JP2023111022A - 超音波診断装置及び画像処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制すること。【解決手段】実施形態の超音波診断装置は、超音波プローブと、MTIフィルタ処理部と、推定部とを備える。超音波プローブは、平面波又は拡散波を同一方向に連続して複数回送信することを複数方向に行うスキャンを繰り返し行う。MTIフィルタ処理部は、前記スキャンにより得られる同一方向の不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、血流信号を抽出する処理を前記複数方向のそれぞれの方向について行う。推定部は、同一方向の複数の血流信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を前記方向毎に行い、前記複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する。【選択図】図5B

Description

本明細書及び図面に開示の実施形態は、超音波診断装置及び画像処理装置に関する。
複数方向に平面波を送信することにより得られる複数の受信信号のそれぞれをビームフォーミングし、ビームフォーミング後の同じ位置の信号をコヒーレントに加算(コンパウンド)する技術が知られている。かかる技術は、平面波コヒーレントコンパウンド技術とも呼ばれる。なお、「コヒーレントに加算すること」は、「コヒーレントコンパウンド」とも称される。また、平面波コヒーレント技術をカラードプラに応用する方法が知られている。かかる方法は、「Ultra Fast Doppler法」とも称される。
「Ultra Fast Doppler法」では、繰り返し周期T(1/PRF(レート周波数:Pulse Repetition Frequency))で複数方向に平面波送信することにより得られる複数の受信信号をビームフォーミングし、同じ位置の信号をコヒーレントに加算する。これを複数回繰り返す。以下の説明では、平面波が送信される複数の方向の数を「A」とする。この場合は、コヒーレントコンパウンドされた信号列の周期はAT(A/PRF)となる。従って、平面波が送信される方向が1方向である場合には、ドプラの折り返し周波数は、PRF/2であるが、コンパウンドされた信号列の周期がATである場合には、PRF/2Aとなる。このため、折り返し周波数は、1/A倍になり、低下する。
図1は、従来のコヒーレントコンパウンドの一例を説明するための図である。図1は、A=3の場合を示す。ここでは、第1の方向、第2の方向B及び第3の方向の3方向に平面波を送信する場合を示す。図1に示す例では、平面波を第1の方向に送信することにより得られた受信信号81と、平面波を第2の方向に送信することにより得られた受信信号82と、平面波を第3の方向に送信することにより得られた受信信号83とがコヒーレントに加算されることにより信号(加算信号、複素信号)84が得られる。この信号84に対してカラードプラ処理が行われる。すなわち、信号84に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタが掛けられる。そして、この処理が複数回繰り返される。そして、カラードプラ処理の結果が表示される。なお、平面波の送信間隔は、「T」であり、時間軸上で隣接する2つの信号84間の送信間隔は、「3T」である。
図2Aは、平面波が1方向に送信される場合のカラードプラの表示の一例を示す図であり、図2Bは、図1に示すように平面波が3方向に送信されてコヒーレントコンパウンドが行われた場合のカラードプラの表示の一例を示す図である。
図2Aにおいて、画像85には、向かってくる血流85a及び遠ざかる血流85bが示されている。図2Aには、線分86上の速度プロファイル86aが示されている。正の速度は向かってくる血流85aの速度であり、負の速度は、遠ざかる血流85bの速度である。
図2Bにおいて、画像87には、向かってくる血流85a及び遠ざかる血流85bが示されている。図2Bには、線分88上の速度プロファイル88aが示されている。ここでも、正の速度は向かってくる血流85aの速度であり、負の速度は、遠ざかる血流85bの速度である。
図2Aでは、折り返しがなく表示されていた血流85a、85bが、図2Bでは折り返し速度が1/3倍になったために2重に折り返して表示されている。このような折り返しは、血流の方向が誤認されたり、血流速度が過小評価されたりしてしまうという問題がある。
中心周波数5MHzの超音波パルスでPRFが10kHzである場合、平面波コヒーレントコンパウンドを使用しない通常のフォーカス送信を行うときのパケット方式によるカラードプラの折り返し速度は、C・PRF/4f=1540*10e3/(4*5e6)=0.77m/sとなる。正常な頸動脈をターゲットとした場合は、この折り返し速度ならばほぼ折り返ることはない。一方、多方向平面波コヒーレントコンパウンドをA=5で使用した場合は、折り返し速度は1/5倍の0.154m/sとなってしまい、折り返る可能性が高い。
なお、通常カラードプラの送信ラスタ数を「M」とした場合のフレームレートはM/PRFであるのに対して、多方向平面波コヒーレントコンパウンドの場合のフレームレートはA/PRFである。このため、例えば、M=100であり、A=5である場合、多方向平面波コヒーレントコンパウンドのフレームレートは通常カラードプラの20倍である。したがって、ユーザが高フレームレートで血流を観察したい場合、多方向平面波コヒーレントコンパウンドは非常に有用である。
そこで、ユーザは、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合において、折り返し速度を通常のカラードプラ同様にPRF/2まで向上させたいという要望がある。
この要望を満たすための最も簡単な方法の一例について図3を参照して説明する。図3は、折り返し速度をPRF/2まで向上させる方法の一例を説明するための図である。上記要望を満たすための方法を、以下、「方法1」と表記する。方法1としては、例えば、同一方向に連続して複数回のパケット送信を行う方法が挙げられる。図3の(a)は、A=3であり、パケット数(アンサンブル数)E=2である場合のスキャンを示す。例えば、超音波送信90は偏向角-10°の超音波送信である。超音波送信91は偏向角0°の超音波送信である。超音波送信92は偏向角10°の超音波送信である。方法1では、超音波送信90、超音波送信91及び超音波送信92のそれぞれを2回ずつ繰り返することにより、超音波を3方向に送信する。そして、このようなスキャンが図3に示すように繰り返し実行される。
図3の(b)に示す受信信号(受信データ)90aは、連続する2つの超音波送信90のうち1回目(1番目)の超音波送信90により得られる受信信号である。また、図3の(c)に示す受信信号90bは、連続する2つの超音波送信90のうち2回目(2番目)の超音波送信90により得られる受信信号である。
図3の(d)に示す受信信号91aは、連続する2つの超音波送信91のうち1回目の超音波送信91により得られる受信信号である。また、図3の(e)に示す受信信号91bは、連続する2つの超音波送信91のうち2回目の超音波送信91により得られる受信信号である。
図3の(f)に示す受信信号92aは、連続する2つの超音波送信92のうち1回目の超音波送信92により得られる受信信号である。また、図3の(g)に示す受信信号92bは、連続する2つの超音波送信92のうち2回目の超音波送信92により得られる受信信号である。
方法1では、MTIフィルタを複数の受信信号90aにより構成されるデータ列(信号列)に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、データ列から、静止している組織又は動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、MTIフィルタは、血流信号を出力する。
例えば、MTIフィルタは、複数の受信信号90aにより構成されるデータ列から血流信号を抽出し、抽出された血流信号90cを出力する。同様に、方法1では、MTIフィルタを複数の受信信号90bにより構成されるデータ列に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、血流信号90dを出力する。また、MTIフィルタを複数の受信信号91aにより構成されるデータ列に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、血流信号91cを出力する。また、MTIフィルタを複数の受信信号91bにより構成されるデータ列に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、血流信号91dを出力する。また、MTIフィルタを複数の受信信号92aにより構成されるデータ列に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、血流信号92cを出力する。また、MTIフィルタを複数の受信信号92bにより構成されるデータ列に対して掛ける。これにより、MTIフィルタは、血流信号92dを出力する。
そして、図3の(h)に示すように、MTIフィルタの出力を元の順序に戻す。図4は、図3の(h)に並んだ複数の血流信号により構成されるデータ列の周波数特性の一例を示す図である。図4に示すように、個々のMTIフィルタの特性は折り返し周波数が1/(12T)である。しかしながら、図3の(h)のように複数の血流信号を並ばせることで折り返し周波数は1/(2T)まで拡大し、MTIフィルタの特性は、図4に示すような特性となる。図4を見ると分かるように、振幅特性が0となる周波数、すなわちブラインド周波数が発生する。ブラインド周波数付近での速度推定精度は大幅に低下するのでこれは好ましくない。
特開2005-176997号公報 特開2016-2379号公報
J. Bercoff, G. Montaldo, T. Loupas. D. Savery, F. Meziere, M. Fink, M. Tanter, "Ultrafast Compound Doppler Imaging: Providing Full Blood Flow Characterization", IEEE Trans. Ultrason. Ferroelectr. Freq. Control,vol. 58, no. 1, pp. 134-147, 2011
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置付けることもできる。
実施形態の超音波診断装置は、超音波プローブと、MTIフィルタ処理部と、推定部とを備える。超音波プローブは、平面波又は拡散波を同一方向に連続して複数回送信することを複数方向に行うスキャンを繰り返し行う。MTIフィルタ処理部は、前記スキャンにより得られる同一方向の不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、血流信号を抽出する処理を前記複数方向のそれぞれの方向について行う。推定部は、同一方向の複数の血流信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を前記方向毎に行い、前記複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する。
図1は、従来のコヒーレントコンパウンドの一例を説明するための図である。 図2Aは、平面波が1方向に送信される場合のカラードプラの表示の一例を示す図である。 図2Bは、図1に示すように平面波が3方向に送信されてコヒーレントコンパウンドが行われた場合のカラードプラの表示の一例を示す図である。 図3は、折り返し速度をPRF/2まで向上させる方法の一例を説明するための図である。 図4は、図3の(h)に並んだ複数の血流信号により構成されるデータ列の周波数特性の一例を示す図である。 図5Aは、第1の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。 図5Bは、第1の実施形態に係る超音波診断装置が有する各部(各回路、各機能等)の間の各種の情報(データ、信号等)の流れの一例を説明するための図である。 図6は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が血流のパワー値を推定する処理の一例を説明するための図である。 図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が血流の速度値を推定する処理の一例を説明するための図である。 図8Aは、図3の(b)に示す等間隔のデータ列を示す図である。 図8Bは、図6の(b)に示す不等間隔のデータ列を示す図である。 図8Cは、等間隔のデータ列に対するバタワースIIR型のMTIフィルタの特性、及び、不等間隔のデータ列に対する最小2乗法を用いた多項式フィッティングによるMTIフィルタの特性を示す図である。 図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。 図10Aは、図1に示すように平面波が3方向に送信されてコヒーレントコンパウンドが行われた場合のカラードプラの表示の一例を示す図である。 図10Bは、第1の実施形態に係る超音波診断装置により得られるカラードプラの表示の一例を示す図である。 図11Aは、第2の実施形態に係る超音波診断装置の構成例を示すブロック図である。 図11Bは、第2の実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理の一例について説明するための図である。 図12は、第2の実施形態に係る超音波診断装置が実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。 図13は、第3の実施形態に係る画像処理装置の構成例を示すブロック図である。
