JP2023061667A - 閉磁路演算プログラム、閉磁路演算方法、および情報処理装置 - Google Patents

閉磁路演算プログラム、閉磁路演算方法、および情報処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】単調性を満たさない減磁曲線が算出されることを抑止する。【解決手段】情報処理装置10は、仮の閉磁路曲線3に基づいて、外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の永久磁石の外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線4を、永久磁石を表す3次元モデル2を用いて計算する。次に情報処理装置10は、仮の閉磁路曲線3と第1の開磁路曲線4との外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算する。さらに情報処理装置10は、開磁路環境における永久磁石の外部磁界に応じた磁化を計測することで得られた第2の開磁路曲線5から、磁界差分だけ外部磁界方向にずらした磁化曲線に、仮の閉磁路曲線3を更新する。そして情報処理装置10は、第1の開磁路曲線4の計算、磁界差分の計算、および仮の閉磁路曲線3の更新を、第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す。【選択図】図1

Description

本発明は、閉磁路演算プログラム、閉磁路演算方法、および情報処理装置に関する。
永久磁石は様々な工業製品に使用されている。永久磁石の特性を表す物理量の1つに磁化がある。永久磁石の磁化は、外部磁界を加えると変化する。外部磁界に応じた永久磁石の磁化の度合いは磁化曲線で表される。すなわち、磁化曲線によって永久磁石の磁気特性が分かる。
なお永久磁石の磁化は、その永久磁石自身の磁化が作り出す磁界(反磁界)の影響を受ける。反磁界は、永久磁石の形状や測定環境によって値が変わるため、永久磁石の物性的な特性を表すものではない。永久磁石の反磁界の影響は、閉磁路の環境(磁力線が外部に漏れない環境)で磁化を測定することで排除できる。そこで、永久磁石の磁気特性を測定する際には、例えば、閉磁路の測定環境を作り出せる測定装置(閉磁路測定装置)が用いられる。
ただし、閉磁路測定装置では、反磁界を排除できるものの、作り出せる外部磁界の強度が不十分なことにより、ネオジム磁石のような強い磁力を持った永久磁石の磁気特性を測定することができない。そのため閉磁路での磁気特性の測定は汎用的ではない。そこで、多くの場合、反磁界の影響を受ける開磁路の環境(磁力線が外部に漏れる環境)で測定した磁化を、所定の補正式を用いて、反磁界の影響を排除するように補正することで、永久磁石の磁気特性を求めている。
磁気特性の測定技術としては、例えば、検出電圧波形から共振周波数成分を除去することで、精度よく磁石の磁気特性を測定することができる磁石特性測定方法が提案されている。また永久磁石のメッシュモデルを用いた有限要素法による数値計算により開磁路環境での測定結果を補正して、反磁界の影響を排除した磁気特性を高精度に算出する閉磁路演算方法も提案されている。
特開2016-102752号公報 特開2019-215226号公報
従来の開磁路環境での測定結果の補正による技術では、減磁曲線(磁化曲線の第2象限の部分)の単調性(磁界が減ると磁化が減ること)を満たしていない解が算出される場合がある。特に、工業的に重要な加工劣化または非一様な材質の磁石についての磁気特性を計算した場合に単調性を満たさない解が算出されやすい。現実の物理現象では減磁曲線の単調性が満たされることが分かっており、これに反する磁気特性の計算結果は非物理的な解である。そのため、減磁曲線の単調性を満たさない解が算出された場合、その解は永久磁石の正確な磁気特性を表していないこととなる。
1つの側面では、本件は、単調性を満たさない減磁曲線が算出されることを抑止することを目的とする。
1つの案では、以下の処理をコンピュータに実行させる閉磁路演算プログラムが提供される。
コンピュータは、閉磁路環境での外部磁界と永久磁石の磁化との関係を示す仮の閉磁路曲線に基づいて、外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の永久磁石の外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線を、永久磁石を表す3次元モデルを用いて計算する。コンピュータは、仮の閉磁路曲線と第1の開磁路曲線との間の、磁化に応じた外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算する。コンピュータは、開磁路環境における外部磁界に応じた永久磁石の磁化を計測することで得られた第2の開磁路曲線から、磁界差分だけ外部磁界方向にずらした磁化曲線に、仮の閉磁路曲線を更新する。そしてコンピュータは、第1の開磁路曲線の計算、磁界差分の計算、および仮の閉磁路曲線の更新を、第1の開磁路曲線と第2の開磁路曲線との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す。
1態様によれば、単調性を満たさない減磁曲線が算出されることを抑止する。
第1の実施の形態に係る閉磁路演算方法の一例を示す図である。 第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。 磁気特性測定装置の一例を示す図である。 コンピュータのハードウェアの一例を示す図である。 コンピュータにおける磁気特性計算機能の一例を示すブロック図である。 記憶部に格納された測定結果の一例を示す図である。 磁気特性測定時に発生する磁界の一例を示す図である。 磁化曲線の一例を示す図である。 開磁路曲線と閉磁路曲線との違いを示す図である。 閉磁路曲線の算出手順の概要を示す図である。 仮の閉磁路曲線を磁化方向へ修正することによる計算結果の一例を示す図である。 仮の閉磁路曲線を外部磁界方向へ修正することによる計算結果の一例を示す図である。 蛇行する閉磁路曲線の一例を示す図である。 閉磁路曲線の修正方法の一例を示す図である。 磁化の計算方法の一例を示す図である。 平均磁化の算出例を示す図である。 仮の閉磁路曲線の修正方法の一例を示す図である。 磁界差分の計算方法の一例を示す図である。 一価関数への修正方法の一例を示す図である。 仮の閉磁路曲線修正処理の手順の一例を示すフローチャートの前半である。 仮の閉磁路曲線修正処理の手順の一例を示すフローチャートの後半である。 閉磁路曲線と開磁路曲線の磁界差分算出処理の手順を示すフローチャートである。
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず第1の実施の形態について説明する。第1の実施の形態は、永久磁石の閉磁路曲線を計算によって求める際に、単調性を満たさない減磁曲線が算出されることを抑止することができる閉磁路演算方法である。なお、以下の説明において磁化曲線(閉磁路曲線と開磁路曲線とを含む)の単調性といった場合には、磁化曲線のうちの減磁曲線の部分についての単調性を指すものとする。
図1は、第1の実施の形態に係る閉磁路演算方法の一例を示す図である。図1には、閉磁路演算方法を情報処理装置10によって実施した場合の例を示している。情報処理装置10は、例えば閉磁路演算プログラムを実行することにより、閉磁路演算方法を実施することができる。
情報処理装置10は、記憶部11と処理部12とを有する。記憶部11は、例えば情報処理装置10が有するメモリまたはストレージ装置である。処理部12は、例えば情報処理装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。
記憶部11は、開磁路環境における外部磁界に応じた永久磁石の磁化を計測したときの測定結果1を記憶する。測定結果1には、例えば外部磁界の値とそのときの永久磁石の磁化の値とを示すデータが複数含まれている。各データは、外部磁界と磁化とを座標軸とする座標系上の離散点を示す。測定結果1に示される複数の離散点を滑らかに接続する曲線が、測定結果として得られる開磁路曲線(第2の開磁路曲線5)である。
