JP2023124728A - エラストマー組成物、架橋物および成形体 - Google Patents

エラストマー組成物、架橋物および成形体 Download PDF

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慶久 武山
Yoshihisa Takeyama
雅之 柴田
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Abstract

【課題】表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる成形体を形成可能なエラストマー組成物を提供する。【解決手段】エラストマーと、所定の条件を満たすカーボンナノチューブと、化合物Aとを含み、カーボンナノチューブと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R1が、1.0MPa1/2以上10.0MPa1/2以下であり、エラストマーと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R2が距離R1よりも大きい、エラストマー組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、エラストマー組成物、エラストマー組成物を架橋してなる架橋物、および、架橋物よりなる成形体に関するものである。
従来、導電性、熱伝導性および強度などの特性に優れる材料として、エラストマーにカーボン材料を配合してなるエラストマー組成物が使用されている。そして、近年では、上記特性の向上効果が高いカーボン材料として、カーボンナノチューブ(以下、「CNT」と略記する場合がある。)が注目されている。
ここで、CNTは、一本一本の特性は優れているものの、外径が小さいため、バルク材料として使用する際にファンデルワールス力によってバンドル化し易い(束になり易い)。そのため、エラストマーとCNTとを含有するエラストマー組成物を用いて成形体を作製するに際しては、CNTのバンドル構造体を解繊し、エラストマーのマトリックス中にCNTを良好に分散させることが求められている。
そこで、例えば特許文献1では、所定の化合物Aを配合することにより、エラストマーのマトリックス中でCNTを良好に分散させる技術が提案されている。具体的には、特許文献1には、CNTが良好に分散したエラストマー組成物として、エラストマーと、カーボンナノチューブと、凝固点が40℃以下の化合物Aとを含み、カーボンナノチューブと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R1が6.0MPa1/2以下であり、エラストマーと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R2がR1よりも大きいエラストマー組成物が開示されている。
国際公開第2021/172555号
しかし、上記従来のエラストマー組成物には、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減すると共に、高温環境下での機械的強度を高めるという点において改善の余地があった。
そこで、本発明は、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる成形体を形成可能なエラストマー組成物を提供することを目的とする。
また、本発明は、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる架橋物および成形体を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成するために鋭意検討を行った。そして、本発明者は、エラストマーと、所定のCNTとを含み、更に、エラストマーおよびCNTとのハンセン溶解度パラメータの距離が、それぞれ所定の条件を満たす化合物を含むエラストマー組成物を用いれば、表面抵抗率が低くて高温環境下での機械的強度に優れた成形体を作製可能であることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明のエラストマー組成物は、エラストマーと、カーボンナノチューブと、化合物Aとを含み、前記カーボンナノチューブと前記化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R1が、1.0MPa1/2以上10.0MPa1/2以下であり、前記エラストマーと前記化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R2が、前記距離R1よりも大きく、前記カーボンナノチューブが、下記(1)~(3)の条件:
(1)前記カーボンナノチューブを、バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、前記カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数300cm-1超2000cm-1以下の範囲に、少なくとも1つ存在する
(2)前記カーボンナノチューブについて、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、Barrett-Joyner-Halenda法に基づいて得られる、細孔径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線における最大のピークが、細孔径100nm超400nm未満の範囲にある
(3)前記カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に少なくとも1つ存在する
のうち少なくとも1つを満たすことを特徴とする。このように、所定のCNTと、エラストマーおよびCNTとのハンセン溶解度パラメータの距離が、それぞれ所定の条件を満たす化合物Aとを含有していれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を低減すると共に高温環境下での機械的強度を向上させることができる。
ここで、本発明のエラストマー組成物は、前記化合物Aの含有率が10.0質量%以下であることが好ましい。化合物Aの含有率が上記上限値以下であれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
なお、本発明において、エラストマー組成物中の化合物Aの含有率は、実施例に記載の方法を用いて測定することができる。
また、本発明のエラストマー組成物は、前記エラストマーが、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、ブタジエンゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。これらのゴムを用いれば、エラストマー組成物中でCNTを良好に分散させ、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
更に、本発明のエラストマー組成物は、前記化合物Aが芳香環を有する化合物であることが好ましい。化合物Aが芳香環を有する化合物であれば、エラストマー組成物中でCNTを良好に分散させ、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
