JP2023093032A - 電極、電池、電池パック、及び車両 - Google Patents

電極、電池、電池パック、及び車両 Download PDF

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Kazuomi Yoshima
佑太 金井
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Abstract

【課題】設計容量を発揮できる電池を実現できる電極、設計容量を発揮できる電池および電池パック、並びにこの電池パックを具備する車両を提供すること。【解決手段】実施形態によると、第1端部と、第1端部と第1方向に隣接する中央部とを含む活物質含有層を具備する電極が提供される。第1端部での活物質含有層の第1目付は、中央部での活物質含有層の中央目付より少ない。中央目付に対する第1目付と中央目付との間の第1目付量差の比dm1が、1%<dm1<10%の範囲内にある。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、電極、電池、電池パック、及び車両に関する。
近年、高エネルギー密度電池として、リチウムイオン二次電池や非水電解質二次電池などの二次電池の研究開発が盛んに進められている。二次電池は、ハイブリッド電気自動車や電気自動車などの車両用電源、又は携帯電話基地局の無停電電源用などの大型蓄電用電源として期待されている。また、自立走行型の産業用ロボットやドローンなど、移動体サービス向けの電源需要も急増している。そのため、二次電池は、高エネルギー密度に加えて、急速充放電性能や長期信頼性のような他の性能にも優れていることも要求されている。
急速充放電は、リチウムイオン及び電子を吸蔵放出可能な正極及び負極の間を、リチウムイオン及び電子が、それぞれ、電解質及び外部回路を介して速やかに移動することにより可能となる。このような急速充放電が可能な電池は、充電時間が大幅に短いという利点を有する。また、このような急速充放電が可能な電池を車両用電源として用いると、自動車の動力性能を向上させることができ、さらに、動力の回生エネルギーを効率的に回収することができる。
体積当たりのエネルギー密度を向上させるために、例えば、電極を構成する材料の密度を高くすることができる。しかし、電極密度の上昇に伴って、液状電解質が電極の内部まで含浸されにくくなる。電解質の含浸性が良くないと、急速充放電が難しくなるだけでなく、電極内のうち充放電にほとんど寄与しない部分が生じやすくなる。加えて、電極内の充放電の分布が不均一になることで電極の部分的な劣化が生じ得るため、長期信頼性も損なわれかねない。
従来から二次電池の製造過程で電解液(液状電解質)を効率よく電極に含浸させるため、電解液を二次電池の外装部材内に注液した後、減圧した雰囲気中において電極を含む電池要素に浸透させる電解液注液方法が提案されている。しかし、電極の構成材料が高密度に充填されていることから、常に安定した含浸性を得るのが困難である。
特開2016-58247号公報 特表2015-511389号公報 特開平10-50339号公報 特開2012-28290号公報
設計容量を発揮できる電池を実現できる電極、設計容量を発揮できる電池および電池パック、並びにこの電池パックを具備する車両を提供することを目的とする。
実施形態によると、第1端部と、第1端部と第1方向に隣接する中央部とを含む活物質含有層を具備する電極が提供される。第1端部での活物質含有層の第1目付は、中央部での活物質含有層の中央目付より少ない。中央目付に対する第1目付と中央目付との間の第1目付量差の比dm1が、1%<dm1<10%の範囲内にある。
他の実施形態によると、負極と、正極と、電解質とを具備する電池が提供される。負極および正極の少なくとも一方は、上記実施形態に係る電極を含む。
さらに他の実施形態によると、上記実施形態に係る電池を具備する電池パックが提供される。
またさらに他の実施形態によると、上記実施形態に係る電池パックを具備する車両が提供される。
実施形態に係る電極の一例を概略的に表す断面図。 実施形態に係る電極の他の例を概略的に表す断面図。 実施形態に係る電極の一例を概略的に表す平面図。 実施形態に係る電極の他の例を概略的に表す平面図。 実施形態に係る電極の好ましい態様の一例を概略的に表す断面図。 実施形態に係る電極の好ましい態様の他の例を概略的に表す断面図。 従来の電極の一例を概略的に表す断面図。 実施形態に係る電池の一例を概略的に示す断面図。 図8に示す電池のA部を拡大した断面図 実施形態に係る電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図。 図10に示す電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図13に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる箇所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
[第1実施形態]
第1実施形態によれば、電極が提供される。当該電極は、第1端部と、第1方向へ向かって第1端部と隣接する中央部とを含む活物質含有層を具備する。活物質含有層の目付は、第1端部での第1目付が、中央部での中央目付より少ない。中央目付に対する第1目付と中央目付との間の第1目付量差の比dm1が、1%<dm1<10%の範囲内にある。
係る電極は、例えば、電池用電極であり得る。電極が用いられる電池は、例えば、一次電池、或いはリチウム二次電池等の二次電池であり得る。ここでいう二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。具体的な例として、電極は、箔形状の集電体(集電箔)上に活物質含有層(電極層)が形成された非水電解質電池用電極であり得る。電極は、例えば、負極または正極として電池に含まれ得る。
活物質含有層は、電極活物質を含有する。電極の活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。また、活物質含有層は、活物質に加え、導電剤および結着剤をさらに任意に含むことができる。
電極は、集電体をさらに含み得る。活物質含有層は、例えば、集電体の少なくとも1つの主面上に設けられ得る。活物質含有層を集電体の1つの主面に設けることができる。或いは、活物質含有層は、集電体の2つの主面、例えば、箔形状の集電体の裏表の両面に設けられていてもよい。
集電体には、その表面に活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、集電タブとして働くことができる。
係る電極では、電極の面内方向に沿った第1方向における活物質含有層の第1端部とその端部に隣接する中央部とで目付分布を有する。具体的には、活物質含有層の目付に、第1方向の少なくとも一方の端部(第1端部)にて比較的少なく、その端部に隣接する中央部が多い関係となっている。活物質含有層の目付分布にこのような分布をつけることで、電極への液状電解質の含浸性を向上させることができる。例えば、第1方向が沿う電極の面内方向とは、集電体の主面に沿った方向であり得る。
なお、本実施形態における活物質含有層の目付分布は、端部と端部に隣接する中央部とで目付分布を有する構成であれば限定されるものではなく、端部と中央部とで目付が異なる構成だけでなく、段階的に目付量が変化する構成、あるいは第1方向の少なくとも一方の端部(第1端部)にて比較的少なく、中央部へ向かって徐々に上昇する傾斜(勾配)が設けられていても良い。これら目付分布の構成は、傾斜をつけることで、電極への液状電解質の含浸性をより向上させることができる。
電池のエネルギー密度を高くするために、セパレータ等の絶縁性部材を介して電極を対極(正極に対する負極、又は負極に対する正極)と積層させることが多い。複数の電極および対極を絶縁性部材を介して積層させて構成される積層型の電極群、並びに電極と絶縁性部材と対極との積層体を捲回して構成される捲回型電極群の何れにおいても、電極の主面の多くは絶縁性部材と密着している。主面の露出がほぼないため、電極内への電解質の含浸はほとんど電極の縁、つまり面内方向の端部を経由して行うことになる。言い換えると、電解質がアクセスできる活物質含有層の表面が少ない。
活物質含有層の目付に第1端部の目付に対し中央部の目付を大きくすること、好ましくは第1端部から中央部へ向かって上昇する傾斜を設けることで、第1端部から中央にかけて絶縁性部材等と密着していない領域を電極主面上に設けることができる。電極の端面に加え、この領域からも電解質が電極内部へ侵入することが出来るようになるため、電解質の含浸が促進される。このような形状としての傾斜を設ける場合以外に、例えば目付量を密度で分布を設けた場合であっても、同様の効果を得ることができる。
このように、第1端部での第1目付と中央部での中央目付との間の差を第1目付量差とし、中央目付に対する第1目付量差の比dm1が1%<dm1<10%(0.01<[第1目付量差/中央目付]<0.1)の範囲内となる分布を設けることで、電極の厚み方向(対極に向かう方向)へのキャリア(例えば、リチウムイオン)の拡散抵抗を上昇させずに、電解質が含浸されやすくなる。電解質の含浸が足りないと充放電に使用されない部分が電極内に生じて電池の設計未満の容量しか発揮されないところ、電極への電解質の含浸性が良いと電池製造にかける時間を短くしても設計容量を発揮させることができる。