以下、図面を参照しながら、実施形態に係る超音波診断装置及び画像処理装置を説明する。なお、実施形態は、内容に矛盾が生じない範囲で従来技術、他の実施形態又は他の変形例との組み合わせが可能である。同様に、変形例は、内容に矛盾が生じない範囲で従来技術、他の実施形態又は他の変形例との組み合わせが可能である。また、以下の説明において、同様の構成要素には共通の符号を付与するとともに、重複する説明を省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図5Aは、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の構成例を示すブロック図である。図5Aに例示するように、第1の実施形態に係る超音波診断装置10は、装置本体100と、超音波プローブ101と、入力装置102と、ディスプレイ103とを有する。
超音波プローブ101は、例えば、複数の振動子(圧電素子)101a(後述する図5B参照)を有する。これら複数の振動子101aは、装置本体100が有する送受信回路110の送信回路111から供給される駆動信号に基づき超音波を発生する。具体的には、複数の振動子101aは、送信回路111により電圧(送信駆動電圧)が印加されることにより送信駆動電圧に応じた波形の超音波を発生する。また、超音波プローブ101は、被検体Pからの反射波を受信し、反射波を電気信号である反射波信号に変換し、反射波信号を装置本体100に出力(送信)する。また、超音波プローブ101は、例えば、振動子101aに設けられる整合層と、振動子101aから後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有する。なお、超音波プローブ101は、装置本体100と着脱自在に接続される。
超音波プローブ101から被検体Pに超音波(送信超音波、超音波パルス)が送信されると、送信された超音波は、被検体Pの体内組織における音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、反射波として超音波プローブ101が有する複数の振動子101aにて受信される。受信される反射波の振幅は、超音波が反射される不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。なお、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合の反射波は、ドプラ効果により、移動体の超音波送信方向に対する速度成分に依存して、周波数偏移を受ける。そして、超音波プローブ101は、反射波信号を後述する送受信回路110の受信回路112に送信する。
超音波プローブ101は、装置本体100と着脱可能に設けられる。被検体P内の2次元領域の走査(2次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、複数の振動子101aが一列で配置された1Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100に接続する。1Dアレイプローブの種類としては、リニア型超音波プローブ、コンベックス型超音波プローブ、セクタ型超音波プローブ等が挙げられる。また、被検体P内の3次元領域の走査(3次元走査)を行なう場合、操作者は、例えば、メカニカル4Dプローブや2Dアレイプローブを超音波プローブ101として装置本体100と接続する。メカニカル4Dプローブは、1Dアレイプローブのように一列で配列された複数の振動子101aを用いて2次元走査が可能であるとともに、複数の振動子101aを所定の角度(揺動角度)で揺動させることで3次元走査が可能である。また、2Dアレイプローブは、マトリックス状に配置された複数の振動子101aにより3次元走査が可能であるとともに、超音波を集束して送信することで2次元走査が可能である。
入力装置102は、例えば、マウス、キーボード、ボタン、パネルスイッチ、タッチコマンドスクリーン、フットスイッチ、トラックボール、ジョイスティック等の入力手段により実現される。入力装置102は、超音波診断装置10の操作者からの各種設定要求を受け付け、受け付けた各種設定要求を装置本体100に転送する。
ディスプレイ103は、例えば、超音波診断装置10の操作者が入力装置102を用いて各種設定要求を入力するためのGUI(Graphical User Interface)を表示したり、装置本体100において生成された超音波画像データに基づく超音波画像等を表示したりする。ディスプレイ103は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ等によって実現される。
装置本体100は、超音波プローブ101から送信された反射波信号に基づいて超音波画像データを生成する。なお、超音波画像データは、画像データの一例である。装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの2次元領域に対応する反射波信号に基づいて2次元の超音波画像データを生成可能である。また、装置本体100は、超音波プローブ101から送信された被検体Pの3次元領域に対応する反射波信号に基づいて3次元の超音波画像データを生成可能である。図5に示すように、装置本体100は、送受信回路110と、ビームフォーマ120と、Bモード処理回路130と、ドプラ処理回路140と、画像生成回路150と、画像メモリ160と、記憶回路170と、制御回路180とを有する。
送受信回路110は、制御回路180による制御を受けて、超音波プローブ101に超音波を送信させるとともに、超音波プローブ101に超音波の反射波を受信させる。すなわち、送受信回路110は、超音波プローブ101を介して走査を実行する。なお、走査は、スキャン、超音波スキャン又は超音波走査とも称される。送受信回路110は、送受信部の一例である。送受信回路110は、送信回路111と複数の受信回路112とを有する。
送信回路111は、制御回路180による制御を受けて、超音波プローブ101に駆動信号を供給し、超音波プローブ101から超音波を送信させる。送信回路111は、レートパルサ発生回路と、送信遅延回路と、送信パルサとを有する。送信回路111は、被検体P内の2次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から2次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。また、送信回路111は、被検体P内の3次元領域を走査する場合、超音波プローブ101から3次元領域を走査するための超音波ビームを送信させる。
レートパルサ発生回路は、制御回路180による制御を受けて、所定のレート周波数(PRF:Pulse Repetition Frequency)で、送信超音波(送信ビーム)を形成するためのレートパルスを繰り返し発生する。レートパルスが送信遅延回路を経由することで、異なる送信遅延時間を有した状態で送信パルサに電圧が印加される。例えば、送信遅延回路は、超音波プローブ101から発生される超音波をビーム状に集束して送信指向性を決定するために必要な振動子101aごとの送信遅延時間を、レートパルサ発生回路により発生される各レートパルスに対して与える。送信パルサは、レートパルスに基づくタイミングで、超音波プローブ101に駆動信号(駆動パルス)を供給する。なお、送信遅延回路は、各レートパルスに与える送信遅延時間を変化させることで、振動子面からの超音波の送信方向を任意に調整する。
駆動パルスが送信パルサからケーブルを介して超音波プローブ101内の振動子101aまで伝達した後に、振動子101aにおいて電気信号から機械的振動に変換される。すなわち、振動子101aに電圧が印加されることによって、振動子101aは機械的に振動する。この機械的振動によって発生した超音波は、生体内部に送信される。ここで、振動子101aごとに異なる送信遅延時間を持った超音波は、集束されて、所定方向に伝搬していく。
なお、送信回路111は、制御回路180による制御を受けて、所定の走査シーケンスを実行するために、送信周波数、送信駆動電圧等を瞬時に変更可能な機能を有する。特に、送信駆動電圧の変更は、瞬間に送信駆動電圧の値を切り替え可能なリニアアンプ型の発信回路、または、複数の電源ユニットを電気的に切り替える機構によって実現される。
超音波プローブ101により送信された超音波の反射波は、超音波プローブ101内部の振動子101aまで到達した後、振動子101aにおいて、機械的振動から電気的信号(反射波信号)に変換され、変換後の反射波信号が受信回路112に入力される。すなわち、受信回路112に、アナログ形式の反射波信号が入力される。受信回路112は、LNA(Low Noise Amplifier(低雑音増幅器))と、ATGC(Analog Time Gain Compensation)処理回路と、ADC(Analog to Digital Convertor)と、復調器等を有し、超音波プローブ101から送信された反射波信号に対して各種処理を行ない、デジタル形式の反射波信号として、ベースバンド帯域の同相信号(I信号、I:In-phase)及び直交信号(Q信号、Q:Quadrature-phase)を生成する。I信号及びQ信号は、IQ信号と呼ばれる。そして、受信回路112は、生成したIQ信号を反射波信号(受信信号)としてビームフォーマ120に送信する。
本実施形態では、1つのチャンネルに対応して、1つの受信回路112が設けられている。ここで、1つのチャンネルは、1つの振動子101aに対応する。このため、1つの振動子101aに対応して、1つの受信回路112が設けられている。したがって、送受信回路110は、複数の振動子101aのそれぞれに対応する複数の受信回路112のそれぞれを備える。
ビームフォーマ120は、複数の受信回路112により送信された反射波信号に対してビームフォーミング(整相加算)を行うことにより、反射波データを生成する。なお、反射波信号(IQ信号)及び反射波データは、受信信号の一例である。ビームフォーマ120は、生成された反射波データをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する。ビームフォーマ120は、例えば、プロセッサにより実現される。ビームフォーマ120は、ビームフォーミング処理部の一例である。ビームフォーマ120の詳細については後述する。
Bモード処理回路130は、ビームフォーマ120により送信された反射波データを受信し、受信された反射波データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された反射波データをBモードデータとして画像生成回路150に送信する。Bモード処理回路130は、例えば、プロセッサにより実現される。Bモード処理回路130は、Bモード処理部の一例である。以下、Bモード処理回路130が実行する各種の信号処理の一例を説明する。
例えば、Bモード処理回路130は、反射波データに対して、包絡線検波処理及び対数圧縮等の各種の処理を施して、サンプル点ごとの信号強度(振幅強度)が輝度の明るさで表現されるBモードデータを生成する。例えば、Bモード処理回路130は、包絡線検波器及び対数圧縮機器等を備える。例えば、包絡線検波器は、反射波データを包絡線検波し、対数圧縮器は、包絡線検波により得られた包絡線に関するデータ(例えば、振幅を示すデータ等)を対数圧縮する。これによりBモードデータが生成される。Bモード処理回路130は、生成したBモードデータを画像生成回路150に送信する。
また、Bモード処理回路130は、高調波成分を映像化するハーモニックイメージングを行うための信号処理を実行する。ハーモニックイメージングとしては、CHIやTHIが挙げられる。また、CHIやTHIでは、スキャン方式として、例えば、パルスインバージョン法(Pulse Inversion法)と呼ばれる位相変調(PM:Phase Modulation)が知られている。
ドプラ処理回路140は、ビームフォーマ120により送信された反射波データを受信し、受信された反射波データに対して各種の信号処理を施し、各種の信号処理が施された反射波データをドプラデータとして画像生成回路150に送信する。ドプラ処理回路140は、例えば、プロセッサにより実現される。ドプラ処理回路140は、ドプラ処理部の一例である。以下、ドプラ処理回路140が実行する各種の信号処理の一例を説明する。
ドプラ処理回路140は、反射波データを周波数解析することで、ドプラ効果に基づく移動体(血流や組織、造影剤エコー成分等)の運動情報を反射波データから抽出し、抽出した運動情報を示すドプラデータを生成する。例えば、ドプラ処理回路140は、移動体の運動情報として、平均速度、平均分散値及び平均パワー値等を多点に渡り抽出し、抽出した移動体の運動情報を示すドプラデータを生成する。ドプラ処理回路140は、生成したドプラデータを画像生成回路150に送信する。
上記のドプラ処理回路140の機能を用いて、超音波診断装置10は、カラーフローマッピング(CFM:Color Flow Mapping)法とも呼ばれるカラードプラ法を実行可能である。カラーフローマッピング法では、超音波の送受信が複数の走査線上で複数回行なわれる。そして、カラーフローマッピング法では、同一位置のデータ列に対してMTI(Moving Target Indicator)フィルタを掛けることで、同一位置のデータ列から、静止している組織、又は、動きの遅い組織に由来する信号(クラッタ信号)を抑制して、血流に由来する信号(血流信号)を抽出する。そして、カラーフローマッピング法では、この血流信号から血流の速度(速度値)、血流の分散(分散値)、血流のパワー(パワー値)等の血流情報を推定する。ドプラ処理回路140は、カラーフローマッピング法により推定された血流情報を示すカラー画像データを画像生成回路150に送信する。なお、カラー画像データは、ドプラデータの一例である。
