JP2023101313A - 高熱伝導性シリコーン組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】高熱伝導率を有し且つ接着性、取扱い作業性が良好である高熱伝導性シリコーン組成物を提供する。【解決手段】(A)少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が100~100,000mm2/sのオルガノポリシロキサン、(B)2個以上のケイ素原子に結合した水素原子を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、(C)オルガノハイドロジェンポリシロキサン、(D)熱伝導性充填材、(E)加水分解性オルガノポリシロキサン、(F)白金族金属触媒、及び(G)沸点が160~360℃の揮発性イソパラフィン化合物、を含有し、加熱硬化物の25℃における熱伝導率が4W/m・K以上であり、25℃における絶対粘度が50~1,000Pa・sである高熱伝導性シリコーン組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、高熱伝導性の付加硬化型シリコーン組成物に関する。
LSIやICチップ等の電子部品は使用中の発熱及びそれに伴う性能の低下が広く知られており、これを解決するための手段として様々な放熱技術が用いられている。例えば、発熱部の付近にヒートシンクなどの冷却用途の部材を配置し、両者を密接させることで冷却部材へと効率的な伝熱を促して冷却部材を冷却することにより発熱部の放熱を効率的に行うことが知られている。その際、発熱部材と冷却部材との間に隙間があると、熱伝導性の低い空気が介在することにより伝熱が効率的でなくなり、発熱部材の温度が十分に下がらなくなってしまう。
このような現象を防止するために発熱部材と冷却部材の間の空気の介在を防ぐ目的として、熱伝導率が良く、部材の表面に追従性のある放熱材料として放熱シートや放熱グリースが用いられる(特許文献1~3)。その中でも放熱グリースは実装時の厚みを薄くして使用することができるために熱抵抗の観点から高い性能を発揮する。放熱グリースの中には部材間に挟まれたのちに、加熱硬化して使用するタイプもある。
放熱グリースの中には、半導体チップとヒートスプレッダ―を強固に接着させるためにグリースに接着性能を付与したものがある。これは半導体チップとヒートスプレッダ―がグリースを介して十分に接着していないと、放熱性能が十分発揮されず著しい性能の低下を及ぼすためである。したがって半導体チップとヒートスプレッダ―との間をグリースにより強固に接着させることは重要である。一方で、放熱グリースの熱伝導率を向上させるためには熱伝導性充填剤を大量に充填する必要がある。熱伝導性充填剤をグリース中に大量に充填すると相対的に有機物成分量が減少するため、得られる硬化物の接着性が低下するという問題がある。接着性が低下すると、発熱と冷却の熱履歴による半導体チップの歪みに硬化物が追従できなくなり剥離を生じ、最悪の場合、半導体チップの破損を起こす可能性がある。
特許文献4は、アルケニル基含有オルガノポリシロキサン、加水分解性メチルポリシロキサン、熱伝導性充填剤、オルガノハイドロジェンポリシロキサン、トリアジン環及びアルケニル基含有接着助剤、及び白金系触媒を必須成分として含有する熱伝導性シリコーン組成物を開示している。特許文献4には、該組成物は、硬化後に高温での加熱エージングを行った際の硬度上昇が少なく、伸びの減少が抑制される放熱グリースを提供できることが記載されている。特許文献5には、硬化剤として10時間半減期温度が80℃以上130℃未満のパーオキサイドを含む熱伝導性シリコーン組成物が開示されており、該組成物は、金などの貴金属層を有する基材表面上で容易に硬化できる放熱グリースを提供できるとしている。
特許第2938428号公報 特許第2938429号公報 特許第3952184号公報 特開2012-102283号公報 特開2012-96361号公報
上述したように、近年、高品位機種の半導体装置において動作時の発熱量が益々増大しており、高い放熱性能が求められている。しかし、従来のシリコーン組成物は、接着性が十分でも熱伝導率が低いという問題や、熱伝導率は高いが接着性が低いという問題を有する。さらに、熱伝導率を高めるために組成物中に熱伝導性充填剤を多量に充填すると、粘度が上がり作業性が悪化してしまう。
従って、本発明は従来のシリコーン組成物に比べ、高熱伝導率を有し且つ接着性、取扱い作業性が良好である高熱伝導性シリコーン組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明では、
高熱伝導性シリコーン組成物であって、
(A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が100~100,000mm/sのオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記(C)成分以外の1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2023101313000001
(式中、mは2~8の整数、Rは互いに独立に水素原子又はRであり、ただしRで示される基のうち2つないし3つは水素原子である。前記Rは、炭素原子及び/又は酸素原子を介してケイ素原子に結合しているエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、エーテル基、及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、Rは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基である。)、
