率)が向上していることからも立証されている。
図4は本発明の環境汚染浄化補助剤を原油に滴下した時の容量変化(分解量の変化)を時間比で示したグラフである。
図示では、原油に環境汚染浄化補助剤を滴下したものを実線で示し、滴下しないものは点線で示す。本発明の環境汚染浄化補助剤を原油に滴下した場合、60日間で約50%原油の容量が減っていることが分かる。又、時間の経過に伴い減量が進行していることが分かる。環境汚染浄化補助剤なしのサンプルでは原油の減量は見られず、ほぼ一定である。この2つのサンプルの対比から、原油の減量要因として揮発や蒸発はあり得ないので、原油中に存在する耐性菌による分解で減量が起こっているとしか考えられない。
図5は活性汚泥中に本発明の環境汚染浄化補助剤を滴下したサンプルと水を滴下したサンプルのバクテリア数を観測した顕微鏡写真である。
環境汚染浄化補助剤を滴下したサンプル中に確認できるバクテリアの数は、水を滴下したサンプル中のバクテリア数に比べ、明らかに多いことが良く分かる。
図6は本発明の環境汚染浄化補助剤を油に滴下した時の油の分解過程を映した写真であり、(a)は上方から観察した状態、(b)は側方から観察した状態である。
本発明の環境汚染浄化補助剤の滴下を開始して数日後には油中にバイオフィルムが出現し、1~2週間後にはバイオフィルムの成長、増殖が見られ、石油耐性・分解菌による石油の分解過程で見られる石油乳濁化現象もはっきりと確認できた。
図6の(a)と(b)に示すように、環境汚染浄化補助剤を毎日1cc滴下したものである。滴下開始2日後にはバイオフィルムの形成が見られ、油の下部から木の根のようなものが出現した。7日後にはバイオフィルムが増加し、油の分解でできた木の根のようなものが切り離されて、容器の底に堆積している。14日後には油の分解が進み、乳濁化現象がはっきりと見られる。又、バイオフィルムも大きく成長している。堆積物も増加している。
図7は河川に本発明の環境汚染浄化補助剤を滴下する場合の滴下状況を示す写真である。
実際の汚染域の代表である河川に本発明の環境浄化補助剤を用いて浄化された状態の調査について説明する。調査項目はBOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)、TSS(総浮遊物質)、DO値(溶存酸素量)、オイル、窒素、燐、銅、亜鉛、鉛、カドミウム、クロムである。表1の水質データは、本発明の環境浄化補助剤を河川で河川流量の8ppm滴下、使用したケースの水質データを示す。この水質データが示すとおり、全ての項目で本発明の環境汚染浄化補助剤を滴下後、数値が改善されているのが良く分かる。
特に、銅化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、カドミウム、クロムの数値改善は一般的な微生物では分解できない物質であるにもかかわらず、数値が低下している原因を考えるに、それらの物質に耐性をもった微生物が出現し、分解したものと考えられる。内、カドミウム、クロムについては検出量が非常に微量である為、別途検証が必要である。
Figure 2023128215000002
図8は河川で本発明の環境汚染浄化補助剤を河川流量に対して8ppm滴下、使用した時の滴下前の汚染状況写真と滴下6ヶ月後と滴下1年後の状況写真である。
工場から排出される排水には油分が含まれており、この河川は世界でもワースト10に入る程度の汚染された川であり、魚等の生き物を目視することはなかった。本発明の環境汚染浄化補助剤の滴下6ヵ月後には子供達が水泳を楽しめる状況まで水質は改善され、1年後には生態系が回復し、いたるところで魚を見ることができる状態までに水質が改善した。
図9は海域における本発明の環境汚染浄化補助剤を排水口における流出量に対し、10ppm滴下、使用したケースの施工例写真と水質透明度写真とCOD値の実験前と実験後の対比および、改善率である。
本現場海域には近くの動物園から糞尿汚染水が毎日流出しており、悪臭がひどく近くのレストランでは客足が遠のく状況であった。本発明の環境汚染浄化補助剤を排水口で滴下して1ヶ月後にはほとんど悪臭は無くなり、海域の透明度も改善し、多くの魚が排水口周辺に集まり目撃されるようになった。本実験の結果から、本発明の環境汚染浄化補助剤は海域汚染に対しても有効であることが立証された。