処理部12は、第2の開磁路曲線5と、測定対象の永久磁石をメッシュモデルなどでモデル化した3次元モデル2とに基づいて、その永久磁石の閉磁路曲線を計算する。3次元モデル2は永久磁石の形状を表しており、3次元モデル2を用いることで永久磁石の形状に応じた反磁界を正しく計算することができる。なお、処理部12は、算出される閉磁路曲線が単調性を満たすように、以下のような手順で閉磁路曲線を計算する。
例えば処理部12は、まず閉磁路環境での外部磁界と永久磁石の磁化との関係を示す仮の閉磁路曲線3を生成する。例えば処理部12は、第2の開磁路曲線5に基づいて外部磁界から磁化を求める関数を「Mopen(H)」(Hは外部磁界)としたとき、関数「g(H)=Mopen(H-N0(H))」を定義する。「N0(H)」は、外部磁界の値ごとの反磁界の値の初期値である。「N0(H)」で求められる磁界の初期値は任意に設定することができる。初期値としては、例えばすべての外部磁界に対して「N0(H)=0」としてもよい。その場合、仮の閉磁路曲線3の初期状態は第2の開磁路曲線5と一致する。
初期状態の仮の閉磁路曲線3を定義後、処理部12は、仮の閉磁路曲線3に基づいて、外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の永久磁石の外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線4を、永久磁石を表す3次元モデル2を用いて計算する。3次元モデル2が、永久磁石の領域を複数のメッシュに分割したメッシュモデルの場合、処理部12は、例えばメッシュごとに外部磁界に応じた磁化を計算する。そして処理部12は、外部磁界に応じた各メッシュの磁化の平均を、永久磁石の磁化とする。
第1の開磁路曲線4を計算後、処理部12は、仮の閉磁路曲線3と第1の開磁路曲線4との、磁化に応じた外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算する。磁界差分は、例えば磁化の値ごとに、その磁化のときの第1の開磁路曲線4の外部磁界の値から仮の閉磁路曲線3の外部磁界の値を減算することで得られる。磁界差分を示す関数は、外部磁界を変数Hとする関数「N(H)」で表すことができる。例えば、測定結果1に示される第2の開磁路曲線5に基づいて、一の外部磁界の値に対応する磁化の値が定まる。この磁化の値に対応する磁界差分が、一の外部磁界の値に対応する関数「N(H)」の値となる。
磁界差分を計算後、処理部12は、第2の開磁路曲線5から、磁界差分だけ外部磁界方向にずらした磁化曲線に、仮の閉磁路曲線3を更新する。磁化曲線は、例えば関数「g(H)=Mopen(H-N(H))」で表すことができる。
そして処理部12は、第1の開磁路曲線4の計算、磁界差分の計算、および仮の閉磁路曲線3の更新を、第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す。誤差の所定条件は、例えば外部磁界ごとの第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との磁化の差分(磁化差分)の最大値が所定の閾値δ未満であるという条件である。誤差の所定条件として、例えば磁界差分の最大値が所定の閾値未満であるという条件を用いてもよい。
第1の開磁路曲線4の計算、磁界差分の計算、および仮の閉磁路曲線3の更新を繰り返すごとに、第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との誤差が少なくなる。そして第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との誤差が所定条件を満たしたときの仮の閉磁路曲線3は、測定結果を示す第2の開磁路曲線5から反磁界の影響を除外したときの磁化曲線を示していることとなる。そこで処理部12は、第1の開磁路曲線4と第2の開磁路曲線5との誤差が所定条件を満たしたときの仮の閉磁路曲線3を、閉磁路環境における永久磁石の磁化特性を示す閉磁路曲線「M(H)」として出力する。
このように、処理部12は、測定結果1に示される第2の開磁路曲線5を外部磁界方向に修正することで仮の閉磁路曲線3を生成している。外部磁界方向に修正するようにしたことで、解として得られる閉磁路曲線の単調性が満たされなくなることが抑止されている。すなわち、磁化方向に修正した場合、仮の閉磁路曲線において磁化方向にギザギザとなる傾向がある。その結果、解として得られる閉磁路曲線が単調性を満たしていないことがある。それに対して、外部磁界方向に修正するようにしたことで、仮の閉磁路曲線が磁化方向のギザギザとなることが抑止される。その結果、解として得られる閉磁路曲線の単調性が保たれる。
しかも繰り返しの計算処理の過程で生成される仮の閉磁路曲線が単調性を満たさないと、解が収束するまでに時間がかかり、全体の計算時間が長くなってしまう。それに対して、外部磁界方向への修正により、単調性を満たす仮の閉磁路曲線を生成するようにしたことで効率的に解を収束させることができ、計算時間が短縮される。
なお、開磁路環境での磁化の測定が高精度に行われていれば、測定結果1で示される第2の開磁路曲線5は単調性を満たす。そして第2の開磁路曲線5を基準として磁化差分を用いて外部磁界方向へ修正することで生成される仮の閉磁路曲線3も単調性を満たす。しかし測定結果1に含まれる測定誤差が大きいと、外部磁界方向への修正を行うようにしたとしても、仮の閉磁路曲線が外部磁界方向にギザギザとなる場合があり得る。そこで処理部12は、一価関数(外部磁界の値に対して磁化が1つに決まる関数)ではない磁化曲線が生成された場合には、磁化曲線を一価関数となるように修正してもよい。この場合、処理部12は、一価関数に修正後の磁化曲線に仮の閉磁路曲線3を修正する。
磁界差分を用いて生成された磁化曲線は、例えば複数の離散点(とびとびに配置された点)を滑らかな曲線で接続することで生成される。このとき処理部12は、一部の離散点の位置を移動させることで磁化曲線を修正することができる。例えば処理部12は、磁化曲線上の複数の離散点のうちの第1の離散点より磁化の値が大きい第2の離散点の外部磁界の値が第1の離散点の外部磁界の値より小さい場合、第2の離散点の外部磁界の値を第1の離散点の外部磁界の値よりも大きな値に修正する。これにより、仮の閉磁路曲線3の単調性が確実に保たれる。
また処理部12は、第2の離散点の外部磁界の値の修正量が大きすぎないように上限を設定してもよい。例えば処理部12は、第2の離散点の外部磁界の値を修正するとき、第1の離散点の外部磁界の値よりも大きく、かつ第2の離散点よりも磁化の値が大きいどの第3の離散点の外部磁界の値よりも小さい値に、第2の離散点の外部磁界の値を修正してもよい。これにより、離散点の位置の修正量が大きすぎ,修正後も一価関数が満たされていないという事態の発生が抑止される。
処理部12は、磁界差分を計算する際には、例えば第2の開磁路曲線5上の第1の点(例えば外部磁界と磁化が測定された点)を基準として、その点の磁化の値に対応する磁界差分を計算する。この場合、処理部12は、第2の開磁路曲線5上の第1の点に対して、第1の点と磁化の値が等しい仮の閉磁路曲線3上の第2の点の外部磁界の値と、第1の点と磁化の値が等しい第1の開磁路曲線4上の第3の点の外部磁界の値との差分値を計算する。そして処理部12は、第2の開磁路曲線5上の第1の点の外部磁界の値を、第1の点に対して計算された差分値だけ変更して得られる外部磁界の値と第1の点の磁化の値とで示される第4の点を通る磁化曲線を生成する。
このように第2の開磁路曲線5上の点の磁化の値ごとに磁界差分を求めることで、磁界差分の算出基準となる点と、仮の閉磁路曲線3を更新する際に磁界差分の分だけ修正する際の基準となる点とが一致する。その結果、磁界差分に基づく仮の閉磁路曲線3の生成を正確に行うことができる。
〔第2の実施の形態〕
次に第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、開磁路環境で測定を行う磁気特性測定装置の測定結果に基づいて、閉磁路間環境での磁気特性を算出するシステムである。
