JP2023124889A - 複合構造物および複合構造物を備えた半導体製造装置 - Google Patents

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亮人 滝沢
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Abstract

【課題】耐パーティクル性(low-particle generation)を高める複合構造物及び半導体製造装置を提供する。【解決手段】耐パーティクル性に優れ、半導体製造装置用部材として好ましく用いられる複合構造物10であって、基材15と、基材上に設けられ、プラズマ雰囲気に曝露される表面20aを有する構造物20とを備え、構造物がY2SiO5結晶を主成分として含み、かつ、そのインデンテーション硬度が7.5GPaより大である。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体製造装置用部材として好ましく用いられる、耐パーティクル性(low-particle generation)に優れた複合構造物およびそれを備えた半導体製造用装置に関する。
基材表面にセラミックスをコートして、基材に機能を付与する技術が知られている。例えば、半導体製造装置などのプラズマ照射環境下で用いられる半導体製造装置用部材として、その表面に耐プラズマ性が高い被膜を形成したものが用いられている。被膜には、例えば、アルミナ(Al)、イットリア(Y)等の酸化物系セラミックス、フッ化イットリウム(YF)、イットリウムオキシフッ化物(YOF)などのフッ化物が用いられる。
2SiO系材料を耐プラズマ性が求められる部材として利用することも提案されている(特許文献1および2)。しかしながら、これら先行技術は、Y2SiO系材料の耐プラズマ性とインデンテーション硬度との関係を何ら開示も示唆もしていない。
半導体の微細化に伴い、半導体製造装置内の各種部材にはより高いレベルでの耐パーティクル性が求められており、それに対応する材料が依然として求められる。
特開2001-206764号公報 特開2005-60827号公報
本発明者らは、今般、Y2SiO系材料において、そのインデンテーション硬度を特定の値とすることで、フッ素プラズマ環境下でのフッ化を抑制できるとの知見を得た。本発明はかかる知見にもとづくものである。
したがって、本発明は、耐パーティクル性(low-particle generation)に優れた複合構造物の提供をその目的としている。さらにこの複合構造物の半導体製造装置用部材としての用途、およびそれを用いた半導体製造装置の提供をその目的としている。
そして、本発明による複合構造物は、基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、前記構造物がY2SiO結晶を主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が7.5GPaより大であることを特徴とするものである。
また本発明による複合構造物は、耐パーティクル性が要求される環境において用いられるものである。
さらに、本発明による半導体製造装置は、上記の本発明による複合構造物を備えたものである。
本発明による構造物を有する部材の模式断面図である。 図2a~図2cは、本発明による構造物の格子定数とフッ化量との関係との関係を示すグラフである。 図3aは本発明による構造物のX線回析データの強度を示すグラフであり、図3bは本発明による構造物のビーク強度比とフッ化量との関係を示すグラフである。 本発明による構造物のインデンテーション硬度とフッ化量との関係を示すグラフである。 本発明による構造物の表面の標準プラズマ試験1または2の前後のSEM像である。
複合構造物
本発明による複合構造物の基本構造を、図1を用いて説明する。図1は、本発明による複合構造物10の断面模式図である。複合構造物10は、基材15の上に設けられた構造物20とからなり、構造物20は表面20aを有する。
本発明による複合構造物が備える構造物20は、いわゆるセラミックコートである。セラミックコートを施すことにより、基材15に種々の物性・特性を付与することが出来る。なお、本明細書にあっては、構造物(またはセラミック構造物)とセラミックコートとは、特に断らない限り、同義に用いる。
複合構造物10は、例えば、チャンバーを有する半導体製造装置のチャンバー内部に設けられる。複合構造物10がチャンバーの内壁を構成してもよい。チャンバーの内部には、SF系やCF系のフッ素系ガスなどが導入されプラズマが生じ、構造物20の表面20aはプラズマ雰囲気に曝露される。そのため、複合構造物10の表面にある構造物20には耐パーティクル性が要求される。また、本発明による複合構造物は、チャンバーの内部以外に実装される部材として用いられてもよい。本明細書において、本発明による複合構造物が用いられる半導体製造装置は、アニール、エッチング、スパッタリング、CVDなどの処理を行う任意の半導体製造装置(半導体処理装置)を含む意味に用いる。
