JP2023013743A - 積層体、及び加飾部材 - Google Patents

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Abstract

【課題】被着部材を装飾して金属調の外観を付与することができ、さらに耐アルカリ性に優れた積層体を提供する。【解決手段】基体と、金属光沢層と、保護層とを、この順に備えた積層体であって、前記金属光沢層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、前記保護層は、酸化クロムを含有する、積層体。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、及び加飾部材に関する。
従来、物品に貼付して当該物品を装飾する積層体が知られている。このような積層体として、例えば基材フィルム、金属層、粘着剤層などを積層した、電磁波透過性及び金属光沢を有する装飾フィルムが知られている。
このようなフィルムは、その金属光沢に由来する外観の高級感と、電磁波透過性とを兼ね備えることから、電磁波を送受信する装置の装飾に好適に用いられている。例えば、携帯電話機やスマートフォン、コンピューター等の筐体や、自動車のフロント部分の装飾等に使用されている。さらに、近年ではIoT技術の発達に伴い、家電製品や生活機器等にも通信機能が備えられ、より幅広い分野での応用も期待される。
例えば、特許文献1には基体と、金属層と、保護層とを備え、電磁波透過性に優れ、金属光沢を長期間保持でき、耐傷性にも優れた、電磁波透過性金属光沢物品が開示されている。
また、特許文献2には、電池ケース用包材の耐電解液性の向上を目的として、耐熱性延伸樹脂層、第1接着剤層、アルミニウム層及び熱可塑性無延伸樹脂層が順次積層された電池ケース用包材において、アルミニウム層の熱可塑性無延伸樹脂層側表面にドライプロセスによりクロム層又は酸化クロム層を形成することが開示されている。
特開2021-014059号公報 特開2013-149558号公報
例えば、被着部材を内側(視認される面の反対側)から装飾するような場合に、金属光沢を付与し得る積層体(フィルム)が望まれる。このようなフィルムを透明な被着部材の内側に貼って用いると、金属調の外観を被着部材に付与することができる。また、フィルムは被着部材の内側に位置することとなるため傷つきにくい。さらに、被着部材が外側に位置することとなるため、被着部材の質感を製品にそのまま活かすことができる。
このような積層体は、電池ケースや自動車用のエンブレムなどの外装品等の多様な用途への使用が期待されるものの、電解液等のアルカリ性溶液やアルカリ性の雰囲気に接触した場合に、積層体の端部より金属光沢層が浸食されて変質し、部分的に金属光沢が失われて外観が劣化するという新たな課題が生じている。
本願発明は、上記に鑑みてなされたものであり、被着部材を装飾して金属調の外観を付与することができ、さらに耐アルカリ性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明者は前記課題を解決するために鋭意検討を行った。その結果、基体と、金属光沢層と、保護層とを、この順に備えた積層体であって、金属光沢層が、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、保護層が酸化クロムを含有する積層体により、被着部材を装飾して金属調の外観を付与することができ、さらに、耐アルカリ性に優れた積層体とし得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
〔1〕
基体と、金属光沢層と、保護層とを、この順に備えた積層体であって、
前記金属光沢層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、
前記保護層は、酸化クロムを含有する、積層体。
〔2〕
前記保護層の膜厚が5~40nmである、〔1〕に記載の積層体。
〔3〕
前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、〔1〕または〔2〕に記載の積層体。
〔4〕
前記複数の部分は島状に形成されている、〔3〕に記載の積層体。
〔5〕
前記基体と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、〔1〕~〔4〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔6〕
前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、〔5〕に記載の積層体。
〔7〕
前記酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含む、〔6〕に記載の積層体。
〔8〕
前記無機酸化物含有層は連続状態で設けられている、〔5〕~〔7〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔9〕
バリア層をさらに備える、〔1〕~〔8〕のいずれか1項に記載の積層体。
〔10〕
前記バリア層は、金属および半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、〔9〕に記載の積層体。
〔11〕
〔1〕~〔10〕のいずれか1項に記載の積層体を、透明な被着部材に貼り合せた加飾部材。
本願発明の積層体は、被着部材を装飾して金属調の外観を付与することができ、さらに耐アルカリ性に優れた積層体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。 図2は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)を示す図である。 図3は、本発明の一実施形態に係る積層体の概略断面図である。 図4は、本発明の一実施形態に係る加飾部材の概略断面図である。 図5は、本発明の一実施形態に係る積層体の金属光沢層の膜厚の測定方法を説明するための図である。