図10は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのCOD値の水質データの推移を示すグラフである。図11は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのTN(総窒素量)の水質データの推移を示すグラフである。図12は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときのTP(総リン量)の水質データの推移を示すグラフである。
表2の汚水浄化水質データは、製薬会社の汚水処理に本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理量に対して100ppm滴下、使用したときの水質データとそれらの改善率を表した表と、COD、TN、TP値の推移を示す表である。
この実験の対象になった製薬会社の排水の特徴として、pH値が4以下と酸性の強い排水であることと、処理前のCODが40,000mg/Lと汚染度が大きいことが上げられる。製薬会社から相談を受けた時pH値が4以下は一般的な微生物は生存できないレベルなので本発明の環境汚染浄化補助剤で水質改善が可能か不安であった。本来ならpH値の調整を行った後で処理を行うべきと考えたが、設備費がかかるので製薬会社と協議し、とりあえず、本発明の環境汚染浄化補助剤の滴下で試験施工を行うことにした。可能性があると判断した根拠は本発明の環境汚染浄化補助剤に使用されて、重要な働きをする酵母菌の酸性限界値が3であるため、酵母菌は生存できると考えた結果である。試験施工の結果、本発明の環境汚染浄化補助剤の使用で大きく水質改善が可能であるとの結論に至った。
Figure 2023128215000003
以下、pH値による主な微生物の生育限界値と最適値を示す。
酵母菌:酸性限界値 3.0
アルカリ限界値 8.5
最適値 4~5の弱酸性域
一般細菌:酸性限界値 5.0
アルカリ限界値 8.0
最適値 6~7の中性域
大腸菌:酸性限界値 4.5
アルカリ限界値 9.0
最補助適値 7~7.5
微生物の生育に適したpH値は一般細菌でpH6~8の中性域を好み、カビや酵母はpH4~7の弱酸性域でよく生育する。pH値4以下の低い領域では、ほとんどの微生物は生育できない。一般的に細菌はpH6~8の中性域、カビや酵母はpH4~7の弱酸性域でよく生育する。pH4以下の低いpH域では酸性を好む極小数の酸性耐性菌を除き、ほとんどの微生物は生育できない。本発明の環境汚染浄化補助剤を使用することで、pH4前後の汚染水に関しても水質改善が可能であることが本実験で証明することができた。また、CODに関してもCOD値が40,000mg/Lレベルの高濃度汚染水に対しても本発明の環境汚染浄化補助剤の有効性が立証された。
表3から表5は活性汚泥法の公共汚水処理場で本発明の環境汚染浄化補助剤を処理量に対して10ppm滴下、使用したときの主な水質管理項目の推移を示した水質データを示す表である。表3は二級処理出水値、表4も同じく二級処理出水値の水質データである。表5は廃水口の数値のデータである。
汚水処理場に本発明の環境汚染浄化補助剤を滴下することで、バッキ量を低減して電気代の節約、凝集剤の使用量の削減、余剰汚泥の削減による処分コストの削減等の施設運営ランニングコストの低減に寄与する。一般的な汚水処理場の場合、処理水の滞留時間は20~24時間程度で微生物処理には時間が短く、本発明の環境汚染浄化補助剤を使用しても大幅な水質改善は難しく、排水基準値を守りながら、ランニングコストの削減に寄与することになる。しかし、比較的に処理が難しい燐の削減効果がある点が本技術の利点でもある。また余剰汚泥の削減は、返送汚泥をすることで、活性化された微生物が長時間処理槽内に留まることで汚泥分解が可能となり、結果として余剰汚泥量の削減が可能になる。
次に汚水処理場で本発明の環境汚染浄化補助剤を使用した場合の滴下開始から3ヶ月までに起こる主な現象を述べる。
(環境汚染浄化補助剤滴下に伴う主な現象)
バッキ量を20%落し、環境汚染浄化補助剤を処理量の10ppm滴下した。
SV30:環境汚染浄化補助剤滴下1ヶ月後には滴下前に比べて約8%下降するが3ヶ月目には元の数値近くまで戻る。
