JP2023105936A - 光硬化性樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】難燃性を有し、耐衝撃性及び曲げ弾性率に優れた硬化物を得ることができ、光硬化を利用した造形方式に対応が可能な光硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】成分(A):単官能2-(アリルオキシメチル)アクリル酸またはそのエステル、成分(B):ラジカル重合性リン酸エステル化合物、成分(C):ラジカル重合開始剤を含有し、成分(A)は、下記一般式(1)で示され、成分(B)は、下記一般式(2)で示される光硬化性樹脂組成物。TIFF2023105936000010.tif26150式(1)中、Rは、水素原子または炭化水素基である。式(2)中、R1はラジカル重合性基、R2は水素原子または炭化水素基である。【選択図】なし

Description

本発明は、光硬化性樹脂組成物、硬化物、物品の製造方法に関する。
近年、三次元積層造形法(Additive Manufacturing(AM))は、造形材料の多様化や装置技術の進化を背景に、製品の製造手段としての活用が進んでいる。この中で、液層光重合法(Vat Photopolymerization)や光造形法(Stereolithography)と呼ばれる造形方式がある。この造形方式は液状の光硬化性樹脂をレーザービームやランプで硬化させて立体形状を形成するもので、高精細かつ高精度の造形が可能であることを特徴とする。一方で、光硬化性樹脂からなる造形物には、高い機械的強度や耐環境性能が要求され、曲げ弾性率、耐衝撃性、耐熱性等の材料物性の改良が進んでいる。
特許文献1には、ラジカル重合性単量体と多官能ラジカル重合性化合物からなる硬化性組成物により可撓性・高硬度・耐熱性を有する硬化性組成物が得られることが記載されている。
特許文献2には、環化重合性モノマーならびにオリゴマー硬化性材料を含むインクを3Dプリンターによる造形に使用することで熱可塑性樹脂と同様の機械的特性を有する造形物が得られることが記載されている。
特開2014-40585号公報 特表2020-505255号公報
光硬化性樹脂からなる造形物を例えば電気電子機器、OA機器、カメラ、コンピュータ等の製品に用いる場合、IEC規格やISO規格、各国の規格に準じた高難燃特性が要求される。昨今、樹脂の難燃化においては環境影響低減の観点からハロゲンフリーの難燃剤または無機フィラーが選択される。アクリル樹脂等、酸素指数の低い樹脂においては、難燃性を発現する上で多量添加が必要であり、結果として造形物の機械的強度低下をもたらし、難燃剤成分による光散乱の増加により高精細かつ高精度の造形に適さない。
本発明は、難燃性を有し、耐衝撃性及び曲げ弾性率に優れた硬化物を得ることができ、光硬化を利用した造形方式に対応が可能な光硬化性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、ラジカル重合により5員環エーテルを含む重合物を形成する単官能モノマー(成分(A))ならびにラジカル重合性リン酸エステル化合物(成分(B))を含有する光硬化性樹脂組成物に関する本発明を完成するに至った。成分(A)と成分(B)は、ラジカル重合により共重合構造を形成する。重合後の硬化物において、成分(A)が重合して形成される5員環エーテルは衝撃を吸収する機能を有し、成分(B)によるリン酸構造は燃焼時の脱水反応によりポリリン酸を主成分とする安定な炭化層を促進することで難燃化を発現する機能を有する。5員環エーテル構造、リン酸構造を有する(メタ)アクリレートが相溶、共重合することで高い難燃性と耐衝撃性が得られることを見出した。
本発明の光硬化性組成物は、
成分(A):単官能2-(アリルオキシメチル)アクリル酸またはそのエステル
成分(B):ラジカル重合性リン酸エステル化合物
成分(C):ラジカル重合開始剤
を含有し、
前記成分(A)は、下記一般式(1)で示され、
Figure 2023105936000001
[一般式(1)中、Rは、水素原子または炭化水素基である。]
前記成分(B)は、下記一般式(2)で示されることを特徴とする。
Figure 2023105936000002
[一般式(2)中、R1はラジカル重合性基、R2は水素原子または炭化水素基である。]
本発明によれば、(メタ)アクリレートを含む化合物を主原料とする光硬化性樹脂組成物において、高い難燃性を有し、耐衝撃性、曲げ弾性率に優れた造形物を得ることができる。また、硬化前の樹脂は高い光透過性を有し、高精細かつ高精度の造形に適した光硬化性樹脂組成物を提供することができる。
自由液面法を用いた造形装置の構成例を示す概略図である。
本実施形態に係る光硬化性樹脂組成物について、詳細を説明する。
<成分(A):単官能2-(アリルオキシメチル)アクリル酸またはそのエステル>
成分(A)である単官能2-(アリルオキシメチル)アクリル酸またはそのエステルは、下記一般式(1)で示される。
Figure 2023105936000003
一般式(1)中、Rは、水素原子または炭化水素基であり、炭化水素基は、飽和または不飽和の炭化水素基であり、置換基を有していても良い。炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状および環状のいずれであってもよく、エーテル結合を含んでいてもよい。
炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ビニルオキシエチル基、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。炭化水素基としては、特に、炭素数1以上4以下の炭化水素基が好適に用いられ、炭素数1以上2以下の炭化水素基がより好適に用いられる。