第1方向に沿って第1端部から中央部へ向かって目付が少ない領域、好ましくは傾斜する領域は、第1方向への活物質含有層の長さに対し5%以上40%以下の長さに亘って設けられていることが望ましい。言い換えると、活物質含有層において第1端部に対し第1方向の反対側の位置にて中央部と隣接する端部を第2端部として、第1方向への第1端部の第1幅が第1端部と第2端部との間の第1距離に対し5%以上40%以下(0.05≦[第1幅/第1距離]≦0.4)であることが望ましい。第1距離は、例えば、150 mm以上であり得る。
第1方向に沿った片方の端部のみならず、活物質含有層の両側の端部にて目付が少ない分布が設けられていることが好ましい。即ち、中央目付に対する第1目付量差の比dm1が上記範囲内にあるとともに、第2端部での活物質含有層の第2目付が中央目付より少なく、中央目付に対する第2目付と中央目付との間の第2目付量差の比dm2が1%<dm2<10%(0.01<[第2目付量差/中央目付]<0.1)の範囲内にあることが好ましい。電池に電解質を導入する際、例えば、電極を含んだ電極群等の電池要素を収納した外装部材に電解質を注液する。ここで、電解質を電極に含浸させるにあたって電池要素は電解質に浸される。そのため、電解質が導入される外装部材の開口部分に向いている端部だけでなく、活物質含有層の外周の他の部分からも電解質が電極内へ侵入する。第1端部に加え第2端部における活物質含有層の目付を少なくすることで、第1方向の両端部からの電解質の含浸を促進できる。
第2端部側についても、第1端部と同様に目付が少ない分布を設けることが望ましい。この場合においても、目付が少なく好ましくは傾斜する領域が第1方向への活物質含有層の長さに対し5%以上40%以下の長さに亘って設けられていることが望ましい。従って、第1方向への第2端部の第2幅が第1端部と第2端部との間の第1距離に対し5%以上40%以下(0.05≦[第2幅/第1距離]≦0.4)であることが望ましい。
具体的な例の電極では、活物質含有層の第1端部および第2端部のそれぞれにおける平均目付が120 g/m2で、それら端部の間の中央部の平均目付が160 g/m2で、第1方向に沿った活物質含有層の全体としての平均目付が150 g/m2である。
電極は、その面内の一方向の寸法と、その方向と交差する別の方向の寸法が等しくない形状を有し得る。例えば、電極は長辺と短辺を含む矩形形状の主面を有する板形状を有し得る。例えば、活物質含有層において第1方向と交差する方向を第2方向とし、活物質含有層の中央部と隣接し、且つ、第2方向への活物質含有層の両端にそれぞれ位置する端部を第3端部および第4端部とする。第2方向に沿った第3端部と第4端部との間の距離を第2距離とする。第1方向の両端の第1端部と第2端部との間の第1距離および第2距離のうち、短い方の距離に対する長い方の距離のアスペクト比r(r=長い方の距離/短い方の距離)が1<r<50の範囲内にあり得る。例えば、矩形形状を有する電極において、矩形形状の短辺長さに対する長辺長さの比(長辺/短辺)が1より大きく50未満であり得る。
電極の形状は矩形形状に限られず、例えば、1以上の角が面取りされた四辺形や多角形の面形状、又は楕円形の面形状を有し得る。また、電極主面の形状を規定する外周の辺は直線でなくてもよく、例えば、円弧状や波状であってもよい。
一方向に長い電極において、長辺方向を第1方向として、その端部(第1端部、又は第1端部および第2端部の両方)の目付を少なくし、この方向の目付分布を設けてもよい。例えば、長辺と短辺を有する矩形形状の電極を用いて積層型電極群を構成する場合、電極の長辺方向に沿って目付の分布を設けることが好ましい。長辺方向の両端部から中央までの距離の方が短辺方向の両端部からの距離より長いため、長辺方向の端部の目付を少なくして長辺方向に沿った電解質の含浸を促進させることが効果的である。具体的には、このような態様の電極では長辺方向を第1方向としており、第1距離は第2距離より長い。
活物質含有層の目付を少なくする第1端部は長辺方向の端部に限られず、例えば、第1方向は電極の短辺方向に沿ってもよい。例えば、帯形状の電極を含んだ積層体を帯形状の短辺方向に捲回軸を沿わせて捲回して捲回型電極群を構成する場合、帯形状の長辺が捲回された状態で捲回軸と交差する捲回端面を形成する。捲回型電極群への電解質の含浸では、電解質は上記捲回端面から主に侵入する。そのため、このような態様の電極では短辺方向の端部の目付を少なくして短辺方向に沿った電解質の含浸を促進させることが効果的である。この態様では電極の短辺方向を第1方向としており、第1距離は第2距離より短い。
電極主面の形状は、長い寸法と短い寸法を含むものに限られず、例えば、正方形や円形であり得る。正方形などの多角形状の活物質含有層については、例えば、一つの辺から中心へ向かう方向が第1方向に対応し得る。円形の活物質含有層については、外周上の任意の点から中心へ向かう方向が第1方向に対応し得る。
活物質含有層の第1方向に沿った目付分布に加え、第1方向と交差する第2方向に沿った目付分布を含むことが好ましい。上述したように電極を含んだ電極群等の電池要素を電解質に浸した際に、活物質含有層における第1方向の両端の第1端部および第2端部に加えて第2方向の両端の第3端部および第4端部からも電解質が活物質含有層内へ侵入する。そのため、第2方向の端部の少なくとも一方における目付を少なくすることで、第3端部および/又は第4端部からの電解質含浸を促進する効果がさらに得られる。具体的には、第3端部での活物質含有層の第3目付が中央目付より少なく、中央目付に対する第3目付と中央目付との間の第3目付量差の比dm3が1%<dm3<10%(0.01<[第3目付量差/中央目付]<0.1)の範囲内にある分布を設ける。又は、第4端部での活物質含有層の第4目付が中央目付より少なく、中央目付に対する第4目付と中央目付との間の第4目付量差の比dm4が1%<dm4<10%(0.01<[第4目付量差/中央目付]<0.1)の範囲内にある分布を設ける。或いは、これら第3端部から中央部にかけての分布と第4端部から中央部にかけての分布の両方を設ける。
第3端部および第4端部のそれぞれについても、目付が中央部に比較し少ない領域が第2方向への活物質含有層の長さに対し5%以上40%以下の長さに亘って設けられていることが望ましい。つまり、第2方向への第3端部の第3幅が第2距離に対し5%以上40%以下(0.05≦[第3幅/第2距離]≦0.4)であることが望ましい。また、第2方向への第4端部の第4幅が第2距離に対し5%以上40%以下(0.05≦[第4幅/第2距離]≦0.4)であることが望ましい。
第1端部における活物質含有層の密度は、中央部における密度と異なり得る。或いは、第1端部における密度は中央部における密度と等しくあり得る。第1端部における密度が中央部の密度よりも低いことが好ましい。第1端部における密度が少ない方が、第1端部からの電解質の含浸をさらに促進できる。
同様に、第2端部における活物質含有層の密度は、中央部における密度と異なり得る。或いは、第2端部における密度は中央部における密度と等しくあり得る。第2端部における密度が中央部の密度よりも低いことが好ましい。第2端部における密度が少ない方が、第2端部からの電解質の含浸をさらに促進できる。
つまり、活物質含有層は、第1方向に沿って密度が異なる第1密度分布を有し得る。第1密度分布における最大および最小の密度をそれぞれ第1最大密度および第1最小密度とし、第1最大密度および第1最小密度の差を第1密度差としたとき、第1最大密度に対する第1密度差の比dd1が5%<dd1<20%の範囲内(0.05<[(第1最大密度-第1最小密度)/第1最大密度]<0.2)にあることが好ましい。ここで、第1最大密度は、中央部における平均密度とする。第1最小密度は、第1端部および第2端部の平均密度が異なる場合は、より小さい方とする。第1端部および第2端部との間で平均密度が等しい場合は、その値を第1最小密度とする。
第3端部および第4端部においても、活物質含有層の密度が中央部の密度とそれぞれ異なるか又は等しい。第3端部および/又は第4端部における密度が中央部の密度より低いことが、これら端部からの電解質の含浸をさらに促進できることから好ましい。活物質含有層は、第2方向に沿って密度が異なる第2密度分布を有し得る。第2密度分布における最大および最小の密度をそれぞれ第2最大密度および第2最小密度とし、第2最大密度および第2最小密度の差を第2密度差としたとき、第2最大密度に対する第2密度差の比dd2が5%<dd2<20%の範囲内(0.05<[(第2最大密度-第2最小密度)/第2最大密度]<0.2)にあることが好ましい。ここで、第2最大密度は、中央部における平均密度とする。第2最小密度は、第3端部および第4端部の平均密度が異なる場合は、より小さい方とする。第3端部および第4端部との間で平均密度が等しい場合は、その値を第2最小密度とする。
次に、第1実施形態に係る電極の負極としての態様および正極としての態様のそれぞれについて、詳細を説明する。
(負極)
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、負極集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。負極集電体及び負極活物質含有層は、それぞれ、上述した集電体及び活物質含有層であり得る。
負極活物質としては、例えば、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+yTi37、0≦y≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+xTi512、0≦x≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2(B))、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、五酸化ニオブ(Nb25)、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン含有複合酸化物、及び単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を挙げることができる。