以下、図面を用いて、本発明を実施するための形態について詳述する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、実際のサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<基本構成>
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と、金属光沢層と、保護層とをこの順に備えた積層体であって、
前記金属光沢層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、
前記保護層は、酸化クロムを含有する。
本発明の実施形態にかかる積層体は、保護層が、酸化クロムを含有することにより、アルカリ性溶液と接触した場合であっても端部より金属光沢層が浸食されて変質し、部分的に金属光沢が失われて外観が劣化するのを防ぎ、耐アルカリ性に優れる。
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備えていてもよい。
また、本発明の実施形態にかかる積層体は、前記金属光沢層と保護層との間にバリア層をさらに備えていてもよい。
図1に、本発明の一実施形態による積層体1の概略断面図を示す。また、図2に、金属光沢層の不連続構造について説明するため、積層体の金属光沢層の表面の電子顕微鏡写真(SEM画像)の一例を示す。
図1に示すように、積層体1は、基体10、金属光沢層12、保護層14をこの順に含む。なお、積層体1において、保護層14は金属光沢層12上に積層されていればよく、必ずしも隙間12bを完全に埋めていなくてもよい。
積層体1は、基体10と金属光沢層12との間に無機酸化物含有層11をさらに備えていてもよい。
また、積層体1は、更にバリア層を備えていてもよい。
例えば、積層体1は、図3に示すように、金属光沢層12と保護層14との間にバリア層13をさらに備えていてもよい。
前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含み、電磁波透過性であることが好ましい。この場合、図1に示すように、金属光沢層12は複数の部分12aを含んでいてもよい。金属光沢層12におけるこれらの複数の部分12aは、少なくとも一部において互いに不連続の状態、言い換えれば、少なくとも一部において隙間12bによって隔てられる。複数の部分12aは、隙間12bによって隔てられるため、これらの複数の部分12aのシート抵抗は大きくなり、電波との相互作用が低下するため、電波を透過させることができる。これらの各部分12aは金属を蒸着、スパッタ等することによって形成されたスパッタ粒子の集合体であってもよい。
尚、本明細書でいう「不連続の状態」とは、複数の部分12aが隙間12bによって互いに隔てられており、この結果、互いに電気的に絶縁されている状態を意味する。電気的に絶縁されることにより、シート抵抗が大きくなり、所望とする電磁波透過性が得られることになる。すなわち、不連続の状態で形成された金属光沢層12によれば、十分な光輝性が得られやすく、電磁波透過性を確保することもできる。不連続の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、島状構造、クラック構造等が含まれる。ここで「島状構造」とは、図2に示されているように、金属粒子同士が各々独立しており、それらの粒子が、互いに僅かに離隔し又は一部接触した状態で敷き詰められてなる構造を意味する。
クラック構造とは、金属薄膜がクラックにより分断された構造である。
クラック構造の金属光沢層12は、例えば基体上に金属薄膜層を設け、屈曲延伸して金属薄膜層にクラックを生じさせることにより形成することができる。この際、基体と金属薄膜層の間に伸縮性に乏しい、即ち延伸によりクラックを生成しやすい素材からなる脆性層を設けることにより、容易にクラック構造の金属光沢層12を形成することができる。
上述のとおり金属光沢層12が不連続となる態様は特に限定されないが、生産性の観点からは島状構造とすることが好ましい。すなわり、本発明の実施形態に係る積層体においては、金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含むことが好ましく、複数の部分は島状に形成されていることが好ましい。
積層体1は電磁波透過性であることが好ましい。
積層体1の電磁波透過性は、例えば電波透過減衰量により評価することができる。
マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10[-dB]以下であることが好ましく、5[-dB]以下であるのがより好ましく、2[-dB]以下であることが更に好ましい。マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量を10[-dB]以下とすることで、90%以上の電波が遮断されるという問題を解消できる。
積層体1のシート抵抗も電磁波透過性と相関を有する。
積層体1のシート抵抗は100Ω/□以上であるのが好ましく、この場合、マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10~0.01[-dB]程度となる。
積層体1のシート抵抗は200Ω/□以上であることが更に好ましく、600Ω/□以上であることがより更に好ましく、1000Ω/□以上であることが特に好ましい。
積層体1のシート抵抗は、JIS-Z2316-1:2014に従って渦電流測定法により測定することができる。