炭化水素基が有していても良い置換基としては、例えば、ビニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基などの鎖状不飽和炭化水素基;エポキシ基、グリシジル基、オキセタニル基などの環状エーテル構造;メトキシ基、エトキシ基、メトキシエトキシ基などのアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基などのアルキルチオ基;アセチル基、プロピオニル基などのアシル基;アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基などのアシルオキシ基;メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基;メチルチオカルボニル基、エチルチオカルボニル基などのアルキルチオカルボニル基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;ウレイド基;アミド基;シアノ基;水酸基;トリメチルシリル基などが挙げられる。
成分(A)としては、市販品を用いることができ、例えば、AOMA(株式会社日本触媒製)などが挙げられる。
成分(A)が重合して形成される5員環エーテルを含むことで、硬化物の耐衝撃性が向上する。そのため、成分(A)の含有量は、組成物の総量に対して10質量%以上79質量%以下が好適であり、好ましくは20質量%以上70質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上60質量%以下である。
<成分(B):ラジカル重合性リン酸エステル化合物>
成分(B)であるラジカル重合性リン酸エステル化合物は、下記一般式(2)で示される。
Figure 2023105936000004
一般式(2)中、R1はラジカル重合性基、R2は水素原子または炭化水素基である。
1で示されるラジカル重合性基は、好ましくは炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。R1で示されるラジカル重合性基は、例えば、リン酸のエステル結合との間に炭化水素基を含んでいる等、ラジカル重合性基を有する基であっても良い。
1が含んでいても良い炭化水素基は、飽和または不飽和の炭化水素基であり、置換基を有していても良い。R1が含んでいても良い炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状および環状、芳香族環のいずれであってもよく、エーテル結合を含んでいてもよい。
1が含んでいても良い炭化水素基の具体例としては、成分(A)のRで示される炭化水素基として例示した基に対応する二価の基が挙げられる。R1が含んでいても良い炭化水素基が有していても良い置換基としては、成分(A)のRで示される炭化水素基が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
2は、水素原子または炭化水素基であり、炭化水素基は、飽和または不飽和の炭化水素基であり、置換基を有していても良い。R2で示される炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状および環状、芳香族環のいずれであってもよく、エーテル結合を含んでいてもよい。R2で示される炭化水素基は、光硬化時の重合性の観点から、ラジカル重合性基、好ましくは炭素-炭素二重結合を有するラジカル重合性基、より好ましくは(メタ)アクリロイル基を有していてもよい。
2で示される炭化水素基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ビニル基、アリル基、メタリル基、クロチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、ビニルオキシエチル基、エポキシ基、オキセタニル基、フェニル基などが挙げられる。
2で示される炭化水素基が有していても良い置換基としては、成分(A)のRで示される炭化水素基が有していても良い置換基と同様のものが挙げられる。
成分(B)は、市販品を用いることができ、例えば、ライトアクリレートP-1A(N)、ライトエステルP-1M、P-2M(いずれも共栄社化学株式会社製)、リン酸エステル型アクリレート(東邦化学工業株式会社製)などが挙げられる。
成分(B)の添加によりもたらされるリン酸化合物は燃焼初期において分解、生成されるラジカルが分解ガスを捕捉、燃焼時の脱水反応によりポリリン酸を主成分とする安定な炭化層の生成を促進する。そのため、酸素指数の低いアクリル化合物においても高い難燃性を付与することができる。一方で、成分(B)中のリン酸構造には硬化物を可塑化する作用があるため、多量に添加すると弾性率の低下につながる可能性がある。そのため、成分(B)の含有量は、組成物の総量に対して20質量%以上70質量%以下が好適であり、好ましくは20質量%以上60質量%以下、さらに好ましくは25質量%以上50質量%以下である。
<成分(C):ラジカル重合開始剤>
ラジカル重合開始剤は、硬化性樹脂の硬化条件(照射波長、照射量)に応じて適宜選択することができる。
光照射によりラジカル種を発生する重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-1-ブタノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキサイド、4-フェニルベンゾフェノン、4-フェノキシベンゾフェノン、4,4’-ジフェニルベンゾフェノン、4,4’-ジフェノキシベンゾフェノン等が挙げられるがこれらに限定されない。
また、熱によりラジカル種を発生する重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチルニトリル(AIBN)等のアゾ化合物、ベンゾイルパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシピバレート、tert-ブチルパーオキシネオヘキサノエート、tert-ヘキシルパーオキシネオヘキサノエート、tert-ブチルパーオキシネオデカノエート、tert-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、クミルパーオキシネオヘキサノエート、クミルパーオキシネオデカノエート等の過酸化物が挙げられるがこれらに限定されない。
