JP2023076373A - アミロイドβ凝集抑制剤とこれを含む医薬組成物および飲食品、ネプリライシン産生促進剤およびγ-セクレターゼ産生抑制剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】アミロイドβ(Aβ)の凝集を抑制可能なアミロイドβ凝集抑制剤と、アミロイドの凝集に起因する疾患(特にアルツハイマー型認知症)の治療および/または予防用の医薬組成物および飲食品などを提供すること。【解決手段】麹菌由来組成物を含有するアミロイドβ凝集抑制剤とする。【選択図】図1
Description
本発明は、アミロイドβ凝集抑制剤とこれを含む医薬組成物および飲食品、ネプリライシン産生促進剤およびγ-セクレターゼ産生抑制剤に関する。
高齢者人口が増え、少子化が進む日本において、2025年には3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳以上となることが予想され、認知症高齢者は700万人になると言われている。さらに、2060年には日本人高齢者の4人に1人が認知症患者になると予測されており、認知症予防対策は急務である。なかでも、アルツハイマー型認知症(AD)は認知症患者数の約60%を高い割合を占めている。
アルツハイマー型認知症(AD)の根本的な原因の一つは、アミロイドβ(Aβ)により産出される老人斑の増加であると考えられている。Aβは、分子量約4kDaの小さな蛋白質で38~43個のアミノ酸からなり、アミロイド前駆体蛋白(APP)からβ-セクレターゼと、γ-セクレターゼにより切り出されて産出される。主要なAβの分子種として、アミノ酸数の違いにより、Aβ40とAβ42が存在する。これらのうち、Aβ42は、高い凝集性を有することから、より強い病原性を有することが知られている。
また、Aβは、「Aβ生成」と「Aβ凝集」の2つの段階を経て脳内に蓄積すると考えられている。Aβ凝集を阻害する活性を有する組成物として、例えば、シソ抽出物を有効成分として含むものが提案されている(特許文献1)。また、Aβ生成に関与するタンパク質プロセシング酵素の1つであるγセクレターゼを阻害する活性を有する組成物として、ヒシュカ等に由来する植物エキスを有効成分として含むγセクレターゼ阻害組成物が提案されている(特許文献2)。
しかしながら、従来提案されているアルツハイマー型認知症治療用組成物は、いずれも血液脳関門の通過性が十分でないなどの理由から、老人斑の増加に対する一定の効果が得られておらず、現状では、アルツハイマー型認知症に対する確実な治療法は確立されていない。
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであり、アミロイドβ(Aβ)の凝集を抑制可能なアミロイドβ凝集抑制剤と、アミロイドβの凝集に起因する疾患(特にアルツハイマー型認知症)の治療および/または予防用の医薬組成物および飲食品などを提供することを課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、麹菌由来組成物を含有することを特徴としている。
本発明の医薬組成物は、前記アミロイドβ凝集抑制剤を含有することを特徴としている。
本発明の飲食品は、前記アミロイドβ凝集抑制剤を含有することを特徴としている。
本発明のネプリライシン産生促進剤は、麹菌由来組成物を含有することを特徴としている。さらに、本発明のγ-セクレターゼ産生抑制剤は、麹菌由来組成物を含有することを特徴としている。
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤によれば、確実にアミロイドβの凝集を抑制することができる。また、本発明の医薬組成物および飲食品によれば、特に、アルツハイマー型認知症を治療または予防することができる。
以下、本発明のアミロイドβ凝集抑制剤、医薬組成物および飲食品の一実施形態について説明する。
(アミロイドβ凝集抑制剤)
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、麹菌由来組成物を含有する。
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、麹菌由来組成物を含有する。
本発明において、「麹菌」とは、麹菌株を培養し得られた菌体自体をいい、「麹」とは、例えば、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させて繁殖させたものをいう。
