JP2023016541A - プレフィルドシリンジ - Google Patents

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Hisashi Yano
宏美 北里
Hiromi Kitazato
美香 守田
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Abstract

【課題】従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを提供する。【解決手段】プレフィルドシリンジは、薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリ14とを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段35を形成してなるプレフィルドシリンジであって、前記導出補助手段は前側が溝部40であり、後側を凸条部41とした。【選択図】図3

Description

本発明は、プレフィルドシリンジに関する。
注射は、経口投与に比して薬剤の吸収が速く、堅実で迅速に効果が得られる投与手段として古くから利用されている。
特に、シリンジ内にあらかじめ薬液を充填したプレフィルドシリンジは、調剤時の微生物汚染や投与量過誤のリスクを減じたり、救急時の迅速な投与や医療従事者の作業負担の軽減を図ることが可能な点で有用である。
このような例として、図5(a)に示すプレフィルドシリンジ100のように、両端が開口した筒状の容器110に、同筒状容器110の前側開口110aの液密性を摺動可能な状態で維持するフロントストッパ111と、同じく摺動可能な状態で後側開口110bの液密性を維持するエンドストッパ112とを薬液113を収容した状態で打栓して、薬液のカートリッジ114を構築したものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
そして使用時には、図5(b)に示すように、カートリッジ114のエンドストッパ112をプランジャロッド115で押圧しながら摺動させ、これに伴いフロントストッパ111をカートリッジ114の前側開口110aから離脱させて薬液113を導出可能な状態とする。
カートリッジ114より離脱したフロントストッパ111は、カートリッジ114と注射針116との間に介設されたフロントアッセンブリ117内で保持されると共に、保持されたフロントストッパ111の隙間117aを介して薬液113が注射針116へ導かれて投与可能な状態となる。
特開2000-334043号公報 特開2006-068509号公報
ところで、プレフィルドシリンジに収容される薬液としては、一様な濃度で成分が溶解したものの他に、沈降性の成分を含有するような薬液(以下、沈降性薬液ともいう。)も存在する。例えば、水酸化アルミニウムの如き沈降性アジュバントを含むワクチン製剤はこのような薬液に該当する。
勿論、このような沈降性薬液であっても、投与時にはできるだけ均一な状態で投与する必要がある。そこで、図5(a)に示すようにカートリッジ114内には薬液113と共に撹拌用気体118aを封入して気泡118を形成しており、プレフィルドシリンジ100自体を数回に亘り上下反転させることで、薬液113を転倒撹拌できるようにしている。
ただ、薬液113の投与時には、この撹拌用気体118a(気泡118)をプレフィルドシリンジ100から排出しておく必要がある。したがって、接種前には薬液113に先んじて撹拌用気体118aを注射針116より吐出させる、所謂エア抜きの操作が行われる。
しかしながら、これまで使用されているプレフィルドシリンジは、このエア抜き操作に失敗し、撹拌用気体118aが吐出されるよりも先に薬液113が導出されてしまい、気泡118がカートリッジ114内に残存してしまう場合があった。
また、このような現象を回避すべく、例えば特許文献2に示されるように、フロントアッセンブリ117の内壁に複数条の溝を形成し、またこの溝を増やすことで撹拌用気体118aの円滑な吐出が試みられているが、未だ改良の余地が残されていた。
本発明は、斯かる事情に鑑みてなされたものであって、従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを提供する。
上記従来の課題を解決するために、本発明に係るプレフィルドシリンジの態様の1つは、(1)薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリとを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段を形成してなるプレフィルドシリンジであって、前記導出補助手段は前側が溝であり、後側を凸条とした点が挙げられる。
