JP2023058950A - アンチブロッキング剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】高いブロッキング性を有し、フィルムからの粒子の脱落が少なく、フィルムの滑り性に優れ、透明性が維持できるアンチブロッキング剤を提供することを目的とする。【解決手段】下記一般式(1)に由来する構造単位と、多官能エチレン性単量体に由来する構造単位とを有し、全構造単位100質量%に対し、該多官能エチレン性単量体の含有割合が5%以上である重合体粒子を含む、アンチブロッキング剤。TIFF2023058950000006.tif3270(一般式(1)中、R1は、炭素数1~4のアルキル基、水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムを表す。)【選択図】なし
Description
本発明は、アンチブロッキング剤に関する。
従来、樹脂フィルムは、各種包装資材として広く用いられている。樹脂フィルムは、重ねた状態で保管すると、フィルム同士が密着するため、シリカなどの無機粒子やさらに有機樹脂成分を含む粒子などがアンチブロッキング剤として利用されている(特許文献1、2)。
上記の通り、無機粒子や有機樹脂成分を有する粒子が良好なアンチブロッキング性を有することは知られているが、樹脂フィルム同士の摩擦が繰り返されることによって、摩擦抵抗が増加し、フィルムからの粒子の脱落を抑制することには改善の余地があった。よって、本発明は、高い耐ブロッキング性を有し、フィルムからの粒子の脱落が少なく、フィルムの滑り性が良好で、透明性を維持することができるアンチブロッキング剤を提供する。
下記一般式(1)に由来する構造単位と、多官能エチレン性単量体に由来する構造単位とを有し、全構造単位100質量%に対し、該多官能エチレン性単量体の含有割合が5%以上である重合体粒子を含むアンチブロッキング剤。
本発明アンチブロッキング剤は、高い耐ブロッキング性を有し、フィルムからの粒子の脱落が少なく、フィルムの滑り性に優れ、透明性が維持できるアンチブロッキング剤を提供する。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせたものもまた、本発明の好ましい形態である。
[本開示のアンチブロッキング剤]
<一般式(1)で表される構造単位>
本開示のアンチブロッキング剤には重合体粒子(以下、「本開示の重合体」とも言う。)を含み、前記重合体(以下RHMA系重合体という場合がある)は、下記一般式(1)に由来する構造単位を含む。
<一般式(1)で表される構造単位>
本開示のアンチブロッキング剤には重合体粒子(以下、「本開示の重合体」とも言う。)を含み、前記重合体(以下RHMA系重合体という場合がある)は、下記一般式(1)に由来する構造単位を含む。
上記R1で表される炭素数1~4のアルキル基は、炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることがより好ましい。
上記R1で表される炭素数1~4のアルキル基は、炭素数1~2のアルキル基であることが好ましく、炭素数1のアルキル基(メチル基)であることがより好ましい。
R1で表されるアルカリ金属原子は、リチウム、ナトリウム、カリウムが好ましく、ナトリウム、カリウムがより好ましく、ナトリウムがより更に好ましい。
R1で表されるアンモニウムとは、NH4+に限られず、有機アンモニウムを含む意味であると定義される。有機アンモニウムとしては、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムなどの4級アンモニウム;アミンをプロトン化することによって形成されるアンモニウム(1~3級アンモニウム)などが挙げられる。R1としては、アンモニア又はアミンのプロトン化によって形成されるアンモニウムが好ましい。前記アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどのトリアルキルアミン(好ましくはトリC1-10アルキルアミン);ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどのヒドロキシアルキルアミン(好ましくはジ又はトリ(ヒドロキシC1-10アルキル)アミンなど)などが挙げられ、ヒドロキシアルキルアミンが好ましい。
上記一般式(1)で表される構造単位は、下記一般式(2)で表される単量体が重合反応を経由することにより形成されても良いが、他の方法で形成されても良い。例えば、一般式(2)において、R1が炭素数1~4のアルキル基である単量体を重合し、加水分解をすることにより、上記一般式(1)においてR1がアルカリ金属の構造単位、またはアンモニウムの構造単位を形成しても良い。
なお、上記一般式(2)において、R1は、1種であってもよく、2種以上であっても良い。R1が2種以上の場合、2種以上の上記一般式(2)で表される単量体を重合して形成してもよく、R1が炭素数1~4のアルキル基である上記一般式(2)で表される単量体を重合した後に、エステル基を部分加水分解したり、2種以上の塩基性物質で加水分解することにより形成しても良い。
本開示の重合体粒子は、そのうち少なくとも一部が加水分解されていることが好ましい。
本開示の重合体粒子の少なくとも一部が加水分解されているとは、重合体が、部分加水分解物、完全加水分解物、これらの加水分解中和物のいずれかであることを意味する。例えば、アクリル酸メチル、CH2=CH(-COO―CH3)であれば、部分加水分解物とは、CH2=CH(-COO―CH3)とCH2=CH(-COO―H)に由来する構造単位との両方を含む。
本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位を、5質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、よりさらに好ましくは、18質量%以上である。一方、89質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは87質量%以下であり、さらに好ましくは85質量%以下であり、よりさらに好ましくは、80質量%以下である。上記範囲に含むことで、樹脂への分散性に優れ、フィルムからの脱落が少ない傾向にある。