図2は、第2の実施の形態のシステム構成例を示す図である。磁気特性測定装置30は、ネットワーク20を介してコンピュータ100に接続されている。磁気特性測定装置30は、開磁路環境により、永久磁石の磁化を測定することができる装置である。コンピュータ100は、磁気特性測定装置30における開磁路環境での磁気特性の測定結果に基づいて、閉磁路環境での磁気特性を計算する。
図3は、磁気特性測定装置の一例を示す図である。磁気特性測定装置30は、制御部31の制御により、試料として用意された永久磁石41の磁気特性を計測する。例えば制御部31は、複数の励磁コイル32,33により、永久磁石41の周囲に外部磁界を発生させる。外部磁界の強さは、アンペア毎メートル(A/m)またはエルステッド(Oe)などの単位で表される。
制御部31は、磁界センサ34を用いて、永久磁石41が磁化することで発生した磁界を検出する。そして制御部31は、検出した磁界に基づいて、外部磁界に応じた永久磁石の磁化を計測する。磁化は、ガウス(G)などの単位で表される。
例えば制御部31は、強い外部磁界を発生させ、飽和磁化となるまで永久磁石41に着磁する。そして磁気特性測定装置30は、外部磁界の強度を低下させながら、外部磁界に応じた永久磁石41の磁化を測定する。磁気特性測定装置30は、外部磁界の強度が「0」になった後は、着磁のときとは逆方向へ外部磁界(逆磁界)を強めていき、その外部磁界に応じた永久磁石41の磁化を測定する。これにより、減磁曲線を示す測定結果が得られる。
制御部31は、計測した磁化の値を、測定結果としてストレージ装置35に格納する。また制御部31は、コンピュータ100からの要求に応じて、測定結果を、ネットワーク20を介してコンピュータ100に送信する。
なお、図3では、磁気特性測定装置30内に2つの励磁コイル32,33を示しているが、永久磁石41の周囲には、図示されていない励磁コイルも存在する。また磁気特性測定装置30には、図3に示す磁界センサ34以外にも磁界センサを設けることができる。
磁気特性測定装置30から測定結果を受信したコンピュータ100は、その測定結果に基づいて、閉磁路環境での磁気特性を算出する。
図4は、コンピュータのハードウェアの一例を示す図である。コンピュータ100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)などの電子回路で実現してもよい。
メモリ102は、コンピュータ100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えばRAM(Random Access Memory)などの揮発性の半導体記憶装置が使用される。
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108がある。
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータ100の補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えばHDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
GPU104は画像処理を行う演算装置であり、グラフィックコントローラとも呼ばれる。GPU104には、モニタ21が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ21の画面に表示させる。モニタ21としては、有機EL(Electro Luminescence)を用いた表示装置や液晶表示装置などがある。
入力インタフェース105には、キーボード22とマウス23とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード22やマウス23から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス23は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボールなどがある。
光学ドライブ装置106は、レーザ光などを利用して、光ディスク24に記録されたデータの読み取り、または光ディスク24へのデータの書き込みを行う。光ディスク24は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク24には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。
機器接続インタフェース107は、コンピュータ100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置25やメモリリーダライタ26を接続することができる。メモリ装置25は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ26は、メモリカード27へのデータの書き込み、またはメモリカード27からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード27は、カード型の記録媒体である。
ネットワークインタフェース108は、ネットワーク20に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワーク20を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。ネットワークインタフェース108は、例えばスイッチやルータなどの有線通信装置にケーブルで接続される有線通信インタフェースである。またネットワークインタフェース108は、基地局やアクセスポイントなどの無線通信装置に電波によって通信接続される無線通信インタフェースであってもよい。
コンピュータ100は、以上のようなハードウェアによって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、第1の実施の形態に示した情報処理装置10も、図4に示したコンピュータ100と同様のハードウェアにより実現することができる。
コンピュータ100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。コンピュータ100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、コンピュータ100に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またコンピュータ100に実行させるプログラムを、光ディスク24、メモリ装置25、メモリカード27などの可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
このようなハードウェア構成のコンピュータ100により、永久磁石41の磁気特性を高精度に算出することができる。
図5は、コンピュータにおける磁気特性計算機能の一例を示すブロック図である。コンピュータ100は、測定結果取得部110、記憶部120、および閉磁路演算部130を有する。
測定結果取得部110は、磁気特性測定装置30から、ネットワーク20を介して、開磁路環境での測定結果を取得する。測定結果取得部110は、取得した測定結果を記憶部120に格納する。
記憶部120は、測定結果を記憶する。記憶部120は、例えばストレージ装置103の記憶領域の一部である。
閉磁路演算部130は、磁気特性測定装置30による測定結果に対して、反磁界の影響を排除するように補正を施し、閉磁路環境での磁気特性を示す閉磁路曲線を算出する。例えば閉磁路演算部130は、開磁路環境での測定結果に基づいて、測定結果から反磁界の影響を排除するための、試料として用いた永久磁石41の補正係数として磁界差分を算出する。例えば閉磁路演算部130は、測定時の外部磁界の強度ごとに、適切な磁界差分を算出する。次に閉磁路演算部130は、測定結果に示される永久磁石41の磁化データを、磁界差分で修正することで、永久磁石41の閉磁路での磁気特性を示す閉磁路曲線を算出する。閉磁路演算部130は、算出した閉磁路曲線のデータを出力する。例えば閉磁路演算部130は、閉磁路曲線のデータをストレージ装置103に格納する。また閉磁路演算部130は、算出した閉磁路曲線を、モニタ21にグラフで表示する。
