JP2023125704A - 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物 - Google Patents

光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2023125704A
JP2023125704A JP2022029949A JP2022029949A JP2023125704A JP 2023125704 A JP2023125704 A JP 2023125704A JP 2022029949 A JP2022029949 A JP 2022029949A JP 2022029949 A JP2022029949 A JP 2022029949A JP 2023125704 A JP2023125704 A JP 2023125704A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
lens
photosensitive composition
groups
formula
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022029949A
Other languages
English (en)
Inventor
梓実 佐藤
Azumi Sato
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Original Assignee
Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd filed Critical Tokyo Ohka Kogyo Co Ltd
Priority to JP2022029949A priority Critical patent/JP2023125704A/ja
Priority to TW111150110A priority patent/TW202336463A/zh
Priority to CN202310129399.2A priority patent/CN116661029A/zh
Publication of JP2023125704A publication Critical patent/JP2023125704A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • GPHYSICS
    • G03PHOTOGRAPHY; CINEMATOGRAPHY; ANALOGOUS TECHNIQUES USING WAVES OTHER THAN OPTICAL WAVES; ELECTROGRAPHY; HOLOGRAPHY
    • G03FPHOTOMECHANICAL PRODUCTION OF TEXTURED OR PATTERNED SURFACES, e.g. FOR PRINTING, FOR PROCESSING OF SEMICONDUCTOR DEVICES; MATERIALS THEREFOR; ORIGINALS THEREFOR; APPARATUS SPECIALLY ADAPTED THEREFOR
    • G03F7/00Photomechanical, e.g. photolithographic, production of textured or patterned surfaces, e.g. printing surfaces; Materials therefor, e.g. comprising photoresists; Apparatus specially adapted therefor
    • G03F7/004Photosensitive materials
    • G03F7/027Non-macromolecular photopolymerisable compounds having carbon-to-carbon double bonds, e.g. ethylenic compounds
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B3/00Simple or compound lenses

Landscapes

  • Physics & Mathematics (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Spectroscopy & Molecular Physics (AREA)
  • Materials For Photolithography (AREA)
  • Optical Elements Other Than Lenses (AREA)
  • Polyesters Or Polycarbonates (AREA)

