JP2023089326A - ポリアミド樹脂組成物及びこれを含む成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性に優れ、かつ、成形体とした場合に機械的特性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供する。【解決手段】ポリアミド樹脂と磁性金属粉末とを含む、ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であり、[ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満である、ポリアミド樹脂組成物。ηrel:JIS K 6920(96%硫酸中、ポリマー濃度10mg/ml、25℃)に準じて測定される相対粘度。ηrc:数平均分子量Mnから以下の近似式(1)によって算出される相対粘度。ηrc = K × Mnα・・・式(1)(式中、K及びαは、前記ポリアミド樹脂と同種類の少なくとも3つの任意のポリアミド樹脂について、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelを測定し、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとしてフィッティングすることにより決定される定数である。式中、Mnは前記ポリアミド樹脂の数平均分子量であり、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)及び末端アミノ基濃度(μeq/g)から算出される。)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリアミド樹脂組成物及びこれを含む成形体に関する。
ポリアミド樹脂は、強度、靭性、耐薬品性、耐油性等に優れており、各種産業分野で射出成形体用材料やチューブ、シート、フィルム等の押出成形体用材料として使用されている。近年、ポリアミド樹脂を使用した成形体の用途開発が進み、求められる品質要求は高度化、多様化の一途である。
そのようなポリアミド樹脂として、末端アミド基濃度が15(μeq/ポリマー1g)以上であるポリアミド11及び/又はポリアミド12並びにN,N’-カルボニルビスラクタムを所定の比率で配合してなり、JIS K 6920により測定した相対粘度が2.3~3.0であるポリアミド樹脂組成物が提案されており、該組成物は、押出成形性が良好であり、得られる成形体がクリープ特性や衝撃特性に優れることが示されている(例えば、特許文献1を参照)。
また、磁性金属粉末及びバインダー樹脂からなる磁性材樹脂複合材料が知られており、該材料のバインダー樹脂としてポリアミド樹脂が広く使用されている。このような磁性材樹脂複合材料において、磁気特性を向上させるために磁性金属粉末を高濃度に充填する必要がある。しかし、磁性金属粉末の配合量を多くしようとすると、磁性金属粉末の分散性が悪くなったり、射出成形等の方法で成形する時に溶融時の材料の流動性が極めて低下したり、溶融時における材料中の磁性金属粉末の配向性が低下するという問題があった。 上記問題を解決するために、例えば、JIS K 6920により測定された相対粘度が1.40~1.80であって、末端カルボキシル基濃度が90μeq/g以下、末端アミノ基濃度が30μeq/g以下であるポリアミド樹脂、並びにポリアミドのモノマー及び/又は9量体以下のポリアミドのオリゴマーを所定の比率で配合してなる磁性材樹脂複合体成形用ポリアミド樹脂組成物が提案されており、該組成物は、溶融時の流動性及び成形時の磁性金属粉末の配向性に優れ、得られる成形体が優れた耐熱性、機械的特性等を有することが示されている(例えば、特許文献2を参照)。同様に、特許文献3~5には、磁性材樹脂複合材料の流動性又は成形性を改善するために、ポリアミド樹脂の相対粘度等を特定の範囲とすることが提案されている。
また、磁性金属粉末、ポリアミド樹脂及び特定の二価アルコールを所定の割合で含むプラスチック磁性組成物が提案されており、該組成物は、溶融時の流動性及び成形時の磁性金属粉末の配向性に優れることが示されている(例えば、特許文献6を参照)。さらに、フェライト類、ポリアミド樹脂及びフッ化ビニリデン系ゴムからなるプラスチック磁石用組成物が提案されており、該組成物は、流動性に優れ、機械的強度を損なわずにかつ高磁力なプラスチック磁石成形品を与えることが示されている(例えば、特許文献7を参照)。
特開2006-282950号公報 特開2010-222394号公報 特開2005-162802号公報 特開昭60-156751号公報 特開平09―71721号公報 特開平08-217970号公報 特開平09-180932号公報
磁性材樹脂複合材料において、特許文献1に記載されたポリアミド樹脂組成物を用いて、磁性金属粉末の配合量を高めようとすると、磁性金属粉末の分散性が悪く、組成物の流動性が大きく低下する問題があった。特許文献2~7の磁性材樹脂複合材料では、該材料の流動性の改善に一定の効果は見られるものの、さらなる流動性の改善が求められている。また、特許文献7に記載された組成物では、得られる成形体の機械的特性が不十分となる問題があった。
本発明は、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性に優れ、かつ、成形体とした場合に機械的特性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度と相対粘度に着目し、鋭意検討した結果、末端カルボキシル基濃度、及び2種類の方法で得られる相対粘度の比が特定の範囲にあるポリアミド樹脂並びに磁性金属粉末を含むポリアミド樹脂組成物は、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性に優れ、かつ、成形体とした場合に機械的特性に優れることを見出した。
本発明は、以下の[1]~[11]に関する。
[1]ポリアミド樹脂と磁性金属粉末とを含む、ポリアミド樹脂組成物であって、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であり、[ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満である、ポリアミド樹脂組成物。
ηrel:JIS K 6920(96%硫酸中、ポリマー濃度10mg/ml、25℃)に準じて測定される相対粘度。
ηrc:数平均分子量Mnから以下の近似式(1)によって算出される相対粘度。
ηrc = K × Mnα ・・・式(1)
(式中、K及びαは、前記ポリアミド樹脂と同種類の少なくとも3つの任意のポリアミド樹脂について、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelを測定し、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとしてフィッティングすることにより決定される定数である。式中、Mnは前記ポリアミド樹脂の数平均分子量であり、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)及び末端アミノ基濃度(μeq/g)から算出される。)
[2]ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が125~280μeq/gであり、[ηrel/ηrc]が0.92~1.12である、[1]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[3]ポリアミド樹脂が、脂肪族ホモポリアミド樹脂及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]又は[2]に記載のポリアミド樹脂組成物。
