JP2023000572A - 電波吸収体 - Google Patents

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賢一 畠山
Kenichi Hatakeyama
真一郎 山本
Shinichiro Yamamoto
斉 戸川
Hitoshi Togawa
盛通 伊藤
Morimichi Ito
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【課題】裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与せず、製造の容易な電波吸収体を提供する。【解決手段】電波を吸収する電波吸収体1であって、誘電体層2と、誘電体層2上に設けられた導電材層3と、を備え、導電材層3の厚さは前記電波の周波数に対する表皮深さよりも大きい。【選択図】図1

Description

本発明は、電波の反射を防止する電波吸収体に関し、特に、ミリ波の反射を防止するシート状の電波吸収体に関する。
従来の電波吸収体101の構造の一例を図11に示す。電波吸収体101は、電波入射側に設けられた抵抗膜102と、抵抗膜102上に設けられた誘電体層103と、誘電体層103上に設けられた金属板104とを備えている。すなわち、電波吸収体101は、入射面から見て裏面に金属板104が裏打ちされている。金属板104は電波を全反射して通さない性質があることから、電波吸収体101を装着する被装着体がどのような材質であっても電波吸収体101の吸収特性に影響を与えることはなく、安定的な電波吸収特性の維持が可能である。つまり、電波吸収体101は上記性質を持つ裏打ち金属板104の存在を前提に設計されており、この前提条件の上では良好な電波吸収特性を得ることが可能である。
IoT、5Gなどの各種帯域で実用化が進む電波関連技術の中でも、ミリ波帯域はレーダなど情報量・速度が必要な用途に対応できるため注目されている。ミリ波帯用の電波吸収体としては、軽い、薄い、取り扱いしやすさなどの特徴が重要視され、重量、製造工程簡素化、コスト、外観などの理由で裏打ち金属板が無いことが望まれる。しかし、図11に示す電波吸収体101において裏打ち金属板104を取り除くと上述の前提条件が成立しないので、電波吸収特性の劣化、および、電波吸収体101を施工する被装着体の材質により電波吸収特性が変化してしまうという欠点がある。
これに対し、特許文献1には、裏打ち金属板を備えていない透過型電波吸収体が開示されている。特許文献1に開示されている透過型電波吸収体201の構造を図12に示す。透過型電波吸収体201は、電波入射側に形成された誘電体層202と、導体を薄膜状に形成してなるインピーダンス層203とを備えている。誘電体層202の比誘電率および厚さ、ならびにインピーダンス層203のインピーダンスは、誘電体層202のインピーダンス層203側の面で反射した電波が誘電体層202の表面で反射した電波と相殺されるように設定される。誘電体層202からインピーダンス層203に透過した電波は、一部がインピーダンス層203で吸収され、残りがインピーダンス層203の誘電体層202と反対側の領域に透過する。
特許第3556618号
特許文献1の図2に示される等価回路から明らかなように、透過型電波吸収体201は、インピーダンス層203が薄膜であるため、インピーダンス層203では電波がほとんど減衰せず、電波の一部を透過させる構造である。そのため、透過型電波吸収体201の裏側に電波を反射させる物体(金属板など)が存在すると、結果的には透過型電波吸収体201の電波入射側に電波が反射されてしまうため、電波吸収体として実用性に欠ける。
一方、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与しないように、透過型電波吸収体201を透過する電波を抑える場合、誘電体層202の誘電率を非常に高くするとともに、誘電体層202を非常に薄く形成する必要がある。例えば、特許文献1の図3に示されるように、透過型電波吸収体201を透過する電波(透過電力係数T)を1/100(-20dB)に抑える場合、誘電体層202の比誘電率を100、厚さを電波波長の1/40にしなければならない。そうすると、誘電体層202を形成する材料の選択自由度が少なくなり、透過型電波吸収体201の製造が困難になる。
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであって、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与せず、製造の容易な電波吸収体を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の態様を含む。
項1.
電波を吸収する電波吸収体であって、
誘電体層と、
前記誘電体層上に設けられた導電材層と、を備え、
前記導電材層の厚さは前記電波の周波数に対する表皮深さよりも大きいことを特徴とする電波吸収体。
項2.
前記導電材層の導電率は10S/m~200S/mであることを特徴とする項1に記載の電波吸収体。
項3.
前記誘電体層は、
樹脂母材と、
前記樹脂母材の前記導電材層と反対側の面に配置された特定の形状をした金属薄膜と、を備えることを特徴とする項1または2に記載の電波吸収体。
項4.
