JP2023088053A - 紙基材用コーティング剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐水性、耐油性、耐ブロッキング性、及び紙基材表面に対する塗布性に優れた紙基材用コーティング剤を提供する。【解決手段】本実施形態の一態様は、(A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロース及び(B)水性樹脂エマルションを含み、成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である、紙基材用コーティング剤に関する。【選択図】なし

Description

本発明は、紙基材用コーティング剤、およびこれが塗布された紙基材等に関する。
環境問題への配慮から、プラスチック製品の削減が世界的に推奨されている。プラスチック製品は、自然に分解できず、廃棄処理が困難である。また、プラスチックを焼却して廃棄すると、ダイオキシンが発生し、大気汚染を引き起こす可能性がある。さらに、近年、プラスチックごみが海洋に捨てられ、マイクロレベルに分解されて小さなゴミになり、このゴミを海洋中の魚類が食べ、その魚類を人間が食べる可能性が問題視されている。このような背景から、プラスチックから紙基材への置き換えが検討されており、特に食品包装分野では、紙基材を加工して包装材とする手法が以前から用いられてきた。
従来、食品包装用素材には、ラミネート紙及び耐油紙等の加工紙が用いられてきた。これらのラミネート紙及び耐油紙には、食品由来の油分等が染み出して紙の強度が落ちたり、手が汚れたりしないための処理が施されている。
ラミネート紙は、一般的にポリエチレンフィルム等が紙材にラミネートされている。環境意識の高まりから、近年、ラミネート紙をリサイクルすることが要求されている。しかしながら、フィルム部分が障害となり、ラミネート紙を効率良くリサイクルするために特殊な装置が必要であった。
一方、耐油紙にはフッ素系樹脂が耐油剤として使用されることが多い。フッ素系樹脂は、加熱により不活性ガスを発生させること、及びフッ素系樹脂の一部成分が人体に対して蓄積性があること等から、近年では積極的に使用し難い。しかしながら、フッ素系樹脂は、紙基材への塗布量が低くても耐油性を発現することができる。フッ素系樹脂を用いないことは価格面で不利となることに加え、フッ素系樹脂の代替樹脂品を紙材へ塗布する場合、塗布量を増やすことが必要であり、塗工後、耐油紙を巻き取る際、ブロッキングを生じさせることがあった。このため、耐油性とリサイクル適性を両立するために、合成樹脂エマルションを塗工した耐油紙が知られている。
特許文献1,2には、環境問題を考慮し、石油樹脂ではなく、天然由来であるセルロースを用いて製造されたコーティング剤が開示されている。
特許文献1には、セルロースナノファイバーとポリビニルアルコール系樹脂を含む水性分散液であるコーティング剤が開示されている([請求項1]、[0026]~[0033])。そして、特許文献1には、この水性分散液を紙基材へ塗布された紙製バリア材料が記載されている([0008])。
特許文献2には、天然由来の微細セルロースにカルボキシル基が導入された微細セルロースの分散液がコーティング剤として開示されている([請求項1]、[0054]、[0034]~[0043])。また、分散液が塗布される基材は、環境面を考慮すると、紙や生分解性プラスチックが好ましいことが記載されている([0069])。
国際公開第2011/040547号 国際公開第2011/111612号
特許文献1および2に記載の水系分散型組成物は、ガスバリア性には優れてはいるが、耐油性、耐ブロッキング性については、高い基準を完全に満足させているとは言い難かった。
さらに、近年、食品を包装する紙基材について、様々な性能が要求されるようになってきた。例えば、紙基材には表面に凹凸があるので、水系分散型組成物をコーティング剤として紙基材表面へ直接塗工する場合、紙基材の凹凸面に対する塗布性に優れることがコーティング剤には要求される。また、紙基材が紙コップとして利用される場合、紙コップには耐水性や折り曲げ時の耐油性が要求される。水系分散型組成物をプライマーとして用いる場合、プライマーは、紙コップの上記性能を助長するものでなければならない。
本発明の一態様は、上記課題を解決するためになされたものであり、食品業界で要求されるレベルを満たす、耐水性、耐油性、耐ブロッキング性、及び紙基材表面に対する塗布性に優れたコーティング剤を提供することを目的とする。また、本発明の一態様は、該コーティング剤が塗布され、折り曲げ時の耐油性に優れた紙基材およびこれを含む紙製品を提供することを目的とする。
