JP2023028128A - コイル装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】特に高周波で漏れ磁束を有効に低減でき、しかも装置の小型化および製造コストの低減を図ることが可能なコイル装置を提供すること。【解決手段】磁性体を含む素子本体4と、素子本体4内に設置しているコイル部6αと、コイル部6αのリード部に接続してある端子電極8と、を有するコイル装置2である。素子本体4の外面の内の少なくとも1面4aには、金属と樹脂とを含むシールド層10が形成してある。【選択図】図1A

Description

本発明は、たとえばインダクタなどの用途に用いられるコイル装置に関する。
インダクタなどのコイル装置は、電子機器に広く用いられている。このようなコイル装置に対して、電流を流すことで生じる磁束の一部が、製品の外部に漏れてしまうことを低減するために、特許文献1のコイル装置では、銅製のシートからなるシールドを、コイル装置の素子本体とは別に形成し、素子本体に装着することで漏れ磁束を遮断している。
しかしながら、このようにシールドを素子本体とは別に形成して取り付けると、コイル装置が大きくなってしまうと共に、コイル装置の製造コストが増大してしまうという課題がある。
特表2019-516246号公報
本発明は、このような実状に鑑みてなされ、その目的は、特に高周波で漏れ磁束を有効に低減でき、しかも装置の小型化および製造コストの低減を図ることが可能なコイル装置を提供することである。
本発明者らは、漏れ磁束を有効に低減でき、しかも装置の小型化および製造コストの低減を図ることが可能なコイル装置について鋭意検討した結果、特定のシールド層を素子本体の表面に形成することで、シールド層を薄く形成したとしても、特に高周波で、コイル装置からの漏れ磁束を有効に低減できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明に係るコイル装置は、
磁性体を含む素子本体と、
前記素子本体内に設置しているコイル部と、
前記コイル部のリード部に接続してある端子電極と、を有し、
前記素子本体の外面の内の少なくとも1面には、金属と樹脂とを含むシールド層が形成してある。
このシールド層は、金属と樹脂を含むペースト状の原料を塗布して乾燥、硬化させるのみで形成することが可能であり、そのシールド層の厚さを容易に制御することができる。そのため、金属製のシートのシールドを素子本体に取り付ける構造よりも、コイル装置を容易に製造することが可能になる。しかも、素子本体に金属製のシートを取り付ける構造のコイル装置に比べて、シールド層と素子本体との密着性も向上すると共に、コイル装置の小型化も図ることができる。
好ましくは、前記シールド層は、前記金属が前記樹脂よりも多く観察される金属リッチ領域を有している。好ましくは、前記金属リッチ領域の断面では、前記金属が50%以上含まれている。さらに好ましくは、前記金属リッチ領域の断面では、前記金属が80%以上含まれている。この金属リッチ領域が、漏れ磁束の遮断効果を高めていると考えられる。
好ましくは、前記シールド層は、前記樹脂が多く観察される樹脂リッチ領域を有し、前記樹脂リッチ領域が、前記素子本体と前記金属リッチ領域との界面に存在する。この樹脂リッチ領域は、シールド層と素子本体との密着性を向上させていると考えられる。
前記端子電極は、前記シールド層の前記金属リッチ領域と、同じ材質の領域を有していてもよい。このように構成することで、特定のノイズ周波数に対して効果的に漏れ磁束の低減を実現することができる。同じ材質の金属リッチ領域が、より広い範囲で素子本体表面を覆うことができるためだと考えられる。また、同じ原料によって端子電極とシールド層を同時に形成できるため、製造コストを低減することができる。
好ましくは、前記シールド層は、前記金属と前記樹脂を含むペーストを前記素子本体の外面に塗って形成した塗布層を有する。塗布層は、容易に形成することができ、厚さの制御も容易である。そのため、金属製のシートのシールドを有するコイル装置よりも設計変更も容易であり、製造コストを低減することができる。
好ましくは、前記シールド層には、Agが含まれている。Agを含むシールド層によれば、薄く形成したとしても、特に高周波で漏れ磁束を有効に低減できることが確認された。
前記ペーストは、扁平形状の金属粉体を含むことが好ましい。また、前記ペーストは、球形状の金属粉体を含んでいてもよい。また、前記塗布層は、前記ペーストを170℃~230℃で熱処理して形成してあることが好ましい。
このようなペーストによって形成されたシールド層によれば、漏れ磁束の低減効果が高まる。特に、平均粒径が、好ましくは800nm以下、さらに好ましくは、100~500nmの小さな金属粉体を含むことが好ましい。このような金属粉体を含むことで、ペーストに含まれる樹脂を硬化させる温度(170℃~230℃)でペースト塗布膜を熱処理した場合に、金属リッチ領域の金属含有率を向上させることができる。金属粉体の粒子が細かいために、金属自体の融点温度よりも低い温度で金属の焼結に近い現象が生じているのではないかと考えられる。
好ましくは、前記シールド層は、前記端子電極が形成されている前記素子本体の外面とは反対側の外面に形成してある。このように、反実装側面にシールド層が形成されたコイル装置は、反実装面側からの漏れ磁束を効果的に低減することができる。なお、前記シールドの表面にはメッキ層が形成してあってもよい。メッキ層は、コイル装置の端子電極の表面に形成されるメッキ層の形成と同時に形成されることができる。
前記シールド層は、前記素子本体の反実装側面に形成されている反実装側シールド層と、前記反実装側シールド層から前記素子本体の側面を通って前記素子本体の実装側面の近くまで延びるグランド導通部を有していてもよい。
このように構成することで、シールド層をグランドに接続させることができる。このため、シールド層をグランド電位と同じ電位にすることができる。その結果、シールド層による漏れ磁束の遮断効果を高めることができる。また、グランド導通部が素子本体の側面における漏れ磁束のシールドとしても機能することができる。さらに、グランド導通部をグランドと接続することで、端子電極以外の部分でも、コイル装置の接続箇所が増大し、コイル装置の実装強度を向上させることができる。
