JP2023120458A - 樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法 - Google Patents

樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】誘電損失が十分に低減された硬化物が得られる、樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、前記樹脂組成物に含まれる変性ポリフェニレンエーテルの製造方法の提供。【解決手段】分子末端に下式で表される置換基A1を有する変性ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物であって、前記置換基A1のモル数に対する、結合Rに対してオルト位にビニル基が結合した置換基A2の割合が20モル%超である、樹脂組成物。JPEG2023120458000023.jpg4795【選択図】図1

Description

本発明は、樹脂組成物、プリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法に関する。
近年、各種電子機器は、情報処理量の増大に伴い、搭載される半導体デバイスの高集積化、配線の高密度化、及び多層化等の実装技術が急速に進展している。各種電子機器において用いられるプリント配線板の基材を構成するための基板材料には、誘電損失を低減させるために、誘電率及び誘電正接が低いことが求められる。
このような要求に対し、樹脂組成物の硬化物における低誘電損失、高いガラス転移温度Tg、及び絶縁信頼性を兼ね備えた樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
国際公開第2020/059562号
しかしながら、5G通信向け材料、特に、スーパーハイエンドリジッド銅張積層板(CCL)に好適に用いられる、高周波数帯において硬化物の誘電損失が十分に低減された樹脂組成物の需要が急速に高まっている現状において、上記特許文献1では、高周波数帯において硬化物の誘電損失が十分に低減された樹脂組成物は得られておらず、斯かる樹脂組成物の開発が強く求められている。
本発明は、上記問題を鑑み、高周波数帯において、比誘電率が低く維持されつつ、誘電正接が低減されて、誘電損失が十分に低減された硬化物が得られる樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、上記樹脂組成物に含まれる変性ポリフェニレンエーテルの製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、変性ポリフェニレンエーテルの分子末端における後述する式(A1)で表される置換基A1(即ち、o(オルト)体、m(メタ)体、及びp(パラ)体の合計)のモル数に対する、変性ポリフェニレンエーテルの分子末端における後述する式(A2)で表される置換基A2(即ち、オルト体)のモル数の割合が20モル%超であると、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は下記の通りである。
〔1〕分子末端に下記式(A1)で表される置換基A1を有する変性ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物であって、前記変性ポリフェニレンエーテルにおける前記置換基A1のモル数に対する、前記変性ポリフェニレンエーテルにおける下記式(A2)で表される置換基A2のモル数の割合が20モル%超である、樹脂組成物。

〔式(A1)中、R1~R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リン原子、ケイ素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基を示し、Rは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、*は結合位置を示す。〕

〔式(A2)中、R1~R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リン原子、ケイ素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基を示し、Rは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、*は結合位置を示す。〕
〔2〕 前記変性ポリフェニレンエーテルは、下記式(B1)で示される構造である、上記〔1〕に記載の樹脂組成物。

〔式(B1)中、Xは前記式(A1)で示される置換基A1であり、Aは下記式(B2)で示される構造であり、Bは下記式(B3)で示される構造であり、Yは単結合又は下記式(B4)で示される構造であり、R8~R11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、又は-O-A-Xを示し、R12~R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、又は-O-B-Xを示す。但し、前記「-O-A-X」におけるAは下記式(B2)で示される構造であり、前記「-O-A-X」におけるXは前記式(A1)で示される置換基A1であり、前記「-O-B-X」におけるBは下記式(B3)で示される構造であり、前記「-O-B-X」におけるXは前記式(A1)で示される置換基A1である。〕

〔式(B2)中、mは0~20の整数を示し、R16~R19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。〕

〔式(B3)中、nは0~20の整数を示し、R20~R23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。〕

〔式(B4)中、R24及びR25は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示す。〕
〔3〕 前記変性ポリフェニレンエーテルと反応して硬化させる架橋剤を含む、上記〔1〕又は〔2〕に記載の樹脂組成物。
〔4〕 前記変性ポリフェニレンエーテルにおける前記置換基A1のモル数に対する、前記変性ポリフェニレンエーテルにおける下記式(A2)で表される置換基A2のモル数の割合が50モル%以上である、上記〔1〕~〔3〕のいずれかに記載の樹脂組成物。
〔5〕 上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物と、繊維質基材とを備える、プリプレグ。
〔6〕 上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と、金属箔とを備える、樹脂付き金属箔。
〔7〕 上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と、支持フィルムとを備える、樹脂付きフィルム。
〔8〕 上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物又は上記〔5〕に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを備える、金属張積層板。
〔9〕 上記〔1〕~〔4〕のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物又は上記〔5〕に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、配線とを備える、配線基板。
〔10〕 分子末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルにクロロメチルスチレンを反応させて変性ポリフェニレンエーテルを得る、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法であって、前記クロロメチルスチレンがo-クロロメチルスチレンを含み、前記クロロメチルスチレン中における前記o-クロロメチルスチレンの含有量が20モル%超である、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
本発明によれば、高周波数帯において、比誘電率が低く維持されつつ、誘電正接が低減されて、誘電損失が十分に低減された硬化物が得られる樹脂組成物、並びに、該樹脂組成物を用いたプリプレグ、樹脂付き金属箔、樹脂付きフィルム、金属張積層板、及び配線基板、並びに、上記樹脂組成物に含まれる変性ポリフェニレンエーテルの製造方法を提供できる。
図1は、本発明のプリプレグの一例を示す概略断面図である。 図2は、本発明の樹脂付き金属箔の一例を示す概略断面図である。 図3は、本発明の樹脂付きフィルムの一例を示す概略断面図である。 図4は、本発明の金属張積層板の一例を示す概略断面図である。 図5は、本発明の配線基板の一例を示す概略断面図である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本明細書において、好ましいとされている規定は任意に採用でき、好ましいもの同士の組み合わせはより好ましいといえる。
本明細書において、「XX~YY」との記載は、「XX以上YY以下」を意味する。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせ得る。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において、「高周波帯」とは、1~100GHzのことをいう。
(樹脂組成物)
本発明の樹脂組成物は、変性ポリフェニレンエーテルを含み、必要に応じて、他の熱硬化性樹脂、熱可塑性エラストマー、架橋剤、重合開始剤、溶媒、その他の成分をさらに含む。
以下、本発明の樹脂組成物の各成分について、具体的に説明する。
<変性ポリフェニレンエーテル>
変性ポリフェニレンエーテルは、分子末端に下記式(A1)で表される置換基A1を有し、且つ、変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A1(即ち、オルト体、メタ体、及びパラ体の合計)のモル数に対する、変性ポリフェニレンエーテルにおける下記式(A2)で表される置換基A2(即ち、オルト体)のモル数の割合が20モル%超である変性ポリフェニレンエーテル(即ち、置換基A1の100モル%中における置換基A2の割合が20モル%超である変性ポリフェニレンエーテル)である限り、特に制限はない。


