JP2023077708A - 放電イオン化検出器およびガスクロマトグラフ分析装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電イオン化検出器および放電イオン化検出器を利用するガスクロマトグラフ分析装置において、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化を低減するための技術を提供する。【解決手段】分取液体クロマトグラフは、放電イオン化検出器10を含む。放電イオン化検出器10では、開口126Xを介して、電荷収集部120に試料ガスが供給される。誘電体管111と開口126Xとの間には、誘電体管111に対して開口126Xの少なくとも一部を遮蔽する遮蔽板190が配置される。【選択図】図1
Description
本発明は、放電イオン化検出器およびガスクロマトグラフ分析装置に関する。
ガスクロマトグラフ(GC)用の微量ガス検出器として、放電イオン化検出器(BID:dielectric Barrier discharge Ionization Detector)が利用されている。放電イオン化検出器(BID)には、電極表面が誘電体で覆われた誘電体バリア放電が利用される(たとえば、特許文献1参照)。放電イオン化検出器では、試料ガス中の試料成分が励起光によってイオン化され、試料検出用の電極によって生成された電界によってイオン化された試料成分が当該電極に収集され、そして、当該電極間に流れる電流値に基づいて試料成分の量が検出される。
放電イオン化検出器において、試料成分の濃度の変化によらず感度(検出値/試料成分の濃度)を一定にするための技術が求められている。
本発明の目的は、放電イオン化検出器および放電イオン化検出器を利用するガスクロマトグラフ分析装置において安定した感度を得るための技術を提供することである。
本開示のある局面に従う放電イオン化検出器は、放電用ガスが流通するガス流路の少なくとも一部を構成し、管軸方向に延びる誘電体管と、前記誘電体管の外壁に設けられた高圧電極と、電気的に接地され、前記誘電体管の外壁に設けられた接地電極ユニットと、前記高圧電極に接続され、前記誘電体管内で放電を発生させて前記放電用ガスからプラズマを生成するために、前記高圧電極と前記接地電極ユニットとの間に交流電圧を印加する電圧印加部と、前記プラズマから発せられた光によって試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極を含む電荷収集部とを備え、前記電荷収集部は、前記試料ガスを前記ガス流路へ導入する開口を含み、前記誘電体管と前記開口との間に位置し、前記誘電体管に対して前記開口の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部をさらに備える。
本開示のある局面に従うガスクロマトグラフ分析装置は、前記放電イオン化検出器と、前記試料ガス中の試料成分を成分ごとに分離する分析カラムとを備え、前記分析カラムで分離された試料成分を前記放電イオン化検出器の前記ガス流路に導入する。
本開示のある局面に従うと、放電イオン化検出器および放電イオン化検出器を利用するガスクロマトグラフ分析装置において、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化が低減される。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
[1.ガスクロマトグラフ分析装置の構成]
図1は、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ分析装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、ガスクロマトグラフ分析装置は、放電イオン化検出器10と、試料導入部34と、分析カラム36とを含む。
図1は、本実施の形態に係るガスクロマトグラフ分析装置の構成の一例を示す図である。図1に示すように、ガスクロマトグラフ分析装置は、放電イオン化検出器10と、試料導入部34と、分析カラム36とを含む。
ガスクロマトグラフ分析装置は、キャリアガスによって試料を試料導入部34に搬送した後に、分析カラム36に試料を搬送する。分析カラム36は、試料ガス中の試料成分を成分ごとに分離する。そして、ガスクロマトグラフ分析装置は、分析カラム36で分離された試料成分を放電イオン化検出器10のガス流路に導入する。
放電イオン化検出器10は、試料成分を検出するための検出器である。放電イオン化検出器10は、誘電体管111と、高圧電極112と、接地電極113と、接地電極114と、電圧印加部115と、制御部22と、光源23とを備える。一実現例では、誘電体管111は円筒形状を有する。電圧印加部115は、励起用の高圧交流電力の電源として機能する。接地電極113と接地電極114とは、誘電体管の管軸方向に互いに離間して配置され、接地電極ユニットを構成する。
