JP2023076196A - 繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物 - Google Patents

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Abstract

【課題】安全性および蓄熱性に優れる植物性シリカを用いた繊維などにおいて、植物性シリカが脱落しにくい繊維などを提供する。【解決手段】植物性シリカの微粉末を含有する繊維とした。このとき、植物性シリカが、非晶質シリカである、繊維とすることが好ましい。また、植物性シリカの微粉末は、平均粒径が0.1~10μmである、繊維とすることも好ましい。さらに、植物性シリカの微粉末を0.5~15重量%含有する、繊維とすることも好ましい。加えて、カーボンの微粉末を含有する、繊維とすることも好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物に関する。詳しくは、植物性シリカを含有する繊維などに関する。
従来から、シリカを付着させた機能性サポーターなどが提唱されている。
例えば、下記特許文献1には「身体の所定の部分に装着されるように形成されているサポーターであって、伸縮性を有する素材を用いて形成されているサポーター本体を有し、前記サポーター本体は、1000℃を超える高温で燃焼された籾殻から抽出された植物性ブラックシリカの粉末状の植物性パウダーが、含有または付着されていることを特徴とするサポーター。」が記載されており、具体的な構成として、円形状に形成された複数の植物性パウダーが、サポーター本体の肌に接する面に付着された構成が記載されている。
そして、「本考案によれば、遠赤外線よりも暖かさを感じることができる電磁波であるテラヘルツ波をより効果的に発生することができるサポーターを提供することができる。」とある。
シリカには、大きく、鉱物由来のシリカ(鉱物性シリカ)と植物由来のシリカ(植物性シリカ)がある。シリカは温度条件や圧力条件などにより様々な結晶構造をとり、石英などの鉱物に含まれる鉱物性シリカは結晶質、未焼成の籾殻などの植物性材料に含まれる植物性シリカは非晶質となっている。
従来、工業原料などとしては、長石類に次いで産出量が多い鉱物性シリカが多く用いられてきた。しかし、近年、我々人間にとって安全で親和性が高いとされる非晶質シリカとして、植物性シリカが注目されている。
実用新案登録第3210843号公報(請求項1、考案の効果、段落0013)
上記特許文献1では、円形状に形成された複数の植物性パウダーが、サポーター本体の肌に接する面に付着された構成となっているが、このような構成では、繰り返しの使用や洗濯などによって、植物性パウダー(植物性シリカ)が脱落することがあった。
本発明は、上記課題を解決するものであり、植物性シリカが脱落しにくい繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物を提供することを目的とする。また、このような植物性シリカを用いた安全で蓄熱性に優れた繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物を提供することも目的とする。
上記課題を解決するために、植物性シリカの微粉末を含有する繊維とした。植物性シリカは、前述したように、籾殻や稲わらなどの植物性材料に含まれているシリカであり、未焼成の植物性材料に存在するシリカは非晶質である。植物性シリカは、植物性材料を燃焼又は熱分解させて得られた燃焼物等に多く含まれている。このような植物性材料の燃焼物等には、植物性シリカのほか、通常、他の成分が不純物として含まれている。また、非晶質シリカは高温加熱などによって結晶質に変化することがあるため、単に植物性シリカと称する場合には、植物由来のシリカであって非晶質のものと結晶質のものを含むものとする。
この繊維は、植物性シリカが脱落しにくい。植物性シリカの微粉末は繊維中のポリマーに練り込まれている。
ここで、植物性シリカが、非晶質シリカである、繊維とすることができる。
この繊維は、安全性に優れる。非晶質シリカは、食品添加物、健康食品、飲料水として広く使用されており安全性について多くの実績がある。例えば、植物性材料を低温で燃焼等させれば得られるシリカは非晶質シリカとなる。
また、シリカのモース硬度は7と堅いのであるが、非晶質シリカは、結晶質シリカと比較して密度が小さいこともあり、どちらかというと結晶質シリカよりも粉砕しやすい傾向がある。そのため、非晶質シリカを用いることで、粉砕時間をある程度短縮することができる。
また、植物性シリカの微粉末は、平均粒径が0.1~10μmである、繊維とすることもできる。