積層体1の電波透過減衰量及びシート抵抗は、金属光沢層12や保護層14の材質や厚さ等により影響を受ける。
また、積層体1が後述の無機酸化物含有層11を備える場合には無機酸化物含有層11の材質や厚さ等によっても影響を受ける。
本発明の実施形態に係る積層体は、例えば、粘着剤層を介して被着部材に貼合されて用いてもよい。
図4に、本発明の一実施形態による加飾部材2の概略断面図を示す。後述する本発明の実施形態に係る加飾部材2は、積層体1が粘着剤層15を介して、ガラス又はプラスチックの筐体20に貼合されている。
<基体>
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と、金属光沢層と、保護層とをこの順に備える。
基体10としては、本発明の効果が得られる限り、特に限定されないが、基材フィルム、樹脂成型物基材、ガラス基材、又は金属光沢を付与すべき物品のいずれかであってもよい。中でも樹脂からなる基材フィルムが好ましく用いられる。
より具体的には、基材フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリスチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリシクロオレフィン、ポリウレタン、アクリル(PMMA)、ABSなどの単独重合体や共重合体からなるフィルムを用いることができる。
但し、後に基材フィルム上に金属光沢層12や保護層14等の種々の層を形成するため、蒸着やスパッタ等の高温に耐え得るものであることが好ましく、従って、上記材料の中でも、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、アクリル、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ABS、ポリプロピレン、ポリウレタンが好ましい。なかでも、耐熱性とコストとのバランスがよいことからポリエチレンテレフタレートやシクロオレフィンポリマー、ポリカーボネート、アクリルが好ましい。
基材フィルムは、単層フィルムでもよいし積層フィルムでもよい。加工のし易さ等から、厚さは、例えば、6μm~250μm程度が好ましい。また、基材フィルム上に形成される層との付着力を強くするために、プラズマ処理や易接着処理などが施されてもよい。
基体10が基材フィルムの場合、金属光沢層12は基材フィルム上の少なくとも一部に設ければよく、基材フィルムの片面のみに設けてもよく、両面に設けてもよい。また、基材フィルムは遮光性であってもよい。
基材フィルムには、必要に応じて平滑性、或いは防眩性ハードコート層が形成されていてもよい。ハードコート層が設けられることにより、金属薄膜の耐擦傷性を向上させる事ができる。平滑性ハードコート層が設けられることにより、金属光沢感が増し、逆に防眩性ハードコート層によるギラツキを防止することができる。ハードコート層は、硬化性樹脂を含有する溶液を塗布する事により形成できる。
硬化性樹脂としては、熱硬化型樹脂、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等の各種の樹脂が挙げられる。これら硬化性樹脂は、一種または二種以上を、適宜に選択して使用できる。これらの中でも、硬度が高く、紫外線硬化が可能で生産性に優れることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましい。
ここで、基材フィルムは、その表面上に金属光沢層12を形成することができる対象(基体10)の一例にすぎない点に注意すべきである。基体10には、上記のとおり基材フィルムの他、樹脂成型物基材、ガラス基材、金属光沢を付与すべき物品それ自体も含まれる。樹脂成型物基材、及び金属光沢を付与すべき物品としては、例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。
金属光沢層12は、これら全ての基体上に形成することができ、基体の表面の一部に形成してもよく、基体の表面の全てに形成してもよい。この場合、金属光沢層12を付与すべき基体10は、上記の基材フィルムと同様の材質、条件を満たしていることが好ましい。
<無機酸化物含有層>
本発明の実施形態に係る積層体1は、図1に示されるように、基体10と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えてもよい。
無機酸化物含有層11は、基体10の面に連続状態で、言い換えれば、隙間なく、設けられるのが好ましい。無機酸化物含有層11が連続状態で設けられることにより、無機酸化物含有層11、ひいては、金属光沢層12や積層体1の平滑性や耐湿性を向上させることができ、また、無機酸化物含有層11を面内ばらつきなく成膜することも容易となる。
このように、基体10と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えること、すなわち、基体10の上に無機酸化物含有層11を形成し、その上に金属光沢層12を形成すると、金属光沢層12を不連続の状態で形成しやすくなるため好ましい。そのメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、金属の蒸着やスパッタによるスパッタ粒子が基体上で薄膜を形成する際には、基体上での粒子の表面拡散性が薄膜の形状に影響を及ぼし、基体の温度が高く、基体に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすいと考えられる。そして、基体上に無機酸化物含有層を設けることにより、その表面上の金属粒子の表面拡散性が促進されて、金属光沢層を不連続の状態で成長させやすくなると考えられる。
無機酸化物含有層11としては、酸化インジウム含有層であることが好ましい。
酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含むことが好ましい。
酸化インジウム含有層として、酸化インジウム(In)そのものを使用することもできるし、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)や、インジウム亜鉛酸化物(IZO)のような、インジウムとインジウム以外の金属(第二の金属)とを含有する複合酸化物を使用することもできる。但し、第二の金属を含有したITOやIZOの方が、スパッタリング工程での放電安定性が高い点で、より好ましい。これらの無機酸化物含有層11を用いることにより、基体の面に沿って連続状態の膜を形成することもでき、また、この場合には、無機酸化物含有層の上に積層される金属光沢層を、例えば、島状の不連続構造としやすくなる。このため、無機酸化物含有層は連続状態で設けられていることが好ましい。
無機酸化物含有層11としてITOを用いる場合におけるITOに含まれる酸化錫(SnО)の重量比率である含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は特に限定されるものではないが、例えば、2.5質量%~30質量%、より好ましくは、3質量%~10質量%である。
また、無機酸化物含有層11としてIZOを用いる場合におけるIZOに含まれる酸化亜鉛(ZnO)の重量比率である含有率(含有率=(ZnO/(In+ZnO))×100)は、例えば、2質量%~20質量%である。
無機酸化物含有層11の厚さは、電磁波透過性、生産性の観点から、通常100nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、20nm以下が更に好ましい。一方、積層される金属光沢層12を不連続状態としやすくするためには、無機酸化物含有層11の厚さは1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましく、3nm以上が更に好ましい。
<金属光沢層>
本実施形態にかかる積層体は、基体と保護層との間に、金属光沢層を備える。
また、本実施形態の積層体における金属光沢層12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する。
積層体1が、基体と保護層14との間に、金属光沢層12を備えることにより、装飾される物品(被着部材)に対して金属光沢調の外観を付与することができる。
金属光沢層は基体上に形成され、連続状態であっても不連続の状態であってもよい。本実施形態の積層体における金属光沢層12は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含むことが好ましい。
金属光沢層が基体上で不連続状態である場合、電波透過減衰量が小さくなり、電磁波透過性が得られ、電磁波透過性部材とすることができる。
金属光沢層12が基体上で不連続状態となるメカニズムの詳細は必ずしも明らかではないが、おおよそ、次のようなものであると推測される。即ち、金属光沢層12の薄膜形成プロセスにおいて、不連続構造の形成しやすさは、金属光沢層12が付与される基体上での表面拡散性と関連性があり、基体の温度が高く、基体に対する金属光沢層の濡れ性が小さく、金属光沢層の材料の融点が低い方が不連続構造を形成しやすい、というものである。
金属光沢層が十分な光輝性を発揮し得ることは勿論、融点が比較的低い金属により形成したものであることが望ましい。金属光沢層12は、スパッタリングを用いた薄膜成長によって形成するのが好ましいためである。このような理由から、不連続の状態の金属光沢層12は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有する。アルミニウム合金を用いる場合には、アルミニウム含有量を50質量%以上とすることが好ましい。
金属光沢層12に含んでいてもよいアルミニウム(Al)以外の金属の種類は特に限定されず、1種類の金属であってもよく、2種類以上の金属であってもよい。
金属光沢層12としては、融点が約1000℃以下の金属が適しており、アルミニウム(Al)以外に含んでいてもよい金属としては、例えば、スズ(Sn)、インジウム(In)、亜鉛(Zn)、鉛(Pb)、銅(Cu)、銀(Ag)から選択された少なくとも一種の金属、および該金属を主成分とする合金のいずれかを挙げることができる。
金属光沢層12は基体上に形成されるが、基体と金属光沢層との間に無機酸化物含有層11を更に備えていてもよい。積層体1が無機酸化物含有層11を備える場合は、金属光沢層12は、無機酸化物含有層11上に形成することが好ましく、無機酸化物含有層11上に金属光沢層12を形成することにより、金属光沢層12を島状の不連続構造とすることが容易となる。これは、無機酸化物含有層11により金属光沢層12を構成する金属の表面拡散性が向上するためであると考えられる。
金属光沢層が少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む場合、金属光沢層12の部分12aの円相当径は特に限定されないが、通常10~1000nm程度である。複数の部分12aの平均粒径とは、複数の部分12aの円相当径の平均値を意味する。
部分12aの円相当径とは、部分12aの面積に相当する真円の直径のことである。
また、各部分12a同士の距離は特に限定されないが、通常は10~1000nm程度である。
金属光沢層が含む互いに不連続の状態にある複数の部分12aの平均粒径を上記の範囲とすることにより、高い電磁波透過性を維持したまま、光輝性がより向上できる。
金属光沢層12の厚さは特に限定されないが、金属光沢感を向上させる観点から、10nm以上とすることが好ましく、20nm以上とすることがより好ましい。一方、電磁波透過性を向上させる観点から、金属光沢層12の厚さは100nm以下とすることが好ましく、70nm以下とすることがより好ましい。