ラジカル重合開始剤は、1種類のみで使用することもできるし、2種類以上を併用して使用することもできる。ラジカル重合開始剤の添加量は、組成物の総量に対して、0.1質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。なお、ラジカル重合開始剤の添加比率は、光照射量、さらには、付加的な加熱温度に応じて適宜選択してもよい。また、得られる重合体の目標とする平均分子量に応じて、調整してもよい。
<成分(D):アルキレンオキシ基を含む多官能ラジカル重合性化合物>
本発明の光硬化性樹脂組成物には、成分(D)として、アルキレンオキシ基を含む多官能ラジカル重合性化合物を添加することができる。アルキレンオキシ基を含む多官能ラジカル重合性化合物は一分子内に、炭化水素とエーテル結合で形成されるアルキレンオキシ基を有し、かつラジカル重合性基を2個以上有する。炭化水素の種類としては、直鎖状、分岐鎖状を問わず、例えばメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基などが挙げられる。また、アルキレンオキシ基は、カプロラクトン変性構造を含んでいても良い。アルキレンオキシ基は、分子中で、ポリオキシアルキレン構造のような繰り返し構造を形成しても良い。また、アルキレンオキシ基は、互いに離れて存在しても良い。具体的には、例えば、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、イソシアヌレート等の分岐状または環状化合物に由来する構造中に、エチレンオキシ基またはプロピレンオキシ基が、互いに離れて存在するような構造を形成しても良い。
成分(A)と成分(B)、成分(D)はラジカル重合により共重合構造を形成する。重合後の硬化物において成分(A)が重合して形成される5員環エーテルに加え、成分(D)中のアルキレンオキシ基が衝撃を吸収する機能を有し、更なる耐衝撃性を実現する。さらに成分(D)により形成される架橋構造が重合物の更なる高弾性率化を実現する。
成分(D)に含まれるラジカル重合性基は、好ましくは炭素-炭素二重結合を有する基であり、より好ましくは(メタ)アクリロイル基である。
成分(D)は、市販品を用いることができ、例えば、SR454、SR492、SR499、SR502、SR9035、SR494、SR344、CD561、SR602、SR610、SR205、SR209、SR252、SR480、SR603、SR644(いずれもSARTOMER社製)、A-200、A-400、A-600、APG200、APG400、APG700、ABE-300、A-BPE-4、ABPE-10、A-TMPT-3EO、A-TMPT-9EO、A-TMPT-3PO、A-TMPT-9PO、A-GLY-3E、A-GLY-6E、A-GLY-9E、A-GLY-6P、A-GLY-9PA、A-DPH-12E、3G、4G、9G、14G、3PG、9PG、GLY-6E、GLY-9E、A-9300、A-9200YN、A-9300-1CLA-9300-3CL(いずれも新中村化学工業社製)、KAYARAD PEG400DA、R551、R712、RP1040、DPEA-12、DPCA-60、DPCA-120(いずれも日本化薬株式会社製)、ビスコート#310、#700HVHP(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)などが挙げられる。
成分(D)は、1種類のみで使用することもできるし、2種類以上を併用して使用することもできる。耐衝撃性ならびに高弾性率化の観点から、成分(D)の含有量は、組成物の総量に対して10質量%以上50質量%以下が好適であり、好ましくは10質量%以上40質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
<成分(E):sp値12以上の単官能(メタ)アクリレート>
本発明の光硬化性樹脂組成物には、成分(E)としてsp値12以上の単官能(メタ)アクリレートを添加することができる。sp値は溶解度パラメータを指す。sp値が12以上の単官能アクリレートモノマーを添加することで、成分(A)と成分(B)の相溶性を向上することができ、難燃性、機械的強度を向上する効果が得られる。
sp値12以上の単官能(メタ)アクリレートには、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
硬化物の機械特性の観点から、成分(E)の含有量は、組成物の総量に対して1質量%以上20質量%以下が好適であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
<成分(F):成分(A)、(B)、(E)以外の単官能ラジカル重合性化合物>
本発明の光硬化性樹脂組成物には、硬化物の著しい性能低下が生じない範囲で、成分(F)として、成分(A)、(B)、(E)以外の単官能ラジカル重合性化合物を添加することができる。
成分(F)として、以下の単官能(メタ)アクリレートが挙げられる。例えば、4-tert-ブチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノール(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、環状トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロイルオキシアダマンタン、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチルー2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタエニル(メタ)アクリレート、2-イソプロピルアダマンタンー2-イル(メタ)アクリレート、テトラヒドロジシクロペンタジエニル(メタ)アクリレート、α-(メタ)アクリロキシーγ-ブチロラクトン、2-ヒドロキシ-o-フェニルフェノールプロピル(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、ヒドロキシエチルアクリルアミド、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェニルグリシジル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエンオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシメタクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンタニルメタクリレート等であるがこれらに限定されない。
