JP2023068358A - 転炉における溶銑の精錬方法 - Google Patents

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哲哉 加藤
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Atsushi Yumoto
宗幸 鎌田
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Abstract

【課題】鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることのできる、転炉における溶銑の精錬方法を提供する。【解決手段】転炉における溶銑の精錬方法において、乾燥質量で20質量%超の揮発成分を含有する粉体状または粒体状の昇熱用炭材を、上吹きランス先端軸中心部の中心孔から、搬送ガスと共に転炉内の溶銑の浴面に向けて噴射して供給し、かつ、上吹きランス先端の中心孔の周囲に設けられる周囲孔から、酸素ガスを噴射して供給することで、上吹きランス先端から溶銑浴面の間で、転炉内の高温雰囲気により昇熱用炭材が加熱されて揮発する揮発成分ガスと、周囲の酸素ガスとを混合して燃焼させた燃焼熱により溶銑を加熱するとともに、揮発成分の抜けた昇熱用炭材を溶銑に供給することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法が提供される。【選択図】図1

Description

本発明は、転炉における溶銑の精錬方法に関し、詳しくは、昇熱用炭材を用いて溶銑の熱的余裕を高めながら操業する、転炉における溶銑の精錬方法に関する。
近年、環境保護の観点から、製鉄プロセスにおいてはCO排出量の削減が重要課題となっており、製鋼工程においては、使用する鉄源として鉄スクラップ(屑鉄)などの冷鉄源の配合比率を高め、溶銑の配合比率を低減することが試みられている。これは、鉄鋼製品の製造にあたり、高炉での溶銑の製造では、鉄鉱石を還元し且つ溶融するための多大なエネルギーを要すると同時に多量のCOを排出するのに対し、冷鉄源は溶解熱のみを必要としており、製鋼工程で冷鉄源を利用した場合には、鉄鉱石の還元熱分のエネルギー使用量を少なくすることができ、CO発生量を大幅に削減することができるからである。
しかしながら、高炉-転炉の組み合わせによる溶鋼製造プロセスにおいては、冷鉄源の溶解用熱源は溶銑の有する顕熱、及び、溶銑中の炭素及び珪素の酸化による燃焼熱であり、冷鉄源の溶解量には自ずと限界がある。しかも、溶銑に対して予備処理として脱燐処理が施されるようになり、処理工程の追加に伴う溶銑温度の低下のみならず、脱燐処理において溶銑中の炭素及び珪素が酸化されてこれらの含有量が低下し、冷鉄源の溶解に対して不利になっている。
そこで、溶銑の脱燐処理や脱炭精錬において、溶銑の熱的余裕を高めて冷鉄源の配合比率を拡大するべく、溶銑に追加の炭素源を供給する手段として、塊状に成型した昇温用炭材を転炉の上部から供給する方法や、粉体状にした昇温用炭材を、炉底部に設置された底吹ノズルから、または、転炉上部の上吹きランスから供給する方法等、多数の手段が提案されている。例えば、特許文献1には、溶鉄の転炉製鋼に際して外部から熱源を供給し、転炉の吹錬能力を向上する方法において、炉上から炭素含有物質(炭素やコークスなど)の粉体又は液体(灯油など)と酸素ガスを、ランスを通じて噴出し炉内の溶鉄浴面上に火炎として吹き付けて溶鉄浴面を加熱するとともに、酸素ガスと炭素含有物質を溶鉄浴に供給する製鋼炉への熱源の供給方法が提案されている。
特開昭61-009512号公報
しかしながら、上記従来技術には、以下の問題点がある。
