JP2023102275A - 積層体 - Google Patents
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Abstract
【課題】複数のスリット同一方向に並んだ線が複数存在するシート状製品であって、収縮性が向上したシート状製品を提供すること。【解決手段】少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、複数の前記スリットが同一方向に並んだ線が複数存在する、積層体。【選択図】図4
Description
新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、特に、包装用途に好適な積層体に関する。
従来、ボトル等を包装する場合に、複数のスリットが同一方向に並んだ線が複数存在する、クッションペーパーと称されるシート状製品を用いて包装することが行われている(特許文献1)。
クッションペーパーは、未使用時には平面状であり、スリットが開口しないが、ボトル等の立体的な物品の周囲にラッピングすると、スリットが開いて、スリットに垂直な方向に伸長して物品の立体形状に良好に対応することができる。
更に、クッションペーパーは、包装時にスリットが開いて厚み方向の寸法が増大するので、緩衝機能を有するシート状物としても使用することができる。
しかし、従来のクッションペーパーは収縮性に乏しいものであり、スリットが一旦開口すると閉じることが困難である。
したがって、例えば、保管中に何らかの力が未使用のクッションペーパーに印加してスリットが開くと、当該力が除去されても、スリットが開いた状態のままとなり、全体の外観が悪化する。
また、複数存在するスリットが部分的にでも開いてしまうと、全体として平面形状を維持することが困難となるので、厚みが増大してしまい、多数のクッションペーパーを重ねて保管する場合に、全体が嵩張ることになる。
本発明は、複数のスリットが同一方向に並んだ線が複数存在するシート状製品であって、収縮性が向上したシート状製品を提供することを目的とする。
鋭意検討の結果、本発明者らは、
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する積層体により、上記の目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成した。
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する積層体により、上記の目的が達成可能であることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体である。
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体である。
前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部の断面形状が菱形であることが好ましい。
複数の前記スリットの長さは同一であることが好ましい。
前記不連続切込線における複数の前記スリットの間隔は同一であることが好ましい。
複数の前記不連続切込線における複数の前記スリットの位置は各不連続切込線によって異なることが好ましい。
複数の前記不連続切込線は直線であることが好ましく、平行であることがより好ましい。
本発明の積層体は、前記不連続切込線の非延伸方向に伸縮可能であることが好ましい。
本発明の積層体は更に裏面層を備えてもよく、その場合、前記表面層及び当該裏面層の間に前記凹凸層が存在することが好ましい。
前記裏面層が存在する場合、本発明の積層体では、前記凹凸層が複数存在してもよく、各凹凸層の間に平面層が存在してもよい。
本発明の積層体は包装用シートであることが好ましい。
本発明の積層体は、複数のスリット同一方向に並んだ線が複数存在する従来のシート状製品に比べて、収縮性が向上している。
本発明の積層体は、例えば、保管中に何らかの力が作用してスリットが一旦開口しても、当該力が除去されると、収縮して、スリットを速やかに閉じることができ、開口前の形態に戻ることが容易である。したがって、本発明の積層体は未使用時の全体の外観を良好に維持することができる。
また、本発明の積層体は、スリットが一旦開口しても速やかに閉じることができるので、全体として平面形状を維持することが容易である。したがって、本発明の積層体を多数重ねて保管する場合に、何らかの力の作用によりスリットが開口して厚みが増大してしまい、全体が嵩張ることを回避可能である。
本発明の積層体は、シート状であり、包装用途に良好に使用することができる。
