JP2023091378A - 有機発光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐久特性が改善された有機発光素子、特に白色有機発光素子を提供する。【解決手段】第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれず、第一ホストと、第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する有機発光素子。TIFF2023091378000030.tif69133【選択図】なし
Description
本発明は、有機発光素子に関し、特に白色発光の白色有機発光素子に関する。
近年、有機EL(エレクトロルミネセンス)素子を用いたフルカラーディスプレイの研究開発が精力的に進められている。フルカラーディスプレイを作製する場合、発光層を画素(素子)ごとに塗り分ける方式と、発光層は白色発光で、カラーフィルターを画素ごとに塗り分ける白色有機EL素子を用いた方式がある。白色有機EL素子に関しては、二種類以上の発光材料を用いることが多い。
特許文献1には、2つの異なる発光色の発光層を積層した白色有機EL素子が開示されている。
特許文献1には、2つの異なる発光色の発光層を積層した白色有機EL素子が開示されている。
しかしながら、特許文献1に開示されている白色有機EL素子は、耐久性に課題がある。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、耐久特性が改善された有機発光素子、特に白色有機発光素子を提供することを目的とする。
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、耐久特性が改善された有機発光素子、特に白色有機発光素子を提供することを目的とする。
本発明の有機発光素子は、少なくとも、陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、
前記第一発光層は、少なくとも、第一ホストと、蛍光発光する第一ゲストとを含み、
前記第二発光層は、少なくとも、第二ホストと、蛍光発光する第二ゲストとを含み、
前記第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれず、
前記第一ホストと、前記第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ下記一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有することを特徴とする。
前記第一発光層は、少なくとも、第一ホストと、蛍光発光する第一ゲストとを含み、
前記第二発光層は、少なくとも、第二ホストと、蛍光発光する第二ゲストとを含み、
前記第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれず、
前記第一ホストと、前記第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ下記一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有することを特徴とする。
本発明によれば、耐久特性が改善された有機発光素子、特に白色有機発光素子を提供することができる。
本発明の有機発光素子は、少なくとも、陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備えている。即ち、本発明の有機発光素子は、積層された複数の発光層を備えている。そして、陽極側の第一発光層は、少なくとも、第一ホストと、蛍光発光する第一ゲストとを含み、陰極側の第二発光層は、少なくとも第二ホストと、蛍光発光する第二ゲストとを含んでいる。本発明の有機発光素子は、一対の電極間に挟まれた、発光層を含む有機EL層に通電することにより光を放出する有機EL素子、特に白色発光の白色有機EL素子であってよい。
ここで、それぞれの発光層において、第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ下記一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。
一般式[1]乃至[6]において、A乃至Cは、アントラセン残基、ピレン残基、ベンゾアントラセン残基、ベンゾピレン残基、フェナンスレン残基、フルオランテン残基のいずれかであり、A乃至Cは、さらに、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基を有してもよい。
尚、本発明において、発光層とは、電極間に設けられる有機化合物層のうち発光機能を有する層をいう。また発光層に含まれるホストは、各発光層に含まれる材料のうち主成分となる材料をいう。より具体的には、ホストとは発光層に含まれる材料のうち発光層内の含有率が50質量%を超える材料をいう。一方、ゲストとは、発光層に含まれる材料のうち、主成分とはならない材料のことである。より具体的には、ゲストは、発光層に含まれる材料のうち、発光層内の含有率が50質量%未満である材料をいう。発光層中のゲストの濃度は、好ましくは0.1質量%以上20質量%以下であり、さらには、濃度消光を抑制するために10質量%以下であることが望ましい。
また、本明細書においては、青領域の発光とは、発光スペクトルのピーク波長が430nm乃至480nmのことである。また、緑領域の発光とは、発光スペクトルのピーク波長が500nm乃至570nmのことである。また、赤領域の発光とは、発光スペクトルのピーク波長が580nm乃至680nmのことである。
<特徴>
本実施形態の有機発光素子は、以下のような特徴を有するため、耐久特性に優れる有機発光素子、特に白色有機発光素子となる。
(1)第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物である。さらに、第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれない。
(2)第一ホストおよび第二ホストは、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。
以下、これらの特徴について説明する。
本実施形態の有機発光素子は、以下のような特徴を有するため、耐久特性に優れる有機発光素子、特に白色有機発光素子となる。
(1)第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物である。さらに、第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれない。
(2)第一ホストおよび第二ホストは、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。
以下、これらの特徴について説明する。
(1)第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物である。さらに、第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれない。
本発明者らは、本発明をするにあたり、ホスト化合物の構造の結合の強さに着目した。具体的には、第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみからなる炭化水素化合物であり、結合安定性の低い構造が含まれないように分子設計を試みた。なぜなら、分子構造内に結合安定性の低い結合、すなわち、結合エネルギーの小さい不安定な結合を有する化合物は、素子駆動時に化合物の劣化が起こりやすく、有機発光素子の耐久寿命に悪影響を及ぼす可能性が高いからである。
ここで、以下に示す化合物CBP([4,4’-ビス(カルバゾール-9-イル)ビフェニル])を例にとると、結合安定性の低い結合とは、カルバゾール環とフェニレン基をつなぐ結合(窒素-炭素結合)のことである。以下に、CBPとホスト材料の例示化合物EM2との結合エネルギーの計算値の比較を示す。尚、計算手法は、b3-lyp/def2-SV(P)を用いて行った。
上記結果より、CBPの窒素-炭素結合は、結合安定性の低い結合であることが分かる。このような結合が、とくに発光層のホスト材料の構造に含まれることは好ましくない。一方、例示化合物EM2は炭素-炭素結合のみから構成されるため、結合安定性が高い構造であることが分かる。
さらに、第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれない。アミン化合物は結合安定性の低い炭素-窒素結合を有するために、素子の駆動中に、結合開裂がしやすく、素子の駆動耐久に悪影響を与える。
さらに、ホスト材料が有する置換基としても、結合安定性が高くなるように分子設計を試みた。ここで、表1に、ACC.Chem.Res.36,255-263,(2003)に記載の炭素-水素結合の結合解離エネルギーを示す。
結合解離エネルギーが大きい数値の方が強い結合であり、小さい数値の方が弱い結合である。つまり、メチル基やエチル基、ベンジル基などのSP3炭素を有する置換基は、炭素-水素結合が開裂し、水素原子が脱離しやすく、ラジカルを発生する置換基である。
ここで、表2に示すように、ホスト材料の例示化合物EM10と比較化合物1との構造比較を行う。
表2より、比較化合物1のSP3炭素と水素原子の結合数は15個である。このため、この材料を有機発光素子のホストに用いた場合、水素原子の脱離に伴うラジカルが発生しやすくなるため、長寿命な耐久特性を期待できない。一方、例示化合物EM10の場合、SP3炭素を含まないため、SP3炭素と水素原子の結合数は0個である。つまり、SP2炭素のみから構成され、ラジカルが発生しにくく、長寿命な耐久特性を期待できる。尚、素子の耐久特性の比較は、実施例にて詳細に説明する。
以上より、第一ホスト、第二ホストはSP2炭素のみから構成されるため、耐久特性に優れる化合物であり、これを用いる有機発光素子は耐久特性に優れる。また、SP2炭素のみから構成されるため、電子移動度が高くなる。このため、素子の低電圧化にも効果が期待できる。
