JP2023107545A - カチオン重合触媒、カチオン重合用組成物、重合体の製造方法 - Google Patents

カチオン重合触媒、カチオン重合用組成物、重合体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】超低温より高い温度で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得ることができるカチオン重合触媒、カチオン重合用組成物、及び重合体の製造方法を提供する。【解決手段】本発明は、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーのカチオン重合に用いるカチオン重合触媒であり、前記カチオン重合触媒は、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が99:1~10:90である、カチオン重合触媒に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、イソオレフィン系化合物及び/又はスチレン系化合物のカチオン重合に用いるカチオン重合触媒、カチオン重合用組成物、重合体の製造方法に関する。
イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーの重合は、カチオン重合で行われている。カチオン重合は、通常、ルイス酸触媒等を用いて行われているが、成長種の不安定さから、重合停止や連鎖移動等の副反応が起こりやすく、分子量を制御しにくく、分子量分布が広くなりやすい。イソオレフィン系化合物等のモノマーの場合、カチオン重合を超低温で行うことで分子量分布を狭くすることが提案されている。例えば、特許文献1には、-70℃で、イソブチレンとスチレンをカチオン重合することが記載されている。
特開2007-197557号公報
しかし、特許文献1のように、-70℃等の超低温でカチオン重合を行うことは、エネルギーコストがかかる問題があった。
本発明は、従来の課題を解決するため、超低温より高い温度で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得ることができるカチオン重合触媒、カチオン重合用組成物、及び重合体の製造方法を提供する。
本発明は、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーのカチオン重合に用いるカチオン重合触媒であり、前記カチオン重合触媒は、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が99:1~10:90である、カチオン重合触媒に関する。
本発明は、前記カチオン重合触媒、及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを含むカチオン重合用組成物に関する。
本発明は、前記カチオン重合触媒の存在下、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを重合させて重合体を得る重合工程を含む、重合体の製造方法に関する。
本発明は、超低温より高い温度で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得ることができるカチオン重合触媒及びそれを含むカチオン重合用組成物を提供することができる。
本発明の重合体の製造方法によれば、超低温より高い温度で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得ることができる。
本発明の発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が特定範囲であるカチオン重合触媒を用いることで、超低温より高い温度(例えば、-50℃以上の温度)で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得られ得ることを見出した。
具体的には鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が特定範囲であるカチオン重合触媒を用いることで、超低温より高い温度(例えば、-50℃以上の温度)で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布、すなわち重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)が1.50以下であり、Mnの実測値/Mnの理論値が0.80~1.20の範囲に制御された重合体を得ることができる。本明細書において、数値範囲を「~」で示している場合は、該数値範囲は両端値を含む。
(カチオン重合触媒)
カチオン重合触媒は、鉄化合物であるルイス酸及びスズ化合物であるルイス酸を含む。カチオン重合時に、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸を混合したものを用いてもよく、別別に重合系に加えてもよい。
鉄化合物は、ルイス酸であればよく、特に限定されない。前記鉄化合物としては、例えば、下記一般式(1)で表される化合物等が挙げられる。
一般式(1)において、R1は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X1は、ハロゲン原子を示し、mは0~2の整数を示し、R1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。
中でも、入手性及び重合活性の面からハロゲン化鉄(III)が好ましく、塩化鉄(III)がより好ましい。
スズ化合物は、ルイス酸であればよく、特に限定されない。前記スズ化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される化合物等が挙げられる。
一般式(2)において、R2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X2は、ハロゲン原子を示し、nは0~3の整数を示し、R2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。
中でも、入手性及び重合活性の面からハロゲン化スズ(IV)が好ましく、塩化スズ(IV)がより好ましい。