本発明の積層体を用いて立体物を包装する場合、複数のスリットが開いて、本発明の積層体がスリットに対して垂直方向に伸長することにより、立体物の形状に良好に対応することができる。また、本発明の積層体は、使用時にスリットが開口することにより厚みが増大し、緩衝機能を発揮することができる。したがって、本発明の積層体は緩衝機能を有する包装用シートとして使用することができる。特に、本発明の積層体は複数の層を備えるので、緩衝機能を更に高めることができる。
更に、本発明の積層体は、収縮性が高く、スリットが一旦開口しても速やかに閉じることができるので、例えば、立体物の包装後に、立体物から取り外すと、元の形状に戻ることが可能である。したがって、本発明の積層体は再利用性にも優れている。
(積層体)
本発明は
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体である。
本発明は
少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、或いは、前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体である。
本発明の積層体は、単層構造ではなく積層構造であるために収縮性が高い。単層構造の場合は、スリットが開口すると折れ曲がりが生じ易く収縮性乃至復元性が低下するが、積層構造の場合は、スリットが開口しても折れ曲がりが生じにくく収縮性乃至復元性を維持することができる。
以下、本発明の積層体の構成を説明する。
本発明の積層体は、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備える。表面層及び凹凸層を構成する材料の種類及び形態は特には限定されるものではなく、各種の非天然素材又は天然素材を、例えば、膜又は繊維の形態で使用することができる。また、表面層及び凹凸層の形態も特には限定されるものではなく、多孔層又は非多孔層のいずれでもよく、例えば、フィルム、不織布、紙等の様々な形態とすることができる。
非天然素材としては例えば合成樹脂が挙げられる。例えば、本発明の積層体における表面層及び凹凸層は同一又は異なる合成樹脂から構成可能である。
合成樹脂としては、熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれも使用することができる。加工性の点で熱可塑性樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂の種類は特には限定されるものではなく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ(メタ)アクリレート等を使用することができる。
天然素材としては例えば紙材料が挙げられる。本発明の積層体における表面層及び凹凸層は紙材料からなることが好ましく、その場合、同一又は異なる紙材料から構成可能である。
紙材料を構成する繊維材料としては、木材パルプが好ましく、バージン木材パルプ若しくは古紙パルプ又はこれらの混合物を使用することができる。木材パルプとしては、例えば、NBKP(針葉樹晒クラフトパルプ)、NUKP(針葉樹未晒しパルプ)等の針葉樹パルプ、LBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)、LUKP(広葉樹未晒しパルプ)等の広葉樹パルプ、並びに、針葉樹パルプ及び広葉樹パルプの混合物を使用することができる。
表面層又は凹凸層の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は特に限定されるものではないが、それぞれ、20g/m2~90g/m2が好ましく、25g/m2~70g/m2がより好ましく、30g/m2~50g/m2が更により好ましい。
表面層又は凹凸層の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])も特に限定されるものではないが、表面層の厚みは、20μm~140μmが好ましく、25μm~100μmがより好ましく、30μm~60μmが更により好ましい。一方、凹凸層の厚みは、0.50mm~5mmが好ましく、0.75mm~4mmがより好ましく、1.00mm~3mmが更により好ましい。
本発明の積層体の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は特に限定されるものではないが、60g/m2~140g/m2が好ましく、70g/m2~130g/m2がより好ましく、80g/m2~120g/m2が更により好ましい。
本発明の積層体の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])も特に限定されるものではないが、0.50mm~5mmが好ましく、0.75mm~4mmがより好ましく、1.00mm~3mmが更により好ましい。