(2)第一ホストおよび第二ホストは、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。
上述した特徴(1)にあるように、第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成され、化合物として安定である。一方、分子同士がπ-πスタッキングによる分子凝集を生じやすく、膜性や昇華性が悪化することが懸念される。そこで、特徴(2)として、第一ホストおよび第二ホストは、分子凝集を抑制するために、分子構造の直線性を低下させる、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。
一般式[1]乃至[6]において、A乃至Cは、アントラセン残基、ピレン残基、ベンゾアントラセン残基、ベンゾピレン残基、フェナンスレン残基、フルオランテン残基のいずれかであり、A乃至Cは、さらに、フェニル基、ビフェニル基、ターフェニル基、ナフチル基を有してもよい。
A乃至Cは、励起エネルギーの観点から、つまりS1エネルギーが十分に高く、ゲストへの良好なエネルギー移動を期待できる、ピレン残基、アントラセン残基、フェナンスレン残基が好ましい。さらに、ガラス転移温度の観点から、つまり、ベンゼン環が4つ縮合し、高Tgが期待できるピレン残基が好ましい。
ここで、ホスト材料の例示化合物EM2と比較化合物2、ホスト材料の例示化合物EM4と比較化合物3の溶解性試験比較を行った結果を表3に示す。溶解性試験は、100mgのホスト材料をトルエンで加熱還流撹拌を行い、溶解した際のトルエン溶媒量を比較することにより行った。例示化合物EM2を完溶させる際のトルエン溶媒量を1とした際の、比較化合物2を完溶させるのに要した溶媒量を表3に示す。同様に、例示化合物EM4を完溶させる際のトルエン溶媒量を1とした際の、比較化合物3を完溶させるのに要した溶媒量を表3に示す。
表3より、例示化合物EM2と比較化合物2は、ともにピレンとナフタレンからなる化合物であるが、その結合位置によって溶解性が大きく異なることが分かる。また、例示化合物EM4と比較化合物3は、ともにピレンとフェナンスレンからなる化合物であるが、こちらも同様に、その結合位置によって溶解性が大きく異なることが分かる。
比較化合物2は、ナフタレンの2,6位にピレンが結合するため、直線性の高い構造である。これに対して、例示化合物EM2は、ナフタレンの2,7位にピレンが結合する、つまり一般式[4]に示される構造を有するため、分子としては屈曲した構造になることが溶解性に寄与していると考えられる。同様に、比較化合物3は、フェナンスレンの2,7位にピレンが結合するため、直線性の高い構造である。これに対して、例示化合物EM4は、フェナンスレンの3,6位にピレンが結合する、つまり一般式[5]に示される構造を有するため、分子としては屈曲した構造になることが溶解性に寄与していると考えられる。
直線性の高い分子構造の場合、分子同士が重なり合いやすいため、分子が凝集しやすい。このため、材料合成の観点からは、溶解性が悪いため、量産化に不向きである。また、有機発光素子の材料としては、膜性の悪化や昇華性の低下を招くため好ましくない。一方で、第一ホストおよび第二ホストは、屈曲した構造のため、分子同士が重なり合うことが阻害されるため、分子凝集が起こりにくい。このため、溶解性を良好にし、また膜のアモルファス性を向上させ、昇華性を向上させる。
有機発光素子において、素子を構成する有機化合物の膜性は重要である。なぜならば、アモルファス性が高いことで、素子駆動中においても、微小な結晶化に伴う結晶粒界やトラップ準位、クエンチャーの生成が起こりにくく、良好なキャリア輸送性や高効率な発光特性を維持できるからである。結果として、耐久および効率に優れる有機発光素子を提供することができる。同様に、有機発光素子において、素子を構成する有機化合物の昇華性は重要である。なぜならば、昇華性が高いことで、昇華時に分解することなく安定して昇華精製することができる。これは、有機発光素子を作製するときの蒸着安定性が高いことでもある。つまり、蒸着時に分解することなく、高純度な蒸着膜を作製することができ、長寿命な有機発光素子を提供することができる。
以上より、第一ホストおよび第二ホストは、上記特徴(1)(2)に記載した通り、結合安定性の高い分子構造であるSP2炭素のみからなる構造であり、かつ、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する。このため、分子としての化学的安定性と、有機発光素子に好適に用いることができる膜の安定性と昇華性を兼ね備えた化合物といえる。
さらに、以下のような条件を満たす素子構成となる場合、より長寿命である有機発光素子、特に白色有機発光素子となるため、好ましい。
(3)第一ゲストは、赤色蛍光発光する。
(4)第一ゲストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、さらに、一般式[7]乃至[10]のいずれかに示される部分構造を有することが好ましい。
(5)第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚以上である。
(6)第二ゲストは、第一ゲストよりも短波長側に発光領域を有する、好ましくは青蛍光発光材料であり、さらに、第二ゲストの第二発光層における濃度は1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
(7)蛍光発光する第三ゲスト、好ましくは緑蛍光発光材料を含む。
(8)第一ゲスト、第二ゲスト、第三ゲストは、フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有する。
(9)第二ゲストは、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さない。
以下、これらについて説明する。
(3)第一ゲストは、赤色蛍光発光する。
(4)第一ゲストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、さらに、一般式[7]乃至[10]のいずれかに示される部分構造を有することが好ましい。
(5)第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚以上である。
(6)第二ゲストは、第一ゲストよりも短波長側に発光領域を有する、好ましくは青蛍光発光材料であり、さらに、第二ゲストの第二発光層における濃度は1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
(7)蛍光発光する第三ゲスト、好ましくは緑蛍光発光材料を含む。
(8)第一ゲスト、第二ゲスト、第三ゲストは、フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有する。
(9)第二ゲストは、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さない。
以下、これらについて説明する。
(3)第一ゲストは、赤蛍光発光する。
上記特徴(1)乃至(2)で説明したように、第一ホスト、第二ホストはSP2炭素のみから構成される炭化水素化合物である。このため、電子移動度が高く、低電圧駆動に有利である。一方で、第一発光層、第二発光層を通過して、電子が電子ブロッキング層(EBL)に到達しやすくなることが懸念される。電子がEBLに到達することは、キャリア漏れを起こすため、効率の観点から好ましくない可能性がある。また、EBLを構成する化合物は、一般にアミン化合物が用いられており、到達した電子によるアミン化合物の劣化を招くため、寿命の観点からも好ましくない可能性がある。
そこで、陽極側に位置する第一発光層に赤蛍光発光する第一ゲストが含まれることが好ましい。ここで、赤蛍光発光材料はバンドギャップが狭いため、ホストとゲストとのギャップ差により生じる電子トラップ性が高くなる。これにより、電子が第一発光層に捕捉されやすくなるため、電子漏れによる効率の低下や、EBLの劣化による耐久悪化を抑制することができる。
尚、陰極側の第二発光層に赤ゲストを含ませる場合にも、同様に電子トラップによるEBLの劣化を抑制することができる。しかし、陽極側の第一発光層に赤ゲストが含まれる方が、第一発光層に電子が供給されることを阻害せず、第一発光層由来の発光を得ることができるため、好ましい。
(4)第一ゲストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、さらに、一般式[7]乃至[10]のいずれかに示される部分構造を有することが好ましい。
第一ゲストも、第一ホスト、第二ホスト同様に、上記特徴(1)で説明したように、結合安定性の高いSP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であることが好ましい。またSP3炭素を置換基に有さないことが、化合物の安定性という観点から好ましい。
さらに、第一ホストと第一ゲストが、ともにSP2炭素のみからなることで、ホストとゲストとの相溶性が向上し、有機発光素子の発光層を形成する組み合わせという観点からも好ましい。ここで、相溶性について説明する。例えば、第一ゲストが疎水性であるSP3炭素を有する場合、疎水性部位同士が凝集しやすくなる可能性がある。つまり、第一ゲスト同士が凝集しやすくなり、ホストとゲストとが分離しやすくなる可能性がある。この場合、発光層としては、ゲスト濃度の濃淡が発生して、発光層内のキャリアや励起子に偏りが生じる可能性がある。相溶性が高いことで、ホストとゲストとが良く混ざり合い、均一な発光層を形成することができるため、有機発光素子として好ましい。
ここで、炭化水素から成る蛍光発光材料は、π-π*遷移に伴う蛍光発光を示す。このため、赤領域に発光領域を有するためには、例えば、下記[a][b]に示すように、分子骨格の共役長を拡大させることが好ましい。即ち、下記[a]に示すフルオランテンは、青領域の発光であるのに対して、下記[b]に示すジインデノ[1,2,3-cd:1’,2’,3’-lm]ペリレンは、赤領域の発光である。これは共役長を拡大したためである。