(D)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び炭素の同素体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性充填材:組成物全体に対し90~95質量%となる量、
(E)下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノポリシロキサン:1~50質量部、
Figure 2023101313000002
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。またnは5~100の整数を示す。)、
(F)白金族金属触媒:有効量、及び
(G)前記(A)~(F)成分を分散又は溶解できる沸点が160~360℃の揮発性イソパラフィン化合物:0.1~40.0質量部、
を含有するものであって、
前記(B)成分及び前記(C)成分の量が、(前記(B)成分及び前記(C)成分中のSi-H基の個数の合計)/(前記(A)成分の脂肪族不飽和炭化水素基の個数)が1.0~3.0の範囲となる量であり、かつ、
前記シリコーン組成物の加熱硬化物の25℃における熱伝導率がISO 22007-2準拠のホットディスク法において4W/m・K以上であり、前記シリコーン組成物の25℃における絶対粘度が50~1,000Pa・sである高熱伝導性シリコーン組成物を提供する。
このような高熱伝導性シリコーン組成物は、組成物中に少量のイソパラフィン系溶剤を配合することにより、熱伝導性充填剤を多量に含有しても良好な接着性と作業性を両立することが可能であり、高熱伝導率、良好な接着性、及び作業性を実現することが可能である。
さらに、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、(H)下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサン
Figure 2023101313000003
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数2~6のアルケニル基である。p、qは1≦p≦50、1≦q≦99、5≦p+q≦100を満足する数である。):1~50質量部
を含むものであることが好ましい。
このような加水分解性オルガノポリシロキサンは、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導性充填剤表面を処理するとともに、シリコーン組成物の強度を向上させる働きがある。
さらに、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、(I)アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物より選択される制御剤:0.05~5.0質量部
を含むものであることが好ましい。
このような高熱伝導性シリコーン組成物であれば、(F)成分の触媒活性を抑制し、十分なシェルフライフやポットライフが得られ、硬化速度が向上するものとすることができる。
また、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、前記シリコーン組成物を10mm×10mmのシリコンウェーハと20mm×20mmのニッケルメッキ銅板の間に挟み込み、加圧しながら150℃で加熱硬化させたときのせん断接着強度が、1.0MPa以上のものであることが好ましい。
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、高い接着強度を与えるものである。
本発明のシリコーン組成物は、熱伝導性充填剤を多量に含有しても良好な作業性と接着性を有することができるため、高い熱伝導率を有し、且つ良好な作業性と接着性を有する高熱伝導性シリコーン組成物を提供することができる。
上述のように、従来のシリコーン組成物に比べ、高熱伝導率を有し且つ接着性、取扱い作業性が良好である高熱伝導性シリコーン組成物の開発が求められていた。
本発明者らは、上記課題について鋭意検討を重ねた結果、揮発性溶剤を少量含有することで、高熱伝導性、高接着性を両立させることが可能であると同時に、作業性も良好である高熱伝導性シリコーン組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、高熱伝導性シリコーン組成物であって、
(A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が100~100,000mm/sのオルガノポリシロキサン:100質量部、
(B)下記(C)成分以外の1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
(C)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
Figure 2023101313000004
(式中、mは2~8の整数、Rは互いに独立に水素原子又はRであり、ただしRで示される基のうち2つないし3つは水素原子である。前記Rは、炭素原子及び/又は酸素原子を介してケイ素原子に結合しているエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、エーテル基、及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、Rは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基である。)、
(D)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び炭素の同素体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性充填材:組成物全体に対し90~95質量%となる量、
