JP2023043519A - 抗菌シート - Google Patents

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Wataru Sato
祐太郎 菅俣
Yutaro Sugamata
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Abstract

【課題】耐水性及び耐候性に優れた抗菌シートを提供する。【解決手段】抗菌シートは、基材層と、前記基材層上に表面層と、を備える。前記表面層が、2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する抗菌性化合物(A)と、熱架橋性化合物(B)と、を含有する。【選択図】図1

Description

本発明は、抗菌シートに関する。
食品、医薬品等の工場、又は病院、養護施設等の衛生性が求められる施設では、菌又はウィルスを失活させるための薬剤が使用されている。例えば、手すりや机等の設備、調理器具、医療器具等に、抗菌剤、抗カビ剤、消毒剤又は抗ウィルス剤等が使用されている。近年の衛生意識の高まりにより、一般家庭においてもこれら薬剤の使用が増えている。
従来、界面活性剤、特に塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、又は塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等の第4級アンモニウム塩は、抗菌性及び抗ウィルス性を発現することが知られている。これらは抗菌剤として基材上に塗布され、包装材料等として使用されることがある(例えば、特許文献1参照)。
特開2017-137481号公報
しかしながら、抗菌剤を塗布しただけでは、塗布膜が水に濡れて流れたり、剥がれたりすることがある。そのため、屋外のような紫外線や風雨に曝される環境下では、抗菌性を長く維持することが難しかった。
本発明は、抗菌作用の耐水性及び耐候性に優れた抗菌シートを提供することを目的とする。
本発明者らが上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特定の抗菌性化合物とともに熱架橋性化合物を使用すれば、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]基材層と、前記基材層上に表面層と、を備え、
前記表面層が、2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する抗菌性化合物(A)と、熱架橋性化合物(B)と、を含有する
抗菌シート。
[2]前記表面層中の前記抗菌性化合物(A)の含有量が、5~95質量%である
上記[1]に記載の抗菌シート。
[3]前記表面層が、エチレンイミン系重合体(C)をさらに含有する
上記[1]又は[2]に記載の抗菌シート。
[4]前記表面層中の前記エチレンイミン系重合体(C)に対する前記熱架橋性化合物(B)の質量比が、0.5~2.0である
上記[3]に記載の抗菌シート。
[5]前記基材層が、植物由来のオレフィン系樹脂を含有する
上記[1]~[4]のいずれかに記載の抗菌シート。
本発明によれば、抗菌作用の耐水性及び耐候性に優れた抗菌シートを提供することができる。
抗菌シートの一例を示す断面図である。
以下、本発明の抗菌シートについて説明する。以下の説明は本発明の一例(代表例)であり、本発明はこれに限定されない。
以下の説明において、「(メタ)アクリル」の記載は、アクリルとメタクリルの両方を示す。
[抗菌シート]
本発明の積層体は、基材層と、当該基材層上に表面層とを備える。本発明において、表面層は、2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する抗菌性化合物(A)と、熱架橋性化合物(B)と、を含有する。
本発明の抗菌シートにおいては、熱架橋性化合物(B)によって表面層中に架橋構造が形成される。この架橋構造により表面層が強靭な膜となって、紫外線や風雨に曝される屋外環境下でも抗菌性化合物(A)を膜中に維持することができると推察される。水の存在下又は屋外の自然環境下でも抗菌性化合物(A)が表面層中に留まり、抗菌作用を発揮するため、抗菌作用の耐水性及び耐候性が高い抗菌シートを提供することができる。
以下、各層について説明する。
(表面層)
表面層は、抗菌シートの最表面に位置し、抗菌シートに抗菌作用を付与する。表面層は、基材層の一方の面上に設けられてもよいし、両面上に設けられてもよい。上述のように、表面層は、抗菌性化合物(A)と熱架橋性化合物(B)とを含有する。
本発明において、表面層は、表面層の各成分を溶媒中に混合した塗工液を調製し、当該塗工液を基材層上に塗工することにより、形成することができる。塗工後の乾燥の熱により熱架橋性化合物(B)の架橋反応を進行させて、塗工膜中に架橋構造を形成することができる。
<抗菌性化合物(A)>
抗菌性化合物(A)は、2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する化合物であり、抗菌性を有する。抗菌性化合物(A)が2以上の第4級アンモニウム塩構造を有することにより、抗菌作用の耐水性及び耐候性においてより優れた効果が得られやすくなる。
上記抗菌性化合物(A)としては、例えば下記一般式(I)で表される第4級アンモニウム塩型単量体の構造単位(a1)と、下記一般式(II)で表される疎水性単量体の構造単位(a2)と、を有する第4級アンモニウム塩型共重合体が挙げられる。第4級アンモニウム塩型共重合体は、構造単位(a1)及び(a2)に加えてこれらと共重合可能な他の単量体の構造単位(a3)を有してもよい。
Figure 2023043519000002
一般式(I)において、Yは-O-又は-NH-を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは炭素数が2~4のアルキレン基又は-CH-CH(OH)-CH-を表す。R、R、R及びRは同一であっても、異なっていてもよく、それぞれ独立に炭素数が1~3のアルキル基を表す。Rは炭素数が1~10のアルキル基又は炭素数が7~10のアラルキル基を表す。nは1~3の整数を表す。Xは塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子を表す。
