JP2023024226A - 表示システム - Google Patents

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JP2023024226A
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純平 松崎
Junpei Matsuzaki
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Abstract

【課題】表示スクリーンの透明性を確保しながら、輝度の向上が図れるとともに、広い視野範囲を実現可能な表示システムを提供する。【解決手段】一実施形態に係る表示システムは、観察者に表示する映像を形成するための映像光を出力する映像出力モジュールと、映像出力モジュールから出力された映像光を拡散して映像を形成する光拡散スクリーンと、透明性を有するとともに、光拡散スクリーンで形成された映像を反射して前記映像を前記観察者に表示する表示スクリーンと、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、表示システムに関する。
本技術分野の従来技術として、特許文献1および特許文献2に開示された技術が知られている。特許文献1には、フロントウィンドウに光拡散させる粒子や液晶層を付与し、フロントウィンドウ上で実像表示する技術が開示されている。特許文献2には、液晶ディスプレイの反射像を直接フロントウィンドウに投影する技術が開示されている。
国際公開第2020/080355号 特開2020-44961号公報
特許文献1に記載されているようにフロントスクリーンに拡散粒子を添加する場合、拡散粒子を添加しすぎると、外光の影響によってスクリーンが白濁し、視野が阻害される。一方で透明度を保持できる範囲での粒子添加量では十分な反射光量が得られず、表示される像の視認性が得られない。特許文献2のように液晶ディスプレイの反射像を直接フロントウィンドウに投影する場合、液晶ディスプレイの輝度では視認性を確保できない。
本開示は、表示スクリーンの透明性を確保しながら、輝度の向上が図れるとともに、広い視野範囲を実現可能な表示システムを提供することを目的とする。
一実施形態に係る表示システムは、観察者に表示する映像を形成するための映像光を出力する映像出力モジュールと、前記映像出力モジュールから出力された前記映像光を拡散して前記映像を形成する光拡散スクリーンと、透明性を有するとともに、前記光拡散スクリーンで形成された前記映像を反射して前記映像を前記観察者に表示する表示スクリーンと、を備える。
本開示によれば、表示スクリーンの透明性を確保しながら、輝度の向上が図れるとともに、広い視野範囲を実現可能な表示システムを提供できる。
図1は、一実施形態に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図2は、映像出力モジュールの一例の構成を説明するための模式図である。 図3は、制御装置の一例の機能ブロック図である。 図4は、光拡散スクリーンにおける反射率の角度異方性の一例を説明するための図面である。 図5は、変形例1に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図6は、変形例2に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図7は、変形例3に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図8は、変形例4に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図9は、変形例5に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図10は、変形例6に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図11は、変形例7に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図12は、変形例8に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図13は、図12に示した表示システムが有する外光カット部材の一例の構成を説明するための図面である。 図14は、変形例9に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図15は、図14に示した光拡散スクリーンを前面側からみた場合の模式図である。 図16は、図14に示したFθレンズ系を説明するための図面である。 図17は、変形例10に係る表示システムの構成を示す模式図である。 図18は、図17に示した光拡散スクリーンの斜視図である。 図19は、図17に示したFθレンズ系および光拡散スクリーンを説明するための図面である。
[本開示の実施形態の説明]
最初に、本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
一実施形態に係る表示システムは、観察者に表示する映像を形成するための映像光を出力する映像出力モジュールと、前記映像出力モジュールから出力された前記映像光を拡散して前記映像を形成する光拡散スクリーンと、透明性を有するとともに、前記光拡散スクリーンで形成された前記映像を反射して前記映像を前記観察者に表示する表示スクリーンと、を備える。
上記構成では、光拡散スクリーンに映像を形成する。その映像を、表示スクリーンで反射させることによって、観察者に映像を表示する。よって、観察者は、光拡散スクリーンで形成された映像(実像)の反射像を視認する。この場合、映像の輝度および視野範囲は、光拡散ススクリーンで調整可能である。そのため、表示スクリーンの透明性を確保しながら、輝度の向上が図れるとともに、広い視野範囲を実現可能である。
一実施形態に係る表示システムは、前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間に配置され、前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間を伝播する外光の少なくとも一部をカットする外光カット部材を更に備えてもよい。この場合、外光に起因する映像のコントラスト低下を抑制できる。
上記外光カット部材の一例は、ルーバーフィルムであってもよい。
前記光拡散スクリーンは、反射率または透過率に角度異方性を有してもよい。この場合、輝度の向上を図りやすい。
前記光拡散スクリーンのスクリーンゲインは、所望の視野範囲において0.5以上でもよい。この場合、所望の視野範囲における輝度の向上を図れる。
一実施形態に係る表示システムは、前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像を拡大する第1拡大光学系を更に備えてもよい。この構成では、表示スクリーンに映される光拡散スクリーン上の映像の大きさを一定とした場合、第1拡大光学系を用いない場合より、光拡散スクリーンを小型化することができる。よって、上記構成は、表示システムの小型化に寄与する。
一実施形態に係る表示システムは、前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記映像出力モジュールから出力された前記映像光を、前記光拡散スクリーンに向けて反射する反射部を更に備えてもよい。この場合、映像出力モジュールから出力された映像光の光路を反射部で曲げられる。そのため、光路長を確保しながら、映像出力モジュールと光拡散スクリーンとを近づけることが可能である。よって、上記構成は、表示システムの小型化に寄与する。
一実施形態に係る表示システムは、前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像が拡大されるように前記映像光を前記光拡散スクリーンに伝播するための第2拡大光学系を更に備えてもよい。この構成では、光拡散スクリーンに形成される映像の大きさを一定とした場合、第2拡大光学系を用いない場合より、光拡散スクリーンと映像出力モジュールを近づけて配置可能である。よって、上記構成は、表示システムの小型化に寄与する。
前記映像光は、直線偏光光であり、前記表示スクリーンは、透明性を有するスクリーン本体と、前記スクリーン本体に設けられており前記直線偏光光を選択的に反射する偏光素子と、を有してもよい。この構成では、光拡散スクリーンに形成された映像を上記偏光素子で反射可能である。そのため、より高い輝度を実現可能である。偏光素子は、直線偏光光以外は透過するため、観察者は、表示スクリーンを通して背景を視認できる。
前記表示スクリーンは、透明性を有するスクリーン本体と、前記スクリーン本体に設けられており前記映像光に含まれる波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、を有してもよい。この構成では、光拡散スクリーンに形成された映像を上記誘電体多層膜で反射可能である。そのため、より高い輝度を実現可能である。誘電体多層膜は、映像光に含まれる波長帯以外の波長帯の光を透過するため、観察者は、表示スクリーンを通して背景を視認できる。
前記映像光は、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含むレーザ光でもよい。レーザ光は高い指向性を有することから、少ない光束量でも観察者に到達する光束を効率的に制御可能である。そのため、輝度の向上を図りやすい。
