JP2023118398A - イオン注入装置、イオン注入方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被処理物の交換時間を短縮できるイオン注入装置等を提供する。【解決手段】イオン注入方法は、(a)ウェハに照射可能な照射可能方向に向かうイオンビームによる第1ウェハの照射後に、電界および磁界の少なくとも一方によって当該イオンビームをウェハに照射不能な照射不能方向に偏向させるステップと、(b)ステップ(a)に続いて、第1ウェハをイオン注入位置から移動させるステップと、(e)ステップ(b)に続いて、第1ウェハとは異なる第2ウェハをイオン注入位置に配置させるステップと、(f)ステップ(e)に続いて、イオンビームを照射不能方向から照射可能方向に戻すステップと、を備える。【選択図】図16

Description

本発明は、イオン注入装置およびイオン注入方法に関する。
特許文献1には、ウェハに照射される前のイオンビームを遮断可能なビーム遮断機構を備えるイオン注入装置が開示されている。このビーム遮断機構はモータによって開閉駆動される一対のシャッタ板を備え、その開口幅に応じてイオンビームを物理的に遮断する閉状態およびイオンビームを通過させる開状態の間で切り替え可能である。ビーム遮断機構は、ウェハをイオン注入位置に配置させる際には閉状態とされ、当該ウェハへのイオン注入の際には開状態に切り替えられ、当該ウェハをイオン注入位置から移動させる際には再び閉状態に切り替えられる。
特開2000-294187号公報
特許文献1のイオン注入装置では、イオン注入対象のウェハを交換する度にビーム遮断機構が閉状態と開状態の間で切り替えられる。しかし、モータによって物理的に開閉駆動されるビーム遮断機構では、一対のシャッタ板の開閉動作に時間を要するため、ウェハの交換時間が長くなってしまう。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その例示的な目的の一つは、被処理物の交換時間を短縮できるイオン注入装置等を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様のイオン注入装置は、電界および磁界の少なくとも一方によってイオンビームを偏向させるビーム偏向装置であって、当該イオンビームが被処理物に照射可能な照射可能方向に向かう照射可能状態、および、当該イオンビームが被処理物に照射不能な照射不能方向に向かう照射不能状態の間で切り替え可能なビーム偏向装置と、イオンビームが照射される被処理物を保持する保持装置と、保持装置との間で被処理物を搬送する搬送装置と、ビーム偏向装置、保持装置、搬送装置を制御するプロセッサと、プログラムが格納されたメモリと、を備える。プロセッサは、プログラムに基づいて、(a)保持装置によって保持された第1被処理物へのイオンビームの照射後に、ビーム偏向装置を照射不能状態に切り替えるステップと、(b)ステップ(a)に続いて、保持装置による第1被処理物の保持を解除するステップと、(c)ステップ(b)に続いて、搬送装置によって第1被処理物を保持装置から搬出するステップと、(d)ステップ(c)に続いて、搬送装置によって第1被処理物とは異なる第2被処理物を保持装置に搬入するステップと、(e)ステップ(d)に続いて、保持装置によって第2被処理物を保持するステップと、(f)ステップ(e)に続いて、ビーム偏向装置を照射可能状態に切り替えるステップと、を実行する。
この態様では、電界および磁界の少なくとも一方によってイオンビームを偏向させるビーム偏向装置によって、ステップ(b)~(e)における被処理物の交換の際の照射不能状態と、被処理物へのイオンビームの照射の際の照射可能状態を迅速に切り替えることができるため、被処理物の交換時間を短縮できる。
本発明の別の態様は、イオン注入方法である。この方法は、(a)被処理物に照射可能な照射可能方向に向かうイオンビームによる第1被処理物の照射後に、電界および磁界の少なくとも一方によって当該イオンビームを被処理物に照射不能な照射不能方向に偏向させるステップと、(b)ステップ(a)に続いて、第1被処理物をイオン注入位置から移動させるステップと、(c)ステップ(b)に続いて、第1被処理物とは異なる第2被処理物をイオン注入位置に配置させるステップと、(d)ステップ(c)に続いて、イオンビームを照射不能方向から照射可能方向に戻すステップと、を備える。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラム等の間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明のある態様によれば、イオン注入の被処理物の交換時間を短縮できる。
イオン注入装置の概略構成を示す上面図である。 イオン注入装置の概略構成を示す側面図である。 電界によって照射可能方向から照射不能方向に偏向されたイオンビームを模式的に示す。 磁界によって照射可能方向から照射不能方向に偏向されたイオンビームを模式的に示す。 ビーム遮断機構の変形例を示す。 ビーム遮断機構の変形例を示す。 ビーム遮断機構の変形例を示す。 ビーム遮断機構の変形例を示す。 ビーム遮断機構の変形例を示す。 ウェハ搬送装置の概略構成を示す上面図である。 中間搬送機構によるスワップ動作を模式的に示す。 中間搬送機構によるスワップ動作を模式的に示す。 中間搬送機構によるスワップ動作を模式的に示す。 中間搬送機構によるスワップ動作を模式的に示す。 イオン注入装置の機能ブロック図である。 イオン注入装置の基本動作を模式的に示すタイミングチャートである。 イオン注入装置の基本動作のフローチャートである。 ビーム走査機能とビーム偏向機能を一つのビーム走査装置で実現する例を模式的に示す。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。説明または図面において同一または同等の構成要素、部材、処理には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。図示される各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限りは限定的に解釈されるものではない。実施形態は例示であり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。実施形態に記載される全ての特徴やそれらの組合せは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
図1は本発明の実施形態に係るイオン注入装置10の概略構成を示す上面図であり、図2は当該イオン注入装置10の概略構成を示す側面図である。イオン注入装置10は、被処理物Wの表面にイオン注入処理を施す装置である。被処理物Wは、例えば半導体ウェハやディスプレイデバイス等の基板である。本明細書では被処理物Wを便宜的にウェハWともいうが、イオン注入処理の対象を半導体ウェハ等の特定の物体や物質に限定する意図ではない。
イオン注入装置10は、イオンビームを一方向(以下では走査方向、ビーム走査方向、ビーム移動方向ともいう)に往復走査させ、ウェハWを走査方向と直交する方向(以下では往復運動方向、往復移動方向、ウェハ移動方向ともいう)に往復運動させることで、ウェハWの被処理面全体に亘ってイオンビームを照射できる。本明細書では、設計上のビームラインAに沿って進むイオンビームの進行方向(以下ではビーム進行方向ともいう)をz方向とし、z方向に垂直な面をxy平面とする。イオンビームを被処理物Wに対して走査する場合のイオンビームの走査方向(ビーム移動方向)をx方向とし、z方向およびx方向に垂直なy方向をウェハ移動方向とする。このように、イオンビームの往復走査はx方向に行われ、ウェハWの往復運動はy方向に行われる。
イオン注入装置10は、イオン生成装置12と、ビームライン装置14と、注入処理室16と、ウェハ搬送装置18を備える。イオン生成装置12は、イオンビームをビームライン装置14に供給する。ビームライン装置14は、イオン生成装置12から供給されたイオンビームを注入処理室16まで輸送する。注入処理室16にはイオン注入対象であるウェハWが収容され、ビームライン装置14から供給されるイオンビームをウェハWに照射するイオン注入処理が施される。搬送装置としてのウェハ搬送装置18は、イオン注入処理前の未処理ウェハを注入処理室16に搬入し、イオン注入処理後の処理済ウェハを注入処理室16から搬出する。なお、図示は省略するが、イオン生成装置12、ビームライン装置14、注入処理室16、ウェハ搬送装置18に所望の真空環境を提供するための真空排気系がイオン注入装置10に設けられる。
ビームライン装置14は、ビームラインAの上流側から順に、質量分析部20、ビームパーク装置24、ビーム整形部30、ビーム走査装置32、ビーム平行化部34、角度エネルギーフィルタ(AEF:Angular Energy Filter)36を備える。なお、ビームラインAの上流(側)とはイオン生成装置12に近い側であり、ビームラインAの下流(側)とは注入処理室16(またはビームストッパ46)に近い側である。
