JP2023114557A - ベルト式無段変速機の制御装置 - Google Patents
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Abstract
Description
この発明は、車両に搭載されるベルト式無段変速機を制御する装置に関し、特にベルト伝動機構と並列に歯車伝動機構を備えた無段変速機におけるベルト挟圧力を制御する装置に関するものである。
ベルト式無段変速機は、駆動プーリと従動プーリとに巻き掛けたベルトを介して駆動力を伝達する伝動機構であり、それぞれのプーリは、ベルトを巻き掛ける溝の幅を連続的に変化させることができるように構成されている。すなわち、各プーリは、回転軸に固定された固定シーブと、その回転軸の軸線方向に前後動して固定シーブとの間の間隔(溝幅)を変化させる可動シーブとによって構成されている。この無段変速機によって伝達できるトルクは、ベルトとプーリとの接触面積によって制限されるから、ベルトがプーリに対して巻き掛かる最小半径は、要求される伝達トルク容量によって制限される。また、ベルトの曲率半径が小さいと、ベルトに掛かる負荷が大きくなって耐久性が低下する可能性があるので、その点においてもベルトがプーリに対して巻き掛かる最小半径が制限される。
ベルト式無段変速機における変速比は、駆動プーリ(プライマリプーリ)におけるベルト巻き掛け半径と従動プーリ(セカンダリプーリ)におけるベルト巻き掛け半径との比によって決まり、したがって車両が発進する場合など大きい駆動力が要求される場合には、プライマリプーリの溝幅を大きくしてベルト巻き掛け半径を小さくし、かつセカンダリプーリの溝幅を小さくしてベルト巻き掛け半径を大きくする。しかしながら、そのような場合のプライマリプーリにおけるベルト巻き掛け半径を小さくするとしても、上記のように制限を受けてある程度以上には小さくすることができず、結局、エンジン回転数を増大させる低速側の最大変速比をある程度以上に大きくすることは困難である。そこで、特許文献1に記載されたベルト式無段変速機では、ベルト伝動機構と並列に歯車伝動機構を設け、その歯車伝動機構による変速比を、ベルト伝動機構による最大変速比より大きくしている。すなわち、その歯車伝動機構は、車両が発進する場合など、低車速で大きい駆動力が要求される場合に、ベルト伝動機構に代わってトルクを伝達する機構であり、特許文献1に記載されたベルト式無段変速機は、発進ギヤ付きの無段変速機と言い得る。
ベルト式無段変速機では、プライマリプーリに供給する油圧を、目標変速比に基づいて制御し、セカンダリプーリの油圧は、伝達トルク容量を設定するための油圧であり、したがってアクセル開度などで求められる駆動要求量に基づいて制御される。これに加えて、特許文献1に記載の装置では、低車速時などの歯車伝動機構でトルクを伝達している場合には、ベルト伝動機構での挟圧力を低下させ、エネルギ効率や耐久性の低下を抑制している。
なお、ベルト式無段変速機におけるベルト挟圧力を制御する装置が特許文献2や特許文献3に記載されている。特許文献2に記載された装置は、車両のブレーキ操作を検出するブレーキスイッチがオンになった場合に伝動ベルトに付与する挟圧力を増大し、ブレーキスイッチがオンになってからの経過時間が予め定めた時間以上になった場合に、増大させた挟圧力を減少させるように構成されている。すなわち、緩制動であることをブレーキオンからの経過時間によって判断し、緩制動の場合には、ベルト挟圧力を低下させて燃費の悪化およびベルトの耐久性の悪化を抑制している。また,特許文献3に記載された装置は、ベルトがスリップする可能性のあることが判断された場合に、ベルトの挟圧力を低下させることによりベルトの挟持を解放し、こうすることにより、高い挟圧力の下でのベルトスリップの発生を回避している。
特許文献1に記載されているベルト式無段変速機では、発進時などの低車速でかつ大きい駆動力が要求される場合、ベルト伝動機構に替えて歯車伝動機構によって駆動トルクを出力軸もしくは駆動輪に伝達する。その場合、トルク伝達に関与しないベルト伝動機構においては、摩擦などによる動力の損失を回避するためにベルト挟圧力を低くする場合があるが、そうすると、ベルト伝動機構およびこれに関連する回転部材の間にいわゆる弛みが生じ、エンジンの間欠的な燃焼による振動でコロコロ音などと称される異音が生じることがある。これを回避するためには、発進時などの低車速時にベルト挟圧力を高くすればよい。しかしながら、車速は出力軸などの所定の回転部材の回転数(回転速度)をパルスセンサなどのセンサによって検出して求めているが、例えば1km/時以下などの低車速は、センサの検出精度の限界のために実用上、ほぼ検出することができないのが実情である。そのため、このような低車速時にベルト挟圧力を高くして異音を回避もしくは抑制することが困難であり、その点での新たな技術を開発する要請があった。