変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A1のモル数に対する、変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A2のモル数の割合が20モル%超であることによって、高周波数帯において、樹脂組成物の硬化物の比誘電率を低く維持しつつ、誘電正接を低減して、誘電損失を十分に低減できる。
なお、本発明により課題が解決できる理由は不明であるが、立体障害等の影響で、変性ポリフェニレンエーテルの分子運動性を抑制できるからであると推測される。
変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A1のモル数に対する、変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A2のモル数の割合としては、20モル%超である限り、特に制限はないが、硬化物の誘電正接を低減する観点から、好ましくは40モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは60モル%以上、さらに好ましくは80モル%以上、さらに好ましくは90モル%以上、さらに好ましくは95モル%以上、さらに好ましくは97モル%以上、さらに好ましくは99モル%以上、さらに好ましくは99.9モル%以上、特に好ましくは100モル%である。
変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A1のモル数に対する、変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A2のモル数の割合が、上記好ましい範囲内あると、高周波数帯において、樹脂組成物の硬化物の比誘電率を低く維持しつつ、誘電正接をより低減させて、誘電損失をより十分に低減できる。
式(A1)~(A2)中におけるR1~R7としては、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、リン原子、ケイ素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基である限り、特に制限はないが、誘電特性や低吸水性の観点で、水素原子、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
ここで、炭素数1~10のアルキル基は、直鎖状であっても、分岐鎖状であってもよい。炭素数1~10のアルキル基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、などが挙げられる。
式(A1)~(A2)中におけるRとしては、炭素数1~10のアルキレン基である限り、特に制限はなく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、メチレン基が好ましい。
本発明の樹脂組成物は、高周波数帯において、比誘電率が低く維持されつつ、誘電正接が低減されて、誘電損失が十分に低減された硬化物を確実に得るという観点から、変性ポリフェニレンエーテルが下記式(B1)で表される構造であることが好ましく、溶剤への溶解性の観点から、下記式(B1-2)で表される構造であることがより好ましい。
上記式(B1)中におけるR8~R15は、それぞれ独立しており、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
上記式(B1)中におけるR8~R11としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、-O-A-Xなどが挙げられる。これらの中でも、誘電特性や低吸水性の観点で、水素原子、アルキル基が好ましい。ここで、「-O-A-X」における酸素原子(O)はベンゼン環に結合する。また、R8~R11のいずれかが「-O-A-X」である場合とは、式(B1)で表される構造が、分岐状の構造であることを意味する。
上記式(B1)中におけるR12~R15としては、例えば、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、-O-B-Xなどが挙げられる。これらの中でも、誘電特性や低吸水性の観点で、水素原子、アルキル基が好ましい。ここで、「-O-B-X」における酸素原子(O)はベンゼン環に結合する。また、R12~R15のいずれかが「-O-B-X」である場合とは、式(B1)で表される構造が、分岐状の構造であることを意味する。
R8~R15のアルキル基としては、特に制限はなく、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、炭素数1~18のアルキル基などが挙げられる。これらの中でも、誘電特性や低吸水性の観点で、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、デシル基等の炭素数1~10のアルキル基が好ましい。
R8~R15のアルケニル基としては、特に制限はなく、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、炭素数2~18のアルケニル基などが挙げられる。これらの中でも、硬化性の観点で、ビニル基、アリル基、3-ブテニル基等の炭素数2~10のアルケニル基が好ましい。
R8~R15のアルキニル基としては、特に制限はなく、例えば、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、炭素数2~18のアルキニル基などが挙げられる。これらの中でも、低吸水性の観点で、エチニル基、プロパ-2-イン-1-イル基(プロパルギル基)等の炭素数2~10のアルキニル基が好ましい。
R8~R15のアルキルカルボニル基としては、特に制限はなく、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、炭素数2~18のアルキルカルボニル基などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ヘキサノイル基、オクタノイル基、シクロヘキシルカルボニル基等の炭素数2~10のアルキルカルボニル基が好ましい。
R8~R15のアルケニルカルボニル基としては、特に制限はなく、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、炭素数3~18のアルケニルカルボニル基などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、アクリロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基等の炭素数3~10のアルケニルカルボニル基が好ましい。
R8~R15のアルキニルカルボニル基としては、特に制限はなく、直鎖状であっても、分岐状であってもよく、例えば、炭素数3~18のアルキニルカルボニル基などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、プロピオロイル基等の炭素数3~10のアルキニルカルボニル基が好ましい。
また、上記式(B1)、「-O-A-X」、及び「-O-B-X」中、Aは下記式(B2)で示される構造であり、Bは下記式(B3)で示される構造である。