前記導電材層の前記誘電体層と反対側の面に設けられた追加誘電体層をさらに備えることを特徴とする項1~3のいずれかに記載の電波吸収体。
項5.
前記電波はミリ波であることを特徴とする項1~4のいずれかに記載の電波吸収体。
本発明によれば、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与せず、製造の容易な電波吸収体を提供できる。
本発明の一実施形態に係る電波吸収体の断面図である。 (a)~(d)は人工誘電体の構成例である。 反射係数チャートの説明図である。 電波の周波数fを40GHz、比透磁率を1に設定した場合の、透過係数|T|=0.07となる導電材層の厚さdと導電率σとの関係を示すグラフである。 反射係数を反射係数チャート上に描いた例である。 (a)および(b)は、それぞれ導電率σを10S/mおよび100S/mとした場合の、10GHz~100GHzの周波数における反射係数をチャート上に描いた例である。 (a)~(c)は、それぞれ電波の周波数を30GHz、40GHz、100GHzとした場合の、導電率σと表皮深さδおよび透過係数|T|=0.07となる厚さdとの関係を示すグラフである。 変形例に係る電波吸収体の断面図である。 (a)および(b)は、金属板が電波吸収体の裏面にある場合の、40GHz~54GHzの周波数における反射係数チャート、および、反射率の周波数依存性を示している。 (a)および(b)は、金属板がない場合の、40GHz~54GHzの周波数における反射係数チャート、および、反射率の周波数依存性を示している。 従来の電波吸収体の断面図である。 従来の他の電波吸収体の断面図である。
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。
[概略構成]
図1は、本発明の一実施形態に係る電波吸収体1の断面図である。電波吸収体1は、誘電体層2と、導電材層3とを備えている。電波吸収体1は、平面視矩形のシート状に形成されているが、形状および大きさは設置場所に応じて適宜変更可能である。また、電波吸収体1は、主にミリ波を吸収するように設計されているが、適用可能な電波はミリ波に限定されない。
誘電体層2は、電波入射側に設けられており、導電材層3での電波の反射を低減する機能を有している。電波が到来する空間の波動インピーダンスと、電波が入射する材料の特性インピーダンスとが大きく異なれば、入射する材料の表面での反射が大きくなる。仮に誘電体層2を設けない場合、空間の波動インピーダンス(377Ω)と導電材層3の特性インピーダンスとの差から導電材層3での反射が大きくなり、電波吸収体として機能しなくなる。誘電体層2は、空間の波動インピーダンスと導電材層3の特性インピーダンスとの差を整合し、導電材層3での反射を低減する層として機能する。
誘電体層2は人工誘電体であってもよい。人工誘電体の構成例を図2に示す。
図2(a)に示す誘電体層2aは、樹脂母材20に粒径が電波波長の1/10以下の金属粉21を重量比で5%~60%混合した人工誘電体である。これにより、樹脂母材20そのものの誘電率が高くなくても誘電体層2aは高い誘電率を実現できるため、製造上有利になる。
上記の方法では、金属粉21を樹脂母材20に平均的に分散させることで高い誘電率を実現した。別な方法として、図2(b)~(d)に示すように、上記金属粉21の代わりに、特定の形状をした金属薄膜22,23,24を樹脂母材20の表面(導電材層3と反対側の面)に配列し、薄い高誘電率の層を作ることでも、誘電体層全体の誘電率を高くすることができる。この場合、金属薄膜22,23,24を波長に対して十分薄くすることで、誘電体層の一部とみなすことができる。
図2(b)~(d)に示す誘電体層2b,2c,2dは、樹脂母材20の表面に特定の形状をした金属薄膜を周期的に配列してなる人工誘電体である。図2(b)に示す誘電体層2bでは、樹脂母材20の表面に円形の金属薄膜22が配列されている。金属薄膜22の直径Dは、電波波長の1/5以下とすることが好ましい。図2(c)に示す誘電体層2cでは、樹脂母材20の表面に十字形の金属薄膜23が配列されている。金属薄膜23の辺長Lは、電波波長の1/5以下とすることが好ましい。図2(d)に示す誘電体層2cでは、樹脂母材20の表面に正方形の金属薄膜24が配列されている。金属薄膜24の辺長Lは、電波波長の1/5以下とすることが好ましい。
これらの誘電体層2b,2c,2dにおいても、樹脂母材20そのものの誘電率が高くなくても誘電体層2b,2c,2dは高い誘電率を実現できるため、製造上有利になる。なお、誘電体層2の誘電率εr2については後述する。
