JP2023010307A - 画像処理装置およびその制御方法、プログラム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、動画撮影が可能な撮像装置に関し、特に動画による残像表現を行うものである。
デジタルカメラなどの撮像装置において、露光を長時間行う撮影(以後、「長秒撮影」と呼ぶ。)によって光の軌跡による残像表現を利用した花火文字などのライトペインティングを行うことが出来る。使用する光源としては花火やLEDなどがある。特許文献1では、キーフレームを残像として表示しながら、被写体の動きを表示する動画を作成する手法が開示されている。また、特許文献2には動画の軌跡を残す技術として、入力された映像に含まれる映像から移動体の候補を抽出し、抽出した移動体を画像合成する手法が開示されている。
しかしながら、上述の特許文献1に開示された従来技術では、残像ないし軌跡が合成されている部分に新たに被写体が入った場合に、残像の合成有無をフレームの時系列の前後関係で判断している。そのため、合成結果が撮影者の意図に合わない場合が生じうる。例えば、特定の人物だけを残像で隠したくないとして、その人物の前を横切る被写体があった場合に、特定の人物が残像で隠れることが起こり得る。
また、上述の特許文献2に開示された従来技術では、移動体の候補を抽出し、抽出するために複雑な演算を行う必要がある。そのため、撮像装置としてリアルタイムに画像を処理することは困難であり、こちらも合成結果が撮影者の意図に合わない場合が生じうる。
そこで、本発明の目的は、動画における残像表現と非残像表現とを、よりユーザーの意図に沿うように両立した撮影をすることを可能にした画像処理装置および画像処理装置の制御方法を提供することである。
上記課題を解決するために、本発明の画像処理装置は、撮像手段により時系列に撮像された第1および第2の画像、および該第1及び第2の画像に対応する距離情報を取得する取得手段と、前記第1の画像から、予め定めた値よりも大きな輝度値を持った残像領域を抽出し、該残像領域を含む残像画像を生成する残像抽出手段と、前記第1の画像に対応する距離情報のなかで前記残像画像に対応する残像距離情報に基づいて、前記第2の画像と前記残像画像とを合成する合成手段と、を有することを特徴とする。
本発明によれば、動画における残像表現と非残像表現とを、よりユーザーの意図に沿うように両立した撮影をすることを可能にする。
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、本発明は以下に説明する実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
以下、図1から図5を参照して、本発明の第1の実施例を説明する。
本実施例では、動画における任意のフレームから輝度の高い残像(以後、「高輝度残像」と呼ぶ。)の領域を抽出(残像抽出)し、その後のフレームに合成する撮像装置において、合成時に特定の被写体の検出を行って、特定の被写体には高輝度残像を合成しない撮像システムについて説明する。
図1は、本発明の第一の実施例に係る撮像装置100の概略構成を示す図である。
制御部101は、シグナルプロセッサであり、後述するROM105に予め内蔵されたプログラムを読み出しながら、撮像装置100の各部分を制御する。例えば、制御部101が、後述する撮像部104に対して撮像動作の開始と終了について指令を出す。または、後述する画像処理部107に対して、ROM105に内蔵されたプログラムに基づいて、画像処理の指令を出す。ユーザーによる指令は、後述する操作部110によって撮像装置100に入力され、制御部101を介して、撮像装置100の各ブロックに達する。
駆動部102は、モーターなどによって構成され、制御部101の指令の下で、後述する撮影レンズである光学系103を駆動させる。
たとえば、制御部101の指令に基づいて、駆動部102が光学系103に含まれるズームレンズ103-1や、フォーカスレンズ103-2の位置を移動させ、光学系103の焦点位置を調整する。また、光学系103には、後述する撮像部104に対して入射する光束を制限する為の絞り103-3も備えている。
光学系103は、倍率調整を行うズームレンズ103-1、焦点位置調整を行うフォーカスレンズ103-2を含む撮影レンズ、および、後述する撮像部104に対しての入射光束を制限する絞り103-3により構成され、露出・深度調整などが可能となっている。なお、ズームレンズ103-1やフォーカスレンズ103-2、絞り103-3の撮影時の光学系情報は、撮影情報として使用する為、画像処理部107に送られ、後述するROM105に予め記憶されている色比補正データなどの選定条件として用いられる。また、光学系103として撮像装置100において着脱可能なレンズ装置を用いることも可能である。光学系103を介し、被写体像は後述の撮像部104の撮像面上に結像する。
