JP2022544108A - 一塩基多型及びその使用 - Google Patents

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Abstract

炎症状態に関連するNAMPTプロモータ内の一塩基多型(SNP)を同定する方法が提供される。被験者の炎症状態を診断及び治療する方法も提供される。

Description

関連出願
本願は、2019年8月7日に出願された米国仮出願第62/883934号の優先権を主張ものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれるものとする。
配列表
本願は、ASCII形式で電子的に提出され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2020年8月7日に作成された上記ASCIIコピーは、A110808_1040WO_Seq_Listing_ST25.txtと命名され、サイズが15054バイトである。
本発明は、一般に、炎症、癌及び分子生物学の分野に関する。本発明は、一塩基多型(SNP)を検出する方法、炎症性疾患及び癌の発症リスクの増大を予測する方法、及びSNPを使用して治療に対する患者(癌又は他)の応答性を決定する方法を提供する。
炎症性疾患は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、放射線誘発肺損傷(RILI)、肺高血圧症又は肺線維症を含む炎症を特徴とする一連の障害及び状態を含む。そのような状態を診断及び治療するための改善された方法が当技術分野で必要とされている。
更に、癌は、ほとんどの先進国で罹患率及び死亡率の主要原因である。しかし、癌のリスクを予測し、特定の治療レジメンに対する被験者の応答性と癌の診断後の効果的な治療オプションを予測するための特定の方法はほとんど知られていないため、多くの研究が前述の要因に対処する方法の改善に焦点を合わせている。
特に前立腺癌(PCa)は、PCaの進行及び再発を止める療法の満たされていない要求を表す。PCaは一般に、最初がアンドロゲン抑制療法(ADT)の一次治療を行った後に無痛性腫瘍であるが、ADT療法の5-10年後に広範囲によく再発する(85%)。臓器限定性PCa(95%の生存率)から浸潤性及び転移性癌(30%の生存率)への移行をターゲットにすることは、PCaの致死性に影響を与えることに最も重要である。アンドロゲン非依存性原発腫瘍に対する細胞毒性癌療法は、転移性病変を根絶するのに効果がある。無痛性疾患からカプセルから脱出して転移する侵襲性癌の表現型へのPCa移行の基礎の現在の概念は、炎症性シグナル伝達経路の重要な役割を含む。
PCaの罹患率及び死亡率の低下には、PCaの腺脱出及び転移進行に影響を与える人種特有の危険因子の同定と、この進行を予告する人種特有のバイオマーカーの同定と、この進行を軽減する、新規で効果的な個別化アプローチの開発と、が含まれる。新規な人種特有のバイオマーカーの欠如、人種特有のPCa危険因子に関する情報の不足、及び効果的な個別化療法の欠如は、PCaの進行と致命的な疾患の発症と闘うための深刻な満たされていない要求である。
自然免疫の調節及び癌腫瘍に関連する炎症性損傷の低減、特にNFkB依存性炎症カスケードの調節は、前立腺癌の発生及び治療抵抗性の両方に重要であってもよい。
PCaの治療及び生存率を改善するために、特にPCaの進行を阻害するために、特定の療法に対する患者の応答性を予測するバイオマーカーが必要である。このようなマーカーの非限定的な例には、ビスファチンとも呼ばれるニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)などのサイトカインを調節する遺伝子の一塩基多型(SNP)が含まれる。本発明の少なくともいくつかの実施形態では、無痛性から侵襲性前立腺癌への移行に関連するNAMPTプロモータ内のSNPを同定する。本発明の少なくともいくつかの実施形態は、PCa疾患の進行のリスクのある可能性がある患者を同定するための手段を提供する。被験者の前立腺癌を診断及び治療する方法も提供される。
いくつかの実施形態では、侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法が本明細書で提供され、該方法は、(a)無痛性前立腺癌を有する被験者からサンプルを採取するステップと、(b)サンプル中のヒトニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)に関連する少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の存在を検出するステップと、を含む。少なくとも1つのSNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択される。
いくつかの実施形態では、被験者は、遺伝性の無痛性前立腺癌を有する。
いくつかの実施形態では、被験者は、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNP、少なくとも3つのSNP、少なくとも4つのSNP、少なくとも5つのSNP、少なくとも6つのSNP、少なくとも7つのSNPS、又は8つのSNPを有する。具体的な実施形態では、該方法は、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNPを検出するステップを含む。
いくつかの実施形態では、該方法は、rs7789066、rs61330082、rs9770242及びrs59744560からなる群から選択された少なくとも1つのSNPを検出するステップを含む。
いくつかの実施形態では、該方法は、rs116647506、rs61330082、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも1つのSNPを検出するステップを含む。
侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法のいくつかの実施形態では、被験者はアフリカ系である。
侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法のいくつかの実施形態では、検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、SNPマイクロアレイ、SNP制限断片長多型(SNP-RFLP)、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、プライマー伸長(MALDI-TOF)質量分析、一本鎖高次構造多型及び/又は次世代シーケンシング(NGS)の使用を含む。
侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法のいくつかの実施形態では、検出は、SNPを含むヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブとサンプルとを接触させることと、オリゴヌクレオチドプローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することとを含む。ある実施形態では、SNPを含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、SNPを取り囲む各側に200塩基対を含む。いくつかの実施形態では、配列番号18に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs7789066を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号19に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs61330082を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号20に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs9770242を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号21に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs59744560を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、及び/又は配列番号22に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs1319501を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズする。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能な標識を含み、プローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することは、検出可能な標識を検出することを含む。具体的な実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識、発光標識、放射性核種、又は化学発光標識を含む。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光部分及び蛍光消光剤を含む、二重標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。
