JP2023051879A - ゴム組成物、及びタイヤ - Google Patents

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Joel Daniel Delville Jerome
シャルル ジャコビー クラウド
Charles Jacoby Claude
カンツ カルロ
Kanz Carlo
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Jean-Marie Kaes Christian
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Abstract

【課題】ゴム組成物及びこのゴム組成物からなるタイヤが開示されている。【解決手段】このゴム組成物は、70phr~100phrの少なくとも1つのスチレンブタジエンゴム、0phr~30phrの少なくとも1つのさらなるジエン系ゴム、40phr~200phrの少なくとも1つの充填剤、少なくとも5phrの水酸化アルミニウム、及びDCPD樹脂、CPD樹脂及びC5樹脂から1以上選ばれた少なくとも1つの炭化水素樹脂を含んで成る。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物及びタイヤに関するものである。本発明のゴム組成物は、タイヤ、例えば、タイヤトレッドに用いることができる。
夏用タイヤ、特に低転がり抵抗の夏用タイヤの開発では、ドライグリップやウェットグリップを含むグリップと転がり抵抗のバランスを更に向上させることが課題となっている。同時に、タイヤは頑丈でなければならない。
この分野では過去数十年にわたり多くの改善がなされてきたが、上記の特性のバランスを改善する余地は大きく残されている。
本発明の1つの目的は、改善されたグリップと制限されたヒステリシスの有利なバランスを有するゴム組成物を提供することである。
本発明の他の目的は、十分な引張強さ、良好なグリップ特性及び制限されたヒステリシスを有するゴム組成物を提供することである。
本発明の更に別の目的は、制限されたヒステリシス(又はそれぞれ転がり抵抗)で、良好なウェット及びドライグリップを提供し、任意に十分な引張強度を有するゴム組成物を提供することである。
本発明は、請求項1に係るゴム組成物及び請求項9に係るタイヤに関するものである。
従属する請求項は、本発明の好ましい実施形態を言及する。
本発明の第1の好ましい態様では、70phr~100phrの少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム、0phr~30phrの少なくとも1種の(更なる)ジエン系ゴム、40phr~200phrの少なくとも1種の充填剤、少なくとも5phrの水酸化アルミニウム、及びジシクロペンタジエン(DCPD)樹脂、シクロペンタジエン(CPD)樹脂及びC5樹脂の1種以上から選ばれた少なくとも1種の(炭化水素)樹脂を含むゴム組成物が開示されている。
水酸化アルミニウムと請求項記載の樹脂の組み合わせにより、転がり抵抗とウェットグリップのバランスが驚くほど改善されることが見出された。更に、トレッド摩耗も更に改善することができる。このような組み合わせは、低転がり抵抗タイヤ、例えば、低転がり抵抗乗用車用タイヤにとって特に興味深いものとなり得る。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、5phr~80phrの水酸化アルミニウム、好ましくは10phr~40phrの水酸化アルミニウムを含んでなる。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、15phr~80phrの樹脂、好ましくは15phr~40phr、更に好ましくは15phr~35phrの樹脂を含んでなる。
本発明の好ましい態様では、樹脂は、少なくとも部分的に水素化された樹脂、好ましくは完全に水素化された樹脂である。
本発明の好ましい態様において、樹脂は芳香族又はC9変性である。
本発明の好ましい態様において、樹脂は、水素化及びC9変性された樹脂、好ましくは、水素化及びC9変性されたDCPD又はCPD樹脂である。
本発明の好ましい態様において、樹脂は、35℃から65℃の範囲内のガラス転移温度を有する。樹脂は、比較的高いが、なお限定されたガラス転移温度を有することが好ましい。
本明細書において、樹脂のガラス転移温度は、ASTM D6604又はそれに準ずる方法により、毎分10℃の昇温速度で示差走査熱量計(DSC)によるピーク中点として決定される。
本発明の好ましい態様において、樹脂は、C5樹脂、CPD樹脂、DCPD樹脂、C9変性C5樹脂、C9変性CPD樹脂、及びC9変性DCPD樹脂の1種以上から選択される。任意に、これらの樹脂は、部分的又は完全に水素化されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、樹脂は、C9変性CPD樹脂及びC9変性DCPD樹脂のうちの1種以上から選択される。
本発明の好ましい態様において、樹脂は、5%~15%の範囲内の芳香族プロトン含有量、好ましくは8%~12%の範囲内の芳香族プロトン含有量を有する。この含有量は、例えば、当業者によって知られているように、NMRによって決定することができる。
本明の好ましい態様において、樹脂は、ASTM E28、又は同等のものに従って本明細書で決定される、88℃から110℃の範囲内の軟化点を有し、これは時に、リングアンドボール軟化点と呼ばれることもある。
本発明の好ましい態様において、樹脂は、ASTM5296-11又は同等物に従ってポリスチレン校正標準を用いたゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定される、500g/molから800g/molの範囲内の重量平均分子量Mwを有する。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、本明細書に後述するように決定される-25℃~-15℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
