JP2023077352A - ゴム手袋製造装置用軸受 - Google Patents

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Abstract

【課題】少なくとも従来の金属製転がり軸受よりも長寿命、かつ、安価なゴム手袋製造装置用軸受を提供する。【解決手段】軸受4は、液状ゴム槽に手袋型を浸漬することにより手袋型にゴム膜を形成してゴム手袋を製造するゴム手袋製造装置に使用され、手袋型を回転自在に支持し、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、モース硬度が3以下の層状鉱物系充填材と、繊維状補強材と、を含む樹脂組成物の射出成形体からなる樹脂すべり軸受である。【選択図】図2

Description

本発明は、ゴム手袋製造装置に用いられる軸受に関する。
従来、ゴム手袋の製造方法およびゴム手袋の製造装置が知られている。
例えば、特許文献1には、手袋模型をゴムラテックス浴中に保持した後、引き上げ、ついで付着したラテックスが乾燥する前に模型をその縦軸のまわりに回転させながら大きなゴム厚を要求される領域にゴムラテックスをさらに追加付与するゴム手袋の製造方法が開示されている。
また、特許文献2および特許文献3には、ゴム手袋の製造工程における手袋型の回転、移動などを行うゴム手袋製造装置が開示されている。
これらのゴム手袋製造装置(以下、「製造装置」と言う場合がある。)の回転部には、手袋型がスムーズに回転できるように軸受が使用される。当該軸受は、軸との接触部の摩擦トルクが低いほどスムーズに回転でき、製造されるゴム手袋の品質に影響しうる。従来、ゴム手袋製造装置に使用される軸受は、一般的な金属製転がり軸受が使用されている。
特公昭55-29814号公報 特開昭48-4148号公報 特開平7-148754号公報
製造装置では、工程中でアルカリ性または酸性の液状ゴム(ラテックス)、洗浄液、熱水などが使用され、さらに工程によっては高温雰囲気となる場合がある。このような環境で金属製転がり軸受を備えた手袋型を長時間使用していると、金属製転がり軸受が腐食し、手袋型の振れ(手袋型の長手方向へ延出する軸に対して直交する方向の振動)が発生する場合がある。このため、金属製転がり軸受では、例えば使用時間が1400時間程度と、比較的短期間で交換が必要となる場合があった。
本発明は、上記の課題を鑑みてなされたものであり、少なくとも従来の金属製転がり軸受よりも長寿命、かつ、安価なゴム手袋製造装置用軸受を提供することを目的とする。
本発明のゴム手袋製造装置用軸受(以下、本発明の軸受ともいう)は、液状ゴム槽に手袋型を浸漬することにより上記手袋型にゴム膜を形成してゴム手袋を製造するゴム手袋製造装置に使用され、上記手袋型を回転自在に支持する軸受であって、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂をベース樹脂とし、モース硬度が3以下の層状鉱物系充填材と、繊維状補強材と、を含む樹脂組成物の射出成形体からなる樹脂すべり軸受であることを特徴とする。
上記樹脂組成物は、上記PPS樹脂100質量部に対し、上記層状鉱物系充填材を40~60質量部、上記繊維状補強材を30~50質量部含むことを特徴とする。
上記樹脂組成物は、上記PPS樹脂100質量部に対し、さらに固体潤滑剤を10~30質量部含むことを特徴とする。
上記層状鉱物系充填材は、タルク、マイカ、黒鉛、およびカオリンから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする。
上記繊維状補強材は、ガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする。