Abstract

【課題】レンズとレンズ周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の光漏れを抑制することができる光学素子の製造方法と、当該光学素子の製造方法に使用し得る感光性組成物とを提供する。【解決手段】レンズとレンズ周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法であって、感光性組成物をレンズの曲面に塗布して塗布膜を形成し、塗布膜における遮光層が形成される位置を位置選択的に露光し、露光後の塗布膜を現像し、現像後の塗布膜を加熱して硬化させる製造方法において、感光性組成物として、アルカリ可溶性樹脂と光重合性モノマーと光重合開始剤と遮光剤と有機溶剤とを含み特定のチキソトロピーインデックス及び粘度を有する感光性組成物、又はアルカリ可溶性樹脂と光重合性モノマーと光重合開始剤と遮光剤と増粘剤と有機溶剤とを含む感光性組成物を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、レンズと遮光層とを備える光学素子の製造方法と、光学素子と、レンズに遮光層を形成するために用いられる感光性組成物に関する。
カメラ、顕微鏡、半導体露光装置、双眼鏡等の光学機器には、光学素子としてレンズが使用されている。
このようなレンズにおいて、入射光の反射により生じるフレアやゴースト等を抑制するために、レンズの周縁部にメッキや塗布プロセスにより艶消しフィルムを設ける技術(特許文献1を参照)や、黒色着色感光性樹脂組成物をレンズに塗布して形成した塗布膜を、位置選択的に露光及び現像してレンズの周縁部に遮光層を設ける技術(特許文献2を参照)が開示されている。
特開2020-109510号公報 特開2011-107588号公報
光学機器の小型化に伴いレンズも小型化しているため、より微細な遮光層等が望まれる。特許文献2のように、レンズにネガ型黒色着色感光性樹脂組成物を塗布して形成した塗布膜を、位置選択的に露光及び現像することにより、微細なパターン形状を有する遮光層を設けることができる。
しかし、特許文献2のように、レンズにネガ型黒色着色感光性樹脂組成物を塗布して形成した塗布膜を、位置選択的な露光及び現像することによって遮光層を設けると、当該遮光層において、入射光が透過してしまう光漏れが生じる場合がある。
詳述すると、例えば、レンズ1及び遮光層2を有する光学素子10を示す模式的断面図である図1に示すように、レンズ1にネガ型黒色着色感光性樹脂組成物を塗布して形成した塗布膜を、位置選択的な露光及び現像することによって、レンズ1にレンズ1の周縁に位置し少なくともレンズ1の曲面の一部を覆う遮光層2を設けると、遮光層2のうちレンズ1の曲面(すなわち傾斜面)上に設けられた箇所(傾斜部2a)において、遮光層の厚さが薄くなり、光漏れが生じてしまう場合がある。なお、遮光層2のうちレンズ1の平面(すなわち水平面)に設けられた箇所(平面部2b)は、光漏れは生じ難い。
光漏れが生じると、入射光の反射により生じるフレアやゴースト等が発生する場合がある。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、レンズと、レンズの周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の、光漏れを抑制することができる光学素子の製造方法と、当該光学素子の製造方法に使用し得る感光性組成物と、当該感光性組成物を用いた光学素子とを提供することを目的とする。
本発明者らは、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である感光性組成物を用いること、又は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む感光性組成物を用いることにより、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。具体的には、本発明は以下のものを提供する。
本発明の第1の態様は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法であって、
感光性組成物を前記レンズの前記曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
前記塗布膜における前記遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、
露光後の前記塗布膜を現像する、現像工程と、
現像後の前記塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有し、
前記感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、
前記感光性組成物は、25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である、光学素子の製造方法である。
V1/V2・・・(1)
(式(1)中、V1は、E型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
V2は、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
本発明の第2の態様は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法であって、
感光性組成物を前記レンズの前記曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
前記塗布膜における前記遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、
露光後の前記塗布膜を現像する、現像工程と、
現像後の前記塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有し、
前記感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む、光学素子の製造方法である。
本発明の第3の態様は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズに、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層を形成するために用いられる感光性組成物であって、
アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、
25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、
25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である、感光性組成物である。
V1/V2・・・(1)
(式(1)中、V1はE型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
V2はE型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
本発明の第4の態様は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズに、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層を形成するために用いられる感光性組成物であって、
アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む感光性組成物である。
本発明の第5の態様は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備え、
前記遮光層が、第3又は第4の態様にかかる感光性組成物の硬化物からなる、光学素子である。
本発明によれば、レンズと、レンズの周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の、光漏れを抑制することができる光学素子の製造方法と、当該光学素子の製造方法に使用し得る感光性組成物と、当該感光性組成物を用いた光学素子とを提供することができる。
レンズ及び遮光層を有する光学素子を示す模式的断面図である。 実施形態1で製造される光学素子の一例を示す模式図である。 光学素子の製造方法を説明する模式的断面図である。 遮光層の膜厚の評価方法を説明する模式的断面図である。
以下、本発明について、実施形態に基づいて説明を行う。なお、本明細書中において、「~」を用いて表される範囲について、両端の数値、又は比を含む範囲として定義する。
(実施形態1)
本実施形態の光学素子の製造方法は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、レンズの周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法である。
当該光学素子の製造方法は、感光性組成物をレンズの曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、塗布膜における遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、露光後の塗布膜を現像する、現像工程と、現像後の塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有する。
そして、塗布する感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含む。
また、感光性組成物は、25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である。
V1/V2・・・(1)
(式(1)中、V1は、E型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
V2は、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
本実施形態の光学素子の製造方法では、図2に示すように、レンズ1と、レンズ1の周縁に位置し少なくともレンズ1の曲面の一部を覆う遮光層2とを備える光学素子10を製造する。図2は、実施形態1で製造される光学素子の一例を示す模式図である。図1(a)は断面図である。図1(b)は平面図である。なお、図2のレンズ1や遮光層2の形状は、一例である。図2におけるレンズ1や遮光層2の形状は、所望する光学素子10に応じた種々の形状に変更し得る。
遮光層2が位置するレンズ1の周縁は、レンズ1の厚さ方向(光を入射させる方向)を軸とした時の周縁である。
ここで、感光性組成物をレンズ1に塗布して形成した塗布膜を、位置選択的な露光及び現像することによって、レンズ1の周縁に位置し少なくともレンズ1の曲面の一部を覆う遮光層2を形成すると、遮光層2のうちレンズ1の曲面(すなわち傾斜面)上に設けられた箇所(傾斜部2a)において、光漏れが生じ得る問題がある。光漏れが生じると、入射光の反射により生じるフレアやゴースト等が発生する懸念がある。
しかしながら、本実施形態においては、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、25℃において、上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上であるという特定の感光性組成物を用いることにより、後述する実施例に示されるように、上記の光漏れを抑制することができる。
レンズ1周縁のレンズ1の曲面は、傾斜しているため、レンズ1周縁のレンズ1の曲面(傾斜面)に感光性組成物をスプレー塗布等の方法により塗布して塗布膜を形成すると、感光性組成物がレンズ1の曲面の傾斜に沿って流れやすい。
感光性組成物が傾斜に沿って流れると、レンズ1の曲面上に薄い遮光層2(傾斜部2a)が形成される。薄い遮光層2を備える光学素子では、遮光層2が十分に光を吸収できず、光漏れが生じやすいと推測される。なお、遮光層2のうちレンズ1の平面上に該当する箇所(平面部2b)では、このような感光性組成物がレンズ1の曲面の傾斜に沿って流れる現象は生じないため、光漏れは生じ難い。
一方、本実施形態においては、上記特定の感光性組成物を用いて塗布膜を形成する。このため、感光性組成物は、レンズ1周縁のレンズ1の曲面(傾斜面)に留まりやすく、レンズ1の曲面に沿って流れ難い。この結果、レンズ1の曲面上に厚い遮光層2(傾斜部2a)を形成できる。厚い遮光層2を備える光学素子では、遮光層2が十分に光を吸収し、光漏れが抑制される。また、遮光層2のうちレンズ1の曲面上に形成される遮光層2(傾斜部2a)における光吸収能と、遮光層2のうちレンズ1の平面上に該当する箇所(平面部2b)における光吸収能との差を小さくすることもできる。
光漏れが抑制されるため、本実施形態において製造される、レンズ1に遮光層2が形成された光学素子10は、カメラ、顕微鏡、半導体露光装置等の光学機器に好ましく使用することができる。
また、上記特定の感光性組成物は、スプレー塗布等の塗布方法にも容易に適用でき、ハンドリング性が良好である。
上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスは、1.5以上であればよい。より光漏れを抑制する観点から、チキソトロピーインデックスは、1.60以上であることが好ましく、1.70以上であることがより好ましい。
また、上記粘度V2は、6cP以上であればよい。より光漏れを抑制する観点から、粘度V2は、8cP以上であることが好ましく、12cP以上であることがより好ましい。
上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスや、上記粘度V2は、詳しくは後述する感光性組成物が含む必須成分や任意成分について、種類や配合割合を調整することにより、所望の値にすることができる。例えば、増粘剤の種類や使用量を調整することにより、上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスや、上記粘度V2を調整することができる。
以下、各工程について、図3を用いて詳細に説明する。図3は、光学素子10の製造方法を説明する模式的断面図である。
<塗布膜形成工程>
塗布膜形成工程では、図3(a)及び図3(b)に示すように、感光性組成物を、レンズ1の曲面に塗布して塗布膜2aを形成する。
レンズ1の種類は、特に限定されない。図3においては、レンズ1として凸レンズを示したが、凹レンズでもよい。
レンズの材質も特に限定されない。好ましいレンズとしては、ガラス製のレンズや樹脂製のレンズが挙げられる。レンズを構成する樹脂としては、例えば、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、エポキシ樹脂やアクリル樹脂が挙げられる。
レンズの厚さも特に限定されないが、例えば1cm以下であり、100μm以上2000μm以下が好ましい。なお、レンズの厚さは、最も厚い部分の厚さである。レンズの直径は特に限定されないが、例えば40mm以下であり、1mm以上10mm以下が好ましく、1mm以上5mm以下がより好ましい。
塗布膜形成工程で、レンズ1に塗布する感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含む。
また、感光性組成物は、25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である。
V1/V2・・・(1)
(式(1)中、V1は、E型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
V2は、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
以下、塗布する感光性組成物について、必須又は任意の成分について説明する。
≪感光性組成物(黒色感光性組成物)≫
<アルカリ可溶性樹脂(A)>
感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)(以下、(A)成分ともいう。)を含む。感光性組成物にアルカリ可溶性樹脂(A)を配合することで、感光性組成物にアルカリ現像性を付与することができる。
ここで、本明細書において、アルカリ可溶性樹脂とは、分子内にアルカリ可溶性を持たせる官能基(例えば、フェノール性水酸基、カルボキシ基、スルホン酸基等)を備える樹脂を指す。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、エチレン性不飽和二重結合のような光重合性基を分子内に含む樹脂を含むのが好ましい。この場合、感光性組成物を用いて硬化物(遮光層)を形成する際に、アルカリ可溶性樹脂(A)と光重合性モノマー(B)との間で、架橋が生じる。このため、硬化物を形成する際のベーク温度が、例えば120℃以下、さらには100℃以下や95℃以下のような低い温度であっても、高い溶剤耐性を有する硬化物を形成しやすい。
光重合性基の典型例としては、例えば、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の不飽和二重結合を有する官能基が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(A)は、分子内にカルド構造を有する樹脂(a-1)を含むのが好ましい。カルド構造については、詳細に後述する。
分子内にカルド構造を有する樹脂を用いる場合、解像性に優れる感光性組成物を得やすく、感光性組成物を用いてレンズに対する密着性が良好な硬化物を形成しやすい。
〔カルド構造を有する樹脂(a-1)〕
カルド構造を有する樹脂(a-1)(以下カルド樹脂(a-1)とも記す。)としては、分子中にカルド構造を有し、所定のアルカリ可溶性を有する樹脂を用いることができる。カルド構造とは、第1の環状構造を構成している1つの環炭素原子に、第2の環状構造と第3の環状構造とが結合した骨格をいう。なお、第2の環状構造と、第3の環状構造とは、同一の構造であっても異なった構造であってもよい。
カルド構造の代表的な例としては、フルオレン環の9位の炭素原子に2つの芳香環(例えばベンゼン環)が結合した骨格が挙げられる。
カルド樹脂(a-1)としては、特に限定されるものではなく、従来公知の樹脂を用いることができる。その中でも、下記式(a-1)で表される樹脂が好ましい。下記式(a-1)で表される樹脂は、下記式(a-2)に示されるように、分子内に(メタ)アクリロイル基を有する。このため、下記式(a-1)で表される樹脂は、分子内に光重合性基を含む樹脂に該当する。
Figure 2023125704000001
式(a-1)中、Xは、下記式(a-2)で表される基を示す。m1は0以上20以下の整数を示す。
Figure 2023125704000002
上記式(a-2)中、Ra1は、それぞれ独立に水素原子、炭素原子数1以上6以下の炭化水素基、又はハロゲン原子を示し、Ra2は、それぞれ独立に水素原子又はメチル基を示し、Ra3は、それぞれ独立に直鎖又は分岐鎖のアルキレン基を示し、m2は、0又は1を示し、Wは、下記式(a-3)で表される基を示す。
Figure 2023125704000003
式(a-2)中、Ra3としては、炭素原子数1以上20以下のアルキレン基が好ましく、炭素原子数1以上10以下のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1以上6以下のアルキレン基が特に好ましく、エタン-1,2-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、及びプロパン1,3-ジイル基が最も好ましい。
式(a-3)中の環Aは、芳香族環と縮合していてもよく置換基を有していてもよい脂肪族環を示す。脂肪族環は、脂肪族炭化水素環であっても、脂肪族複素環であってもよい。
脂肪族環としては、モノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等が挙げられる。
具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンが挙げられる。
脂肪族環に縮合してもよい芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族複素環でもよく、芳香族炭化水素環が好ましい。具体的にはベンゼン環、及びナフタレン環が好ましい。
式(a-3)で表される2価基の好適な例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2023125704000004
式(a-1)中の2価基Xは、残基Zを与えるテトラカルボン酸二無水物と、下式(a-2a)で表されるジオール化合物とを反応させることにより、カルド樹脂(a-1)中に導入される。
Figure 2023125704000005
式(a-2a)中、Ra1、Ra2、Ra3、及びm2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2a)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
式(a-2a)で表されるジオール化合物は、例えば、以下の方法により製造し得る。
まず、下記式(a-2b)で表されるジオール化合物が有するフェノール性水酸基中の水素原子を、必要に応じて、常法に従って、-Ra3-OHで表される基に置換した後、エピクロルヒドリン等を用いてグリシジル化して、下記式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を得る。
次いで、式(a-2c)で表されるエポキシ化合物を、アクリル酸又はメタクリル酸と反応させることにより、式(a-2a)で表されるジオール化合物が得られる。
式(a-2b)及び式(a-2c)中、Ra1、Ra3、及びm2は、式(a-2)について説明した通りである。式(a-2b)及び式(a-2c)中の環Aについては、式(a-3)について説明した通りである。
なお、式(a-2a)で表されるジオール化合物の製造方法は、上記の方法に限定されない。
Figure 2023125704000006
式(a-2b)で表されるジオール化合物の好適な例としては、以下のジオール化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000007
上記式(a-1)中、Ra0は水素原子又は-CO-Y-COOHで表される基である。ここで、Yは、ジカルボン酸無水物から酸無水物基(-CO-O-CO-)を除いた残基を示す。ジカルボン酸無水物の例としては、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水クロレンド酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸等が挙げられる。
また、上記式(a-1)中、Zは、テトラカルボン酸二無水物から2個の酸無水物基を除いた残基を示す。テトラカルボン酸二無水物の例としては、下記式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
また、上記式(a-1)中、m1は、0以上20以下の整数を示す。
Figure 2023125704000008
(式(a-4)中、Ra4、Ra5、及びRa6は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上10以下のアルキル基及びフッ素原子からなる群より選択される1種を示し、m3は、0以上12以下の整数を示す。)
式(a-4)中のRa4として選択され得るアルキル基は、炭素原子数が1以上10以下のアルキル基である。アルキル基の備える炭素原子数をこの範囲に設定することで、得られるカルボン酸エステルの耐熱性を一段と向上させることができる。Ra4がアルキル基である場合、その炭素原子数は、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、1以上6以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上4以下がさらに好ましく、1以上3以下が特に好ましい。
a4がアルキル基である場合、当該アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
式(a-4)中のRa4としては、耐熱性に優れるカルド樹脂を得やすい点から、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1以上10以下のアルキル基がより好ましい。式(a-4)中のRa4は、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基又はイソプロピル基がより好ましく、水素原子又はメチル基が特に好ましい。
式(a-4)中の複数のRa4は、高純度のテトラカルボン酸二無水物の調製が容易であることから、同一の基であるのが好ましい。
式(a-4)中のm3は0以上12以下の整数を示す。m3の値を12以下とすることによって、テトラカルボン酸二無水物の精製を容易にすることができる。
テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、m3の上限は5が好ましく、3がより好ましい。
テトラカルボン酸二無水物の化学的安定性の点から、m3の下限は1が好ましく、2がより好ましい。
式(a-4)中のm3は、2又は3が特に好ましい。
式(a-4)中のRa5、及びRa6として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基は、Ra4として選択され得る炭素原子数1以上10以下のアルキル基と同様である。
a5、及びRa6は、テトラカルボン酸二無水物の精製が容易である点から、水素原子、又は炭素原子数1以上10以下(好ましくは1以上6以下、より好ましくは1以上5以下、さらに好ましくは1以上4以下、特に好ましくは1以上3以下)のアルキル基であるのが好ましく、水素原子又はメチル基であるのが特に好ましい。
式(a-4)で表されるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロペンタノン-5’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物(別名「ノルボルナン-2-スピロ-2’-シクロヘキサノン-6’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物」)、メチルノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘキサノン-α’-スピロ-2’’-(メチルノルボルナン)-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロプロパノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロブタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロヘプタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロオクタノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロノナノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロウンデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロドデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロトリデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロテトラデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-シクロペンタデカノン-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロペンタノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物、ノルボルナン-2-スピロ-α-(メチルシクロヘキサノン)-α’-スピロ-2’’-ノルボルナン-5,5’’,6,6’’-テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(A)中のカルド構造を有する樹脂(a-1)の含有量は、特に限定されないが、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましい。
カルド樹脂(a-1)の質量平均分子量は、1000以上40000以下が好ましく、1500以上30000以下がより好ましく、2000以上10000以下がさらに好ましい。上記の範囲とすることにより、良好な現像性を得ながら、硬化膜について十分な耐熱性と、機械的強度とを得ることができる。
本明細書において、質量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)のポリスチレン換算による測定値である。
〔ノボラック樹脂(a-2)〕
熱により流動又は変形しにくい高い耐熱性を硬化膜に与える観点から、アルカリ可溶性樹脂(A)として、ノボラック樹脂(a-2)を含むのも好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)としては、従来から感光性組成物に配合されている種々のノボラック樹脂を用いることができる。ノボラック樹脂(a-2)としては、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、単に「フェノール類」という。)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得られるものが好ましい。
(フェノール類)
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられるフェノール類としては、例えば、フェノール;o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,4-キシレノール、2,5-キシレノール、2,6-キシレノール、3,4-キシレノール、3,5-キシレノール等のキシレノール類;o-エチルフェノール、m-エチルフェノール、p-エチルフェノール等のエチルフェノール類;2-イソプロピルフェノール、3-イソプロピルフェノール、4-イソプロピルフェノール、o-ブチルフェノール、m-ブチルフェノール、p-ブチルフェノール、並びにp-tert-ブチルフェノール等のアルキルフェノール類;2,3,5-トリメチルフェノール、及び3,4,5-トリメチルフェノール等のトリアルキルフェノール類;レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、及びフロログリシノール等の多価フェノール類;アルキルレゾルシン、アルキルカテコール、及びアルキルハイドロキノン等のアルキル多価フェノール類(いずれのアルキル基も炭素原子数1以上4以下である。);α-ナフトール;β-ナフトール;ヒドロキシジフェニル;並びにビスフェノールA等が挙げられる。これらのフェノール類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらのフェノール類の中でも、m-クレゾール及びp-クレゾールが好ましく、m-クレゾールとp-クレゾールとを併用することがより好ましい。この場合、両者の配合割合を調整することにより、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性等の諸特性を調節することができる。
m-クレゾールとp-クレゾールの配合割合は特に限定されるものではないが、m-クレゾール/p-クレゾールのモル比で、3/7以上8/2以下が好ましい。m-クレゾール及びp-クレゾールをかかる範囲の比率で用いることにより、耐熱性に優れる硬化膜を形成可能な感光性組成物を得やすい。
また、m-クレゾールと、2,3,5-トリメチルフェノールとを併用して製造されるノボラック樹脂も好ましい。かかるノボラック樹脂を用いる場合、熱により流動又は変形しにくい高い耐熱性を有する硬化膜を形成できる感光性組成物を、特に得やすい。
m-クレゾールと2,3,5-トリメチルフェノールの配合割合は特に限定されるものではないが、m-クレゾール/2,3,5-トリメチルフェノールのモル比で、70/30以上95/5以下が好ましい。