また、本発明に係るプレフィルドシリンジの選択的な態様として、以下の点にも特徴を有する。
(2)前記導出補助手段は前側略半部が溝であり、後側略半部を凸条としたこと。
(3)各導出補助手段の凸条部分は、前記フロントアッセンブリの内周曲面からの突出高さを0.11~0.18mmとしたこと。
本発明に係るプレフィルドシリンジによれば、薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリとを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段を形成してなるプレフィルドシリンジであって、前記導出補助手段は前側が溝であり、後側を凸条としたため、従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを提供することができる。
また、前記導出補助手段は前側略半部が溝であり、後側略半部を凸条とすれば、エア抜き不良事象の発生をより堅実に抑制することができる。
また、各導出補助手段の凸条部分は、前記フロントアッセンブリの内周曲面からの突出高さを0.11~0.18mmとすれば、エア抜き不良事象の発生を更に堅実に抑制することができる。
本実施形態に係るプレフィルドシリンジの構成を示した説明図である。 フロントアッセンブリの構成を示した説明図である。 フロントアッセンブリの構成を示した説明図である。 導出補助手段の構成を示した説明図である。 従来のプレフィルドシリンジの構成を示す説明図である。
本発明は、シリンジ内にあらかじめ薬液を充填したプレフィルドシリンジに関するものであり、特に、従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを提供するものである。
特に、本実施形態に係るプレフィルドシリンジは、薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリとを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段を形成してなるプレフィルドシリンジであって、前記導出補助手段は前側が溝であり、後側を凸条としたことを特徴とするプレフィルドシリンジである。
ここでカートリッジ内に収容される薬液は特に限定されるものではなく、一様な濃度で成分が溶解した薬液であっても良いし、沈降性薬液であっても良い。付言すれば、本実施形態に係るプレフィルドシリンジは、従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されており、堅実なエア抜きを行うことが可能である。従って、カートリッジ内に沈降性薬液と共に撹拌用気体を収容した際に、より効果を発揮する。
カートリッジ内に形成する気泡の構成気体、すなわち撹拌用気体は、一般にプレフィルドシリンジにて撹拌用に封入される気体であれば特に限定されることなく採用することができ、またその封入量も公知技術の範囲内で適宜調節することができる。
カートリッジを構成する筒状の容器は、透明性の高いガラスや硬質プラスチックが使用される。また筒形状は一般に円筒状とすることが可能であるが、その他の断面形状、例えば矩形状であったりその他多角形状とすることもできる。
また、筒状容器の前方開口を自ら摺動可能な状態で閉塞するフロントストッパは、その形状や素材については特に限定されるものではない。例えば素材については、注射器、特にプレフィルドシリンジにてガスケットとして一般的に使用される可撓性の素材を使用することができる。また形状としては、カートリッジを構成する筒状容器の断面形状にもよるが、例えば筒状容器が円筒状であれば内径と略同径で略円柱形状とすることができる。この場合、フロントストッパの周方向(胴回り方向)には、環状の谷溝や山部が1又は複数設けられ、摺動摩擦の調整や良好な液切れの実現がなされる。なお、後述のエンドストッパについても、これらの構成についてはフロントストッパと概ね同様である。
フロントアッセンブリは、カートリッジより離脱したフロントストッパを所定の姿勢、特に円滑な接種や投与すべき薬液量に悪影響を与えないような想定された姿勢で捕捉するための部位であり、特に、カートリッジ内より開放された撹拌用気体や薬液の円滑な導出を阻害するようなフロントストッパの姿勢を防止し、堅実な流路確保を行うための部位である。
本実施形態に係るプレフィルドシリンジのフロントアッセンブリには、堅実な流路確保のために、その内周面に複数条の導出補助手段が設けられている。導出補助手段の数(条数)は、特に限定されるものではなく、投与すべき薬液の量や筒状容器の形状などに応じて適宜決定することができる。