上記ゴム手袋製造装置用軸受は、上記射出成形体のアニール処理体であることを特徴とする。
本発明のゴム手袋製造装置用軸受は、PPS樹脂をベース樹脂(最も容量が多い結着性樹脂)とする樹脂組成物の射出成形体からなる樹脂すべり軸受であるので、従来の金属製転がり軸受よりも安価に提供できる。また、この軸受は、液状ゴム槽に手袋型を浸漬することにより手袋型にゴム膜を形成してゴム手袋を製造するゴム手袋製造装置に使用され、手袋型を回転自在に支持する軸受であって、PPS樹脂と、モース硬度が3以下の層状鉱物系充填材と、繊維状補強材と、を含む樹脂組成物の射出成形体であるので、低摩擦特性に優れるとともに、液状ゴム、熱水、洗浄液などの使用環境下にあっても耐腐食性に優れる。これにより、この軸受は、少なくとも従来の金属製転がり軸受よりも長寿命、かつ、安価に提供される。
樹脂組成物は、PPS樹脂100質量部に対し、層状鉱物系充填材を40~60質量部、繊維状補強材を30~50質量部含むので、耐腐食性に加え、耐摩耗性にも優れ、さらに長寿命な軸受となりうる。
樹脂組成物は、PPS樹脂100質量部に対し、さらに固体潤滑剤を10~30質量部含むので、より低摩擦特性に優れ、より長寿命な軸受となりうる。
層状鉱物系充填材は、タルク、マイカ、黒鉛、およびカオリンから選ばれる少なくとも1つを含むので、さらに低摩擦特性および耐摩耗性に優れ、一層長寿命な軸受となりうる。
繊維状補強材は、ガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むので、より機械的強度に優れ、さらなる長寿命化が期待できる。
ゴム手袋製造装置用軸受は、射出成形体のアニール処理体であるので、高分子鎖の結晶化度が非アニール処理体よりも高く、耐腐食性、耐摩耗性、および低摩擦特性に一層優れる。
ゴム手袋製造装置で用いられる手袋型の概略図である。 本発明の軸受の一例を示す斜視図である。
本発明の軸受を適用するゴム手袋製造装置での製造工程について、図1を用いて説明する。図1は、ゴム手袋製造装置で用いられる手袋型の概略図である。本発明の軸受は、液状ゴム槽に手袋型1を浸漬することで、手袋型1の表面にゴム膜を形成しゴム手袋を製造するゴム手袋製造装置に使用される。手袋型1の長手方向の中心には、手袋型1の長さの0.5~3倍の長さの軸2が設けられる。軸2には、本発明の軸受を内部に有する軸受部材が挿通されている。軸受部材は、該軸受部材を軸方向前後に挟むように軸2の外周に設けられた2つの止め輪によって、軸上で位置決めされている。軸受は、手袋型1の軸2を円筒内径面で回転自在に支持する。
ゴム手袋の製造工程は、人の手首または上腕部から指先までの形状をした手袋型1にゴム膜を形成する工程、形成されたゴム膜を洗浄する工程などを含む。ゴム膜を形成する工程では、手袋型1を、指先を下にした状態でレールから吊り下げ、液状ゴムが満たされた液状ゴム槽に浸漬する。その後、手袋型1を引き上げ、水平状態にして回転させながらヒーターにて液状ゴムを乾燥させる。ゴム膜を洗浄する工程では、手袋型1を熱水槽、洗浄槽などに浸漬する。その後、手袋型1を引き上げ、水平状態にして回転させながらヒーターにて水分を乾燥させる。
このように、手袋型1を各槽内に浸漬させる際は、手袋型1はレールから吊り下げた状態とし、手袋型1をヒーターで乾燥させる際は、手袋型1を水平状態にして回転させる。なお、手袋型1を水平状態で回転させるのは、ゴム膜の厚さを所定の厚さで均一にするためであり、あるいは、ゴム膜を均一に乾燥させるためである。
上記軸受部材について、図2に基づいて説明する。図2は、本発明の軸受の一例を示す斜視図である。図2に示すように、軸受4は、円筒状のブッシュである。軸受4は、PPS樹脂をベース樹脂とする所定の樹脂組成物の射出成形体からなる樹脂すべり軸受である。これにより、従来の金属製転がり軸受よりも安価で、かつ、耐腐食性に優れる。