撮像部104は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、光学系103により撮像部104の撮像面上に結像された被写体像を光電変換し、アナログ画像信号を得る。得られたアナログ信号データはA/D変換部などを介してデジタル画像データに変換され、後述するRAM106に一時的に保存される。
ROM105は、読み出し専用の不揮発性メモリであり、撮像装置100が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータや、画像補正に必要な補正データを記憶している。
RAM106は、書き換え可能な揮発性メモリであり、撮像装置100が備える各ブロックの動作において出力されたデータの一時的な記憶領域として用いられる。また、RAM106には撮影時に必要な情報を記憶する領域もある。
画像処理部107は、RAM106に記憶されている画像データあるいは後述する内蔵メモリ109に記録されている画像のデータに対して、ホワイトバランス調整、色補間、フィルタリングなど、様々な画像処理を行う。レンズ情報に伴う色比補正も、ROM105に保存されている補正データと、光学系情報を基に、画像処理部107にて補正する。また、画像処理部107にてRAM106に記憶されている画像データに対して、JPEGなどの規格で、圧縮処理を行う。
画像処理部107には、後述する「第1の画像」を記憶しておくための記憶メモリ201(記憶部1)と、「第2の画像」を記憶しておくための記憶メモリ202(記憶部2)も備える。また、「第2の画像」を更新するための第1の画像合成部203、および、「第1の画像」と「第2の画像」を合成するための第2の画像合成部204を備える。そして、高輝度残像や人物や動物などを認識し抽出する被写体検出部205、画像合成部203および画像合成部204を制御する合成制御部206も備えている。
表示部108は、RAM106に一時保存されている画像データ、または、後述する内蔵メモリ109に保存されている画像データ、あるいは、撮像装置100の設定画面などを表示するための液晶ディスプレイなどである。
なお、表示部108は、タッチパネル機能を有しており、ユーザーが撮像装置の機能設定をするためのメニュー操作等の、後述する操作部110の機能も一部備えている。
例えば、後述する特定の被写体の選択も、表示部108にて表示された設定画面より、ユーザーが設定できるものである。
内蔵メモリ109は、撮像部RAM106にて記憶された画像データや画像や画像処理部107の処理を行なった画像データを記録画像として記録する。
操作部110は、例えば、撮像装置100につけるボタンやスイッチ、キー、モードダイヤルなど、あるいは、前述の表示部108に兼用されるタッチパネルなどである。例えば、撮影開始スイッチなども該操作部110内に含まれている。ユーザーによる指令は、操作部110を経由して、制御部101に達する。
次に、図2を用いて、動画記録の動作について説明する。
まず、図2は本実施例における撮影動作の概要を示したフローチャートである。本動作は操作部110内にある撮影開始スイッチがオンされることにより動作を開始する。
ステップS1001では、制御部101が駆動部102や撮像部104に対して、絞りや露光時間などの各種撮影条件を設定する。また、制御部101は画像処理部107における被写体認識部205に対して後述する特定の被写体を設定する。なお、この時に設定される特定の被写体は複数でもよい。
ステップS1002では、光学系103を介して、撮像部104に入射する光を電荷変換して電気信号として後段の画像処理部107に転送する、いわゆる、周知の撮影動作を行う。また、撮影された画像は記憶メモリ201に保存される。以後、ステップS1002で撮影された画像を第一の画像と呼ぶ。
ステップS1003では、合成制御部206により記憶メモリ202に後述する第二の画像が保存されているかを判断し、保存されている場合はS1004へ遷移し、保存されていない場合はS1007へ遷移する。ステップS1003において撮影開始直後は後述する第二の画像が保存されていないため、次にステップS1007を説明する。
ステップS1007では、合成制御部206により動画のフレームとして記録する画像を決定する。動画のフレームとして記録する画像はステップS1007へ遷移する前のステップが何であるかによって変化し、遷移前がステップS1003であれば第一の画像が記録される。遷移前がS1005もしくはS1006であればそれぞれのステップで合成された画像が記録され、これらの画像は画像処理部107により内蔵メモリ109へ動画として逐次保存される。