上記式(B1-2)、(B2)、及び(B3)中におけるm及びnとしては、それぞれ独立して、0~20の整数を示し、溶剤への溶解性および熱機械物性の観点で、好ましくは1~20の整数、より好ましくは3~15の整数である。
上記式(B2)及び(B3)中におけるR16~R23は、それぞれ独立しており、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
上記式(B2)及び(B3)中におけるR16~R23は、前述したR8~R15と同様であり、その好ましい例もR8~R15と同様であり、直鎖状であっても、分岐状であってもよい。但し、R16~R23は、-O-A-X及び-O-B-Xのいずれかであることはない。
R16~R19の好ましい組合せとしては、例えば、R16及びR17がメチル基であり、R18及びR19が水素原子である組合せである。
R20~R23の好ましい組合せとしては、例えば、R20及びR21が水素原子であり、R22及びR23がメチル基である組合せである。
上記式(B1)、(B1-2)、「-O-A-X」、及び「-O-B-X」中におけるXは、上記式(A1)で示される置換基A1である。
上記式(B1)中におけるYとしては、例えば、単結合、炭素数20以下の2価の炭化水素基が挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、下記式(B4)で示される構造であることが好ましい。
上記式(B4)におけるR24及びR25は、それぞれ独立しており、それぞれ同一の基であってもよく、異なる基であってもよい。
上記式(B4)におけるR24及びR25としては、例えば、水素原子、メチル基等のアルキル基、などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、メチル基が好ましい。
上記式(B4)で表される基としては、例えば、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、などが挙げられる。これらの中でも、熱機械物性の観点で、ジメチルメチレン基が好ましい。
変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量(Mw)としては、特に制限はないが、好ましくは1,000~5,000、より好ましくは1,000~4,000である。ここで、重量平均分子量は、実施例に記載の方法でゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて測定した値である。
変性ポリフェニレンエーテルの重量平均分子量が上記好ましい範囲内であると、比較的低分子量であるので、成形性に優れる。
本発明の樹脂組成物中における変性ポリフェニレンエーテルの含有量としては、特に制限はないが、好ましくは1~100質量%、より好ましくは5~90質量%、特に好ましくは10~80質量%である。
変性ポリフェニレンエーテルの含有量が、上記下限値以上であると、優れた誘電特性が得られ、また、上記上限値以下であると、硬化物の靭性を確保することができる。
なお、樹脂組成物が変性ポリフェニレンエーテルのみから構成されていてもよい(即ち、樹脂組成物中における変性ポリフェニレンエーテルの含有量が100質量%であってもよい)。
<<変性ポリフェニレンエーテルの製造方法>>
本発明の変性ポリフェニレンエーテルの製造方法は、本発明の変性ポリフェニレンエーテルを製造できる方法であれば、特に制限はなく、例えば、分子末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルに、置換基A1とハロゲン原子とが結合された化合物を反応させる方法、などが挙げられる。より具体的には、分子末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルに、o-クロロメチルスチレンの含有量が20モル%超であるクロロメチルスチレンを反応させる方法、などが挙げられる。
原料であるポリフェニレンエーテルは、所定の変性ポリフェニレンエーテルを製造できるものである限り、特に制限はなく、例えば、2,6-ジメチルフェノールと2官能フェノール及び3官能フェノールの少なくともいずれか一方とを反応させることで得られる。ここで、「2官能フェノール」とは、テトラメチルビスフェノールA等のフェノール性水酸基を1分子中に2個有するフェノール化合物であり、「3官能フェノール」とは、フェノール性水酸基を1分子中に3個有するフェノール化合物である。
上記式(B1)で示されるような変性ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、例えば、上述のポリフェニレンエーテルと、置換基A1とハロゲン原子とが結合された化合物(置換基A1を有する化合物)とを溶媒に溶解させ、反応させる方法が挙げられる。斯かる方法によって、ポリフェニレンエーテルと、置換基A1を有する化合物とが反応し、上記式(B1)で示されるような変性ポリフェニレンエーテルが得られる。
変性ポリフェニレンエーテルの製造方法において使用する、置換基A1とハロゲン原子とが結合された化合物は、オルト体の含有量が20モル%超である限り、特に制限はなく、オルト体が、例えば、o-クロロメチルスチレン等であってもよく、オルト体以外が、例えば、m-クロロメチルスチレン、p-クロロメチルスチレン等であってもよい。
さらに、変性ポリフェニレンエーテルにおける置換基A1が、例えば、上記式(A1)におけるR1~R7が水素原子であり、上記式(A1)におけるRが炭素数1のアルキレン基(即ち、メチレン基)であるエテニルベンジル基であってもよい。
上記反応の際、アルカリ金属水酸化物の存在下で行うことが好ましい。アルカリ金属水酸化物の存在下で行うことによって、反応が好適に進行する。これは、アルカリ金属水酸化物が、脱ハロゲン化水素剤(脱塩酸剤)として機能することによる。即ち、アルカリ金属水酸化物が、ポリフェニレンエーテルのフェノール基と置換基A1を有する化合物とから、ハロゲン化水素を脱離させて、ポリフェニレンエーテルのフェノール基の水素原子の代わりに、置換基A1が、ポリフェニレンエーテルのフェノール基の酸素原子に結合する。
アルカリ金属水酸化物としては、脱ハロゲン化剤として機能するものである限り、特に制限はなく、例えば、水酸化ナトリウム、などが挙げられる。また、アルカリ金属水酸化物は、通常、水溶液(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)の状態で用いられる。
反応時間や反応温度等の反応条件としては、特に制限はなく、置換基A1を有する化合物の種類等に応じて適宜選択される。
反応温度としては、反応効率の観点で、好ましくは20℃~100℃、より好ましくは30~100℃である。
また、反応時間としては、反応効率の観点で、好ましくは0.5~20時間、より好ましくは0.5~10時間である。
反応時に用いる溶媒としては、ポリフェニレンエーテルと、置換基A1を有する化合物とを溶解させ得るものであり、且つ、ポリフェニレンエーテルと、置換基A1を有する化合物との反応を阻害しないものである限り、特に制限はなく、例えば、トルエンなどが挙げられる。
上記の反応は、アルカリ金属水酸化物だけではなく、相間移動触媒も存在した状態で反応させることが好ましい。アルカリ金属水酸化物及び相間移動触媒の存在下で反応させることによって、反応が好適に進行する。これは、相間移動触媒が、アルカリ金属水酸化物を取り込む機能を有すると共に、水等の極性溶剤の相と、有機溶剤等の非極性溶剤の相との両相間を移動可能な触媒であることによるものと推定される。例えば、アルカリ金属水酸化物及び相間移動触媒の存在下で反応させると、アルカリ金属水酸化物が、相間移動触媒に取り込まれた状態で溶媒に移行し、水酸化ナトリウム水溶液が反応促進に寄与しやすくなると推定される。
ここで、相間移動触媒としては、特に制限はなく、例えば、テトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド等の第4級アンモニウム塩、などが挙げられる。
反応終了後、反応液にメタノール等のアルコールを投入して生成物を再沈殿させて、沈殿物を濾過によって取り出す。取り出した濾過物を洗浄する工程を、数回(好ましくは、2回以上)繰り返す。
<<変性ポリフェニレンエーテルの硬化物>>
本発明における変性ポリフェニレンエーテルの硬化物の比誘電率Dkとしては、特に制限はないが、好ましくは3.00以下、より好ましくは2.50以下であり、また、好ましくは2.00以上である。
本発明における変性ポリフェニレンエーテルの硬化物の誘電正接Dfとしては、特に制限はないが、好ましくは0.005以下、より好ましくは0.003以下であり、また、好ましくは0.0001以上である。
本発明における変性ポリフェニレンエーテルの硬化物のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はないが、好ましくは150~300℃、より好ましくは200~250℃である。
本発明における変性ポリフェニレンエーテルの硬化物の熱膨張係数CTEとしては、特に制限はないが、好ましくは20~100ppm/℃、より好ましくは20~50ppm/℃である。
なお、本発明における変性ポリフェニレンエーテルの硬化物は、例えば、変性ポリフェニレンエーテルと、必要に応じて重合開始剤を混合して、170~220℃にて60~150分間加熱して得られる。