麹菌としては、味噌、清酒や焼酎、泡盛、醤油などの食品製造において用いられてきた麹菌(コウジカビ(Aspergillus)属の不完全菌)を利用することができる。これらの麹菌は、発酵食品の製造に欠かすことができない微生物であり、人への安全性において優れたものでる。
麹菌の種類は特に限定されないが、例えば、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス・カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス・アワモリ(Aspergillus awamori)、アスペルギルス・ソーエ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス・グラウカス(Aspergillus glaucus)、アスペルギルス・タマリ(Aspergillus tamari)、アスペルギルス・ルチュエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus nigar)などのうちの1種または2種以上の菌株を例示することができ、これらの変異種などであってもよい。また、これらの麹菌は、市販されているものを使用することができる。なかでも、麹菌は、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)であることが好ましい。
また、麹菌の培養方法などは特に限定されず、米、麦、大豆などの穀物に麹菌を付着させて繁殖させた固体培養法や、寒天培地や液体培地を用いた培養法などの公知の方法を適宜採用することができる。また、麹菌の長期的な保存に適した保存培養、麹菌の継代保存に適した継代培養、麹菌の分生子を大量に得るのに適した種麹培養、麹菌の分離および麹菌の性質を検討するのに適した単菌分離培養の形態であってもよい。また、麹菌の培養方法には、麹菌を用いた醸造および発酵についても含まれる。麹菌の培養条件も特に限定されず、例えば、恒温槽などの温度調節可能な場所にて、所定の温度下(例えば10℃~40℃)において培養することができる。
本発明において「麹菌由来組成物」とは、麹菌により生成される化合物を含む組成物を意味し、好適には、例えば、米、麦、大豆などの穀物に付着した麹菌が繁殖する際に生成される化合物を含む組成物である。したがって、「麹菌由来組成物」は、麹、麹の処理物、麹味噌などの発酵物などに含まれる組成物であってよく、また、麹、麹の処理物、麹味噌など自体が含まれる形態も包含される。
ここで、麹の処理物は、麹を物理・化学的または生物的に処理して得られる各種処理物であってよい。
具体的には、物理・化学的処理物としては、例えば、天日乾燥、風乾、凍結乾燥等による乾燥処理物や凍結乾燥処理物、ブレンダー、ホモジュナイザー、ボールミル等による粉砕処理物などを例示することができる。また、生物的処理方法としては、発酵状態の調節処理等を例示することができる。
また、麹の処理物には、その有効成分を含有する限りにおいて、麹より種々の抽出方法により得られる抽出物が含まれる。抽出方法としては、例えば、各種溶媒抽出、超臨界流体抽出等があげられる。抽出物は、沈降分離、ケーキ濾過、清澄濾過、遠心濾過、遠心沈降、圧搾分離、フィルタープレスなどの各種固液分離方法、各種濃縮方法、各種乾燥方法、造粒もしくは粉末化等の製剤化方法、各種精製方法等で処理してもよい。
そして、本発明の一実施形態においては、麹菌由来組成物は、米麹または米麹の処理物に含まれる組成物であることが好ましく、この場合、米麹または米麹の処理物自体が含まれる形態も包含される。米麹の処理物には、米麹味噌などの米麹を原料とした発酵食品なども含まれる。
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、麹菌由来組成物に加え、例えば、薬学的に許容できる塩などを含むことができる。このような塩としては、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、塩酸塩、臭素酸塩、硫酸塩、硫酸水素塩、リン酸二水素塩、メタンスルホン酸塩、メチル硫酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、グリコール酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩、イセチオン酸塩、パラ-トルエンスルホン酸塩などを例示することができる。