[4]ポリアミド樹脂が、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位を含む、[1]~[3]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[5]ポリアミド樹脂が、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド6/12共重合体及びポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]~[4]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[6]ポリアミド樹脂の相対粘度ηrelが1.35超である、[1]~[5]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[7]ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が2.0μeq/g未満である、[1]~[6]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[8]ポリアミド樹脂の数平均分子量が2,000~16,000である、[1]~[7]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[9]ポリアミド樹脂と磁性金属粉末との合計100質量%に対する磁性金属粉末の含有量が50~98質量%である、[1]~[8]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物。
[10][1]~[9]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物であって、前記ポリアミド樹脂について、プレス温度200℃、圧力10MPaGで1分間プレス処理をした後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで5分間冷却プレス処理をして得られた長さ30mm、幅4mm、厚さ100μmの成形体が、23℃、相対湿度50%RH、引張速度1mm/分で測定したときに、引張弾性率1,000~1,500MPa、かつ、引張破断点伸び2~300%を有する、ポリアミド樹脂組成物。
[11][1]~[10]のいずれか1つに記載のポリアミド樹脂組成物を含む、成形体。
[12]プラスチック磁石である、[11]に記載の成形体。
本発明によれば、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性に優れ、かつ、成形体とした場合に機械的特性に優れたポリアミド樹脂組成物を提供することができる。
本発明において、ポリアミド樹脂は、主鎖中にアミド結合(-CONH-)を有し、ラクタム、アミノカルボン酸、又はジアミンとジカルボン酸とからなるナイロン塩を原料として、溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法で重合、又は共重合することにより得られる樹脂を意味する。
本明細書においてポリアミド樹脂及びその組成物中の各成分の含有量は、ポリアミド樹脂及びその組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、ポリアミド樹脂と磁性金属粉末とを含み;ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であり、[ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満である。
ηrel:JIS K 6920(96%硫酸中、ポリマー濃度10mg/ml、25℃)に準じて測定される相対粘度。
ηrc:数平均分子量Mnから以下の近似式(1)によって算出される相対粘度。
ηrc = K × Mnα ・・・式(1)
(式中、K及びαは、前記ポリアミド樹脂と同種類の少なくとも3つの任意のポリアミド樹脂について、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelを測定し、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとしてフィッティングすることにより決定される定数である。式中、Mnは前記ポリアミド樹脂の数平均分子量であり、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)及び末端アミノ基濃度(μeq/g)から算出される。)
末端カルボキシル基濃度及び[ηrel/ηrc]を上記範囲としたポリアミド樹脂を使用することにより、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性に優れ、かつ、成形体とした場合に機械的特性に優れたポリアミド樹脂組成物とすることができる。
[ポリアミド樹脂の物性]
<末端カルボキシル基濃度>
ポリアミド樹脂は、末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上である。末端カルボキシル基濃度は、125~280μeq/gであることが好ましく、より好ましくは130~270μeq/g、さらに好ましくは150~260μeq/g、さらになお好ましくは170~250μeq/g、特に好ましくは200~240μeq/gである。末端カルボキシル基濃度がこの範囲にあることで、磁性金属粉末の分散性が向上し、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性が良好となる。
一実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]が1.0以上の場合、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度は、125~250μeq/gであることが好ましく、より好ましくは125~200μeq/g、特に好ましくは130~170μeq/gである。
末端カルボキシル基濃度(μeq/g)は、ポリマー1g当たりのカルボキシル基の当量として表すことができ、ポリアミド樹脂をベンジルアルコールに溶解し、1/20Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定して測定することができる。
ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度の調整は、末端調整剤であるモノ又はポリカルボン酸を用いて行うことができる。末端調整はポリアミド樹脂製造時、又はポリアミド樹脂製造後に行うことができる。
前記酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソブチル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、α-/β-ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸;アジピン酸、トリメチルアジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸;1,3-シクロペンタンジカルボン酸、1,3-/1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、1,4-/2,6-/2,7-ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸が挙げられる。なかでも、脂肪族モノカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が好ましい。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミド樹脂が、末端カルボキシル基濃度の異なる2種以上のポリアミド樹脂成分を含む場合、前記ポリアミド樹脂における末端カルボキシル基濃度は、上記中和摘定で測定されるのが好ましいが、各ポリアミド樹脂成分の末端カルボキシル基濃度とその混合比が判明している場合、それぞれの末端カルボキシル基濃度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、前記ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度としてもよい。