いくつかの実施形態では、侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法は、ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルよりも高いNAMPTプロモータ活性レベルに関連する1つ以上の追加のSNPを検出するステップを更に含む。
侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する前述の方法のいくつかの実施形態では、サンプルは血漿サンプルである。
いくつかの実施形態は、無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法を提供し、該方法は、(a)無痛性前立腺癌を有する被験者からサンプルを採取するステップと、(b)rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択されたサンプル中の少なくとも1つのSNPの有無を検出するステップと、(c)(i)有効量のeNAMPT阻害剤及び/又は(ii)放射線療法(例えば、外部ビーム放射線及び/又は近接照射療法)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)アゴニスト(例えば、リュープロレリン、ゴセレリン、トリプトレリン及び/又はヒストレリン)などのホルモン療法、又は体がテストステロン(例えば、ケトコナゾール及び/又はアビラテロン)を産生するのを防ぐ他の薬物療法、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド及び/又はエンザルタミド)、化学療法、及び生物学的療法(例えば、シプロイセルT)の1つ以上を、侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者に投与して、無痛性前立腺癌を有する被験者を治療するステップと、を含む。少なくとも1つのSNPの存在は、被験者が侵襲性前立腺癌を発症するリスクがあることを示す。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、サンプルは血漿サンプルである。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、該方法は、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNP、少なくとも3つのSNP、少なくとも4つのSNP、少なくとも5つのSNP、少なくとも6つのSNP、少なくとも7つのSNPS、又は8つのSNPを検出するステップを含む。いくつかの実施形態では、SNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242及びrs59744560からなる群から選択される。他の実施形態では、SNPは、rs116647506、rs61330082、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択される。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、被験者はアフリカ系である。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、SNPマイクロアレイ、SNP制限断片長多型(SNP-RFLP)、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、プライマー伸長(MALDI-TOF)質量分析、一本鎖高次構造多型及び/又は次世代シーケンシング(NGS)の使用を含む。いくつかの実施形態では、SNPの存在は、SNPを含むヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブとサンプルとを接触させることと、オリゴヌクレオチドプローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することとにより決定される。ある実施形態では、SNPを含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、SNPを取り囲む各側に200塩基対を含む。特定の実施形態では、配列番号18に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs7789066を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号19に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs61330082を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号20に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs9770242を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号21に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs59744560を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、及び/又は配列番号22に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs1319501を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズする。
いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能な標識を含み、プローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することは、検出可能な標識を検出することを含む。特定の実施形態では、検出可能な標識は、蛍光標識、発光標識、放射性核種、又は化学発光標識を含む。更なる実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光部分及び蛍光消光剤を含む、二重標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、該方法は、ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルよりも高いNAMPTプロモータ活性レベルに関連する1つ以上の追加のSNPを検出するステップを更に含む。具体的な実施形態では、ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルは、無痛性前立腺癌に関連するレベルである。