本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、水性樹脂エマルションと、平均粒子径が特定範囲のセルロースを一定の割合で配合すると、耐水性、耐油性、耐ブロッキング性、表面塗工性に優れた紙基材用コーティング剤が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明及び本発明の好ましい態様は以下のとおりである。
1.(A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロース及び(B)水性樹脂エマルションを含み、
成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である、紙基材用コーティング剤。
2.(B)水性樹脂エマルションがカルボン酸エステル重合体に由来する化学構造を有する水性樹脂を含む、上記1に記載の紙基材用コーティング剤。
3.(B)水性樹脂エマルションがエチレン/エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル共重合体エマルションを含む、上記1または2に記載の紙基材用コーティング剤。
4.(B)水性樹脂エマルションがエチレン/酢酸ビニル共重合体のエマルションを含む、上記1~3のいずれかに記載の紙基材用コーティング剤。
5.さらに、(C)デンプンを含み、上記1~4のいずれかに記載の紙基材用コーティング剤。
6.基材表面に塗布される下塗り剤として使用される上記1~5のいずれかに記載の紙基材用コーティング剤。
7.上記1~6のいずれかに記載の紙基材用コーティング剤が表面に塗布された紙基材。
8.上記7に記載の紙基材を有する紙製品。
9.(A)平均繊維長が15μm~40μmのセルロース及び(B)水性樹脂エマルションを含み、
成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である、紙基材用コーティング剤。
10.(A)平均繊維径が10μm~30μmのセルロース及び(B)水性樹脂エマルションを含み、
成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である、紙基材用コーティング剤。
本実施形態の一態様によると、耐油性、耐ブロッキング性、表面塗工性(紙基材の表面に対する塗布性)及び耐水性に優れる紙基材用コーティング剤を提供することができる。
本発明の紙基材用コーティング剤(単に「コーティング剤」とも記載する)の一態様は、(A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロース(「成分(A)」または「(A)セルロース」とも記載)及び(B)水性樹脂エマルション(「成分(B)」とも記載)を含み、成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である。本実施形態の紙基材用コーティング剤は、耐油性、耐ブロッキング性、表面塗工性及び耐水性に優れる。以下、各成分について説明する。
<(A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロース>
本明細書において、セルロース(cellulose)とは、多数のβ-グルコース分子がグリコシド結合により直鎖状に重合した天然高分子化合物の一種のことをいう。セルロースは、植物の細胞壁及び繊維の主成分であり、地球上で最も多く存在する炭水化物(多糖類)である。
本発明のコーティング剤は、(A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロースを含む。(A)セルロースは、微細な粒子であり、形状は特に限定されず、球状粒子(アスペクト比(長径/短径)が好ましくは1~1.1)であってもよいし、繊維状粒子(アスペクト比(繊維長/繊維径)が好ましくは1.1より大)であってもよい。球状粒子は真球形状であっても略球形状であってもよい。(A)セルロースの平均粒子径は、一態様において、5μm~35μmであることが好ましく、6μm~35μmであることがより好ましく、6μm~12μmであることが望ましい。本実施形態において、(A)セルロースは、上記サイズを有することから、いわゆるマイクロセルロースであり、セルロースナノファイバー(CNF)とは異なる。(A)セルロースの平均粒子径が該範囲内にあることによって、本発明の紙基材用コーティング剤は、耐水性および表面塗工性が著しく向上し、耐油性と耐ブロッキング性のバランスにより優れたものとなる。
本実施形態において、セルロースの粒子径は、セルロースの表面の任意の2点間距離の最大値のことを意味する。すなわち、セルロースが球状粒子の場合の平均粒子径はその直径に基づく値を意味し、セルロースが繊維状粒子の場合の平均粒子径は平均繊維長に基づく値を意味する。なお、(A)セルロースの繊維長は繊維の長さ方向の寸法であり、繊維径は長さ方向と直交する方向の寸法である。