また、本実施形態におけるフロントアッセンブリの特徴として、導出補助手段の前側(針先側、薬液導出下流側)は溝である一方、後側(カートリッジ側、薬液導出上流側)は凸条としている点が挙げられ、このような構成とすることにより、エア抜き不良事象の発生の抑制を実現している。
また、一定の長さを有する導出補助手段のうち、溝と凸条の割合は特に限定されるものではないが、例えば、溝:凸条=3:7~7:3の範囲内としたり、更には大凡半々、すなわち前側略半部を溝、後側略半部を凸条とすることができる。
導出補助手段の溝の深さは、投与すべき薬液の量やカートリッジを構成する筒状容器の形状に応じて適宜決定することができる。先述の如く、フロントアッセンブリ内壁に溝を形成して円滑な薬液投与を試みた先行技術は存在しており、これら公知の技術を踏まえ適宜設計することが可能である。
導出補助手段の凸条に関し、フロントアッセンブリ内壁曲面からの突出高さは、フロントストッパの形状や径にあわせて適宜調整することが可能であり、例えば0.01~0.2mm程度の突出高さとすることができる。突出高さを0.11~0.18mm程度とすればエア抜き不良事象の発生をより堅実に抑制でき、また突出量としては僅かな0.01~0.11mm程度とすればエア抜き不良事象の発生をある程度抑制しつつも金型等を用いたフロントアッセンブリの製造に際し成形性を確保することができる。また例えば、フロントストッパを略円柱状とした場合、フロントアッセンブリのフロントストッパ保持部における内径はフロントストッパの径よりも僅かに大径としつつ、凸条の突出高さは0.11~0.18mmとし、1又は複数の導出補助手段における凸条がフロントストッパの胴回りに形成された谷部に作用して胴回り方向への薬液の流動を抑制できるような構成としてもよい。また、このとき凸条は、その頂部がフロントストッパと接触する構成であっても良いが、接触せずとも薬液に対して所定の流動抵抗を生起して胴回り方向への薬液流動を抑制できる構成であっても良い。また、凸条の頂部がフロントストッパの胴回りに形成された谷部近傍まで到達し、胴回り方向への薬液の流動を抑制できるような構成とすることも可能である。
以下、本実施形態に係るプレフィルドシリンジについて、図面を参照しながら説明する。
図1は本実施形態に係るプレフィルドシリンジAの構成を示した説明図である。図1に示すようにプレフィルドシリンジAは、注射器本体部10と、注射針11とで構成している。
注射針11は、同注射針11自体を注射器本体部10へ取り付けるための針基部11aと、尖鋭状に形成した金属製の細管である針管部11bとを備え、人体に穿刺して注射器本体部10内に収容されている薬液16を体内へ供給するための部位である。なお、図1中において符号11cは針管部11bの針カバーである。
注射器本体部10は、注射針11を介して供給するための薬液16が収容される部位であり、カートリッジ12と、押出機構部13と、フロントアッセンブリ14とで構成している。なお以下において、プレフィルドシリンジAやプレフィルドシリンジAの各構成部材の説明に際し、図1にも示すように、針先方向を前、プランジャヘッド24a側となる方向を後として説明する場合がある。
カートリッジ12は、接種前の薬液16を収容し保持するための部位であり、筒状容器15の前後開口をゴム製のストッパで栓をして、その内部に薬液16及び気泡17を収容することで構成している。
筒状容器15は、薬液16の収容部として機能する部位であり、収容された薬液16や気泡17の状態が視認しやすいよう、透明度の高いガラスや硬質プラスチックにて形成している。
筒状容器15の後方開口に装着されるエンドストッパ21は、カートリッジ12の内部に収容した薬液16が後方開口から漏出するのを防止するためのストッパであり、液密性が確保された状態となるよう打栓している。
また、エンドストッパ21は、使用者による押出機構部13の操作により破線にて示すように前方へ摺動可能としており、薬液16を介して押圧力がフロントストッパ22に伝達されるよう構成している。
筒状容器15の前方の開口に装着されるフロントストッパ22は、カートリッジ12の内部に収容した薬液16が前方開口から漏出するのを防止するためのストッパであり、液密性が確保された状態となるよう打栓している。
また、フロントストッパ22は、使用者による押出機構部13の操作により、薬液16を介して伝搬する押圧力を受けて摺動し、筒状容器15内より前方開口から離脱可能としている。また、フロントストッパ22の胴部には周方向に環状の山部22aと谷溝22bを形成している。具体的には、複数設けた山部22aと山部22aの間に谷溝22bを設けており、本実施形態では3つ(複数)の山部22aの間に2つ(複数)の谷溝22bを形成している。
