JP2023072630A - 培養器具及び培養器具の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法の提供。【解決手段】細胞を培養する培養器具10であって、非金属基板と金属酸化物層122とを有する積層体を備え、前記金属酸化物層122がアニオンを含み、前記金属酸化物層122において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、前記金属酸化物層122が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具10。【選択図】図1

Description

本発明は、培養器具及び培養器具の製造方法に関する。
近年、医薬品の生産や、遺伝子治療、再生医療、免疫療法等の分野において、細胞や組織等を効率良く大量に培養することが求められているが、細胞や組織を培養時に意図しない菌が混入・増殖(コンタミネーション)し、目的とする細胞の増殖が抑制されることが大きな問題となっている。このような意図しない菌の混入・増殖を防止する目的で培地に抗生物質を添加することが行われている。
しかしながら、抗生物質を繰り返し利用すると、抗菌性物質に対して抵抗性を有する菌が出現し、意図しない菌の混入・増殖を抑制することが難しくなる。そのため、抗生物質の利用は最小限に留める傾向にある。
抗生物質を用いない抗菌性材料としては、例えば非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体であって、前記金属酸化物層が最表面に存在し、かつ、前記金属酸化物層がアニオンを含み、前記アニオンに由来するイオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上である抗菌性積層体が知られている(特許文献1参照)。
また、抗生物質を利用する以外にコンタミネーションを抑制する技術としては、培養器の内槽に抗菌剤を担持させた炭酸ガス培養器、培養器の内槽に紫外線ランプを設置した炭酸ガス培養器、又は紫外線ランプを設置した炭酸ガス培養器内で使用するための遮光性培養容器と、それらを用いた細胞の培養方法が提案されている(特許文献2参照)。
国際公開第2020/067500号 特開平11-290059号公報
特許文献1に記載の抗菌性材料は非常に強い抗菌性を発現するが、特許文献1にはこの抗菌性材料が培養細胞に与える影響について開示がなく、細胞の培養器具に利用可能かは不明である。
特許文献2に記載の培養器は、遮光性培養容器を配置する室内に抗菌剤が担持されており、装置室内での菌の増殖は抑制できる。そのため、培養中に培養器内に付着した菌が混入することは抑制できるものの、培地の調整中に混入した菌の増殖を抑制することは困難である。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、陽極酸化アルミニウム等の金属酸化物は非常に強い抗菌性を発現するにも関わらず、従来の有機系合成抗菌性材料や無機系抗菌性材料と異なり細胞の増殖を阻害しにくいことを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は下記の態様を有する。
[1] 細胞を培養する培養器具であって、
非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体を備え、
前記金属酸化物層がアニオンを含み、
前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、
前記金属酸化物層が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具。
[2] 前記アニオンが、SO 2-、PO 3-、C 2-、C 2-、C 2-及びC 3-からなる群より選ばれる少なくとも1種である、前記[1]の培養器具。
[3] 前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計が3.0atm%以上である、前記[1]又は[2]の培養器具。
[4] 前記金属酸化物層に含まれる金属がバルブ金属である、前記[1]~[3]のいずれかの培養器具。
[5] 前記バルブ金属がアルミニウムである、前記[4]の培養器具。
[6] 前記金属酸化物層において、前記バルブ金属の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに10atm%以上であり、
前記金属酸化物層において、前記バルブ金属以外の金属及びハロゲン原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以下である、前記[4]又は[5]の培養器具。
[7] 前記バルブ金属以外の金属が、銀、銅、チタン及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
前記ハロゲン原子がヨウ素原子である、前記[6]の培養器具。
[8] 前記アニオンに由来する原子がイオウ原子を含み、
前記金属酸化物層において、酸素原子の存在比率がX線光電子分光で分析したときに45atm%以上である、前記[1]~[7]のいずれかの培養器具。
[9] 前記金属酸化物層の厚みが50nm~10μmである、前記[1]~[8]のいずれかの培養器具。
[10] 前記[1]~[9]のいずれかの培養器具の製造方法であって、
95質量%以上のバルブ金属を含む金属層の表面を、濃度0.04M以上の多塩基酸を用いて陽極酸化し、前記金属酸化物層を生成する工程を含む、培養器具の製造方法。
[11] 前記多塩基酸の濃度が0.3M以上である、前記[10]の培養器具の製造方法。
[12] 前記バルブ金属がアルミニウムであり、前記多塩基酸が濃度3M以上の硫酸である、前記[10]又は[11]の培養器具の製造方法。
[13] 前記硫酸の濃度が6M以上である、前記[12]の培養器具の製造方法。
[14] 前記積層体を前記培地と接触する部位に貼着させる、前記[10]~[13]のいずれかの培養器具の製造方法。
本発明によれば、抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い培養器具及び培養器具の製造方法を提供できる。
本発明に係る培養器具の一例を示す斜視図である。 図1に示す培養器具に備わる積層体の一例を示す断面図である。 本発明に係る培養器具の製造工程の一部を示す図であり、アルミニウム基材を電解液中、陽極酸化して酸化皮膜を形成する操作を模式的に示す断面図である。 実施例7で得られた供試品と、ブランクフィルムの全光線透過率を示すグラフである。 実施例12、比較例8および参考例Aの細胞培養試験の測定結果を示すグラフであり、(a)は培養6時間後の細胞生存率の測定結果を示すグラフであり、(b)は培養24時間後の細胞生存率の測定結果を示すグラフであり、(c)は培養4日後の細胞生存率の測定結果を示すグラフであり、(d)は培養7日後の細胞生存率の測定結果を示すグラフである。