前記映像出力モジュールは、前記映像を形成するように前記レーザ光を走査しながら出力してもよい。この場合、映像出力モジュールは、フォーカスフリーのモジュールである。よって、光拡散スクリーンと映像出力モジュールを近づけて配置可能であることから、上記構成は、表示システムの小型化に寄与する。
一実施形態に係る表示システムは、前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置されるFθレンズ系を更に備えてもよい。これにより、映像の端部のように画角が広い領域においても光拡散スクリーンに入射する映像光の入射領域(或いは、ビームスポット)の拡がりを低減できる。その結果、上記入射領域の拡がりに起因する画質の劣化を抑制できる。
前記光拡散スクリーンにおいて前記映像出力モジュールからの前記映像光が入射する第1面は、前記第1面と反対側に向けて凸状の曲面でもよい。この場合、第1面が平坦面である場合に比べて、第1面に対して映像光を垂直に入射させやすい。そのため、第1面に入射する映像光の入射領域(或いは、ビームスポット)の拡がりを低減できる。その結果、上記入射領域の拡がりに起因する画質の劣化を抑制できる。
一実施形態に係る表示スクリーンは、前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像が拡大されるように前記映像光を前記光拡散スクリーンに伝播するための拡大光学系と、前記拡大光学系と前記光拡散スクリーンの間に配置されるFθレンズと、を更に備え、前記映像光は、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含むレーザ光であり、前記映像出力モジュールは、前記映像を形成するように前記レーザ光を走査しながら出力し、前記光拡散スクリーンにおいて前記映像出力モジュールからの前記映像光が入射する第1面は、前記第1面と反対側に向けて凸状の曲面であってもよい。
上記構成では、映像出力モジュールが、映像光であるレーザ光を走査しながら出力する。このような映像出力モジュールは、フォーカスフリーのモジュールである。よって、光拡散スクリーンと映像出力モジュールを近づけて配置可能である。表示スクリーンが上記第2拡大光学系を備えることから、光拡散スクリーンに形成される映像の大きさを一定とした場合、第2拡大光学系を用いない場合より、光拡散スクリーンと映像出力モジュールを近づけて配置可能である。Fθレンズ系を更に備え、光拡散スクリーンにおいて映像光が入射される第1面は前述した曲面である。この場合、光拡散スクリーンと映像出力モジュールを近づけることによって、映像の端部近傍の画角が大きくなっても、第1面が平坦面である場合、Fθレンズ系を用いない場合などに比べて、映像光であるレーザ光の入射領域(或いはビームスポット径)の拡がりを低減できる。そのため、上記入射領域の拡がりに起因する画質の劣化を抑制できる。したがって、上記構成では、画質の劣化を抑制しながら表示システムを小型化できる。Fθレンズ系を備えるとともに、光拡散スクリーンの第1面が上記曲面であることによって、上記レーザ光の入射領域の拡がり抑制を実現するためのFθレンズ系の集光条件などがFθレンズ系のみで上記拡がり抑制を実現する場合より緩和される。したがって、たとえば、Fθレンズ系の大きさを光拡散スクリーンに形成される映像より小さくすることも可能である。この点でも、表示システムの小型化を図ることが可能である。
[本開示の実施形態の詳細]
本開示の実施形態の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。本発明はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。図面の説明においては同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1は、一実施形態に係る表示システムの構成を概略的に示す模式図である。図1に示したように、表示システム1は、映像出力モジュールMと、光拡散スクリーン2と、表示スクリーン3とを備える。表示システム1は、映像出力モジュールMから出力される映像を、光拡散スクリーン2に実像(映像)4aとして表示する。観察者Eは、実像4aの表示スクリーン3による反射像(映像)4bを視認する。図1では、実像4aおよび反射像4bを破線で模式的に示している。断らない限り、他の図でも同様に実像4aおよび反射像4bを模式的に示す。
映像出力モジュールMは、観察者Eに示す映像を出力する。本実施形態において、映像出力モジュールMは、映像を形成するための描画レーザ光(映像光)Lを出力する描画モジュールである。映像出力モジュールMは、描画レーザ光Lを、上記映像を描画するように走査しながら出力するレーザ走査モジュールである。映像出力モジュールMは、図2に示したように、光出力部10と走査部20とを有する。
光出力部10は、描画レーザ光Lを出力する。描画レーザ光Lは、赤色、緑色および青色の少なくとも1つの色のレーザ光を含むレーザ光である。赤色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長620nm以上波長650nm以下である。緑色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長510nm以上波長540nm以下である。青色レーザ光の発振波長(或いは中心波長)の例は、波長435nm以上波長465nm以下である。以下では、断らない限り、描画レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光を含むレーザ光である。
光出力部10は、光源部11と合波部13とを有する。光源部11は、光出力部10から赤色、緑色および青色の少なくとも1つの色のレーザ光を含む描画レーザ光Lを出力するために少なくとも1つの光源(たとえば、後述するレーザダイオードチップ)を有する。本実施形態では、描画レーザ光Lは、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光を含むレーザ光である。したがって、光源部11は、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cを有する。
第1光源12aは、第1レーザ光L1を出力する半導体レーザ素子である。第1レーザ光L1は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうちの何れかのレーザ光である。第2光源12bは、第2レーザ光L2を出力する半導体レーザ素子である。第2レーザ光L2は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうち第1レーザ光L1に対応する色のレーザ光以外の何れかのレーザ光である。第3光源12cは、第3レーザ光L3を出力する半導体レーザ素子である。第3レーザ光L3は、赤色レーザ光、緑色レーザ光および青色レーザ光のうち第1レーザ光L1および第2レーザ光L2に対応する色のレーザ光以外のレーザ光である。
第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cの例は、レーザダイオード(LD)である。第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cは、レーザダイオードチップ(LDチップ)でもよい。第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cは、CAN型の半導体レーザ素子でもよい。
以下の説明では、断らない限り、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3は、次に示したレーザ光である。
第1レーザ光L1:赤色レーザ光
第2レーザ光L2:緑色レーザ光
第3レーザ光L3:青色レーザ光
合波部13は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3を合波可能に構成されている。図2に示した合波部13に基づいて、合波部13の一例を説明する。合波部13は、レンズ14a、レンズ14b、レンズ14c、フィルタ15a、フィルタ15bおよびフィルタ15cを有する。
レンズ14aは、第1レーザ光L1をコリメートするコリメートレンズである。レンズ14bは、第2レーザ光L2をコリメートするコリメートレンズである。レンズ14cは、第3レーザ光L3をコリメートするコリメートレンズである。
フィルタ15a、フィルタ15bおよびフィルタ15cは、たとえば波長選択性フィルタである。
フィルタ15aは、レンズ14aによってコリメートされた第1レーザ光L1をフィルタ15bに向けて反射する。フィルタ15bは、第1レーザ光L1を透過するとともに、レンズ14bによってコリメートされた第2レーザ光L2をフィルタ15cに向けて反射する。これにより、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2が合波される。フィルタ15cは、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2(すなわち、第1レーザ光L1および第2レーザ光L2の合波光)を透過し、レンズ14cによってコリメートされた第3レーザ光L3をフィルタ15bと反対側(図2における走査部20側)に反射する。これにより、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3が合波された合波光である描画レーザ光Lが得られる。フィルタ15a、フィルタ15bおよびフィルタ15cを用いて合波される第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3は、コリメート光であるため、描画レーザ光Lもコリメート光である。