本発明の表面層及び凹凸層は、それぞれ、単一層から構成されてもよく、また、複数層から構成されてもよい。単一層の場合は、例えば、各層の少なくとも1つを単層グラシン紙とすることができる。複数層の場合は、例えば、各層の少なくとも1つを、1以上の基材層及び1以上の被覆層を備えるものとすることができる。この場合、基材層は、例えば、上記紙材料から構成可能であり、また、被覆層は、例えば、各種の撥油性材料を含む耐油層とすることができる。したがって、この場合は、例えば、各層の少なくとも1つを耐油紙とすることができる。
表面層は、本発明の積層体の外表面を構成する層であり、平らな表面を有する。表面層の一方の面が平らであればよいが、両方の面が平らであることが好ましい。表面層の平らな面が本発明の積層体の外表面を構成することが好ましい。
本発明の積層体では、凹凸層は複数の凹部及び複数の凸部を備える。凹部及び凸部は凹凸層の少なくとも一方の表面に存在しており、両方の表面に存在することが好ましい。凹部及び凸部の凹凸層の表面に対する垂直方向の長さは特には限定されるものではないが、例えば、凹部の深さ(開口部から最深部までの最短距離)又は凸部(底部から頂部までの最短距離)の高さを5mm未満、4mm未満、3mm未満、2mm未満、又は、1.5mm未満とすることができる。
本発明の第1の態様では、凹凸層が有する複数の凹部及び複数の凸部のそれぞれの形状は特には限定されない。表面層に平行な平面に沿った各凹部及び各凸部の断面形状は、円形、楕円形、多角形等の様々な形状をとることができる。各凹部及び各凸部の少なくとも一部の断面形状が菱形であることが好ましい。なお、これらの形状は数学的に正確なものでなくともよい。
表面層に平行な平面に沿った各凹部及び各凸部の断面形状は、巨視的には、非直線状乃至ドット状(点状)であることが好ましく、各凹部及び/又は各凸部は凹凸層の表面に不連続に分布することが好ましい。
一方、表面層に垂直な平面に沿った各凹部及び/又は各凸部の断面形状は、三角波、矩形波、正弦波等の様々な形状をとることができる。各凹部及び/又は各凸部の少なくとも一部の断面形状が三角波状であることが好ましい。なお、これらの形状は数学的に正確なものでなくともよい。
本発明の第2の態様では、凹凸層が有する複数の凹部及び複数の凸部の少なくとも一部が錐体状である。「錐体状」は、角錐状及び円錐状並びにこれらの組み合わせのいずれをも含む。「角錐状」は三角錐、四角錐等の多角錐状を包含する。前記凹部の一部及び/又は前記凸部の一部が錐体状であればよいが、前記凹部の全て及び前記凸部の全てが錐体状であることが好ましい。また、個々の凹部の少なくとも一部及び/又は個々の凸部の少なくとも一部が錐体状であればよく、個々の凹部の全体及び個々の凸部の全体が錐体状であることが好ましい。
凹凸層が有する複数の凹部及び/又は複数の凸部は凹凸層の表面において不連続線及び/又は点による平面模様を形成可能である。すなわち、凹凸層の表面において、複数の凹部及び/又は複数の凸部は、それぞれの分布に応じて、それぞれが不連続線及び/又は点による平面模様を形成可能である。不連続線及び/又は点から形成される限り、複数の凹部及び/又は複数の凸部が形成する平面模様の形状及び数に限定はなく、例えば、複数の点状凹部及び複数の点状凸部が凹凸層の幅方向及び長さ方向に沿って直線上に交互に並んで存在することにより、点状凹部及び/又は点状凸部によって規則的な不連続線による模様(パターン)を形成することができる。
本発明の第1の態様では、凹凸層の複数の凹部及び複数の凸部は平面波を形成しない。平面波とは、波の等位相面が平面となっている波を意味しており、一定の進行方向に垂直な波面を有する。
例えば、段ボールの中芯は、一般に、平面波の形状であり、平面形状としては、一定の方向に延びる凹部と当該方向と平行に延びる凸部とを備えており、断面形状としては、当該方向に沿って断面が一定の波形を有する。平面波の形状は波の進行方向に沿って上下から印加される外力には強いが、波の進行方向に垂直な方向に沿って(例えば、凸部の最高点及び/又は凹部の最低点に沿って)上下から印加される外力には弱いので、凹凸層が平面波を形成すると、外力の作用により、例えば、本発明の積層体の表面形状が不均一化するおそれがある。
本発明の積層体の表面層は段ボールのライナーではないことが好ましい。また、本発明の積層体の凹凸層は段ボールの中芯ではないことが好ましい。したがって、本発明の積層体は段ボールではないことが好ましい。