Bモード処理回路130及びドプラ処理回路140は、2次元の反射波データ及び3次元の反射波データの両方の反射波データを処理可能である。
画像生成回路150は、Bモード処理回路130により送信されたBモードデータ及びドプラ処理回路140により送信されたドプラデータから超音波画像データを生成する。画像生成回路150は、プロセッサにより実現される。
例えば、画像生成回路150は、Bモード処理回路130により生成された2次元のBモードデータから反射波の強度を輝度で表した2次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路150は、ドプラ処理回路140により生成された2次元のドプラデータから運動情報又は血流情報が映像化された2次元ドプラ画像データを生成する。なお、運動情報が映像化された2次元ドプラ画像データは、速度画像データ、分散画像データ、パワー画像データ、又は、これらを組み合わせた画像データである。
ここで、画像生成回路150は、一般的には、超音波走査の走査線信号列を、テレビ等に代表されるビデオフォーマットの走査線信号列に変換(スキャンコンバート)し、表示用の超音波画像データを生成する。例えば、画像生成回路150は、Bモード処理回路130又はドプラ処理回路140により送信されたデータに対して、超音波プローブ101による超音波の走査形態に応じて座標変換を行なうことで、表示用の超音波画像データを生成する。また、画像生成回路150は、走査コンバート以外に種々の画像処理として、例えば、走査コンバート後の複数の画像フレームを用いて、輝度の平均値画像を再生成する画像処理(平滑化処理)や、画像内で微分フィルタを用いる画像処理(エッジ強調処理)等を行なう。また、画像生成回路150は、超音波画像データに、種々のパラメータの文字情報、目盛り、ボディーマーク等を合成する。
更に、画像生成回路150は、Bモード処理回路130により生成された3次元のBモードデータに対して座標変換を行なうことで、3次元Bモード画像データを生成する。また、画像生成回路150は、ドプラ処理回路140により生成された3次元のドプラデータに対して座標変換を行なうことで、3次元ドプラ画像データを生成する。すなわち、画像生成回路150は、「3次元のBモード画像データ及び3次元ドプラ画像データ」を「3次元超音波画像データ(ボリュームデータ)」として生成する。そして、画像生成回路150は、ボリュームデータをディスプレイ103にて表示するための各種の2次元画像データを生成するために、ボリュームデータに対して様々なレンダリング処理を行なう。
画像生成回路150が行なうレンダリング処理としては、例えば、断面再構成法(MPR:Multi Planer Reconstruction)を用いてボリュームデータからMPR画像データを生成する処理がある。また、画像生成回路150が行なうレンダリング処理としては、例えば、3次元の情報を反映した2次元画像データを生成するボリュームレンダリング(VR:Volume Rendering)処理がある。画像生成回路150は、画像生成部の一例である。
Bモードデータ及びドプラデータは、走査コンバート処理前の超音波画像データであり、画像生成回路150が生成するデータは、走査コンバート処理後の表示用の超音波画像データである。なお、Bモードデータ及びドプラデータは、生データ(Raw Data)とも呼ばれる。
画像メモリ160は、画像生成回路150により生成された各種の画像データを記憶するメモリである。また、画像メモリ160は、Bモード処理回路130又はドプラ処理回路140により生成されたデータも記憶する。画像メモリ160が記憶するBモードデータやドプラデータは、例えば、診断の後に操作者が呼び出すことが可能となっており、画像生成回路150を経由して表示用の超音波画像データとなる。例えば、画像メモリ160は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
記憶回路170は、走査(超音波の送受信)、画像処理及び表示処理を行なうための制御プログラムや、診断情報(例えば、患者ID、医師の所見等)や、診断プロトコルや各種ボディーマーク等の各種データを記憶する。また、記憶回路170は、必要に応じて、画像メモリ160が記憶するデータの保管等にも使用される。例えば、記憶回路170は、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。
制御回路180は、超音波診断装置10の処理全体を制御する。具体的には、制御回路180は、入力装置102を介して操作者から入力された各種設定要求や、記憶回路170から読込んだ各種制御プログラム及び各種データに基づき、送受信回路110、ビームフォーマ120、Bモード処理回路130、ドプラ処理回路140及び画像生成回路150の処理を制御する。また、制御回路180は、画像メモリ160に記憶された表示用の超音波画像データに基づく超音波画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。例えば、制御回路180は、Bモード画像データに基づくBモード画像又はカラー画像データに基づくカラー画像を表示するようにディスプレイ103を制御する。また、制御回路180は、Bモード画像にカラー画像を重畳させて表示するようにディスプレイ103を制御する。制御回路180は、表示制御部又は制御部の一例である。制御回路180は、例えば、プロセッサにより実現される。超音波画像は、画像の一例である。
また、制御回路180は、送受信回路110を介して超音波プローブ101を制御することで、超音波走査の制御を行なう。
以上、第1の実施形態に係る超音波診断装置10の全体構成について説明した。超音波診断装置10は、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制するために、以下に説明する各種の処理を実行する。
ドプラ処理回路140は、図5Aに示すように、MTIフィルタ処理機能141と、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142と、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143と、自己相関信号算出機能144と、パワー推定機能145と、速度推定機能146とを有する。ここで、MTIフィルタ処理機能141は、MTIフィルタ処理部の一例である。また、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142及び第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、加算部の一例である。また、自己相関信号算出機能144、パワー推定機能145及び速度推定機能146は、推定部の一例である。
ここで、例えば、図5Aに示すドプラ処理回路140の構成要素であるMTIフィルタ処理機能141、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143、自己相関信号算出機能144、パワー推定機能145及び速度推定機能146の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で超音波診断装置10の記憶装置(例えば、記憶回路170)に記録されている。ドプラ処理回路140は、各プログラムを記憶装置から読み出し、読み出された各プログラムを実行することで各プログラムに対応する各機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態のドプラ処理回路140は、図5Aのドプラ処理回路140内に示された各機能を有することとなる。MTIフィルタ処理機能141、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143、自己相関信号算出機能144、パワー推定機能145及び速度推定機能146の各処理機能が実行する処理については後述する。
次に、超音波診断装置10が実行する処理の一例について説明する。図5B、図6及び図7は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10が実行する処理の一例について説明するための図である。より具体的には、図5Bは、超音波診断装置10が有する各部(各回路、各機能等)の間の各種の情報(データ、信号等)の流れの一例を説明するための図である。また、図6は、超音波診断装置10が血流のパワー値を推定する処理の一例を説明するための図である。また、図7は、超音波診断装置10が血流の速度値を推定する処理の一例を説明するための図である。
第1の実施形態では、ビームフォーマ120よりも後段において、Bモード画像を生成する処理系と、血流のパワー値を推定する処理系と、血流の速度値を推定する処理系とに分かれる。このため、例えば、血流のパワー値と血流の速度値とは、独立して推定される。Bモード画像を生成する処理系には、Bモード処理回路130及び画像生成回路150が含まれる。血流のパワー値を推定する処理系には、MTIフィルタ処理機能141、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及びパワー推定機能145が含まれる。血流の速度値を推定する処理系には、MTIフィルタ処理機能141、自己相関信号算出機能144、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142及び速度推定機能146が含まれる。
まず、図5B及び図6を参照して超音波診断装置10が血流のパワー値を推定する処理の一例について説明する。超音波プローブ101は、送信回路111による制御を受けて、以下のように動作する。例えば、超音波プローブ101は、平面波をA(Aは自然数であり複数)方向に送信する。また、超音波プローブ101は、各方向において、平面波をE(自然数であり複数)回連続して送信する。以下の説明では、A=3であり、E=2である場合について説明する。すなわち、超音波プローブ101が、平面波を3方向に送信するとともに、各方向において、平面波を2回連続して送信する場合を例に挙げて説明する。例えば、超音波プローブ101は、偏向角-10°の方向、偏向角0°の方向、及び、偏向角10°の方向の3つの方向に平面波を送信する。
また、超音波プローブ101は、パルス繰り返し周期T(1/PRF)で平面波を送信する。すなわち、平面波の送信間隔は、パルス繰り返し周期Tとなる。
そして、超音波プローブ101は、平面波を3方向に送信するとともに、各方向において、平面波を2回連続して送信するスキャンを繰り返し行う。すなわち、超音波プローブ101は、平面波を同一方向に連続して複数回送信することを複数方向に行うスキャンを繰り返し行う。
図5Bに示すように、複数の受信回路112のそれぞれは、複数の振動子101aのそれぞれに接続されている。また、複数の受信回路112のそれぞれは、ビームフォーマ120に接続されている。そして、複数の受信回路112のそれぞれには、複数の振動子101aのそれぞれから送信された反射波信号が入力される。
本実施形態では、受信回路112は、超音波プローブ101から送信された反射波信号であって、偏向角-10°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づいて、IQ信号(受信信号)を生成し、生成されたIQ信号をビームフォーマ120に送信する。以下、このような、偏向角-10°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第1のIQ信号」と称する。なお、偏向角-10°の方向に平面波は2回連続で送信されるので、1回目(1番目)に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第1のIQ信号(1)」と表記し、2回目(2番目)に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第1のIQ信号(2)」と表記する。
同様に、受信回路112は、超音波プローブ101から送信された反射波信号であって、偏向角0°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づいて、IQ信号を生成し、生成されたIQ信号をビームフォーマ120に送信する。以下、このような、偏向角0°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第2のIQ信号」と称する。なお、偏向角0°の方向に平面波は2回連続で送信されるので、1回目に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第2のIQ信号(1)」と表記し、2回目に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第2のIQ信号(2)」と表記する。