即ち、特許文献1では、熱源付与の目的以外の、溶鉄の硫黄濃度上昇の防止の目的も達成するために、溶鉄の硫黄濃度上昇の原因となる炭素含有物質中の硫黄を溶鉄中に移行させない方策として、添加する炭素含有物質の全部あるいは大部分が浴面上で燃焼するようにしている。そのため、溶銑浴内で脱炭反応の進行により減少した炭素含有量を補って溶銑浴内での脱炭反応をさらに進めるという昇温用炭材の本来の機能を最大限に活かすことができないという問題がある。
以上のとおり、溶銑の脱燐処理や脱炭精錬において、溶銑の熱的余裕を高めて冷鉄源の配合比率を拡大するべく溶銑に追加の炭素源を供給する手段が種々提案されているといえども、依然として改善の余地が残されているといえる。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、転炉における溶銑の精錬方法において、溶銑の熱的余裕を高めながら操業することによって鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることのできる、転炉における溶銑の精錬方法を提供することである。
[1]転炉における溶銑の精錬方法において、乾燥質量で20質量%超の揮発成分を含有する粉体状または粒体状の昇熱用炭材を、上吹きランス先端の軸中心部に設けられる中心孔から、搬送ガスと共に前記転炉内の前記溶銑の浴面に向けて噴射して供給し、かつ、前記上吹きランス先端の前記中心孔の周囲に設けられる周囲孔から、酸素ガスを噴射して供給することで、前記上吹きランス先端から前記溶銑浴面の間で、前記転炉内の高温雰囲気により前記昇熱用炭材が加熱されて揮発する揮発成分ガスと、周囲の前記酸素ガスとを混合して燃焼させた燃焼熱により溶銑を加熱するとともに、前記揮発成分の抜けた前記昇熱用炭材を溶銑に供給することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
[2]前記昇熱用炭材の揮発成分は、乾燥質量で40質量%以下であることを特徴とする、[1]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[3]前記周囲孔から噴射される前記酸素ガスの流量は、前記昇熱用炭材中の揮発成分を溶銑浴面到達前までに完全燃焼させる酸素量以上の流量であることを特徴とする、[1]または[2]に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
[4]前記昇熱用炭材は、石炭、植物系バイオマス、廃プラスチックの群から選択される少なくとも1つを炭化した炭化物である、[1]~[3]のいずれか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
上記の構成によれば、揮発成分を20質量%超含有する昇熱用炭材を上吹きランスの先端から噴射し、溶銑浴面までの間にその揮発成分を燃焼させて溶銑を浴面から輻射加熱するとともに、揮発成分の抜けた昇熱用炭材をそのまま溶銑に供給(加炭)することで脱炭反応を通じて溶銑をさらに加熱して溶銑の熱的余裕を向上させることができるため、鉄スクラップなどの冷鉄源の配合比率を高めることができる。
本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図である。 図1に示す上吹きランス3の先端部を示す図であり、(a)はその概略縦断面図、(b)はその端面図である。 昇熱用炭材の揮発成分量を変化させたときの、上吹きランス先端から噴射方向に延びる昇熱用炭材の火炎の温度分布の測定結果を示す図である。
以下、本発明を具体的に説明する。
本発明は、転炉に収容された溶銑に対して上吹きランスから酸素ガスを供給して行う溶銑の脱炭精錬に適用することができるものである。
本発明において使用する溶銑は、高炉で製造された溶銑であり、この溶銑を、溶銑鍋、トピードカーなどの溶銑搬送容器で受銑して、脱燐処理及び脱炭精錬を実施する転炉に搬送する。転炉で脱燐処理を行う場合には、脱炭処理前に脱燐処理時に生成したスラグを脱炭処理の前までに排出するのが好ましい。