直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aM(I)2-bTi6-cM(II)d14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、M(I)は、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。M(II)はZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
上記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1yNb2-zM2z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M2は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LixTi1-yM3y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M3は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoより選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、活物質と集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、活物質と負極集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、スチレンブタジェンゴム(styrene-butadiene rubber;SBR)、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
負極活物質含有層中の負極活物質、導電剤及び結着剤の配合割合は、負極の用途に応じて適宜変更することができる。例えば、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、68質量%以上96質量%以下、2質量%以上30質量%以下及び2質量%以上30質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層の集電性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層と集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ30質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
負極集電体には、活物質にリチウム(Li)が挿入及び脱離される電位において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、集電体は、銅、ニッケル、ステンレス又はアルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
また、負極集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
負極活物質含有層の全体の平均密度(集電体を含まず)は、1.8g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層全体としての密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。負極活物質含有層の全体平均密度は、2.1g/cm3以上2.6g/cm3以下であることがより好ましい。
(正極)
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。正極集電体及び正極活物質含有層は、それぞれ、上述した集電体及び活物質含有層であり得る。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24又はLixMnO2;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLixFePO4;0<x≦1、LixFe1-yMnyPO4;0<x≦1、0<y<1、LixCoPO4;0<x≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLixMn24;0<x≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLixNiO2;0<x≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLixCoO2;0<x≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLixNi1-yCoy2;0<x≦1、0<y<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLixMn2-yNiy4;0<x≦1、0<y<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLixMnyCo1-y2;0<x≦1、0<y<1)、リチウムリン酸鉄(例えばLixFePO4;0<x≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LixNi1-y-zCoyMnz2;0<x≦1、0<y<1、0<z<1、y+z<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LixVPO4F(0≦x≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、77質量%以上95質量%以下、2質量%以上20質量%以下、及び3質量%以上15質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を15質量%以下にすることにより、電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温保存下において、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
<製造方法>
電極は、例えば次の方法により作製することができる。下記方法は目付分布として傾斜を設けた場合の例である。先ず、活物質、導電剤、及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。得られたスラリーを、集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、活物質含有層と集電体との積層体を得る。その後、この積層体にプレスを施す。
スラリーを塗布する際、少なくとも一方向の端へのスラリー塗布量を少なくする。例えば、ダイコーターを用いたスラリー塗工を行う場合、ダイヘッドの一部における送液速度を遅くすることで、スラリーの塗工幅における対応部分の塗工量を少なくできる。具体例として、次のようなダイヘッドを用いてスラリーを塗工することにより、塗工方向と交差する方向を第1方向として、塗工幅の両端のスラリー塗布量を少なくして、乾燥後に得られる活物質含有層にてそれらの間の中央部よりも目付が少ない第1端部と第2端部とを形成することができる。例えば、台形の形状を有するシムを用いることで、ダイヘッド内の空間を、スラリーを貯留するマニホールドから吐出口へ向かって広がる形状とする。この様なダイヘッドでは、マニホールドから吐出口へ供給されるスラリーの送液速度がダイヘッドの幅の中央で最も速く、外側へ向かうにつれて送液速度が遅くなる。そのため、吐出口の中央から吐出されるスラリー量に比べて、両端から吐出されるスラリーの量が少なく、塗工幅の端のスラリー塗工量が少なくなる。
又は、ダイコーターでスラリー塗工を行う際、ダイヘッドへのスラリー供給の流量を制御したりダイヘッドに対する集電体の搬送速度を制御したりすることで、集電体の搬送方向に沿ってスラリー塗工量を異ならせることができる。乾燥およびプレスを行った後、目付が少ない部分が端部となるように裁断することで、端部の目付が少ない活物質含有層を有する電極を得ることができる。また、一例では、上述した台形の形状を有するシムの使用とスラリー流量や集電体搬送の制御とを組合わせることで、第1方向および第2方向の両方の目付分布に傾斜を有する電極を得ることができる。
或いは、スラリーを重ねるように塗布を複数回繰り返し、スラリーを塗り重ねる毎に塗布領域を減少させることで、スラリー塗膜に傾斜をつけることができる。減少させる程度は、所望の目付の傾斜の大きさや一塗り毎の塗布量によって異なるが、例えば、塗工幅を1cmずつ狭める。
スラリーを塗布した集電体の面に沿って目付が部分的に異なる乾燥塗膜を含む積層体をプレスすることで、部分的に密度が異なる密度分布を有する活物質含有層を得ることができる。例えば、乾燥したスラリーの塗膜の全体に均一なプレスを施すと、目付が多い部分ではプレス後の密度が自ずと高くなり、目付が少ない部分ではプレス後の密度が自ずと低くなる。また、例えば、段差や傾斜を有するローラーを用いてロールプレスを実施することで塗膜がロールに接触する部位に応じた部分的なプレスを行って、密度分布をさらに制御することもできる。