誘電体管111は、放電用ガス(「プラズマ生成ガス」とも称する)が流通するガス流路を成し、管軸方向に延びる。プラズマ生成ガスは、たとえば、ヘリウム(He)、アルゴン(Ar)、窒素(N2)、ネオン(Ne)、キセノン(Xe)のいずれか1つ、またはそれらの混合ガスを用いればよい。以下では、説明の便宜上、誘電体管111内におけるガスの流通方向(図1中の下向きの矢印で示す方向)における上流側を「上」、下流側を「下」として上下方向を定義する。ただし、これらの定義は便宜上のものであって、これによりBIDの使用時の方向が限定されるものではない。
誘電体管111の外壁面には、上述のガスの流通方向に沿って、例えばSUSや銅などの導電体からなる環状の電極(高圧電極112、接地電極113、および、接地電極114)が周設されている。高圧電極112、接地電極113、および、接地電極114は、総称されて「プラズマ生成用電極」とも称される場合がある。
高圧電極112は、電圧印加部115に接続され、誘電体管111の外壁に設けられている。接地電極113および接地電極114は、電気的に接地され、誘電体管111の外壁に設けられている。高圧電極112は、接地電極113と接地電極114との間に設けられている。
電圧印加部115は、高圧電極112と、接地電極113および接地電極114との間に、交流電圧を印加する。これにより、誘電体管111内で放電が発生し、プラズマ生成ガスからプラズマが生成される。電圧印加部115は、周波数が1kHz~100kHzの範囲、更に好ましくは5kHz~30kHz程度(低周波数)で、電圧が5kV~10kV程度である、高圧交流電圧を発生する。なお、交流電圧の波形形状は、正弦波、矩形波、三角波、鋸歯状などのいずれでもよい。
本明細書では、図1中で接地電極114の下端よりも上側の領域を放電部110と称し、接地電極114の下端よりも下側の領域を電荷収集部120と称する。放電用ガスは、放電部110および電荷収集部120の双方の内部に到達する可能性がある。この意味において、放電部110および電荷収集部120の双方の内部を、ガス流路と称する。
誘電体管111の上端に設けられた管路先端部材116にはガス供給管116aが接続され、このガス供給管116aを通して、誘電体管111の内部にプラズマ生成ガスが供給される。プラズマ生成ガスは、希釈ガスを兼ねる。プラズマ生成用電極(高圧電極112、接地電極113、および接地電極114)とプラズマ生成ガスとの間には誘電体管111の壁面が存在する。このため、誘電体管111の内部の壁面自体が、プラズマ生成用電極の表面を被覆する誘電体被覆層として機能し、誘電体バリア放電を可能としている。
誘電体管111の下流には、遮蔽板190、接続部材121、バイアス電極122、および収集電極123が、ガスの流通方向に沿って、配置されている。
遮蔽板190は、誘電体管111内のプラズマが発する光が開口126X近傍に到達することを遮るために配置される。遮蔽板190の構造は、図3等を参照して後述される。
接続部材121とバイアス電極122との間には、絶縁体125aが介挿されている。バイアス電極122と収集電極123との間には、絶縁体125bが介挿されている。絶縁体125a,125bは、たとえば、アルミナまたはPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)樹脂などによって構成される。接続部材121、バイアス電極122、収集電極123、および絶縁体125a,125bは、誘電体管111と同一の内径を有する、円筒形状体である。
収集電極123の下流側には、有底円筒形状を有する管路末端部材124が配置されている。収集電極123と管路末端部材124との間には、絶縁体125cが介挿されている。接続部材121、バイアス電極122、収集電極123、管路末端部材124、および絶縁体125a,125b,125cにより形成される内部空間は、誘電体管111の内部空間と連通している。
接続部材121の周面にはバイパス排気管121aが接続されており、管路末端部材124の周面には試料排気管124aが接続されている。バイパス排気管121aからは、プラズマ生成ガスの一部が外部へ排出される。試料排気管124aからは、試料が外部へ排出される。
管路末端部材124の下面には、試料導入管126が挿通されている。試料導入管126は、その先端の開口126Xを通して、電荷収集部120内に試料ガスを供給する。なお、電荷収集部120は、試料ガスの気化状態を保つため、図示しない外部ヒータによって最大450℃程度まで加熱される。
接続部材121は、接地されており、ガス流に乗って移動するプラズマ中の荷電粒子が収集電極123に到達することを防止するための反跳電極として機能する。バイアス電極122は、バイアス直流電源127に接続されている。収集電極123は、電流アンプ128に接続されている。
[2.放電イオン化検出器における試料成分の検出動作]
放電イオン化検出器10における、試料ガスに含まれる試料成分の検出動作を概略的に説明する。
放電イオン化検出器10における、試料ガスに含まれる試料成分の検出動作を概略的に説明する。