前記素子本体の実装側面には反実装側に向かって凹部が形成してあり、前記凹部には前記実装側シールド層が形成してあってもよい。このように構成することで、凹部が実装基板との間に形成する空間に、コンデンサチップなどのその他の電子部品を配置することができる。また、凹部に形成してあるシールド層が漏れ磁束を低減することで、電子部品への悪影響も防止することができる。
前記シールド層は、前記素子本体の実装側面を除く外面を覆うように形成されていてもよい。このように構成することで、より漏れ磁束を低減することができる。
前記端子電極が、前記素子本体の実装側面から、前記素子本体の側面に向けてL字状に形成してあってもよい。このように構成することで、基板などに実装するときにハンダフィレットを形成し易くなる。
図1Aは、本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。 図1Bは、本発明の他の実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。 図1Cは、本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。 図1Dは、本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。 図1Eは、本発明のさらに他の実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。 図2Aは、図1Aに示すコイル装置を別の角度から見た斜視図である。 図2Bは、図1Cに示すコイル装置を別の角度から見た斜視図である。 図3Aは、図1Aに示すコイル装置を基板に実装したときのIIIA-IIIA線に沿う断面図である。 図3Bは、図1Bに示すコイル装置を基板に実装したときのIIIB-IIIB線に沿う断面図である。 図3Cは、図1Dに示すコイル装置を基板に実装したときのIIIC-IIIC線に沿う断面図である。 図4Aは、実施例に係るコイル装置の拡大断面写真の模式図である。 図4Bは、他の実施例に係るコイル装置の拡大断面写真の模式図である。 図5は、漏れ磁束の計測装置の概略図である。
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
第1実施形態
図1Aに示すように、本発明の第1実施形態に係るコイル装置としてのインダクタ2は、略直方体(略六面体)からなる素子本体4を有する。
素子本体4は、上面4aと、上面4aとはZ軸方向の反対側に位置する底面4bと、4つの側面4c~4fとを有する。素子本体4の寸法は特に限定されない。たとえば、素子本体4のX軸方向の寸法を1.2~6.5mmとすることができ、Y軸方向の寸法を0.6~6.5mmとすることができ、高さ(Z軸)方向の寸法を、0.5~5.0mmとすることができる。
図1A、図2Aおよび図3Aに示すように、素子本体4の底面4bには、一対の端子電極8が形成してある。一対の端子電極8は、X軸方向で離反してあり、互いに絶縁してある。本実施形態のインダクタ2では、これらの端子電極8を、図3Aに示す基板30に形成してあるランド32などに接続することで、外部回路が接続可能となっている。
すなわち、インダクタ2は、ハンダ34や導電性接着剤などの接合部材を用いて、回路基板などの各種の基板30の上に実装可能となっている。基板30に実装する場合、素子本体4の底面4bが実装面となり、端子電極8と基板30とが、ハンダ34などの接合部材により接合される。
素子本体4は、その内部において、コイル部6αを有している。このコイル部6αは、導体としてのワイヤ6をコイル状に巻回することで構成してある。本実施形態の図1Aにおいて、コイル部6αは、クロスワイズ巻きであるが、ノーマル巻きであってもよい。あるいは、ワイヤ6は、巻芯部41bに直接に巻回してもよい。
コイル部6αを構成するワイヤ6は、主として銅を含む導体部と、その導体部の外周を覆う絶縁層とで構成してある。より具体的には、導体部は、無酸素銅やタフピッチ銅などの純銅、リン青銅や黄銅、丹銅、ベリリウム銅、銀-銅合金などの銅を含む合金、もしくは、銅被覆鋼線などで構成される。一方、絶縁層は、電気絶縁性を有していればよく、特に限定されない。たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ナイロン、ポリエステル、ナイロンなど、もしくは、上記の内少なくとも2種の樹脂を混合した合成樹脂が例示される。また、本実施形態において、ワイヤ6は、図1Aおよび図3Aに示すように丸線であり、導体部の断面形状が円形となっている。
図1Aおよび図3Aに示すように、本実施形態における素子本体4は、第1コア部41と第2コア部42とを有する。この第1コア部41および第2コア部42は、いずれも、磁性材料と、樹脂とを含む圧粉体で構成することができる。
各コア部41,42に含まれる磁性材料は、たとえばフェライト粉末または金属磁性粉末で構成することができる。フェライト粉末としては、たとえば、Ni-Zn系フェライト、Mn-Zn系フェライトなどが例示される。また、金属磁性粉末としては、特に限定されないが、たとえば、Fe-Ni合金、Fe-Si合金、Fe-Co合金、Fe-Si-Cr合金、Fe-Si-Al合金、Feを含むアモルファス合金、Feを含むナノ結晶合金など、その他の軟磁性合金が例示される。
なお、上記のフェライト粉末または金属磁性粉末には、適宜、副成分が添加してあってもよい。また、第1コア部41および第2コア部42は、たとえば同種の磁性材料で構成して、第1コア部41の比透磁率μ1と、第2コア部42の比透磁率μ2とを等しくしてもよい。また、第1コア部41と第2コア部42とを、それぞれ材質が異なる磁性材料で構成してもよい。
また、第1コア部41または第2コア部42を構成する磁性材料(すなわちフェライト粉末または金属磁性粉末)については、そのメディアン径(D50)を5μm~50μmとすることができる。さらに、上記の磁性材料は、D50が異なる複数の粒子群を混ぜ合わせて構成してもよい。たとえば、D50が8μm~30μmの大径粉と、D50が1μm~5μmの中径粉と、D50が0.3μm~0.9μmの小径粉とを混ぜ合わせてもよい。