この厚さは、均一な膜を生産性良く形成するのにも適しており、また、最終製品である加飾部材の見栄えも良い。なお、金属光沢層12の厚さは実施例の欄に記載の方法で測定できる。
<保護層>
本発明の実施形態にかかる積層体は、基体と、金属光沢層と、保護層とをこの順に備える。例えば、図1に示すように、本発明の実施形態に係る積層体は、金属光沢層12上に直接保護層14を設けてもよく、図3に示すように金属光沢層12上にバリア層13を設け、バリア層13上に保護層14を備えていてもよい。
また、保護層は、酸化クロムを含有する必要がある。
保護層は、積層体1に耐アルカリ性を付与する層である。
積層体の端部が変色する要因の一つとして、金属光沢層12のアルカリ性溶液やアルカリ性の雰囲気と金属光沢層が接触して化学反応を起こし変質(腐食)することが挙げられる。
本発明の実施形態にかかる積層体は保護層を備えることにより、積層体がアルカリ性溶液やアルカリ性の雰囲気に接触した場合においても、保護層に含まれる酸化クロムが金属光沢層を保護して化学反応を抑制するため、積層体の端部より金属光沢層が浸食されて変質し、部分的に金属光沢が失われて外観が劣化するのを防止することができる。
保護層は、酸化クロムを主成分として含有することが好ましく、酸化クロムからなることがより好ましい。
保護層の厚みは、十分な耐アルカリ性を発揮する観点からは2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましく、8nm以上が特に好ましい。一方、また、電磁波透過性や外観の金属光沢感を向上させるためには100nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下が更に好ましい。
保護層の厚みは、例えば、断面TEM等で測定することができる。
なお、積層体1は保護層を複数層備えてもよい。例えば、基体と金属光沢層との間にも保護層を備えてもよい。
本発明の実施形態にかかる積層体は、耐アルカリ性の観点から、金属光沢層12と保護層14とが接していることが好ましいが、耐湿性の観点から金属層と保護層との間にバリア層を設けてもよく、積層体の用途に応じて適宜選択が可能である。
<バリア層>
本発明の実施形態に係る積層体は、更にバリア層を備えていてもよい。例えば、図3に示すように、本発明の実施形態に係る積層体は、金属光沢層12と保護層14との間にバリア層13を備えていてもよい。なお、積層体1において、バリア層13は金属光沢層12上に積層されていればよく、必ずしも隙間12bを完全に埋めていなくてもよい。
バリア層は、金属光沢層12の水蒸気の透過等による酸化を抑制し、金属光沢感の低減を防止するための層である。バリア層は、金属および半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
金属酸化物及び/又は金属窒化物には、金属酸窒化物が包含される。また、金属酸化物は、単独の金属元素の酸化物(単独酸化物)であってもよく、複数の金属元素の酸化物(複合酸化物)であってもよい。同様に、金属窒化物は、単独の金属元素の窒化物(単独窒化物)であってもよく、複数の金属元素の窒化物(複合窒化物)であってもよい。
金属としては、例えば、アルミニウム、チタン、インジウム、マグネシウムなどを用いることができ、半金属としては、例えば、ケイ素、ビスマス、ゲルマニウムなどを用いることができる。
具体的には、例えばZnO+Al(AZO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化インジウム錫(ITO)、酸化炭化窒化ケイ素膜(SiOCN)、酸化窒化ケイ素膜(SiON)、窒化ケイ素膜(SiN)、SiO、AlO、AlON、TiO等を用いることができる。
バリア層は金属および半金属の酸化物を含むことが好ましく、AlOがより好ましい。
バリア層の厚みは、水蒸気の透過を抑制する観点からは5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、12nm以上が特に好ましい。一方、また、電磁波透過性や外観の金属光沢感を向上させるためには200nm以下が好ましく、100nm以下がより好ましく、50nm以下が更に好ましい。
バリア層の厚みは、例えば、断面TEM等で測定することができる。
なお、積層体1はバリア層を複数層備えてもよい。
<その他の層>
本実施形態の積層体1は、本発明の効果を奏する限りにおいて上述の基体10、金属光沢層12、保護層14及び任意に備えていてもよい無機酸化物含有層、及びバリア層の他に、用途に応じてその他の層を備えてもよい。
その他の層としては色味等の外観を調整するための高屈折材料等の光学調整層(色味調整層)、耐湿性や耐擦傷性等の耐久性を向上させるための保護層(耐擦傷性層)、意匠性を高めるための加飾印刷層、粘着剤層等の樹脂層、遮光性層等が挙げられる。
例えば、本実施形態の積層体1は、基体11の金属光沢層12が形成される側とは反対側の面に、可視光透過性を有さない遮光性層を備えてもよい。遮光性層を備えることで、例えば、本実施形態の積層体1を電子機器の筐体の装飾に用いた場合に、積層体1を通して筐体内部の回路が視認されてしまうことを防ぐことができる。
遮光性層の材質は特に限定されず、例えば、先述の基体11に用いることができる材料として例示した材料を黒色に着色して用いることができる。
また、遮光性層を備えない積層体においても、基体11を遮光性とすることで、遮光性層を備える場合と同様の効果を奏することができる。
<耐アルカリ性>
上述したとおり、積層体の端部が変色する要因の一つとして、金属光沢層12のアルカリ性溶液やアルカリ性の雰囲気と金属光沢層が接触して化学反応を起こし変質(腐食)することが挙げられる。本実施形態の積層体1は保護層14を備えることにより、アルカリ性溶液やアルカリ性の雰囲気に接触した場合においても、保護層に含まれる酸化クロムが金属光沢層を保護して化学反応を抑制するため、金属光沢層が腐食して、金属光沢が失われるのを防ぐことができる。