第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3が全て出力されている場合を例にして説明した。しかしながら、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3のうち何れかが出力されていない場合、描画レーザ光Lは、出力されているレーザ光が合波された光である。
走査部20は、描画レーザ光Lを反射するとともに、観察者Eに示す映像(実像4aおよびその反射像4b)を描画するように、描画レーザ光Lを2次元的に走査する。図2では模式的に走査部20を示している。走査部20は、描画レーザ光Lを反射する反射鏡(反射部)21と、反射鏡21を2次元駆動する駆動機構22とを有する。走査部20の例は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いたMEMSチップである。この場合、反射鏡21はMEMSミラーである。
光出力部10および走査部20は、電子冷却モジュール(以下、TEC(Thermo-Electric Cooler)と称する場合もある。)上に設けられてもよい。TECの例は、熱電クーラー、またはペルチェモジュール(ペルチェ素子)である。
描画レーザ光Lの光路において、合波部13と走査部20との間には、描画レーザ光Lを通すアパーチャーが設けられてもよい。これにより、描画レーザ光Lの径をより小さくしたり、描画に寄与しない不要な光をカットしたりすることが可能である。
光出力部10および走査部20は、パッケージ(収容部)30内に収容されていてもよい。この場合、パッケージ30には、描画レーザ光Lを通す窓部31が形成される。窓部31は、たとえば、パッケージ30の壁面に形成された開口30aに窓部材32が取り付けられることによって形成され得る。一実施形態において、上記パッケージ30は、気密封止(ハーメチックシール)され得る。
図1に示したように、表示システム1は、映像出力モジュールMを制御する制御装置40を有してもよい。制御装置40は、光出力部10および走査部20を制御する。制御装置40は、外部から制御装置40に入力される映像入力信号に応じて、描画レーザ光Lが、観察者Eに示す映像を描画するように、光源部11および走査部20を駆動する。制御装置40は、たとえば、FPGA(field-programmable gate array)である。
映像入力信号は、表示すべき映像の情報(各画素の位置情報、各画素の色情報など)を含む信号である。映像入力信号は、表示すべき映像を作成する映像作成装置で作成される。映像作成装置は、たとえば、映像作成ソフトなどが組み込まれたコンピュータである。
図3は、制御装置40の一例の機能ブロック図である。制御装置40は、信号入力部41、信号解析部42、走査制御部43、光源制御部44および記憶部45を有する。
信号入力部41は、映像入力信号を受け付ける。信号入力部41は、信号線などが接続されるポートを含む。
信号解析部42は、信号入力部41に入力された映像入力信号を解析する。信号解析部42は、映像入力信号に含まれる映像情報のうち、表示すべき映像を構成する複数の画素の位置情報と色情報を光源制御部44に入力する。
走査制御部43は、規定の周波数に基づいて、描画レーザ光Lによって映像を描画するように、走査部20を制御する。走査制御部43は、走査部20の駆動状態を検出し、上記複数の画素の位置情報に対応するタイミング情報を光源制御部44に入力する。
光源制御部44は、上記複数の画素の位置情報、色情報、タイミング情報に基づいて光源部11を駆動する。具体的には、光源制御部44は、第1レーザ光L1、第2レーザ光L2および第3レーザ光L3が各画素の色を実現するための出力強度を有するように、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cそれぞれを駆動する。
記憶部45は、コンピュータを、映像出力モジュールMの制御装置40として機能させるためのプログラム、その他、映像出力モジュールMを制御するために必要な情報等を保存する。
制御装置40は、たとえば、表示システム専用の装置でもよい。或いは、上記制御装置40の機能を実現するプログラムを実行することによって、パーソナルコンピュータなどを制御装置40として使用し得る。制御装置40は、映像出力モジュールMの一部でもよい。
図1に戻って、光拡散スクリーン2を説明する。光拡散スクリーン2は、光拡散性を有するスクリーンである。光拡散スクリーン2は、入射される描画レーザ光Lを拡散させることによって、実像(映像)4aを形成する。光拡散スクリーン2は、光拡散粒子が分散されることによって光拡散性を有してもよい。たとえば、光拡散スクリーンは、基材と、基材に分散された光拡散粒子とを有するスクリーンでもよい。光拡散スクリーン2は、前面、背面または内部に設けられた微細構造(凹凸構造、マイクロレンズ構造等)によって光拡散性を有してもよい。たとえば、光拡散スクリーン2は、基材と、基材に設けられた上記微細構造とを有するスクリーンでよい。上記基材は、単一材料によって形成された部材(単層構造の部材)でもよいし、異なる材料の層が積層された部材(多層構造の部材)でもよい。基材は、透明部材でもよい。
光拡散スクリーン2における描画レーザ光Lが入射される面を前面2aと称し、前面2aと反対側の面を背面2bと称した場合、本実施形態における光拡散スクリーン2は、前面2a側に実像4aが形成されるスクリーン(フロントタイプスクリーン)である。このような形態は、光拡散スクリーン2が描画レーザ光Lを反射する形態に対応する。光拡散スクリーン2は、反射率(又は拡散性)の角度異方性を有してもよい。一実施形態において、光拡散スクリーン2は、観察者Eに示す映像(実像4aおよびその反射像4b)の輝度向上を実現可能な反射率の角度異方性を有する。光拡散スクリーン2は、実像4aにおける直交する2方向の少なくとも一方において上記角度異方性を有し得る。上記直交する2方向は、たとえば、実像4aの形成領域が長方形である場合は、長辺方向と短辺方向であり、上記形成領域が正方形である場合は、直交する2つの辺それぞれの方向である。
図4は、光拡散スクリーン2が有する反射率の角度異方性の一例を示す図面である。図4の横軸は、光拡散スクリーン2を正面(前面2a側)からみた場合において光拡散スクリーン2の中心位置での垂直方向に対する角度であり、角度0°は、上記中心位置の垂直方向に相当する。図4の縦軸は、スクリーンゲインを示している。一実施形態において、光拡散スクリーン2の反射率の角度異方性は、図4に示したように、スクリーンゲインの角度異方性によって表される。たとえば、光拡散スクリーン2は、ピークゲインPGを有する山型のスクリーンゲインを有する。光拡散スクリーン2は、所望の視野範囲(―α°以上+α°以下)におけるスクリーンゲインが0.5以上であるスクリーンであり得る。ピークゲインPGは、たとえば、1.0以上である。所望の視野範囲は、たとえば、表示システム1の用途に応じたものであればよいが、-70°以上70°以下、-45°以上45°以下等が例示される。図4に示したスクリーンゲイン特性は、実像4aにおける上記直交する2方向の一方に対する例であるが、他方に対しても同様に上記スクリーンの特性を有し得る。実像4aにおける上記直交する2方向の両方において、上記スクリーンゲインの特性(或いは反射率の角度異方性)を有する場合、それらの特性は異なっていてもよい。
図1に戻って表示スクリーン3を説明する。表示スクリーン3は、透明性を有し、映像出力モジュールMから出力される映像を観察者Eに示すための部材である。表示スクリーン3は、光拡散スクリーン2上の実像4aが映り込むように光拡散スクリーン2に対して配置されている。このような配置では、光拡散スクリーン2に示された実像4aが表示スクリーン3によってフレネル反射する。よって、実像4aの反射像(映像)4bが観察者Eに表示される。
表示スクリーン3は、透明性を有する光学部材でよい。表示スクリーン3における透明性は、観察者Eが表示スクリーン3の背面側(表示スクリーン3からみて観察者Eと反対側)を視認可能な透明性である。たとえば、上記「透明性」は、可視光の波長帯(波長380nm以上波長780nm以下)に対する透過率(光透過性)によって評価され得る。表示スクリーン3は、たとえば、可視光の波長帯に対する透過率が70%以上であるスクリーンである。表示スクリーン3の上記透過率は、80%以上でもよいし、90%以上でもよい。表示スクリーン3の材料の例は、ガラス、樹脂などである。ウインドウ(窓)なども表示スクリーン3として使用され得る。
上記表示システム1では、映像出力モジュールMから出力された描画レーザ光L(走査された描画レーザ光L)が、光拡散スクリーン2上に入射することで、光拡散スクリーン2上に実像4aが形成される。換言すれば、映像出力モジュールMから出力された映像(走査された描画レーザ光L)が光拡散スクリーン2に投影される。光拡散スクリーン2に入射した描画レーザ光Lであって、光拡散スクリーン2によって拡散反射された描画レーザ光Lは更に表示スクリーン3に入射する。表示スクリーン3に入射された描画レーザ光Lが表示スクリーン3でフレネル反射することで、反射像4bが形成される。換言すれば、実像4aが表示スクリーン3に映り込む。そのため、表示スクリーン3を見ている観察者Eは、反射像4bを視認できる。