本開示の重合体粒子は、多層構造を有していてもよく、例えばコア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であってもよい。本開示の重合体粒子が多層構造を有する場合には、最外殻の層における組成が上記範囲であることが好ましい。
<多官能エチレン性単量体に由来する構造単位>
本開示において、多官能エチレン性単量体とは、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を意味する。
本開示において、多官能エチレン性単量体とは、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する単量体単位を意味する。
多官能エチレン性不飽和単量体としては、エチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物であれば、特に制限されないが、例えば、CH2=CH-基、CH2=CH-O-基、CH2=CH-CH2-O-基、CH2=C(CH3)-CH2-O-基、CH2=CH-CH2-CH2-O-基、CH2=C(CH3)-CH2-CH2-O-基、CH2=CH-CO-O-基、CH2=C(CH3)-CO-O-基、CH2=CH-CO-NH-基、から選択される1種または2種以上のエチレン性の炭素炭素二重結合を2または3以上含む化合物が例示される。
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位とは、多官能エチレン性不飽和単量体の、少なくとも一つの炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造単位を表す。例えば、ジビニルベンゼン、CH2=CH-C6H4-CH=CH2、であれば、ジビニルベンゼン由来の構造単位は、例えば-CH2-CH-C6H4-CH-CH2-、で表すことができる。多官能エチレン性不飽和単量体由来の構造単位は、例えば、多官能エチレン性不飽和単量体をラジカル重合することにより形成することができる。なお、多官能エチレン性不飽和単量体由来の構造単位は、多官能エチレン性不飽和単量体の炭素炭素二重結合が炭素炭素単結合に置き換わった構造と同じ構造であればよく、多官能エチレン性不飽和単量体が重合することにより形成された構造単位に限定されず、例えば重合後の後反応により形成された構造単位であってもよい。
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体としては、分子量が50以上、1000以下であることが好ましく、100以上、400以下であることがより好ましい。
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体としては、ジビニルベンゼン;1,3-ブタジエン;トリビニルベンゼン;ジビニルナフタレン;トリビニルシクロヘキサン;ジビニルエーテル;ジアリルエーテル;多価メタクリル酸エステル、N、N’-メチレンビスアクリルアミド等が例示される。耐加水分解性の観点から、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、多価メタクリル酸エステル等が好ましく、より好ましくは、ジビニルベンゼン、多価メタクリル酸エステルが好ましく、さらに好ましくは、ジビニルベンゼンである。
本開示において、多官能エチレン性不飽和単量体としては、ジビニルベンゼン;1,3-ブタジエン;トリビニルベンゼン;ジビニルナフタレン;トリビニルシクロヘキサン;ジビニルエーテル;ジアリルエーテル;多価メタクリル酸エステル、N、N’-メチレンビスアクリルアミド等が例示される。耐加水分解性の観点から、ジビニルベンゼン、ジアリルエーテル、多価メタクリル酸エステル等が好ましく、より好ましくは、ジビニルベンゼン、多価メタクリル酸エステルが好ましく、さらに好ましくは、ジビニルベンゼンである。
ジアリルエーテルとしては、例えば、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ジプロピレングリコールジアリルエーテル、ジブチレングリコールジアリルエーテル等のジアルキレングリコールジアリルエーテル;ポリエチレングリコールジアリルエーテル、ポリプロピレングリコールジアリルエーテル、ポリブチレングリコールジアリルエーテル等のポリアルキレングリコールジアリルエーテルが挙げられる。また、多価メタクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9-ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ジプロピレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート、ペンタエリトリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリトリトールヘキサメタクリレート、メタクリル変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられる。
本開示の重合体粒子は、多官能エチレン性不飽和単量体に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
本開示の多官能エチレン性単量体は、好ましくは、非加水分解性単量体を有する。
非加水分解性単量体としては、炭素原子と水素原子のみから構成される多官能性単量体(炭化水素類)が好ましく、必要に応じてエーテル結合を有していてもよい。このエーテル結合を有していてもよい炭化水素類としての多官能性単量体を、本明細書では、「エーテル結合を有していてもよい炭化水素系架橋剤」と称する。エーテル結合を有していてもよい炭化水素系架橋剤は、エチレン性不飽和結合を2つ以上有するものが好ましく、エチレン性不飽和結合を2つ有するもの(二官能不飽和単量体)がより好ましい。
エーテル結合を有していてもよい炭化水素系架橋剤としては、好ましくは、ジビニルベンゼン、1,4-ブタジエン、トリビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、トリビニルシクロヘキサン、ジビニルエーテル等が挙げられる。エーテル結合を有していてもよい炭化水素系架橋剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。これらの中では、ジビニルベンゼン及び1,4-ブタジエンが好ましく、ジビニルベンゼンがより好ましい。