また、本発明のエラストマー組成物は、前記化合物Aがフェニルエステル化合物であることが好ましい。化合物Aがフェニルエステル化合物であれば、エラストマー組成物中でCNTを良好に分散させ、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
更に、本発明のエラストマー組成物は、前記エラストマー100質量部当たり、前記カーボンナノチューブを0.1質量部以上10質量部以下含むことが好ましい。カーボンナノチューブの含有量が上記範囲内であれば、エラストマー組成物中でCNTを良好に分散させ、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
また、本発明のエラストマー組成物は、前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブであることが好ましい。単層カーボンナノチューブを用いれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
そして、本発明のエラストマー組成物は、架橋剤を更に含むことが好ましい。架橋剤を含有するエラストマー組成物は、架橋物および成形体の材料として有用である。
また、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の架橋物は、上記エラストマー組成物を架橋してなることを特徴とする。上述したエラストマー組成物を架橋してなる架橋物は、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れている。
更に、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の成形体は、上記架橋物よりなることを特徴とする。上述したエラストマー組成物を架橋してなる架橋物からなる成形体は、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れている。
本発明によれば、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる成形体を形成可能なエラストマー組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる架橋物および成形体を提供することができる。
CNT製造装置の一例の概略構成を示す。 CNT製造装置の他の例の概略構成を示す。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
ここで、本発明のエラストマー組成物は、本発明の架橋物および成形体の作製に用いることができる。
(エラストマー組成物)
本発明のエラストマー組成物は、エラストマーと、CNTと、化合物Aとを含み、任意に、架橋剤および/または添加剤などを更に含有する。
ここで、本発明のエラストマー組成物は、CNTと化合物Aのハンセン溶解度パラメータの距離R1が1.0MPa1/2以上10.0MPa1/2以下であり、且つ、エラストマーと化合物Aのハンセン溶解度パラメータの距離R2がR1よりも大きい。そのため、本発明のエラストマー組成物を用いることで、エラストマー中にCNTが良好に分散した、表面抵抗率が低くて高温環境下での機械的強度が高い成形体を得ることができる。この理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。
即ち、本発明のエラストマー組成物において、R1の値が上記所定の範囲内であるため化合物AがCNTとの親和性に優れ、化合物AがCNTのバンドル構造体の内部に含浸することで当該バンドル構造体の解繊を促進する。その上、R2の値がR1の値よりも大きいため、化合物AはエラストマーよりもCNTと良好に親和し、エラストマーの存在が上述した化合物Aによるバンドル構造体の解繊を過度に阻害することもない。そのため、上述したエラストマー組成物を用いることにより、CNTのバンドル構造体を十分に解繊して、エラストマー中にCNTが良好に分散した成形体を得ることができると考えられる。
<エラストマー>
エラストマーとしては、特に限定されることなく、例えば、任意のゴム、樹脂、または、それらの混合物を用いることができる。
具体的には、ゴムとしては、特に限定されることなく、例えば、天然ゴム;フッ化ビニリデン系ゴム(FKM)、テトラフルオロエチレン-プロピレン系ゴム(FEPM)、テトラフルオロエチレン-パープルオロビニルエーテル系ゴム(FFKM)などのフッ素ゴム;ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、水素化スチレン-ブタジエンゴム(H-SBR)、ニトリルゴム(NBR)、水素化ニトリルゴム(H-NBR)などのジエンゴム;シリコーンゴム;等が挙げられる。
また、樹脂としては、特に限定されることなく、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂;ポリメタクリル酸メチル(PMMA)などのアクリル樹脂;ポリスチレン(PS);ポリカーボネート(PC);等が挙げられる。
上述した中でも、エラストマーとしては、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、ブタジエンゴムおよびシリコーンゴムが好ましく、フッ素ゴムがより好ましい。これらのエラストマーの少なくとも何れかを含むエラストマー組成物を用いれば、CNTがエラストマー中に一層良好に分散した成形体を得ることができる。
なお、これらのエラストマーは、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
<カーボンナノチューブ>
本発明のエラストマー組成物に含まれるカーボンナノチューブは、下記(1)~(3)の条件のうち少なくとも1つを満たす、分散性に優れるものである。
(1)カーボンナノチューブを、バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数300cm-1超2000cm-1以下の範囲に、少なくとも1つ存在する。
(2)カーボンナノチューブについて測定した微分細孔容量分布における最大のピークが、細孔径100nm超400nm未満の範囲にある。
(3)カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に少なくとも1つ存在する。
上記条件(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たすCNTが分散性に優れる理由は明らかではないが、以下の通りであると推察される。上記条件(1)~(3)のうちの少なくとも1つを満たすCNTは、波状構造を有し、かかる「波状構造」に起因して、各CNT間における相互作用が抑制され得ると推察される。そして、各CNT間における相互作用が抑制されていれば、各CNTが強固にバンドル化することおよび凝集化することが抑制され得る。これにより、CNTを容易に分散させることが可能となり得る。以下、上記条件(1)~(3)について、それぞれ詳述する。
-条件(1)
条件(1)は、「カーボンナノチューブを、バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数300cm-1超2000cm-1以下の範囲に、少なくとも1つ存在する。」ことを規定する。