無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法のいくつかの実施形態では、該方法は、eNAMPT阻害剤を投与するステップを含み、eNAMPT阻害剤は抗eNAMPT抗体である。具体的な実施形態では、抗eNAMPT抗体は、それぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む重鎖と、それぞれ配列番号7、8及び9のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む軽鎖と、を含む。別の具体的な実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号2に示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号3に示されたアミノ酸配列を含む。異なる実施形態では、抗eNAMPT抗体は、それぞれ配列番号12、13及び14のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む重鎖と、それぞれ配列番号15、16及び17のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む軽鎖と、を含む。更に別の具体的な実施形態では、重鎖可変領域は、配列番号10に示されたアミノ酸配列を含み、軽鎖可変領域は、配列番号11に示されたアミノ酸配列を含む。
低侵襲性前立腺癌(PCa)、高侵襲性PCa、又は正常前立腺組織におけるNAMPTの免疫組織化学的(IHC)染色結果を示す。 正常前立腺組織における非常に低いNAMPT発現を示す代表的な顕微鏡写真である。 臓器限局性前立腺腺癌における、著しく増加したが中程度であるNAMPT発現を示す代表的な顕微鏡写真である。 平滑筋被膜の前立腺外空間への浸透及び浸潤を伴う2つの別個の前立腺腺癌における腫瘍細胞内の強いNAMPT発現を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 正常(良性の)前立腺組織又は臓器限定性及び被膜浸潤性疾患を有するPCa患者におけるNAMPT発現の累積分析を示すグラフである。*はp<0.05を示し、**はp<0.005を示す。 健常対照者、PCa患者、又はハイリスク被験者における血漿NAMPTレベルのグラフ表示である。 PCa患者(95%信頼区間(CI):22.4~41))、ハイリスク被験者(95%CI:15.9~19.5)、又は健常対照者(95%CI:12.3~17.5)の血漿NAMPTレベルを示すグラフである。 臓器限定性PCa(95%CI:17.6~21.8)又は前立腺外PCa(95%CI:23.1~52.1)の患者の血漿NAMPTレベルを示すグラフである。*はp<0.05を示し、***はp<0.001を示す。 重症複合免疫不全症(SCID)マウスで評価された、ヒトPCa細胞浸潤に対するヒト化抗NAMPTモノクローナル抗体(mAb)の効果を示す。 高転移性のヒトPCa細胞であるPC3の注射後のSCIDマウスにおける平滑筋層(浸潤部位:26、浸潤深さ:100μm)を介した癌細胞浸潤を伴う腹膜の重度散在を示す代表的な顕微鏡写真である。侵入細胞におけるNAMPT発現は著しく増加する。 図3Aに説明したものと同じSCIDマウスモデルを利用するが、異なる実験からの癌細胞浸潤の部位の拡大画像を提供する。 ヒト化抗NAMPT mAbの毎週の腹腔内(i.p.)注射を受けたPC3チャレンジSCIDマウスにおけるPC3細胞浸潤の阻害を示す代表的な顕微鏡写真である。 ヒト化抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が注射されたPC3チャレンジSCIDマウスにおける腫瘍浸潤パーセントを示すグラフである。 ヒト化抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が注射されたPC3チャレンジSCIDマウスにおける腫瘍浸潤深さ(μm)を示すグラフである。*はp<0.05を示す。 急性呼吸窮迫症候群(ARDS)及び他の急性炎症状態におけるNAMPT及び他の炎症性サイトカイン(IL-6、IL-8及びマクロファージ遊走阻害因子(MIF)など)の血漿レベルをグラフで表す。 COVID-19感染、ARDS又は外傷を有する患者、又は健常対照者(「Ctl」)における血漿NAMPTレベルを示すグラフである。 は、生存及び死亡したARDS患者におけるNAMPT、IL-6、IL-8及びMIFの血漿レベルを示すグラフであり、これらの炎症性サイトカインの血漿レベルをARDS死亡率に相関させるものである。***はp<0.001を示す。 健常対照者又は膵炎患者における血漿NAMPTレベルのグラフ表示である。 健常対照者又は膵炎患者における血漿NAMPTレベルを示すグラフである。 軽度、中程度又は重度の膵炎を有する患者における血漿NAMPTレベルを示すグラフである。 健常対照者又は敗血症患者における血漿NAMPTレベルのグラフ表示である。 健常対照者又は敗血症患者における血漿NAMPTレベルを示すグラフである。 敗血症性ショックを伴う又は伴わない敗血症患者における血漿NAMPTレベルを示すグラフである。***はp<0.001を示す。 ARDS死亡率指数と血漿NAMPTレベル、NAMPT SNP及び臨床共変量遺伝子型との相関を示すグラフである。 対照に対して正規化された、ARDSリスク及びARDS死亡率に対するNAMPT SNPの相関をグラフで表す。図8の左側パネルは、単一のNAMPT SNP(オッズ比:3.1)及び2つのNAMPT SNPハプロタイプ(オッズ比:7.7)とARDSリスクとの相関を示すグラフを提供する。図8の中央パネルは、単一のNAMPT SNP(オッズ比:1.3)及び2つのNAMPT SNPハプロタイプ(オッズ比:1.6)とARDS死亡率との相関を示すグラフを提供する。図8の右側パネルは、単一のNAMPT SNP(オッズ比:4.3)とARDS死亡率との相関を示すグラフを提供する。*はp<0.05を示す。 放射線誘発肺損傷(RILI)のマウスモデルで評価された、NAMPT発現に対する放射線の影響を示す。 非照射対照マウス(図9Aの左側パネル)又は20Gy放射線被曝の1週間後(図9Aの中央パネル)又は4週間後(図9Aの右側パネル)の照射RILIマウスの肺組織におけるNAMPTのIHC染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 放射線被曝の1週間後又は4週間後の照射マウスの肺組織におけるNAMPT発現(%面積)のグラフ表示である。陰性対照としてのグラフには、非照射マウスの肺組織におけるNAMPT発現が示される。 ヒト組織及び血液におけるNAMPT発現に対する放射線の影響を示す。 非照射(図10Aの左側パネル)の又は8Gy電離放射線(IR)に24時間被曝した(図10Aの右側パネル)ヒト扁桃上皮組織におけるNAMPTのIHC染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 対照被験者又は乳癌若しくは肺癌の放射線療法を受けている被験者におけるNAMPTの血漿レベルを示すグラフである。 対照被験者又は放射線性肺炎の患者におけるNAMPTの血漿レベルを示すグラフである。*はp<0.05を示す。 RILIのマウスモデルにおける(ヘマトキシリン・エオジン(H&E))染色で評価される)肺の炎症、気管支肺胞洗浄(BAL)タンパク質の量、及びBAL発現細胞の数を示す。 非照射対照マウス(図11Aの左側パネル)又は放射線被曝の1週間後(図11Aの左側パネル)又は4週間後(図11Aの右側パネル)の照射RILIマウスの肺組織におけるH&E染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 非照射対照マウス又は放射線被曝の1週間後又は4週間後の、照射RILIマウスの肺組織におけるH&E染色(%面積)のグラフ表示である。 非照射対照マウス又は放射線被曝の1週間後又は4週間後の照射RILIマウスの肺組織におけるBALタンパク質レベル(μg/ml)のグラフ表示である。 非照射対照マウス又は放射線被曝の1週間後又は4週間後の照射RILIマウスの肺組織におけるBAL発現細胞のグラフ表示である。 非照射対照マウス又は放射線被曝の1週間後又は4週間後の照射RILIマウスのRILI重症度スコアのグラフ表示である。 野生型(WT)及びNAMPTヘテロ接合型(Nampt+/-)マウスを利用したRILIのマウスモデルにおける(H&E染色で評価される)肺の炎症、BALタンパク質の量、及びBAL発現細胞の数を示す。 