成分(F)は、硬化物の機械特性が低下しない範囲で、一種類のみを追加しよも良いし複数同時に組合せても良い。硬化物の機械特性を損なわない範囲として、成分(F)の含有量は、組成物の総量に対して5質量%以上50質量%以下が好適であり、好ましくは5質量%以上30質量%以下である。
<その他の重合性化合物>
粘度調整や機能付与のため、その他の重合性化合物を添加しても構わない。その他の重合性化合物の制限は特になく、例えば、単官能或いは2官能以上のエポキシ乃至オキセタン化合物等のカチオン重合性化合物が挙げられる。硬化物の機械特性を損なわない範囲として、カチオン重合性化合物の添加量は、1質量%以上20質量%以下が好適であり、好ましくは5質量%以上20質量%以下である。
単官能或いは2官能以上のエポキシ、オキセタン化合物としては、例えば、水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールADジグリシジルエーテル、水素添加ビスフェノールZジグリシジルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテル、トリシクロデカンジメタノールジグリシジルエーテル、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキシル-3,4-エポキシ-1-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-6-メチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-3-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-5-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシ)シクロヘキサン-メタジオキサン、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルカルボキシレート、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレンビス(3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ-2-エチルヘキシル、ε-カプロラクトン変性3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、2,2-ビス(ヒドロキシメチル)-1-ブタノールの1,2-エポキシ-4-(2-オキシラニル)シクロヘキサン付加物、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)メタン、2,2-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)エタン、アルファピネンオキサイド、カンファレンアルデヒド、リモネンモノオキサイド、リモネンジオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、4-ビニルシクロヘキセンジオキサイド、3-ヒドロキシメチル-3-メチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-エチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-ノルマルブチルオキセタン、3-ヒドロキシメチル-3-プロピルオキセタンなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
また、カチオン重合性化合物を添加する場合は、組成物に光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤、光酸発生剤や光塩基発生剤を添加してカチオン重合性化合物の重合反応を促進しても良い。光照射によりカチオン種を発生する重合開始剤としては、例えば、ヨードニウム(4-メチルフェニル)[4-(2-メチルプロピル)フェニル]-ヘキサフルオロホスフェートが好適な重合開始剤として挙げられるがこれに限定されない。光酸発生剤としては、例えば、トリアリールスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、テトラフルオロホウ酸トリフェニルフェナシルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸トリフェニルスルホニウム、ビス-[4-(ジフェニルスルフォニオ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス-[4-(ジ4’-ヒドロキシエトキシフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロアンチモネート、ビス-[4-(ジフェニルスルフォニォ)フェニル]スルフィドビスジヘキサフルオロフォスフェート、テトラフルオロホウ酸ジフェニルヨードニウムなどを挙げることができるがこれらに限定されない。
カチオン種を発生する重合開始剤の添加量は、カチオン重合性化合物100質量部に対して、0.01質量部以上10.00質量部以下の範囲が好ましい。
<その他の添加剤>
本発明の組成物には、硬化物の著しい性能低下が生じない範囲で、重合禁止剤、光増感剤、耐光安定剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、硬化助剤等を添加することができる。