セルロース粒子が球状のときは、走査型電子顕微鏡(SEM)、原子間力顕微鏡(AFM)、またはレーザ回折式粒度分布測定装置を用いて平均粒子径を測定することができ、一態様においてレーザ回折式粒度分布測定装置を用いるのが好ましい。セルロース粒子が繊維状のときは、走査型電子顕微鏡(SEM)または原子間力顕微鏡(AFM)を用いて測定するのが好ましく、レーザ回折式粒度分布測定装置を用いての測定は難しい場合がある。SEMまたはAFMを用いて測定する場合は、例えば、少なくとも100個のセルロースについての最大長(必要に応じて繊維長および繊維径)を計測してその平均値を算出する。
(A)セルロースの市販品として、例えば、レッテンマイヤージャパン株式会社のARBOCEL UFC100(平均粒子径の規格値:6~12μm)、ARBOCEL BE600-10(平均繊維長18μm、平均繊維径15μm)、ARBOCEL BE600-30(平均繊維長30μm、平均繊維径18μm)が挙げられる。
ARBOCEL UFC100は形状が球体に非常に近いので、平均粒子径の測定をレーザ回折式粒度分布測定装置で容易に行うことができる。ARBOCEL BE600-10及びARBOCEL BE600-30は、繊維の縦横サイズが大きく異なるので、本明細書においては、上記平均繊維長を平均粒子径として記載する。すなわち、ARBOCEL BE600-10の平均粒子径は18μmであり、ARBOCEL BE600-30の平均粒子径は30μmである。
本発明の一態様において、(A)セルロースが繊維状である場合、平均繊維長が好ましくは15~40μmであり、及び/又は、繊維径が好ましくは10~30μmである。(A)セルロースの平均繊維長および平均繊維径が上記範囲にあると、本発明の紙基材用コーティング剤は、耐水性および表面塗工が著しく向上し、耐油性と耐ブロッキング性のバランスにより優れたものとなる。
本発明のコーティング剤において、(A)セルロースは、水性媒体に分散され、セルロース繊維分散液として使用される。(A)セルロースが分散液として使用されることで、コーティング剤は耐水性と耐油性のバランスにより優れたものとなる。
<(B)水性樹脂エマルション>
本発明の実施形態において、「(B)水性樹脂エマルション」は、水性樹脂が水性媒体中に分散している水性分散液のことをいい、水性樹脂と水性媒体とを含む。「水性樹脂エマルション」という記載と、「水性樹脂」という記載は区別する。
本明細書において、水性樹脂とは、水性媒体に分散可能な高分子をいう。「水性媒体」とは、水道水、蒸留水又はイオン交換水等の一般的な水をいうが、水溶性又は水に分散可能な有機溶剤であって、本発明に関する樹脂の原料(単量体等)と反応性の乏しい有機溶剤、例えば、アセトン、酢酸エチル等を含んでもよい。(B)水性樹脂エマルションは、さらに水溶性又は水に分散可能な単量体、オリゴマー、プレポリマー及び/又は水溶性樹脂等を含んでもよく、また水性樹脂エマルションを製造する際に通常使用される、乳化剤、重合性乳化剤、重合反応開始剤、鎖延長剤及び/又は各種添加剤等を含んでもよい。
本発明の紙基材用コーティング剤は、(B)水性樹脂エマルションを含むことで、耐水性、耐油性及び折り曲げ時の耐油性に優れたものとなる。
水性樹脂は、重合性不飽和単量体(b)が重合されることで得られる。本実施形態において「重合性不飽和単量体」とは、エチレン性二重結合を有するラジカル重合性単量体のことをいう。「エチレン性二重結合」とは、重合反応(ラジカル重合)し得る炭素原子間二重結合のことをいう。そのようなエチレン性二重結合を有する官能基として、例えば、ビニル基(CH=CH-)、(メタ)アリル基(CH=CH-CH-及びCH=C(CH)-CH-)、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH=CH-COO-及びCH=C(CH)-COO-)、(メタ)アクリロイルオキシアルキル基(CH=CH-COO-R-及びCH=C(CH)-COO-R-)並びに-COO-CH=CH-COO-等を例示できる。重合性不飽和単量体(b)は、1種の単量体であってもよいし、2種以上の単量体を組み合わせてもよい。
本発明の一態様において、(B)水性樹脂エマルションを構成する水性樹脂は、カルボン酸エステル重合体に由来する化学構造を有するのが好ましい。
「カルボン酸エステル重合体に由来する化学構造」とは、エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステルの重合体(単独重合体、共重合体を問わない)、およびその重合体のあらゆる変性体を含む化学構造を意味する。「カルボン酸エステル重合体」は、エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル(b1)を含む重合性不飽和単量体(b)が重合されることで得られる。