図1の上部において右向き矢印で示されるように、ガス供給管116aを通して、誘電体管111に、希釈ガスを兼ねるプラズマ生成ガスが供給される。
プラズマ生成ガスは、誘電体管111内を下向きに流れ、一部はバイパス排気管121aを通して外部に排出され、その残りは希釈ガスとして電荷収集部120内を下向きに流れて試料排気管124aを通して外部に排出される。
一方、試料成分を含む試料ガスは、試料導入管126の開口126Xを通して、電荷収集部120に供給される。開口126Xからは、希釈ガスの流通方向とは逆方向に試料ガスが吐き出されるが、図1中に矢印で示すように、試料ガスはすぐに押し返され、希釈ガスと合流して下方向に進む。
プラズマ生成ガスが誘電体管111中を流通しているときに、電圧印加部115は、高圧交流電圧を高圧電極112と接地電極113との間および高圧電極112と接地電極114との間に印加する。これにより、誘電体管111中で誘電体バリア放電が起こり、プラズマ生成ガスが電離されてプラズマ(大気圧非平衡プラズマ)が発生する。
収集電極123は、プラズマから発せられた光によって試料成分から生成されたイオンを収集する。具体的には、大気圧非平衡プラズマから放出された励起光は、放電部110および電荷収集部120中を通って試料ガスが存在する部位まで到達し、その試料ガス中の試料成分をイオン化する。こうして生成されたイオンは、バイアス電極122に印加されている直流電圧によって形成される電場の作用によって収集電極123に近づくように移動し、収集電極123との間で電子を授受する。
これにより、励起光の作用により生成された試料成分由来のイオンの量(試料成分の量)に応じたイオン電流が電流アンプ128に入力される。電流アンプ128は、当該イオン電流を増幅して、検出信号を出力する。
このようにして、放電イオン化検出器10では、開口126Xを介して導入された試料ガスに含まれる試料成分の量(濃度)に応じた検出信号が出力される。
[3.試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化]
図2は、一般的な放電イオン化検出器における、試料成分の濃度の変化に対する感度の変化の一例を示す図である。図2のグラフでは、横軸は試料成分の濃度を表し、縦軸は感度を表す。感度は、電流アンプ128から出力された検出信号に基づく試料成分の検出量を、試料成分の濃度で除することによって算出される指標である。
図2は、一般的な放電イオン化検出器における、試料成分の濃度の変化に対する感度の変化の一例を示す図である。図2のグラフでは、横軸は試料成分の濃度を表し、縦軸は感度を表す。感度は、電流アンプ128から出力された検出信号に基づく試料成分の検出量を、試料成分の濃度で除することによって算出される指標である。
図2には、一般的な放電イオン化検出器における感度の変化が線L1で示されている。なお、線L2は、感度の理想的な変化を表す。
線L2は、試料成分の濃度に拘わらず、感度が一定であることを示す。一方、線L1は、試料成分の濃度が高くなると感度が低下することを示す。このような感度の低下の一因として、いわゆるランバート則が想定される。
より具体的には、試料成分による励起光の吸収は、ランバート則に従う。そのため、試料成分の濃度が高い領域では、試料成分の量に対する励起光の吸収の割合が低下することが想定される。そのため、試料成分の濃度が高いときに、特に試料成分の濃度が領域、すなわち、開口126X近傍では、試料成分の量に対する励起光の吸収の割合が低下し、これにより、感度が低下することが想定される。
このような課題に対し、本実施の形態の放電イオン化検出器10では、遮蔽板190が配置される。遮蔽板190により、試料成分の濃度の変化に拘わらず、開口126Xに、プラズマからの励起光が照射されることが回避され得る。これにより、放電イオン化検出器10では、試料成分の濃度の変化による感度の変化が低減され得る。
[4.遮蔽板の構造]
図3は、遮蔽板190の構造の一例を示す図である。なお、図1では、遮蔽板190の縦断面が示されている。一方、図3は、遮蔽板190の平面図に相当する。
図3は、遮蔽板190の構造の一例を示す図である。なお、図1では、遮蔽板190の縦断面が示されている。一方、図3は、遮蔽板190の平面図に相当する。
遮蔽板190は、円盤形状を有し、窓190A,190Bを有する。窓190Aと窓190Bの間には、遮蔽部190Cが位置する。窓190A,190Bのそれぞれは、ほぼ長方形状を有する。長辺の長さはD1で示され、短辺の長さはD2で示される。遮蔽部190Cの幅はD3で表される。一実現例では、遮蔽板190はアルミニウム板によって構成される。窓190A,190Bにおいて、長辺の長さD1は、2.4mm程度であり、短辺の長さD2は、1.0mm程度であり、遮蔽部190Cの幅D3は、0.4mm程度である。