<[ηrel/ηrc]>
ポリアミド樹脂は、 [ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満である。[ηrel/ηrc]は、0.92~1.12であることがより好ましく、0.92~1.10であることがさらに好ましく、0.93~1.08であることが特に好ましい。[ηrel/ηrc]を上記範囲とすることにより、磁性金属粉末の分散性が向上し、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性が良好となり、さらに成形体としたときの機械的特性を向上させることができる。
一実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]は、0.92~0.97であることが好ましく、より好ましくは0.93~0.97であり、さらに好ましくは0.93~0.96である。別の実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]は、1.00~1.12であることが好ましく、より好ましくは1.02~1.10、さらに好ましくは1.03~1.08である。
ηrel及びηrcは、以下のように定義される。
ηrel:JIS K 6920(96%硫酸中、ポリマー濃度10mg/ml、25℃)に準じて測定される相対粘度。
ηrc:数平均分子量Mnから以下の近似式(1)によって算出される相対粘度。
ηrc = K × Mnα ・・・式(1)
(式中、K及びαは、前記ポリアミド樹脂と同種類の少なくとも3つの任意のポリアミド樹脂について、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelを測定し、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとしてフィッティングすることにより決定される定数である。)
<[ηrel]>
ηrelは、JIS K 6920に準じて、ポリアミド樹脂1gを96%硫酸100mlに溶解させ、25℃で測定される相対粘度である。ηrelは、1.35超であることが好ましく、より好ましくは1.36~2.00未満、さらに好ましくは1.36~1.80未満、さらになお好ましくは1.36~1.70未満、特に好ましくは1.36~1.60未満である。ηrelがこの範囲にあることで成形性が良好となりやすい。
ポリアミド樹脂が、相対粘度が異なる2種以上のポリアミド樹脂成分を含む場合、前記ポリアミド樹脂の相対粘度は、上記内容で測定されるのが好ましいが、各ポリアミド樹脂成分の相対粘度とその混合比が判明している場合、それぞれの相対粘度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、前記ポリアミド樹脂の相対粘度としてもよい。
<数平均分子量Mn>
ポリアミド樹脂の数平均分子量Mnは、2,000~16,000であることが好ましく、より好ましくは4,000~16,000であり、さらに好ましくは4,000~15,000であり、特に好ましくは5,000~15,000である。ポリアミド樹脂の数平均分子量Mnが上記範囲内にあることにより、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性を向上させやすくなり、成形体としたときの機械的特性を向上させやすくなる。
一実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]が1.0以上の場合、ポリアミド樹脂の数平均分子量Mnは、2,000~16,000であることが好ましく、より好ましくは4,000~12,000であり、特に好ましくは5,000~10,000である。
ポリアミド樹脂の数平均分子量Mn(g/mol)は、[COOH]末端カルボキシル基濃度(μeq/g)と[NH]末端アミノ基濃度(μeq/g)と[U]末端調整剤による末端基濃度(μeq/g)から、以下の式(2)によって求められる。(Nylon Plastics Handbook,M.I.Kohan,Hanser Publishers,1995)
Mn=2×10/([COOH]+[NH]+[U]) ・・・式(2)
末端調整剤がモノカルボン酸、例えばステアリン酸の場合には、[U]は末端ステアリル基濃度(μeq/g)となる。理想的には、末端アミノ基を持つ分子鎖のもう一方の分子鎖末端はカルボキシル基であり、末端ステアリル基を持つ分子鎖のもう一方の分子鎖末端もカルボキシル基であるため、[NH]+[U]は、測定することができるカルボキシル基濃度(μeq/g)と等しい。従って、数平均分子量Mn(g/mol)は、[NH]+[U]は考慮せず、1分子鎖当たりひとつの末端カルボキシル基濃度(μeq/g)のみから、式(3)によって求められる。
Mn=1×10/[COOH] ・・・式(3)
末端調整剤がジカルボン酸、例えばアジピン酸の場合には、[U]はアジピン酸由来の末端カルボキシル基濃度[COOH]AA(μeq/g)となる。末端アミノ基を持つ分子鎖のもう一方の分子鎖末端のカルボキシル基、及びアジピン酸由来の末端カルボキシル基を持つ分子鎖のもう一方の分子鎖末端のカルボキシル基の合計濃度[COOH]PA(μeq/g)と、アジピン酸由来の末端カルボキシル基濃度[COOH]AA(μeq/g)は、測定されるカルボキシル基濃度[COOH](μeq/g)で区別されない。このため、数平均分子量Mn(g/mol)は、式(4)によって求められる。
Mn=2×10/([COOH]PA+[NH]+[COOH]AA
=2×10/([COOH]+[NH]) ・・・式(4)
<[ηrc]>
ηrcは、数平均分子量から近似式(1)によって算出される相対粘度である。ηrcは、ポリアミド樹脂の数平均分子量から相対粘度を理論的に推定するための指標であり、具体的には、以下のようにして算出される。
一般的に、極限粘度[η]と粘度平均分子量Mvとの相関である、マーク・ホーウィンク・桜田の式が知られている。ここで、マーク・ホーウィンク・桜田の式に類似した、相対粘度[ηrc]と数平均分子量Mnとの相関式ηrc=K×Mnαを定義した。すなわち、ηrcは、上記相関式から得られる相対粘度の理論値である。
まず、数平均分子量Mnが異なる数種類のポリアミド樹脂について、相対粘度ηrelを測定し、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelの値から、上記相関式の導出を行う。相関式の導出に用いるポリアミド樹脂は、測定対象のポリアミド樹脂と同種類のものを用いる。例えば、測定対象がポリアミド12及びポリアミド6/12共重合体である場合、相関式の導出に用いるポリアミド樹脂もそれぞれ、ポリアミド12及びポリアミド6/12共重合体とする。また、相関式の導出に用いるポリアミド樹脂は、数平均分子量が広い範囲で分布した、少なくとも3つのポリアミド樹脂を用いる必要があり、4つ以上のポリアミド樹脂を用いることが好ましい。相関式の導出に用いるポリアミド樹脂の数平均分子量は、2,000~50,000の範囲に分布していることが好ましく、より好ましくは4,000~30,000の範囲である。