この繊維は、生産性が向上する。平均粒径が10μmを越えると紡糸フィルターの目詰まり、断糸等が発生しやすく、また、延伸工程での糸切れ、あるいはガイド類の摩耗等種々の問題が発生しやすくなる。一方、平均粒径が0.1μm未満であると2次凝集を起こしやすくなる。
植物性シリカの微粉末の平均粒径は、より好ましくは0.15~5μm、さらに好ましくは0.2~3μm、最も好ましくは0.2~1μmである。
また、植物性シリカの微粉末を0.5~15重量%含有する、繊維とすることもできる。
この繊維は、蓄熱性と生産性(紡糸性)に優れる。植物性シリカの微粉末の含有率が0.5重量%以上であることによって、優れた蓄熱性を実現できる。また、植物性シリカの微粉末の含有率が15重量%以下であることによって、紡糸時に糸切れなどが生じにくく、生産性に優れる。
また、カーボンの微粉末を含有する、繊維とすることもできる。
この繊維は、カーボンが含まれていることで、さらに蓄熱性が向上する。例えば、植物性材料を燃焼させて得られた燃焼物(植物性シリカを多く含む)にカーボンが含まれている場合、植物性シリカとともに、このカーボンを繊維に含有させることができる。
また、カーボンの微粉末を、植物性シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含有する、繊維とすることもできる。
この繊維は、さらに蓄熱性が向上する。植物性シリカの微粉末中のカーボンの微粉末の含有量は、好ましくは1~8重量%、より好ましくは2~6重量%である。
上記課題は、非晶質シリカの微粉末とカーボンの微粉末を含有する繊維であって、非晶質シリカの微粉末を0.5~15重量%含有し、カーボンの微粉末を、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含有する、繊維によっても解決される。
また、上記課題は、籾殻等のシリカ含有植物性材料を燃焼又は熱分解させて得られた燃焼物等の微粉末を含有する繊維であって、前記燃焼物等の微粉末は、非晶質シリカの微粉末を0.5~15重量%含み、カーボンの微粉末を、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含む、繊維によっても解決される。燃焼物等には、シリカ含有植物性材料を燃焼させて得られた燃焼物と、シリカ含有植物性材料を熱分解させて得られた熱分解物とが含まれる。
また、繊維が、芯部と鞘部とからなる芯鞘型複合繊維であり、前記芯部にのみ植物性シリカの微粉末を含有する、繊維とすることもできる。
この繊維は、芯部にのみ植物性シリカの微粉末を含有することで、紡糸時に糸切れなどが生じにくく、生産性がより向上する。
前記課題は、上記いずれかに記載の繊維を用いた糸や、これらの糸を少なくとも一部に用いた繊維構造物によっても解決される。
また、前記課題は、上記いずれかに記載の繊維の短繊維と、植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維と、を混紡してなる、混紡糸によっても解決される。このとき、植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維が、消臭機能を有する繊維の短繊維である、混紡糸とすることができる。
さらに、前記課題は、上記いずれかに記載の繊維の短繊維を10~30重量%と、植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維を10~90重量%と、含んでいる混紡糸によっても解決される。
加えて、前記課題は、上記いずれかに記載の混紡糸を少なくとも一部に用いた繊維構造物によっても解決される。
本発明により、植物性シリカが脱落しにくい繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物を提供することができる。また、このような植物性シリカを用いた安全で蓄熱性に優れた繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物を提供することもできる。
蓄熱保温性の評価装置を例示した図である。
以下、繊維、糸及び混紡糸、並びに繊維構造物を例示説明する。
なお、以下の実施形態や実施例はあくまで本発明を例示説明するものであって、本発明は、以下の具体的な実施形態や実施例に限定されるものではない。
1.繊維
繊維は、植物性シリカの微粉末を含有する。まず、植物性シリカなどについて例示説明した後、植物性シリカの微粉末を含有する繊維などについて例示説明する。
[植物性シリカ]
