JP2023109709A - 人工芝 - Google Patents

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【課題】公害が発生する恐れがない充分な遮熱効果を有する人工芝を提供する。【解決手段】基材1と、この基材1の一方の面に植設されたパイル2を有し、このパイル2が植設された基材1の下面に樹脂が塗布され、パイル2間に充填材4が充填された人工芝であって、充填材4は比重が0.1以上である間伐材から採取された樹皮である杉および檜を原料とする天然木材繊維と硬質粒径物からなり、天然木材繊維の平均繊維長は0.5~20.0mmである。【選択図】図2

Description

本発明は、設置場所の温度上昇の抑制を長時間継続でき、かつマイクロプラスチック対策に有効な人工芝に関する。
近年、スポーツ人口の増大、活発化につれ、野球場、サッカー、ホッケーおよびラグビー場、テニスコート、ゲートボール場等の球戯場や多目的広場等の屋外スポーツ施設においては従来既設の天然芝あるいはクレーコートの代替として、人工芝が多用されている。その理由としては、人工芝は天候条件に影響されにくく、常に一定のグラウンド条件が保持され、維持管理が容易であり、利便性や管理費を節減できる等がある。
人工芝はそうした利点を持つ一方で、かつてはパイルすなわち葉糸が短く衝撃吸収性が低いものが主であり、さらに人工芝の下がコンクリートなどの舗装面のことが多かったためもあり、天然芝に比すると、競技者に対する安全性に問題があるとされてきた。しかし近年、ロングパイル人工芝にパイル糸間隔を開けて植設した粗植型で、そのパイル糸間に砂等の無機質粒状物あるいはゴムチップ等の弾性粒状物を充填して成る、衝撃吸収性にすぐれたものの開発、改良が進んでおり、各種競技の国際機関が公式に公認または認定するほどに広範に用いられている。
しかしながら人工芝舗装にも、全天候運動場共通の問題点のひとつとして、夏季屋外における炎天下での表面温度が高くなる点があり、時には70℃をこえる場合も多い。特に、近年広く用いられている粒状物入りロングパイル人工芝は、長いパイルや粒状物の間隙に空気層が多いため、パイルの短い人工芝に比して熱が逃げづらく、温度上昇がさらに生じやすくなっている問題がある。結果として、競技者にとっては過酷であり、熱中症発症のおそれもあり、また環境温度への悪影響や、ひいてはヒートアイランド現象の原因ともなることが問題となっており、その対策が求められてきた。
例えば、特許文献1には、ブレードが芝生を創るマットの1つの側面から突出して形成するために人工材料の複数のブレードが織られる上に置かれる、マットからなる芝生または芝生一次層:前記ブレード間に配置される充填材で、前記充填材は細かく砕いたココナッツに基づく原料から得られる粗い生産物の計測量を含み;を含む人工芝生であって、前記粗い生産物は細かく砕いたココナッツに基づく原料に含有する単独の粒状および繊維状部分を本質的に含み、前記粒状および繊維状部分は細かく砕いたココナッツに基づく前記原料を粉末部分から前記粒状および繊維状部分の分離工程に経ることで得られ、前記粗い生産物に含有される前記粒状および繊維状部分は細かく砕いたココナッツに基づく前記原料をふるいにかけることによって得られ、前記粒状および繊維状部分は90重量%まで500ミクロン(μm)以上の粒度分布を有することを特徴とする人工芝生、が開示されている。
また、特許文献2には、芝糸が基布に植設され、前記植設された芝糸間に充填材が充填されて充填層が設けられた人工芝生であって、前記充填層は、天然ヤシの粉砕物であるヤシ充填材を含む下層と、前記充填層の最も上方に配置される表面層を備え、前記表面層を構成する充填材が、限界まで保水させた状態の前記ヤシ充填材の日射反射率よりも大きな日射反射率を有する粒体であると共に、前記下層を覆うように設けられた前記表層で前記ヤシ充填材の急激な乾燥が抑制されることを特徴とする人工芝生、が開示されている。