この発明は、上記の技術的課題に着目してなされたものであって、発進直後などの回転部材の回転速度あるいは回転数から車速を求めることが困難な低車速であっても、ベルト挟圧力を高くして異音を防止もしくは抑制することのできるベルト式無段変速機の制御装置を提供することを目的とするものである。
この発明は、上記の目的を達成するために、プーリに巻き掛けられたベルトを前記プーリが挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が増大しかつ変速比が連続的に変化するベルト伝動機構と、前記ベルト伝動機構で設定可能な最大変速比以上の変速比を設定可能な歯車伝動機構とが、入力部材と出力部材との間に並列に設けられ、かつ前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する伝動機構として前記ベルト伝動機構と歯車伝動機構とを選択できるベルト式無段変速機の制御装置において、前記ベルト式無段変速機が搭載されている車両のブレーキ圧が、学習制御によって更新される所定値以上で前記車両が停止している場合に前記挟圧力を予め定めた第1圧力に設定し、前記挟圧力を前記第1圧力に設定している状態から前記車両の発進のために前記ブレーキ圧が前記所定値より高い圧力から前記所定値に低下したことを判定し、前記判定が成立した場合に、前記挟圧力を前記第1圧力より高い予め定めた第2圧力に昇圧することを特徴とするものである。
この発明によれば、ブレーキ圧が所定値以上であることにより車両が停止している状態では、ベルト伝動機構におけるベルト挟圧力が第1圧力に設定される。この第1圧力は、車両が停止していてベルト伝動機構がトルクを伝達しないのであるから、ベルトにいわゆる弛みが生じる程度の低圧とすることができる。その状態から発進のためにブレーキ圧が低下させられて所定値以下になると、ベルト挟圧力が第1圧力より高い第2圧力に設定される。その第2圧力は、ベルトのいわゆる弛みを解消する程度以上の圧力とすることができる。したがって、ブレーキが解放されて車両が走行し始める時点、すなわちベルト伝動機構が回転し始める時点には、ベルトが張った状態になっていて、ベルト伝動機構に加わるトルクが振動してもベルトとプーリとなどの回転部材同士が繰り返し衝突することやそれに伴う異音が発生することを回避もしくは抑制することができる。そして、ベルト挟圧力を第1圧力から第2圧力に変更する判定を行うためのブレーキ圧についての前記所定値は、学習制御によって更新されるから、ベルト挟圧力を増大させ始める時点と車速が出始める時点(車両が動き出す時点)とをほぼ一致させることができる。その結果、車両が動き始めた際のベルト挟圧力が低圧になってしまって異音が生じたり、あるいは反対に車両が停止しているにも拘わらずベルト挟圧力を高くして不必要にエネルギを消費したりするなどの不都合を未然に解消することができる。
以下、この発明を図に示す実施形態に基づいて説明する。なお、以下に説明する実施形態はこの発明を具体化した場合の一例に過ぎないのであって、この発明を限定するものではない。
この発明の実施形態におけるベルト式無段変速機は、エンジン(内燃機関)を駆動力源とした車両に搭載される変速機であり、特にベルト伝動機構と歯車伝動機構とを並列に配置した変速機である。その一例を図1に模式的に示してある。エンジン1の出力側にトルクコンバータ(流体継手)2が連結され、そのトルクコンバータ2の出力軸3にベルト伝動機構4と歯車伝動機構5とが連結されている。
ベルト伝動機構4は、ベルト6が巻き掛けられている駆動プーリ(プライマリープーリ)7と従動プーリ(セカンダリープーリ)8との溝幅を変化させることにより、ベルト6の巻き掛け半径すなわち変速比を連続的(無段階)に変化させるように構成された公知の変速機構である。したがって、それらのプーリ7,8のそれぞれは、軸線方向に固定された固定シーブとその固定シーブに接近および離隔するように設けられた可動シーブとを有し、さらにその可動シーブを固定シーブ側に押圧する油圧室9,10が設けられている。なお、プライマリープーリ7の油圧室9に供給する油圧によってその溝幅すなわちベルト6の巻き掛け半径を変化させて所定の変速比を設定し、またセカンダリープーリ8の油圧室10にアクセル開度などから把握できる駆動要求量に応じた油圧を供給することにより、その駆動要求量に応じた伝達トルク容量を設定するように構成されている。この伝達トルク容量を設定する油圧がベルト挟圧力である。トルクコンバータ2の出力軸3がこの発明の実施形態における入力部材に相当し、この出力軸3がプライマリープーリ7に連結されている。