非照射(対照)WTマウス(図12Aの挿入図の左側パネル)、照射(RILI)WTマウス(図12Aの左側パネル)、又は照射(RILI)Nampt+/-マウス(図12Aの右側パネル)マウスの肺組織におけるH&E染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 非照射(対照)WTマウス、非照射(対照)Nampt+/-マウス、照射(RILI)WTマウス、又は照射(RILI)Nampt+/-マウスの肺組織におけるH&E染色(%面積)のグラフ表示である。 非照射(対照)WTマウス、非照射(対照)Nampt+/-マウス、照射(RILI)WTマウス、又は照射(RILI)Nampt+/-マウスの肺組織におけるBALタンパク質レベル(μg/ml)のグラフ表示である。 非照射(対照)WTマウス、非照射(対照)Nampt+/-マウス、照射(RILI)WTマウス、又は照射(RILI)Nampt+/-マウスの肺組織におけるBAL発現細胞のグラフ表示である。 非照射(対照)WTマウス、非照射(対照)Nampt+/-マウス、照射(RILI)WTマウス、又は照射(RILI)Nampt+/-マウスの急性肺損傷(ALI)重症度スコアのグラフ表示である。 RILIのマウスモデルで評価された、(H&E染色で評価される)肺の炎症、BALタンパク質の量、及びBAL発現細胞の数に対するNAMPT中和抗体の効果を示す。 非照射対照マウス(図13Aの挿入図の左側パネル)、又は放射線被曝後にビヒクル対照(図13Aの左側パネル)、抗NAMPTポリクローナル抗体(pAb)(図13Aの中央パネル)若しくは抗NAMPTモノクローナル抗体(mAb)(図13Aの右側パネル)が注射された照射RILIマウスの肺組織におけるH&E染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 非照射対照マウス又はビヒクル対照、抗NAMPT pAb又は抗NAMPT mAbが注射された照射RILIマウスの肺組織におけるH&E染色(%面積)のグラフ表示である。 非照射対照マウス又はビヒクル対照、抗NAMPT pAb又は抗NAMPT mAbが注射された照射RILIマウスの肺組織におけるBALタンパク質レベル(μg/ml)のグラフ表示である。 非照射対照マウス又はビヒクル対照、抗NAMPT pAb又は抗NAMPT mAbが注射された照射RILIマウスの肺組織におけるBAL発現細胞の数のグラフ表示である。 非照射対照マウス又はビヒクル対照、抗NAMPT pAb又は抗NAMPT mAbが注射された照射RILIマウスのALI重症度スコアのグラフ表示である。*はp<0.05を示す。 99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す。 非照射対照マウス(図14Aの左側パネル)又は8Gy部分照射に被曝した照射(RILI)マウス(PBI)(図14Aの右側パネル)における99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す代表的なオートラジオグラフ画像を提供する。 非照射対照マウス(図14Bの上側パネル)又は照射(RILI)マウス(図14Bの下側パネル)における99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す代表的なオートラジオグラフ画像を提供する。 非照射対照マウス又は照射(RILI)マウスの左肺及び右肺からの組織バックグラウンドに対する肺活動の比率のグラフ表示である。 非照射対照マウス又は照射(RILI)マウスの肺組織における放射能(%ID/g)のグラフ表示である。*はp<0.05を示す。 20Gy放射線被曝の18週間後のRILIのマウスモデルで評価された、BAL細胞数、コラーゲン沈着及び肺組織平滑筋アクチン(SMA)の発現に対するヒト化抗NAMPT mAbの効果を示す。 抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が腹腔内注射された照射RILIマウスの肺組織におけるBAL発現細胞の数を示すグラフである。 抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が腹腔内注射された照射RILIマウスの肺組織ホモジネートにおけるSMAの発現を示すウェスタンブロット分析からの代表的な画像を提供する。 抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が腹腔内注射された照射RILIマウスの肺組織における、トリクローム染色によって検出されたコラーゲン沈着を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。*はp<0.05を示す。 外傷(爆傷)/人工呼吸誘発性肺損傷(VILI)のラットモデルで評価された、炎症細胞浸潤、浮腫及び肺損傷スコアに対するヒト化抗NAMPT mAbの効果を示す。 ビヒクル対照が注射された外傷/VILIチャレンジラットの肺又は肺組織切片を示す代表的な画像及び顕微鏡写真を提供する。図16Aの左側パネルは、ビヒクル対照が注射された外傷/VILIチャレンジラットからの肺の代表的な画像を提供する。図16Aの中央パネル及び右側パネルは、ビヒクル対照が注射された外傷/VILIチャレンジラットにおける、H&E染色によって評価された、炎症細胞浸潤及び浮腫を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。図16Aの最も右側パネルの挿入図は、外傷/VILIでチャレンジされないラットの肺組織におけるH&E染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 抗NAMPT mAbが注射された外傷/VILIチャレンジラットの肺又は肺組織切片を示す代表的な画像及び顕微鏡写真を提供する。図16Bの左側パネルは、抗NAMPT mAbが注射された外傷/VILIチャレンジラットからの肺の代表的な画像を提供する。図16Bの中央パネル及び右側パネルは、抗NAMPT mAbが注射された外傷/VILIチャレンジラットにおける、H&E染色によって評価された炎症細胞浸潤及び浮腫を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 抗NAMPT mAb又はビヒクル対照が注射された外傷/VILIチャレンジラットの肺損傷スコアを示すグラフである。 マウスLPS/VILI肺損傷モデルで評価された、炎症細胞浸潤、浮腫及び肺損傷スコアに対するNAMPT中和抗体の効果を示す。 ビヒクル対照が注射されたLPS/VILIチャレンジマウスにおける、H&E染色によって評価された炎症細胞浸潤及び浮腫を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。図17Aの挿入図は、LPS/VILIでチャレンジされないマウスの肺組織におけるH&E染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 抗NAMPT mAbが注射されたLPS/VILIチャレンジマウスにおける、H&E染色によって評価された炎症細胞浸潤及び浮腫を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 抗NAMPT mAb、抗NAMPT pAb又はビヒクル対照(PBS)が注射されたLPS/VILIチャレンジマウスで評価されたALI重症度スコアを示すグラフである。図17Cのグラフは、LPS/VILIでチャレンジされない対照マウスのALI重症度スコアも示す。*はp<0.05を示し、***はp<0.001を示す。 99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す。 20Gyの全肺照射(WTLI)に被曝したマウスにおける99mTc標識抗NAMPT mAbプローブ(PRONAMPTOR)(図18Aの右側パネル)又は放射性標識IgG対照Ab(図18Aの左側パネル)によるNAMPT発現の検出を示す代表的なオートラジオグラフ画像を提供する。 LPSチャレンジ後の3時間でのLPSチャレンジマウス(図18Bの右側パネル)又は非チャレンジ対照マウス(図18Bの左側パネル)における99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す代表的なオートラジオグラフ画像を提供する。 LPSチャレンジ後の3時間でのLPSチャレンジマウスの肺(図18Cの下側パネル)又は非チャレンジ対照マウスの肺(図18Cの上側パネル)における99mTc標識抗NAMPT mAbプローブによるNAMPT発現の検出を示す代表的なオートラジオグラフ画像を提供する。 