JP2023094734A - 積層エレクトレット不織布およびマスク - Google Patents

積層エレクトレット不織布およびマスク Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、圧力損失が低くかつ高い捕集性能を有する積層エレクトレット不織布およびマスクを提供する。【解決手段】 本発明の積層エレクトレット不織布は、内層不織布とその両面に配置した外層不織布からなり、前記内層不織布は、平均単繊維径が0.6μm以上8.0μm以下、目付が5g/m2以上20g/m2以下のエレクトレットメルトブロー不織布であり、前記外層不織布は、平均単繊維径が10μm以上30μm以下、目付が10g/m2以上90g/m2以下のエレクトレットスパンボンド不織布であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、不織布に関するものである。さらに詳しくは、捕集性能に優れた積層エレクトレット不織布と、これを用いてなるマスクに関するものである。
従来から、気体中の花粉や塵埃、飛沫等を除去するためにフィルターとして不織布を用いたマスクが使用されている。
一般に、不織布を用いたフィルターにおいて、捕集効率を高くしつつ、圧力損失を低くすることが困難であることから、不織布をエレクトレット加工して、物理的作用に加えて静電気的作用を利用することにより、フィルターの構成要素として用いた場合に好適な不織布を得る試みがなされている。
例えば、特許文献1では、エレクトレットメルトブロー不織布からなる内材とこれを挟むように配置したレーヨン短繊維不織布からなる外材で構成し、低圧力損失で高捕集効率を両立させたマスクが提案されている。
特許文献2では、2種類の融点の異なる繊維からなるエレクトレットメルトブロー不織布の両面にポリエステルスパンボンド不織布を積層し、メルトブロー不織布の接着を高めるとともに、低圧力損失で高捕集効率を両立させたエアフィルター材が提案されている。
特開昭61-272063号公報 再表2011/004696号公報
上記の特許文献1~2に記載の提案のように、メルトブロー不織布をエレクトレット化することによって、捕集性能はある程度向上させることはできるものの、例えばマスク用フィルターとして使用する際においては、捕集効率を損なうことなく、より呼吸のしやすい低圧力損失のフィルターが求められている。
そこで本発明の課題は、上記のような問題点に着目し、圧力損失が低くかつ高い捕集性能を有する積層エレクトレット不織布を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、適切な原料種および不織布構成を選択することによって、上記課題を解決しうる積層エレクトレット不織布が得られることを見出した。
本発明の積層エレクトレット不織布は、内層不織布とその両面に配置した外層不織布とからなる積層エレクトレット不織布であって、前記内層不織布は、平均単繊維径が0.6μm以上8.0μm以下、目付が5g/m以上20g/m以下のエレクトレットメルトブロー不織布であり、前記外層不織布は、平均単繊維径が10μm以上30μm以下、目付が10g/m以上90g/m以下のエレクトレットスパンボンド不織布であることを特徴とする。
また、積層エレクトレット不織布の好ましい形態によれば、前記積層エレクトレット不織布がポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成することができる。
前記内層不織布および外層不織布は、それぞれヒンダードアミン系化合物を0.1~5.0質量%含有するとよい。また、前記積層エレクトレット不織布のQF値が0.25Pa-1以上であるとよい。さらに、本発明は、前記積層エレクトレット不織布を含むマスクである。
本発明によれば、圧力損失が低くかつ高い捕集性能を有する積層エレクトレット不織布およびマスクを得ることができる。
捕集効率および圧力損失の測定装置を示す概略側面図である。
本発明の積層エレクトレット不織布は、内層不織布とその両面に配置した外層不織布からなる積層エレクトレット不織布であって、前記内層不織布は、平均単繊維径が0.6μm以上8.0μm以下、目付が5g/m以上20g/m以下のエレクトレットメルトブロー不織布であり、前記外層不織布は、平均単繊維径が10μm以上30μm以下、目付が10g/m以上90g/m以下のエレクトレットスパンボンド不織布であることを特徴とする積層エレクトレット不織布である。以下に、その構成要素について詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下に説明する範囲に何ら限定されるものではない。