一方で、共役長を拡大させることは、π-πスタッキングに伴う分子凝集を招くことが懸念される。分子凝集は、昇華性の低下や、濃度消光により効率の低下を招く可能性がある。そこで、第一ゲストは、分子凝集を抑制するための、下記一般式[7]乃至[10]に示される部分構造を有することが好ましい。尚、一般式[7]乃至[10]において、*は炭素原子、好ましくはSP2炭素原子との結合位置を表す。
ここで、第一ゲストの例示化合物RD21と化合物1、第一ゲストの例示化合物RD30と化合物2の昇華性を比較した結果を表4に示す。昇華性の評価として、昇華温度と分解温度との温度差(ΔT=分解温度-昇華温度)を比較する。この温度差が大きいほど、昇華性が高いと言える。分解温度は、TG/DTA測定を行い、質量減少が5%に達した時の温度を分解温度とした。また昇華温度は、1×10-1Paの真空度において、Arフローさせながら、ゆっくり昇温し、昇華精製を行い、十分な昇華速度に達したときの温度を昇華温度とした。
表4より、例示化合物RD21は、ΔTが100℃であるのに対して、化合物1は40℃であった。つまり、例示化合物RD21の方が、昇華性が高いと言える。例示化合物RD30は、ΔTが130℃であるのに対して、化合物2は60℃であった。つまり、例示化合物RD30の方が、昇華性が高いと言える。
例示化合物RD21と化合物1は、共に下記[c]に示す母骨格を有しており、例示化合物RD30と化合物2は、共に下記[d]に示す母骨格を有している。
例示化合物RD21と化合物1、例示化合物RD30と化合物2の構造上の異なる点は、一般式[7]乃至[10]に示される部分構造の有無である。つまり、例示化合物RD21は、一般式[7]に示される部分構造を有する一方で、化合物1は、一般式[7]乃至[10]に示される部分構造を有していない。また、例示化合物RD29は、一般式[7]に示される部分構造を有する一方で、化合物2は、一般式[7]乃至[10]に示される部分構造を有していない。つまり、一般式[7]乃至[10]に示される部分構造を有することで、昇華性が向上したと考えられる。
(5)第一発光層の膜厚は、第二発光層の膜厚以上である。
上記特徴(3)で説明したように、第一発光層は、電子をトラップし、電子ブロッキング層(EBL)への電子漏れを抑制する役割を果たす。さらに、第一発光層の膜厚が、第二発光層の膜厚以上となることで、EBLに到達する電子を低減することができ、好ましい。結果として、耐久特性に優れる有機発光素子を提供することができる。
(6)第二ゲストは、第一ゲストよりも短波長側に発光領域を有する、好ましくは青蛍光発光材料であり、さらに、第二ゲストの第二発光層における濃度は1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましい。
第二ゲストは、第一ゲストよりも短波長側に発光領域を有する材料であることが好ましく、青発光材料であることがより好ましい。第一発光層から赤領域の発光が得られ、第二発光層からの青領域の発光が得られると、結果として白色有機発光素子となる。尚、第二ゲストは、炭化水素化合物であると、素子の駆動中に結合開裂しにくく、素子の駆動耐久が向上するため、好ましい。
一方、特徴(1)で説明したように、第二ホストは、SP2炭素のみから構成されるため、電子移動度が大きい。また、第二ゲストは青発光材料であると、バンドギャップが大きいため、第二発光層に十分な電子トラップ性を付与することが難しく、第二発光層から青発光を得にくくなることが懸念される。なぜなら、電子トラップ性は、ホストとゲストとのLUMO差により生じるキャリアトラップであるからである。そこで、本発明者らは、第二ゲストの第二発光層における濃度は、第二発光層の質量を100質量%とした場合に、1.0質量%以上3.0質量%以下が好ましいことを見出した。
第二ゲストの濃度が、極端に低濃度であると、第二発光層内に生じるトラップ密度が小さいため、電子を十分にトラップすることができず、第二発光層からの十分な発光を得ることができない可能性がある。また、過度の高濃度であると、第二ゲスト同士が分子凝集し、濃度消光による効率低下を招く可能性がある。
以上より、本発明者らが、鋭意検討した結果、第二ゲストの濃度は、十分に高濃度であることが好ましく、具体的には1.0質量%以上3.0質量%以下であることが好ましいと見出した。尚、詳細は実施例にて説明する。
(7)蛍光発光する第三ゲスト、好ましくは緑蛍光発光材料を含む。
第三ゲストとして、緑蛍光発光材料を含むことで、白色有機発光素子として好ましい。なぜなら、白色を再現するのに、青、緑、赤の三原色から構成される方が、特許文献1に記載されるシアンとイエローのような二色から構成される白色有機発光素子よりも、エネルギーのロスが少なく、消費電力を低減できるからである。尚、第三ゲストは、炭化水素化合物であると、素子の駆動中に結合開裂しにくく、素子の駆動耐久が向上するため、好ましい。
第三ゲストは、第一発光層に含まれてもいいし、第二発光層に含まれてもよい。また、第一発光層と第二発光層の間に、第三発光層を形成し、第三ホストと第三ゲストを含む構成としてもよい。この場合、第三ホストは、第一ホストおよび第二ホストと同じ構造上の特徴を有することが好ましい。第三ゲストは、第一発光層に含まれることが好ましい。このような素子構成とすることで、白色有機発光素子の消費電力の低減効果を期待することができる。
(8)第一ゲスト、第二ゲスト、第三ゲストは、フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有する。
上記特徴(1)で説明したように、第一ホストおよび第二ホストは、SP2炭素のみから構成されるため、電子移動度が大きい。そのため、各発光層に十分な電子トラップ性を付与するために、各発光層に含まれるゲストはフルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有することが好ましい。なぜなら、電子欠乏性の五員環を含むフルオランテン骨格を有することで、LUMOエネルギーが小さく(真空準位から遠く)なるからである。これにより、ホスト材料とのLUMOエネルギーの差が大きくなり、電子トラップ性を向上させることができる。さらに、フルオランテン骨格を2つ以上有することで、電子トラップ性を強化することができる。結果として、EBLに到達する電子を低減することができ、耐久特性に優れる有機発光素子を提供することができる。
フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造の具体例を以下に示す。ただし、これらの部分構造はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。フルオランテン骨格同士は、例えばFF1の様にフルオランテン骨格を形成するベンゼン環同士で縮合環を形成する、例えばFF8の様にフルオランテン骨格を形成するベンゼン環とは別のベンゼン環同士で縮合環を形成する、例えばFF17の様にフルオランテン骨格を形成するベンゼン環同士が結合して縮合環を形成する等により、縮合していてもいい。また、フルオランテン骨格同士は、例えばFF5、FF11の様に、フルオランテン骨格を形成するベンゼン環を共有していてもいい。
(9)第二ゲストは、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さない。
第二ゲストは青蛍光発光材料であると、ゲスト中で最もエネルギーが高い材料である。このため、励起状態におけるエネルギー状態は、高エネルギーとなるため、励起状態における予期せぬ副反応を招くことが懸念される。そこで、第二ゲストは、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さないことが好ましい。電子求引性置換基及び電子供与性置換基を有さない場合、励起状態における高エネルギー下において、隣接分子との付加反応や、分子自体の結合解離を低減することができる。尚、第三ゲストも、同様の理由で、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さないことが好ましい。
電子求引性置換基としては、例えば、フッ素原子や塩素原子などのハロゲン原子、ピリジン環やトリアジン環などの電子欠乏性の窒素原子を含む複素環、シアノ基等が挙げられる。また、電子供与性置換基としては、例えば、ジフェニルアミンやカルバゾールなどの電子供与性の窒素原子を含む置換基や、メトキシ基やフェノキシ基などの電子供与性の酸素原子を含む置換基等が挙げられる。これらの置換基を有さないゲストとすることで、励起状態における求電子反応や求核反応が起こりにくく、化学的安定性が向上し、結果として、耐久特性に優れる有機発光素子を提供することができる。
以上より、第一ホストおよび第二ホストが、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ、一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有する化合物であり、これらの発光層に好ましいゲストの構造と、素子構成を選択することで、優れた耐久特性示す有機発光素子を得ることができる。
<具体例>
次に、第一ホストおよび第二ホストの具体例を示す。ただし、これらの化合物はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。
次に、第一ホストおよび第二ホストの具体例を示す。ただし、これらの化合物はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。
次に、第一ゲストの具体例を示す。ただし、これらの化合物はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。
尚、上記第一ゲスト群のうち、フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有するRD1乃至RD30が特に好ましい。
次に、第二ゲストの具体例を示す。ただし、これらの化合物はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。