上記表示システム1では、表示スクリーン3が透明性を有することから、観察者Eは、表示スクリーン3に映し出される反射像4b(映像出力モジュールMから出力された映像)を視認しながら、表示スクリーン3の背面側(背景)も視認できる。すなわち、表示システム1では、背景に重畳して反射像4bを観察者Eに表示可能であり、たとえば、拡張現実も実現可能である。
光拡散スクリーン2に形成した実像4aを表示スクリーン3で反射させている。よって、観察者Eは、実像4aに対応する反射像4bを視認する。この場合、映像出力モジュールMから出力される映像を表示スクリーン3に直接投影する場合より、表示スクリーン3に光拡散性が要求されない。たとえば、表示スクリーン3は、光拡散性を有しなくてもよい。そのため、観察者Eによる背景の視認性が向上する。
光拡散スクリーン2に形成した実像4aを表示スクリーン3で反射させていることから、上記表示システム1の構成では、観察者Eに表示する映像(具体的には、反射像4b)の輝度および視野範囲は、光拡散スクリーン2によって調整可能である。そのため、高輝度および広視野範囲を確保できる。そのため、たとえば、映像を複数の観察者Eが同時に視認することができる。その結果、表示された映像に基づいて観察者E同士がコミュニケーションを図ることができる。
光拡散スクリーン2が反射率の角度異方性を有する形態では、映像(実像4a)の輝度の向上を図り易い。特に、図4を利用して説明したスクリーンゲインを光拡散スクリーン2が有する場合、所望の視野範囲において高い輝度を実現できる。
本実施形態で説明したように、描画レーザ光Lを用いて実像4aを形成している。レーザ光は指向性が高いことから、少ない光束量でも観察者Eの視野に到達する光束を効率的に制御可能である。換言すれば、指向性が高いレーザ光を用いることによって、映像出力モジュールMから出力された光(本実施形態では描画レーザ光L)を有効に活用できる。よって、観察者Eに表示する映像(具体的には反射像4b)の高輝度化を図れる。映像出力モジュールMから出力された光を有効に活用できることから、表示システム1(より具体的には、映像出力モジュールM)の低消費電力化を実現可能である。
更に、描画レーザ光Lの走査によって実像4aを形成する場合、映像出力モジュールMは、フォーカスフリーを実現したモジュールである。この場合、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2とを近づけて配置可能である。そのため、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2とを含む映像形成ユニット(映像装置)の小型化が可能であり、結果として、表示システム1の小型化が可能である。更に、映像出力モジュールMがフォーカスフリーを実現したモジュールであることは、上記映像形成ユニットおよび表示システム1の構成の簡易化に寄与する。
表示システム1では、映像出力モジュールMから出力される光の輝度、光拡散スクリーン2の光拡散性などによって輝度向上を図りやすい。そのため、たとえば、液晶ディスプレイで映像を表示する場合に比べて、観察者Eが視認する映像(反射像4b)の高輝度化を図れる。更に、光拡散スクリーン2では、入射された光を拡散させることによって実像4aを形成している。そのため、液晶素子などが不要であることから、表示システム1の耐久性の向上が図れる。
第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cがLDチップである場合、映像出力モジュールMの小型化を図れる。その結果、映像出力モジュールMおよびそれを含む表示システム1の小型化を実現し易い。
第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12c並びに合波部13を基板に実装する場合、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12c並びに合波部13は、たとえば、適宜、支持台(たとえばサブマウント)などを介して基板に実装されてもよい。
走査部20がMEMSチップであり且つ走査部20が光出力部10と一緒にパッケージ(収容部)30内に収容されている場合、映像出力モジュールMの小型化を図れる。たとえば、走査部20がMEMSチップである場合、光出力部10が実装される基板上に、走査部20も実装できる。これにより、パッケージ30を小型化できる。第1光源12a、第2光源12b、第3光源12c、合波部13およびMEMSチップ(走査部20)を同じ基板に実装する場合、それらは、たとえば、適宜、支持台(たとえばサブマウント)などを介して基板に実装されてもよい。
(変形例1)
図5は、変形例1に係る表示システムの模式図である。図5に示した表示システム1Aは、光拡散スクリーン2と表示スクリーン3との間に拡大光学系(第1拡大光学系)5を有する点で、表示システム1と相違する。拡大光学系5を更に有する点以外の表示システム1Aの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Aは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
拡大光学系5は、実像4aを拡大して表示スクリーン3に投影する光学系である。具体的には、拡大光学系5は、光拡散スクリーン2によって拡散反射された描画レーザ光Lを、拡大光学系5が存在しない場合より反射像4bが拡大するように表示スクリーン3に伝播する光学系である。拡大光学系5の例は、拡大レンズ、フレネルレンズ、回折レンズなどである。拡大レンズは複数のレンズの組み合わせで実現されてもよい。拡大光学系5によって、表示スクリーン3に拡大された実像4aが映り込む。よって、たとえば、同じ大きさの反射像4bを得る場合、拡大光学系5を設けることによって、光拡散スクリーン2のサイズを小型化することが可能である。その結果、表示システム1Aの小型化を図れる。
(変形例2)
図6は、変形例2に係る表示システムの模式図である。図6に示した表示システム1Bは、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2との間に反射部6を有する点で、表示システム1と相違する。反射部6を更に有する点以外の表示システム1Bの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Bは、表示システム1Aと同様の作用効果を有する。
反射部6は、映像出力モジュールMから出力された描画レーザ光Lの光路上に配置されている。反射部6は、描画レーザ光Lを光拡散スクリーン2に向けて反射する。反射部6の例は、反射鏡である。反射部6は、平面鏡でもよいし、映像出力モジュールMから出力される映像を拡大して光拡散スクリーン2に投影するような曲面を有する鏡でもよい。たとえば、反射部6が有する反射面は、光拡散スクリーン2側に向けて凸状の曲面を有してもよい。
反射部6によって、映像出力モジュールMから光拡散スクリーン2までの描画レーザ光Lの光路を曲げることが可能である。その結果、図6に示したように、実像4aが一定の大きさ(所望の大きさ)を得るための光路長を確保しながら、光拡散スクリーン2に対して映像出力モジュールMを近づけて配置可能である。これにより、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2とを有する映像形成ユニット(映像装置)の小型化が図れ、更に、表示システム1Aの小型化も図れる。
反射部6が映像の拡大機能を有する場合、一定の大きさの映像を得るための光路長を短くできる。そのため、上記映像形成ユニットおよび表示システム1Aの小型化を更に図れる。
(変形例3)
図7は、変形例3に係る表示システムの模式図である。図7に示した表示システム1Cは、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2との間に拡大光学系(第2拡大光学系)7を有する点で、表示システム1と相違する。拡大光学系7を更に有する点以外の表示システム1Cの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Cは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
拡大光学系7は、映像出力モジュールMから出力された映像を拡大して光拡散スクリーン2に投影するための光学系である。具体的には、拡大光学系7は、映像出力モジュールMから出力された光(本変形例では描画レーザ光L)を、拡大光学系7が存在しない場合より実像4aが拡大するように光拡散スクリーン2に伝播する光学系である。拡大光学系7の例は、拡大レンズである。拡大光学系7は、色収差を補正するように複数のレンズによって構成されていてもよい。拡大光学系7によって、映像出力モジュールMから出力され且つ拡大された映像が光拡散スクリーン2に投影される。たとえば、同じ大きさの実像4aを得る場合、拡大光学系7を設けることによって、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2との間の距離を短くすることが可能である。その結果、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2とを有する映像形成ユニット(映像装置)の小型化が図れ、更に、表示システム1Cの小型化も図れる。