積層エレクトレット不織布に用いられるエレクトレットメルトブロー不織布は、その平均単繊維径が0.6μm以上8.0μm以下である。平均単繊維径を0.6μm以上、好ましくは1.0μm以上、より好ましくは1.5μm以上とすることで、不織布のシート強度を向上させることができる。一方、8.0μm以下、より好ましくは5.0μm以下、さらに好ましくは3.0μm以下とすることで、エレクトレットメルトブロー不織布の捕集効率を向上させることができる。さらに、エレクトレットメルトブロー不織布の目付は5g/m以上20g/m以下である。目付を5g/m以上、好ましくは7g/m以上、より好ましくは9g/m以上とすることでエレクトレットメルトブロー不織布の捕集効率を向上させることができる。一方、20g/m以下、好ましくは18g/m以下、より好ましくは16g/m以下とすることでエレクトレットメルトブロー不織布の圧力損失を低くすることができる。
また、積層エレクトレット不織布に用いられるエレクトレットスパンボンド不織布は、その平均単繊維径が10μm以上30μm以下である。平均単繊維径を10μm以上、好ましくは13μm以上、より好ましくは15μm以上とすることで、エレクトレットスパンボンド不織布の圧力損失を低くすることができる。一方、30μm以下、好ましくは27μm以下、より好ましくは25μm以下とすることで、エレクトレットスパンボンド不織布の捕集効率を向上させることができる。さらに、エレクトレットスパンボンド不織布の目付は10g/m以上90g/m以下のである。目付を10g/m以上、好ましくは13g/m以上、より好ましくは15g/m以上とすることでエレクトレットスパンボンド不織布の捕集効率を向上させることができる。一方、90g/m以下、好ましくは80g/m以下、より好ましくは70g/m以下とすることでエレクトレットスパンボンド不織布の圧力損失を低くすることができる。
なお、外層不織布および内層不織布を構成する繊維の平均単繊維径は、不織布の幅方向3点(側端部2点と中央1点)、それを長手方向5cmおきに5点、合計15点から、3mm×3mmの測定サンプルを15個採取し、走査型電子顕微鏡(例えば、株式会社キーエンス社製「VE-9800」など)で倍率を2000倍に調節して、採取した測定サンプルから繊維表面写真を各1枚ずつ、計15枚を撮影し、写真の中の繊維直径(単繊維径)がはっきり確認できる繊維について単繊維径を測定し、平均した値の小数点以下第2位を四捨五入して得られる値とする。
また外層不織布および内層不織布の目付は、不織布から、タテ×ヨコ=15cm×15cmのサンプルを採取し、そのサンプルの質量を測定して得られた値を1m当たりの値に換算し、小数点以下第1位を四捨五入して、不織布の目付(g/m)を算出することとする。
本発明の積層エレクトレット不織布は、エレクトレット処理(帯電処理)されている。不織布をエレクトレット化する方法としては、例えば、アース電極上に不織布を接触させた状態で、このアース電極と不織布を共に移動させながら、非接触型印加電極で高圧印加を行なって連続的にエレクトレット化する方法、不織布に対して水の噴流もしくは水滴流を不織布の内部まで水が浸透するのに十分な圧力で噴霧させてエレクトレット化し、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法、あるいは、不織布をスリット状のノズル上を通過させ、ノズルで水を吸引することにより不織布に水を浸透させて、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(ハイドロチャージ法)などを用いることができる。これらのエレクトレット処理は、内層不織布および外層不織布を積層する前に実施してもよいし、積層後に実施してもよい。
本発明の積層エレクトレット不織布は、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成されるのが好ましい。ポリオレフィン系樹脂からなる繊維とは、構成する繊維がポリオレフィン系樹脂またはポリオレフィン系樹脂組成物からなることを指す。体積抵抗率が高く、吸水性が低いポリオレフィン系樹脂からなる繊維を用いて構成することで、不織布をエレクトレット加工した際の帯電性および電荷保持性を強くすることができ、これらの効果によって高い捕集効率を達成することができる。
本発明において、ポリオレフィン系樹脂は、ポリオレフィン樹脂に適切な安定剤および/または添加剤等を含有させた樹脂とし、ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂を主成分にするポリマーブレントおよび/またはフィラー等の配合材を含む樹脂組成物とする。ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンおよびポリメチルペンテン等のホモポリマーや、これらのホモポリマーに異なる成分を共重合したコポリマーなどが挙げられる。また、ポリオレフィン系樹脂組成物は、ポリオレフィン系樹脂に異なる2種以上のポリマーブレンドや、無機フィラーおよび/または有機フィラー等を配合した組成物などが挙げられる。これらの中でも、帯電保持性の観点から、ポリプロピレン系樹脂およびそれの樹脂組成物、並びにポリメチルペンテン系樹脂およびその樹脂組成物が好ましく用いられる。特に、安価に利用できること、繊維径の細径化が容易という観点から、ポリプロピレン系樹脂が好ましく用いられる。なお、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンのホモポリマー、エチレンおよび/または他のα-オレフィン成分との共重合体(コポリマー)のうち、ポリプロピレンホモポリマーおよびプロピレン単位が90質量%以上含有する樹脂のことを指す。