ステップS1008では、記憶メモリ201に保存された第一の画像を読み出し、第一の画像における高輝度残像の領域を抽出する。ここで抽出される高輝度残像の領域とは、例えば予め定めた輝度の所定値よりも大きな輝度値を持った画素が存在する画像中の領域のことである。また、画像をいくつかの領域に分割し、ある領域における輝度値の平均値が予め定めた輝度の所定値よりも大きい場合、その領域を高輝度残像の領域として抽出してもよい。
このとき抽出された画像(以後、「残像画像」と呼ぶ。)においては、抽出元の第一の画像における位置関係は保存される。例えば、抽出されていない領域を、合成時に画素信号として影響しない透過データで補完することで第一の画像における高輝度残像の位置関係を保存することができる。
この時、既に記憶メモリ202に後述する第二の画像が存在する場合は、抽出した残像画像を画像合成部203により第二の画像へ合成し、新しい第二の画像として記憶メモリ202に保存する。第二の画像が存在しない場合は、抽出した残像画像を記憶メモリ202に保存する。以後、ステップS1008で生成された残像画像を第二の画像と呼ぶ。また、高輝度残像の領域が無く、残像画像が抽出されなかった場合には第二の画像は記憶メモリ202上で保存または更新されない。
さらに、被写体認識部205は第一の画像からステップS1001で設定された特定の被写体を認識する動作を実施し、認識された場合は特定の被写体の画像上の領域範囲情報をRAM106へ保存する。ここでの特定の被写体とは、例えば特定の人物や動物等を指す。
被写体検出部205による特定の被写体を認識する動作は周知の技術を用いてよく、例えば機械学習されたCNNにより構成されていてもよい。さらに検出可能な被写体によって異なるCNNにより構成されていてもよい。被写体検出部205は、GPU(グラフィックス・プロセッシング・ユニット)やCNNによる推定処理に特化した回路で実現されてもよい。
被写体検出部205には、学習済みのCNN以外の任意の学習済みモデルが用いられてもよい。例えば、サポートベクタマシンや決定木等の機械学習により生成される学習済みモデルが、被写体検出部205に適用されてもよい。また、被写体検出部205は、機械学習により生成される学習済みモデルでなくてもよい。例えば、被写体検出部205には、機械学習を用いない任意の被写体検出手法が適用されてもよい。
この特定の被写体の選択においては、S1001以前にユーザーが操作部110を用いて被写体を選択してもよい。ここで、図3(a)に示す人物が特定の被写体で、図3(b)が第一の画像だとした場合に、特定の被写体の画像上の領域範囲は図3(c)において点線で囲われた領域となる。
ステップS1009では、操作部110の中の撮影停止スイッチが操作されたか否かをチェックし、操作停止スイッチが操作されていなければステップS1002に戻り、操作停止スイッチが操作されていれば本シーケンスを終了する。
次に、ステップS1003において記憶メモリ202に第二の画像が保存されている場合に遷移するステップS1004を説明する。
ステップS1004では、合成制御部206により第二の画像とRAM106に保存された特定の被写体の画像領域が重なっているかを判断する。具体的には、合成制御部206は、第二の画像および特定に被写体の画像の領域範囲情報を比較し、重複領域を判定する。両領域が重なっていない場合はS1005へ遷移し、重なっている場合はS1006へ遷移する。ここで、図4(a)における白い領域が第二の画像だとした場合に、これと図3(c)のそれぞれの領域を比較すればよいので、第二の画像と特定の被写体の画像領域(被写体領域)が重なっている領域は図3(b)に示す斜線領域となる。また、RAM106に被写体の画像上の領域範囲情報が存在しない場合においてもS1006へ遷移する。
ステップS1005においては、画像合成部204により第一の画像へ第二の画像を合成しRAM106に保存する。
ステップS1006においては、画像合成部204により第一の画像へ第二の画像を合成しRAM106に保存する。合成時においては、第一の画像における特定の被写体領域と第二の画像における高輝度残像の領域が重なっている領域においては、第二の画像をマスクして合成する。すなわち、この重なっている領域において高輝度残像は合成されない。同様に、図4(a)の第二の画像に対して図4(b)に示す重なった領域をマスクした上で図3(b)の第一の画像と合成すると図5(a)のようになり、特定の被写体が残像で隠れることを防ぐことができる。なお、対比として上述するマスク処理をせずに合成を実施した場合を図5(b)に示すが、この場合は特定の被写体の顔が高輝度の残像で隠れてしまっている。