尚、上記第二ゲスト群のうち、電子求引性置換基を有さないBD1乃至BD7、BD9乃至BD24、BD29乃至BD35、BD37乃至BD44が特に好ましい。
次に、第三ゲストの具体例を示す。ただし、これらの化合物はあくまで具体例であり、これらに限定されるものではない。
尚、上記第三ゲスト群のうち、ターシャリーブチル基を有さないGD1乃至GD5、GD9、GD11、GD13,GD15乃至GD21、GD25乃至GD28が特に好ましい。なぜなら、ターシャリーブチル基を有さないと、ラジカルを発生しにくいからである。
<ホール注入輸送性材料、電子輸送性材料>
本実施形態の有機発光素子は、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系のホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
本実施形態の有機発光素子は、必要に応じて従来公知の低分子系及び高分子系のホール注入性化合物あるいはホール輸送性化合物、電子注入性化合物あるいは電子輸送性化合物等を一緒に使用することができる。以下にこれらの化合物例を挙げる。
ホール注入輸送性材料としては、陽極からのホールの注入を容易にして、かつ注入されたホールを発光層へ輸送できるようにホール移動度が高い材料が好ましい。また有機発光素子中において結晶化等の膜質の劣化を抑制するために、ガラス転移点温度が高い材料が好ましい。ホール注入輸送性能を有する低分子及び高分子系材料としては、トリアリールアミン誘導体、アリールカルバゾール誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィリン誘導体、ポリ(ビニルカルバゾール)、ポリ(チオフェン)、その他導電性高分子が挙げられる。さらに上記のホール注入輸送性材料は、電子ブロッキング層にも好適に使用される。以下に、ホール注入輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
電子輸送性材料としては、陰極から注入された電子を発光層へ輸送することができるものから任意に選ぶことができ、ホール輸送性材料のホール移動度とのバランス等を考慮して選択される。電子輸送性材料は、直線性が低く、分子凝集を抑制しやすい化合物であると、膜性が良好で、素子の駆動耐久が向上するため、好ましい。電子輸送性能を有する材料としては、オキサジアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、ピラジン誘導体、トリアゾール誘導体、トリアジン誘導体、キノリン誘導体、キノキサリン誘導体、フェナントロリン誘導体、有機アルミニウム錯体、縮環化合物(例えばフルオレン誘導体、ナフタレン誘導体、クリセン誘導体、アントラセン誘導体等)が挙げられる。さらに上記の電子輸送性材料は、ホールブロッキング層にも好適に使用される。以下に、電子輸送性材料として用いられる化合物の具体例を示すが、もちろんこれらに限定されるものではない。
<有機発光素子の構成>
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。第二電極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
有機発光素子は、基板の上に、絶縁層、第一電極、有機化合物層、第二電極を形成して設けられる。第二電極の上には、保護層、カラーフィルタ、マイクロレンズ等を設けてよい。カラーフィルタを設ける場合は、保護層との間に平坦化層を設けてよい。平坦化層はアクリル樹脂等で構成することができる。カラーフィルタとマイクロレンズとの間において、平坦化層を設ける場合も同様である。
[基板]
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
基板は、石英、ガラス、シリコンウエハ、樹脂、金属等が挙げられる。また、基板上には、トランジスタなどのスイッチング素子や配線を備え、その上に絶縁層を備えてもよい。絶縁層としては、第一電極との間に配線が形成可能なように、コンタクトホールを形成可能で、かつ接続しない配線との絶縁を確保できれば、材料は問わない。例えば、ポリイミド等の樹脂、酸化シリコン、窒化シリコンなどを用いることができる。
[電極]
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
電極は、一対の電極を用いることができる。一対の電極は、陽極と陰極であってよい。有機発光素子が発光する方向に電界を印加する場合に、電位が高い電極が陽極であり、他方が陰極である。また、発光層にホールを供給する電極が陽極であり、電子を供給する電極が陰極であるということもできる。
陽極の構成材料としては仕事関数がなるべく大きいものが良い。例えば、金、白金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、コバルト、セレン、バナジウム、タングステン、等の金属単体やこれらを含む混合物、あるいはこれらを組み合わせた合金、酸化錫、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫インジウム(ITO)、酸化亜鉛インジウム等の金属酸化物が使用できる。またポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン等の導電性ポリマーも使用できる。
これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また、陽極は一層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。
反射電極として用いる場合には、例えばクロム、アルミニウム、銀、チタン、タングステン、モリブデン、又はこれらの合金、積層したものなどを用いることができる。上記の材料にて、電極としての役割を有さない、反射膜として機能することも可能である。また、透明電極として用いる場合には、酸化インジウム錫(ITO)、酸化インジウム亜鉛などの酸化物透明導電層などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。電極の形成には、フォトリソグラフィ技術を用いることができる。
一方、陰極の構成材料としては仕事関数の小さなものがよい。例えばリチウム等のアルカリ金属、カルシウム等のアルカリ土類金属、アルミニウム、チタニウム、マンガン、銀、鉛、クロム等の金属単体またはこれらを含む混合物が挙げられる。あるいはこれら金属単体を組み合わせた合金も使用することができる。例えばマグネシウム-銀、アルミニウム-リチウム、アルミニウム-マグネシウム、銀-銅、亜鉛-銀等が使用できる。酸化錫インジウム(ITO)等の金属酸化物の利用も可能である。これらの電極物質は一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を併用して使用してもよい。また陰極は一層構成でもよく、多層構成でもよい。中でも銀を用いることが好ましく、銀の凝集を低減するため、銀合金とすることがさらに好ましい。銀の凝集が低減できれば、合金の比率は問わない。例えば、銀:他の金属が、1:1、3:1等であってよい。
陰極は、ITOなどの酸化物導電層を使用してトップエミッション素子としてもよいし、アルミニウム(Al)などの反射電極を使用してボトムエミッション素子としてもよいし、特に限定されない。陰極の形成方法としては、特に限定されないが、直流及び交流スパッタリング法などを用いると、膜のカバレッジがよく、抵抗を下げやすいためより好ましい。
[有機化合物層]
有機化合物層は、発光層以外の層を有してもよい。発光層以外の層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
有機化合物層は、発光層以外の層を有してもよい。発光層以外の層は、単層で形成されても、複数層で形成されてもよい。複数層を有する場合には、その機能によって、ホール注入層、ホール輸送層、電子ブロッキング層、ホールブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、と呼ばれてよい。有機化合物層は、主に有機化合物で構成されるが、無機原子、無機化合物を含んでいてもよい。例えば、銅、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、イリジウム、白金、モリブデン、亜鉛等を有してよい。有機化合物層は、第一電極と第二電極との間に配置されてよく、第一電極及び第二電極に接して配されてよい。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層(正孔注入層、正孔輸送層、電子阻止層、発光層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層等)は、以下に示す方法により形成される。
本発明の一実施形態に係る有機発光素子を構成する有機化合物層は、真空蒸着法、イオン化蒸着法、スパッタリング、プラズマ等のドライプロセスを用いることができる。またドライプロセスに代えて、適当な溶媒に溶解させて公知の塗布法(例えば、スピンコーティング、ディッピング、キャスト法、LB法、インクジェット法等)により層を形成するウェットプロセスを用いることもできる。
ここで真空蒸着法や溶液塗布法等によって層を形成すると、結晶化等が起こりにくく経時安定性に優れる。また塗布法で成膜する場合は、適当なバインダー樹脂と組み合わせて膜を形成することもできる。
上記バインダー樹脂としては、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
また、これらバインダー樹脂は、ホモポリマー又は共重合体として一種類を単独で使用してもよいし、二種類以上を混合して使用してもよい。さらに必要に応じて、公知の可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の添加剤を併用してもよい。
[保護層]