(変形例4)
図8は、変形例4に係る表示システムの模式図である。図8に示した表示システム1Dは、光拡散スクリーン2の代わりに光拡散スクリーン2Aを有する点で、表示システム1と相違する。光拡散スクリーン2Aを有する点以外の表示システム1Dの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Dは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
光拡散スクリーン2Aは、前面2aが曲面である点で、光拡散スクリーン2と相違する。前面2aは、実像4a(反射像4b)の輝度が向上することおよび視野範囲を広げることの少なくとも一方の機能を有するように設計された曲面であり得る。前面2aは、描画レーザ光Lの画角が大きい場合(たとえば描画レーザ光Lが実像4aの端部近傍に走査されている場合)でも、前面2aにおける描画レーザ光Lの入射領域(図15に示すビームスポットBSに相当)の拡がりを抑制可能な曲面であり得る。換言すれば、前面2aは、画角が大きい場合における描画レーザ光Lの入射領域の大きさが、実像4aの中央近傍に描画レーザ光Lが入射する場合の入射領域と同様となるような曲面である。描画レーザ光Lの入射領域の拡がりを抑制可能な曲面としての前面2aを有する光拡散スクリーン2Aの一例は、図19に示した光拡散スクリーン2A1である。たとえば、前面2aは、画角によらず、前面2aが平坦面である場合より、描画レーザ光Lが、前面2aに垂直に入射するように形成された曲面である。一実施形態において、前面2aは、描画レーザ光Lが、前面2aに垂直に入射するように形成されている。前面2aは、たとえば、図8に示したように、前面2aと反対側の背面(第2面)2b側に凸状の曲面でもよい。前面2aは湾曲していてもよい。上記入射領域は、走査されている描画レーザ光L(レーザビーム)が前面2aに入射する場合に、描画レーザ光Lと前面2aとが交差する領域である。
前面2aは、実像4aにおける直交する2方向で曲率の異な曲面でもよい。上記直交する2方向は、たとえば、実像4aの形成領域が長方形である場合は、長辺方向と短辺方向であり、上記形成領域が正方形である場合は、直交する2つの辺それぞれの方向である。上記直交する2方向は、水平方向および垂直方向でもよい。前面2aは、自由曲面でもよい。図8に示した光拡散スクリーン2Aのように、背面2bも前面2aと同様の曲面を有してもよい。
このように前面2aを曲面とすることで、実像4a(反射像4b)の輝度を制御可能である。前面2aが、背面2b側に凸状の曲面である形態では、画角が大きい場合でも描画レーザ光Lの入射領域の拡がりを低減可能である。そのため、上記入射流域の拡がりに伴う画質の劣化を抑制できる。たとえば、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2とを有する映像形成ユニット(映像装置)の小型化を図るため、映像出力モジュールMを光拡散スクリーン2Aに近づけて配置した場合、実像4aの端部近傍の画角は相対的に大きくなる。このような場合でも、前面2aが曲面である光拡散スクリーン2Aを用いることによって、画質の劣化を抑制できる。その結果、表示システム1Dでは、上記映像形成ユニット(映像装置)の小型化を図りながら、鮮明な映像を観察者Eに提示可能である。
(変形例5)
図9は、変形例5に係る表示システムの模式図である。図9に示した表示システム1Eは、描画レーザ光Lが直線偏光のレーザ光である点および表示スクリーン3の代わりに表示スクリーン50Aを備える点で、表示システム1と相違する。上記相違点以外の表示システム1Eの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Eは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
映像出力モジュールMは、直線偏光光である描画レーザ光Lを出力する。映像出力モジュールMが有する第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cがLDチップである場合、LDチップからは直線偏光光(たとえば、S偏光)が出力される。よって、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cにLDチップを用いることによって、直線偏光の描画レーザ光Lを容易に出力できる。第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cがLDチップである形態では、LDチップの出力端面が基板の主面(第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cが搭載される面)に直交するように第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cを実装した場合、光出力部10から出力される描画レーザ光Lは、S偏光(或いはTEモード)のレーザ光である。映像出力モジュールMは、直線偏光子を用いて直線偏光の描画レーザ光Lを形成してもよい。この場合、第1光源12a、第2光源12bおよび第3光源12cはLDチップに限定されない。
表示スクリーン50Aは、スクリーン本体51と、スクリーン本体51の前面51aに設けられた偏光素子52とを有する。上記前面51aは、スクリーン本体51において観察者E側の面(または光拡散スクリーン2に臨む面)である。スクリーン本体51は、図1に示した表示スクリーン3と同じ部材でよい。この場合、表示スクリーン50Aは、表示スクリーン3に偏光素子52が設けられたスクリーンに相当する。
偏光素子52は、直線偏光光を選択的に反射する反射型偏光素子である。このような特性を有すれば偏光素子52の構成は限定されない。偏光素子52の一例はワイヤグリッド偏光子である。偏光素子52は、直線偏光光である描画レーザ光Lを反射可能にスクリーン本体51に配置されている。
表示スクリーン50Aでは、実像4aを形成しており表示スクリーン50Aに入射される描画レーザ光L(光拡散スクリーン2で拡散反射された描画レーザ光L)が偏光素子52によって反射される。そのため、フレネル反射の場合より、反射量が多くなり、結果として、反射像4bの輝度が向上する。偏光素子52は、直線偏光光以外は透過するため、観察者Eは、背景も視認できる。すなわち、表示システム1Eでは、背景の視認性を確保しながら、より高輝度の反射像4bを形成可能である。
(変形例6)
図10は、変形例6に係る表示システムの模式図である。図10に示した表示システム1Fは、表示スクリーン3の代わりに表示スクリーン50Bを備える点で、表示システム1と相違する。上記相違点以外の表示システム1Fの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Fは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
表示スクリーン50Bは、スクリーン本体51と、スクリーン本体51の前面51aに設けられた誘電体多層膜53とを有する。スクリーン本体51は、変形例5で説明したスクリーン本体51と同様に、図1に示した表示スクリーン3と同じ部材でよい。この場合、表示スクリーン50Bは、表示スクリーン3に誘電体多層膜53が設けられたスクリーンに相当する。
本変形例において、誘電体多層膜53は、平坦な膜である。誘電体多層膜53は、屈折率の高い膜(たとえば屈折率が2.0以上2.6以下の膜)と、屈折率の低い膜(たとえば、屈折率が1.3以上1.6以下の膜)とが交互に積層された膜である。誘電体多層膜53の厚さは、たとえば、20nm以上900nm以下である。誘電体多層膜53は、描画レーザ光Lに含まれる波長帯の光を選択的に反射する反射特性を有する膜である。誘電体多層膜53が反射する波長帯の光の反射率は、たとえば、40%以上90%以下であり、上記波長帯以外の可視光の波長帯における透過率は、50%以上98%以下である。描画レーザ光Lは、三原色(赤色、緑色および青色)を含む。よって、本変形例では、誘電体多層膜53は、赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を選択的に反射する。赤色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長615nm以上波長660nm以下である。緑色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長495nm以上波長545nm以下である。青色のレーザ光の波長帯は、たとえば、波長430nm以上波長480nm以下である。
誘電体多層膜53の反射特性は、誘電体多層膜53を構成する複数の層それぞれの厚さ、材料等を調整することで実現され得る。誘電体多層膜53における高い屈折率を有する層の厚さの例は、10nm以上100nm以下であり、誘電体多層膜53における低い屈折率を有する層の厚さの例は、10nm以上100nm以下である。誘電体多層膜53における高い屈折率を有する層の材料としては、たとえば、TiO(二酸化チタン)、Nb(五酸化ニオブ)、Ta(五酸化タンタル)等が挙げられる。誘電体多層膜53における低い屈折率を有する層の材料としては、たとえば、SiO(二酸化ケイ素)、MgF(フッ化マグネシウム)、Al(酸化アルミニウム)等が挙げられる。