本開示の重合体粒子は、全構造単位100質量%に対し、多官能エチレン性単量体に由来する構造単位を、5質量%以上含むことが好ましく、より好ましくは11質量%以上であり、さらに好ましくは15質量%以上であり、よりさらに好ましくは、18質量%以上である。一方、70質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは50質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以下であり、よりさらに好ましくは、30質量%以下である。上記範囲に含むことで、フィルムのアンチブロッキング性や滑り性が向上する傾向にある。
<その他の単量体に由来する構造単位>
本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位と、多官能エチレン性単量体由来の構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。すなわち、上記一般式(2)で表される単量体、多官能エチレン性単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」といもいう)に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
本開示の重合体粒子は、上記一般式(1)で表される構造単位と、多官能エチレン性単量体由来の構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。すなわち、上記一般式(2)で表される単量体、多官能エチレン性単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」といもいう)に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
本開示の重合体粒子には、上記一般式(1)で表される構造単位以外の単量体に由来する構造単位(以下、「その他の単量体に由来する構造単位」ともいう)を1種または2種以上含んでいても良い。すなわち、上記一般式(2)で表される単量体以外の単量体(以下、「その他の単量体」といもいう)に由来する構造単位を1種または2種以上含んでいても良い。
その他単量体としては、特に限定されず、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、tert-ブチルスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエンなどのスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水マレイン酸などのカルボキシル基含有単量体;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2-スチリルエチルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロキシシラン、γ-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルヒドロキシシランなどのシラン基含有単量体;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、(メタ)アクリロニトリル等の窒素原子含有単量体;エチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールメトキシ(メタ)アクリレートなどのオキソ基含有単量体;トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレートなどのフッ素原子含有単量体;グリシジル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基含有単量体;2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-4-(メタ)アクリレート等の光安定化単量体;ベンゾトリアゾール系紫外線吸収性単量体、ベンゾフェノン系紫外線吸収性単量体などの紫外線吸収性単量体などが例示される。
本開示の重合体粒子における、その他単量体に由来する構造単位の含有量の含有量は、80質量%以下であることが好ましく、より好ましくは70質量%以下であり、さらに好ましくは、60質量%以下であり、特に好ましくは55質量%以下である。樹脂中において本開示の重合体粒子の分散性を調整することができる。
本開示の重合体粒子は、多層構造を有していてもよく、例えばコア部とその表面に設けられたシェル部で構成されるコアシェル粒子であってもよい。
シェル部は、上記一般式(1)に由来する構造単位と多官能エチレン性単量体に由来する構造単位を有することが好ましい。
シェル部に含まれる、上記一般式(1)に由来する構造単位と多官能エチレン性単量体に由来する構造単位との質量比は、70:30であることが好ましく、より好ましくは、80:20であり、さらに好ましくは、90:10である。
[本開示の重合体粒子の性状]
本開示の重合体粒子は、体積平均粒子径が10nm以上であること好ましく、より好ましくは、50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。一方、10μm以下であること好ましく、より好ましくは、5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。フィルムの透明性を維持し易くする傾向にある。
本開示の重合体粒子は、体積平均粒子径が10nm以上であること好ましく、より好ましくは、50nm以上であり、さらに好ましくは100nm以上である。一方、10μm以下であること好ましく、より好ましくは、5μm以下であり、さらに好ましくは2μm以下である。フィルムの透明性を維持し易くする傾向にある。
[本開示のアンチブロッキング剤の製造方法]
<重合方法>