(アルデヒド類)
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられるアルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、ニトロベンズアルデヒド、及びアセトアルデヒド等が挙げられる。これらのアルデヒド類は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(酸触媒)
ノボラック樹脂(a-2)を作製する際に用いられる酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、及び亜リン酸等の無機酸類;蟻酸、シュウ酸、酢酸、ジエチル硫酸、及びパラトルエンスルホン酸等の有機酸類;並びに酢酸亜鉛等の金属塩類等が挙げられる。これらの酸触媒は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(分子量)
ノボラック樹脂(a-2)のポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性の観点から、下限値として2000が好ましく、5000がより好ましく、10000が特に好ましく、15000がさらに好ましく、20000が最も好ましく、上限値として50000が好ましく、45000がより好ましく、40000がさらに好ましく、35000が最も好ましい。
ノボラック樹脂(a-2)としては、ポリスチレン換算の質量平均分子量が異なるものを少なくとも2種組み合わせて用いることができる。質量平均分子量が異なるものを大小組み合わせて用いることにより、感光性組成物の現像性と、感光性組成物を用いて形成される硬化膜の耐熱性とのバランスをとることができる。
〔変性エポキシ樹脂(a-3)〕
硬化膜に高い耐水性を付与しやすい点から、アルカリ可溶性樹脂(A)として、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応物の、多塩基酸無水物(a-3c)付加体(a-3)を含んでいてもよい。かかる付加体について、「変性エポキシ樹脂(a-3)」とも記す。
なお、本出願の明細書及び特許請求の範囲において、上記の定義に該当する化合物であって、前述のカルド構造を有する樹脂(a-1)に該当しない化合物を、変性エポキシ樹脂(a-3)とする。
以下、エポキシ化合物(a-3a)、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)、及び多塩基酸無水物(a-3c)について説明する。
<エポキシ化合物(a-3a)>
エポキシ化合物(a-3a)は、エポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物であっても、芳香族基を含まない脂肪族エポキシ化合物であってもよく、芳香族基を有する芳香族エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)は、単官能エポキシ化合物であっても、2官能以上の多官能エポキシ化合物であってもよく、多官能エポキシ化合物が好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂等の2官能エポキシ樹脂;ダイマー酸グリシジルエステル、及びトリグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;テトラグリシジルアミノジフェニルメタン、トリグリシジル-p-アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシリレンジアミン、及びテトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサン等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート等の複素環式エポキシ樹脂;フロログリシノールトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシビフェニルトリグリシジルエーテル、トリヒドロキシフェニルメタントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、2-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-2-[4-[1,1-ビス[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]エチル]フェニル]プロパン、及び1,3-ビス[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-[4-[1-[4-(2,3-エポキシプロポキシ)フェニル]-1-メチルエチル]フェニル]エチル]フェノキシ]-2-プロパノール等の3官能型エポキシ樹脂;テトラヒドロキシフェニルエタンテトラグリシジルエーテル、テトラグリシジルベンゾフェノン、ビスレゾルシノールテトラグリシジルエーテル、及びテトラグリシドキシビフェニル等の4官能型エポキシ樹脂が挙げられる。
また、エポキシ化合物(a-3a)としては、ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物が好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、主鎖に下記式(a-3a-1)で表されるビフェニル骨格を少なくとも1つ以上有するのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物は、2以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ化合物であるのが好ましい。
ビフェニル骨格を有するエポキシ化合物を用いることにより、感度と現像性とのバランスに優れ、レンズへの密着性に優れた硬化膜を形成できる感光性組成物を得やすい。
Figure 2023125704000009
(式(a-3a-1)中、Ra7は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上12以下のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換基を有してもよいフェニル基であり、jは1以上4以下の整数である。)
a7が炭素原子数1以上12以下のアルキル基である場合、アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基、n-ウンデシル基、及びn-ドデシル基が挙げられる。
a7がハロゲン原子である場合、ハロゲン原子の具体例としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が挙げられる。
a7が置換基を有してもよいフェニル基である場合、フェニル基上の置換基の数は特に限定されない。フェニル基上の置換基の数は、0以上5以下であり、0又は1が好ましい。
置換基の例としては、炭素原子数1以上4以下のアルキル基、炭素原子数1以上4以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上4以下の脂肪族アシル基、ハロゲン原子、シアノ基、及びニトロ基が挙げられる。
上記式(a-3a-1)で表されるビフェニル骨格を有するエポキシ化合物(a-3a)としては特に限定されないが、例えば、下記式(a-3a-2)で表されるエポキシ化合物を挙げることができる。
Figure 2023125704000010
(式(a-3a-2)中、Ra7及びjは、式(a-3a-1)と同様であり、kは括弧内の構成単位の平均繰り返し数であって0以上10以下である。)
式(a-3a-2)で表されるエポキシ化合物の中では、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を特に得やすいことから、下記式(a-3a-3)で表される化合物が好ましい。
Figure 2023125704000011
(式(a-3a-3)中、kは、式(a-3a-2)と同様である。)
(不飽和基含有カルボン酸(a-3b))
変性エポキシ化合物(a-3)と調製するにあたって、エポキシ化合物(a-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを反応させる。
不飽和基含有カルボン酸(a-3b)としては、分子中にアクリル基やメタクリル基等の反応性の不飽和二重結合を含有するモノカルボン酸が好ましい。このような不飽和基含有カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸、α-シアノ桂皮酸、桂皮酸等を挙げることができる。また、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
エポキシ化合物(a-3a)と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とは、公知の方法により反応させることができる。好ましい反応方法としては、例えば、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを、トリエチルアミン、ベンジルエチルアミン等の3級アミン、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩、ピリジン、又はトリフェニルホスフィン等を触媒として、有機溶剤中、反応温度50℃以上150℃以下で数時間から数十時間反応させる方法が挙げられる。
エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応における両者の使用量の比率は、エポキシ化合物(a-3a)のエポキシ当量と、不飽和基含有カルボン酸(a-3b)のカルボン酸当量との比として、通常1:0.5~1:2が好ましく、1:0.8~1:1.25がより好ましく、1:0.9~1:1.1が特に好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)の使用量と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)の使用量との比率が、前記の当量比で1:0.5~1:2であると、架橋効率が向上する傾向があり好ましい。
(多塩基酸無水物(a-3c))
多塩基酸無水物(a-3c)は、2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸の無水物である。
多塩基酸無水物(a-3c)としては、特に限定されないが、例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3-メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、4-メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、4-エチルヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、3-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-メチルテトラヒドロ無水フタル酸、3-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、4-エチルテトラヒドロ無水フタル酸、下記式(a-3c-1)で表される化合物、及び下記式(a-3c-2)で表される化合物を挙げることができる。また、多塩基酸無水物(a-3c)は、単独又は2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
Figure 2023125704000012
(式(a-3c-2)中、Ra8は、炭素原子数1以上10以下の置換基を有してもよいアルキレン基を示す。)
多塩基酸無水物(a-3c)としては、感度と現像性とのバランスに優れる感光性組成物を得やすいことから、ベンゼン環を2個以上有する化合物であることが好ましい。また、多塩基酸無水物(a-3c)は、上記式(a-3c-1)で表される化合物、及び上記式(a-3c-2)で表される化合物の少なくとも一方を含むのがより好ましい。
エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)とを反応させた後、多塩基酸無水物(a-3c)を反応させる方法は、公知の方法から適宜選択できる。
また、使用量比は、エポキシ化合物(a-3a)と不飽和基含有カルボン酸(a-3b)との反応後の成分中のOH基のモル数と、多塩基酸無水物(a-3c)の酸無水物基の当量比で、通常1:1~1:0.1であり、好ましくは1:0.8~1:0.2である。上記範囲とすることにより、現像性が良好である感光性組成物を得やすい。
また、変性エポキシ樹脂(a-3)の酸価は、樹脂固形分で、10mgKOH/g以上150mgKOH/g以下であることが好ましく、より好ましくは、70mgKOH/g以上110mgKOH/g以下である。樹脂の酸価を10mgKOH/g以上にすることにより現像液に対する充分な溶解性が得られ、また、酸価を150mgKOH/g以下にすることにより充分な硬化性を得ることができ、表面性を良好にすることができる。
また、変性エポキシ樹脂(a-3)の質量平均分子量は、1000以上40000以下であることが好ましく、より好ましくは、2000以上30000以下である。質量平均分子量が1000以上であることにより耐熱性、及び強度に優れる硬化膜を形成しやすい。また、40000以下であることにより現像液に対する十分な溶解性を示す感光性組成物を得やすい。
〔アクリル系樹脂(a-4)〕
アルカリ可溶性樹脂(A)として、アクリル系樹脂(a-4)も好ましい。
アクリル系樹脂(a-4)としては、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位、及び/又は(メタ)アクリル酸エステル等の他のモノマーに由来する構成単位を含むものを用いることができる。(メタ)アクリル酸は、アクリル酸、又はメタクリル酸である。(メタ)アクリル酸エステルは、下記式(a-4-1)で表されるものであって、本発明の目的を阻害しない限り特に限定されない。
Figure 2023125704000013
上記式(a-4-1)中、Ra9は、水素原子又はメチル基であり、Ra10は、1価の有機基である。この有機基は、該有機基中にヘテロ原子等の炭化水素基以外の結合や置換基を含んでいてもよい。また、この有機基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれでもよい。
a10の有機基中の炭化水素基以外の置換基としては、本発明の効果が損なわれない限り特に限定されず、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、スルフィド基、シアノ基、イソシアノ基、シアナト基、イソシアナト基、チオシアナト基、イソチオシアナト基、シリル基、シラノール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、チオカルバモイル基、ニトロ基、ニトロソ基、カルボキシ基、カルボキシラート基、アシル基、アシルオキシ基、スルフィノ基、スルホ基、スルホナト基、ホスフィノ基、ホスフィニル基、ホスホノ基、ホスホナト基、ヒドロキシイミノ基、アルキルエーテル基、アルキルチオエーテル基、アリールエーテル基、アリールチオエーテル基、アミノ基(-NH、-NHR、-NRR’:R及びR’はそれぞれ独立に炭化水素基を示す)等が挙げられる。上記置換基に含まれる水素原子は、炭化水素基によって置換されていてもよい。また、上記置換基に含まれる炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、及び環状のいずれでもよい。
また、Ra10としての有機基は、アクリロイルオキシ基、メタアクリロイルオキシ基、エポキシ基、オキセタニル基等の反応性の官能基を有していてもよい。
アクリロイルオキシ基やメタアクリロイルオキシ基等の、不飽和二重結等を有するアシル基は、例えば、エポキシ基を有する構成単位を含むアクリル系樹脂(a-4)における、エポキシ基の少なくとも一部に、アクリル酸やメタクリル酸等の不飽和カルボン酸を反応させることにより製造することができる。
a10としては、アルキル基、アリール基、アラルキル基、又は複素環基が好ましく、これらの基は、ハロゲン原子、水酸基、アルキル基、又は複素環基で置換されていてもよい。また、これらの基がアルキレン部分を含む場合、アルキレン部分は、エーテル結合、チオエーテル結合、エステル結合により中断されていてもよい。
アルキル基が、直鎖状又は分岐鎖状のものである場合、その炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上15以下がより好ましく、1以上10以下が特に好ましい。好適なアルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、イソデシル基等が挙げられる。
アルキル基が、脂環式基、又は脂環式基を含む基である場合、アルキル基に含まれる好適な脂環式基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基等単環の脂環式基や、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、及びテトラシクロドデシル基等の多環の脂環式基が挙げられる。
式(a-4-1)で表される化合物が、エポキシ基を有する鎖状の基をRa10として有する場合の、式(a-4-1)で表される化合物の具体例としては、グリシジル(メタ)アクリレート、2-メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4-エポキシブチル(メタ)アクリレート、6,7-エポキシヘプチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エポキシアルキルエステル類が挙げられる。
また、式(a-4-1)で表される化合物は、脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルであってもよい。脂環式エポキシ基を構成する脂環式基は、単環であっても多環であってもよい。単環の脂環式基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられる。また、多環の脂環式基としては、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基等が挙げられる。
式(a-4-1)で表される化合物が脂環式エポキシ基含有(メタ)アクリル酸エステルである場合の具体例としては、例えば下記式(a-4-1a)~(a-4-1o)で表される化合物が挙げられる。これらの中でも、現像性を適度なものするためには、下記式(a-4-1a)~(a-4-1e)で表される化合物が好ましく、下記式(a-4-1a)~(a-4-1c)で表される化合物がより好ましい。
Figure 2023125704000014
Figure 2023125704000015
Figure 2023125704000016
上記式中、Ra20は水素原子又はメチル基を示し、Ra21は炭素原子数1以上6以下の2価の脂肪族飽和炭化水素基を示し、Ra22は炭素原子数1以上10以下の2価の炭化水素基を示し、tは0以上10以下の整数を示す。Ra21としては、直鎖状又は分枝鎖状のアルキレン基、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基が好ましい。Ra22としては、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、エチルエチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、フェニレン基、シクロヘキシレン基、-CH-Ph-CH-(Phはフェニレン基を示す)が好ましい。
また、アクリル系樹脂(a-4)は、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを重合させたものであってもよい。このようなモノマーとしては、(メタ)アクリルアミド類、不飽和カルボン酸類、アリル化合物、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、スチレン類等が挙げられる。これらのモノマーは、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N-アルキル(メタ)アクリルアミド、N-アリール(メタ)アクリルアミド、N,N-ジアルキル(メタ)アクリルアミド、N,N-アリール(メタ)アクリルアミド、N-メチル-N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル-N-メチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、クロトン酸等のモノカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸等のジカルボン酸;これらジカルボン酸の無水物;等が挙げられる。
アリル化合物としては、酢酸アリル、カプロン酸アリル、カプリル酸アリル、ラウリン酸アリル、パルミチン酸アリル、ステアリン酸アリル、安息香酸アリル、アセト酢酸アリル、乳酸アリル等のアリルエステル類;アリルオキシエタノール;等が挙げられる。
ビニルエーテル類としては、ヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、クロロエチルビニルエーテル、1-メチル-2,2-ジメチルプロピルビニルエーテル、2-エチルブチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジメチルアミノエチルビニルエーテル、ジエチルアミノエチルビニルエーテル、ブチルアミノエチルビニルエーテル、ベンジルビニルエーテル、テトラヒドロフルフリルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル;ビニルフェニルエーテル、ビニルトリルエーテル、ビニルクロロフェニルエーテル、ビニル-2,4-ジクロロフェニルエーテル、ビニルナフチルエーテル、ビニルアントラニルエーテル等のビニルアリールエーテル;等が挙げられる。
ビニルエステル類としては、ビニルブチレート、ビニルイソブチレート、ビニルトリメチルアセテート、ビニルジエチルアセテート、ビニルバレレート、ビニルカプロエート、ビニルクロロアセテート、ビニルジクロロアセテート、ビニルメトキシアセテート、ビニルブトキシアセテート、ビニルフェニルアセテート、ビニルアセトアセテート、ビニルラクテート、ビニル-β-フェニルブチレート、安息香酸ビニル、サリチル酸ビニル、クロロ安息香酸ビニル、テトラクロロ安息香酸ビニル、ナフトエ酸ビニル等が挙げられる。
スチレン類としては、スチレン;メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、ジエチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヘキシルスチレン、シクロヘキシルスチレン、デシルスチレン、ベンジルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン等のアルキルスチレン;メトキシスチレン、4-メトキシ-3-メチルスチレン、ジメトキシスチレン等のアルコキシスチレン;クロロスチレン、ジクロロスチレン、トリクロロスチレン、テトラクロロスチレン、ペンタクロロスチレン、ブロモスチレン、ジブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、トリフルオロスチレン、2-ブロモ-4-トリフルオロメチルスチレン、4-フルオロ-3-トリフルオロメチルスチレン等のハロスチレン;等が挙げられる。
アクリル系樹脂(a-4)における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量と、他のモノマーに由来する構成単位の量とは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。アクリル系樹脂(a-4)における、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位の量は、アクリル系樹脂(a-4)の質量に対して、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上30質量%以下がより好ましい。
アクリル系樹脂(a-4)が、不飽和二重結合を有する構成単位を有する場合、アクリル系樹脂(a-4)における、不飽和二重結合を有する構成単位の量は、1質量%以上50質量%以下が好ましく、1質量%以上30質量%以下がより好ましく、1質量%以上20質量%以下が特に好ましい。
アクリル系樹脂(a-4)が、上記の範囲内の量の不飽和二重結合を有する構成単位を含むことにより、アクリル系樹脂をレジスト膜内の架橋反応に取り込んで均一化できるため硬化膜の耐熱性、機械特性の向上に有効である。
アクリル系樹脂(a-4)の質量平均分子量は、2000以上50000以下が好ましく、3000以上30000以下がより好ましい。上記の範囲とすることにより、感光性組成物の膜形成能、露光後の現像性のバランスがとりやすい傾向がある。
感光性組成物の全固形分中における、アルカリ可溶性樹脂(A)の含有量は、10質量%以上75質量%以下が好ましく、15質量%以上65質量%以下がより好ましい。感光性組成物の全固形分中におけるアルカリ可溶性樹脂(A)の含有量が上記の範囲内であると、未露光部では感光性組成物の固形分が現像液に良好に溶解するのに対して、露光部では硬化した感光性組成物の固形分が現像液に溶解しにくく、現像性、及び解像性に優れる感光性組成物を得やすい。
なお、本明細書において、固形分とは、有機溶剤以外の成分である。
<光重合性モノマー(B)>
感光性組成物は、光重合性モノマー(B)を含む。光重合性モノマー(B)としては、エチレン性不飽和基を有する化合物が好ましい。かかるエチレン性不飽和基を有する化合物には、単官能化合物と多官能化合物とがある。
単官能化合物としては、(メタ)アクリルアミド、メチロール(メタ)アクリルアミド、メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、プロポキシメチル(メタ)アクリルアミド、ブトキシメトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸、クロトン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、tert-ブチルアクリルアミドスルホン酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルフタレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、フタル酸誘導体のハーフ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの単官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
一方、多官能化合物としては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジグリシジルエステルジ(メタ)アクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルポリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート(すなわち、トリレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、又はヘキサメチレンジイソシアネート等と2-ビドロキシエチル(メタ)アクリレートとの反応物)、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドメチレンエーテル、多価アルコールとN-メチロール(メタ)アクリルアミドとの縮合物等の多官能化合物や、トリアクリルホルマール等が挙げられる。これらの多官能化合物は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両者を意味し、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び「メタクリル」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは、「アクリロイル」及び「メタクリロイル」の両者を意味し、「(メタ)アクリロイルオキシ」とは、「アクリロイルオキシ」及び「メタクリロイルオキシ」の両者を意味する。
これらのエチレン性不飽和基を有する光重合性化合物の中でも、感光性組成物のレンズへの密着性、感光性組成物の硬化後の強度を高める傾向にある点から、3官能以上の多官能化合物が好ましく、4官能以上の多官能化合物がより好ましく、5官能以上の多官能化合物がさらに好ましい。
具体的には、5官能以上の多官能化合物が用いられるのが好ましく、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、及び/又はジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが用いられるのがより好ましい。
感光性組成物の全固形分中における、光重合性モノマー(B)の含有量は、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
<光重合開始剤(C)>
光重合開始剤(C)としては、特に限定されず、従来公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤(C)としては、オキシムエステル化合物が挙げられる。
オキシムエステル化合物としては、下記式(c1)で表される部分構造を有する化合物が好ましい。
Figure 2023125704000017
(式(c1)中、
n1は、0、又は1であり、
c2は、一価の有機基であり、
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、
*は結合手である。)
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、カルバゾール骨格、フルオレン骨格、ジフェニルエーテル骨格や、フェニルスルフィド骨格を有することが好ましい。
式(c1)で表される部分構造を有する化合物は、式(c1)で表される部分構造を1つ又は2つ有することが好ましい。
式(c1)で表される部分構造を有する化合物としては、下記式(c2)で表される化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000018
(式(c2)中、Rc1は、下記式(c3)、(c4)、又は(c5)で表される基であり、
n1は、0、又は1であり、
c2は、一価の有機基であり、
c3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。)
Figure 2023125704000019
(式(c3)中、Rc4及びRc5は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n2は、0以上3以下の整数であり、
n2が2又は3の場合、複数のRc5は同一でも異なっていてもよく、複数のRc5は互いに結合して環を形成してもよい。
*は結合手である。)
Figure 2023125704000020
(式(c4)中、Rc6及びRc7は、それぞれ独立に、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子であり、
c6とRc7とは互いに結合して環を形成してもよく、
c7とフルオレン骨格中のベンゼン環とが互いに結合して環を形成してもよく、
c8は、ニトロ基、又は1価の有機基、であり、
n3は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
Figure 2023125704000021
(式(c5)中、Rc9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基であり、
Aは、S又はOであり、