本発明の好ましい態様において、少なくとも1種のスチレンブタジエンゴムが溶液重合スチレンブタジエンゴムであり;及び/又は、ジエン系ゴムがポリイソプレンであり、好ましくは合成ポリイソプレン及び天然ゴムの1種、又は2種以上であることを特徴とする。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、i)-51℃~-86℃の範囲内のガラス転移温度を有する第1のスチレンブタジエンゴム(好ましくは溶液重合)、及びii)-10℃~-45℃の範囲内のガラス転移温度を有する第2のスチレンブタジエンゴム(好ましくは溶液重合)から構成されている。好ましくは、前記第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの少なくとも一方(又は両方)は、充填剤(カーボンブラック又はシリカなど)、特にシリカとのカップリングのために官能化されている。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、40phr~60phrの第1のスチレンブタジエンゴム及び30phr~50phrの第2のスチレンブタジエンゴムを含んでなる。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムは、シリカとのカップリングのために構成された少なくとも1つの官能基を含んでいる。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの少なくとも1つは、シリカとのカップリングのために構成された少なくとも1つの官能基を含み、前記官能基は、シロキシ、アルコキシ、アミノ、アルキルシロキシ、錫アミノ、アミノシロキサン及びアミノシラン並びにチオール基から1以上から選択される。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムのうちの1つのスチレンブタジエンゴムがアミノシラン基で官能化され、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムのうちの別の1つがアミノシロキサン基で官能化されている。
本発明の好ましい態様では、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの1つは、少なくとも1つのチオール基で官能化され、第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの別の1つは、アミノシラン又はアミノシロキサン基の少なくとも1つで官能化されている。好ましくは、より低いTgを有するスチレンブタジエンゴムは、チオール基で官能基化されている。
本発明の好ましい態様において、第1のスチレンブタジエンゴムは、-20℃から-35℃の範囲内のガラス転移温度を有し、第2のスチレンブタジエンゴムは、-55℃から-69℃の範囲内のガラス転移温度を有する。
本発明の好ましい態様では、充填材は、シリカを主成分とする。
本発明の好ましい態様では、充填剤は、10phr未満のカーボンブラック、好ましくは5phr未満のカーボンブラック、及び少なくとも40phrのシリカを含んでなる。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、最大で85phrのシリカを含んでなる。限られたシリカ又は充填剤の量は、低転がり抵抗用途、或いは超低転がり抵抗用途に特に望まれる。
本発明の好ましい態様において、水酸化アルミニウムは、以下の特徴のうちの1つ以上を有する。(i)0.2μmから5μmの範囲内のD50粒子径、及び(ii)1m/gから20m/gの範囲内のBET表面積。
水酸化アルミニウム粒子の直径は、ISO 22412又は同等物に基づく動的光散乱を用いて、マルバーン社製のZetasizerTM Nano Sを使用して決定される。
水酸化アルミニウム粒子のBET比表面積は、ISO 9277又はそれに相当するものに基づいて決定される。
本発明の好ましい態様において、シリカは、150m/g~220m/gの範囲内のBET表面積を有する。特に、本明細書では、高表面積シリカが好ましい。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、(i)前記炭化水素樹脂とは別に、0phr~5phr未満の更なる樹脂;及び(ii)0phr~5phr未満のオイルのうちの1つ以上を含む。したがって、このような好ましい実施形態では、更なる可塑剤及び/又は樹脂又はオイルの量は制限される。好ましくは、オイルの含有量は1phr未満又は0phrである。
本発明の好ましい態様において、前記ゴムは、少なくとも1つのチオール基と少なくとも1つのアルコキシ基とからなる基で官能化(好ましくは末端官能化)されていてもよい。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、-75℃~-100℃の範囲内、好ましくは-75℃~-90℃の範囲内のガラス転移温度を有する植物オイルを1phr~4phr含んでなる。
オイルのガラス転移温度は、ASTM E1356又は同等の方法に従って、毎分10℃の昇温速度で示差走査熱量計(DSC)によりピーク中点として決定される。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、充填剤としてシリカを主成分とし、組成物は、1phr~20phr、好ましくは2phr~10phrの範囲のメルカプトシラン(好ましくは3-(オクタノイルチオ)-1-プロピルトリエトキシシランなどのブロック化メルカプトシラン)を更に含むものである。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、好ましくは0.5phr~5phr、更に好ましくは1phr~4phrの範囲内のα,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンを更に含む。