特表2010-523855号公報 特許第6849453号明細書
特許文献1に記載される人工芝生は、人工芝の過熱を抑制するココナッツに基づく原料の粒度分布を調整して良好な排水性などを得られるように設けられているが、日差しが強いなどの要因によってココナッツに基づく原料が乾燥すると、温度上昇を抑制する効果が早期に低減してしまう恐れがあった。
特許文献2の発明を実施するための形態には、充填層を構成する充填材は、硬質粒と、外力を受けたときに弾性的に変形する弾性粒と、天然ヤシをベースにしたヤシ充填材を含むと記載され、弾性粒としては、スチレン樹脂系エラストマーの粒体を用いているが、オレフィン樹脂系エラストマーなど他の合成樹脂エラストマーや合成ゴムや天然ゴムの粒、廃棄ゴム製品の粉砕物などのリサイクル品などを用いると記載されている。すなわち、特許文献2に記載された人工芝生は、いわゆるマイクロプラスチックを充填材として用いている。このマイクロプラスチックは海洋汚染の原因となるものである。特定調査機関による2019年の6~11月にわたる12都府県の河川や港や湖などの100箇所の調査結果によれば、すべての調査箇所でマイクロプラスチックが見つかり、75箇所で人工芝生の破片が見つかったとの報告がある。
本発明は、このような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、公害が発生する恐れがない充分な遮熱効果を有する人工芝を提供することにある。
上記目的を達成するために、本願第一発明は、基材と、この基材の一方の面に植設されたパイルを有し、上記パイル間に充填材が充填された人工芝であって、上記充填材は比重が0.1以上である間伐材から採取された樹皮である杉および檜を原料とする天然木材繊維と硬質粒径物からなり、上記天然木材繊維の平均繊維長は0.5~20.0mmであることを特徴とする人工芝である。
本願第二発明は、本願第一発明において、天然木材繊維は充填材の10質量%以上であることを特徴とする人工芝である。
本願第三発明は、本願第一又は第二発明において、充填材は乾燥及び/又は粉砕した卵殻膜を含有することを特徴とする人工芝である。
本願第一発明によれば、充填材として間伐材から採取された樹皮である杉及び檜を原料とする天然木材繊維を有しており、この天然木材繊維は熱の吸収量が少なく保水性に優れているので、人工芝の表面温度の上昇を抑制することができる。また、杉及び檜は天然原料であるから、二酸化炭素の排出量が少なく、河川や海に流出しても健康被害や環境問題を誘発する恐れがない。本願第二発明によれば、上記効果を最大限に享受することができる。本願第三発明によれば、卵殻膜は二酸化炭素を吸収する作用があるので、環境にやさしい人工芝を提供することができる。
図1は、本発明の人工芝の一実施形態の側断面図である。 図2は、本発明の人工芝の側断面を模式的に示す図である。 図3は、木材繊維とゴムチップの表面温度の推移を示す図である。 図4は、卵殻膜のCO吸収性能を示す図である。
以下に本発明の実施形態について説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない限り、様々な変更や修正が可能である。
図1は、本発明の人工芝の一実施形態の側断面図である。図2は、本発明の人工芝の側断面を模式的に示す図である。図2において、1は基材、2はパイル、3は樹脂層、4は充填材である。