本明細書において、「エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル(b1)」(単に「カルボン酸エステル(b1)」とも記載する)として、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、及び(メタ)アクリル酸2-エチルへキシル等の(メタ)アクリル酸エステル等;
酢酸ビニル等のカルボン酸ビニル等;
酢酸アリル等のカルボン酸アリル等;
を例示することができる。尚、本明細書では、(メタ)アクリル酸エステルとは、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステルの双方を表す。
本発明において、「エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル(b1)」は、メタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、酢酸ビニルが好ましく、特に酢酸ビニルであることが望ましい。(B)水性樹脂エマルションが酢酸ビニルに由来する化学構造を含むと、本発明の紙基材用コーティング剤は、耐油性、耐ブロッキング性、表面塗工性、耐水性のバランスに優れたものとなる。
本実施形態において、カルボン酸エステル重合体は、エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル(b1)とエチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル以外の重合性不飽和単量体(b2)(「その他の単量体(b2)」とも記載)との共重合体であってもよい。
その他の単量体(b2)としては、特に限定されないが、例えば、エチレン、プロピレン等のオレフィン、スチレン、ビニルアルコール等が挙げられる。
本発明の実施形態において、(B)水性樹脂エマルションは、エチレンとエチレン性二重結合を有するカルボン酸エステルとの共重合体を含むエマルション(「エチレン/エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル共重合体エマルション」とも記載)を含むのが好ましく、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルションを含むのがより好ましい。
(B)水性樹脂エマルションがエチレン/酢酸ビニル共重合体エマルションを含むことにより、本発明の紙基材用コーティング剤は、表面塗工性を高いレベルで維持することができる。
(B)水性樹脂エマルションの固形分濃度は、特に限定されないが、5~70質量%であることが好ましい。なお、エマルションの固形分とは、エマルションを105℃で3時間乾燥して得られる固形分のことをいう。
(B)水性樹脂エマルションは、例えば、1種類または複数種類の(b)重合性不飽和単量体(モノマー)を乳化重合させて得ることができる。乳化重合は、水又は水性媒体を媒体とし、乳化剤を用いるラジカル重合であり、公知の方法を用いることができる。
乳化剤は、重合中又は重合後はポリマー粒子の表面に固定化して粒子の分散安定性を図る。乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等を例示できる。また、耐水性、耐アルカリ性、及び防水性の向上のために乳化剤の一分子内にラジカル重合可能な二重結合を有する「反応性界面活性剤」を使用してもよい。
(B)水性樹脂エマルションとして市販のものを使用してもよい。本発明における(B)水性樹脂エマルションの市販品として、
Wacker Chemicals Korea Inc製のVINNAPAS EP707K(商品名)、VINNAPAS EP705K(商品名);
住友化学社製のスミカフレックス 408HQE(商品名)等のエチレン酢酸ビニル共重合体エマルション;
ヘンケルジャパン社製の225-1025(商品名)等の酢酸ビニルエマルション;
等が挙げられる。
本発明のコーティング剤において、成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量は20質量部より高く、50質量部未満であり、好ましくは22質量部以上48質量部以下である。
本発明の紙基材用コーティング剤は、成分(A)及び成分(B)の配合割合が上記範囲内であることによって、耐油性と耐ブロッキング性の双方に優れたものとなる。成分(A)の配合量が少なすぎるとコーティング剤の耐ブロッキング性が低下し、成分(A)の配合量が多すぎるとコーティング剤の耐油性が低下してしまう。
本実施形態において、コーティング剤の総質量(溶媒を除く)100質量部に対する、成分(A)と成分(B)の固形分との合計含有量は、特に限定されないが、好ましくは90質量部以上、より好ましくは95質量部以上であり、100質量部であってもよい。