本発明の好ましい態様において、α,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンは、1,2-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)エタン;1,3-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)プロパン;1,4-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ブタン;1,5-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ペンタン;1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン;1,7-ビス(N,N´-ジベンジルト-ヂベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘプタン;1,8-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)オクタン;1,9-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ノナン;及び1,10-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)デカンからなる群から選択される。好ましくは、α,ω-ビス(N,N’-ジヒドロカルビルチオカルバモイルジチオ)アルカンは、1,6-ビス(N,N’-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサンである。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、0.5phr~15phr、好ましくは0.5~10phr、より好ましくは1phr~9phr、又は更に好ましくは1phr~5phrのロジンベース樹脂からなる。特に、驚くほど少量のロジンベース樹脂であっても、改善されたウェットグリップ性能及び/又はウェットハンドリング性能を有意にサポートできることが見出されている。そのような少量のロジンを使用することは、コストの観点からもプラスである。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂(又はロジン酸系樹脂)は、ガムロジン及び二量化ガムロジンの1つ以上をベースとする。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂は、軟化点が70℃~160℃の範囲内にある。
本明細書において、樹脂の軟化点は、ASTM E28、又はそれに準ずるものに従って決定され、リングアンドボール軟化点と呼ばれることもある。
本発明の好ましい態様では、ロジン系樹脂は、130~180の範囲内の酸価を有する。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂はガムロジンであり、任意に65℃~90℃、好ましくは70℃~85℃の範囲内の軟化点を有し、好ましくは140~180の範囲内の酸価を有している。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂は、二量化ガムロジンであり、任意に130℃~160℃、好ましくは140℃~150℃の範囲内の軟化点を有し、好ましくは130~160、更に好ましくは140~150の範囲内の酸価を有している。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂は、アビエチン酸を主成分とするものである。二量化されている場合には、二量化アビエチン酸を主成分とする。
本発明の好ましい態様において、ロジン系樹脂は、アビエチン酸を主成分とする。
任意に、ロジン系樹脂という用語は、ロジン又はロジン樹脂に置き換えることができる。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、20phr~80phrの樹脂(又は炭化水素樹脂)を含んでいる。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、少なくとも1つ及び/又は追加の1つのジエン系ゴムを含んでもよい。代表的な合成ポリマーは、ブタジエン及びその同族体及び誘導体、例えばメチルブタジエン、ジメチルブタジエン及びペンタジエンの単独重合生成物、並びに、ブタジエン又はその同族体又は誘導体と他の不飽和モノマーから形成されるなどの共重合体であり得る。後者の中には、アセチレン類、例えばビニルアセチレン;オレフィン類、例えばイソプレンと共重合してブチルゴムを形成するイソブチレン;ビニル化合物、例えばアクリル酸、アクリロニトリル(これらはブタジエンと重合してNBRを形成)、メタクリル酸及びスチレン(後者はブタジエンと重合してSBRを形成)、並びにビニルエステル及び種々の不飽和アルデヒド、ケトン及びエーテル、例えばアクロレイン、メチルイソプロペニルケトン、ビニルエチルエーテルなどがある。合成ゴムの具体例としては、ネオプレン(ポリクロロプレン)、ポリブタジエン(シス-1,4-ポリブタジエンを含む)、ポリイソプレン(シス-1,4-ポリイソプレンを含む)、ブチルゴム、クロロブチルゴムやブロモブチルゴムなどのハロブチルゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴムがある。1,3-ブタジエン又はイソプレンと、スチレン、アクリロニトリル及びメタクリル酸メチルなどのモノマーとの共重合体、並びにエチレン/プロピレン/ジエンモノマー(EPDM)としても知られるエチレン/プロピレンターポリマー、特にエチレン/プロピレン/ジシクロペンタジエンターポリマーが挙げられる。使用することができるゴムの追加の例には、アルコキシ-シリル末端官能化溶液重合ポリマー(SBR、PBR、IBR及びSIBR)、ケイ素結合及び錫結合星型分岐ポリマーが含まれる。好ましいゴム又はエラストマーは、一般に天然ゴム、合成ポリイソプレン、ポリブタジエン、及びSSBRを含むSBRであってよい。
本発明の好ましい態様において、組成物は、5phr未満の天然ゴム及び/又はポリイソプレンを含むか、或いは、天然ゴム及び/又はポリイソプレンを本質的に含まない/含まないものである。
2つ以上のゴムの組み合わせは、シス-1,4-ポリイソプレンゴム(天然又は合成、ただし天然が好ましい)、3,4-ポリイソプレンゴム、スチレン/イソプレン/ブタジエンゴム、乳化及び溶液重合由来のスチレン/ブタジエンゴム、シス-1,4-ポリブタジエンゴム、乳化重合調製のブタジエン/アクリロニトリル共重合体などが好ましい。