基材1を構成する繊維としては、例えば、木綿、麻等の天然セルロース繊維、ビスコースレーヨン、ハイウェットモジュラスレーヨン、ポリノジック、キュプラ、リヨセル等の再生セルロース繊維、羊毛、アンゴラ、カシミア、シルク等の動物系繊維、トリアセテート、ジアセテート等の半合成繊維、ポリエステル、ポリアミド、アクリル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリビニルアルコール、塩化ビニル等の合成繊維が使用できる。これらの繊維は、単独でもしくは混合して用いることができる。混合使用の際の繊維の組み合わせとしては、ポリエステルと木綿、ポリアミドと木綿等があげられる。
基材1の形態は、特に限定されず、例えば、織物、編物、不織布などが採用できるが、一般には、織物、編物が好ましい。この場合、織物組織及び編物組織についても特に限定されず、織物組織としては、例えば、平織、綾織、朱子織などの三原組織及びその変化組織、経二重織、緯二重織等の片二重組織及び経緯二重織などが採用できる。一方、編物組織としては、よこ編組織の場合、平編(天竺、鹿の子編、裏毛編、添え糸編(ベア天竺など)、ジャガード編など)、ゴム編(スムース編、インターロック編、ミラノリブ、シングルピケ、ダブルピケ、リップル、片畔編、片袋編、ポンチローマなど)、パール編などが例示できる。たて編組織の場合は、シングルデンビー編、シングルアトラス編、シングルコード編、ダブルデンビー編、ダブルアトラス編、ダブルコード編、ハーフトリコット編、クインズコード編、サテン編、裏毛編、ジャガード編などが例示できる。編物の層数としては、単層でもよいし2層以上の多層でもよい。
パイル2の材質及び形態は、芝葉の外観を実現することができる限り、限定されないが、例えば、パイル2は、樹脂材料からなる扁平なフィラメント糸(ヤーン)を用いて形成することができる。樹脂材料としては、典型的には、ポリエチレンやポリプロピレン、ナイロン、ビニロン等の熱可塑性樹脂を選択することができる。また、本実施形態のパイル2は、タフティングマシンを用いて、パイル2となるプラスチック糸(ヤーン)を基材1に縫い込むことにより、基材1に対して固定されている。基材1の表面からパイル2の先端までの長さ(平均値)は、特に限定されないが、6mm以上であって50mm未満と比較的短くすることもできるし(一般にショートパイルと呼ばれる)、50mm以上であって70mm以下と比較的長くすることもできる(一般にロングパイルと呼ばれる)。
樹脂層3を構成する樹脂としては、例えば、SBR系樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂、塩化ビニル樹脂、ナイロン樹脂等の公知の樹脂が使用できる。本実施形態においては、樹脂層3の樹脂として、SBR系樹脂を用いた。
充填材4は、比重が0.1以上である杉および檜を原料とする天然木材繊維と硬質粒径物からなる。杉および檜の平均繊維長は0.5~20.0mmであるのが好ましく、0.5~10.0mmであるのがより好ましい。硬質粒径物としては、珪砂、小石、砂、陶器の粒、樹脂ペレットなどの硬質の粒状体を単体または混合して用いることができる。
杉および檜を原料とする天然木材繊維は、熱の吸収が少なく、雨水や散水等によって供給された水を保水し、温度が上昇するときに、これが気化して、気化熱により人工芝の表面温度の上昇を抑制する。充填材が天然木材繊維を含有することで、特に夏場などの気温が上昇しやすい時期に人工芝の敷設場所の温度を効果的に低下し、熱中症の発生を抑えることができる。
杉および檜を原料とする天然木材繊維は、間伐材から採取した樹皮を活用することによって森林の健全化に寄与し、二酸化炭素を削減する効果がある。