イオン生成装置12の下流に設けられる質量分析部20は、イオン注入処理に使用される所望のイオン種を、イオン生成装置12が生成したイオンビームから質量分析を通じて選択または抽出する。質量分析部20は、質量分析磁石21と、質量分析レンズ22と、質量分析スリット23を備える。
質量分析磁石21は、イオン生成装置12から引き出されたイオンビームに磁界を印加して、イオンの質量電荷比M=m/q(mは質量、qは電荷)の値に応じて異なる軌道にイオンビームを偏向させる。質量分析磁石21は、例えばイオンビームに-y方向の磁界を印加してイオンビームをx方向に偏向させる。質量分析磁石21の磁界強度は、所望の質量電荷比Mを有するイオン種が下流の質量分析スリット23を通過できるように調整される。
質量分析レンズ22は、質量分析磁石21の下流(かつ質量分析スリット23の上流)に設けられ、イオンビームに対する収束力/発散力(またはイオンビームの収束度/発散度)を調整する。質量分析レンズ22は、質量分析スリット23を通過するイオンビームのビーム進行方向(z方向)における収束位置を調整し、質量分析部20の質量分解能M/dMを調整する。なお、質量分析レンズ22は、質量分析部20に設けられなくてもよい。
質量分析スリット23は、質量分析レンズ22から離れた下流の位置に設けられる。質量分析スリット23は、x方向の幅が相対的に短くy方向の高さが相対的に長い矩形状の開口23aを有する。開口23aの幅方向(x方向)が質量分析磁石21によるビーム偏向方向(x方向)と一致するため、質量分析スリット23において質量電荷比Mに応じた所望のイオン種の選別に主に寄与するのは開口23aの幅(x方向の寸法)である。
質量分析スリット23は、質量分解能の調整のためにスリット幅(開口23aの幅)を可変としてもよい。例えば、スリット幅方向(x方向)に相対移動可能な二枚の遮蔽体で質量分析スリット23を構成し、当該二枚の遮蔽体のスリット幅方向の間隔を変化させることでスリット幅を調整してもよい。また、質量分析スリット23は、スリット幅の異なる複数のスリットを切り替えることで、スリット幅を変更してもよい。
ビームパーク装置24は、電界および磁界の少なくとも一方によってイオンビームを偏向させるビーム偏向装置を構成する。具体的には、ビームパーク装置24は、イオンビームがウェハWに照射可能な照射可能方向に向かう照射可能状態、および、イオンビームがウェハWに照射不能な照射不能方向に向かう照射不能状態の間で切り替え可能である。図2の例では、質量分析スリット23の開口23a内に向かう矢印が照射可能方向を表し、質量分析スリット23の開口23a外のビームダンプ26に向かう矢印が照射不能方向を表す。ここで、質量分析スリット23は、照射可能方向に向かうイオンビームの少なくとも一部を通過させるスリットであり、ビーム偏向装置としてのビームパーク装置24と、後述する保持装置としてのウェハ保持装置52(図2)の間に設けられる。
照射不能状態にあるビームパーク装置24は、ビームラインAからイオンビームを一時的に退避し、下流の注入処理室16(またはウェハW)に向かうイオンビームをビームダンプ26によって遮蔽する。すなわち、照射不能方向に向かうイオンビームは、質量分析スリット23外のビームダンプ26に衝突して遮断される。ビームパーク装置24は、ビームラインA上の任意の位置に配置できるが、図示の例では質量分析レンズ22と質量分析スリット23の間に配置されている。前述のように質量分析レンズ22と質量分析スリット23の間には一定以上の距離が必要であるため、その間にビームパーク装置24を配置することで効率的にスペースを利用できる。この結果、他の場所にビームパーク装置24を配置する場合に比べて、ビームラインAを短くしてイオン注入装置10全体を小型化できる。
図1および図2に示されるビームパーク装置24は、電界によってイオンビームを偏向させるタイプのビーム偏向装置を構成する。このビームパーク装置24は、一対のパーク電極25(25a、25b)とビームダンプ26を備える。一対のパーク電極25a、25bは、ビームラインAを挟んでy方向に対向する。ビームパーク装置24は、一対のパーク電極25a、25bに印加する電圧の変更によるy方向の電界変化に応じて、イオンビームを照射可能方向と照射不能方向の間で切り替える。
図2の例では、一対のパーク電極25a、25bに電圧が印加されていない時(すなわち電圧が略零の時)に、イオン注入処理に使用される所望のイオン種のビームが偏向されずに、照射可能方向に直進して質量分析スリット23の開口23a内を通過する照射可能状態となっている。一方、一対のパーク電極25a、25bに電圧が印加されている時(すなわち電圧が有意な非零の値の時)に、イオン注入処理に使用される所望のイオン種のビームが-y方向に偏向されて、照射不能方向に進んで質量分析スリット23の開口23a外のビームダンプ26に衝突して遮蔽される照射不能状態となっている。
以上の例では、一対のパーク電極25a、25bに電圧が印加されていないイオンビームの非偏向時に当該イオンビームが照射可能方向に進み、一対のパーク電極25a、25bに電圧が印加されているイオンビームの偏向時に当該イオンビームが照射不能方向に進むが、非偏向時のイオンビームが照射不能方向に進み、偏向時のイオンビームが照射可能方向に進むようにしてもよい。この場合、例えば、図2における質量分析スリット23の開口23aの位置にビームダンプ26を設け、図2におけるビームダンプ26の位置に質量分析スリット23の開口23aを設ければよい。この場合、開口23aより下流の構成も、当該開口23aを通過する(偏向された)イオンビームのビームラインA上に設けられる。
また、照射可能方向に進むイオンビームおよび照射不能方向に進むイオンビームが、一対のパーク電極25a、25bに印加される異なる電圧によって偏向されたものでもよい。例えば、照射可能方向(質量分析スリット23の開口23aが位置している方向)がビームパーク装置24へのイオンビームの入射方向に対して第1偏向角度Θ1をなし、照射不能方向(ビームダンプ26が位置している方向)がビームパーク装置24へのイオンビームの入射方向に対して第1偏向角度Θ1と有意に異なる第2偏向角度Θ2をなす場合、一対のパーク電極25a、25bに印加する電圧を、第1偏向角度Θ1を実現する第1電圧V1と第2偏向角度Θ2を実現する第2電圧V2(≠V1)の間で切り替えることによって、所望のイオン種のビームの進む方向を照射可能方向と照射不能方向の間で切り替えられる。
以上のように一対のパーク電極25a、25bの対向方向はy方向であり、質量分析磁石21のビーム偏向方向(x方向)と直交する。このため、一対のパーク電極25a、25bに印加されるy方向の偏向電圧は、質量分析磁石21がx方向に沿って行う質量電荷比Mに応じた所望のイオン種の選別を阻害しない。
図2の例では、第1パーク電極25aがビームラインAより重力方向(第1パーク電極25aおよび第2パーク電極25bの対向方向)上側に配置され、第2パーク電極25bがビームラインAより重力方向下側に配置される。第1パーク電極25aおよび第2パーク電極25bの下流に設けられるビームダンプ26は、ビームラインAより重力方向下側であって、質量分析スリット23の開口23aより重力方向下側に配置される。ビームダンプ26は、例えば、質量分析スリット23の開口23aが形成されていない壁状部分である。なお、ビームダンプ26を質量分析スリット23と別体に構成してもよい。
図3は、一対のパーク電極25a、25bに印加された電圧によって、照射可能方向D1(またはビームラインA)から照射不能方向D2に偏向されたイオンビームIBを模式的に示す。図示されるイオンビームIBの偏向角度θは、照射可能方向D1と照射不能方向D2のなす角度である。ここで、イオンビームIBは一対のパーク電極25a、25b間の電界が作用する電極間およびその近傍の領域では曲がりながら進むが、イオンビームIBの偏向角度θは、イオンビームIBが曲がる前に直進していた照射可能方向D1の直線と、イオンビームIBが曲がった後に直進する照射不能方向D2の直線がなす角度と定義される。偏向角度θが小さすぎるとイオンビームIBの一部が質量分析スリット23の開口23a内に入り込んでしまう恐れがあり、偏向角度θが大きすぎるとビームダンプ26を構成する質量分析スリット23が大型化してしまう。本発明者の検討の結果、照射可能方向D1と照射不能方向D2のなす偏向角度θは2度と60度の間とするのが好ましい。また、偏向角度θは3度と45度の間とするのがより好ましく、5度と30度の間とするのが更に好ましい。
図4は、一対の磁極25c、25d間に印加された磁界によって、照射可能方向D1(またはビームラインA)から照射不能方向D2に偏向されたイオンビームIBを模式的に示す。図1~図3に示されたビームパーク装置24が電界によってイオンビームを偏向させるタイプのビーム偏向装置を構成していたのに対し、図4の変形例に係るビームパーク装置24は磁界によってイオンビームを偏向させるタイプのビーム偏向装置を構成する。
このビームパーク装置24は、イオンビームIBを挟んでx方向に対向する一対の磁極25c、25dを備える。各磁極25c、25dは鉄等の磁性材料の芯であり、その外周にコイル25e、25fが巻き付けられている。各磁極25c、25dおよび各コイル25e、25fは、当該各コイル25e、25fに印加される電流の変更によってx方向の磁界変化をもたらす電磁石を構成する。各磁極25c、25d間のx方向の磁界によって、z方向に進行するイオンビームIBは-y方向のローレンツ力を受けるため、図3と同様にイオンビームIBを照射可能方向D1と照射不能方向D2の間で切り替えられる。なお、各磁極25c、25dに巻き付けられる各コイル25e、25fに代えてまたは加えて、当該一対の磁極25c、25dを磁気的に接続する不図示のヨークにコイルを巻き付けてもよい。