カチオン重合触媒において、鉄化合物に由来する鉄原子とスズ化合物に由来するスズ原子のモル比(鉄原子:スズ原子)は、99:1~10:90である。重合速度の観点から、鉄化合物に由来する鉄原子とスズ化合物に由来するスズ原子のモル比(鉄原子:スズ原子)は、好ましくは95:5~50:50であり、さらに好ましくは95:5~65:35であることがさらに好ましく、95:5~70:30であることが特に好ましい。
鉄化合物の使用量は、鉄化合物に由来する鉄原子とスズ化合物に由来するスズ原子のモル比が上述した範囲を満たせばよく、特に限定されない。使用するモノマーの重合特性及び重合濃度、並びに発熱挙動等を鑑みて任意に設定することができる。好ましくは重合開始剤に対して、モル数で0.1~200倍の範囲で用いられ、より好ましくはモル数で0.1~100倍の範囲で用いられ、さらにより好ましくはモル数で0.1~50倍の範囲で用いられ、特に好ましくはモル数で0.1~10倍の範囲で用いられる。
スズ化合物の使用量は、鉄化合物に由来する鉄原子とスズ化合物に由来するスズ原子のモル比が上述した範囲を満たせばよく、特に限定されない。使用するモノマーの重合特性及び重合濃度、並びに発熱挙動等を鑑みて任意に設定することができる。好ましくは重合開始剤に対して、モル数で0.1~200倍の範囲で用いられ、より好ましくはモル数で0.1~100倍の範囲で用いられ、さらにより好ましくはモル数で0.1~50倍の範囲で用いられ、特に好ましくはモル数で0.1~10倍の範囲で用いられる。
カチオン重合触媒は、重合時に、後述する電子供与体と併用してもよい。電子供与体は、カチオン重合に際して生長末端の炭素カチオンを安定化させる効果があるものと考えられており、電子供与体を併用することで、分子量分布が狭くかつ構造が制御された重合体を得やすくなる傾向がある。また、カチオン重合触媒は、重合時に、後述する有機溶媒と併用してもよい。
(カチオン重合用組成物)
カチオン重合用組成物は、上述したカチオン重合触媒と、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選ばれる一つ以上のモノマーを含む。上述したカチオン重合触媒を用いることで、超低温より高い温度(例えば、-50℃)で、イソオレフィン系化合物やスチレン系化合物等のモノマーをカチオン重合し、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得ることができる。
イソオレフィン系化合物とは、二重結合を一つのみ有しており、二重結合を形成する二つの炭素原子のうち一つの炭素原子に二つのアルキル基が結合している化合物、あるいは二重結合を一つのみ有しており、二重結合を形成する二つの炭素原子のそれぞれに二つのアルキル基が結合している化合物を意味する。
イソオレフィン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、炭素数4~7のイソオレフィン(例えば、イソブチレン、2-メチル-1-ブテン、2-メチル-2-ブテン等)が挙げられる。中でも、イソオレフィン系重合体がガスバリア性及び湿分バリア性に優れたものになることから、イソブチレンが好ましい。イソオレフィン系化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
スチレン系化合物としては、特に限定されないが、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、アミノスチレン、ジビニルベンゼン、カルボキシスチレン、アセチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ニトロスチレン、スルホニルスチレン、及びα-メチルスチレン等が挙げられる。スチレン系化合物は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
カチオン重合用組成物は、さらに、重合開始剤を含んでもよい。重合開始剤としては、カチオン重合法に一般に使用される重合開始剤を使用することができ、特に限定されないが、例えば、下記一般式(3)で表される化合物を好適に用いることができる。下記一般式(3)で表される化合物は、ルイス酸等の存在下炭素カチオンを生成し、カチオン重合の開始点になると考えられる。
前記一般式(3)中、複数のR3は同一又は異なっていてもよく、水素原子又は炭素数1~6の1価の炭化水素基を示し、R4は1価若しくは多価の芳香族炭化水素基又は1価若しくは多価の脂肪族炭化水素基を示し、X3はハロゲン原子、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアシロキシ基(アシルオキシ基)を示し、pは1~6の整数を表し、X3が複数存在する時、それらは同一であっても異なってもよい。
上記一般式(3)で表される化合物としては、例えば、(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン[C65C(CH32Cl]、1,4-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン[1,4-Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン[1,3-Cl(CH32CC64C(CH32Cl]、1,3,5-トリス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン[1,3,5-(ClC(CH32363]、1,3-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)-5-(tert-ブチル)ベンゼン[1,3-(C(CH32Cl)2-5-(C(CH33)C63]等が挙げられる。中でも、1,4-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン、1,3-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン及び1,3-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)-5-(tert-ブチル)ベンゼンからなる群から選ばれる一つ以上が好ましく、1,4-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼン及び1,3-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼンからなる群から選ばれる一つ以上のビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼンがより好ましい。なお、ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼンは、ビス(α-クロロイソプロピル)ベンゼン、ビス(2-クロロ-2-プロピル)ベンゼンあるいはジクミルクロライドとも称され、1,4-ビス(1-クロル-1-メチルエチル)ベンゼンはp-ジクミルクロライドとも称される。