MLSS:環境汚染浄化補助剤滴下1~2ヶ月後には滴下前に比べて約7%上昇するが3ヶ月には元の数値近くに戻る。
MLVSS:環境汚染浄化補助剤滴下1~2ヶ月後には滴下前に比べて約6%上昇するが3ヶ月目には元の数値近くに戻る。
SV1:環境汚染浄化補助剤滴下1~2ヶ月後には滴下前に比べて約9.8~7.6%下降するが3ヶ月目には元の数値近くに戻る。
本発明の環境汚染浄化補助剤の滴下1ヶ月後辺りから、汚泥分解が激しくなり、特に沈殿槽の底や壁に付着した古い汚泥が微生物の働きで分解し、剥がれて水面上にフロック、スカムとなって浮上、浮遊する。過去に堆積、付着していた古い汚泥の量が多い場合、それが微生物により分解されて無くなるまで数ヶ月かかるケースもある。その間は余剰汚泥量が増加するが、古い汚泥が微生物により分解されて無くなれば確実に減量に向かう。その間、バルキングは起きない。
汚泥分解が進み排出汚泥量が0もしくは減量される過程で沈殿槽では微生物により汚泥が分解、細分化されるため、沈降速度が低下して粒子の小さいフロックが沈殿槽内を浮遊するが、バルキングは起きなかった。
Figure 2023128215000004
Figure 2023128215000005
Figure 2023128215000006
図13(a)(b)(c)は活性汚泥法の公共汚水処理場に本発明の環境汚染浄化補助剤を使用したときの状態を示す写真である。
本発明の環境汚染浄化補助剤を汚染域に散布することで汚染域が変化する状態を説明する。図13(a)は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理場に散布した状況写真である。図13(b)は処理層内で活発な汚泥分解が始まり、沈殿槽内の底や壁に付着していた古い汚泥が剥がれて沈殿槽内の水面にフロック、スカム、コロニーが多く浮遊している状況写真である。図13(c)は本発明の環境汚染浄化補助剤を汚染域に散布したあと2か月後の写真であり、沈殿槽内の水面にフロック、スカム、コロニーが多く浮遊している状況である。
<環境汚染浄化補助剤を汚水処理場(活性汚泥処理法)に使用した場合>
次に、本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理場(活性汚泥処理法)に使用した場合について説明する。
活性汚泥法とは好気性微生物を利用して水中の有機物を処理する方法である。活性汚泥法の浄化のプロセスは以下の通りである。
(1)バッキ槽内で微生物に空気(酸素)を供給して好気性微生物を活性化する。
(2)活性化した好気性微生物に有機物を分解させる。
(3)その後、沈殿槽で処理水に凝集剤を投入して、バッキ槽で分解できなかった有機物(活性汚泥のフロック)を凝集させて沈殿しやすくして、分離することで、上澄み液を処理水として放流する。
(4)沈殿させたフロックは沈殿槽底部に設置した沈殿物かき寄せレーキで集めて、一部は返送汚泥としてバッキ槽に返送され、残りは余剰汚泥として抜き取り、脱水、乾燥させて焼却処分か、埋め立て処分される。
以上のプロセスで汚水の処理を行う活性汚泥法では、施設の運営コスト、中でも凝集剤にかかるコストと余剰汚泥の処分にかかるコストが大きな負担となっている。
汚泥処分では焼却時に発生するCO2による環境への負荷や、埋め立て処分後の二次汚染の問題や処分場の不足問題も発生している。
本発明の環境汚染浄化補助剤の使用でそのような諸問題を解決又は軽減することができる。環境汚染浄化補助剤の最大の特徴は、嫌気性微生物を活性化して、有効に利用することが可能である。汚水中に含まれる窒素や燐は好気性微生物だけでは十分に分解することができないので、それらの排水基準値をクリアするために、多くの凝集剤が使用されている。
本発明の環境汚染浄化補助剤に含まれる酵素、補酵素によって、微生物を触媒反応で活性化して、それらの働きで窒素、燐を分解処理できる。
例えば、下記のような微生物を利用して分解する。
(1)硝酸、亜硝酸の還元(脱窒菌)
(2)硫酸の還元(硫酸還元菌)
(3)水素イオンの還元(水素生成菌)
(4)メタンの生成(メタン生成菌)
(5)酢酸、酪酸の還元(ポリリン酸蓄積細菌)など