本発明の紙基材用コーティング剤は、成分(A)及び(B)に加え、(C)デンプン(「成分(C)」とも記載)を含んでもよい。(C)デンプンはコーティング剤の粘度を上昇させ、本発明の紙基材用コーティング剤の貯蔵安定性を向上させる作用を持つ。
デンプンは本発明が目的とするコーティング剤を得られる限り、特に制限されるものではなく、変性デンプンであってもよい。デンプンとしては、例えば、とうもろこしデンプン、タピオカデンプン、ばれいしょデンプン、かんしょデンプン、小麦デンプン、米デンプン等の天然デンプン;及び上述の天然デンプンが加工されて得られる、エーテル化デンプン、エステル化デンプン、架橋デンプン、グラフト化デンプン、酸化デンプン、酸分解デンプン、デキストリン等の加工デンプン等が挙げられる。
成分(A)および成分(B)の固形分の総量100質量部に対する成分(C)の配合量は、0質量部であってもよいが、好ましくは0.3質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上であり、また、好ましくは5質量部以下、より好ましくは4質量部以下である。
本発明の実施形態の紙基材用コーティング剤は、成分(A)および成分(B)を含み、場合によって成分(C)を含むが、添加剤として、更に、架橋剤、粘性調整剤、可塑剤、消泡剤、防腐剤、着色剤等を含んでもよい。
架橋剤として、例えば、酢酸亜鉛、酸化亜鉛、酢酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム等が例示できる。これらの架橋剤は、単独で又は組み合わせて使用することができる。
粘性調整剤として、例えば、尿素、尿素化合物、ジシアンジアミド等の窒素含有物質、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸水素2アンモニウム、硼砂、フッ化ナトリウム、水ガラス、アンモニア水等を例示できる。
可塑剤として、例えば、グリセリン;エチレングリコール、プロピレングリコール等の多価アルコール類;ショ糖、ソルビトール等の糖類;セロソルブ類等の有機溶剤類等を例示できる。
消泡剤として、例えば、
ジメチルポリシロキサン、ポリオキシアルキレン変性シリコーン、有機変性ポリシロキサン、フッ素シリコーン等のシリコーン系消泡剤;
ヒマシ油、ゴマ油、アマニ油、動植物油等の油脂系消泡剤;
ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸等の脂肪酸系消泡剤;
イソアミルステアリン酸、ジグリコールラウリン酸、ジステアリルコハク酸、ジステアリン酸、ソルビタンモノラウリン酸、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ブチルステアレート、ショ糖脂肪酸エステル、スルホン化リチノール酸のエチル酢酸アルキルエステル、天然ワックス等の脂肪酸エステル系消泡剤;
ポリオキシアルキレングリコールとその誘導体、ポリオキシアルキレンアルコール水和物、ジアミルフェノキシエタノール、3-ヘプタノール、2-エチルヘキサノール等のアルコール系消泡剤;
3-ヘプチルセルソルブ、ノニルセルソルブ-3-ヘプチルカルビトール等のエーテル系消泡剤;
トリブチルホスフェート、オクチルリン酸ナトリウム、トリス(ブトキシエチル)ホスフェート等のリン酸エステル系消泡剤;
ジアミルアミン等のアミン系消泡剤;
ポリアルキレンアマイド、アシレイトポリアミン、ジオクタデカノイルピペリジン等のアマイド系消泡剤;
ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、オレイン酸カリウム、ウールオレインのカルシウム塩等の金属石鹸系消泡剤;
ラウリルスルホン酸ナトリウム、ドデシルスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸エステル系消泡剤等を例示することができる。
これら添加剤は、(B)水性樹脂エマルションの合成後に配合されてもよく、(B)水性エマルション樹脂の原料であるモノマーと共に配合されてもよく、エマルション形態のコーティング剤(成分(A)と成分(B)との混合物)に加えられてもよい。なお、本明細書の配合量に関する記載において、成分(B)の固形分には、デンプン、消泡剤、防腐剤等の添加剤は含まれないものとする。
本実施形態のコーティング剤は、成分(A)および成分(B)に加えて、必要に応じて他の成分を混合して製造することができ、混合する際加熱してもよい。各成分を加える順序、加熱方法、撹拌方法等は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
本発明の紙基材用コーティング剤は、食品包装等に利用される紙基材の表面に塗布され得る。本発明の実施形態のコーティング剤は耐水性、耐油性、表面塗工性、及び耐ブロッキング性に優れている。