図4の例では、一対の磁極25c、25d間にx方向の磁界が印加されていない時に、イオン注入処理に使用される所望のイオン種のビームが偏向されずに、照射可能方向に直進して質量分析スリット23の開口23a内を通過する照射可能状態となっている。一方、一対の磁極25c、25d間にx方向の磁界が印加されている時に、イオン注入処理に使用される所望のイオン種のビームが-y方向に偏向されて、照射不能方向に進んで質量分析スリット23の開口23a外のビームダンプ26に衝突して遮蔽される照射不能状態となっている。
以上の例では、一対の磁極25c、25d間に磁界が印加されていないイオンビームの非偏向時に当該イオンビームが照射可能方向に進み、一対の磁極25c、25d間に磁界が印加されているイオンビームの偏向時に当該イオンビームが照射不能方向に進むが、非偏向時のイオンビームが照射不能方向に進み、偏向時のイオンビームが照射可能方向に進むようにしてもよい。また、照射可能方向に進むイオンビームおよび照射不能方向に進むイオンビームが、一対の磁極25c、25d間に印加される異なる磁界によって偏向されたものでもよい。
なお、図1~3の実施形態や図4の変形例に係るビームパーク装置24に代えてまたは加えて、質量分析部20における質量分析磁石21を、磁界によってイオンビームを照射可能方向と照射不能方向の間で偏向させるビーム偏向装置として利用してもよい。前述のように、質量分析磁石21は-y方向の磁界を印加してイオンビームをx方向に偏向させ、照射可能状態では所望の質量電荷比Mを有するイオン種が質量分析スリット23の開口23aを通過する。一方、照射不能状態では質量分析磁石21のy方向の磁界を変化させて、所望のイオン種を含むイオンビームを質量分析スリット23の開口23aから外れたx方向の位置に偏向させる。この場合、図2の例では開口23aからy方向に外れた位置に設けられたビームダンプ26が、開口23aからx方向に外れた位置に設けられることになる。また、図1~3の実施形態のような電界偏向タイプのビームパーク装置24と、図4の変形例のような磁界偏向タイプのビームパーク装置24を併用して、イオンビームを照射可能方向と照射不能方向の間で偏向させてもよい。
以下では、前述のような各種のビームパーク装置24およびビーム偏向装置として機能する質量分析部20における質量分析磁石21等を、ビーム偏向装置24と総称する。
図1および図2において、質量分析スリット23の下流にはビーム遮断機構としても機能するインジェクタファラデーカップ28が設けられる。インジェクタファラデーカップ28は、インジェクタ駆動部29の動作によってビームラインAに出し入れ可能である。インジェクタ駆動部29は、インジェクタファラデーカップ28をビームラインAの延びる方向(z方向)と直交する方向(例えばy方向)に移動させる。図2の破線で示すように、インジェクタファラデーカップ28がビームラインA上に配置された場合、下流側に向かうイオンビームが物理的に遮断される遮断状態となる。一方、図2の実線で示すように、インジェクタファラデーカップ28がビームラインA上から外された場合、下流側に向かうイオンビームが物理的に遮断されずに通過する非遮断状態となる。このように、インジェクタファラデーカップ28およびインジェクタ駆動部29は、イオンビームを物理的に遮断する遮断状態、および、イオンビームを通過させる非遮断状態の間で切り替え可能なビーム遮断機構として機能する。
インジェクタファラデーカップ28は、質量分析部20によって質量分析されたイオンビームのビーム電流を計測する。質量分析磁石21の磁界強度を変化させながらビーム電流を測定することで、インジェクタファラデーカップ28はイオンビームの質量分析スペクトラムを取得できる。この質量分析スペクトラムは、例えば質量分析部20の質量分解能の算出に利用される。
図5~図9は、ビーム遮断機構の変形例を示す。各図のA(図5A等)は、ビーム遮断機構がイオンビームIBを物理的に遮断する遮断状態を示し、各図のB(図5B等)は、ビーム遮断機構がイオンビームIBを通過させる非遮断状態を示す。
図5のビーム遮断機構は円形等の板状の遮蔽板28aである。図5Aの遮断状態では、遮蔽板28aがビームラインA上に配置されており、イオンビームIBを物理的に遮断する。図5Bの非遮断状態では、遮断状態から図示の矢印のようにビームラインAの延びる方向(z方向)と直交する方向(例えばx方向)の回転軸の周りに回転された遮蔽板28aがビームラインAから外れるため、イオンビームIBが通過できる。
図6のビーム遮断機構は円形等の板状の遮蔽板28bである。図6Aの遮断状態では、遮蔽板28bがビームラインA上に配置されており、イオンビームIBを物理的に遮断する。図6Bの非遮断状態では、遮断状態から図示の矢印のようにビームラインAの延びる方向(z方向)と直交する方向(例えばy方向)に移動された遮蔽板28bがビームラインAから外れるため、イオンビームIBが通過できる。
図7のビーム遮断機構は円板状の遮蔽板28cであり、その外周の少なくとも一箇所にイオンビームIBが通過可能な窓28dまたは孔が形成されている。図7Aの遮断状態では、窓28dがビームラインAから外れているため、遮蔽板28cの窓28d以外の部分がイオンビームIBを物理的に遮断する。図7Bの非遮断状態では、遮断状態から図示の矢印のようにビームラインAの延びる方向(z方向)と平行な方向の回転軸の周りに回転された遮蔽板28cの窓28dがビームラインA上に配置されるため、イオンビームIBが窓28dを通過できる。
図8のビーム遮断機構は、ビームラインAの延びる方向(z方向)と直交する方向(例えばx方向)の回転軸28fの周りに回転可能な板状の遮蔽板28eである。図8Aの遮断状態では、遮蔽板28eがビームラインA上に配置されており、イオンビームIBを物理的に遮断する。図8Bの非遮断状態では、遮断状態から図示の矢印のように回転軸28fの周りに回転された遮蔽板28eがビームラインAから外れるため、イオンビームIBが通過できる。
図9のビーム遮断機構は、イオンビームIBが通過可能な通路28hが形成され、ビームラインAの延びる方向(z方向)と直交する方向(例えばx方向)の回転軸の周りに回転可能なブロック状の遮蔽体28gである。図9Aの遮断状態では、通路28hがビームラインAと交差または直交しているため、遮蔽体28gの通路28h以外の部分がイオンビームIBを物理的に遮断する。図9Bの非遮断状態では、遮断状態から図示の矢印のように回転された遮蔽体28gの通路28hがビームラインA上に略平行に配置されるため、イオンビームIBが通路28hを通過できる。
以下では、図5~図9のビーム遮断機構および図1および図2のインジェクタファラデーカップ28を、ビーム遮断機構28と総称する。
図1および図2において、ビーム整形部30は収束/発散四重極レンズ(Qレンズ)等の収束/発散装置を備え、質量分析部20を通過したイオンビームを所望の断面形状に整形する。例えば電界式の三段四重極レンズ(トリプレットQレンズともいう)で構成されるビーム整形部30は、三つの四重極レンズ30a、30b、30cを有する。三つのレンズ装置30a~30cを用いることで、ビーム整形部30はイオンビームの収束または発散をx方向およびy方向について独立に調整できる。ビーム整形部30は、磁界式のレンズ装置を含んでもよいし、電界と磁界の両方を利用してイオンビームを整形するレンズ装置を含んでもよい。
ビーム走査装置32は、電界および磁界の少なくとも一方によってウェハWに照射されるイオンビーム(ビーム整形部30が整形したもの)でx方向の所定の走査角度範囲を往復走査する。後述するように、ビーム走査装置32は、ビームパーク装置24に代えてまたは加えて、イオンビームを照射可能方向と照射不能方向の間で偏向させるビーム偏向装置としても利用できる。ビーム走査装置32は、ビーム走査方向(x方向)に対向する走査電極対を備える。走査電極対は可変電圧電源(不図示)に接続されており、走査電極対の間に印加される電圧を周期的に変化させることで、電極間の電界を変化させてイオンビームをzx平面内の様々な角度に偏向させる。この結果、イオンビームがx方向の走査範囲全体に亘って走査される。図1において、矢印Xによってイオンビームの走査方向および走査範囲が例示され、当該走査範囲におけるイオンビームの複数の軌道が一点鎖線で例示されている。
ビーム平行化部34は、ビーム走査装置32によって走査されたイオンビームの進行方向を設計上のビームラインAの軌道と略平行に整える。ビーム平行化部34は、y方向の中央部にイオンビームの通過スリットが設けられた円弧状の複数の平行化レンズ電極を備える。平行化レンズ電極は、高圧電源(不図示)に接続されており、印加された電圧による電界をイオンビームに作用させて、イオンビームの進行方向をビームラインAと略平行に揃える。なお、ビーム平行化部34は他のタイプのビーム平行化装置、例えば磁界を利用する磁石装置で置換してもよい。また、ビーム平行化部34の下流には、イオンビームを加速または減速させるためのAD(Accel/Decel)コラム(不図示)を設けてもよい。