以下、本発明に係る培養器具及び培養器具の製造方法の一実施形態を挙げ、図1~3を適宜参照しながら詳述する。
なお、「~」を用いて表される数値範囲には、その両端の数値を含むものとする。
「菌」とは、細菌、菌類等を意味する。
本発明で使用する細菌としては、黄色ブドウ球菌、大腸菌、枯草菌、乳酸菌、緑膿菌、レンサ球菌等が挙げられる。
本発明で使用する菌類としては、糸状菌(カビ、キノコ等)、酵母(サッカロマイセス、シゾサッカロマイセス、クリプトコッカス、カンジタ等)等が挙げられる。
「XPS」は、X線光電子分光(X-ray Photoelectron Spectroscopy)の略称である。
[培養器具]
本発明の一実施形態の培養器具は細胞を培養するための器具であり、非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体を備える。
図1は本発明に係る培養器具の一例を示す斜視図であり、図2は図1に示す培養器具に備わる積層体の一例を示す断面図である。
この例の培養器具10は、細胞を培養するための基材である器具本体11と、器具本体11の培地と接する部位(以下、「培養表面」ともいう。)に設けられた積層体12とを備える。
<器具本体>
この例の器具本体11はディッシュであるが、器具本体11の形状はディッシュに限定されず、例えばウェルプレート、フラスコ、試験管、ジャーファーメンター等であってもよい。
器具本体11の材質としては、細胞毒性が低く、細胞の培養に適したものであれば特に限定されないが、例えばプラスチック(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレン等)、金属(ステンレス、銅、鉄、ニッケル、アルミニウム、チタン、金、銀、白金、これらの酸化物等)、ガラス等が挙げられる。
<積層体>
積層体12は、器具本体11の少なくとも菌の増殖を抑制する部位に設けられる。この例の培養器具10では、器具本体11の内側の底面、すなわち器具本体11の培地と接する部位に積層体12が設けられている。
積層体12は、非金属基板121と、非金属基板121の表面に設けられた金属酸化物層122とを有し、非金属基板121が器具本体11の底面側に位置し、金属酸化物層122が細胞の培養時に培地と接触する側に位置する。すなわち、金属酸化物層122が細胞の培養時に培地と接触する。
(非金属基板)
非金属基板121としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリスチレン等のプラスチック基板等が挙げられる。
非金属基板121は、単層構造であってもよいし、2種以上のプラスチック基板が積層した複層構造であってもよい。
(金属酸化物層)
金属酸化物層122は、積層体12の培地と接触する側の最表面に位置する。
金属酸化物層122は、金属とアニオンとを含む。
金属酸化物層122に含まれるアニオンとしては、硫酸イオン(SO 2-)、リン酸イオン(PO 3-)、シュウ酸イオン(C 2-)、マロン酸イオン(C 2-)、リンゴ酸イオン(C 2-)、クエン酸イオン(C 3-)等が挙げられる。これらの中でも、強い抗菌性を発揮できる観点から、硫酸イオン、シュウ酸イオン、リン酸イオンがより好ましく、硫酸イオンがさらに好ましい。
これらアニオンは、金属酸化物層122に1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
金属酸化物層122において、金属酸化物層122に含まれるアニオンに由来する原子(例えば、イオウ原子、リン原子、炭素原子、酸素原子等)のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計はXPS(X線光電子分光)で分析したときに1.0atm%以上であり、2.5atm%以上が好ましく、3.0atm%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、通常、10atm%以下である。前記原子の存在比率の合計が前記下限値以上であれば、抗菌性が高まる。
詳しくは後述するが、積層体12は電解液である多塩基酸を用いてバルブ金属を含む金属層(金属基材)の表面を陽極酸化することで得られる。このとき、多塩基酸の種類と濃度を調整することで、アニオンに由来するイオウ原子、リン原子及び炭素原子の存在比率の合計を容易に調整することができる。具体的には、多塩基酸の濃度が高くなるに連れて、アニオンに由来するイオウ原子、リン原子及び炭素原子の存在比率の合計は高くなる傾向にある。この場合、アニオンは電解液由来である。
前記イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子がアニオンに由来する原子であるか否かは、XPSにおいて、ケミカルシフトで判定できる。
例えば、169.8±1.4evにピークが現れれば、アニオン由来のイオウ原子であると判定できる。また、290±1.3evにピークが現れれば、アニオン由来の炭素原子であると判定できる。また、132.5±0.4evにピークが現れれば、アニオン由来のリン原子であると判定できる。
なお、本発明において「元素比率」とは、金属酸化物層122に含まれる全ての原子に対する特定の原子の割合を意味する。XPSにおいては、ワイドスペクトルのピーク強度から、各元素の表面における存在比率(atm%)を求めることができる。
XPSによる前述の各原子の存在比率、及び後述の各原子と金属の存在比率の分析方法及び分析条件としては、以下を用いることができる。
・X線光電子分光分析装置:アルバック・ファイ株式会社製、製品名「Quantum-2000」
・X線源:Monochromated-Al-Kα線(出力16kV 34W)
・取り出し角度:45°
・測定エリア:300μm
金属酸化物層122は、酸化皮膜の抗菌性が強くなる観点から、少なくともアニオンに由来する原子としてイオウ原子を含むことが好ましい。この場合において、金属酸化物層122における酸素原子の存在比率はXPSで分析したときに45atm%以上が好ましく、55atm%以上がより好ましい。上限は特に限定されないが、通常、60atm%以下である。酸素原子の存在比率が前記下限値以上であれば、より多くのアニオン由来の元素を酸化皮膜中に固定化し、抗菌性をより高めることができる。
金属酸化物層122に含まれる金属としては特に限定されないが、バルブ金属が好ましい。
バルブ金属は、酸化力のある酸との接触又は陽極酸化処理等の酸化処理により表面に不働態の酸化皮膜を生じる金属である。
バルブ金属としては特に限定されないが、例えばアルミニウム、クロム、チタン及びこれらのうち2種以上の合金等が挙げられる。これらの中でも、加工性が良好であり、安価であることから、アルミニウムが好ましい。
これらバルブ金属は、金属酸化物層122に1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