上記のように複数の粒子群を混ぜ合わせる場合、大径粉と中径粉と小径粉との割合は、特に制限されない。また、大径粉と中径粉と小径粉とは、全て同種の材質で構成することができ、異なる材質で構成することもできる。このように、第1コア部41または第2コア部42に含まれる磁性材料を、複数の粒子群で構成することで、素子本体4に含まれる磁性材料の充填率を高めることができる。その結果、インダクタ2の透磁率や渦電流損失、直流重畳特性などの諸特性が向上する。
なお、磁性材料の粒径は、走査型電子顕微鏡(SEM)や走査透過型電子顕微鏡(STEM)などで素子本体4の断面を観察し、得られた断面写真をソフトウェアにより画像解析することで測定できる。その際、磁性材料の粒径は、円相当径換算で計測することが好ましい。
また、第1コア部41または第2コア部42を金属磁性粉末で構成する場合、当該粉末を構成する粒子は、当該粒子間が互いに絶縁されていることが好ましい。絶縁する方法としては、たとえば、粒子表面に絶縁被膜を形成する方法が挙げられる。絶縁被膜としては、樹脂または無機材料で形成する被膜、および、熱処理により粒子表面を酸化して形成する酸化被膜が挙げられる。樹脂または無機材料で絶縁被膜を形成する場合、樹脂としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂などが挙げられる。無機材料としては、リン酸マグネシウム、リン酸カルシウム、リン酸亜鉛、リン酸マンガンなどのリン酸塩、ケイ酸ナトリウムなどのケイ酸塩(水ガラス)、ソーダ石灰ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウ酸塩ガラス、硫酸塩ガラスなどが挙げられる。絶縁被膜を形成することで、粒子間の絶縁性を高めることができ、インダクタ2の耐電圧を向上させることができる。
また、第1コア部41および第2コア部42に含まれる樹脂としては、特に制限されないが、たとえば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、フラン樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ジアリルフタレート樹脂などの熱硬化性樹脂、または、アクリル樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリプロピレン(PP)、液晶ポリマー(LCP)などの熱可塑性樹脂などを用いることができる。
図1Aに示すように、第1コア部41は、鍔部41aと、巻芯部41bと、切り欠き部41cとを有する。鍔部41aは、素子本体4の各側面4c~4fに向かって突出しており、各側面4c~4fに対応して4つ形成してある。この鍔部41aの上面には、コイル部6αが搭載されており、鍔部41aがコイル部6αを支持している。ここで、X軸方向に沿って突出する2つの鍔部41aを、それぞれ、第1鍔部41axとし、Y軸方向に沿って突出する2つの鍔部41aを、それぞれ第2鍔部41ayとする。第1鍔部41axの厚みは、第2鍔部41ayの厚みよりも、薄くなっており、第1鍔部41axの下方には、リード部6aの一部を収容するスペースが存在する。
巻芯部41bは、鍔部41aよりもZ軸方向の上方に位置し、鍔部41aと一体的に形成してある。また、巻芯部41bは、Z軸の上方に向かって突出する略楕円柱からなり、コイル部6αの内側に挿入されている。巻芯部41bの形状は、図1および図3Aに示す様態に限定されず、コイル部6αの巻回形状に合わせた形状とすればよい。たとえば、円柱状、角柱状とすることができる。
切り欠き部41cは、各鍔部41aの間に位置し、X-Y平面の四隅に4つ形成してある。すなわち、切り欠き部41cは、素子本体4の各側面4c~4fが互いに交差する箇所の付近に形成してある。この切り欠き部41cは、コイル部6αから引き出されたリード部6aが通過するための通路として利用される。また、切り欠き部41cは、製造過程において、第2コア部42を構成する成形材料が、第1コア部41の表面側から裏面側に流動する際の通路としても機能する。図1において、切り欠き部41cは、略正方形状に切り欠かれているが、その形状は、リード部6aおよび上述した成形材料が通過する形状であればよく、特に制限されない。たとえば、切り欠き部41cは、鍔部41aの表裏面を貫通する貫通孔であってもよい。
第2コア部42は、図3Aに示すように、第1コア部41を覆っている。より具体的には、第2コア部は、鍔部41aの上方においてコイル部6αと巻芯部41bとを覆うとともに、切り欠き部41cおよび第1鍔部41axの下方に存在するスペースに充填してある。なお、図1Aに示すように、第2鍔部41ayの下面は、素子本体4の底面4bの一部を構成しており、この第2鍔部41ayの下方には、第2コア部42が充填されていない。
図1Aに示すように、一対のリード部6aは、それぞれ、第1鍔部41axの上方において、コイル部6αからY軸に沿って引き出されている。また、一対のリード部6aは、それぞれ、素子本体4の側面4cの近傍で折り返されて、第1鍔部41axの下方において、側面4c側から側面4d側に向かって延びている。
ここで、素子本体4の底面4bから第1鍔部41axまでのZ軸方向の高さh(図3A参照)は、リード部6aの外径よりも小さい。そのため、第1鍔部41axの下方において、リード部6aの大半は、素子本体4(とりわけ第2コア部42)の内部に収容してあるが、リード部6aの外周縁の一部は、素子本体4の底面4bに露出している。リード部6aは、いずれもワイヤ6で構成してあるが、底面4bに露出した箇所では、ワイヤ6の外周側に存在する絶縁層が除去されて、ワイヤ6の導体部が露出している。本実施形態では、図2Aに示すように、底面4bにおいて、ワイヤ6の導体部が露出した箇所を、特に、取出電極部61と称する。
本実施形態では、図2Aに示すように、一対の取出電極部61を、それぞれ覆うように一対の端子電極8が形成してあり、取出電極部61と端子電極8とが電気的に接続されている。