実施例では、ηrcの測定対象はポリアミド12であり、上記相関式の導出には、数平均分子量が12,000~24,000の範囲に分布した、任意の4つの市販のポリアミド12を用いている。
このようにして得た数平均分子量及び相対粘度(ηrel)を用い、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとして、最小二乗法等の公知のフィッティング方法により、近似式を求め、K及びαを決定する。
このようにして得られた相関式ηrc=K×Mnαに、測定対象のポリアミド樹脂の数平均分子量Mn(g/mol)を代入して、測定対象のポリアミド樹脂の相対粘度[ηrc]を求める。
ηrcは、1.10~1.70であることが好ましく、より好ましくは1.15~1.70、さらに好ましくは1.20~1.70である。ηrcがこの範囲であると、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性を向上させやすくなる。
一実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]が1.0以上の場合、ポリアミド樹脂のηrcは、1.10~1.55であることが好ましく、より好ましくは1.20~1.40である。
<末端アミノ基濃度>
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、2.0μeq/g未満であることが好ましく、より好ましくは0~1.9μeq/gであり、さらに好ましくは0~1.8μeq/gであり、特に好ましくは0~1.0μeq/gである。末端アミノ基濃度をこの範囲にすることで、磁性金属粉末の配合量を高めた場合でも組成物の流動性及び成形性を向上させやすくなる。
一実施態様において、ポリアミド樹脂の[ηrel/ηrc]が1.0以上の場合、ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度は、1.7μeq/g未満であることが好ましく、より好ましくは0~1.5μeq/gであり、特に好ましくは0~1.0μeq/gである。
末端アミノ基濃度(μeq/g)は、ポリマー1g当たりのアミノ基の当量として表すことができ、ポリアミド樹脂をフェノール/メタノール混合溶液に溶解し、1/50Nの塩酸で滴定して測定することができる。
ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度の調整は、モノ又はポリカルボン酸を用いて行うことができる。末端調整はポリアミド樹脂製造時、又はポリアミド樹脂製造後に行うことができる。
前記酸としては、ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度の調整で例示したものが挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミド樹脂が、末端アミノ基濃度の異なる2種以上のポリアミド樹脂成分を含む場合、前記ポリアミド樹脂における末端アミノ基濃度は、上記中和摘定で測定されるのが好ましいが、各ポリアミド樹脂成分の末端アミノ基濃度とその混合比が判明している場合、それぞれの末端アミノ基濃度にその混合比を乗じた値を合計して算出される平均値を、前記ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度としてもよい。
[ポリアミド樹脂の種類]
ポリアミド樹脂は、成形性の観点から、脂肪族ホモポリアミド樹脂及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
<脂肪族ホモポリアミド樹脂>
脂肪族ホモポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が、1種単独であるポリアミド樹脂を意味する。脂肪族ホモポリアミド樹脂は、1種類のラクタム及び当該ラクタムの加水分解物であるアミノカルボン酸の少なくとも一方からなるものであってもよく、1種類の脂肪族ジアミンと1種類の脂肪族ジカルボン酸との組合せからなるものであってもよい。ここで、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が、脂肪族ジアミン及び脂肪族ジカルボン酸の組合せである場合は、1種類の脂肪族ジアミンと1種類の脂肪族ジカルボン酸の組合せで1種類のモノマー成分とみなすものとする。
脂肪族ホモポリアミド樹脂を構成するモノマー成分としては、炭素数2~20、好ましくは炭素数4~12の脂肪族ジアミンと、炭素数2~20、好ましくは炭素数6~12の脂肪族ジカルボン酸の組合せ、炭素数6~12のラクタム又はアミノカルボン酸等を挙げることができる。
脂肪族ジアミンとしては、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、デカメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、ドデカメチレンジアミン、トリデカンジアミン、テトラデカンジアミン、ペンタデカンジアミン、ヘキサデカンジアミン、ヘプタデカンジアミン、オクタデカンジアミン、ノナデカンジアミン、エイコサンジアミン、2-メチル-1,8-オクタンジアミン、2,2,4/2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が6より多いジアミンが好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカンジオン酸、トリデカンジオン酸、テトラデカンジオン酸、ペンタデカンジオン酸、ヘキサデカンジオン酸、オクタデカンジオン酸、エイコサンジオン酸等が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が6より多いジカルボン酸が好ましい。
ラクタムとしては、ε-カプロラクタム、エナントラクタム、ウンデカンラクタム、ドデカンラクタム、α-ピロリドン、α-ピペリドン等が挙げられる。また、アミノカルボン酸としては6-アミノカプロン酸、7-アミノヘプタン酸、9-アミノノナン酸、11-アミノウンデカン酸、12-アミノドデカン酸が挙げられる。これらの中でも、炭素原子数が6より多いラクタム及びアミノカルボン酸が好ましい。
<脂肪族共重合ポリアミド樹脂>
脂肪族共重合ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂を構成するモノマー成分が、2種以上の組合せであるポリアミド樹脂を意味する。脂肪族共重合ポリアミド樹脂は、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組合せ、ラクタム及びアミノカルボン酸からなる群から選択される2種以上の共重合体である。ここで、脂肪族ジアミンと脂肪族ジカルボン酸の組合せは、1種類の脂肪族ジアミンと1種類の脂肪族ジカルボン酸の組合せで1種類のモノマー成分とみなす。
脂肪族ジアミンとしては、脂肪族ホモポリアミド樹脂の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、脂肪族ホモポリアミド樹脂の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。