また、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維は、複合繊維であってもよく、例えば、芯鞘型、偏心芯鞘型、サイドバイサイド型、分割型、海島型、アロイ型などの複合繊維の形態をとってもよい。
本発明の積層エレクトレット不織布は、内層不織布であるエレクトレットメルトブロー不織布および外層不織布であるエレクトレットスパンボンド不織布中に、それぞれヒンダードアミン系化合物を好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下含有する。ヒンダードアミン系化合物を好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.7質量%以上含有することで、エレクトレット加工を施した際の帯電性、電荷保持性に優れるエレクトレット不織布を得ることができる。一方、ヒンダードアミン系化合物を好ましくは5.0質量%以下、より好ましくは3.0質量%以下含有することで、より低コストで上記帯電性と電荷保持性を発現させることが可能となる。
ヒンダードアミン系化合物の含有量は、例えば、次のようにして求めることができる。すなわち、不織布をメタノール/クロロホルム混合溶液でソックスレー抽出後、その抽出物についてHPLC分取を繰り返し、各分取物についてIR測定、GC測定、GC/MS測定、MALDI-MS測定、H-NMR測定、および13C-NMR測定で構造を確認する。ヒンダードアミン系化合物の含まれる分取物の質量を合計し、不織布全体に対する割合を求め、これをヒンダードアミン系化合物の含有量とする。
ヒンダードアミン系化合物としては、例えば、ポリ[(6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)イミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル)((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)ヘキサメチレン((2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ)](BASFジャパン(株)製、“キマソーブ”(登録商標)944LD)、コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン重縮合物(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)622LD)、および2-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-2-n-ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)(BASFジャパン(株)製、“チヌビン”(登録商標)144)、N‐ブチル‐1‐ブタンアミンおよびN‐ブチル‐2,2,6,6‐テトラメチル‐4‐ピペリジンアミンの反応生成物(BASFジャパン(株)製“キマソーブ”(登録商標)2020FDLなどが挙げられる。
また、内層不織布および外層不織布には、本発明の効果を損なわない限り、ポリオレフィン系樹脂からなる繊維中に熱安定剤、耐候剤および重合禁止剤等の添加剤を添加することができる。
本発明の積層エレクトレット不織布は、上記の構成を取ることによって、高い捕集効率と低い圧力損失とを両立する。これらの捕集性能の指標として、QF値(Pa-1)がある。QF値は、以下の式で表されるように、捕集効率と圧力損失との関係を示し、QF値が高い程、捕集効率が高く、圧力損失が低いことを示している。
・QF値(Pa-1)=-[ln(1-(捕集効率(%))/100)]/(圧力損失(Pa))。
上記式中、lnは、自然対数の演算子を表す。
ここで、積層エレクトレット不織布の捕集効率と圧力損失の測定方法は以下の手順で測定し、算出される値である。
(1)積層エレクトレット不織布の繊維シートの幅方向5カ所で、タテ×ヨコ=15cm×15cmの測定サンプルMをそれぞれ1つずつ(計5つ)採取する。
(2)図1の概略側面図に示す捕集効率測定装置を準備する。この捕集効率測定装置は、測定サンプルMをセットするサンプルホルダー1の上流側に、ダスト導入口2を連結し、下流側に流量計3、流量調整バルブ4およびブロワ5を連結している。また、サンプルホルダー1のサンプルMの上流側に上流側パーティクルカウンター6を配置し、サンプルMの下流側に下流側パーティクルカウンター7を配置して、測定サンプルMの上流側のダスト個数と下流側のダスト個数とをそれぞれ測定することができるものである。
(3)ダスト導入口2を開放し、大気を導入する。
(4)測定サンプルMを、サンプルホルダー1にセットし、風量をフィルター通過速度が4.5m/分になるように、流量調整バルブ4で調整し、大気塵ダスト濃度を1万~4万個/2.83×10-4以上で安定していることを確認する。