第二電極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、第二電極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、第二電極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、第二電極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
第二電極の上に、保護層を設けてもよい。例えば、第二電極上に吸湿剤を設けたガラスを接着することで、有機化合物層に対する水等の浸入を低減し、表示不良の発生を低減することができる。また、別の実施形態としては、第二電極上に窒化ケイ素等のパッシベーション膜を設け、有機化合物層に対する水等の浸入を低減してもよい。例えば、第二電極を形成後に真空を破らずに別のチャンバーに搬送し、CVD法で厚さ2μmの窒化ケイ素膜を形成することで、保護層としてもよい。CVD法の成膜の後で原子堆積法(ALD法)を用いた保護層を設けてもよい。ALD法による膜の材料は限定されないが、窒化ケイ素、酸化ケイ素、酸化アルミニウム等であってよい。ALD法で形成した膜の上に、さらにCVD法で窒化ケイ素を形成してよい。ALD法による膜は、CVD法で形成した膜よりも小さい膜厚であってよい。具体的には、50%以下、さらには、10%以下であってよい。
[カラーフィルタ]
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
保護層の上にカラーフィルタを設けてもよい。例えば、有機発光素子のサイズを考慮したカラーフィルタを別の基板上に設け、それと有機発光素子を設けた基板と貼り合わせてもよいし、上記で示した保護層上にフォトリソグラフィ技術を用いて、カラーフィルタをパターニングしてもよい。カラーフィルタは、高分子で構成されてよい。
[平坦化層]
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
カラーフィルタと保護層との間に平坦化層を有してもよい。平坦化層は、下の層の凹凸を低減する目的で設けられる。目的を制限せずに、材質樹脂層と呼ばれる場合もある。平坦化層は有機化合物で構成されてよく、低分子であっても、高分子であってもよいが、高分子であることが好ましい。
平坦化層は、カラーフィルタの上下に設けられてもよく、その構成材料は同じであっても異なってもよい。具体的には、ポリビニルカルバゾール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、尿素樹脂等があげられる。
[マイクロレンズ]
有機発光素子または有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光素子または有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
有機発光素子または有機発光装置は、その光出射側にマイクロレンズ等の光学部材を有してよい。マイクロレンズは、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等で構成されうる。マイクロレンズは、有機発光素子または有機発光装置から取り出す光量の増加、取り出す光の方向の制御を目的としてよい。マイクロレンズは、半球の形状を有してよい。半球の形状を有する場合、当該半球に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半球との接点がマイクロレンズの頂点である。マイクロレンズの頂点は、任意の断面図においても同様に決定することができる。つまり、断面図におけるマイクロレンズの半円に接する接線のうち、絶縁層と平行になる接線があり、その接線と半円との接点がマイクロレンズの頂点である。
また、マイクロレンズの中点を定義することもできる。マイクロレンズの断面において、円弧の形状が終了する点から別の円弧の形状が終了する点までの線分を仮想し、当該線分の中点がマイクロレンズの中点と呼ぶことができる。頂点、中点を判別する断面は、絶縁層に垂直な断面であってよい。
[対向基板]
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
平坦化層の上には、対向基板を有してよい。対向基板は、前述の基板と対応する位置に設けられるため、対向基板と呼ばれる。対向基板の構成材料は、前述の基板と同じであってよい。対向基板は、前述の基板を第一基板とした場合、第二基板であってよい。
[画素回路]
有機発光素子を有する有機発光装置は、有機発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
有機発光素子を有する有機発光装置は、有機発光素子に接続されている画素回路を有してよい。画素回路は、第一の発光素子、第二の発光素子をそれぞれ独立に発光制御するアクティブマトリックス型であってよい。アクティブマトリックス型の回路は電圧プログラミングであっても、電流プログラミングであってもよい。駆動回路は、画素毎に画素回路を有する。画素回路は、発光素子、発光素子の発光輝度を制御するトランジスタ、発光タイミングを制御するトランジスタ、発光輝度を制御するトランジスタのゲート電圧を保持する容量、発光素子を介さずにGNDに接続するためのトランジスタを有してよい。
発光装置は、表示領域と、表示領域の周囲に配されている周辺領域とを有する。表示領域には画素回路を有し、周辺領域には表示制御回路を有する。画素回路を構成するトランジスタの移動度は、表示制御回路を構成するトランジスタの移動度よりも小さくてよい。画素回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きは、表示制御回路を構成するトランジスタの電流電圧特性の傾きよりも小さくてよい。電流電圧特性の傾きは、いわゆるVg-Ig特性により測定できる。画素回路を構成するトランジスタは、第一の発光素子など、発光素子に接続されているトランジスタである。
[画素]
有機発光素子を有する有機発光装置は、複数の画素を有してよい。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
有機発光素子を有する有機発光装置は、複数の画素を有してよい。画素は互いに他と異なる色を発光する副画素を有する。副画素は、例えば、それぞれRGBの発光色を有してよい。
画素は、画素開口とも呼ばれる領域が発光する。この領域は第一領域と同じである。画素開口は15μm以下であってよく、5μm以上であってよい。より具体的には、11μm、9.5μm、7.4μm、6.4μm等であってよい。副画素間は、10μm以下であってよく、具体的には、8μm、7.4μm、6.4μmであってよい。
画素は、平面図において、公知の配置形態をとりうる。例えば、ストライプ配置、デルタ配置、ペンタイル配置、ベイヤー配置であってよい。副画素の平面図における形状は、公知のいずれの形状をとってもよい。例えば、長方形、ひし形等の四角形、六角形、等である。もちろん、正確な図形ではなく、長方形に近い形をしていれば、長方形に含まれる。副画素の形状と、画素配列と、を組み合わせて用いることができる。
<有機発光素子の用途>
本実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
本実施形態に係る有機発光素子は、表示装置や照明装置の構成部材として用いることができる。他にも、電子写真方式の画像形成装置の露光光源や液晶表示装置のバックライト、白色光源にカラーフィルタを有する発光装置等の用途がある。
表示装置は、エリアCCD、リニアCCD、メモリーカード等からの画像情報を入力する画像入力部を有し、入力された情報を処理する情報処理部を有し、入力された画像を表示部に表示する画像情報処理装置でもよい。表示装置は、複数の画素を有し、複数の画素の少なくとも一つが、本実施形態の有機発光素子と、有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有してよい。
また、撮像装置やインクジェットプリンタが有する表示部は、タッチパネル機能を有していてもよい。このタッチパネル機能の駆動方式は、赤外線方式でも、静電容量方式でも、抵抗膜方式であっても、電磁誘導方式であってもよく、特に限定されない。また表示装置はマルチファンクションプリンタの表示部に用いられてもよい。
次に、図面を参照しながら本実施形態に係る表示装置について説明する。図1は、有機発光素子とこの有機発光素子に接続されるトランジスタとを有する表示装置の例を示す断面模式図である。トランジスタは、能動素子の一例である。トランジスタは薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。
図1(a)は、本実施形態に係る表示装置の構成要素である画素の一例である。画素は、副画素10を有している。副画素はその発光により、10R、10G、10Bに分けられている。発光色は、発光層から発光される波長で区別されても、副画素から出射する光がカラーフィルタ等により、選択的に透過または色変換が行われてもよい。それぞれの副画素10は、層間絶縁層1の上に第一電極2である反射電極、第一電極2の端を覆う絶縁層3、第一電極2と絶縁層3とを覆う有機化合物層4、第二電極5である透明電極、保護層6、カラーフィルタ7を有している。
層間絶縁層1は、その下層または内部にトランジスタ、容量素子が配されていてよい。トランジスタと第一電極2は不図示のコンタクトホール等を介して電気的に接続されていてよい。
絶縁層3は、バンク、画素分離膜とも呼ばれる。第一電極2の端を覆っており、第一電極2を囲って配されている。絶縁層3の配されていない部分が、有機化合物層4と接し、発光領域となる。
有機化合物層4は、正孔注入層41、正孔輸送層42、第一発光層43、第二発光層44、電子輸送層45を有する。
第二電極5は、透明電極であっても、反射電極であっても、半透過電極であってもよい。
保護層6は、有機化合物層4に水分が浸透することを低減する。保護層6は、一層のように図示されているが、複数層であってよい。層ごとに無機化合物層、有機化合物層があってよい。