図3において、破線の円190Xは、図1に示された状態における開口126Xの位置を表す。遮蔽部190Cは、円190Xの全面をカバーする。より具体的には、放電部110と電荷収集部120の接続部において放電部110側から電荷収集部120を見たときに、遮蔽部190Cは、開口126Xの全面をカバーする形状を有する。開口126Xの径の一例は、0.3mm程度である。
遮蔽板190は、放電部110において発生したプラズマによる励起光を遮蔽する。ただし、励起光は、窓190A,190Bを通過する。すなわち、遮蔽板190は、窓190A,190Bを介して、放電部110で発生したプラズマによる励起光を電荷収集部120へ供給しつつ、遮蔽部190Cによって、プラズマによる励起光が開口126Xに供給されることを抑制する。これにより、プラズマからの励起光が開口126Xに照射されることによる、試料成分の濃度の変化による感度の変化が抑制される。
[5.遮蔽板の変形例]
図4は、遮蔽板190の第1の変形例を表す図である。図4の変形例191は、図3の遮蔽板190の遮蔽部190Cに、当該遮蔽部190Cの幅を増すために、紐状の部材181が巻き付けられている。これにより、変形例191は、開口126Xだけでなく開口126Xの外縁部にも、プラズマからの励起光が照射されることを抑制する。
図4は、遮蔽板190の第1の変形例を表す図である。図4の変形例191は、図3の遮蔽板190の遮蔽部190Cに、当該遮蔽部190Cの幅を増すために、紐状の部材181が巻き付けられている。これにより、変形例191は、開口126Xだけでなく開口126Xの外縁部にも、プラズマからの励起光が照射されることを抑制する。
図5は、遮蔽板190の第2の変形例を表す図である。図5の変形例191は、図3の遮蔽板190の遮蔽部190Cに、当該遮蔽部190Cのさらに幅を増すために、紐状の部材182が巻き付けられている。部材182は、図4の部材181より太い。これにより、変形例192は、開口126Xだけでなく開口126Xの外縁部にも、プラズマからの励起光が照射されることを抑制する。変形例192が励起光の照射を抑制する範囲は、変形例191が励起光の照射を抑制する範囲よりも広い。すなわち、変形例192は、変形例191よりも、開口126Xからより離れた範囲まで、励起光の照射を抑制し得る。
[6.遮蔽板の比較例]
図6は、遮蔽板190の第1の比較例を表す図である。図6の比較例210は、図3の遮蔽板190と同じ外形を有する円盤であって、中央に窓211を有する。窓211の形状は、径R1(0.5mm程度)を有する円である。窓211の径R1は、開口126Xの径より大きい。
図6は、遮蔽板190の第1の比較例を表す図である。図6の比較例210は、図3の遮蔽板190と同じ外形を有する円盤であって、中央に窓211を有する。窓211の形状は、径R1(0.5mm程度)を有する円である。窓211の径R1は、開口126Xの径より大きい。
図6には、図3と同様に、図1に示された状態における開口126Xの位置を表す円190Xが示されている。比較例210は、窓211を介して、開口126Xに、プラズマからの励起光が供給する。
図7は、遮蔽板190の第2の比較例を表す図である。図7の比較例220は、図3の遮蔽板190と同じ外形を有する円盤であって、中央に窓221を有する。窓221の形状は、径R2(1.0mm程度)を有する円である。窓221の径R2は、図6の径R1より大きく、したがって、開口126Xの径より大きい。
図7には、図3と同様に、図1に示された状態における開口126Xの位置を表す円190Xが示されている。比較例220は、窓221を介して、開口126Xに、プラズマからの励起光が供給する。
[7.放電イオン化検出器10における感度]
<遮蔽板の有無>
図8は、放電イオン化検出器10における感度の変化の一例を説明するための図である。図8のグラフは、開口126Xを介して電荷収集部120に導入される試料成分(試料ガス)の量の変化に対する感度の変化を表す。横軸は、試料成分(試料ガス)の導入量を表し、縦軸は、感度を表す。感度は、電流アンプ128から出力された検出信号に基づく試料成分の検出量を、試料成分(試料ガス)の導入量で除することによって算出される。電荷収集部120は一定であるため、電荷収集部120における試料成分の濃度は、開口126Xを介した試料成分の導入量に従う。したがって、上記導入量は、試料成分の濃度に相当する量である。
<遮蔽板の有無>
図8は、放電イオン化検出器10における感度の変化の一例を説明するための図である。図8のグラフは、開口126Xを介して電荷収集部120に導入される試料成分(試料ガス)の量の変化に対する感度の変化を表す。横軸は、試料成分(試料ガス)の導入量を表し、縦軸は、感度を表す。感度は、電流アンプ128から出力された検出信号に基づく試料成分の検出量を、試料成分(試料ガス)の導入量で除することによって算出される。電荷収集部120は一定であるため、電荷収集部120における試料成分の濃度は、開口126Xを介した試料成分の導入量に従う。したがって、上記導入量は、試料成分の濃度に相当する量である。
図8には、次の4種類の例の結果が示されている。
(1)遮蔽板なし
(2)実施例(図3)
(3)変形例(図4)