本発明の好ましい態様では、20~28パーセントの結合スチレン含有量を有する乳化重合由来のスチレン-ブタジエンゴム(ESBR)、又はいくつかの用途では、中程度から比較的高い結合スチレン含有量、すなわち30~45パーセントの結合スチレン含有量を有するESBRが使用され得る。多くの場合、ESBRは、26~31パーセントの範囲内にある結合スチレン含有量を有するであろう。乳化重合によって調製されたESBRは、スチレンと1,3-ブタジエンが水性エマルジョンとして共重合されることを意味する場合がある。そのようなことは、そのような技術分野の当業者にはよく知られている。結合したスチレン含有量は、例えば、5~50%の範囲で変化し得る。一態様において、ESBRはまた、ESBARとして、ターポリマーゴムを形成するように、例えばターポリマー中に2~30重量パーセントの結合したアクリロニトリルの量で、アクリロニトリルを含有してもよい。共重合体中に2~40重量パーセントの結合したアクリロニトリルを含む乳化重合調製のスチレン/ブタジエン/アクリロニトリル共重合体ゴムは、ジエン系ゴムとしても企図され得る。
本発明の好ましい態様では、溶液重合で調製されたSBR(SSBR)が使用される。このようなSSBRは、例えば、5~50%、好ましくは9~36%、最も好ましくは26~31%の範囲の結合スチレン含有量を有することができる。SSBRは、例えば、不活性有機溶媒中でのアニオン重合によって簡便に調製することができる。より具体的には、SSBRは、開始剤として有機リチウム化合物を利用して、炭化水素溶媒中でスチレンと1,3-ブタジエンモノマーを共重合することによって合成することができる。更に別の実施形態では、溶液スチレンブタジエンゴムは、スズ結合ポリマーである。更に別の実施形態では、SSBRは、シリカとの相溶性を向上させるために官能化されている。加えて、又は代替的に、SSBRはチオ官能化されている。これは、化合物の剛性及び/又はそのヒステリシス挙動を改善するのに役立つ。したがって、例えば、SSBRは、ブタジエンとスチレンのチオ官能化されたスズ結合溶液重合共重合体であってもよい。
好ましい実施形態では、合成又は天然のポリイソプレンゴムが使用される。合成シス-1,4-ポリイソプレン及び天然ゴムは、それ自体、ゴム分野の当業者に周知である。シス-1,4-ミクロ構造含有量は、好ましくは少なくとも90%であり、より好ましくは少なくとも95%又はそれ以上である。
一実施形態では、シス-1,4-ポリブタジエンゴム(BR又はPBD)が更に使用される。適切なポリブタジエンゴムは、例えば1,3-ブタジエンの有機溶液重合によって調製することができる。BRは、例えば少なくとも90%のシス-1,4-ミクロ構造含量(「高シス」含量)及び-95~-110℃のガラス転移温度(Tg)を有することによって、都合よく特徴付けることができる。適切な高シス-ポリブタジエンゴムは、ザ・グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー・カンパニー社から市販されているBudene(登録商標)1207、Budene(登録商標)1208、Budene(登録商標)1223、又はBudene(登録商標)1280などである。これらの高シス-1,4-ポリブタジエンゴムは、例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第5,698,643号及び米国特許第5,451,646号に記載されているように、(1)有機ニッケル化合物と(2)有機アルミニウム化合物と(3)フッ素含有化合物の混合物を含むニッケル触媒系を用いて合成することが可能である。
エラストマー又はエラストマー/ゴム組成物のガラス転移温度、又はTgは、本明細書で言及する場合、それぞれのエラストマーの、又はエラストマー組成物の場合には未硬化状態又は硬化状態でのガラス転移温度を表す。
Tgは、ASTM D3418に準拠し、示差走査熱量計(DSC)を用いて毎分10℃の温度変化率で測定した、ガラス転移に伴って観察されるステップの中点又は変曲点によって決定される。
本明細書で使用される用語「phr」は、従来の慣例に従って、「ゴム、又はエラストマー100重量部あたりのそれぞれの材料の重量部」を意味する。一般に、この慣例を用いると、ゴム組成物は、100重量部のゴム/エラストマーを含んでいる。請求項に記載された組成物は、請求項に記載されたゴム/エラストマーのphr値が請求項に記載されたphr範囲に従っており、組成物中の全てのゴム/エラストマーの量が合計で100部のゴムに帰することを条件に、請求項に明示的に記載した以外のゴム/エラストマーを含んでいてもよい。一例において、組成物は、SBR、SSBR、ESBR、PBD/BR、NR及び/又は合成ポリイソプレンなどの1種又は複数の追加のジエン系ゴムを1phr~10phr、任意に1~5phr、更に含んでいてもよい。別の例では、組成物は、5phr未満の、好ましくは3phr未満の、追加のジエン系ゴムを含むか、又はそのような追加のジエン系ゴムを本質的に含まないこともできる。用語「化合物」及び「組成物」並びに「配合物」は、特に指示しない限り、本明細書において互換的に使用され得る。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物はまた、1種以上の追加のオイル、特に(追加の)プロセスオイルを含んでいてもよい。プロセスオイルは、エラストマーを延伸するために典型的に使用される延伸オイルとしてゴム組成物に含まれてもよい。また、プロセスオイルは、ゴム配合時に直接添加することにより、ゴム組成物中に含まれてもよい。使用されるプロセスオイルは、エラストマー中に存在する伸展オイルと、配合中に添加されるプロセスオイルの両方を含んでもよい。適切なプロセスオイルは、芳香族系、パラフィン系、ナフテン系、植物油、及び低PCAオイル、例えばMES、TDAE、SRAE及び重質ナフテン系オイルなど、当技術分野で知られている様々なオイルを含んでもよい。好適な低PCAオイルは、IP346法で測定した多環芳香族(PCA)含有量が3重量%未満のものを挙げることができる。IP346法の手順は、石油及び関連製品の分析及び試験のための標準方法及び英国標準2000パーツ、2003年、第62版、 英国石油協会出版(Standard Methods for Analysis & Testing of Petroleum and Related Products and British Standard 2000 Parts, 2003, 62nd edition, published by the Institute of Petroleum, United Kingdom)に見出され得る。