カラーフィルタ7は、その色により7R、7G、7Bに分けられる。カラーフィルタ7は、不図示の平坦化膜上に形成されてよい。また、カラーフィルタ7上に不図示の樹脂保護層を有してよい。また、カラーフィルタ7は、保護層6上に形成されてよい。またはガラス基板等の対向基板上に設けられた後に、貼り合わせられてよい。
図1(b)の表示装置100は、有機発光素子26とトランジスタの一例としてTFT18を有する。ガラス、シリコン等の基板11とその上部に絶縁層12が設けられている。絶縁層12の上には、TFT18等の能動素子が配されており、能動素子のゲート電極13、ゲート絶縁膜14、半導体層15が配置されている。TFT18は、他にもドレイン電極16とソース電極17とで構成されている。TFT18の上部には絶縁膜19が設けられている。絶縁膜19に設けられたコンタクトホール20を介して有機発光素子26を構成する陽極21とソース電極17とが接続されている。
なお、有機発光素子26に含まれる電極(陽極21、陰極23)とTFT18に含まれる電極(ソース電極17、ドレイン電極16)との電気接続の方式は、図1(b)に示される態様に限られるものではない。つまり陽極21又は陰極23のうちいずれか一方とTFT18のソース電極17またはドレイン電極16のいずれか一方とが電気接続されていればよい。TFTは、薄膜トランジスタを指す。
図1(b)の表示装置100では有機化合物層22を1つの層の如く図示をしているが、有機化合物層22は、複数層であってもよい。陰極23の上には有機発光素子26の劣化を低減するための第一の保護層24や第二の保護層25が設けられている。
図1(b)の表示装置100ではスイッチング素子としてトランジスタを使用しているが、これに代えて他のスイッチング素子として用いてもよい。
また図1(b)の表示装置100に使用されるトランジスタは、単結晶シリコンウエハを用いたトランジスタに限らず、基板の絶縁性表面上に活性層を有する薄膜トランジスタでもよい。活性層として、単結晶シリコン、アモルファスシリコン、微結晶シリコンなどの非単結晶シリコン、インジウム亜鉛酸化物、インジウムガリウム亜鉛酸化物等の非単結晶酸化物半導体が挙げられる。なお、薄膜トランジスタはTFT素子とも呼ばれる。
図1(b)の表示装置100に含まれるトランジスタは、Si基板等の基板内に形成されていてもよい。ここで基板内に形成されるとは、Si基板等の基板自体を加工してトランジスタを作製することを意味する。つまり、基板内にトランジスタを有することは、基板とトランジスタとが一体に形成されていると見ることもできる。
本実施形態に係る有機発光素子はスイッチング素子の一例であるTFTにより発光輝度が制御され、有機発光素子を複数面内に設けることでそれぞれの発光輝度により画像を表示することができる。なお、本実施形態に係るスイッチング素子は、TFTに限られず、低温ポリシリコンで形成されているトランジスタ、Si基板等の基板上に形成されたアクティブマトリクスドライバーであってもよい。基板上とは、その基板内ということもできる。基板内にトランジスタを設けるか、TFTを用いるかは、表示部の大きさによって選択され、例えば0.5インチ程度の大きさであれば、Si基板上に有機発光素子を設けることが好ましい。
図2は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。表示装置1000は、上部カバー1001と、下部カバー1009と、の間に、タッチパネル1003、表示パネル1005、フレーム1006、回路基板1007、バッテリー1008、を有してよい。タッチパネル1003および表示パネル1005は、フレキシブルプリント回路FPC1002、1004が接続されている。回路基板1007には、トランジスタがプリントされている。バッテリー1008は、表示装置が携帯機器でなければ、設けなくてもよいし、携帯機器であっても、別の位置に設けてもよい。
本実施形態に係る表示装置は、赤色、緑色、青色を有するカラーフィルタを有してよい。カラーフィルタは、当該赤色、緑色、青色がデルタ配列で配置されてよい。
本実施形態に係る表示装置は、携帯端末の表示部に用いられてもよい。その際には、表示機能と操作機能との双方を有してもよい。携帯端末としては、スマートフォン等の携帯電話、タブレット、ヘッドマウントディスプレイ等が挙げられる。
本実施形態に係る表示装置は、複数のレンズを有する光学部と、当該光学部を通過した光を受光する撮像素子とを有する撮像装置の表示部に用いられてよい。撮像装置は、撮像素子が取得した情報を表示する表示部を有してよい。また、表示部は、撮像装置の外部に露出した表示部であっても、ファインダ内に配置された表示部であってもよい。撮像装置は、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラであってよい。
図3(a)は、本実施形態に係る撮像装置の一例を表す模式図である。撮像装置1100は、ビューファインダ1101、背面ディスプレイ1102、操作部1103、筐体1104を有してよい。ビューファインダ1101は、本実施形態に係る表示装置を有してよい。その場合、表示装置は、撮像する画像のみならず、環境情報、撮像指示等を表示してよい。環境情報には、外光の強度、外光の向き、被写体の動く速度、被写体が遮蔽物に遮蔽される可能性等であってよい。
撮像に好適なタイミングはわずかな時間なので、少しでも早く情報を表示した方がよい。したがって、本実施形態の有機発光素子を用いた表示装置を用いるのが好ましい。有機発光素子は応答速度が速いからである。有機発光素子を用いた表示装置は、表示速度が求められる、これらの装置、液晶表示装置よりも好適に用いることができる。
撮像装置1100は、不図示の光学部を有する。光学部は複数のレンズを有し、筐体1104内に収容されている撮像素子に結像する。複数のレンズは、その相対位置を調整することで、焦点を調整することができる。この操作を自動で行うこともできる。撮像装置は光電変換装置と呼ばれてもよい。光電変換装置は逐次撮像するのではなく、前画像からの差分を検出する方法、常に記録されている画像から切り出す方法等を撮像の方法として含むことができる。
図3(b)は、本実施形態に係る電子機器の一例を表す模式図である。電子機器1200は、表示部1201と、操作部1202と、筐体1203を有する。筐体1203には、回路、当該回路を有するプリント基板、バッテリー、通信部、を有してよい。操作部1202は、ボタンであってもよいし、タッチパネル方式の反応部であってもよい。操作部1202は、指紋を認識してロックの解除等を行う、生体認識部であってもよい。通信部を有する電子機器は通信機器ということもできる。電子機器1200は、レンズと、撮像素子とを備えることでカメラ機能をさらに有してよい。カメラ機能により撮像された画像が表示部1201に映される。電子機器1200としては、スマートフォン、ノートパソコン等があげられる。
図4は、本実施形態に係る表示装置の一例を表す模式図である。図4(a)は、テレビモニタやPCモニタ等の表示装置である。表示装置1300は、額縁1301を有し表示部1302を有する。表示部1302には、本実施形態に係る発光素子が用いられてよい。額縁1301と、表示部1302を支える土台1303を有している。土台1303は、図4(a)の形態に限られない。額縁1301の下辺が土台を兼ねてもよい。また、額縁1301および表示部1302は、曲がっていてもよい。その曲率半径は、5000mm以上6000mm以下であってよい。
図4(b)は本実施形態に係る表示装置の他の例を表す模式図である。図4(b)の表示装置1310は、折り曲げ可能に構成されており、いわゆるフォルダブルな表示装置である。表示装置1310は、第一表示部1311、第二表示部1312、筐体1313、屈曲点1314を有する。第一表示部1311と第二表示部1312とは、本実施形態に係る発光素子を有してよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、つなぎ目のない1枚の表示装置であってよい。第一表示部1311と第二表示部1312とは、屈曲点で分けることができる。第一表示部1311、第二表示部1312は、それぞれ異なる画像を表示してもよいし、第一および第二表示部とで一つの画像を表示してもよい。
図5(a)は、本実施形態に係る照明装置の一例を表す模式図である。照明装置1400は、筐体1401と、光源1402と、回路基板1403と、光源1402が発する光を透過する光学フィルタ1404と光拡散部1405と、を有してよい。光源1402は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。光学フィルタ1404は光源の演色性を向上させるフィルタであってよい。光拡散部1405は、ライトアップ等、光源の光を効果的に拡散し、広い範囲に光を届けることができる。光学フィルタ1404、光拡散部1405は、照明の光出射側に設けられてよい。必要に応じて、最外部にカバーを設けてもよい。
照明装置は例えば室内を照明する装置である。照明装置は白色、昼白色、その他青から赤のいずれの色を発光するものであってよい。それらを調光する調光回路を有してよい。照明装置は本実施形態の有機発光素子とそれに接続される電源回路を有してよい。電源回路は、交流電圧を直流電圧に変換する回路である。また、白とは色温度が4200Kで昼白色とは色温度が5000Kである。照明装置はカラーフィルタを有してもよい。
また、本実施形態に係る照明装置は、放熱部を有していてもよい。放熱部は装置内の熱を装置外へ放出するものであり、比熱の高い金属、液体シリコン等が挙げられる。
図5(b)は、本実施形態に係る移動体の一例である自動車の模式図である。当該自動車は灯具の一例であるテールランプを有する。自動車1500は、テールランプ1501を有し、ブレーキ操作等を行った際に、テールランプを点灯する形態であってよい。
テールランプ1501は、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。テールランプ1501は、有機発光素子を保護する保護部材を有してよい。保護部材はある程度高い強度を有し、透明であれば材料は問わないが、ポリカーボネート等で構成されることが好ましい。ポリカーボネートにフランジカルボン酸誘導体、アクリロニトリル誘導体等を混ぜてよい。