(4)変形例(図5)
「遮蔽板なし」は、放電イオン化検出器10から遮蔽板190が除去された例を表す。「実施例(図3)」は、図1に示されたように、放電イオン化検出器10に遮蔽板190が設置された例を表す。「変形例(図4)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例191(図4)が設置された例を表す。「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。
(1)遮蔽板なし
(2)実施例(図3)
(3)変形例(図4)
(4)変形例(図5)
「遮蔽板なし」は、放電イオン化検出器10から遮蔽板190が除去された例を表す。「実施例(図3)」は、図1に示されたように、放電イオン化検出器10に遮蔽板190が設置された例を表す。「変形例(図4)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例191(図4)が設置された例を表す。「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。
図8に示されるように、「遮蔽板なし」では、導入量の増加に従って感度が大きく低減している。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度は1350mVsec/ng程度であるのに対し、導入量330ng程度での感度は350mVsec/ng程度である。
一方、「実施例(図3)」では、導入量の増加に従った感度の低減の度合いが「遮蔽板なし」より低くなっている。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度は500mVsec/ng程度であるのに対し、導入量330ng程度での感度は300mVsec/ng程度である。これにより、開口126Xへの励起光の照射が抑制されるこにより、感度の変化が低減されると言える。
また、上記の低減の度合いは、「変形例(図4)」では、「実施例(図3)」よりも低くなっている。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度は250mVsec/ng程度であるのに対し、導入量330ng程度での感度は200mVsec/ng程度である。これにより、開口126Xだけでなく開口126Xの外縁部まで励起光の照射が抑制されると、感度の変化はさらに低減されると言える。
さらに、上記の低減の度合いは、「変形例(図5)」では、「変形例(図4)」よりもさらに低くなっている。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度と導入量330ng程度での感度は、いずれも60mVsec/ng程度である。これにより、励起光の照射の抑制が、開口126Xの外縁部のより広い範囲まで励起光の照射が抑制されると、感度の変化はさらに低減されると言える。
<開口の遮蔽の有無(1)>
図9は、放電イオン化検出器10における感度の変化の他の例を説明するための図である。図9のグラフは、図8のグラフと同様に、開口126Xを介して電荷収集部120に導入される試料成分(試料ガス)の量の変化に対する感度の変化を表す。
図9は、放電イオン化検出器10における感度の変化の他の例を説明するための図である。図9のグラフは、図8のグラフと同様に、開口126Xを介して電荷収集部120に導入される試料成分(試料ガス)の量の変化に対する感度の変化を表す。
図9には、次の3種類の例の結果が示されている。
(1)変形例(図5)
(2)比較例(図6)
(3)比較例(図7)
「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。「比較例(図6)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例210(図6)が設置された例を表す。「比較例(図7)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例220(図7)が設置された例を表す。
(1)変形例(図5)
(2)比較例(図6)
(3)比較例(図7)
「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。「比較例(図6)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例210(図6)が設置された例を表す。「比較例(図7)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例220(図7)が設置された例を表す。
図9に示されるように、「変形例(図5)」では、導入量の増加に伴う感度の変化が小さい。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度と導入量250ng程度での感度は、いずれも60mVsec/ng程度である。