このようにフレームごとに残像画像を合成していく動画において、特定の被写体を検知し、残像領域と被写体領域の重なった部分をマスクして合成することで、特定の被写体の描写を損なわない残像表現を可能とした動画を生成することができる。
以下、図6、図7を参照して、本発明の第2の実施例を説明する。
本実施例では、動画における任意のフレームから高輝度残像を抽出し、その後のフレームに合成する撮像装置において、フレーム撮影時と同時にフレームと同画角の距離マップを取得する。そして、画像の合成時には合成される領域と高輝度残像の領域の距離比較を実施し、その結果に応じて高輝度残像を合成しない撮像システムについて説明する。
図6は、本発明の第一の実施例に係る撮像装置300の概略構成を示す図である。
図6の図1に対する違いとして、撮像装置300には距離検知部301と距離比較部302があり、被写体認識部205が無い。また、記憶メモリ201は第一の画像以外にも後述する「第一の距離マップ」を記憶し、記憶メモリ202は第二の画像以外にも後述する「第二の距離マップ」を記憶する。それら以外の部分は図1と同様であり実施例1で説明済である為、ここでは説明を省略する。
距離検知部301は、撮像部104で撮影される画像と同画角内のそれぞれの位置においてカメラと被写体間の距離を計測することで距離マップを取得する。距離マップと撮像装置と被写体との距離を前記画角内における二次元座標とそれぞれの座標における距離で表したデータである。
距離および距離マップの計測方法においては、例えば一般的な撮像面位相差AFにおける位相差情報を一種の距離情報として使用する手法を用いてもよい。また、ステレオカメラによる視差計測やLiDAR(Light Detection And Ranging)、ToF(Time of Flight)といった手法も用いることができるが、距離マップを取得することができる装置であればこれに限らない。
距離比較部302は、距離検知部301で取得した距離マップと後述する「高輝度残像の距離」を比較する。
次に、図7を用いて、動画記録の動作について説明する。
図7は本実施例における撮影動作の概要を示したフローチャートである。本動作は操作部110内にある撮影開始スイッチがオンされることにより動作を開始する。
ステップS2001では、制御部101が駆動部102や撮像部104に対して、絞りや露光時間などの各種撮影条件を設定する。
ステップS2002では、光学系103を介して、撮像部104に入射する光を電荷変換して電気信号として後段の画像処理部107に転送する、いわゆる、周知の撮影動作を行う。撮影された画像は記憶メモリ201に保存される。以後、ステップS2002で撮影された画像を第一の画像と呼ぶ。また、同時に距離検知部301によって撮像部104と同画角の距離マップを取得し、取得した距離マップは記憶メモリ201に保存される。以後、ステップS2002で取得した距離マップを第一の距離マップと呼ぶ。これは第一の画像に対応した距離マップとも言える。
ステップS2003では、合成制御部206により記憶メモリ202に後述する第二の画像が保存されているかを判断し、保存されている場合はS2004へ遷移し、保存されていない場合はS2006へ遷移する。
ステップS2003において撮影開始直後は後述する第二の画像が保存されていないため、次にステップS2006を説明する。
ステップS2006では、合成制御部206により動画のフレームとして採用する画像を決定する。動画のフレームとして採用する画像はステップS2006へ遷移する前のステップが何であるかによって変化し、遷移前がステップS2003であれば第一の画像が採用される。遷移前がS2005であればステップS2005で合成された画像が採用され、画像処理部107により内蔵メモリ109へ動画として逐次保存される。
ステップS2007では、記憶メモリ201に保存された第一の画像を読み出し、第一の画像における高輝度残像の領域を抽出する。
このとき抽出された画像(残像画像)においては、抽出元の第一の画像における位置関係は保存される。例えば、抽出されていない領域を合成時に画素信号として影響しない透過データで補完することで第一の画像における位置関係を保存することができる。
この時、既に記憶メモリ202に後述する第二の画像が存在する場合は、抽出した残像画像を画像合成部203により第二の画像へ合成し、新しい第二の画像として記憶メモリ202に保存する。この合成において画像合成部203は元々保存されていた第二の画像に1未満の係数をかけて、時系列的に過去に生成された高輝度残像の画像の信号値を減少させてもよい。