本発明の積層体は、表面層及び凹凸層に加えて、更に裏面層を備えてもよい。裏面層は、表面層と共に、本発明の積層体の外表面を構成する層であり、平らな表面を有する。裏面層の一方の面が平らであればよいが、両方の面が平らであることが好ましい。裏面層の平らな面が本発明の積層体の外表面を構成することが好ましい。
裏面層を構成する材料には特には限定はなく、表面層について説明したものと同一のものを使用することができる。また、表面層と同様に、裏面層は、単一層から構成されてもよく、また、複数層から構成されてもよい。
裏面層の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は特に限定されるものではないが、それぞれ、20g/m2~90g/m2が好ましく、25g/m2~70g/m2がより好ましく、30g/m2~50g/m2が更により好ましい。
裏面層の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])も特に限定されるものではないが、それぞれ、20μm~140μmが好ましく、25μm~100μmがより好ましく、30μm~60μmが更により好ましい。
本発明の積層体が裏面層を備える場合、表面層及び裏面層の間に凹凸層が存在する。凹凸層の数には限定はなく、複数の独立した凹凸層が存在してもよい。本発明の積層体では1乃至3の独立した凹凸層が存在することが好ましい。
複数の独立した凹凸層が存在する場合、各凹凸層の間に平面層が存在することが好ましい。平面層は平らな表面を有する層であり、当該層の両表面が平らであることが好ましい。平面層は、表面層及び裏面層とは異なる。
例えば、2つの凹凸層が存在する場合、本発明の積層体は、表面層、凹凸層、平面層、凹凸層及び裏面層の5層を備えることができる。また、3つの凹凸層が存在する場合、本発明の積層体は、表面層、凹凸層、平面層、凹凸層、平面層、凹凸層及び裏面層の7層を備えることができる。
平面層を構成する材料には特には限定はなく、表面層について説明したものと同一のものを使用することができる。また、表面層と同様に、平面層は、単一層から構成されてもよく、また、複数層から構成されてもよい。
平面層の坪量(測定方法:JIS P 8124 [2011])は特に限定されるものではないが、それぞれ、20g/m2~90g/m2が好ましく、25g/m2~70g/m2がより好ましく、30g/m2~50g/m2が更により好ましい。
平面層の厚み(測定方法:JIS P 8118 [2014])も特に限定されるものではないが、それぞれ、20μm~140μmが好ましく、25μm~100μmがより好ましく、30μm~60μmが更により好ましい。
本発明の積層体には、表面層及び凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、複数のスリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する。すなわち、本発明の積層体では、複数のスリットが一列となって並ぶことにより、スリットが間欠的に存在する線を形成しており、そのような線が複数存在する。
各スリットは直線又は曲線のいずれでもよいが、直線が好ましい。
各スリットの長さ及び各スリット間の距離には限定はなく、各スリットの長さは、例えば、5mm~20mm、6~18mm、又は、7~16mmとすることができる。また、各スリット間の距離は、例えば、1~10mm、2~8mm、又は、3~7mmとすることができる。
本発明の積層体では、各スリットの長さ及び/又は各スリット間の間隔は各スリット及び/又は各スリット間によって異なってもよいが、外観の規則性の点で、それぞれ同一であることが好ましい。すなわち、複数のスリットの長さは同一であることが好ましく、また、不連続切込線における複数のスリット間の間隔も同一であることが好ましい。
スリットの幅も特には限定されるものではないが、本発明の積層体の未使用時のスリットは閉じていることが好ましい。すなわち、未使用時のスリットの幅はゼロであることが好ましい。
本発明の積層体では、複数の不連続切込線における複数のスリットの位置が各不連続切込線によって異なることが好ましい。これにより、本発明の積層体はスリット開口時に網目状の構造体を形成することができる。
不連続切込線は直線又は曲線のいずれでもよいが、直線であることが好ましい。また、不連続切込線は並行していることが好ましい。例えば、不連続切込線が直線の場合、複数の不連続切込線が平行に存在することが好ましい。
表面層が紙材料からなる場合、スリットの方向は、表面層を構成する紙材料中の繊維の配向方向と同一方向でもよく、異なる方向でもよい。
以下、本発明の積層体の一例を、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明の積層体の一実施態様の概略断面図である。図1に示す例では、表面層11、裏面層12及び単一の凹凸層13により3層構造の積層体1が構成されている。