本発明の環境汚染浄化補助剤の汚水処理場への使用例から以下のような結果が確認されている。
(1)使用1か月後には使用前に比べて窒素で20~30%削減できた。
(2)使用1か月後には使用前に比べて燐で30~50%削減できた。
(3)結果として、凝集剤の使用量を夏場で使用前に比べて0~20%に削減できた。
(4)結果として、凝集剤の使用量を冬場で、使用前に比べて20~30%に削減できた。
(5)余剰汚泥の排出量は使用3か月以降、使用前に比べて0~30%に減量できた。
結果として、本発明の環境汚染浄化補助剤を汚水処理場で使用した場合、ランニングコストを50~70%削減することができる。(例えば、10万トン/日の処理場の場合、年間約1億円~1億3千万円の削減)又、余剰汚泥量の削減により、環境への負荷軽減にも貢献することができる。
<環境汚染浄化補助剤の散布方法1(汚染域が湖沼)>
図14は本発明の環境汚染浄化補助剤を、湖沼における汚染域にスプリンクラー方式で散布する方法の概略説明図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図、(c)はタンク部分の拡大正面図、(d)はスプリンクラー、フロートとチューブ部分の拡大正面図、(E)はスプリンクラーとフロート部分の拡大正面図である。
汚染域が湖沼のようなにおける本発明の環境汚染浄化補助剤を広範囲に定期的に散布する際は、水面に浮くフロート11にスプリンクラー12を取り付け、このスプリンクラー12にタンク13内に充填した環境汚染浄化補助剤はチューブ14を通して供給するようになっている。このフロート11とスプリンクラー12を複数所定の間隔を設けて配置する。タンク13内の環境汚染浄化補助剤は、ポンプ15を用いてスプリンクラー12から散布する。各スプリンクラー12はフロート11上に水面を常に浮いているので、湖沼の水量の変化により水面が上下しても、環境汚染浄化補助剤を安定した状態で散布することができる。
<環境汚染浄化補助剤の散布方法2(汚染域が海域)>
図15は海域等の汚染域が広大な場合に本発明の環境汚染浄化補助剤を汚染域に散布する際に、専用船で散布する方式の概略説明図であり、(a)は全体正面図、(b)は全体平面図、(c)は全体側面図である。
本発明の環境汚染浄化補助剤を、河川や海域のような汚染域が広範囲になり、定期的に散布する際は、曳航船21に曳かれる台船22に横長の滴下パイプ23を取り付けたものを用いる。この滴下パイプ23は、台船22に取り付けられた支持フレーム24にワイヤー25で吊らされている。この滴下パイプ23に多数の滴下孔が開けられている。タンク26内に充填した環境汚染浄化補助剤はチューブを通して各滴下孔から供給し、汚染域に滴下する。
タンク26とポンプ27は、この台船22内に搭載する。図示例のタンク26は、図14に示したような円筒形のものではなく、この台船22の船底に設けられた扁平なものである。重心を下げ安定した状態で台船22を航行させるためである。タンク26内の環境汚染浄化補助剤は、ポンプ27を用いて滴下パイプ23から散布するようになっている。横長の滴下パイプ23から広範囲に環境汚染浄化補助剤を安定した状態で散布することができる。
なお、本発明は、汚染域中の微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、バイオフィルム内の微生物を効率的に育成、増殖させ、汚染域中の微生物の数を増やすことで汚染物質の分解を促進させること、酵素の触媒反応により、微生物と汚染物質の接触確率を向上して、微生物による汚染物質の分解を促進させること、更に、生体の酸化、還元反応や光合成作用等の化学反応を促進させること、等の相乗効果で汚染域中の汚染物質の分解に係る微生物の活動環境を整えて、汚染物質の分解を促進し、汚染域を継続的に浄化することができる構成であれば、上述した発明の実施の形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
本発明の環境汚染浄化補助剤は河川、海域、湖沼、汚水処理場、土壌汚染域等、広範囲における環境汚染域に使用可能で、その浄化可能汚染物質も石油、有機化合物全般、無機物の一部等多種多様にわたる。
11 フロート
12 スプリンクラー
13 タンク
14 チューブ
21 曳航船
22 台船