使用できる(非アミノ化及び非エポキシ化)植物油の代表例としては、大豆油、ヒマワリ油、キャノーラ(菜種)油、コーン油、ココナッツ油、綿実油、オリーブ油、パーム油、ピーナッツ油、ベニバナ油等が挙げられる。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、シリカを含む。ゴム組成物に使用され得る一般的に採用されるケイ質顔料には、例えば、従来のパイロジェニック及び沈降ケイ質顔料(シリカ)が含まれる。一実施形態では、沈降シリカが使用される。従来のケイ質顔料は、例えば、ケイ酸ナトリウムなどの可溶性ケイ酸塩の酸性化によって得られるような沈降シリカであってもよい。そのような従来のシリカは、例えば、窒素ガスを用いて測定されるBET表面積を有することによって特徴付けられる。一実施形態では、BET表面積は、1グラム当たり40~600平方メートルの範囲内であってもよい。別の実施形態では、BET表面積は、1グラム当たり50~300平方メートルの範囲内であってよい。BET表面積は、本明細書においてはASTM D5604-96又は同等の方法に従って決定される。従来のシリカは、ASTM D 2414又は同等法に従って好適に決定することができる100cm/100g~400cm/100g、或いは150cm/100g~300cm/100gの範囲のジブチルフタレート(DBP)吸収値を有することによっても特徴付けることができる。様々な市販のシリカを使用することができ、例えば、PPGインダストリーズからHi-Sil(商標)の下で210、315G、EZ160Gの呼称で市販されているシリカ;例えばZeoSil(商標) 1165 MP及びZeoSil(商標) Premium 200 MPの呼称でSolvay社から入手できるシリカ;及び例えばVN2及びUltrasil(商標) 6000GR、9100GRの呼称でEvonik AGから入手できるシリカなどである。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、例えば130m/gと210m/gの間、任意に130m/gと150m/gの間及び/又は190m/gと210m/gの間、更には195m/gと205m/gの間のCTAB吸着表面積を有し得る予備シラン処理した沈降シリカを含んでいてもよい。シリカ表面積の決定のためのCTAB(臭化セチルトリメチルアンモニウム)法(ASTM D6845)は、当業者に既知である。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物への添加前に少なくとも1種のシラン又はシラザンで処理された表面改質された沈降シリカが採用される。適切な表面改質剤としては、アルキルシラン、アルコキシシラン、オルガノアルコキシシリルポリスルフィド、オルガノメルカプトアルコキシシラン、及びヘキサメチルジシラザンが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。
任意に使用できるシリカ分散助剤は、シリカの重量を基準にして0.1重量%~25重量%の範囲の量で存在でき、0.5重量%~20重量%が好適であり、シリカの重量を基準にして1重量%~15重量%もまた好適である。
様々な前処理沈降シリカは、米国特許4,704,414号、米国特許6,123,762号及び米国特許6,573,324号に記載されている。
本発明の実施に使用するのに適した前処理されたシリカ(すなわち、本発明の実施に使用するのに適したシランで前処理されたシリカ)の例としては、メルカプトシランで前処理されたシリカであるCiptane(登録商標)255 LD及びCiptane(登録商標) LP(PPGインダストリーズ社)が挙げられ、また、オルガノシランビス(トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィド(Si69)とUltrasil(登録商標) VN3シリカとの反応生成物であるDegussa社のCoupsil(登録商標) 8113及びCoupsil(登録商標) 6508、PPGインダストリーズ社からのAgilon(登録商標)400シリカ、PPGインダストリーズ社からのAgilon(登録商標)454シリカ、及びPPGインダストリーズ社からのAgilon(登録商標)458シリカが含まれる。好ましい予備シラン処理沈降シリカの代表例としては、PPGインダストリーズ社製のAgilon(登録商標)400、Agilon(登録商標)454及びAgilon(登録商標)458がある。
予めシラン処理された沈降シリカ上及び沈降シリカ上の水酸基と反応する部位と、前記エラストマーと相互作用する別の部位を有する代表的なシリカカップラー(シリカカップリング剤)は、例えば、(A)平均2~4個、或いは2~2.6又は3.2~3.8の範囲の硫黄原子をその接続ブリッジに含むビス(3-トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィド、又は(B)アルコキシオルガノメルカプトシラン、又は(C)それらの組み合わせである。このようなビス(3-トリアルコキシシリルアルキル)ポリスルフィドの代表例としては、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを挙げることができる。示されるように、予めシラン化された沈降シリカの場合、シリカカップラーは、望ましくはアルコキシオルガノメルカプトシランとすることができる。予備的にシラン化されていない沈降シリカについては、シリカカップラーは、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドとすることができ、又はそれを含むものであってもよい。
本発明の好ましい態様において、ゴム組成物は、ゴム組成物へのシリカカップラーの添加を除く(つまりシリカカップラーを除く)。