金属酸化物層122は、バルブ金属以外の金属(以下、「非バルブ金属」ともいう。)を含んでいてもよい。
非バルブ金属としては特に限定されないが、例えば銀、銅、チタン、ゲルマニウム及びこれらのうち2種以上の合金等が挙げられる。
これら非バルブ金属は、金属酸化物層122に1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
また、金属酸化物層122は、ハロゲン原子を含んでいてもよい。
ハロゲン原子としては特に限定されないが、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。これらの中でも塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましく、ヨウ素原子がさらに好ましい。
これらハロゲン原子は、金属酸化物層122に1種単独で含まれていてもよいし、2種以上が組み合わされて含まれていてもよい。
金属酸化物層122において、金属酸化物層122に含まれるバルブ金属の存在比率の合計はXPSで分析したときに10atm%以上が好ましく、15atm%以上がより好ましく、20atm%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常、40atm%以下である。バルブ金属の存在比率の合計が前記下限値以上であれば、電解液由来のアニオンをより多く酸化皮膜中に固定することができる。
金属酸化物層122において、金属酸化物層122に含まれる非バルブ金属及びハロゲン原子の存在比率の合計はXPSで分析したときに1.0atm%以下が好ましい。下限は特に限定されないが、通常、0.0atm%以上である。非バルブ金属及びハロゲン原子の存在比率の合計が前記上限値以下であれば、後述の陽極酸化の際に非バルブ金属及びハロゲン原子が脱落して表面にマクロな凹凸が形成され、表面が白濁することを抑制することができる。
金属酸化物層122の全光線透過率は、30%以上が好ましく、50%以上がより好ましく、60%以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、通常、95%以下である。金属酸化物層122の全光線透過率が前記下限値以上であれば、培養器具10中の培養物を視認することができる。
ここで、金属酸化物層122の全光線透過率は、JIS K 7136:2000「プラスチック-透明材料のヘーズの求め方」に記載の方法で測定できる。
金属酸化物層122の厚みは、50nm~10μmが好ましく、55nm~1μmがより好ましく、60~500nmがさらに好ましい。金属酸化物層122の厚みが前記範囲内であると、後述する陽極酸化処理の時間が長くなることを抑制することができる。
金属酸化物層122の厚みは、断面を走査電子顕微鏡(SEM)で観察することで求められる。
図2に示すように、金属酸化物層122は、培地と接触する側の最表面に複数の凸部122aを有してもよい。この場合において、隣接する凸部間の平均間隔は、20~600nmの範囲とすることが好ましい。金属酸化物層122の最表面に凹凸構造を設けることにより、親水性や撥水性等の機能をさらに付与することができる。
凸部122aは、培養する細胞の定着性が向上する観点から、針状突起が好ましい。
(他の層)
積層体12は、非金属基板121と金属酸化物層122との間に、金属層(図示略)を有していてもよい。金属層に含まれる金属は、金属酸化物層122に含まれる金属と同様であってもよい。
[培養器具の製造方法]
以下、培養器具の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の培養器具の製造方法(以下、単に「本実施形態の製造方法」という場合がある。)は、95質量%以上のバルブ金属を含む金属層(金属基材)の表面を、濃度0.04M以上の多塩基酸を用いて陽極酸化し、前記金属酸化物層を生成する工程を含むことが好ましい。
バルブ金属は、上述した通りである。
金属層が95質量%以上のバルブ金属を含むとは、バルブ金属の総質量に対するバルブ金属の含有量(純度)が95質量%以上であることを意味する。バルブ金属の純度は、95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.9質量%以上がさらに好ましく、99.99質量%以上が特に好ましい。バルブ金属の純度が前記下限値以上であれば、陽極酸化の際に異種金属が脱落し、表面にマクロな欠陥が発生することを抑制することができる。
多塩基酸は、塩基度が2以上の酸である。ここで、塩基度は、その酸の1分子中に含まれる水素原子のうち、金属原子で置き換えられる水素原子の数である。
多塩基酸としては特に限定されないが、例えば硫酸(二塩基酸)、リン酸(三塩基酸)、シュウ酸(二塩基酸)、マロン酸(二塩基酸)、リンゴ酸(二塩基酸)、クエン酸(三塩基酸)等が挙げられる。これらの中でも、均一な性質の陽極酸化皮膜を形成できる観点から、硫酸、シュウ酸、リン酸が好ましく、硫酸がより好ましい。
これら多塩基酸は、1種単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わされて用いられてもよい。
多塩基酸の濃度は、強い抗菌性を有する酸化皮膜を形成する観点から、0.04M(0.04mol/dm)以上が好ましく、0.3M(0.3mol/dm)以上がより好ましく、3M(3mol/dm)以上がさらに好ましい。上限は特に限定されないが、濃度によって酸化力を有するようになる場合は、酸化力を有さない濃度が好ましく、通常、15M(15mol/dm)以下である。
金属層に含まれるバルブ金属がアルミニウムであり、多塩基酸が硫酸である場合は、硫酸の濃度は、0.3M(0.3mol/dm)以上が好ましく、2.5M(2.5mol/dm)以上がより好ましく、3M(3mol/dm)以上がさらに好ましく、6M(6mol/dm)以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、通常、15M(15mol/dm)以下であり、12M(12mol/dm)以下が好ましい。
本実施形態の製造方法において、陽極酸化は、1回に限定されず、2回以上行ってもよい。2回以上行うときは、多塩基酸の種類及び濃度を変更してもよい。
また、本実施形態の製造方法は、酸化皮膜に形成された細孔径を拡大させる処理(以下、細孔径拡大処理と記す。)を有してもよい。細孔径拡大処理は、酸化皮膜を溶解する溶液に浸漬して陽極酸化で得られた細孔の径を拡大させる処理である。このような溶液としては、例えば、5質量%のリン酸水溶液等が挙げられる。細孔径拡大処理の時間を長くするほど、細孔径は大きくなる。また、細孔拡大処理と陽極酸化とを交互に繰り返し行うことで、隣り合う細孔の間に針状突起が形成された酸化皮膜を形成することができる。
以下では、バルブ金属としてアルミニウムを用いる場合を例にとり、本実施形態の製造方法をより具体的に説明する。