一般に、溶銑の脱炭精錬では、酸素ガスを上吹きランスや底吹きランス羽口から溶銑に吹き付けて、高炉出銑時に含まれる約4質量%の炭素をC+1/2O→CO等の脱炭反応により脱炭して粘り強い鋼の成分に調整する。ここでの酸素ガスとしては、工業用純酸素ガス、工業用純酸素ガスと不活性ガスとの混合ガス等が用いられるが、一般的には工業用純酸素ガスが使用される。
脱炭精錬後の溶鋼温度は、高炉出銑時に含まれる溶銑成分のみで新たな成分添加をしなくても、転炉精錬終了時には1650℃程度にすることができるが、脱燐処理等で脱炭精錬前に溶銑温度が低下した場合や、鉄スクラップ等の冷鉄源を溶解する場合は、昇熱用炭材を溶銑に供給して、さらなる脱炭反応を起こさせ溶銑を昇温する必要がある。
本発明者らは、上記事情に鑑みて、溶銑の脱燐処理や脱炭精錬において冷鉄源の配合比率の拡大を可能とするための溶銑の熱的余裕について、具体的な熱計算により検討した。
転炉で溶銑から溶鋼を製造する場合の、溶銑中に含まれる炭素を酸素で除去する脱炭反応は、以下の様な式で表せる。
C+1/2O→CO-2,200[kcal/kg-C] ・・・(1)
C+O→CO-7,840[kcal/kg-C] ・・・(2)
殆どの脱炭反応は式(1)の反応に留まるが、一部に式(2)の反応にまで到達する{CO/(CO+CO)≒15%}。
ここで、一般的な溶銑には4質量%程度の炭素(溶銑1トン当たり40kg程度)が含まれているとすると、結局、溶銑1トン当たりで、
(2,200[kcal/kg-c]×0.85+7,840[kcal/kg-c]×0.15)×40[kg]
=121,840[kcal/溶銑t] ・・・(3)
の熱が脱炭反応で発生することになる。
一方、転炉に装入される溶銑の温度を1200℃、転炉での脱炭処理の終了段階の溶鋼温度を1650℃とした場合には、溶鋼の比熱を0.206[kcal/kg・℃]として、
{0.206[kcal/kg・℃]×960[kg溶鋼/溶銑t]×(1650-1200)[℃]}
=88,992[kcal/溶銑t] ・・・(4)
の熱を必要とする。
ここで、一般的な転炉の熱効率70%程度を考慮すると、
121,840[kcal/溶銑t]×0.70=85,288[kcal/溶銑t] ・・・(5)
であるから、脱炭反応前の溶銑温度から脱炭反応後の溶鋼温度までの溶鉄の加熱に必要な熱量(式(4)の値)は、脱炭反応による発生熱量の式(3)の値と殆ど同値となる。
更に溶銑装入温度が高温の場合、例えば1300℃の場合は、式(4)相当の値は69,216[kcal/溶銑t]となって式(5)の値を下回ることになり、その差分が余剰熱となる。転炉の通常操業では、この熱余剰の状態を先述の鉄スクラップ等の冷鉄源を溶解する熱源として用いる。
次に、鉄スクラップ等の冷鉄源を溶解し1650℃まで昇温するのに必要な熱量を412[kcal/t-Fe]とし、一例として、吹止温度1650℃、溶銑装入温度1300℃、鉄スクラップ等の冷鉄源(屑鉄)比率3.75%、溶銑比率96.25%の場合を検討する。
式(3)、式(5)から、この場合の溶銑1トン当たりの脱炭反応による発熱量は、
121,840[kcal/溶銑t]×0.9625×0.70=82,089[kcal/溶鋼t]
・・・(6)
また、冷鉄源(屑鉄)溶解昇温熱は、
412[kcal/t-Fe]×0.0375×1000[屑鉄kg/溶鉄t]
=15,469[kcal/溶鋼t] ・・・(7)
また、溶鋼昇温熱は、
0.206×(1650-1300)×960[kg-Fe/溶銑t]×0.9625
=66,617[kcal/溶鋼t] ・・・(8)
以上の検討例では、式(6)の値が脱炭反応の発生熱であり、式(7)の冷鉄源(屑鉄)溶解昇温熱と式(8)の溶鋼昇温熱とが処理に必要な熱であり、発生熱と処理に必要な熱とが均衡することとなる。