誘電体多層膜53は、上記のように描画レーザ光Lに含まれる波長帯の光を選択的に反射する。そのため、実像4aを形成しており表示スクリーン50Aに入射される描画レーザ光L(光拡散スクリーン2で拡散反射された描画レーザ光L)は誘電体多層膜53によって反射される。この場合、フレネル反射の場合より、反射量が多くなることから、反射像4bの輝度が向上する。
誘電体多層膜53は、描画レーザ光Lに含まれる波長帯以外の波長帯の光を透過することから、観察者Eは、背景も視認できる。すなわち、表示システム1Fでは、背景の視認性(透明性)を確保しながら、より高輝度の反射像4bを形成可能である。
レーザ光のスペクトル線幅は狭い。したがって、誘電体多層膜53では、透過率の低減を最小限に抑えながら、描画レーザ光Lに対する反射率を上げることが可能である。その結果、映像光に描画レーザ光Lを用いている形態では、背景の視認性(透明性)を確保しながら、高輝度の反射像4bを一層形成し易い。
(変形例7)
図11は、変形例7に係る表示システムの模式図である。図11に示した表示システム1Gは、光拡散スクリーン2の代わりに光拡散スクリーン2Bを備える点で、図9に示した表示システム1Eと相違する。上記相違点以外の表示システム1Gの構成は、表示システム1Eの場合と同様である。よって、表示システム1Gは、表示システム1Eと同様の作用効果を有する。
光拡散スクリーン2Bは、透過型のスクリーンである。換言すれば、光拡散スクリーン2Bは、リアタイプ(或いはリアプロジェクションタイプ)のスクリーンである。光拡散スクリーン2Bでは、描画レーザ光Lが入射される前面2aと反対側の背面2b側に実像4aが形成される。すなわち、前面2aから背面2b側に向けて描画レーザ光Lが主に拡散される光拡散性を光拡散スクリーン2Bは有する。表示システム1Gでは、光拡散スクリーン2Bの背面2b側に形成された実像4aが、表示スクリーン50Aが有する偏光素子52によって反射されることによって反射像4bが形成される。
光拡散スクリーン2Bは透過型であることから、映像出力モジュールMの配置を変更することができる。
光拡散スクリーン2Bは、透過率の角度異方性を有してもよい。上記透過率の角度異方性は、反射率の角度異方性と同様でよい。透過率の角度異方性は、光拡散スクリーン2の場合と同様にスクリーンゲインで評価され得る。透過率の角度異方性を有する場合の光拡散スクリーン2Bが有するスクリーンゲインの一例は、光拡散スクリーン2に対して説明した場合と同様である。光拡散スクリーン2Bは、透過率の角度異方性を有する場合の作用効果は、光拡散スクリーン2が反射率の角度異方性を有する場合の作用効果と同様である。
(変形例8)
図12は、変形例8に係る表示システムの模式図である。図12に示した表示システム1Hは、光拡散スクリーン2と表示スクリーン3との間に外光カット部材60を備える点で、図1に示した表示システム1と相違する。上記相違点以外の表示システム1Hの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Hは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
外光カット部材60は、外光OLに起因する反射像4bのコントラスト低下を抑制するための部材(たとえば外光カットフィルタ)である。上記外光OLは、表示システム1の系外からの光であり、たとえば、描画レーザ光L以外の光である。
一実施形態において、外光カット部材60は、図12に示したように、表示スクリーン3の背面側から表示スクリーン3に入射した外光OLであって、表示スクリーン3から光拡散スクリーン2に向かう外光OLの一部、光拡散スクリーン2で反射した後に表示スクリーン3に向かう外光の一部等をカットし得る。外光カット部材60は、描画レーザ光Lを通すように構成されている。
外光カット部材60は、たとえば、光を透過可能な支持部材上に配置されていてもよいし、光拡散スクリーン2が筐体の内側に配置されている場合、その筐体に形成されている窓部であって描画レーザ光L(或いは実像)を表示スクリーン3に伝播させるための上記窓部を覆うように上記筐体に配置されていてもよい。
外光カット部材60の一例は、図13に模式的に示したルーバーフィルム60A(またはルーバーシート)である。ルーバーフィルム60Aは、ルーバー層61を有する。ルーバー層61は、ルーバー構造を有する層である。具体的には、ルーバー層61は、複数の光透過部材61aと、複数の光遮光部材61bとが一方向に沿って交互に配置された層である。光透過部材61aは、光(少なくとも描画レーザ光Lが有する波長帯を含む光)を透過する光学部材である。光透過部材61aは、たとえば、透明なシリコーンゴムである。
光遮光部材61bは、光(少なくとも描画レーザ光Lが有する波長帯を含む光)をカットするための光学部材である。光遮光部材61bは、光を吸収または反射することによって、光をカットするための部材である。光遮光部材61bは、たとえば、黒色のシリコーンゴムである。一実施形態において、光遮光部材61bは、図13に示したようにルーバー層61の厚さ方向(光透過部材61aと光遮光部材61bの配列方向に直交する方向)に対して傾斜している。ルーバーフィルム60Aでは、複数の光遮光部材61bの配列ピッチ(または隣接する光遮光部材61bの間隔)、上記ルーバー層61の厚さ方向に対する光遮光部材61bの傾斜角度、ルーバー層61の厚さなどが、上述したように外光OLをカットするように調整されている。
外光カット部材60は、図13に示したように、ルーバー層61の両面に設けられる透明フィルム62,63を有してもよい。透明フィルム62,63の例は、透明な樹脂フィルムであり、たとえば、ポリカーボネートフィルムである。透明フィルム62,63は、たとえば、ルーバー層61の保護フィルムとして機能し得る。透明フィルム63は、ルーバー層61の支持層としても機能し得る。
外光カット部材60は、描画レーザ光Lを通すため、たとえば、描画レーザ光Lと同じ光路の外光OLは外光カット部材60を通過する。しかしながら、描画レーザ光Lと異なる光路の外光OLは、外光カット部材60によってカットされる。よって、たとえば、外光カット部材60が配置されていない場合に比較して、反射像4bのコントラストが向上する。その結果、観察者Eが反射像4bをより明瞭に見やすい。
外光カット部材60は例示したルーバーフィルム60Aに限定されない。外光カット部材60は、直線偏光素子でもよい。直線偏光素子は、直線偏光特性を有する素子であれば限定されない。直線偏光素子の例は、直線偏光フィルム、ワイヤグリッド偏光子などが挙げられる。外光カット部材60は、直線偏光光である描画レーザ光Lを通すように、配置される。これにより、外光OLのうち、描画レーザ光Lの直線偏光成分と異なる偏光成分は、直線偏光フィルムである外光カット部材60によってカットされる。その結果、反射像4bのコントラストが向上する。上記直線偏光子(外光カット部材60)の外光カット率の例は、55%以上である。
外光カット部材60は、たとえば、描画レーザ光Lに含まれる各色の波長帯の光を選択的に通し、それ以外の光をカットする誘電体多層膜でもよい。誘電体多層膜は、たとえば透明な支持体(たとえば、透明フィルム)上に形成され得る。一実施形態において、上記支持体も外光カット部材60の一部であり得る。描画レーザ光Lが赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を含み得る形態では、上記誘電体多層膜(外光カット部材60)は、赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光を選択的に通し、他の波長帯の光をカットする光学特性を有すればよい。誘電体多層膜が選択的に通す赤色のレーザ光、緑色のレーザ光および青色のレーザ光の波長帯の例は、変形例6における誘電体多層膜53に関連して説明した波長帯の例と同様とし得る。外光カット部材60である上記誘電体多層膜は描画レーザ光Lを通すことが可能であるため、反射像4bを観察者Eが視認できる一方、外光OLのうち描画レーザ光Lに含まれる各色の波長帯域以外の光は上記誘電体多層膜でカットされることから、反射像4bにおける外光OLの影響を低減できる。ここでは、誘電体多層膜を例にして説明したが、外光カット部材60は、上記誘電体多層膜と実質的に同様の光学特性を有する波長カットフィルム(または波長カットフィルタ)でもよい。
(変形例9)
図14は、変形例9に係る表示システムの模式図である。図14に示した表示システム1Iは、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2との間にFθレンズ系8を備える点で、図1に示した表示システム1と相違する。上記相違点以外の表示システム1Iの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Iは、表示システム1と同様の作用効果を有する。