本実施形態の培養器具は、例えば、以下の(a-1)、(b)及び(c)の処理、又は(a-2)及び(c)の処理を経て製造できる。
(a-1):アルミニウム基材の表層を電解液中で陽極酸化して、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜が形成された陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得る。
(a-2):非金属基板上に形成されたアルミニウム層を電解液中で陽極酸化して、表面に酸化皮膜が形成された積層体を得る。
(b):(a-1)で得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を非金属基板に貼着し、積層体を得る。
(c):(b)又は(a-2)で得られた積層体を器具本体の培地と接触する部位に貼着して、培養器具を得る。
(a-1)の処理について、図3により説明する。
図3に示すように、アルミニウム基材21を陽極酸化すると、細孔22を有する酸化皮膜23が形成され、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材20が得られる。
陽極酸化で形成される細孔22の規則性は、陽極酸化を長時間行うほど向上する。しかし、本発明において用いる金属酸化物層の抗菌性は、細孔の規則性に影響されるものではないので、長時間の陽極酸化を行う必要はない。
(a-2)の処理において、非金属基板上にアルミニウム層を形成する方法としては特に限定されず、例えば蒸着、スパッタリング、アルミニウム箔を貼り付ける等の方法により、非金属基板上にアルミニウム層を形成すればよい。
(a-1)の処理及び(a-2)の処理で用いるアルミニウムの純度は95質量%以上が好ましく、99質量%以上がより好ましく、99.5質量%以上がさらに好ましく、99.9質量%以上が特に好ましい。アルミニウムの純度が高いほど、陽極酸化に要する時間を短くできることができる。
また、(a-1)の処理及び(a-2)の処理で用いる電解液としては、上述した多塩基酸の水溶液が挙げられる。中でも、硫酸、シュウ酸水溶液、リン酸水溶液が好ましく、硫酸がより好ましい。
硫酸を電解液として用いる場合、硫酸の濃度は0.3M(0.3mol/dm)以上が好ましく、2.5M(2.5mol/dm)以上がより好ましく、3M(3mol/dm)以上がさらに好ましく、6M(6mol/dm)以上が特に好ましい。上限は特に限定されないが、通常、15M(15mol/dm)以下であり、12M(12mol/dm)以下が好ましい。
陽極酸化の際の通電時間は、形成したい酸化皮膜の膜厚に応じて適宜設定すればよいが、酸化皮膜の生産効率を維持する観点から、30秒~15分が好ましく、1~10分がより好ましく、1~5分がさらに好ましい。
陽極酸化の際の印加電圧は、15~50Vが好ましく、20~30Vがより好ましい。印可電圧が高すぎると、焼けと呼ばれる現象が発生し、酸化皮膜が破壊されてしまう場合がある。印可電圧が低すぎると、酸化皮膜の形成に長時間が必要になってしまう。
陽極酸化の際の電解液の温度は、0~30℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。温度が高くなると、より電流が流れやすくなるため、電流集中による酸化皮膜の破壊が発生する場合がある。温度が低すぎると電解液が凍結してしまう恐れがある。
シュウ酸水溶液を電解液として用いる場合、シュウ酸の濃度は酸化皮膜が強い抗菌性を発現する観点から、0.01M以上が好ましく、0.01~0.7Mがより好ましく、0.01~0.1Mがさらに好ましい。
陽極酸化の際の通電時間は、形成したい酸化皮膜の膜厚に応じて適宜設定すればよいが、酸化皮膜の生産効率を維持する観点から、30秒~15分が好ましく、1~10分がより好ましく、1~5分がさらに好ましい。
陽極酸化の際の印加電圧は、50~100Vが好ましく、60~100Vがより好ましい。印可電圧が高すぎると、焼けと呼ばれる現象が発生し、酸化皮膜が破壊されてしまう場合がある。印可電圧が低すぎると、酸化皮膜の形成に長時間が必要になってしまう。
陽極酸化の際の電解液の温度は、0~30℃が好ましく、0~20℃がより好ましい。温度が高くなると、より電流が流れやすくなるため、電流集中による酸化皮膜の破壊が発生する場合がある。温度が低すぎると電解液が凍結してしまう恐れがある。
リン酸水溶液を電解液として用いる場合、リン酸の濃度は酸化皮膜が強い抗菌性を発現する観点から、0.01M以上が好ましく、0.03~2.5Mがより好ましく、0.05~1Mがさらに好ましい。
陽極酸化の際の通電時間は、形成したい酸化皮膜の膜厚に応じて適宜設定すればよいが、酸化皮膜の生産効率を維持する観点から、1~15分が好ましく、3~10分がより好ましく、5~10分がさらに好ましい。
陽極酸化の際の印加電圧は、100~300Vが好ましく、150~250Vがより好ましい。印可電圧が高すぎると、焼けと呼ばれる現象が発生し、酸化皮膜が破壊されてしまう場合がある。印可電圧が低すぎると、酸化皮膜の形成に長時間が必要になってしまう。
陽極酸化の際の電解液の温度は、0~20℃が好ましく、0~10℃がより好ましい。温度が高くなると、より電流が流れやすくなるため、電流集中による酸化皮膜の破壊が発生する場合がある。また、リン酸は高温になると酸化皮膜の溶解能が上がるため、酸化皮膜を形成することが難しくなる。温度が低すぎると電解液が凍結してしまう恐れがある。
(a-1)の処理及び(a-2)の処理により形成された酸化皮膜が積層体の金属酸化物層となる。
陽極酸化により、アルミニウム基材又はアルミニウム層を完全に陽極酸化することで、金属酸化物層を透明にすることができる。この際に、培養器具を透明にするために、非金属基板上としては透光性を有する樹脂基板を用いることが好ましい。
アルミニウム基材又はアルミニウム層を完全に陽極酸化する工程に必要な時間を短縮するため、アルミニウム基材及びアルミニウム層は薄膜であることが好ましい。具体的には、アルミニウム基材及びアルミニウム層の厚みは、それぞれ50nm~1μmであることが好ましく、55~500nmであることがより好ましい。
なお、アルミニウム基材の表面を陽極酸化する場合は、上述したような陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材が得られる。この場合、陽極酸化されていない部分(例えば図3に示すアルミニウム基材21)が、上述した金属層となる。
(b)の処理において、非金属基板に陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を貼着する方法としては特に限定されず、例えば培養に影響しにくい接着剤等を用いて非金属基板に陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を貼着すればよい。