ラクタムとしては、脂肪族ホモポリアミド樹脂の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。また、アミノカルボン酸としては脂肪族ホモポリアミド樹脂の原料として例示したものと同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族ジアミン、脂肪族ジカルボン酸、ラクタム及びアミノカルボン酸は1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
[ポリアミド樹脂の好ましい態様]
ポリアミド樹脂は、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位を含むと、成形性を向上させやすくなり、得られる成形体が低吸水性であるため、耐水性成形品として採用しやすく、かつ、機械的特性を向上させやすくなるため、好ましい。ポリアミド樹脂の構成単位は、アミド基1個に対する炭素原子数が7~12のものが好ましく、より好ましくは10~12のものである。また、ポリアミド樹脂における、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位の割合は、ポリアミド樹脂の全構成単位に対し、30mol%以上であることが好ましく、より好ましくは50mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上である。ポリアミド樹脂における、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位の割合の上限は、100mol%、すなわち、ポリアミド樹脂のすべての構成単位が、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超えるものである。
アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位を含む脂肪族ホモポリアミド樹脂としては、ポリエナントラクタム(ポリアミド7)、ポリウンデカンラクタム(ポリアミド11)、ポリラウリルラクタム(ポリアミド12)、ポリテトラメチレンドデカミド(ポリアミド412)、ポリペンタメチレンアゼラミド(ポリアミド59)、ポリペンタメチレンセバカミド(ポリアミド510)、ポリペンタメチレンドデカミド(ポリアミド512)、ポリヘキサメチレンアゼラミド(ポリアミド69)、ポリヘキサメチレンセバカミド(ポリアミド610)、ポリヘキサメチレンドデカミド(ポリアミド612)、ポリノナメチレンアジパミド(ポリアミド96)、ポリノナメチレンアゼラミド(ポリアミド99)、ポリノナメチレンセバカミド(ポリアミド910)、ポリノナメチレンドデカミド(ポリアミド912)、ポリデカメチレンアジパミド(ポリアミド106)、ポリデカメチレンアゼラミド(ポリアミド109)、ポリデカメチレンデカミド(ポリアミド1010)、ポリデカメチレンドデカミド(ポリアミド1012)、ポリドデカメチレンアジパミド(ポリアミド126)、ポリドデカメチレンアゼラミド(ポリアミド129)、ポリドデカメチレンセバカミド(ポリアミド1210)、ポリドデカメチレンドデカミド(ポリアミド1212)等が挙げられる。
アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位を含む脂肪族共重合ポリアミド樹脂としては、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアゼライン酸共重合体(ポリアミド6/69)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノウンデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/611)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/612)、カプロラクタム/アミノウンデカン酸共重合体(ポリアミド6/11)、カプロラクタム/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ラウリルラクタム共重合体(ポリアミド6/66/12)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノセバシン酸共重合体(ポリアミド6/66/610)、カプロラクタム/ヘキサメチレンジアミノアジピン酸/ヘキサメチレンジアミノドデカンジカルボン酸共重合体(ポリアミド6/66/612)等が挙げられる。
これらの中でも、低吸水性の観点から、ポリアミド樹脂は、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド6/12共重合体及びポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが特に好ましい。これらのポリアミド樹脂は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ポリアミド樹脂は、前記ポリアミド樹脂について、プレス温度200℃、圧力10MPaGで1分間プレス処理をした後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで5分間冷却プレス処理をして得られた厚さ100μmの成形体から、長さ30mm、幅4mmの短冊状の試験片を切り出し、23℃、相対湿度50%RH、引張速度1mm/分で測定したときに、引張弾性率1,000~1,500MPa、かつ、引張破断点伸び2~300%を有することが好ましい。このようにして得た成形体の引張弾性率及び引張破断点伸びが上記範囲内にあると、磁性金属粉末を含むポリアミド樹脂組成物の成形体の機械的特性を向上させることが可能である。なお、プレス処理時の圧力及び実施例のポリアミド樹脂の調製における容器内の圧力の単位:MPaGは、ゲージ圧を意味する。
[ポリアミド樹脂の製造]
ポリアミド樹脂の製造装置としては、バッチ式反応釜、一槽式ないし多槽式の連続反応装置、管状連続反応装置、一軸型混練押出機、二軸型混練押出機等の混練反応押出機等、公知のポリアミド製造装置が挙げられる。重合方法としては溶融重合、溶液重合、固相重合等の公知の方法を用い、常圧、減圧及び加圧操作を繰り返して重合することができる。反応温度は通常150~300℃であり、反応圧力は特に制限されない。末端カルボキシル基濃度を調整するための酸は、原料混合時に投入してもよく、又はポリアミド樹脂製造後に別途反応させてもよい。これらの重合方法は単独で、あるいは適宜、組合せて用いることができる。
上記の方法により製造されたポリアミド樹脂は、公知の方法により、ペレット、ビーズ、パウダー、ペースト、フィルム等の形態とすることができるが、磁性金属粉末と混合する際の均質性を高める観点から、粒度の細かい形態が望ましい。
[磁性金属粉末]
磁性金属粉末は、磁性を付与する機能を有し、公知の磁性金属粉末であれば、特に制限はなく、例えば、フェライト系磁性粉、アルニコ系磁性粉、希土類磁性粉等が挙げられる。フェライト系磁性粉としては、酸化鉄、炭酸バリウム等のバリウムフェライト系磁性粉;酸化鉄、炭酸ストロンチウム等のストロンチウムフェライト系磁性粉等が挙げられる。アルニコ系磁性粉としては、ニッケル、アルミニウム、コバルト、鉄及び銅から成るアルニコ;ニッケル、アルミニウム、コバルト、鉄、銅及びチタンから成るアルニコ等が挙げられる。希土類磁性粉としては、サマリウムコバルト、サマリウムコバルトのコバルト成分を銅、鉄、チタン、ジルコニウム、ナフニウム、ニオブ、タンタル等で置換した希土類コバルト磁性粉、ネオジウム-鉄-ホウ素磁性粉等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