(E)下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノポリシロキサン:1~50質量部、
Figure 2023101313000005
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。またnは5~100の整数を示す。)、
(F)白金族金属触媒:有効量、及び
(G)前記(A)~(F)成分を分散又は溶解できる沸点が160~360℃の揮発性イソパラフィン化合物:0.1~40.0質量部、
を含有するものであって、
前記(B)成分及び前記(C)成分の量が、(前記(B)成分及び前記(C)成分中のSi-H基の個数の合計)/(前記(A)成分の脂肪族不飽和炭化水素基の個数)が1.0~3.0の範囲となる量であり、かつ、
前記シリコーン組成物の加熱硬化物の25℃における熱伝導率がISO 22007-2準拠のホットディスク法において4W/m・K以上であり、前記シリコーン組成物の25℃における絶対粘度が50~1,000Pa・sである高熱伝導性シリコーン組成物である。
以下、本発明の熱伝導性シリコーン組成物をより詳細に説明する。
[(A)成分]
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、ケイ素原子に直結した脂肪族不飽和炭化水素基を1分子中に少なくとも2個、好ましくは2~100個、より好ましくは2~50個有し、25℃での動粘度が100~100,000mm/sである。
脂肪族不飽和炭化水素基は、好ましくは、脂肪族不飽和結合を有する、炭素数2~8、さらに好ましくは炭素数2~6の1価炭化水素基であり、より好ましくはアルケニル基である。例えば、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、及びオクテニル基等のアルケニル基が例示されるが、合成の容易さ、コストの面から特に好ましくはビニル基である。脂肪族不飽和炭化水素基は、分子鎖末端のケイ素原子、分子鎖途中のケイ素原子のいずれに結合していてもよく、両者に結合していてもよい。
なお、(A)成分のオルガノポリシロキサンは、1分子中に0.00001~0.01mol/g、特には0.0001~0.01mol/gの脂肪族不飽和炭化水素基を有することが好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンのケイ素原子に結合する、脂肪族不飽和炭化水素基以外の有機基としては、炭素数1~18、好ましくは1~10、さらに好ましくは1~8の、脂肪族不飽和結合を有さない、非置換又は置換の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、ノニル基、デシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基等のアラルキル基、又はこれらの基の水素原子の一部又は全部をフッ素、臭素、塩素等のハロゲン原子、シアノ基等で置換したもの、例えば、クロロメチル基、クロロプロピル基、ブロモエチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、シアノエチル基等が挙げられる。これらのうち、合成の容易さ、コストの面からメチル基が特に好ましい。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、25℃での動粘度が、100~100,000mm/sの範囲、好ましくは200~100,000mm/s、より好ましくは300~50,000mm/sの範囲がよい。動粘度が100mm/s未満であると、シリコーン組成物の物理的特性が低下し、100,000mm/sを超えると、シリコーン組成物の伸展性が乏しいものとなる。
本発明において、動粘度は、オストワルド粘度計により測定した25℃における値である(以下、同じ)。
(A)成分のオルガノポリシロキサンは、上記性質を有するものであればその分子構造は特に限定されず、直鎖構造、分岐鎖状構造、一部分岐状構造又は環状構造を有する直鎖状構造等が挙げられる。特には、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状構造を有するのが好ましい。該直鎖状構造を有するオルガノポリシロキサンは、部分的に分岐状構造、又は環状構造を有していてもよい。
[(B)成分]
(B)成分は、架橋により組成を網状化するためにケイ素原子に直結した水素原子を1分子中に2個以上、好ましくは2~100個、さらに好ましくは2~20個有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンであり、後述の(C)成分以外のものである。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、上記性質を有するものであればその分子構造は特に限定されず、直鎖状構造、分岐鎖状構造、環状構造、一部分岐状構造又は環状構造を有する直鎖状構造等が挙げられる。好ましくは直鎖状構造、環状構造である。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、25℃での動粘度が、好ましくは1~1,000mm/s、より好ましくは10~100mm/sである。動粘度が1mm/s以上であれば、シリコーン組成物の物理的特性が低下するおそれがなく、1,000mm/s以下であれば、シリコーン組成物の伸展性が乏しいものとなるおそれがない。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンのケイ素原子に結合した有機基としては、脂肪族不飽和炭化水素基以外の非置換又は置換の1価炭化水素基が挙げられる。特には、炭素数1~12、好ましくは炭素数1~10の、非置換又は置換の1価炭化水素基である。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、ドデシル基等のアルキル基、フェニル基等のアリール基、2-フェニルエチル基、2-フェニルプロピル基等のアラルキル基が例示され、さらにクロロメチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基等の置換炭化水素基も例として挙げられる。これらのうち、合成の容易さ、コストの面からメチル基が好ましい。