本開示の重合体粒子は、特に限定されないが、式(2)で表されるヒドロキシメチルアクリル酸系単量体のうちR1が炭素数1~4のアルキル基であるもの(以下、ヒドロキシメチルアクリル酸エステルという)と、多官能エチレン性不飽和単量体と(以下、これらをまとめて「原料単量体成分」という場合がある)を水系溶媒中で重合し、必要に応じ、部分的に又は完全に加水分解することにより製造することが好ましい。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、分散重合等が挙げられる。中でも、乳化剤の存在下、上記原料単量体成分を反応溶媒に分散させて(ラジカル)重合反応を行う乳化重合が好ましく、具体的には、本発明の重合体粒子の製造方法としては、乳化剤の存在下、式(2)で示される単量体の少なくとも1種と、多官能エチレン性不飽和単量体とを水系溶媒に分散させて重合反応を行う乳化重合を含むことが好ましい。乳化重合は、1段階のみで行ってもよく多段階で行ってもよい。
<重合方法>
本開示の重合体粒子は、特に限定されないが、式(2)で表されるヒドロキシメチルアクリル酸系単量体のうちR1が炭素数1~4のアルキル基であるもの(以下、ヒドロキシメチルアクリル酸エステルという)と、多官能エチレン性不飽和単量体と(以下、これらをまとめて「原料単量体成分」という場合がある)を水系溶媒中で重合し、必要に応じ、部分的に又は完全に加水分解することにより製造することが好ましい。
重合方法としては、懸濁重合、乳化重合、分散重合等が挙げられる。中でも、乳化剤の存在下、上記原料単量体成分を反応溶媒に分散させて(ラジカル)重合反応を行う乳化重合が好ましく、具体的には、本発明の重合体粒子の製造方法としては、乳化剤の存在下、式(2)で示される単量体の少なくとも1種と、多官能エチレン性不飽和単量体とを水系溶媒に分散させて重合反応を行う乳化重合を含むことが好ましい。乳化重合は、1段階のみで行ってもよく多段階で行ってもよい。
前記乳化剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、非反応型界面活性剤であっても、ラジカル重合可能な基を構造中に有する反応型界面活性剤であってもよい。
非反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性界面活性剤としては、脂肪酸塩、アルキル(アリル)スルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル硫酸塩等が挙げられ、ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキル(フェニル)エーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックポリマー等が挙げられる。
反応型界面活性剤には、アニオン性、ノニオン性の界面活性剤が包含される。アニオン性反応型界面活性剤としては、エーテルサルフェート型反応型界面活性剤、リン酸エステル系反応型界面活性剤が挙げられるが、これに限定されない。
乳化剤は、原料単量体成分の合計100質量部に対して、0.05質量部以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量部以上、さらに好ましくは0.3質量部以上であり、20質量部以下であることが好ましく、より好ましくは10質量部以下、さらに好ましくは5質量部以下、特に好ましくは3質量部以下である。
本開示において、水系溶媒とは、水単独、または水と水混和性有機溶媒との混合溶媒が挙げられるが、水単独であることが好ましい。水系溶媒とは、典型的には、水の含有量が50体積%を超える溶媒を指す。水としては、イオン交換水(脱イオン水)、蒸留水、純水等を用いることができる。水混和性有機溶媒としては、水と均一に混合し得る有機溶剤(低級アルコール等)を用いることができる。重合体粒子中に有機溶媒が極力残存しないようにする観点から、水系溶媒の80体積%以上が水である水系溶媒が好ましく、水系溶媒の90体積%以上が水である水系溶媒がより好ましく、水系溶媒の95体積%以上が水である水系溶媒がさらに好ましく、実質的に水からなる水系溶媒(99.5体積%以上が水である水系溶媒)が特に好ましく、水単独であることが最も好ましい。
原料単量体成分を重合する際には、例えば、重合開始剤、紫外線や放射線の照射、熱の印加等の手段が用いられ、重合開始剤を使用することが好ましく、原料単量体成分を効率よく反応させ、残存するモノマーを十分に低減させる観点から、酸化剤及び還元剤を組み合わせた重合開始剤(レドックス型重合開始剤)が好ましい。
本開示の重合体粒子の加水分解は、例えば、水酸化ナトリウム水溶液、アンモニア水溶液、シクロヘキシルアミン水溶液等の塩基性水溶液を添加することで加水分解を行うことができる。さらに、加水分解液に適宜酸を添加することで、部分中和又は完全中和を行うことができる。加水分解及び中和を行うことで、式(1)のR1に該当する基を水素原子、アルカリ金属原子、またはアンモニウムにできる。重合時、加水分解時、及び中和時に用いる酸や塩基の量を調整したり、R1が水素原子である単量体単位の割合を調整することで、重合体粒子のpH及び粒子表面の親水性を容易に調整することができるため、樹脂中において本開示の重合体粒子の分散性を向上させることができる。
[本開示のアンチブロッキング剤の用途]
本開示の重合体粒子は、その他成分を含む組成物を形成してもよい。その他成分としては、特に限定されないが、分散剤、溶剤、樹脂、架橋剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本開示の重合体粒子と樹脂を含む組成物(以下、マスターバッチという場合もある)は、フィルムへ塗布することにより、重合体粒子を付与することができる。
本開示の重合体粒子は、その他成分を含む組成物を形成してもよい。その他成分としては、特に限定されないが、分散剤、溶剤、樹脂、架橋剤、酸化防止剤などが挙げられる。
本開示の重合体粒子と樹脂を含む組成物(以下、マスターバッチという場合もある)は、フィルムへ塗布することにより、重合体粒子を付与することができる。
本開示のマスターバッチは、重合体粒子と樹脂との親和性が高いため、配合量の調製が容易であり、重合体粒子の分散性を高くすることができる。