23 滴下パイプ
26 タンク
27 ポンプ

Claims (4)

  1. 汚染水又は汚染土壌の汚染域に継続的に滴下又は散布して、その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(Extracellular polymeric substances EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、それらのバイオフィルム内で育成、増殖させた汚染物の分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応での働きで効率的に汚染物を分解して浄化する環境汚染浄化補助剤であって、
    果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、水と混合したものと、
    サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合して原液とした環境汚染浄化補助剤であり、
    該環境汚染浄化補助剤の使用に際し、不純物が混入されていない水で希釈して、汚染域に継続的に滴下又は散布し、
    その汚染域に既存する微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させることで、バイオフィルムの形成を促進させて、このバイオフィルム内の汚染物の分解や浄化に寄与する微生物をも育成、増殖させ、それらの汚染物の分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応で効率的に作用し汚染物を分解処理して継続的に汚染域を浄化する、ことを特徴とする環境汚染浄化補助剤。
  2. 汚染水又は汚染土壌の汚染域に継続的に滴下又は散布して、その汚染域に既存する分解微生物が分泌する細胞外高分子物質(EPS)を増殖させ、バイオフィルムを形成し、かつこのバイオフィルム内において分解や浄化に寄与する微生物を育成、増殖させ、それらの分解や浄化に寄与する微生物により、酵素の触媒反応で汚染物を効率的に分解や浄化処理して継続的に汚染域を浄化する環境汚染浄化補助剤の製造方法であって、
    先ず、果物から抽出したブロメライン酵素と、黒酢のもろみと、に水を加えて混合して酵素水を生成し、
    次に、該酵素水に、サッカロミケス属の酵母と、ビタミンBと、ブドウ糖と、を混合した混合液を生成し、
    最後に該混合液を、55~60℃で1時間以上加熱し、その後常温で冷却して原液を生成し、
    該原液を水で1000倍~5000倍に希釈して汚染域に滴下又は散布して使用する、ことを特徴とする環境汚染浄化補助剤の製造方法。
  3. 請求項1に記載の環境汚染浄化補助剤を不純物が混入していない水で希釈して、汚染された湖沼に散布する環境汚染浄化補助剤の散布装置であって、
    汚染域の水面に浮くフロート(11)に取り付けられた複数のスプリンクラー(12)と、
    各スプリンクラー(12)に繋げた、タンク(13)内に充填した環境汚染浄化補助剤を供給するチューブ(14)と、を備え、
    各スプリンクラー(12)はフロート(11)上に水面を常に浮いているので、湖沼の水量の変化により水面が上下しても、前記環境汚染浄化補助剤を散布することができる、ことを特徴とする環境汚染浄化補助剤の散布装置。
  4. 請求項1に記載の環境汚染浄化補助剤を不純物が混入されていない水で希釈して、汚染された海域、湖沼に散布する環境汚染浄化補助剤の散布装置であって、
    曳航船(21)に曳かれる台船(22)と、
    該台船(22)に横長に取り付けられた、多数の滴下孔が開けられた滴下パイプ(23)と、
    該台船(22)の船底に設けられたタンク(26)と、
    該タンク(26)内の環境汚染浄化補助剤をチューブに通して滴下パイプ(23)に供給するポンプ(27)と、を備え、
    台船(22)を曳航船(21)が曳航しながら滴下パイプ(23)から環境汚染浄化補助剤を散布する、ことを特徴とする環境汚染浄化補助剤の散布装置。
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