(B)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
[(C)成分]
(C)成分は下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンである。
Figure 2023101313000006
(式中、mは2~8の整数、Rは互いに独立に水素原子又はRであり、ただしRで示される基のうち2つないし3つは水素原子である。前記Rは、炭素原子及び/又は酸素原子を介してケイ素原子に結合しているエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、エーテル基、及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、Rは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基である。)
一般式(1)中、Rは互いに独立に水素原子またはRであり、ただしRで示される基の内2つないし3つは水素原子である。Rは炭素原子および/または酸素原子を介してケイ素原子に結合しているエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、エーテル基、及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、シリコーン組成物に接着性を付与する効果を有する。また、Rは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンは1種単独でも、2種以上を混合して使用してもよい。
で示される基は、例えば、以下に示される基とすることができる。
Figure 2023101313000007
(式中、Phはフェニル基であり、破線は結合手である。)
(C)成分の具体例としては、例えば、以下のような化合物が挙げられる。
Figure 2023101313000008
(B)成分および(C)成分のオルガノハイドロジェンポリシロキサンの合計量は、{((B)成分および(C)成分中のSi-H基の個数の合計)/((A)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基の個数)}が1.0~3.0の範囲となる量が好ましく、より好ましくは1.5~2.5となる量である。(B)成分および(C)成分の量が上記下限値未満では十分な接着性能を発揮できず、基材との密着性が悪くなる恐れがある。また、上記上限超では、硬化物が硬くなりすぎてしまったり、組成物の保存性が著しく悪化する場合がある。
[(D)成分]
(D)成分は、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、炭素の同素体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性充填材である。
(D)成分の熱伝導性充填材としては、例えば、アルミニウム粉末、銅粉末、鉄粉末、ニッケル粉末、金粉末、銀粉末、金属ケイ素粉末、窒化アルミニウム粉末、窒化ホウ素粉末、アルミナ粉末、ダイヤモンド粉末、カーボン粉末、インジウム粉末、ガリウム粉末、酸化亜鉛粉末などが挙げられる。1種類あるいは2種類以上を適宜組み合わせて用いることができ、大粒子成分と小粒子成分を組み合わせたものであることが好ましい。
大粒子成分の平均粒径は、0.1μm以上であれば得られる組成物の粘度が高くなりすぎず、伸展性が良好になり、100μm以下であれば得られる組成物が均一性の高いものとなるため、0.1~100μmの範囲、好ましくは10~50μmの範囲、より好ましくは10~45μmの範囲が好ましい。
また、小粒子成分の平均粒径は、0.01μm以上であれば得られる組成物の粘度が高くなりすぎず、伸展性が良好になり、10μm未満であれば得られる組成物が均一性の高いものとなるため、0.01μm以上10μm未満の範囲、好ましくは0.1~4μmの範囲が良い。
大粒子成分と小粒子成分の割合は特に限定されず、9:1~1:9(質量比)の範囲が好ましい。また、大粒子成分及び小粒子成分の形状は、球状、不定形状、針状等、特に限定されるものではない。
なお、本発明において、平均粒径は日機装(株)製マイクロトラックMT3300EXにより測定でき、体積基準の体積平均径である。
(D)成分の充填量は、組成物全体に対し90~95質量%の範囲がよく、好ましくは90~93質量%の範囲がよい。充填量が下限未満であると組成物の熱伝導率が低くなってしまい、上限を超えると組成物の粘度が上昇し、伸展性の乏しいものとなる。
[(E)成分]
(E)成分は、下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノポリシロキサンであり、熱伝導性充填材である(D)成分の表面を処理することが可能で、(D)成分をシリコーン成分中に高充填しても、シリコーン組成物の流動性を保ち、組成物に良好な取扱い性を付与することができる。
Figure 2023101313000009
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。またnは5~100の整数を示す。)