<変性ポリフェニレンエーテル以外の熱硬化性樹脂>
任意成分である、変性ポリフェニレンエーテル以外の熱硬化性樹脂としては、特に制限はなく、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、アミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性ポリイミド樹脂、マレイミド化合物、などが挙げられる。ここで、マレイミド化合物は、分子中の少なくとも一部がシリコーン化合物やアミン化合物で変性された変性マレイミド化合物であってもよい。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、誘電特性の観点で、マレイミド化合物が好ましい。
本発明の樹脂組成物が変性ポリフェニレンエーテル以外の熱硬化性樹脂を含有する場合、本発明の樹脂組成物中における変性ポリフェニレンエーテル以外の熱硬化性樹脂の含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは1~200質量部、より好ましくは10~150質量部、特に好ましくは10~100質量部である。
<熱可塑性エラストマー>
任意成分である熱可塑性エラストマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレンブタジエン共重合体等のゴム成分、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、誘電特性の観点で、スチレンブタジエン共重合体が好ましい。
本発明の樹脂組成物が熱可塑性エラストマーを含有する場合、本発明の樹脂組成物中における熱可塑性エラストマーの含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは1~100質量部、より好ましくは1~80質量部、特に好ましくは5~50質量部である。
熱可塑性エラストマーの含有量が、上記下限値以上であると、優れた誘電特性が得られ、また、上記上限値以下であると、熱機械物性の低下を抑制することができる。
<架橋剤>
任意成分である架橋剤としては、特に制限はなく、変性ポリフェニレンエーテルと反応して硬化させる架橋剤、などが挙げられる。変性ポリフェニレンエーテルと反応して硬化させる架橋剤は、通常、変性ポリフェニレンエーテルとの反応に寄与する官能基を1分子中に少なくとも1個以上有する化合物であるため、変性ポリフェニレンエーテルと効率よく反応でき、樹脂組成物の高いガラス転移温度及び密着性を確保できる。
架橋剤1分子当たりの、変性ポリフェニレンエーテルとの反応に寄与する官能基の平均個数(官能基数)としては、特に制限はなく、架橋剤の重量平均分子量等に応じて選択されるが、好ましくは2~20個、より好ましくは2~18個である。架橋剤の官能基数は、上記下限値以上であることにより、硬化物の耐熱性を向上でき、また、上記上限値以下であることにより、架橋剤の反応性が高くなり過ぎるのを抑制できる。
架橋剤の官能基数は、架橋剤の重量平均分子量が500未満(例えば、100以上、500未満)の場合は、好ましくは2~4個であり、また、架橋剤の重量平均分子量が500以上(例えば、500以上、5,000以下)の場合は、好ましくは3~20個である。架橋剤の官能基数が、上記下限値以上であることにより、架橋剤の反応性が低下するのを抑制して、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が低下するのを抑制し、耐熱性やガラス転移温度Tgを充分に向上でき、また、上記上限値以下であることにより、樹脂組成物がゲル化するのを抑制できる。
なお、ここでの官能基数は、使用する架橋剤の製品の規格値から算出される、架橋剤1モル中に存在する全ての架橋剤の1分子当たりの官能基数の平均値を表した数値である。
架橋剤の具体例としては、例えば、1分子中にアクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物、1分子中にメタクリロイル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物、1分子中にビニル基を2個以上有する多官能ビニル化合物、1分子中にアリル基を2個以上有する多官能アリル化合物、1分子中にマレイミド基を2個以上有する多官能マレイミド化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、硬化性と誘電特性の観点で、多官能ビニル化合物、多官能アリル化合物、多官能マレイミド化合物が好ましい。
これらの架橋剤を用いると、変性ポリフェニレンエーテルとの反応(硬化反応)により架橋が形成されて、樹脂組成物の硬化物の耐熱性をより高められる。
1分子中にアクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物の具体例としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、などが挙げられる。
1分子中にメタクリロイル基を2個以上有する多官能メタクリレート化合物の具体例としては、例えば、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、などが挙げられる。
1分子中にビニル基を2個以上有する多官能ビニル化合物としては、例えば、多官能芳香族ビニル化合物、多官能脂肪族ビニル化合物、多官能芳香族ビニル化合物由来の構造を含む重合体又は共重合体、多官能脂肪族ビニル化合物由来の構造を含む重合体又は共重合体、などが挙げられる。多官能ビニル化合物の具体例としては、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルベンゼン共重合体、ポリブタジエン、ブタジエン共重合体、などが挙げられる。
1分子中にアリル基を2個以上有する多官能アリル化合物の具体例としては、例えば、ジアリルフタレート(DAP)、トリアリルイソシアヌレート(TAIC)、トリアリルシアヌレート(TAC)などが挙げられる。
1分子中にマレイミド基を2個以上有する多官能マレイミド化合物は、分子中の一部がアミン化合物で変性された変性マレイミド化合物、分子中の一部がシリコーン化合物で変性された変性マレイミド化合物、分子中の一部がアミン化合物及びシリコーン化合物で変性された変性マレイミド化合物、などであってもよい。
本発明の樹脂組成物が架橋剤を含有する場合は、本発明の樹脂組成物中における架橋剤の含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との合計100質量部に対して、好ましくは10~70質量部、より好ましくは10~50質量部である。
架橋剤の含有量が、上記好ましい範囲内であることにより、変性ポリフェニレンエーテルと架橋剤との硬化反応が好適に進行して、架橋物の耐熱性及び難燃性により優れた樹脂組成物が得られる。
<重合開始剤>
任意成分である重合開始剤としては、ジクミルパーオキサイド(ジクミルペルオキシド)、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジ-t-ブチルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ジ(t-ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジ-t-ブチルパーオキシイソフタレート、t-ブチルパーオキシベンゾエート、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)ブタン、2,2-ビス(t-ブチルパーオキシ)オクタン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイドなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、硬化性の観点で、ジクミルパーオキサイドが好ましい。
本発明の樹脂組成物が重合開始剤を含有する場合は、本発明の樹脂組成物中における重合開始剤の含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部、特に好ましくは0.1~3質量部である。
重合開始剤の含有量が、上記下限値以上であると、硬化性を確保することができ、また、上記上限値以下であると、保存安定性が向上する。
<溶媒>
任意成分である溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドンなどが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、樹脂組成物の溶解性及び取扱い性の観点で、トルエン、メチルエチルケトンが好ましい。
本発明の樹脂組成物が溶媒を含有する場合は、本発明の樹脂組成物中における溶媒の含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは10~300質量部、より好ましくは30~200質量部、特に好ましくは5~150質量部である。
溶媒の含有量が、上記下限値以上であると、樹脂組成物の取扱い性が良好になり、また、上記上限値以下であると、所定の厚みの組成物が得られるようになる。
<その他の成分>