なお、図5に示した測定結果取得部110および閉磁路演算部130それぞれの機能は、例えば、その要素に対応するプログラムモジュールをコンピュータに実行させることで実現することができる。
図6は、記憶部に格納された測定結果の一例を示す図である。測定結果121には、測定時の外部磁界ごとに、その外部磁界(A/m)における永久磁石41の磁化(kG)の値が設定されている。
磁気特性測定装置30から取得した測定結果121は、反磁界の影響を含む磁気特性を表している。測定結果121に示される外部磁界の値と磁化の値との組は、外部磁界と磁化とを軸とする座標系上の離散点を示す。測定結果121から得られる複数の離散点を通る曲線が、測定結果を示す開磁路曲線となる。
図7は、磁気特性測定時に発生する磁界の一例を示す図である。図7の例では、永久磁石41を配置した空間のZ軸方向(図7中の上下方向)に外部磁界を発生させている。外部磁界の影響により、永久磁石41の磁化の強さが変化する。また永久磁石41が磁化することで、永久磁石41内部に反磁界が生じる。永久磁石41の磁化の強さは、自身の磁化が作り出す反磁界の影響も受けている。
開磁路環境による測定結果121は、反磁界の影響を含む永久磁石の磁気特性を表している。このような磁気特性を表す磁化曲線が開磁路曲線である。他方、閉磁路環境で磁気特性を測定できる場合、反磁界の影響を排除した磁化曲線が得られる。このような磁化曲線が閉磁路曲線である。反磁界の影響の有無は、磁化曲線のうちの減磁曲線に強く表れる。
図8は、磁化曲線の一例を示す図である。図8には、横軸を外部から印加された磁界(外部磁界)の強さ、縦軸を永久磁石41の磁化の強さとするグラフが示されている。図8の例では、磁化曲線42のうち、外部磁界を弱めていき、外部磁界が「0」となった後は磁化の方向と逆方向に外部磁界(逆磁界)を強めていったときの磁気特性が示されている。磁化曲線のうち、逆磁界により永久磁石41の磁化が弱まり磁化が0になるまでの磁気特性を示す部分が減磁曲線である。減磁曲線は、グラフの第2象限(外部磁界がマイナスで磁化がプラスの領域)に表されている。
図9は、開磁路曲線と閉磁路曲線との違いを示す図である。図9では、上段に開磁路曲線43(減磁曲線部分)を示しており、下段に閉磁路曲線44(減磁曲線部分)を示している。開磁路環境では、図7に示したように、外部磁界と同じ方向の反磁界が発生する。そのため開磁路曲線43は、反磁界の影響を排除した閉磁路曲線44と異なる形となる。
そこでコンピュータ100を用いて、開磁路曲線43を補正して、閉磁路曲線44を求める。例えばコンピュータ100は、永久磁石のメッシュモデルを用いた有限要素法による数値計算(シミュレーション)により、開磁路環境での測定結果を補正して、反磁界の影響を排除した磁気特性を高精度に算出する。
図10は、閉磁路曲線の算出手順の概要を示す図である。閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51を生成する。そして閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51をシミュレーションへの入力データとして、仮の閉磁路曲線51に対して反磁界の影響を加えるシミュレーションを行う。シミュレーションの計算結果として、開磁路曲線52が求められる。閉磁路演算部130は、シミュレーションで求めた開磁路曲線52と、計測結果として得られた開磁路曲線53とが一致するように、仮の閉磁路曲線51の修正を繰り返す。
シミュレーションの計算結果として得られた開磁路曲線52が、測定結果の開磁路曲線53と所定の誤差の範囲内で一致した場合、そのときの開磁路曲線52の生成に用いられた仮の閉磁路曲線51は、反磁界の影響を除去した磁気特性を表していることとなる。
ここで仮の閉磁路曲線51を修正する方法として、磁化方向に修正する方法と、外部磁界方向に修正する方法とが考えられる。
図11は、仮の閉磁路曲線を磁化方向へ修正することによる計算結果の一例を示す図である。図11の例では、仮の閉磁路曲線51がtanh関数(双曲線正接関数:Hyperbolic tangent function)で表されている。シミュレーションの計算結果の開磁路曲線52は、測定結果の開磁路曲線53よりも磁化の強さが弱い方向にずれている。この場合、例えば仮の閉磁路曲線51が、2つの開磁路曲線52,53の磁化方向の誤差の量だけ、磁化の強さを強める方向に修正される。修正後の仮の閉磁路曲線51に基づいてシミュレーションを行うことで、その計算結果として得られる開磁路曲線52は、測定結果の開磁路曲線53との誤差が縮小する。
仮の閉磁路曲線51の磁化方向への修正を繰り返すことで、計算結果として得られる開磁路曲線52と測定結果の開磁路曲線53との誤差を所定値以下まで縮小させることができる。そして誤差が所定値以下となったときの仮の閉磁路曲線51が、反磁界の影響を排除した磁気特性を示す閉磁路曲線54となる。
図11に示すように、磁化方向への仮の閉磁路曲線51の修正を繰り返すと、減磁曲線の単調性を満たしていない解が得られる可能性がある。単調性を満たしていない減磁曲線は非物理的な解であり、永久磁石41の磁気特性を表す磁化曲線として採用することができない。
また図11に示すように広い範囲で単調性が満たされない状態になると解がなかなか収束せず、収束するまでの反復回数も多くなる。例えば収束までに7~10回程度の反復処理(10~15分程度の時間)を要する。
そこで閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51を修正する方法として、外部磁界方向に修正する方法を採用する。
図12は、仮の閉磁路曲線を外部磁界方向へ修正することによる計算結果の一例を示す図である。図12の例では、シミュレーションの計算結果として得られた開磁路曲線52と測定結果の開磁路曲線53との外部磁界の強さ方向の誤差に基づいて、仮の閉磁路曲線51が修正されている。図12の例では、シミュレーションの計算結果として得られた開磁路曲線52は、測定結果の開磁路曲線53よりも正の方向に外部磁界がずれている。この場合、例えば開磁路曲線52は、2つの開磁路曲線52,53の外部磁界方向の誤差の量だけ、仮の閉磁路曲線51を外部磁界の負の方向に修正する。
仮の閉磁路曲線51を外部磁界方向へ修正を繰り返すことで、計算結果として得られる開磁路曲線52と測定結果の開磁路曲線53との外部磁界方向の誤差を所定値以下まで縮小させることができる。外部磁界方向の誤差が縮小すれば、磁化方向の誤差も縮小する。そして磁化方向の誤差が所定値以下となったときの仮の閉磁路曲線51が、反磁界の影響を排除した磁気特性を示す閉磁路曲線55となる。
開磁路曲線52の計算と仮の閉磁路曲線51の外部磁界方向への修正とを繰り返すことで得られる閉磁路曲線55では、磁化方向に修正した場合の閉磁路曲線54のように磁化方向への山が生じることがなくなる。その結果、外部磁界方向に修正することで得られた閉磁路曲線55では、単調性が満たされなくなることが抑止される。
なお仮の閉磁路曲線51を外部磁界方向に修正した場合、仮の閉磁路曲線51が外部磁界方向に蛇行することで、単調性が満たされなくなる可能性もある。仮の閉磁路曲線51の外部磁界方向への蛇行は、開磁路曲線53を計測時の計測誤差に起因する場合が多く、この場合には細かな凹凸となる。
図13は、蛇行する閉磁路曲線の一例を示す図である。図13には、磁化方向への修正結果として得られた閉磁路曲線54aと、外部磁界方向への修正結果として得られた閉磁路曲線55aとが示されている。磁化方向への修正結果として得られた閉磁路曲線54aは、多く波打つようにして(周期が長い)、磁化方向に上下に変動している。この閉磁路曲線54aのような大きなうねりは、スムージングにより単調性を満たすように修正するのが困難である。すなわち図13に示すような磁化方向に大きくうねる閉磁路曲線54aにスムージングを行っても、元から滑らかな形状であるため、大きく修正することができない。しかも閉磁路曲線54aを無理に大きく修正すれば、永久磁石41の本来の磁気特性から大きくずれてしまい、不正確な解となる可能性がある。