(5)測定サンプルMの上流のダスト個数Dを上流側パーティクルカウンター6(例えば、リオン株式会社製「KC-01E」など)および下流のダスト個数dを下流のパーティクルカウンター7で1個の測定サンプル当り3回測定し、JIS K0901:1991の「気体中のダスト試料捕集用ろ過材の形状、寸法並びに性能試験方法」に基づいて、下記の計算式を用いて、0.3~0.5μm粒子の捕集効率(%)を求める。
・捕集効率(%)=〔1-(d/D)〕×100
(ただし、dは下流ダストの3回測定トータル個数を表し、Dは上流のダストの3回測定トータル個数を表す。)
(6)併せて、測定サンプルMの上流と下流の静圧差を圧力計8で読み取り、測定サンプルMの圧力損失(Pa)を求める。
(7)5つの測定サンプルMについての捕集効率(%)の平均値を算出し、小数点第4位を四捨五入して得られる値をその積層エレクトレット不織布の捕集効率(%)とする。
(8)5つの測定サンプルMについての圧力損失(Pa)の平均値を算出し、小数点第2位を四捨五入して得られる値をその積層エレクトレット不織布の圧力損失(Pa)とする。
続いて、本発明の積層エレクトレット不織布の製造方法を説明する。
<樹脂組成物>
本発明の積層エレクトレット不織布を構成するポリオレフィン系樹脂は、上市されたポリオレフィン系樹脂を用いたり、ポリオレフィン系樹脂およびヒンダードアミン系化合物を一度に混合して調製したり、後述するポリオレフィン系樹脂とヒンダードアミンのマスターバッチを用いてチップブレンドして調製することができる。
一度に混合してポリオレフィン系樹脂を調製する方法としては、ポリオレフィン系樹脂100質量%に対し、ヒンダードアミン系化合物を0.1質量%以上5.0質量%以下となるように含有し、二軸押出機などを使用して押し出す方法がある。なお、ヒンダードアミン系化合物と共に、他のポリマーや充填材を配合し、ポリオレフィン系樹脂組成物にすることもできる。
また、ポリオレフィン系樹脂とヒンダードアミンのマスターバッチを用いてチップブレンドを作製した後に押し出す方法としては、例えばポリオレフィン系樹脂にヒンダードアミン系化合物を高濃度に練り込んだマスターバッチを準備し、これにポリオレフィン系樹脂をチップブレンドし、押出機内で練り込んでポリオレフィン系樹脂を調製する方法がある。
<内層不織布>
続いて、得られたポリオレフィン系樹脂からメルトブロー不織布を形成する。メルトブロー法としては、所定の孔径を有するノズルから溶融したポリオレフィン系樹脂を吐出させながら、糸条を形成する。その吐出部に対して一定の角度から熱風を噴射することで糸条を細径化し、その糸条を捕集部に堆積(捕集)させることで不織布を形成する。
<外層不織布>
また、スパンボンド法としては、所定の孔径を有するノズルから溶融したポリオレフィン系樹脂を長繊維として紡出し、これをエジェクターにより圧縮エアで吸引延伸した後、移動するコンベアネット上に捕集して不織ウェブ化する。得られた不織ウェブを上下一対のロール表面にそれぞれ彫刻(凹凸部)が施された熱エンボスロール等を用いて熱接着することで不織布を形成する。
<積層不織布>
さらに得られた不織布を積層する。スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層とを積層できる方法であれば、公知の方法にしたがっても行うことができる。例えば、スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層とをホットメルト接着剤や溶剤系接着剤等の接着剤によって接着する方法、スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層とを積層し、ホーンの超音波振動により熱融着させる超音波接着などの方法を採用することができる。
また、メルトブロー法によって形成される繊維を、スパンボンド法で得られる不織布層の上に直接堆積させてメルトブロー不織布層を形成した後、スパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層とを融着させる方法を用いることができる。中でも、圧力損失を低くできることからスパンボンド不織布層とメルトブロー不織布層とを積層し、超音波融着する方法が好ましい。
<エレクトレット処理>
さらに、得られた不織布をエレクトレット加工する。本発明に係る不織布をエレクトレット化する方法としては、例えば、アース電極上に繊維シートを接触させた状態で、このアース電極と不織布を共に移動させながら、非接触型印加電極で高圧印加を行なって連続的にエレクトレット化する方法、不織布に対して水の噴流もしくは水滴流を繊維シートの内部まで水が浸透するのに十分な圧力で噴霧させてエレクトレット化し、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法、あるいは、繊維シートをスリット状のノズル上を通過させ、ノズルで水を吸引することにより不織布に水を浸透させて、正極性と負極性の電荷を均一に混在させる方法(ハイドロチャージ法)などを用いることができる。また、積層エレクトレット不織布は、不織布をエレクトレット化後に積層してもよいし、不織布を積層後にエレクトレット化してもよい。