図15および図16を利用してFθレンズ系8を説明する。図15は、光拡散スクリーン2を前面2a側からみた場合の模式図である。図16は、Fθレンズ系8を説明するための図面である。説明の便宜のために、図15に示したようにX方向およびY方向を設定する。X方向は、光拡散スクリーン2の端面2cから端面2dに向かう(または端面2dから端面2cに向かう)方向である。端面2dは端面2cと反対側の面である。Y方向は、光拡散スクリーン2の端面2eから端面2fに向かう(または端面2fから端面2eに向かう)方向である。端面2fは、端面2eと反対側の面である。図15において、実像4aを破線で模式的に示している。変形例9において、光拡散スクリーン2および実像4aは横長であり、X方向の長さがY方向より長い。図15では、後述するビームスポットBSを、ハッチングを用いて示している。図16は、図14に示した白抜き矢印A側から映像出力モジュールM、Fθレンズ系8および光拡散スクリーン2をみた場合を模試的に示している。図16では、説明の便宜のために、光拡散スクリーン2を傾斜させていない状態、すなわち、光拡散スクリーン2の端面2eが図14における白抜き矢印Aの方向と直交するように光拡散スクリーン2が配置されている状態を示している。
Fθレンズ系8は、所定方向における描画レーザ光Lの走査範囲内において、描画レーザ光Lが前面2aに入射する場合のビームスポットBS(図15参照)の径dがほぼ同様であるように、描画レーザ光Lを集光する。上記所定方向は、X方向およびY方向のうち少なくとも実像4aの長さが長い方向であり、具体的には、変形例9において上記所定方向はX方向である。ビームスポットBSは、変形例4における入射領域に相当する。ビームスポットBSの径dをビームスポット径dと称す。Fθレンズ系8は、単一のレンズでもよいし、複数のレンズの組み合わせで構成されてもよい。
Fθレンズ系8を用いることによって、画角が大きい領域(実像4aにおける端部側)でも、光拡散スクリーン2の前面2aにおける描画レーザ光Lのビームスポット径dの拡がりを、Fθレンズ系8を用いない場合に比べて低減できる。これにより、上記ビームスポット径dの拡がりに伴う画質の劣化を抑制でき、観察者Eに鮮明な映像を提示可能である。
変形例9では、実像4aが横長の場合を想定しているため、縦方向(Y方向)におけるビームスポット径dの影響は小さい。そのため、変形例9では、少なくともX方向における走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同様であればよい。しかしながら、Fθレンズ系8は、X方向およびY方向の両方の走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同様であるように、描画レーザ光Lを集光してもよい。この場合、実像4aにおけるX方向およびY方向の長さが同じである形態、或いは、Y方向の長さがX方向より長い形態でも、ビームスポット径dの拡がりの影響を低減可能である。
(変形例10)
図17は、変形例10に係る表示システムの模式図である。図17に示した表示システム1Jは、光拡散スクリーン2の代わりに光拡散スクリーン2A1を有する点、映像出力モジュールMと光拡散スクリーン2A1との間にFθレンズ系8を備える点、Fθレンズ系8と映像出力モジュールMとの間に拡大光学系7を備える点で、図1に示した表示システム1と相違する。上記相違点以外の表示システム1Jの構成は、表示システム1の場合と同様である。よって、表示システム1Jは、表示システム1と同様の作用効果を有する。変形例10でも、変形例9の場合と同様のX方向およびY方向を使用して説明する。変形例10では、変形例9の場合と同様に、光拡散スクリーン2A1および実像4aが横長である形態、すなわち、X方向の長さがY方向の長さより長い場合を説明する。
図18および図19を用いて、上記相違点に着目して表示システム1Jを説明する。図18は、光拡散スクリーン2A1の斜視図である。図19は、Fθレンズ系8および光拡散スクリーン2A1を説明するための図面である。図19は、図17に示した白抜き矢印B側から映像出力モジュールM、拡大光学系7、Fθレンズ系8および光拡散スクリーン2A1をみた場合を模試的に示している。図19では、説明の便宜のために、光拡散スクリーン2A1を傾斜させていない状態、すなわち、光拡散スクリーン2A1の端面2eが図17における白抜き矢印Bの方向と直交するように光拡散スクリーン2A1が配置されている状態を示している。
拡大光学系7は変形例3において説明した拡大光学系7と同様であることから説明を省略する。
図18および図19に示したように、光拡散スクリーン2A1は、前面2aが曲面である点で、主に、図1に示した光拡散スクリーン2と相違する。変形例10において、前面2aは、端面2e側からみた場合に、背面2b側に凸状の曲面である。変形例10では、背面2bも前面2aと同じ曲面である。前面2aは、所定方向における描画レーザ光Lの走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同じ大きさになるような曲面であり、たとえば、描画レーザ光Lが実質的に前面2aに垂直に入射するよう曲面である。変形例10における上記所定方向は、変形例9の場合と同様に、X方向およびY方向のうち少なくとも実像4aの長さが長い方向であり、具体的には、上記所定方向はX方向である。
Fθレンズ系8は変形例9において説明したFθレンズ系8と同様である。具体的には、Fθレンズ系8は、上記所定方向における描画レーザ光Lの走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同じ大きさになるように描画レーザ光Lを集光する。
変形例10では、光拡散スクリーン2A1が上記曲面である前面2aを有するととともに、表示システム1JがFθレンズ系8を備えることから、それらの組み合わせによってビームスポット径dの大きさが上記所定方向の走査範囲内において実質的に同じ大きさになるように光拡散スクリーン2A1およびFθレンズ系8が設計されている。
Fθレンズ系8を備えること、および、光拡散スクリーン2A1が上述した前面2aを有することによって、Fθレンズ系8から出力された描画レーザ光Lが前面2aに垂直に入射され易い。そのため、画角が広い場合でも、描画レーザ光Lのビームスポット径d(図15参照)の拡がりが低減され、結果として、画質の劣化が低減される。映像出力モジュールMを光拡散スクリーン2A1に近づけて配置した場合、実像4aの端部近傍の画角は相対的に大きくなる。このような場合でも、Fθレンズ系8を備えること、および、光拡散スクリーン2A1を用いることによって、画質の劣化を抑制できる。その結果、表示システム1Jでは、上記映像形成ユニット(映像装置)の小型化を図りながら、鮮明な映像を観察者Eに提示可能である。
表示システム1Jでは、Fθレンズ系8を備えるとともに、光拡散スクリーン2A1が上述した前面2aを有する。これによって、Fθレンズ系8のみで上記ビームスポット径dの拡がりを抑制する場合より、ビームスポット径dの拡がり抑制のためにFθレンズ系8に要求される条件が緩和される。たとえば、光拡散スクリーン2A1の前面2aが平坦面である場合にFθレンズ系8の作用によって、前面2aに描画レーザ光Lをより垂直に近づけて入射する場合、Fθレンズ系8の大きさは、実像4aの形成領域と同じ大きさであることが好ましい。これに対して、Fθレンズ系8とともに、上述した前面2aを有する光拡散スクリーン2A1を用いることによって、Fθレンズ系8の大きさ(たとえば、Fθレンズ系8の径)を小さくできる。この点でも、上記映像形成ユニット(映像装置)の小型化を図りながら、鮮明な映像を観察者Eに提示可能である。
表示システム1Jは、拡大光学系7を備えることから、変形例3で説明したように、上記映像形成ユニット(映像装置)の小型化が図れ、更に、表示システム1Jの小型化も図れる。
変形例10においても 実像4aが横長の場合を想定しているため、縦方向(Y方向)におけるビームスポット径dの大きさの変化の影響は小さい。そのため、変形例10の場合では、少なくともX方向における走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同様であればよい。しかしながら、前面2aおよびFθレンズ系8は、X方向およびY方向の両方の走査範囲内において、ビームスポット径dが実質的に同様であるように、設計されていてもよい。この場合、実像4aのX方向およびY方向の長さが同じである形態、或いは、Y方向の長さがX方向より長い形態でも、ビームスポット径dの拡がりの影響を低減可能である。
上記のように、表示システム1Jでは、映像形成ユニット(映像装置)の小型化を図れる。更に、表示システム1Jは、表示システム1Jの小型化に資する構成を有しながら、画質の劣化を抑制可能である。
以上、本開示による表示装置および表示システムの実施形態を説明したが、本開示による表示装置および表示システムは、例示した実施形態に限定されず、種々の変形が可能である。
実像4a(反射像4b)をたとえば1色で表示する場合、描画レーザ光は赤色、緑色または青色のレーザ光である。この形態では、光出力部10は、赤色、緑色または青色のレーザ光を出力する光源と、走査部20とを少なくとも有する。光出力部10が、赤色、緑色または青色のレーザ光を出力する光源を2つ以上有する場合、光出力部10は、合波部を有する。赤色または緑色は、たとえば青色に比べて視感度が優れているので、赤色または緑色を用いて実像4a(反射像4b)を表示する場合、観察者Eは反射像4bを視認し易い。実像4a(反射像4b)をたとえば1色で表示する形態であって、変形例6で説明したように、表示スクリーンが誘電体多層膜を有する形態では、誘電体多層膜は、描画レーザ光に対応する色のレーザ光(赤色、緑色または青色のレーザ光)の波長帯を選択的に反射するように設計されていればよい。これにより、変形例6の場合と同様に、背景の視認性を確保しながら、反射像(映像)4bの視認性の向上を図れる。