LPSチャレンジ後の3時間及び18時間でのLPSチャレンジマウスの肺組織又は非チャレンジ対照マウスの肺組織における、放射能(%ID/g)によって評価された放射性標識抗NAMPT mAbプローブの取り込みのグラフ表示である。*はp<0.05を示す。 特発性肺線維症(IPF)患者の肺組織におけるNAMPTのIHC染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。矢印は、IPF肺組織の線維性領域内の線維芽細胞におけるNAMPT発現を示す。上側パネルは4×倍率の顕微鏡写真を提供し、下側パネルは40×倍率の顕微鏡写真を提供する。 IPF患者の血漿及び肺組織におけるNAMPT発現を示す。 IPF患者又は健常対照者からの血漿サンプル中のNAMPTレベルのグラフ表示である。 死亡したIPF患者、生存しているIPF患者、治療されたIPF患者又は未治療のIPF患者からの血漿サンプル中のNAMPTレベルのグラフ表示である。 進行期のIPF患者又は初期のIPF患者から単離された線維芽細胞におけるNampt mRNAレベルのグラフ表示である。*はp<0.05を示す。 ブレオマイシンチャレンジWTマウス又はブレオマイシンチャレンジNampt+/-マウスの肺全体における線維症を示す可溶性コラーゲン(μg/肺)のグラフ表示である。グラフはまた、ブレオマイシンでチャレンジされない対照WTマウス又は対照Nampt+/-マウスの全肺可溶性コラーゲンを示す。*はp<0.05を示す。 肺動脈高血圧症(PAH)患者におけるNAMPT発現及びNAMPT SNPを示す。 特発性肺動脈高血圧症(IPAH)患者からの肺組織におけるNAMPTのIHC染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。図22Aの挿入図は、健常対照者からの肺組織におけるNAMPTのIHC染色を示す代表的な顕微鏡写真を提供する。 PAH患者、非PAHの肺疾患を有する患者、又は健常対照被験者から採取された血漿サンプル中のNAMPTレベルのグラフ表示である。 IPAH患者又は健常対照被験者(「Nor」)の肺組織におけるNAMPTの発現を示すウェスタンブロット分析からの代表的な画像を提供する。 NAMPTプロモータSNPと右心室(RV)指数との相関のグラフ表示である。 PAHのラットモノクロタリン(MCT)モデルで評価されたような、右心室収縮期圧(RVSP)及び肺動脈の厚さに対するヒト化抗NAMPT mAbの効果を示す。 抗NAMPT mAb又はビヒクル対照(対照MCTマウス)が注射されたMCTチャレンジラットにおけるRVSPのグラフ表示である。 抗NAMPT mAb(図23Bの右側パネル)又はビヒクル対照(図23Bの左側パネル)が注射されたMCTチャレンジラットにおけるH&E染色によって評価された肺動脈の厚さを示す代表的な顕微鏡写真を提供する。*はp<0.05を示す。
定義
本発明をより容易に理解できるようにするために、特定の用語を最初に定義する。なお、パラメータの値又は値の範囲が列挙されるたびに、列挙された値の中間の値及び範囲も本発明の一部であることに留意されたい。本明細書に使用された単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上、明らかに他のことを示さない限り、複数形も含むことに留意されたい。
本明細書において交換可能に使用された用語「一塩基多型」又は「SNP」は、ゲノム内の単一ヌクレオチド(又は他の共有配列)が種のメンバー間(又は個体の対合染色体間)で異なる場合に生じるDNA配列変異を指す。SNPは、生物のゲノムのコード領域又は非コード領域で発生する可能性がある。
本明細書において交換可能に使用された用語「NAMPT」又は「eNAMPT」は、非分泌型(例えば、細胞内NAMPT又はNAMPT核酸)に関連することが特に言及されない限り、分泌型のニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)を指す。分泌されたヒトNAMPT(ヒトeNAMPTとも呼ばれる)のアミノ酸配列は、配列番号1として以下に提供される(NCBI遺伝子参照番号NC_000007.14及びタンパク質参照番号NP_005737.1も参照)。
MNPAAEAEFN ILLATDSYKV THYKQYPPNT SKVYSYFECR EKKTENSKLR
KVKYEETVFY GLQYILNKYL KGKVVTKEKI QEAKDVYKEH FQDDVFNEKG
WNYILEKYDG HLPIEIKAVP EGFVIPRGNV LFTVENTDPE CYWLTNWIET
ILVQSWYPIT VATNSREQKK ILAKYLLETS GNLDGLEYKL HDFGYRGVSS
QETAGIGASA HLVNFKGTDT VAGLALIKKY YGTKDPVPGY SVPAAEHSTI
TAWGKDHEKD AFEHIVTQFS SVPVSVVSDS YDIYNACEKI WGEDLRHLIV
SRSTQAPLII RPDSGNPLDT VLKVLEILGK KFPVTENSKG YKLLPPYLRV
IQGDGVDINT LQEIVEGMKQ KMWSIENIAF GSGGGLLQKL TRDLLNCSFK
CSYVVTNGLG INVFKDPVAD PNKRSKKGRL SLHRTPAGNF VTLEEGKGDL
EEYGQDLLHT VFKNGKVTKS YSFDEIRKNA QLNIELEAAHH (配列番号1)
NAMPTは、プレB細胞コロニー増強因子(PBEF)又はビスファチンとも呼ばれる。
本明細書で使用された用語「ベースライン」は、参照又は対照測定、例えば、健康被験者(即ち、前立腺癌を患っていない被験者)又は無痛性前立腺癌を有する被験者からのNAMPT発現の対照レベルを指す。
本明細書で使用された「NAMPT阻害剤」又は「NAMPTの阻害剤」は、NAMPT活性を低減又は防止する薬剤を指す。いくつかの実施形態では、NAMPT阻害剤は、NAMPTに結合し、その結果、NAMPTの生物学的活性を阻害する。
本明細書で使用されるように、本明細書で交換可能に使用された用語「NAMPT抗体」又は「抗NAMPT抗体」又は「抗eNAMPT抗体」は、分泌型のNAMPT(本明細書においてeNAMPTとも呼ばれる)に特異的に結合する抗体を指す。好ましい実施形態では、抗体は、ヒトNAMPT(hNAMPT)に特異的に結合する。好ましくは、NAMPT抗体は、NAMPTの生物学的活性を阻害する。修飾されたNAMPT活性は、当技術分野で認められた技術を使用して直接測定されてもよく、改変された活性が下流に及ぼす影響によって測定されてもよいことが理解されたい。
本明細書で使用された用語「侵襲性前立腺癌」は、転移性前立腺癌又はグリーソン重症度スコアが7から10であると定義された前立腺癌を指す。
用語「無痛性前立腺癌」は、グリーソン重症度スコアが6以下の低悪性度の前立腺癌を指す。
本明細書で使用された用語「レベル」又は「量」は、バイオマーカーの測定可能な量、例えば、NAMPT発現のレベルを指す。量は、(a)単位体積又は細胞あたりの分子、モル又は重量で測定される絶対量、又は(b)例えば、デンシトメトリー分析によって測定された相対量のいずれかであってもよい。
本明細書で使用された用語「サンプル」は、被験者から採取された材料(例えば、類似の細胞又は組織の集合体)を指す。サンプルは、新鮮な、凍結された、及び/又は保存された器官又は組織サンプル、或いは生検又は吸引物からの固形組織;血液又は血液成分;或いは血液、血清、血漿、尿、唾液、汗、滑液などの体液であってもよい。いくつかの実施形態では、滑膜炎バイオマーカーは、血清サンプルから得られる。いくつかの実施形態では、軟骨分解バイオマーカーは、尿サンプルから得られる。
用語「患者」、「個人」又は「被験者」は、本明細書で交換可能に使用され、哺乳動物、特にヒトを指す。患者は、病気がなくてもよく、軽度、中程度、又は重度の疾患を有してもよい。患者は、治療未経験であることも、あらゆる形態の治療に反応することも、又は難治性であることもある。患者は、治療を必要とする個体、又は特定の症状又は家族歴に基づく診断を必要とする個体であってもよい。いくつかの実施形態では、被験者は、非侵襲性又は無痛性前立腺癌と診断された、以前に治療された、又はその症状を有するヒト被験者である。他の実施形態では、被験者は、前立腺癌と診断されていない、以前に治療されていない、又はその症状を有さない健康なヒト被験者である。更に別の実施形態では、被験者は、侵襲性前立腺癌と診断された、以前に治療された、又はその症状を有するヒト被験者である。