画像合成部203は記憶メモリ202に保存された高輝度残像の画像の信号値を比較し、高輝度残像の領域の信号値が低くないものから画像合成してもよい。また、信号値が一定値よりも小さくなった画像については画像合成部203が画像合成を行わないように設定することや、記憶メモリ202から削除することで高輝度残像の合成を適切に制御することも可能である。これにより、高輝度残像を適切に表現した画像を生成することが可能となる。
第二の画像が存在しない場合は、抽出した高輝度残像の領域を記憶メモリ202に保存する。以後、ステップS2007で生成された高輝度残像の画像を第二の画像と呼ぶ。また、高輝度残像の領域が無く検出および抽出されなかった場合には第二の画像は記憶メモリ202に保存されない。
また、ここで抽出された高輝度残像の領域と同じ領域を第一の距離マップから抽出し、記憶メモリ202に保存する。以後、ステップS2007で生成された距離マップを第二の距離マップ(残像距離情報)と呼ぶ。
ステップS2008では、操作部110の中の撮影停止スイッチをオンされたか否かをチェックし、オンされていなければ、ステップS2002に戻り、オンされていれば本シーケンスを終了する。
次に、ステップ2003において記憶メモリ202に第二の画像が保存されている場合に遷移するステップS2004を説明する。
ステップS2004では、距離比較部302により第一の距離マップと第二の距離マップとの各座標の距離を比較する。ここで第一の距離マップの距離値が第二の距離マップの距離値より小さい(カメラに近い)値を示す領域を算出し、その領域情報をRAM106へ保存する。以後、この領域をマスク領域と呼ぶ。
ステップS2005においては、画像合成部204により第一の画像へ第二の画像を合成しRAM106に保存する。合成時においては、第二の画像に対してマスク領域をマスクして合成する。すなわち、マスク領域において高輝度残像は合成されない。
このようにフレームごとに高輝度残像を合成していく動画において、画像撮影と同時に撮影した画像に対応する距離マップを取得し、高輝度残像の距離より近い距離にいる被写体領域をマスクして合成する。これにより、残像と被写体の前後関係において違和感のない残像表現を可能とした動画を生成することができる。
以下、図8~11を参照して、本発明の第3の実施例を説明する。
本実施例では、動画における任意のフレームについて後述のガンマカーブを用いた画像処理を行うことで高輝度残像の領域を抽出した残像画像を生成し、生成した残像画像に重みづけを行なったうえで合成処理を行う撮像システムについて説明する。
図8は、本発明の第3の実施例に係る撮像装置400の概略構成を示す図である。
図8の図1に対する違いとして、撮像装置400には演算部401があり、被写体認識部205が無い。演算部401は後述する「第四の画像」から「第五の画像」を生成する際にフレーム毎に「第四の画像」の重みづけを行う。また、本実施例において画像合成部203は「第四の画像」から「第五の画像」を合成生成し、画像合成部204は「第三の画像」と「第五の画像」から記録用画像を生成する機能を備える。また、記憶部201と記憶部202は本実施例においてそれぞれ後述の「第三の画像」と「第四の画像」を保存する機能を有する。
図10は撮影動作の概要を示したフローチャートである。
本動作は該操作部110内にある撮影開始スイッチがオンされることにより動作を開始する。
ステップS3001は、光学系103を介して、撮像部104に入射する電荷変換して電気信号として後段の画像処理部107に転送する、いわゆる、周知の撮影動作を行う。
ステップS3002は、ステップS3001で転送された撮像された信号を画像処理部107にて、動画像として画像処理を行う(画像処理動作)。本ステップS3002の動作の詳細は図10および図11にて後述する。
ステップS3003は、画像処理部107にて処理を行なった画像信号を、内蔵メモリ109を記録する。
ステップS3004は、操作部110の中の撮影停止スイッチが操作されたか否かをチェックし、操作されていなければ、ステップS3001に戻り、操作されていれば本シーケンスを終了する。
つづいて、図10および図11を用いて図9のステップS3002の画像処理動作の詳細動作を説明する。
図10は図9のステップS3002の画像処理動作の詳細動作を示したフローチャートである。
図11は、本フローチャート内で説明する画像処理に使用する入出力特性係数(ガンマカーブ)を示した図である。
図10において、ステップS4001は、ステップS3001にて電気信号として転送された撮像データを、画像データに変換する予め準備された第1の入出力特性係数(第1のガンマカーブ)に伴った第1のガンマ処理を行い、第三の画像を生成する。