また、軸受4は、1個の手袋型1(図1参照)に対して2個使いされ、2個の軸受はハウジング3(図1参照)に収納される。ハウジング3は、円筒状の軸受ケースである。ハウジング3の両端部の内側には、それぞれ座ぐり穴が形成され、座ぐり穴に軸受が装着される。座ぐり穴への軸受の装着は、接着剤や、ネジなどによる機械的な固定でもよく、圧入や、インサート成形による固定でもよい。
本発明の軸受は、手袋型の軸の軸方向上下2ヵ所に各1個装着される。具体的には、軸受4が、ハウジング3の両端部の座ぐり穴にそれぞれ装着されて、軸受部材が構成される。ハウジング3は、2つの軸受4が装着される両端部の座ぐり穴の間に円筒状の空隙部を有する。空隙部の内径は、軸受4の内径よりも大きく、軸受4の外径よりも小さい。座ぐり穴の内径は、軸受4の外径とほぼ同じ大きさであり、座ぐり穴の深さ(回転軸方向の長さ)は、軸受4の回転軸方向の長さとほぼ同じである。空隙部の内径は、手袋型の軸の外径よりも大きく、軸受4の内径は、軸の外径とほぼ同じ大きさである。このように軸受と軸受の間に一定距離を設けることによって、手袋型の回転がより安定する。
ハウジングの形状は、上記の形状に限定されず、例えば、回転軸方向に一定の内径寸法で貫通した円筒部材であってもよい。この場合、該ハウジングに対して軸受が1つだけ装着されてもよく、複数個が装着されてもよい。複数個装着する場合は、軸受と軸受の間に軸受の内径寸法よりも大きな内径寸法を有する円筒状スペーサを挟むことで手袋型の回転がより安定する。また、ハウジングは、ゴム手袋製造装置へ連結するための連結部などが形成されていてもよい。また、ハウジングの材質は、耐腐食性および強度の観点から、ステンレス鋼製であることが好ましい。
なお、ハウジングに複数個の軸受を装着する場合、各軸受は、それぞれ、同組成の樹脂組成物の射出成形体であってもよく、異なる組成の樹脂組成物の射出成形体であってもよい。後者の場合、例えば、液状ゴム槽などの各槽に近い側の1号軸受を、例えばPPS樹脂の配合割合を多くして、より耐腐食性に優れる組成の軸受とし、槽から遠い側の2号軸受を、層状鉱物系充填材の配合割合を多くしたり、あるいは固体潤滑剤を配合したりして、より低摩擦特性に優れる組成の軸受とするなどしてもよい。この場合、1号軸受と2号軸受の外径寸法を異なる寸法にするなど、組み間違えの予防対策をすることが望ましい。
以下に、本発明の軸受を構成する樹脂組成物について説明する。本発明に用いる樹脂組成物は、PPS樹脂をベース樹脂とし、モース硬度が3以下の層状鉱物系充填材と、繊維状補強材とを含む。
PPS樹脂は、ベンゼン環がパラの位置で、硫黄結合によって連結された下記式(1)に示すポリマー構造を持つ結晶性の熱可塑性樹脂である。下記式(1)の構造を持つPPS樹脂は、融点が約280℃、ガラス転移点が90℃であり、極めて高い剛性と、優れた耐熱性、寸法安定性、耐摩耗性、摺動特性などを有する。PPS樹脂は、その分子構造により、架橋型、半架橋型、直鎖型、分岐型などのタイプがあるが、本発明ではこれらの分子構造や分子量に限定されることなく使用できる。
Figure 2023077352000002
上記樹脂組成物はモース硬度3以下の層状鉱物系充填材を含む。モース硬度が3より大きくなると、軸への攻撃性が懸念され、摩擦トルクが上昇するおそれがある。上記層状鉱物系充填材は、モース硬度1~2であることがより好ましい。
モース硬度は、10種の標準物質を順次ひっかいて傷がつけば、その標準物質よりも硬さが低いと判断する、硬さの尺度である。標準物質は、硬度が低い順から1:滑石(タルク)、2:石膏、3:方解石、4:蛍石、5:りん灰石、6:正長石、7:水晶、8:トパーズ、9:コランダム、10:ダイヤモンドである。例えば、石膏(モース硬度2)で引っかくと傷がつかず、方解石(モース硬度3)で引っかくと傷がつく場合、その硬度は2.5と表される。モース硬度は、横方向に力を掛けた際の硬さの程度を示すものであり、摺動面での摩耗の尺度として適している。なお、モース硬度は、公知のモース硬度計を用いて測定することができる。