上記構造単位(a1)の形成に使用できる単量体は、一般式(I-1)で表される第3級アミン含有単量体を、一般式(I-2)で表される変性剤を用いて変性することによって得ることができる。変性は重合前又は重合後であってもよい。一般式(I-1)で表される第3級アミン含有単量体としては、例えばジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、これらのメタクリレート相当物、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、又はそのメタクリレート相当物等が挙げられる。一般式(I-2)で表される変性剤としては、例えば3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。
Figure 2023043519000003
一般式(I-1)及び一般式(I-2)において、Y、R~R、n及びXの定義は、一般式(I)と同じである。
Figure 2023043519000004
一般式(II)において、Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは炭素数が1~22のアルキル基、炭素数が7~22のアラルキル基、又は炭素数が5~22のシクロアルキル基を表す。
上記構造単位(a2)の形成に使用できる単量体としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2‐エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、又はステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。
上記構造単位(a1)及び(a2)の単量体と共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル等の疎水性単量体、又はビニルピロリドン、(メタ)アクリルアミド等の親水性単量体が挙げられる。これら単量体は第4級アンモニウム塩共重合体中に構造単位(a3)として組み込まれる。具体的な構造単位(a3)としては、例えば下記一般式(II-1)~(II-5)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2023043519000005
第4級アンモニウム塩型共重合体における各構造単位(a1)~(a3)の質量割合(a1:a2:a3)は、30~70:30~70:0~40の範囲であることが好ましく、より好ましくは35~65:35~65:0~20、さらに好ましくは40~60:40~60:0~10である。
構造単位(a1)が上記下限値以上であるとより優れた抗菌作用が得られ、上記下限値以下であると適度な水溶性を維持しやすく、塗工液を調製しやすい。
構造単位(a2)が上記下限値以上であると、基材層との密着性が得られやすく、上記上限値以下であると抗菌効果が得られやすい。
上記第4級アンモニウム塩型共重合体は、ラジカル重合開始剤を用いた、塊状重合、溶液重合、又は乳化重合等の公知の重合方法により製造することができ、なかでも溶液重合法が好ましい。溶液重合法では、各単量体を溶媒に溶解し、ラジカル重合開始剤を添加して窒素気流下において加熱しながら撹拌することにより、重合が実施される。溶媒としては、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の水に溶解する水系溶媒を使用できる。重合開始剤は過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル、又はアゾビスバレロニトリル等のアゾ化合物が好適に用いられる。単量体濃度は通常10~60質量%であり、重合開始剤の濃度は通常単量体に対し、0.1~10質量%である。
第4級アンモニウム塩型共重合体の分子量は、重合温度、重合開始剤の種類及び量、溶媒の使用量、又は連鎖移動剤等の重合条件により任意のレベルとすることができる。一般には得られる重合体の分子量は1,000~1,000,000であるが、なかでも1,000~500,000の範囲が好ましい。
表面層中の抗菌性化合物(A)の含有量は、十分な抗菌性を得る観点から、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。抗菌性化合物(A)の含有量の上限は特にないが、架橋構造を形成する観点から熱架橋性化合物(B)等の他の成分の配合により、通常は95質量%以下である。
表面層は、本発明の効果を損なわない範囲内で、抗菌性化合物(A)以外の抗菌性化合物、例えば塩化ベンザルコニウム等の第4級アンモニウム塩を含有してもよい。
<熱架橋性化合物(B)>
熱架橋性化合物(B)は、熱により架橋して表面層の堅牢性を高め、水及び環境条件による表面層の抗菌性の低下を抑制する。抗菌シートの抗菌活性を高める観点からは、熱架橋性化合物(B)も抗菌性を有することが好ましい。
熱架橋性化合物(B)としては、熱により反応する熱架橋性官能基を有するのであれば、特に限定されない。熱架橋性官能基は、熱架橋性化合物(B)の分子同士を相互に架橋する自己架橋性官能基であることが好ましい。例えば、硬化剤を併用する架橋剤の場合、未反応物が残る可能性がある。この未反応物が抗菌成分と菌との接触を阻害し、十分な抗菌性能を発揮できない可能性が考えられる。これに対し、自己架橋性の化合物であれば、未反応物を少なく抑えることができるため、抗菌成分と菌とが接触しやすくなり、抗菌性を十分に発揮できると推定される。自己架橋性の観点からは、熱架橋性化合物(B)は、2以上の熱架橋性官能基を有することが好ましい。2以上の熱架橋性官能基は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
上記熱架橋性官能基としては、例えばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、カルボキシ基、ヒドロキシ基、炭素数1~3のアルコキシ基、又はアゼチジニウム塩基等が挙げられる。なかでも、架橋性又は抗菌性の観点から、熱架橋性化合物(B)は、熱架橋性官能基として、炭素数1~3のアルコキシ基又はアゼチジニウム塩基を有することが好ましい。2以上の熱架橋性官能基は、アミノ基及び炭素数1~3のアルコキシ基を含むか、エポキシ基及び炭素数1~3のアルコキシ基を含むか、又は、アミノ基及びアゼチジニウム塩基を含むことが好ましい。架橋性官能基がアゼチジニウム塩基のようなカチオン性基であることにより、抗菌性の効果がさらに向上する傾向がある。