カチオン重合用組成物は、さらに、電子供与体を含むことが好ましい。電子供与体を含むことで、分子量分布が狭くかつ構造が制御された重合体を得やすくなる傾向がある。
電子供与体としては、例えば、ピリジン系化合物、アミン系化合物、アミド系化合物、スルホキシド系化合物、エステル系化合物、エーテル系化合物、アルコール系化合物、金属原子に結合した酸素原子を有する金属化合物等が挙げられる。より具体的には、種々の化合物の電子供与体としての強さを表すパラメーターとして定義されるドナー数が15~60であるものを好ましく使用できる。
ピリジン系化合物としては、例えば、2,6-ジ-tert-ブチルピリジン、2-tert-ブチルピリジン、2,4,6-トリメチルピリジン、2,6-ジメチルピリジン、2-メチルピリジン、及びピリジン等が挙げられる。
アミン系化合物としては、例えば、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、及びN,N-ジメチルアニリン等が挙げられる。
アミド系化合物としては、例えば、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、及びヘキサメチルリン酸トリアミド等が挙げられる。
スルホキシド系化合物としては、例えば、ジメチルスルホキシド等が挙げられ、エーテル系化合物としては、例えば、ジエチルエーテル等が挙げられる。
エステル系化合物としては、酢酸メチル、酢酸エチル、及びリン酸トリメチル等が挙げられる。
アルコール系化合物としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、及び2-プロパノール等が挙げられる。
金属化合物としては、例えば、チタン(III)メトキシド、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、チタン(IV)ブトキシド等のチタンアルコキシド、アルミニウムトリエトキシド、アルミニウムトリブトキシド等のアルミニウムアルコキシド等が挙げられる。
中でも、副反応の抑制効果の観点からピリジン類やアミン類等が好ましく、触媒の溶解性向上効果の観点から、エーテル類、エステル類、及びアルコール類等が好ましい。
上述した電子供与体は、1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。電子供与体は、通常、重合開始剤に対してモル数で0.01~100倍の範囲で用いられ、0.1~50倍の範囲で用いられることが好ましい。
カチオン重合用組成物は、さらに有機溶媒を含んでもよい。有機溶媒としては、カチオン重合で一般的に使用される有機溶媒であれば特に限定されず、ハロゲン化炭化水素;脂肪族炭化水素及び芳香族炭化水素等の非ハロゲン化炭化水素;又はこれらの混合物等を用いることができる。
ハロゲン化炭化水素としては、例えば、塩化メチル、塩化メチレン、クロロエタン、ジクロロエタン、1-クロロプロパン、1-クロロ-2-メチルプロパン、1-クロロブタン(塩化ブチルとも称される)、1-クロロ-2-メチルブタン、1-クロロ-3-メチルブタン、1-クロロ-2,2-ジメチルブタン、1-クロロ-3,3-ジメチルブタン、1-クロロ-2,3-ジメチルブタン、1-クロロペンタン、1-クロロ-2-メチルペンタン、1-クロロ-3-メチルペンタン、1-クロロ-4-メチルペンタン、1-クロロヘキサン、1-クロロ-2-メチルヘキサン、1-クロロ-3-メチルヘキサン、1-クロロ-4-メチルヘキサン、1-クロロ-5-メチルヘキサン、1-クロロヘプタン、1-クロロオクタン、2-クロロプロパン、2-クロロブタン、2-クロロペンタン、2-クロロヘキサン、2-クロロヘプタン、2-クロロオクタン、クロロベンゼン等が使用できる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
脂肪族炭化水素としては、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、2-メチルプロパン、2-メチルブタン、2,3,3-トリメチルペンタン、2,2,5-トリメチルヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、パラフィン油等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
芳香族系炭化水素としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、ブチルベンゼン等が挙げられる。これらは1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
中でも、溶解性及び経済性の点から炭素数3~5のハロゲン化炭化水素と脂肪族炭化水素との混合有機溶媒を用いることが好ましく、1-クロロプロパン、1-クロロブタン、及び1-クロロペンタンからなる群から選択される1種以上のハロゲン化炭化水素と、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、及びエチルシクロヘキサンからなる群から選択される1種以上の非ハロゲン化炭化水素との組み合わせが溶解性、経済性、反応性、及び後処理工程での蒸留のしやすさの点から特に好ましい。
有機溶媒は、重合体の溶液の粘度及び除熱の容易さを考慮して、得られる重合体の濃度が1~50重量%となるように設定するのが好ましく、1~30重量%となるように設定することがより好ましい。
一般に、カチオン重合は水分の混入によって重合が阻害されることが知られている。そのため、使用する前に有機溶媒中の水分は除いておくことが望ましい。水分の脱水方法としては、一般的な脱水剤である塩化カルシウム又はモレキュラーシーブス等の添加及び接触により水分を除去する方法を用いることが可能である。