端子電極8は、樹脂電極層を有していてもよい。また、端子電極8は、樹脂電極層とその他の電極層とを有する積層構造であってもよい。端子電極8を積層構造とする場合、樹脂電極層は、取出電極部61と接触する部分に位置し、その他の電極層は、樹脂電極層の外側、すなわち、取出電極部61の反対側に積層される。
その他の電極層は、単層でも複数層でもよく、その材質は特に限定されない。たとえば、その他の電極層は、Sn、Au、Ni、Pt、Ag、Pdなどの金属、または、これらの金属元素のうち少なくとも1種を含む合金で構成することができ、メッキやスパッタリングにより形成することができる。また、端子電極8の全体の平均厚みは、10μm~60μmとすることが好ましく、端子電極8に含まれる樹脂電極層の平均厚みは、10μm~50μmとすることが好ましい。
図1Aに示すように、本実施形態では、素子本体4の上面4aには、シールド層10が形成してある。シールド層10は、素子本体4の上面4aの全体に亘って形成してある反実装側シールド層10aを有する。反実装側シールド層10aは、Z軸方向から見た平面視で、少なくともコイル部6αを覆うように形成されている。この反実装側シールド層10aは、必ずしも、上面4aの全体に亘って形成されていなくてもよいが、上面4aを広い範囲で覆うことが好ましい。
反実装側シールド層10aから成るシールド層10は、その横断面写真の模式図である図4Aおよび図4Bに示すように、金属リッチ領域としての金属リッチ層12と、樹脂リッチ領域としての樹脂リッチ層14とを有する。金属リッチ層12の表面には、メッキ層15が形成してあってもよい。
メッキ層15は、たとえば中間層16と、最外層18とを有していてもよい。このメッキ層15は、端子電極8の表面に形成されるメッキ層と同時に形成されることが好ましく、メッキ層の最外層18は、たとえばハンダとの濡れ性に優れた錫または錫合金などを含むことが好ましい。また、中間層は、ニッケルまたはニッケル合金などを含み、単層でも複数の積層膜でもよい。
本実施形態では、素子本体4の第2コア部42の表面と、金属リッチ層12との界面に、樹脂リッチ層14が観察される。コイル装置のSEMによる断面写真の模式図を図4Aおよび図4Bに示す。SEMによる断面写真では、樹脂成分および空間部分が黒色部分で観察され、金属成分が白色で観察され、磁性体粒子が灰色で観察される。断面写真の模式図である図4Aおよび図4Bにおいて、SEMによって、白色で観察される金属の断面を斜線または白色で表し、灰色で観察される第2コア部の磁性体粒子の断面を斜めにクロスする破線で表し、素体本体4において黒色で観察される断面は樹脂を表している。なお、SEMによって黒色で観察されるシールド層の外側の空間を斜めにクロスする格子状の網掛けで表している。また、素子本体4およびシールド層10の内部においての黒色部分には、樹脂成分以外に、一部に隙間空間も含まれるが、樹脂リッチ層14における黒色部分は、隙間空間ではなく、樹脂成分であることが、その他の試験方法(たとえば密着試験など)で確認されている。
金属リッチ層12は、磁性体粒子42aを含む素子本体4の表面において、メッキ層15を除いて、金属成分を示す白い部分が、樹脂を示す黒色部分よりも面積割合が多い領域が観察される層として定義できる。また、樹脂リッチ層14は、金属リッチ層12と素子本体4の表面との界面で、樹脂を示す黒色部分が金属成分を示す白い部分に対して多い領域が層状に観察される層として定義できる。
金属リッチ層12における金属の割合は、断面における面積割合で、好ましくは50%以上、さらに好ましくは80%以上、特に好ましくは90%以上である。また、樹脂リッチ層14では、金属の割合が、断面における面積割合で、好ましくは50%以下、さらに好ましくは20%以下、特に好ましくは3%以下である。
なお、上記において各成分が占める面積は、断面をSEMもしくはSTEMで観察し、得られる断面画像を画像解析することで測定できる。SEMを用いる場合は、反射電子像で観測することが好ましく、STEMを用いる場合は、HAADF像で観測することが好ましい。上記の観察像では、コントラストが暗い部分(黒色に近い部分)が樹脂成分であり、コントラストが明るい部分(泊色に近い部分)が金属成分である。
樹脂リッチ層14は、金属リッチ層12と素子本体4の表面との界面で、多少の厚みのバラツキはあるが、連続して形成されることが好ましい。ただし、樹脂リッチ層14は、長手方向に沿って不連続な部分が存在してもよい。
不連続な部分とは、金属リッチ層12の金属成分(白色部分の粒子または塊)と、素子本体4の内部に含まれる1μm以上の粒径の磁性体粒子(灰色部分の粒子)との距離が0.1μm以下に狭まった部分として定義される。0.1μm以下の粒径で観察される独立している粒子は、白色か灰色かに限らず、樹脂リッチ層14に含めて定義することができる。
樹脂リッチ層14の厚みは、好ましくは0.5~5μm、さらに好ましくは1~3μmである。また、金属リッチ層12の厚みは、好ましくは1~50μm、さらに好ましくは3~15μmである。
金属リッチ層12における金属は、好ましくはとしてAgが含まれ、その他、Cu、Ni、Sn、Au、Pdなどが含まれてもよい。また、樹脂リッチ層14における樹脂成分は、好ましくは、エポキシ樹脂やフェノール樹脂などの熱硬化性樹脂などが例示される。
次に、本実施形態のインダクタ2の製造方法について説明する。
まず、第1コア部41を、加熱加圧成形などのプレス法や、射出成形法によって作製する。第1コア部41の作製においては、磁性材料の原料粉と、バインダ、溶媒などを混練して顆粒とし、その顆粒を成形用の原料として用いる。磁性材料を複数の粒子群で構成する場合には、粒度分布が異なる磁性粉末を準備して、所定の比率で混合すればよい。
次に、得られた第1コア部41に、コイル部6αを搭載する。コイル部6αは、予めワイヤ6を所定の形状に巻回した空芯コイルであってもよく、この空芯コイルに、第1コア部41の巻芯部41bを挿入する。もしくは、第1コア部41の巻芯部41bにワイヤ6を直接巻回して、コイル部6αを形成してもよい。第1コア部41とコイル部6αを組み合わせた後、図1Aに示すように、コイル部6αから一対のリード部6aを引き出して、第1鍔部41axの下方に配置する。