基材
本発明において基材15は、その用途に用いられる限り特に限定されず、アルミナ、石英、アルマイト、金属あるいはガラスなどを含んで構成され、好ましくはアルミナを含んで構成される。本発明の好ましい態様によれば、基材15の構造物20が形成される面の算術平均粗さRa(JISB0601:2001)は、例えば5マイクロメータ(μm)未満、好ましくは1μm未満、より好ましくは0.5μm未満とされる。
構造物
本発明において、構造物はY2SiO結晶を主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が7.5GPaより大であるもの、好ましくは10GPa以上であるものである。
本発明において、構造物の主成分とは、構造物のX線回折(X-ray Diffraction:XRD)による定量又は準定量分析により、構造物20に含まれる他の化合物よりも相対的に多く含まれる化合物をいう。例えば、主成分は、構造物中に最も多く含まれる化合物であり、構造物において主成分が占める割合は、質量比で70wt%以上であり、好ましくは90%wt以上であり、最も好ましくは100%である。
本発明において、構造物がY2SiOに加え含んでいてもよい成分としては、酸化スカンジウム、酸化ユウロビウム、酸化ガドリニウム、酸化エルビウム、酸化イッテルビウムなどの酸化物、およびイットリウムフッ化物、イットリウムオキシフッ化物などのフッ化物があげられ、これらの二以上の複数を含んでいてもよい。
本発明において、構造物は単層構造に限られず、多層構造であってもよい。組成の異なるY2SiO結晶を主成分とする層を複数備えることもでき、また、基材と構造物との間に別の層、例えばYを含む層が設けられていてもよい。
インデンテーション硬度
本発明によれば、Y2SiO結晶を主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が7.5GPaより大とされる。これにより、耐パーティクル性を向上させることができる。インデンテーション硬度は、より好ましくは10GPa以上である。インデンテーション硬度の上限は、特に限定されず、その要求特性により定めてよいが、例えば18GPa以下である。
構造物のインデンテーション硬度は、以下の方法により測定される。すなわち、基材上のY2SiO結晶を主成分として含む構造物の表面に対して極微小押し込み硬さ試験(ナノインデンテーション)により行う。圧子はバーコビッチ圧子、押し込み深さは200nmの固定値とし、インデンテーション硬さ(押し込み硬さ)HITを測定する。表面におけるHITの測定箇所として傷や凹みを除外した表面を選択する。より好ましくは表面は研磨を施した平滑面とする。測定点数は少なくとも25点以上とする。測定した25点以上のHITの平均値を本発明における硬度とする。その他の試験方法及び分析方法、試験装置の性能を検証するための手順、標準参考試料に求められる条件については、ISO14577に準拠する。
格子定数
本発明の一つの態様によれば、構造物が含むY2SiO結晶は、その格子定数がa>9.06、b>6.93、c>6.70の少なくとも1つを満たすものであり、好ましくは格子定数が、a>9.10、b>6.94、c>6.73の少なくとも1つを満たすものとされる。これにより、構造物のフッ化が抑制され、耐パーティクル性を向上させることができる。
2SiOの格子定数は、ICDDカード(リファレンスコード:01-070-5613)によると、a=9.01(Å)、b=6.93(Å)、c=6.64(Å)であり、本発明にあっては、格子定数a、b、cの少なくともいずれか一つが、これら値を超えた上記値をとることを特徴とする。
本発明にあって格子定数は、XRDを用いて測定される。例えば、XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用し、XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとする。例えば、XRDの解析ソフト「SmartLab Studio II/リガク製」を使用し、得られたXRD回折パターンをICDDカード01-070-5613で示される化学式Y2SiOの単斜晶として同定する。続いて、同じくXRDの解析ソフト「SmartLab Studio II/リガク製」を使用し、外部標準法を用いた格子定数精密化により、格子定数を算出する。