(c)の処理において、器具本体の培地と接触する部位(図1に示す器具本体11の場合は、器具本体11の内側の底面)に積層体を貼着する方法としては特に限定されず、例えば培養に影響しにくい接着剤等を用いて器具本体の培養表面に積層体を貼着すればよい。このとき、積層体の非金属基板が器具本体と接触し、金属酸化物層が細胞の培養時に培地と接触するように、器具本体の培養表面に積層体を貼着する。
(c)の処理により、菌の増殖を抑制したい部分に金属酸化物層を有する培養器具が得られる。こうして得られる培養器具は、細胞の培養中に目的の細胞の増殖を阻害することなく、意図せずに混入した菌が培地中で増殖することを抑制することができる。
[作用効果]
本実施形態の培養器具は、上述した金属酸化物層を有する積層体を備える。
通常、酸化アルミニウムは抗菌性を有さないのが通説だが、本発明者らは、陽極酸化アルミニウム等の金属酸化物が、この金属酸化物の層に含まれるアニオンに由来するイオウ原子、リン原子、炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がXPSで分析したときに1.0atm%以上である場合、非常に強い抗菌性を有することを見出した。本実施形態の培養器具は、例えば陽極酸化アルミナの最表面に銀、銅、亜鉛、酸化チタン、ヨウ素等の抗菌性材料を担持させることのみによって抗菌性を発揮させるものではない。本実施形態の培養器具を構成する積層体は、高濃度の電解液でバルブ金属を含む金属層(金属基材)を陽極酸化してアニオンを酸化皮膜中にドープして、酸化皮膜そのもので抗菌性を発揮している。そのために、別途非バルブ金属やハロゲン原子を表面に担持させる工程を実施する必要がなくなり、簡便に培養器具を製造することができる。しかも、金属酸化物は細胞毒性が低い。
よって、本実施形態の培養器具は、抗生物質を使用することなく、優れた抗菌効果を発揮し、細胞毒性が低い。
[他の実施形態]
本発明の培養器具は、上述したものに限定されない。
上述した培養器具においては、器具本体の培養表面に上述した積層体が設けられているが、例えば、器具本体の少なくとも培地と接触する部位が非金属基板で構成されており、この非金属基板上に金属酸化物層が設けられた培養器具であってもよい。このような培養器具は、例えば以下の(a-1)及び(d)の処理、又は(e)の処理を経て製造できる。
(a-1):アルミニウム基材の表層を電解液中で陽極酸化して、アルミニウム基材の表面に酸化皮膜が形成された陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得る。
(d):(a-1)で得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を、少なくとも培地と接触する部位が非金属基板で構成されている器具本体の前記非金属基板上に貼着し、培養器具を得る。
(e):少なくとも培地と接触する部位が非金属基板で構成されている器具本体の前記非金属基板上に形成されたアルミニウム層を電解液中で陽極酸化して酸化皮膜を形成し、培養器具を得る。
(d)の処理において、非金属基板に陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を貼着する方法としては特に限定されず、例えば培養に影響しにくい接着剤等を用いて非金属基板に陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を貼着すればよい。
(e)の処理において、非金属基板上にアルミニウム層を形成する方法としては特に限定されず、例えば蒸着、スパッタリング、アルミニウム箔を貼り付ける等の方法により、非金属基板上にアルミニウム層を形成すればよい。
なお、(d)及び(e)の処理で用いる器具本体は、全てが非金属基板で構成されていてもよい。
[細胞の培養方法]
細胞の培養には、上述した本発明の培養器具を用い、培養器具の金属酸化物層上に培地を添加して培養を行う。
本発明の培養器具で培養できる細胞の種類としては特に限定されない。
細胞の培養環境(培養条件)は培養する細胞の種類に応じて適宜選択が可能である。
また、培養時間についても用いられる細胞種、細胞数によって任意に選択することが可能である。
培養温度についても目的とする細胞種に適した条件であればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明の実施の形態は、本発明の要旨を変更しない限り、種々の変形が可能である。以下の記載において、特に断りがない限り「%」は「質量%」を意味する。
[実施例1]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材(アルミニウム板)を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、0.3M硫酸中で、直流25V、温度17℃の条件で1分間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。貼り付けにはシアノアクリレート系接着剤を用いた。以下の実施例についても同様である。また、得られた供試品の大きさは縦50mm×横50mmであり、以下の実施例及び比較例についても同様である。
[実施例2]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、0.05Mシュウ酸水溶液中で、直流80V、温度17℃の条件で100秒間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。
[実施例3]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、0.1Mリン酸水溶液中で、直流195V、温度0℃の条件で8分間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。
[比較例1]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化したアルミニウム基材(50mm×50mm)を供試品とした。
[比較例2]
50mm×50mmのアクリル樹脂製のフィルム(アクリル板)を供試品とした。
[抗菌性試験1]
JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)に準拠し、実施例1~3及び比較例1、2で得られた供試品について抗菌性試験を行った。
<1.供試菌>
・黄色ブドウ球菌:Staphylococcus aureus NBRC 12732
・大腸菌:Escherichia coli NBRC 3972
<2.試験片の作製>
供試品(50mm×50mm)を75%エタノールに20分間浸漬した後、十分に乾燥させたものを試験片とした。試験片は、例ごとに3個用意した。
<3.試験菌液の調製>
供試菌を普通寒天培地に移植し、35℃で24時間培養した後、1白金耳を再度普通寒天培地に移植し、35℃で20時間培養した。この菌体を1/500濃度の普通ブイヨン培地に均一に分散させたものを試験菌液とした。