条件(1)において、CNTのプラズモン共鳴に基づくピークは、好ましくは波数500cm-1以上2000cm-1以下の範囲に存在し、より好ましくは波数650cm-1以上2000cm-1以下の範囲に存在する。
なお、フーリエ変換赤外分光光分析により得られたスペクトルでは、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づく比較的緩やかなピーク以外に、波数840cm-1付近、1300cm-1付近、および、1700cm-1付近に、鋭いピークが確認されることがある。これらの鋭いピークは、「カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピーク」には該当せず、それぞれが、官能基由来の赤外吸収に対応している。より具体的には、波数840cm-1付近の鋭いピークは、C-H面外変角振動に起因し;波数1300cm-1付近の鋭いピークは、エポキシ三員環伸縮振動に起因し;波数1700cm-1付近の鋭いピークは、C=O伸縮振動に起因する。
ここで、条件(1)において、フーリエ変換赤外分光光分析によるスペクトルを取得するにあたり、バンドル長が10μm以上になるようにカーボンナノチューブを分散させることにより、カーボンナノチューブ分散体を得る必要がある。ここで、例えば、カーボンナノチューブ、水および界面活性剤(例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム)を適切な比率で配合して、超音波等により所定時間にわたり攪拌処理することで、水中に、バンドル長が10μm以上であるカーボンナノチューブ分散体が分散されてなる分散液を得ることができる。
カーボンナノチューブ分散体のバンドル長は、湿式画像解析型の粒度測定装置により解析することで、得ることができる。かかる測定装置は、カーボンナノチューブ分散体を撮影して得られた画像から、各分散体の面積を算出して、算出した面積を有する円の直径(以下、ISO円径(ISO area diameter)とも称することがある)を得ることができる。そして、本明細書では、各分散体のバンドル長は、このようにして得られるISO円径の値であるものとして、定義する。
-条件(2)
条件(2)は、「カーボンナノチューブについて測定した微分細孔容量分布における最大のピークが、細孔径100nm超400nm未満の範囲にある。」ことを規定する。カーボンナノチューブの微分細孔容量分布は、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、BJH(Barrett-Joyner-Halenda)法に基づいて求めることができる。なお、BJH法は、細孔がシリンダ状であると仮定して細孔径分布を求める測定法である。
ここで、CNTの微分細孔容量分布における最大のピークにおける微分細孔容量の値は、2cm/g以上であることが好ましい。
-条件(3)
条件(3)は、「カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に少なくとも1つ存在する。」ことを規定する。かかる条件の充足性は、下記の要領で判定することができる。まず、判定対象であるCNTを、電子顕微鏡(例えば、電解放射走査型電子顕微鏡)を用いて拡大観察(例えば、1万倍)して、1cm四方の視野で電子顕微鏡画像を複数枚(例えば、10枚)取得する。得られた複数枚の電子顕微鏡画像について、高速フーリエ変換(FFT)処理を行い、二次元空間周波数スペクトルを得る。複数枚の電子顕微鏡画像のそれぞれについて得られた二次元空間周波数スペクトルを二値化処理して、最も高周波数側に出るピーク位置の平均値を求める。得られたピーク位置の平均値が1μm-1以上100μm-1以下の範囲内である場合には、条件(3)を満たすとして判定する。ここで、上記の判定において用いる「ピーク」としては、孤立点の抽出処理(即ち、孤立点除去の逆操作)を実施して得られた明確なピークを用いるものとする。従って、孤立点の抽出処理を実施した際に1μm-1以上100μm-1以下の範囲内にて明確なピークが得られない場合には、条件(3)は満たさないものとして判定する。
ここで、二次元空間周波数スペクトルのピークは、2.5μm-1以上100μm-1以下の範囲に存在することが好ましい。
そして、カーボンナノチューブは、上記(1)~(3)の条件のうちを少なくとも2つを満たすことが好ましく、(1)~(3)の条件全てを満たすことがより好ましい。
なお、本発明のエラストマー組成物には、通常、複数本のカーボンナノチューブが含まれる。また、本発明のエラストマー組成物は、CNTとして、単層から5層までのカーボンナノチューブを含むことが好ましく、単層カーボンナノチューブを含むことがより好ましい。その上、本発明のエラストマー組成物は、CNTとして、単層から5層までのカーボンナノチューブを主として含むことがより好ましく、単層カーボンナノチューブを主として含むことがさらに好ましい。
ここで、あるCNTを「主として含む」とは、エラストマー組成物に含まれる複数本のカーボンナノチューブの全本数のうち、半数超が当該あるCNTであることを意味する。
また、CNTは、BET法による全比表面積が、好ましくは600m/g以上、より好ましくは800m/g以上であり、好ましくは2600m/g以下、より好ましくは1400m/g以下である。さらに開口処理したものにあっては、1300m/g以上であることが好ましい。高い比表面積を有するCNTは、過度にCNTがバンドル化していない。そのため、個々のCNT同士が緩やかに結合しており、容易に分散させることが可能になる。なお、CNTのBET法による全比表面積は、例えば、JIS Z8830に準拠した、BET比表面積測定装置を用いて測定できる。
更に、CNTの平均外径は、0.5nm以上であることが好ましく、1.0nm以上であることが更に好ましく、15.0nm以下であることが好ましく、10.0nm以下であることがより好ましく、5.0nm以下であることが更に好ましい。CNTの平均外径が上記下限値以上であれば、CNT同士のバンドル化が低減でき、高い比表面積を維持できる。CNTの平均外径が上記上限値以下であれば、多層CNTの比率を低減でき、高い比表面積を維持することができる。ここで、CNTの平均外径は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて無作為に選択したCNT100本の直径(外径)を測定して求めることができる。
CNTのG/D比は、1以上50以下であることが好ましい。G/D比が1に満たないCNTは、結晶性が低く、アモルファスカーボンなどの汚れが多い上、多層CNTの含有量が多いことが考えられる。反対にG/D比が50を超えるCNTは直線性が高く、CNTが隙間の少ないバンドルを形成しやすく、比表面積が減少する可能性がある。G/D比とはCNTの品質を評価するのに一般的に用いられている指標である。ラマン分光装置によって測定されるCNTのラマンスペクトルには、Gバンド(1600cm-1付近)とDバンド(1350cm-1付近)と呼ばれる振動モードが観測される。GバンドはCNTの円筒面であるグラファイトの六方格子構造由来の振動モードであり、Dバンドは非晶箇所に由来する振動モードである。よって、GバンドとDバンドのピーク強度比(G/D比)が高いものほど、結晶性(直線性)の高いCNTと評価できる。
CNTの炭素純度は、好ましくは98質量%以上、より好ましくは99質量%以上、更に好ましくは99.9質量%以上である。炭素純度が上記範囲内であれば、CNT本来の諸特性を充分に発揮することができる。ここで、CNTの炭素純度は、蛍光X線を用いた元素分析や熱重量測定分析(TGA)等から得ることができる。