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、Aβの凝集による老人斑の産生を抑制することができ、アルツハイマー型認知症を治療または予防することができる。また、本発明のアミロイドβ凝集抑制剤は、麹菌由来組成物を有効成分として含有するため、安全性が高い。
(医薬組成物および飲食品)
上述した本発明のAβの凝集抑制剤は、医薬品組成物または飲食品に通常使用される添加剤などと組み合わせて、アルツハイマー病やアミロイドーシスなどの予防または治療を目的とした、医薬品組成物および飲食品などの形態で使用することができる。
上述した本発明のAβの凝集抑制剤は、医薬品組成物または飲食品に通常使用される添加剤などと組み合わせて、アルツハイマー病やアミロイドーシスなどの予防または治療を目的とした、医薬品組成物および飲食品などの形態で使用することができる。
本発明において、アルツハイマー病に対する医薬組成物および飲食品の場合、その摂取の対象は、アルツハイマー病を患っているかまたは患い得る動物、例えばヒトを含む哺乳類を意味する。
本発明の医薬組成物の一実施形態は、アルツハイマー型認知症の治療および/または予防用の医薬組成物であり、上述した本発明のアミロイドβ凝集抑制剤を含む。
医薬組成物は、経口的に使用される剤型であってもよく、非経口的に使用される剤型であってもよい。経口的に使用される剤型としては、例えば粉末剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤等が挙げられる。非経口的に使用される剤型としては、例えば注射剤、吸入剤、坐剤、貼付剤等が挙げられる。
医薬組成物は、薬学的に許容される担体を含むことができる。このような担体としては、例えば、公知の賦形剤、崩壊剤、結合剤、潤滑剤、界面活性剤、緩衝剤、溶解補助剤、安定化剤、等張化剤、懸濁化剤、乳化剤、溶剤、増粘剤、粘液溶解剤、湿潤剤、防腐剤などを例示することができる。
医薬組成物は、添加剤を更に含んでいてもよい。添加剤としては、ステアリン酸マグネシウム等の潤滑剤;ショ糖、乳糖、サッカリン等の甘味剤;ペパーミント、アカモノ油等の香味剤;ベンジルアルコール、フェノールの安定剤;リン酸塩、酢酸ナトリウム等の緩衝剤;安息香酸ベンジル、ベンジルアルコール等の溶解補助剤;酸化防止剤;防腐剤などを例示することができる。
医薬組成物は、上述した担体や添加剤などを適宜組み合わせて、一般に認められた製薬実施に要求される単位用量形態で混和することによって製剤化することができる。医薬組成物の形態は特に制限されず、経口剤又は非経口剤のいずれであってもよい。経口剤としては、顆粒剤、散剤、錠剤、カプセル剤、シロップ剤等が挙げられる。非経口剤としては、注射剤、点滴剤、軟膏剤、点鼻剤、坐剤等が挙げられる。
医薬組成物の投与量は、患者の体重や年齢、患者の症状、投与方法等により変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。例えば、成人1日当たりの麹菌の摂取量が1mg~1000mg、好ましくは10mg~100mgの範囲となるような投与量を目安とすることができる。
本発明の飲食品(食品および飲料)は、上述した本発明のアミロイドβ凝集抑制剤を含む。
飲食品としては、例えば、錠菓、錠剤、チュアブル錠、錠剤、粉剤、散剤、カプセル剤、顆粒剤、ドリンク剤等の形態を有する健康飲食品(サプリメント、栄養補助食品、健康補助食品、栄養調整食品等)、清涼飲料、茶飲料、ゼリー飲料、スポーツ飲料、コーヒー飲料、炭酸飲料、野菜飲料、果汁飲料、醗酵野菜飲料、醗酵果汁飲料、発酵乳飲料(ヨーグルト等)、乳酸菌飲料、乳飲料、粉末飲料、ココア飲料、アルコール飲料、菓子(例えば、ビスケットやクッキー類、チョコレート、キャンディ、チューインガム、タブレット)、ゼリー等の形態を例示することができる
さらに、本発明の「飲食品」は、食品工学の分野において通常用いられる成分を含んでいてよい。