また、受信回路112は、超音波プローブ101から送信された反射波信号であって、偏向角10°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づいて、IQ信号を生成し、生成されたIQ信号をビームフォーマ120に送信する。例えば、受信回路112は、1回の平面波の送信により、複数のIQ信号を生成する。以下、このような、偏向角10°の方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第3のIQ信号」と称する。なお、偏向角10°の方向に平面波は2回連続で送信されるので、1回目に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第3のIQ信号(1)」と表記し、2回目に送信された平面波に由来する反射波信号に基づくIQ信号を「第3のIQ信号(2)」と表記する。
図5Bに示すように、ビームフォーマ120は、複数の受信回路112、Bモード処理回路130及びMTIフィルタ処理機能141に接続されている。そして、ビームフォーマ120には、複数の受信回路112のそれぞれから送信されたIQ信号が入力される。
ビームフォーマ120は、複数の受信回路112により送信された複数のIQ信号に対してビームフォーミングを行う。例えば、ビームフォーマ120は、複数の第1のIQ信号(1)に対してピクセルビームフォーミングを行うことにより、図6に示す反射波データ(受信信号)20aを生成し、反射波データ20aをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する。
ここで、ピクセルビームフォーミングの一例について説明する。例えば、多方向に平面波を送信し、コヒーレントコンパウンドを行う場合、全ての方向の平面波送信に対して同一地点のビームフォーミング後の信号を得る必要がある。この場合、表示位置(ピクセル、画素)の地点のビームフォーミング結果を得ることが最も効率がよい。そこで、本実施形態では、ビームフォーマ120は、複数の第1のIQ信号(1)に基づく表示用の複数の画像データにおける同一のピクセル位置の複数の信号が加算されるように、複数の第1のIQ信号(1)をビームフォーミングする。すなわち、ビームフォーマ120は、同一の表示位置の信号が加算されるように、複数の第1のIQ信号(1)をビームフォーミングする。これにより、反射波データ20aが生成される。
同様に、ビームフォーマ120は、複数の第1のIQ信号(2)、複数の第2のIQ信号(1)、複数の第2のIQ信号(2)、複数の第3のIQ信号(1)、及び、複数の第3のIQ信号(2)に対してピクセルビームフォーミングを行う。
複数の第1のIQ信号(2)に対してピクセルビームフォーミングが行われることにより、反射波データ20bが生成される。複数の第2のIQ信号(1)に対してピクセルビームフォーミングが行われることにより、反射波データ21aが生成される。また、複数の第2のIQ信号(2)に対してピクセルビームフォーミングが行われることにより、反射波データ21bが生成される。複数の第3のIQ信号(1)に対してピクセルビームフォーミングが行われることにより、反射波データ22aが生成される。また、複数の第3のIQ信号(2)に対してピクセルビームフォーミングが行われることにより、反射波データ22bが生成される。
そして、図6の(a)に示すように、ビームフォーマ120は、反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する。
図5Bに示すように、Bモード処理回路130は、ビームフォーマ120及び画像生成回路150に接続されている。そして、Bモード処理回路130には、ビームフォーマ120から送信された反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bの各反射波データが入力される。
Bモード処理回路130は、反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bの各反射波データに基づいて、Bモードデータを生成する。そして、Bモード処理回路130は、生成されたBモードデータを画像生成回路150に送信する。
図5Bに示すように、画像生成回路150は、Bモード処理回路130及び制御回路180に接続されている。そして、画像生成回路150には、Bモード処理回路130から送信されたBモードデータが入力される。
画像生成回路150は、Bモードデータに基づいてBモード画像データを生成する。そして、画像生成回路150は、生成されたBモード画像データを制御回路180に送信する。
図5Bに示すように、ドプラ処理回路140のMTIフィルタ処理機能141は、ビームフォーマ120、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に接続されている。そして、MTIフィルタ処理機能141には、ビームフォーマ120から送信された反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bの各反射波データが入力される。
MTIフィルタ処理機能141は、入力された不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、入力と同じ不等間隔のデータ列の出力を得る。例えば、MTIフィルタ処理機能141は、図6の(b)に示す複数の反射波データ20a及び複数の反射波データ20bにより構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。これにより、MTIフィルタ処理機能141(MTIフィルタ)は、反射波データ20aに対応する血流信号20cを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したり、反射波データ20bに対応する血流信号20dを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したりする。なお、第1の実施形態では、MTIフィルタ処理機能141は、ピクセル(画素)毎にMTIフィルタを掛けるため、ピクセル数の分だけMTIフィルタを掛けることとなる。また、MTIフィルタ処理機能141は、平面波が送信される方向毎に、不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。また、MTIフィルタ処理機能141は、ビームフォーマ120によるビームフォーミングの結果得られる不等間隔の信号により構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。
ここで、「不等間隔のデータ列」とは、例えば、送信間隔を一定にせずに超音波を送信して反射波を受信することで得られた時間的に間隔の異なる複数の反射波データにより構成されるデータ列を指す。なお、「等間隔のデータ列」とは、例えば、送信間隔を一定にして超音波を送信して反射波を受信することで得られた時間的に等間隔の反射波データにより構成されるデータ列を指す。また、不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける方法として、例えば、特許文献1(特開2005-176997号公報)又は特許文献2(特開2016-2379号公報)に記載された公知の方法が用いられる。不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける方法の詳細については、後述する。
ここで、MTIフィルタに掛けられる不等間隔のデータ列の一例について説明する。例えば、不等間隔のデータ列は、3つの反射波データ20a及び3つの反射波データ20bにより構成されてもよい。このような場合、時間軸上で隣接する反射波データ20aと反射波データ20bとの間隔は、「T」又は「5T」であり、一定ではない。
同様に、MTIフィルタ処理機能141は、図6の(c)に示す複数の反射波データ21a及び複数の反射波データ21bにより構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。これにより、MTIフィルタ処理機能141(MTIフィルタ)は、反射波データ21aに対応する血流信号21cを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したり、反射波データ21bに対応する血流信号21dを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したりする。
また、同様に、MTIフィルタ処理機能141は、図6の(d)に示す複数の反射波データ22a及び複数の反射波データ22bにより構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。これにより、MTIフィルタ処理機能141(MTIフィルタ)は、反射波データ22aに対応する血流信号22cを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したり、反射波データ22bに対応する血流信号22dを第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力したりする。
上述したように、MTIフィルタ処理機能141は、超音波プローブ101によるスキャンにより得られる同一方向の不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、血流信号を抽出する処理を複数方向のそれぞれの方向について行う。MTIフィルタ処理機能141は、このような処理を繰り返し行う。そして、MTIフィルタ処理機能141は、血流信号を抽出するたびに、抽出された血流信号を第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力する。
図5Bに示すように、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、MTIフィルタ処理機能141及びパワー推定機能145に接続されている。そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143には、MTIフィルタ処理機能141から出力された血流信号20c、血流信号20d、血流信号21c、血流信号21d、血流信号22c及び血流信号22dの各血流信号が入力される。
そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、図6の(e)に示すように、血流信号20cと血流信号20dと血流信号21cと血流信号21dと血流信号22cと血流信号22dとを複素加算することで、多方向平面波送信コヒーレントコンパウンドを行う。すなわち、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、A*E=3*2=6個の血流信号を複素加算する。このようにして第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、多方向平面波送信コヒーレントコンパウンドを行うことにより、加算信号(複素信号)23を生成する。
そして、MTIフィルタ処理機能141及び第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、上述した処理を繰り返し行うことにより、加算信号23を繰り返し生成する。このように、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、複数方向について抽出された複数の血流信号を複素加算することにより信号を生成する。
そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、加算信号23を生成するたびに、生成された加算信号23をパワー推定機能145に送信する。
図5Bに示すように、パワー推定機能145は、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び制御回路180に接続されている。そして、パワー推定機能145には、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143から送信された加算信号23が入力される。
そして、パワー推定機能145は、加算信号23の振幅の2乗を血流のパワー値として算出することにより、パワー値を推定する。例えば、パワー推定機能145は、加算信号23が生成される度に、生成された加算信号23からパワー値を推定する。このように、パワー推定機能145は、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143により生成された信号に基づいて血流のパワー値を推定する。
そして、パワー推定機能145は、パワー値を推定するたびに、推定されたパワー値を制御回路180に送信する。
次に、図5B及び図7を参照して超音波診断装置10が血流の速度値を推定する処理の一例について説明する。図5Bに示すように、自己相関信号算出機能144は、MTIフィルタ処理機能141及び第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142に接続されている。そして、自己相関信号算出機能144には、MTIフィルタ処理機能141から出力された血流信号20c、血流信号20d、血流信号21c、血流信号21d、血流信号22c及び血流信号22dの各血流信号が入力される。