本発明の紙基材用コーティング剤は、紙基材表面に直接塗布されるものであり、一液型コーティング剤としても、二液型コーティング剤の下塗り剤(プライマー)としても使用可能である。
本発明の紙基材用コーティング剤をプライマーとして使用する場合、上塗り剤(トップコート)も水性樹脂エマルションであることが好ましい。トップコートの組成は、本発明の目的を達成できるものであれば、特別な組成に限定する必要はない。
本発明のコーティング剤を紙基材上に塗布する方法としては、通常の塗工方法を用いればよい。例えば、本発明のコーティング剤を、テーブルコーター、バーコーター、2ロールサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ブレードメタリングコーター、ロッドメタリングコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、ロールコーター、ブラッシュコーター、キスコーター、スクイズコーター、カーテンコーター、ダイコーター、グラビアコーター、ディップコーター等の公知の塗工機を用いて紙基材上に塗布し、乾燥する。
コーティング剤の紙基材上への塗工量は、特に限定はされないが、固形分(乾燥質量)として例えば5~100g/mであるのが好ましく、5~50g/mであるのがより好ましく、10~20g/mであるのが特に好ましい。ここで、コーティング剤の固形分とは、コーティング剤を105℃で3時間乾燥して得られる固形分のことをいう。
本発明の一態様は上記紙基材用コーティング剤が表面に塗布された紙基材に関する。本発明の紙基材は、水分および油分に強く、紙基材が折り曲げられても、塗膜が破壊されず、耐油性の低下を抑制できる。よって、本発明の紙基材は、食品包装容器として好適に利用されうる。
本発明の一態様は、上記紙基材用コーティング剤を有する紙基材に関する。紙基材としては、特に限定されないが、広葉樹クラフトパルプ、針葉樹クラフトパルプ等の化学パルプ、GP(砕木パルプ)、RGP(リファイナーグランドパルプ)、TMP(サーモメカニカルパルプ)等の機械パルプ等を抄紙して得られる公知の紙または合成紙を用いることができる。また、上記紙基材としては、上質紙、中質紙、アルカリ性紙、グラシン紙、セミグラシン紙、または段ボール用、建材用、白ボール用、チップボール用等に用いられる板紙、白板紙等も用いることができる。なお、紙基材中には、有機および無機の顔料、並びに紙力増強剤、サイズ剤、歩留まり向上剤等の抄紙補助薬品が含まれてもよい。
本発明の一態様は、上記コーティング剤が表面に塗布された紙基材を有する紙製品に関する。本発明の実施形態の紙製品は、耐水性にも優れているので、食品包装容器だけでなく、紙製ストロー、トイレットペーパー、及び紙コップ等にも利用可能である。本発明の紙製品は、上記紙基材を有しているので、形状が折り曲げられても、耐油性および耐水性が低下することがなく、様々な用途に利用でき、特に、食品包装に好適である。
以下、本発明を実施例及び比較例により具体的かつ詳細に説明するが、これらの実施例は本発明の一態様にすぎず、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。尚、実施例の記載において、特に記載がない限り、溶媒を考慮しない部分を、質量部及び質量%の基準としている。
表2及び表3に記載した割合で成分(A)~(E)を用い、実施例1~15及び比較例1~8の紙基材用コーティング剤を製造した。表2および表3の配合量に関する数値は固形分の比率を表し、単位は質量部である。成分(A)~(E)の詳細を以下に示す。
(A)セルロース
(A1)セルロース繊維(ARBOCEL UFC100(商品名) 平均粒子径10μm(規格値:6~12μm) レッテンマイヤージャパン株式会社製)
(A2)セルロース繊維(ARBOCEL BE600-10(商品名) 平均繊維長(平均粒子径)18μm、平均繊維径15μm レッテンマイヤージャパン株式会社製)
(A3)セルロース繊維(ARBOCEL BE600-30(商品名) 平均繊維長(平均粒子径)30μm 平均繊維径18μm レッテンマイヤージャパン株式会社製)
(A’4)セルロース繊維(Vivapur 101(商品名) 平均粒子径50μm レッテンマイヤージャパン株式会社製)
(A’5)セルロース繊維(レオクリスタ I2SX(商品名) 平均粒子径3nm 第一工業製薬株式会社製)
(B)水性樹脂エマルション
(B1)エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルション(VINNAPAS EP707K(商品名) Wacker Chemicals Korea Inc製)