<4.試験操作>
実施例1~3については、試験片の加工面(すなわち、陽極酸化皮膜上)に試験菌液0.4mLを滴下し、その上から試験片と同様の処理をしたポリエチレンテレフタレート板(40mm×40mm)を被せ、試験菌液が全体に行き渡るように押さえつけた。
比較例1、2については、試験片の片面について同様の操作を行った。
前記の各例の試験片3個ずつを温度35℃、相対湿度90%以上で24時間静置した。
<5.菌数測定>
24時間静置後の試験片を、それぞれ滅菌ストマッカー袋に入れ、これにSCDLPブイヨン培地10mLを加え、菌液を十分に洗い出して試料とした。試料1mLを、標準寒天培地を用いて35℃で48時間培養した後、濁度計を用いて生菌数を測定した。
測定結果を表1に示した。なお、実施例1~3、比較例1、2の生菌数は、試験片3個から得られた結果の平均値である。
<6.初発菌数の測定>
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化したアルミニウム基材(50mm×50mm)を75%エタノールに20分間浸漬した後、十分に乾燥させたものを無加工試験片とした。無加工試験片は、3個用意した。
無加工試験片の片面に試験菌液0.4mLを滴下し、その上から試験片と同様の処理をしたポリエチレンテレフタレート板(40mm×40mm)を被せ、試験菌液が全体に行き渡るように押さえつけた。無加工試験片を滅菌ストマッカー袋に入れ、これにSCDLPブイヨン培地10mLを加え、菌液を十分に洗い出して試料とした。試料1mLを、標準寒天培地を用いて35℃で48時間培養した後、濁度計を用いて生菌数(初発菌数)を測定した。測定結果を表1に示す。生菌数は3個の試験片から得られた結果の平均値である。
<7.抗菌性の評価>
各例について前記試験片3個の24時間静置前後の生菌数を、濁度計を用いて測定し、平均値を求め、初発菌数に比べて生菌数が1/100以下(1%以下)になったものについて、抗菌性ありと評価した。評価結果を表1に示す。A、Bを合格とする。
(評価基準)
A:2種類の菌に対して抗菌性がある。
B:1種類の菌に対して抗菌性ある。
C:2種類の菌に対して抗菌性がない。
Figure 2023072630000002
表1の結果から明らかなように、実施例1、2は、黄色ブドウ球菌、大腸菌の増殖を強く抑制していた。多塩基酸(電解液)として硫酸を使用した実施例1は、特に優れた抗菌性を示した。多塩基酸としてリン酸を用いた実施例3は黄色ブドウ球菌の増殖を抑制できたが、大腸菌に対しては効果が弱かった。
対して、陽極酸化皮膜を有さないアルミニウム基材を使用した比較例1は、抗菌性に劣っていた。アクリル板を使用した比較例2は、抗菌性に劣っていた。
上述のJIS Z 2801:2010での試験は、500倍に希釈したNB培地を用いた。特に高い効果を示した、多塩基酸として硫酸を用いて製造した供試品について、抗菌性試験2として、JIS Z 2801:2010よりも厳しい条件下で、さらに効果の検証を行った。
[実施例4]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、0.3M硫酸中で、直流25V、温度17℃の条件で1分間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。
[実施例5]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、6M硫酸中で、直流25V、温度17℃の条件で1分間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。
[実施例6]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化した。
電解研磨したアルミニウム基材について、12M硫酸中で、直流25V、温度17℃の条件で1分間陽極酸化を行い、陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材を得た。
得られた陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材をポリエチレン板に貼り付けて、抗菌性積層体(供試品)を製造した。
[実施例7]
厚さ0.2mmのポリプロピレンフィルム基材(アクリサンデー株式会社製、商品名「PPクラフトフィルムPF-11」)の表面に、スパッタリング法により厚み50nm、純度99.999%のアルミニウム層を成膜し、アルミニウム積層ポリプロピレンフィルム(アルミ積層体)を得た。
得られたアルミニウム積層ポリプロピレンフィルムを、ディップコーターを用いて2mm/分の速さで徐々に電解液に浸漬させながら、直流25V、温度17℃の条件で陽極酸化し、成膜したアルミニウム層がほぼ完全に陽極酸化された抗菌性積層体(供試品)を製造した。電解液には12M硫酸を用いた。
得られた抗菌性積層体は、アルミニウム層が完全に陽極酸化されており、透光性を有していた。
[比較例3]
純度99.99%の板状のアルミニウム基材を、羽布研磨及び過塩素酸/エタノール混合溶液(1/4体積比)中で電解研磨し鏡面化したアルミニウム基材(50mm×50mm)を供試品とした。
[抗菌性試験2]
JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)の内容を一部改変し、実施例4~7、比較例3で得られた供試品について抗菌性試験を行った。
具体的には、試験菌液の調製の際、菌体を均一に分散する普通ブイヨン培地の濃度を、JIS規格よりも5倍濃い1/100濃度とした。それ以外は、抗菌性試験1と同様の操作を行い、生菌数を測定し、抗菌性を評価した。測定結果を表2に示す。なお、生菌数は3個の試験片から得られた結果の平均値である。
Figure 2023072630000003
表2の結果から明らかなように、JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)よりも細菌が増殖しやすい環境下で行った抗菌性試験2では、実施例4は黄色ブドウ球菌の増殖を抑制できたが、大腸菌に対しては効果が弱かった。一方、実施例5~7は黄色ブドウ球菌、大腸菌の双方の増殖を強く抑制できた。
対して、陽極酸化皮膜を有さないアルミニウム基材を使用した比較例3は、抗菌性に劣っていた。
[XPS分析]
実施例4~6で得られた供試品の表面について以下の条件で測定を行ない、金属酸化物層である陽極酸化皮膜の表面における、各原子の存在比率を求めた。測定結果を表3に示す。なお、測定条件は以下の通りである。
・X線光電子分光分析装置:アルバック・ファイ株式会社製の製品名「Quantum-2000」
・X線源:Monochromated-Al-Kα線(出力16kV、34W)
・取り出し角度:45°
・測定エリア:300μm□
得られた結果を表3に示す。なお、表中の数字はatm%を示している。
Figure 2023072630000004