ここで、式(6)の発生熱の式中「着熱効率70%」に着目すると、この値が大きければ余剰熱が増え、より屑鉄等の冷鉄源を消費できることから、まずは無効熱が発生する背景について検討することとする。
転炉などの溶鋼製造工程で、炭素で熱を発生させる機構は以下のとおりである。
1)ランスや底吹ノズルによる純酸素ガス供給で溶鉄を酸化発熱させる。
Fe+1/2O→FeO+1150[kcal/kg-Fe] ・・・(9)
2)発生したFeOをCで還元する。
FeO+C→Fe+CO-680[kcal/kg-Fe] ・・・(10)
この式(9)と式(10)の差分が発熱量となり溶鉄浴を昇温する。
但し、式(10)の反応で発生するCO(g)が溶鉄浴を離脱するときに顕熱を有することから、還元吸熱以上に溶鉄浴の有する熱を奪う。また、昇温用炭材を加える場合、式(10)の反応を来すときにガスが発生し、発生したガスに同伴され昇温用炭材の一部は未反応のまま溶鉄浴を離脱することで顕熱だけを奪うことになる。この様な背景から、投入した昇温用炭材の30%程度に相当する熱量が無効熱となってしまう。
上記の検討結果を踏まえ、本発明者らは、昇熱用炭材を上吹きランスの先端から噴射供給して溶銑の熱的余裕を高めながら操業する転炉における溶銑の精錬方法について、さらに検討した。その結果、本発明者らは、添加する昇熱用炭材の昇熱機能を溶銑着湯前までと着湯後とに分担させることを着想し、着湯前には昇熱用炭材の揮発成分の燃焼熱により溶鉄表面を加熱し、着湯後は従来からの昇熱用炭材の機能と同じく溶鉄内での脱炭反応による溶銑の加熱を行うこととすれば、上記の溶鉄内で発生するCOガスによる抜熱等による無効熱の問題を半減できるとの着想を得るに至った。本発明は、上記検討結果にさらに検討を加えてなされたものである。
本発明は、さらなる脱炭反応を起こさせ溶銑を昇温する場合に、上吹きランス先端から粉体状または粒体状の昇熱用炭材を溶銑浴面に向けて噴射して供給することを前提とするものである。その際に、昇熱用炭材に乾燥質量で20質量%超の揮発成分を含有する粉体状または粒体状の昇熱用炭材を用いる。これにより、上吹きランス先端から溶銑浴面の間で、加熱されて揮発する揮発成分ガスを周囲の酸素ガスと混合して燃焼させることで溶銑を追加的に加熱することができる。さらに、揮発成分の抜けた昇熱用炭材を、そのまま溶銑に供給することで溶銑浴中の脱炭反応による溶銑の加熱をも加えた複合効果を得ることができるものである。
図1は、本発明を実施する際に用いる転炉設備の1例を示す概略断面図、図2(a)、(b)は、図1に示す上吹きランス3の先端部の概略縦断面図と端面図である。
図1に示すように、本発明において溶銑26の脱炭精錬に用いる転炉設備1は、その外殻を鉄皮21で構成され、鉄皮21の内側に耐火物22が施行された炉本体2と、この炉本体2の内部に挿入され、上下方向に移動可能な上吹きランス3とを備えている。炉本体2の上部には、脱炭精錬により溶銑から溶鋼に精錬された溶鋼26を出湯するための出湯口23が設けられ、また、炉本体2の炉底部には、撹拌用ガス28を吹き込むための複数の底吹き羽口24が設けられている。この底吹き羽口24はガス導入管25と接続されている。撹拌用ガス28としては、酸素ガスや不活性ガス等、目的に応じて用いられる。なお、転炉精錬に際し、副原料投入装置(図示せず)から炉内に投入される生石灰、焼成ドロマイト、鉄鉱石、ミルスケール、マンガン鉱石などによってスラグ27が形成される。
上吹きランス3には、窒素ガスやArガスなどの不活性ガスとの混合ガスを搬送用ガスとし、この搬送用ガスとともに、粉体状または粒体状の昇熱用炭材42を供給するための昇熱用炭材供給管37と、酸素ガスなどの精錬用酸化性ガスを供給するための酸素ガス供給管34と、上吹きランス3を冷却するための冷却水を供給・排出するための冷却水給水管及び排水管(図示せず)とが、接続されている。