重合禁止剤には、例えば、ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、ヒドロキノンモノエチルエーテル、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、ヒドロキノンモノブチルエーテル、ヒドロキノンモノペンチルエーテル、ヒドロキノンモノヘキシルエーテル、ヒドロキノンモノオクチルエーテル、ヒドロキノンモノへプチルエーテル等のヒドロキノン系の重合禁止剤、3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート等の置換基を有するフェノール系の重合禁止剤等が挙げられる。但し、ヒドロキノン等のヒドロキノン系の重合禁止剤、ベンゾキノン等のベンゾキノン系の重合禁止剤は、UV照射で黄変することがあるためコーティング等の薄膜硬化物を得る際に好適である。重合禁止剤には、反応時や保存時の重合抑制剤として上述したものが挙げられるがそれらに限定されない。添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上1.00質量%以下の範囲が好ましい。また、一つの重合禁止剤のみを使用しても良いし2種類以上の重合禁止剤を組み合わせて使用しても良い。着色の少なさを考慮すると、具体的にはヒドロキノン系重合禁止剤を組み合わせて利用することが好ましい。
光増感剤には、例えば、ベンゾフェノン、4,4-ジエチルアミノベンゾフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、ベンゾイン、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2,2-ジエトキシアセトフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、アシルホスフィンオキサイド等が挙げられる。添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
耐光安定剤には、硬化物の特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、例えば、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-p-クレゾール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(tert-ブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ペンチルフェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2,2’-メチルレンビス[6-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)]-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-ドデシル-4-メチルフェノール等のベンゾトリアゾール系の化合物、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸エチル、2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリル酸2-エチルヘキシル等のシアノアクリレート系の化合物、トリアジン系の化合物、オクタベンゾン、2,2’-4,4’-テトラヒドロベンゾフェノン等のベンゾフェノン系の化合物等が挙げられる。耐光安定剤が光増感剤の役割を果たす場合もあり、その場合には光増感剤は添加しなくても良い。添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
耐熱安定剤には、硬化物の特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネート、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシベンゼンプロパン酸の側鎖を有する炭素数7から9のアルキルエステル、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、エチレンビス(オキシエチレン)ビス[3-(5-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-m-トリル)]プロピオネート、ヘキサメチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)]プロピオネート等のヒンダードフェノール系の化合物、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のリン系の化合物、ジオクタデシル-3,3’-チオジプロピオネート等の硫黄系の化合物等が挙げられる。添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
酸化防止剤には、硬化物の特性に大きな影響を及ぼさないものであれば特に制限は無く、例えば、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドリキシフェニル]メチル]ブチルマロネート等のヒンダードアミン系の化合物等が挙げられる。添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