押出機構部13は、カートリッジ12内にてエンドストッパ21を前方へ摺動させるための使用者の操作部として機能する部位であり、フィンガーフランジ体23とプランジャ24で構成している。
フィンガーフランジ体23は、使用者がプランジャ24をカートリッジ12内に押し込む際に相対的な指掛け部として機能する部位である。接種に際しカートリッジ12を人差し指と中指の間で挟み、プランジャ24の後端に親指を添えて押し込み動作をするとき、このフィンガーフランジ体23が人差し指や中指の指腹部分と当接することで、円滑な押込み動作を可能としている。
プランジャ24は、エンドストッパ21をカートリッジ12内にて前方へ摺動進出させるための押し棒であり、その前端は螺合構造の如き所定の連結構造を介してエンドストッパ21の後面と連結させている。また、プランジャ24の後端には円板状のプランジャヘッド24aを形成しており、使用者の押圧力を可及的広い面積で受けるよう構成している。
フロントアッセンブリ14は、使用者の押圧動作によってカートリッジ12の前端開口より離脱したフロントストッパ22を捕捉すると共に、気泡17や薬液16を導出させるための流路を確保するための部材である。またフロントアッセンブリ14は、注射針11の取付部としての役割も有する。
図2は、本実施形態に係るプレフィルドシリンジAのフロントアッセンブリ14の外観を示した説明図であり、図2(a)は前方から臨んだ斜視図、図2(b)は後方より臨んだ斜視図を示している。
図2(a)に示すように、フロントアッセンブリ14は、カートリッジ装着部31と、ストッパ捕捉部32と、注射針装着部33とを備えている。
カートリッジ装着部31は、カートリッジ12の前端部を嵌入させてカートリッジ12にフロントアッセンブリ14を装着固定する部位であり、図2(b)に示すように、その内周面31a部分の内径L1は、カートリッジ12を構成する筒状容器15の外径と略同径とし、薬液16や気泡17が漏出しないよう水密性が保たれる。なお、カートリッジ装着部31の内周面31aや、カートリッジ装着部31に嵌入させるカートリッジ12の前端部表面には、カートリッジ装着部31からカートリッジ12が抜けるのを防止するための抜け止め構造を設けるようにしても良い。図示は割愛するが、例えば、カートリッジ装着部31の内周面31aに周方向へ係合凹溝を形成する一方、カートリッジ12をカートリッジ装着部31へ嵌入させた際の係合凹溝と対向するカートリッジ12の表面に周方向へ係合凸条を形成して、双方嵌め合いによる抜け止め構造とすることができる。筒状容器15のカートリッジ装着部31への挿入は、この抜け止め構造の係合であったり、また、筒状容器15の前端面がカートリッジ装着部31とストッパ捕捉部32との間に形成された段差部31bに突き当たることで、更なる奥行方向への移動が規制される。
ストッパ捕捉部32は、カートリッジ装着部31にカートリッジ12を嵌入させた状態、特にプレフィルドシリンジAの完成状態において、使用者による押出機構部13の操作に伴って筒状容器15の内部で摺動し前端開口より離脱したフロントストッパ22を、図1にて破線で示したように捕捉して収容するための部位である。フロントストッパ22が円滑にストッパ捕捉部32に収容されるよう、その内周面32a部分(後述の導出補助手段35以外の内周曲面部分)における内径L2は、フロントストッパ22の山部22aの直径よりもわずかに大きく、薬液16や気泡17の導出流路が確保される径であればよい。
また、このストッパ捕捉部32の内周面32aには、図2(b)にて破線の楕円で囲って示すように、複数の(本実施形態では、軸線X1周り90度毎に計4本の)導出補助手段35を形成している。この導出補助手段35は、使用者による押圧動作によってカートリッジ12から溢出した気泡17や薬液16を円滑に注射針装着部33へ導いて注射針11へ供給するための構成であり、また、本実施形態に係るプレフィルドシリンジAの要部構成の一つであるため、追って詳説する。
また、ストッパ捕捉部32の前方壁部32bには、集合溝34が形成されている。集合溝34は、前方壁部32bの略中央に開口する注射針装着部33の中空空間の開口周縁に形成された集合部34aと、同集合部34aから各導出補助手段35の溝部へ放射状に形成された枝溝部34bとで構成しており、前方壁部32bに至った気泡17や薬液16が注射針装着部33へ円滑に流入するよう構成している。
注射針装着部33は、図1に示すように注射針11の針基部11aを嵌着させて注射器本体部10に注射針11を取り付けるための部位である。注射針装着部33は図2(a)や図2(b)に示すように中空状であり、この中空部33aを介して注射針装着部33に装着した注射針11に気泡17や薬液16を送給可能としている。すなわち、エア抜き操作中であれば、注射針装着部33を通じて注射針11へ供給された気泡17は大気中へ放出され、また接種中であれば、供給された薬液16は体内へ投与されることとなる。