上記の温度上昇抑制効果を十分に得るためには、充填材中に比重が0.1以上である杉および檜を原料とする天然木材繊維を10質量%以上含有することが好ましい。充填材中に天然木材繊維を15~25質量%含有し、硬質粒径物を75~85質量%含有するのがより好ましい。天然木材繊維中の杉と檜の比率は自由である。すなわち、天然木材繊維のすべてが杉材であってもよいし、天然木材繊維のすべてが檜材であってもよい。天然木材繊維の50質量%が杉材で、50質量%が檜材からなるものであってもよい。要するに、天然木材繊維が杉材及び/又は檜材を含有すればよく、杉材と檜材の比率は限定されない。
上記充填材は、乾燥時に接触した水を保水する天然木材繊維を含有させることで、気温上昇時に温度を低下させているが、特に球技や陸上競技などのスポーツを行うための競技場においては、敷設した人工芝の上へ散水して気温を下げたり、雨天時に競技を行うような場合もある。このとき、競技者が人工芝の上を踏みしめた感覚や、球技に用いる球の跳ね返り方が、人工芝の乾燥した状態と濡れた状態とで変化が小さなほうが好ましい。また、サッカーなど、競技場に用いる人工芝に規格が定められているような場合においては、乾燥した状態と濡れた状態との使用感の変化を小さくすることで、定められた規格から逸脱しにくくできるという効果も期待できる。
さらに、充填材中に卵殻膜を含有することにより、二酸化炭素を吸収する効果を付加することができる。充填材中の卵殻膜含有量は、4~8質量%であることが好ましい。卵殻膜が少な過ぎると二酸化炭素吸収効果が期待できず、一方、卵殻膜が多過ぎると充填が困難になることと、卵殻膜は比重が小さくチップ状であるがゆえに、雨水によって流れ出し易くなるという不都合があるからである。
次に、図1に示す人工芝の製造方法について説明する。まず、パイル糸2を通した針を基材1に対して上下させ、ナイフでパイル2の頭部を切断する。次に、図2に示すように、基材1に対してパイル2を上にして、基材1の下面にSBR系樹脂を塗布して樹脂層3を形成し、基材1の上面にパイル2を植設し、基材1の下面に樹脂層3を有する人工芝を得る。この人工芝を敷設した後、目砂散布機で天然木材繊維と硬質粒径物を散布し、回転ブラシ等でブラッシングすることによりパイル2間に充填材4を充填する。
以下に、本発明の人工芝の有する効果を実証するための実験について説明する。
(1)保水性
平均繊維長が5mmの杉材70質量%と平均繊維長が5mmの檜材30質量%からなる木材繊維と、人工軽量土(東邦レオ製「ビバソイル」)について、保水性を調査した。その結果、木材繊維の最大保水能は470~560kg/mであったが、人工軽量土の最大保水能は260~320kg/mであった。木材繊維は人工軽量土の約2倍の最大保水能を有することが分かる。最大保水能とは、上記の木材繊維または人工軽量土の表面から水が染み出て外部に排出されない状態において、その木材繊維または人工軽量土の表面積に対して木材繊維または人工軽量土に含有されている水の量をいう。
(2)吸水性
屋外に、縦1mで横1mの正方形状の防水処理したパネルを、水平に対して5°傾斜させて設置し、その防水処理パネルの上に厚さ100mmで上記木材繊維または人工軽量土を積層し、その木材繊維または人工軽量土の上に降った自然降雨による累計降雨量と、木材繊維または人工軽量土が吸水せずに流出した雨水の量を測定した。その結果を表1に示す。
Figure 2023109709000002
表1に示すように、木材繊維は優れた吸水性能を有している。表1において、吸水率は以下のようにして求めることができる。累計降雨量は、1mの面積に対する降雨量を意味するから、例えば、累計降雨量が23mmの場合の吸水率(%)は以下のようにして求めることができる。
[(0.0230-0.0002)/0.0230]×100=99.1
(3)表面温度