上記一般式(2)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基であり、好ましくは置換基を有してもよい1価飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有していてもよい1価不飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい1価芳香族炭化水素基(芳香族ヘテロ環を含む)が挙げられ、より好ましくは置換基を有していてもよい1価飽和脂肪族炭化水素基、置換基を有してもよい1価芳香族炭化水素基、特に好ましくは置換基を有していてもよい1価飽和脂肪族炭化水素基である。
置換基を有してもよい1価飽和脂肪族炭化水素基として、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、へプチル基、オクチル基等の直鎖アルキル基、イソプロピル基、イソブチル基、tert-ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等の分岐鎖アルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等のシクロアルキル基、クロロメチル基、3-クロロプロピル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、ブロモプロピル基等のハロゲン置換アルキル基などの、炭素数1~10、好ましくは炭素数1~8、さらに好ましくは炭素数1~6のものである。
置換基を有してもよい1価不飽和脂肪族炭化水素基として、具体的には、エテニル基、1-メチルエテニル基、2-プロペニル基等のアルケニル基、エチニル基、2-プロピニル基等のアルキニル基などの、炭素数2~10、好ましくは2~8、さらに好ましくは炭素数2~6のものである。
置換基を有してもよい1価芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、トリル基等のアリール基、ベンジル基、2-フェニルエチル基等のアラルキル基、α,α,α-トリフルオロトリル基、クロロベンジル基等のハロゲン置換アリール基などの、炭素数6~10、好ましくは炭素数6~8、さらに好ましくは炭素数6のものである。
としては、これらの中でも、メチル基、エチル基、3,3,3-トリフルオロプロピル基、フェニル基が好ましく、さらに好ましくはメチル基、エチル基、フェニル基であり、特に好ましくはメチル基である。
nは5~100の整数、好ましくは10~60の整数である。nの値が5より小さいと、シリコーン組成物由来のオイルブリードがひどくなり信頼性が悪くなるおそれがある。また、nの値が100より大きいと、充填材の濡れ性が十分でなくなるおそれがある。
(E)成分の量は、(A)成分100質量部に対し1~50質量部、好ましくは10~40質量部、より好ましくは10~35質量部の範囲である。(E)成分の量が上記下限未満であると十分な濡れ性を発揮できない恐れがあり、上記上限を超えると組成物からのブリードがひどくなるおそれがある。
[(F)成分]
(F)成分は、白金族金属触媒であり、(A)成分中の脂肪族不飽和炭化水素基と(B)、(C)成分のSi-H基との間の付加反応の促進成分である。
白金族金属触媒は、付加反応に用いられる従来公知のものを使用することができる。例えば白金系、パラジウム系、ロジウム系の触媒が挙げられるが、中でも比較的入手しやすい白金または白金化合物が好ましい。例えば、白金の単体、白金黒、塩化白金酸、白金-オレフィン錯体、白金-アルコール錯体、白金配位化合物等が挙げられる。白金系触媒は1種類単独でも2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
(F)成分の配合量は触媒としての有効量、即ち、付加反応を促進して本発明の組成物を硬化させるために必要な有効量であればよい。好ましくは(A)成分の質量に対し、白金族金属原子に換算した質量基準で0.1~500ppm、より好ましくは1~200ppmである。触媒の量が上記下限以上であると触媒としての効果が確実に得られ、また上記上限以下であれば添加した量に応じて触媒効果が増大するため経済的である。
[(G)成分]
(G)成分は、希釈剤であり、(A)、(B)、(C)、(D)、(E)及び(F)成分を分散又は溶解する沸点160~360℃、好ましくは200~360℃の(微)揮発性イソパラフィン化合物を用いる。
沸点が160℃未満の高揮発性溶剤を使用すると、室温使用時でも使用環境によっては揮発してしまい、作業中に組成物の粘度が上昇する不具合が生じる。一方、沸点が360℃を超える低揮発性溶剤を使用した場合には、加熱硬化後に組成物中に溶剤が残存しやすくなり、ボイドが発生するなどして熱性能が低下してしまう。
このようなイソパラフィン化合物としては、市販品を用いることができ、具体的には、IPソルベント2028MU(出光興産(株)製、沸点213~262℃のイソパラフィンの混合物)、IPソルベント2835MU(出光興産(株)製、沸点277~353℃のイソパラフィンの混合物)等を例示することができる。
(G)成分の配合量は、(A)成分100質量部に対して0.1~40.0質量部であり、好ましくは5~35質量部、特に好ましくは10~30質量部である。配合量が0.1質量部未満であると、シリコーン組成物の粘度を十分に下げることができず、40.0質量部を超えると加熱後も組成物中に残存してしまい組成物が硬化しにくくなるおそれがある。
熱伝導性シリコーン組成物の熱伝導率は、基本的に熱伝導性充填材の配合量と相関があり、熱伝導性充填材の配合量を多くすることで高熱伝導率化が可能である。一方で、熱伝導性充填材の配合量が多いと組成物自体の粘度が高くなってしまう。そこで、低粘度化のために(E)成分である加水分解性オルガノポリシロキサンを配合するが、(E)成分の量が多くなることで接着強度が低下してしまう問題が発生する。そこで少量の(G)成分を配合することで、(E)成分が少量でも熱伝導性シリコーン組成物の粘度を下げることができ、従来の熱伝導性シリコーン組成物では実現が難しかった、高熱伝導率と高接着強度の両立と作業性および取扱い性を改善できる。