角度エネルギーフィルタ(AEF)36はイオンビームのエネルギーを分析し、必要なエネルギーのイオンを下方(-y方向)に偏向して注入処理室16に導く。角度エネルギーフィルタ36は、高圧電源(不図示)に接続された電界偏向用のAEF電極対を備える。図2において、上側(+y側)のAEF電極に正電圧を印加し、下側(-y側)のAEF電極に負電圧を印加することで、正電荷のイオンビームを下方に偏向させる(負電荷のイオンビームの場合は、上側のAEF電極に負電圧を印加し、下側のAEF電極に正電圧を印加する)。なお、角度エネルギーフィルタ36は、磁界偏向用の磁石装置で構成されてもよいし、電界偏向用のAEF電極対と磁界偏向用の磁石装置の組合せで構成されてもよい。
以上のように、ビームライン装置14は、被処理物としてのウェハWに照射されるべきイオンビームを注入処理室16に供給する。注入処理室16は、ビームラインAの上流側から順に、エネルギースリット38、プラズマシャワー装置40、サイドカップ42(42R、42L)、プロファイラカップ44、ビームストッパ46を備える。図2に示されるように、注入処理室16は、一枚または複数枚のウェハWを保持するプラテン駆動装置50を備える。
エネルギースリット38は、角度エネルギーフィルタ36の下流側に設けられ、角度エネルギーフィルタ36と共にウェハWに入射するイオンビームのエネルギーを分析する。エネルギースリット38は、ビーム走査方向(x方向)に横長のスリットであるエネルギー制限スリット(EDS:Energy Defining Slit)である。エネルギースリット38は、エネルギーが所望の値または所望の範囲内のイオンビームをウェハWに向けて通過させ、それ以外のイオンビームを遮蔽する。
プラズマシャワー装置40は、エネルギースリット38の下流側に配置される。プラズマシャワー装置40は、イオンビームのビーム電流量に応じてイオンビームおよび/またはウェハWの表面(ウェハ被処理面)に低エネルギー電子を供給し、イオン注入で生じるウェハ被処理面上の正電荷の蓄積(いわゆるチャージアップ)を抑制する。プラズマシャワー装置40は、例えば、イオンビームが通過するシャワーチューブと、当該シャワーチューブ内に電子を供給するプラズマ発生装置を含む。
サイドカップ42(42R、42L)は、ウェハWへのイオン注入処理中にイオンビームのビーム電流を測定する。図1に示されるように、サイドカップ42R、42Lは、ビームラインA上に配置されるウェハWから左右(x方向)にずれて配置されており、イオン注入時にウェハWに向かうイオンビームを遮らない位置に配置される。イオンビームは、ウェハWが位置する範囲を超えてx方向に走査されるため、イオン注入時においても走査されるビームの一部がサイドカップ42R、42Lに入射する。このように、イオン注入処理中のビーム電流量がサイドカップ42R、42Lによって計測される。イオン注入時にサイドカップ42R、42Lに入射するイオンビームは被処理物としてのウェハWに照射されないため、サイドカップ42R、42LはウェハWに照射不能な照射不能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第2ビーム電流測定器(第1ビーム電流測定器については後述する)を構成する。なお、照射不能方向に向かうイオンビームが衝突するビームダンプ26上にファラデーカップ等のビーム電流測定器を設けて第2ビーム電流測定器としてもよい。
プロファイラカップ44は、ウェハ被処理面におけるビーム電流を測定する。プロファイラカップ44は、駆動部45の動作によってx方向に移動可能であり、イオン注入時にウェハWが位置する注入領域から待避され、ウェハWが注入領域にない時に当該注入領域に挿入される。x方向に駆動されるプロファイラカップ44は、x方向のビーム走査範囲の全体に亘ってビーム電流を測定できる。プロファイラカップ44は、ビーム走査方向(x方向)の複数の位置におけるビーム電流を同時に計測できるように、x方向に配列された複数のファラデーカップを備えてもよい。プロファイラカップ44に入射するイオンビームはイオン注入時に被処理物としてのウェハWが位置する注入領域に入射するため、プロファイラカップ44はウェハWに照射可能な照射可能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第1ビーム電流測定器を構成する。なお、照射可能方向に向かうイオンビームが衝突するビームストッパ46上にファラデーカップ等のビーム電流測定器を設けて第1ビーム電流測定器としてもよい。
サイドカップ42およびプロファイラカップ44の少なくとも一つは、ビーム電流量を測定するための単一のファラデーカップを備えてもよいし、イオンビームの角度情報を測定するための角度計測器を備えてもよい。角度計測器は、例えば、スリットと、当該スリットからビーム進行方向(z方向)に離れて設けられる複数の電流検出部を備える。この角度計測器は、スリットを通過したイオンビームをスリット幅方向に並ぶ複数の電流検出部で計測することで、スリット幅方向のビームの角度成分または角度分布を測定できる。サイドカップ42およびプロファイラカップ44の少なくとも一つは、x方向の角度情報を測定可能な第1角度測定器および/またはy方向の角度情報を測定可能な第2角度測定器を備えてもよい。
プラテン駆動装置50は、ウェハ保持装置52と、往復運動機構54と、ツイスト角度調整機構56と、チルト角度調整機構58を備える。
イオンビームが照射されるウェハWを保持するためのウェハ保持装置52はウェハWを支持する支持機構を構成し、支持されたウェハWを静電引力によって保持する静電保持機構としての静電チャックを備える。ウェハ保持装置52は、イオン注入されるウェハWを加熱または冷却するための温度調整装置を備えてもよい。温度調整装置は、ウェハWを室温より20℃以上、50℃以上、100℃以上高い温度に加熱する加熱装置であってもよいし、ウェハWを室温より20℃以上、50℃以上、100℃以上低い温度に冷却する冷却装置であってもよい。ウェハWの温度は、ウェハWに注入されるイオンの濃度分布(注入プロファイル)やイオン注入によってウェハWに形成される結晶欠陥(注入ダメージ)に影響を及ぼす。室温より高温のウェハWにイオンビームを照射する処理は高温注入とも呼ばれる。また、室温より低温のウェハWにイオンビームを照射する処理は低温注入とも呼ばれる。
往復運動機構54は、支持機構を含むウェハ保持装置52をイオンビームと交差する方向に往復移動させる駆動機構である。往復運動機構54は、ビーム走査方向(x方向)と直交する往復運動方向(y方向)に支持機構を含むウェハ保持装置52を往復運動させることで、ウェハ保持装置52で保持されたウェハWをy方向に往復運動させる。図2において、矢印YによってウェハWの往復運動の方向および範囲が例示されている。
注入角度調整機構を構成するツイスト角度調整機構56はウェハWの回転角を調整する機構であり、ウェハ被処理面の中央において当該ウェハ被処理面に対して直交する法線を回転軸としてウェハWを回転させることで、ウェハWの外周部に設けられるアライメントマークと基準位置の間のツイスト角度を調整する。ここで、ウェハWのアライメントマークは、例えばウェハWの外周部に設けられるノッチやオリフラであり、ウェハWの結晶方向やウェハWの周方向の角度位置の基準となる。ツイスト角度調整機構56は、ウェハ保持装置52と往復運動機構54の間に設けられ、ウェハ保持装置52と共に往復運動機構54によって往復運動される。
注入角度調整機構を構成するチルト角度調整機構58はウェハWの傾きを調整する機構であり、ウェハ被処理面に向かうイオンビームの進行方向とウェハ被処理面の法線の間のチルト角度を調整する。図2の例では、ウェハWの傾斜角のうちx方向の軸を回転の中心軸とする回転角がチルト角度としてチルト角度調整機構58によって調整される。チルト角度調整機構58は、往復運動機構54と注入処理室16の内壁の間に設けられており、往復運動機構54を含むプラテン駆動装置50全体をR方向(図2)に回転させることでウェハWのチルト角度を調整する。
プラテン駆動装置50は、イオンビームがウェハWに照射されるイオン注入位置と、ウェハ搬送装置18との間でウェハWが搬入または搬出される搬送位置との間でウェハWが移動可能となるようにウェハWを保持する。すなわち、プラテン駆動装置50は、ウェハ保持装置52で支持されたウェハWにイオンビームが照射されるイオン注入位置と、ウェハ搬送装置18がウェハ保持装置52との間でウェハWを搬送可能な搬送位置の間で、ウェハ保持装置52を移動させる移動装置を構成する。図2は、ウェハWおよびウェハ保持装置52がイオン注入位置にある状態を示しており、ウェハ保持装置52はビームラインAと交差するようにウェハWを保持する。ウェハWの搬送位置は、ウェハ搬送装置18に設けられる搬送機構または搬送ロボットが搬送口48を通じてウェハWを搬入または搬出する際のウェハ保持装置52の位置に対応する。