なお、上述したCNTは、例えば国際公開第2021/172078号に記載の方法を用いて製造することができる。
そして、本発明のエラストマー組成物は、エラストマー100質量部当たり、上述したCNTを0.1質量部以上含むことが好ましく、1質量部以上含むことがより好ましく、2質量部以上含むことが更に好ましく、3質量部以上含むことが特に好ましく、10質量部以下含むことが好ましく、8質量部以下含むことがより好ましく、7質量部以下含むことが更に好ましく、6質量部以下含むことが特に好ましい。エラストマー組成物中のCNTの含有量が上記範囲内であれば、エラストマー組成物から得られる成形体について、表面抵抗率を更に低減しつつ高温環境下での機械的強度を更に高めることができる。
<化合物A>
化合物Aは、後述するハンセン溶解度パラメータの距離に関する条件を満たせば特に限定されず、任意の有機化合物を用いることができる。
例えば、化合物Aは、環式炭化水素を有する化合物であることが好ましい。環式炭化水素がCNTとの親和性に優れるためバルク構造体を解繊し易いと推察されるが、化合物Aとして、環式炭化水素を少なくとも1つ有する化合物を用いれば、エラストマー組成物から得られる成形体において、CNTをエラストマー中に一層良好に分散させることができる。
ここで、化合物Aが有しうる環式炭化水素としては、特に限定されないが、例えば、飽和脂環式炭化水素、不飽和脂環式炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられ、より具体的には、ベンゼン環、ナフタレン環、シクロヘキサン環が挙げられる。なお、化合物Aは1種類の環式炭化水素を有していてもよく、2種類以上の環式炭化水素を有していてもよい。そして環式炭化水素としては、CNTをエラストマー中に一層良好に分散させる観点から、ベンゼン環、ナフタレン環等の芳香環が好ましく、ベンゼン環がより好ましい。
また、環式炭化水素を有する化合物としては、成形体においてCNTをエラストマー中により一層良好に分散させる観点から、環式炭化水素を有するエステル化合物(環式炭化水素およびエステル基を有する化合物)が好ましく、芳香環を有するエステル化合物がより好ましく、ベンゼン環を有するエステル化合物が更に好ましく、フェニルエステル化合物が特に好ましい。
ここで、環式炭化水素を有する化合物の具体例としては、p-トルイル酸メチル(4-メチル安息香酸メチル)、安息香酸メチル、安息香酸ベンジル、安息香酸フェニル等の安息香酸エステル化合物;3-フェニルプロピオン酸メチル等の3-フェニルプロピオン酸アルキル;けい皮酸エチル;を挙げることができる。
これらの中でも、安息香酸エステル化合物や3-フェニルプロピオン酸アルキル等のフェニルエステル化合物が好ましく、p-トルイル酸メチルがより好ましい。
なお、化合物Aは、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
また、化合物Aは、凝固点が40℃以下であることが好ましく、35℃以下であることが好ましい。化合物Aの凝固点が上記上限値以下であれば、化合物Aの流動性が十分に確保されてCNTのバンドル構造体内部へ良好に含浸するためと推察されるが、エラストマー組成物から得られる成形体において、CNTをエラストマー中に良好に分散させることができる。なお、化合物Aの凝固点の下限値は、特に限定されないが、例えば-100℃以上であり、-50℃以上であり、または、5℃以上である。
加えて、化合物Aは、沸点が120℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、400℃以下であることが好ましく、300℃以下であることがより好ましい。化合物Aの沸点が上記下限値以上であれば、エラストマー組成物および成形体を得る際に化合物Aが過度に気化することもなく、エラストマー組成物から得られる成形体において、CNTをエラストマー中に良好に分散させることができる。また、化合物Aの沸点が上記上限値以下であれば、後述するエラストマー組成物の製造方法において化合物A除去工程を実施する際に化合物Aを除去し易い。
そして、化合物Aは、分子量が100以上であることが好ましく、120以上であることがより好ましく、500以下であることが好ましく、400以下であることがより好ましく、300以下であることが更に好ましい。化合物Aの分子量が上記範囲内であれば、化合物AがCNTのバンドル構造体内部へ容易に含浸し得るためと推察されるが、エラストマー組成物から得られる成形体において、CNTをエラストマー中に一層良好に分散させることができる。
また、化合物Aは、25℃での蒸気圧が1.0kPa以下であることが好ましく、0.1kPa以下であることがより好ましい。化合物Aの蒸気圧が1.0kPa以下であれば、化合物Aの流動性が十分に確保されてCNTのバンドル構造体内部への含浸が容易となるためと推察されるが、エラストマー組成物から得られる成形体において、CNTをエラストマー中に十分良好に分散させることができる。なお、化合物Aの蒸気圧の下限値は、特に限定されないが、例えば10-5kPa以上である。
<<ハンセン溶解度パラメータの距離R1>>
ここで、化合物Aと、上述したCNTとは、ハンセン溶解度パラメータの距離R1(単位:MPa1/2)が、1.0MPa1/2以上10.0MPa1/2以下であることが必要であり、5.0MPa1/2以下であることが好ましく、3.0MPa1/2以下であることがより好ましく、2.0MPa1/2以下であることが更に好ましく、1.2MPa1/2以上であることが好ましく、1.5MPa1/2以上であることがより好ましい。R1が上記範囲内であれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を低減すると共に高温環境下での機械的強度を向上させることができる。
なお、「カーボンナノチューブと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R1(MPa1/2)」は、下記式(1)を用いて算出することができる。
R1={4×(δd3-δd2+(δp3-δp2+(δh3-δh21/2・・・(1)
δd2:化合物Aの分散項
δd3:カーボンナノチューブの分散項
δp2:化合物Aの極性項
δp3:カーボンナノチューブの極性項
δh2:化合物Aの水素結合項
δh3:カーボンナノチューブの水素結合項
<<ハンセン溶解度パラメータの距離R2>>
また、化合物Aと上述したエラストマーのハンセン溶解度パラメータの距離R2(単位:MPa1/2)は、上述した通りR1より大きいことが必要である。R2がR1よりも大きければ、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を低減すると共に高温環境下での機械的強度を向上させることができる。
具体的に、R2は、4.0MPa1/2以上であることが好ましく、5.0MPa1/2以上であることがより好ましく、6.0MPa1/2以上であることが更に好ましく、8.0MPa1/2以上であることが特に好ましく、15.0MPa1/2以下であることが好ましく、10.0MPa1/2以下であることがより好ましい。R2が上記範囲内であれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の表面抵抗率を更に低減すると共に高温環境下での機械的強度を更に向上させることができる。