磁性金属粉末の平均粒径は、0.1~300μmであることが好ましく、0.1~200μmであることがより好ましく、0.5~100μmであることがさらに好ましい。磁性金属粉末の平均粒径が、300μmを超えると、ポリアミド樹脂組成物から得られる成形体の磁気特性及び機械的特性が低下する場合がある。
ポリアミド樹脂との相溶性を高めるために、磁性金属粉末をカップリング剤又は表面改質剤であらかじめ処理してもよい。カップリング剤及び表面改質剤は、それぞれ、単独でも、2種以上を併用してもよい。
カップリング剤として、シラン系、チタネート系、アルミニウム系、亜リン酸エステル等の有機リン化合物、クロム系、メタクリレート系等の慣用のカップリング剤を挙げることができる。また、表面改質剤として、水ガラス、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、澱粉、ポリビニルアルコール、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン樹脂、エポキシ系化合物、イソシアネート系化合物、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、脂肪酸、界面活性剤等を挙げることができる。
これらの中でも、ポリアミド樹脂との相溶性を高めるため、アミノ基含有シラン系化合物及びチタネート系化合物で磁性金属粉末を処理することがより好ましい。
アミノ基含有シラン系化合物としては、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノエチル)-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノジチオプロピルトリヒドロキシシラン、γ-(ポリエチレンアミノ)プロピルトリメトキシシラン、N-β-(アミノプロピル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(トリメトキシシリルプロピル)-エチレンジアミン、γ-ジブチルアミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
チタネート系化合物としては、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(N-アミノエチル)チタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、テトラ(2,2-ジアリルオキシメチル-1-ブチル)ビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。
組成物の流動性及び成形性並びに成形体の残留磁束密度及び機械的特性の観点から、ポリアミド樹脂と磁性金属粉末との合計100質量%に対する磁性金属粉末の含有量は、50~98質量%であることが好ましく、60~97質量%であることがより好ましく、80~95質量%であることが特に好ましい。ポリアミド樹脂を5質量%以上とすることにより、組成物の流動性及び成形性並びに成形体の機械的特性をいっそう向上させることができ、20質量%以下とすることにより、成形体の残留磁束密度をいっそう向上させることができる。
[他の成分]
ポリアミド樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、他の成分を含むことができる。他の成分としては、可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、耐熱剤、発泡剤、耐候剤、結晶核剤、結晶化促進剤、離型剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤、難燃助剤、安定剤、顔料、染料等の機能性付与剤、本発明のポリアミド樹脂以外のポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂以外の任意の樹脂成分等が挙げられる。なお、他の成分は、本発明に係るポリアミド樹脂及び磁性金属粉末ではない。
[ポリアミド樹脂組成物及びその成形体の製造方法]
ポリアミド樹脂組成物及びその成形体の製造方法について説明するが、以下に記載した製造方法に限定されるものではない。ポリアミド樹脂組成物は、混合工程及び/又は混練工程を経て製造される。ポリアミド樹脂組成物の成形体は、上記のようにして得たポリアミド樹脂組成物を成形する工程を経て製造される。
混合工程では、ポリアミド樹脂及び磁性金属粉末、並びに必要に応じて他の成分を配合し、公知の方法で混合する。混合工程は、混練工程の前に行うことが好ましい。混合時に溶媒を使用することは、カップリング剤及び滑剤を使用する際、均一に添加する意味で有効な手段となるが、必ずしも必要ではない。混合機は特に限定されるものではなく、リボンミキサー、V型ミキサー、ロータリーミキサー、ヘンシェルミキサー、フラッシュミキサー、ナウタミキサー、タンブラー等が挙げられる。また、回転ボールミル、振動ボールミル、遊星ボールミル、ウェットミル、ジェットミル、ハンマーミル、カッターミル等を用いて、添加及び粉砕混合をする方法も有効である。混合工程で得られた混合物は、造粒により粉粒化することもできる。
混練工程は、混合工程で得られた混合物をブラベンダー等のバッチ式ニーダー、バンバリーミキサー、ヘンシェルミキサー、ヘリカルローター、ロール、一軸押出機、二軸押出機等を用いて50~400℃の温度領域で混練する工程である。混練温度は、一般にポリアミド樹脂が溶融し、分解しない温度領域から選ばれる。混練物は、ストランド状に押し出した後、冷却してカッティングする、又は冷却固化したブロック状の物を粉砕機にかける、といった方法でペレット、パウダー等の形態とする。こうしてポリアミド樹脂組成物を得ることができる。
混練工程で得られたポリアミド樹脂組成物から、成形体を得るためには、更に成形加工処理を施す(成形工程)。ポリアミド樹脂組成物の成形体は、混合工程で得られた混合物を溶融混練しながらそのまま所望の形状に成形する一段成形法;混練工程で得られたペレット、パウダー等を各種成形法により成形する二段成形法のどちらでも製造可能である。
中でも高い磁気特性をもつ成形体を製造する方法として、ペレット状又はパウダー状のポリアミド樹脂組成物を加熱溶融し、必要に応じ磁場をかけながら、射出成形、押出成形、プレス成形等する方法が挙げられる。押出成形の場合には、混練と共に行うこともできる。これらの成形法のなかで、特に射出成形法は、表面平滑性及び磁気特性に優れた磁性材樹脂複合体が得られると共に、成形形状の自由度が大きいことから好ましい。成形温度は、前記混練温度と同様である。
成形体は、通常さらに着磁を行って、永久磁石としての性能を高める。着磁は通常行われる方法、例えば静磁場を発生する電磁石、パルス磁場を発生するコンデンサー着磁機等によって行われる。このときの磁場強度は、15kOe以上であることが好ましく、30kOe以上であることがより好ましい。
[ポリアミド樹脂組成物の用途]
ポリアミド樹脂組成物は、溶融時の流動性及び成形性に優れるため、公知の方法を利用する成形品の製造に用いることができる。具体的には、ポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形、ブロー成形、回転成形等による成形品の製造に用いることができる。
ポリアミド樹脂組成物を含む成形体は、磁気特性及び機械的特性に優れており、ブリードアウトの発生の抑制が期待され、外観に優れている。ポリアミド樹脂組成物を含む成形体は、プラスチック磁石等の各種磁石製品に好適に使用できる。
以下において実施例及び比較例を掲げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明の要旨を越えない限り以下の例に限定されるものではない。以下に、各種評価方法、使用した材料を示す。