ビームストッパ46はビームラインAの最下流に設けられ、例えば注入処理室16の内壁に取り付けられる。ビームラインA上にウェハWおよびプロファイラカップ44が存在しない場合のイオンビームがビームストッパ46に入射する。ビームストッパ46は、注入処理室16とウェハ搬送装置18の間を接続する搬送口48の近くに配置され、図2の例では搬送口48より鉛直下方(-y方向)の位置に設けられる。
イオン注入装置10は、その動作全般を制御する制御装置60を更に備える。制御装置60は、コンピュータの中央演算処理装置、メモリ、入力装置、出力装置、コンピュータに接続される周辺機器等のハードウェア資源と、それらを用いて実行されるソフトウェアの協働により実現される。コンピュータの種類や設置場所は問わず、制御装置60の各機能は、単一のコンピュータのハードウェア資源で実現してもよいし、複数のコンピュータに分散したハードウェア資源を組み合わせて実現してもよい。制御装置60の詳細については後述する。
図10は、ウェハ保持装置52との間でウェハWを搬送(搬入および搬出)する搬送装置としてのウェハ搬送装置18の概略構成を示す上面図である。ウェハ搬送装置18は、ロードポート62と、大気搬送部64と、第1ロードロック室66aと、第2ロードロック室66bと、中間搬送室68と、バッファ室70を備える。
ロードポート62は、複数のウェハ容器72a、72b、72c、72d(以下ではウェハ容器72と総称する)を受け入れ可能である。ウェハ搬送装置18は、ウェハ容器72の未処理ウェハWaを注入処理室16に搬入し、注入処理室16においてイオン注入処理が施された処理済ウェハWbをウェハ容器72に搬出する。
図示の状態では、処理済ウェハWbが注入処理室16内にあり、図2の搬送口48に対応する処理室ゲートバルブ86(後述)の正面において、ウェハ保持装置52によって支持されている。この状態で、後述する中間搬送室68の中間搬送機構84によって、処理済ウェハWbがウェハ保持装置52から、ウェハ搬送装置18の中間搬送室68内に搬送される。このように図10は、処理済ウェハWbを支持するウェハ保持装置52が、ウェハ搬送装置18との間でウェハを搬送可能な搬送位置にある状態を示している。一方、注入処理室16内でウェハに対するイオン注入処理を施す際は、プラテン駆動装置50が処理対象のウェハをウェハ保持装置52ごと、図10の搬送位置から図2のイオン注入位置まで移動させる。
大気搬送部64は、第1大気搬送機構74aと、第2大気搬送機構74bと、アライメント装置76を備える。第1大気搬送機構74aは、ロードポート62と第1ロードロック室66aの間に設けられる。第1大気搬送機構74aは、例えばウェハを搬送するための二つのロボットアームを備える。第1大気搬送機構74aは、イオン注入処理前のウェハを第1ウェハ容器72aおよび第2ウェハ容器72bから大気搬送部64内に搬入し、イオン注入処理済のウェハを大気搬送部64外の第1ウェハ容器72aおよび第2ウェハ容器72bに搬出する。第1大気搬送機構74aは、アライメント装置76にアライメント前の未処理ウェハを搬入し、アライメント装置76からアライメント済の未処理ウェハを搬出する。第1大気搬送機構74aは、第1ロードロック室66aにアライメント済の未処理ウェハを搬入し、第1ロードロック室66aからイオン注入処理済のウェハを搬出する。
第2大気搬送機構74bは、ロードポート62と第2ロードロック室66bの間に設けられる。第2大気搬送機構74bは、例えばウェハを搬送するための二つのロボットアームを備える。第2大気搬送機構74bは、イオン注入処理前のウェハを第3ウェハ容器72cおよび第4ウェハ容器72dから大気搬送部64内に搬入し、イオン注入処理済のウェハを大気搬送部64外の第3ウェハ容器72cおよび第4ウェハ容器72dに搬出する。第2大気搬送機構74bは、アライメント装置76にアライメント前の未処理ウェハを搬入し、アライメント装置76からアライメント済の未処理ウェハを搬出する。第2大気搬送機構74bは、第2ロードロック室66bにアライメント済の未処理ウェハを搬入し、第2ロードロック室66bからイオン注入処理済のウェハを搬出する。
アライメント装置76は、ウェハの中心位置や回転位置(回転角度)を調整するための装置である。アライメント装置76は、ウェハに設けられるノッチ等のアライメントマークを検出し、それを基準としてウェハの中心位置や回転位置を所望の位置に調整する。ウェハ容器72から大気搬送部64内に搬入される未処理ウェハは、中心位置や回転位置が必ずしも揃っていないため、ロードロック室66a、66bに搬入される前にアライメント装置76によって位置決め(アライメント)が行われる。アライメント装置76は、第1大気搬送機構74aと第2大気搬送機構74bの間の位置に設けられる。アライメント装置76は、例えばバッファ室70の鉛直下側(-y側)の位置に設けられる。
第1ロードロック室66aおよび第2ロードロック室66bは、それぞれ大気搬送部64と中間搬送室68の間に設けられる。第1ロードロック室66aおよび第2ロードロック室66bは、例えば、大気搬送部64とz方向に隣接し、中間搬送室68とx方向に隣接する。中間搬送室68は、注入処理室16と例えばz方向に隣接して設けられる。バッファ室70は、中間搬送室68と例えばz方向に隣接して設けられる。
中間搬送室68は、定常状態において10-1 Pa程度の中真空状態に保たれる。中間搬送室68にはターボ分子ポンプ等で構成される真空排気装置(不図示)が接続される。一方、大気搬送部64は大気圧下に設けられており、大気雰囲気においてウェハを搬送する。第1ロードロック室66aおよび第2ロードロック室66bは、中真空状態に保たれる中間搬送室68と大気圧下の大気搬送部64の間でのウェハ搬送を実現するために区画された部屋または空間である。第1ロードロック室66aおよび第2ロードロック室66bは、それぞれウェハ搬送の際に真空排気および大気開放が可能である。第1ロードロック室66aおよび第2ロードロック室66bの真空排気のために、油回転真空ポンプやドライ真空ポンプ等の粗引きポンプが接続される。
第1ロードロック室66aは、大気搬送部64との間に設けられる第1大気側ゲートバルブ78aと、中間搬送室68との間に設けられる第1中間ゲートバルブ80aと、第1温度調整装置82aを備える。同様に、第2ロードロック室66bは、大気搬送部64との間に設けられる第2大気側ゲートバルブ78bと、中間搬送室68との間に設けられる第2中間ゲートバルブ80bと、第2温度調整装置82bを備える。
第1ロードロック室66aを真空排気または大気開放する場合、第1大気側ゲートバルブ78aおよび第1中間ゲートバルブ80aが閉鎖される。大気搬送部64と第1ロードロック室66aの間でウェハを搬送する場合、第1中間ゲートバルブ80aが閉鎖された状態で第1大気側ゲートバルブ78aが開放される。中間搬送室68と第1ロードロック室66aの間でウェハを搬送する場合、第1大気側ゲートバルブ78aが閉鎖された状態で第1中間ゲートバルブ80aが開放される。
同様に、第2ロードロック室66bを真空排気または大気開放する場合、第2大気側ゲートバルブ78bおよび第2中間ゲートバルブ80bが閉鎖される。大気搬送部64と第2ロードロック室66bの間でウェハを搬送する場合、第2中間ゲートバルブ80bが閉鎖された状態で第2大気側ゲートバルブ78bが開放される。中間搬送室68と第2ロードロック室66bの間でウェハを搬送する場合、第2大気側ゲートバルブ78bが閉鎖された状態で第2中間ゲートバルブ80bが開放される。
第1温度調整装置82aは、第1ロードロック室66aに搬入されたウェハを加熱または冷却してウェハ温度を調整する。第1温度調整装置82aは、イオン注入処理前のウェハを加熱または冷却し、イオン注入処理に適したウェハ温度に調整してもよい。第1温度調整装置82aは、イオン注入処理済のウェハを冷却または加熱し、室温または室温に近い温度に調整してもよい。
第2温度調整装置82bは、第2ロードロック室66bに搬入されたウェハを加熱または冷却してウェハ温度を調整する。第2温度調整装置82bは、イオン注入処理前のウェハを加熱または冷却し、イオン注入処理に適したウェハ温度に調整してもよい。第2温度調整装置82bは、イオン注入処理済のウェハを冷却または加熱し、室温または室温に近い温度に調整してもよい。
中間搬送室68は中間搬送機構84を備える。中間搬送機構84は、例えばウェハを搬送するための二つのロボットアームを備える。中間搬送機構84は、中間搬送室68と、それに隣接する部屋の間でウェハを搬送する。中間搬送機構84は、第1ロードロック室66aからイオン注入処理前のウェハを搬入し、第1ロードロック室66aにイオン注入処理済のウェハを搬出する。中間搬送機構84は、第2ロードロック室66bからイオン注入処理前のウェハを搬入し、第2ロードロック室66bにイオン注入処理済のウェハを搬出する。中間搬送機構84は、注入処理室16にイオン注入処理前のウェハを搬入し、注入処理室16からイオン注入処理済のウェハを搬出する。中間搬送機構84は、イオン注入処理前またはイオン注入処理済のウェハをバッファ室70に搬入し、イオン注入処理前またはイオン注入処理済のウェハをバッファ室70から搬出する。
注入処理室16と中間搬送室68の間には処理室ゲートバルブ86が設けられる。処理室ゲートバルブ86は、注入処理室16と中間搬送室68の間でウェハを搬送する場合に開放される。処理室ゲートバルブ86は、注入処理室16においてウェハへのイオン注入処理が施される場合に閉鎖される。