なお、「エラストマーと化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R2」は、下記式(2)を用いて算出することができる。
R2={4×(δd1-δd2+(δp1-δp2+(δh1-δh21/2・・・(2)
δd1:エラストマーの分散項
δd2:化合物Aの分散項
δp1:エラストマーの極性項
δp2:化合物Aの極性項
δh1:エラストマーの水素結合項
δh2:化合物Aの水素結合項
なお、ハンセン溶解度パラメータの定義および計算方法は、下記の文献に記載されている。Charles M. Hansen著、「Hansen Solubility Parameters: A Users Handbook」、CRCプレス、2007年。
また、ハンセン溶解度パラメータの文献値が未知の物質については、コンピュータソフトウェア(Hansen Solubility Parameters in Practice(HSPiP))を用いることによって、その化学構造から簡便にハンセン溶解度パラメータを推算することができる。
具体的には、例えば、HSPiPバージョン3を用い、データベースに登録されている化合物についてはその値を用い、登録されていない化合物については推算値を用いればよい。
<<含有量>>
そして、エラストマー組成物は、上述した化合物Aを10.0質量%以下含むことが好ましく、1.0質量%以下含むことがより好ましく、0.1質量%以下含むことが更に好ましく、0.1質量%未満含むことが特に好ましい。エラストマー組成物中の化合物Aの含有率が上記上限値以下であれば、エラストマー組成物を用いて形成した成形体の高温環境下での機械的強度を更に向上させることができる。なお、エラストマー組成物中の化合物Aの含有率の下限は、検出限界よりも多ければ特に限定されないが、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましい。エラストマー組成物中の化合物Aの含有率が上記下限値以上であれば、CNTが良好に分散したエラストマー組成物を容易に得ることができる。
<架橋剤>
本発明のエラストマー組成物が任意に含み得る架橋剤としては、特に限定されないが、上記エラストマー組成物中のエラストマーを架橋可能な既知の架橋剤を用いることができる。このような架橋剤としては、例えば、硫黄系架橋剤、パーオキサイド系架橋剤、ビスフェノール系架橋剤、ジアミン系架橋剤が挙げられる。
なお、架橋剤は、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
またエラストマー組成物中の架橋剤の含有量は、特に限定されず、既知のエラストマー組成物中において通常使用する量とすることができる。
<添加剤>
添加剤としては、特に限定されることなく、分散剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、着色剤、発泡剤、帯電防止剤、難燃剤、滑剤、軟化剤、粘着付与剤、可塑剤、離型剤、防臭剤、香料などを挙げることができる。
より具体的な添加剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、タルク、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、クレー、酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
なお、添加剤は、1種単独で、または、2種以上を混合して用いることができる。
またエラストマー組成物中の添加剤の含有量は、特に限定されず、既知のエラストマー組成物中において通常使用する量とすることができる。例えば、エラストマー組成物中の添加剤の含有量は、エラストマー100質量部当たり5質量部以上40質量部以下とすることができる。
(エラストマー組成物の製造方法)
上述した本発明のエラストマー組成物は、特に限定されることなく、CNTと化合物Aとを混合してCNTおよび化合物Aを含む混合物を得る工程(混合工程)と、混合工程で得られた混合物およびエラストマーを含む組成物に分散処理を施す工程(分散工程)とを含むエラストマー組成物の製造方法により製造することができる。
なお、上記エラストマー組成物の製造方法は、上述した混合工程および分散工程以外の工程を含んでいてもよい。例えば、上記分散工程の実施後に、別途、前記架橋剤や前記添加剤等を添加して更に分散処理を行ってもよい。また、分散工程の実施後に、得られた組成物から化合物Aを除去する工程(化合物A除去工程)を実施してもよい。
そして、上記エラストマー組成物の製造方法によれば、分散工程において、エラストマー、CNTおよび化合物Aを含む組成物に対して分散処理を施しているので、CNTのバンドル構造体を解繊して、エラストマー中にCNTを良好に分散させることができる。また、上記エラストマー組成物の製造方法では、分散工程の前に、混合工程でCNTと化合物Aとを混合するので、CNTに化合物Aが含浸し、CNTのバンドル構造体が解繊され易くなり、分散工程における分散処理の際に、CNTのバンドル構造体を良好に解繊しつつ、エラストマー中にCNTを更に良好に分散させることができる。
<混合工程>
混合工程では、CNTと化合物Aとを混合し、CNTおよび化合物Aを含む混合物を得る。なお、混合工程では、エラストマー組成物および成形体の用途に応じて、任意に、架橋剤および/または添加剤をCNTおよび化合物Aに混合して混合物に含有させてもよい。また、混合工程におけるCNTと化合物Aとの混合は、通常、エラストマーの不存在下で行われる。
ここで、CNTと化合物Aとの混合は、特に限定されることなく、例えば、化合物A中へのCNTの浸漬、化合物AのCNTへの含浸、CNTへの化合物Aの塗布、CNTへの化合物Aのスプレー噴霧などの任意の混合方法を用いて行うことができる。中でも、分散工程においてCNTを更に良好に分散させ得るようにする観点からは、化合物AをCNTに含浸させることによりCNTと化合物Aとを混合することが好ましい。
なお、混合工程において化合物AをCNTに含浸させる時間は、任意の時間とすることができるが、分散工程においてCNTを更に良好に分散させ得るようにする観点からは、少なくとも1時間が好ましく、少なくとも10時間がより好ましい。
また、化合物AをCNTに含浸させる際の温度は、特に限定されることなく、例えば、化合物Aの凝固点以上沸点未満の温度とすることができる。
そして、化合物AのCNTへの含浸は、特に限定されないが、通常は常圧(1atm)下で行われる。
<分散工程>
分散工程では、混合工程においてCNTと化合物Aとを混合して得た混合物と、エラストマーとを含む組成物に分散処理を施す。
なお、混合工程では、エラストマー組成物および成形体の用途に応じて、任意に、架橋剤および/または添加剤を組成物に含有させてもよい。
ここで、分散工程において分散処理を施される組成物は、エラストマー100質量部当たり、上述した化合物Aを0.1質量部以上含むことが好ましく、1質量部以上含むことがより好ましく、5質量部以上含むことが更に好ましく、10質量部以上含むことが特に好ましく、60質量部以下含むことが好ましく、50質量部以下含むことがより好ましく、40質量部以下含むことが更に好ましい。組成物中の化合物Aの含有量が上記範囲内であれば、CNTをエラストマー中に一層良好に分散させることができる。
<<分散処理>>