n4は、0以上4以下の整数であり、
*は結合手である。)
式(c3)中、Rc4は、1価の有機基である。Rc4は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c4の好適な例としては、炭素原子数1以上20以下の置換基を有してもよいアルキル基、炭素原子数3以上20以下の置換基を有してもよいシクロアルキル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよい飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の置換基を有してもよいアルコキシカルボニル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、及び置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基等が挙げられる。
c4の中では、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましい。当該アルキル基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよい。式(c3)で表される化合物の感光性組成物中での溶解性が良好である点から、Rc4としてのアルキル基の炭素原子数は、2以上が好ましく、5以上がより好ましく、7以上が特に好ましい。また、感光性組成物中での、式(c3)で表される化合物と、他の成分との相溶性が良好である点から、Rc4としてのアルキルの基の炭素原子数は、15以下が好ましく、10以下がより好ましい。
c4が置換基を有する場合、当該置換基の好適な例としては、水酸基、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下の脂肪族アシルオキシ基、フェノキシ基、ベンゾイル基、ベンゾイルオキシ基、-PO(OR)で表される基(Rは炭素原子数1以上6以下のアルキル基)、ハロゲン原子、シアノ基、ヘテロシクリル基等が挙げられる。
c4が、ヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基は、脂肪族複素環基であっても、芳香族複素環基であってもよい。Rc4がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合は、当該縮合環を構成する単環の数を3までとする。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。
c4がヘテロシクリル基である場合、当該ヘテロシクリル基が有していてもよい置換基としては、水酸基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基等が挙げられる。
以上説明したRc4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ペンタン-3-イル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が挙げられる。
また、感光性組成物中での式(c3)で表される化合物の溶解性が良好である点から、n-オクチル基、及び2-エチルヘキシル基が好ましく、2-エチルヘキシル基がより好ましい。
式(c3)中、Rc5は、1価の有機基、ハロゲン原子、又はニトロ基である。Rc5は、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c5として好適な1価の有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基、HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基(ただし、Xは、各々独立に、ハロゲン原子である)等が挙げられる。
c5がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc5がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、Rc5がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。Rc5がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc5がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c5がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。Rc5がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。Rc5がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
c5が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。Rc5が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
c5がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc5がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
c5がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、Rc5がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。Rc5がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。Rc5がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。Rc5が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc5は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
c5がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、式(c3)中のRc4がヘテロシクリル基である場合と同様であり、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
c5がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、Rc5がヘテロシクリル基である場合と同様である。
c5が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、Rc5と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
c5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基(例えば、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基)、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ベンゾイル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されず、1以上4以下が好ましい。Rc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
c5に含まれる、ベンゾイル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、2-テノイル基(チオフェン-2-イルカルボニル基)、フラン-3-イルカルボニル基及びフェニル基等が挙げられる。
Xで表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられ、フッ素原子であることが好ましい。
HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、又はHXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基であることがより好ましい。
HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基を有する基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基を有する基としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基(例えば、フェニル基、ナフチル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているアルキル基(例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基等)、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されているシクロアルキル基(例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等)等が挙げられ、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基で置換されている芳香族基であることが好ましい。
また、Rc5としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、Rc5に含まれるフェニル基が有していてもよい置換基と同様である。
1価の有機基の中でも、Rc5としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
式(c3)で表される基において、Rc5が複数存在し、複数のRc5が互いに結合して環を形成する場合、形成される環としては、炭化水素環や、複素環等が挙げられる。複素環に含まれるヘテロ原子としては、例えば、N、OやSが挙げられる。複数のRc5が互いに結合して形成する環としては、特に芳香族環が好ましい。かかる芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても、芳香族複素環であってもよい。かかる芳香族環としては、芳香族炭化水素環が好ましい。式(c3)において、複数のRc5が互いに結合してベンゼン環を形成した場合の具体例を、以下に示す。
Figure 2023125704000022
式(c4)で表される基において、Rc8は、ニトロ基又は1価の有機基である。Rc8は、式(c4)中の縮合環上で、-(CO)n1-で表される基に結合する芳香環とは異なる6員芳香環に、結合する。式(c4)中、Rc8の結合位置は特に限定されない。式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される化合物の合成が容易であること等から、1以上のRc8のうちの1つが、フルオレン骨格の7位の位置に結合することが好ましい。すなわち、式(c4)で表される基が1以上のRc8を有する場合、式(c4)で表される基は、下記式(c6)で示されることが好ましい。Rc8が複数の場合、複数のRc8は同一であっても異なっていてもよい。
Figure 2023125704000023
(式(c6)中、Rc6、Rc7、Rc8、n3は、それぞれ式(c4)におけるRc6、Rc7、Rc8、n3と同様である。)
c8が1価の有機基である場合、Rc8は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c8が1価の有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基の好適な例と同様の基が挙げられる。
式(c4)中、Rc6及びRc7は、それぞれ、置換基を有してもよい鎖状アルキル基、置換基を有してもよい鎖状アルコキシ基、置換基を有してもよい環状有機基、又は水素原子である。Rc6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。これらの基の中では、Rc6及びRc7として、置換基を有してもよい鎖状アルキル基が好ましい。Rc6及びRc7が置換基を有してもよい鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基は直鎖アルキル基でも分岐鎖アルキル基でもよい。
c6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
c6及びRc7が置換基を有する鎖状アルキル基である場合、鎖状アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。この場合、置換基の炭素原子数は、鎖状アルキル基の炭素原子数に含まれない。置換基を有する鎖状アルキル基は、直鎖状であるのが好ましい。
アルキル基が有してもよい置換基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。置換基の好適な例としては、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、及びアルコキシカルボニル基が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。これらの中では、フッ素原子、塩素原子、臭素原子が好ましい。環状有機基としては、シクロアルキル基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。シクロアルキル基の具体例としては、Rc8がシクロアルキル基である場合の好適な例と同様である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。ヘテロシクリル基の具体例としては、Rc8がヘテロシクリル基である場合の好適な例と同様である。Rc8がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシカルボニル基に含まれるアルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
鎖状アルキル基が置換基を有する場合、置換基の数は特に限定されない。好ましい置換基の数は鎖状アルキル基の炭素原子数に応じて変わる。置換基の数は、典型的には、1以上20以下であり、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。
c6及びRc7が置換基を持たない鎖状アルコキシ基である場合、鎖状アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上10以下がより好ましく、1以上6以下が特に好ましい。Rc6及びRc7が鎖状アルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、Rc6及びRc7がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
c6及びRc7が置換基を有する鎖状アルコキシ基である場合に、アルコキシ基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
c6及びRc7が環状有機基である場合、環状有機基は、脂環式基であっても、芳香族基であってもよい。環状有機基としては、脂肪族環状炭化水素基、芳香族炭化水素基、ヘテロシクリル基が挙げられる。Rc6及びRc7が環状有機基である場合に、環状有機基が有してもよい置換基は、Rc6及びRc7が鎖状アルキル基である場合と同様である。
c6及びRc7が芳香族炭化水素基である場合、芳香族炭化水素基は、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が炭素-炭素結合を介して結合して形成される基であるか、複数のベンゼン環が縮合して形成される基であるのが好ましい。芳香族炭化水素基が、フェニル基であるか、複数のベンゼン環が結合又は縮合して形成される基である場合、芳香族炭化水素基に含まれるベンゼン環の環数は特に限定されず、3以下が好ましく、2以下がより好ましく、1が特に好ましい。芳香族炭化水素基の好ましい具体例としては、フェニル基、ナフチル基、ビフェニリル基、アントリル基、及びフェナントリル基等が挙げられる。
c6及びRc7が脂肪族環状炭化水素基である場合、脂肪族環状炭化水素基は、単環式であっても多環式であってもよい。脂肪族環状炭化水素基の炭素原子数は特に限定されないが、3以上20以下が好ましく、3以上10以下がより好ましい。単環式の環状炭化水素基の例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロノニル基、トリシクロデシル基、テトラシクロドデシル基、及びアダマンチル基等が挙げられる。
c6及びRc7がヘテロシクリル基である場合、式(c3)中のRc5としてのヘテロシクリル基と同様の基が挙げられる。
c6及びRc7とは相互に結合して環を形成してもよい。Rc6及びRc7とが形成する環からなる基は、シクロアルキリデン基であるのが好ましい。Rc6及びRc7とが結合してシクロアルキリデン基を形成する場合、シクロアルキリデン基を構成する環は、5員環~6員環であるのが好ましく、5員環であるのがより好ましい。
c7とフルオレン骨格のベンゼン環と環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。
c6及びRc7が結合して形成する基がシクロアルキリデン基である場合、シクロアルキリデン基は、1以上の他の環と縮合していてもよい。シクロアルキリデン基と縮合していてもよい環の例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、フラン環、チオフェン環、ピロール環、ピリジン環、ピラジン環、及びピリミジン環等が挙げられる。
以上説明したRc6及びRc7の中でも好適な基の例としては、式-A1-A2で表される基が挙げられる。式中、A1は直鎖アルキレン基であり、A2は、アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、環状有機基、又はアルコキシカルボニル基である挙げられる。
A1の直鎖アルキレン基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。アルコキシ基の炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。A2がハロゲン原子である場合、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。A2がハロゲン化アルキル基である場合、ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子は、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、フッ素原子、塩素原子、臭素原子がより好ましい。ハロゲン化アルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A2が環状有機基である場合、環状有機基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有する環状有機基と同様である。A2がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の例は、Rc6及びRc7が置換基として有するアルコキシカルボニル基と同様である。
c6及びRc7の好適な具体例としては、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、及びn-オクチル基等のアルキル基;2-メトキシエチル基、3-メトキシ-n-プロピル基、4-メトキシ-n-ブチル基、5-メトキシ-n-ペンチル基、6-メトキシ-n-ヘキシル基、7-メトキシ-n-ヘプチル基、8-メトキシ-n-オクチル基、2-エトキシエチル基、3-エトキシ-n-プロピル基、4-エトキシ-n-ブチル基、5-エトキシ-n-ペンチル基、6-エトキシ-n-ヘキシル基、7-エトキシ-n-ヘプチル基、及び8-エトキシ-n-オクチル基等のアルコキシアルキル基;2-シアノエチル基、3-シアノ-n-プロピル基、4-シアノ-n-ブチル基、5-シアノ-n-ペンチル基、6-シアノ-n-ヘキシル基、7-シアノ-n-ヘプチル基、及び8-シアノ-n-オクチル基等のシアノアルキル基;2-フェニルエチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、5-フェニル-n-ペンチル基、6-フェニル-n-ヘキシル基、7-フェニル-n-ヘプチル基、及び8-フェニル-n-オクチル基等のフェニルアルキル基;2-シクロヘキシルエチル基、3-シクロヘキシル-n-プロピル基、4-シクロヘキシル-n-ブチル基、5-シクロヘキシル-n-ペンチル基、6-シクロヘキシル-n-ヘキシル基、7-シクロヘキシル-n-ヘプチル基、8-シクロヘキシル-n-オクチル基、2-シクロペンチルエチル基、3-シクロペンチル-n-プロピル基、4-シクロペンチル-n-ブチル基、5-シクロペンチル-n-ペンチル基、6-シクロペンチル-n-ヘキシル基、7-シクロペンチル-n-ヘプチル基、及び8-シクロペンチル-n-オクチル基等のシクロアルキルアルキル基;2-メトキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、4-メトキシカルボニル-n-ブチル基、5-メトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-メトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-メトキシカルボニル-n-ヘプチル基、8-メトキシカルボニル-n-オクチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、4-エトキシカルボニル-n-ブチル基、5-エトキシカルボニル-n-ペンチル基、6-エトキシカルボニル-n-ヘキシル基、7-エトキシカルボニル-n-ヘプチル基、及び8-エトキシカルボニル-n-オクチル基等のアルコキシカルボニルアルキル基;2-クロロエチル基、3-クロロ-n-プロピル基、4-クロロ-n-ブチル基、5-クロロ-n-ペンチル基、6-クロロ-n-ヘキシル基、7-クロロ-n-ヘプチル基、8-クロロ-n-オクチル基、2-ブロモエチル基、3-ブロモ-n-プロピル基、4-ブロモ-n-ブチル基、5-ブロモ-n-ペンチル基、6-ブロモ-n-ヘキシル基、7-ブロモ-n-ヘプチル基、8-ブロモ-n-オクチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。
c6及びRc7として、上記の中でも好適な基は、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、2-メトキシエチル基、2-シアノエチル基、2-フェニルエチル基、2-シクロヘキシルエチル基、2-メトキシカルボニルエチル基、2-クロロエチル基、2-ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、及び3,3,4,4,5,5,5-ヘプタフルオロ-n-ペンチル基である。
式(c5)中、感度に優れる光重合開始剤を得やすい点から、AはSであることが特に好ましい。
式(c5)中、Rc9は、1価の有機基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基である。
式(c5)におけるRc9が1価の有機基である場合、本発明の目的を阻害しない範囲で、種々の有機基から選択できる。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
式(c5)においてRc9が有機基である場合の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。
c9の中では、ベンゾイル基;ナフトイル基;炭素原子数1以上6以下のアルキル基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、及びフェニル基からなる群より選択される基により置換されたベンゾイル基;ニトロ基;置換基を有していてもよいベンゾフラニルカルボニル基が好ましく、ベンゾイル基;ナフトイル基;2-メチルフェニルカルボニル基;4-(ピペラジン-1-イル)フェニルカルボニル基;4-(フェニル)フェニルカルボニル基がより好ましい。
また、式(c5)において、n4は、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0、又は1であるのが特に好ましい。n4が1である場合、Rc9の結合する位置は、Rc9が結合するフェニル基が酸素原子又は硫黄原子と結合する結合手に対して、パラ位であるのが好ましい。
式(c1)及び(c2)中、Rc2としての1価の有機基は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。有機基としては、炭素原子含有基が好ましく、1以上の炭素原子と、H、O、S、Se、N、B、P、Si、及びハロゲン原子からなる群より選択される1以上の原子とからなる基がより好ましい。炭素原子含有基の炭素原子数は特に限定されず、1以上50以下が好ましく、1以上20以下がより好ましい。
c2としての1価の有機基の好適な例としては、式(c3)中のRc5としての1価の有機基と同様の基が挙げられる。これらの基の具体例は、式(c3)中のRc5について説明した基と同様である。
また、Rc2としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、式(c3)中のRc5に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基と同様である。
有機基の中でも、Rc2としては、上記HXC-又はHXC-で表される基を含む置換基、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、シクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数、又は芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基については、式(c3)のRc5と同様である。
また、Rc2としては、-A3-CO-O-A4で表される基も好ましい。A3は、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。A4は、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
A3がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。A3がアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
A4の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。A4の好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
-A3-CO-O-A4で表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
また、Rc2としては、下記式(c7)又は(c8)で表される基も好ましい。
Figure 2023125704000024
(式(c7)及び(c8)中、Rc10及びRc11は、それぞれ独立に、1価の有機基であり、
n5は0以上4以下の整数であり、
c10及びRc11がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、Rc10とRc11とが互いに結合して環を形成してもよく、
c12は、1価の有機基であり、
n6は1以下8以下の整数であり、
n7は1以上5以下の整数であり、
n8は0以上(n7+3)以下の整数である。)
式(c7)中のRc10及びRc11としての有機基は、式(c4)中のRc8と同様である。Rc10としては、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルコキシ基、HXC-又はHXC-で表される基を含むハロゲン化アルキル基、アルキル基又はフェニル基が好ましい。Rc10とRc11とが結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(c7)で表される基であって、Rc10とRc11とが環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。
上記式(c7)中、n7は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(c8)中、Rc12は有機基である。有機基としては、式(c4)中のRc8について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。Rc12としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基であることがより好ましい。
上記式(c8)中、n7は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(c8)中、n8は0以上(n7+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。
上記式(c8)中、n8は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(c2)中、Rc3は、水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上20以下の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有してもよいアリール基である。Rc3が脂肪族炭化水素基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。
式(c1)及び(c2)中、Rc3としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、2-シクロペンチルエチル基、2-シクロブチルエチル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
式(c2)で表され、且つRc1として式(c3)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000025
Figure 2023125704000026
Figure 2023125704000027
Figure 2023125704000028
式(c2)で表され、且つRc1として式(c4)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000029
Figure 2023125704000030
Figure 2023125704000031
Figure 2023125704000032
Figure 2023125704000033
式(c2)で表され、且つRc1として式(c5)で表される基を有する化合物の好適な具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000034
オキシムエステル化合物としては、下記のオキシムエステル化合物(C1a)も好ましい。
(オキシムエステル化合物(C1a))
オキシムエステル化合物(C1a)は、下記式(C1a)で表される化合物である。
Figure 2023125704000035
(式(C1a)中、X01は、下記式(C1a-1):
Figure 2023125704000036
で表される構造において、芳香族環上に結合する水素原子のうち、t2+t3個の水素原子を除いた基であり、X02及びX03は、それぞれ独立に1価の有機基であり、X04及びX05は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基であり、t0~t3は、それぞれ独立に、0又は1であり、t2及びt3の少なくとも一方は1であり、
式(C1a-1)中、X06は、カルバゾール環中の窒素原子にC-N結合で結合する1価の有機基であり、t4及びt5は、それぞれ独立に0又は1であり、t4及びt5の少なくとも一方は1である。)