バッファ室70は、中間搬送室68に搬入されたウェハを一時的に保管する部屋である。バッファ室70は、バッファ室ゲートバルブ88と、第3温度調整装置90を備える。中間搬送室68とバッファ室70の間に設けられるバッファ室ゲートバルブ88は、中間搬送室68とバッファ室70の間でウェハを搬送する場合に開放され、バッファ室70において第3温度調整装置90がウェハ温度を調整する場合に閉鎖される。
第3温度調整装置90は、バッファ室70に搬入されたウェハを加熱または冷却してウェハの温度を調整する。第3温度調整装置90は、イオン注入処理前のウェハを加熱または冷却し、イオン注入処理に適したウェハ温度に調整してもよい。第3温度調整装置90は、イオン注入処理済のウェハを冷却または加熱し、室温または室温に近い温度に調整してもよい。
図10にはウェハ搬送装置18の一例を示したが、本発明は他の任意のタイプの搬送装置に適用できる。例えば、特開2006-156762号公報に示されるような回転アームを備えるウェハ搬送装置にも本発明は適用できる。
図11~図14は、中間搬送機構84によるスワップ動作を模式的に示す図である。図11は、中間搬送機構84によるウェハ交換前の状態を示す。プラテン駆動装置50の移動装置50aが、点線で示されるイオン注入位置から実線で示される搬送位置に、回転軸51の周りに矢印Rの方向に回転することで、注入処理室16にてイオン注入処理が施された第1ウェハW1が搬出可能な状態となる。注入処理室16と中間搬送室68の間の中間搬送室-注入処理室連通機構69には、注入処理室16と中間搬送室68を繋ぐ連通口95と、連通口95を塞ぐ処理室ゲートバルブ86が設けられる。イオン注入処理前の第2ウェハW2は、中間搬送室68において中間搬送機構84の上側アーム92に保持されている。
図12は、中間搬送機構84によって第1ウェハW1が保持される様子を示す。処理室ゲートバルブ86が開放されて注入処理室16と中間搬送室68が連通すると、中間搬送機構84の下側アーム93が注入処理室16に向かって伸び、下側アーム93の先端の保持部によって第1ウェハW1が保持される。
図13は、中間搬送機構84によって第1ウェハW1と第2ウェハW2がスワップされる様子を示す。中間搬送機構84は、下側アーム93を中間搬送室68側に縮めることで第1ウェハW1を注入処理室16から中間搬送室68に搬出すると共に、上側アーム92を注入処理室16側に伸ばすことで第2ウェハW2を中間搬送室68から注入処理室16に搬入する。この時、第2ウェハW2が上側かつ第1ウェハW1が下側となる位置関係で、第1ウェハW1と第2ウェハW2がすれ違うスワップ動作が実現される。
図14は、中間搬送機構84によって移動装置50aのウェハ保持装置52に第2ウェハW2を載置する様子を示す。中間搬送機構84は、下側アーム93を縮めて第1ウェハW1を中間搬送室68に収容すると共に、第2ウェハW2の載置位置(搬送位置)まで上側アーム92を伸ばした後、中間搬送本体部91を降下させて上側アーム92および下側アーム93の位置を下げる。第2ウェハW2をウェハ保持装置52に載置した後、上側アーム92を縮めて処理室ゲートバルブ86を閉鎖することで第1ウェハW1と第2ウェハW2の交換が完了する。その後、移動装置50aが搬送位置からイオン注入開始位置に回転軸51の周りに回転し、第2ウェハW2に対するイオン注入が開始される。
図15は、イオン注入装置10の機能ブロック図である。イオン注入装置10の制御装置60は、プロセッサ61およびメモリ63を備える。プロセッサ61は、ビーム偏向装置24(ビームパーク装置24等)、ビーム遮断機構28(インジェクタファラデーカップ28等)、ビーム走査装置32、第1ビーム電流測定器46(ビーム電流測定器として構成されるビームストッパ46等)、第2ビーム電流測定器42(サイドカップ42等)、ウェハ搬送装置18、プラテン駆動装置50(静電チャックを備えるウェハ保持装置52と、ウェハ保持装置52を移動させることが可能な移動装置50aを含む)等のイオン注入装置10の各部を制御する。メモリ63は、プロセッサ61によって実行されるプログラムを格納する。プロセッサ61は、メモリ63に格納されたプログラムに基づいてイオン注入装置10の各部を制御し、以下の一連のステップを実行する。
図16は、プロセッサ61がメモリ63に格納されたプログラムに基づいて実行するイオン注入装置10の基本動作を模式的に示すタイミングチャートである。図16における各行は、イオン注入装置10の被処理物としての第1ウェハおよび第2ウェハと、イオン注入装置10の基本動作に直接的に関与する各部、具体的には、静電チャック(ウェハ保持装置52)、ウェハ搬送装置18、ビーム偏向装置24を示す。また、図16における各列は、イオン注入装置10の基本動作を構成する一連のステップを経時的に示す。
図16の1行目の「第1ウェハ」における「有」および「無」は、ウェハ保持装置52上における第1ウェハの有無を示す。図16の2行目の「第2ウェハ」における「有」および「無」は、ウェハ保持装置52上における第2ウェハの有無を示す。図16の3行目の「静電チャック」における「ON」および「OFF」は、ウェハ保持装置52の静電チャックの稼働状態を示し、「ON」の時は静電チャックがウェハ保持装置52に支持されたウェハを静電引力によって保持し、静電チャックが稼働していない「OFF」の時はウェハ保持装置52とウェハ搬送装置18の間でウェハを搬送(搬入または搬出)可能である。
図16の4行目の「ウェハ搬送装置」における「ON」および「OFF」は、ウェハ搬送装置18の稼働状態を示し、「ON」の時はウェハ搬送装置18がウェハ保持装置52との間でウェハを搬送(搬入または搬出)し、「OFF」の時はウェハ搬送装置18がウェハ保持装置52との間でウェハを搬送しない。但し、ウェハ搬送装置18が「OFF」の場合であっても、ウェハ搬送装置18全体が停止する訳ではなく、図10に関して説明したウェハ搬送装置18内部での搬送等の処理や、ロードポート62におけるイオン注入装置10外部との間のウェハの搬送は行われる。
図16の5行目の「ビーム偏向装置」における「ON」および「OFF」は、ビーム偏向装置24の稼働状態を示し、「ON」の時はビーム偏向装置24がイオンビームを照射不能方向に偏向し、ビーム偏向装置24が稼働していない「OFF」の時はイオンビームが照射可能方向に進む。
図16の1列目の「第1ウェハイオン注入」のステップでは、注入処理室16内でイオン注入位置(図2)にある第1ウェハに対するイオン注入処理が実行される。この時、1行目の「第1ウェハ」が「有」となっており第1ウェハがウェハ保持装置52上にあり、かつ、3行目の「静電チャック」が「ON」となっており第1ウェハが静電チャックによって保持されている。そして、5行目の「ビーム偏向装置」が「OFF」となっており、照射可能方向に進むイオンビームが静電チャックに保持された第1ウェハに照射される。
図16の2列目の「ビーム偏向」のステップ(a)では、静電チャック(ウェハ保持装置52)によって保持された第1被処理物としての第1ウェハへのイオンビームの照射(「第1ウェハイオン注入」のステップ)後に、ビーム偏向装置24が照射不能状態に切り替えられる。この時、5行目の「ビーム偏向装置」が「OFF」から「ON」に切り替わり、ビーム偏向装置24によって照射不能方向に偏向されたイオンビームは、図2におけるビームダンプ26等に衝突して遮蔽される。この結果、イオンビームが静電チャックに保持された第1ウェハに照射されない照射不能状態となる。
図16の3列目の「デチャック」のステップ(b)では、ステップ(a)に続いて、静電チャックによる第1ウェハの保持が解除される。このため、3行目の「静電チャック」の状態が「ON」から「OFF」に切り替わる。ステップ(a)においてイオンビームが第1ウェハに照射されない状態になっているため、静電チャックによる第1ウェハの保持を迅速に解除できる。なお、ステップ(b)では、移動装置50a(プラテン駆動装置50)が、第1ウェハを支持しているウェハ保持装置52をイオン注入位置(図2)から搬送位置(図10)まで移動させた後に、静電チャックが第1ウェハの保持を解除する。ウェハ保持装置52が移動装置50aによってイオン注入位置から搬送位置まで移動される間は、第1ウェハが静電チャックによって保持されるため、移動中の第1ウェハが注入処理室16内で脱落することを防止できる。
図16の4列目の「第1ウェハ搬出/第2ウェハ搬入」のステップでは、ウェハ搬送装置18によって処理済の第1ウェハがウェハ保持装置52から搬出された後、ウェハ搬送装置18によって第1ウェハとは異なる未処理の第2ウェハ(第2被処理物)がウェハ保持装置52に搬入される。具体的には、「第1ウェハ搬出」のステップ(c)では、ステップ(b)に続いて、静電チャックによる保持が解除されて搬送位置にある第1ウェハが、ウェハ搬送装置18(中間搬送機構84)によってウェハ保持装置52から搬出される。このため、1行目の「第1ウェハ」の状態が「有」から「無」に切り替わる。また、「第2ウェハ搬入」のステップ(d)では、ステップ(c)に続いて、ウェハ搬送装置18(中間搬送機構84)によって未処理の第2ウェハが搬送位置にあるウェハ保持装置52に搬入される。このため、2行目の「第2ウェハ」の状態が「無」から「有」に切り替わる。