導電材層3は、誘電体層2上に設けられており、誘電体層2から入射した電波を反射および吸収する機能を有している。導電材層3に入射した電波は導電材層3において電流を発生させる。導電材層3が電気抵抗として機能することで電流を熱に変え、入射した電波のエネルギーを吸収する。導電材層3の導電率を高くするほど、電波吸収機能を保ちながら層厚を薄くできるが、あまり導電率を高くすると、導電材層3が裏打ち金属板に近似するため導電材層3における反射が大きくなる。よって、高性能な電波吸収体を実現するためには、導電材層3の厚さおよび導電率を適切に設計する必要がある。
本実施形態では、導電材層3の厚さdを電波の周波数fに対する表皮深さδよりも大きく設計している。表皮深さδとは、導電材層3に入射した電磁界が1/eに減衰する厚さ方向の長さである。また、導電材層3の導電率σは10S/m~200S/mであり、20S/m~100S/mであることが望ましく、30S/m~70S/mであることがより望ましい。具体的な設計手法について、以下説明する。
[設計手法]
導電材層3の導電率σ(S/m)および厚さd(m)、ならびに誘電体層2の誘電率εr2の組み合わせの設計手法について以下に述べる。なお便宜上、チャートを用いた設計が有効なので、先にチャートについて概説する。
(チャート)
電波吸収体の機能を評価する指標としては反射係数が用いられる。反射係数は位相まで含めた複素数で表現されるため、図3に示すような反射係数チャートを用いるのが便利である。
チャートでは、円の半径(最大1)が反射波の大きさ(絶対値)、角度が位相を表している。つまり、円の右端(Γ=1-j0)であれば位相はそのまま反射、左端(Γ=-1-j0)であれば位相は反転して(πだけずれて)反射、上下端(Γ=0±j1)であれば、それぞれ±π/2だけ位相がずれて反射したことを表している。電波吸収体の性能は、反射係数Γ=0-j0、つまり円の中心に近づくほど優れていることになる。
電波吸収体1は、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与しない構成である。そのため本実施形態では、裏打ち金属板の有無にかかわらず電波吸収量が20dB以上を保ち、かつ、裏打ち金属板が無い場合の透過量が-20dB以下であることを満たすように、電波吸収体1を設計する。
(導電率の範囲についての検討)
導電率σは、誘電体層2が存在しない(つまり導電材層3のみ存在する)場合の透過係数から設定することができる。透過係数を基準とした理由としては、透過係数が低くなるように導電率σを設定することで、裏打ち金属板の無い構成と近似するためである。
導電材層3上には誘電体層2が整合層として積層されているので、「誘電体層2を透過した成分」に加えて僅かではあるが「導電材層3で反射し、かつ誘電体層2からも再反射した成分」が導電材層3に入射する。そのため、導電材層3のみを考慮した場合よりも透過量は増えることが予想される。したがってマージンを設け、導電材層3のみの透過係数|T|は0.1(-20dB)ではなく、0.07(-23dB)に設定する。
まず、導電率σから透過係数Tを導出する。導電材層3の誘電率εr1は以下の式(1)のように表される。
Figure 2023000572000002
なお、ω=2πfである。さらに、導電材層3は導電率σを大きく設定することで、
Figure 2023000572000003
となり、以下の式(2)のように近似できる。
Figure 2023000572000004
このとき、導電材層3内部の電波伝搬について考える。伝搬定数γは誘電率εr1が上記式(2)で与えられた場合、真空の透磁率μおよび導電材層3の透磁率μr1を用いて
以下の式(3)のように表される。
Figure 2023000572000005
ここで、導電材層3の表皮深さδは、
Figure 2023000572000006
と表される。
そして、導電材層3の特定インピーダンスZは、自由空間の波動インピーダンスZを用いて以下の式(4)で表される。
Figure 2023000572000007
伝送線路理論より、透過係数Tは、伝搬定数γおよび特定インピーダンスZを用いて以下の式(5)で表される。
Figure 2023000572000008
ただし、A=D=cosh(γd)、B=Zsinh(γd)、C=sinh(γd)/Zである。
したがって目標とする|T|を設定すれば、厚さdを導電率σの関数として導出できる。例として、電波の周波数fを40GHz、比透磁率を1に設定して|T|=0.07となるdを計算した結果を図4に示す。
図4から、導電材層3の導電率σを大きくするほど厚さdを小さく(薄く)できることが分かる。すなわち、導電率σが大きくなるほど電波吸収体1の薄型化に寄与するが、後述するように、誘電率εr2を誘電体層2の製造が容易な値にするために、導電率σは10S/m~200S/mであることが望ましく、20S/m~100S/mであることがより望ましく、30S/m~70S/mであることがより望ましい。これにより、裏打ち金属板の影響を回避することができる。