上記の通り、好ましい実施形態においてゴム組成物は、ゴム組成物に追加されたシリカカップラーの組み合わせを含んでもよい。特に、そのポリスルフィドブリッジに平均2~4個の接続硫黄原子を含むビス(3-トリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドを、前記ゴム組成物に加えられる追加の沈降シリカ(予備的にシラン化されていない沈降シリカ)と共に含み、前記沈降シリカに対する予めシラン化された沈降シリカの比は、望ましくは少なくとも8/1で、代替的には少なくとも10/1とされる。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、カーボンブラックを含んでもよい。このようなカーボンブラックの代表例としては、N110、N121、N134、N220、N231、N234、N242、N293、N299、N315、N326、N330、N332、N339,N343、N347、N351、N358、N375、N539、N550、N582、N630、N642、N650、N683、N754、N762、N765、N774、N787、N907、N908、N990、N991グレードが含まれる。これらのカーボンブラックは、9g/kgから145g/kgの範囲のヨウ素吸収量及び34cm/100gから150cm/100gの範囲のDBP数を有する。ヨウ素吸収量は、ASTM D1510又は同等規格に従って好適に決定することができる。一般に採用されているカーボンブラックは、10phr~150phrの範囲の量で従来の充填剤として使用することができる。しかしながら、好ましい実施形態では、好ましい実施形態が高シリカ化合物及びその特性の改善に向けられるため、組成物は最大で10phrのカーボンブラック、好ましくは最大で5phrのカーボンブラックを含んで成る。
本発明の好ましい態様では、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)を含む粒子状充填剤、米国特許6,242,534に開示されているものを含む架橋粒子状ポリマーゲルを含む他の充填剤がゴム組成物中に使用されてもよい。米国特許6,207,757、米国特許6,133,364、米国特許6,372,857、米国特許5,395,891、又は米国特許6,127,488に開示されているもの、及び米国特許5,672,639に開示されているがこれに限らない可塑化スターチ複合充填剤を含む。シンジオタクチックポリブタジエンも利用することができる。そのような他の充填剤は、1phrから30phrの範囲の量で使用されてもよい。
一実施形態では、ゴム組成物は硫黄含有有機ケイ素化合物又はシランを含有してもよい。適切な硫黄含有有機ケイ素化合物の例は、次式のものである:
Z―Alk―S―Alk―Z I
ここで、Zは、以下の群から選択される。
Figure 2023051879000001
ここで、Rは1~4個の炭素原子を有するアルキル基、シクロヘキシル又はフェニルであり、Rは1~8個の炭素原子を有するアルコキシ又は5~8個の炭素原子を有するシクロアルコキシであり、Alkは1~18個の炭素原子を有する二価炭化水素であり、nは、2~8の整数である。
一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は3,3’-ビス(トリメトキシ又はトリエトキシシリルプロピル)ポリスルフィドである。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド及び/又は3,3’-ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィドである。したがって、式Iに関して、Zは、以下であり得る。
Figure 2023051879000002
ここで、Rは2~4個の炭素原子、或いは2個の炭素原子のアルコキシであり、Alkは2~4個の炭素原子、或いは3個の炭素原子を有する二価の炭化水素であり、nは、2~5、或いは2又は4の整数である。別の実施形態では、好適な硫黄含有有機ケイ素化合物には、米国特許第6,608,125号に開示された化合物が含まれる。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物には、モメンティブパフォーマンスマテリアルズ社からNXTとして市販されている3-(オクタノイルチオ)-1-プロピルトリエトキシシラン、CH(CHC(=O)-S-CHCHSi(OCHCH、が含まれる。別の実施形態では、好適な硫黄含有有機ケイ素化合物には、米国特許出願公開第2003/0130535号に開示されるものが含まれる。一実施形態では、硫黄含有有機ケイ素化合物は、デグサ社製のSi-363である。ゴム組成物中の硫黄含有有機ケイ素化合物の量は、使用される他の添加剤のレベルに応じて変化し得る。一般に、化合物の量は、0.5phr~20phrの範囲であってよい。一実施形態では、その量は1phr~10phrの範囲となる。
本発明の好ましい態様では、ゴム組成物は、0.1phr未満のコバルト塩又は0phrのコバルト塩を含んでいる。
ゴム組成物は、ゴム配合技術において一般的に知られている方法、例えば、種々の硫黄加硫可能な構成ゴムと、例えば、硫黄供与体、活性剤及び遅延剤などの硬化助剤、並びに油、粘着付与樹脂及び可塑剤を含む樹脂、充填剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤、抗オゾン剤及びペプタイジング剤などの加工添加剤などの一般的に用いられる種々の添加剤を混合して配合できることは、当該分野の技術を有するものには容易に理解できることである。当業者に知られているように、硫黄加硫可能な材料及び硫黄加硫された材料(ゴム)の意図された使用に応じて、上記の添加剤が選択され、慣用の量で一般的に使用される。硫黄供与体のいくつかの代表的な例としては、元素状硫黄(遊離硫黄)、アミンジスルフィド、高分子ポリスルフィド及び硫黄オレフィン付加物が挙げられる。一実施形態において、硫黄加硫剤は、元素状硫黄である。硫黄加硫剤は、例えば、0.5phr~8phrの範囲の量で、或いは、1.5phr~6phrの範囲の量で使用され得る。粘着付与剤樹脂を使用する場合、粘着付与剤樹脂の典型的な量は、例えば0.5phr~10phr、通常1phr~5phrを含む。加工助剤を使用する場合、加工助剤の典型的な量、例えば1phr~50phr(これは、特に油を含み得る)を含む。抗酸化剤を使用する場合、抗酸化剤の典型的な量、例えば1phr~5phrを含み得る。代表的な抗酸化剤は、例えば、ジフェニル-p-フェニレンジアミン及び他のもの、例えばヴァンダービルト・ラバー・ハンドブック(1978)、344~346頁に開示されているものであってもよい。抗オゾン剤を使用する場合、抗オゾン剤の典型的な量、例えば1phr~5phrを含み得る。ステアリン酸を含み得る脂肪酸を使用する場合、ステアリン酸を含み得る脂肪酸の典型的な量、例えば0.5phr~3phrを含み得る。ワックスを使用する場合、ワックスの典型的な量、1phr~5phrの範囲内のレベルで使用する。多くの場合、マイクロスタリンワックスが使用される。ペプタイジング剤を使用する場合、ペプタイジング剤の典型的な量は、通常は0.1phr~1phrの範囲内である。典型的なペプタイジング剤は、例えば、ペンタクロロチオフェノール及び/又はジベンズアミドジフェニルジスルフィドであり得る。