(B2)エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルション(VINNAPAS EP705K(商品名) Wacker Chemicals Korea Inc製)
(B3)エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)エマルション(スミカフレックス 408HQE(商品名) 住友化学社製)
(B4)酢酸ビニルエマルション(225-1025(商品名) ヘンケルジャパン株式会社製)
(B’5)アクリル酸樹脂(Solurly 840(商品名) ハンファ Q セルズジャパン株式会社製)
(C)デンプン
(C1)変性デンプン(SDRN2(商品名) 日澱化学株式会社製)
(C2)変性デンプン(パイオスターチ(商品名) 日澱化学株式会社製)
(D)消泡剤
(D1)シリコーン系消泡剤(KM72GS(商品名) 信越化学工業株式会社)
(E)防腐剤
(E1)ACTICIDE MB(ソー・ジャパン株式会社)
<実施例1のコーティング剤の製造>
攪拌翼、温度計及び還流冷却器を備えた3つ口フラスコ内に、60質量部の蒸留水を加え、表2に示されるように、75質量部の(B1)、1質量部の(C1)を加えた。3つ口フラスコ内を攪拌しながら、液温を80℃に保った。そこへ25質量部の(A1)をゆっくりと加え、均一になるように2時間攪拌しながら液温を80℃に保った。
3つ口フラスコ内で、(A1)、(B1)および(C1)が水中に均一に分散していることを確認し、この水性樹脂分散体(水性樹脂エマルション)を冷却した。その後、(D1)および(E1)を滴下し、コーティング剤を調製した。
<実施例2~15及び比較例1~7のコーティング剤の製造>
各成分を、表2,3に示すように変えた以外、実施例1の方法と同様の方法を用いて、実施例2~15及び比較例1~7のコーティング剤を製造した。得られたコーティング剤の試験結果を表2及び表3に示す。
<比較例8のコーティング剤の製造>
攪拌翼、温度計及び還流冷却器を備えた3つ口フラスコ内に、180質量部の蒸留水、20質量部の25%アンモニア水、60質量部の(B’5)、1質量部の(C1)を加えた。3つ口フラスコ内を攪拌しながら、液温を80℃に保った。(B’5)が水性媒体に完全に溶解したことを確認した後、40質量部の(A1)をゆっくりと加え、各成分が均一に混合するように2時間攪拌しながら、液温を80℃に保った。
3つ口フラスコ内の水性媒体中で、(A1)と(C1)が水性媒体中に均一に分散し、(B’5)が溶解していることを確認し、この水性樹脂分散体(水性エマルション)を冷却した。その後、(D1)及び(E1)を滴下し、コーティング剤を調製した。
実施例1~15及び比較例1~8のコーティング剤を紙基材へ塗布し、コーティング剤の耐油性、耐ブロッキング性、表面塗工性、耐水性、紙基材折り曲げ時の耐油性を評価した。評価試験の詳細は以下のとおりである。
<耐油性試験>
TAPPI T559cm-12法に準じた下記の方法でキット試験を行った。
テーブルコーターを用いて各々のコーティング剤を一般上質紙上に塗工し、各々の試験体を調製した。試験には、表1に示す割合で、ひまし油、トルエンおよびn-ヘプタンを混合した試験溶液を用いた。試験の結果はキット番号で表し、数字が大きい方が耐油性に優れる。
キット試験は、試験紙の耐油性を短時間(約20秒)で知ることができ、紙の耐油性の評価に広く用いられている。評価結果は、紙の表面の表面張力に対する指標としての意味を持つ。
試験紙を、汚れのない平らな黒色の表面に置き、キット番号12の試験溶液の1滴を13mmの高さから試験紙上に滴下した。滴下した15秒後(接触時間:15秒間)、清潔な吸取り紙で滴下した試験溶液を除去し、試験溶液が接触した試験紙の表面を目視した。表面の色が濃くなっていたら、キット番号11の試験溶液で同様の操作を行い、表面の色が濃くならないキット番号まで、キット番号を順次小さくしながら同様の操作を繰り返した。表面の色が濃くならない最初の(最も大きい)キット番号がコーティング剤の耐油性とする。例えば、耐油性評価がキット番号11とは、キット番号12では色が濃くなるが(染み込みあり)、キット番号11では色が濃くならない(染み込みなし)ことを示す。
Figure 2023088053000001
評価基準は以下のとおりである。
◎・・・キット番号12~7
〇・・・キット番号6~3
△・・・キット番号2
×・・・キット番号1~0
<耐ブロッキング性試験>
一般上質紙上にバーコーターを用いてコーティング剤を塗工量が15g/m(乾燥質量)となるように塗工し、130℃で3分間乾燥させサンプルを作製した。塗工面と非塗工面(裏面)を重ねて合わせ、圧力200N、温度40℃で2時間加圧後、サンプルを取り出した。サンプルを室温で2時間以上静置し、加圧面の180°剥離強度及び剥離状態を観察した。評価基準は以下のとおりである。