(誘電率の設定)
続いて、設定された導電率σに対して、電波吸収体1の吸収性能を最大化する誘電体層2の設定について説明する。
まず、上記式(5)と同じ係数A~Dを用いることで、以下の式(6)から導電材層3における(誘電体層2が存在しない場合の)反射係数(複素数)Γ’を導出できる。
Figure 2023000572000009
図5は、反射係数Γ’を反射係数チャート上に描いた例である。チャート上にあるΓ’をチャートの中心へ遷移させて、電波吸収体1の吸収性能を最大化するために、導電材層3上に誘電体層2を積層することで位相制御(チャート上では回転動作)を行う。そのため、Γ’とチャートの中心とを通る円を想定し、円がチャートの実軸と交わる点をΓとする。Γとチャートの中心と間の中点はΓ/2で表され、これをΓL0とする。位置関係からわかるようにΓL0は実数である。
このとき、誘電体層2の誘電率εr2は以下の式(7)で表される。
Figure 2023000572000010
Γが実数であることから、誘電率εr2も同様に実数になる。これは、誘電体層2に無損失な材料を想定していることと対応する。ただし、これは設計するための値の取扱いにおけることで、実際には誘電体層2もわずかでも損失を持つが、本実施形態に係る電波吸収体1としての性能を損なうものではない。
図6(a)および(b)は、それぞれ導電率σを10S/mおよび100S/mとした場合の、10GHz~100GHzの周波数における反射係数Γ’をチャート上に描いた例である。図中、矢印とともに示している数字は周波数(GHz)を表している。これらの図を比較すると、導電率σを大きくすれば、式(7)から導出される誘電体層2の誘電率εr2が高くなることがわかる。
図6(a)において、周波数が40GHzの場合、Γ’とチャートの中心とを通る円が実軸と交わる点Γ=-0.5となり、式(7)から誘電率εr2=3.0となる。また、図6(b)において、周波数が40GHzの場合、Γ=-0.78となり、式(7)から誘電率εr2=8.1となる。
このように、導電率σおよび周波数fが設定されると、反射係数Γ’をチャート上にプロットしてΓを求め、式(7)を適用することにより、誘電率εr2を導出することができる。表1は、導電率σ=10,20,30,40,70,100,200S/m、周波数f=30,40,60,80,100GHzとした場合の誘電率εr2を示している。
Figure 2023000572000011
この結果から、電波が一般的に使用される30GHz~100GHzのミリ波である場合、導電材層3の導電率σを10S/m~200S/mに設定することで、誘電率εr2が2.35~13.93の誘電体層2を使用することができる。さらに、導電材層3の導電率σを20S/m~100S/mに設定することで、誘電率εr2が2.87~9.96の誘電体層2を使用することができる。さらに、導電材層3の導電率σを30S/m~70S/mに設定することで、誘電率εr2が3.35~8.39の誘電体層2を使用することができる。このような誘電率εr2を有する誘電体層は、例えば図2に示す誘電体層2a~2dのような構成とすることにより、比較的容易に製造することができる。特に、導電材層3の導電率σを30S/mに設定した場合、誘電体層として市販のガラスエポキシ材料(FR-4)を用いることができるという利点がある。
(導電材層の厚さの設定)
導電材層3の厚さdは、以下のように設定できる。
図7(a)~(c)は、それぞれ電波の周波数fを30GHz、40GHz、100GHzとした場合の、導電率σと表皮深さδおよび透過係数|T|=0.07となる厚さdとの関係を示している。厚さdを小さくしすぎると、導電材層3において電波が減衰しなくなるので、|T|が大きくなり裏打ち金属板の影響が無視できなくなる。そこで、d>δと設定すれば、導電材層3において電波が十分に減衰し、導電率σが10S/m~200S/mの範囲で、30GHz、40GHz、100GHzのいずれの周波数においても、透過係数|T|を裏打ち金属板の影響を受けない程度に小さくできる。
また、厚さdを大きくするほど透過係数|T|は小さくなるが、電波吸収体としての実用上問題となることが多い。そのため、d<5δと設定すれば、実用上問題ないものと考えられる。
以上のように、導電材層3の厚さdは、表皮深さδを基準にδ<d<5δとすることが好ましい。もちろん、製造工程や設置箇所に問題が無ければ、厚さdはこの範囲に限定されず、製造や実用に問題が無ければ、d≧5δにしてもよい。