その出力軸3と平行に変速機出力軸11が配置されており、その変速機出力軸11にセカンダリープーリ8がクラッチ12を介して連結されている。すなわち、ベルト伝動機構4は、変速機出力軸11に対して選択的に連結されるように構成されている。なお、この変速機出力軸11がこの発明の実施形態における出力部材に相当している。
一方、歯車伝動機構5は、一対の歯車あるいは一組の遊星歯車機構など、互いに噛み合っている複数の歯車によってトルクを伝達する公知の伝動機構であって、上記のベルト伝動機構4によって設定できる最大変速比(最も低速側の変速比)より大きい変速比を設定するように構成されている。したがって、この歯車伝動機構5は発進ギヤと称することのできる伝動機構となっている。この歯車伝動機構5における入力ギヤ13が前述した出力軸3と同軸上にかつ出力軸3に対して相対回転できるように配置されている。また、歯車伝動機構5における出力ギヤ14が変速機出力軸11に連結されている。そして、入力ギヤ13とトルクコンバータ2の出力軸3との間に両者を選択的に連結するクラッチ15が設けられている。すなわち、歯車伝動機構5は出力軸3に対して選択的に連結されるように構成されている。したがって、上記のベルト伝動機構4と歯車伝動機構5とを有する図1に示すベルト式無段変速機16は、入力部材(出力軸3)と出力部材(変速機出力軸11)との間でトルクを伝達する機構として、ベルト伝動機構4と歯車伝動機構5とを選択できるように構成されている。
上記の変速機出力軸11にドライブギヤ17が取り付けられており、このドライブギヤ17が終減速機であるデファレンシャルギヤ18のリングギヤ19に噛み合っている。このデファレンシャルギヤ18に左右の駆動輪20がドライブシャフト21を介して連結されている。
ベルト伝動機構4における各油圧室9,10に供給する油圧ならびに各クラッチ12,15の係合および解放を電気的に制御するように構成されており、そのための電子制御装置(ECU)22が設けられている。このECU22は、マイクロコンピュータを主体にして構成され、入力されたデータならびに予め記憶しているデータを使用して演算を行い、その演算の結果を油圧などの指令信号として出力するように構成されている。その入力されるデータの例を挙げると、アクセルペダル(図示せず)の踏み込み量であるアクセル開度、車両を制動するブレーキ(図示せず)のブレーキ圧、車速などであり、また予め記憶しているデータは、車両が停止している際に設定するベルト挟圧力(第1圧力)や車速が所定の低車速の状態で設定するベルト挟圧力(第2圧力)、変速比を車速とアクセル開度とに応じて設定する変速マップなどである。
上述したベルト伝動機構4によるトルクの伝達は、ベルト6と各プーリ7,8との間の摩擦力によって行われるから、駆動トルクを伝達するとした場合には、ベルト挟圧力をかなり高圧にする必要があり、そのためには図示しない油圧ポンプで高圧の油圧を発生させることになる。一方、車両が停止している場合や、上記の歯車伝動機構5によって駆動トルクを伝達し、ベルト伝動機構4はトルクを伝達しない場合には、ベルト挟圧力を低くして無駄なエネルギの消費を防止する。しかしながら、ベルト挟圧力を低くした状態では、ベルト伝動機構4にいわゆる弛みが生じているから、その状態でプーリ7,8が回転してベルト6を走行させると、トルクの振動やそれに伴うプーリ7,8の回転の振動などによってコロコロ音などと称される異音が発生する場合があるので、プーリ7,8が低速であっても回転する場合には、ベルト挟圧力をある程度上昇させている。その場合、所定の車速(例えば1km/時)以下の低車速では、車速の検出が困難であるから、車速に基づいてベルト挟圧力を制御すると異音の発生を効果的に止められない可能性があるので、この発明の実施形態における制御装置は、車速に替えてブレーキ油圧に基づいてベルト挟圧力の昇圧制御を行うように構成されている。
その制御の一例を図2のフローチャートを参照して説明する。図2のフローチャートで示される制御は前述したECU22によって実行され、先ず、ブレーキ圧についての判断しきい値Aを読み込む(ステップS1)。この判断しきい値Aは、この発明の実施形態における「所定値」に相当する。その値は、制御が開始された当初は、車両を停車状態に維持するのに要するブレーキ圧より低い適宜の正の値であってよく、また制御が既に繰り返し実行されて学習が行われていた場合には、その学習で得られた値であってよい。