次に、第2コア部42を、インサート射出成形により作製する。第2コア部42の作製においては、まず、コイル部6αを搭載した第1コア部41を、成形用金型の内部に設置する。
第2コア部42を構成する原料としては、成形時に流動性がある材料が用いられる。具体的には、磁性材料の原料粉と、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂などのバインダとを混錬した複合材料を用いる。この複合材料には、適宜、溶媒、分散剤などが添加してあってもよい。インサート射出成形においては、上記の複合材料をスラリー化した状態で、成形用金型内に導入する。その際、導入されたスラリーは、第1コア部41の切り欠き部41cを通過して、第1鍔部41axの下方にも充填される。また、射出成形時においては、使用するバインダの材質に応じて、適宜熱が加えられる。こうして、第1コア部41と、第2コア部42と、コイル部6αとが一体化された素子本体4が得られる。
次に、素子本体4の底面4bの一部、すなわち、図3Aにおいて一対の端子電極8を形成する箇所に、レーザを照射して電極予定部を形成する。このレーザ照射によって、底面4bに露出しているリード部6aの絶縁層が除去され、取出電極部61が形成される。また、レーザ照射によって、底面4bの最表面では、コア部42(41も同様)に含まれる樹脂が除去される。つまり、電極予定部では、コア部42(41も同様)に含まれる磁性材料が露出するとともに、取出電極部61が露出する。これにより、素子本体4の底面4bに、端子電極8が密着されやすくなる。
次に、樹脂電極用ペーストを、印刷法などの手法によって電極予定部に塗布する。この際に使用する樹脂電極用ペーストには、樹脂成分となるバインダと、導体粉末となる金属原料粉末が含まれている。より具体的に、金属原料粉末は、粒径がマイクロメートルオーダのマイクロ粒子と、粒径がナノメートルオーダのナノ粒子とを含むことが好ましい。
なお、同時に、端子電極8を形成するための樹脂電極用ペーストと同じペーストを用いて、図1Aに示すシールド層10を形成するための塗布膜を、素子本体4の上面に形成する。塗布膜の厚みは、端子電極8の樹脂電極層の厚みと同程度でもよいが、好ましくは、図4Aまたは図4Bに示す加熱処理後の金属リッチ領域12の厚みが、前述した好ましい範囲となるように決定される。塗布に際しては、厚みを調整するために、複数回の塗布を繰り返してもよく、塗布と乾燥とを繰り返してもよい。
端子電極8が形成される電極予定部と、シールド層10が形成されるシールド予定部に、樹脂電極用ペーストを塗布した後、素子本体4を所定の条件で加熱処理し、ペースト中のバインダ(樹脂成分)を硬化させる。加熱処理の条件は、たとえば処理温度(保持温度)を170℃~230℃とし、保持時間を60min~90minとすることが好ましい。
なお、端子電極8となる樹脂電極層の形成後、樹脂電極層の外面には、適宜、メッキ膜やスパッタ膜を形成してもよい。たとえば、樹脂電極層の外面に、Ni、Cu、Snなどのメッキ膜を形成しておくことで、半田に対する濡れ性が向上する。メッキ膜の形成に際して、図4Aおよび図4Bに示すように、シールド層10の表面には、メッキ層15が同時に形成される。
以上のような製造方法によって、素子本体4の底面(実装側面)4bに一対の端子電極8が形成され、上面(反実装側面)4aにシールド層10が形成されたインダクタ2が得られる。
(第1実施形態のまとめ)
さらに本実施形態では、素子本体4の外面の内の少なくとも1面である上面4aには、金属と樹脂とを含むシールド層10が形成してある。このシールド層10は、金属と樹脂を含むペースト状の原料を塗布して乾燥、硬化させるのみで形成することが可能であり、そのシールド層10の厚さを容易に制御することができる。そのため、金属製のシートのシールドを素子本体に取り付ける構造よりも、コイル装置2を容易に製造することが可能になる。しかも、素子本体4に金属製のシートを取り付ける構造のコイル装置に比べて、シールド層10と素子本体4との密着性も向上すると共に、コイル装置2の小型化も図ることができる。
また、シールド層10は、図4Aおよび図4Bに示すように、金属が樹脂よりも多く観察される金属リッチ層12を有している。図4Aに示す金属リッチ層12の断面では、金属が50%以上含まれている。さらに図4Bに示す金属リッチ層12の断面では、金属が80%以上含まれている。この金属リッチ層12が、漏れ磁束の遮断効果を高めていると考えられる。
シールド層10は、さらに樹脂リッチ層14を有し、樹脂リッチ層14が、素子本体4と金属リッチ層12との界面に存在する。この樹脂リッチ層14は、シールド層10と素子本体4との密着性を向上させていると考えられる。
また、端子電極8は、シールド層10の金属リッチ層12と、同じ材質の樹脂電極層を有している。このように構成することで、特定のノイズ周波数に対して効果的に漏れ磁束の低減を実現することができる。同じ材質の金属リッチ層12が、より広い範囲で素子本体4の表面を覆うことができるためと考えられる。また、同じ原料によって端子電極8とシールド層10を同時に形成できるため、製造コストを低減することができる。
シールド層10は、金属と樹脂を含むペーストを素子本体の外面に塗って形成した塗布層を有する。塗布層は、容易に形成することができ、厚さの制御も容易である。そのため、金属製のシートのシールドを有するコイル装置よりも設計変更も容易であり、製造コストを低減することができる。
好ましくは、前記シールド層には、Agが含まれている。Agを含むシールド層によれば、薄く形成したとしても、特に高周波で漏れ磁束を有効に低減できることが確認された。
前記ペーストは、扁平形状の金属粉体を含むことが好ましい。また、前記ペーストは、略球形状の金属粉体を含んでいてもよい。また、前記塗布層は、前記ペーストを170℃~230℃で熱処理して形成してあることが好ましい。
このようなペーストによって形成されたシールド層によれば、漏れ磁束の低減効果が高まる。特に、平均粒径が、好ましくは800nm未満、さらに好ましくは、100~500nmの小さな金属粉体を含むことが好ましい。このような金属粉体を含むことで、ペーストに含まれる樹脂を硬化させる温度(170℃~230℃)でペースト塗布膜を熱処理した場合に、金属リッチ層の金属含有率を向上させることができる。金属粉体がナノ粒子を含むために、金属自体の融点温度よりも低い温度で金属の焼結に近い現象が生じているのではないかと考えられる。