そして、自己相関信号算出機能144は、同一方向のE(この場合E=2)個の血流信号間でラグ1の自己相関演算を行う。すなわち、自己相関信号算出機能144は、同一の方向毎に、(E-1)個のラグ1の自己相関信号(自己相関値)を算出(生成)する。ここで、自己相関信号算出機能144は、同一の方向毎に、間隔が最も短い2つの血流信号間でラグ1の自己相関信号を算出する。例えば、図7の(a)及び(b)に示すように、自己相関信号算出機能144は、血流信号20cと血流信号20dとの間でラグ1の自己相関信号25を算出する。同様に、図7の(a)及び(c)に示すように、自己相関信号算出機能144は、血流信号21cと血流信号21dとの間でラグ1の自己相関信号26を算出する。また、図7の(a)及び(d)に示すように、自己相関信号算出機能144は、血流信号22cと血流信号22dとの間でラグ1の自己相関信号27を算出する。すなわち、自己相関信号算出機能144は、同一方向の複数の血流信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を方向毎に行う。
そして、自己相関信号算出機能144は、上述した処理を繰り返し行うことにより、自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27を繰り返し算出する。そして、自己相関信号算出機能144は、自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27を算出するたびに、算出された自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27を第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142に送信する。
図5Bに示すように、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、自己相関信号算出機能144及び速度推定機能146に接続されている。そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142には、自己相関信号算出機能144から送信された自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27の各自己相関信号が入力される。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、図7の(e)及び(f)に示すように、自己相関信号25と自己相関信号26と自己相関信号27の3つの信号を複素加算することにより、加算信号(複素信号)28を生成する。このように、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、A*(E-1)=3*1=3個の自己相関信号を複素加算する。このようにして第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27が新たに生成される度に、新たに生成された自己相関信号26及び自己相関信号27を複素加算することにより、加算信号28を生成する。したがって、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、繰り返し加算信号28を生成する。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、加算信号28を生成するたびに、生成された加算信号28を速度推定機能146に送信する。
図5Bに示すように、速度推定機能146は、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142及び制御回路180に接続されている。そして、速度推定機能146には、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142から送信された加算信号28が入力される。
速度推定機能146は、加算信号28から偏角を計算することで、-πからπに規格化された速度値を算出することにより、血流の速度値を推定する。例えば、速度推定機能146は、加算信号28が生成される度に、生成された加算信号28から速度値を推定する。すなわち、速度推定機能146は、複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する。
そして、速度推定機能146は、速度値を推定するたびに、推定された速度値を制御回路180に送信する。
図5Bに示すように、制御回路180は、画像生成回路150、パワー推定機能145、速度推定機能146及びディスプレイ103に接続されている。そして、制御回路180には、画像生成回路150から送信されたBモード画像データ、パワー推定機能145から送信されたパワー値、及び、速度推定機能146から送信された速度値が入力される。
制御回路180は、Bモード画像データに基づくBモード画像と、血流のパワー値と血流の速度値をディスプレイ103に表示するように、ディスプレイ103を制御する。ここで、制御回路180は、血流の速度値を表示させる際に、血流のパワー値が一定値以上の場所のみ血流の速度値を表示するようにディスプレイ103を制御する。血流の速度値の方位分解能は、異なる送信方向の複素加算によって向上しないが、血流のパワー値の方位分解能は、異なる送信方向の複素加算によって向上する。このため、血流のパワー値が一定値以上の場所のみ速度値を表示することによって、サイドローブ等のアーティファクト部分に血流の速度値が表示されることを抑制することができる。
図7に示す処理は、図6の(e)及び(f)と比較して、自己相関により位相情報が移動量に変更されているので、周期T(1/PRF)の位相情報が多方向平面波送信間で平均化されている。先の図1に示す従来のコヒーレントコンパウンドでは、周期「A*T」の動き情報しか得られない。一方、第1の実施形態によれば、周期Tの動き情報が得られる。このように、第1の実施形態によれば、図1に示す従来のコヒーレントコンパウンドと比較して、折り返し速度がA倍向上している。したがって、第1の実施形態によれば、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制することができる。
図8Aは、図3の(b)に示す等間隔のデータ列(複数の受信信号90aにより構成されるデータ列)を示す図である。図8Bは、図6の(b)に示す不等間隔のデータ列(複数の反射波データ20a及び複数の反射波データ20bにより構成されるデータ列)を示す図である。図8Cは、等間隔のデータ列に対するバタワースIIR型のMTIフィルタの特性、及び、不等間隔のデータ列に対する最小2乗法を用いた多項式フィッティングによるMTIフィルタ(特許文献1に記載された方法により生成されるMTIフィルタ)の特性を示す図である。図8Cには、等間隔のデータ列に対するバタワースIIR型のMTIフィルタの特性を示す曲線30、及び、不等間隔のデータ列に対する最小2乗法を用いた多項式フィッティングによるMTIフィルタの特性を示す曲線31が示されている。
曲線30により示されるように、等間隔のデータ列ではブラインド周波数が発生している。しかしながら、曲線31により示されるように、不等間隔のデータ列では、ブラインド周波数が発生しておらず、横軸の規格化周波数軸で、周期6Tにとってのナイキスト周波数0.5(図4において1/(12T)の位置)を超えてもきれいなハイパスフィルタ特性を示している。
また、一般的に、通常送信のカラードプラにおいて、MTIフィルタに入力されるデータ列に含まれる信号は4~16個程度しか使用できない。これに対して、第1の実施形態の多方向平面波送信においては、MTIフィルタに入力されるデータ列には、原理上無限個の信号(データ)を使用することができる。このため、第1の実施形態によれば、不等間隔のデータ列であっても特性の良いMTIフィルタを生成することができる。
ここで、MTIフィルタ処理機能141が、上述した特許文献1の方法に基づいて不等間隔のデータ列に対して最小2乗法を用いた多項式フィッティングによるMTIフィルタを生成する方法について説明する。特許文献1で開示されている方法は、不等間隔のデータ列を最小2乗法を用いて多項式フィッティングして原信号から減算する。このフィルタは特許文献1の数式6で示すように行列として事前に計算できる。最小2乗法はこれ以外の数学的表現があるので、それを用いても良い。図8Bに示す不等間隔のデータ列の時間列ベクトルaは、以下の式(1)により示される。
Figure 2023111022000002
ただし、式(1)において[]は、転置行列を示す。2次多項式まで近似する場合は行列Aを以下の式(2)に示すように定義する。
Figure 2023111022000003
ただし、「a.^k(kは整数)」は、時間列ベクトルaの複数の要素のそれぞれをk乗することを意味する。時間列ベクトルaの要素数をN(この例では12)とすると、MTIフィルタ行列Wは以下の式(3)で表される。
Figure 2023111022000004
そこで、MTIフィルタ処理機能141は、式(1)~(3)を用いて、MTIフィルタ行列Wを生成してもよい。なお、1次多項式までで近似したMTIフィルタの特性が、先の図8Cに示す曲線31により示される特性である。
以上の方法は、直接的には最小2乗法を用いていないように思われる。しかしながら、以上の方法は、疑似逆行列を用いた最小2乗法の解法である。最小2乗法の解法には上述した方法以外にも複数の方法があるので、上述した方法と数学的に等価な方法ならどのような方法を用いても良い。
次に、MTIフィルタ処理機能141が、上記特許文献2に記載された方法に基づいて不等間隔のデータ列に対して主成分分析を用いる方法でMTIフィルタを生成する方法について説明する。特許文献2で開示されている方法は、2次元空間内で平均化した時間方向の共分散行列の上位固有値(主成分)でフィッティングして原信号から減算する。この方法は主成分分析と呼ばれている方法と同じである。特許文献2では数式5に示されるフィルタ行列として表現されている。特異値を用いる方法もこれと数学的に等価である。これ以外の数学的表現があるのでそれを用いても良い。
空間的な場所iからの入力データ列ベクトルをxとする。そして、以下の式(4)により共分散行列Rxxを計算する。
Figure 2023111022000005
式(4)において、xは、L個の異なる時間の送信データの同じ位置の受信データの列ベクトルを示す。また、Hは複素共役転置行列を示す。また、mは、1からMまでの空間上のサンプル点を示す。
xxを固有値分解して固有値の大きい順に固有ベクトルを列行列として並べた行列をVとする。L行L列の対角行列で対角要素の上からP個が1で残りが0の行列Sを作ると、VSVは、信号を主成分で近似する行列となる。これを組織の動き(クラッタ)とすると、原信号から主成分を減算した結果を血流信号とみなすことができる。よって、対角行列で対角要素の上からP個が0で残りが1の行列をTとすると、MTIフィルタ行列Wは以下の式(5)により示される。
Figure 2023111022000006
そこで、MTIフィルタ処理機能141は、式(4)及び式(5)を用いて、MTIフィルタ行列Wを生成してもよい。なお、上述した例では、固有値分解により固有値と固有ベクトルを求める方法で説明したが、特異値分解によって特異値と特異ベクトルから主成分分析を行う方法や、それ以外の数学的に等価な方法を用いてもよい。
図9は、第1の実施形態に係る超音波診断装置10が実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。図9に示す処理は、Bモード画像、血流のパワー値及び速度値を表示する処理である。また、図9に示す処理は、超音波プローブ101が平面波をA(例えば3)方向に送信するとともに、各方向において、平面波をE(例えば2)回連続して送信するスキャンを行うたびに実行される。
図9に示すように、受信回路112は、各方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づいて、IQ信号(受信信号)を生成し、生成されたIQ信号をビームフォーマ120に送信する(ステップS101)。例えば、受信回路112は、上述したように、第1のIQ信号(1)、第1のIQ信号(2)、第2のIQ信号(1)、第2のIQ信号(2)、第3のIQ信号(1)及び第3のIQ信号(2)を生成する。
そして、ビームフォーマ120は、複数の受信回路112により送信された複数のIQ信号に対してピクセルビームフォーミングを行い、ピクセルビームフォーミングにより生成された反射波データをBモード処理回路130及びMTIフィルタ処理機能141に送信する(ステップS102)。例えば、ステップS102では、ビームフォーマ120は、反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bを生成する。そして、ビームフォーマ120は、これらの反射波データをBモード処理回路130及びMTIフィルタ処理機能141に送信する。
Bモード処理回路130及び画像生成回路150は、ビームフォーマ120から送信された反射波データに基づいて、Bモード画像データを生成し、生成されたBモード画像データを制御回路180に送信する(ステップS103)。具体的には、ステップS103では、例えば、Bモード処理回路130は、反射波データ20a、反射波データ20b、反射波データ21a、反射波データ21b、反射波データ22a及び反射波データ22bの各反射波データに基づいて、Bモードデータを生成する。そして、画像生成回路150は、生成されたBモードデータに基づいてBモード画像データを生成する。
また、MTIフィルタ処理機能141は、平面波が送信される方向毎に、不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて血流信号を抽出し、抽出された血流信号を第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143及び自己相関信号算出機能144に出力する(ステップS104)。ステップS104では、例えば、上述したように、MTIフィルタから血流信号20c、血流信号20d、血流信号21c、血流信号21d、血流信号22c及び血流信号22dが出力される。
そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、血流信号20cと血流信号20dと血流信号21cと血流信号21dと血流信号22cと血流信号22dとを複素加算することで、多方向平面波送信コヒーレントコンパウンドを行う(ステップS105)。これにより、加算信号(複素信号)23が生成される。ステップS105では、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143は、生成された加算信号23をパワー推定機能145に送信する。
そして、パワー推定機能145は、加算信号23の振幅の2乗を血流のパワー値として算出することにより血流のパワー値を推定し、推定されたパワー値を制御回路180に送信する(ステップS106)。
また、自己相関信号算出機能144は、同一の方向毎に、(E-1)個のラグ1の自己相関信号を算出し、算出された自己相関信号を第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142に送信する(ステップS107)。例えば、ステップS107では、自己相関信号25、自己相関信号26及び自己相関信号27が算出される。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、自己相関信号25と自己相関信号26と自己相関信号27の3つの信号を複素加算することにより、加算信号28を生成する(ステップS108)。ステップS108では、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142は、生成された加算信号28を速度推定機能146に送信する。
そして、速度推定機能146は、加算信号28から偏角を計算することで、-πからπに規格化された速度値を算出することにより血流の速度値を推定し、推定された速度値を制御回路180に送信する(ステップS109)。
そして、制御回路180は、Bモード画像データに基づくBモード画像と、血流のパワー値と血流の速度値をディスプレイ103に表示するように、ディスプレイ103を制御し(ステップS110)、図9に示す処理を終了する。
図10Aは、図1に示すように平面波が3方向に送信されてコヒーレントコンパウンドが行われた場合のカラードプラの表示の一例を示す図である。図10Bは、第1の実施形態に係る超音波診断装置10により得られるカラードプラの表示の一例を示す図である。
図10Aにおいて、画像35には、向かってくる血流35a及び遠ざかる血流35bが示されている。図10Aには、線分36上の速度プロファイル36aが示されている。正の速度は向かってくる血流35aの速度であり、負の速度は、遠ざかる血流35bの速度である。
図10Bにおいて、画像37には、向かってくる血流35a及び遠ざかる血流35bが示されている。図10Bには、線分38上の速度プロファイル38aが示されている。ここでも、正の速度は向かってくる血流35aの速度であり、負の速度は、遠ざかる血流35bの速度である。
図10Aでは血流85a、85bが2重に折り返して表示されている。一方、図10Bでは、血流85a、85bは、折り返しがなく表示されている。これは、第1の実施形態における折り返し速度は、図1に示すように平面波が3方向に送信されてコヒーレントコンパウンドが行われた場合における折り返し速度の3倍の速度であるからである。このように、折り返し速度は、平面波が送信される方向の数を示す「A」倍向上する。
以上、第1の実施形態について説明した。第1の実施形態によれば、上述したように、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制することができる。
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る超音波診断装置10aについて説明する。第1の実施形態では、ビームフォーミング後の信号にMTIフィルタを掛けるのに対して、第2の実施形態ではビームフォーミング前のそれぞれの振動子101aからの信号にMTIフィルタを掛ける。以下、第2の実施形態の説明において、第1の実施形態と異なる点を主に説明し、第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する場合がある。
図11Aは、第2の実施形態に係る超音波診断装置10aの構成例を示すブロック図である。第2の実施形態に係る超音波診断装置10aは、ビームフォーマ120及びドプラ処理回路140に代えてビームフォーマ120a及びドプラ処理回路140aを備える点が、第1の実施形態に係る超音波診断装置10と異なる。また、第2の実施形態に係る受信回路112の機能の一部と受信回路112の機能の一部とが異なる。
第1の実施形態では、受信回路112がIQ信号を反射波信号としてビームフォーマ120に送信する場合について説明した。一方、第2の実施形態では、受信回路112は、IQ信号を反射波信号としてビームフォーマ120a及びドプラ処理回路140aに送信する。例えば、第2の実施形態では、受信回路112は、第1の実施形態と同様に、第1のIQ信号(1)、第1のIQ信号(2)、第2のIQ信号(1)、第2のIQ信号(2)、第3のIQ信号(1)及び第3のIQ信号(2)を生成し、これらのIQ信号をビームフォーマ120a及びドプラ処理回路140aに送信する。
ビームフォーマ120aは、複数の受信回路112により送信された複数の反射波信号に対してビームフォーミング(整相加算)を行うことにより、反射波データを生成する。ここで、上述した第1の実施形態では、ビームフォーマ120が、生成された反射波データをBモード処理回路130及びドプラ処理回路140に送信する場合について説明した。一方、第2の実施形態に係るビームフォーマ120aは、生成された反射波データをBモード処理回路130に送信する。ビームフォーマ120aは、例えば、プロセッサにより実現される。ビームフォーマ120aは、ビームフォーミング処理部の一例である。
ドプラ処理回路140aは、図11Aに示すように、複数のMTIフィルタ処理機能141aと、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aと、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aと、自己相関信号算出機能144aと、パワー推定機能145aと、速度推定機能146aと、ビームフォーミング機能147aとを有する。ここで、MTIフィルタ処理機能141aは、MTIフィルタ処理部の一例である。また、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142a及び第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、加算部の一例である。また、自己相関信号算出機能144a、パワー推定機能145a及び速度推定機能146aは、推定部の一例である。また、ビームフォーミング機能147aは、ビームフォーミング処理部の一例である。
ここで、例えば、図11Aに示すドプラ処理回路140aの構成要素である複数のMTIフィルタ処理機能141a、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142a、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a、自己相関信号算出機能144a、パワー推定機能145a、速度推定機能146a及びビームフォーミング機能147aの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で超音波診断装置10aの記憶装置(例えば、記憶回路170)に記録されている。ドプラ処理回路140aは、各プログラムを記憶装置から読み出し、読み出された各プログラムを実行することで各プログラムに対応する各機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態のドプラ処理回路140aは、図11Aのドプラ処理回路140a内に示された各機能を有することとなる。MTIフィルタ処理機能141a、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142a、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a、自己相関信号算出機能144a、パワー推定機能145a、速度推定機能146a及びビームフォーミング機能147aの各処理機能が実行する処理については後述する。
次に、超音波診断装置10aが実行する処理の一例について説明する。図11Bは、第2の実施形態に係る超音波診断装置10aが実行する処理の一例について説明するための図である。より具体的には、図11Bは、超音波診断装置10aが有する各部(各回路、各機能等)の間の各種の情報(データ、信号等)の流れの一例を説明するための図である。
図11Bに示すように、ビームフォーマ120aは、複数の受信回路112及びBモード処理回路130に接続されている。ビームフォーマ120aには、複数のIQ信号が複数の反射波信号として入力される。上述したように、ビームフォーマ120aは、複数の受信回路112により送信された複数の反射波信号に対してビームフォーミングを行うことにより、反射波データを生成する。そして、ビームフォーマ120aは、生成された反射波データをBモード処理回路130に送信する。
図11Bに示すように、Bモード処理回路130は、ビームフォーマ120a及び画像生成回路150に接続されている。そして、Bモード処理回路130には、ビームフォーマ120aから送信された反射波データが入力される。
Bモード処理回路130は、反射波データに基づいて、Bモードデータを生成する。そして、Bモード処理回路130は、生成されたBモードデータを画像生成回路150に送信する。
第2の実施形態に係る画像生成回路150は、第1の実施形態に係る画像生成回路150と同様にBモード処理回路130及び制御回路180に接続されており、第1の実施形態に係る画像生成回路150と同様の機能を有する。
図11Bに示すように、第2の実施形態では、1つのチャンネルに対応して、1つのMTIフィルタ処理機能141aが設けられている。ここで、1つのチャンネルは、1つの振動子101a及び1つの受信回路112に対応する。このため、1つの振動子101a及び1つの受信回路112に対応して、1つのMTIフィルタ処理機能141aが設けられている。したがって、ドプラ処理回路140aは、複数の振動子101aのそれぞれ及び複数の受信回路112のそれぞれに対応する複数のMTIフィルタ処理機能141aのそれぞれを備える。
図11Bに示すように、1つのMTIフィルタ処理機能141aは、1つの受信回路112に接続されている。また、1つのMTIフィルタ処理機能141aは、ビームフォーミング機能147aに接続されている。そして、1つのMTIフィルタ処理機能141aには、1つの受信回路112から送信されたIQ信号が入力される。このIQ信号は、複数のサンプル点の信号である。
第2の実施形態では、MTIフィルタ処理機能141aは、振動子101aからの複数のIQ信号(受信信号)により構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛ける。なお、不等間隔のデータ列を構成する複数のIQ信号は、時系列で並ぶ複数のIQ信号である。
例えば、第1の実施形態に係るMTIフィルタ処理機能141が図6に示すように不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて血流信号を抽出したのと同様の方法で、第2の実施形態に係るMTIフィルタ処理機能141aは、振動子101aからの複数の受信信号により構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて血流信号を抽出する。
そして、MTIフィルタ処理機能141aは、抽出された血流信号をビームフォーミング機能147aに出力する。したがって、図11Bに示す複数のMTIフィルタ処理機能141aは、複数の血流信号をビームフォーミング機能147aに出力する。
図11Bに示すように、ビームフォーミング機能147aは、複数のMTIフィルタ処理機能141a、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a及び自己相関信号算出機能144aに接続されている。そして、ビームフォーミング機能147aには、複数のMTIフィルタ処理機能141aから送信された複数の血流信号が入力される。
そして、ビームフォーミング機能147aは、複数の血流信号に対してピクセルビームフォーミングを行う。例えば、ビームフォーミング機能147aは、第1の実施形態に係るビームフォーマ120が複数のIQ信号に対してピクセルビームフォーミングを行って反射波データを生成する方法と同様の方法で、複数の血流信号に対してピクセルビームフォーミングを行って、ピクセルビームフォーミング後の信号を生成する。このピクセルビームフォーミング後の信号は、ピクセルビームフォーミングにより得られる信号であり、ピクセルビームフォーミングされた血流信号でもある。そして、ビームフォーミング機能147aは、生成されたピクセルビームフォーミング後の信号を第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a及び自己相関信号算出機能144aに送信する。