他方、外部磁界方向への修正結果として得られた閉磁路曲線55aは、外部磁界方向に細かなギザギザが生じている(周期が短い)。閉磁路曲線55aの外部磁界方向の細かなギザギザは、スムージングにより滑らかにするのが容易である。例えば閉磁路演算部130は、自然3次スプライン法によりスムージングを行い、ギザギザの部分を滑らかに修正することができる。しかも閉磁路曲線55aにおけるギザギザの発生原因が開磁路曲線53の計測誤差であれば、その影響を除去しても閉磁路曲線55aが永久磁石41の本来の磁気特性から大きくずれることはない。その結果、最終的な閉磁路曲線55aの精度が向上する。
例えば外部磁界方向のギザギザの修正方法としては、例えば閉磁路演算部130は、閉磁路曲線55aが一価関数ではない場合に、一価関数に修正する。一価関数とは、関数を「y=f(x)」と表したときに、1つのxに対してyの値がただ1つ対応する関数である。例えば閉磁路曲線55aに外部磁界方向にギザギザが生じると、その閉磁路曲線55aは一価関数ではない。そこで閉磁路演算部130は、一価関数に該当しない点P1の位置を外部磁界方向にずらす。図13の例では、点P1の位置が、隣接する下の点P2(磁化が小さい方の点)よりも外部磁界の値が大きくなる位置に修正されている。これにより、一価関数ではない閉磁路曲線55aが、一価関数である閉磁路曲線55bに修正される。
さらに閉磁路演算部130は、自然3次スプライン関数を用いてスムージングを行う。これにより、一価関数に修正された閉磁路曲線55bが、スムーズな曲線を有する閉磁路曲線55cに修正される。このような仮の閉磁路曲線51の修正を、測定結果の開磁路曲線53とシミュレーション結果の開磁路曲線52との誤差が所定値以下になるまで繰り返すことで、永久磁石41の磁気特性を示す閉磁路曲線を得ることができる。
なお、一価関数への修正処理とスムージング処理とは、どちらを先に実施してもよい。
図14は、閉磁路曲線の修正方法の一例を示す図である。まず閉磁路演算部130は、測定結果の開磁路曲線53から得たパラメータを用いて仮の閉磁路曲線51を算出する。
例えば閉磁路演算部130は、図6に示したような外部磁界の値ごとの磁化の値を示す測定結果121に基づいて、外部磁界(H)を変数として磁化(M)の値を求める開磁路曲線式「Mopen(H)」を生成する。次に閉磁路演算部130は、開磁路曲線式「Mopen(H)」を用いて、初期状態の仮の閉磁路曲線51を表す関数「g(H)=Mopen(H-N0(H))」を定義する。「N0(H)」は、外部磁界Hに応じた反磁界の大きさ(閉磁路曲線上の点と開磁路曲線上の点との磁界差分)を表す式の初期状態である。「N0(H)」は、例えばすべての外部磁界Hついて一定の値としてもよい。また測定対象の永久磁石41に類似する他の永久磁石の磁気特性に基づいて「N0(H)」を求めておくこともできる。「N0(H)」には測定対象の永久磁石41の磁気特性が反映されていないため、初期状態の仮の閉磁路曲線51は十分な精度が得られていない状態である。
ここで閉磁路演算部130は、永久磁石41が存在する領域を複数のメッシュに分割し、メッシュモデル60を生成する。このメッシュモデル60は、第1の実施の形態に示した3次元モデル2の一例である。
閉磁路演算部130は、すべてのメッシュが同じ仮の閉磁路曲線51を持つと仮定する。このとき、仮の閉磁路曲線51がメッシュごとに反磁界の影響で変形し、それらを全メッシュで平均したものが開磁路曲線になるものと想定する。そこで閉磁路演算部130は、各メッシュの仮の閉磁路曲線51に対して、反磁界の影響による変形を加える。そして閉磁路演算部130は、変形後の各メッシュの仮の閉磁路曲線の平均を求め、開磁路曲線52を算出する。最初に生成した仮の閉磁路曲線51が正確であれば、算出された開磁路曲線52は、測定結果として得られている開磁路曲線53とほぼ一致するはずである。
そこで閉磁路演算部130は、計算結果として得られた開磁路曲線52と、実測値として得られている開磁路曲線53との磁化の誤差(磁化差分「dMave(H)」)を求める。閉磁路演算部130は、磁化の誤差が閾値δ未満でなければ、計算結果の開磁路曲線52が、測定結果の開磁路曲線53に近づくように、仮の閉磁路曲線51を修正する。
例えば閉磁路演算部130は、外部磁界Hに応じた仮の閉磁路曲線51と計算結果の開磁路曲線52との磁界差分「N(H)」を求める。そして閉磁路演算部130は、計測結果の開磁路曲線式「Mopen(H)」の磁界成分を磁界差分「N(H)」だけずらす式「Mopen(H-N(H))」を生成する。閉磁路演算部130は、この式「Mopen(H-N(H))」に対して一価関数への修正、自然3次スプライン法でのスムージングなどの処理を行った結果を、修正後の仮の閉磁路曲線51とする。
閉磁路演算部130は、このような仮の閉磁路曲線51に基づく開磁路曲線52の計算と、誤差を減らすような仮の閉磁路曲線51の修正とを、誤差が所定の閾値δ未満になるまで繰り返す。そして閉磁路演算部130は、誤差が所定の閾値δ未満になったときに得られている仮の閉磁路曲線51を、測定結果の開磁路曲線53を修正することで得た閉磁路曲線とする。
次に各メッシュの磁化の計算方法について詳細に説明する。
図15は、磁化の計算方法の一例を示す図である。閉磁路演算部130は、まず、有限要素法を用い、各メッシュについて、そのメッシュの位置における外部磁界に応じた反磁界を計算する。
外部磁界がHaのときのi番目(iは、1以上の整数)のメッシュの反磁界Hd iは、以下の式で表される。
Figure 2023061667000002
Figure 2023061667000003
式(1)のΔは、ラプラシアンである。∇は、ベクトルの微分演算を示すナブラである。Miは、i番目のメッシュの磁化である。Miは、関数「g(H)=Mopen(H-N(H))」に基づき、「g(Ha)」により求められる。φiは、i番目のメッシュの磁気ポテンシャルである。閉磁路演算部130は、式(1)、式(2)を用いて、有限要素法により、各メッシュの反磁界を算出する。
閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51の関数を用いて、反磁界の影響を含めた場合の磁化M’iを求める。すなわち閉磁路演算部130は、「M’i=g(Ha+Hd i)」の計算を行う。
閉磁路演算部130は、反磁界を含めて計算した磁化M’iと磁化Miとの誤差が誤差の閾値ε未満であるか否かを判断する。誤差が誤差の閾値ε以上であれば、閉磁路演算部130は、磁化M’iを磁化Miに代入して、再度、有限要素法による反磁界Hd iの計算を行う。そして閉磁路演算部130は、誤差が誤差の閾値ε未満となるまで、反磁界Hd iの計算と磁化M’iの計算とを繰り返す。閉磁路演算部130は、すべてのメッシュに関して、誤差が誤差の閾値ε未満となったときの各メッシュの磁化Miを、外部磁界がHaのときの磁化の計算結果とする。
各メッシュの磁化が計算できると、閉磁路演算部130は、各メッシュの磁化の平均値を算出する。
図16は、平均磁化の算出例を示す図である。例えば外部磁界がHのときの平均磁化Maveは、以下の式で表される。
Figure 2023061667000004
式(3)におけるnはメッシュ数である(nは1以上の整数)。閉磁路演算部130は、外部磁界を変更しながら平均磁化Maveを求めることで、外部磁界に応じた平均磁化「Mave(H)」を得る。得られた平均磁化「Mave(H)」が、計算結果の開磁路曲線52となる。
閉磁路演算部130は、計算結果の開磁路曲線52と仮の閉磁路曲線51との外部磁界方向の差分を用いて、仮の閉磁路曲線51を修正する。
図17は、仮の閉磁路曲線の修正方法の一例を示す図である。永久磁石41における反磁界の影響は、仮の閉磁路曲線51の外部磁界と計算結果の開磁路曲線52の外部磁界との磁界差分(開磁路曲線52の外部磁界-仮の閉磁路曲線51の外部磁界)で表される。磁界差分は磁化の値に応じて変わる。すなわち磁界差分は関数「N’(M)」で表すことができる。この関数の変数である磁化Mを、例えば測定結果の開磁路曲線53を示す関数「Mopen(H)」で置き換えると、磁界差分は磁化Hを変数とする関数「N(H)」で表すことができる。この場合、関数「N(H)」は、ある外部磁界Hのときの測定結果の開磁路曲線53における磁化Mと同じ磁化での、仮の閉磁路曲線51の外部磁界と計算結果の開磁路曲線52の外部磁界との差分を表すこととなる。