図3において線Aは同上木材繊維(段落0029)と硬質粒径物である珪砂からなる充填材(木材繊維が16.1質量%)を充填した人工芝の表面温度の推移を示し、線Bは合成ゴムを粉砕して粒径が0.5mmから4.0mm範囲にあるゴムチップと硬質粒径物である珪砂からなる充填材(ゴムチップが20.0質量%)を充填した人工芝の表面温度の推移を示す。すなわち、図3は、縦が230mm、横が150mm、厚さが40mmの同上木材繊維(段落0029)と硬質粒径物である珪砂を充填した人工芝と、縦が230mm、横が150mm、厚さが40mmの上記ゴムチップと硬質粒径物である珪砂を充填した人工芝に対して、高さ450mmの位置から500Wのハロゲンランプを照射して、5分後、10分後、15分後、20分後、25分後、30分後の表面温度(℃)の推移を赤外線放射温度計(佐藤計量器製作所製の商品名:SK-87002)で測定することによって得たものである。図3に示すように、木材繊維と硬質粒径物を充填した人工芝(線A)はゴムチップと硬質粒径物を充填した人工芝(線B)に対して、表面温度の上昇量が少ないことが分かる。
(4)脱臭性能
アンモニアと硫化水素を対象とした脱臭性能を検知管法で測定した。すなわち、5リットルのテトラパック(登録商標)に、杉および檜を原料とする天然木材繊維(段落0029)の試験片を2g封入し、上記テトラパック(登録商標)内のアンモニアの初期濃度を45ppm、硫化水素の初期濃度を20ppmとし、テトラパック(登録商標)内のそれぞれの濃度を2時間後と24時間後に検知管で測定した
[アンモニア]
その結果、テトラパック(登録商標)内の2時間後のアンモニアの濃度は20ppm、24時間後のアンモニアの濃度は7.5ppmになった。すなわち、24時間にアンモニアは83.3%低減されたことを確認した。
[硫化水素]
その結果、テトラパック(登録商標)内の2時間後の硫化水素の濃度は13ppm、24時間後の硫化水素の濃度は2.5ppmになった。すなわち、24時間に硫化水素は87.5%低減されたことを確認した。
(5)殺菌性能
黄色ブドウ球菌(ATCC6538P)に対する同上木材繊維(段落0029)の殺菌性能について調査した。その結果、以下の表2の結果を得た。表2の数値は、黄色ブドウ球菌を含有する試験液に含まれる黄色ブドウ球菌の個数を試験液の重量(g)で除した数値を示す。すなわち、木材繊維に対して黄色ブドウ球菌を含有する試験液を噴霧して、1日後にその木材繊維から試験液を採取して黄色ブドウ球菌の個数をカウントし、試験液の重量(g)当たりの黄色ブドウ球菌の個数を求め、同様に、4日後にその木材繊維から試験液を採取して黄色ブドウ球菌の個数をカウントし、試験液の重量(g)当たりの黄色ブドウ球菌の個数を求め、7日後にその木材繊維から試験液を採取して黄色ブドウ球菌の個数をカウントし、試験液の重量(g)当たりの黄色ブドウ球菌の個数を求めた。表2の対照は、シャーレ上で培養された試験液の重量(g)当たりの黄色ブドウ球菌の個数を示す。
Figure 2023109709000003
表2に明らかなように、木材繊維は黄色ブドウ球菌に対する優れた殺菌性能を有していることが分かる。
(6)卵殻膜のCO吸収性能
縦が30cmで、横が30cmで、高さが30cmであるアクリル樹脂製ケース内に、COモニター(C.H.C SYSTEM CO.LTD製の商品名「マーベル003」)を挿入して密閉状態にし、アクリル樹脂製ケース内の環境を,温度19.0±0.5℃、湿度39±0.5%に設定した。そして、アクリル樹脂製ケース内に上記COモニター以外は何も無い状態の空試験と、アクリル樹脂製ケース内に乾燥および粉砕した卵殻膜50gを挿入した卵殻膜挿入試験について、アクリル樹脂製ケース内のCO濃度を上記COモニターで、1分毎に、合計で30分間にわたって測定した。アクリル樹脂製ケース内の初期CO濃度は、空試験および卵殻膜挿入試験のいずれも901ppmであった。そのCO濃度測定結果を図4に示す。