図11Bに示すように、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、ビームフォーミング機能147a及びパワー推定機能145aに接続されている。そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aには、ビームフォーミング機能147aから送信されたピクセルビームフォーミング後の信号が入力される。
第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、第1の実施形態に係る第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143が複数方向について抽出された複数の血流信号を複素加算することにより加算信号23を生成する方法と同様の方法で、複数方向について生成された複数のピクセルビームフォーミング後の信号を複素加算することにより加算信号(複素信号)を生成する。すなわち、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、複数のピクセルビームフォーミング後の信号を複素加算することで、多方向平面波送信コヒーレントコンパウンドを行う。そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、生成された加算信号をパワー推定機能145aに送信する。
図11Bに示すように、パワー推定機能145aは、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a及び制御回路180に接続されている。そして、パワー推定機能145aには、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aから送信された加算信号が入力される。
そして、パワー推定機能145aは、第1の実施形態に係るパワー推定機能145が血流のパワー値を推定する方法と同様の方法で、血流のパワー値を推定する。例えば、パワー推定機能145aは、入力された加算信号の振幅の2乗を血流のパワー値として算出することにより、パワー値を推定する。例えば、パワー推定機能145aは、加算信号が生成される度に、生成された加算信号からパワー値を推定する。このように、パワー推定機能145aは、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aにより生成された信号に基づいて血流のパワー値を推定する。
そして、パワー推定機能145aは、パワー値を推定するたびに、推定されたパワー値を制御回路180に送信する。
また、図11Bに示すように、自己相関信号算出機能144aは、ビームフォーミング機能147a及び第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aに接続されている。そして、自己相関信号算出機能144aには、ビームフォーミング機能147aから送信されたピクセルビームフォーミング後の信号が入力される。
自己相関信号算出機能144aは、第1の実施形態に係る自己相関信号算出機能144が同一方向のE個の血流信号間でラグ1の自己相関演算を行う方法と同様の方法で、同一方向のE個のピクセルビームフォーミング後の信号間でラグ1の自己相関演算を行う。すなわち、自己相関信号算出機能144aは、同一の方向毎に、(E-1)個のラグ1の自己相関信号を算出する。このように、自己相関信号算出機能144aは、同一方向の複数のビームフォーミング後の信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を方向毎に行う。
そして、自己相関信号算出機能144aは、自己相関信号を生成するたびに、生成された自己相関信号を第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aに送信する。
図11Bに示すように、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、自己相関信号算出機能144a及び速度推定機能146aに接続されている。そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aには、自己相関信号算出機能144aから送信された自己相関信号が入力される。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、第1の実施形態に係る第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142が(A*(E-1))個の自己相関信号を複素加算する方法と同様の方法で、入力された(A*(E-1))個の自己相関信号を複素加算する。このようにして第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、入力された(A*(E-1))個の自己相関信号を複素加算することにより、加算信号を生成する。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、加算信号を生成するたびに、生成された加算信号を速度推定機能146aに送信する。
図11Bに示すように、速度推定機能146aは、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142a及び制御回路180に接続されている。そして、速度推定機能146aには、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aから送信された加算信号が入力される。
そして、速度推定機能146aは、第1の実施形態に係る速度推定機能146が血流の速度値を推定する方法と同様の方法で、血流の速度値を推定する。例えば、速度推定機能146aは、入力された加算信号から偏角を計算することで-πからπに規格化された速度値を算出することにより、血流の速度値を推定する。例えば、速度推定機能146aは、加算信号が生成される度に、生成された加算信号から速度値を推定する。このように、速度推定機能146aは、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aにより生成された信号に基づいて血流の速度値を推定する。
そして、速度推定機能146aは、速度値を推定するたびに、推定された速度値を制御回路180に送信する。
第2の実施形態に係る制御回路180は、第1の実施形態に係る制御回路180が実行する処理と同様の処理を行う。すなわち、第2の実施形態に係る制御回路180は、Bモード画像データに基づくBモード画像と、血流のパワー値と血流の速度値をディスプレイ103に表示するように、ディスプレイ103を制御する。
ここで、上述した第1の実施形態では、MTIフィルタ処理機能141は、ピクセル数の分だけMTIフィルタを掛ける。一方、第2の実施形態では、複数のMTIフィルタ処理機能141aは、(振動子101aの数×サンプル点の数)の分だけMTIフィルタを掛ける。このように、第2の実施形態では、ピクセルビームフォーミングの前にMTIフィルタをかけるので、複数のMTIフィルタ処理機能141aの演算量は、MTIフィルタ処理機能141の演算量の「(素子数×サンプル点の数)/ピクセル数」倍の演算量で済む。
図12は、第2の実施形態に係る超音波診断装置10aが実行する処理の一例の流れを示すフローチャートである。図12に示す処理は、Bモード画像、血流のパワー値及び速度値を表示する処理である。また、図12に示す処理は、超音波プローブ101が平面波をA(例えば3)方向に送信するとともに、各方向において、平面波をE(例えば2)回連続して送信するスキャンを行うたびに実行される。
図12に示すように、受信回路112は、各方向に送信された平面波に由来する反射波信号に基づいて、IQ信号(受信信号)を生成し、生成されたIQ信号をビームフォーマ120及びMTIフィルタ処理機能141aに送信する(ステップS201)。
そして、ビームフォーマ120aは、複数の受信回路112により送信された複数のIQ信号に対してビームフォーミングを行い、ビームフォーミングにより生成された反射波データをBモード処理回路130に送信する(ステップS202)。
Bモード処理回路130及び画像生成回路150は、ビームフォーマ120aから送信された反射波データに基づいて、Bモード画像データを生成し、生成されたBモード画像データを制御回路180に送信する(ステップS203)。具体的には、ステップS203では、例えば、Bモード処理回路130は、反射波データに基づいて、Bモードデータを生成する。そして、画像生成回路150は、生成されたBモードデータに基づいてBモード画像データを生成し、生成されたBモード画像データを制御回路180に送信する。
また、MTIフィルタ処理機能141は、MTIフィルタ処理機能141aは、振動子101aからの複数の受信信号により構成される不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて血流信号を抽出し、抽出された血流信号をビームフォーミング機能147aに出力する(ステップS204)。
ビームフォーミング機能147aは、複数の血流信号に対してピクセルビームフォーミングを行ってピクセルビームフォーミング後の信号を生成する(ステップS205)。ステップS205では、ビームフォーミング機能147aは、生成されたピクセルビームフォーミング後の信号を第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143a及び自己相関信号算出機能144aに送信する。
そして、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、複数方向について生成された複数のピクセルビームフォーミング後の信号を複素加算することで、多方向平面波送信コヒーレントコンパウンドを行う(ステップS206)。これにより、加算信号(複素信号)が生成される。ステップS206では、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aは、生成された加算信号をパワー推定機能145aに送信する。
そして、パワー推定機能145aは、入力された加算信号の振幅の2乗を血流のパワー値として算出することにより血流のパワー値を推定し、推定されたパワー値を制御回路180に送信する(ステップS207)。
また、自己相関信号算出機能144aは、同一の方向毎に、(E-1)個のラグ1の自己相関信号を算出し、算出された自己相関信号を第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aに送信する(ステップS208)。
そして、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、入力された(A*(E-1))個の自己相関信号を複素加算することにより、加算信号を生成する(ステップS209)。ステップS209では、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aは、生成された加算信号を速度推定機能146aに送信する。
そして、速度推定機能146は、入力された加算信号から偏角を計算することで、-πからπに規格化された速度値を算出することにより血流の速度値を推定し、推定された速度値を制御回路180に送信する(ステップS210)。
そして、制御回路180は、Bモード画像データに基づくBモード画像と、血流のパワー値と血流の速度値をディスプレイ103に表示するように、ディスプレイ103を制御し(ステップS211)、図12に示す処理を終了する。
以上、第2の実施形態について説明した。第2の実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られる。
(第3の実施形態)
第1の実施形態及び第2の実施形態では、超音波診断装置10,10aが各種の処理を実行する場合について説明したが、画像処理装置が、超音波診断装置10,10aが実行した各種の処理と同様の処理を実行してもよい。そこで、このような実施形態を第3の実施形態として説明する。なお、第3の実施形態の説明では、主に、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態及び第2の実施形態と同様の構成の説明については省略する場合がある。
図13は、第3の実施形態に係る画像処理装置200の構成の一例を示す図である。画像処理装置200は、ネットワークを介して超音波診断装置10,10aから複数の反射波信号群(IQ信号群)を取得する。ここでいう反射波信号群は、上述した第1のIQ信号(1)、第1のIQ信号(2)、第2のIQ信号(1)、第2のIQ信号(2)、第3のIQ信号(1)及び第3のIQ信号(2)により構成される信号群である。そして、画像処理装置200は、取得された複数の反射波信号群に対して、超音波診断装置10,10aが実行した処理と同様の処理を実行する。
図13に示すように、画像処理装置200は、ネットワーク(NetWork:NW)インタフェース210と、記憶回路220と、入力インタフェース230と、ディスプレイ240と、処理回路250とを備える。
NWインタフェース210は、画像処理装置200と超音波診断装置10,10aとの間で送受信される各種情報及び各種データの伝送及び通信を制御する。NWインタフェース210は、処理回路250に接続されている。NWインタフェース210は、ネットワークを介して、超音波診断装置10,10aにより送信された複数の反射波信号群を受信する。この場合、NWインタフェース210は、受信された複数の反射波信号群を処理回路250に送信する。なお、処理回路250は、複数の反射波信号群を受信すると、受信された複数の反射波信号群を記憶回路220に記憶させる。例えば、NWインタフェース210は、ネットワークカードやネットワークアダプタ、NIC(Network Interface Controller)等によって実現される。