本実施形態の積層体1の耐アルカリ性は、例えば、具体的には、実施例に記載の方法により評価することができる。
例えば、積層体1を粘着剤層15を介してガラス板に貼り合わせたサンプルを、アルカリ性の水溶液に浸漬した後、純粋で洗浄して乾燥後、サンプルの端部から金属光沢層が金属光沢を失い変色した(透明になっている)領域の幅(変色幅)を測定し、耐アルカリ性を評価できる。
変色幅は5mm以下であることが好ましく、2mm以下であることがより好ましい。
<電磁波透過性>
積層体1は、先述の通り金属光沢層12を不連続な構造として電磁波透過性を向上させることが好ましい。基体として基材フィルムを用い、電磁波透過性を有する場合、積層体1を電磁波透過性フィルムとすることができる。
積層体1の電磁波透過性は、例えば電波透過減衰量により評価することができる。
なお、マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量とミリ波レーダーの周波数帯域(76~80GHz)における電波透過減衰量との間には相関性があり、比較的近い値を示すことから、マイクロ波帯域における電磁波透過性に優れる金属光沢フィルムは、ミリ波レーダーの周波数帯域における電磁波透過性にも優れる。
本実施形態の積層体1のマイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10[-dB]以下であることが好ましく、5[-dB]以下であるのがより好ましく、2[-dB]以下であることが更に好ましい。10[-dB]より大きいと、90%以上の電磁波が遮断されるという問題がある。
金属光沢層12のシート抵抗(無機酸化物含有層11を備える場合は基体と、無機酸化物含有層11と金属光沢層12の積層体としてのシート抵抗)も電磁波透過性と相関を有する。
金属光沢層12のシート抵抗(無機酸化物含有層11を備える場合は、基体と、無機酸化物含有層11と金属光沢層12の積層体としてのシート抵抗)は100Ω/□以上であることが好ましく、この場合、マイクロ波帯域(5GHz)における電波透過減衰量は、10~0.01[-dB]程度となる。
シート抵抗は、JIS-Z2316-1:2014に従って渦電流測定法により測定することができる。
金属光沢層のシート抵抗は、100Ω/□以上であるのが好ましい。この場合、電磁波透過性は、5GHzの波長において、10[-dB]程度以下となる。
無機酸化物含有層を更に設ける場合、無機酸化物含有層を更に含む積層体のシート抵抗も、100Ω/□以上であるのが好ましい。
シート抵抗は、電磁波透過性の観点から、200Ω/□以上であるのがより好ましく、600Ω/□以上であることが更に好ましく、より更に好ましくは、1000Ω/□以上である。このシート抵抗の値は、金属光沢層の材質や厚さは勿論のこと、下地層である無機酸化物含有層の材質や厚さからも大きな影響を受ける。よって、無機酸化物含有層を設ける場合は、無機酸化物含有層との関係も考慮したうえで設定する必要がある。
<積層体の製造>
基体10上に金属光沢層12を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング等の方法を用いることができる。
また、基体10上に無機酸化物含有層11を形成する場合には、金属光沢層12の形成に先立ち、無機酸化物含有層11を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成することが好ましい。
尚、基体10と金属光沢層12の間に無機酸化物含有層11を設ける場合、無機酸化物含有層11と金属光沢層12の間には、他の層を介在させずに直接接触させるのが好ましい。
金属光沢層12上に保護層14を形成するにあたっては、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成することができる。
また、金属光沢層12上にバリア層13を形成する場合には、保護層14の形成に先立ち、バリア層13を、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等によって形成することが好ましい。
無機酸化物含有層11、金属光沢層12、バリア層13、及び保護層14は、大面積でも厚さを厳密に制御できる点から、スパッタリングによって形成することが好ましい。
<加飾部材>
本実施形態に係る加飾部材は、上述の積層体を、透明な被着部材に貼り合せたものである。
被着部材は、リワーク性向上効果を奏する観点から、ガラス又はプラスチックの筐体であることが好ましい。
積層体と被着部材の貼り合わせに粘着剤層を用いてもよい。
透明な被着部材としては特に限定されないが、ガラスやプラスチックからなる部材を使用することがリワーク性向上効果を奏する観点から好ましい。
図4に示すように、本発明の一実施形態による加飾部材2は、基体10、金属光沢層12、保護層14をこの順に備える積層体1が粘着剤層15を介して、ガラス又はプラスチックの筐体20に貼合されている。
加飾部材2は、図4に示すとおり、基体10と金属光沢層12の間に、無機酸化物含有層11をさらに備えていてもよい。
また、加飾部材2は、金属光沢層12と保護層14との間に、さらにバリア層を備えていてもよい。
積層体1を被着部材に貼付する方法は特に限定されないが、例えば真空成形により貼付することができる。真空成形とは、積層体1を加熱軟化しつつ展張し、積層体1の被着部材側の空間を減圧し、必要に応じ反対側の空間を加圧することにより、積層体1を被着部材の表面の三次元立体形状に沿って成形しつつ貼付積層する方法である。
積層体1としては、上述の説明をそのまま援用し得る。
<粘着剤層>