本処理に使用する第1のガンマカーブを図11(a)に示す。第1のガンマカーブは、低輝度から高輝度まで徐々に変換をかけるための通常のガンマカーブとなっている。
ステップS4002は、ステップS4001で変換した第三の画像を、画像処理部107内の記憶メモリ201(記憶部1)に保存する。
ステップS4003は、ステップS3001にて電気信号として転送された撮像データを、画像データに変換する予め準備された第2の入出力特性係数(第2のガンマカーブ)に伴った第2のガンマ処理を行い、第四の画像を生成する。
本処理に使用する第2のガンマカーブを図11(b)に示す。第2のガンマカーブは、低輝度は変化せず、高輝度のみ変換をかけるための高輝度に特化したガンマカーブである。
ステップS4004は、ステップS4003で変換した第四の画像を、画像処理部107内の記憶メモリ202(記憶部2)に保存する。
なお、記憶メモリ202には複数の画像を保存できる記憶領域を備える。例えば、記憶領域1から記憶領域10までの10枚分のメモリを備えており、新しいものから順に記憶領域1から記憶領域10としてメモリに保存される。
ステップS4005は、後述する合成処理の事前準備として、演算部401にて、記憶領域1から記憶領域10の画像を比較する。演算部401は記憶領域1から記憶領域10の画像から、変化が予め定めた設定値よりも小さい部分を抽出し、抽出した部分について除去(画像の信号値を出力0に変換)を行う。
ステップS4006は、ステップS4005と同様に、演算部401にて、記憶メモリ202に保存された各領域の画像の信号値に、重みづけを行うための係数掛けを行う。例えば、新しい画像である記憶領域1の画像には100%、古い画像に徐々に係数をかけ、記憶領域10の画像には10%をかける。これにより、保存が過去に行われた画像ほど信号値が小さくなる。
ステップS4007は、ステップS4006で係数掛けをした複数の第四の画像を、画像合成部204にて合成処理を行う。合成処理は、一般的な加算平均や、明比較合成などでよい。本ステップS4007で生成する画像を「第五の画像」と称する。
ステップS4008は、記憶部202に保存された各記憶領域の画像の領域をシフトし、所定のフレーム(例えば、記憶領域2から記憶領域10の9フレーム分)が直近のフレームとなるようにして保存する。
ステップS4009は、ステップS4002にて記憶メモリ201に保存した「第三の画像」と、ステップS4007で画像合成部204にて合成処理した「第五の画像」を、画像合成部205にて合成処理を行う。本合成処理を行うことで、記録用画像が生成され、図2のステップS3003に移行する。
なお、ステップS4009における合成処理は、図8の撮像装置400に実施例1や2にて示した撮像装置の構成を追加することで、画像の距離マップを取得しておき、高輝度残像の距離より近い距離にいる被写体領域をマスクして合成してもよい。これにより、残像と被写体の前後関係において違和感のない残像表現を可能とした動画を生成することができる。
図12は、図10および図11で説明した合成処理について、イメージを説明する図である。
図12は、第三の画像、第四の画像、第五の画像、記録用画像を、(a)第1フレーム、(b)第5フレーム、(c)第10フレームとして記載している。(実質的には、第2フレームなどの中間のフレームも存在するが、図12においては、便宜上、非記載としている。)
図12は、例えば、街灯のような固定の光源も含める背景の中で、人物が、LED光源のバーなどの可動光源をゆっくり振るシーンを撮影したものを表現している。
図12は、例えば、街灯のような固定の光源も含める背景の中で、人物が、LED光源のバーなどの可動光源をゆっくり振るシーンを撮影したものを表現している。
図12は人物が可動光源を(a)第1フレームでは左向きにしたものを、徐々に正面に向け((b)第5フレーム)、さらに右向き((c)第10フレーム)に回しているフレームが撮影されている。
各画像として、図12の(1)第三の画像は、暗い部分から明るい部分までの第1のガンマカーブで画像処理されている、いわゆる、通常の画像である。図12の(2)第四の画像は、明るい部分に特化した第2のガンマカーブで画像処理されている、いわゆる、残像として残したい部分の候補領域をとらえている画像である。図12の(3)第五の画像は、第四の画像を複数フレームに渡り、比較し、変化がない箇所(街灯にあたる部分)については除外して、且つ、可動光源(LED光源バーにあたる部分)を、フレーム毎に係数をかけて加算した画像である。図12の(4)記録用画像は、(1)第三の画像と、(3)第五の画像を合成したものであり、この処理を行うことで、結果として、人物や街灯のブレを抑え、LED光源バーのみ残像が残る動画を記録することができる。