本実施形態では、シールド層10は、端子電極8が形成されている素子本体4の底面4bとは反対側の上面4aに形成してある。このように、反実装側面である上面4aにシールド層10が形成されたコイル装置2は、反実装面側からの漏れ磁束を効果的に低減することができる。
第2実施形態
図1Bおよび図3Bに示すように、本実施形態のコイル装置2aは、下述する以外は、第1実施形態のコイル装置2と同様であり、共通する説明は、省略する。
本実施形態のコイル装置2aでは、シールド層10は、素子本体4の上面4aに形成されている反実装側シールド層10aと、反実装側シールド層10aから素子本体4の側面4c,4dをそれぞれ通って素子本体4の底面4bまで延びるグランド導通部10b,10dを有する。各グランド導通部10bは、素子本体4の各側面4c,4dのX軸方向の略中央部で、一対の端子電極8,8を短絡させない程度のX軸に沿う幅で、Z軸方向に沿って形成してあり、図3Bに示す接地用端子電極8aに接続してある。
接地用端子電極8aは、基板30に形成してある接地用ランド32aにハンダ34などの接続部材で接続される。接地用端子電極8aは、端子電極8と同様にして形成される。また、各グランド導通部10bは、反実装側シールド層10aと同様にして形成される。
本実施形態のコイル装置2aでは、シールド層10を基板30の接地用ランド(グランド)32aに接続させることができる。このため、シールド層10をグランド電位と同じ電位にすることができる。その結果、シールド層10による漏れ磁束の遮断効果を高めることができる。また、グランド導通部10bが素子本体4の側面4c,4dにおける漏れ磁束のシールドとしても機能することができる。さらに、グランド導通部10bをグランドと接続することで、コイル部6αへの電力供給を行う端子電極8,8以外の部分でも、コイル装置2aの接続箇所が増大し、コイル装置2aの基板30への実装強度を向上させることができる。
第3実施形態
図1Cおよび図2Bに示すように、本実施形態のコイル装置2bは、下述する以外は、上述した実施形態のコイル装置2または2aと同様であり、重複する説明は省略する。
本実施形態のコイル装置2bでは、シールド層10は、素子本体4の上面4aに形成されている反実装側シールド層10aと、反実装側シールド層10aから素子本体4の4つの側面をそれぞれ通って素子本体4の底面4bまで、あるいは底面4b近くまで延びる側面シールド層10cを有する。
側面シールド層10cは、反実装側シールド層10aと同様にして、シールド層10aと連続するように形成される。側面シールド層10cのZ軸方向の下端は、端子電極8とは絶縁されるように形成される。あるいは、端子電極8は、側面シールド層10cのZ軸方向の下端に対して絶縁が確保される範囲の面積で、素子本体4の底面4bに形成される。
このように本実施形態のシールド層10は、素子本体の実装側面である底面4bを除く外面を覆うように形成されていてもよい。このように構成することで、平面(X軸およびY軸を含む平面)方向への漏れ磁束も低減することができる。
第4実施形態
図1Dおよび図3Cに示すように、本実施形態のコイル装置2cは、下述する以外は、上述した実施形態のコイル装置2または2a~2bと同様であり、重複する説明は省略する。
本実施形態のコイル装置2cでは、素子本体4の底面4bにはZ軸の上方向に向かって凹む凹部20が、X軸に沿って所定間隔で配置してある脚部22,22の間に形成してある。素子本体4の脚部22の底面4bに端子電極8が各々形成してある。
素子本体4の凹部20の天井面には実装側シールド層10dが形成してある。実装側シールド層10dは、反実装側シールド層10aと同様にして形成してあり、図示するように分離して形成してあってもよいが、素子本体4の側面4c,4dに形成される部分側面シールド層(図示省略)により連続して形成してあってもよい。
本実施形態のコイル装置2cでは、図3Cに示すように、凹部20が実装用の基板30との間に形成する空間に、コンデンサチップなどのその他の電子部品36を配置することができる。また、凹部20に形成してあるシールド層10dが漏れ磁束を低減することで、電子部品36への悪影響も防止することができる。
第5実施形態
図1Eに示すように、本実施形態のコイル装置2dは、下述する以外は、上述した実施形態のコイル装置2または2a~2cと同様であり、重複する説明は省略する。
本実施形態のコイル装置2dでは、各端子電極8が、素子本体4の底面4bから各側面4e,4fに向けてL字状に形成してある。シールド層10の反実装側シールド層10aは、各端子電極8との絶縁を確保するために、素子本体4の上面4aの全体ではなく、各端子電極8からX軸方向に所定間隔で離れるように磁用面4aに形成してある。
本実施形態のコイル装置2dでは、図3Aに示す基板30などに実装するときに、素子本体4の側面4e,4fに形成してある端子電極8にハンダフィレットなどを形成し易くなる。
その他の実施形態
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
たとえば、上述した実施形態では、コイル部6αは、丸線のワイヤ6で構成してあるが、ワイヤ6の種類は、これに限定されず、導体部の断面形状が略長方形である平角線であってもよい。もしくは、四角線や、細線を撚り合わせたリッツ線であってもよい。さらに、コイル部6αは、導電性の板材を積層して構成してもよい。
また、上述した実施形態では、端子電極8およびシールド層10を形成するためのペーストとして、マイクロ粒子とナノ粒子の双方を含む金属原料粉末を用いているが、いずれか一方のみでもよく、あるいは、マイクロ粒子に替えて、マイクロ粒子よりも比表面積が大きい金属粒子を用いてもよい。
さらに、上述した実施形態では、端子電極8の樹脂電極層と、シールド層10を構成する塗布膜とは、同じペーストを熱処理させて形成してあるが、これらは異なっていてもよい。たとえば、端子電極8は、ワイヤ6のリード部6aとの導通が可能な電極層であれば何でもよく、特に限定されない。