熱架橋性化合物(B)としては、熱架橋性官能基を有する樹脂を使用することができる。当該樹脂としては、例えば熱架橋性官能基を有するエステル系樹脂、(メタ)アクリル酸系樹脂、ウレタン系樹脂、エーテル系樹脂、アミド系樹脂、又はフェノール系樹脂等が挙げられ、なかでもアミド系樹脂が好ましい。
熱架橋性官能基を有するアミド系樹脂としては、例えばポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン変性体を挙げることができる。ポリアミンポリアミドエピクロルヒドリン変性体としては、炭素数3~10の飽和二塩基性カルボン酸とポリアルキレンポリアミンとからなるポリアミドをエピクロルヒドリンと反応させて得られるポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物が挙げられる。当該付加物は水溶性で陽イオンの熱硬化性樹脂である。
熱架橋性官能基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、架橋性の観点から、10,000以上であることが好ましい。
また、熱架橋性官能基を有する樹脂としては、熱架橋性官能基を有するシラン化合物、チタネート化合物、又はアルミネート化合物等が挙げられ、なかでもシラン化合物が好ましい。シラン化合物としては、例えば3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランのようなアルコキシシラン化合物が挙げられる。
表面層中の熱架橋性化合物(B)の含有量は、耐水性又は耐候性の観点からは、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上がさらに好ましく、30質量%以上が特に好ましい。抗菌シートの適度な剛度の観点からは、上記熱架橋性化合物(B)の含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、60質量%以下がさらに好ましい。
<エチレンイミン系重合体(C)>
表面層は、エチレンイミン系重合体(C)をさらに含有することが好ましい。表面層がエチレンイミン系重合体(C)を含有することにより、表面層と基材層との密着性を向上させることができる。エチレンイミン系重合体(C)は、熱架橋性化合物(B)の熱架橋性官能基と反応可能なアミノ基を有する。このアミノ基によりエチレンイミン系重合体(C)が熱架橋性化合物(B)と架橋し、表面層の堅牢性がより高まる。よって、抗菌化合物(A)による抗菌作用の耐水性及び耐候性をさらに高めることができる。
エチレンイミン系重合体(C)としては、ポリエチレンイミン又はポリアミンポリアミドのポリエチレンイミン付加体、又はポリエチレンイミンの炭素数1~8のアルキル化物等が挙げられる。なかでも、ポリエチレンイミン又はポリアミンポリアミドのポリエチレンイミン付加体を、炭素数1~24のハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化シクロアルキル、又はハロゲン化ベンジルによって変性した変性ポリエチレンイミンを使用することが好ましい。ここで、任意の重合度のポリエチレンイミンを使用できるが、当該重合度は20~300が好ましい。
表面層中のエチレンイミン系重合体(C)の含有量は、基材層との密着性の観点から、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。熱架橋性化合物(B)の抗菌性の観点からは、上記エチレンイミン系重合体(C)の含有量は、50質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。
表面層中のエチレンイミン系重合体(C)に対する熱架橋性化合物(B)の質量比(B/C)は、耐水性又は耐候性の観点からは、0.5以上が好ましく、0.7以上が好ましく、0.9以上がさらに好ましく、1.0以上が特に好ましい。熱架橋性化合物(B)の基材層との密着性を高める観点からは、上記質量比は、通常2.0以下であり、1.5以下が好ましい。
<表面層の厚み>
表面層の厚みは、抗菌性の観点から、1nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、10nm以上がさらに好ましい。べたつき等を減らす観点からは、表面層の厚みは、800nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましく、100nm以下がさらに好ましく、50nm以下が特に好ましい。
表面層の厚みは、表面層形成用塗工液の塗工量によって調整することができる。抗菌性の観点からは、表面層形成用塗工液の単位面積あたりの塗工量は、乾燥後において、0.005g/m以上が好ましく、0.010g/m以上がより好ましい。べたつき等を減らす観点からは、上記塗工量は、1.000g/m以下が好ましく、0.500g/m以下がより好ましく、0.100g/m以下がさらに好ましく、0.050g/m以下が特に好ましい。
(基材層)
基材層は、熱可塑性樹脂フィルムであることが好ましい。熱可塑性樹脂フィルムは、抗菌シートにコシ等の機械的強度の他、耐水性、耐薬品性、必要に応じて不透明性等を付与することができる。
<熱可塑性樹脂>
基材層に用いられる熱可塑性樹脂としては特に限定されず、例えばプロピレン系樹脂、エチレン系樹脂、ポリブテン、4-メチル-1-ペンテン(共)重合体等のオレフィン系樹脂;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の金属塩(アイオノマー)、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体(アルキル基の炭素数は1~8であることが好ましい)、マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン等の官能基含有オレフィン系樹脂;芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、脂肪族ポリエステル(ポリブチレンサクシネート、ポリ乳酸等)等のエステル系樹脂;ナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン-6,10、ナイロン-6,12等のアミド系樹脂;シンジオタクティックポリスチレン、アタクティックポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン(AS)共重合体、スチレン-ブタジエン(SBR)共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)共重合体等のスチレン系樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリフェニレンスルフィド等が挙げられる。これらの樹脂は、1種を単独で、又は2種以上を混合して用いることができる。