一方、「比較例(図6)」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「変形例(図5)」より大きい。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度は55mVsec/ng程度であるのに対し、導入量250ng程度での感度は35mVsec/ng程度である。すなわち、20mVsec/ng程度変化している。
また、「比較例(図7)」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「比較例(図6)」よりさらに大きい。より具体的には、導入量0.33ng程度での感度は120mVsec/ng程度であるのに対し、導入量250ng程度での感度は60mVsec/ng程度である。すなわち、60mVsec/ng程度変化している。
「変形例(図5)」では、開口126Xが遮蔽されるのに対し、「比較例(図6)」および「比較例(図7)」では、開口126Xは遮蔽されない。したがって、図9に示された結果から、開口126Xが遮蔽されることにより、導入量の変化に伴う感度の変化が小さく抑えられると言える。
さらに、図9に示された結果では、「比較例(図7)」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「比較例(図6)」よりさらに大きい。比較例220の窓221は、比較例210の窓211よりも大きく、比較例220は、比較例210よりも、開口126Xの近傍に多くの励起光を導入する。これにより、開口126Xの近傍により多くの励起光が導入されるほど、導入量の変化に伴う感度の変化が大きくなると言える。換言すれば、開口126Xの近傍に導入される励起光を少なくするほど、導入量の変化に伴う感度の変化が抑えられると言える。
<開口の遮蔽の有無(2)>
図10は、放電イオン化検出器10における感度の変化のさらに他の例を説明するための図である。図10のグラフの横軸は、図8のグラフと同様に、試料成分の導入量を表す。図10のグラフの縦軸は、相対感度を表す。相対感度は、各例において、所与の導入量(3.3ng)に対応する感度として算出される。
図10は、放電イオン化検出器10における感度の変化のさらに他の例を説明するための図である。図10のグラフの横軸は、図8のグラフと同様に、試料成分の導入量を表す。図10のグラフの縦軸は、相対感度を表す。相対感度は、各例において、所与の導入量(3.3ng)に対応する感度として算出される。
図10には、次の3種類の例の結果が示されている。
(1)遮蔽板なし
(2)変形例(図5)
(3)比較例(図6)
「遮蔽板なし」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190が取り除かれた例を表す。「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。「比較例(図6)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例210(図6)が設置された例を表す。
(1)遮蔽板なし
(2)変形例(図5)
(3)比較例(図6)
「遮蔽板なし」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190が取り除かれた例を表す。「変形例(図5)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに変形例192(図5)が設置された例を表す。「比較例(図6)」は、放電イオン化検出器10において、遮蔽板190の代わりに比較例210(図6)が設置された例を表す。
図10に示されるように、「変形例(図5)」では、導入量の増加に伴う感度の変化が小さい。より具体的には、導入量0.33ng程度から導入量330ng程度での相対感度は、いずれも1.0近傍の値を有する。
一方、「比較例(図6)」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「変形例(図5)」より大きい。より具体的には、導入量0.33ng程度での相対感度は1.4程度であるのに対し、導入量330ng程度では相対感度は0.8程度まで低下している。
また、「遮蔽板なし」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「比較例(図6)」よりさらに大きい。より具体的には、導入量0.33ng程度での相対感度は2.4程度であるのに対し、導入量330ng程度では相対感度は0.7程度まで低下している。
「変形例(図5)」では、開口126Xが遮蔽されるのに対し、「比較例(図6)」では、開口126Xは遮蔽されない。したがって、図10に示された結果から、開口126Xが遮蔽されることにより、導入量の変化に伴う感度の変化が小さく抑えられると言える。