ついで、車両が停止していること、すなわちブレーキ・オンになっていることを確認する(ステップS2)。このステップS2で否定的に判断された場合、すなわち車両が走行している場合には、特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対に車両が停止していてステップS2で肯定的に判断された場合には、ブレーキ圧が判断しきい値Aを上から下に跨いで変化したか否かが判断される(ステップS3)。すなわち、車両を発進させるためにブレーキが弛められたか否かが判断される。ブレーキ圧が判断しきい値Aより高いことによりステップS3で否定的に判断された場合には、車両が走行(移動)することがないので、特に制御を行うことなくリターンする。これとは反対にブレーキ圧が判断しきい値A以下に低下したことによりステップS3で肯定的に判断された場合には、ベルト挟圧力を昇圧する(ステップS4)。
車両が停止している場合には、ベルト伝動機構4はトルクを伝達することがないので、不必要なエネルギの消費を抑えるためにベルト挟圧力は、トルクを伝達しない程度の低い圧力に設定されている。この低い圧力がこの発明の実施形態における第1圧力であり、ステップS4では、ベルト挟圧力をその第1圧力より高い予め定めた第2圧力に昇圧する。この第2圧力は、ベルト伝動機構4のトルクの振動が生じた場合であっても、ベルト6が波打ったり、それに伴ってプーリ7,8との間で衝撃音(打撃音)が生じたりしない程度にベルト6に張力を与えることのできる圧力である。
つぎに、上述したベルト挟圧力を昇圧する制御の解除条件が成立したか否かが判断される(ステップS5)。具体的には、車速が予め定めた基準車速α(例えば4km/時)を超えているか否か、あるいはブレーキ圧が判断しきい値Aより高圧か否かが判断される。車速が基準車速αより高速であれば、ベルト挟圧力は、上述した昇圧制御によらずに車速(センサ車速)や駆動要求量に基づいて制御されるからである。また、ブレーキ圧が判断しきい値Aより低圧になった後、再度、判断しきい値Aより高圧になったとすれば、車両が発進することはなく、ベルト伝動機構4が回転することがないからである。
解除条件が成立していないことによりステップS5で否定的に判断された場合には、ベルト圧の昇圧開始からの経過時間Tが基準時間T0(例えば10秒程度)を超えたか否かが判断される(ステップS6)。このステップS6で否定的に判断された場合には、ステップS4に戻ってベルト挟圧力の昇圧を継続する。これとは反対に経過時間Tが基準時間T0を超えたことによりステップS6で肯定的に判断された場合には、上記のステップS4で実行したベルト挟圧力の昇圧を解除する(ステップS7)。すなわち、ブレーキが弛められて車両が走行し始め、車速が基準車速αを超えるまでは、最大限、基準時間T0の間は、ベルト挟圧力を第2圧力に維持する。車両が動き始めた後、車速センサによって車速を正確に検出できるまでの間は、ブレーキ圧に基づいてベルト挟圧力の昇圧制御を行うためであり、したがって基準時間T0は、ブレーキを解放(ブレーキOFF)した後、車速を車速センサで検出できるまでの時間として、実験やシミュレーションなどによって定めた時間である。
なお、ステップS5で肯定的に判断された場合には、ブレーキ圧に基づくベルト挟圧力の昇圧制御を行う必要がないので、直ちにステップS7に進んで、上記のステップS4で実行したベルト挟圧力の昇圧を解除する。
上述したブレーキ圧に基づくベルト挟圧力の昇圧とその解除との一連の制御が終了した後、走行結果のデータから上記の判断しきい値Aを推定ならびに更新し(ステップS8)、リターンする。すなわちステップS8では判断しきい値Aの学習制御およびそれに基づく更新を行う。判断しきい値Aは、理想的には、車両が動き出す時点のブレーキ圧であるが、車両が動き出した瞬時の車速はセンサで検出することが実用上不可能であるから、種々のデータに基づいて判断しきい値Aを求める。例えば、図3に示すように、車両が動き出した後、センサによって車速を検出し始めてからの車速の増大勾配を求める。図3は発進のためにブレーキ圧を低下させた後における車速を示しており、横軸がブレーキOFF後の経過時間、縦軸が車速を示しており、t1時点にセンサにより車速が初めて取得され、その後、黒点でプロットしてあるように時間の経過とともに車速が増大する。センサで得られたそれらの車速の変化から車速の増大勾配を図3に直線で示すように求めることができるから、その直線を時間が遡る方向に延ばし、車速がゼロとなる点を、車両が実際に移動し始めた時点として推定することができる。こうして推定した時点のブレーキ圧を、逐次記憶させてあるブレーキ圧から求めることにより、車両が実際に動き出した時点のブレーキ圧が分かり、これを前述した判断しきい値Aとして学習し、更新する。