具体的には、例えば、各種油脂(例えば、大豆油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油等の植物油、牛脂、イワシ油等の動物油脂)、生薬(例えばロイヤルゼリー、人参等)、アミノ酸(例えばグルタミン、システイン、ロイシン、アルギニン等)、多価アルコール(例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、糖アルコール、例としてソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール等)、天然高分子(例えばアラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、グルテン又はグルテン加水分解物、レシチン、澱粉、デキストリン等)、ビタミン(例えばビタミンC、ビタミンB群等)、ミネラル(例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等)、食物繊維(例えばマンナン、ペクチン、ヘミセルロース等)、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、精製水、希釈剤、安定化剤、等張化剤、pH調製剤、緩衝剤、湿潤剤、溶解補助剤、懸濁化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、香料、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、酸味料などを例示することができる。
さらに、本発明の「飲食品」は、食品工学の分野において通常用いられる成分を含んでいてよい。具体的には、例えば、各種油脂(例えば、大豆油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油等の植物油、牛脂、イワシ油等の動物油脂)、生薬(例えばロイヤルゼリー、人参等)、アミノ酸(例えばグルタミン、システイン、ロイシン、アルギニン等)、多価アルコール(例えばエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、糖アルコール、例としてソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マルチトール、マンニトール等)、天然高分子(例えばアラビアガム、寒天、水溶性コーンファイバー、ゼラチン、キサンタンガム、カゼイン、グルテン又はグルテン加水分解物、レシチン、澱粉、デキストリン等)、ビタミン(例えばビタミンC、ビタミンB群等)、ミネラル(例えばカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄等)、食物繊維(例えばマンナン、ペクチン、ヘミセルロース等)、界面活性剤(例えばグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル等)、精製水、希釈剤、安定化剤、等張化剤、pH調製剤、緩衝剤、湿潤剤、溶解補助剤、懸濁化剤、着色剤、矯味剤、矯臭剤、香料、酸化防止剤、甘味料、呈味成分、酸味料などを例示することができる。
飲食品の摂取量は、患者の体重や年齢、患者の症状、投与方法等により変動するが、当業者であれば適当な投与量を適宜選択することが可能である。例えば、成人1日当たりの麹菌の摂取量が1mg~1000mg、好ましくは10mg~100mgの範囲となるような投与量を目安とすることができる。
また、本発明のネプリライシン産生促進剤は、麹菌由来組成物を含有する。さらに、本発明のγ-セクレターゼ産生抑制剤は、麹菌由来組成物を含有する。本発明のネプリライシン産生促進剤およびγ-セクレターゼ産生抑制剤は、上述したアミロイドβ凝集抑制剤と同様に、その効果を阻害しない範囲において他の化合物を含むことができる。
本発明のアミロイドβ凝集抑制剤とこれを含む医薬組成物および飲食品、ネプリライシン産生促進剤およびγ-セクレターゼ産生抑制剤は、以上の実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例とともに本発明についてさらに詳しく説明する。本発明は以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
<実施例1>米麹抽出物の経口摂取による脳内アミロイドの凝集抑制効果の検討
滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に米麹を1%加え、ガラスビーズを添加してホモジナイズをし、3,000rpm、5minの遠心を掛けて、得られた上清を、滅菌PBSで調整したものを米麹抽出物(1×106cfu/mL)とした。
加齢マウス(健常なICR系統近交系マウスの48週齢)および若齢マウス(4週齢)について、上記の米麹抽出物(1×106cfu/mL)を、ゾンデ法により、1日1回100μLずつ、4週間経口摂取させた。その後、加齢マウスおよび若齢マウスを麻酔下で採血し脳組織を採取し、蛍光染色法で脳内におけるAβ42の凝集を確認するとともに、リアルタイムPCR法でAβ産生蓄積関連遺伝子mRNA発現量を測定した。