植物性シリカは、前述したように、もともと籾殻や稲わらなどの植物性材料に含まれているシリカである。例えば、籾殻の場合、概ね15~20重量%がシリカ(SiO)であるとされている。籾殻や稲わらなどのシリカを含有する植物性材料から植物性シリカを抽出するために、例えば、植物性材料を燃焼又は熱分解させることができる。ここで得られた植物性材料の燃焼物等には植物性シリカが多く含まれることになる。植物性材料の燃焼物等に対する植物性シリカの含有量は、燃焼条件などにもよるが、例えば、70重量%以上、75重量%以上、80重量%以上、85重量%以上又は90重量%以上となる。
繊維に含有させる植物性シリカは非晶質シリカであることが好ましい。本来、未焼成の植物性材料に存在する植物性シリカは非晶質であるが、燃焼温度などによっては結晶化し、結晶質のものを多く含んでしまう場合があった。例えば、籾殻などにごく少量含まれるアルカリ金属の影響などによって、燃焼温度が800℃程度以上で結晶化が進行することがあった。したがって、植物性シリカの結晶化を抑制するためには、通常、700℃程度以下の燃焼温度に抑える必要がある。
[カーボン]
繊維にはカーボンの微粉末を含有させることができる。カーボンの微粉末は、特に限定されず、例えば、市販の黒鉛微粉末やグラファイト微粉末を用いることができる。
しかしながら、植物性材料の燃焼物等には、燃焼条件などにもよるが、通常、シリカとともに未燃焼のカーボンが含まれている。そのため、このような植物性材料の燃焼物等に含まれるカーボンを利用することができる。
このような観点からは、植物性材料の燃焼物等におけるカーボンの含有量が、非晶質シリカ100重量部に対して0.5~13.0重量部となるような条件で植物性材料を燃焼等させることが好ましい。
しかしながら、このように比較的多くの未燃焼カーボンを含んだ植物性材料の燃焼物等は、不純物が多くなってシリカの含有量が低くなるため敬遠されてきた。そのため、従来は、植物性シリカの純度を上昇させる目的で、600℃以上の温度で燃焼させてカーボンをできるだけ残さないようにすることが行われていたのである。
植物性材料の燃焼物等においてカーボンの含有量を増加させるためには、このような従来の燃焼温度とは異なり、600℃以下の比較的低温で植物性材料を燃焼させることが好ましい。植物性材料の燃焼温度は、より好ましくは350~550℃、最も好ましくは400~500℃である。
また、植物性材料を燃焼させるのではなく熱分解することもできる。植物性材料の熱分解温度は600℃以下とすることが好ましい。植物性材料の熱分解温度は、より好ましくは350~550℃、最も好ましくは400~500℃である。植物性材料の熱分解時間は、例えば、30分~1時間程度、2~10時間、10~24時間、1~2日、2~4日、4~8日、8~10日程度とすることができる。
なお、植物性材料の燃焼物等に含まれるカーボンに加えて、市販のカーボン微粉末を用いることもできる。
[微粉末化]
前述した方法などによって得られた植物性シリカは微粉末化される。微粉末化には各種手法を用いることができる。このとき、植物性シリカの微粉末の粒径が、平均粒径(d50:累積50%粒径)0.1~10μmになるように微粉末化することが好ましい。
このようにして得られた植物性シリカの微粉末を用いて、これを所定量含有する繊維を製造する。
なお、植物性シリカとカーボンが含まれる植物性材料の燃焼物等を微粉末化することによって、植物性シリカの微粉末化と同時にカーボンの微粉末化を行うことができる。このとき、カーボンの微粉末の粒径は、通常、植物性シリカの微粉末の粒径よりも小さくなる。カーボンの微粉末の粒径が、平均粒径(d50:累積50%粒径)0.05~10μmになるように微粉末化することが好ましい。燃焼物等の微粉末は、非晶質シリカの微粉末を0.5~15重量%含み、カーボンの微粉末を、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含むことが好ましい。
[ポリマー]
繊維を構成するポリマー、すなわち植物性シリカの微粉末などを練りこむポリマーは、特に制限されない。紡糸時の曵糸性や糸物性を考慮すると、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66等が好ましい。また繊維断面が芯成分と鞘成分からなる芯鞘型の繊維とする場合には、例えば、上記ポリマーから2種類を選び、いずれかを芯成分のポリマーとし、他方を鞘成分のポリマーとすることができる。
[繊維化]
上記植物性シリカの微粉末などを上記ポリマーに添加する。このとき、植物性材料を燃焼又は熱分解させて得られた燃焼物等の微粉末(植物性シリカの微粉末のほか、カーボンなどの微粉末も含んでいる)を上記ポリマーに添加することができる。