カチオン重合用組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内において、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選ばれる一つ以上のモノマーに加えて他のカチオン重合可能なモノマーを含んでもよい。カチオン重合用組成物は、分子量分布が狭く、分子量が制御された重合体を得やすい観点から、モノマー成分の合計100重量部に対して、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選ばれる一つ以上のモノマーを60重量部以上含むことが好ましく、70重量部以上含むことがより好ましく、80重量部以上含むことがさらに好ましく、90重量部以上含むことがさらにより好ましく、100重量部であることが特に好ましい。また、カチオン重合用組成物は、重合体の物性や取り扱いやすさの観点から、モノマー成分の合計100重量部に対して、イソオレフィン系化合物を60重量部以上90重量部以下、スチレン系化合物を10重量部以上40重量部以下含むことが好ましく、イソオレフィン系化合物を70重量部以上90重量部以下、スチレン系化合物を10重量部以上30重量部以下含むことがより好ましく、イソオレフィン系化合物を80重量部以上90重量部以下、スチレン系化合物を10重量部以上20重量部以下含むことがさらに好ましい。
他のカチオン重合可能なモノマーとしては、例えば、イソオレフィン系化合物以外の脂肪族オレフィン系化合物、スチレン系化合物以外の芳香族ビニル系化合物、ジエン系化合物、ビニルエーテル系化合物等が挙げられる。
(重合体の製造方法)
イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマー、並びに必要に応じて他のカチオン重合可能なモノマーを、上述したカチオン重合触媒の存在下、重合させて重合体を作製する。
重合体の製造方法において、重合工程は、上述したとおり、カルボカチオンを生長種とするカチオン重合法で行う。本明細書において、特に指摘がない条件等については、公知乃至慣用の方法を適用してカチオン重合を進行させることができる。
重合工程は、エネルギーコスト削減の観点から、超低温より高い温度で行うことが好ましい。エネルギーコスト削減及び狭い分子量分布の重合体を得やすい観点から、-60℃~-30℃の範囲で行うことが好ましく、-55℃~-30℃の範囲で行うことがより好ましく、-55℃~-45℃の範囲で行うことがさらに好ましい。具体的には、カチオン重合触媒以外の重合に用いる各成分を超低温より高い温度まで冷却した後に、カチオン重合触媒を加えて重合を開始することができる。重合溶液に水等を加えることで重合を終了することができる。
重合時間は特に限定されないが、例えば、生産性の観点で、1分~48時間が好ましく、10分~36時間がより好ましく、30分~24時間がさらに好ましい。
重合工程は、カチオン重合触媒と、上述した重合開始剤、電子供与体及び有機溶媒を共存させた条件下で行うことが好ましい。各成分の使用量は、目的とする重合体の性質に基づいて適宜設定することができる。例えば、モノマー、カチオン重合触媒、電子供与体及び有機溶媒の使用量は、カチオン重合用組成物の欄の説明に基づいて、適宜用いることができる。
重合体の製造方法は、重合工程に加えて、他の工程を含んでもよい。他の工程としては、例えば、重合工程で得られた重合体溶液(ドープ)から有機溶媒や水等を除去する工程等が挙げられる。ドープから有機溶媒や水を除去する方法は、特に限定されず、公知乃至慣用の方法を選択して実施できる。除去した有機溶媒は、適宜精製してもよい。
重合に使用される有機溶媒をより高度に精製する方法としては、蒸留による方法が挙げられる。蒸留であれば、沸点に差異のある不純物はほぼ除去することが可能である。蒸留はバッチ蒸留でもよいし連続蒸留でもよい。例えば、バッチ蒸留の場合には、蒸留初期の塔頂留出液を抜き出すことにより低沸点不純物を除去し、かつ蒸留後の塔底残存液を抜き出すことにより高沸点不純物を除去することができる。連続蒸留の場合には、除去対象不純物の種類によって、1本又は複数本の蒸留塔により不純物が除去可能である。
上記で得られた重合体は、イソオレフィン系化合物の単独重合体、スチレン系化合物の単独重合体、及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物の共重合体のいずれであってもよい。共重合体の場合、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体の場合、ジブロック共重合体であってもよいし、トリブロック共重合体等の3以上のポリマーブロックを有するマルチブロック共重合体であってもよい。ブロック共重合体としては、例えば、イソオレフィン系化合物を主たるモノマー単位とするイソオレフィン系重合体ブロックと、スチレン系化合物を主たるモノマー単位とするスチレン系重合体ブロックとを有する共重合体、より詳しくは例えば、イソオレフィン系重合体ブロックの両端にスチレン系重合体ブロックを有するトリブロックポリマー(例えば、SIBS系ポリマー)等が挙げられる。イソオレフィン系重合体ブロックにおいて、イソオレフィン系化合物由来の主たるモノマー単位は、60重量%以上であることが望ましく、80重量%以上であることがより望ましい。スチレン系重合体ブロックにおいて、スチレン系化合物由来の主たるモノマー単位は、60重量%以上であることが望ましく、80重量%以上であることがより望ましい。
上記で得られた重合体は、分子量分布が狭い観点から、分子量分布(Mw/Mn)が1.50以下であることが好ましく、1.48以下であることがより好ましく、1.46以下であることがさらに好ましい。分子量分布(Mw/Mn)の下限は、特に限定されないが、例えば、1.05以上であってもよい。具体的には、重合体の分子量分布は、1.05~1.50であることが好ましく、1.05~1.48であることがより好ましい。本発明の1以上の実施形態において、重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いて測定し、標準ポリスチレン換算法にて算出した実測値である。