任意成分であるその他の成分としては、例えば、充填材;難燃剤;シリコーン系消泡剤、アクリル酸エステル系消泡剤等の消泡剤;熱安定剤;帯電防止剤;紫外線吸収剤;染料;顔料;滑剤;湿潤分散剤等の分散剤;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、機械特性や難燃性の観点で、充填材、難燃剤が好ましい。
<<充填材>>
任意成分である充填材を含有させることによって、耐熱性や難燃性等をさらに高められる。
充填材としては、例えば、球状シリカ等のシリカ;アルミナ、酸化チタン、マイカ等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物;タルク;ホウ酸アルミニウム;硫酸バリウム;炭酸カルシウム;などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、低熱膨張性の観点で、シリカ、マイカ、タルクが好ましく、球状シリカがより好ましい。また、充填材としては、エポキシシランタイプ、ビニルシランタイプ、メタクリルシランタイプ、又はアミノシランタイプのシランカップリング剤で表面処理したものを用いてもよい。充填材に対して、シランカップリング剤を予め表面処理してもよく、インテグラルブレンド法でシランカップリング剤を添加してもよい。
本発明の樹脂組成物が充填材を含有する場合は、充填材の含有量としては、特に制限はないが、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは10~200質量部、より好ましくは20~150質量部である。
<<難燃剤>>
難燃剤としては、例えば、臭素系難燃剤等のハロゲン系難燃剤、リン系難燃剤、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
ハロゲン系難燃剤の具体例としては、例えば、ペンタブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ヘキサブロモシクロドデカン等の臭素系難燃剤;塩素化パラフィン等の塩素系難燃剤;などが挙げられる。
リン系難燃剤の具体例としては、例えば、縮合リン酸エステル、環状リン酸エステル等のリン酸エステル;環状ホスファゼン化合物等のホスファゼン化合物;ジアルキルホスフィン酸アルミニウム塩等のホスフィン酸塩系難燃剤;リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン等のメラミン系難燃剤;ジフェニルホスフィンオキサイド基を有するホスフィンオキサイド化合物;などが挙げられる。
本発明の難燃剤が充填材を含有する場合は、難燃剤の含有量としては、特に制限はなく、変性ポリフェニレンエーテル100質量部に対して、好ましくは10~100質量部、より好ましくは20~80質量部である。
<樹脂組成物の硬化物>
本発明の樹脂組成物の硬化物の比誘電率Dkとしては、特に制限はないが、好ましくは2.0~3.0である。
本発明の樹脂組成物の硬化物の誘電正接Dfとしては、特に制限はないが、好ましくは、0.0001~0.005である。
本発明の樹脂組成物の硬化物のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はないが、好ましくは、150~300℃である。
本発明の樹脂組成物の硬化物の熱膨張係数CTEとしては、特に制限はないが、好ましくは、20~100ppm/℃である。
なお、本発明の樹脂組成物の硬化物は、例えば、樹脂組成物を170~220℃にて60~150分間加熱して得られる。
(プリプレグ)
次に、本発明の樹脂組成物を用いたプリプレグについて説明する。
図1は、本発明のプリプレグの一例を示す概略断面図である。
図1に示すように、プリプレグ11は、本発明の樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物12と、本発明の樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物12の中に存在する繊維質基材13とを備える。
上述のような構成によれば、誘電損失が十分に低減された基板を作製可能なプリプレグが得られる。
なお、本明細書において、「半硬化物」とは、樹脂組成物を、さらに硬化しうる程度に途中まで硬化された状態のもの、即ち、半硬化物は、樹脂組成物を半硬化した状態の(Bステージ化された)ものである。樹脂組成物を加熱した当初は、粘度が徐々に低下し、その後、硬化が開始し、粘度が徐々に上昇する場合において、「半硬化」とは、粘度が上昇し始めてから、完全に硬化する前の間の状態である。
本発明の樹脂組成物を用いて得られるプリプレグとしては、上記のような、樹脂組成物の半硬化物を備えていてもよいし、また、硬化させていない樹脂組成物そのものを備えていてもよい。すなわち、樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよいし、硬化前の樹脂組成物(Aステージの樹脂組成物)と、繊維質基材とを備えるプリプレグであってもよい。なお、樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物は、樹脂組成物を乾燥又は加熱乾燥したものであってもよい。
ワニス状の樹脂組成物を用いてプリプレグ11を製造する方法としては、例えば、樹脂ワニス状の樹脂組成物を繊維質基材13に含浸させた後に乾燥する方法、などが挙げられる。
樹脂ワニス(樹脂組成物)の繊維質基材13への含浸は、浸漬及び塗布等によって行われる。この含浸は、必要に応じて複数回繰り返すことも可能である。また、この際、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて含浸を繰り返し、所望の組成(含有比)及び樹脂量に調整することも可能である。
樹脂ワニス(樹脂組成物)が含浸された繊維質基材13を、所望の加熱条件、例えば、80℃以上180℃以下で1分間以上10分間以下加熱する。該加熱によって、ワニスから溶媒を揮発させ、溶媒を減少又は除去させて、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)のプリプレグ11が得られる。
<プリプレグの硬化物>
本発明におけるプリプレグの硬化物の比誘電率Dkとしては、特に制限はないが、好ましくは2.5~4.0である。
本発明におけるプリプレグの硬化物の誘電正接Dfとしては、特に制限はないが、好ましくは、0.0001~0.005である。
本発明におけるプリプレグの硬化物のガラス転移温度Tgとしては、特に制限はないが、好ましくは、150~300℃である。
本発明におけるプリプレグの硬化物の熱膨張係数CTEとしては、特に制限はないが、好ましくは、5~30ppm/℃である。
なお、本発明におけるプリプレグの硬化物は、例えば、プリプレグを170~220℃にて60~150分間加熱して得られる。
<繊維質基材>
繊維質基材としては、例えば、ガラスクロス、アラミドクロス、ポリエステルクロス、LCP(液晶ポリマー)不織布、ガラス不織布、アラミド不織布、ポリエステル不織布、パルプ紙、リンター紙、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、機械強度が優れた積層板が得られる観点から、ガラスクロスが好ましく、偏平処理加工したガラスクロスがより好ましい。
<<ガラスクロス>>
ガラスクロスとしては、例えば、Eガラス、Sガラス、NEガラス、Qガラス、Lガラス、などが挙げられる。
偏平処理加工は、例えば、ガラスクロスを適宜の圧力でプレスロールにて連続的に加圧してヤーンを偏平に圧縮することにより行う。
(樹脂付き金属箔)
図2は、本発明の樹脂付き金属箔の一例を示す概略断面図である。
図2に示すように、樹脂付き金属箔21は、本発明の樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層22と、金属箔23と、が積層されている構成を有する。
本発明の樹脂付き金属箔は、硬化前の樹脂組成物(Aステージの樹脂組成物)を含む樹脂層と、金属箔とを備えていてもよく、樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)を含む樹脂層と、金属箔とを備えていてもよい。
上述のような構成によれば、誘電損失が十分に低減された基板を作製可能な樹脂付き金属箔が得られる。
樹脂付き金属箔21を製造する方法としては、例えば、樹脂ワニス状の樹脂組成物を銅箔等の金属箔23の表面に塗布した後に乾燥する方法、などが挙げられる。ここで、塗布に使用される塗布装置としては、形成する金属箔の膜厚に応じて適宜選択することができ、例えば、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、ロールコーター、グラビアコーター、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
金属箔23としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。
なお、本発明の樹脂付き金属箔においても、プリプレグと同様、樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物は、樹脂組成物を乾燥又は加熱乾燥したものであってもよい。