次に、本実施形態に係るプレフィルドシリンジAの要部構成の一つである導出補助手段35について説明する。図3は、軸線X1を含む面で切断したフロントアッセンブリ14の断面図であり、導出補助手段35が切断される位置での断面を示している。
導出補助手段35は、ストッパ捕捉部32の内周面32aにて前後へ伸延させて形成しており、図3及び図4(a)に示すように、溝部40と凸条部41とが一直線上に連結させた構成を備えている。なお、図4(a)は図3において破線で示す断面で表された導出補助手段35の拡大図である。
溝部40は、内周面32aにおいて軸線X1を中心とする半径方向外方へ内空間を部分的に突出させて前後方向に形成した溝であり、図4(a)のP-P’断面として図4(b)に示すように、例えば半径L3が0.1~0.5mm程度、本実施形態では0.25~0.35mm程度の半円筒面状の溝としている。
凸条部41は、内周面32aにおいて軸線X1を中心とする半径方向内方へ内周面32aを突出させて形成した凸条であり、図4(a)のQ-Q’断面として図4(c)に示すように、内周曲面である内周面32aからの突出高さ、すなわち内周面32aが導出補助手段35の内部まで及んだと仮定した場合の仮想内周面32cから凸条部41の頂部までの突出高さL4が、本実施形態では0.11~0.18mm程度で半円柱状に肉盛した凸条としている。
また、本実施形態では、内周面32aに設けた4つの導出補助手段35の全ての凸条部41における頂部のそれぞれが、ストッパ捕捉部32にて捕捉されたフロントストッパ22の周面に接触又は僅かに離隔した状態としており、その接触や離隔は、フロントストッパ22の周方向に形成された谷溝22b(図1参照)に沿って薬液が流動するのを抑制できる程度の度合いとしている。なお、ここで抑制とは、谷溝22bにおける薬液の流動が完全に阻止されることを必ずしも意味するものではなく、凸条部41に替えて溝部40とした場合における谷溝22bでの薬液の流動に比して、その動きが低減されている状態も意味している。
また更に付言するならば、導出補助手段35の前側を溝部、後側を凸条部にて構成したことで、ストッパ捕捉部32の内空間形状を前側の径を広く(フロントストッパ22に対する前側の当たりを緩く)、後側の径を狭く(後側の当たりをきつく、タイトに)した構造としている。
このように、本実施形態に係るプレフィルドシリンジAでは、上述のような構成を備えることで従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを実現している。
次に、導出補助手段の構成の違いによるエア抜き不良事象の発生頻度の違いについて検討した試験内容及びその結果について説明する。
〔比較試験1〕
導出補助手段の構成を違えたフロントアッセンブリを備える2種のプレフィルドシリンジをそれぞれ複数本ずつ作成し、エア抜き不良事象の発生頻度の違いについて検討を行った。
具体的には、導出補助手段の全部が溝部で構成された従来のプレフィルドシリンジXと、先述の如く導出補助手段の前側略半部を溝部、後側略半部を凸条部で構成した本実施形態に係るプレフィルドシリンジAとをそれぞれ30本ずつ準備し、エア抜き操作をそれぞれ30回試行して、エア抜き不良事象が発生した回数をカウントした。プレフィルドシリンジXやプレフィルドシリンジAは導出補助手段の構成以外は同じものである。
具体的には、本試験の実施にあたり使用したプレフィルドシリンジXやプレフィルドシリンジA、また後述の〔比較試験2〕にて使用する各プレフィルドシリンジは、カートリッジの筒状容器はガラス製の円筒容器を使用しており、その内径は試験検体の実測値としてφ6.8~6.9mmである。また、フロントストッパの山部における径は実測値φ7.2~7.3mm、フロントアッセンブリのストッパ捕捉部の内周面部分の内径は実測値7.4mm、導出補助手段35における溝部の深さは実測値0.3mmであり、プレフィルドシリンジAの導出補助手段35の凸条部における突出高さは実測値0.14mmである。なお、これらの構成は本発明による効果の発現の有無に影響を与えるものではないことに留意すべきである。すなわち、本発明の本質の一つは、円滑なエア抜きの実現にあたり導出補助手段の前側を溝とし後側を凸条としたという着想自体であって、シリンジの各部形状や仕様に左右されるものではない。但し、出願人が本願権利化にあたり、本願発明を各部の形状や構成で限定することも妨げない。