[(H)成分]
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物には、さらに、下記一般式(3)で表される加水分解性オルガノポリシロキサン化合物(H)を含有することができる。(H)成分の加水分解性オルガノポリシロキサン化合物は、熱伝導性充填剤表面を処理するとともに、シリコーン組成物の強度を高める補強効果を有する。
Figure 2023101313000010
(式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数2~6のアルケニル基である。p、qは1≦p≦50、1≦q≦99、5≦p+q≦100を満足する数である。)
上記一般式(3)中のRは先述のRと同様であり、特に好ましくはメチル基である。また、Rは炭素数2~6のアルケニル基であり、具体的には、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられ、特に好ましくはビニル基である。
pは1~50、好ましくは1~10であり、qは1~99、好ましくは4~50である。pが1以上であればシリコーン組成物へ十分な補強効果を与え、pが50以下であれば架橋が十分に均一となる。qが1以上であればオイルブリードを抑制でき、qが99以下であれば熱伝導性充填剤表面の処理が十分となる。また、p+qは5≦p+q≦100であるが、好ましくは5≦p+q≦60である。p+qが5以上であれば組成物のオイルブリードを十分に抑制でき、信頼性が高くなる。また、p+qが100以下であれば、充填剤との濡れ性が十分となる。
(H)成分の量は(A)成分100質量部に対して1~50質量部となる量であり、好ましくは1~20質量部となる量である。(H)成分の量が上記下限値以上であれば、十分な濡れ性や接着性を発揮することができる。また、(H)成分の量が上記上限値以下であれば組成物からのブリードを抑制できる。
[(I)成分]
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物には、室温でのヒドロシリル化反応の進行を抑え、シェルフライフ、ポットライフを延長させるための制御剤として、さらに(I)アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物より選択される制御剤を含有することができる。
このような反応制御剤としては従来公知のものを使用することができ、これには、例えば、アセチレンアルコール類(例えば、エチニルメチルデシルカルビノール、1-エチニル-1-シクロヘキサノール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール)等のアセチレン化合物、トリブチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾール等の各種窒素化合物、トリフェニルホスフィン等の有機りん化合物、オキシム化合物、有機クロロ化合物等が利用できる。
(I)成分の配合量は(A)成分100質量部に対して0.05~5.0質量部となる量であり、好ましくは0.1~1.0質量部となる量である。(I)成分の量が0.05質量部以上であれば、所望とする十分なシェルフライフやポットライフが得られ、また、5.0質量部以下であればシリコーン組成物の硬化速度が低下するおそれがない。
また、これらはシリコーン組成物への分散性を良くするためにオルガノ(ポリ)シロキサンやトルエン等で希釈して使用してもよい。
[その他の成分]
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物には上記した(A)~(I)成分以外に、付加硬化型シリコーン組成物の劣化を防ぐために、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール等の、従来公知の酸化防止剤を必要に応じて含有してもよい。さらに、接着助剤、離型剤、染料、顔料、難燃剤、沈降防止剤、又はチクソ性向上剤等を必要に応じて配合することができる。
[高熱伝導性シリコーン組成物]
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物を製造するには(A)~(G)成分をトリミックス、ツウィンミックス、プラネタリミキサー(何れも井上製作所(株)製混合機の登録商標)、ウルトラミキサー(みずほ工業(株)製混合機の登録商標)、ハイビスディスパーミックス(特殊機化工業(株)製混合機の登録商標)等の混合機にて混合する。
また、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、加熱しながら混合してもよく、加熱条件は特に制限されるものではないが、温度は通常25~220℃、好ましくは40~200℃、より好ましくは50~200℃であり、時間は通常3分~24時間、好ましくは5分~12時間、より好ましくは10分~6時間である。また加熱時に脱気を行ってもよい。
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、25℃にてマルコム粘度計(タイプPC-1TL)を用いて測定される絶対粘度が、50~1,000Pa・sの範囲であり、好ましくは100~800Pa・s、より好ましくは150~500Pa・sである。粘度が上記範囲の下限未満であると、保存時に経時で熱伝導性充填材が沈降するなど、作業性が悪くなるおそれがある。また上記範囲の上限を超えると、伸展性が乏しくなり、作業性が悪化するおそれがある。