金属箔23の厚みとしては、特に制限はなく、所望の目的に応じて、適宜設定できるが、通常、0.2~70μm程度である。金属箔23の厚みが10μm以下である場合は、ハンドリング性向上のために剥離層及びキャリアを備えたキャリア付銅箔であってもよい。樹脂ワニスの金属箔23への塗布を、必要に応じて、複数回繰り返すこともできる。また、組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて塗布を繰り返すことで、所望の組成(含有比)及び樹脂量に調整できる。
樹脂付き金属箔21の製造方法における乾燥又は加熱乾燥の条件としては、特に制限はなく、加熱温度が80~170℃であり、加熱時間が1~10分間程度であることが好ましい。斯かる乾燥又は加熱乾燥により、ワニスから溶媒を揮発させ、溶媒を減少又は除去させて、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の樹脂付き金属箔21が得られる。
樹脂付き金属箔21は、必要に応じて、カバーフィルムを備えていてもよい。樹脂付き金属箔21がカバーフィルムを備えることにより異物の混入等を防げる。
カバーフィルムとしては、樹脂組成物の形態を損なうことなく剥離できるものである限り、特に制限されるものではなく、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム、TPXフィルム、これらのフィルムに離型剤層を設けて形成されたフィルム、これらのフィルムを紙基材上にラミネートした紙、などが挙げられる。
(樹脂付きフィルム)
図3は、本発明の樹脂付きフィルムの一例を示す概略断面図である。
図3に示すように、樹脂付きフィルム31は、本発明の樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層32と、フィルム支持基材33と、が積層されている構成を有する。
本発明の樹脂付きフィルムは、硬化前の樹脂組成物(Aステージの樹脂組成物)と、フィルム支持基材とを備えていてもよいし、樹脂組成物の半硬化物(Bステージの樹脂組成物)と、フィルム支持基材とを備えていてもよい。
上述のような構成によれば、誘電損失が十分に低減された基板を作製可能な樹脂付きフィルムが得られる。
樹脂付きフィルム31を製造する方法としては、例えば、樹脂ワニス状の樹脂組成物をフィルム支持基材33の表面に塗布した後にワニスから溶媒を揮発させて、溶媒を減少させる又は溶媒を除去させる方法、などが挙げられる。斯かる方法により、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の樹脂付きフィルムが得られる。
フィルム支持基材としては、例えば、ポリイミドフィルム、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム、ポリエステルフィルム、ポリパラバン酸フィルム、ポリエーテルエーテルケトンフィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルム、アラミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアリレートフィルム等の電気絶縁性フィルム、などが挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく、2種以上用いてもよい。これらの中でも、取扱い性や柔軟性の観点で、PET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムが好ましい。
なお、本発明の樹脂付きフィルムにおいても、プリプレグと同様、樹脂組成物又は該樹脂組成物の半硬化物は、樹脂組成物を乾燥又は加熱乾燥したものであってもよい。
フィルム支持基材33の厚みとしては、所望の目的に応じて、適宜設定できる。樹脂ワニスのフィルム支持基材33への塗布を、必要に応じて、複数回繰り返すこともできる。組成や濃度の異なる複数の樹脂ワニスを用いて塗布を繰り返すことで、所望の組成(含有比)及び樹脂量に調整することもできる。
樹脂付きフィルム31の製造方法における乾燥又は加熱乾燥の条件としては、特に制限はないが、加熱温度が80~170℃であり、加熱時間が1~10分間程度であることが好ましい。斯かる乾燥又は加熱乾燥により、ワニスから溶媒を揮発させ、溶媒を減少又は除去させて、硬化前(Aステージ)又は半硬化状態(Bステージ)の樹脂付きフィルム31が得られる。
樹脂付きフィルム31は、必要に応じて、カバーフィルムを備えていてもよい。樹脂付きフィルム31がカバーフィルムを備えることにより異物の混入等を防げる。
(金属張積層板)
図4は、本発明の金属張積層板の一例を示す概略断面図である。
図4に示すように、金属張積層板41は、本発明の樹脂組成物の硬化物又は本発明のプリプレグの硬化物を含む絶縁層42と、金属箔23とを有する。
上述のような構成によれば、誘電損失が十分に低減された基板を作製可能な金属張積層板が得られる。
プリプレグ11、樹脂付き金属箔21、及び樹脂付きフィルム31を用いて金属張積層板41を作製する方法としては、プリプレグ11、樹脂付き金属箔21、及び樹脂付きフィルム31を一枚又は複数枚重ね、さらにその上下の両面又は片面に銅箔等の金属箔23を重ね、これを加熱加圧成形して積層一体化することによって、両面金属箔張り又は片面金属箔張りの積層体を作製する方法である。
加熱加圧条件は、製造する積層板の厚みや樹脂組成物の種類等により適宜設定でき、例えば、温度を170~220℃、圧力を1.5~5.0MPa、時間を60~150分間にできる。
また、金属張積層板41は、プリプレグ11等を用いずに、フィルム状の樹脂組成物を金属箔23の上に形成し、加熱加圧することにより作製してもよい。
(配線基板)
図5は、本発明の配線基板の一例を示す概略断面図である。
図5に示すように、配線基板51は、本発明の樹脂組成物の硬化物又は本発明のプリプレグの硬化物を含む絶縁層42と、配線52とを有する。
上述のような構成によれば、誘電損失が十分に低減された基板を作製可能な配線基板が得られる。
金属張積層体41の表面の金属箔23をエッチング加工等して回路(配線)形成をすることによって、積層体の表面に回路として導体パターン(配線52)を設けた配線基板51が得られる。
エッチング加工以外の回路形成方法としては、例えば、セミアディティブ法(SAP:Semi Additive Process)、モディファイドセミアディティブ法(MSAP:Modified Semi Additive Process)、などが挙げられる。
以下、実施例及び参考例を示して本発明を詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例により限定されるものではない。
まず、本実施例において、樹脂組成物を調製する際に用いる成分である2官能ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE)について説明する。
なお、変性ポリフェニレンエーテルの合成に用いるクロロメチルスチレンは、米国特許第4045501号明細書等に記載の方法に従って合成したオルト体、並びに、東京化成工業(TCI)株式会社製のクロロメチルスチレン(メタ体・パラ体混合品)から単離したメタ体及びパラ体を適宜混合して、各種異性体(オルト体、メタ体、パラ体)の比率を調整して使用した。
(合成例1)
・変性PPE-1:2官能ビニルベンジル変性ポリフェニレンエーテル(Mw:1,800)の合成
まず、変性ポリフェニレンエーテル(変性PPE-1)を合成した。
ポリフェニレンエーテルと、クロロメチルスチレンとを反応させて変性ポリフェニレンエーテル1(変性PPE―1)を得た。具体的には、まず、温度調節器、攪拌装置、冷却設備、及び滴下ロートを備えた100mLの3つ口フラスコに、下記式(1)で示されるポリフェニレンエーテル(SABICイノベーティブプラスチックス社製のSA90、重量平均分子量Mw1,600)15.00g(0.0094モル)、o-クロロメチルスチレン(分子量152.62)3.72g(0.0244モル)、相間移動触媒としてのテトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド(分子量322.27)0.11g(0.0004モル)、及びトルエン(分子量92.14)30.00g(0.3256モル)を仕込み、ポリフェニレンエーテル、クロロメチルスチレン、及びテトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイドが、トルエンに溶解するまで攪拌した。その際、徐々に加熱し、液温が75℃になるまで加熱した。そして、その溶液に、アルカリ金属水酸化物として、48質量%水酸化ナトリウム(分子量40)水溶液3.91g(0.0469モル)を20分間かけて、滴下した。その後、さらに、75℃で4時間攪拌した。次に、10質量%の塩酸でフラスコの内容物を中和した後、1Lのメタノールを投入した。そうすることによって、フラスコ内の液体に沈殿物を生じさせた。すなわち、フラスコ内の反応液に含まれる生成物を再沈殿させた。そして、この沈殿物を加圧濾過器による濾過によって取り出し、メタノールと水との質量比が80:20の混合液で3回洗浄し、さらに、メタノールと水との質量比が10:90の混合液で3回洗浄した後、減圧下、80℃で3時間乾燥させた。その結果、17.19gの固体を得た。