(小括)
本実施形態に係る電波吸収体1は、導電材層3の厚さdが電波の周波数に対する表皮深さよりも大きいため、導電材層3において電波が十分に減衰する。よって、裏打ち金属板があっても、電波吸収体1を透過した電波が裏打ち金属板に反射して他の場所へ悪影響を及ぼすことを回避できる。また、誘電体層2の誘電率も材料の選択自由度を制限するような範囲に設定する必要がなくなる。よって、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与せず、製造の容易な電波吸収体を提供することができる。
一方、特許文献1では、インピーダンス層203が薄膜であるため、インピーダンス層203において電波がほとんど減衰しない。よって、裏打ち金属板の有無が電波吸収作用に実質的に関与しないようにするためには、誘電体層202の誘電率を非常に高くするとともに、誘電体層202を非常に薄く形成する必要がある。
さらに、本実施形態に係る電波吸収体1では、導電材層3の導電率σを10S/m~200S/mとすることにより、誘電体層2の誘電率εr2を2.35~13.93の範囲内に設定することができる。よって、誘電体層2の製造がさらに容易になる。
電波吸収体は、ミリ波帯域では車両の中や電子機器の間などのmmオーダーの様々な場所に設置されて用いられることから、極力軽量薄型、かつ設置場所を選ばないものが求められている。本実施形態に係る電波吸収体1はそのニーズに合致しており、経済的な波及効果は大きい。
(変形例)
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
図8は、変形例に係る電波吸収体1’の断面図である。電波吸収体1’は、誘電体層2と、導電材層3と、追加誘電体層2’とを備えている。追加誘電体層2’は、導電材層3の誘電体層2と反対側の面に設けられている。このように、電波吸収体1’は、導電材層3の両面に誘電体層2,2’を備える構造であるため、表裏どちらから電波が入射しても電波を吸収できる。
本発明者らは、ガラスエポキシ樹脂からなる誘電体層2(FR-4、市販品)と、ゴム材料に導電材料を混錬して形成した導電材層3とを積層することで、図1に示す電波吸収体1を作製し、裏打ち金属板が不要な電波吸収体として使用できるか検証した。誘電体層2の誘電率εr2は2.37であり、導電材層3の導電率σは30S/mであり、厚さdは2.0mmであった。
図9(a)および(b)は、金属板が電波吸収体1の裏面(導電材層3側)にある場合の、40GHz~54GHzの周波数における反射係数チャート、および、反射率の周波数依存性を示している。また、図10(a)および(b)は、金属板がない場合の、40GHz~54GHzの周波数における反射係数チャート、および、反射率の周波数依存性を示している。
図9(a)および図10(a)から、金属板の有無に関わらず、反射係数Γ’は周波数の変化に伴ってチャートの中心付近を通るように変化した。また、図9(b)および図10(b)を比較すると、金属板の有無に関わらず42~45GHzの周波数で反射係数Γ’は-10dB(電力換算で1/10)以下まで低下した。これらの結果から、本発明に係る電波吸収体1は、裏打ち金属板の有無で性能はほとんど変化せず、かつ良好な吸収性能を示すことが検証できた。
1 電波吸収体
1’ 電波吸収体
2 誘電体層
2’ 追加誘電体層
2a~2d 誘電体層
20 樹脂母材
21 金属粉
22 金属薄膜
23 金属薄膜
24 金属薄膜
3 導電材層

Claims (5)

  1. 電波を吸収する電波吸収体であって、
    誘電体層と、
    前記誘電体層上に設けられた導電材層と、を備え、
    前記導電材層の厚さは前記電波の周波数に対する表皮深さよりも大きいことを特徴とする電波吸収体。
  2. 前記導電材層の導電率は10S/m~200S/mであることを特徴とする請求項1に記載の電波吸収体。
  3. 前記誘電体層は、
    樹脂母材と、
    前記樹脂母材の前記導電材層と反対側の面に配置された特定の形状をした金属薄膜と、を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の電波吸収体。
  4. 前記導電材層の前記誘電体層と反対側の面に設けられた追加誘電体層をさらに備えることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の電波吸収体。
  5. 前記電波はミリ波であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の電波吸収体。
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