また、シールド層10を構成する金属リッチ層12は、好ましくは図4Bに示すように、金属成分の粒子または塊が層状を形成するように連続して接続してあることが好ましい。図4Bに示すような金属リッチ層12を形成するためのペーストとしては、以下に示す金属原料粉末を、下記の含有割合で含むペーストであることが好ましい。
すなわち、好ましい金属原料粉末は、粒径がマイクロメートルオーダのマイクロ粒子と、粒径がナノメートルオーダのナノ粒子とを含む。マイクロ粒子は、平均粒径が1μm~10μmであることが好ましく、3μm~5μmであることがより好ましい。一方、ナノ粒子は、平均粒径が、好ましくは800nm未満、より好ましくは100nm~500nmである。
また、マイクロ粒子およびナノ粒子共に、Agを主成分とすることが好ましい。ペーストに、Ag以外の金属元素も含まれる場合、その金属元素の存在形態は特に限定されない。たとえば、Ag以外の金属元素は、マイクロ粒子およびナノ粒子以外の粒子として存在していてもよいし、マイクロ粒子に固溶していてもよい。
また、上述した実施形態では、磁性粉体を含む樹脂から成る素子本体4の表面にシールド層10を塗布法により形成してあるが、シールド層10は、樹脂を含まない磁性粉体の焼結体から成る素子本体の表面に形成してあってもよい。
たとえば、素子本体4を構成する第1コア部41は、フェライト粉末または金属磁性粉末の焼結体とすることもできる。また、素子本体4自体を、FT型、ET型、EI型、UU型、EE型、EER型、UI型、ドラム型、ポット型、カップ型の圧粉体コアもしくは焼結体コアとし、そのコアにコイルを巻回してインダクタ素子を構成してもよい。この場合、リード部は、素子本体の内部に埋設してある必要はなく、コアの外周に沿って引き出され、端子電極8の外面に接続してあってもよい。
また、本発明に係るコイル装置は、インダクタに限定されず、トランス、チョークコイル、コモンモードフィルタなどの電子部品であってもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
実施例1
実施例1では、図1Aに示すインダクタ試料を作製した。具体的には、実施形態で述べた方法により素子本体4を作成し、素子本体4の上面4aにシールド層10を形成した。
シールド層10の形成は、実施形態に示すペーストを用い、実施形態で述べた条件で加熱処理を施した。
得られたインダクタ試料(コイル装置2)を、図5に示すように、試験用の基板30に接続し、漏れ磁束測定装置50の分析装置52により、コイル装置2の試料の漏れ磁束を測定した。
具体的には、コイル装置2の試料の上で、所定間隔(たとえば1mm)で基板30と平行に、測定平面56を仮定し、測定平面に沿ってプロープ54を移動させて、コイル装置2の試料の漏れ磁束を測定した。コイル装置2の漏れ磁束の試験は、400kHzの条件1と、2MHzの条件2との二つの条件で行い、コイル装置2に対して垂直方向(Z軸)の漏れ磁束と、水平方向(X-Y軸)の漏れ磁束を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2023028128000002
また、実施例1で得られたコイル装置のシールド層10を含む断面をSEMによる撮影を行った結果、得られた断面写真の模式図を図4Aに示す。金属リッチ層10の平均厚みは15μmであり、樹脂層14の平均厚みは2μmであった。また、ニッケルメッキからなる中間層16と錫メッキからなる最外層18も観察された。また、断面写真から測定された金属リッチ層10における金属含有率を表1に示す。
実施例2
実施例2では、以下に示す以外は、実施例1と同様にして、コイル装置2のインダクタ試料を作製し、実施例1と同様な測定を行った。結果を表1に示す。また、シールド層10を含む断面写真の模式図を図4Bに示す。
実施例2では、シール層10の形成時には、ペーストに含まれる金属粉体の平均粒径が実施例1よりも小さい金属粉体を含むペーストを用い、実施形態で述べた条件で加熱処理を施した。
比較例1
比較例1では、シールド層10を形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、コイル装置2のインダクタ試料を作製し、実施例1と同様な測定を行った。結果を表1に示す。
評価
表1に示すように、比較例1に比較し、実施例1、好ましくは実施例2では、シールド層の厚みが比較的に薄くても、特に高周波で漏れ磁束を有効に低減できルことが確認できた。また、実施例1および2では、シールド層10の形成を端子電極の形成と同時に形成することができることから、コイル装置の小型化および製造コストの低減を図ることが可能であることも確認できた。
なお、ピーリングによる試験により、シールド層10は、端子電極8と同様に、素子本体4の表面に対する密着性にも優れていることが確認できた。すなわち、図4Aおよび図4Bに示す素子本体4の表面と金属リッチ層12との界面の黒い部分は、隙間ではないことが確認され、樹脂で満たされている樹脂リッチ層14であることが確認できる。
2,2a,2b,2c, … インダクタ
4 … 素子本体
4a … 上面(反実装側面)
4b … 底面(実装側面)
4c~4f … 側面
41 … 第1コア部
41a … 鍔部
41b … 巻芯部
41c … 切り欠き部
42 … 第2コア部
42a… 磁性体粒子
6α … コイル部
6 … ワイヤ
6a … リード部
61 … 取出電極部
8 … 端子電極
8a… 接地用端子電極
10… シールド層
10a… 反実装側シールド層
10b… グランド導通部
10c… 側面シールド層
10d… 実装側シールド層
12… 金属リッチ層(領域)
14… 樹脂リッチ層(領域)
15… メッキ層
16… 中間層
18… 最外層
20… 凹部
22… 脚部
30… 基板
32… ランド
32a… 接地用ランド
34… ハンダ
36… その他の電子部品
50… 漏れ磁束測定装置
52… 分析装置
54… プロープ
56… 測定平面