閉磁路演算部130は、「g0(H)=STPS(Mopen(H-N(H)))」とすることで、暫定の閉磁路曲線「g0(H)」を生成する。「STPS()」は自然3次スプライン法によるスムージングを実施する関数である。「g0(H)=STPS(f(H))」は、関数「f(H)」に対して自然3次スプライン法によるスムージングを実施した結果を「g0(H)」に代入することを示している。上記の例では、「f(H)=Mopen(H-N(H))」である。
「Mopen(H-N(H))」は、測定結果の開磁路曲線を外部磁界方向に、外部磁界Hの値に応じて磁界差分「N(H)」だけずらすことを示す。例えば閉磁路演算部130は、測定結果121に示される外部磁界の値(H)に対応する磁化「Mopen(H)」を取得する。そして閉磁路演算部130は、取得した磁化のときの仮の閉磁路曲線51の外部磁界と計算結果の開磁路曲線52の外部磁界との磁界差分「N(H)」を用いて「Mopen(H-N(H))」を計算する。
閉磁路演算部130は、「g0(H)」が一価関数か否かを判断し、一価関数であれば、「g0(H)」を修正後の仮の閉磁路曲線51を示す関数「g(H)」とする(g(H)=g0(H))。また閉磁路演算部130は、「g0(H)」が一価関数でなければ、一価関数に補正した関数「MONO(g0(H))」を修正後の仮の閉磁路曲線51を示す関数「g(H)」とする(g(H)=MONO(g0(H)))。「MONO()」は、処理対象の関数を一価関数に補正する関数である。「g(H)=MONO(g0(H))」は、一価関数を満たすように関数「g0(H)」を修正した結果を「g(H)」に代入することを示している。
なお閉磁路演算部130は、得られた開磁路曲線52(平均磁化Mave(H))と仮の閉磁路曲線51(M(H)=g(H))との磁界差分(N(H))を求める際には、例えば測定結果121において測定された点を基準とする。
図18は、磁界差分の計算方法の一例を示す図である。例えば閉磁路演算部130は、測定結果121に示される離散点P31(外部磁界の値とそのときの磁化の測定値)を特定する。閉磁路演算部130は、特定した離散点P31に対応する、仮の閉磁路曲線51上の離散点P13を求める。例えば閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51上の2つの離散点P11,P12から内挿された点を離散点P13とする。離散点P13は、例えば磁化の値が離散点P31と等しい、仮の閉磁路曲線51上の点である。また閉磁路演算部130は、特定した離散点P31に対応する、開磁路曲線52上の離散点P23を求める。例えば閉磁路演算部130は、開磁路曲線52上の2つの離散点P21,P22から内挿された点を離散点P23とする。離散点P23は、例えば磁化の値が離散点P31と等しい、開磁路曲線52上の点である。
閉磁路演算部130は、離散点P13と離散点P23との外部磁界の値の差(離散点P23の外部磁界の値-離散点P13の外部磁界の値)を、離散点P31の外部磁界の値Hに対応する磁界差分「N(H)」とする。
閉磁路演算部130は、磁界差分「N(H)」を用いて、図17に示す様に修正候補とする関数「g0(H)」を得ることができる。修正候補とする関数「g0(H)」が一価関数でなければ、閉磁路演算部130は、一価関数へ修正する。
図19は、一価関数への修正方法の一例を示す図である。例えば閉磁路演算部130は、磁化が弱い方から強い方へ仮の閉磁路曲線51の離散点を辿る。図19の例では、閉磁路演算部130は、離散点P14、離散点P15、離散点P16、離散点P17の順で、注目する離散点を辿る。閉磁路演算部130は、注目する離散点を隣接する離散点に移動させたときに、移動前に注目していた離散点の外部磁界よりも移動後に注目する離散点の外部磁界の方が強ければ、一価性が保たれていると判定する。また閉磁路演算部130は、移動前に注目していた離散点の外部磁界が、移動後に注目する離散点の外部磁界以上の強さであれば、一価性が保たれていないと判定する。
閉磁路演算部130は、一価性が保たれていないと判定した場合、移動後の離散点の外部磁界の値を、外部磁界の正の方向に修正する。図19の例では、離散点P15から離散点P16に注目する離散点を移動させたとき、一価性が保たれていないと判定される。閉磁路演算部130は、離散点P16の位置を外部磁界の正の方向へ修正する(外部磁界の値を増加させる)。例えば閉磁路演算部130は、離散点P16の外部磁界の値を、離散点P15の外部磁界の値よりも大きく、離散点P17よりも小さな値にする。
このとき閉磁路演算部130は、離散点P16の移動量を最小限に抑えてもよい。例えば閉磁路演算部130は、離散点P16の外部磁界の値を、離散点P15の外部磁界の値よりも外部磁界の刻み幅(移動量の最小単位)だけ多い値に修正する。離散点P16の移動量が最小限に抑えられることで、離散点P16を移動することによる仮の閉磁路曲線51の計算結果に現れる磁気特性の精度低下を抑止できる。
以下、閉磁路演算部130による、仮の閉磁路曲線51の修正処理の手順の詳細について、フローチャートを参照して説明する。
図20は、仮の閉磁路曲線修正処理の手順の一例を示すフローチャートの前半である。以下、図20に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS101]閉磁路演算部130は、記憶部120に格納されている測定結果121からデータを抽出する。また閉磁路演算部130は、測定結果121から、外部磁界の最大値Hmaxと外部磁界の最小値Hminとを抽出する。閉磁路演算部130は、抽出した最大値Hmaxと最小値Hminとをメモリ102に格納する。
また閉磁路演算部130は、外部磁界Haにおける磁界差分「N(Ha){Ha|Hmin≦Ha≦Hmax}」に、初期値として「0」を設定する(N(Ha)=0)。
[ステップS102]閉磁路演算部130は、外部磁界Haの初期値を、最大値Hmaxとする。
[ステップS103]閉磁路演算部130は、外部磁界Haと磁界差分「N(Ha)」とに基づいて、n個のメッシュそれぞれの磁化「Ma i{i|1≦i≦n}」を算出する。例えば閉磁路演算部130は、i=1,2,・・・,nについて、「Ma i=g(Ha)」を算出する。なお、g(Ha)は、式「g(Ha)=Mopen(H-N(Ha))」で表される。
[ステップS104]閉磁路演算部130は、Ma iに基づいて、有限要素法により、各メッシュの反磁界Hd iを算出する。
[ステップS105]閉磁路演算部130は、反磁界Hd iに基づいて、メッシュごとの磁化Maiを算出する。例えば閉磁路演算部130は、i=1,2,・・・,nについて、「Ma i=g(Ha+Hd i)」を計算する。「g(Ha+Hd i)」は、式「g(Ha+Hd i)=Mopen(H-N(Ha+Hd i))」で表される。
[ステップS106]閉磁路演算部130は、磁化Maiと磁化Ma iとに基づいて、全メッシュ間の磁化誤差最大値dMerr_maxを算出する。磁化誤差最大値dMerr_maxは、式「dMerr_max=max(|Mai-Ma i|){i|1≦i≦n}」で表される。
[ステップS107]閉磁路演算部130は、磁化誤差最大値dMerr_maxが、誤差の閾値ε未満か否かを判断する。閉磁路演算部130は、磁化誤差最大値dMerr_maxが、誤差の閾値ε未満であれば、処理をステップS109に進める。また閉磁路演算部130は、磁化誤差最大値dMerr_maxが、誤差の閾値ε以上であれば、処理をステップS108に進める。
[ステップS108]閉磁路演算部130は、i=1,2,・・・,nそれぞれについて、Ma iの値をMaiの値に更新する。その後、閉磁路演算部130は、処理をステップS104に進める。
[ステップS109]閉磁路演算部130は、ステップS107の条件を満たしたときの、各メッシュの磁化Ma iが、外部磁界Haにおける、反磁界の影響を反映させた各メッシュの磁化の値であると判断する。そこで閉磁路演算部130は、すべてのメッシュの磁化Ma iの平均磁化Mave(Ha)を算出する。Mave(Ha)は、以下の式で表される。