この発明の実施形態による制御を実行した場合、およびその制御を実行しなかった場合におけるベルト挟圧力と異音の状況を図4に示してある。図4の(A)は、この発明の実施形態における制御を実行した場合の例を示しており、ブレーキ圧が十分に高いことにより車両は停止しており(車速がゼロ)、またベルト挟圧力は第1圧力の低い圧力に設定されている。t11時点にブレーキを開放し始めることによりブレーキ圧が次第に低下し、ブレーキ圧が判断しきい値Aを横切ったt12時点にベルト挟圧力の昇圧制御が開始される。この発明の実施形態における判断しきい値Aは前述したように、ブレーキ圧の低下に伴って車両が動き出す時点の圧力として学習してあるから、ブレーキ圧が判断しきい値Aにまで低下した時点t12にベルト挟圧力を増大させると、ベルト伝動機構4が回転し始めるのとほぼ同時にそのベルト6の張力が増大し、いわゆる弛みが解消される。すなわち、ベルト6が緩んでいる状態でベルト伝動機構4が回転することが殆どないので、前述したいわゆるコロコロ音などの異音が生じることがない。図4の(A)において破線で示す車速は車両の実車速であり、実線で示す車速は車速センサによる車速(センサ車速)であり、この図4の(A)に示すようにベルト挟圧力を昇圧した後のt13時点に車速センサが車速を検出して検出信号を出力する。したがってその後は、検出された車速に基づいてベルト挟圧力が制御され、また図4には示していないが、車速が基準車速αを超えた場合には、ベルト挟圧力は車速や駆動要求量に基づいて制御される。
これに対してこの発明の実施形態による制御を実行しない場合には、図4の(B)に示すように、ブレーキ圧の低下に伴って車両が実際に動き出しても、車速センサの検出限度以下の車速であるために、ベルト挟圧力を昇圧するべき根拠が見いだせない。したがって、実際に車両が動き出したt22時点においてもベルト挟圧力は、ベルト6にいわゆる弛みがある第1圧力に維持される。そのため、ベルト挟圧力が低圧のままベルト伝動機構4が回転するので、いわゆるコロコロ音などの異音が発生する。車速センサによって車速(センサ車速)を得られる時点t23時点は、この発明の実施形態と同様に、ある程度車速が増大した時点であり、その直後のt24時点になって初めてベルト挟圧力が昇圧される。すなわち、図4の(B)に示す例では、車両が動いてベルト伝動機構4が回転し初めても、ベルト挟圧力が低圧に維持され、車速センサによる車速(センサ車速)が得られてベルト挟圧力の昇圧が開始されるt24時点までの間は、ベルト6に弛みが生じたままベルト伝動機構4が回転し、その結果、いわゆるコロコロ音などの異音が発生してしまう。
1 エンジン
2 トルクコンバータ
3 出力軸
4 ベルト伝動機構
5 歯車伝動機構
6 ベルト
7 プライマリープーリ
8 セカンダリープーリ
9,10 油圧室
11 変速機出力軸
12,15 クラッチ
16 ベルト式無段変速機
17 ドライブギヤ
22 電子制御装置(ECU)
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6 ベルト
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16 ベルト式無段変速機
17 ドライブギヤ
22 電子制御装置(ECU)
Claims (1)
- プーリに巻き掛けられたベルトを前記プーリが挟み付ける挟圧力に応じて伝達トルク容量が増大しかつ変速比が連続的に変化するベルト伝動機構と、前記ベルト伝動機構で設定可能な最大変速比以上の変速比を設定可能な歯車伝動機構とが、入力部材と出力部材との間に並列に設けられ、かつ前記入力部材と前記出力部材との間でトルクを伝達する伝動機構として前記ベルト伝動機構と歯車伝動機構とを選択できるベルト式無段変速機の制御装置において、
前記ベルト式無段変速機が搭載されている車両のブレーキ圧が、学習制御によって更新される所定値以上で前記車両が停止している場合に前記挟圧力を予め定めた第1圧力に設定し、
前記挟圧力を前記第1圧力に設定している状態から前記車両の発進のために前記ブレーキ圧が前記所定値より高い圧力から前記所定値に低下したことを判定し、
前記判定が成立した場合に、前記挟圧力を前記第1圧力より高い予め定めた第2圧力に昇圧する
ことを特徴とするベルト式無段変速機の制御装置。
Priority Applications (1)
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