なかでも、耐水性、透明性が高く、表面層を形成しやすいことから、オレフィン系樹脂又はエステル系樹脂が好ましい。フィルムの成形性の観点からは、オレフィン系樹脂のなかでもプロピレン系樹脂がさらに好ましく、エステル系樹脂のなかでもポリエチレンテレフタレートがさらに好ましい。本発明の効果は、オレフィン系樹脂を使用した場合に顕著である。
プロピレン系樹脂としては、例えばプロピレンを単独重合させたアイソタクティックホモポリプロピレン、シンジオタクティックホモポリプロピレンの他、プロピレンを主体とし、エチレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィン等を共重合させた様々な立体規則性を有するポリプロピレン系共重合体等が挙げられる。ポリプロピレン系共重合体は、2元系でも3元系以上の多元系でもよく、またランダム共重合体でもブロック共重合体でもよい。
後述するように基材層にフィラーを配合する場合は、フィルム内部の空孔の形成性の観点から、プロピレン系樹脂にエチレン系樹脂を併用することが好ましい。
エチレン系樹脂としては、例えば密度が0.940~0.965g/cmの高密度ポリエチレン、密度が0.920~0.934g/cmの中密度ポリエチレン、密度が0.900~0.920g/cmの直鎖状低密度ポリエチレン、エチレン等を主体とし、プロピレン、ブテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、4-メチルペンテン-1等のα-オレフィンを共重合させた共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸アルキルエステル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体又はその金属塩(金属は亜鉛、アルミニウム、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、エチレン-環状オレフィン共重合体等が挙げられる。
<<植物由来のオレフィン系樹脂>>
基材層に使用するオレフィン系樹脂は、石油由来であってもよいが、植物由来のオレフィン系樹脂を含むことが好ましい。原料として使用される植物は育成段階で二酸化炭素ガスを吸収している。そのような二酸化炭素ガスの吸収がない石油由来のオレフィン系樹脂と比べて、植物由来のオレフィン系樹脂の製造過程における二酸化炭素ガス排出量は少ない。そのため、植物由来のオレフィン系樹脂の使用は、二酸化炭素ガスの排出量を減らし、環境の負荷を減らすことができる点で好ましい。植物由来のオレフィン系樹脂としては、例えば、植物由来のプロピレン系樹脂及び植物由来のエチレン系樹脂等が挙げられる。
植物由来のプロピレン系樹脂は、植物由来のプロピレンをモノマーとして含む重合体である。
植物由来のプロピレン系樹脂は、フィルム又はシートの成形が可能であれば特に限定されない。プロピレン系樹脂のモノマーとして使用されるプロピレンの一部又は全部が植物由来であってもよいし、コモノマーとして使用されるエチレン又はα-オレフィンの一部又は全部が植物由来であってもよい。
バイオマス度向上の観点からは、植物由来のプロピレン系樹脂は、植物由来のプロピレンを含むプロピレンの単独重合体を含むことが好ましく、植物由来のプロピレンの単独重合体を含むことがより好ましい。
植物由来のプロピレン系樹脂は、バイオマスを原料として製造することができる。また、プロピレン系樹脂の原料となる植物由来のプロピレンは、植物由来のエチレンと、同当量のブテンから、メタセシス反応によって、製造することができる。
植物由来のエチレン系樹脂は、原料が植物由来であるエチレンをモノマーとして用いたエチレン重合体である。
植物由来のエチレンは、例えばバイオマスの発酵により生成したエタノールの脱水により製造することができる。植物由来のエチレンのコモノマーとして使用されるα-オレフィンは、植物に由来する方法で製造されたα-オレフィンでもよく、石油由来のα-オレフィンでもよい。
上記バイオマスとしては、例えば菜種、大豆、油ヤシの果実、油ヤシの種子、ひまわりの種子、綿実(綿の種子)、落花生、オリーブの果実、トウモロコシの胚芽、ココナツの胚乳、胡麻、荏胡麻、亜麻仁、ひまし、米ぬか、紅花の種子、又はぶどうの種子等から搾油して得られる植物油が挙げられる。バイオマスとしては、原料である植物そのものだけでなく、同植物を原料として得られる油及び糖も使用することができる。
<フィラー>
基材層は、フィルムの剛度、白色度及び不透明度の調整のため、フィラーを含有することができる。フィラーとしては、例えば、無機フィラー及び有機フィラーが挙げられ、これらを単独で又は組み合わせて使用することができる。フィラーを含む熱可塑性樹脂フィルムを延伸した場合、延伸によりフィラーを核とした微細な空孔をフィルム内部に多数形成して多孔質延伸フィルムを得ることができ、白色化、不透明化及び軽量化を図ることができる。
基材層が、オレフィン系樹脂とフィラーを含有する多孔質延伸フィルムであると、フィルム内部の空孔により二酸化炭素排出係数がゼロの空気に置き換えられる。フィルムの単位体積あたりの二酸化炭素ガスの排出量がさらに少ない抗菌シートを提供することができ、好ましい。