外部標準には金属Siを用い、また、格子定数の算出に利用するピークとして、ミラー指数(hkl)=(110)に帰属される回折角2θ=16.4°のピーク、ミラー指数(hkl)=(200)に帰属される回折角2θ=20.6°のピーク、ミラー指数(hkl)=(300)に帰属される回折角2θ=31.1°のピーク、ミラー指数(hkl)=(121)に帰属される回折角2θ=32.5°のピーク、ミラー指数(hkl)=(310)に帰属される回折角2θ=33.7°のピーク、ミラー指数(hkl)=(321)に帰属される回折角2θ=46.3°のピーク、ミラー指数(hkl)=(123)に帰属される回折角2θ=48.8°のピーク、を指定する。本発明における構造物は格子定数a=9.0139、c=6.6427、よりも大きい新規の構造物であることから、XRDによって実際に計測される各ミラー指数(hlk)に帰属されるピーク位置(2θ)は、各ミラー指数(hkl)に帰属される理論上のピーク位置(2θ)よりも、各々、低角度側に0.1~0.4°シフトする。その他は格子定数の測定はJISK0131に準拠して行うことができる。
ピーク強度比
本発明の一つの態様によれば、Y2SiO結晶のX線回折における(300)のピークと(121)のピークとの比であるピーク強度比(300)/(121)が100%より大であるものであることが好ましく、より好ましくはピーク強度比(300)/(121)が110%より大であるものとされる。
ピーク強度比の測定方法はXRDを用いて行うことができる。XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用し、XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとする。Y2SiOの単斜晶における、ミラー指数(hkl)=(121)に帰属される回折角2θ=32.5°±0.4(32.1°~32.9°)のピークの強度と、ミラー指数(hkl)=(300)に帰属される回折角2θ=31.1°±0.4°(30.7°~31.5°)のピークの強度とから、ピーク強度比(300)/(121)を算出する。本発明における構造物は格子定数a=9.0139、c=6.6427、よりも大きい新規の構造物であることから、XRDによって実際に計測される各ミラー指数(hlk)に帰属されるピーク位置(2θ)は、各ミラー指数(hkl)に帰属される理論上のピーク位置(2θ)よりも、各々、低角度側に0.1~0.4°シフトする。
エッチングレートおよびフッ化量
本発明による複合構造物は、フッ素プラズマ環境下でのフッ化を抑制し、またプラズマによるエッチングを抑制することができる。
本発明の好ましい態様によれば、後記する標準プラズマ試験1後における、構造物の表面粗さSa(ISO25178に準拠して定まる)が0.06μmより小であることが好ましく、より好ましくは0.03μmより小とされる。これにより、より優れた耐パーティクル性が得られる。
本発明にあっては、以下に規定するフッ素系プラズマに曝露する試験を、標準プラズマ試験1および2とそれぞれ呼ぶこととする。
プラズマ曝露条件
基材上のY2SiO結晶を主成分として含む構造物について、誘導結合型反応性イオンエッチング(ICP-RIE)装置を用いて、その表面をプラズマ雰囲気に曝露する。プラズマ雰囲気の形成条件は、以下の2条件とする。
標準プラズマ試験1:
プロセスガスとしてSF 100sccm、電源出力としてICP用のコイル出力を1500W、バイアス出力を750Wとする。
標準プラズマ試験2:
プロセスガスとしてSF 100sccm、電源出力としてICP用のコイル出力を1500W、バイアス出力をOFF(0W)とする。つまり静電チャックのバイアス用の高周波電力には印加しない。
標準プラズマ試験1および2に共通して、チャンバー圧力は0.5Pa、プラズマ曝露時間は1時間とする。この条件により形成されたプラズマ雰囲気に、前記構造物表面が曝露されるように、前記半導体製造装置用部材は、前記誘導結合型反応性イオンエッチング装置に備えられた静電チャックで吸着されたシリコンウエハ上に配置する。
結晶子サイズ
また、本発明の一つの態様によれば、Y2SiOは多結晶体である。その平均結晶子サイズは、好ましくは50nm未満、さらに好ましくは30nm未満、最も好ましくは20nm未満である。平均結晶子サイズが小さいことにより、プラズマによって発生するパーティクルを小さくすることができる。
本願明細書において「多結晶体」とは、結晶粒子が接合・集積してなる構造体をいう。結晶粒子は、実質的にひとつで結晶を構成することが好ましい。結晶粒子の径は、例えば5ナノメートル(nm)以上である。
本発明において、結晶子サイズの測定は、例えばX線回折による。平均結晶子サイズとして、シェラーの式により結晶子サイズを算出することができる。
複合構造物の製造