実像4a(反射像4b)をたとえば2色で表示する場合、描画レーザ光は、たとえば、赤色のレーザ光および緑色のレーザ光が合成されたレーザ光である。具体的には、光出力部10は、赤色レーザ光を出力する少なくとも一つの光源と、緑色レーザ光を出力する少なくとも一つの光源と、赤色レーザ光および緑色レーザ光を合波する合波部と走査部20とを有する。前述したように、赤色または緑色は、たとえば青色に比べて視感度が優れているので、赤色および緑色を用いて実像4a(反射像4b)を表示する場合、観察者Eは、反射像(映像)4bを視認し易い。実像4a(反射像4b)をたとえば2色で表示する形態であって、変形例6で説明したように、表示スクリーンが誘電体多層膜を有する形態では、誘電体多層膜は、描画レーザ光に含まれる2色のレーザ光(赤色、緑色または青色のレーザ光うちの2色のレーザ光)の波長帯を選択的に反射するように設計されていればよい。これにより、変形例6の場合と同様に、背景の視認性を確保しながら、観察者Eによる反射像(映像)4bの視認性の向上を図れる。
光出力部10が有する光源(レーザ光源)の数は、3個に限定されない。1つまたは2つでもよい。更に、4個以上の光源を使用してもよい。
映像光は、レーザ光以外の光でもよい。たとえば、映像出力モジュールが備える光源に、LEDを採用してもよい。この場合、映像出力モジュールは、LEDからの光をDMD(Digital Mirror Device)で反射し、像情報を付与した映像光を出力すればよい。映像光がレーザ光以外の光である場合、レンズなどによって指向性を付与してもよい。この場合、映像光が指向性を有することから、レーザ光の場合と同様に、高い輝度を実現し易い。
映像光が、直線偏光光である描画レーザ光である場合を説明したが、映像光は、直線偏光光以外の光(たとえば、無偏光光)でもよい。
上記変形例7において説明した拡大光学系7は、映像出力モジュールMに組み込まれていてもよい。換言すれば、拡大光学系7は、映像出力モジュールMの一部でもよい。たとえば、図2に示したように、映像出力モジュールMが、窓部31が形成されたパッケージ30を有する形態では、窓部31が有する窓部材32の代わりに拡大光学系7(たとえば拡大レンズ)を用いてもよい。
以上説明した種々の実施形態および変形例は、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で適宜組み合わされてもよい。たとえば、変形例10に示した表示システム1Jが、変形例8で説明した外光カット部材60を更に備えてもよいし、表示システム1Jにおける表示スクリーン3の代わりに変形例5で説明した表示スクリーン50Aまたは変形例6で説明した表示スクリーン50Bを用いてもよい。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G、1H,1I,1J…表示システム
2,2A,2A1,2B…光拡散スクリーン
2a…前面
2b…背面
2c…端面
2d…端面
2e…端面
2f…端面
3…表示スクリーン
4a…実像
4b…反射像
5…拡大光学系(第1拡大光学系)
6…反射部
7…拡大光学系(第2拡大光学系)
8…Fθレンズ系
10…光出力部
11…光源部
13…合波部
12a…第1光源
12b…第2光源
12c…第3光源
14a…レンズ
14b…レンズ
14c…レンズ
15a…フィルタ
15b…フィルタ
15c…フィルタ
20…走査部
21…反射鏡
22…駆動機構
30…パッケージ
31…窓部
30a…開口
32…窓部材
40…制御装置
41…信号入力部
42…信号解析部
43…走査制御部
44…光源制御部
45…記憶部
50A,50B…表示スクリーン
51…スクリーン本体
51a…前面
52…偏光素子
53…誘電体多層膜
60…外光カット部材
60A…ルーバーフィルム
61…ルーバー層
61a…光透過部材
61b…光遮光部材
62…透明フィルム
63…透明フィルム
BS…ビームスポット
A…白抜き矢印
B…白抜き矢印
d…ビームスポット径
E…観察者
M…映像出力モジュール
L…描画レーザ光
L1…第1レーザ光
L2…第2レーザ光
L3…第3レーザ光
OL…外光
PG…ピークゲイン

Claims (15)

  1. 観察者に表示する映像を形成するための映像光を出力する映像出力モジュールと、
    前記映像出力モジュールから出力された前記映像光を拡散して前記映像を形成する光拡散スクリーンと、
    透明性を有するとともに、前記光拡散スクリーンで形成された前記映像を反射して前記映像を前記観察者に表示する表示スクリーンと、
    を備える、
    表示システム。
  2. 前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間に配置され、前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間を伝播する外光の少なくとも一部をカットする外光カット部材を更に備える、
    請求項1に記載の表示システム。
  3. 前記外光カット部材は、ルーバーフィルムである、
    請求項2に記載の表示システム。
  4. 前記光拡散スクリーンは、反射率または透過率に角度異方性を有する、
    請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の表示システム。
  5. 前記光拡散スクリーンのスクリーンゲインは、所望の視野範囲において0.5以上である、
    請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の表示システム。
  6. 前記光拡散スクリーンと前記表示スクリーンとの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像を拡大する第1拡大光学系を更に備える、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の表示システム。
  7. 前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記映像出力モジュールから出力された前記映像光を、前記光拡散スクリーンに向けて反射する反射部を更に備える、
    請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の表示システム。
  8. 前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像が拡大されるように前記映像光を前記光拡散スクリーンに伝播するための第2拡大光学系を更に備える、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示システム。
  9. 前記映像光は、直線偏光光であり、
    前記表示スクリーンは、
    透明性を有するスクリーン本体と、
    前記スクリーン本体に設けられており前記直線偏光光を選択的に反射する偏光素子と、
    を有する、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示システム。
  10. 前記表示スクリーンは、
    透明性を有するスクリーン本体と、
    前記スクリーン本体に設けられており前記映像光に含まれる波長帯の光を選択的に反射する誘電体多層膜と、
    を有する、
    請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の表示システム。
  11. 前記映像光は、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含むレーザ光である、
    請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の表示システム。
  12. 前記映像出力モジュールは、前記映像を形成するように前記レーザ光を走査しながら出力する、
    請求項11に記載の表示システム。
  13. 前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置されるFθレンズ系を更に備える、
    請求項12に記載の表示システム。
  14. 前記光拡散スクリーンにおいて前記映像出力モジュールからの前記映像光が入射する第1面は、前記第1面と反対側に向けて凸状の曲面である、
    請求項12または請求項13に記載の表示システム。
  15. 前記映像出力モジュールと前記光拡散スクリーンの間に配置され、前記光拡散スクリーンで表示される前記映像が拡大されるように前記映像光を前記光拡散スクリーンに伝播するための第2拡大光学系と、
    前記第2拡大光学系と前記光拡散スクリーンの間に配置されるFθレンズ系と、
    を更に備え、
    前記映像光は、赤色、緑色および青色のうちの少なくとも1色のレーザ光を含むレーザ光であり、
    前記映像出力モジュールは、前記映像を形成するように前記レーザ光を走査しながら出力し、
    前記光拡散スクリーンにおいて前記映像出力モジュールからの前記映像光が入射する第1面は、前記第1面と反対側に向けて凸状の曲面である、
    請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の表示システム。
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