芯鞘型の繊維の場合、植物性シリカの微粉末などは、芯成分のポリマーと鞘成分のポリマーのどちらに添加してもよい。芯成分のポリマーと鞘成分のポリマーの双方に添加することもできる。また、植物性シリカの微粉末などを芯成分のポリマーにのみ添加して、その周りを鞘成分のポリマーで覆った、いわゆる芯鞘型の繊維とすることもできる。
芯鞘型の繊維とする場合には、鞘成分と芯成分の比率(重量比率)としては、4:1~1:4の範囲が好ましく、3:1~1:3の範囲がより好ましく、2:1~1:1の範囲が最も好ましい。また、芯成分は繊維中に一芯である必要はなく、2以上の多芯であってもよい。さらに、芯成分の一部が繊維表面に露出していてもよいし、芯成分が鞘成分に覆われていてもよい。
植物性シリカの微粉末などを熱可塑性重合体に添加する方法は特に制限されない。均一分散させるという面からは、二軸押出機を用いてマスターチップ化する方法が好ましい。
植物性シリカの微粉末の添加時期も特に制限されない。重合初期に反応系に添加し、直接紡糸することができる。また、植物性シリカの微粉末を溶融状態にある重合体に混練する、いわゆる後添加方式とすることもできる。さらに、植物性シリカの微粉末を高濃度に含有させたマスターチップを用いる、いわゆるマスターバッチ方式とすることもできる。
植物性シリカの微粉末の添加量は、好ましくは繊維中の0.5~15.0重量%であり、より好ましくは繊維中の0.5~10.0重量%、さらに好ましくは繊維中の0.5~5.0重量%である。
本発明の繊維中には、植物性シリカの微粉末の他に、カーボンの微粉末、各種安定剤や顔料、染料、無機添加剤等を含有させてもよい。カーボンの微粉末を、植物性シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含有する繊維とすることが好ましい。
繊維化するには、上記材料を用いて、通常の繊維製造工程をそのまま用いることが可能である。繊維の太さとしては、0.5~15デシテックスの範囲が好ましい。
繊維の断面形状は特に制限されない。丸断面のほか、例えば、三~六角断面等の多角断面、T字型断面、U字型断面とすることができる。
2.糸及び混紡糸
上記繊維を、それ単独で紡糸して糸とすることができる。また、上記繊維を短繊維化し、他の繊維の短繊維と混紡して混紡糸とすることができる。
上記繊維を短繊維化する場合、従来公知の方法などを用いることができる。繊維長は、好ましくは25~150mmであり、より好ましくは35~100mm、最も好ましくは、40~60mmである。捲縮数は、例えば3.3dtexの場合、12~15個/inch、捲縮率は概ね10%とすることが好ましい。
植物性シリカの微粉末を含有する上記繊維と混紡する繊維は、特に限定されない。例えば、消臭機能を有する繊維、アラミド繊維、中空化繊維などを挙げることができる。
消臭機能を有する繊維としては、消臭機能を有していれば特に制限されない。例えば、四価金属のリン酸塩、二価金属の水酸化物および光触媒を含有する熱可塑性ポリマーからなる消臭繊維を用いることができる。具体的には、例えば、消臭繊維が、芯部と鞘部からなる芯鞘型複合構造であり、前記芯部は、融点が150℃以上の熱可塑性ポリマーからなり、前記鞘部は、ポリブチレンテレフタレートからなり、前記鞘部に、四価金属のリン酸塩、二価金属の水酸化物および光触媒ならびに酸化防止剤が含有されてなる、消臭繊維を用いることができる。
アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維、パラ系アラミド繊維が挙げられる。なかでも、耐切創性および耐熱性に優れる点より、パラ系アラミド繊維が好ましい。このようなパラ系アラミド繊維としては、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン(株)製、商品名:ケブラー(登録商標))、コポリパラフェニレン‐3,4'‐ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人テクノプロダクツ社製、商品名「テクノーラ」)等がある。これらの繊維の中でも、特に耐切創性に優れているポリパラフェニレンテレフタルアミド(以降PPTAと称する場合がある)繊維が好ましい。
中空化繊維としては、中空化している繊維又は中空化が可能な繊維であれば特に限定されない。中空化が可能な繊維としては、例えば、水溶性ではない熱可塑性重合体を海成分とし、水溶性の熱可塑性重合体を島成分とする複合短繊維を用いることができる。具体的には、例えば、平衡水分率が2%以下である熱可塑性重合体を海成分とし、水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体を島成分とする複合繊維を挙げることができる。このような複合繊維は、水で処理して複合繊維から水溶性熱可塑性ポリビニルアルコール系重合体を溶解除去することで、複合繊維を中空化した中空繊維とすることができる。