表3の結果から明らかなように、JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)よりも細菌が増殖しやすい環境下で行った試験でも効果を示した供試品の表面からは、多塩基酸(電解液)である硫酸のアニオン由来のイオウ原子Sが検出された。さらに、陽極酸化に使用する多塩基酸の濃度を高くすることにより、表面の多塩基酸に由来するアニオン由来の原子の存在比率が高くなることが明らかになった。
また、炭素原子Cのピーク位置はC-C、C-H結合に由来する285evにシャープなピークが観察され、カルボキシル基に由来する290±1.3evに目立ったピークが観測されなかったために、Cはアニオン由来ではなく、表面に付着した汚れ等に由来するものと判断した。
[透過率の測定]
実施例7で得られた供試品、及びその製造に用いたポリプロピレンフィルム基材(以下、「ブランクフィルム」ともいう。)について、全光線透過率の測定を行った。測定にはJIS K 7136:2000(対応国際規格ISO 14782:1999)に準拠したヘイズメーター(スガ試験機株式会社製)を用いた。結果を図4に示す。なお、実施例7については、供試品の任意の3か所について全光線透過率を測定した。
図4の結果から明らかなように、実施例7で得られた供試品(透明化サンプル)は可視光の全波長帯の光を透過していた。
[抗菌性試験3]
JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)の内容を一部改変し、アクリル板及び実施例6で得られた供試品について抗菌性試験を行った。
具体的には、試験菌液の調製の際、菌体を均一に分散する普通ブイヨン培地の濃度を、JIS規格よりも10倍濃い1/50濃度(実施例8、比較例4)、50倍濃い1/10(実施例9、比較例5)、100倍濃い1/5(実施例10、比較例6)、500倍濃い原液(実施例11、比較例7)とした。それ以外は、抗菌性試験1と同様の操作を行い、それぞれの培地濃度で抗菌性試験を実施し、生菌数を測定し、抗菌性を評価した。測定結果を表4に示す。なお、生菌数は3個の試験片から得られた結果の平均値である。また、実施例8~11では、実施例6で得られた供試品を用いて抗菌性試験を行い、比較例4~7では、アクリル板を用いて抗菌性試験を行った。
Figure 2023072630000005
表4の結果から明らかなように、JIS Z 2801:2010(対応国際規格ISO 22196:2007)よりも細菌が増殖しやすい環境下で行った抗菌性試験3では、実施例6で得られた供試品を使用した実施例8~11は黄色ブドウ球菌、大腸菌の双方の増殖を強く抑制できた。
対して、アクリル版を使用した比較例4~7は、抗菌性に劣っていた。
[細胞毒性試験]
実施例6で得られた供試品について、「医療機器の製造販売承認申請等に必要な生物学的安全性評価の基本的考え方についての改正について」令和2年薬生機審発0106第1号の別添「医療機器の生物学的安全性試験法ガイダンス」及びISO 10993 5:2009、Biological evaluation of medicaldevices Part 5: Tests for in vitro cytotoxicitに従い、V79細胞を用い、抽出法によるコロニー形成法に基づいて細胞毒性試験を行った。
<1.試験液の調製>
実施例6で得られた供試品を約2mm×15mmの大きさに細切した。その後、55℃、2時間エチレンオキサイドガスによる滅菌を行った。この検体の表面積60cmに対しM05培地を10mLの割合で加えて、37℃の5%COインキュベーター中で24時間振とう抽出を行った。
抽出終了後の抽出液に、変色、混濁及び浮遊物は認められなかった。この抽出液を試験原液(100%)とし、M05培地を用いて以下のように希釈し、計6濃度の検体試験液を調製した。
検体試験液:6.25%、12.5%、25%、50%、75%及び100%
陰性対照材料(約2mm×15mmのポリエチレンフィルム)及び以下に示す陽性対照材料A、B(約2mm×15mmの形状)について、55℃、2時間エチレンオキサイドガスによる滅菌を行い、それぞれ表面積60cmに対しM05培地を10mLの割合で加えて検体と同様に振とう抽出を行った。その抽出液を陰性対照材料試験原液(100%)及び陽性対照材料試験原液(100%)とした。M05培地を用いて陽性対照材料試験原液を適宜希釈し、以下の濃度の試験液を調製した。
陽性対照材料A(0.1%Zinc diethyldithiocarbamate(ZDEC)含有ポリウレタンフィルム)
試験液:0.5%、1.6%及び4.8%
陽性対照材料B(0.25%Zinc diethyldithiocarbamate(ZDEC)含有ポリウレタンフィルム)
試験液:25%、50%及び100%
また、検体試験区及び陽性対照材料試験区のブランクコントロールとして、M05培地のみについて検体と同様の処理を行った空抽出液を使用した。抽出終了後の各対照材料抽出液及びブランクコントロールに、変色、混濁及び浮遊物は認められなかった。
陽性対照物質は、ジメチルスルホキシドを用いて1000μg/mLの濃度に溶解し,陽性対照物質調製液とした。M05培地を用いて陽性対照物質調製液を適宜希釈し、以下の濃度の試験液を調製した。
陽性対照物質試験液:0.5μg/mL、1μg/mL及び2μg/mL
また、陰性対照試験液として、M05培地に5μL/mLとなるようジメチルスルホキシドを添加したものを、ブランクコントロールとしてM05培地を用いた。
<2.試験操作法>
単層に増殖したV79細胞を0.05%トリプシン処理によりはく離し、M05培地を用いて100個/mLの細胞浮遊液を調製した。この細胞浮遊液を組織培養用プラスチックプレートの各ウェルに0.5mLずつ播種し、37℃の5%COインキュベーター中で約6時間培養した。
培養後、細胞がウェルの底面に接着していることを確認してから培地を除き、検体試験区については各濃度の試験液をそれぞれ4個のウェルに0.5mLずつ加え、37℃の5%COインキュベーター中で6日間培養した。陽性対照材料試験区及び陽性対照物質試験区については各濃度の試験液をそれぞれ3個のウェルに0.5mLずつ加え、同様に培養した。
培養終了後、10%中性緩衝ホルマリン液で細胞を固定し、0.1%メチレンブルー溶液で染色して、細胞数50個以上のコロニー数を計測した。
<3.評価基準>
試験原液(100%)におけるコロニー形成率及び検体の50%コロニー形成阻害濃度(IC50値)をもとに、以下の表5に示す基準に従い細胞毒性を評価した。細胞毒性試験の試験結果を表6に示す。
Figure 2023072630000006
Figure 2023072630000007
表6の結果から明らかなように、検体試験液及び陰性対照材料試験液におけるコロニー形成率は、ブランクコントロールに対して特に低下は見られなかった。
以上の結果から、本試験条件下において、実施例6の供試品は細胞毒性を示さなかった。