本開示のマスターバッチに含まれる重合体粒子の含有量は、0.01質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.1質量%以上であり、さらに好ましくは0.5質量%以上である。一方、20質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは15質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下である。
本開示のマスターバッチに含まれる樹脂としては、例えば、ポリエステル樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリアミド樹脂;ポリウレタン樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリスチレン樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、三菱ケミカル(株)製、商品名:ニチゴーポリエスター、東洋紡績(株)製、商品名:バイロナール、高松油脂(株)、商品名:ぺスレジン、互応化学工業(株)製、商品名:プラスコートなどが挙げられる。
ポリウレタン樹脂としては、第一工業製薬(株)製、商品名:スーパーフレックス、DIC(株)製、商品名:ハイドランなどが挙げられる。
好ましくは、ポリエステル樹脂である。さらに好ましくは水との親和性の高い、水系ポリエステル樹脂である。
本開示のマスターバッチに含まれる樹脂は、80質量%以上であることが好ましく、より好ましくは85質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上である。一方、99.9質量%以下含むことが好ましく、より好ましくは99質量%以下であり、さらに好ましくは95質量%以下である。
本開示のマスターバッチに含まれる架橋剤としては、例えば、メラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アクリルアミド系架橋剤、ポリアミド系架橋剤、エポキシ系架橋剤、イソシアネート系架橋剤、アジリジン系架橋剤などが挙げられる。好ましくは、オキサゾリン系架橋剤である。
オキサゾリン系架橋剤としては、例えば、(株)日本触媒製、商品名:エポクロスWS-500、エポクロスWS-700、エポクロスK-2010、エポクロスK-2020、エポクロスK-2030などが挙げられる。
本開示のマスターバッチに含まれる架橋剤は、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは、1質量%以上であり、さらに好ましくは5質量%である。一方、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下である。
本開示のマスターバッチに含まれる酸化防止剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、ラクトン系酸化防止剤、ヒドロキシアミン系酸化防止剤などが挙げられる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
[重合体の合成]
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味するものとする。
<体積平均粒子径>
重合体粒子分散体をイオン交換水で希釈したものを光散乱粒度分布測定機(スペクトリス社製「Zetasizer Ultra」)を用いて測定して、動的光散乱法により微粒子の体積平均粒子径(nm)を求めた。
重合体粒子分散体をイオン交換水で希釈したものを光散乱粒度分布測定機(スペクトリス社製「Zetasizer Ultra」)を用いて測定して、動的光散乱法により微粒子の体積平均粒子径(nm)を求めた。
<分散性評価>
樹脂組成物Aの配合直後の分散性と40℃環境下で3日間静置保管したのちの分散性を以下の基準にて目視評価した。
(評価基準)
〇:凝集物なく、分散している
×:凝集し、沈降している
樹脂組成物Aの配合直後の分散性と40℃環境下で3日間静置保管したのちの分散性を以下の基準にて目視評価した。
(評価基準)
〇:凝集物なく、分散している
×:凝集し、沈降している
<透明性評価>
ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、成膜試料のヘイズ(%)を測定した。以下の基準により透明性を評価した。
(評価基準)
〇:ヘイズが10%未満
×:ヘイズが10%以上
ヘイズメーター(日本電色工業社製「NDH7000」)を用いて、成膜試料のヘイズ(%)を測定した。以下の基準により透明性を評価した。
(評価基準)
〇:ヘイズが10%未満
×:ヘイズが10%以上
<耐ブロッキング性評価>
静動摩擦測定機(トリニティーラボ社製「TL201S」)に成膜試料Aの塗工面が上になるように取り付け、荷重ヘッド部(1cm×1cm、100g)と成膜試料Aの接触部に平滑PETフィルムを用いて、2cmの距離を一往復4秒の速度で10往復させた。以下の基準により耐ブロッキング性を評価した。
(評価基準)
〇:静止摩擦係数が0.64未満
×:静止摩擦係数が0.64以上
静動摩擦測定機(トリニティーラボ社製「TL201S」)に成膜試料Aの塗工面が上になるように取り付け、荷重ヘッド部(1cm×1cm、100g)と成膜試料Aの接触部に平滑PETフィルムを用いて、2cmの距離を一往復4秒の速度で10往復させた。以下の基準により耐ブロッキング性を評価した。
(評価基準)
〇:静止摩擦係数が0.64未満
×:静止摩擦係数が0.64以上
<滑り性評価>
耐ブロッキング性評価と同様の評価を実施した。以下の基準によりフィルム搬送性を評価した。
(評価基準)
〇:動摩擦係数が0.43未満
×:動摩擦係数が0.43以上
耐ブロッキング性評価と同様の評価を実施した。以下の基準によりフィルム搬送性を評価した。
(評価基準)
〇:動摩擦係数が0.43未満
×:動摩擦係数が0.43以上
<脱落性評価>
静動摩擦測定機(トリニティーラボ社製「TL201S」)に成膜試料Bの塗工面が上になるように取り付け、荷重ヘッド部(1cm×1cm、10g)と成膜試料Bの接触部にアルミ箔を用いて、10cmの距離を一往復20秒の速度で10往復させた。
摩擦後の成膜試料Bの塗工面を電子顕微鏡(日本電子社製「JSM-7600FA」)にて観察し、塗工面の形状観察を行った。