上記で得られた重合体は、分子量の制御性が高い観点から、Mn実測値/Mn理論値が0.80~1.20であることが好ましい。本発明の1以上の実施形態において、Mn理論値は、下記の数式1のように算出したものである。本明細書において、特に指摘がない場合、Mnは実測値を意味する。
上記で得られた重合体のMnは、重合体の目的等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、分子量分布が狭く、分子量の制御性が高い観点から、数平均分子量(Mn)が~3,000~300,000g/molの範囲であってもよく、5,000~200,000g/molの範囲であってもよい。
上記で得られた重合体は、従来のイソオレフィン系化合物の単独重合体、スチレン系化合物の単独重合体、及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物の共重合体と同様に様々な用途に適宜用いることができる。特に、イソオレフィン系重合体、すなわちイソオレフィン系化合物の単独重合体及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物の共重合体は、通常、ガスバリア性、及び柔軟性に富み、成形加工性、ゴム的特性、機械的強度、及び圧縮永久歪み特性に優れていることから、例えば、以下のような用途に利用可能である。但し、上記で得られたイソオレフィン系重合体の用途は、下記用途には特に限定されない。
(1)改質剤:樹脂改質剤(熱可塑性樹脂の耐衝撃性改質剤、制振性改質剤、ガスバリア性改質剤、軟化剤等;熱硬化性樹脂の耐衝撃性改質剤、低応力化剤等)、アスファルト改質剤(道路用アスファルト改質剤、防水シート用アスファルト改質剤、橋梁床版用防水剤)、及びゴム改質剤。
(2)接着剤又は粘着剤:ホットメルト系接着剤、水系接着剤、溶剤系接着剤、及び粘着剤。
(3)粘度調整剤:オイル、潤滑油等に添加する粘度調整剤。
(4)コーティング剤:塗料等に利用するベースレジン、及びシーラント。
(5)塩化ビニル系樹脂代替等に使用される材料:ケーブル、コネクター及びプラグ等の電線被覆剤;人形等の玩具;養生用テープ;ロゴマーク(スポーツウェア及びスポーツシューズ用);キャリーバッグ;衣料用包装材;トラックの幌;農業用フィルム(ハウス栽培用);消しゴム;業務用エプロン(ターポリン);床材及び天井材等の建物の内装材;レインコート、雨傘、ショッピングバッグ、椅子及びソファー等の表皮材;ベルトや鞄等の表皮材;ガーデンホース、冷蔵庫のガスケット(パッキング)、洗濯機又は掃除機のフレキシブルホース;並びに自動車用内装材。
(6)制振材、防振材、又は緩衝材:制振材(とくにアルミ又は銅版とともに多層に張り合わせた制振材)、防振材、緩衝材(建築用途、自動車用途、フロアー制振用途、フローリング用途、遊戯器具用途、精密機器用途、及び電子機器用途に使用)、靴底、文具及び玩具用品のグリップ、ゴルフクラブ及びバット等の心材、テニスラケット及び卓球ラケット等のラバー、並びにテニスラケット及び卓球ラケット等のグリップ。
(7)防音材、又は吸音材:自動車内外装材、自動車天井材、鉄道車両用材、及び配管用材。
(8)シール材:ガスケット、建築用ガスケット、栓体、合わせガラス用及び被覆ガラス用のガラスシール材、包装材、シート、多層シート、容器及び多層容器等のガスバリア用材、土木シート、防水シート、包装輸送資材、シーラント、医療用薬栓、並びにシリンジガスケット。
(9)チューブ:衣料用チューブ、インク用チューブ、食品用チューブ。
(10)発泡体:ビーズ発泡、徐圧発泡又は押出発泡による発泡体(配管被覆材、合成木材、木粉系発泡体等)、並びに化学発泡又は物理発泡における発泡剤のキャリヤー。
(11)その他:衣料用途;難燃剤用途;キャップ;バッグ;ガスケット;ホース;シューズ;運動用具類;発泡性耐火シート、エアバッグカバー、バンパー、内装部品(インパネの表皮材、シフトノブ等の表皮材等)、ウェザーストリップ、ルーフモール、ドア下モール等の自動車用部材;電子レンジ用食品トレー、ポーション用食品容器、食品容器用ラミネートフィルム、食品容器用ポリスチレンシート(刺身容器、鶏卵パック等)、カップラーメン容器、ポリスチレン系網目状発泡体、冷菓カップ、透明飲料カップ等の食品容器;ICトレー;CD-ROMシャーシ;ホイールキャップ;弾性糸;不織布;ワイヤーハーネス;紙おむつのパックシート;2色成形用コンパウンド材;水中ゴーグル;パソコン用マウス;クッション;及びストッパー。
以下、実施例にて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例によって本発明はなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で用いた測定・評価方法は以下のとおりである。
[分子量測定]
重合体の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を用いた標準ポリスチレン換算法により測定・算出した。測定装置としては東ソー社製HLC-8320型GPCシステムを用いて、クロロホルムを移動相とし、カラム温度40℃の条件下にて、ポリマー濃度が1mg/mLである試料溶液を注入することで測定した。
また、数平均分子量(Mn)の理論値(Mn理論値)は、下記数式1に基づいて算出した。
(実施例1)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒133mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン53.8mL(0.570mol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液4.20g(p-ジクミルクロライド:2.73mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)3.25g(20.0mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒37.1mLを加えた後、さらに、2-プロパノール1.59mL(20.6mmol)、及び塩化スズ(IV)0.26mL(2.2mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、上記重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液4.02mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから60分後には、イソブチレンの90モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は10,300g/mol、分子量分布は1.24であった。