モース硬度3以下の層状鉱物系充填材は、特に限定されず、タルク(モース硬度1)、マイカ(モース硬度3)、黒鉛(モース硬度2)、カオリン(モース硬度2)、二硫化モリブデン(モース硬度1)などを用いることができる。これら層状鉱物系充填材は、1種または2種以上を用いてもよい。モース硬度が異なる2種以上を用いる場合は、モース硬度が大きいものよりもモース硬度が小さいものを多く配合する方が好ましい。
上記層状鉱物系充填材は、タルク、マイカ、黒鉛、およびカオリンから選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これらを含むことにより、低摩擦特性および耐摩耗性に一層優れる。特に、タルクを用いることにより異音発生の防止に効果があるため、好ましい。さらに、低摩擦特性および耐摩耗性の観点から、タルクと黒鉛を併用することができる。
樹脂組成物におけるモース硬度3以下の層状鉱物系充填材の含有量(複数種の場合はその合計量、以下同じ)は、PPS樹脂100質量部に対し、30~60質量部であることが好ましく、35~55質量部であることがより好ましく、40~50質量部であることがさらに好ましい。これらの範囲内にすることで、耐摩耗性と機械的強度を両立しやすく、所望の耐久性(現行転がり軸受の2倍以上など)が得られやすい。
上記層状鉱物系充填材としてタルクと黒鉛を併用する場合、上記範囲内でタルク:黒鉛=2:1~20:1の割合にすることが好ましく、タルク:黒鉛=3:1~10:1の割合にすることがより好ましく、タルク:黒鉛=5:1~9:1の割合にすることがさらに好ましい。
本発明に用いる繊維状補強材は、周知の繊維状補強材を用いることができ、1種または2種以上を用いてもよい。繊維状補強材として、ガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。これらの繊維は耐薬品性を有しており、耐腐食性の向上に寄与できる。
樹脂組成物における繊維状補強材の含有量(複数種の場合はその合計量、以下同じ)は、PPS樹脂100質量部に対し、30~50質量部であることが好ましく、30~45質量部であることがより好ましく、35~40質量部であることがさらに好ましい。これらの範囲内にすることで、機械的強度と低摩擦特性を両立しやすくなる。
以上を考慮して、本発明に用いる樹脂組成物の特に好ましい形態は、PPS樹脂100質量部に対し、上記層状鉱物系充填材を40~60質量部、繊維状補強材を30~50質量部含まれる樹脂組成物である。樹脂組成物が、上記組成であることにより、耐腐食性に加え、耐摩耗性にも優れ、さらに長寿命な軸受となりうる。
また、樹脂組成物は、さらに固体潤滑剤を含んでもよい。固体潤滑剤としては、例えば、PTFE樹脂などのフッ素樹脂粉末を用いることができる。固体潤滑剤は、PPS樹脂100質量部に対し、5~40質量部含まれることが好ましく、10~30質量部含まれることがより好ましく、10~23質量部含まることがさらに好ましい。固体潤滑剤がこれらの範囲内で含まれることにより、耐摩耗性を損なわずに低摩擦特性を向上することができる。
PTFE樹脂は耐熱性に優れ、熱分解温度が300℃以上であるため、射出成形時における熱分解が抑制できる。また、例えば無潤滑での使用において、相手軸に自己潤滑性に優れる移着膜を形成し、軸受の低摩擦特性を得ることができる。