「治療する」又は「治療」又は「治療するため」又は「軽減する」又は「軽減するため」などの用語は、既存の診断された病的状態又は障害の症状を治し、遅延させ、軽減し、及び/又はその進行を停止又は遅らせる治療対策を指す。
「予防する」などの用語は、標的とする病的状態又は障害の発症を予防する予防的又はプリベンタティブ対策を指す。
用語「有効量」又は「治療有効量」は、本明細書で交換可能に使用され、特定の生物学的結果を達成するのに有効な薬剤の量を指す。このような結果は、NAMPTの発現又は活性、或いは当技術分野で適切な任意の手段によって決定されたNAMPTの下流にあるシグナル伝達分子の発現又は活性の阻害を含んでもよいが、これらに限定されない。
疾患/状態
NAMPT発現に関連する状態を発症するリスクを決定する方法が提供される。そのような状態を診断及び/又は治療する方法も提供される。いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、放射線誘発肺損傷(RILI)、肺高血圧症、又は肺線維症などの炎症状態である。いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、前立腺癌である。
ARDSは、肺の広範囲の炎症を特徴とする呼吸器障害である。症状は、息切れ、呼吸促迫、青みがかった皮膚の色、低血圧、錯乱、極度の倦怠感などを含む。理論に束縛されることなく、ARDSは、肺の血管から血液が酸素化された肺胞嚢に液体が漏れることによって引き起こされると考えられる(通常、保護膜がこの液体を血管内に保持する)。更に、そのような漏出は、敗血症、有害物質(例えば、煙、化学煙霧、溺水、嘔吐物吸引)の吸入、重度の肺炎、頭、胸、又はその他の重大な傷害(例えば、肺に損傷を与える転倒又は自動車事故)、コロナウイルス疾患2019(COVID-19)、膵炎、輸血、及び火傷の1つ以上によって引き起こされる可能性があると考えられる。ARDSに関連する有害な結果は、血栓、肺の虚脱(気胸)、感染症、瘢痕(肺線維症)、長期の呼吸障害(2か月以上、2年以上、又は生涯続く)、うつ病、記憶又は明瞭な思考の問題、倦怠感、及び筋力低下を含む。ARDSについては、Nature Reviews Disease Primers.5(18):1-22(2019)におけるMatthayらによる「急性呼吸窮迫症候群」で詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
RILIは、電離放射線への被曝の結果としての肺への損傷を特徴とする。症状は、呼吸困難、咳、発熱、胸痛の1つ以上を含む。理論に束縛されることなく、RILIは、直接的なDNA損傷、又は活性酸素種の生成という2つの主要なメカニズムのいずれか1つによって引き起こされると考えられる。RILIに関連する有害な結果は、肺炎、組織線維症、壊死、萎縮及び血管損傷を含む。RILIは、Frontiers in Oncology、9(Article 877):1-16(2019)におけるGiurannoらによる「放射線誘発肺損傷(RILI)」でより詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
肺高血圧症は、肺及び/又は心臓の右側の動脈に影響を与える高血圧の一種である。肺高血圧症の1つの形態である肺動脈性肺高血圧症では、肺の血管が狭くなるか、塞がれるか、又は破壊される。肺高血圧症の症状は、息切れ(呼吸困難)、疲労感、眩暈若しくは失神発作(失神)、胸部圧迫感若しくは疼痛、足首、脚、及び/又は腹部(腹水)の腫れ(浮腫)、唇及び/又は皮膚の青みがかった色(チアノーゼ)、及び/又は脈拍亢進又は心臓動悸を含む。理論に束縛されることなく、肺高血圧症は、遺伝子突然変異、やせ薬又はメタンフェタミンなどの違法薬物の使用、心臓の問題(例えば、先天性心疾患)、結合組織障害(例えば、強皮症、狼瘡など)、HIV感染、慢性肝疾患(肝硬変)、左側の心臓弁膜症、左下心腔の障害、慢性閉塞性肺疾患、肺線維症、閉塞性睡眠時無呼吸、高地への長期暴露、血液障害(例えば、赤血球増加症、本態性血小板血症)、炎症性疾患(例えば、サルコイドーシス、血管炎)、代謝障害(例えば、糖原病)、腎臓病、及び肺動脈を圧迫する腫瘍によって引き起こされると考えられる。肺高血圧症に関連する有害な結果は、心臓の肥大、心不全、血栓、不整脈、肺の出血及び妊娠合併症を含む。肺高血圧症は、CMAJ,188(11):804-812(2016)におけるHamblyらによる「肺高血圧症:診断アプローチ及び最適な管理」でより詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
肺線維症は、肺組織が損傷して瘢痕化したときに発生する肺疾患である。肺線維症は、肺の肺胞の周囲及び肺胞間の組織が肥厚して、血流中に酸素を通過させることが困難となることを特徴とする。肺線維症の症状は、呼吸困難、乾性咳、疲労感、不明な体重減少、筋肉及び関節の痛み、及び手や足の指先の広がりや丸み(ばち状指)を含む。理論に束縛されることなく、肺線維症は、職業的及び環境的要因(例えば、シリカ粉塵、アスベスト繊維、硬質金属粉塵、石炭粉塵、穀物粉塵、又は鳥/動物の糞への曝露)、放射線治療(例えば、肺又は乳癌の放射線療法)、薬物療法(例えば、メトトレキサート若しくはシクロホスファミドなどの化学療法薬、アミオダロンなどの心臓薬、及び/又はニトロフラントイン若しくはエタンブトールなどの抗生物質)、リツキシマブ若しくはスルファサラジンなどの抗炎症薬)、及び/又は病状(例えば、皮膚筋炎、多発性筋炎、混合性結合組織病、全身性エリテマトーデス、関節リウマチ、サルコイドーシス、強皮症、及び/又は肺炎)によって引き起こされると考えられる。肺線維症に関連する有害な結果は、肺高血圧症、肺性心、呼吸不全、肺癌、肺血栓、肺感染症及び肺の虚脱を含む。肺線維症については、J.Clin.Med.,7(8):1-21(2018)におけるBarattらによる「特発性肺線維症(IPF):概要」で詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
コロナウイルス疾患2019(COVID-19)は、コロナウイルス2(SARS-CoV-2)によって引き起こされる重症急性呼吸器症候群である。SARS-CoV-2は、直径が60nm~140nmで、9nm~12nmの範囲の特徴的なスパイクがあり、ビリオンに太陽コロナの外観を与える。コロナウイルスは、遺伝子組換え及び変異を介して新しい宿主に適応して感染することができる。SARS-CoV-2感染は、無症候性である可能性があり、或いは広範囲の症状を引き起こす可能性がある。例示的な症状は、発熱、咳、息切れ、脱力感、疲労感、吐き気、嘔吐、味覚及び嗅覚の変化などを含む。有害な結果は、広汎性血管内凝固症候群、炎症を起こした肺組織及び肺内皮細胞、深部静脈血栓症、肺塞栓症、血栓性動脈合併症(例えば、肢虚血、虚血性脳卒中、心筋梗塞)、敗血症及び多臓器不全を含む。SARS-CoV-2感染については、(2020年7月10日にオンラインで公開された)JAMA.doi:10.1001/jama.2020.12839におけるWiersingaらによる「コロナウイルス疾患の病態生理学、感染、診断及び治療2019(COVID-2019):レビュー」で詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
前立腺癌は、前立腺に発生する癌である。前立腺癌の症状は、排尿困難、尿の流れの力の低下、***中の血、骨盤領域の不快感、骨の痛み、及び***不全を含む。理論に束縛されることなく、前立腺癌は、異常細胞を蓄積して近傍組織に浸潤及び/又は体の他の部分に転移できる腫瘍を形成することにより、細胞を正常細胞よりも急速に成長させて***させる異常な細胞のDNAの変異によって引き起こされると考えられる。前立腺癌の有害な結果は、(例えば、血流又はリンパ系を介して)他の臓器又は骨への転移、失禁、及び***不全を含む。前立腺癌については、JAMA.317(24):2532-2542(2017)におけるLitwinらによる「前立腺癌の診断及び治療:レビュー」で詳しく説明され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