(実施例2)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒43mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液1.56g(p-ジクミルクロライド:1.01mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)0.55g(3.4mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒8.4mLを注射器を用いて加えた後、さらに2-プロパノール0.36mL(4.7mmol)、及び塩化スズ(IV)0.10mL(0.85mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液1.49mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから30分後には、イソブチレンの92モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は12,800g/mol、分子量分布は1.37であった。
(実施例3)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒43mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液1.56g(p-ジクミルクロライド:1.01mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)0.32g(2.0mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒5.6mLを注射器を用いて加えた後、さらに2-プロパノール0.24mL(3.2mmol)、及び塩化スズ(IV)0.10mL(0.85mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液1.49mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから30分後には、イソブチレンの99モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は13,900g/mol、分子量分布は1.24であった。
(実施例4)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒62mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)1.25g(7.69mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒17.9mLを注射器を用いて加えた後、さらに酢酸エチル0.68mL(6.9mmol)、及び塩化スズ(IV)0.10mL(0.85mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液5.04mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから60分後に、さらに触媒溶液を2.52mL追加した。最初に触媒溶液を投入してから75分後には、イソブチレンの97モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は30,600g/mol、分子量分布は1.35であった。
(実施例5)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒65mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)1.25g(7.69mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒17.9mLを注射器を用いて加えた後、さらに2-プロパノール0.61mL(7.9mmol)、塩化スズ(IV)0.10mL(0.85mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液1.01mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから20分後に、さらに触媒溶液を1.01mL追加した。最初に触媒溶液を投入してから50分後には、イソブチレンの99モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は33,200g/mol、分子量分布は1.26であった。
(実施例6)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒85mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、スチレン4.24mL(36.9mmol)を加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、スクリュー管に塩化鉄(III)1.25g(7.69mmol)を量り取り、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒18.1mLを注射器を用いて加えた後、さらに2-プロパノール0.61mL(7.9mmol)、及び塩化スズ(IV)0.10mL(0.85mmol)を加え、触媒溶液を作製した。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、作製した触媒溶液2.02mLを加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、スチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。触媒溶液を投入してから90分後には、スチレンの87モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、スチレン重合体の数平均分子量は11,300g/mol、分子量分布は1.46であった。