なお、陽性対照材料及び陽性対照物質試験液を用いて細胞毒性試験を行った結果を表7及び表8に示す。
Figure 2023072630000008
Figure 2023072630000009
[実施例12]
<1.細胞培養用容器の作製>
厚さ0.2mmのポリスチレン基材(三菱ケミカル株式会社製、商品名「二軸延伸ポリスチレンシート」)の表面に、スパッタリング法により厚み50nm、純度99.999%のアルミニウム層を成膜し、アルミニウム積層ポリスチレンフィルムを得た。
得られたアルミニウム積層ポリスチレンフィルムを、ディップコーターを用いて2mm/分の速さで徐々に電解液に浸漬させながら、直流25V、温度0℃の条件で陽極酸化し、成膜したアルミニウム層がほぼ完全に陽極酸化された抗菌性積層体(供試品)を製造した。電解液には12M硫酸を用いた。
得られた抗菌性積層体は、アルミニウム層が完全に陽極酸化されており、透光性を有していた。
この供試品を直径15mmの円形に細断し、UVを30分照射し滅菌処理を行った。その後、24穴ウェルプレート(コーニング社製、商品名「Falcon 351147」、コーティング無)のそれぞれのウェル底部に細断した供試品を配置し、細胞培養用容器を作製した。
<1.細胞培養試験>
単層に増殖した線維芽細胞(NIH/3T3細胞、ATCC CRL-1658)を剥離し、DMEM細胞培養培地を用いて50000個/mLの細胞浮遊液を調製した。この細胞浮遊液を細胞培養用容器の各ウェルに1mLずつ接種し、37℃の5%COインキュベーター中で培養した。培養開始から6時間後、24時間後、4日後、7日後に明視野顕微鏡観察を行い、細胞の増殖を確認した。その結果、培養7日後にウェル底部が増殖細胞で覆いつくされた状態(100%コンフルエント)が達成されたことが確認された。
また、培養開始から6時間後、24時間後、4日後、7日にアラマーブルー法により細胞生存率の測定を行った。その結果を表9及び図5に示す。なお、細胞生存率は、6個の測定結果の平均値であり、参考例Aの細胞生存率を100%として比較を行った。
[比較例8]
供試品の代わりにポリスチレン基材(三菱ケミカル株式会社製、商品名「二軸延伸ポリスチレンシート」)を用いた以外は、実施例12と同様にして細胞培養用容器を作製し、細胞培養試験を行った。その結果を表9及び図5に示す。
また、比較例8の場合、明視野顕微鏡観察の結果、培養7日後においても100%コンフルエントは達成されなかった。
[参考例A]
細胞培養用容器として細胞培養表面処理が施された24穴ウェルプレート(コーニング社製、商品名「セルバインド」)を用いた以外は、実施例12と同様にして細胞培養試験を行った。その結果を表9及び図5に示す。
また、参考例Aの場合、明視野顕微鏡観察の結果、培養7日後において100%コンフルエントが達成された。
Figure 2023072630000010
なお、表9中の「NA」は、培養7日後においても100%コンフルエントが達成されなかったことを意味する。
また、表9中のカッコ内の数値は、標準偏差である。
表9及び図5の結果から明らかなように、実施例12で作製した陽極酸化皮膜の表面では、比較例8と比較して、細胞を大幅に増殖することができた。さらに、細胞の増殖を促進する表面処理が施された参考例Aと同様の細胞増殖促進能を有することが確認できた。
本発明の培養器具は、表面に強い抗菌性を発現するが、細胞毒性を示さず、細胞の増殖を促進する酸化皮膜が菌の増殖を抑制する部分に設けられているため、意図せずに混入した菌の増殖を抑制しつつ、目的の細胞を培養できる細胞の培養器具として有用である。
10 培養器具
11 器具本体
12 積層体
121 非金属基板
122 金属酸化物層
122a 凸部
20 陽極酸化皮膜付きアルミニウム基材
21 アルミニウム基材
22 細孔
23 酸化皮膜

Claims (14)

  1. 細胞を培養する培養器具であって、
    非金属基板と金属酸化物層とを有する積層体を備え、
    前記金属酸化物層がアニオンを含み、
    前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以上であり、
    前記金属酸化物層が細胞の培養時に培地と接触する、培養器具。
  2. 前記アニオンが、SO 2-、PO 3-、C 2-、C 2-、C 2-及びC 3-からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の培養器具。
  3. 前記金属酸化物層において、前記アニオンに由来する原子のうち、イオウ原子、リン原子及び炭素原子の少なくとも1種の原子の存在比率の合計が3.0atm%以上である、請求項1又は2に記載の培養器具。
  4. 前記金属酸化物層に含まれる金属がバルブ金属である、請求項1~3のいずれか一項に記載の培養器具。
  5. 前記バルブ金属がアルミニウムである、請求項4に記載の培養器具。
  6. 前記金属酸化物層において、前記バルブ金属の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに10atm%以上であり、
    前記金属酸化物層において、前記バルブ金属以外の金属及びハロゲン原子の存在比率の合計がX線光電子分光で分析したときに1.0atm%以下である、請求項4又は5に記載の培養器具。
  7. 前記バルブ金属以外の金属が、銀、銅、チタン及びゲルマニウムからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記ハロゲン原子がヨウ素原子である、請求項6に記載の培養器具。
  8. 前記アニオンに由来する原子がイオウ原子を含み、
    前記金属酸化物層において、酸素原子の存在比率がX線光電子分光で分析したときに45atm%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の培養器具。
  9. 前記金属酸化物層の厚みが50nm~10μmである、請求項1~8のいずれか一項に記載の培養器具。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の培養器具の製造方法であって、
    95質量%以上のバルブ金属を含む金属層の表面を、濃度0.04M以上の多塩基酸を用いて陽極酸化し、前記金属酸化物層を生成する工程を含む、培養器具の製造方法。
  11. 前記多塩基酸の濃度が0.3M以上である、請求項10に記載の培養器具の製造方法。
  12. 前記バルブ金属がアルミニウムであり、前記多塩基酸が濃度3M以上の硫酸である、請求項10又は11に記載の培養器具の製造方法。
  13. 前記硫酸の濃度が6M以上である、請求項12に記載の培養器具の製造方法。
  14. 前記積層体を前記培地と接触する部位に貼着させる、請求項10~13のいずれか一項に記載の培養器具の製造方法。
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