粘着剤層15は、透明粘着剤からなる層である。
本実施形態の積層体1は、例えば粘着剤層15を介して透明な被着部材の内側(視認される側の反対側)に貼付されて用いられることで、被着部材を内側から装飾できる。
粘着剤層15を形成する粘着剤は透明粘着剤であれば特に限定されず、例えばアクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、エポキシ系粘着剤、及びポリエーテル系粘着剤のいずれかを単独で、或いは、2種類以上を組み合わせて使用することができる。透明性、加工性及び耐久性などの観点から、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。
粘着剤層15の厚みは特に限定されないが、薄くすることで可視光透過性や膜厚精度、平坦性を向上させることができるため、100μm以下であることが好ましく、75μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることがさらに好ましい。
粘着剤層15全体の全光線透過率は特に限定はされないが、JIS K7361に従って測定した任意の可視光波長における値で10%以上であることが好ましく、30%以上であることがより好ましく、50%以上であることがさらに好ましい。粘着剤層15の全光線透過率は、高いほど好ましい。
粘着剤層15は、被着部材に貼付される際まで剥離ライナーにより保護されていることが好ましい。
粘着剤層15は、積層体1の基体とは反対側の面に粘着剤組成物を塗布等することにより形成できる。例えば、図1、及び図3の積層体1においては保護層14側の面に粘着剤組成物を塗布等することにより形成できる。
粘着剤組成物の塗布は、慣用のコーター、例えば、グラビヤロールコーター、リバースロールコーター、キスロールコーター、ディップロールコーター、バーコーター、ナイフコーター、スプレーコーターなどを用いて行うことができる。乾燥温度は、特に限定されないが、好ましくは40℃~200℃であり、さらに好ましくは、50℃~180℃であり、特に好ましくは70℃~120℃である。乾燥時間も特に限定されないが、好ましくは5秒~20分、さらに好ましくは5秒~10分、特に好ましくは、10秒~5分である。
また、剥離ライナー上に形成した粘着剤層を、積層体1の基体とは反対側の面に貼り合わせても良い。
粘着剤層15側の表面には、使用に供するまでの間、粘着剤層を保護するために、剥離ライナーを設けてもよい。
<積層体及び加飾部材の用途>
本実施形態の積層体1は、例えば透明な被着部材の内側(視認される側の反対側)の面に貼付して用いてもよい。
本実施形態に係る積層体は、透明な被着部材に貼り合せ、加飾部材とすることができる。
本実施形態の積層体により装飾された加飾部材の用途としては例えば、車両用構造部品、車両搭載用品、電子機器の筐体、家電機器の筐体、構造用部品、機械部品、種々の自動車用部品、電子機器用部品、家具、台所用品等の家財向け用途、医療機器、建築資材の部品、その他の構造用部品や外装用部品等が挙げられる。より具体的には、車両関係では、インスツルメントパネル、コンソールボックス、ドアノブ、ドアトリム、シフトレバー、ペダル類、グローブボックス、バンパー、ボンネット、フェンダー、トランク、ドア、ルーフ、ピラー、座席シート、ステアリングホイール、ECUボックス、電装部品、エンジン周辺部品、駆動系・ギア周辺部品、吸気・排気系部品、冷却系部品等が挙げられる。電子機器および家電機器としてより具体的には、冷蔵庫、洗濯機、掃除機、電子レンジ、エアコン、照明機器、電気湯沸かし器、テレビ、時計、換気扇、プロジェクター、スピーカー等の家電製品類、パソコン、携帯電話、スマートフォン、デジタルカメラ、タブレット型PC、携帯音楽プレーヤー、携帯ゲーム機、充電器、電池等電子情報機器等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
<実施例1~3の積層体及び加飾部材の製造>
基体として、三菱樹脂株式会社製PETフィルム(厚さ50μm)の一方の面に厚み2μmの熱硬化性樹脂(ハードコート層)を形成した基材フィルムを用いた。
先ず、DCマグネトロンスパッタリング装置にITOターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングをする事で基材フィルムの面に沿って、4.0nmの厚さの酸化インジウム含有層(ITO層)を直接形成した。ITO層を形成する際の基材フィルムの温度は、130℃に設定した。ITOに含まれる酸化錫(SnО)の含有率(含有率=(SnO/(In+SnO))×100)は10質量%である。
次に、交流スパッタリング装置(AC:40kHz)にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Arガスを導入しながらスパッタリングする事でITO層の上に、23.4nmの厚さの金属層(Al層)を形成した。得られたAl層は不連続層であった。Al層を形成する際の基材フィルムの温度は、130℃に設定した。なお、金属層の厚みの測定方法については後述する。
次に、交流スパッタリング装置(AC:40kHz)にアルミニウム(Al)ターゲットを取り付け、Оガスを導入しながらスパッタリングする事でAl層の上に、15.5nmの厚さのバリア層(AlO層)を形成した。AlO層を形成する際の基材フィルムの温度は、130℃に設定した。
次に、交流スパッタリング装置にCrターゲット(AC:40kHz)を取り付けて、Oガスを導入しながらスパッタリングする事で、AlO層上に表1に記載の厚さの保護層(CrO層)を形成し、実施例1~3の積層体を得た。CrO層を形成する際の基材フィルムの温度は、-8℃に設定した。
次に、CrO層上に粘着シート(光学用透明粘着シート、厚さ25μm、日東電工株式会社製、商品名「CS9861UAS」)の一方のセパレーターを剥離して粘着剤層をハンドローラーで貼り合わせ積層体Aを得た。