滅菌したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)に米麹を1%加え、ガラスビーズを添加してホモジナイズをし、3,000rpm、5minの遠心を掛けて、得られた上清を、滅菌PBSで調整したものを米麹抽出物(1×106cfu/mL)とした。
加齢マウス(健常なICR系統近交系マウスの48週齢)および若齢マウス(4週齢)について、上記の米麹抽出物(1×106cfu/mL)を、ゾンデ法により、1日1回100μLずつ、4週間経口摂取させた。その後、加齢マウスおよび若齢マウスを麻酔下で採血し脳組織を採取し、蛍光染色法で脳内におけるAβ42の凝集を確認するとともに、リアルタイムPCR法でAβ産生蓄積関連遺伝子mRNA発現量を測定した。
結果を図1~図3に示す。図1は、米麹抽出物を投与した加齢マウスおよび若齢マウスについて、蛍光免疫染色法で脳組織の大脳皮質、大脳髄質におけるAβ42の凝集を確認した図である。図2は、米麹抽出物を投与した加齢マウスについて、リアルタイムPCR法でAβ産生蓄積関連遺伝子mRNA発現量を測定した結果を示す図であり、図3は、米麹抽出物を投与した若齢マウスについて、リアルタイムPCR法でAβ産生蓄積関連遺伝子mRNA発現量を測定した結果を示す図である。
図1に示したように、米麹抽出物を投与した加齢マウスおよび若齢マウスにおいて、Aβ42の凝集が抑制されていることが確認された。また、図2に示したように、米麹抽出物を投与した加齢マウスにおいて、ネプリライシン遺伝子(NEP)mRNA発現量が上昇していることが確認された。ネプリライシンは老人班を分解することが知られている。
一方、図3に示したように、米麹抽出物を投与した若齢マウスにおいては、γ-セクレターゼ遺伝子mRNA発現量が減少していることが確認された。γ-セクレターゼはAβ42の生成に関わることが知られている。
これらのことから、米麹抽出物(麹菌由来組成物)は、ネプリライシン産生促進作用またはγ-セクレターゼ産生抑制剤作用を有し、米麹抽出物の経口摂取によって、脳内Aβ42の凝集が抑制できることが確認された。米麹抽出物に含まれる低分子化合物が脳関門を通過し作用していることが考えられる。
一方、図3に示したように、米麹抽出物を投与した若齢マウスにおいては、γ-セクレターゼ遺伝子mRNA発現量が減少していることが確認された。γ-セクレターゼはAβ42の生成に関わることが知られている。
これらのことから、米麹抽出物(麹菌由来組成物)は、ネプリライシン産生促進作用またはγ-セクレターゼ産生抑制剤作用を有し、米麹抽出物の経口摂取によって、脳内Aβ42の凝集が抑制できることが確認された。米麹抽出物に含まれる低分子化合物が脳関門を通過し作用していることが考えられる。
したがって、米麹抽出物は、Aβ42の凝集抑制剤の有効成分として機能し、これを含む医薬組成物や飲食品には、特に、アルツハイマー型認知症の治療・予防効果があると考えることができる。
<実施例2>血液生化学検査
米麹抽出物の経口摂取した加齢マウスおよび若齢マウスについて、酵素反応呈色法で血液生化学検査を行った。
米麹抽出物の経口摂取した加齢マウスおよび若齢マウスについて、酵素反応呈色法で血液生化学検査を行った。
結果を図4に示す。
図4に示したように、米麹抽出物の経口摂取は、健康に問題がないことが理化学的な観点からも確認された。
Claims (9)
- 麹菌由来組成物を含有することを特徴とするアミロイドβ凝集抑制剤。
- 前記麹菌由来組成物が、米麹または米麹処理物に含まれる組成物であることを特徴とする請求項1のアミロイドβ凝集抑制剤。
- 前記麹菌が、アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)を含むことを特徴とする請求項1のアミロイドβ凝集抑制剤。
- 請求項1から3のいずれかのアミロイドβ凝集抑制剤を含有することを特徴とする医薬組成物。
- アルツハイマー型認知症の治療および/または予防用であることを特徴とする請求項4の医薬組成物。
- 請求項1から3のいずれかのアミロイドβ凝集抑制剤を含有することを特徴とする飲食品。
- アルツハイマー型認知症の治療および/または予防用であることを特徴とする請求項6の飲食品。
- 麹菌由来組成物を含有することを特徴とするネプリライシン産生促進剤。
- 麹菌由来組成物を含有することを特徴とするγ-セクレターゼ産生抑制剤。
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