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、微揮発成分である(G)成分を含有する。熱伝導率を測定するには(G)成分を揮発させるためにシリコーン組成物を加熱硬化させる必要がある。そのため、加熱硬化させることで6mm厚の硬化物を作製し、作製した硬化物はISO 22007-2準拠のホットディスク法において、25℃で4W/mK以上の熱伝導率を有する。熱伝導率は、京都電子工業(株)製のModel QMT-500で測定できる。
さらに本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は1.0MPa以上のせん断接着強度を有することが好ましい。なお、せん断接着強度は、組成物を10mm×10mmのシリコンウェーハと20mm×20mmのニッケルメッキ銅板の間に挟み込み、加圧しながら150℃で加熱硬化させた後に測定した値である。
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は高熱伝導率と高接着強度を両立することができ、さらに作業性が良好である。そのため、半導体チップ等の放熱用途において、効率的に放熱できることに加え、高接着強度を有することから信頼性向上が期待される。さらに、作業性が良好であることから、半導体装置の生産性向上に寄与することもできる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、動粘度はオストワルド粘度計による25℃の値を示す。
初めに、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物を調製する以下の各成分を用意した。
(A)成分
A-1:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が400mm/sのジメチルポリシロキサン
A-2:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm/sのジメチルポリシロキサン
A-3:両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が30,000mm/sのジメチルポリシロキサン
A-4:両末端がトリビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が1,500mm/sのジメチルポリシロキサン
(B)成分
下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
B-1:
Figure 2023101313000011
B-2:
Figure 2023101313000012
B-3:
Figure 2023101313000013
(C)成分
下記式で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
C-1:
Figure 2023101313000014
C-2:
Figure 2023101313000015
(D)成分
D-1:平均粒径20.0μmのアルミニウム粉末と平均粒径2.0μmのアルミニウム粉末を60:40質量比であらかじめ混合したアルミニウム粉末
D-2:平均粒径1.0μmの酸化亜鉛粉末
(E)成分
下記式で表される加水分解性オルガノポリシロキサン
E-1:
Figure 2023101313000016
(F)成分
F-1:白金―ジビニルテトラメチルジシロキサン錯体が、両末端がジメチルビニルシリル基で封鎖され、25℃における動粘度が600mm/sのジメチルポリシロキサンに溶解した溶液、白金原子として1%含有
(G)成分
G-1:IPソルベント2028MU(イソパラフィン系溶剤、出光興産株式会社製、商品名)沸点:213-262℃
(H)成分
下記式で表される加水分解性オルガノポリシロキサン
H-1:
Figure 2023101313000017
(I)成分
I-1:
Figure 2023101313000018
I-2:1-エチニルー1-シクロヘキサノール
(A)~(I)成分を以下のように配合して表1に示す実施例1~6及び表2に示す比較例1~7の組成物を得た。即ち、5リットルプラネタリーミキサー(井上製作所(株)社製)に(A)、(D)及び(E)成分を加え、150℃で1時間混合した。常温になるまで冷却し、次に(B)、(C)、(F)、(G)、(H)及び(I)成分を加え均一になるように混合し、シリコーン組成物を調製した。
上記方法で得られた各組成物について、下記の方法に従い、粘度、熱伝導率、及び接着強度を測定した。結果を表1及び表2に示す。
[粘度]
シリコーン組成物の絶対粘度は、マルコム粘度計(タイプPC-1TL)を用いて25℃で測定した。
[熱伝導率]
揮発性溶剤を除くため、各組成物を150℃にて60分硬化して6mm厚シートを作製した後、京都電子工業(株)製のModel QTM-500で測定した。
[接着強度]
各組成物を10mm×10mmのシリコンウェーハと20mm×20mmのニッケルをメッキした銅板の間に挟み込み、1.8kgfのクリップによって加圧しながら150℃にて60分加熱硬化した。その後、Dage series-4000PXY(Dage Deutchland GmbH製)を用いてせん断接着強度を測定した。
Figure 2023101313000019
Figure 2023101313000020
*1;グリース状にならないため測定不可
*2;塊状になってしまい測定不可
表1及び表2の結果より、本発明の要件を満たす実施例1~6の熱伝導性シリコーン組成物では、熱伝導率4W/mK以上であり、低粘度かつ接着強度は1.0MPa以上であることから、作業性と熱伝導性を両立しつつ、高接着強度の組成物が実現可能である。