<測定方法>
電極の測定方法について、以下に説明する。具体的には、活物質含有層における目付および密度の分布、並びに活物質含有層のアスペクト比の測定方法を説明する。
電池に組み込まれている電極について測定する場合は、以下の手順で電池から電極を取り出す。
まず、電池を放電状態にする。ここでの放電状態とは、25℃の環境下で0.2C以下の電流値にて放電下限電圧まで定電流放電した状態を示す。放電状態とした電池を、不活性雰囲気のグローブボックス、例えば、アルゴンガスで充填されたグローブボックス内に入れる。次に、グローブボックス内で対象となる電極を電池から取り出す。具体的には、グローブボックスの中で、念のため正極、負極をショートさせないよう注意を払いながら、電池の外装を切りながら開いていく。その中から、例えば、負極に使用されている電極を測定試料とする場合には、負極側端子につながっている電極を切り出す。又は、正極に使用されている電極を測定試料とする場合には、正極側端子につながっている電極を切り出す。取り出した電極を、例えば、エチルメチルエーテル溶媒で洗浄し、乾燥する。
(目付分布および密度分布の測定方法)
活物質含有層の目付および密度の分布は、次のようにして測定できる。
測定試料としての電極において、任意の一方向およびそれと交差する他の方向のそれぞれにおける両端部、並びにそれらの方向が交差する点がある中央部から、複数枚の直径15 mmの円形試料片をそれぞれ打ち抜く。任意の方向と他の方向との交差角度は、直角(90°)であり得る。例えば、矩形形状の電極については、長辺方向と短辺方向を選択する。採取する試料片の数は、端部から中央部までを等間隔で分割し、それぞれの分割した領域の中央部分において採取する、例えば、分割は5分割以上、すなわち5枚以上の試料片採取とする。
各試料片の全質量を測定し、記録する。次に、試料片をポリフッ化ビニリデン(PVdF)等の結着剤で被覆する。ここで、活物質含有層が有する細孔を可能な限り結着剤で埋める。被覆した試料片を、メスシリンダー等の容器内の水等の液体に入れ、液面の増加に基づいて試料片の体積を求める。その後、試料片をN-メチルピロリドンまたは純水中に浸漬し、超音波を印加して活物質含有層と集電体とを分離する。分離した集電体を乾燥して、集電体単体の質量を測定する。また、集電体を容器内の液体に入れ、液面の増加に基づいて集電体の体積を求める。
試料片全体の質量と集電体の質量に基づいて活物質含有層の質量を算出し、求められた活物質含有層の質量を試料片の面積(π×(15 mm/2))で除することで、各試料片についての目付を算出する(目付=(試料片全体質量-集電体質量)/試料片面積)。各採取箇所に応じて、得られた試料片の活物質含有層の目付の平均を求め、各々の採取箇所の平均目付とする。
試料片全体の体積と集電体の体積に基づいて活物質含有層の体積を算出し、求められた活物質含有層の体積を活物質含有層の質量で除することで、各試料片についての密度を算出する(密度=(試料片全体質量-集電体質量)/(試料片全体体積-集電体体積))。各採取箇所に応じて、得られた試料片の活物質含有層の密度の平均を求め、各々の採取箇所の平均密度とする。
試料片を採取した何れかの端部のうち平均目付が中央部の平均目付より少ない箇所があれば、当該端部を第1端部と見なす。平均目付が中央部より少ない端部が複数ある場合は、その何れかを任意に選択し第1端部と見なす。第1端部に選択した箇所に対し中央部を挟んで活物質含有層の反対側にて採取を行った端部を第2端部と見なす。第1端部に選択した採取箇所と第2端部とした採取箇所とを結ぶ線に沿う方向を第1方向とし、第1方向と交差する方向に沿って中央部を挟んで並ぶ残り二箇所の採取を行った端部を第3端部および第4端部とそれぞれ任意に見なす。
上記のとおり特定した第1端部における平均目付(第1目付)を中央部の平均目付(中央目付)から引くことで、第1目付量差を算出する。そして第1目付量差を中央部の平均目付(中央目付)で除することで、中央目付に対する第1目付量差の比dm1を算出する(dm1=[(中央部の平均目付-第1端部の平均目付)/中央部の平均目付]×100%)。第2端部から第4端部についても同様に、比dm2,dm3,及びdm4を算出する。
上記のとおり特定した第1端部および第2端部、そして中央部の平均密度を比較する。それらのうち最大の値を、第1方向に沿った第1密度分布における第1最大密度とする。また、最小の値を、第1密度分布における第1最小密度とする。第1実施形態に係る電極では、中央部の平均密度が第1最大密度となり、第1端部および第2端部の何れか一方または両方の平均密度が第1最小密度となる。第1最大密度から第1最小密度を引くことで、第1密度差を算出する。そして第1密度差を第1最大密度で除することで、第1最大密度に対する第1密度差の比dd1を算出する(dd1=[(第1最大密度-第1最小密度)/第1最大密度]×100%)。第3端部、第4端部、及び中央部のそれぞれの平均密度に基づいて、第2方向における第2最大密度に対する第2密度差の比dd2を同様に算出する。
(アスペクト比の測定方法)
活物質含有層のアスペクト比は、第1方向および第2方向を特定し、それらの方向の寸法のうち長い方を短い方で除することで、求められる。
上記目付分布および密度分布の測定の際に特定した第1方向に沿って活物質含有層の長さを測定することで、第1端部と第2端部との間の第1距離を求める。第3端部および第4端部としたそれぞれの採取箇所を結ぶ線に沿う方向を第2方向とし、その方向に沿って活物質含有層の長さを測定することで第3端部と第4端部との間の第2距離を求める。第1距離および第2距離のうちの長い方を短い方で除することで、アスペクト比を算出する。
次に、第1実施形態に係る電極について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
実施形態に係る電極の具体例を、図1に示す。図1は、実施形態に係る電極の一例を概略的に示す断面図である。図1に示す例では、電池の負極としての電極の態様を説明する。図1は、負極3の主面と交差する断面を表す概略断面図である。
図1に示す負極3は、負極集電体3aと負極集電体3a上に設けられた負極活物質含有層3bとを含んでいる。負極集電体3aは、負極活物質含有層3bを担持していない部分、即ち、負極集電タブ3cを含んでいる。図示する例では、負極集電体3aの片面の主面上に負極活物質含有層3bが担持されている。負極3は、負極集電体3aの表裏両方の主面上に負極活物質含有層3bを担持する電極であってもよい。
図1の横方向を負極3の面内方向が含む第1方向11として、負極活物質含有層3bは第1方向11に沿って並んだ第1端部3b、中央部3b、及び第2端部3bを含む。第1端部3b及び第2端部3bにおける負極活物質含有層3bの平均目付(第1目付および第2目付)は中央部3bにおける平均目付(中央目付)より少なく、第1方向11に沿った負極活物質含有層3bの断面形状には第1端部3b及び第2端部3bのそれぞれの外縁から中央部3bへ向かって負極活物質含有層3bの厚みが増加する傾斜がある。
第1端部3bの平均目付と中央部3bの平均目付との差(第1目付量差)は、中央部3bの平均目付と比較して1%より大きく10%より小さい値を示す(1%<dm1<10%)。また、第2端部3bの平均目付と中央部3bの平均目付との差(第2目付量差)は、中央部3bの平均目付と比較して1%より大きく10%より小さい値を示す(1%<dm2<10%)。
図7に、従来の電極の一例を概略的に表す断面図を示す。図7に示す従来型の電極10は、集電体10aと集電体10a上に設けられた活物質含有層10bとを含んでいる。集電体10aは、活物質含有層10bを担持していない部分、即ち、集電タブ10cを含んでいる。電極10では、図1に示した第1実施形態に係る負極3と異なり、活物質含有層10bの全体に亘って目付が概ね均一になっており、厚みがほぼ一定である。
電池の電極群に含まれる負極3の負極活物質含有層3bの主面は負極集電体3aと密着しているかセパレータを間に挟んで正極活物質含有層と向き合う。そのため、負極活物質含有層3b内への電解質の主な侵入経路は、負極活物質含有層3bの外縁に位置する端部である。図1に示す第1実施形態に係る負極3では負極活物質含有層3bの第1端部3b及び第2端部3bのそれぞれにおいて電解質が侵入することのできる面が、図7における従来型の電極10の活物質含有層10bの両端部と比較して多い。そのため、第1実施形態に係る電極では、従来型の電極と比較して電解質の含浸性が向上している。
第1端部3bと第2端部3bとの間の第1距離D1に対応する第1方向11への負極活物質含有層3bの長さのうち、第1端部3bの第1幅W1及び第2端部3bの第2幅W2がそれぞれ占める割合は、5%以上40%以下(1/20以上2/5以下)である。
図1に示した例では、第1方向11に沿った負極活物質含有層3bの両端部、つまり第1端部3b及び第2端部3bの両方で目付が中央部3bよりも小さくなっているが、第1実施形態に係る電極は、第1端部では目付が小さくなっているものの第2端部での目付が中央部の目付以上である態様も含む。また、図1では第1端部3bは負極集電タブ3cと隣接する位置にあるが、第1端部は活物質含有層の面内方向の何れの端部でもあり得る。
図2に、実施形態に係る電極の他の例を示す。図2に示す負極3は、図1の場合と同様に負極集電体3a、負極活物質含有層3b、及び負極集電タブ3cを含んでいる。図1の例では負極活物質含有層3bの密度が全体に亘って均一であったことに対し、図2の例では第1端部3b及び第2端部3bにおける密度が中央部3bの密度よりも低くなっている。図2は、図1の負極3に対し第1距離D1の全体に亘って均等なプレスに供した電極を表したものであり得る。