図4において、線Cは卵殻膜挿入試験のアクリル樹脂製ケース内のCO濃度の推移を示し、線Dは空試験のアクリル樹脂製ケース内のCO濃度の推移を示す。図4の縦軸はCO濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(分)を示す。図4に明らかなように、卵殻膜は優れたCO吸収性能を有している。
以上の実証実験結果に基づけば、本発明の人工芝は以下のような効果を有している。
(1)表面温度の上昇を抑えることができるので、温暖化対策として有効である。
(2)充填材として天然の杉や檜の間伐材の樹皮を利用することで森林の健全化を図り、二酸化炭素の削減に寄与する。
(3)吸水性と保水性に優れているので、濡れたフィールド上の水浮きを軽減することができる。
(4)殺菌作用で雑菌の繁殖と傷口の化膿を抑えることができる。
(5)杉の成分「セドロール」の効果により、虫類を寄せ付けない効果がある。
(6)卵殻膜により、優れた二酸化炭素吸収効果が期待できる。
フリーズドライ製法での施工性検証
3.5mと11mの長さからなる長方形状の部分(38.5m)にロングパイル人工芝(図1に示す側断面を有するもの)を敷設し、比重が0.1以上である杉および檜を原料とする天然木材繊維(段落0029)と珪砂からなる充填材(天然木材繊維が16.1質量%)を充填するための試験を行った。しかし、杉および檜を原料とする天然木材繊維を上記ロングパイル人工芝上に撒こうとした際、比重が軽いことと繊維状であるために、ロングパイル間に絡まりやすく、充填するのに長時間を要した。そのときの充填に要した時間は3時間であり、通常のゴムチップの充填に要する時間の平均値(2時間)の1.5倍であった。
この問題を解決すべく、杉および檜を原料とする天然木材繊維の充填時間の短縮を図るために、杉および檜を固形状のペレット化した。この固形状のペレット化により上記ロングパイル人工芝への充填時間は短縮された。しかし、ペレタイザーで熱と圧力を加えてペレット化する際、ペレット化に際して天然木材繊維の繊維質が残らず粉末状になってしまった。このような天然木材繊維のペレットを含む人工芝を実際にサッカー場などの屋外スポーツ施設に敷設すると、雨水などの水を含んだ状態では泥状となってしまい、フィールド上での水浮きという問題やボールの反発性能が損なわれることが懸念される。
そこで、固形状で充填時に上記ロングパイル間に充填しやすく、且つ充填後に天然木材繊維の繊維質が残る手法としてフリーズドライ製法(-30℃まで瞬間的に凍結させて、真空状態で乾燥させる方法)で、杉および檜を原料とする天然木材繊維を固形化することとした。同上長方形状の部分(38.5m)にロングパイル人工芝を敷設し、比重が0.1以上である杉および檜を原料とする天然木材繊維(段落0029)をフリーズドライ製法で固形化したものと珪砂からなる充填材(天然木材繊維が16.1質量%)を充填した。そのときの充填に要した時間は2時間であり、通常のゴムチップの充填に要する時間とほぼ同じであった。また、天然木材繊維をフリーズドライ製法で固形化することで、繊維質を壊すことなく元の状態に戻すことができる。
本発明は、人工芝として好適である。
1 基材
2 パイル
3 樹脂層
4 充填材

Claims (3)

  1. 基材と、この基材の一方の面に植設されたパイルを有し、上記パイル間に充填材が充填された人工芝であって、上記充填材は比重が0.1以上である間伐材から採取された樹皮である杉および檜を原料とする天然木材繊維と硬質粒径物からなり、上記天然木材繊維の平均繊維長は0.5~20.0mmであることを特徴とする人工芝。
  2. 天然木材繊維は充填材の10質量%以上であることを特徴とする請求項1記載の人工芝。
  3. 充填材は乾燥及び/又は粉砕した卵殻膜を含有することを特徴とする請求項1または2記載の人工芝。
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