〔式(1)中における、mは0~20の整数を示し、nは0~20の整数を示す。〕
得られた固体を、H-NMR(400MHz、CDCl、TMS)で分析した。NMRを測定した結果、5~7ppmにビニルベンジル基におけるビニル基に由来するピークが確認された。これにより、得られた固体が、分子末端に、式(A1)で表される置換基A1を有する変性ポリフェニレンエーテルであることが確認できた。具体的には、ビニルベンジル化されたポリフェニレンエーテルであることが確認できた。
また、変性ポリフェニレンエーテルの分子量分布を、GPC(東ソー製)を用いて、下記条件にて測定した。そして、その得られた分子量分布から、重量平均分子量(Mw)を算出した結果、Mwは、1,800であった。
<GPC測定条件>
装置:HLC-8320GPC
カラム:TSKgel SuperHZ2000,HZ2500,HZ3000,HZ4000の4本を直列に接続して使用
移動相:テトラヒドロフラン
標準ポリマー:ポリスチレン
(合成例2)
・変性PPE-2:2官能ビニルベンジル変性PPE(Mw:1,800)の合成
o-クロロメチルスチレンを用いる代わりに、p-クロロメチルスチレンとm-クロロメチルスチレンとのモル比(質量比)が50:50の混合物(分子量152.62)3.72g(0.0244モル)を用いたこと以外は、変性PPE-1と同様にして、変性PPE-2を得た。
(合成例3)
・変性PPE-3:2官能ビニルベンジル変性PPE(Mw:1,800)の合成
o-クロロメチルスチレンを用いる代わりに、p-クロロメチルスチレン(分子量152.62)3.72g(0.0244モル)を用いたこと以外は、変性PPE-1と同様にして、変性PPE-3を得た。
(合成例4)
・変性PPE-4:2官能ビニルベンジル変性PPE(Mw:1,800)の合成
o-クロロメチルスチレンを用いる代わりに、p-クロロメチルスチレンとm-クロロメチルスチレンとo-クロロメチルスチレンとのモル比(質量比)が80:5:15の混合物(分子量152.62)3.72g(0.0244モル)を用いたこと以外は、変性PPE-1と同様にして、変性PPE-4を得た。
(例1)
<評価用サンプル(フィルム状硬化物)の作製>
まず、合成例1で合成した変性PPE-1(2官能ビニルベンジル変性PPE)10gと、重合開始剤であるラジカル開始剤としてのジクミルパーオキサイド(ジクミルペルオキシド)0.1gと、トルエン10gとを室温(25℃)で攪拌して、トルエン溶液を作製した。
次に、アプリケータ(ヨシミツ精機製)を用いて、厚み125μmのポリイミドフィルム上に、作製したトルエン溶液を塗布して、厚さ250μmの塗布膜を形成し、オーブンにて80℃で30分間乾燥させた。
さらに、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱することで、塗布膜を熱硬化(熱架橋反応)させて、厚み約100μmの評価用サンプル(フィルム状硬化物)を得た。作製した評価用サンプルに対して下記評価試験を行った。
なお、例1は実施例である。
<評価試験>
[誘電特性(比誘電率Dk及び誘電正接Df)]
作製した評価用サンプル(フィルム状硬化物)の10GHzにおける比誘電率及び誘電正接を、ベクトルネットワークアナライザ(アジレントテクノロジー社製のE8361C)を用いてSPDR法により測定した。なお、誘電特性測定は室温でおこなった。得られた結果を表1に示す。
なお、比誘電率Dk及び誘電正接Dfは、いずれも、小さい方が好ましい。
[ガラス転移温度Tg(℃)]
作製した評価用サンプル(フィルム状硬化物)について、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御株式会社製のDVA-200)を用いて動的粘弾性測定(DMA)を行い、ガラス転移温度Tg(℃)を測定した。なお、動的粘弾性測定(DMA)は、周波数10Hz、昇温速度2℃/min、25℃~300℃の範囲で行った。得られた結果を表1に示す。
なお、ガラス転移温度Tg(℃)は、高い方が好ましい。
[熱膨張係数CTE(ppm/℃)]
作製した評価用サンプル(フィルム状硬化物)について、熱機械分析装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のTMA/SS7100)を用いて、ガラス転移温度未満における熱膨張係数CTEを測定した。なお、ガラス転移温度未満における熱膨張係数CTEは、昇温速度5℃/min、-50℃~340℃の範囲で行った。得られた結果を表1に示す。
なお、熱膨張係数CTEは、小さい方が好ましい。
(例2~例4)
合成例1で合成した変性PPE-1(2官能ビニルベンジル変性PPE)を用いる代わりに、それぞれ、合成例2~4で合成した変性PPE-2~4(2官能ビニルベンジル変性PPE)を用いたこと以外は、例1と同様にして、評価用サンプル(フィルム状硬化物)を得て、例1と同様にして、各評価試験(誘電特性、ガラス転移温度Tg、熱膨張係数CTE)を行った。得られた結果を表1に示す。
なお、例2~4は比較例である。
例1の誘電正接Dfは、例2~4の誘電正接Dfの約20%程度低減された値(約80%程度の値)であり、0.0028以下であった。
例1の比誘電率Dkは、例2~4の比誘電率Dkとほぼ同等以下の値であり、2.50以下であった。
例1のガラス転移温度Tgは、例2~4のガラス転移温度Tgとほぼ同等の値であり、230℃以上であった。
例1の熱膨張係数CTEは、例2~4のガラス転移温度Tgとほぼ同等の値であり、45ppm/℃以下であった。
以上より、変性ポリフェニレンエーテルの分子末端基におけるオルト体の割合が20モル%超であることによって、高周波数帯において、比誘電率が低く維持されつつ、誘電正接が低減されて、誘電損失が十分に低減された樹脂組成物の硬化物が得られることが分かった。
本発明は、電子材料やそれを用いた各種デバイスに関する技術分野において、広範な産業上の利用可能性を有する。
特に、本発明は、有線LANの中でもデータ密度の高い、ハイエンドサーバー用基板及びルーター/スイッチ用基板、並びに、高周波無線通信用のMIMOアンテナ基板及び車載ミリ波レーダーアンテナ基板に好適に用いられる。
11:プリプレグ
12:樹脂組成物又は樹脂組成物の半硬化物
13:繊維質基材
21:樹脂付き金属箔
22:樹脂層
23:金属箔
31:樹脂付きフィルム
32:樹脂層
33:フィルム支持基材
41:金属張積層板
42:絶縁層
51:配線基板
52:配線