図2の負極3では、第1端部3b、中央部3b、及び第2端部3bの間で負極活物質含有層3bの厚みが同程度になっているものの、第1端部3b及び第2端部3bの密度は中央部3bの密度より小さいので第1端部3b及び第2端部3bにおける目付は中央部3bにおける目付より少ない。負極3では、密度が低い第1端部3b及び第2端部3bからの電解質の含浸性が高い。
第1方向11に沿った負極活物質含有層3bの第1密度分布において、中央部3bにおける密度に対応する第1最大密度と、第1端部3bにおける密度および第2端部3bにおける密度の少なくとも一方に対応する第1最小密度とを比較すると、第1最大密度と第1最小密度との第1密度差は、第1最大密度に対し1/20より大きく1/5未満の値を示す(5%<dd1<20%)。
第1実施形態に係る電極において、第1方向は、例えば、電極の長辺に沿う方向であり得る。或いは、第1方向は、例えば、電極の短辺に沿う方向であり得る。そのような電極の例を、図3及び図4にそれぞれ示す。
図3は、長辺方向を第1方向とする電極の例を概略的に示す平面図である。図3に示す負極3は、負極集電体とその上に設けられた負極活物質含有層3bを含む。負極集電体は、負極活物質含有層3bを担持していない負極集電タブ3cを含んでいる。図3の負極3は、図1に示した負極3又は図2に示した負極3であり得る。図1及び図2は、図3の負極3の短辺方向に対応する第2方向12に沿った断面図であり得る。図3の負極3は、例えば、積層型電極群に用いられる負極であり得る。
図3の例では、負極集電タブ3cが負極活物質含有層3bより外側に突出する方向が第1方向11となっており、負極活物質含有層3bと隣接して負極集電タブ3cが沿う方向が第2方向12となっているが、第1実施形態には第1方向11及び第2方向12が入れ替わっている電極も含まれる。
図4は、短辺方向を第1方向とする電極の例を概略的に示す平面図である。図4に示す負極3は、負極集電体とその上に設けられた負極活物質含有層3bを含む。負極集電体は、負極活物質含有層3bを担持していない負極集電タブ3cを含んでいる。図4の負極3は、図1に示した負極3又は図2に示した負極3であり得る。図1及び図2は、図4の負極3の短辺方向に対応する第2方向12に沿った断面図であり得る。図4の負極3は、例えば、捲回型電極群に用いられる負極であり得る。負極3は、短辺方向に沿う仮想軸を中心に捲回された状態で捲回型電極群に含まれ得る。
図5及び図6に、第1方向の第1端部および第2端部に加え、第2方向の第3端部および第4端部においても活物質含有層の目付が少なくなっている、好ましい態様の電極の例を示す。図5及び図6は、好ましい態様の一例および他の例をそれぞれ概略的に示す断面図である。図5及び図6にそれぞれ示す負極3は、負極集電体3aと負極集電体3a上に設けられた負極活物質含有層3bを含む。図5及び図6は何れも、図3の負極3又は図4の負極3の第1方向11に沿った断面図であり得る。
図5及び図6の何れの例についても、第3端部3bの平均目付と中央部3bの平均目付との差(第3目付量差)は、中央部3bの平均目付と比較して1%より大きく10%より小さい値を示す(1%<dm3<10%)。また、第4端部3bの平均目付と中央部3bの平均目付との差(第4目付量差)は、中央部3bの平均目付と比較して1%より大きく10%より小さい値を示す(1%<dm4<10%)。
図5に示す例では、図1の例と同様に負極活物質含有層3bの密度が全体に亘って均一である。図6に示す例では、図2の例と同様に、第3端部3b及び第4端部3bにおける負極活物質含有層3bの密度が中央部3bにおける密度より低い。具体的には、第2方向12に沿った負極活物質含有層3bの第2密度分布において、中央部3bにおける密度に対応する第2最大密度と、第3端部3bにおける密度および第4端部3bにおける密度の少なくとも一方に対応する第2最小密度とを比較すると、第2最大密度と第2最小密度との第2密度差は、第2最大密度に対し1/20より大きく1/5未満の値を示す(5%<dd2<20%)。
第3端部3b及び第4端部3bの構成が上記のとおりであることで、図5及び図6の負極3では、第1方向11の両端部からの電解質の含浸性の向上に加え、第2方向12の両端部からの電解質の含浸性も向上している。
第3端部3bと第4端部3bとの間の第2距離D2に対応する第2方向12の負極活物質含有層3bの長さのうち、第3端部3bの第3幅W3及び第4端部3bの第4幅W4がそれぞれ占める割合は、5%以上40%以下(1/20以上2/5以下)である。
図5及び図6に示した好ましい例では、第2方向12に沿った負極活物質含有層3bの両端部、つまり第3端部3bおよび第4端部3bの両方で目付が中央部3bよりも小さくなっているが、第1実施形態に係る電極は、第3端部および/又は第4端部での目付が中央部の目付以上である態様も含む。
第1実施形態に係る電極は、第1方向に沿って隣接する第1端部と中央部とを含む活物質含有層を具備する。第1端部での活物質含有層の第1目付は中央部での活物質含有層の中央目付より少ない。第1目付と中央目付との間の第1目付量差は、中央目付に対する比dm1が1%<dm1<10%の範囲内となる大きさになっている。当該電極を用いることで、設計容量を発揮できる二次電池を短期間で製造できる。
[第2実施形態]
第2実施形態によると、負極と、正極と、電解質とを含む電池が提供される。この電池は、負極および正極の少なくとも一方として、第1実施形態に係る電極を含む。
第2実施形態に係る電池は、負極と正極との間に配されたセパレータを更に具備することもできる。負極、正極及びセパレータは、電極群を構成することができる。電解質は、電極群に保持され得る。
また、第2実施形態に係る電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、第2実施形態に係る電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第2実施形態に係る電池は、一次電池または二次電池であり得る。二次電池は、例えばリチウム二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
係る電池は、負極および/又は正極として第1実施形態に係る電極を含んでいるため、当該電極ひいては電極群への電解質の含浸性に優れている。そのため、電解質を電極群に安定的に含浸させることができるので、設計どおりの性能を示す電池を得ることができる。また、電池の生産性も高い。
電池の製造において減圧含浸や加圧含浸を導入することで、電極および電極群への電解質の含浸性をさらに向上させることができる。減圧含浸および加圧含浸は、例えば、次のとおり行う。
負極と正極とセパレータとをそれぞれ準備しこれら部材を用いて電極群を構成した後、得られた電極群を外装部材に収納する。次いで、外装部材の中に電解質(例えば、液状電解質)を注液する。電解質を注液した後、電解質とともに外装部材に収納した電極群を-60 kPaから-90 kPaの減圧環境下にて30分以上60分以下保持することで、減圧含浸を行う。減圧環境にて保持する際の温度は、常温(15℃から25℃程度)でも良いが、例えば、45℃まで上昇させた温度環境下で減圧含浸を行ってもよい。
電極群と電解質を収納した外装部材に対し拘束を施した状態で減圧含浸を行ってもよい。例えば、電解質を注液した後、外装部材の外側から両側面にそれぞれ板を当て、治具などを用いて把持することで拘束する。拘束に用いる板としては、例えば、金属製や樹脂製の剛性のある板を用いる。
また、減圧環境下で保持する前に、-60 kPaから-90 kPaの減圧状態にしてから常圧に戻すというサイクルを2回以上行ってもよい。減圧-常圧のサイクルを行った後、-60 kPaから-90 kPaの減圧環境に調整し、30分以上60分以下保持して減圧含浸を行う。
減圧環境下での保持により減圧含浸を行った後、減圧状態を維持したまま外装部材に封止を施す。
減圧含浸を行った後、さらに加圧含浸を行ってもよい。減圧含浸後に外装部材の封止を行った後、封止状態の電池を加圧容器に入れる。次いで、加圧容器内の空気圧が0.6 MPaになるように設定する。0.6 MPaに加圧した状態で3時間以上12時間以下待機することで、加圧含浸を行う。加圧状態にて待機する前に、0.6 MPaまで加圧してから常圧(0 MPa)に戻すというサイクルを2回以上行ってもよい。加圧-常圧のサイクルを行った後、0.6 MPaの加圧状態に調整し、3時間以上12時間以下待機して加圧含浸を行う。
以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について説明する。
1)負極
負極は、第1実施形態に係る電極の負極としての態様であり得る。或いは、第1実施形態に係る電極を正極として含む電池では、負極は第1実施形態に係る電極とは異なる他の負極であり得る。
他の負極では、負極活物質含有層の第1方向における中央目付に対する第1目付量差の比dm1が1%<dm1<10%の範囲外にある。それ以外は、他の負極の詳細は第1実施形態に係る電極と同様である。
第1実施形態における説明と重複するため、詳細な説明を省略する。
2)正極
正極は、第1実施形態に係る電極の正極としての態様であり得る。或いは、第1実施形態に係る電極を負極として含む電池では、正極は第1実施形態に係る電極とは異なる他の正極であり得る。
他の正極では、正極活物質含有層の第1方向における中央目付に対する第1目付量差の比dm1が1%<dm1<10%の範囲外にある。それ以外は、他の正極の詳細は第1実施形態に係る電極と同様である。