式(C1a-1)中、X06は、カルバゾール環中の窒素原子にC-N結合で結合する1価の有機基である。当該1価の有機基は、O、S、N、P、Si、及びハロゲン原子等のヘテロ原子を含んでいてもよい。X06としての有機基の炭素原子数は特に限定されない。X06としての有機基の炭素原子数は、例えば、1以上50以下が好ましく、1以上30以下がより好ましく、1以上20以下が特に好ましい。
06としての有機基の好ましい例としては、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、脂肪族環式炭化水素基、アリール基、脂肪族複素環基、ヘテロアリール基、脂肪族アシル基、芳香族アシル基、及びこれらの基の組み合わせが挙げられる。これらの基の組み合わせの好ましい例としては、アラルキル基、及びシクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
06としての有機基が、アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基である場合、これらの基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。X06としての有機基が、脂肪族アシル基である場合、当該脂肪族アシル基におけるカルボニル基以外の部分は、直鎖状であっても、分岐鎖状であっても、環状であっても、これらの構造の組み合わせであってもよい。
06としての有機基は置換基を有していてもよい。X06としての有機基が有していてもよい置換基の例としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数1以上20以下のアルコキシ基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルコキシ基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上20以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上20以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいフェニルチオ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、アミノ基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
06としての上記の基の中では、オキシムエステル化合物(C1a)の合成及び入手の容易性等から、アルキル基、アリール基、及びアラルキル基が好ましい。
06がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、及びn-イコシル基が挙げられる。
06がアリール基である場合の好適な例としては、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、ナフタレン-2-イル基、2-フェニルフェニル基、3-フェニルフェニル基、及び4-フェニルフェニル基が挙げられる。
06がアラルキル基である場合の好適な例としては、ベンジル基、フェネチル基、3-フェニル-n-プロピル基、4-フェニル-n-ブチル基、ナフタレン-1-イルメチル基、及びナフタレン-2-イルメチル基が挙げられる。
以上説明したX06の具体例の中でも、メチル基、エチル基、フェニル基、ナフタレン-1-イル基、及びナフタレン-2-イル基が好ましく、エチル基、及びフェニル基がより好ましい。
01は、上記式(C1a-1)で表される構造において、芳香族環上に結合する水素原子のうち、t2+t3個の水素原子を除いた基であれば特に限定されない。上記式(C1a-1)で表される基としては、下記式(C1a-1a)~式(C1a-1c)で表される1価又は2価の基が好ましい。
Figure 2023125704000037
式(C1a-1a)~式(C1a-1c)において、t4、t5、及びX06は、式(C1a-1)と同様である。X07は、カルバゾール環中の窒素原子にC-N結合で結合する2価の有機基である。X07は、芳香族環を含む2価の有機基である。X07が有する2つの結合手のうち、式(C1a-1a)及び式(C1a-1c)においてカルバゾール環に結合する結合手の他方の結合手は、X07中の芳香族環に結合する。
なお、X07は、前述のX06としての芳香族環を含む1価の有機基から、芳香族環上に結合する1つの水素原子を除いた2価の基に相当する。
式(C1a-1a)を一例として、X07の好ましい具体例を以下に記す。下記構造における、X07に相当する2価の基は、式(C1a-1c)におけるX07としても好ましい。
Figure 2023125704000038
式(C1a-1a)~式(C1a-1c)において、カルバゾール環上でのニトロ基の結合位置は特に限定されない。
オキシムエステル化合物(C1a)の合成及び入手が容易である点等から、式(C1a-1a)で表される基、(C1a-1b)で表される基、及び式(C1a-1c)で表される基の好ましい例としては、それぞれ、式(C1a-1aa)で表される基、式(C1a-1ba)で表される基、及び式(C1a-1ca)で表される基が挙げられる。
Figure 2023125704000039
式(C1a)中、X02及びX03は、それぞれ独立に1価の有機基である。X02及びX03のとしての好適な有機基の例としては、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、シクロアルコキシ基、飽和脂肪族アシル基、アルコキシカルボニル基、飽和脂肪族アシルオキシ基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよいフェノキシカルボニル基、置換基を有してもよいベンゾイルオキシ基、置換基を有してもよいフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトキシ基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよいナフトキシカルボニル基、置換基を有してもよいナフトイルオキシ基、置換基を有してもよいナフチルアルキル基、置換基を有してもよいヘテロシクリル基、置換基を有してもよいヘテロシクリルカルボニル基、1、又は2の有機基で置換されたアミノ基、モルホリン-1-イル基、及びピペラジン-1-イル基等が挙げられる。
02及びX03がアルキル基である場合、アルキル基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、X02及びX03がアルキル基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。X02及びX03がアルキル基である場合の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、イソオクチル基、sec-オクチル基、tert-オクチル基、n-ノニル基、イソノニル基、n-デシル基、及びイソデシル基等が挙げられる。また、X02及びX03がアルキル基である場合、アルキル基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルキル基の例としては、メトキシエチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシエチル基、エトキシエトキシエチル基、プロピルオキシエトキシエチル基、及びメトキシプロピル基等が挙げられる。
02及びX03がアルコキシ基である場合、アルコキシ基の炭素原子数は、1以上20以下が好ましく、1以上6以下がより好ましい。また、X02及びX03がアルコキシ基である場合、直鎖であっても、分岐鎖であってもよい。X02及びX03がアルコキシ基である場合の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、n-プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、n-ブチルオキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、n-ペンチルオキシ基、イソペンチルオキシ基、sec-ペンチルオキシ基、tert-ペンチルオキシ基、n-ヘキシルオキシ基、n-ヘプチルオキシ基、n-オクチルオキシ基、イソオクチルオキシ基、sec-オクチルオキシ基、tert-オクチルオキシ基、n-ノニルオキシ基、イソノニルオキシ基、n-デシルオキシ基、及びイソデシルオキシ基等が挙げられる。また、X02及びX03がアルコキシ基である場合、アルコキシ基は炭素鎖中にエーテル結合(-O-)を含んでいてもよい。炭素鎖中にエーテル結合を有するアルコキシ基の例としては、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシエトキシエトキシ基、エトキシエトキシエトキシ基、プロピルオキシエトキシエトキシ基、及びメトキシプロピルオキシ基等が挙げられる。
02及びX03がシクロアルキル基又はシクロアルコキシ基である場合、シクロアルキル基又はシクロアルコキシ基の炭素原子数は、3以上10以下が好ましく、3以上6以下がより好ましい。X02及びX03がシクロアルキル基である場合の具体例としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。X02及びX03がシクロアルコキシ基である場合の具体例としては、シクロプロピルオキシ基、シクロブチルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、シクロヘプチルオキシ基、及びシクロオクチルオキシ基等が挙げられる。
02及びX03が飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基である場合、飽和脂肪族アシル基又は飽和脂肪族アシルオキシ基の炭素原子数は、2以上21以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。Rc7が飽和脂肪族アシル基である場合の具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、n-ブタノイル基、2-メチルプロパノイル基、n-ペンタノイル基、2,2-ジメチルプロパノイル基、n-ヘキサノイル基、n-ヘプタノイル基、n-オクタノイル基、n-ノナノイル基、n-デカノイル基、n-ウンデカノイル基、n-ドデカノイル基、n-トリデカノイル基、n-テトラデカノイル基、n-ペンタデカノイル基、及びn-ヘキサデカノイル基等が挙げられる。X02及びX03が飽和脂肪族アシルオキシ基である場合の具体例としては、アセチルオキシ基、プロパノイルオキシ基、n-ブタノイルオキシ基、2-メチルプロパノイルオキシ基、n-ペンタノイルオキシ基、2,2-ジメチルプロパノイルオキシ基、n-ヘキサノイルオキシ基、n-ヘプタノイルオキシ基、n-オクタノイルオキシ基、n-ノナノイルオキシ基、n-デカノイルオキシ基、n-ウンデカノイルオキシ基、n-ドデカノイルオキシ基、n-トリデカノイルオキシ基、n-テトラデカノイルオキシ基、n-ペンタデカノイルオキシ基、及びn-ヘキサデカノイルオキシ基等が挙げられる。
02及びX03がアルコキシカルボニル基である場合、アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2以上20以下が好ましく、2以上7以下がより好ましい。X02及びX03がアルコキシカルボニル基である場合の具体例としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、n-プロピルオキシカルボニル基、イソプロピルオキシカルボニル基、n-ブチルオキシカルボニル基、イソブチルオキシカルボニル基、sec-ブチルオキシカルボニル基、tert-ブチルオキシカルボニル基、n-ペンチルオキシカルボニル基、イソペンチルオキシカルボニル基、sec-ペンチルオキシカルボニル基、tert-ペンチルオキシカルボニル基、n-ヘキシルオキシカルボニル基、n-ヘプチルオキシカルボニル基、n-オクチルオキシカルボニル基、イソオクチルオキシカルボニル基、sec-オクチルオキシカルボニル基、tert-オクチルオキシカルボニル基、n-ノニルオキシカルボニル基、イソノニルオキシカルボニル基、n-デシルオキシカルボニル基、及びイソデシルオキシカルボニル基等が挙げられる。
02及びX03がフェニルアルキル基である場合、フェニルアルキル基の炭素原子数は、7以上20以下が好ましく、7以上10以下がより好ましい。また、X02及びX03がナフチルアルキル基である場合、ナフチルアルキル基の炭素原子数は、11以上20以下が好ましく、11以上14以下がより好ましい。X02及びX03がフェニルアルキル基である場合の具体例としては、ベンジル基、2-フェニルエチル基、3-フェニルプロピル基、及び4-フェニルブチル基が挙げられる。X02及びX03がナフチルアルキル基である場合の具体例としては、α-ナフチルメチル基、β-ナフチルメチル基、2-(α-ナフチル)エチル基、及び2-(β-ナフチル)エチル基が挙げられる。X02及びX03が、フェニルアルキル基、又はナフチルアルキル基である場合、Rc7は、フェニル基、又はナフチル基上にさらに置換基を有していてもよい。
02及びX03がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基は、1以上のN、S、Oを含む5員又は6員の単環であるか、かかる単環同士、又はかかる単環とベンゼン環とが縮合したヘテロシクリル基である。ヘテロシクリル基が縮合環である場合、当該縮合環を構成する単環の数は3までとする。ヘテロシクリル基は、芳香族基(ヘテロアリール基)であっても、非芳香族基であってもよい。かかるヘテロシクリル基を構成する複素環としては、フラン、チオフェン、ピロール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、チアジアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、カルバゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、シンノリン、キノキサリン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、ピペリジン、テトラヒドロピラン、及びテトラヒドロフラン等が挙げられる。Rc7がヘテロシクリル基である場合、ヘテロシクリル基はさらに置換基を有していてもよい。
02及びX03がヘテロシクリルカルボニル基である場合、ヘテロシクリルカルボニル基に含まれるヘテロシクリル基は、X02及びX03がヘテロシクリル基である場合と同様である。
02及びX03が1又は2の有機基で置換されたアミノ基である場合、有機基の好適な例は、炭素原子数1以上20以下のアルキル基、炭素原子数3以上10以下のシクロアルキル基、炭素原子数2以上21以下の飽和脂肪族アシル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいベンゾイル基、置換基を有してもよい炭素原子数7以上20以下のフェニルアルキル基、置換基を有してもよいナフチル基、置換基を有してもよいナフトイル基、置換基を有してもよい炭素原子数11以上20以下のナフチルアルキル基、及びヘテロシクリル基等が挙げられる。これらの好適な有機基の具体例は、X02及びX03と同様である。1、又は2の有機基で置換されたアミノ基の具体例としては、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、n-プロピルアミノ基、ジ-n-プロピルアミノ基、イソプロピルアミノ基、n-ブチルアミノ基、ジ-n-ブチルアミノ基、n-ペンチルアミノ基、n-ヘキシルアミノ基、n-ヘプチルアミノ基、n-オクチルアミノ基、n-ノニルアミノ基、n-デシルアミノ基、フェニルアミノ基、ナフチルアミノ基、アセチルアミノ基、プロパノイルアミノ基、n-ブタノイルアミノ基、n-ペンタノイルアミノ基、n-ヘキサノイルアミノ基、n-ヘプタノイルアミノ基、n-オクタノイルアミノ基、n-デカノイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、α-ナフトイルアミノ基、及びβ-ナフトイルアミノ基等が挙げられる。
02及びX03に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合の置換基としては、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基、モルホリン-1-イル基、ピペラジン-1-イル基、ハロゲン、ニトロ基、及びシアノ基等が挙げられる。
これらの置換基が、炭素原子数1以上6以下のアルキル基、炭素原子数1以上6以下のアルコキシ基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシル基、炭素原子数2以上7以下のアルコキシカルボニル基、炭素原子数2以上7以下の飽和脂肪族アシルオキシ基、炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するモノアルキルアミノ基、及び炭素原子数1以上6以下のアルキル基を有するジアルキルアミノ基である場合、これらの置換基中の炭素鎖中にエーテル結合(-O-)が含まれていてもよい。
02及びX03に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基がさらに置換基を有する場合、その置換基の数は、本発明の目的を阻害しない範囲で限定されないが、1以上4以下が好ましい。X02及びX03に含まれる、フェニル基、ナフチル基、及びヘテロシクリル基が、複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
02及びX03としてはシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェノキシアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基、も好ましい。フェノキシアルキル基、及びフェニルチオアルキル基が有していてもよい置換基は、フェニル基が有していてもよい置換基として前述した通りである。
有機基の中でも、X02及びX03としては、アルキル基、シクロアルキル基、置換基を有していてもよいフェニル基、又はシクロアルキルアルキル基、芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素原子数1以上20以下のアルキル基が好ましく、炭素原子数1以上8以下のアルキル基がより好ましく、炭素原子数1以上4以下のアルキル基が特に好ましく、メチル基が最も好ましい。置換基を有していてもよいフェニル基の中では、メチルフェニル基が好ましく、2-メチルフェニル基がより好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるシクロアルキル基の炭素原子数は、5以上10以下が好ましく、5以上8以下がより好ましく、5又は6が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。シクロアルキルアルキル基の中では、シクロペンチルエチル基が好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基に含まれるアルキレン基の炭素原子数は、1以上8以下が好ましく、1以上4以下がより好ましく、2が特に好ましい。芳香環上に置換基を有していてもよいフェニルチオアルキル基の中では、2-(4-クロロフェニルチオ)エチル基が好ましい。
また、X02及びX03としては、-A-CO-O-Aで表される基も好ましい。Aは、2価の有機基であり、2価の炭化水素基であるのが好ましく、アルキレン基であるのが好ましい。Aは、1価の有機基であり、1価の炭化水素基であるのが好ましい。
がアルキレン基である場合、アルキレン基は直鎖状でも分岐鎖状でもよく、直鎖状が好ましい。Aがアルキレン基である場合、アルキレン基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上6以下がより好ましく、1以上4以下が特に好ましい。
の好適な例としては、炭素原子数1以上10以下のアルキル基、炭素原子数7以上20以下のアラルキル基、及び炭素原子数6以上20以下の芳香族炭化水素基が挙げられる。Aの好適な具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、フェニル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基、α-ナフチルメチル基、及びβ-ナフチルメチル基等が挙げられる。
-A-CO-O-Aで表される基の好適な具体例としては、2-メトキシカルボニルエチル基、2-エトキシカルボニルエチル基、2-n-プロピルオキシカルボニルエチル基、2-n-ブチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ペンチルオキシカルボニルエチル基、2-n-ヘキシルオキシカルボニルエチル基、2-ベンジルオキシカルボニルエチル基、2-フェノキシカルボニルエチル基、3-メトキシカルボニル-n-プロピル基、3-エトキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-プロピルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ブチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ペンチルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-n-ヘキシルオキシカルボニル-n-プロピル基、3-ベンジルオキシカルボニル-n-プロピル基、及び3-フェノキシカルボニル-n-プロピル基等が挙げられる。
以上、X02及びX03について説明したが、X02及びX03としては、下記式(C1a-i)又は(C1a-ii)で表される基が好ましい。
Figure 2023125704000040
式(C1a-i)及び(C1a-ii)中、X08及びX09はそれぞれ有機基である。t6は0以上4以下の整数である。X08及びX09がベンゼン環上の隣接する位置に存在する場合、X08及びX09が互いに結合して環を形成してもよい。t7は1以上8以下の整数である。t8は1以上5以下の整数である。t9は0以上(t8+3)以下の整数である。X010は有機基である。
式(C1a-i)中のX08及びX09についての有機基の例は、X02及びX03と同様である。X08としては、アルキル基又はフェニル基が好ましい。X08がアルキル基である場合、その炭素原子数は、1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましく、1が最も好ましい。つまり、X08はメチル基であるのが最も好ましい。X08及びX09が結合して環を形成する場合、当該環は、芳香族環でもよく、脂肪族環でもよい。式(C1a-i)で表される基であって、X08及びX09が環を形成している基の好適な例としては、ナフタレン-1-イル基や、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-5-イル基等が挙げられる。上記式(C1a-i)中、t6は0以上4以下の整数であり、0又は1であるのが好ましく、0であるのがより好ましい。
上記式(C1a-ii)中、X010は有機基である。有機基としては、X02及びX03について説明した有機基と同様の基が挙げられる。有機基の中では、アルキル基が好ましい。アルキル基は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。アルキル基の炭素原子数は1以上10以下が好ましく、1以上5以下がより好ましく、1以上3以下が特に好ましい。X010としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基がより好ましい。
上記式(C1a-ii)中、t8は1以上5以下の整数であり、1以上3以下の整数が好ましく、1又は2がより好ましい。上記式(C1a-ii)中、t9は0以上(t8+3)以下であり、0以上3以下の整数が好ましく、0以上2以下の整数がより好ましく、0が特に好ましい。上記式(C1a-ii)中、t7は1以上8以下の整数であり、1以上5以下の整数が好ましく、1以上3以下の整数がより好ましく、1又は2が特に好ましい。
式(C1a)中、X04及びX05は、それぞれ独立に水素原子、置換基を有してもよい炭素原子数1以上11以下のアルキル基、又は置換基を有してもよいアリール基である。X04及びX05がアルキル基である場合に有してもよい置換基としては、フェニル基、ナフチル基等が好ましく例示される。また、X04及びX05がアリール基である場合に有してもよい置換基としては、炭素原子数1以上5以下のアルキル基、炭素原子数1以上5以下のアルコキシ基、及びハロゲン原子等が好ましく例示される。
式(C1a)中、X04及びX05としては、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、フェニル基、ベンジル基、メチルフェニル基、ナフチル基等が好ましく例示され、これらの中でも、メチル基又はフェニル基がより好ましい。
前述の通り、X01としては、式(C1a-1aa)で表される基、式(C1a-1ba)で表される基、及び式(C1a-1ca)で表される基が好ましい。
01が、式(C1a-1aa)で表される基である場合の、式(C1a)で表されるオキシムエステル化合物の好適な具体例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000041
Figure 2023125704000042
Figure 2023125704000043
Figure 2023125704000044
01が、式(C1a-1ba)で表される基である場合の、式(C1a)で表されるオキシムエステル化合物の好適な具体例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000045
Figure 2023125704000046
01が、式(C1a-1ca)で表される基である場合の、式(C1a)で表されるオキシムエステル化合物の好適な具体例としては以下の化合物が挙げられる。
Figure 2023125704000047
Figure 2023125704000048
Figure 2023125704000049
Figure 2023125704000050
オキシムエステル化合物以外の光重合開始剤(C)としては、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-ジメチルアミノフェニル)ブタン-1-オン、2-(4-メチルベンジル)-2-ジエチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-メチル-1-フェニル-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-メチル-1-[4-(ヘキシル)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-エチル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン等のα-アミノケトン系化合物;1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα-ヒドロキシケトン系光重合開始剤;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンジルメチルケタール等のベンゾイン系光重合開始剤;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル、4’-メチルジフェニルサルファイド、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系光重合開始剤;チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系光重合開始剤;2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペニル-4.6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(4’-メトキシスチリル)-6-トリアジン、2-[4-(4-メトキシスチリル)フェニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-1,3,5-トリアジン等のトリアジン系光重合開始剤;カルバゾール系光重合開始剤;2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラキス(4-エトキシカルボニルフェニル)-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2-ブロモフェニル)-4,4,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリブロモフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のビイミダゾール系光重合開始剤;下記式で表されるようなベンズイミダゾリン系光重合開始剤等が例示される。
Figure 2023125704000051
光重合開始剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。2種以上組み合わせて用いることにより、露光光に含まれる幅広い範囲の波長の光線を有効に利用しやすく、また、感光性組成物の感度を適切な範囲に調整しやすい。
感光性組成物の全固形分中における、光重合開始剤(C)の含有量は、0.5質量%以上15質量%以下が好ましく、1質量%以上10質量%以下がより好ましい。
オキシムエステル化合物以外の他の光重合開始剤を併用する場合、光重合開始剤(C)の質量に対するオキシムエステル化合物の質量の比率は、50質量%以上が好ましく、50質量%以上99質量%以下がより好ましく、70質量%以上97質量%以下が特に好ましく、80質量%以上95質量%以下が最も好ましい。
光重合開始剤(C)にかかる範囲内の量のオキシムエステル化合物を含有させる場合、特に、所望する幅よりも広い幅を有するパターン化された硬化物が形成されにくい。
<遮光剤(D)>
感光性組成物は、遮光剤(D)を含む。遮光剤(D)は、無機黒色顔料でも、有機黒色顔料でもよい。感光性組成物が含む遮光剤(D)は、1種でも2種以上でもよい。
遮光剤(D)の種類や、配合割合等を調整することにより、所望のOD値(光学濃度)を有する遮光層2を形成することができる。例えば、遮光層2の厚さ1μm当たりのOD値(光学濃度)は、好ましくは1.0以上、より好ましくは1.5以上である。
[無機黒色顔料]
無機黒色顔料としては、カーボンブラックが好ましい。その他の無機黒色顔料としては、酸窒化チタン、窒化チタン、銀錫(AgSn)合金を主成分とする微粒子、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属硫酸塩又は金属炭酸塩が挙げられる。
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、ランプブラック等の公知のカーボンブラックを用いることができる。
カーボンブラックとして、酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを用いてもよい。
酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックは、酸性基が導入されたカーボンブラックである。酸性基を導入する処理を施されたカーボンブラックを用いることにより、未露光部5の現像残渣の発生が抑制できる。このため、得られる光学素子10において、レンズ1の未露光部5の透過率の低下を抑制することができる。