第3の実施例では、撮像素子が1フレームとして取得した画像を複数のガンマカーブによる画像処理で、通常画像と残像を生成した。第4の実施例では、撮像素子の機能、例えば、マルチストリーム機能より通常画像と残像画像を取得することで、画像処理を簡易化する方法について説明する。
図13は本発明第4の実施例における撮像部104の構成図である。
撮像部104は、撮像素子600と撮像信号処理回路707で構成されている。カラムADCブロック611、行走査回路612、列走査回路613、タイミング制御回路(画素駆動回路)614、切替スイッチ616、フレームメモリ617、素子内演算部618、リサイズ変換部619、P/S変換部620を有する。
切替スイッチ616は、チャンネル毎の水平信号線615-a、615-bから出力される画像信号をフレームメモリ617に選択的に出力するためのスイッチである。
フレームメモリ617は、出力された画像信号を画像データとして一時的に記憶する。素子内演算部618は、駆動モードに応じてリサイズや圧縮の演算を行う。
リサイズ変換部619は、素子内演算部618にて算出された結果を基にフレームメモリ617に保存された画像データを必要な画角にリサイズする。
リサイズ変換部619においてリサイズされた画像データは、P/S変換部620にてパラレル・シリアル変換を行い、撮像素子100外の撮像信号処理回路707へ送られる。
タイミング制御回路614およびフレームメモリ617は、撮像素子600の外部の全体制御演算部(選択手段)709により制御される。
撮像素子600と撮像信号処理回路707とは、複数のレーンで接続されており、駆動モードに応じた異なる画素の信号や同一の画素の信号が、メインストリームおよびサブストリームに振り分けて、またはメインストリームのみから転送される。
リサイズや圧縮の処理が不要な場合には、切替スイッチ616から直接P/S変換部620への転送が行われる。
駆動モードとして、全画素の読出駆動、垂直方向を間引いた(例えば1/3間引き)読出駆動、水平方向を加算した読出駆動、垂直間引き水平加算の読出駆動などを選択することが可能である。
本実施例では、表示用画像をメインストリームとして垂直方向1/3間引きの読出駆動を、残像用画像をサブストリームとして垂直1/3間引き水平加算の読出駆動を使用する。また、メインストリーム121の読み出し行とサブストリーム122は読み出し行はそれぞれ異なる隣接行で行う。これによりメインストリーム121とサブストリーム122は各々が異なる撮像設定(例えば、異なる感度、異なる露光秒時)で独立した動作を行うことができる。
次に、図14を用いて、撮像部104の動作の概念図を説明する。
読出駆動Aは、通常被写体を露光するメインストリーム121の読出し動作であり、読み出駆動Bは、残像成分を露光するメインストリーム121の読出し動作である。ここで、メインストリーム121はブレない条件で撮影したいので、露光時間を短めのT1で適正露出を得るため、高感度で設定している。またサブストリーム122はLED光源などの明るい箇所の露光したいことと、残像が発生しやすい状態で露光するために露光時間はT1より長めのT2とし、感度も低感度に設定する。
メインストリーム121を通常画像の「第三の画像」として、サブストリーム122を残像画像の「第四の画像」として、後段の画像処理部に転送する。これにより、本発明第3の実施例で示したガンマカーブを分ける必要なく、単一のガンマカーブで画像処理を行なっても、大きな違和感なく合成処理された画像を取得することができる。この画像取得方法後の処理は、本発明の第3の実施例と同様で問題ないため、ここでの説明は割愛する。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
104 撮像素子
201、202 記憶メモリ
203、204 画像合成部
206 合成制御部
201、202 記憶メモリ
203、204 画像合成部
206 合成制御部
Claims (17)
- 撮像手段により時系列に撮像された第1および第2の画像、及び該第1及び第2の画像に対応する距離情報を取得する取得手段と、
前記第1の画像から、予め定めた値よりも大きな輝度値を持った残像領域を抽出し、該残像領域を含む残像画像を生成する残像抽出手段と、
前記第1の画像に対応する距離情報のなかで前記残像画像に対応する残像距離情報に基づいて、前記第2の画像と前記残像画像とを合成する合成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記残像画像と前記残像距離情報とを記憶するメモリを有し、