Figure 2023061667000005
[ステップS110]閉磁路演算部130は、平均磁化「Mave(Ha)」と「Mopen(Ha)」とに基づいて、磁化差分「dMave(Ha){Ha|Hmin≦Ha≦Hmax}」を算出する。磁化差分は、式「dMave(Ha)=Mave(Ha)-Mopen(Ha)」で表される。
[ステップS111]閉磁路演算部130は、外部磁界Haの値を、外部磁界の刻み幅ΔHだけ減算する。すなわち閉磁路演算部130は、外部磁界Haの値を「Ha-ΔH」に更新する。なお、外部磁界の刻み幅ΔHは、予め設定された値である。例えば外部磁界の刻み幅ΔHは、測定結果121に含まれる外部磁界の連続する値の差と同じである。
[ステップS112]閉磁路演算部130は、更新後の外部磁界Haの値が、外部磁界の最小値Hmin未満か否かを判断する。閉磁路演算部130は、外部磁界Haの値が、外部磁界の最小値Hmin未満であれば、処理をステップS121(図21参照)に進める。また閉磁路演算部130は、外部磁界Haの値が、外部磁界の最小値Hmin以上であれば、処理をステップS103に進める。
図21は、仮の閉磁路曲線修正処理の手順の一例を示すフローチャートの後半である。以下、図21に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS121]閉磁路演算部130は、仮の閉磁路曲線51と計算結果の開磁路曲線52との磁界差分「N(H)」算出処理を行う。
図22は、閉磁路曲線と開磁路曲線の磁界差分算出処理の手順を示すフローチャートである。以下、図22に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS141]閉磁路演算部130は、磁界差分N(H)の計算に使用するパラメータ変数{Hci,Mci}、{Hc0 i,Mc0 i}、{Hoi,Moi}、{Have i,Mave i}、{HNi,Ni}、を定義する。各パラメータ変数の意味は以下の通りである。
{Hci,Mci}(i=1,・・・,Ndata)は、仮の閉磁路曲線51「g(H)」を表すパラメータ変数である。仮の閉磁路曲線51「g(H)」のi番目の離散点の外部磁界が「Hci」であり、i番目の離散点の磁化が「Mci」である。「Ndata」は、測定結果121に示される離散点の数である。
{Hc0 i,Mc0 i}(i=1,・・・,Ndata)は、暫定の閉磁路曲線「g0(H)」を表すパラメータ変数である。暫定の閉磁路曲線「g0(H)」のi番目の離散点の外部磁界が「Hc0 i」であり、i番目の離散点の磁化が「Mc0 i」である。
{Hoi,Moi}(i=1,・・・,Ndata)は、計測結果の開磁路曲線53「Moepn(H)」を表すパラメータ変数である。計測結果の開磁路曲線53「Moepn(H)」のi番目の離散点の外部磁界が「Hoi」であり、i番目の離散点の磁化が「Mo0 i」である。
{Have i,Mave i}(i=1,・・・,Ndata)は、計算結果の開磁路曲線52「Mave(H)」を表すパラメータ変数である。計算結果の開磁路曲線52「Mave(H)」のi番目の離散点の外部磁界が「Have i」であり、i番目の離散点の磁化が「Mave i」である。
{HNi,Ni}(i=1,・・・,Ndata)は、閉磁路曲線と開磁路曲線の磁界差分「N(H)」を表すパラメータ変数である。計測結果の開磁路曲線52「Moepn(H)」のi番目の離散点の外部磁界「Hoi」が「HNi」に設定され、その離散点の磁界差分が「Ni」に設定される。
[ステップS142]閉磁路演算部130は、磁界差分の算出位置の番号を示す変数jを「1」に初期化する(j=1)。例えば、測定結果121に示される外部磁界の値のうち、磁界差分の算出対象とする値の順番が変数jで示される。
[ステップS143]閉磁路演算部130は、変数{Hci,Mci},{Hoi,Moi}(i=1,・・・,Ndata)に基づいて、{Hci,Mci}(i=1,・・・,Ndata)からM=Mojにおける外部磁界Hの値を、内挿により算出し、算出した値をHc'jに代入する。これにより仮の閉磁路曲線51上の磁化がM=Mojである点の外部磁界HがHc'jに設定される。
[ステップS144]閉磁路演算部130は、変数{Have i,Mave i},{Hoi,Moi}(i=1,・・・,Ndata)を用いて、{Have i,Mave i}(i=1,・・・,Ndata)からM=MojにおけるHの値を内挿により算出し、算出した値をHave'jに代入する。これにより開磁路曲線52(計算結果)上の磁化がM=Mojである点の外部磁界HがHave'jに設定される。
[ステップS145]閉磁路演算部130は、Hc'jとHave'jとの差分「Hc'j-Have'j」をNjに代入する。
[ステップS146]閉磁路演算部130は、HojをHMjに代入する。
[ステップS147]閉磁路演算部130は、変数jの値がNdataに達したか否かを判断する(j=Ndata?)。閉磁路演算部130は、変数jの値がNdataに達した場合、閉磁路曲線と開磁路曲線の磁界差分算出処理を終了する。また閉磁路演算部130は、変数jの値がNdataに達していない場合、処理をステップS148に進める。
[ステップS148]閉磁路演算部130は、変数jの値を1だけカウントアップし(j=j+1)、処理をステップS143に進める。
このようにして、閉磁路曲線と開磁路曲線の磁界差分N(H)を表すパラメータ変数{HNi,Ni}(i=1,・・・,Ndata)が得られる。
以下、図21の説明に戻る。
[ステップS122]閉磁路演算部130は、暫定の閉磁路曲線「g0=STPS(Mopen(H-N(H)))」を算出する。例えば閉磁路演算部130は、パラメータ変数{HNi,Ni},{Moi,Ni}(i=1,・・・,Ndata)を用いて、すべてのi=1,・・・,Ndataについて{HNi,Moi-Ni}を計算する。閉磁路演算部130は、その結果について自然スプライン法を用いて滑らかなデータに加工し、変数{Hc0 i,Mc0 i}(i=1,・・・,Ndata)に代入する。
[ステップS123]閉磁路演算部130は、算出した暫定の閉磁路曲線「g0」が一価関数か否かを判断する。例えば閉磁路演算部130は、変数{Hc0 i,Mc0 i}(i=1,・・・,Ndata)を第2成分Mc0 iについて昇順に並び替えて{Hc0'i,Mc0'i}(i=1,・・・,Ndata)に代入する。閉磁路演算部130は、i=1,・・・,Ndata-1について「Hc0'i<Hc0'i+1」が成り立つか否かを判定する。閉磁路演算部130は、すべてのiについて「Hc0'i<Hc0'i+1」が成り立つ場合、暫定の閉磁路曲線「g0」が一価関数であると判断する。また閉磁路演算部130は、すくなくとも1つのiについて「Hc0'i<Hc0'i+1」が満たされない場合、暫定の閉磁路曲線「g0」は一価関数ではないと判断する。
閉磁路演算部130は、一価関数であれば処理をステップS124に進める。また閉磁路演算部130は、一価関数でなければ処理をステップS125に進める。
[ステップS124]閉磁路演算部130は、式「g(H)」を、算出した暫定の閉磁路曲線「g0(H)」に更新する(g(H)=g0(H))。閉磁路演算部130は、その後、処理をステップS126に進める。例えば閉磁路演算部130は、変数{Hc0 i,Mc0 i}(i=1,・・・,Ndata)を{Hci,Mci}(i=1,・・・,Ndata)に代入する。
[ステップS125]閉磁路演算部130は、算出した暫定の閉磁路曲線「g0」を一価関数に修正し、仮の閉磁路曲線「g(H)」を、修正後の閉磁路曲線「MONO(g0(H))」に更新する(g(H)=MONO(g0(H)))。例えば閉磁路演算部130は、ステップS123で求めた変数{Hc0'i,Mc0'i}(i=1,・・・,Ndata)を用い、「Hc0'i+1<Hc0'i」が成り立つならば「Hc0'i+1=Hc0'i+η」の代入を行う。なお、ηは処理開始時に与えられる定数パラメータである。閉磁路演算部130は、「Hc0'i+1<Hc0'i」が成り立つか否かの判定処理と、成り立つ場合の「Hc0'i+1=Hc0'i+η」の代入処理とを、i=1,・・・,Ndata-1について行う。そして閉磁路演算部130は、得られた結果{Hc0'i,Mc0'i}(i=1,・・・,Ndata)を{Hci,Mci}(i=1,・・・,Ndata)に代入する。