次に、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、各物性の測定において、特段の記載がないものは、前記の方法に基づいて測定を行ったものである。
[測定方法]
(1)内層エレクトレットメルトブロー不織布および外層エレクトレットスパンボンド不織布の平均単繊維径:
走査型電子顕微鏡として、株式会社キーエンス社製「VE-9800」を用い、上記の方法により、測定した。
(2)内層エレクトレットメルトブロー不織布および外層エレクトレットスパンボンド不織布の目付:
上記の方法によって測定を行った。
(3)積層エレクトレット不織布の捕集効率、圧力損失、QF値:
上記の方法によって測定を行った。また、捕集効率測定装置の上流側および下流側のパーティクルカウンターには、リオン株式会社製「KC-01E」を用いた。
[積層エレクトレット作製用ポリプロピレン系樹脂]
実施例1~9および比較例1~5において、積層エレクトレット不織布の原料として使用した樹脂および化合物は以下の通りである。
・メルトブロー不織布用樹脂(PP1):ポリプロピレン(MFR850g/10分)
・スパンボンド不織布用樹脂(PP2):ポリプロピレン(MFR30g/10分)
・ヒンダードアミン系化合物(HA1):キマソーブ 944LD
・ヒンダードアミン系化合物(HA2):キマソーブ 2020FDL
[実施例1]
(エレクトレットスパンボンド不織布(外層1))
MFRが30g/10分のホモポリマーからなるポリプロピレン(PP2)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を1.0質量%添加したポリプロピレン系樹脂を押出機で溶融し、孔径0.3mmの口金から紡糸温度235℃、単孔吐出量0.32g/分の条件で紡出した。紡出した糸条を冷却固化した後、これをエジェクターで圧縮エアによって牽引、延伸し、移動するネット上に捕集し不織ウェブを得た。得られた不織ウェブを上ロールに金属製で彫刻がなされた接着面積率16%のエンボスロールと、下ロールに金属製フラットロールで構成される上下一対の熱エンボスロールを用いて、線圧を300N/cm、熱接着温度を140℃の条件で熱接着し、目付が50g/mのスパンボンド不織布を得た。
さらに、得られたスパンボンド不織布を逆浸透膜濾過水が供給される水槽の水面に沿って走行させながら、その表面にスリット状の吸引ノズルを当接させて水を吸引することにより浸透処理し、次いで水切り後に80℃で20分熱風乾燥することにより、エレクトレットスパンボンド不織布を得た。
(エレクトレットメルトブロー不織布(内層))
MFRが850g/10分のホモポリマーからなるポリプロピレン(PP1)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を1.0質量%添加したポリプロピレン系樹脂を押出機で溶融し、孔径が0.3mmの口金から単孔吐出量が0.15g/分、ノズル温度が260℃、エア圧力が0.07MPaの条件で噴射し、捕集コンベアで捕集することで目付が15g/mのメルトブロー不織布を得た。続いて、得られたメルトブロー不織布を外層1と同様の方法でエレクトレット処理し、エレクトレットメルトブロー不織布を得た。
(エレクトレットスパンボンド不織布(外層2))
目付を20g/mとした以外は外層1と同様の方法で外層2を得た。
(積層エレクトレット不織布)
得られた外層1、内層、外層2を積層し、積層エレクトレット不織布を得た。積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例2]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)の目付を10g/mとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例3]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)の目付を5g/mとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例4]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)の目付を20g/mとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例5]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)の平均単繊維径を1.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例6]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)の平均単繊維径を5.0μmとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例7]