図2は図1の凹凸層13の概略断面図であり、図3は図2の線I-Iに沿った平面図である。図2及び図3に示される例では、凹凸層13は四角錐体状の凸部を複数備えており、当該凸部の凹凸層13の表面に平行な平面の形状は菱形である。そして、凸部は平面方向の幅方向及び長さ方向に不連続に並んでおり、幅方向及び長さ方向に不連続線による平面模様を形成している。図2において、凹部の深さ及び凸部の高さは表面層11及び裏面層12の間隔と略同一であり、例えば、5mm未満、4mm未満、3mm未満、2mm未満、又は、1.5mm未満とすることができる。なお、図2及び図3に示される例では、凹凸層13は四角錐体状の凹部も備えており、図示を省略するが、当該凹部の凹凸層13の表面に平行な平面の形状も菱形である。
図4は、本発明の積層体の一実施態様の平面図である。この例では、図1に示す断面を備える3層構造の積層体1の平面上に、表面層11、裏面層12及び凹凸層13(図示を省略する)を貫通する複数の直線状のスリット14が間隔15を空けて同一方向に並んで形成されており、各スリット14は不連続切込線16を形成している。
図4に示す例では、不連続切込線16は直線であり、複数存在している。また、各不連続切込線は相互に平行である。そして、不連続切込線間の距離Wは全ての不連続切込線間で同一である。
図4では、直線状のスリット14の長さaは全てのスリットで同一である。また、同一の不連続切込線16におけるスリット14の間隔bも同一である。そして、複数の不連続切込線におけるスリット14の位置は各不連続切込線によって異なる。具体的には、図4に示す例では、異なる不連続切込線において、隣接するスリット14は、当該線の方向に、(a-b)/2だけずらして形成されているが、スリット位置の変位量は特には限定されない。
図1~図4に示す積層体1は図4の不連続切込線16の非延伸方向(シート面左右方向)に伸縮可能である。
したがって、図1~4に示す積層体1を、例えば、図4のスリット14に垂直な方向から引っ張ると、スリット14が開口して当該方向に伸長することができる。特に、図1~4に示す積層体1は平面方向においてスリット14が互い違いに配置されて千鳥状となっているために、図4において、例えば、積層体1をスリット14に垂直な方向から引っ張ると、スリット14が開口すると共に、非開口部が網目状となり、且つ、非開口部が平面方向に対して垂直方向に傾斜して全体の厚みが増大する。これにより、緩衝性が高まる。したがって、図1~4に示す積層体1を用いて、例えばボトル等の立体物を包装すると、緩衝性の高い包装体を形成することができる。
図1~図4に示す積層体1は積層構造であるために収縮性が高い。したがって、未使用時に、スリット14に垂直な方向から何らかの理由で引張力が作用してスリット14が一旦開口しても、当該引張力が除去されると、スリット14は閉じることができ、開口前の形態に速やかに戻ることが可能である。したがって、積層体1は未使用時の全体の外観を良好に維持することができる。
また、積層体1は、スリット14が一旦開口しても速やかに閉じることができるので、全体として平面形状を維持することが容易である。したがって、積層体1を多数重ねて保管する場合に、何らかの力の作用によりスリット14が開口して厚みが増大してしまい、全体が嵩張ることを回避可能である。
積層体1は任意の物品の包装用シートとして使用することができる。特に、積層体1ではスリット14が千鳥状に形成されているのでスリット14が開口するとハニカム状の開口部を有する網目構造を形成することが可能であり、積層体1を包装シートとして使用すると、包装時に特徴のある外観を提供可能である。
(積層体の製造方法)
以下、本発明の積層体の製造方法を説明する。
以下、本発明の積層体の製造方法を説明する。
本発明の積層体の製造方法は特には限定されるものではなく、例えば、少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を積層して(更に、裏面層を積層してもよい)、必要に応じて接着剤等を用いて一体化して積層体を作製した後に、スリット形成用の切込刃が表面に複数設けられたスリットロールを回転させつつ、当該積層体に押圧することによって、表面層及び凹凸層を貫通する複数のスリットを有する本発明の積層体を製造することができる。
スリットロール上には複数の切込刃が所定の間隔をおいて同一方向に並んで不連続線を形成しており、当該不連続線が複数存在する。切込刃のスリット形成部分の長さは異なってもよいが、同一であることが好ましい。また、切込刃のスリット形成部分の間隔も異なってもよいが同一であることが好ましい。切込刃のスリット形成部分の幅も特には限定されるものではないが、薄いことが好ましい。