無機フィラーとしては、例えば重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ、タルク、珪藻土、酸化チタン、酸化亜鉛、硫酸バリウム、酸化ケイ素、酸化マグネシウム、又はこれらを脂肪酸、高分子界面活性剤、或いは帯電防止剤等で表面処理した無機粒子等が挙げられる。なかでも、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、焼成クレイ又はタルクが、空孔の成形性が良く、安価なために好ましい。白色度、不透明度を向上させる観点からは、酸化チタン、酸化亜鉛又は硫酸バリウムが好ましい。
有機フィラーとしては特に限定されないが、熱可塑性樹脂とは非相溶であり、融点又はガラス転移温度が熱可塑性樹脂よりも高く、熱可塑性樹脂の溶融混練条件下で微分散する有機粒子が好ましい。例えば、熱可塑性樹脂がオレフィン系樹脂である場合、有機フィラーとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンスルフィド、ポリフェニレンスルフィド、ポリイミド、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリメチルメタクリレート、ポリ-4-メチル-1-ペンテン、環状オレフィンの単独重合体、又は環状オレフィンとエチレンとの共重合体等の有機粒子が挙げられる。また、メラミン樹脂のような熱硬化性樹脂の微粉末を用いてもよく、熱可塑性樹脂を架橋して不溶化することも好ましい。
なお、樹脂の融点(℃)及びガラス転移温度(℃)は、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)により測定できる。
無機フィラー及び有機フィラーは、上記のなかから1種を選択して単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。2種以上を組合せる場合は無機フィラーと有機フィラーの組合せであってもよい。
無機フィラー及び有機フィラーの平均粒子径は、熱可塑性樹脂との混合の容易さの観点からは、大きいことが好ましい。また、無機フィラー及び有機フィラーの平均粒子径は、延伸により内部に空孔を発生させる場合に、延伸時のシート切れ又は基材層の強度低下等のトラブルを発生させにくくする観点からは、小さいことが好ましい。具体的には、無機フィラー及び有機フィラーの平均粒子径は、好ましくは0.01μm以上であり、より好ましくは0.1μm以上であり、さらに好ましくは0.5μm以上である。また、同平均粒子径は、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは20μm以下であり、さらに好ましくは15μm以下である。
無機フィラー及び有機フィラーの平均粒子径は、基材層の切断面を電子顕微鏡で観察し、粒子の少なくとも10個の最大径を測定したときの平均値を、溶融混練と分散により熱可塑性樹脂中に分散したときの平均分散粒子径として求めることができる。
基材層中のフィラーの含有量は、基材層の不透明度の付与又は二酸化炭素ガスの排出抑制等の観点から、5質量%以上が好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、さらに好ましくは20質量%以上である。
基材層に剛度を与えて抗菌シートの取扱い性を向上させる観点からは、基材層中のフィラーの含有量は、70質量%以下が好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、さらに好ましくは50質量%以下である。
<その他の成分>
本発明において、基材層は、公知の添加剤を必要に応じて含有することができる。添加剤としては、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、結晶核剤、可塑剤、フィラーの分散剤、脂肪酸アミド等のスリップ剤、アンチブロッキング剤、染料、顔料、離型剤、又は難燃剤等の公知の助剤が挙げられる。特に、抗菌シートが屋外で用いられ、耐久性が求められる場合には酸化防止剤又は光安定剤等を含有することが好ましい。
酸化防止剤としては、例えば、立体障害フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、又はアミン系酸化防止剤等が挙げられる。
光安定剤としては、例えば、立体障害アミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系光安定剤、又はベンゾフェノン系光安定剤等が挙げられる。
酸化防止剤及び光安定剤の含有量は、基材層の質量に対して、0.001~1質量%の範囲内で使用することが好ましい。また、含有量は、基材層との密着性を阻害しない範囲で調整すればよい。
熱可塑性樹脂としてオレフィン系樹脂を使用する場合は、結晶核剤を含有することによって基材層の透明性を高くすることができる。
結晶核剤としては、例えば、ソルビトール系核剤、リン酸エステル金属塩系核剤、アミド系核剤、芳香族金属塩核剤、又はタルク等が挙げられる。
結晶核剤の含有量は、基材層の質量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量以上がより好ましく、0.1質量%以上がさらに好ましい一方、1質量%以下が好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以下がさらに好ましい。
熱可塑性樹脂としてエステル系樹脂を使用する場合は、可塑剤を用いて可塑化させることもできる。可塑剤としては、例えば、フタル酸エステル、アジピン酸エステル等のカルボン酸エステル;トリアセチン等が挙げられる。
<基材層の構造>
基材層は、単層構造であっても、多層構造であってもよい。例えば、基材層を第1スキン層/コア層/第2スキン層の3層構造とし、コア層にて抗菌シートに好適な剛度、不透明性、又は軽量性等を付与することができる。第1スキン層と第2スキン層を構成する成分の種類及びその構成成分の割合、並びに厚みは、同じであっても異なっていてもよい。第1スキン層と第2スキン層の組成や厚み等を適宜設計することで、基材層のカール抑制等が可能となる。
図1は、基材層が多層構造を有する場合の抗菌シートの一例を示す。
図1に例示する抗菌シート10は、基材層1と表面層2とを有する。基材層1は、コア層11と、コア層11の両面にそれぞれ第1スキン層12及び第2スキン層13を有する。
基材層は、無延伸フィルムであっても延伸フィルムであってもよい。抗菌シートに適度なコシを与え、またラベル等として使用する際の施工性を高める観点から、基材層は、延伸フィルムを含むことが好ましい。
<基材層の厚み>