さらに、図10に示された結果では、「遮蔽板なし」では、導入量の増加に伴う感度の変化は「比較例(図6)」よりさらに大きい。これにより、開口126Xに励起光が導入されたとしても、開口126Xの近傍に導入される励起光を少なくするほど、導入量の変化に伴う感度の変化が抑えられると言える。
[7.ガスクロマトグラフ分析装置の変形例]
図11は、ガスクロマトグラフ分析装置の構成の他の例を示す図である。図11に示されたガスクロマトグラフ分析装置は、図1に示されたガスクロマトグラフ分析装置に対して、電荷収集部120の構成が相違する。図11には、電荷収集部120の代わりに、電荷収集部120Xが示されている。
図11は、ガスクロマトグラフ分析装置の構成の他の例を示す図である。図11に示されたガスクロマトグラフ分析装置は、図1に示されたガスクロマトグラフ分析装置に対して、電荷収集部120の構成が相違する。図11には、電荷収集部120の代わりに、電荷収集部120Xが示されている。
電荷収集部120Xは、電荷収集部120に比べて、絶縁体125bと収集電極123との間に、ガード電極129および絶縁体125dをさらに含む。ガード電極129は、絶縁体125bと絶縁体125dとの間に介挿されている。絶縁体125dは、ガード電極129と収集電極123との間に介挿されている。
ガード電極129は、接地されている。ガード電極129は、バイアス電極122から絶縁体125bを介して収集電極123へと電流が流れることを回避するために、バイアス電極122と収集電極123との間に配置されている。
ガード電極129が配置されることにより、収集電極123からのイオン電流に、バイアス電極122から絶縁体125bを介して収集電極123へと流れる電流が混入することが確実に回避される。これにより、収集電極123からのイオン電流に基づく検出結果は、正確に試料成分の量を反映する。
[8.その他の変形例]
(1) 遮蔽部190Cは、開口126Xの全面を遮蔽する。しかしながら、放電イオン化検出器10では、開口126Xの少なくとも一部が誘導体管から遮蔽されていれば、全面が遮蔽されていなくてもよい。開口126Xの少なくとも一部が遮蔽されることにより、開口126Xが全く遮蔽されていない場合と比較して、開口126Xに導入される励起光の量が低減される。これにより、試料濃度の変化に従った感度の変化は低減され得る。
(1) 遮蔽部190Cは、開口126Xの全面を遮蔽する。しかしながら、放電イオン化検出器10では、開口126Xの少なくとも一部が誘導体管から遮蔽されていれば、全面が遮蔽されていなくてもよい。開口126Xの少なくとも一部が遮蔽されることにより、開口126Xが全く遮蔽されていない場合と比較して、開口126Xに導入される励起光の量が低減される。これにより、試料濃度の変化に従った感度の変化は低減され得る。
(2) 電荷収集部120には、試料導入管126が挿通され、試料導入管126の開口126Xから試料が導入される。なお、開口126Xは、電荷収集部120の壁面に設けられていても良い。すなわち、試料導入管126が電荷収集部120に挿通されていなくてもよい。
(3) 放電イオン化検出器10では、開口126Xを遮蔽するために、放電部110を構成する要素(誘電体管111等)および電荷収集部120を構成する要素(接続部材121等)とは別体に構成された、遮蔽板190が設置されている。これにより、遮蔽部を有しない既存の放電イオン化検出器に遮蔽板を設置することによって、遮蔽部が追加され得る。しかしながら、開口126Xを遮蔽する部材は、放電部110を構成する要素および電荷収集部120を構成する要素とは別体である必要はない。すなわち、開口126Xは、遮蔽板190を配置することなく、放電部110を構成する要素および/または電荷収集部120を構成する要素の形状を変更することによって遮蔽されてもよい。
[態様]
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
上述した複数の例示的な実施形態は、以下の態様の具体例であることが当業者により理解される。
(第1項) 一態様に係る放電イオン化検出器は、放電用ガスが流通するガス流路の少なくとも一部を構成し、管軸方向に延びる誘電体管と、前記誘電体管の外壁に設けられた高圧電極と、電気的に接地され、前記誘電体管の外壁に設けられた接地電極ユニットと、前記高圧電極に接続され、前記誘電体管内で放電を発生させて前記放電用ガスからプラズマを生成するために、前記高圧電極と前記接地電極ユニットとの間に交流電圧を印加する電圧印加部と、前記プラズマから発せられた光によって試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極、を含む電荷収集部とを備え、前記電荷収集部は、前記試料ガスを前記ガス流路へ導入する開口を含み、前記誘電体管と前記開口との間に位置し、前記誘電体管に対して前記開口の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部をさらに備えていてもよい。
第1項に記載の放電イオン化検出器によれば、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化が低減される。