以下の基準により脱落防止性を評価した。
(評価基準)
〇:重合体粒子の脱落がない
×:重合体粒子の脱落がある
静動摩擦測定機(トリニティーラボ社製「TL201S」)に成膜試料Bの塗工面が上になるように取り付け、荷重ヘッド部(1cm×1cm、10g)と成膜試料Bの接触部にアルミ箔を用いて、10cmの距離を一往復20秒の速度で10往復させた。
摩擦後の成膜試料Bの塗工面を電子顕微鏡(日本電子社製「JSM-7600FA」)にて観察し、塗工面の形状観察を行った。
以下の基準により脱落防止性を評価した。
(評価基準)
〇:重合体粒子の脱落がない
×:重合体粒子の脱落がある
<製造例A1>
攪拌機、温度計及び冷却機を備えたステンレス製の第1の反応釜に、脱イオン水1378質量部、及びエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応性乳化剤アデカリアソープSR-20(有効成分10質量%)0.96質量部を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、第1の反応釜とは異なる第2の反応釜で、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)105.0質量部とジビニルベンゼン810(新日鉄住金化学社製、ジビニルベンゼン純度81%、以下「DVB810」と称する)45.0質量部を投入し、単量体組成物A 150質量部を調製した。さらに、第1の反応釜、第2の反応釜とは異なる第3の反応釜で、2-ヒドロキシメチルメタクリル酸メチル(以下「RHMA」と称する)45質量部と、DVB810 5質量部とを混合して、単量体組成物B 50質量部を調製した。
攪拌機、温度計及び冷却機を備えたステンレス製の第1の反応釜に、脱イオン水1378質量部、及びエーテルサルフェート型アンモニウム塩を主成分とするアニオン性反応性乳化剤アデカリアソープSR-20(有効成分10質量%)0.96質量部を加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、第1の反応釜とは異なる第2の反応釜で、メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する)105.0質量部とジビニルベンゼン810(新日鉄住金化学社製、ジビニルベンゼン純度81%、以下「DVB810」と称する)45.0質量部を投入し、単量体組成物A 150質量部を調製した。さらに、第1の反応釜、第2の反応釜とは異なる第3の反応釜で、2-ヒドロキシメチルメタクリル酸メチル(以下「RHMA」と称する)45質量部と、DVB810 5質量部とを混合して、単量体組成物B 50質量部を調製した。
次に、第1の反応釜内を窒素ガスで置換した後、前記単量体組成物A150質量部、過酸化水素水(濃度3.35質量%)20質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度5.0質量%)20質量部を第1の反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、前記単量体組成物B50質量部、過酸化水素水(濃度0.83質量%)100質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(濃度1.25質量%)100質量部、SR-20(有効成分10質量%)7.04質量部とアンモニア水溶液(濃度28質量%)0.36質量部とイオン交換水92.6質量%との混合組成物100質量部を、各々異なる投入口より、第1の反応釜へ3時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、第1の反応釜の内温を75℃に保持し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、重合体が分散した重合体水分散体を得た。前記で得られた重合体水分散体10質量部、及び塩基性水溶液としてアンモニア水溶液(濃度25.0質量%)1.1質量部を第1の反応釜に加え、25℃で終夜撹拌することにより、部分的に加水分解された重合体粒子(A1)が分散した重合体粒子水分散体(A1a)を得た。
得られた重合体粒子(A1)の粒子径は503nmであった。
得られた重合体粒子(A1)の粒子径は503nmであった。
<製造例A2>
反応性乳化剤の量を目的の粒子径になるように適宜調整した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A2)が分散した重合体粒子水分散体(A2a)を得た。得られた重合体粒子(A2)の粒子径は1160nmであった。
反応性乳化剤の量を目的の粒子径になるように適宜調整した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A2)が分散した重合体粒子水分散体(A2a)を得た。得られた重合体粒子(A2)の粒子径は1160nmであった。
<製造例A3>
反応性乳化剤の量を目的の粒子径になるように適宜調整した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A3)が分散した重合体粒子水分散体(A3a)を得た。得られた重合体粒子(A3)の粒子径は786nmであった。
反応性乳化剤の量を目的の粒子径になるように適宜調整した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A3)が分散した重合体粒子水分散体(A3a)を得た。得られた重合体粒子(A3)の粒子径は786nmであった。
<製造例A4>
塩基性水溶液としてアンモニア水溶液(濃度25.0質量%)1.1質量部を水酸化ナトリウム水溶液(濃度10.0%)1.1質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A4)が分散した重合体粒子水分散体(A4a)を得た。
得られた重合体粒子(A4)の粒子径は584nmであった。
塩基性水溶液としてアンモニア水溶液(濃度25.0質量%)1.1質量部を水酸化ナトリウム水溶液(濃度10.0%)1.1質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(A4)が分散した重合体粒子水分散体(A4a)を得た。