連鎖移動剤、硬化助剤としては、例えば、β-メルカプトプロピオン酸、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル―3-メルカプトプロピオネート、ステアリル―3-メルカプトプロピオネート、1-ブタンチオール、シクロヘキサンチオール、3-メルカプトプロピオン酸シクロヘキシル、1-デカンチオール、2,4-ジフェニルー4メチル1-ペンテン、1-ドデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸ドデシル、メルカプト酢酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、メルカプト酢酸エチル、1-ヘキサデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸ヘキシル、2-メルカプトエタノール、3-メルカプト-1、2-プロパンジオール、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタンスルホン酸ナトリウム、3-メルカプトプロピオン酸、メルカプト酸メチル、メルカプトこはく酸、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸オクタデシル、3-メルカプトプロピオン酸オクチル、1-オクタンチオール、1-オクタデカンチオール、3-メルカプトプロピオン酸トリデシル、チオフェノール、多官能チオールとしてビス(2-メルカプトエチル)スルフィド、3,6-ジオキサ-1,8-オクタンジチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)、1,4-ブタンジオールビス(チオグリコラート)ペンタエリスリトールテトラ(3-メルカプトプロピオナート)、1,4-ベンゼンチオール、3,7ジチア-1,9-ノナンオール、DL-1,4-ジメルカプト-2,3-ブタンジオール、1,5-ジメルカプトナフタレン、ジチオエリスリトール、エチレンビスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスメルカプトアセタート、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシエチル)-イソシアヌレート、テトラエチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、3,3‘-チオジプロピオン酸、ジチオジプロピオン酸、ラウリルチオプロピオン酸(ドデシルチオプロピオン酸)、また市販品として、TS-G、C3TS-G、TA-G、LDAIC(四国化成工業株式会社製)、カレンズMTPE1、BD1、NR1、TPMB、(昭和電工株式会社製)などを挙げることができる。連鎖移動剤、硬化助剤の添加量は、組成物に対して、0.01質量%以上10.00質量%以下の範囲が好ましい。
さらに、粘度調整や機能付与のため色素、フィラー等を添加しても構わない。フィラーとしては特に制限はなく、硬化物の機械特性を劣化させなければ良い。フィラーの種類は、金属塩、金属酸化物、ポリマー微粒子、ゴム粒子、無機ファイバー、有機ファイバー、カーボン等である。金属酸化物としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム等でありこれらに限定されない。ポリマー微粒子としては、アクリル微粒子、ポリスチレン微粒子、ナイロン粒子等であるがこれらに限定されない。ゴム粒子としてはブタジエンゴム粒子、スチレン・ブタジエンゴム共重合粒子、アクリロニトリル・ブタジエン共重合ゴム粒子、またはこれらのジエンゴムを水素添加または部分水素添加した飽和ゴム粒子、架橋ブタジエンゴム粒子、イソプレンゴム粒子、クロロプレンゴム粒子、天然ゴム粒子、シリコンゴム粒子、エチレン/プロピレン/ジエンモノマー三元共重合ゴム粒子、アクリルゴム粒子、アクリル/シリコーン複合ゴム粒子等が挙げられるが、これらに限定されない。有機ファイバーとしては、ナイロンファイバー、セルロースナノファイバー等であるがこれらに限定されない。組成物の機能を損なわない範囲で、フィラーの添加量は、組成物に対して、1質量%以上50質量%以下の範囲が好ましい。
<組成物の調製方法>
組成物の調製方法は特に制限されず、すべての材料を秤量した後、加熱撹拌する方法が最も簡便である。ただし、加熱による重合の懸念がある場合は適宜重合禁止剤を添加しても良い。また加熱だけでは均一に混合することが困難な場合はアセトン等の溶剤に全ての材料を溶解させた後、溶媒留去することで調製しても良い。さらに、超音波ホモジナイザー、ボールミル、ディスクミル等の分散機による撹拌を利用しても良い。
<物品の造形方法>
組成物の硬化工程において、硬化物の形状や硬化方法については特に限定されない。硬化方法としては、例えば、基材上に組成物を塗布した後に光照射する方法や型に組成物を注入した後に光照射する方法、薄膜の硬化物を積み重ねる光学的立体造形法(光造形法)等が挙げられる。
組成物を基材上に塗布する方法は、特に限定されない。例えば、ロールコーター、リバースコーター、バーコーター、スリットコーター等の接触転写型塗布装置や、スピンナー(回転式塗布装置)、カーテンフローコーター等の非接触型塗布装置を用いて、組成物を基材上に、所望の膜厚となるよう塗布して塗布膜を形成しても良い。本発明の組成物を用いて光造形を行う方法は、従来既知の光造形方法および装置のいずれもが使用できる。好ましくは、組成物を所定の厚さで光硬化させた硬化層を積層する方法である。好ましい光造形法の代表例としては、製造目的物(立体モデル)の三次元形状データに基づいて生成したスライスデータに基づいて、硬化性樹脂組成物を所定の厚さで硬化させる工程を繰り返す工程を有する方法が挙げられる。
光造形法には、大きく分けて自由液面法と規制液面法の2種類がある。
図1に、自由液面法を用いた造形装置100の構成例を示す。造形装置100は、液状の硬化性樹脂組成物10を収容する槽11を有している。槽11の内側には、造形ステージ12が、駆動軸13によって鉛直方向に駆動可能に設けられている。光源14から射出された硬化性樹脂組成物10を硬化するための活性エネルギー光線15は、スライスデータに従って制御部18によって制御されるガルバノミラー16で照射位置が変更され、槽11の表面を走査される。図1では、走査範囲を太い破線で示している。
活性エネルギー光線15によって硬化される硬化性樹脂組成物10の厚さdは、スライスデータの生成時の設定に基づいて決まる値で、得られる物品の精度(造形する物品の三次元形状データの再現性)に影響を与える。厚さdは、制御部18が駆動軸13の駆動量を制御することによって達成される。