促進剤は、加硫に必要な時間及び/又は温度を制御し、加硫物の特性を向上させるために好ましく使用され得るが、必ずしもそうである必要はない。一実施形態では、単一の促進剤系、すなわち一次促進剤が使用されてもよい。一次促進剤は、0.5phr~4phr、代替的に0.8phr~1.5phrの範囲の総量で使用されてもよい。別の実施形態では、加硫材を活性化して特性を向上させるために、一次促進剤と二次促進剤の組み合わせを、二次促進剤をより少ない量、例えば0.05phr~3phrで使用してもよい。これらの促進剤の組み合わせは、最終的な特性に相乗効果をもたらし、いずれかの促進剤を単独で使用した場合よりもいくらか優れていることが期待される。更に、通常の加工温度では影響を受けず、通常の加硫温度で十分な硬化が得られる遅延作用型促進剤も使用できる。また、加硫遅延剤も使用することができる。本発明で使用され得る好適な種類の促進剤は、例えば、アミン類、ジスルフィド類、グアニジン類、チオ尿素類、チアゾール類、チウラム類、スルフェンアミド類、ジチオカルバメート類、及びキサンテート類などである。一実施形態では、一次促進剤は、スルフェンアミドである。二次促進剤が使用される場合、二次促進剤は、例えば、グアニジン、ジチオカルバメート又はチウラム化合物であってよい。好適なグアニジンとしては、ジフェニルグアニジン等が挙げられる。好適なチウラム類としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド等を挙げることができる。
ゴム組成物の混合は、ゴム混合技術における当業者に知られている方法によって達成することができる。例えば、成分は、典型的には、少なくとも2つの段階、すなわち、少なくとも1つの非生産的段階とそれに続く生産的混合段階において混合されてもよい。硫黄加硫剤を含む最終硬化剤は、典型的には、混合が典型的には先行する非生産的混合段階の混合温度よりも低い温度、すなわち究極温度で行われる「生産的」混合段階と、従来から呼ばれている最終段階で混合されてもよい。実施形態において、ゴム組成物は、熱機械的混合工程に供されてもよい。熱機械的混合工程は、一般に、例えば140℃~190℃の間のゴム温度を製造するのに適した期間、ミキサー又は押出機で機械的に作業することを含む。熱機械加工の適切な時間は、操作条件、及び成分の量と性質の関数として変化する。例えば、熱機械加工は1分~20分の間であってもよい。
本発明の好ましい態様においては、タイヤ、動力伝達ベルト、ホース、軌道、エアスリーブ及びコンベヤベルトから選択される、本発明に係るゴム組成物を含むゴム製品が提供される。
本発明の好ましい態様において、本発明に係るゴム組成物からなるゴム製品は、トレッド、シェアバンド、ゴムスポーク、アンダートレッド、サイドウォール、エイペックス、フリッパ、チッパ、チェーファー、カーカス、ベルト、オーバーレイから選ばれる、1以上のゴム成分を含み、該ゴム成分の1以上が該ゴム組成物から構成されるタイヤである。好ましい実施形態において、タイヤは、ゴム組成物からなるトレッドを有する。好ましい実施形態では、タイヤは、1つ以上のトレッドキャップ層を有するトレッドを有し、本発明に係るゴム組成物は、2つの半径方向最外側のトレッドキャップ層のうちの1つ以上、好ましくは半径方向最外側のトレッドキャップ層中にある。
別の実施形態では、ゴム組成物は、半径方向最外側のトレッドキャップ層の半径方向内側にあるトレッドキャップ層内にある。本発明によるゴム組成物は、そのとき、任意に、半径方向最外側のトレッドキャップ層には存在しない。そのような実施形態では、半径方向最外側のトレッドキャップ層は、本発明によるゴム組成物を含んでいない。対照的に、半径方向最外層のトレッドキャップ層の半径方向下方のトレッドキャップ層のゴム組成物は、本発明(又はその実施形態の1つ以上)に従うゴム組成物を有する。このような配置又は構成は、第1のトレッドキャップ層が摩耗し、トレッドの半径方向リブ又はブロック高さが減少したときに、グリップ高さ、特にウェットグリップを同様の高さに維持するのに役立つことができる。そして、トレッド高さの損失は、本発明によるゴム組成物の進化したグリップによって少なくとも部分的に補償することができる。
本発明の空気入りタイヤの加硫は、例えば、100℃~200℃の範囲の従来の温度で実施することができる。一実施形態では、加硫は、110℃~180℃の範囲の温度で実施される。加硫工程は、プレスや金型での加熱、過熱蒸気や熱風による加熱など、通常の加硫工程のいずれを用いてもよい。しかし、本発明のタイヤは、一般に、132℃~166℃の範囲の温度で加硫されることが好ましく、143℃~154℃の範囲の温度で加硫されることがより典型的である。このようなタイヤは、既知の様々な方法によって構築、整形、成型、及び硬化させることができ、このような技術の当業者には容易に明らかであろう。
本発明の構造、操作、及び利点は、添付の図面と共に講じられる以下の説明を熟考することにより、より明らかになるであろう。
本発明の実施形態に係るゴム組成物を有するゴム部材からなるタイヤの概略断面図である。