得られた重合体粒子(A4)の粒子径は584nmであった。
<製造例B1>
攪拌機、温度計および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水832.0質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(有効成分6.5質量%、以下「DBSNa(有効成分6.5質量%)」と称する)0.92質量部とを加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、上記反応釜とは異なる容器で、MMA140.0質量部とDVB810 60.0質量部を混合して、単量体組成物200.0質量部を調製した。次に、上記反応釜内を窒素ガスで置換した後、上記単量体組成物40.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度1.28質量%)21.0質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度1.90質量%)21.0質量部を上記反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、上記単量体組成物の残部160.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度0.22質量%)479.0質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度0.33質量%)479.0質量部とDBSNa(有効成分6.5質量%)6.77質量部との混合組成物485.77質量部を、各々異なる投入口より反応釜へ4時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温を85℃まで昇温し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、架橋微粒子(B1)が分散した架橋微粒子分散体(B1a)を得た。得られた重合体粒子(B1)の粒子径は493nmであった。
攪拌機、温度計および冷却機を備えたステンレス製の反応釜に、脱イオン水832.0質量部とドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム水溶液(有効成分6.5質量%、以下「DBSNa(有効成分6.5質量%)」と称する)0.92質量部とを加え、内温を75℃まで昇温し、同温度に保った。他方、上記反応釜とは異なる容器で、MMA140.0質量部とDVB810 60.0質量部を混合して、単量体組成物200.0質量部を調製した。次に、上記反応釜内を窒素ガスで置換した後、上記単量体組成物40.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度1.28質量%)21.0質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度1.90質量%)21.0質量部を上記反応釜内に添加して、初期重合反応を行った。続いて、上記単量体組成物の残部160.0質量部、過酸化水素水(過酸化水素濃度0.22質量%)479.0質量部、及びL-アスコルビン酸水溶液(L-アスコルビン酸濃度0.33質量%)479.0質量部とDBSNa(有効成分6.5質量%)6.77質量部との混合組成物485.77質量部を、各々異なる投入口より反応釜へ4時間かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温を85℃まで昇温し、同温度で2時間保持して熟成した後、反応溶液を冷却して、架橋微粒子(B1)が分散した架橋微粒子分散体(B1a)を得た。得られた重合体粒子(B1)の粒子径は493nmであった。
<製造例B2>
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量10Lのガラス製反応器に、有機溶媒としてのメチルアルコール4266.5gと、28重量%アンモニア水(水および触媒)333.0gとを仕込み、攪拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、シリコン化合物としてのテトラメトキシシラン333.0gをメチルアルコール533.0gに溶解してなる溶液を仕込んだ。そして、滴下装置から該溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行い、シリカ微粒子(B2)の懸濁液(B2a)を得た。得られた重合体粒子(B2)の粒子径は398nmであった。
攪拌機、滴下装置および温度計を備えた容量10Lのガラス製反応器に、有機溶媒としてのメチルアルコール4266.5gと、28重量%アンモニア水(水および触媒)333.0gとを仕込み、攪拌しながら液温を20±0.5℃に調節した。一方、滴下装置に、シリコン化合物としてのテトラメトキシシラン333.0gをメチルアルコール533.0gに溶解してなる溶液を仕込んだ。そして、滴下装置から該溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後、さらに1時間攪拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解,縮合を行い、シリカ微粒子(B2)の懸濁液(B2a)を得た。得られた重合体粒子(B2)の粒子径は398nmであった。
<製造例B3>
単量体組成物AをMMA105質量部とDVB810 45質量部から、MMA75質量部とブチルアクリレート(以下「BA」と称する)75質量部に、単量体組成物BをRHMA45質量部とDVB810 5質量部から、RHMA90質量部とDVB810 10質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(B3)が分散した重合体粒子水分散体(B3a)を得た。得られた重合体粒子(B3)の粒子径は355nmであった。