(第2項) 第1項に記載の放電イオン化検出器において、前記遮蔽部は、前記誘電体管に対して前記開口の全体を遮蔽するように構成されていてもよい。
第2項に記載の放電イオン化検出器によれば、より確実に、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化が低減される。
(第3項) 第1項または第2項に記載の放電イオン化検出器において、前記遮蔽部は、前記誘電体管に対して前記開口の全体およびその外縁部を遮蔽するように構成されていてもよい。
第3項に記載の放電イオン化検出器によれば、より確実に、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化が低減される。
(第4項) 第1項~第3項のいずれか1項に記載の放電イオン化検出器において、前記遮蔽部は、前記誘電体管と前記開口との間に配置される部材を有していてもよい。
第4項に記載の放電イオン化検出器によれば、既存の放電イオン化検出器に部材を追加することによって、遮蔽部が追加され得る。
(第5項) 第4項に記載の放電イオン化検出器において、前記電荷収集部は、前記ガス流路中にイオンの移動を促進させる直流電場を形成するためのバイアス電極と、前記収集電極と前記バイアス電極との間に配置され、接地された、ガード電極と、をさらに含んでいてもよい。
第5項に記載の放電イオン化検出器によれば、検出結果がより正確にイオン化された試料成分の量を示し得る。
(第6項) 一態様に係る分取液体クロマトグラフは、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の放電イオン化検出器と、前記試料ガス中の試料成分を成分ごとに分離する分析カラムと、前記分析カラムで分離された試料成分を前記放電イオン化検出器の前記ガス流路に導入する流路とを備えてもよい。
第6項に記載の分取液体クロマトグラフによれば、試料成分の濃度の変化に伴う感度の変化が低減される。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態中の各技術は、単独でも、また、必要に応じて実施の形態中の他の技術と可能な限り組み合わされても、実施され得ることが意図される。
10 放電イオン化検出器、111 誘電体管、120 電荷収集部、126X 開口、190 遮蔽板。
Claims (6)
- 放電用ガスが流通するガス流路の少なくとも一部を構成し、管軸方向に延びる誘電体管と、
前記誘電体管の外壁に設けられた高圧電極と、
電気的に接地され、前記誘電体管の外壁に設けられた接地電極ユニットと、
前記高圧電極に接続され、前記誘電体管内で放電を発生させて前記放電用ガスからプラズマを生成するために、前記高圧電極と前記接地電極ユニットとの間に交流電圧を印加する電圧印加部と、
前記プラズマから発せられた光によって試料ガス中の試料成分から生成されたイオンを収集する収集電極、を含む電荷収集部とを備え、
前記電荷収集部は、前記試料ガスを前記ガス流路へ導入する開口を含み、
前記誘電体管と前記開口との間に位置し、前記誘電体管に対して前記開口の少なくとも一部を遮蔽する遮蔽部をさらに備える、放電イオン化検出器。 - 前記遮蔽部は、前記誘電体管に対して前記開口の全体を遮蔽するように構成されている、請求項1に記載の放電イオン化検出器。
- 前記遮蔽部は、前記誘電体管に対して前記開口の全体およびその外縁部を遮蔽するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の放電イオン化検出器。
- 前記遮蔽部は、前記誘電体管と前記開口との間に配置される部材を有する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の放電イオン化検出器。
- 前記電荷収集部は、
前記ガス流路中にイオンの移動を促進させる直流電場を形成するためのバイアス電極と、
前記収集電極と前記バイアス電極との間に配置され、接地された、ガード電極と、をさらに含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の放電イオン化検出器。 - 請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の放電イオン化検出器と、
前記試料ガス中の試料成分を成分ごとに分離する分析カラムと、
前記分析カラムで分離された試料成分を前記放電イオン化検出器の前記ガス流路に導入する流路とを備えた、ガスクロマトグラフ分析装置。
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JP2021191099A JP2023077708A (ja) | 2021-11-25 | 2021-11-25 | 放電イオン化検出器およびガスクロマトグラフ分析装置 |
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