カーボンブラックに導入される酸性基は、ブレンステッドの定義による酸性を示す官能基である。酸性基の具体例としては、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等が挙げられる。カーボンブラックに導入された酸性基は、塩を形成していてもよい。酸性基と塩を形成するカチオンは、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カチオンの例としては、種々の金属イオン、含窒素化合物のカチオン、アンモニウムイオン等が挙げられ、ナトリウムイオン、カリウムイオン、リチウムイオン等のアルカリ金属イオンや、アンモニウムイオンが好ましい。
カーボンブラックに導入される酸性基は、1種でも2種以上でもよい。
カーボンブラックに酸性基を導入する方法は特に限定されない。酸性基を導入する方法としては、例えば以下の方法が挙げられる。
1)濃硫酸、発煙硫酸、クロロスルホン酸等を用いる直接置換法や、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩等を用いる間接置換法により、カーボンブラックにスルホン酸基を導入する方法。
2)アミノ基と酸性基とを有する有機化合物と、カーボンブラックとをジアゾカップリングさせる方法。
3)ハロゲン原子と酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとをウィリアムソンのエーテル化法により反応させる方法。
4)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物と、水酸基を有するカーボンブラックとを反応させる方法。
5)ハロカルボニル基と保護基により保護された酸性基とを有する有機化合物を用いて、カーボンブラックに対してフリーデルクラフツ反応を行った後、脱保護する方法。
これらの方法の中では、酸性基の導入処理が、容易且つ安全であることから、方法2)が好ましい。方法2)で使用されるアミノ基と酸性基とを有する有機化合物としては、芳香族基にアミノ基と酸性基とが結合した化合物が好ましい。このような化合物の例としては、スルファニル酸のようなアミノベンゼンスルホン酸や、4-アミノ安息香酸のようなアミノ安息香酸が挙げられる。
カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、本発明の目的を阻害しない範囲で特に限定されない。カーボンブラックに導入される酸性基のモル数は、カーボンブラック100gに対して、1mmol以上200mmol以下が好ましく、5mmol以上100mmol以下がより好ましい。
[有機黒色顔料]
有機黒色顔料としては、下記式(d1)で表されるラクタム系顔料や、ペリレン系顔料が挙げられる。
<ラクタム系顔料>
ラクタム系顔料は、下記式(d1)で表される化合物である。
Figure 2023125704000052
式(d1)中、Xは二重結合を示し、幾何異性体としてそれぞれ独立にE体又はZ体であり、Rd1は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、ニトロ基、メトキシ基、臭素原子、塩素原子、フッ素原子、カルボキシ基、又はスルホ基を示す。Rd2は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又はフェニル基を示す。Rd3は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基、又は塩素原子を示す。
式(d1)で表される化合物は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
d1は、式(d1)で表される化合物の製造が容易である点から、ジヒドロインドロン環の6位に結合するのが好ましく、Rd3はジヒドロインドロン環の4位に結合するのが好ましい。同様の観点から、Rd1、Rd2、及びRd3は、好ましくは水素原子である。
式(d1)で表される化合物は、幾何異性体としてEE体、ZZ体、EZ体を有するが、これらのいずれかの単一の化合物であってもよいし、これらの幾何異性体の混合物であってもよい。
式(d1)で表される化合物は、例えば、国際公開第2000/24736号、及び国際公開第2010/081624号に記載された方法により製造することができる。
感光性組成物中においてラクタム系顔料を良好に分散させるためには、ラクタム系顔料の平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましい。
<ペリレン系顔料>
ペリレン系顔料は、ペリレン骨格を有する化合物であり、黒色を呈する顔料であれば特に限定されない。
ペリレン系顔料の具体例としては、下記式(d2)で表されるペリレン系顔料、下記式(d3)で表されるペリレン系顔料、及び下記式(d4)で表されるペリレン系顔料が挙げられる。市販品では、BASF社製の製品名K0084、及びK0086や、ピグメントブラック21、30、31、32、33、及び34等を、ペリレン系顔料として好ましく用いることができる。
Figure 2023125704000053
式(d2)中、Rd11及びRd12は、それぞれ独立に炭素原子数1以上3以下のアルキレン基を表し、Rd13及びRd14は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基、メトキシ基、又はアセチル基を表す。
Figure 2023125704000054
式(d3)中、Rd15及びRd16は、それぞれ独立に、炭素原子数1以上7以下のアルキレン基を表す。
Figure 2023125704000055
式(d4)中、Rd17及びRd18は、それぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1以上22以下のアルキル基であり、N,O、S、又はPのヘテロ原子を含んでいてもよい。Rd17及びRd18がアルキル基である場合、当該アルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。
上記の式(d2)で表される化合物、式(d3)で表される化合物、及び式(d4)で表される化合物は、例えば、特開昭62-1753号公報、特公昭63-26784号公報に記載の方法を用いて合成することができる。すなわち、ペリレン-3,5,9,10-テトラカルボン酸又はその二無水物とアミン類とを原料とし、水又は有機溶媒中で加熱反応を行う。そして、得られた粗製物を硫酸中で再沈殿させるか、又は、水、有機溶媒あるいはこれらの混合溶媒中で再結晶させることによって目的物を得ることができる。
感光性組成物中においてペリレン系顔料を良好に分散させ、幅広い波長域の光について透過率が低い硬化物を形成するためには、ペリレン系顔料の体積平均粒子径は10nm以上1000nm以下であるのが好ましく、10nm以上500nm以下がより好ましく、10nm以上200nm以下が特に好ましい。
また、ペリレン系顔料の体積粒子径が上記の範囲内である場合、算術平均粗さRaが低い、平滑な表面を有する硬化物を安定的に形成しやすい。
感光性組成物の調製に用いられる遮光剤(D)の形態は特に限定されない。遮光剤(D)は、粉体として使用されてもよく、分散液として使用されてもよい。遮光剤(D)は、好ましくは、分散液として、感光性組成物の調製に用いられる。
分散液として、2種以上の遮光剤(D)を含む分散液を用いてもよい。また、それぞれ異なる種類の遮光剤を含む、2種以上の分散液を用いてもよい。
分散媒としては、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、セロソルブアセテート、3-メトキシブチルアセテート、メトキシプロピルアセテート、2-メトキシエチルアセテート3-エトキシエチルプロピオネート、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート等の有機溶剤を用いることができる。
遮光剤(D)の分散液中での分散の安定化や、感光性組成物における遮光剤(D)の分散性を良好とするために、分散剤を用いてもよい。
分散剤としては、ポリエチレンイミン系、ウレタン樹脂系、アクリル樹脂系等の高分子分散剤を用いることが好ましい。
これらの中では、現像液への溶解性が良好であり、現像後のレンズ、現像設備、配管等への残渣の付着がより生じにくい点で、ウレタン樹脂系の分散剤が好ましい。
分散剤を用いる場合、感光性組成物における分散剤の含有量は、遮光剤(D)の含有量に対して、例えば、5質量%以上50質量%以下であり、10質量%以上40質量%以下が好ましい。
なお、分散剤に起因する腐食性のガスが硬化物から生じる場合もある。このため、遮光剤(D)が、分散剤を用いることなく分散処理されるのも好ましい態様の一例である。
遮光剤(D)の分散液の粘度は、特に制限されない。分散液の粘度は、E型粘度計による25℃での測定値として、3mPa・s以上200mPa・s以下であるのが好ましい。
分散液中の遮光剤(D)の粒子径は、分散平均粒子径として80nm以上300nm以下が好ましい。分散平均粒子径は、レーザー回折式の粒度分布計を用いて測定することができる。
感光性組成物の全固形分における、遮光剤(D)の含有量は、5質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上50質量%以下がより好ましく、20質量%以上40質量%以下がさらに好ましい。
<増粘剤(E)>
本実施形態の感光性組成物は、1種又は2種以上の増粘剤(E)を含んでいることが好ましい。感光性組成物が増粘剤(E)を含むことにより、V2が6cP以上且つチキソトロピーインデックス(V1/V2)が1.5以上である感光性組成物を調製し易い。
本明細書において、増粘剤とは、液体の粘度を高める物質である。増粘剤(E)は、チキソトロピー性も付与する増粘剤であることが好ましい。なお、上述のアルカリ可溶性樹脂(A)、光重合性モノマー(B)、光重合開始剤(C)、遮光剤(D)、遮光剤(D)の分散剤は、増粘剤(E)には該当しない。
増粘剤(E)としては、感光性組成物の粘度を高めることができる物質であれば特に限定されないが、尿素構造を有する増粘剤が挙げられる。尿素構造を有する増粘剤は、例えば、尿素構造(-NH-CO-NH-)間を種々の架橋分子(例えばエチレンオキサイドやプロピレンオキサイド)で連結したものである。
また、増粘剤(E)として、ヒュームドシリカも挙げられる。ヒュームドシリカとは、例えばクロロシランの火炎熱分解によって製造される、乾式シリカである。ヒュームドシリカは、尿素構造を有する増粘剤とともに用いられることが好ましい。
感光性組成物における増粘剤(E)の含有量は、感光性組成物の全固形分中において0.1質量%以上5質量%以下が好ましく、0.3質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上1量%以下が特に好ましい。
<有機溶剤(S)>
感光性組成物は、希釈のための有機溶剤(S)を含有する。有機溶剤(S)としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコール-n-プロピルエーテル、エチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ-n-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテル等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等の(ポリ)アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等の他のエーテル類;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノン、3-ヘプタノン等のケトン類;2-ヒドロキシプロピオン酸メチル、2-ヒドロキシプロピオン酸エチル等の乳酸アルキルエステル類;2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオン酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エトキシ酢酸エチル、ヒドロキシ酢酸エチル、2-ヒドロキシ-3-メチルブタン酸メチル、3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシブチルプロピオネート、酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、蟻酸n-ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸n-ブチル、酪酸エチル、酪酸n-プロピル、酪酸イソプロピル、酪酸n-ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸n-プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2-オキソブタン酸エチル等の他のエステル類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類等が挙げられる。
これらの中でも、アルキレングリコールモノアルキルエーテル類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、乳酸アルキルエステル類、上述した他のエステル類が好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、上述した他のエーテル類、上述した他のエステル類がより好ましい。これらの溶剤は、単独又は2種以上組み合わせて用いることができる。
また、有機溶剤(S)は、分子構造中に水酸基を1つ以上有する有機溶剤を含むことが好ましい。分子構造中に水酸基を1つ以上有する有機溶剤は、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とともに用いられることが好ましい。
分子構造中に水酸基を1つ以上有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール等の1価のアルコール類や、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類が挙げられる。
有機溶剤(S)の含有量は、感光性組成物の固形分濃度が、20質量%以上である量が好ましく、30質量%以上である量がより好ましい。感光性組成物の固形分濃度の上限値は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましい。
アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、25℃において、上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である感光性組成物において、固形分濃度が30質量%以上であると、実施例に示されるように、光漏れを顕著に抑制することができる。
<その他の成分>
感光性組成物は、必要に応じて、各種の添加剤を含有していてもよい。添加剤としては、増感剤、硬化促進剤、充填剤、シランカップリング剤等の密着促進剤、酸化防止剤、凝集防止剤、熱重合禁止剤、消泡剤、界面活性剤等が挙げられる。
<感光性組成物の調製方法>
感光性組成物は、上記の各成分を撹拌機で混合することにより調製される。なお、調製された感光性組成物が均一なものとなるよう、遮光剤(D)等の含有成分を通過し得るメンブランフィルタ等を用いて濾過してもよい。
塗布膜形成工程において、感光性組成物を、レンズ1上に塗布する方法は特に限定されず、例えば、スプレーコーター、ディップコーター等の非接触型塗布装置を用いることができるが、本実施形態の効果が顕著である点で、光漏れが生じやすいスプレーコーターを用いた塗布(スプレー塗布)が好ましい。
感光性組成物を塗布した後、必要に応じて、乾燥により溶剤を除去して、塗布膜2aが形成される。
なお、乾燥(加熱)は、例えば100℃以下、好ましくは80℃以下といった低い温度で行われるのが好ましい。このような低い温度で行うことにより、樹脂製のレンズ等にダメージを与えないようにすることができる。乾燥は、必要に応じて減圧雰囲気下で行われてもよい。
<露光工程>
露光工程では、図3(c)に示すように、塗布膜形成工程で形成された塗布膜2aにおける、遮光層2が形成される位置3を、位置選択的に露光する。露光工程では、塗布膜2aに対して、i線(365nm)、エキシマレーザー光等の活性エネルギー線を、所望する遮光層2の形状(パターンの形状)に合わせて位置選択的に照射して露光を行う。位置選択的な露光は、例えば、遮光層2の形状に対応する形状のネガ型マスク4を介して行われる。
露光には、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、カーボンアーク灯等の紫外線を発する光源を用いることができる。露光量は感光性組成物の組成によっても異なるが、例えば10mJ/cm以上600mJ/cm以下程度が好ましい。
<現像工程>
現像工程において、露光工程で露光された塗布膜2aの未露光部5が、アルカリ現像液等の現像液により現像される。
現像方法は特に限定されず、浸漬法、スプレー法等を用いることができる。現像液の具体例としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の有機系のものや、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、アンモニア、4級アンモニウム塩等の水溶液が挙げられる。
<熱硬化工程>
熱硬化工程では、現像後の塗布膜を加熱(ベーク)する。これにより、図3(d)に示すように、現像された塗布膜が加熱硬化して、遮光層2(パターン化された硬化物)を形成することができる。
ベーク温度は、例えば120℃以下とすることができ、100℃以下、さらには95℃以下とすることができる。ベーク温度の下限は、塗布膜の硬化が良好に進行する限り特に限定されないが、80℃以上が好ましい。
ベーク時間は、特に限定されず、十分に塗布膜の硬化が進行するまで行われる。典型的には、ベーク時間は15~60分間が好ましい。
形成される遮光層2の厚さは特に限定されない。遮光層2の厚さは、0.05μm以上が好ましく、1μm以上がより好ましい。遮光層2の厚さの上限は特にないが、例えば50μm以下であってよく、20μm以下であってよい。遮光層2の厚さは、10μm以下が好ましい。
(実施形態2)
実施形態2の光学素子の製造方法は、凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、レンズの周縁に位置し少なくともレンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法である。
当該光学素子の製造方法は、感光性組成物をレンズの曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、塗布膜における遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、露光後の塗布膜を現像する、現像工程と、現像後の塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有する。
上記の感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む。
以下に実施形態2の光学素子の製造方法等について説明するが、実施形態2の光学素子の製造方法等は、感光性組成物において、増粘剤(E)が必須成分であること、及び、25℃において上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり且つ25℃においてE型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上であるという構成が必須ではないことの他は、実施形態1と同様である。このため、以下に記載した実施形態2にかかる光学素子の製造方法等についての説明以外(例えば、各工程、光学素子、感光性組成物が含有する成分や配合、感光性組成物の固形分濃度)は、その説明は省略する。
上述のとおり、感光性組成物をレンズ1に塗布して形成した塗布膜を、位置選択的な露光及び現像することによって、レンズ1の周縁に位置し少なくともレンズ1の曲面の一部を覆う遮光層2を形成すると、遮光層2のうちレンズ1の曲面(すなわち傾斜面)上に設けられた箇所(傾斜部2a)において、光漏れが生じ得る問題がある。
しかしながら、本実施形態においては、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含むという特定の感光性組成物を用いることにより、後述する実施例に示されるように、上記の光漏れを抑制することができる。
本実施形態においては、上記特定の感光性組成物を用いて塗布膜を形成するため、感光性組成物は、レンズ1周縁のレンズ1の曲面(傾斜面)に留まりやすく、レンズ1の曲面に沿って流れ難くい。この結果、レンズ1の曲面上に厚い遮光層2(傾斜部2a)を形成できる。厚い遮光層2を備える光学素子では、遮光層2が十分に光を吸収し、光漏れが抑制される。また、レンズ1の曲面上に形成される遮光層2(傾斜部2a)における光吸収能と、遮光層2のうちレンズ1の平面上に該当する箇所(平面部2b)における光吸収能との差を小さくすることもできる。
光漏れが抑制されるため、本実施形態において製造される、レンズ1に遮光層2が形成された光学素子10は、カメラ、顕微鏡、半導体露光装置等の光学機器に好ましく使用することができる。
なお、本実施形態において用いる感光性組成物の上記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスは、1.5以上であることが好ましく、1.60以上であることがより好ましく、1.70以上であることがさらに好ましい。
また、本実施形態において用いる感光性組成物の上記粘度V2は、6cP以上であることが好ましく、8cP以上であることがより好ましく、12cP以上であることがさらに好ましい。
以下、実施例を示して本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は、これらの実施例に限定されるものではない。
実施例、及び比較例において、アルカリ可溶性樹脂(A)として、アルカリ可溶性のカルド樹脂である樹脂A-1及びアルカリ可溶性のアクリル樹脂である樹脂A-2を用いた。樹脂A-1は、以下の調製例1で得た樹脂である。樹脂A-2は、メタクリル酸メチルとアクリル酸とスチレンとの共重合体であり、質量比はメタクリル酸メチル:アクリル酸:スチレン=40:40:20であり、質量平均分子量Mwは8000である。
(調製例1)
まず、500ml四つ口フラスコ中に、ビスフェノールフルオレン型エポキシ樹脂(エポキシ当量235)235g、テトラメチルアンモニウムクロライド110mg、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール100mg、及びアクリル酸72.0gを仕込み、これに25ml/分の速度で空気を吹き込みながら90~100℃で加熱溶解した。次に、溶液が白濁した状態のまま徐々に昇温し、120℃に加熱して完全溶解させた。この際、溶液は次第に透明粘稠になったが、そのまま撹拌を継続した。この間、酸価を測定し、1.0mgKOH/g未満になるまで加熱撹拌を続けた。酸価が目標値に達するまでに12時間を要した。そして室温まで冷却し、無色透明で固体状の下記式で表されるビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレートを得た。
Figure 2023125704000056
次いで、このようにして得られた上記のビスフェノールフルオレン型エポキシアクリレート307.0gに3-メトキシブチルアセテート600gを加えて溶解した後、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物80.5g及び臭化テトラエチルアンモニウム1gを混合し、徐々に昇温して110~115℃で4時間反応させた。酸無水物基の消失を確認した後、1,2,3,6-テトラヒドロ無水フタル酸38.0gを混合し、90℃で6時間反応させ、樹脂A-1を得た。酸無水物基の消失はIRスペクトルにより確認した。樹脂A-1の、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量は、3100であった。
実施例、及び比較例において、光重合性モノマー(B)として、B-1:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)を用いた。
実施例、及び比較例において、光重合開始剤(C)として、下記C-1を用いた。
Figure 2023125704000057
実施例及び比較例において、遮光剤(D)として、カーボンブラックとしての下記D1-1及びD-2、並びに、有機黒色顔料としての下記D2-1(ラクタム系顔料)を用いた。カーボンブラックは、カーボンブラック分散液として使用した。カーボンブラック分散液の調製方法を、調製例4として以下に記す。また、有機黒色顔料は、有機黒色顔料分散液として使用した。有機黒色顔料分散液の調製方法を、調製例5として以下に記す。
D1-1:Regal 250R、Cabot社製(酸性基導入処理を施されていないカーボンブラック)
D1-2:下記調製例3で得られたベンゼンスルホン酸基が導入されたカーボンブラック
Figure 2023125704000058
(調製例3:D1-2の調製)
カーボンブラック(Regal 250R、Cabot社製)550g、スルファニル酸31.5g、及びイオン交換水1000gを、ジャケット温度60℃に設定された、ジャケットと撹拌装置とを備える反応容器に加えた。亜硝酸ナトリウム12.6gを脱イオン水100gに溶解させた溶液をブラウミキサー内に加えた後、ミキサー内の混合物60℃、50回転/分の条件で2時間撹拌し、ジアゾカップリング反応を行った。撹拌後、ミキサーの内容物を室温まで冷却した。次いで、ミキサーの内容物に含まれるカーボンブラックを、脱イオン水を用いてダイアフィルトレーション法で精製した。洗浄水からは、スルファニル酸に由来するベンゼンスルホン酸類は検出されず、ジアゾカップリング反応によりカーボンブラックにベンゼンスルホン酸基が導入されたことが分かった。精製されたカーボンブラックを、75℃で一晩乾燥させた後に粉砕して、ベンゼンスルホン酸基が導入されたカーボンブラック(D1-2)を得た。
(調製例4:カーボンブラック分散液の調製)
カーボンブラックとしてD1-1、D1-2を用いて、以下の処方に従ってカーボンブラックブラック分散液を調整した。
カーボンブラック15g、分散剤(BYK-167、ビックケミー・ジャパン株式会社製)4.5g、及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)50gを、ビーズミルを用いて混合攪拌しプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中にカーボンブラックを分散させた。その後、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートで、固形分濃度が30質量%となるように混合物を希釈して、カーボンブラック分散液を得た。
(調製例5:有機黒色顔料分散液の調製)
カーボンブラックの代わりに、有機黒色顔料としてのD2-1を用いたことの他は、調整例4と同様にして、有機黒色顔料分散液を得た。
実施例及び比較例において、増粘剤(E)として、下記E-1及びE-2を用いた。
E-1:尿素構造を有する増粘剤(BYK-410、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
E-2:ヒュームドシリカ系増粘剤(BYK-405、ビックケミー・ジャパン株式会社製)
〔実施例1~8及び比較例1~3〕
表1に記載の種類及び質量部の、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)とを、表1に記載の固形分濃度(質量%)となるように、溶剤(S)に均一に溶解、分散させて、実施例1~8及び比較例1~3の感光性組成物を調製した。なお、溶剤(S)は、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とした。また、遮光剤(D)は分散液を用いて、遮光剤(D)が表1に記載の種類及び量となるように配合した。表1に分散剤の量も記載する。
得られた各実施例、及び比較例の感光性組成物について、E型粘度計(TVE-35L型粘度計、東機産業社製)を用いて、25℃における、V1(E型粘度計における回転数5rpmでの粘度)、V2(E型粘度計における回転数50rpm)を測定し、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスを求めた。結果を表1に示す。
V1/V2・・・(1)
(式(1)中、V1は、E型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
V2は、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
得られた各実施例、及び比較例の感光性組成物を用いて、以下の方法に従って、光漏れ、遮光層(硬化物)の膜厚、OD値を評価した。結果を表1に示す。
〔OD値の評価〕
10cmのガラス基板(コーニング製、イーグルXG)上に、感光性組成物を塗布した後、80℃で120秒間加熱(乾燥)して、塗布膜を形成した。次いで、この塗布膜に、プロキシミティ露光装置(製品名:TME-150RTO、株式会社トプコン製)を用いて、i線(365nm)を含むブロードバンド光を照射した。露光量は、100mJ/cmとした。そして、90℃で30分間、ホットプレート上で加熱(ベーク)した。形成された遮光層(硬化物)の膜厚は1.0μmであった。この遮光層(硬化物)について、D200-II(Macbeth製)を用いてOD値を測定した。
〔遮光層の膜厚の評価〕
感光性組成物を用いて、図4に示す方法で、ガラス基板11上に塗布膜12を形成し、塗布膜12の膜厚を評価することで、遮光層の膜厚を評価した。
具体的には、まず、縦10cm×横10cmのガラス基板11(コーニング製、イーグルXG)を、水平面に対して傾斜角が25°になるように設定した。
このガラス基板11の全面にスプレーコーターを用いて感光性組成物を塗布し、80℃で120秒間加熱(乾燥)して、塗布膜12を形成した。
その後、ガラス基板11を水平にし、塗布膜12の膜厚(ガラス基板11の厚さ方向の、塗布膜12の膜厚)xを、測定した。結果を表1に示す。塗布膜12の膜厚xと遮光層の膜厚は相関があるため、例えば、塗布膜12の膜厚xが厚いほど、遮光層は厚くなるといえる。
なお、ガラス基板11への塗布は、ガラス基板11を水平(傾斜角が0°)にして感光性組成物を塗布したことの他は上記と同様にして塗布膜12を形成した場合に、塗布膜12の膜厚(ガラス基板11の厚さ方向の、塗布膜12の膜厚)が7μmになる条件で行った。
〔光漏れの評価〕
80℃で120秒間加熱(乾燥)して塗布膜を形成した後、塗布膜の全面に、両面プリンター「オーク株式会社製HMW-532D」を用いi線(365nm)を含むブロードバンド光を照射(露光量は、100mJ/cm)した後、90℃で30分間加熱することで、遮光層(硬化膜)を形成したことの他は、〔遮光層の膜厚の評価〕と同様にして、傾斜角が25°のガラス基板11上に遮光層を形成し、傾斜角を25°にしたまま、平面光(光束130ルーメン)を照射し、遮光層を透過した光が全く観察されなかった場合を○評価、遮光層を透過した光がわずかに観察された場合を△評価、遮光層を透過した光がはっきりと観察された場合を×評価とした。結果を表1に示す。
Figure 2023125704000059
実施例1~8によれば、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、25℃において、式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である感光性組成物、又は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む感光性組成物を用いることにより、ガラス基板の傾斜面(ひいてはレンズの曲面)に、光漏れが抑制された遮光層を形成できることが分かる。
他方、比較例1~3によれば、上記特定のチキソトロピーインデックス及び粘度を有さない感光性組成物、又は、増粘剤(E)を含まない感光性組成物を用いると、傾斜面(ひいてはレンズの曲面)上の遮光層は、光漏れが大きいことが分かる。
1 レンズ
2 遮光層
2a 傾斜部
2b 平面部
3 遮光層を形成する位置
4 ネガ型マスク
5 未露光部
10 光学素子
11 ガラス基板
12 塗布膜