まず、制御部18が設定に基づいて駆動軸13を制御し、ステージ12の上に厚さdで硬化性樹脂組成物10が供給される。ステージ12上の液状の硬化性樹脂組成物10に、所望のパターンを有する硬化層が得られるように、スライスデータに基づいて活性エネルギー光線15が選択的に照射され、硬化層が形成される。次いで、ステージ12を白抜きの矢印の方向に移動させることによって、硬化層の表面に厚さdで未硬化の硬化性樹脂組成物10が供給される。そして、スライスデータに基づいて活性エネルギー光線15が照射され、先に形成した硬化層と一体化した硬化物が形成される。この層状に硬化させる工程を繰り返すことによって目的とする立体的な造形物17を得ることができる。
硬化性樹脂組成物よりなる面に活性エネルギー光線を照射して、所定の形状パターンの硬化層を形成するに当たっては、点状あるいは線状に絞られた光エネルギー線を使用して、点描方式または線描方式で樹脂を硬化させることができる。あるいは、液晶シャッターまたはデジタルマイクロミラーシャッターなどのような微小光シャッターを複数配列して形成した面状描画マスクを通して、活性エネルギー線を面状に照射して樹脂を硬化させてもよい。
自由液面法と同様に、規制液面法による造形も好ましい。規制液面法を用いる造形装置は、図1の造形装置100のステージ12が、造形物17を液面の上方に引き上げるように設けられ、光照射手段が槽11の下方に設けられた構成となる。規制液面法の代表的な造形例は、次のとおりである。まず、昇降自在に設けられた支持ステージの支持面と硬化性樹脂組成物を収容した槽の底面とが所定の距離となるように設置され、支持ステージの支持面と槽の底面との間に硬化性樹脂組成物が供給される。次いで、硬化性樹脂組成物を収容した槽の底面側から、レーザー光源あるいは、プロジェクターによって、ステージ支持面と槽の底面との間の硬化性樹脂組成物に、スライスデータに従って選択的に光が照射される。光の照射により、ステージ支持面と槽の底面との間の硬化性樹脂組成物が硬化し、固体状の硬化層が形成される。その後、支持ステージを上昇させることにより、硬化層は槽の底面から引きはがされる。
続いて、支持ステージの上に形成された硬化層と槽の底面との間が所定の距離となるように支持ステージの高さが調整される。そして、先ほどと同様に、槽の底面と硬化層との間の硬化性樹脂組成物を供給し、スライスデータに従って光を照射することによって、硬化層と槽の底面との間に新しい硬化層を形成する。この工程を複数回繰り返すことにより、複数の硬化層が一体的に積層されてなる造形物を得ることができる。
このようにして得られる造形物を槽から取り出し、その表面に残存する未反応の硬化性樹脂組成物を除去した後、必要に応じて後加工を施すことにより目的とする物品を得ることができる。
後加工としては、洗浄やポストキュアー、切削や研磨、組立などが挙げられる。
洗浄に用いる洗浄剤としては、イソプロピルアルコール、エチルアルコール等のアルコール類に代表されるアルコール系有機溶剤を用いることができる。他に、アセトン、酢酸エチル、メチルエチルケトン等に代表されるケトン系有機溶剤や、テルペン類に代表される脂肪族系有機溶剤を用いても良い。
洗浄した後、必要に応じて光照射や熱照射、またはその両方によるポストキュアーを行っても良い。ポストキュアーは、造形物の表面及び内部に残存することのある未反応の硬化性樹脂組成物を硬化させることができ、立体造形物の表面のべたつきを抑えることができる他、立体造形物の初期強度を向上させることができる。
活性エネルギー光線としては、紫外線、電子線、X線、放射線、高周波などを挙げることができる。その中でも、300nmから430nmの波長を有する紫外線が経済的な観点から好ましく用いられ、その際の光源としては、紫外線レーザー(例えば半導体励起固体レーザー、Arレーザー、He-Cdレーザーなど)、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、メタルハライドランプ、紫外線LED(発光ダイオード)、蛍光灯などを使用することができる。なかでも、紫外線レーザーは、集光性に優れ、エネルギーレベルを高めて造形時間を短縮することができ、高い造形精度を得ることができるため好ましく採用される。
<用途>
本発明の組成物は、三次元積層造形法、特に光造形法に好適に用いることができる。また、本発明の硬化物、3Dプリンターにより得られる造形物は、光学的立体造形分野に幅広く用いることができる。応用分野としては、何ら限定されるものではないが、代表的な分野として、電気電子機器、OA機器、カメラ、コンピュータ等の製品をはじめとする工業製品のプロトタイプモデル、デザインモデル、ワーキングモデル、金型を制作するためのベースモデル、試作金型用の直接型、サービスパーツ、筐体、工業製品の部品等が挙げられる。特に、本発明の組成物は、難燃性と耐衝撃性と曲げ弾性率に優れるため工業製品の筐体や部品の製造に用いることができる。
≪実施例1乃至7、比較例1乃至5≫
<成分>
実施例、比較例で用いた各成分を表1に示す。
Figure 2023105936000005
B-1の構造式を下記(a)に、B-2の構造式を下記(b)に、B-3の構造式を下記(c)に示す。G(a)乃至(c)に示す様に、B-1、B-2はリン酸モノエステル、B-3はリン酸ジエステルである。
Figure 2023105936000006
E-1のsp値は、文献値(高分子論文集,Vol.76,No.4(2019))より12.6である。
<組成物の製造>
各成分を表2に示す配合比で配合し、均一に混合した。表2中、組成(各成分の添加量)は質量部で示した。
Figure 2023105936000007
<試験片用硬化物の製造>