本発明による複合構造物は、上記した格子定数を備える構造物を基材上に実現出来る限り、合目的的な種々の製造方法により製造されてよい。すなわち、基材上に、Y2SiOを主成分として含み、かつ上記した格子定数を備える構造物を形成できる方法により製造されてよく、例えば、物理蒸着法(PVD法)、化学蒸着法(CVD法)によって構造物を基材上に形成できる。PVD法の例としては、電子ビーム物理気相蒸着(EB-PVD)、イオンビームアシスト蒸着(IAD)、電子ビームイオンアシスト蒸着(EB-IAD)、イオンプレーティング、スパッタリング法等が挙げられる。CVD法の例としては熱CVD、プラズマCVD(PECVD)、有機金属CVD(MOCVD)、ミストCVD、レーザーCVD、原子層堆積(ALD)等が挙げられる。また、本発明の別の態様によれば、基材の表面に脆性材料等の微粒子を配置し、該微粒子に機械的衝撃力を付与することで形成することができる。ここで、「機械的衝撃力の付与」方法には、高速回転する高硬度のブラシやローラーあるいは高速に上下運動するピストンなどを用いる、爆発の際に発生する衝撃波による圧縮力を利用する、または、超音波またはプラズマを作用させる、あるいは、これらの組み合わせが挙げられる。
また、本発明による複合構造物は、エアロゾルデポジション法(AD法)により好ましく形成することができる。「AD法」は、セラミックス等の脆性材料などを含む微粒子をガス中に分散させた「エアロゾル」をノズルから基材に向けて噴射し、金属やガラス、セラミックスやプラスチックなどの基材に高速で微粒子を衝突させ、この衝突の衝撃により脆性材料微粒子に変形や破砕を起させ、それによりこれらを接合させて、基材上に微粒子の構成材料を含む構造物(セラミックコート)を、例えば層状構造物または膜状構造物としてダイレクトに形成させる方法である。この方法によれば、特に加熱手段や冷却手段などを必要とせず、常温で構造物の形成が可能であり、焼成体と同等以上の機械的強度を有する構造物を得ることができる。また、微粒子を衝突させる条件や微粒子の形状、組成などを制御することにより、構造物の密度や機械強度、電気特性などを多様に変化させることが可能である。そして、諸条件を、本発明による複合構造体を実現するよう、すなわち本発明による格子定数となるよう設定することで、本発明による複合構造物を製造することができる。例えば、キャリアガスの種類及び流量を制御し、また原料粒子の粒径を調整し、さらにこれらを組合せた諸条件を制御するなどして製造することができる。
本願明細書において「微粒子」とは、一次粒子が緻密質粒子である場合には、粒度分布測定や走査型電子顕微鏡などにより同定される平均粒径が5マイクロメータ(μm)以下のものをいう。一次粒子が衝撃によって破砕されやすい多孔質粒子である場合には、平均粒径が50μm以下のものをいう。
また、本願明細書において「エアロゾル」とは、ヘリウム、窒素、アルゴン、酸素、乾燥空気、これらを含む混合ガスなどのガス(キャリアガス)中に前述の微粒子を分散させた固気混合相体を指し、「凝集体」を含む場合も包含するが、好ましくは実質的に微粒子が単独で分散している状態をいう。エアロゾルのガス圧力と温度は、求める構造物の物性等を勘案して任意に設定されてよいが、ガス中の微粒子の濃度は、ガス圧を1気圧、温度を摂氏20度に換算した場合に、吐出口から噴射される時点において0.0003mL/L~5mL/Lの範囲内であることが好ましい。
エアロゾルデポジションのプロセスは、通常は常温で実施され、微粒子材料の融点より十分に低い温度、すなわち摂氏数100度以下で構造物の形成が可能である。本願明細書において「常温」とは、セラミックスの焼結温度に対して著しく低い温度で、実質的には0~100℃の室温環境をいう。本願明細書において「粉体」とは、前述した微粒子が自然凝集した状態をいう。
本発明をさらに以下の実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例で用いた構造物の原料Y2粉体またはY2SiO粉体として、下記表1に示される粉体名F-1およびF-2を用意した。
また表中、平均粒径は以下のとおり測定されたものである。すなわち、レーザー回折粒子径分布測定装置「LA-960/HORIBA」を使用し、超音波により粒子を適切に分散させた後に粒径分布の評価を行い、得られたメディアン径D50を平均粒径とした。
下記表1にあるとおり、これらの原料と、製膜条件(キャリアガスの種類及び流量など)との組み合わせを変化させて基材上に構造物を備えた複数のサンプルを作製した。得られたサンプルについて標準プラズマ試験1~2後の耐パーティクル性の評価を行った。なお、この例では、サンプルの作製にはエアロゾルデポジション法を用いている。
Figure 2023124889000002
表に示すように、キャリアガスには、窒素(N)又はヘリウム(He)を用いた。エアロゾルは、エアロゾル発生器内において、キャリアガスと原料粉体(原料微粒子)とが混合されることで得た。得られたエアロゾルは、圧力差によってエアロゾル発生器に接続されたノズルから、製膜チャンバーの内部に配置された基材に向けて噴射した。この際、製膜チャンバー内の空気は真空ポンプによって外部に排気されている。