コイル部6αを構成するワイヤ6は、主として銅を含む導体部と、その導体部の外周を覆う絶縁層とで構成してある。より具体的には、導体部は、無酸素銅やタフピッチ銅などの純銅、リン青銅や黄銅、丹銅、ベリリウム銅、銀-銅合金などの銅を含む合金、もしくは、銅被覆鋼線などで構成される。一方、絶縁層は、電気絶縁性を有していればよく、特に限定されない。たとえば、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ナイロンなど、もしくは、上記の内少なくとも2種の樹脂を混合した合成樹脂が例示される。また、本実施形態において、ワイヤ6は、図1Aおよび図3Aに示すように丸線であり、導体部の断面形状が円形となっている。
巻芯部41bは、鍔部41aよりもZ軸方向の上方に位置し、鍔部41aと一体的に形成してある。また、巻芯部41bは、Z軸の上方に向かって突出する略楕円柱からなり、コイル部6αの内側に挿入されている。巻芯部41bの形状は、図1および図3Aに示す様態に限定されず、コイル部6αの巻回形状に合わせた形状とすればよい。たとえば、円柱状、角柱状とすることができる。
切り欠き部41cは、各鍔部41aの間に位置し、X-Y平面の四隅に4つ形成してある。すなわち、切り欠き部41cは、素子本体4の各側面4c~4fが互いに交差する箇所の付近に形成してある。この切り欠き部41cは、コイル部6αから引き出されたリード部6aが通過するための通路として利用される。また、切り欠き部41cは、製造過程において、第2コア部42を構成する成形材料が、第1コア部41の表面側から裏面側に流動する際の通路としても機能する。図1において、切り欠き部41cは、略正方形状に切り欠かれているが、その形状は、リード部6aおよび上述した成形材料が通過する形状であればよく、特に制限されない。たとえば、切り欠き部41cは、鍔部41aの表裏面を貫通する貫通孔であってもよい。
なお、上記において各成分が占める面積は、断面をSEMもしくはSTEMで観察し、得られる断面画像を画像解析することで測定できる。SEMを用いる場合は、反射電子像で観測することが好ましく、STEMを用いる場合は、HAADF像で観測することが好ましい。上記の観察像では、コントラストが暗い部分(黒色に近い部分)が樹脂成分であり、コントラストが明るい部分(白色に近い部分)が金属成分である。
本実施形態のコイル装置2aでは、シールド層10は、素子本体4の上面4aに形成されている反実装側シールド層10aと、反実装側シールド層10aから素子本体4の側面4c,4dをそれぞれ通って素子本体4の底面4bまで延びるグランド導通部10bを有する。各グランド導通部10bは、素子本体4の各側面4c,4dのX軸方向の略中央部で、一対の端子電極8,8を短絡させない程度のX軸に沿う幅で、Z軸方向に沿って形成してあり、図3Bに示す接地用端子電極8aに接続してある。
本実施形態のコイル装置2dでは、各端子電極8が、素子本体4の底面4bから各側面4e,4fに向けてL字状に形成してある。シールド層10の反実装側シールド層10aは、各端子電極8との絶縁を確保するために、素子本体4の上面4aの全体ではなく、各端子電極8からX軸方向に所定間隔で離れるように上面4aに形成してある。
また、シールド層10を構成する金属リッチ層12は、好ましくは図4Bに示すように、金属成分の粒子または塊が層状を形成するように連続して接続してあることが好ましい。図4Bに示すような金属リッチ層12を形成するためのペーストとしては、以下に示す金属原料粉末を、所定の含有割合で含むペーストであることが好ましい。

Claims (17)

  1. 磁性体を含む素子本体と、
    前記素子本体内に設置しているコイル部と、
    前記コイル部のリード部に接続してある端子電極と、を有し、
    前記素子本体の外面の内の少なくとも1面には、金属と樹脂とを含むシールド層が形成してあるコイル装置。
  2. 前記シールド層は、前記金属が前記樹脂よりも多く観察される金属リッチ領域を有する請求項1に記載のコイル装置。
  3. 前記金属リッチ領域の断面では、前記金属が50%以上含まれている請求項2に記載のコイル装置。
  4. 前記金属リッチ領域の断面では、前記金属が80%以上含まれている請求項3に記載のコイル装置。
  5. 前記シールド層は、前記樹脂が多く観察される樹脂リッチ領域を有し、前記樹脂リッチ領域が、前記素子本体と前記金属リッチ領域との界面に存在している請求項2~4のいずれかに記載のコイル装置。
  6. 前記端子電極は、前記シールド層の前記金属リッチ領域と、同じ材質の領域を有する請求項2~5のいずれかに記載のコイル装置。
  7. 前記シールド層には、Agが含まれている請求項1~6のいずれかに記載のコイル装置。
  8. 前記シールド層は、前記金属と前記樹脂を含むペーストを前記素子本体の外面に塗布して形成された塗布層を有する請求項1~7のいずれかに記載のコイル装置。
  9. 前記塗布層は、前記ペーストを170℃~230℃で熱処理して形成してある請求項8に記載のコイル装置。
  10. 前記ペーストは、略球形状の金属粉体を含む請求項8または9に記載のコイル装置。
  11. 前記ペーストは、扁平形状の金属粉体を含む請求項8~10のいずれかに記載のコイル装置。
  12. 前記シールド層は、前記端子電極が形成されている前記素子本体の外面とは反対側の外面に形成してある請求項1~11のいずれかに記載のコイル装置
  13. 前記シールド層の表面にはメッキ層が形成してある請求項1~12のいずれかに記載のコイル装置。
  14. 前記シールド層は、前記素子本体の反実装側面に形成されている反実装側シールド層と、前記反実装側シールド層から前記素子本体の側面を通って前記素子本体の実装側面の近くまで延びるグランド導通部を有する請求項1~13のいずれかに記載のコイル装置。
  15. 前記素子本体の実装側面には反実装側に向かって凹部が形成してあり、前記凹部には前記実装側シールド層が形成してある請求項1~14のいずれかに記載のコイル装置。
  16. 前記シールド層は、前記素子本体の実装側面を除く外面を覆うように形成されている請求項1~15のいずれかに記載のコイル装置。
  17. 前記端子電極が、前記素子本体の実装側面から、前記素子本体の側面に向けてL字状に形成してある請求項1~16のいずれかに記載のコイル装置。
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