Claims (11)

  1. 凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法であって、
    感光性組成物を前記レンズの前記曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜における前記遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、
    露光後の前記塗布膜を現像する、現像工程と、
    現像後の前記塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有し、
    前記感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、
    前記感光性組成物は、25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、且つ、25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である、光学素子の製造方法。
    V1/V2・・・(1)
    (式(1)中、V1は、E型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
    V2は、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
  2. 凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備える光学素子の製造方法であって、
    感光性組成物を前記レンズの前記曲面に塗布して塗布膜を形成する、塗布膜形成工程と、
    前記塗布膜における前記遮光層が形成される位置を位置選択的に露光する、露光工程と、
    露光後の前記塗布膜を現像する、現像工程と、
    現像後の前記塗布膜を加熱して硬化させる、熱硬化工程と、を有し、
    前記感光性組成物は、アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む、光学素子の製造方法。
  3. 前記増粘剤(E)は、尿素構造を有する増粘剤を含む、請求項2に記載の光学素子の製造方法。
  4. 前記感光性組成物の固形分濃度は、30質量%以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  5. 前記有機溶剤(S)は、分子構造中に水酸基を1つ以上有する有機溶剤を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
  6. 凸レンズ又は凹レンズからなるレンズに、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層を形成するために用いられる感光性組成物であって、
    アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、有機溶剤(S)とを含み、
    25℃において、下記式(1)で表されるチキソトロピーインデックスが1.5以上であり、
    25℃において、E型粘度計における回転数50rpmでの粘度V2が6cP以上である、感光性組成物。
    V1/V2・・・(1)
    (式(1)中、V1はE型粘度計における回転数5rpmでの粘度であり、
    V2はE型粘度計における回転数50rpmでの粘度である。)
  7. 凸レンズ又は凹レンズからなるレンズに、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層を形成するために用いられる感光性組成物であって、
    アルカリ可溶性樹脂(A)と、光重合性モノマー(B)と、光重合開始剤(C)と、遮光剤(D)と、増粘剤(E)と、有機溶剤(S)とを含む感光性組成物。
  8. 前記増粘剤(E)は、尿素構造を有する増粘剤を含む、請求項7に記載の感光性組成物。
  9. 固形分濃度は、30質量%以上である、請求項6~8のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  10. 前記有機溶剤(S)は、分子構造中に水酸基を1つ以上有する有機溶剤を含む、請求項6~9のいずれか1項に記載の感光性組成物。
  11. 凸レンズ又は凹レンズからなるレンズと、前記レンズの周縁に位置し少なくとも前記レンズの曲面の一部を覆う遮光層とを備え、
    前記遮光層が、請求項6~10のいずれか1項に記載の感光性組成物の硬化物からなる、光学素子。
JP2022029949A 2022-02-28 2022-02-28 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物 Pending JP2023125704A (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022029949A JP2023125704A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物
TW111150110A TW202336463A (zh) 2022-02-28 2022-12-27 光學元件之製造方法、光學元件及感光性組成物
CN202310129399.2A CN116661029A (zh) 2022-02-28 2023-02-17 光学元件的制造方法、光学元件及感光性组合物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022029949A JP2023125704A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023125704A true JP2023125704A (ja) 2023-09-07