エレクトレットスパンボンド不織布(外層1)の目付を20g/mとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例8]
エレクトレットスパンボンド不織布(外層2)の目付を50g/mとした以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[実施例9]
ヒンダードアミン系化合物として、キマソーブ 2020FDL(HA2)を使用した以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表1に示す。
[比較例1]
エレクトレットスパンボンド不織布(外層1、外層2)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表2に示す。
[比較例2]
エレクトレットスパンボンド不織布(外層2)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表2に示す。
[比較例3]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を添加しないこと以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表2に示す。
[比較例4]
エレクトレットメルトブロー不織布(内層)を積層しないこと以外は、実施例1と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表2に示す。
[比較例5]
エレクトレットスパンボンド不織布(外層1、外層2)にヒンダードアミン系化合物(HA1)を添加しないこと以外は、比較例4と同様の方法により積層エレクトレット不織布を得た。得られた積層エレクトレット不織布の特性値について、表2に示す。
Figure 2023094734000002
Figure 2023094734000003
表1から明らかなように、本発明の実施例1~9に記載の積層エレクトレット不織布は、低い圧力損失でありながらも高い捕集効率を達成しており、優れた捕集性能を有していることが分かる。
これに対し、ヒンダードアミン化合物を含まず、エレクトレット性能の低い(非帯電)スパンボンド不織布を少なくとも1層の外層に使用した比較例1および比較例2では、実施例1に記載の積層エレクトレット不織布に対して、捕集効率が低い結果であった。
また、ヒンダードアミン化合物を含まず、エレクトレット性能の低い(非帯電)メルトブロー不織布を内層に使用した比較例3では、実施例1に記載の積層エレクトレット不織布に対して、捕集効率が低い結果であった。
さらに、エレクトレットスパンボンド不織布のみからなる比較例4の積層エレクトレット不織布では、実施例1に記載の積層エレクトレット不織布に対して、捕集効率が低い結果であった。
そして、非帯電のスパンボンド不織布のみからなる比較例5の積層エレクトレット不織布では、実施例1に記載の積層エレクトレット不織布に対して、捕集効率が低い結果であった。
以上のように本発明によれば、エレクトレット化した内層不織布とその両面にエレクトレット化した外層不織布を配置し、適切な不織布構成を選択することにより、これまでにない高い捕集性能を有する積層エレクトレット不織布を得ることができる。そして、この積層エレクトレット不織布は、マスク用の高性能用途に好適に用いることができる。すなわち、本発明の積層エレクトレット不織布は、マスクのフィルター濾材として好適に用いることができる。
1:サンプルホルダー
2:ダスト導入口
3:流量計
4:流量調整バルブ
5:ブロワ
6:上流側パーティクルカウンター
7:下流側パーティクルカウンター
8:圧力計
M:測定サンプル

Claims (5)

  1. 内層不織布とその両面に配置した外層不織布とからなる積層エレクトレット不織布であって、前記内層不織布は、平均単繊維径が0.6μm以上8.0μm以下、目付が5g/m以上20g/m以下のエレクトレットメルトブロー不織布であり、前記外層不織布は、平均単繊維径が10μm以上30μm以下、目付が10g/m以上90g/m以下のエレクトレットスパンボンド不織布であることを特徴とする積層エレクトレット不織布。
  2. 前記積層エレクトレット不織布がポリオレフィン系樹脂からなる繊維で構成される、請求項1記載の積層エレクトレット不織布。
  3. 前記内層不織布および外層不織布がそれぞれヒンダードアミン系化合物を0.1~5.0質量%含有する、請求項1または2記載の積層エレクトレット不織布。
  4. 前記積層エレクトレット不織布のQF値が0.25Pa-1以上である、請求項1~3のいずれかに記載の積層エレクトレット不織布。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の積層エレクトレット不織布を含む、マスク。
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