第1実施形態における説明と重複するため、詳細な説明を省略する。
3)電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
上記非水電解質と共に、高分子固体電解質および無機固体電解質等をさらに併用してもよい。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
4)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。その他、多孔質フィルムに無機化合物や有機化合物を塗布したセパレータも使用できる。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。
5)外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。このような金属製容器を備えた電池では、高温環境下での長期信頼性および放熱性を飛躍的に向上させることが可能となる。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型、シート型、積層型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。例えば、外装部材は、携帯用電子機器等に搭載される小型電池用の外装部材であり得る。また、外装部材は、二輪乃至四輪の自動車等の車両に搭載される大型電池用の外装部材であり得る。
6)負極端子
負極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し0.8V以上3V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
7)正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下 の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第2実施形態に係る電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図8は、第2実施形態に係る電池の一例を概略的に示す断面図である。図9は、図8に示す電池のA部を拡大した断面図である。
図8及び図9に示す電池100は、図8に示す袋状外装部材2と、図8及び図9に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図8に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図9に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図9に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図8に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
第2実施形態に係る電池は、図8及び図9に示す構成の電池に限らず、例えば図10及び図11に示す構成の電池であってもよい。
図10は、第2実施形態に係る電池の他の例を模式的に示す部分切欠斜視図である。図11は、図10に示す電池のB部を拡大した断面図である。
図10及び図11に示す電池100は、図10及び図11に示す電極群1と、図10に示す外装部材2と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、外装部材2内に収納されている。電解質は、電極群1に保持されている。
外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
電極群1は、図11に示すように、積層型の電極群である。積層型の電極群1は、負極3と正極5とをその間にセパレータ4を介在させながら交互に積層した構造を有している。
電極群1は、複数の負極3を含んでいる。複数の負極3は、それぞれが、負極集電体3aと、負極集電体3aの両面に担持された負極活物質含有層3bとを備えている。また、電極群1は、複数の正極5を含んでいる。複数の正極5は、それぞれが、正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に担持された正極活物質含有層5bとを備えている。
各負極3の負極集電体3aは、その一辺において、いずれの表面にも負極活物質含有層3bが担持されていない部分を含む。この部分は、負極集電タブ3cとして働く。図11に示すように、負極集電タブ3cは、正極5と重なっていない。また、複数の負極集電タブ3cは、帯状の負極端子6に電気的に接続されている。帯状の負極端子6の先端は、外装部材2の外部に引き出されている。
また、図示しないが、各正極5の正極集電体5aは、その一辺において、いずれの表面にも正極活物質含有層5bが担持されていない部分を含む。この部分は、正極集電タブとして働く。正極集電タブは、負極集電タブ3cと同様に、負極3と重なっていない。また、正極集電タブは、負極集電タブ3cに対し電極群1の反対側に位置する。正極集電タブは、帯状の正極端子7に電気的に接続されている。帯状の正極端子7の先端は、負極端子6とは反対側に位置し、外装部材2の外部に引き出されている。
セパレータ4は、例えば、各々が正極と負極との間に配置された複数のセパレータであり得る。或いは、セパレータ4は、九十九折にされた一枚のセパレータであり得る。後者の場合、セパレータ4を折り返すことで出来る空間に正極と負極とが交互に配置される。
第2実施形態に係る電池は、第1実施形態に係る電極を含んでいる。そのため、第2実施形態に係る電池は、短期間で製造されても設計容量を発揮できる。
[第3実施形態]
第3実施形態によると、組電池が提供される。第3実施形態に係る組電池は、第2実施形態に係る電池を複数個具備している。
第3実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第3実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図12は、第3実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図10に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第2実施形態に係る電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図12の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第3実施形態に係る組電池は、第2実施形態に係る電池を具備する。したがって、組電池は、短期間で製造されても設計容量を発揮できる。
[第4実施形態]
第4実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第3実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第3実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第2実施形態に係る電池を具備していてもよい。
第4実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、電池(二次電池)の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第4実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に電池からの電流を出力するため、及び/又は電池(二次電池)に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第4実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図13は、第4実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図14は、図13に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図13及び図14に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図13に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第2実施形態に係る電池である。複数の単電池100の各々は、図14に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子の正側端子と負側端子としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第4実施形態に係る電池パックは、第2実施形態に係る電池又は第3実施形態に係る組電池を備えている。したがって、電池パックは寿命性能に優れている。
[第5実施形態]
第5実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。
第5実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(リジェネレーター)を含んでいてもよい。