バイオマーカー、一塩基多型、及びそれらの使用
NAMPT発現に関連する状態を発症するリスクを決定する方法が提供される。そのような状態を診断する方法も提供される。いくつかの実施形態は、NAMPT関連状態の進行を決定することを含む。いくつかの実施形態は、NAMPT関連状態の治療の有効性を決定することを含む。
いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、放射線誘発肺損傷(RILI)、肺高血圧症又は肺線維症などの炎症状態である。いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、前立腺癌である。いくつかの実施形態では、被験者は無痛性前立腺癌を有し、より攻撃的な形態の前立腺癌を発症するリスクを有してもよい。
いくつかの実施形態は、サンプル中のNAMPTの有無を検出することを含む。いくつかの実施形態は、サンプル中のNAMPTのレベルを検出することを含む。いくつかの実施形態では、被験者は、サンプル中のNAMPTの存在又はレベル(例えば、増加したレベル)に基づいて、状態を有するか又は発症するリスクがあると決定される。いくつかの実施形態では、被験者は、サンプル中のNAMPTの欠如又は低レベルや低下したレベルに基づいて、状態を有さないか又は発症するリスクがないと決定される。
いくつかの実施形態は、サイトカインケモカイン(例えば、IL-6、IL-8、IL-1b、及び/又はIL-RA)などの1つ以上の追加のバイオマーカー、マクロファージ遊走阻止因子などの二重機能酵素、血管損傷マーカー(例えば、VEGRA、S1PR3、及び/又はアンジオポエチン2)、及び/又は終末糖化産物経路マーカー(例えば、HMGB1及び/又は可溶性RAGE)の有無又はレベルを検出することを含む。いくつかの実施形態は、前述のマーカーの1つ以上のレベル(例えば、上昇したレベル又は低下したレベル)に基づいて(例えば、NAMPTの有無又はレベルと組み合わせて)、被験者が状態を有するか又は発症する増加又は低下したリスクを決定することを含む。
一塩基多型(SNP)は、遺伝子プロモータ、エクソン、イントロン及び5’-及び3’-非翻訳領域(UTR)に存在し、様々なメカニズムによって遺伝子発現に影響を与える。ヒトNAMPT遺伝子のプロモータ領域に位置するSNPが提供される。
いくつかの実施形態では、以下のSNPのうちの1つ以上は、炎症状態又は前立腺癌(例えば、侵襲性前立腺癌)に関連する:rs7789066(位置:chr7:106287306(GRCh38.p12));rs116647506(位置:chr7:106287180(GRCh38.p12));rs61330082(位置:chr7:106286419(GRCh38.p12));rs114382471(位置:chr7:106286288(GRCh38.p12));rs9770242(位置:chr7:106285885(GRCh38.p12));rs59744560(位置:chr7:106285832(GRCh38.p12));rs190893183(位置:chr7:106285663(GRCh38.p12));及びrs1319501(位置:chr7:106285307(GRCh38.p12))。これらのSNP、及び様々な疾患のある被験者におけるこれらのSNPの存在を表1に示す。
Figure 2022544108000002
いくつかの実施形態は、rs7789066、rs116647506、rs61330082、rs114382471、rs9770242、rs59744560、rs190893183及びrs1319501からなる群から選択された2、3、4、5、6、7、又は8つのSNPを検出することを含む。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用されたSNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242及び/又はrs59744560である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載の方法で使用されたSNPは、rs116647560、rs114382471、rs190893183及び/又はrs1319501である。
理論に束縛されることなく、本明細書に記載のSNPは、炎症性シグナル伝達経路の調節不全(例えば、NFkB依存性炎症カスケード)を含む細胞プロセスの調節不全に寄与し、細胞の進行又は転移を引き起こし、炎症状態及び/又は癌(例えば、前立腺癌)をもたらす可能性があると考えられる。ヒトNAMPTのプロモータ領域内で発生するSNPは、NAMPTプロモータ活性の増加を引き起こすと考えられる。増加した活性は、NAMPTの発現の増加を引き起こし、続いて、NAMPTの血漿レベルの増加を引き起こす。NAMPTのレベルの可能な増加は、トール様受容体4(TLR4)を介して進化的に保存されたNFkB依存性炎症カスケードを活性化する。サイトカインの産生増強は、次いで、炎症性表現型又は浸潤性前立腺癌表現型への移行を増強して、被験者が炎症状態又は前立腺癌を発症するリスクを増加させる。NAMPTは、腫瘍/宿主のクロストークにも関与して、微小環境と前立腺癌の浸潤及び転移に影響を与える。
炎症状態(例えば、ARDS、RILI、肺高血圧症、又は肺線維症)又は侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法が提供される。いくつかの実施形態では、そのような被験者の同定は、炎症状態又は侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある可能性がある被験者からサンプルを採取し、続いてサンプル中の前述のSNPの少なくとも1つの有無について試験することを含む。いくつかの実施形態では、サンプル中の少なくとも1つのSNPの存在は、被験者が炎症状態を発症するリスクがあることを示す。いくつかの実施形態では、サンプル中の少なくとも1つのSNPの存在は、被験者が侵襲性前立腺癌を発症するリスクがあることを示す。
侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある可能性がある被験者の例は、無痛性前立腺癌を有する被験者である。したがって、無痛性前立腺癌を有する患者における本明細書に記載のSNPの同定は、患者が侵襲性前立腺癌を発症する可能性又はリスクがあるかを予測するために使用することができる。いくつかの実施形態では、rs7789066、rs116647506、rs61330082、rs114382471、rs9770242、rs59744560、rs190893183及びrs1319501からなる群から選択された2、3、4、5、6、7、又は8つのSNPの存在は、被験者が前立腺癌を有するか又は発症するリスクがあることを示す。いくつかの実施形態は、1つ以上のSNPの存在に基づいて、被験者が前立腺癌を有すると診断することを含む。
いくつかの実施形態では、無痛性前立腺癌は散発性又は遺伝性である。遺伝性前立腺癌では、アフリカ系又はヨーロッパ系の被験者は、前立腺癌を発症するリスクが高い。
いくつかの実施形態では、サンプルからのNAMPTのプロモータ要素における少なくとも1つのSNPの検出は、SNPジェノタイピングによって達成することができる。一般に、SNPジェノタイピングは、例えば、被験者から生物学的サンプル(例えば、生検された組織、細胞、体液、分泌物などのサンプル)を収集するステップと、サンプルの細胞から核酸(例えば、ゲノムDNA、mRNA又はその両方)を単離するステップと、標的核酸領域のハイブリダイゼーション及び増幅が起こるような条件下で、標的SNPを含む単離された核酸の領域に特異的にハイブリダイズする1つ以上のプライマーと核酸とを接触させるステップと、目的のSNP位置に存在するヌクレオチドを決定するか、又は一部のアッセイ(特定のSNP対立遺伝子が存在するか、又は存在しない場合にのみ、ハイブリダイゼーション及び/又は増幅が起こるようにアッセイが設計され得る)では、増幅産物の有無を検出するステップと、を含む。SNPジェノタイピングは、ホモ接合型又はヘテロ接合型のSNPSを同定することができる。本明細書に記載の方法のいくつかの実施形態では、少なくとも1つのSNPはホモ接合型である。他の実施形態では、少なくとも1つのSNPはヘテロ接合型である。