[ポリアミド樹脂の物性測定]
実施例1~6及び比較例1で使用したポリアミド樹脂A~C(ポリアミド12)について、以下の物性を評価した。
(1)相対粘度(ηrel)
JIS K 6920に準じて、96%硫酸溶液、ポリマー濃度10mg/mlにてオストワルド型粘度計を用いて25℃で測定した。
(2)末端カルボキシル基濃度
三つ口ナシ型フラスコに所定量のポリアミド樹脂を入れ、ベンジルアルコール40mLを加えた後、窒素気流下、180℃に設定したオイルバスに浸漬した。上部に取り付けた撹拌モーターにより撹拌溶解し、指示薬にフェノールフタレインを用いて1/20Nの水酸化ナトリウム溶液で滴定を行い、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)を求めた。
(3)末端アミノ基濃度
活栓付三角フラスコに所定量のポリアミド樹脂を入れ、あらかじめ調整しておいた溶媒フェノール/メタノール(体積比7/3)の40mLを加えた後、マグネチックスターラーで撹拌溶解し、指示薬にチモールブルーを用いて1/50Nの塩酸で滴定を行い、末端アミノ基濃度(μeq/g)を求めた。
(4)数平均分子量
(2)で得られた末端カルボキシル基濃度(μeq/g)及び(3)で得られた末端アミノ基濃度(μeq/g)より、上記式(3)及び(4)を用いて、ポリアミド樹脂の数平均分子量Mn(g/mol)を求めた。
(5)相対粘度(ηrc)
(4)で得られた数平均分子量(g/mol)を用い、数平均分子量から算出される相対粘度(ηrc)を以下のようにして求めた。
1.市販のポリアミド樹脂
ポリアミド12の標準品として下記に示す市販のポリアミド12を使用した。
・ポリアミド12(宇部興産株式会社製、UBESTA(登録商標)3012U、相対粘度(ηrel)1.60、数平均分子量12,000)
・ポリアミド12(宇部興産株式会社製、UBESTA(登録商標)3014U、相対粘度(ηrel)1.68、数平均分子量14,000)
・ポリアミド12(宇部興産株式会社製、UBESTA(登録商標)3020U、相対粘度(ηrel)1.86、数平均分子量20,000)
・ポリアミド12(宇部興産社株式会製、UBESTA(登録商標)3024U、相対粘度(ηrel)1.99、数平均分子量24,000)
2.数平均分子量Mnと相対粘度[ηrc]との相関式(1)の導出
一般的に、極限粘度[η]と粘度平均分子量Mvとの相関である、マーク・ホーウィンク・桜田の式が知られている。ここで、マーク・ホーウィンク・桜田の式に類似した、相対粘度[ηrc]と数平均分子量Mnとの相関式ηrc=K×Mnαを定義した。
前記ポリアミド12の数平均分子量Mn及び相対粘度(ηrel)を用い、最小二乗法により上記相関式に基づき近似式を求めたところ、ポリアミド12についてK=0.088及びα=0.3088が得られた。すなわち、ポリアミド12について、数平均分子量Mnと相対粘度[ηrc]との相関式(5)を得た。
ηrc=0.088×Mn0.3088 ・・・式(5)
(式中、Mnは数平均分子量であり、ηrcは相対粘度である。)
3.ポリアミド樹脂A~Cの相対粘度[ηrc]の算出
ポリアミド樹脂A~C(ポリアミド12)について、上記(4)により数平均分子量Mn(g/mol)を求めた。こうして得た数平均分子量Mn及び上記相関式(5)により、ポリアミド樹脂A~Cの相対粘度[ηrc]を算出した。
(6)成形性
ポリアミド樹脂A~Cについて、真空熱プレス成形機(東邦マシナリー株式会社製、卓上真空油圧成形機TMB-10)を用い、プレス温度200℃、圧力10MPaGで1分間プレス処理をした後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで5分間冷却プレス処理をして、厚さ100μmの成形体を製造した。このときの成形体の成形状況を以下の基準で判定した。
○:成形体は十分な強度を有し、シート状となった。
×:成形体は脆く、シート状にならなかった。
(7)引張試験
(6)で得られた成形体を長さ30mm×幅4mmの短冊状試験片として打ち抜き、株式会社エー・アンド・デイ製、TENSILON万能試験機RTF-1350を用いて、23℃、相対湿度50%RH、引張速度1mm/分で、引張弾性率及び引張破断点伸びを測定した。
[ポリアミド樹脂の調製]
ポリアミド樹脂Aの調製
70リットルの耐圧容器に、12-アミノドデカン酸(宇部興産株式会社製)19.3kgとステアリン酸715gを仕込み、前記容器内を窒素置換した後、190℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように攪拌した。次いで容器内を0.5MPaGに調圧しながら、250℃まで昇温した。その後、約2時間かけて常圧まで放圧し、0.05MPaGに調整しながら2時間重合した。次いで、530torrまで減圧し、1時間重合を行なった後、常圧に復圧し、反応容器の下部からストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを乾燥して得たポリアミド12(ポリアミド樹脂A)について上記評価を行った。その結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂Bの調製
70リットルの耐圧容器に、12-アミノドデカン酸(宇部興産株式会社製)19.7kgとアジピン酸313gを仕込み、前記容器内を窒素置換した後、190℃まで加熱し、この温度で反応系内が均一な状態になるように撹拌した。次いで230℃まで昇温し0.05MPaGに調整しながら3時間重合した。その後、常圧に復圧し、反応容器の下部からストランドとして抜き出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを減圧乾燥して得たポリアミド12(ポリアミド樹脂B)について上記評価を行った。その結果を表1に示す。
ポリアミド樹脂Cの調製
ポリアミド12(宇部興産株式会社製、UBESTA(登録商標)3014U)22.4g及びステアリン酸1.6gを80ccの耐圧容器に仕込み、充分に窒素置換した後、密閉系で260℃、2時間反応させた。回収した樹脂を、更にガラス試験管に仕込み、窒素を50mL/分で流通させながら、260℃常圧で1時間撹拌し、冷却した後、ガラス試験管を割って得られた樹脂を取出し、カッティングしてペレットを得た。このペレットを乾燥し、真空熱プレス成形機(東邦マシナリー株式会社製、卓上真空油圧成形機TMB-10)を用いて成形したが、脆く、シート状にならなかった。そのため、ポリアミド樹脂Cについては引張試験を行えなかった。ポリアミド樹脂Cの評価結果を表1に示す。
Figure 2023089326000001
[磁性金属粉末]
以下の磁性金属粉末を使用した。
・ストロンチウムフェライト
・フェライト
実施例1
ポリアミド樹脂A 40質量%及びストロンチウムフェライト 60質量%をガラス試験管に仕込み、窒素を50mL/分で流通させながら、200℃常圧で1時間溶融混合した。これを冷却した後、ガラス試験管を割って得られた溶融混練物を取り出し、カッティングしてポリアミド樹脂組成物のペレットを得た。こうして得たペレットを使用して下記評価を行った。その結果を表2に示す。なお、表2中の組成の単位は質量%であり、ポリアミド樹脂及び磁性金属粉末の合計を100質量%とする。
実施例2