本発明に用いるPTFE樹脂としては、懸濁重合法によるモールディングパウダー、乳化重合法によるファインパウダー、再生PTFEのいずれを採用してもよいが、潤滑効果の高い再生PTFEの使用が望ましい。本発明に用いるPTFE樹脂は、パーフルオロアルキルエーテル基、フルオルアルキル基、またはその他のフルオロアルキルを有する側鎖基で変性されたPTFE樹脂であってもよい。
本発明の軸受は、上述したPPS樹脂をベース樹脂とする樹脂組成物を射出成形したものであればよく、得られた射出成形体に対して各種処理を施した処理体であってもよい。該処理体としては、射出成形体のアニール処理体であることが好ましい。具体的には、射出成形後の射出成形体を、PPS樹脂のガラス転移温度よりも高い温度で所定の時間、アニール処理(熱処理)したアニール処理体(熱処理仕上体)であることが好ましい。これにより、PPS樹脂の高分子鎖の結晶化度が非アニール処理体よりも高まるため、耐摩耗性や耐熱性が一層向上する。なお、熱処理により軸受孔の形状が悪くなる場合があるが、その際には、熱処理後にリーマ通しを行い軸受孔を仕上げてもよい。
上記アニール処理の温度パターンは、特に限定されるものではないが、アニール処理の最高温度の好ましい範囲としては100℃~250℃である。より好ましくは120℃~230℃であり、さらに好ましくは140℃~210℃である。また、アニール処理時間としては、所定の温度における結晶化を十分に行わせることと生産性両立の観点から、例えば、1時間~6時間が好ましく、1時間~4時間がより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。各実施例および各比較例の軸受の製造に用いた樹脂組成物の構成、実機耐久性試験の評価結果を表1に纏めて示す。
表1に示した原材料を用いて射出成形用ペレットを製造し、このペレットを射出成形機に投入してブッシュ形状(内径φ15mm、外径φ21mm、全長15mm)の軸受(実施例1~3、比較例1~3)を製造した。なお、実施例3および比較例3は、実施例2および比較例2の各射出成形体(軸受)を、150℃で3時間熱処理したものであり、実施例1~2および比較例1~2の各射出成形体は、熱処理しなかった。いずれの軸受も軸受孔のリーマ通しはしていない。また、比較例4は、PTFE樹脂100質量部にガラス繊維を30質量部配合した樹脂組成物による軸受であり、その形状は実施例1と同じ寸法である。比較例4の軸受は、内径φ13mm、外径φ23mmのパイプ材からの旋削加工品である。
<実機耐久性試験>
得られた軸受を、2つの座ぐり穴を両端部に有する外径φ28mm、全長45mmの円筒状のハウジングに2つずつ装着して試験用軸受部材とし、この軸受部材を手袋型の軸(φ15mm)に取り付けた。この試験用軸受部材が装着されたゴム手袋製造装置を稼働してゴム手袋を製造しながら軸受の実機使用時の耐久性を評価した。試験用軸受部材が装着された手袋型は各2台であり、その他は全て従来の金属製転がり軸受が使用されている。本耐久試験の開始と同時に6台の手袋型の金属製転がり軸受を新品に交換し、金属製転がり軸受の寿命を同時に確認した。
ゴム手袋製造装置を1000時間まで稼働させ、試験用軸受部材が装着された手袋型の動作(手袋型の振れ)を目視確認し、動作異常の有無を確認した。さらに、その軸受を取り出し、軸受面(軸受孔)の摩耗深さを測定した。
軸受面の状態の確認後、再度ハウジングに軸受を装着して軸受部材とし、この軸受部材を再度装着した手袋型をゴム手袋製造装置に取り付け、さらに1000時間(合計2000時間)稼働させて、手袋型の動作の目視確認と、軸受面の摩耗深さを測定した。
手袋型の振れは、目視上、回転する手袋型の振れが認められた場合に振れが発生したと判断し、振れが認められない場合は振れの発生なしと判断した。摩耗深さは、軸受面の摩耗深さが13μm以下の場合を「◎」、13μmよりも大きく25μm以下の場合を「○」、60μm以上~150μmの場合を「△」、200μm以上の場合を「×」で評価した。なお、軸受面の摩耗深さ25μm超~60μm未満、150μm超~200μm未満は、実施例1~3、比較例1~4のいずれにも無かったため割愛した。摩耗深さは、ハウジング両端における2個の軸受の軸受面の摩耗深さの平均値である。結果を表1に示す。