(比較例1)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒66mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、2-メチルピリジン0.016g(0.17mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒3.00mLを加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比7:3で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、塩化チタン(IV)0.16mL(1.5mmol)を加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。塩化チタン(IV)を投入してから42分後に、さらに塩化チタン(IV)を0.08mL(0.7mmol)追加した。最初に塩化チタン(IV)を投入してから75分後には、イソブチレンの98モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は30,800g/mol、分子量分布は1.63であった。
(比較例2)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒57mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、2-メチルピリジン0.016g(0.17mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒5.00mLを加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、上記重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、塩化チタン(IV)0.16mL(1.5mmol)を加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。塩化チタン(IV)を投入してから31分後に、さらに塩化チタン(IV)を0.08mL(0.7mmol)追加した。最初に塩化チタン(IV)を投入してから104分後には、イソブチレンの100モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は27,200g/mol、分子量分布は1.54であった。
(比較例3)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒77mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、スチレン4.24mL(36.9mmol)を加えた。次に、2-メチルピリジン0.016g(0.17mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒5.00mLを加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、上記重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、塩化チタン(IV)0.16mL(1.5mmol)を加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。塩化チタン(IV)を投入してから90分後には、スチレンの93モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、スチレン重合体の数平均分子量は5,800g/mol、分子量分布は1.93であった。
(比較例4)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒57mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、2-プロパノール0.053g(0.88mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒5.00mLを加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、上記重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、塩化チタン(IV)0.16mL(1.5mmol)を加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。塩化チタン(IV)を投入してから120分後には、イソブチレンの100モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は19,900g/mol、分子量分布は2.81であった。
(比較例5)
重合容器として500mLのセパラブルフラスコを用い、重合容器内を窒素置換した後、重合容器内に、塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒57mLを注射器を用いて加えた。次に、重合容器を-50℃のドライアイス/エキネン中に浸して冷却した後、イソブチレン20.0mL(0.212mol)を加えた。次に、酢酸エチル0.078g(0.88mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒5.00mLを加えた。次に、15重量%のp-ジクミルクロライドの塩化ブチル溶液0.47g(p-ジクミルクロライド:0.30mmol)、及び塩化ブチルとn-ヘキサンを体積比9:1で混合した混合有機溶媒10mLを加えた。次に、上記重合容器中の溶液が-50℃まで冷却されていることを確認した後、塩化チタン(IV)0.16mL(1.5mmol)を加えることで重合反応を開始させた。