ポリアミド樹脂A 20質量%及びフェライト 80質量%からなる混合物に、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]をポリアミド樹脂A 100質量部に対して1質量部加え、さらに混合した。こうした得た混合物を、R-40型ローターを装着し、予め220℃に加熱してある株式会社東洋精機製作所製のブラベンダー型二軸混練機の混練チャンバーに、60rpmの回転数でローターを回しながら少量ずつ投入した。材料の投入開始2分後を混練開始0分とし、混練時間5分後にローターを止め、溶融混練物を取り出し、カッティングしてペレットを得た。こうして得たペレットを使用して下記評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例3、5及び6
ポリアミド樹脂及び磁性金属粉末の種類及び配合割合を表2のように変更した以外は、実施例2と同様にして、実施例3、5及び6のペレットを作製した。こうして得たペレットを使用して下記評価を行った。その結果を表2に示す。
実施例4及び比較例1
ポリアミド樹脂及び磁性金属粉末の種類及び配合割合を表2のように変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4及び比較例1のペレットを作製した。こうして得たペレットを使用して下記評価を行った。その結果を表2に示す。
[評価方法]
(1)フィルム成形性
実施例及び比較例のペレットについて、真空熱プレス成形機(東邦マシナリー株式会社製、卓上真空油圧成形機TMB-10)を用い、プレス温度210℃、圧力10MPaGで3分間プレス処理をした後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで5分間冷却プレス処理をして、厚さ100μmのフィルムを製造した。このときのフィルムの成形状況を以下の基準で判定した。
〇:ペレットは溶融時の流動性が良好であり、フィルムはシート状となり、強度を有した。
×:ペレットは溶融時の流動性が良好であり、フィルムはシート状になったものの、脆く自立膜にならなかった。
(2)曲げ強さ及び曲げ弾性率
実施例及び比較例のペレットについて、真空熱プレス成形機(東邦マシナリー株式会社製、卓上真空油圧成形機TMB-10)を用い、プレス温度220℃、圧力10MPaGで5分間プレス処理した後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで3分間冷却プレス処理をして、試験片寸法:6.8mm×100mm×3.0mmの成形体を得た。こうして得た成形体を試験片として用い、株式会社エー・アンド・デイ製、TENSILON万能試験機RTF-1350を用いて、23℃、相対湿度50%RH、曲げ速度2mm/分で、曲げ強さ及び曲げ弾性率を測定した。曲げ強さ及び曲げ弾性率は、それぞれ40MPa以上及び2GPa以上30GPa未満であれば、良好である。
Figure 2023089326000002
表2から、末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であり、[ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満であるポリアミド樹脂を用いた実施例1~6は、成形性に優れ、得られた成形体の曲げ強さ及び曲げ弾性率に優れることがわかる。また、実施例1~6のポリアミド樹脂組成物は、磁性金属粉末の分散性が改善されているため、成形体とした場合の低分子量成分のブリードアウトの抑制が期待される。
末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であるものの、[ηrel/ηrc]が1.13であるポリアミド樹脂を用いた比較例1は、フィルム成形性に劣り、自立膜にならなかった。そのため、比較例1については曲げ試験を行えなかった。
本発明のポリアミド樹脂組成物は、射出成形、押出成形、プレス成形等による各種成形品の製造に用いることができる。ポリアミド樹脂組成物の成形品は、プラスチック磁石に好適に使用することができる。

Claims (12)

  1. ポリアミド樹脂と磁性金属粉末とを含む、ポリアミド樹脂組成物であって、
    ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が100μeq/g以上であり、[ηrel/ηrc]が0.91超~1.13未満である、ポリアミド樹脂組成物。
    ηrel:JIS K 6920(96%硫酸中、ポリマー濃度10mg/ml、25℃)に準じて測定される相対粘度。
    ηrc:数平均分子量Mnから以下の近似式(1)によって算出される相対粘度。
    ηrc = K × Mnα ・・・式(1)
    (式中、K及びαは、前記ポリアミド樹脂と同種類の少なくとも3つの任意のポリアミド樹脂について、数平均分子量Mn及び相対粘度ηrelを測定し、該測定値がそれぞれ式(1)のMn及びηrcであるとしてフィッティングすることにより決定される定数である。式中、Mnは前記ポリアミド樹脂の数平均分子量であり、末端カルボキシル基濃度(μeq/g)及び末端アミノ基濃度(μeq/g)から算出される。)
  2. ポリアミド樹脂の末端カルボキシル基濃度が125~280μeq/gであり、 [ηrel/ηrc]が0.92~1.12である、請求項1記載のポリアミド樹脂組成物。
  3. ポリアミド樹脂が、脂肪族ホモポリアミド樹脂及び脂肪族共重合ポリアミド樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のポリアミド樹脂組成物。
  4. ポリアミド樹脂が、アミド基1個に対する炭素原子数が6を超える構成単位を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  5. ポリアミド樹脂が、ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド610、ポリアミド6/12共重合体及びポリアミド6/66/12共重合体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1~4のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  6. ポリアミド樹脂の相対粘度ηrelが1.35超である、請求項1~5のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  7. ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が2.0μeq/g未満である、請求項1~6のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  8. ポリアミド樹脂の数平均分子量が2,000~16,000である、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  9. ポリアミド樹脂と磁性金属粉末との合計100質量%に対する磁性金属粉末の含有量が50~98質量%である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物であって、
    前記ポリアミド樹脂について、プレス温度200℃、圧力10MPaGで1分間プレス処理をした後、プレス温度80℃、圧力5MPaGで5分間冷却プレス処理をして得られた長さ30mm、幅4mm、厚さ100μmの成形体が、23℃、相対湿度50%RH、引張速度1mm/分で測定したときに、引張弾性率1,000~1,500MPa、かつ、引張破断点伸び2~300%を有する、ポリアミド樹脂組成物。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載のポリアミド樹脂組成物を含む、成形体。
  12. プラスチック磁石である、請求項11に記載の成形体。
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