積層体Aを縦40mm×横40mmのサイズに加工した後、粘着剤層上のもう一方のセパレーターを剥離し、水縁磨ガラスS200423(松浪硝子工業株式会社製)にハンドローラーで貼り合せ、実施例1~3の加飾部材を得た。
<実施例4~6の積層体及び加飾部材の製造>
AlO層を設けず、Al層上に直接表1に記載の厚さのCrO層を形成した以外は実施例1と同様にして、実施例4~6の積層体及び加飾部材を得た。
<比較例1の積層体及び加飾部材の製造>
CrO層を設けなかった以外は実施例1と同様にして、比較例1の積層体を得た。また、AlO層上に粘着剤層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様にして加飾部材を得た。
<比較例2の積層体及び加飾部材の製造>
CrO層を設けず、交流スパッタリング装置にSiターゲット(AC:40kHz)を取り付けて、Oガスを導入しながらスパッタリングする事で、AlO層上に表1に記載の厚さの保護層(SiO層)を形成し、比較例2の積層体を得た。SiO層を形成する際の基材フィルムの温度は、-8℃に設定した。
<比較例3の積層体及び加飾部材の製造>
CrO層を設けず、交流スパッタリング装置にNiターゲット(AC:40kHz)を取り付けて、Oガスを導入しながらスパッタリングする事で、AlO層上に表1に記載の厚さの保護層(NiO層)を形成し、比較例3の積層体を得た。NiO層を形成する際の基材フィルムの温度は、-8℃に設定した。
<金属層の厚みの測定方法>
まず、積層体から、図5に示すように一辺5cmの正方形領域3を適当に抽出し、該正方形領域3の縦辺及び横辺それぞれの中心線A、Bをそれぞれ4等分することによって得られる計5箇所の点「a」~「e」を測定箇所として選択した。
次いで、選択した測定箇所それぞれにおける断面画像(透過型電子顕微鏡写真(TEM画像))を測定し、得られたTEM画像から、5個以上の金属粒子が含まれる視野角領域を抽出した。
5箇所の測定箇所それぞれにおいて抽出された視野角領域における金属層の総断面積を視野角領域の横幅で割ったものを各視野角領域の金属層の膜厚とし、5箇所の測定箇所それぞれにおける、各視野角領域の金属層の膜厚の平均値を金属層の厚み(nm)とした。
<保護層の厚みの測定方法>
金属層の厚み測定において抽出した25個の各12aにおいて、基体10から垂直方向に最も厚い箇所の上の保護層の厚みの平均値を保護層の厚みとした。
<シート抵抗の測定>
実施例1~6、及び比較例1~3の積層体について、ナプソン社製非接触式抵抗測定装置NC-80MAPを用い、JIS-Z2316に準拠し、渦電流測定法により金属層と酸化インジウム含有層の積層体としてのシート抵抗を測定したところ、いずれも1kΩ以上であった。
<耐アルカリ性の評価>
実施例1~6、及び比較例1~3で得られた加飾部材を1mol/Lの濃度に希釈した水酸化ナトリウム水溶液に、96時間浸漬した後、純水で洗浄し十分乾燥後、積層体Aの4辺の端部からAl層(金属光沢層)が透明になっている幅をそれぞれ測定し、最も高い値を変色幅とした。
実施例1~6、及び比較例1~3の積層体、加飾部材、及び耐アルカリ性の評価結果について、表1に示す。
Figure 2023013743000002
保護層を設けなかった比較例1、保護層としてSiO層、NiO層を設けた比較例2及び比較例3では、変色幅が5mmより大きくなり、実施例に比べ耐アルカリ性が劣った。一方、保護層としてCrO層を設けた実施例1~6では、変色幅が比較例に比べて小さく、耐アルカリ性に優れるものであった。また、バリア層を設けず、Al層上に直接保護層としてCrO層を設けた実施例4~6は、バリア層としてAlO層を設けた実施例1~3よりも変色幅が小さく、耐アルカリ性に極めて優れるものであった。
1 積層体
10 基体
11 無機酸化物含有層
12 金属光沢層
12a 部分
12b 隙間
13 バリア層
14 保護層
15 粘着剤層
20 筐体

Claims (11)

  1. 基体と、金属光沢層と、保護層とを、この順に備えた積層体であって、
    前記金属光沢層は、アルミニウム又はアルミニウム合金を含有し、
    前記保護層は、酸化クロムを含有する、積層体。
  2. 前記保護層の膜厚が5~40nmである、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記金属光沢層は、少なくとも一部において互いに不連続の状態にある複数の部分を含む、請求項1または2に記載の積層体。
  4. 前記複数の部分は島状に形成されている、請求項3に記載の積層体。
  5. 前記基体と前記金属光沢層との間に無機酸化物含有層をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記無機酸化物含有層が酸化インジウム含有層である、請求項5に記載の積層体。
  7. 前記酸化インジウム含有層は、酸化インジウム(In)、インジウム錫酸化物(ITO)、又はインジウム亜鉛酸化物(IZO)のいずれかを含む、請求項6に記載の積層体。
  8. 前記無機酸化物含有層は連続状態で設けられている、請求項5~7のいずれか1項に記載の積層体。
  9. バリア層をさらに備える、請求項1~8のいずれか1項に記載の積層体。
  10. 前記バリア層は、金属および半金属の少なくとも1種の酸化物、窒化物、炭化物、酸化窒化物、酸化炭化物、窒化炭化物および酸化窒化炭化物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項9に記載の積層体。
  11. 請求項1~10のいずれか1項に記載の積層体を、透明な被着部材に貼り合せた加飾部材。
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