図1は、本発明の一実施形態に係るタイヤ1の概略断面図である。タイヤ1は、トレッド10、インナーライナー13、4枚のベルトプライ11からなるベルト、カーカスプライ9、2箇所のサイドウォール2、及び2箇所のビード領域3、ビードフィラーエイペックス5及びビード4等の複数のタイヤ構成部材を備えている。該例のタイヤ1は、例えば、車両、例えば、トラックや乗用車のリムに装着するのに好適である。図1に示すように、ベルトプライ11は、オーバーレイプライ12によって覆われてもよく、及び/又は、1つ以上のブレーカープライを含んでもよい。カーカスプライ9は、一対の軸方向に対向する端部部分6を含み、その各々は、ビード4のそれぞれの1つと関連している。カーカスプライ9の各軸方向端部分6は、各軸方向端部分6を固定する位置まで、それぞれのビード4の周りに折り返されてもよい。カーカスプライ9の折り返された部分6は、同じくタイヤ構成部品とされる2つのフリッパ8の軸方向外面及び2つのチッパ7の軸方向内面に係合していてもよい。図1に示すように、例示的なトレッド10は、周方向溝20を有していてもよく、各溝20は、本質的にトレッド10にU字形開口を画定している。トレッド10の主要部分は、1つ又は複数のトレッドコンパウンドで形成されてもよい。更に、溝20、特に溝20の底部及び/又は側壁は、残りのトレッドコンパウンドよりも高い硬度及び/又は剛性を有するゴムコンパウンドによって補強され得る。このような補強は、本明細書において、溝補強と呼ばれ得る。
図1の実施形態は、例えばエイペックス5、チッパ7、フリッパ8及びオーバーレイ12を含む複数のタイヤ構成要素を示唆しているが、このような構成要素及び更なる構成要素は、本発明にとって必須でない。また、カーカスプライ9の折り返し端は、本発明にとって必須ではなく、或いは、ビード領域3の反対側を通過し、ビード4の軸方向外側の代わりに、ビード4の軸方向内側の端であってもよい。また、タイヤは、例えば異なる数の溝20、例えば4つ以下の溝を有し得る。
実施形態において、タイヤ1又は他のタイヤのトレッド10は、以下の表1に特定されるように、本発明実施例によるゴム組成物からなる。本発明の好ましい実施形態に係るゴム組成物は、道路に接するトレッド又はトレッド層に使用される。
Figure 2023051879000003
-62℃のTgとチオール-アルコキシシラン官能基を有するトリンセオ社のSprintan(登録商標) SLR 3402
約-27℃のTgとアミノシラン官能基を有するJSR社のHPR 355H
天然ゴム
約70℃のTgを有するDRT社製Dercolyte(登録商標)A115
約54℃のTgを有するエクソンモービル社製Oppera(登録商標)383
BET比表面積15m/g、d50 0.4μm、d90 0.8μm、
d10 0.3μm、材料密度 2.4g/cmのAl(OH)
215m/gのBET表面積を有するソルベイ社のZeosil(登録商標)
Premium 200MP
ビストリエトキシシリルプロピルジスルフィド
ビストリエトキシシリルプロピルテトラスルフィド
10 ジヒドロキノリンとフェニレンジアミンをベースとする。
11 1,6-ビス(N,N-ジベンジルチオカルバモイルジチオ)ヘキサン、約10%のオイル及びカーボンブラックを含むランクセス社製のVulcuren(登録商標)
12 TBBS及びDPGタイプ
表2は、上記表1に記載の比較例及び本発明例に基づいて得られたタイヤ特性を示す。以下の結果から明らかなように、本発明例では、樹脂の種類を変更することにより、驚くほどウェットグリップとトレッド摩耗が大幅に改善されていることがわかる。また、ウェットグリップは横ばいであり、これらの特性の全体的なバランスが改善されていることがわかる。
Figure 2023051879000004
ラボ試験、30℃での接線デルタせん断応答の動的機械分析(DMA)に基づき、比較例に対して正規化した結果(単位:%)。
リニアフリクションテスターでの伝達摩擦力の測定によるラボ試験、比較例で規格化した結果(単位:%)。
ASTM D5963に基づき測定した摩耗量に基づき、比較例に対して正規化した試験結果(単位:%)。

Claims (10)

  1. 70phr~100phrの少なくとも1種のスチレンブタジエンゴム、
    0phr~30phrの少なくとも1種の更なるジエン系ゴム、
    40phr~200phrの少なくとも1つの充填剤、
    少なくとも5phrの水酸化アルミニウム、及び
    DCPD樹脂、CPD樹脂及びC5樹脂の1種以上から選ばれた少なくとも1種の炭化水素樹脂
    を含むゴム組成物。
  2. 前記ゴム組成物は、5phr~80phrの水酸化アルミニウムを含み、及び/又は、前記ゴム組成物は、15phr~80phrの前記炭化水素樹脂を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記炭化水素樹脂が水添炭化水素樹脂、及び/又は前記炭化水素樹脂が芳香族変性体である請求項1に記載のゴム組成物。
  4. 前記少なくとも1種のスチレンブタジエンゴムが、溶液重合スチレンブタジエンゴムであり、前記少なくとも1種のジエン系ゴムが合成ポリイソプレン、天然ゴム又はその両方である請求項1に記載のゴム組成物。
  5. 前記少なくとも1種のスチレンブタジエンゴムが、(i)-51℃~-86℃の範囲内のガラス転移温度を有する第1のスチレンブタジエンゴム、及び(ii)-10℃~-45℃の範囲内のガラス転移温度を有する第2のスチレンブタジエンゴムを含んでなり;そして任意に、前記第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの少なくとも一方がシリカとのカップリングのために官能化されている、請求項4に記載のゴム組成物。
  6. 前記充填剤は、主としてシリカを含み、及び/又は、前記充填剤は、10phr未満のカーボンブラック及び少なくとも40phrのシリカを含んでなる請求項1に記載のゴム組成物。
  7. (i)前記炭化水素樹脂とは別に、0phr~5phr未満の更なる樹脂;及び(ii)0phr~5phr未満のオイルのうちの1つ又は両方を含む、請求項1に記載のゴム組成物。
  8. 第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの一方が少なくとも1つのチオール基で官能化されており;そして第1及び第2のスチレンブタジエンゴムの別の一方がアミノシラン又はアミノシロキサン基の少なくとも1つで官能化されている、請求項1に記載のゴム組成物。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載のゴム組成物を含むことを特徴とするタイヤ。
  10. 軸方向最外側のトレッドキャップ層を有するトレッドを有し、軸方向最外側のトレッドキャップ層が前記ゴム組成物を含むことを特徴とする請求項9に記載のタイヤ。
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