基材層の厚みは、十分な機械的強度が得られやすいことから、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましい。また、抗菌シートの軽量化により取扱い性が向上しやすいことから、基材層の厚みは、500μm以下であることが好ましく、300μm以下であることがより好ましい。
<空孔率>
基材層が内部に空孔を有する場合、基材層中の空孔の割合を表す空孔率は、不透明性を得る観点から、10%以上であることが好ましく、12%以上であることがより好ましく、15%以上であることがさらに好ましく、20%以上であることが特に好ましい。機械的強度を維持する観点からは、同空孔率は、45%以下であることが好ましく、44%以下であることがより好ましく、42%以下であることがさらに好ましく、40%以下であることが特に好ましい。
上記空孔率は、電子顕微鏡で観察したサンプルの断面の一定領域において、空孔が占める面積の比率より求めることができる。
[抗菌シートの製造方法]
本発明の抗菌シートの製造方法は特に限定されない。例えば、本発明の抗菌シートは、基材層のフィルムを形成し、その上に表面層を積層することにより製造することができる。
(基材層の形成)
基材層は、通常、上述した熱可塑性樹脂と他の成分を混合して樹脂組成物を調製し、これをフィルム成形することにより得ることができる。成形方法は特に限定されず、公知の種々の成形方法を単独で又は組み合わせて製造することができる。
フィルム成形方法としては、例えば、スクリュー型押出機に接続された単層又は多層のTダイ、Iダイ等により溶融樹脂をシート状に押し出すキャスト成形、カレンダー成形、圧延成形、又はインフレーション成形等が挙げられる。熱可塑性樹脂と有機溶媒又はオイルとの混合物を、キャスト成形又はカレンダー成形した後、溶媒又はオイルを除去することにより、フィルムを成形することもできる。
基材層が多層構造の場合は、各層のフィルムを個別に成形して、その後積層してもよいし、複数の層をまとめて成形してもよい。そのような多層構造の場合の成形方法としては、例えばフィードブロック、マルチマニホールドを使用した多層ダイス方式、複数のダイスを使用する押出しラミネーション方式等が挙げられ、各方法を組み合わせることもできる。
基材層が延伸フィルムである場合、成形後のフィルムを延伸する。複数層を延伸する場合は、各層を積層する前に個別に延伸しておいてもよいし、各層を積層した後にまとめて延伸してもよい。また、延伸した層を他の層に積層後に再び延伸してもよい。
延伸方法としては、例えばロール群の周速差を利用した縦延伸法、テンターオーブンを利用した横延伸法、これらを組み合わせた逐次二軸延伸法、圧延法、テンターオーブンとパンタグラフの組み合わせによる同時二軸延伸法、テンターオーブンとリニアモーターの組み合わせによる同時二軸延伸法等が挙げられる。また、スクリュー型押出機に接続された円形ダイを使用して溶融樹脂をチューブ状に押し出し成形した後、これに空気を吹き込む同時二軸延伸(インフレーション成形)法等も使用できる。
延伸温度は、使用する熱可塑性樹脂が非結晶性樹脂の場合は、当該熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の範囲であることが好ましい。熱可塑性樹脂が結晶性樹脂の場合の延伸温度は、当該熱可塑性樹脂の非結晶部分のガラス転移点以上であって、かつ当該熱可塑性樹脂の結晶部分の融点以下の範囲内であることが好ましく、具体的には熱可塑性樹脂の融点よりも2~60℃低い温度が好ましい。
延伸速度は、特に限定されるものではないが、安定した延伸成形の観点から、20~350m/分の範囲内であることが好ましい。
延伸倍率についても、使用する熱可塑性樹脂の特性等を考慮して適宜決定することができる。例えば、プロピレンの単独重合体又はその共重合体を含むフィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、通常は約1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である一方、通常は12倍以下であり、好ましくは10倍以下である。一方、二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で、通常は1.5倍以上であり、好ましくは10倍以上である一方、通常は60倍以下であり、好ましくは50倍以下である。
また、エステル系樹脂を含むフィルムを一方向に延伸する場合、その延伸倍率は、通常は1.2倍以上であり、好ましくは2倍以上である一方、通常は10倍以下であり、好ましくは5倍以下である。二軸延伸する場合の延伸倍率は、面積延伸倍率で、通常は1.5倍以上であり、好ましくは4倍以上である一方、通常は20倍以下であり、好ましくは12倍以下である。
延伸倍率が上記範囲内であれば、目的の空孔率が得られて不透明性が向上しやすい。また、フィルムの破断が起きにくく、安定した延伸成形ができる傾向がある。
後述する表面層形成用の塗工液の濡れを向上し、基材層との密着性を高めるために、基材層は表面処理が施されて表面が活性化していることが好ましい。
表面処理としては、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、及びオゾン処理等が挙げられ、これら処理は組み合わせることができる。なかでも、コロナ放電処理又はフレーム処理が好ましく、コロナ放電処理がより好ましい。
コロナ放電処理を実施する場合の放電量は、好ましくは600J/m(10W・分/m)以上であり、より好ましくは1,200J/m(20W・分/m)以上である。また、放電量は、好ましくは12,000J/m(200W・分/m)以下であり、より好ましくは10,800J/m(180W・分/m)以下である。フレーム処理を実施する場合の放電量は、好ましくは8,000J/m以上であり、より好ましくは20,000J/m以上であり、また、放電量は、好ましくは200,000J/m以下であり、より好ましくは100,000J/m以下である。
(表面層の形成)
表面層は、表面層形成用塗工液を調製し、当該塗工液を基材層の少なくとも一方の面に塗工した後、乾燥させることにより形成することができる。塗工方法は特に限定されず、公知の塗工装置を使用することができる。