自動車1500は、車体1503、それに取り付けられている窓1502を有してよい。窓1502は、自動車の前後を確認するための窓でなければ、透明なディスプレイであってもよい。当該透明なディスプレイは、本実施形態に係る有機発光素子を有してよい。この場合、有機発光素子が有する電極等の構成材料は透明な部材で構成される。
本実施形態に係る移動体は、船舶、航空機、ドローン等であってよい。移動体は、機体と当該機体に設けられた灯具を有してよい。灯具は、機体の位置を知らせるための発光をしてよい。灯具は本実施形態に係る有機発光素子を有する。
図6を参照して、上述の各実施形態の表示装置の適用例について説明する。表示装置は、例えばスマートグラス、HMD、スマートコンタクトのようなウェアラブルデバイスとして装着可能なシステムに適用できる。このような適用例に使用される撮像表示装置は、可視光を光電変換可能な撮像装置と、可視光を発光可能な表示装置とを有する。
図6(a)は、本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの一例を示す模式図である。図6(a)を用いて、1つの適用例に係る眼鏡1600(スマートグラス)を説明する。眼鏡1600のレンズ1601の表面側に、CMOSセンサやSPADのような撮像装置1602が設けられている。また、レンズ1601の裏面側には、上述した各実施形態の表示装置が設けられている。
眼鏡1600は、制御装置1603をさらに備える。制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置に電力を供給する電源として機能する。また、制御装置1603は、撮像装置1602と表示装置の動作を制御する。レンズ1601には、撮像装置1602に光を集光するための光学系が形成されている。
図6(b)は、本発明の一実施形態に係るウェアラブルデバイスの他の例を示す模式図である。図6(b)を用いて、1つの適用例に係る眼鏡1610(スマートグラス)を説明する。眼鏡1610は、制御装置1612を有しており、制御装置1612に、図6(a)の撮像装置1602に相当する撮像装置と、表示装置が搭載される。レンズ1611には、制御装置1612内の撮像装置と、表示装置からの発光を投影するための光学系が形成されており、レンズ1611には画像が投影される。制御装置1612は、撮像装置および表示装置に電力を供給する電源として機能するとともに、撮像装置および表示装置の動作を制御する。
制御装置1612は、装着者の視線を検知する視線検知部を有してもよい。視線の検知は赤外線を用いてよい。赤外発光部は、表示画像を注視しているユーザーの眼球に対して、赤外光を発する。発せられた赤外光の眼球からの反射光を、受光素子を有する撮像部が検出することで眼球の撮像画像が得られる。平面視における赤外発光部から表示部への光を低減する低減手段を有することで、画像品位の低下を低減する。赤外光の撮像により得られた眼球の撮像画像から表示画像に対するユーザーの視線を検出する。眼球の撮像画像を用いた視線検出には任意の公知の手法が適用できる。一例として、角膜での照射光の反射によるプルキニエ像に基づく視線検出方法を用いることができる。より具体的には、瞳孔角膜反射法に基づく視線検出処理が行われる。瞳孔角膜反射法を用いて、眼球の撮像画像に含まれる瞳孔の像とプルキニエ像とに基づいて、眼球の向き(回転角度)を表す視線ベクトルが算出されることにより、ユーザーの視線が検出される。
本発明の一実施形態に係る表示装置は、受光素子を有する撮像装置を有し、撮像装置からのユーザーの視線情報に基づいて表示装置の表示画像を制御してよい。具体的には、表示装置は、視線情報に基づいて、ユーザーが注視する第一の視界領域と、第一の視界領域以外の第二の視界領域とを決定する。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。表示装置の表示領域において、第一の視界領域の表示解像度を第二の視界領域の表示解像度よりも高く制御してよい。つまり、第二の視界領域の解像度を第一の視界領域よりも低くしてよい。
また、表示領域は、第一の表示領域、第一の表示領域とは異なる第二の表示領域とを有し、視線情報に基づいて、第一の表示領域および第二の表示領域から優先度が高い領域が決定される。第一の視界領域、第二の視界領域は、表示装置の制御装置が決定してもよいし、外部の制御装置が決定したものを受信してもよい。優先度の高い領域の解像度を、優先度が高い領域以外の領域の解像度よりも高く制御してよい。つまり優先度が相対的に低い領域の解像度を低くしてよい。
なお、第一の視界領域や優先度が高い領域の決定には、AIを用いてもよい。AIは、眼球の画像と当該画像の眼球が実際に視ていた方向とを教師データとして、眼球の画像から視線の角度、視線の先の目的物までの距離を推定するよう構成されたモデルであってよい。AIプログラムは、表示装置が有しても、撮像装置が有しても、外部装置が有してもよい。外部装置が有する場合は、通信を介して、表示装置に伝えられる。
視認検知に基づいて表示制御する場合、外部を撮像する撮像装置を更に有するスマートグラスに好ましく適用できる。スマートグラスは、撮像した外部情報をリアルタイムで表示することができる。
図7(a)は、本発明の一実施形態に係る画像形成装置の一例を示す模式図である。画像形成装置40は電子写真方式の画像形成装置であり、感光体27、露光光源28、帯電部30、現像部31、転写器32、搬送ローラー33、定着器35を有する。露光光源28から光29が照射され、感光体27の表面に静電潜像が形成される。この露光光源28が本実施形態に係る有機発光素子を有する。現像部31はトナー等を有する。帯電部30は感光体27を帯電させる。転写器32は現像された画像を記録媒体34に転写する。搬送ローラー33は記録媒体34を搬送する。記録媒体34は例えば紙である。定着器35は記録媒体34に形成された画像を定着させる。
図7(b)および図7(c)は、露光光源28を示す図であり、発光部36が長尺状の基板に複数配置されている様子を示す模式図である。矢印37は、感光体の軸に平行な方向であり、有機発光素子が配列されている列方向を表す。この列方向は、感光体27が回転する軸の方向と同じである。この方向は感光体27の長軸方向と呼ぶこともできる。図7(b)は発光部36を感光体27の長軸方向に沿って配置した形態である。図7(c)は、図7(b)とは異なる形態であり、第一の列と第二の列のそれぞれにおいて発光部36が列方向に交互に配置されている形態である。第一の列と第二の列は行方向に異なる位置に配置されている。第一の列は、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。第二の列は、第一の列の発光部36同士の間隔に対応する位置に発光部36を有する。すなわち、行方向にも、複数の発光部36が間隔をあけて配置されている。図7(c)の配置は、たとえば格子状に配置されている状態、千鳥格子に配置されている状態、あるいは市松模様と言い換えることもできる。
以上説明した通り、本実施形態に係る有機発光素子を用いた装置を用いることにより、良好な画質で、長時間表示にも安定な表示が可能になる。
[実施例1]
基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、第一発光層、第二発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、第一発光層、第二発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたボトムエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
先ずガラス基板上にITOを成膜し、所望のパターニング加工を施すことによりITO電極(陽極)を形成した。この時、ITO電極の膜厚を100nmとした。このようにITO電極が形成された基板をITO基板として、以下の工程で使用した。次に、1.33×10-4Paの真空チャンバー内における抵抗加熱による真空蒸着を行って、上記ITO基板上に、表5に示す有機化合物層及び電極層を連続成膜した。尚、この時、対向する電極(金属電極層、陰極)の電極面積が3mm2となるようにした。
得られた素子について、素子の特性を測定・評価した。発光素子の発光色は白色であり、最大外部量子効率(E.Q.E.)は7%であった。さらに、電流密度100mA/cm2での連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間を測定し、後述する比較例1の輝度劣化率が5%に達した時の時間を1.0とした輝度劣化率比を求めたところ、2.5であった。
本実施例において、測定装置は、具体的には電流電圧特性をヒューレッドパッカード社製・微小電流計4140Bで測定し、発光輝度は、トプコン社製BM7で測定した。
[実施例2乃至21、比較例1乃至6]
表6に示される様に化合物を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表6に示す。尚、比較化合物4、5は以下に示す通りであり、比較化合物5は特許文献1に記載のDTASBである。
表6に示される様に化合物を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表6に示す。尚、比較化合物4、5は以下に示す通りであり、比較化合物5は特許文献1に記載のDTASBである。
実施例1乃至20にあるように、本実施形態の白色有機発光素子においては、優れた耐久特性と高効率の発光特性を確認することができた。一方で、比較例1乃至4においては耐久特性に優れなかった。
比較例1の場合、発光層のホスト材料が、SP3炭素を複数有する比較化合物1であるため、素子の駆動中に結合開裂やラジカルが発生したことや、ゲスト材料との相溶性の低下が、素子の駆動耐久に悪影響を与えたと考えられる。