昇熱用炭材供給管37の他端は、粉体状または粒体状の昇熱用炭材42を収容したディスペンサー40に接続され、また、ディスペンサー40は昇熱用炭材搬送ガス供給管41に接続されており、昇熱用炭材搬送ガス供給管41を通ってディスペンサー40に供給された不活性ガスが、ディスペンサー40に収容された粉体状または粒体状の昇熱用炭材42の搬送用ガスとして機能し、ディスペンサー40に収容された粉体状または粒体状の昇熱用炭材42は昇熱用炭材供給管37を通って上吹きランス3に供給され、上吹きランス3の先端から溶銑26に向けて吹き付けることができるようになっている。昇熱用炭材搬送ガス供給管41に供給される不活性ガスは、流量調節弁(図示せず)によって供給流量が調整できるように構成されている。
上吹きランス3の先端部は、図2(a)に概略縦断面図を示すとおり、ランス本体30、脱炭用の酸素ガスの噴出孔となる周囲孔31、周囲孔酸素ガス流路33、搬送ガスを伴った粉体状または粒体状の昇熱用炭材の噴出孔となる中心孔35、昇熱用炭材流路36、冷却水流路38を主な構成とする構造を有している。周囲孔の中心軸(X)線は、ランス中心軸(Y)に対してある程度傾斜する構造(図2(a)では傾斜角θとして表示)であることが好ましい。傾斜がない場合は、周囲孔31から噴射された酸素ガス流と過度に合体して中心孔35から噴射される粉体状または粒体状の昇熱用炭材42から揮発する揮発成分ガスの火炎が冷却されて失火する恐れがあるためである。
図2(b)は、上吹きランス先端のランス受熱面上での中心孔と周囲孔の配置を模式的に示す説明図である。30はランス本体、31は周囲孔、35は中心孔を示す。周囲孔31は、ランス中心軸を中心とした同心円32上に配置され、中心孔はランス中心軸に一致して配置される。
本発明の昇熱用炭材の乾燥質量での揮発成分は20質量%超である。昇熱用炭材の乾燥質量での揮発成分が20質量%未満であると、後述する図3で示すとおり、転炉内の上吹きランス先端に昇熱用炭材の揮発成分の燃焼で形成される火炎温度を、確実に転炉内雰囲気温度を超え、かつ溶鉄面を輻射熱による加熱を効率的に行うことのできる火炎温度とすることができないためである。
また、本発明の昇熱用炭材の乾燥質量での揮発成分は40質量%以下であることが望ましい。40%程度まで揮発成分量を増やしても、後述の図3で示すとおり、噴流温度は頭打ちになっており、40%を超える揮発成分量は過剰となり燃焼に寄与しにくくなるためである。
本発明では、周囲孔から噴射される酸素ガスの流量は、昇熱用炭材中の揮発成分を溶銑浴面到達前までに完全燃焼させる酸素量以上の流量であることが、昇熱用炭中の揮発成分の全てを有効利用して熱効率を高める意味で望ましい。
本発明の昇熱用炭材は、石炭、植物系バイオマス、廃プラスチックの群から選択される少なくとも1つを炭化した炭化物であるが、特に、昇熱用炭材に植物系バイオマス、廃プラスチックを用いる場合は、環境保護の観点から、製鉄プロセスにおいて実質的にCO排出量を削減することになり、望ましい。
図1に示す転炉設備を想定して炉内雰囲気1600℃を再現できる竪型燃焼試験炉に、図2に示す形状のランスを装着した。試験に供した昇熱用炭材は、表1の2種類の炭材を調合して、揮発成分が乾燥質量で8.1、18.2、27.2、36.3質量%となる4種類の昇熱用炭材の粉粒体を準備した。なお、これらの粉粒体の粒度は、いずれも0.2mm~6mmの範囲で分布し、その中で1mm~2mmの粒度のものが粉粒体の総量の25%程度でピーク量を示し、0.2mm~1mmの範囲のものが粉粒体の総量の35%程度のものであった。
Figure 2023068358000002