表面層形成用塗工液は、抗菌性化合物(A)及び熱架橋性化合物(B)を溶媒中に混合し、必要に応じてエチレンイミン系重合体(C)を混合した後、撹拌することにより、調製することができる。工程管理が容易であることから、溶媒は、水、メチルアルコール等の水系溶媒であることが好ましい。抗菌性化合物(A)、熱架橋性化合物(B)及びエチレンイミン系重合体(C)は、それぞれ水溶液として調製され、混合されてもよい。
[抗菌シートの用途]
本発明の抗菌シートは、衛生目的で使用することができる。例えば、本発明の抗菌シートは、食品用、又は医療用等の包装材;農業、建築業、又は製造業等で使用される機器や物品;ポスター等の情報表示物品;家具類、事務用品、日用品、電化製品、又は精密機器等の物品、特に屋外で使用する農業用物品、情報表示物品の表面シート又はラベルとして好適に使用できる。本発明の抗菌シートは、周知の成形方法により、トレイ、ボトル、カバー、蓋、又はキャップ等の様々な形態に成形することができる。また、本発明の抗菌シートは、印刷層の有無を問わないが、印刷層を設けない又は一部にのみ印刷層を設けたものにおいて印刷層を設けていない部分においても抗菌性を有する点で有用である。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。なお、実施例中の「部」、「%」等の記載は、断りのない限り、質量基準の記載を意味する。
[実施例1]
(基材層の製造例1)
<樹脂組成物(a)の調製>
熱可塑性樹脂(石油由来のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4、日本ポリプロ社製、MFR(230℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:165℃))80質量部、フィラー(重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800、備北粉化工業社製、平均粒径1.2μm(測定方法:空気透過法)))20質量部よりなる樹脂組成物(a)を調製した。
<樹脂組成物(b)の調製>
石油由来のプロピレン単独重合体(商品名:ノバテックPP FY-4)58質量部、石油由来の高密度ポリエチレン(商品名:ノバテックHD HJ360、日本ポリエチレン社製、MFR(190℃、2.16kg荷重):5g/10分、融点:132℃、密度:0.0.95g/m、融点:132℃)20質量部、マレイン酸変性ポリプロピレン(商品名:モディック P908、三菱ケミカル社製、軟化点:140℃)2質量部の各熱可塑性樹脂に、フィラー(重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800))20質量部を配合して、樹脂組成物(b)を調製した。
上記樹脂組成物(a)を230℃に設定した押出機にて溶融混練した後、250℃に設定した押出ダイに供給しシート状に押し出し、これを冷却装置により60℃まで冷却して無延伸シートを得た。この無延伸シートを135℃に加熱し、ロール群の周速差を利用して縦方向に5倍延伸した。
次いで、上記樹脂組成物(b)を250℃に設定した2つの押出機にてそれぞれ溶融混練した後、シート状に押し出して、上記樹脂組成物(a)からなる樹脂層の両面にそれぞれ積層した。
上記積層シートを60℃まで冷却し、テンターオーブンを用いて積層シートを約150℃に加熱して横方向に8.5倍延伸した後、更に160℃まで加熱して熱処理を行った。60℃まで冷却後、耳部をスリットして、第1スキン層、コア層及び第2スキン層がこの順に積層された製造例1の基材層を得た。第1スキン層及び第2スキン層は1軸延伸された樹脂組成物(b)からなる樹脂層であり、コア層は2軸延伸された樹脂組成物(a)からなる樹脂層である。基材層は、全厚みが80μmであり、各層(b/a/b)の厚みが(10μm/60μm/10μm)であった。
(表面層の形成)
<塗工液の調製>
抗菌性化合物の溶液(2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する第4級アンモニウム塩(商品名:サフトマーST3200、三菱ケミカル社製)の溶液、固形分濃度0.5質量%)と、熱架橋性化合物の溶液(ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(商品名:WS-4082、星光PMC社製)の溶液、固形分濃度0.5質量%)と、エチレンイミン系重合体の溶液(変性ポリエチレンイミン(商品名:サフトマーAC-72、三菱ケミカル社製)の溶液、固形分濃度0.4質量%)とを含む水溶液を、表面層形成用塗工液(1)として調製した。
製造例1の基材層の表面に、60W・分/mの条件でコロナ放電処理を施した。この表面上に上記表面層形成用塗工液をロールコーターにより塗工し、60℃のオーブンにおいて塗工膜を乾燥した。乾燥後の塗工量は、0.02g/mであった。これにより、基材層上に表面層が積層された、実施例1の抗菌シートを得た。表面層中の各成分の含有量(固形分量)を表3に示す。
[実施例2]
抗菌性化合物の溶液(2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する化合物(商品名:サフトマーST3200、三菱ケミカル社製)の溶液、固形分濃度0.4質量%)と、熱架橋性化合物の溶液(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-403、信越化学工業社製)の溶液、固形分濃度0.25質量%)とを含む水溶液を、表面層形成用塗工液(2)として調製した。
表面層形成用塗工液(2)を用いて、乾燥後の塗工量が0.01g/mの表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の抗菌シートを製造した。
[実施例3]
抗菌性化合物の溶液(2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する化合物(商品名:サフトマーST3200)の溶液、固形分濃度0.5質量%)と、熱架橋性化合物の溶液(ポリアミンポリアミドのエピクロルヒドリン付加物(商品名:WS-4082))の溶液、固形分濃度0.5質量%)と、エチレンイミン系重合体の溶液(変性ポリエチレンイミン(商品名:サフトマーAC-72)の溶液、固形分濃度0.7質量%)とを混合し、表面層形成用塗工液(3)として調製した。