第5実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第5実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図15は、第5実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図15に示す車両400は、車両本体40と、第3実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図15に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図15では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図16を参照しながら、第5実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図16は、第5実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図16に示す車両400は、電気自動車である。
図16に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図16に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図14に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第2実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a~301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a~301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a~301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a~301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図16に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構を備えている。回生ブレーキ機構(例えば、リジェネレーター)は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第5実施形態に係る車両は、第4実施形態に係る電池パックを搭載している。したがって、信頼性が高い。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、実施形態は、以下に記載される実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、下記の手順で二次電池を作製した。
<正極の作製>
正極活物質として、一次粒子の平均粒子径が2μmのLiNi0.5Co0.2Mn0.32複合酸化物を90質量%、導電剤として黒鉛粉末を5質量%、結着剤として5質量%のポリフッ化ビニリデン(PVdF)を配合して、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)溶媒に分散して、活物質含有層形成用のスラリーを調製した。上記の配合量は、それぞれ、正極活物質含有層の質量に対する質量である。調製したスラリーを、矩形形状を有する厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の両面に塗布し、乾燥して、積層体を得た。集電体にスラリーを塗布する際、スラリーを複数回塗り重ねた。スラリーを塗り重ねる毎に集電体の長辺方向への塗工範囲を1cm少なくして、スラリー塗膜の両端部に傾斜を設けた。この積層体にプレスを施して、正極活物質含有層の厚さが40μmの正極を作製した。
<負極の作製>
活物質として、平均粒子径が0.6μmで比表面積が10m2/gであるLi4Ti512粒子を用意した。この活物質粒子と、導電剤としての平均粒子径6μmの黒鉛粉末と、結着剤としてのPVdFとを質量比で95:3:2となるように配合してNMP溶媒に分散させた。この分散液を、ボールミル(回転数1000rpm)を用いて、2時間の攪拌時間に亘り攪拌に供してスラリーを調製した。得られたスラリーを、厚さ15μmのアルミニウム合金箔(純度99.3%)の両面に塗布し、塗膜を乾燥し、加熱プレス工程を経ることにより、負極を作製した。作製した負極では、片面毎の負極活物質含有層の厚さが59μmで、電極密度(集電体を除く)が2.2g/cm3であった。また、この負極の集電体を除く負極多孔度は、35%であった。
<電解質の調製>
プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)とを体積比1:2で混合し、混合溶媒を調製した。次いで、この混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解させて液状非水電解質を調製した。
<二次電池の作製>
セパレータとして、厚さが20μmの樹脂製不織布を複数枚準備した。上記の正極とセパレータと負極とをそれぞれ複数、正極活物質含有層と負極活物質含有層が向かい合うように、これらの間にセパレータを介在させて積層して、積層体を得た。次に、この積層体を、80℃で加熱プレスすることにより、積層型電極群を作製した。
ナイロン層/アルミニウム層/ポリエチレン層の3層構造を有し、厚さが0.1mmであるラミネートフィルムからなる容器を準備した。この容器に、先のように作製した電極群を収納した。次いで、容器の周縁部の一部を開放した状態で、容器内部を80℃で16時間、真空中で乾燥させた。この容器に、上記非水電解質を導入し、-60 kPaの減圧環境下に常温で30分保持することで、非水電解質を上記電極群に含浸させた。次いで、容器の周縁部の開放していた部分を-60 kPaの環境下でヒートシールして、容器を密閉した。これにより設計容量3 Ahの二次電池を作製した。合計50セルの二次電池を作製した。
<正極活物質含有層の測定>
正極について、先に説明した方法により正極活物質含有層の長辺方向の端部および中央部における目付および密度を測定した。具体的には、正極の長辺方向を第1方向として、その両端部および中央部での正極活物質含有層の目付および密度を測定した。目付および密度のそれぞれについて各端部と中央部との差を算出し、中央部との値の差が大きかった方の端部の目付および密度をそれぞれ第1目付および第1最小密度として、中央目付に対する第1目付量差の比dm1及び第1最大密度(中央部の密度)に対する第1密度差の比dd1を算出した(dm1=[(中央目付-第1目付)/中央目付]×100%;dd1=[(第1最大密度-第1最小密度)/第1最大密度]×100%)。
また、正極活物質含有層の短辺幅に対する長辺長さの比を算出し、正極のアスペクト比rを求めた。
下記表1に、測定結果を示す。
(実施例2-5)
実施例2-5では、次の変更を加えた以外は実施例1と同様の手順で二次電池を作製した。正極の活物質含有層形成用のスラリーを集電体に塗布する際、下記表1に示す値の中央目付に対する第1目付量差の比dm1が得られるように、スラリーを塗り重ねる毎に少なくする長辺方向への塗工範囲をさらに少なく調整してスラリー塗膜の傾斜を制御した。
(実施例6)
実施例6では、次の変更を加えた以外は実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。下記表1に示す値の第1最大密度に対する第1密度差の比dd1が得られるように、集電体に塗布した正極の活物質含有層形成用のスラリーを乾燥させた後のプレスのプレス量を少なく調整した。
(実施例7-9)
実施例7-9では、次の変更を加えた以外は実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。下記表1に示す値の第1最大密度に対する第1密度差の比dd1が得られるように、集電体に塗布した正極の活物質含有層形成用のスラリーを乾燥させた後のプレスのプレス量を多く調整した。
(実施例10-12)
実施例10-12では、次の変更を加えた以外は実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。下記表1に示す値のアスペクト比rが得られるように、正極に使用した集電体の寸法を変更した。
(実施例13-15)
実施例13-15では、次の変更を加えた以外は実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。電極群に非水電解質を含浸させるために電極群を収納した容器に非水電解質を導入した後に保持した減圧環境の条件(圧力および/又は保持時間)を、下記表1に示すとおり変更した。
(実施例16)
実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。得られた二次電池を加圧容器に入れた。加圧容器内の空気圧を0.6 MPaに設定し、3時間待機した。その後、空気圧を常圧に戻し、二次電池を取り出した。このとおり加圧含浸をさらに行った二次電池を合計50セル作製した。
(実施例17-18)
実施例17及び18では、加圧含浸の条件を次のとおり変更した以外は実施例15と同様の手順で二次電池を作製した。実施例17では、待機時間を6時間に変更した。実施例18では、待機時間を12時間に変更した。
(実施例19)
実施例2と同様の手順で二次電池を作製した。得られた二次電池を加圧容器に入れた。加圧容器内の空気圧を0.6 MPaに設定し、0.6 MPaに達したら常圧(0 MPa)に設定し、常圧に達したら0.6 MPaに設定するといった加圧サイクルを繰り返した。0.6 MPaと常圧との間を行き来するサイクルを計5回行った後、0.6 MPaで3時間待機した。その後、空気圧を常圧に戻し、二次電池を取り出した。このとおり加圧含浸をさらに行った二次電池を合計50セル作製した。