3.繊維構造物
上記糸や混紡糸は、織物、編物等の布帛に加工されたり縫製されたりして繊維構造物(繊維製品)とすることができる。
例えば、織布、編布、不織布等の布帛;パイル織物、パイル編物等のパイル布帛;これらのものから形成された衣類やその他の身体着用品;インテリア製品類;寝具類;食品用包装材などを挙げることができる。具体的には下着、セーター、ジャケット、パジャマ、浴衣、白衣、スラックス、靴下、手袋、ストッキング、エプロン、マスク、タオル、ハンカチ、サポーター、ヘッドバンド、帽子、靴のインソール、芯地等の衣類や身体着用品;各種カーペット、カーテン、壁紙、障子紙、襖、繊維製ブラインド、人工観葉植物、椅子等の布張用生地、テーブルクロス、電気製品カバー、畳、布団の中詰材(詰綿等)、布団の側地、シーツ、毛布、布団カバー、枕、枕カバー、ベッドカバー、ベッドの中詰材、マット、衛生材料、便座カバー、ワイピングクロス、空気清浄機やエアーコンディショナー等のフィルターなどを挙げることができる。
次に、実施例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに制限されるものではない。実施例中の比率および%は、重量に関するものである。
[実施例1]
本実施例1では、籾殻を500℃以下の温度(300~500℃)で熱分解させて得られた燃焼物等(熱分解物)を用いた。熱分解は数日間行った。この燃焼物等に含まれる植物性シリカAは非晶質であったものの、燃焼物等におけるシリカの含有率が86重量%と比較的低かった。その一方で、燃焼物等には比較的多くのカーボン(グラファイト)が含まれていた。
そして、この植物性材料の燃焼物等を粉砕し、平均粒子径1μmに微粉末化した植物性シリカAの微粉末など(カーボンなどの微粉末も混合されている)を得た。得られた粉砕物の色調はグレーであった。
この植物性シリカの微粉末などを所定の濃度となるように室温でエチレングリコールに混合し、十分撹拌した。その後、テレフタル酸を、エチレングリコールとテレフタル酸とのモル比が1.2となるように調整して混合し、スラリーを作製した。このスラリーをエステル化槽に連続的に供給してエステル化を行いエステル化率98%のエステル化物を得た)。なお、重合触媒は、Sbを使用した。ここで得られた重合体を用い、公知の方法に従って紡糸・延伸を行い、極限粘度〔η〕0.63で84デシテックス‐24フィラメントのマルチフィラメント糸を得た。このマルチフィラメント糸は、植物性シリカAの微粉末を3重量%含有しており、カーボンの微粉末を植物性シリカAの微粉末100重量部に対して3.5重量部含有していた。
次に、蓄熱保温性を評価するため、前記マルチフィラメント糸を用いて目付200g/mのニットを作製し、このニットを180℃×1分の条件下で熱セットして試料Cとした後、図1に例示するように、この試料Cの下側に熱電対15を配置して試料台(発泡スチロール製)に載置し、図示しない作業ホルダで固定した後、人工太陽光(使用ランプ12:岩崎電気(株)製 アイランプ<スポット>PRS100V500W)を照射して15分後の試料温度を測定した。照射距離Lは50cm、室温は20±2℃とした。
蓄熱保温性の評価は、ポリエステル繊維を用いたニットを対照(図1中の試料R)として、各実施例の繊維から作成した試料Cがどの程度高い温度を示すか温度差(ΔT℃)を測定し、下記基準で評価した。なお、試料(図1中のCとR)の位置を入れ替えて2回測定し、そのデータを平均した値を試験結果とした。
◎:温度差7℃以上
○:温度差5℃以上
△:温度差1℃以上~5℃未満
×:温度差1℃未満
評価結果を表1に示す。実施例1のニットは、蓄熱保温性が特に優れていた。
[実施例2]
本実施例2では、籾殻を概ね1000℃の温度で燃焼させて得られた燃焼物等を用いた。この植物性シリカBは籾殻を高温焼成して得られたものであるが、籾殻からアルカリ金属不純物を除去して燃焼させたことにより非晶質となっており、燃焼物等におけるシリカの含有率は99.2重量%と高かった。また、燃焼温度が高いため燃焼物等に含まれるカーボンは僅かであった。
そして、この植物性材料の燃焼物等を粉砕し、平均粒子径1μmに微粉末化した植物性シリカBの微粉末など(カーボンなどの微粉末も僅かに混合されている)を得た。得られた粉砕物の色調は概ねホワイトであった。
この植物性シリカBの微粉末などを用いて、前記実施例1と同様の手法でマルチフィラメント糸を得た。このマルチフィラメント糸は、植物性シリカBの微粉末を3重量%含有しており、カーボンの微粉末を植物性シリカBの微粉末100重量部に対して0.1重量部含有していた。