Claims (10)

  1. 分子末端に下記式(A1)で表される置換基A1を有する変性ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物であって、
    前記変性ポリフェニレンエーテルにおける前記置換基A1のモル数に対する、前記変性ポリフェニレンエーテルにおける下記式(A2)で表される置換基A2のモル数の割合が20モル%超である、樹脂組成物。

    〔式(A1)中、R1~R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リン原子、ケイ素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基を示し、Rは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、*は結合位置を示す。〕

    〔式(A2)中、R1~R7は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、リン原子、ケイ素原子、アルキル基、ハロゲン化アルキル基、又はフェニル基を示し、Rは、炭素数1~10のアルキレン基を示し、*は結合位置を示す。〕
  2. 前記変性ポリフェニレンエーテルは、下記式(B1)で示される構造である、請求項1に記載の樹脂組成物。

    〔式(B1)中、Xは前記式(A1)で示される置換基A1であり、Aは下記式(B2)で示される構造であり、Bは下記式(B3)で示される構造であり、Yは単結合又は下記式(B4)で示される構造であり、R8~R11は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、又は-O-A-Xを示し、R12~R15は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、アルキニルカルボニル基、又は-O-B-Xを示す。但し、前記「-O-A-X」におけるAは下記式(B2)で示される構造であり、前記「-O-A-X」におけるXは前記式(A1)で示される置換基A1であり、前記「-O-B-X」におけるBは下記式(B3)で示される構造であり、前記「-O-B-X」におけるXは前記式(A1)で示される置換基A1である。〕

    〔式(B2)中、mは0~20の整数を示し、R16~R19は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。〕

    〔式(B3)中、nは0~20の整数を示し、R20~R23は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、ホルミル基、アルキルカルボニル基、アルケニルカルボニル基、又はアルキニルカルボニル基を示す。〕

    〔式(B4)中、R24及びR25は、それぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を示す。〕
  3. 前記変性ポリフェニレンエーテルと反応して硬化させる架橋剤を含む、請求項1又は2に記載の樹脂組成物。
  4. 前記変性ポリフェニレンエーテルにおける前記置換基A1のモル数に対する、前記変性ポリフェニレンエーテルにおける下記式(A2)で表される置換基A2のモル数の割合が50モル%以上である、請求項1~3のいずれかに記載の樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物と、繊維質基材とを備える、プリプレグ。
  6. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と、金属箔とを備える、樹脂付き金属箔。
  7. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物又は前記樹脂組成物の半硬化物を含む樹脂層と、支持フィルムとを備える、樹脂付きフィルム。
  8. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物又は請求項5に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、金属箔とを備える、金属張積層板。
  9. 請求項1~4のいずれかに記載の樹脂組成物の硬化物又は請求項5に記載のプリプレグの硬化物を含む絶縁層と、配線とを備える、配線基板。
  10. 分子末端にヒドロキシ基を有するポリフェニレンエーテルにクロロメチルスチレンを反応させて変性ポリフェニレンエーテルを得る、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法であって、
    前記クロロメチルスチレンがo-クロロメチルスチレンを含み、
    前記クロロメチルスチレン中における前記o-クロロメチルスチレンの含有量が20モル%超である、変性ポリフェニレンエーテルの製造方法。
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