一方で、比較例1では{(B)成分および(C)成分のSi-H基の個数}/{(A)成分のSi-Vi基の個数}の比が低く、材料強度が不十分であることから接着強度は1.0MPaを下回る。また、比較例2および3では熱伝導性充填剤の含有量が少なすぎると十分な放熱性能を確保できず、多すぎるとグリース状にならない。さらに、比較例4では(E)成分の加水分解性ポリオルガノシロキサンが過剰に含有されており、材料表面へブリードしてしまうため接着強度が低下した。比較例5も同様に、(G)成分のイソパラフィン系溶剤を含有しない場合、低粘度とするために(E)成分の加水分解性ポリオルガノシロキサンを多く含む必要があるが、そうなると接着強度が低下してしまう。最後に比較例6および7にあるように、イソパラフィン系溶剤である(G)成分が含有されない場合には、材料が塊状になってしまい、一方で含有量が多すぎると加熱硬化の際に溶剤が残ってしまい、熱伝導率の低下と材料強度の低下に起因する接着強度の低下が見られた。
従って、本発明の高熱伝導性シリコーン組成物では、良好な作業性と高熱伝導率を両立し、かつ高接着強度を実現することが可能である。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
本発明の高熱伝導性シリコーン組成物は、高い熱伝導率と接着強度を有していることから基材の反りによる剥離を防ぐことが可能であるとともに、電子部品からの発熱を効率良く取り除くことが可能である。また、高接着強度であることから、電子部品からの除熱に使用される放熱グリースとしてだけでなく、半導体パッケージにおいて基材とリッドを接合するシール材としても使用することが可能である。さらに、作業性にも優れており、生産性の向上にも寄与することができる。

Claims (4)

  1. 高熱伝導性シリコーン組成物であって、
    (A)1分子中に少なくとも2個の脂肪族不飽和炭化水素基を有し、25℃での動粘度が100~100,000mm/sのオルガノポリシロキサン:100質量部、
    (B)下記(C)成分以外の1分子中に2個以上のケイ素原子に結合した水素原子(Si-H基)を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサン、
    (C)下記一般式(1)で表されるオルガノハイドロジェンポリシロキサン
    Figure 2023101313000021
    (式中、mは2~8の整数、Rは互いに独立に水素原子又はRであり、ただしRで示される基のうち2つないし3つは水素原子である。前記Rは、炭素原子及び/又は酸素原子を介してケイ素原子に結合しているエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、エーテル基、及びトリアルコキシシリル基から選択される基であり、Rは互いに独立に炭素数1~6のアルキル基である。)、
    (D)金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属窒化物、金属炭化物、及び炭素の同素体からなる群より選ばれる少なくとも1種の熱伝導性充填材:組成物全体に対し90~95質量%となる量、
    (E)下記一般式(2)で表される加水分解性オルガノポリシロキサン:1~50質量部、
    Figure 2023101313000022
    (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。またnは5~100の整数を示す。)、
    (F)白金族金属触媒:有効量、及び
    (G)前記(A)~(F)成分を分散又は溶解できる沸点が160~360℃の揮発性イソパラフィン化合物:0.1~40.0質量部、
    を含有するものであって、
    前記(B)成分及び前記(C)成分の量が、(前記(B)成分及び前記(C)成分中のSi-H基の個数の合計)/(前記(A)成分の脂肪族不飽和炭化水素基の個数)が1.0~3.0の範囲となる量であり、かつ、
    前記シリコーン組成物の加熱硬化物の25℃における熱伝導率がISO 22007-2準拠のホットディスク法において4W/m・K以上であり、前記シリコーン組成物の25℃における絶対粘度が50~1,000Pa・sであることを特徴とする高熱伝導性シリコーン組成物。
  2. さらに、(H)下記一般式(3)で示される加水分解性オルガノポリシロキサン
    Figure 2023101313000023
    (式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~10の1価炭化水素基を表し、それぞれのRは同一であっても異なっていてもよい。Rは炭素数2~6のアルケニル基である。p、qは1≦p≦50、1≦q≦99、5≦p+q≦100を満足する数である。):1~50質量部
    を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の高熱伝導性シリコーン組成物。
  3. さらに、(I)アセチレン化合物、窒素化合物、有機りん化合物、オキシム化合物、及び有機クロロ化合物より選択される制御剤:0.05~5.0質量部
    を含むものであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の高熱伝導性シリコーン組成物。
  4. 前記シリコーン組成物を10mm×10mmのシリコンウェーハと20mm×20mmのニッケルメッキ銅板の間に挟み込み、加圧しながら150℃で加熱硬化させたときのせん断接着強度が、1.0MPa以上のものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の高熱伝導性シリコーン組成物。
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