実施例1と同様にニットを作成し、同様の試験及び評価を行った。評価結果を表1に示す。実施例2のニットは、蓄熱性が優れていたものの、実施例1のニットよりも劣っていた。
Figure 2023076196000002
以上より、カーボンの割合が多い実施例1の方が実施例2よりも蓄熱性が向上している。蓄熱性が向上する詳しいメカニズムは不明であるが、シリカ(珪石)の遠赤外線放射特性は波長5μm以下の領域で大きく減衰する傾向があるところ、カーボンの配合によってこの減衰部分が底上げされ全体としてフラットな赤外線放射特性になるためと推察される。
以上、特定の実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野における熟練者等により、本出願の願書に添付された特許請求の範囲から逸脱することなく、種々の変更及び修正が可能である。
例えば、上記実施形態や実施例では、植物性材料の燃焼物(熱分解物)に含まれるカーボンを微粉末化して繊維に含有させたが、これに限定されない。例えば、カーボン含有率が低い上記実施例2において、市販のカーボンの微粉末を加えてもよい。このとき、カーボンの微粉末の総量が、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部となるように、市販のカーボンの微粉末を加えることが好ましい。
1 蓄熱保温性の評価装置
11 試料台
12 ランプ
15 熱電対

C 各実施例
R 対照

Claims (15)

  1. 植物性シリカの微粉末を含有する繊維。
  2. 植物性シリカが、非晶質シリカである、
    請求項1に記載の繊維。
  3. 植物性シリカの微粉末は、
    平均粒径が0.1~10μmである、
    請求項1又は請求項2に記載の繊維。
  4. 植物性シリカの微粉末を0.5~15重量%含有する、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の繊維。
  5. カーボンの微粉末を含有する、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の繊維。
  6. カーボンの微粉末を、植物性シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含有する、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の繊維。
  7. 非晶質シリカの微粉末とカーボンの微粉末を含有する繊維であって、
    非晶質シリカの微粉末を0.5~15重量%含有し、
    カーボンの微粉末を、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含有する、
    繊維。
  8. 籾殻等のシリカ含有植物性材料を燃焼又は熱分解させて得られた燃焼物等の微粉末を含有する繊維であって、
    前記燃焼物等の微粉末は、
    非晶質シリカの微粉末を0.5~15重量%含み、
    カーボンの微粉末を、非晶質シリカの微粉末100重量部に対して0.5~13.0重量部含む、
    繊維。
  9. 繊維が、芯部と鞘部とからなる芯鞘型複合繊維であり、
    前記芯部にのみ植物性シリカの微粉末を含有する、
    請求項1~8のいずれか1項に記載の繊維。
  10. 請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維を用いた糸。
  11. 請求項10に記載の糸を少なくとも一部に用いた繊維構造物。
  12. 請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維の短繊維と、
    植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維と、を混紡してなる、
    混紡糸。
  13. 植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維が、
    消臭機能を有する繊維の短繊維である、
    請求項12に記載の混紡糸。
  14. 請求項1~9のいずれか1項に記載の繊維の短繊維を10~30重量%と、
    植物性シリカの微粉末を含有していない繊維の短繊維を10~90重量%と、含んでいる、
    混紡糸。
  15. 請求項12~14のいずれか1項に記載の混紡糸を少なくとも一部に用いた繊維構造物。
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