単量体組成物AをMMA105質量部とDVB810 45質量部から、MMA75質量部とブチルアクリレート(以下「BA」と称する)75質量部に、単量体組成物BをRHMA45質量部とDVB810 5質量部から、RHMA90質量部とDVB810 10質量部に変更した以外は製造例A1と同様にして、部分的に加水分解された重合体粒子(B3)が分散した重合体粒子水分散体(B3a)を得た。得られた重合体粒子(B3)の粒子径は355nmであった。
[樹脂]
重合体粒子水分散体と配合する樹脂として、下記のものを使用した。
(水系ポリエステル樹脂)
ニチゴーポリエスターWR-901:三菱ケミカル社製、固形分19.9質量%
ニチゴーポリエスターWR-961:三菱ケミカル社製、固形分29.6質量%
プラスコートZ-730:互応化学工業社製、固形分25質量%
(水系ウレタン樹脂)
スーパーフレックス210:第一工業製薬社製、固形分35.4質量%
重合体粒子水分散体と配合する樹脂として、下記のものを使用した。
(水系ポリエステル樹脂)
ニチゴーポリエスターWR-901:三菱ケミカル社製、固形分19.9質量%
ニチゴーポリエスターWR-961:三菱ケミカル社製、固形分29.6質量%
プラスコートZ-730:互応化学工業社製、固形分25質量%
(水系ウレタン樹脂)
スーパーフレックス210:第一工業製薬社製、固形分35.4質量%
[実施例1]
<成膜試料Aの調製>
水系ポリエステル樹脂(ニチゴーポリエスターWR-901)と重合体水分散体(A1a)とを固形分で100:10の比率になるように配合した後、スターラーチップで十分に攪拌し、塗膜用組成物A―(1)を得た。塗膜用組成物A―(1)にて、分散性評価をおこなった。次に塗膜用組成物A―(1)を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が52μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層された成膜試料A―(1)を得た。成膜試料A―(1)にて、透明性評価、耐ブロッキング性評価および滑り性評価をおこなった。
<成膜試料Bの調製>
樹脂と重合体粒子水分散体とを固形分で100:20の比率になるように配合した以外は成膜試料A―(1)と同様にして、塗膜用組成物B―(1)を得た。次に塗膜用組成物B―(1)を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が7μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層された成膜試料B―(1)を得た。成膜試料B―(1)にて、脱落性評価をおこなった。
<成膜試料Aの調製>
水系ポリエステル樹脂(ニチゴーポリエスターWR-901)と重合体水分散体(A1a)とを固形分で100:10の比率になるように配合した後、スターラーチップで十分に攪拌し、塗膜用組成物A―(1)を得た。塗膜用組成物A―(1)にて、分散性評価をおこなった。次に塗膜用組成物A―(1)を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が52μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層された成膜試料A―(1)を得た。成膜試料A―(1)にて、透明性評価、耐ブロッキング性評価および滑り性評価をおこなった。
<成膜試料Bの調製>
樹脂と重合体粒子水分散体とを固形分で100:20の比率になるように配合した以外は成膜試料A―(1)と同様にして、塗膜用組成物B―(1)を得た。次に塗膜用組成物B―(1)を透明なポリエチレンテレフタレートフィルム(以下「PETフィルム」と称する、東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)に、塗工後の膜厚が7μmとなるようにバーコーターで塗布し、送風定温恒温器(ヤマト科学社製「DNF400」)にて100℃10分間乾燥して、塗膜が積層された成膜試料B―(1)を得た。成膜試料B―(1)にて、脱落性評価をおこなった。
[実施例2]
配合する樹脂、重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更し、添加剤としてエポクロスWR-700(日本触媒社製)を重合体粒子に対し固形分で20:10の比率となるように配合した以外は、実施例1と同様にして成膜試料A―(2)およびB―(2)を調製し、評価をおこなった。
配合する樹脂、重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更し、添加剤としてエポクロスWR-700(日本触媒社製)を重合体粒子に対し固形分で20:10の比率となるように配合した以外は、実施例1と同様にして成膜試料A―(2)およびB―(2)を調製し、評価をおこなった。
[実施例3~5、比較例1~6]
配合する樹脂、重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして成膜試料を調製し、評価をおこなった。
配合する樹脂、重合体水分散体の種類を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして成膜試料を調製し、評価をおこなった。
[参考例1]
フィルム基材に用いたPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)単独で、所定の評価を実施した。静止摩擦係数は0.43、動摩擦係数は0.64であった。
フィルム基材に用いたPETフィルム(東洋紡社製、コスモシャインA4300 縦:297mm、横:210mm、厚さ:0.100mm)単独で、所定の評価を実施した。静止摩擦係数は0.43、動摩擦係数は0.64であった。
[参考例2]
配合する樹脂を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして成膜試料を作製した。静止摩擦係数は0.67、動摩擦係数は0.78であった。
配合する樹脂を表1に記載のものに変更した以外は、実施例1と同様にして成膜試料を作製した。静止摩擦係数は0.67、動摩擦係数は0.78であった。
表1の結果から、本開示のアンチブロッキング剤は、耐ブロッキング性に優れ、フィルムからの脱落防止能を有し、フィルムの滑り性に優れ、透明性を維持できることが明らかとなった。
Claims (4)
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