サンプル
以上のようにして得られたサンプル1~5の構造物のそれぞれは、主成分としてY2またはY2SiOの多結晶体を含み、その多結晶体における平均結晶子サイズは、いずれも30nm未満であり、サンプル1の平均結晶子サイズは12nmであった。
なお、結晶子サイズの測定は、XRDにより行った。XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとした。平均結晶子サイズとして、シェラーの式による結晶子サイズを算出した。シェラーの式中のKの値として0.94を用いた。
基材上のY2SiOの主成分の測定は、XRDにより行なった。XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとした。主成分の算出にはXRDの解析ソフト「SmartLab Studio II/リガク製」を使用し、リートベルト解析により各結晶相の比率を算出した。なお、積層構造物である場合における、多結晶の主成分の測定においては、薄膜XRDにより、最表面から1μm未満の深さ領域の測定結果を用いることが望ましい。
試験評価
以上のようにして得られたサンプル1~5について、以下の格子定数、ピーク強度比、インデンテーション硬度、エッチングレート、プラズマ照射後の算術平均高さSa、およびフッ化量を測定した。また、標準プラズマ試験は以下のとおりに行った。
格子定数の測定
XRDを用いて、YSiOの格子定数を以下の手順で評価した。XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとした。XRDの解析ソフト「SmartLab Studio II/リガク製」を使用し、得られたXRD回折パターンをICDDカード01-070-5613で示される化学式YSiOの単斜晶として同定した。続いて、同じくXRDの解析ソフト「SmartLab Studio II/リガク製」を使用し、外部標準法を用いた格子定数精密化により、格子定数を算出した。外部標準には金属Siを用いた。また、格子定数の算出に利用するピークとして、ミラー指数(hkl)=(110)に帰属される回折角2θ=16.4°のピーク、ミラー指数(hkl)=(200)に帰属される回折角2θ=20.6°のピーク、ミラー指数(hkl)=(300)に帰属される回折角2θ=31.1°のピーク、ミラー指数(hkl)=(121)に帰属される回折角2θ=32.5°のピーク、ミラー指数(hkl)=(310)に帰属される回折角2θ=33.7°のピーク、ミラー指数(hkl)=(321)に帰属される回折角2θ=46.3°のピーク、ミラー指数(hkl)=(12-3)に帰属される回折角2θ=48.8°のピーク、を指定した。なお、本発明における構造物は格子定数a=9.0139、c=6.6427、よりも大きい新規の構造物であることから、XRDによって実際に計測される各ミラー指数(hlk)に帰属されるピーク位置(2θ)は、各ミラー指数(hkl)に帰属される理論上のピーク位置(2θ)よりも、各々、低角度側に0.1~0.4°シフトする。その他、格子定数の測定はJISK0131に準拠する。
ピーク強度比の測定
XRDを用いて、構造物のピーク強度比を以下の手順で評価した。XRD装置として「Smart Lab/リガク製」を使用した。XRDの測定条件として、特性X線はCuKα(λ=1.5418Å)、管電圧45kV、管電流200mA、サンプリングステップ 0.01°、スキャンスピード10.0°/minとした。YSiOの単斜晶における、ミラー指数(hkl)=(121)に帰属される回折角2θ=32.5°±0.4(32.1°~32.9°)のピークの強度をα、ミラー指数(hkl)=(300)に帰属される回折角2θ=31.1°±0.4°(30.7°~31.5°)のピークの強度をβとして、γ=β/αとしてピーク強度比を算出した。なお、本発明における構造物は格子定数a=9.0139、c=6.6427、よりも大きい新規の構造物であることから、XRDによって実際に計測される各ミラー指数(hlk)に帰属されるピーク位置(2θ)は、各ミラー指数(hkl)に帰属される理論上のピーク位置(2θ)よりも、各々、低角度側に0.1~0.4°シフトする。
インデンテーション硬度の測定
極微小押し込み硬さ試験(ナノインデンテーション)により、基材上の構造物のインデンテーション硬度を以下の手順で評価した。極微小押し込み硬さ試験器(ナノインデンター)として「ENT-2100/エリオニクス製」を使用した。極微小押し込み硬さ試験の条件として、圧子はバーコビッチ圧子を用い、試験モードは押し込み深さ設定試験とし、押し込み深さは200nmとした。インデンテーション硬さ(押し込み硬さ)HITを測定した。HITの測定箇所は構造物表面上でランダムに設定し、測定点数は少なくとも25点以上とした。測定した25点以上のHITの平均値を硬度とした。