調製した硬化性樹脂組成物を用いて、下記の方法で硬化物を作成した。まず、二枚の石英ガラスの間に金型を挟み、ここに硬化性樹脂を流し込んだ。流し込んだ硬化性樹脂組成物に対して、紫外線照射機(HOYA CANDEO OPTRONICS株式会社製EX250)、照度計(ウシオ電機株式会社製UIT-250)により10mW/cm2の紫外線を120秒間、照射面の表裏を入れ替えて合計6回照射し、離形することで硬化物を得た(総エネルギーとして7200mJ/cm2)。さらに、得られた硬化物を50℃の加熱オーブン内に入れて1時間、100℃の加熱オーブン内に入れて1時間熱処理を行い、試験片用の硬化物を得た。
<難燃性の評価>
作成した試験片(長さ125mm、幅13mm、厚さ2mmまたは4mm)を用いてUL94-20mm垂直燃焼性試験に基づき、接炎後の試料の残炎時間または残じん時間、燃焼物または落下物の有無からV-0,V-1,V-2を判定した。結果を表2に示す。
A(非常に良好):試験片厚み2mmでV-1またはV-0。
B(良好):試験片厚み4mmでV-1またはV-0。
C(不良):燃焼、判定なし。
<耐衝撃性の評価>
作成した試験片(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)を用いて、JIS K 7111に準じて、切欠き形成機(東洋精機製作所製、商品名「ノッチングツールA-4」)にて中央部に深さ2mm、45°の切欠き(ノッチ)を入れた。その後、衝撃試験機(東洋精機製作所製、商品名「IMPACT TESTER IT」)を用い、試験片の切欠きの背面から2Jのエネルギーで破壊する。150°まで振り上げたハンマーが試験片破壊後に振りあがる角度から破壊に要したエネルギーを算出し、このシャルピー衝撃強さを耐衝撃性の指標とした。また、以下の基準で耐衝撃性を評価した。結果を表2に示す。
A(非常に良好):7kJ/m2以上。
B(良好):5kJ/m2以上7kJ/m2未満。
C(可):3kJ/m2以上5kJ/m2未満。
D(不良):3kJ/m2未満。
<曲げ弾性率の評価>
作成した試験片(長さ80mm、幅10mm、厚さ4mm)を用いてJIS K 7171に準じて、万能材料試験機(INSTRON製、5581)を用いて、曲げ弾性率の測定を行った。2mm/minの条件で、規定歪み区間(0.05%から0.25%)の応力勾配より曲げ弾性率を算出した。また、以下の基準で曲げ弾性率を評価した。結果を表2に示す。
A(非常に良好):2.0GPa以上。
B(良好):1.5GPa以上2.0GPa未満。
C(不良):1.5GPa未満。
表2より、成分(A)として2-(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル、成分(B)としてリン酸エステル(メタ)アクリレートを用いた実施例1乃至7と、成分(A)の代わりにジシクロペンタニルアクリレート(F-1)を用いた比較例1、成分(A)を含まない比較例5を比較すると、実施例1乃至7の硬化物は高い耐衝撃性を有している。一方で、実施例1乃至7と、成分(B)の代わりに難燃剤としてジフェニル-2メタクリロイルオキシエチルホスフェート(F-2)を用いた比較例2、縮合リン酸エステル(G-1)を用いた比較例3、成分(B)を含まない比較例5と対比すると、実施例1乃至7の硬化物は難燃性を有している。
本発明によれば、難燃性と高い耐衝撃性及び曲げ弾性率に優れた造形物を得ることができる。
10:硬化性樹脂組成物、11:槽、12:ステージ、13:駆動軸、14:光源、15:活性エネルギー線、16:ガルバノミラー、17:造形物、18:制御部、100:造形装置

Claims (10)

  1. 成分(A):単官能2-(アリルオキシメチル)アクリル酸またはそのエステル
    成分(B):ラジカル重合性リン酸エステル化合物
    成分(C):ラジカル重合開始剤
    を含有し、
    前記成分(A)は、下記一般式(1)で示され、
    Figure 2023105936000008
    [一般式(1)中、Rは、水素原子または炭化水素基である。]
    前記成分(B)は、下記一般式(2)で示されることを特徴とする光硬化性樹脂組成物。
    Figure 2023105936000009
    [一般式(2)中、R1はラジカル重合性基、R2は水素原子または炭化水素基である。]
  2. 成分(D)として、アルキレンオキシ基を含む多官能ラジカル重合性化合物を含むことを特徴とする請求項1に記載の光硬化性樹脂組成物。
  3. 成分(E)として、sp値12以上の単官能(メタ)アクリレートを含むことを特徴とする請求項1または2に記載の光硬化性樹脂組成物。
  4. 前記Rは、炭素数1以上4以下の炭化水素基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  5. 前記R1は、(メタ)アクリロイル基または(メタ)アクリロイル基を有する基であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  6. 前記R2は、水素原子または(メタ)アクリロイル基を有する炭化水素基であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を硬化してなることを特徴とする硬化物。
  8. 請求項1乃至6のいずれか一項に記載の光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで光硬化させて硬化層を形成する工程を複数回繰り返すことを特徴とする物品の製造方法。
  9. 光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで供給する工程と、
    立体モデルのスライスデータに基づいて、前記光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させる工程と、
    を含むことを特徴とする請求項8に記載の物品の製造方法。
  10. 前記光硬化性樹脂組成物を所定の厚さで配置する工程と前記光硬化性樹脂組成物に光エネルギーを照射して硬化させる工程とを複数回繰り返して得られた造形物を洗浄またはポストキュアーする工程をさらに含むことを特徴とする請求項9に記載の物品の製造方法。
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