Family

ID=87721259

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022029949A Pending JP2023125704A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物

Country Status (3)

Country Link
JP (1) JP2023125704A (ja)
CN (1) CN116661029A (ja)
TW (1) TW202336463A (ja)

Also Published As

Publication number Publication date
CN116661029A (zh) 2023-08-29
TW202336463A (zh) 2023-09-16

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7175346B2 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化膜、有機el素子における発光層の区画用のバンク、有機el素子用の基板、有機el素子、硬化膜の製造方法、バンクの製造方法、及び有機el素子の製造方法
JP6823997B2 (ja) 着色剤分散液、感光性樹脂組成物、硬化物、有機el素子、パターンの形成方法、及び感光性樹脂組成物の製造方法
KR102005682B1 (ko) 감광성 수지 조성물, 경화막, 표시장치, 및 패턴 형성 방법
JP6401545B2 (ja) 感光性樹脂組成物及びカーボンブラック並びに感光性樹脂組成物の製造方法
KR20150056060A (ko) 블랙 컬럼 스페이서 형성용 감광성 수지 조성물
JP2020086317A (ja) 感光性樹脂組成物、パターン化された硬化膜の製造方法、及びパターン化された硬化膜
JP6832168B2 (ja) 樹脂組成物、ブラックマトリクス、表示装置、及びブラックマトリクスの製造方法
JP2018072398A (ja) 感光性組成物、及び硬化膜の形成方法
JP6944819B2 (ja) 樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、及び硬化膜の製造方法
JP2018185512A (ja) ブラックカラムスペーサ形成用の感光性樹脂組成物、ブラックカラムスペーサ、表示装置、及びブラックカラムスペーサの形成方法
JP2023125704A (ja) 光学素子の製造方法、光学素子及び感光性組成物
JP2021167905A (ja) 感光性組成物、パターン化された硬化膜の製造方法、及びパターン化された硬化膜
WO2021106805A1 (ja) 感光性組成物、硬化物、及び硬化物の製造方法
JP6825870B2 (ja) 感光性樹脂組成物、硬化膜、カラーフィルタ、及び硬化膜の製造方法
JP7095989B2 (ja) 感光性組成物、硬化物、硬化物形成方法、カラーフィルター、及び画像表示装置
JP7263153B2 (ja) 感光性組成物、硬化物、ブラックマトリクス、ブラックバンク、カラーフィルター、画像表示装置、及びパターン化された硬化膜の製造方法
JP2024018491A (ja) 感光性組成物、パターン化された硬化物の製造方法、パターン化された硬化物及びブラックマトリクス
JP2023097940A (ja) 感光性組成物
JP2022013302A (ja) 感光性組成物、硬化物、硬化膜の製造方法、及び樹脂
WO2023127401A1 (ja) 感光性組成物、硬化物、パターン化された硬化膜の製造方法
JP2021064467A (ja) 有機elパネル用基板の製造方法、有機elパネル用基板、及びネガ型感光性樹脂組成物
WO2023127402A1 (ja) 感光性組成物、硬化物、及びパターン化された硬化膜の製造方法
JP2021167906A (ja) 感光性組成物、パターン化された硬化膜の製造方法、及びパターン化された硬化膜
JP2023003349A (ja) 感光性組成物
JP2023174312A (ja) 感光性樹脂組成物及びパターン化された樹脂膜を備える基板の製造方法