◎・・・剥離面が界面剥離(上質紙とコーティングの界面で剥離)であり、かつ、剥離強度が1.0N/25mm以下であった。
〇・・・剥離面が界面剥離であり、かつ剥離強度が1.0N/25mmより高く、1.5N/25mm以下であった。
△・・・剥離面が界面剥離であり、かつ剥離強度1.5N/25mmより高かった。
×・・・剥離面が材料破壊であった(上質紙が破損した)。
<表面塗工性試験>
一般上質紙上にバーコーターを用いてコーティング剤を塗工量が15g/m(乾燥質量)となるように塗工し、130℃で3分間乾燥させサンプルを作製した。サンプルの塗工面を観察し、表面性を指触にて評価した。評価基準は以下のとおりである。
◎・・・指触で凹凸を全く確認できない
〇・・・指触で凹凸を僅かに確認できる
△・・・指触で確認できる凹凸が増えてくる
×・・・指触で凹凸を明確に確認できる
<耐水性試験>
一般上質紙上にバーコーターを用いてコーティング剤を塗工量が15g/m(乾燥質量)となるように塗工し、130℃で3分間乾燥させサンプルを作製した。コーティング剤が乾燥した後、上質紙を直径10cmの円形にカットし、質量を測定した後、内径7cmの上部が解放された円形筒状フラスコにて上質紙の上下を挟み、上部から蒸留水を50ml滴下した状態で、30分静置させた。
その後、蒸留水を取り出し、円形筒から試験体を外し、試験体表面の水滴を除去した状態で質量を測定した。試験前後での試験体の質量変化を計算し、増加分を吸水量と考え、単位面積あたりの吸水量を算出した。評価基準は以下のとおりである。
◎・・・吸水量が50g/m未満である
〇・・・吸水量が50~100g/mである
△・・・吸水量が100g/mより高く、140g/mより小さい
×・・・吸水量が140g以上である
<紙基材折り曲げ時の耐油性試験>
一般上質紙上にバーコーターを用いて水性コーティング剤を塗工量が15g/m(乾燥質量)となるように塗工し、130℃で3分間乾燥させてサンプルを作製した。塗工方向に対して同一方向、垂直方向に折り目をつけ、ローラーで塗工方向に2kgの荷重を掛けた。ローラー掛けは1回のみとした。ひまし油を紙基材の折り曲げ面に数滴滴下し、室温で10分、60℃で30分、サンプルを静置した後、各サンプルに対する油の染み込み状態を確認した。評価基準は以下のとおりである。
◎・・・染み込みなし
〇・・・ピンホールが1~3個発生した。
△・・・ピンホールが4~5個発生した。
×・・・ピンホール6個以上、又は全面的に染み込みが発生した。
各コーティング剤の組成および試験結果を表2、表3に示す。
Figure 2023088053000002
Figure 2023088053000003
表2に示されるように、実施例のコーティング剤は、評価試験の結果が◎、または〇であり、各性能のバランスに優れていることが実証された。
表3に示されるように、比較例のコーティング剤は、いずれかの評価試験で×が付いている。比較例1~4のコーティング剤は(A)セルロースの配合量が低すぎるので、耐ブロッキング性に乏しく、比較例5のコーティング剤は(A)セルロースの配合量が高すぎるので耐油性が低くなっている。
比較例6のコーティング剤は(A’4)セルロースの平均粒子径が大き過ぎるために耐油性が低く、比較例7のコーティング剤は(A’5)セルロースの平均粒子径が小さすぎるので耐ブロッキング性が低くなっている。
比較例8のコーティング剤は(B)水性樹脂エマルションを含まず、(B’5)水溶性樹脂を含んでいるため、耐油性および耐水性の双方が低下した。
本発明は、紙表面に塗布されるコーティング剤を提供できる。本実施形態の一態様においては、コーティング剤が紙表面に塗布され、紙製品が製造される。紙製品としては、食品包装容器、紙コップ、及び紙製ストロー等が挙げられる。

Claims (5)

  1. (A)平均粒子径が1μm~40μmのセルロース及び(B)水性樹脂エマルションを含み、
    成分(A)と成分(B)の固形分との総量100質量部に対し、成分(A)の配合量が20質量部より高く、50質量部未満である、紙基材用コーティング剤。
  2. (B)水性樹脂エマルションが、エチレン/エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル共重合体エマルションを含む、請求項1に記載の紙基材用コーティング剤。
  3. エチレン/エチレン性二重結合を有するカルボン酸エステル共重合体エマルションが、エチレン/酢酸ビニル共重合体エマルションを含む、請求項2に記載の紙基材用コーティング剤。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の紙基材用コーティング剤が表面に塗布された紙基材。
  5. 請求項4に記載の紙基材を有する紙製品。

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