エア抜き操作は、プレフィルドシリンジX又はプレフィルドシリンジAの針先を斜め45度上方へ向けて行った。なお、本試験では、所謂加速試験の如く、少ない試行の中でできるだけエア抜き不良事象の発生頻度を高めるために、シリンジへの充填後約5年を経過したものを評価対象としている。その結果を表1に示す。
Figure 2023016541000002
表1から分かるように、従来品であるプレフィルドシリンジXは、30回試行したうち7回不良が発生しており、約23%のエア抜き不良率であった。これに対し、プレフィルドシリンジAでは、30回試行したうちの不良の発生頻度が3回であり、その不良率は10%であった。
これらのことから、本実施形態に係るプレフィルドシリンジAは、従来品であるプレフィルドシリンジXに対し、エア抜き不良事象の発生頻度を約6割減少できることが示された。
〔比較試験2〕
次に、導出補助手段の更なるバリエーションについて試験を行った。具体的には、先述のプレフィルドシリンジXとプレフィルドシリンジAに加えて、凸条部の突出高さを0.18mmに高めたプレフィルドシリンジA1、突出高さを0.11mmと低くしたプレフィルドシリンジA2、更に突出高さを0.11mmとしつつ導出補助手段の全部を凸条部とした比較用プレフィルドシリンジX1をそれぞれ12本ずつ準備し、エア抜き操作をそれぞれ12回試行して、エア抜き不良事象が発生した回数をカウントした。なお、それぞれのプレフィルドシリンジの各部の径や、試験方法等は先の比較試験1と同様である。その結果を表2に示す。
Figure 2023016541000003
表2から分かるように、従来品であるプレフィルドシリンジXは、12回試行したうち3回不良が発生しており、約25%のエア抜き不良率であった。また、プレフィルドシリンジAでは、12回試行したうちの不良の発生頻度が1回であり、その不良率は8%であった。プレフィルドシリンジXやプレフィルドシリンジAの結果は、概ね比較試験1と同様の結果であり、再現性が確認された。
また、本実施形態に係るプレフィルドシリンジA1や、プレフィルドシリンジA2においても、12回試行したうちの不良の発生頻度は0回であり、エア抜き不良率は0%であった。このことから、突出高さが0.11~0.18mm程度であれば、プレフィルドシリンジXと比較してエア抜き不良事象を低減できることが示された。
また比較用プレフィルドシリンジX1は、12回試行したうちの不良の発生頻度が4回であり、その不良率は33%であった。このことから、エア抜き不良事象の低減のためには、前側を溝部とし後側を凸条部とする構成が有用であることが示された。
上述してきたように、本実施形態に係るプレフィルドシリンジによれば、薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリとを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段を形成してなるプレフィルドシリンジであって、前記導出補助手段は前側が溝であり、後側を凸条としたため、従来に比してエア抜き不良事象の発生が抑制されたプレフィルドシリンジを提供することができる。
最後に、上述した各実施の形態の説明は本発明の一例であり、本発明は上述の実施の形態に限定されることはない。このため、上述した各実施の形態以外であっても、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能であることは勿論である。
12 カートリッジ
14 フロントアッセンブリ
15 筒状容器
16 薬液
17 気泡
21 エンドストッパ
22 フロントストッパ
35 導出補助手段
40 溝部
41 凸条部
A プレフィルドシリンジ
L4 突出高さ

Claims (3)

  1. 薬液が撹拌用の気泡と共に収容された筒状のカートリッジと、同カートリッジの前方開口より離脱したフロントストッパを捕捉しつつ前記気泡と薬液の導出流路を確保するフロントアッセンブリとを備え、同フロントアッセンブリの内壁に前後方向へ複数条の導出補助手段を形成してなるプレフィルドシリンジであって、
    前記導出補助手段は前側が溝であり、後側を凸条としたことを特徴とするプレフィルドシリンジ。
  2. 前記導出補助手段は前側略半部が溝であり、後側略半部を凸条としたことを特徴とする請求項1に記載のプレフィルドシリンジ。
  3. 各導出補助手段の凸条部分は、前記フロントアッセンブリの内周曲面からの突出高さを0.11~0.18mmとしたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のプレフィルドシリンジ。
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