前記取得手段は、前記撮像手段により時系列に撮像された、前記第1及び第2の画像とは異なる複数の画像をさらに取得し、
前記合成手段は、前記残像画像および前記残像距離情報に基づいて、前記複数の画像と前記残像画像とをそれぞれ合成することを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。 - 前記第2の画像において特定の被写体を抽出する抽出手段を有し、
前記合成手段は前記特定の被写体の距離情報と前記残像距離情報に基づいて前記合成を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の画像処理装置。 - 前記抽出手段は、予め機械学習された学習済みモデルを用いて、画像データから前記特定の被写体を抽出することを特徴とする請求項3に記載の撮像装置。
- 前記抽出手段は、ユーザーによる選択操作に基づいて前記特定の被写体を決定し、抽出することを特徴とする請求項3または4に記載の画像処理装置。
- 前記合成手段は、前記残像画像が前記第2の画像における前記特定の被写体の領域と重なり、かつ前記特定の被写体の領域の距離情報の方がより近い距離を示すとき、前記残像画像の合成処理を行わないことを特徴とする請求項3乃至5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
- 前記メモリに新たに画像が保存されると、前記合成手段はそれまでに前記メモリに保存されていた前記残像画像の信号値を減少させることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
- 前記合成手段は、前記メモリに保存された前記残像画像のうち、予め定めた値より信号値が大きいものを選択して合成処理を行うことを特徴とする請求項7に記載の画像処理装置。
- 撮像手段により撮像された画像から第3の画像と、残像が抽出された第4の画像を生成する生成手段と、
時系列に生成された複数の前記第4の画像を合成することで第5の画像を生成する第1合成手段と、
前記第3の画像と前記第5の画像を合成する第2合成手段と、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - 前記生成手段は異なる画像処理によって前記第3の画像と前記第4の画像を生成し、前記第4の画像は予め定めた輝度値よりも大きい領域の信号の出力を抽出するガンマカーブによる画像処理によって生成されることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
- 前記第3の画像と前記第4の画像は同一のタイミングで1つの撮像素子が取得した異なる画像であり、前記第3の画像は前記第4の画像とは異なる露光時間で撮像を行うことで取得した画像であることを特徴とする請求項9に記載の画像処理装置。
- 複数の前記第4の画像を記憶するメモリと、
前記メモリに記憶された複数の前記第4の画像の比較を行う演算手段と、を有し、
前記演算手段は複数の前記第4の画像を比較し、予め定めた値よりも変化が小さい画像の部分の信号値を変換することを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載の画像処理装置。 - 前記演算手段は、前記第4の画像について前記メモリに記憶された順に画像の信号値の重み付けを行うことを特徴とする請求項12に記載の画像処理装置。
- 撮像装置クレーム
光学系を介して結像された被写体像を撮像する撮像手段と、
請求項1乃至13のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
を有することを特徴とする撮像装置。 - 制御クレーム
撮像手段により時系列に撮像された第1および第2の画像、及び該第1及び第2の画像に対応する距離情報を取得する取得ステップと、
前記第1の画像から、予め定めた値よりも大きな輝度値を持った残像領域を抽出し、該残像領域を含む残像画像を生成する残像抽出ステップと、
前記第1の画像に対応する距離情報のなかで前記残像画像に対応する残像距離情報に基づいて、前記第2の画像と前記残像画像とを合成する合成ステップと、
を有することを特徴とする画像処理装置。 - プログラムクレーム
請求項15に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラム。 - 記憶媒体。
請求項16に記載の制御方法の各工程をコンピュータに実行させるためのプログラムを記憶したコンピュータが読取り可能な記憶媒体。
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