記憶回路220は、処理回路250に接続され、各種データを記憶する。例えば、記憶回路220は、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク又は光ディスクによって実現される。記憶回路220は、記憶部の一例である。
また、記憶回路220は、処理回路250の処理に用いられる種々の情報や、処理回路250による処理結果等を記憶する。例えば、記憶回路220は、複数の反射波信号群を記憶する。
入力インタフェース230は、処理回路250に接続され、操作者から受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路250に出力する。なお、本明細書において入力インタフェース230は、マウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路250へ出力する処理回路も入力インタフェースの例に含まれる。
例えば、入力インタフェース230は、種々の設定などを行うためのトラックボール、スイッチ・ボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力インタフェース、又は、音声入力インタフェースによって実現される。
ディスプレイ240は、処理回路250に接続され、処理回路250から出力される各種情報及び各種画像を表示する。例えば、ディスプレイ240は、液晶モニタやCRT(Cathode Ray Tube)モニタ、又は、タッチパネルによって実現される。例えば、ディスプレイ240は、操作者の指示を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、種々の表示用の画像、処理回路250による種々の処理結果を表示する。ディスプレイ240は、表示部の一例である。
処理回路250は、プロセッサにより実現される。処理回路250は、ビームフォーミング機能250a、MTIフィルタ処理機能250b、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能250c、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能250d、自己相関信号算出機能250e、パワー推定機能250f、速度推定機能250g、Bモード処理機能250h、画像生成機能250i及び制御機能250jを実行する。ここで、例えば、図13に示す処理回路250の構成要素であるビームフォーミング機能250a、MTIフィルタ処理機能250b、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能250c、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能250d、自己相関信号算出機能250e、パワー推定機能250f、速度推定機能250g、Bモード処理機能250h、画像生成機能250i及び制御機能250jの各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路220内に記録されている。処理回路250は、記憶回路220から各プログラムを読み出し、読み出した各プログラムを実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路250は、図13の処理回路250内に示された各機能を有することとなる。
なお、図13においては、ビームフォーミング機能250a、MTIフィルタ処理機能250b、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能250c、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能250d、自己相関信号算出機能250e、パワー推定機能250f、速度推定機能250g、Bモード処理機能250h、画像生成機能250i及び制御機能250jの各処理機能が単一の処理回路250によって実現される場合を示したが、実施形態はこれに限られるものではない。例えば、処理回路250は、複数の独立したプロセッサを組み合わせて構成され、各プロセッサが各プログラムを実行することにより各処理機能を実現するものとしても構わない。また、処理回路250が有する各処理機能は、単一又は複数の処理回路に適宜に分散又は統合されて実現されてもよい。
第3の実施形態では、画像処理装置200は、記憶回路220に記憶された複数の反射波信号群に対して、第1の実施形態又は第2の実施形態の処理と同様の処理を実行する。なお、第3の実施形態では、画像処理装置200が処理を実行する際に、第1の実施形態又は第2の実施形態の記憶回路170およびディスプレイ103に代えて、記憶回路220およびディスプレイ240が用いられる。
具体的には、ビームフォーミング機能250aは、ビームフォーマ120又はビームフォーミング機能147aの機能と同様の機能を有する。MTIフィルタ処理機能250bは、MTIフィルタ処理機能141又はMTIフィルタ処理機能141aの機能と同様の機能を有する。ただし、MTIフィルタ処理機能250bが、MTIフィルタ処理機能141aの機能と同様の機能を有する場合、処理回路250内に設けられるMTIフィルタ処理機能250bの数は、MTIフィルタ処理機能141aの数と同一である。
第1のコヒーレントコンパウンド処理機能250cは、第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142又は第1のコヒーレントコンパウンド処理機能142aの機能と同様の機能を有する。第2のコヒーレントコンパウンド処理機能250dは、第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143又は第2のコヒーレントコンパウンド処理機能143aの機能と同様の機能を有する。
自己相関信号算出機能250eは、自己相関信号算出機能144又は自己相関信号算出機能144aの機能と同様の機能を有する。パワー推定機能250fは、パワー推定機能145又はパワー推定機能145aの機能と同様の機能を有する。速度推定機能250gは、速度推定機能146又は速度推定機能146aの機能と同様の機能を有する。
Bモード処理機能250hは、Bモード処理回路130の機能と同様の機能を有する。画像生成機能250iは、画像生成回路150の機能と同様の機能を有する。
制御機能250jは、制御回路180の機能と同様の機能を有する。ただし、制御回路180が超音波診断装置10,10a全体の制御を行っているのに対して、制御機能250jは、画像処理装置200全体の制御を行う。
ビームフォーミング機能250aは、ビームフォーミング処理部の一例である。MTIフィルタ処理機能250bは、MTIフィルタ処理部の一例である。第1のコヒーレントコンパウンド処理機能250c及び第2のコヒーレントコンパウンド処理機能250dは、加算部の一例である。自己相関信号算出機能250e、パワー推定機能250f及び速度推定機能250gは、推定部の一例である。
以上、第3の実施形態に係る画像処理装置200について説明した。第3の実施形態によれば、第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の効果が得られる。
なお、上述した第1の実施形態及び第2の実施形態では、超音波プローブ101が、平面波を送信する場合について説明したが、例えば、超音波プローブ101が、拡散波を送信してもよい。そして、超音波診断装置10,10aが、拡散波を送信することにより得られた受信信号に対して第1の実施形態又は第2の実施形態と同様の処理を行ってもよい。同様に、画像処理装置200が、超音波診断装置10,10aから、拡散波を送信することにより得られた複数の反射波信号群を取得してもよい。そして、画像処理装置200が、このようにして取得された複数の反射波信号群に対して、第3の実施形態と同様の処理を行ってもよい。
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、若しくは、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、又は、フィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサは、記憶回路170又は記憶回路220に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、記憶回路170又は記憶回路220にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
なお、プログラムは、コンピュータにインストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD(Compact Disk)-ROM、FD(Flexible Disk)、CD-R(Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な非一過性の記憶媒体に記録されて提供されてもよい。また、このプログラムは、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納され、ネットワーク経由でダウンロードされることによって提供又は配布されてもよい。例えば、このプログラムは、上述した各処理機能を含むモジュールで構成される。実際のハードウェアとしては、プロセッサが、ROM等の記憶媒体からプログラムを読み出して実行することにより、各モジュールが主記憶装置上にロードされて、主記憶装置上に生成される。
以上説明した少なくとも一つの実施形態によれば、カラードプラに多方向平面波送信コンパウンドを適応した場合における折り返し速度の低下を抑制することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
10,10a 超音波診断装置
101 超音波プローブ
141,141a,250b MTIフィルタ処理機能
146,146a,250g 速度推定機能

Claims (5)

  1. 平面波又は拡散波を同一方向に連続して複数回送信することを複数方向に行うスキャンを繰り返し行う超音波プローブと、
    前記スキャンにより得られる同一方向の不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、血流信号を抽出する処理を前記複数方向のそれぞれの方向について行うMTIフィルタ処理部と、
    同一方向の複数の血流信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を前記方向毎に行い、前記複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する推定部と、
    を備える、超音波診断装置。
  2. 前記複数方向について抽出された複数の血流信号を複素加算することにより信号を生成する加算部を更に備え、
    前記推定部は、前記加算部により生成された信号に基づいて血流のパワー値を推定する、
    請求項1に記載の超音波診断装置。
  3. 前記平面波又は前記拡散波の送信により得られる複数の受信信号に対して、同一の表示位置の信号が加算されるようにビームフォーミングを行うビームフォーミング処理部を更に備え、
    前記MTIフィルタ処理部は、前記ビームフォーミング処理部による前記ビームフォーミングの結果得られる不等間隔の信号により構成される前記不等間隔のデータ列に対して前記MTIフィルタを掛ける、
    請求項1又は2に記載の超音波診断装置。
  4. 前記MTIフィルタ処理部は、前記超音波プローブが備える複数の振動子のそれぞれから出力される不等間隔の複数の受信信号により構成される前記不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて前記血流信号を抽出する処理を前記複数の振動子のそれぞれについて行うことにより、前記複数の振動子について複数の血流信号を抽出し、
    前記複数の血流信号に対して、同一の表示位置の信号が加算されるようにビームフォーミングを行うビームフォーミング処理部を更に備え、
    前記推定部は、同一方向の複数の前記ビームフォーミングにより得られた信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を前記方向毎に行い、前記複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する、
    請求項1に記載の超音波診断装置。
  5. 平面波又は拡散波を同一方向に連続して複数回送信することを複数方向に行うスキャンを繰り返し行うことにより得られる同一方向の不等間隔のデータ列に対してMTIフィルタを掛けて、血流信号を抽出する処理を前記複数方向のそれぞれの方向について行うMTIフィルタ処理部と、
    同一方向の複数の血流信号に対して自己相関演算を行って自己相関信号を生成する処理を前記方向毎に行い、前記複数方向について生成された複数の自己相関信号を複素加算することにより生成された複素信号に基づいて血流の速度値を推定する推定部と、
    を備える、画像処理装置。
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