分散処理としては、エラストマー中にCNTを分散させることができれば特に限定されず、既知の分散処理を用いることができる。このような分散処理としては、例えば、ずり応力による分散処理、衝突エネルギーによる分散処理、キャビテーション効果が得られる分散処理が挙げられる。このような分散処理によれば、比較的簡便に分散処理を実施できる。
ずり応力による分散処理に使用し得る装置としては、2本ロールミルや3本ロールミル等が挙げられる。
衝突エネルギーによる分散処理に使用し得る装置としては、ビーズミル、ローター/ステーター型分散機等が挙げられる。
キャビテーション効果が得られる分散処理に使用し得る装置としては、ジェットミル、超音波分散機等が挙げられる。
上記分散処理の条件は特に限定されず、例えば上述した装置における通常の分散条件の範囲内で適宜設定することができる。
<化合物A除去工程>
任意に実施し得る化合物A除去工程では、分散処理が施された組成物から化合物Aを除去する。
ここで、組成物から化合物Aを除去する方法としては、特に限定されることなく、温風乾燥、赤外線乾燥、真空乾燥などが挙げられる。
そして、化合物A除去工程では、エラストマー組成物中の化合物Aの量が所望の量となるまで組成物から化合物Aを除去することができる。
(架橋物)
本発明の架橋物は、上述した架橋剤を含むエラストマー組成物を架橋してなる。
なお、エラストマー組成物を架橋する際の温度および圧力は、特に限定されることなく、エラストマーや架橋剤の種類および量に応じて適宜に設定することができる。
(成形体)
本発明の成形体は、上述した本発明の架橋物よりなる。具体的には、本発明の成形体は、上述した本発明のエラストマー組成物を成形および架橋して得ることができる。ここで、本発明の成形体は、特に限定されず、例えばベルト、ホース、ガスケット、パッキン、オイルシールである。
そして、上述した本発明のエラストマー組成物から得られる本発明の成形体は、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れている。
なお、エラストマー組成物の成形は、特に限定されることなく、例えば、射出成形、押出成形、プレス成形、ロール成形などの任意の成形方法を用いて行うことができる。
以下、本発明について実施例を用いて更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例において、エラストマー組成物中の化合物Aの含有率、並びに、成形体の表面抵抗率、引張強度および引張伸びは、以下の方法で測定した。
<化合物Aの含有率>
2gのエラストマー組成物(乾燥ゴム)を5cm角に裁断し、送風定温乾燥器(東京理化器械株式会社製、製品名「送風定温乾燥器 WFO-420W」)を用いて温度180℃で1時間加熱した。加熱前の乾燥ゴムの重さと、加熱後の乾燥ゴムの重さとの差を加熱前の乾燥ゴムの重さで除して化合物Aの含有率(={(加熱前の乾燥ゴムの重さ-加熱後の乾燥ゴムの重さ)/加熱前の乾燥ゴムの重さ}×100%)を求めた。
<表面抵抗率>
抵抗率計(三菱化学アナリティクス社製、製品名「ロレスターGX MCP-T700」、プローブ:LSP)を用いて、得られた成形体(架橋ゴムシート)の表面抵抗率を、測定箇所を変えて10点測定し、10点の測定値の平均値を架橋ゴムシートの表面抵抗率とした。
<引張強度および伸び率>
得られた成形体(架橋ゴムシート)を、ダンベル試験片状(JIS 3号)に打ち抜き、試験片を作製した。引張試験機(東洋精機社製、製品名「ストログラフVG」)を用い、JIS K6251:2010に準拠して、試験温度:200℃、試験湿度:50%、引張速度:500±50mm/分の条件で引張試験を行い、引張強度(試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の引張力(N)を試験片の初期断面積(m)で除した値)および引張伸び(試験片を切断するまで引っ張ったときに記録される最大の伸び(mm)を引っ張る前の長さ(mm)で除し、100倍した値)を測定した。
(実施例1)
<CNTの合成>
合成時に用いたCNT製造装置の概略構成を図1に示す。図1に示すCNT製造装置100はヒーター101、反応管102、分散板103、還元ガス/原料ガス導入口104、排気口105、ガス加熱促進部106から構成される。反応管102および分散板103の材質は合成石英を使用した。
<<触媒担持体形成工程>>
触媒担持体形成工程を以下に説明する。担体としてのジルコニア(二酸化ジルコニウム)ビーズ(ZrO、体積平均粒子径D50:350μm)を、回転ドラム式塗工装置に投入し、ジルコニアビーズを撹拌(20rpm)させながら、アルミニウム含有溶液をスプレーガンによりスプレー噴霧(噴霧量3g/分間、噴霧時間940秒間、スプレー空気圧10MPa)しつつ、圧縮空気(300L/分)を回転ドラム内に供給しながら乾燥させ、アルミニウム含有塗膜をジルコニアビーズ上に形成した。次に、480℃で45分間焼成処理を行い、酸化アルミニウム層が形成された一次触媒粒子を作製した。さらに、その一次触媒粒子を別の回転ドラム式塗工装置に投入し撹拌(20rpm)させながら、鉄触媒溶液をスプレーガンによりスプレー噴霧し(噴霧量2g/分間、噴霧時間480秒間、スプレー空気圧5MPa)しつつ、圧縮空気(300L/分)を回転ドラム内に供給しながら乾燥させ、鉄含有塗膜を一次触媒粒子上に形成した。次に、220℃で20分間焼成処理を行って、酸化鉄層がさらに形成された触媒担持体を作製した。
<<CNT合成工程>>
このようにして作製した触媒担持体300gをCNT製造装置100の反応管102内に投入し、ガスを流通させることで触媒担持体107を流動化させながら、フォーメーション工程、成長工程、冷却工程の順に処理を行い、CNT集合体を製造した。なお、CNT合成工程に含まれる各工程の条件は以下のように設定した。
[フォーメーション工程]
・設定温度:800℃
・還元ガス:窒素3sLm、水素22sLm
・処理時間:25分
[成長工程]
・設定温度:800℃
・原料ガス:窒素15sLm、エチレン5sLm、二酸化炭素2sLm、水素3sLm
・処理時間:10分
・原料ガス熱分解時間:0.65秒
[冷却工程]
・冷却温度:室温
・パージガス:窒素25sLm
<<分離回収工程>>
触媒担持体上に合成されたCNT集合体は強制渦式分級装置(回転数3500rpm、空気風量3.5Nm/分)を用いて分離回収を行った。CNT集合体の回収率は99%であった。
製造されたCNT集合体の特性は、タップかさ密度:0.01g/cm、CNT平均長さ:200μm、BET比表面積:800m/g、平均外径:4.0nm、炭素純度99%であった。
<<CNTの評価>>
得られたCNTの集合体について、国際公開第2021/172078号の実施例1と同様にして評価したところ、
・ バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数830cm-1に観測され、
(2)カーボンナノチューブについて、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、Barrett-Joyner-Halenda法に基づいて得られる、細孔径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線における最大のピークが細孔径100nm超400nm未満の範囲内に存在し、
(3)カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、3.0μm-1の位置に存在した。