図16の5列目の「チャック」のステップ(e)では、ステップ(d)に続いて、ウェハ保持装置52の静電チャックが第2ウェハを保持する。このため、3行目の「静電チャック」の状態が「OFF」から「ON」に切り替わる。なお、ステップ(e)では、ウェハ保持装置52の静電チャックが第2ウェハを搬送位置において保持した後に、移動装置50a(プラテン駆動装置50)が第2ウェハをウェハ保持装置52ごと搬送位置(図10)からイオン注入位置(図2)まで移動させる。ウェハ保持装置52が移動装置50aによって搬送位置からイオン注入位置まで移動される前に、第2ウェハが静電チャックによって既に保持されているため、移動中の第2ウェハが注入処理室16内で脱落することを防止できる。なお、図16のステップ(e)において、「静電チャック」の「OFF」から「ON」への切り替わりと、「ウェハ搬送装置」の「ON」から「OFF」への切り替わりが同時に示されているが、これらの切り替わりのタイミングは異なっていてもよい。
図16の6列目の「ビーム偏向解除」のステップ(f)では、ステップ(e)に続いて、ビーム偏向装置24が照射可能状態に切り替えられる。この時、5行目の「ビーム偏向装置」が「ON」から「OFF」に切り替わり、イオンビームがビーム偏向装置24によって偏向されずに照射可能方向に進み、質量分析スリット23の開口23aを通過した後に、イオン注入位置にある第2ウェハに照射される照射可能状態となる。図16の7列目の「第2ウェハイオン注入」のステップでは、ステップ(f)に続いて、注入処理室16内でイオン注入位置にある第2ウェハに対するイオン注入処理が実行される。ステップ(f)において5行目の「ビーム偏向装置」が「OFF」に切り替えられたため、照射可能方向に進むイオンビームがステップ(e)で静電チャックに保持された第2ウェハに照射される。
図17は、プロセッサ61がメモリ63に格納されたプログラムに基づいて実行するイオン注入装置10の基本動作のフローチャートである。フローチャートにおける「S」はステップまたは処理を意味する。S1では、イオン生成装置12が生成してビームライン装置14が整形した所定のビーム軌道(ビームラインA)のイオンビームが、プロセスチャンバ(注入処理室16)まで移送される。この時点では、注入処理室16内に処理対象のウェハWが未だ搬入されていない。図16のステップ(a)に対応するS2では、ビーム偏向装置24がイオンビームを照射不能方向に偏向する。この結果、イオンビームは図2におけるビームダンプ26等に衝突して遮蔽され、注入処理室16内に照射されない状態となる。
図16のステップ(d)に対応するS3では、イオン注入前の半導体ウェハが、ウェハ搬送装置18によって搬送位置(図14)にあるウェハ保持装置52の支持機構の所定位置に搬入される。図16のステップ(e)に対応するS4では、ウェハ保持装置52の静電チャックの静電吸着用電極に第1所定電圧が印加されて、S3で搬入された半導体ウェハが搬送位置で保持される。同じく図16のステップ(e)に対応するS4に続くS5では、移動装置50a(プラテン駆動装置50)が半導体ウェハをウェハ保持装置52ごと搬送位置(図14)からイオン注入開始位置まで移動させる。
図16のステップ(f)および「第2ウェハイオン注入」に対応するS6では、ビーム偏向装置24の停止によって照射可能方向に進むイオンビームが、質量分析スリット23の開口23aを通過した後に、イオン注入位置にある半導体ウェハに照射される。S7では、イオン注入処理を施すべき次の半導体ウェハの有無が判定される。S7でYesと判定された場合はS2に戻る。なお、図示は省略するが、S2でビーム偏向装置24が照射不能状態に切り替えられた後かつS3の前に、図16の「デチャック」ステップ(b)によって直前のS6でイオン注入処理が施された半導体ウェハの静電チャックによる保持が解除され、図16の「第1ウェハ搬出」ステップ(c)によって当該半導体ウェハがウェハ搬送装置18によってウェハ保持装置52から搬出される。
続いて、前述のイオン注入装置10の基本動作の変形例を説明する。
第1の変形例では、ビーム遮断機構28が利用される。プロセッサ61は、図16の「ビーム偏向」ステップ(a)より後にビーム遮断機構28を遮断状態に切り替え、図16の「ビーム偏向解除」ステップ(f)より前にビーム遮断機構28を非遮断状態に切り替える。「ビーム偏向」ステップ(a)においてイオンビームが照射不能方向に偏向されているため、「ビーム偏向解除」ステップ(f)までは基本的にイオンビームが注入処理室16内に照射されることはないものの、ビーム偏向装置24に不具合が発生する可能性もあるため、ビーム遮断機構28を遮断状態とすることでイオンビームを物理的に確実に遮断できる。
第2の変形例では、ビーム遮断機構28に加えて、第1ビーム電流測定器46および/または第2ビーム電流測定器42が利用される。プロセッサ61は、照射可能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第1ビーム電流測定器46(ビーム電流測定器として構成されるビームストッパ46等)によって第1所定値以上のビーム電流が測定されない場合、照射不能状態にあるものと判断してビーム遮断機構28を遮断状態に切り替えてもよい。すなわち、第1ビーム電流測定器46で測定されたビーム電流が第1所定値未満の場合は、注入処理室16におけるイオン注入処理に使用されるイオンビームの強度が不足している恐れがあるため、ビーム遮断機構28を遮断状態に切り替えた上でイオン注入処理を中断または中止する。なお、第1ビーム電流測定器46に加えてまたは代えて、第2ビーム電流測定器42(サイドカップ42等)によって第1所定値またはそれに相当する所定値以上のビーム電流が測定されない場合、照射不能状態にあるものと判断してビーム遮断機構28を遮断状態に切り替えてもよい。
プロセッサ61は、照射不能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第2ビーム電流測定器42(サイドカップ42等)によって第2所定値以上のビーム電流が測定される場合、照射不能状態にあるものと判断してビーム遮断機構28を遮断状態に切り替えてもよい。すなわち、第2ビーム電流測定器42で測定されたビーム電流が第2所定値以上の場合は、注入処理室16におけるイオン注入処理に使用されないイオンビームの強度が過剰である恐れがあるため、ビーム遮断機構28を遮断状態に切り替えた上でイオン注入処理を中断または中止する。なお、第2所定値は、そこから換算されるビーム電流密度が第1所定値から換算されるビーム電流密度より大きくなるように設定するのが好ましい。
第3の変形例では、ビーム走査装置32がビーム偏向装置24としても利用される。例えば、図1および図2においてビーム偏向装置24として機能していたビームパーク装置24に代えてまたは加えて、ビーム走査装置32によってビーム偏向装置24の機能を実現する。この場合、ビーム偏向装置24およびビーム走査装置32は同じ装置である。図18は、ビーム走査装置32としてのビーム走査機能とビーム偏向装置24としてのビーム偏向機能を、一つのビーム走査装置32で実現する例を模式的に示す。
ビーム走査装置32は、本来のビーム走査機能を実現する場合は、ウェハWに照射されるイオンビームでx方向の所定の走査角度範囲を往復走査する。ここで、走査角度範囲は照射可能方向(ウェハに到達可能なビームラインAの方向)を含む角度範囲であり、図示されるθ2は走査角度範囲の最外角度が基準軌道方向(ビーム走査装置32の走査電極対の間に印加される電圧が略零の非走査状態におけるビームラインAの方向)となす最大走査角度である。換言すれば、ビーム走査装置32の走査角度範囲は、基準軌道方向に対して±θ2の範囲である。
一方、ビーム走査装置32がビーム偏向装置24として機能する場合は、イオンビームを走査角度範囲外の照射不能方向に偏向させる。ここで、イオンビームの偏向角度θ1は、照射不能方向が基準軌道方向となす角度であり、最大走査角度θ2より大きい(θ1>θ2)。偏向角度θ1で偏向されたイオンビームの進路上にはウェハWが配置されないため、偏向角度θ1はイオンビームがウェハWに照射不能な照射不能方向となる。なお、ビーム偏向装置24として機能するビーム走査装置32は、イオンビームを-θ1の偏向角度に偏向させてもよい。また、偏向角度θ1(または-θ1)で偏向されたイオンビームの進路上に、イオンビームが衝突して遮蔽されるビームダンプ等を設けてもよい。
図16の基本動作における「第1ウェハイオン注入」および「第2ウェハイオン注入」のステップでは、ビーム走査装置32は本来のビーム走査機能を実現し、ウェハWに照射されるイオンビームで走査角度範囲(-θ2~+θ2)を往復走査する。また、図16の基本動作における「ビーム偏向」~「チャック」のステップ(a)~(e)では、ビーム走査装置32はビーム偏向装置24として機能し、イオンビームを走査角度範囲外の照射不能方向(θ1または-θ1)に偏向させる。
以上の実施形態および/または変形例によれば、電界および磁界の少なくとも一方によってイオンビームを偏向させるビーム偏向装置24によって、図16のステップ(a)~(e)におけるウェハの交換の際の照射不能状態と、図16の「第1ウェハイオン注入」および「第2ウェハイオン注入」におけるウェハへのイオンビームの照射の際の照射可能状態を迅速に切り替えることができるため、ウェハの交換時間を短縮できる。