[ステップS126]閉磁路演算部130は、磁化差分「dMave(Ha){Ha|Hmin≦Ha≦Hmax}」が、すべての外部磁界Haについて、磁化差分の閾値δ未満か否かを判断する。閉磁路演算部130は、すべての外部磁界Haについて、磁化差分dMave(Ha)が磁化差分の閾値δ未満であれば、処理をステップS127に進める。また閉磁路演算部130は、磁化差分「dMave(Ha)」が磁化差分の閾値δ以上となる外部磁界Haが少なくとも1つあれば、処理をステップS102(図20参照)に進める。
[ステップS127]閉磁路演算部130は、磁界差分「N(Ha)」に基づいて、外部磁界{Ha|Hmin≦Ha≦Hmax}それぞれについての「磁化M(Ha)」を算出する。例えば閉磁路演算部130は、式「g(Ha)=Mopen(H-N(Ha))」に基づいて、すべてのHaの値についての「g(Ha)」を計算し、「g(Ha)」を仮の閉磁路曲線「M(Ha)」に設定する(M(Ha)=g(Ha))。そして閉磁路演算部130は、すべてのHaの値について磁化「M(Ha)」を出力する。
このようにして出力されたすべてのHaの値についての閉磁路の磁化「M(Ha)」が得られる。この磁化「M(Ha)」は、単調性を満たした閉磁路曲線を表している。磁界差分「N(Ha)」の値は、外部磁界の値ごとに適切な値が設定されるため、実測値として得られた開磁路曲線52を、高精度に、正しい閉磁路曲線に補正することが可能である。すなわち、開磁路環境で測定した測定結果121に基づいて、反磁界の影響を排除した精度の高い閉磁路曲線を得ることができる。
〔その他の実施の形態〕
第2の実施の形態では、メッシュごとの磁化算出の繰り返し処理の終了条件(ステップS107の判定条件)を、磁化誤差最大値dMerr_maxが誤差の閾値ε未満であることとしているが、別の終了条件を適用することもできる。例えば閉磁路演算部130は、各メッシュの磁化の平均が誤差の閾値ε未満であれば、磁化算出の繰り返し処理を終了する(ステップS107でYES)と判断するようにしてもよい。
また第2の実施の形態では、仮の閉磁路曲線更新の繰り返し処理の終了条件(ステップS126の判定条件)を、すべての外部磁界において、磁化差分「dMave(Ha)」が閾値δ未満のときとしているが、別の終了条件を適用することもできる。例えば閉磁路演算部130は、各外部磁界に応じた磁化差分「dMave(Ha)」の平均が閾値δ未満であれば、仮の閉磁路曲線の更新の繰り返し処理を終了する(ステップS126でYES)と判断するようにしてもよい。
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
1 測定結果
2 3次元モデル
3 仮の閉磁路曲線
4 第1の開磁路曲線
5 第2の開磁路曲線
10 情報処理装置
11 記憶部
12 処理部

Claims (7)

  1. 閉磁路環境での外部磁界と永久磁石の磁化との関係を示す仮の閉磁路曲線に基づいて、前記外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の前記永久磁石の前記外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線を、前記永久磁石を表す3次元モデルを用いて計算し、
    前記仮の閉磁路曲線と前記第1の開磁路曲線との間の、磁化に応じた前記外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算し、
    開磁路環境における前記外部磁界に応じた前記永久磁石の磁化を計測することで得られた第2の開磁路曲線から、前記磁界差分だけ前記外部磁界方向にずらした磁化曲線に、前記仮の閉磁路曲線を更新し、
    前記第1の開磁路曲線の計算、前記磁界差分の計算、および前記仮の閉磁路曲線の更新を、前記第1の開磁路曲線と前記第2の開磁路曲線との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す、
    処理をコンピュータに実行させる閉磁路演算プログラム。
  2. 前記仮の閉磁路曲線を更新する処理では、前記磁化曲線が一価関数ではない場合、前記磁化曲線を一価関数に修正し、一価関数に修正後の前記磁化曲線に前記仮の閉磁路曲線を修正する、
    請求項1記載の閉磁路演算プログラム。
  3. 前記仮の閉磁路曲線を更新する処理では、前記磁化曲線上の複数の離散点のうちの第1の離散点より磁化の値が大きい第2の離散点の前記外部磁界の値が前記第1の離散点の前記外部磁界の値より小さい場合、前記第2の離散点の前記外部磁界の値を前記第1の離散点の前記外部磁界の値よりも大きな値に修正する、
    請求項2記載の閉磁路演算プログラム。
  4. 前記仮の閉磁路曲線を更新する処理では、前記第1の離散点の前記外部磁界の値よりも前記第2の離散点の前記外部磁界の値の方が小さい場合、前記第1の離散点の前記外部磁界の値よりも大きく、かつ前記第2の離散点よりも磁化の値が大きいどの第3の離散点の前記外部磁界の値よりも小さい値に、前記第2の離散点の前記外部磁界の値を修正する、
    請求項3記載の閉磁路演算プログラム。
  5. 前記磁界差分を計算する処理では、前記第2の開磁路曲線上の第1の点に対して、前記第1の点と磁化の値が等しい前記仮の閉磁路曲線上の第2の点の前記外部磁界の値と、前記第1の点と磁化の値が等しい前記第1の開磁路曲線上の第3の点の前記外部磁界の値との差分値を計算し、
    前記仮の閉磁路曲線を更新する処理では、前記第2の開磁路曲線上の前記第1の点の前記外部磁界の値を、前記第1の点に対して計算された前記差分値だけ変更した前記外部磁界の値と、前記第1の点の磁化の値とで示される第4の点を通る前記磁化曲線を生成する、
    請求項1から4までのいずれかに記載の閉磁路演算プログラム。
  6. 閉磁路環境での外部磁界と永久磁石の磁化との関係を示す仮の閉磁路曲線に基づいて、前記外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の前記永久磁石の前記外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線を、前記永久磁石を表す3次元モデルを用いて計算し、
    前記仮の閉磁路曲線と前記第1の開磁路曲線との間の、磁化に応じた前記外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算し、
    開磁路環境における前記外部磁界に応じた前記永久磁石の磁化を計測することで得られた第2の開磁路曲線から、前記磁界差分だけ前記外部磁界方向にずらした磁化曲線に、前記仮の閉磁路曲線を更新し、
    前記第1の開磁路曲線の計算、前記磁界差分の計算、および前記仮の閉磁路曲線の更新を、前記第1の開磁路曲線と前記第2の開磁路曲線との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す、
    処理をコンピュータが実行する閉磁路演算方法。
  7. 閉磁路環境での外部磁界と永久磁石の磁化との関係を示す仮の閉磁路曲線に基づいて、前記外部磁界に対して反磁界の影響を加えた場合の前記永久磁石の前記外部磁界と磁化との関係を示す第1の開磁路曲線を、前記永久磁石を表す3次元モデルを用いて計算し、前記仮の閉磁路曲線と前記第1の開磁路曲線との間の、磁化に応じた前記外部磁界方向の差分を示す磁界差分を計算し、開磁路環境における前記外部磁界に応じた前記永久磁石の磁化を計測することで得られた第2の開磁路曲線から、前記磁界差分だけ前記外部磁界方向にずらした磁化曲線に、前記仮の閉磁路曲線を更新し、前記第1の開磁路曲線の計算、前記磁界差分の計算、および前記仮の閉磁路曲線の更新を、前記第1の開磁路曲線と前記第2の開磁路曲線との誤差が所定条件を満たすまで繰り返す処理部、
    を有する情報処理装置。
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