竪型燃焼試験炉で、炉内温度を1600℃に調整した後、準備した4種類の昇熱用炭材の粉粒体を、それぞれφ51mmのランス中心孔から、2,000Nm/hのNを搬送ガスとして用いて、340kg/min(最大640kg/min)の流量で供給した。昇熱用炭材の粉粒体の供給と同時に、ランス中央孔の周囲のφ41mmの4つの周囲孔から、合計30,000Nm/hの工業用純酸素ガスを、軸中心に対して外側に12度の傾斜を付けて噴射した。炭材搬送の噴流と工業用純酸素ガスの噴流とは、ランスから噴射された後に合体し一つの噴流となる。噴射方向の各位置での噴流の平均温度の分布の測定結果を図3に示す。なお、図3の横軸は、合体後の噴流の径をDとし、噴流到達距離をLとして、L/Dで表示している。
図3から、全噴流は噴射直後は炉内雰囲気より低温になるが、噴流が進行するにつれ昇温され、殆どのケースで炉温1600℃以上の温度に到達し、L/Dが80を超えたところから燃料が燃え尽き温度低下が始まる。この中で、揮発分が8.1%のものは、最後まで1600℃を殆ど超過することなく、L/Dが80を過ぎたところで他のケースと同じく温度降下が始まっている。揮発成分量が多いほど、ランスの噴射口から近いところで温度が高くなり、且つL/Dが80付近で最高温度に到達する。また、揮発成分量が多いほど、長い区間で高温雰囲気を維持でき、輻射熱での熱供給が期待できる。このことから、本発明では、上吹きランスから熱源を目的に炭材を吹き込むにあたっては、揮発成分量が少なくとも20%超必要である。但し、40%程度まで揮発成分量を増やしても、図3から噴流温度は頭打ちになっており、40%を超える揮発成分量は過剰となり燃焼に寄与しにくいことが分かる。また、炭材を供給する本来の目的が溶鉄浴に純酸素ガスを供給して発生した酸化鉄を還元することであることを考慮すると、その本来の目的のためにも、揮発分の上限は40%以下とするのが望ましいことが分かる。
1 転炉設備
2 炉本体
3 上吹きランス
21 鉄皮
22 耐火物
23 出湯口
24 底吹き羽口
25 ガス導入管
26 溶湯(溶銑、溶鋼)
27 スラグ
28 撹拌用ガス
30 ランス本体
31 周囲孔
32 ランス中心を中心とした同心円
33 周囲孔酸素ガス流路
34 酸素ガス供給管
35 中心孔
36 昇熱用炭材流路
37 昇熱用炭材供給管
38 冷却水流路
40 ディスペンサー
41 昇熱用炭材搬送ガス供給管
42 昇熱用炭材(粉粒体)

Claims (4)

  1. 転炉における溶銑の精錬方法において、
    乾燥質量で20質量%超の揮発成分を含有する粉体状または粒体状の昇熱用炭材を、上吹きランス先端の軸中心部に設けられる中心孔から、搬送ガスと共に前記転炉内の前記溶銑の浴面に向けて噴射して供給し、かつ、
    前記上吹きランス先端の前記中心孔の周囲に設けられる周囲孔から、酸素ガスを噴射して供給することで、
    前記上吹きランス先端から前記溶銑浴面の間で、前記転炉内の高温雰囲気により前記昇熱用炭材が加熱されて揮発する揮発成分ガスと、周囲の前記酸素ガスとを混合して燃焼させた燃焼熱により溶銑を加熱するとともに、
    前記揮発成分の抜けた前記昇熱用炭材を溶銑に供給することを特徴とする、転炉における溶銑の精錬方法。
  2. 前記昇熱用炭材の揮発成分は、乾燥質量で40質量%以下であることを特徴とする、請求項1に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  3. 前記周囲孔から噴射される前記酸素ガスの流量は、前記昇熱用炭材中の揮発成分を溶銑浴面到達前までに完全燃焼させる酸素量以上の流量であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の転炉における溶銑の精錬方法。
  4. 前記昇熱用炭材は、石炭、植物系バイオマス、廃プラスチックの群から選択される少なくとも1つを炭化した炭化物である、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の転炉における溶銑の精錬方法。

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