反応中は随時重合溶液を抜き取り、イソブチレンの消費率をガスクロマトグラフィーにより測定した。塩化チタン(IV)を投入してから78分後に、さらに塩化チタン(IV)を0.16mL(1.5mmol)追加した。最初に塩化チタン(IV)を投入してから180分後には、イソブチレンの100モル%が消費されていることを確認した。当該時点における、イソブチレン重合体の数平均分子量は25,500g/mol、分子量分布は1.44であった。
実施例及び比較例1において、イソブチレン重合体の数平均分子量(Mn)、分子量分布(Mw/Mn)及びMn実測値/Mn理論値を表1及び表2に纏めて示した。表1及び表2には、ルイス酸触媒及び電子供与体も併せて示した。
以上の結果より、塩化鉄(III)と塩化スズ(IV)とを含む触媒を使用して重合体を合成している実施例1~6では、分子量分布が比較的狭く、計算値に近い数平均分子量を有する重合体が得られた。
塩化チタン(IV)を使用して重合体を合成している比較例1~5では、分子量分布が広い、あるいは計算値からずれた数平均分子量を有する重合体が得られた。
本発明は、特に限定されないが、少なくとも、下記の実施形態を含むことが好ましい。
[1] イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーのカチオン重合に用いるカチオン重合触媒であり、
前記カチオン重合触媒は、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が99:1~10:90である、カチオン重合触媒。
[2] 前記鉄化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である、[1]に記載のカチオン重合触媒。
(一般式(1)において、R1は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X1は、ハロゲン原子を示し、mは0~2の整数を示し、R1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)
[3] 前記スズ化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、[1]又は[2]に記載のカチオン重合触媒。
(一般式(2)において、R2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X2は、ハロゲン原子を示し、nは0~3の整数を示し、R2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)
[4] 前記鉄化合物は、塩化鉄(III)であり、前記スズ化合物は、塩化スズ(IV)である、[1]~[3]のいずれかに記載のカチオン重合触媒。
[5] [1]~[4]のいずれかに記載のカチオン重合触媒、及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを含むカチオン重合用組成物。
[6] さらに重合開始剤を含む、[5]に記載のカチオン重合用組成物。
[7] さらに電子供与体を含む、[5]又は[6]に記載のカチオン重合用組成物。
[8] 前記電子供与体は、アルコール系化合物及びエステル系化合物からなる群から選ばれる一つ以上である、[7]に記載のカチオン重合用組成物。
[9] [1]~[4]のいずれかに記載のカチオン重合触媒の存在下、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを重合させて重合体を得る重合工程を含む、重合体の製造方法。
[10] 前記重合工程は、-50℃以上-30℃以下の温度で行う、[9]に記載の重合体の製造方法。

Claims (10)

  1. イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーのカチオン重合に用いるカチオン重合触媒であり、
    前記カチオン重合触媒は、鉄化合物であるルイス酸と、スズ化合物であるルイス酸とを含み、鉄原子とスズ原子のモル比が99:1~10:90である、カチオン重合触媒。
  2. 前記鉄化合物は、下記一般式(1)で表される化合物である、請求項1に記載のカチオン重合触媒。
    (一般式(1)において、R1は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X1は、ハロゲン原子を示し、mは0~2の整数を示し、R1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X1が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)
  3. 前記スズ化合物が、下記一般式(2)で表される化合物である、請求項1又は2に記載のカチオン重合触媒。
    (一般式(2)において、R2は、炭素数1~6のアルキル基又は炭素数1~6のアルコキシ基を示し、X2は、ハロゲン原子を示し、nは0~3の整数を示し、R2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよく、X2が複数存在する場合、それらは同一であっても異なってもよい。)
  4. 前記鉄化合物は、塩化鉄(III)であり、前記スズ化合物は、塩化スズ(IV)である、請求項1~3のいずれかに記載のカチオン重合触媒。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のカチオン重合触媒、及びイソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを含むカチオン重合用組成物。
  6. さらに重合開始剤を含む、請求項5に記載のカチオン重合用組成物。
  7. さらに電子供与体を含む、請求項5又は6に記載のカチオン重合用組成物。
  8. 前記電子供与体は、アルコール系化合物及びエステル系化合物からなる群から選ばれる一つ以上である、請求項7に記載のカチオン重合用組成物。
  9. 請求項1~4のいずれかに記載のカチオン重合触媒の存在下、イソオレフィン系化合物及びスチレン系化合物からなる群から選択される少なくとも一つのモノマーを重合させて重合体を得る重合工程を含む、重合体の製造方法。
  10. 前記重合工程は、-50℃以上-30℃以下の温度で行う、請求項9に記載の重合体の製造方法。
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