(実施例20)
実施例20では、0.6 MPaと常圧との間を行き来するサイクルの回数を20に変更した以外は実施例19と同様の手順で二次電池を作製した。
(比較例1)
比較例1では、次の変更を加えた以外は実施例1と同様の手順で二次電池を作製した。正極の活物質含有層形成用のスラリーを集電体に塗布する際、下記表1に示す値の中央目付に対する第1目付量差の比dm1が得られるように、スラリーを塗り重ねる毎の長辺方向への塗工範囲の減少を少なく調整してスラリー塗膜の傾斜を制御した。
(比較例2)
比較例2では、次の変更を加えた以外は比較例1と同様の手順で二次電池を作製した。電極群に非水電解質を含浸させるために電極群を収納した容器に非水電解質を導入した後に-60 kPaの減圧環境に保持した時間を60分に変更した。
(比較例3)
比較例2と同様の手順で二次電池を作製した。下記表1に示す条件で、加圧含浸をさらに行った。
(比較例4-5)
比較例4及び5では、次の変更を加えた以外は比較例2と同様の手順で二次電池を作製した。正極の活物質含有層形成用のスラリーを集電体に塗布する際、下記表1に示す値の中央目付に対する第1目付量差の比dm1が得られるように、スラリーを塗り重ねる毎の長辺方向への塗工範囲の減少を少なく調整してスラリー塗膜の傾斜を制御した。
(比較例6)
比較例6では、次の変更を加えた以外は比較例2と同様の手順で二次電池を作製した。正極の活物質含有層形成用のスラリーを集電体に塗布する際、下記表1に示す値の中央目付に対する第1目付量差の比dm1が得られるように、スラリーを塗り重ねる回数を多くし、且つ、スラリーを塗り重ねる毎に少なくする長辺方向への塗工範囲をさらに少なく調整してスラリー塗膜の傾斜を制御した。
<評価>
上記実施例および比較例にて得られた二次電池に対し初回充放電を行い、初回放電容量を測定した。具体的には、次のとおり初回放電容量を求めた。
電位範囲が、1.5V~3.0V、充放電電流値が3A、45℃の環境温度の条件で充放電を行った。充放電では、まず、電池を3.0Vまで充電した後、1.5Vまで放電する。この充放電を50個のセルに対し行った。各セルについて放電時の容量を測定し、その平均を初回放電容量とした。
下記表1に、測定結果を示す。
表1には、各実施例および比較例で作製した二次電池についての正極活物質含有層の詳細、非水電解質を電極群に含浸させる際の減圧条件、加圧含浸の際の加圧条件、及び初回放電容量をまとめる。正極活物質含有層の詳細としては、長辺方向の端部と中央部との間の目付の差の比dm1及び密度の差の比dd1、並びにアスペクト比を示す。なお、実施例1のように加圧含浸を行っていない場合は、加圧条件については該当がないため“-”と表記する。
Figure 2023093032000002
表1に示すとおり、実施例1-20で作製した正極では、活物質含有層の長辺方向の中央部における最大目付(中央目付)に対する端部における最小目付と中央目付との第1目付量差の比dm1が1%より大きく10%より小さい範囲に収まっていた。実施例1-20で得られた二次電池では、実質的に設計容量(3A)どおりの初回放電容量が得られた。このことから、実施例1-20では電極群への電解質の含浸が促進され、設計通りの容量を発揮できたことが分かる。
これに対し比較例1-6では、第1目付量差の比dm1が1%以下または10%以上であり、上記範囲外であった。比較例1-6では、初回放電容量が設計容量を下回った。
比較例1-5では、正極活物質含有層の端部と中央部との間の目付量の差が少なく、電解質の含浸が不十分で設計容量を発揮できなかったことが分かる。比較例3-5が示すとおり、加圧含浸工程を行っても電解質の含浸が不十分であったことが分かる。比較例1-5の中でも、正極活物質含有層の長辺方向に沿って目付がほぼ一定だった比較例5では、加圧含浸を行ったにもかかわらず、初回放電容量が最も低かった。
比較例6では、正極活物質含有層の端部と中央部との間の目付量の差が多く、電解質の含浸は促進されたものと推察される。しかしその反面、中央部の目付が極端に厚く、正極の厚み方向の拡散抵抗が高くなったことに起因して、設計容量を達成できなかったものと推察される。
以上説明した少なくとも1つの実施形態及び実施例によれば、活物質含有層を具備する電極が提供される。活物質含有層は、第1端部と、第1端部と第1方向に隣接する中央部とを含む。第1端部での活物質含有層の第1目付は中央部での活物質含有層の中央目付より少なく、且つ、中央目付に対する第1目付と中央目付との間の第1目付量差の比dm1が1%<dm1<10%の範囲内にある。上記構成を有する電極は、設計容量を発揮できる電池および電池パックを実現でき、この電池パックを搭載した車両を提供できる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、3b…中央部、3b…第1端部、3b…第2端部、3b…第3端部、3b…第4端部、3c…負極集電タブ、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、21…バスバー、22…正極側リード、22a…他端、23…負極側リード、23a…他端、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (15)

  1. 第1端部と、
    前記第1端部と第1方向に隣接する中央部と
    を含む活物質含有層を具備し、
    前記第1端部での前記活物質含有層の第1目付は前記中央部での前記活物質含有層の中央目付より少なく、前記中央目付に対する前記第1目付と前記中央目付との間の第1目付量差の比dm1が1%<dm1<10%の範囲内にある、電極。
  2. 前記活物質含有層は、前記中央部と隣接し、且つ、前記第1端部に対し前記第1方向の反対側に位置する第2端部を含み、前記第1方向への前記第1端部の第1幅は前記第1端部と前記第2端部との間の第1距離に対し5%以上40%以下である、請求項1に記載の電極。
  3. 前記第2端部での前記活物質含有層の第2目付は前記中央目付より少なく、前記中央目付に対する前記第2目付と前記中央目付との間の第2目付量差の比dm2が1%<dm2<10%の範囲内にある、請求項2に記載の電極。
  4. 前記活物質含有層は、前記中央部と隣接し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向の両端にそれぞれ位置する第3端部と第4端部とを含み、前記第1距離は前記第3端部と前記第4端部との間の第2距離より長い、請求項2又は3に記載の電極。
  5. 前記活物質含有層は、前記中央部と隣接し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向の両端にそれぞれ位置する第3端部と第4端部とを含み、前記第1距離は前記第3端部と前記第4端部との間の第2距離より短い、請求項2又は3に記載の電極。
  6. 前記活物質含有層は、前記中央部と隣接し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向の両端にそれぞれ位置する第3端部と第4端部とを含み、前記第1距離、及び前記第3端部と前記第4端部との間の第2距離のうち、短い方の距離に対する長い方の距離のアスペクト比rが1<r<50の範囲内にある、請求項2又は3に記載の電極。
  7. 前記活物質含有層は前記第1方向に沿って密度が異なる第1密度分布を有しており、前記第1密度分布における第1最大密度に対する前記第1最大密度と第1最小密度との第1密度差の比dd1が5%<dd1<20%の範囲内にある、請求項1から6の何れか1項に記載の電極。
  8. 前記活物質含有層は、前記中央部と隣接し、且つ、前記第1方向と交差する第2方向の両端にそれぞれ位置する第3端部と第4端部とを含み、前記第3端部での前記活物質含有層の第3目付および前記第4端部での前記活物質含有層の第4目付は前記中央目付より少なく、前記中央目付に対する前記第3目付と前記中央目付との間の第3目付量差の比dm3が1%<dm3<10%の範囲内にあり、前記中央目付に対する前記第4目付と前記中央目付との間の第4目付量差の比dm4が1%<dm4<10%の範囲内にある、請求項1から3の何れか1項に記載の電極。
  9. 前記活物質含有層は前記第2方向に沿って密度が異なる第2密度分布を有しており、前記第2密度分布における第2最大密度に対する前記第2最大密度と第2最小密度との第2密度差の比dd2が5%<dd2<20%の範囲内にある、請求項8に記載の電極。
  10. 負極と、
    正極と、
    電解質と
    を具備する電池であって、
    前記負極および前記正極の少なくとも一方は、請求項1から9の何れか1項に記載の電極を含む、電池。
  11. 請求項10に記載の電池を具備する、電池パック。
  12. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    を更に具備する、請求項11に記載の電池パック。
  13. 複数の前記電池を具備し、
    前記電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている、請求項11又は12に記載の電池パック。
  14. 請求項11から13の何れか1項に記載の電池パックを具備する、車両。
  15. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む、請求項14に記載の車両。
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