<エラストマー組成物の調製>
容量900mLのガラス瓶に合成したカーボンナノチューブ(ハンセン溶解度パラメータ:δd3=18.7、δp3=4.93、δh3=3.08)12.0gを計量後、化合物Aとしてのp-トルイル酸メチル(東京化成工業社製、ハンセン溶解度パラメータ:δd2=19.0、δp2=6.5、δh2=3.8)を120g滴下した。次いで、40℃のオーブンに12時間静置し、カーボンナノチューブにp-トルイル酸メチルを含浸させてカーボンナノチューブとp-トルイル酸メチルとを含む混合物を得た。
次いで、エラストマーとしてのフッ化ビニリデン系ゴム(FKM)(ケマーズ社製、製品名「Viton GBL600S」、ハンセン溶解度パラメータ:δd1=14.7、δp1=9.0、δh1=2.7)300gを、水冷し、ロール間隙0.5mmに調整した6インチオープンロール(2本ロールミル)に巻き付けた後、上述の混合物を添加し、60分間混練を行い、FKMと、カーボンナノチューブと、p-トルイル酸メチルとが複合したゴムシートを得た。
得られたゴムシートを、真空乾燥機(ヤマト科学社製、角型真空定温乾燥器)を用い、180℃で24時間真空乾燥を行い、乾燥ゴム(エラストマー組成物)を得た。
そして、乾燥ゴム中の化合物Aの含有率を測定した。結果を表1に示す。
<成形体の作製>
得られた乾燥ゴム100質量部をオープンロールに巻き付け、架橋助剤として酸化亜鉛(亜鉛華二種)3質量部、共架橋剤としてトリアリルイソシアヌレート(三菱ケミカル社製、製品名「TAIC M-60」)5質量部、架橋剤として2,5-ジメチル-2,5ジ(t-ブチルペルキシ)ヘキサン(日油社製、製品名「パーヘキサ25B40」)2質量部を添加して混練した後、得られたシート状のゴム組成物を温度160℃、圧力10MPaで20分間一次架橋した。次いで、232℃のギヤーオーブンで2時間加熱し、二次架橋を行うことにより成形体としての架橋ゴムシート(長さ:150mm、幅:150mm、厚さ:2mm)を得た。
そして、架橋ゴムシートの表面抵抗率、引張強度および伸び率を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
カーボンナノチューブとして以下のようにして合成したカーボンナノチューブ(ハンセン溶解度パラメータ:δd3=18.7、δp3=4.93、δh3=3.08)を用いた以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物および成形体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
<CNTの合成>
CNTは、粒子状の触媒担持体をスクリュー回転によって連続的に搬送しながら原料ガスを供給する方法にて作製した。
用いたCNT集合体製造装置200の概略構成を図2に示す。図2に示すCNT集合体製造装置200は、フォーメーションユニット202、成長ユニット204、フォーメーションユニット202から成長ユニット204を通過するまでの間に基材を搬送する搬送ユニット207と、フォーメーションユニット202と成長ユニット204とを相互に空間的に接続する接続部208と、フォーメーションユニット202と成長ユニット204との間でガスが相互に混入することを防止するガス混入防止装置203とを備える。さらに、CNT集合体製造装置200は、フォーメーションユニット202の前段に配置された入口パージ装置201、成長ユニット204の後段に配置された出口パージ装置205、さらには、出口パージ装置205の後段に配置された冷却ユニット206等の構成部を備える。フォーメーションユニット202は、還元ガスを保持するためのフォーメーション炉202a、還元ガスを噴射するための還元ガス噴射装置202b、触媒と還元ガスの少なくとも一方を加熱するための加熱装置202c、炉内のガスを系外へと排出する排気装置202d等により構成されている。ガス混入防止装置203は、排気装置203a、パージガス(シールガス)を噴射するパージガス噴射装置203bを備える。成長ユニット204は、原料ガス環境を保持するための成長炉204a、原料ガスを噴射するための原料ガス噴射装置204b、触媒及び原料ガスのうち少なくとも一方を加熱するための加熱装置204c、炉内のガスを系外へと排出する排気装置204d等を備える。入口パージ装置201が、ホッパー212を介して系内に基材211を導入する構成部である前室213とフォーメーション炉202aとを接続する接続部209に対して取り付けられている。冷却ユニット206は、不活性ガスを保持するための冷却容器206a、及び冷却容器206a内空間を囲むように配置した水冷冷却装置206bを備える。搬送ユニット207は、基材211をスクリュー回転によって連続的に搬送するユニットである。スクリュー羽根207a、および、かかるスクリュー羽根を回転させて基材搬送能を発揮せしめる状態としうる駆動装置207bにより実装される。加熱装置214は、フォーメーションユニットにおける加温温度よりも低温で系内を加熱可能に構成され、駆動装置207b付近を加熱する。
<<触媒層形成工程>>
基材としてのジルコニア(二酸化ジルコニウム)ビーズ(ZrO、体積平均粒子径D50:650μm)を、回転ドラム式塗工装置に投入し、ジルコニアビーズを攪拌(20rpm)させながら、アルミニウム含有溶液をスプレーガンによりスプレー噴霧(噴霧量3g/分間、噴霧時間940秒間、スプレー空気圧10MPa)しつつ、圧縮空気(300L/分)を回転ドラム内に供給しながら乾燥させ、アルミニウム含有塗膜をジルコニアビーズ上に形成した。次に、480℃で45分間焼成処理を行い、酸化アルミニウム層が形成された一次触媒粒子を作製した。さらに、その一次触媒粒子を別の回転ドラム式塗工装置に投入し攪拌(20rpm)させながら、鉄触媒溶液をスプレーガンによりスプレー噴霧し(噴霧量2g/分間、噴霧時間480秒間、スプレー空気圧5MPa)しつつ、圧縮空気(300L/分)を回転ドラム内に供給しながら乾燥させ、鉄含有塗膜を一次触媒粒子上に形成した。次に、220℃で20分間焼成処理を行って、酸化鉄層がさらに形成された基材を作製した。
<<CNT合成工程>>
このようにして作製した表面に触媒を有する基材を製造装置のフィーダーホッパーに投入し、スクリューコンベアで搬送しながら、フォーメーション工程、成長工程、冷却工程の順に処理を行い、CNT集合体を製造した。
<<フォーメーション工程~冷却工程>>
CNT集合体製造装置の入口パージ装置、フォーメーションユニット、ガス混入防止装置、成長ユニット、出口パージ装置、冷却ユニットの各条件は以下のように設定し、CNTの連続製造を行った。
フィーダーホッパー
・フィード速度:1.25kg/h
・排気量:10sLm(隙間から自然排気)
入口パージ装置
・パージガス: 窒素40sLm
フォーメーションユニット
・炉内温度:800℃
・還元ガス:窒素6sLm、水素54sLm
・排気量:60sLm
・処理時間:20分
ガス混入防止装置
・パージガス:20sLm
・排気装置の排気量:62sLm
成長ユニット
・炉内温度:830℃
・原料ガス:窒素15sLm、エチレン5sLm、二酸化炭素1sLm、水素3sLm
・排気量:47sLm
・処理時間:10分
出口パージ装置
・パージガス:窒素45sLm
冷却ユニット
・冷却温度:室温
・排気量:10sLm(隙間から自然排気)
<<分離回収工程>>