以上、本発明を実施形態に基づいて説明した。実施形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
なお、実施形態で説明した各装置の機能構成はハードウェア資源またはソフトウェア資源により、あるいはハードウェア資源とソフトウェア資源の協働により実現できる。ハードウェア資源としてプロセッサ、ROM、RAM、その他のLSIを利用できる。ソフトウェア資源としてオペレーティングシステム、アプリケーション等のプログラムを利用できる。
10 イオン注入装置、12 イオン生成装置、14 ビームライン装置、16 注入処理室、18 ウェハ搬送装置、20 質量分析部、23 質量分析スリット、23a 開口、24 ビーム偏向装置、26 ビームダンプ、28 ビーム遮断機構、32 ビーム走査装置、42 第2ビーム電流測定器、46 第1ビーム電流測定器、50 プラテン駆動装置、50a 移動装置、52 ウェハ保持装置、60 制御装置、61 プロセッサ、63 メモリ。

Claims (22)

  1. 電界および磁界の少なくとも一方によってイオンビームを偏向させるビーム偏向装置であって、当該イオンビームが被処理物に照射可能な照射可能方向に向かう照射可能状態、および、当該イオンビームが被処理物に照射不能な照射不能方向に向かう照射不能状態の間で切り替え可能なビーム偏向装置と、
    イオンビームが照射される被処理物を保持する保持装置と、
    前記保持装置との間で被処理物を搬送する搬送装置と、
    前記ビーム偏向装置、前記保持装置、前記搬送装置を制御するプロセッサと、
    プログラムが格納されたメモリと、
    を備え、
    前記プロセッサは、前記プログラムに基づいて、
    (a)前記保持装置によって保持された第1被処理物へのイオンビームの照射後に、前記ビーム偏向装置を前記照射不能状態に切り替えるステップと、
    (b)前記ステップ(a)に続いて、前記保持装置による前記第1被処理物の保持を解除するステップと、
    (c)前記ステップ(b)に続いて、前記搬送装置によって前記第1被処理物を前記保持装置から搬出するステップと、
    (d)前記ステップ(c)に続いて、前記搬送装置によって前記第1被処理物とは異なる第2被処理物を前記保持装置に搬入するステップと、
    (e)前記ステップ(d)に続いて、前記保持装置によって前記第2被処理物を保持するステップと、
    (f)前記ステップ(e)に続いて、前記ビーム偏向装置を前記照射可能状態に切り替えるステップと、
    を実行するイオン注入装置。
  2. 前記ビーム偏向装置はイオンビームを挟んで対向する一対の電極を備え、当該一対の電極に印加する電圧の変更による電界変化に応じて前記照射可能状態および前記照射不能状態の間で切り替え可能である、請求項1に記載のイオン注入装置。
  3. 前記ビーム偏向装置はイオンビームを挟んで対向する一対の磁極、当該一対の磁極を磁気的に接続するヨーク、前記磁極および前記ヨークの少なくとも一方に巻き付けられるコイルを備え、当該コイルに印加する電流の変更による磁界変化に応じて前記照射可能状態および前記照射不能状態の間で切り替え可能である、請求項1に記載のイオン注入装置。
  4. 前記照射可能方向に向かうイオンビームの少なくとも一部を通過させるスリットが、前記ビーム偏向装置と前記保持装置の間に設けられ、
    前記照射不能方向に向かうイオンビームは、前記スリット外に衝突して遮断される、
    請求項1から3のいずれかに記載のイオン注入装置。
  5. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は2度と60度の間である、請求項1から4のいずれかに記載のイオン注入装置。
  6. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は3度と45度の間である、請求項5に記載のイオン注入装置。
  7. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は5度と30度の間である、請求項6に記載のイオン注入装置。
  8. 前記保持装置は、被処理物を支持する支持機構を備え、
    前記支持機構は、当該支持機構で支持された被処理物を静電引力によって保持する静電保持機構を含み、
    前記支持機構で支持された被処理物にイオンビームが照射されるイオン注入位置と、前記搬送装置が前記支持機構との間で被処理物を搬送可能な搬送位置の間で、前記支持機構を移動させる移動装置と、
    を備える請求項1から7のいずれかに記載のイオン注入装置。
  9. 前記プロセッサは、前記ステップ(b)および(c)において、前記移動装置によって前記第1被処理物を支持している前記支持機構を前記イオン注入位置から前記搬送位置まで移動させた後に前記静電保持機構による前記第1被処理物の保持を解除し、当該第1被処理物を前記支持機構から前記搬送装置によって搬出する、請求項8に記載のイオン注入装置。
  10. 前記プロセッサは、前記ステップ(d)および(e)において、前記移動装置によって前記搬送位置まで搬送された前記支持機構に前記第2被処理物を前記搬送装置によって搬入し、当該第2被処理物を前記静電保持機構によって保持した後に当該支持機構を前記移動装置によって前記搬送位置から前記イオン注入位置まで移動させる、請求項8または9に記載のイオン注入装置。
  11. 電界および磁界の少なくとも一方によって被処理物に照射されるイオンビームで所定の走査角度範囲を走査するビーム走査装置を備える、請求項1から10のいずれかに記載のイオン注入装置。
  12. 前記ビーム偏向装置および前記ビーム走査装置は同じ装置であり、
    前記走査角度範囲は前記照射可能方向を含む角度範囲であり、
    前記走査角度範囲の最外角度が前記イオンビームが走査されない状態における基準軌道方向となす最大走査角度は、前記照射不能方向が前記基準軌道方向となす偏向角度より小さい、
    請求項11に記載のイオン注入装置。
  13. イオンビームを物理的に遮断する遮断状態、および、イオンビームを通過させる非遮断状態の間で切り替え可能なビーム遮断機構を備える、請求項1から12のいずれかに記載のイオン注入装置。
  14. 前記プロセッサは、前記ステップ(a)より後に前記ビーム遮断機構を前記遮断状態に切り替え、前記ステップ(f)より前に前記ビーム遮断機構を前記非遮断状態に切り替える、請求項13に記載のイオン注入装置。
  15. 前記照射可能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第1ビーム電流測定器を備え、
    前記プロセッサは、前記第1ビーム電流測定器によって第1所定値以上のビーム電流が測定されない場合、照射不能状態にあるものと判断して前記ビーム遮断機構を前記遮断状態に切り替える、
    請求項13または14に記載のイオン注入装置。
  16. 前記照射不能方向に向かうイオンビームのビーム電流を測定する第2ビーム電流測定器を備え、
    前記プロセッサは、前記第2ビーム電流測定器によって第2所定値以上のビーム電流が測定される場合、照射不能状態にあるものと判断して前記ビーム遮断機構を前記遮断状態に切り替える、
    請求項13から15のいずれかに記載のイオン注入装置。
  17. (a)被処理物に照射可能な照射可能方向に向かうイオンビームによる第1被処理物の照射後に、電界および磁界の少なくとも一方によって当該イオンビームを被処理物に照射不能な照射不能方向に偏向させるステップと、
    (b)前記ステップ(a)に続いて、前記第1被処理物をイオン注入位置から移動させるステップと、
    (c)前記ステップ(b)に続いて、前記第1被処理物とは異なる第2被処理物を前記イオン注入位置に配置させるステップと、
    (d)前記ステップ(c)に続いて、イオンビームを前記照射不能方向から前記照射可能方向に戻すステップと、
    を備えるイオン注入方法。
  18. 前記ステップ(a)は、イオンビームを挟んで対向する一対の電極に印加する電圧による電界によって当該イオンビームを前記照射不能方向に偏向させる、請求項17に記載のイオン注入方法。
  19. 前記ステップ(a)は、イオンビームを挟んで対向する一対の磁極の間に印加する磁界によって当該イオンビームを前記照射不能方向に偏向させる、請求項17に記載のイオン注入方法。
  20. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は2度と60度の間である、請求項17から19のいずれかに記載のイオン注入方法。
  21. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は3度と45度の間である、請求項20に記載のイオン注入方法。
  22. 前記照射可能方向と前記照射不能方向のなす偏向角度は5度と30度の間である、請求項21に記載のイオン注入方法。
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