前記不連続線は直線又は曲線のいずれでもよいが、直線であることが好ましい。また、前記不連続線は並行していることが好ましい。例えば、前記不連続線が直線の場合、複数の不連続線が平行に存在することが好ましい。
スリットロール上の複数の不連続線における複数の切込刃の位置が各不連続線によって異なることが好ましい。これにより、積層体の表面に千鳥状に存在する複数のスリットを形成することができる。
その他に、所定のパターンで複数の切込刃が表面に設けられたプレス板を積層体に押し付けることでも、当該パターンを反映した複数のスリットを積層体に形成することもできる。
本発明の積層体は不連続切込線の非延伸方向に伸縮可能である。
本発明の積層体は各種の物品の包装用途に好適に使用可能であるが、その伸縮性のために、立体物の包装に特に好適に使用することができる。したがって、本発明の積層体は包装用シートとして好ましく使用可能である。
立体物は特には限定されるものではなく、例えば、ボトル、食品等を挙げることができる。
本発明の積層体は立体物の包装時にスリットが開口し、網目状の構造を形成することができるので、開口したスリットから内容物を視認できる。したがって、本発明の積層体が不透明であっても、被包装物を外部から確認することができる。
本発明の積層体は単層品に比べて緩衝性に優れるものであるが、立体物の包装時にスリットが開口することにより厚みが増大するので、本発明の積層体により形成される包装体の緩衝性が特に優れている。したがって、本発明の積層体は、ガラス製のボトル、果物等の衝撃による破損のおそれがある立体物の包装に特に好適に使用することができる。
1 積層体
11 表面層
12 裏面層
13 凹凸層
14 スリット
15 間隔
16 不連続切込線
11 表面層
12 裏面層
13 凹凸層
14 スリット
15 間隔
16 不連続切込線
Claims (12)
- 少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹凸層の複数の前記凹部及び複数の前記凸部が平面波を形成せず、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体。 - 少なくとも、表面層、並びに、複数の凹部及び複数の凸部を有する凹凸層を備えた積層体であって、
前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部が錐体状であり、
前記表面層及び前記凹凸層を貫通する複数のスリットが形成されており、
複数の前記スリットが同一方向に並んだ不連続切込線が複数存在する、積層体。 - 前記凹部及び前記凸部の少なくとも一部の断面形状が菱形である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 複数の前記スリットの長さが同一である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 前記不連続切込線における複数の前記スリットの間隔が同一である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 複数の前記不連続切込線における複数の前記スリットの位置が各不連続切込線によって異なる、請求項1又は2に記載の積層体。
- 複数の前記不連続切込線が直線である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 複数の前記不連続切込線が平行である、請求項7記載の積層体。
- 前記不連続切込線の非延伸方向に伸縮可能である、請求項1又は2に記載の積層体。
- 更に裏面層を備えており、
前記表面層及び前記裏面層の間に前記凹凸層が存在する、請求項1又は2に記載の積層体。 - 前記凹凸層が複数存在しており、
各凹凸層の間に平面層が存在する、請求項10記載の積層体。 - 包装用シートである、請求項1又は2に記載の積層体。
Applications Claiming Priority (2)
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---|---|---|---|
JP2022002540 | 2022-01-11 | ||
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2023
- 2023-01-06 JP JP2023001117A patent/JP2023102275A/ja active Pending
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