Figure 2023077352000003
表1に示すとおり、ゴム手袋製造装置での実機耐久性試験の結果、実施例1~3の軸受を用いた場合、2000時間までの稼働では、手袋型の振れは認められなかった。2000時間稼働後の軸受面の摩耗深さも全て25μm以下であり、継続使用可能な状態であった。なお、現行の金属製転がり軸受の振れの発生は約1400時間~1600時間であり、実施例1~3の軸受は現行軸受よりも長寿命であった。
摩耗深さの経時変化としては、1000時間稼働後では、実施例2~3が「◎」、実施例1が「○」であり、2000時間稼働後では、実施例3が「◎」、実施例1~2が「〇」であった。この結果より、実機で軸受を使用した際の耐久性は、(優)(実施例3)>(実施例2)>(実施例1)(劣)であり、射出成形体のアニール処理体が特に有効であることが分かった。
比較例1、比較例4の軸受を使用した実機耐久性試験では、1000時間までに手袋型の振れが大きくなったため、その後の試験は中止した。比較例2および比較例3は、1000時間までに手袋型が振れることは無かったが、2000時間までには手袋型の振れが大きくなった。なお、摩耗深さは比較例3よりも比較例2の方が大きかった。
以上の結果より、本発明のゴム手袋製造装置用軸受は、現行の金属製転がり軸受よりも安価であり、2倍以上の耐久性が期待できる。
本発明のゴム手袋製造装置用軸受は、液状ゴム、熱水、洗浄液などの使用環境下であっても耐腐食性に優れ、かつ、安価であるので、少なくとも従来の金属製転がり軸受よりも長寿命なすべり軸受として広く利用できる。
1 手袋型
2 軸
3 ハウジング
4 軸受(ゴム手袋製造装置用軸受)

Claims (6)

  1. 液状ゴム槽に手袋型を浸漬することにより前記手袋型にゴム膜を形成してゴム手袋を製造するゴム手袋製造装置に使用され、前記手袋型を回転自在に支持する軸受であって、
    前記軸受は、ポリフェニレンサルファイド樹脂をベース樹脂とし、モース硬度が3以下の層状鉱物系充填材と、繊維状補強材と、を含む樹脂組成物の射出成形体からなる樹脂すべり軸受であることを特徴とするゴム手袋製造装置用軸受。
  2. 前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂100質量部に対し、前記層状鉱物系充填材を40~60質量部、前記繊維状補強材を30~50質量部含むことを特徴とする請求項1記載のゴム手袋製造装置用軸受。
  3. 前記樹脂組成物は、前記ポリフェニレンサルファイド樹脂100質量部に対し、さらに固体潤滑剤を10~30質量部含むことを特徴とする請求項2記載のゴム手袋製造装置用軸受。
  4. 前記層状鉱物系充填材は、タルク、マイカ、黒鉛、およびカオリンから選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項記載のゴム手袋製造装置用軸受。
  5. 前記繊維状補強材は、ガラス繊維、炭素繊維、およびアラミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれか1項記載のゴム手袋製造装置用軸受。
  6. 前記ゴム手袋製造装置用軸受は、前記射出成形体のアニール処理体であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか1項記載のゴム手袋製造装置用軸受。
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