表面層形成用塗工液(3)を用いて、乾燥後の塗工量が0.02g/mの表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の抗菌シートを製造した。
[実施例4]
基材層の樹脂組成物(a)を下記樹脂組成物(c)に、樹脂組成物(b)を下記樹脂組成物(d)に代えて、樹脂組成物(c)からなる第1スキン層、樹脂組成物(a)からなるコア層、樹脂組成物(c)からなる第2スキン層の順に積層された3層構造(d/c/d)の基材層を形成した以外は、実施例1と同様にして実施例4の抗菌シートを製造した。
<樹脂組成物(c)の調製>
熱可塑性樹脂(植物由来のプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF、ボレアリス社製、MFR(230℃、2.16kg荷重):3.2g/10分)80質量部、フィラー(重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800))20質量部よりなる樹脂組成物(d)を調製した。
<樹脂組成物(d)の調製>
植物由来のポリプロピレン単独重合体(商品名:HC101BF)58質量部、植物由来の高密度ポリエチレン(商品名:HDPE SHC7260、ブラスケム社製、MFR:7.2g/10min、密度:0.959g/cm)20質量部、マレイン酸変性ポリプロピレン(商品名:モディック P908)2質量部の各熱可塑性樹脂に、フィラー(重質炭酸カルシウム(商品名:ソフトン1800))20質量部を配合して、樹脂組成物(d)を調製した。
[比較例1]
抗菌性化合物の溶液(2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する化合物(商品名:サフトマーST3200)の溶液、固形分濃度0.5質量%)を表面層形成用塗工液(4)として用い、乾燥後の塗工量が0.01g/mの表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の抗菌シートを製造した。
[比較例2]
熱架橋性化合物の溶液(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM-403)の溶液、固形分濃度0.3質量%)を表面層形成用塗工液(4)として用い、乾燥後の塗工量が0.01g/mの表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例2の抗菌シートを製造した。
[比較例3]
塩化ベンザルコニウム(商品名:サニゾールB-50、花王社製)の固形分濃度が0.3質量%の溶液を表面層形成用塗工液(5)として用い、乾燥後の塗工量が0.01g/mの表面層を形成した以外は、実施例1と同様にして比較例3の抗菌シートを製造した。
表1及び表2は、実施例及び比較例の抗菌シートの製造に使用した基材層及び表面層の材料の一覧を示す。
Figure 2023043519000006
Figure 2023043519000007
(評価)
各実施例及び比較例の抗菌シートの抗菌活性の耐水性と耐候性をJIS Z2801に準拠して次のようにして評価した。
<耐水試験>
抗菌シートを5cm×5cmのサイズに切り取り、抗菌加工後のサンプルとして準備した。一方、抗菌シートの製造において表面層を形成する前の基材層のシートを5cm×5cmのサイズに切り取り、抗菌加工前のサンプルとして準備した。次いで、各サンプルを常温の精製水中に16時間浸漬させる耐水試験を実施した。
<耐候試験>
耐水試験と同様に、抗菌加工前と抗菌加工後の各サンプルを準備し、各サンプルにキセノンランプにより紫外線を照射する耐候試験を実施した。紫外線は照射強度:60W/mで10時間照射した。
<抗菌活性試験>
黄色ブドウ球菌(以下、菌(1)という)を含む菌液と、大腸菌(以下、菌(2)という)を含む菌液とを調製した。エタノールを含ませた脱脂綿により、耐水試験及び耐候試験後の各サンプルの表面を2~3回拭取り、清浄した。清浄した面に0.4mLの各菌液を滴下し、4cm角のフィルムで被覆した。このサンプルを温度35±1℃、相対湿度90%の環境下で24時間静置した。静置後のサンプルからフィルムを剥がした後、さらに35℃±1℃で48時間静置し、菌(1)及び菌(2)を培養した。次いで、サンプル上の菌(1)及び菌(2)を洗い出して回収し、1cmあたりの生菌数を測定した。
測定値から、下記式により抗菌活性値を計算した。
R=Ut―At
R:抗菌活性値
Ut:抗菌加工前のサンプルの24時間後の1cmあたりの生菌数の対数値の平均値
At:抗菌加工後のサンプルの24時間後の1cmあたりの生菌数の対数値の平均値
抗菌活性値が2.0以上である場合、抗菌活性があり、抗菌性が高いと評価できる。よって耐水試験後の抗菌活性値が高いほど抗菌作用の耐水性が高いと評価でき、耐候試験後の抗菌活性値が高いほど抗菌作用の耐候性が高いと評価できる。
下記表3は、評価結果を示す。
Figure 2023043519000008
表3に示すように、実施例1~4は、菌(1)と菌(2)のいずれに対しても、耐水試験後及び耐候試験後の抗菌活性の減少幅が少なく、抗菌性を維持できていることが分かる。一方、比較例1~3は、耐水試験後及び耐候試験後には抗菌活性が著しく低下し、抗菌性を維持するための耐水性及び耐候性に劣っている。
10 抗菌シート
1 基材層
11 コア層
12 第1スキン層
13 第2スキン層
2 表面層

Claims (5)

  1. 基材層と、前記基材層上に表面層と、を備え、
    前記表面層が、2以上の第4級アンモニウム塩構造を有する抗菌性化合物(A)と、熱架橋性化合物(B)と、を含有する
    抗菌シート。
  2. 前記表面層中の前記抗菌性化合物(A)の含有量が、5~95質量%である
    請求項1に記載の抗菌シート。
  3. 前記表面層が、エチレンイミン系重合体(C)をさらに含有する
    請求項1又は2に記載の抗菌シート。
  4. 前記表面層中の前記エチレンイミン系重合体(C)に対する前記熱架橋性化合物(B)の質量比が、0.5~2.0である
    請求項3に記載の抗菌シート。
  5. 前記基材層が、植物由来のオレフィン系樹脂を含有する
    請求項1~4のいずれか一項に記載の抗菌シート。

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