基材上に合成されたCNT集合体は強制渦式分級装置(回転数2300rpm、空気風量3.5Nm/分)を用いて分離回収を行った。CNT集合体の回収率は96%であった。
製造されたCNT集合体の特性は、典型値として、タップかさ密度:0.02g/cm、CNT平均長さ:150μm、BET比表面積:900m/g、平均外径:4.0nm、炭素純度99%であった。
<<CNTの評価>>
得られたカーボンナノチューブの集合体について、国際公開第2021/172078号の実施例1と同様にして評価したところ、
(1)バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数685cm-1に観測され、
(2)カーボンナノチューブについて、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、Barrett-Joyner-Halenda法に基づいて得られる、細孔径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線における最大のピークが細孔径100nm超400nm未満の範囲内に存在し、
(3)カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、2.5μm-1の位置に存在した。
(比較例1)
カーボンナノチューブとして日本ゼオン社製の製品名「ZEONANO SG101」(平均長さ:350μm、BET比表面積:1438m/g、G/D比:2.8、ハンセン溶解度パラメータ:δd3=19.4、δp3=6.0、δh3=4.5)を用いた以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物および成形体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
なお、カーボンナノチューブ(ZEONANO SG101)の集合体について、国際公開第2021/172078号の実施例1と同様にして評価したところ、
(1)バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数214cm-1に観測され、
(2)カーボンナノチューブについて、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、Barrett-Joyner-Halenda法に基づいて得られる、細孔径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線における最大のピークが、細孔径100nm超400nm未満の範囲に存在せず、
(3)カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に存在しなかった。
(比較例2)
エラストマー組成物の調製時にp-トルイル酸メチルを使用しなかった(即ち、エラストマーとしてのフッ化ビニリデン系ゴムと、カーボンナノチューブとを混練してゴムシートを得た)以外は実施例1と同様にして、エラストマー組成物および成形体を作製し、評価した。結果を表1に示す。
Figure 2023124728000001
表1より、実施例1および2では、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる成形体が得られることが分かる。また、所定のCNTを使用していない比較例1の成形体は表面抵抗率が高く、化合物Aを含有しない比較例2の成形体は表面抵抗率が高くて機械的強度が低いことが分かる。
本発明によれば、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる成形体を形成可能なエラストマー組成物を提供することができる。
また、本発明によれば、表面抵抗率が低く、且つ、高温環境下での機械的強度に優れる架橋物および成形体を提供することができる。
100 CNT製造装置
101 ヒーター
102 反応管
103 分散板
104 還元ガス/原料ガス導入口
105 排気口
106 ガス加熱促進部
107 触媒担持体
200 CNT集合体製造装置
201 入口パージ装置
202 フォーメーションユニット
202a フォーメーション炉
202b 還元ガス噴射装置
202c 加熱装置
202d 排気装置
203 ガス混入防止装置
203a 排気装置
203b パージガス噴射装置
204 成長ユニット
204a 成長炉
204b 原料ガス噴射装置
204c 加熱装置
204d 排気装置
205 出口パージ装置
206 冷却ユニット
206a 冷却容器
206b 水冷冷却装置
207 搬送ユニット
207a スクリュー羽根
207b 駆動装置
208~210 接続部
211 基材
212 ホッパー
214 加熱装置

Claims (10)

  1. エラストマーと、カーボンナノチューブと、化合物Aとを含み、
    前記カーボンナノチューブと前記化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R1が、1.0MPa1/2以上10.0MPa1/2以下であり、
    前記エラストマーと前記化合物Aとのハンセン溶解度パラメータの距離R2が、前記距離R1よりも大きく、
    前記カーボンナノチューブが、下記(1)~(3)の条件のうち少なくとも1つを満たす、エラストマー組成物。
    (1)前記カーボンナノチューブを、バンドル長が10μm以上になるように分散させて得たカーボンナノチューブ分散体について、フーリエ変換赤外分光光分析して得たスペクトルにおいて、前記カーボンナノチューブ分散体のプラズモン共鳴に基づくピークが、波数300cm-1超2000cm-1以下の範囲に、少なくとも1つ存在する。
    (2)前記カーボンナノチューブについて、液体窒素の77Kでの吸着等温線から、Barrett-Joyner-Halenda法に基づいて得られる、細孔径とLog微分細孔容積との関係を示す細孔分布曲線における最大のピークが、細孔径100nm超400nm未満の範囲にある。
    (3)前記カーボンナノチューブの電子顕微鏡画像の二次元空間周波数スペクトルのピークが、1μm-1以上100μm-1以下の範囲に少なくとも1つ存在する。
  2. 前記化合物Aの含有率が10.0質量%以下である、請求項1に記載のエラストマー組成物。
  3. 前記エラストマーが、フッ素ゴム、水素化ニトリルゴム、ブタジエンゴムおよびシリコーンゴムからなる群より選択される少なくとも一種である、請求項1または2に記載のエラストマー組成物。
  4. 前記化合物Aが芳香環を有する化合物である、請求項1~3の何れかに記載のエラストマー組成物。
  5. 前記化合物Aがフェニルエステル化合物である、請求項4に記載のエラストマー組成物。
  6. 前記エラストマー100質量部当たり、前記カーボンナノチューブを0.1質量部以上10質量部以下含む、請求項1~5の何れかに記載のエラストマー組成物。
  7. 前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである、請求項1~6の何れかに記載のエラストマー組成物。
  8. 架橋剤を更に含む、請求項1~7の何れかに記載のエラストマー組成物。
  9. 請求項8に記載のエラストマー組成物を架橋してなる、架橋物。
  10. 請求項9に記載の架橋物よりなる、成形体。
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