標準プラズマ試験
上記サンプルについて、上記した条件の標準プラズマ試験1および2を行い、当該試験後の耐パーティクル性の評価を以下の手順で行った。ICP-RIE装置には「Muc-21 Rv-Aps-Se/住友精密工業製」を使用した。標準プラズマ試験1および2に共通で、チャンバー圧力は0.5Pa、プラズマ曝露時間は1時間とした。この条件により形成されたプラズマ雰囲気に、サンプル表面が曝露されるように、サンプルを、誘導結合型反応性イオンエッチング装置に備えられた静電チャックで吸着されたシリコンウエハ上に配置した
エッチングレート
標準プラズマ試験1後の構造物のエッチングレート(e)を、レーザー顕微鏡を用いて、プラズマ非曝露領域と曝露領域間の段差(d)を走査型レーザー顕微鏡(LEXT OLS-4000、オリンパス株式会社製)で測定し、プラズマ曝露時間(t)からe=d/tにより算出した。なお、プラズマ非曝露領域は標準プラズマ試験1前に構造物表面にポリイミドフィルムを部分的にマスクすることによって形成した。
プラズマ照射後の算術平均高さSa
標準プラズマ試験1後の構造物の面粗さについて、レーザー顕微鏡を用いISO25178に定めるSa(算術平均高さ)を評価した。レーザー顕微鏡は「OLS4500/オリンパス株式会社製」を使用した。対物レンズはMPLAPON100XLEXTを用い、カットオフ値λcは25μmとした。
フッ化量
標準プラズマ試験2後の構造物の表面について、X線光電子分光法(XPS)を用いて、イオンスパッタを用いた深さ方向分析により、スパッタ時間5秒から149秒までの間、スパッタ時間1秒おきにフッ素(F)原子の原子濃度(%)を測定した。XPS装置として「K-Alpha/Thermo Fisher Scientific製」を使用した。得られた、スパッタ時間5秒から149秒までの間の1秒おきのフッ素(F)原子の原子濃度(%)を全て積算し、構造物の表面の積算フッ化量(%)とした。尚、コンタミネーションとして表層に付着するカーボン(C)の影響を排除する目的で、スパッタ時間0秒から5秒のデータは含めないこととした。
以上の試験結果は以下の表に示されるとおりであった。
Figure 2023124889000003
格子定数とフッ化量との関係をグラフで示せば、図2a、図2bおよび図2cに示されるとおりとなる。また、図3aはX線回析データの強度を示すグラフであり、ビーク強度比とフッ化量との関係をグラフで示せば図3bに示されるとおりとなる。インデンテーション硬度とフッ化量との関係をグラフで示せば、図4に示されるとおりとなる。
SEM像
標準プラズマ試験1および2後の構造物の表面のSEM像を次のように撮影した。すなわち、走査型電子顕微鏡(Sccaning Electron Microscope;SEM)を用い、プラズマ曝露面の腐食状態より評価した。SEMは「SU-8220/日立製作所製」を使用した。加速電圧は3kVとした。結果の写真は、図5に示されるとおりであった。
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、構造物、基材などの形状、寸法、材質、配置などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
10・・・複合構造物、15・・・基材、20・・・構造物、20a・・・構造物の表面

Claims (10)

  1. 基材と、前記基材上に設けられ、表面を有する構造物とを含む複合構造物であって、
    前記構造物がY2SiO結晶を主成分として含み、かつそのインデンテーション硬度が7.5GPaより大である、複合構造物。
  2. 前記インデンテーション硬度が、10GPa以上である、請求項1に記載の複合構造物。
  3. 前記構造物がY2SiOを70wt%以上含む、請求項1または2に記載の複合構造物。
  4. 前記構造物がY2SiOを90wt%以上含む、請求項1または2に記載の複合構造物。
  5. 前記構造物が実質的にY2SiOからなる、請求項1または2に記載の複合構造物。
  6. 前記構造物のY2SiOの平均結晶子サイズが50nm以下である、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合構造物。
  7. 標準プラズマ試験1後における、前記構造物の表面粗さSa(ISO25178に準拠して定まる)が0.06μmより小である、請求項1~6のいずれか一項に記載の複合構造物。
  8. 耐パーティクル性が要求される環境において用いる、請求項1~7のいずれか一項に記載の複合構造物。
  9. 半導体製造装置用部材である、請求項8に記載の複合構造物。
  10. 請求項1~8のいずれか一項に記載の複合構造物を備えた、半導体製造装置。
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