比較例2乃至4の場合、発光層ホスト材料が、直線性が高く、分子凝集をしやすい化合物であるため、膜性の悪化が、素子の駆動耐久に悪影響を与えたと考えられる。特に、比較例3の場合、HBL材料も膜性が悪いため、耐久特性が悪化している。
実施例21の場合、第一ゲストが、昇華性が低いために高純度な蒸着膜を形成しにくいことや、SP3炭素を複数有するため、ホストとの相溶性が悪いことが、実施例1乃至20に比べ、素子の駆動耐久が劣る原因であると考えられる。
比較例5の場合、第三ゲストが、アミン化合物であり、結合安定性の低い炭素-窒素結合を有するために、素子の駆動中に、結合開裂がしやすいことが、素子の駆動耐久に悪影響を与えたと考えられる。
比較例6の場合、第二ゲストが、アミン化合物であり、結合安定性の低い炭素-窒素結合を有するために、素子の駆動中に、結合開裂がしやすいことが、素子の駆動耐久に悪影響を与えたと考えられる。
[実施例22乃至31]
表7に示される様に発光層以外の化合物を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表7に示す。
表7に示される様に発光層以外の化合物を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表7に示す。
[実施例32乃至38]
表8に示される様に化合物とゲスト濃度を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表8に示す。
表8に示される様に化合物とゲスト濃度を適宜変更する以外は、実施例1と同様の方法により有機発光素子を作製した。得られた素子について実施例1と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表8に示す。
さらに、低電流密度(0.01mA/cm2)における発光スペクトルの評価を行った。赤ゲスト由来の発光スペクトルのピーク高さ1.0としたときに、青ゲストおよび緑ゲストのそれぞれのピーク高さを評価する。ピーク高さが0.1未満の場合「×」、ピーク高さが0.1以上0.5未満の場合「△」、ピーク高さが0.5以上の場合「○」とした。すなわち、青発光と緑発光のピーク高さが十分に高い場合には、低電流密度、つまり低輝度においても、良好な白色発光を得ることができると言える。その結果を表8に示す。
実施例32乃至37にあるように、本実施形態の白色素子においては、優れた耐久特性と、低輝度域における赤・緑・青のバランスのよい白色発光を確認することができた。
実施例38においては、バランスの良い白色発光を確認することができたが、実施例32乃至37に比べ、耐久特性と効率特性が劣っていた。これは、青発光層のゲスト材料が、実施例32乃至37に比べ高濃度であるために、濃度消光による低効率化が生じたためであると考えられる。また、実施例32乃至37に比べ、励起状態が高エネルギーである青発光材料が発光層中に多いために、発光層内において副反応等を招いたためであると考えられる。
[実施例39]
本実施例では、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、第一発光層、第二発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたトップエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
本実施例では、基板上に、陽極、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロッキング層、第一発光層、第二発光層、正孔ブロッキング層、電子輸送層、電子注入層、陰極が順次形成されたトップエミッション型構造の有機発光素子を作製した。
先ず基板上にスパッタリング法でTiを40nm成膜し、公知のフォトリソグラフィ技術を用いてパターニングし、陽極を形成した。尚、この時の、対向する電極(金属電極総、陰極)の画素面積が3mm2となるようにした。続いて、真空蒸着装置(アルバック社製)に洗浄済みの電極までを形成した基板と材料を取り付け、1.33×10-4Pa(1×10-6Torr)まで排気した後、UV/オゾン洗浄を施した。その後、表9に示す層構成で各層の成膜を行った。
そして、電子輸送層を形成した後、電子注入層としてフッ化リチウムを0.5nm製膜した。その後、陰極層として、MgAg合金を10nm製膜した。MgとAgの比率は1:1とした。その後、封止層としてCVD法にてSiNを1.5μm成膜した。
得られた有機発光素子について、素子の特性を測定・評価した。1000cd/m2表示時の効率、電圧、およびCIE色度座標は、それぞれ7.2cd/A,3.6V,(0.25,0.31)であり、高効率で素子の駆動電圧が低い、良好な白色有機発光素子であった。さらに、電流密度100mA/cm2での連続駆動試験を行い、輝度劣化率が5%に達した時の時間を測定し、後述する比較例7の輝度劣化率が5%に達した時の時間を1.0とした輝度劣化率比を求めたところ、2.8であった。
[実施例40乃至48、比較例7]
第一発光層/第二発光層を、表10に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例39と同様の方法により白色有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例39と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表10に示す。
第一発光層/第二発光層を、表10に示される化合物に適宜変更する以外は、実施例39と同様の方法により白色有機発光素子を作製した。得られた有機発光素子について実施例39と同様に素子の特性を測定・評価した。測定の結果を表10に示す。
実施例40乃至48にあるように、本実施形態の白色有機発光素子においては、優れた耐久特性と高効率の発光特性を確認することができた。
一方で、比較例7においては耐久特性に優れなかった。比較例7の場合、発光層のホスト材料が、SP3炭素を複数有する比較化合物1であるため、素子の駆動中に結合開裂やラジカルが発生したことや、ゲスト材料との相溶性の低下が、素子の駆動耐久に悪影響を与えたと考えられる。
1:層間絶縁層、2:第一電極、3:絶縁層、4:有機化合物層、5:第二電極、6:保護層、7:カラーフィルタ、10:副画素、11:基板、12:絶縁層、13:ゲート電極、14:ゲート絶縁膜、15:半導体層、16:ドレイン電極、17:ソース電極、18:TFT、19:絶縁膜、20:コンタクトホール、21:陽極、22:有機化合物層、23:陰極、24:第一の保護層、25:第二の保護層、26:有機発光素子、100:表示装置
Claims (15)
- 少なくとも、陽極と、第一発光層と、第二発光層と、陰極とをこの順に備え、
前記第一発光層は、少なくとも、第一ホストと、蛍光発光する第一ゲストとを含み、
前記第二発光層は、少なくとも、第二ホストと、蛍光発光する第二ゲストとを含み、
前記第一発光層および第二発光層にはアミン化合物は含まれず、
前記第一ホストと、前記第二ホストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、かつ下記一般式[1]乃至[6]に示されるいずれかの構造を有することを特徴とする有機発光素子。
- 前記第一ゲストは、SP2炭素のみから構成される炭化水素化合物であり、赤蛍光発光を示し、
前記第二ゲストは、前記第一ゲストよりも短波長側に発光領域を有することを特徴とする請求項1に記載の有機発光素子。 - 前記第一発光層の膜厚は、前記第二発光層の膜厚以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機発光素子。
- 前記第二ゲストの前記第二発光層における濃度は、1.0質量%以上3.0質量%以下であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機発光素子。
- 前記第一発光層は、さらに蛍光発光する第三ゲストを有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機発光素子。
- 前記第一ゲスト、前記第二ゲスト、前記第三ゲストは、フルオランテン骨格を2つ以上含む部分構造を有することを特徴とする請求項6に記載の有機発光素子。
- 前記第二ゲストは、電子求引性置換基、および、電子供与性置換基を有さないことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機発光素子。
- 白色発光することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機発光素子。
- 複数の画素を有し、前記複数の画素の少なくとも一つが、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子と、前記有機発光素子に接続されたトランジスタと、を有することを特徴とする表示装置。
- 複数のレンズを有する光学部と、前記光学部を通過した光を受光する撮像素子と、前記撮像素子が撮像した画像を表示する表示部と、を有し、
前記表示部は請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする光電変換装置。 - 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する表示部と、前記表示部が設けられた筐体と、前記筐体に設けられ、外部と通信する通信部と、を有することを特徴とする電子機器。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する光源と、前記光源が発する光を透過する光拡散部または光学フィルタと、を有することを特徴とする照明装置。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子を有する灯具と、前記灯具が設けられた機体と、を有することを特徴とする移動体。
- 請求項1乃至9のいずれか一項に記載の有機発光素子を有することを特徴とする電子写真方式の画像形成装置の露光光源。
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