SNPを検出する他の方法は当技術分野で知られており、本発明の方法に適用することができる。例えば、1つ以上のSNPのヌクレオチド出現を同定するために使用できる市販のアッセイシステムは、SNP-IT(登録商標)アッセイシステム(Orchid BioSciences,Inc.;Princeton N.J.)である。一般的に、SNP-IT(登録商標)法は3段階のプライマー伸長反応である。最初の段階では、標的核酸分子が、捕捉プライマーへのハイブリダイゼーションによりサンプルから単離されることにより、第1のレベルの特異性を提供する。第2の段階では、捕捉プライマーが、標的SNPサイトの終結ヌクレオチド三リン酸から伸長することにより、第2のレベルの特異性を提供する。第3の段階では、伸長されたヌクレオチド三リン酸は、例えば、直接蛍光、間接蛍光、間接比色分析、質量分析又は蛍光偏光などの様々な既知の形式を使用して検出され得る。反応は、SNPstream(登録商標)装置(Orchid BioSciences,Inc.)を使用して、自動形式の384ウェル形式で容易に処理され得る。
被験者から採取されたサンプルからの核酸サンプルは、当業者に公知の方法で、目的のSNPの存在及び同一性を決定するためにジェノタイピングされ得る。隣接する配列は、キット形式で任意に実装されたオリゴヌクレオチドプローブなどのSNP検出試薬を設計するために使用され得る。例示的なSNPジェノタイピング方法は、Pharmacogenomics J.2003;3(2):77-96におけるChen etらによる「一塩基多型のジェノタイピング:生化学、プロトコル、コスト、及びスループット」、Curr IssuesMol.Biol.2003年4月;5(2):43-60におけるKwokらによる「一塩基多型の検出」、Am J Pharmacogenomics.2002;2(3):197-205におけるShiによる「個々のジェノタイピングのための技術:薬物標的及び疾患遺伝子における遺伝子多型の検出」、及びAnnu Rev Genomics Hum Genet 2001;2:235-58におけるKwokによる「一塩基多型のジェノタイピングの方法」に記載されている。ハイスループットSNPジェノタイピングの例示的な技術は、Curr Opin Drug DiscovDevel.2003年5月;6(3):317-21におけるMarnellosによる「遺伝的関連研究のためのハイスループットSNP分析」に記載されている。一般的なSNPジェノタイピング方法には、TaqManアッセイ、分子ビーコンアッセイ、核酸アレイ、対立遺伝子特異的プライマー伸長、対立遺伝子特異的PCR、配列プライマー伸長、ホモジニアスプライマー伸長アッセイ、質量分析による検出を伴うプライマー伸長、パイロシーケンシング、遺伝子アレイでソートされた多重スプライマー伸長、ローリングサークル増幅を伴うライゲーション、均質ライゲーション、OLA(米国特許第4,988,167号)、遺伝子アレイでソートされた多重ライゲーション反応、制限酵素断片長多型、単一塩基伸長タグアッセイ、及びインベーダーアッセイが含まれるが、これらに限定されない。このような方法は、例えば、発光又は化学発光検出、蛍光検出、時間分解蛍光検出、蛍光共鳴エネルギー移動、蛍光分極、質量分析及び電気的検出などの検出メカニズムと組み合わせて使用されてもよい。多型を検出する様々な方法には、切断剤からの保護を利用してRNA/RNA又はRNA/DNA二重鎖のミスマッチの塩基を検出する方法(Myersら、Science 230:1242(1985);Cottonら、PNAS 85:4397(1988);及びSaleebaら、Meth.Enzymol.217:286-295(1992))、変異型及び野生型核酸分子の電気泳動移動度を比較する方法(Oritaら、PNAS 86:2766(1989);Cottonら、Mutat.Res.285:125-144(1993);及びHayashiら、Genet.Anal.Tech.Appl.9:73-79(1992))、及び変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)を使用して、変性剤の勾配を含むポリアクリルアミドゲルにおける多型又は野生型フラグメントの移動をアッセイする方法(Myersら、Nature 313:495(1985))が含まれるが、これらに限定されない。特定の場所での配列の変化は、RNase及びSI保護などのヌクレアーゼ保護アッセイ又は化学的切断法によっても評価され得る。
いくつかの実施形態では、NAMPTプロモータ配列中のSNPを検出することは、被験者からのサンプルを、SNPを含むヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと接触させること、及びオリゴヌクレオチドプローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することを含む。ある実施形態では、SNPを含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、SNPを取り囲む各側に100~500(例えば、100、125、150、175、200、225、250、275、300、325、350、375、400、425、450、475、又は500)塩基対を含む。例えば、SNPを含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブは、SNPを取り囲む各側に200塩基対を含み得る。特定の実施形態では、配列番号18に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs7789066を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号19に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs61330082を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号20に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs9770242を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、配列番号21に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs59744560を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズし、及び/又は配列番号22に示されたヌクレオチド配列を含むオリゴヌクレオチドプローブは、rs1319501を含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズする。SNPを含むヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズできる例示的なオリゴヌクレオチドプローブは、以下の表2に提供される:
Figure 2022544108000003

Figure 2022544108000004
いくつかの実施形態では、SNPジェノタイピングは、5’ヌクレアーゼアッセイとしても知られたTaqManアッセイを使用して実施される(米国特許第5,210,015号及び第5,538,848号)。TaqManアッセイは、PCR中に特定の増幅産物の蓄積を検出する。TaqManアッセイは、蛍光レポーター色素とクエンチャー色素で標識されたオリゴヌクレオチドプローブを利用する。レポーター色素は、適切な波長での照射によって励起され、蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)と呼ばれるプロセスを介して同じプローブ内のクエンチャー色素にエネルギーを伝達する。プローブに結合する場合、励起されたレポーター色素はシグナルを発する。無傷プローブのクエンチャー色素がレポーター色素に近接すると、レポーターの蛍光が減少する。レポーター色素とクエンチャー色素は、それぞれ5’最末端と3’最末端にある場合があり、その逆の場合もある。或いは、レポーター色素は、クエンチャー色素が内部ヌクレオチドに結合している間、5’又は3’最末端にある場合があり、その逆の場合もある。更に別の実施形態では、レポーター及びクエンチャーの両方は、レポーターの蛍光が低減されるように、互いに離れた位置で内部ヌクレオチドに結合してもよい。PCR中、DNAポリメラーゼの5’ヌクレアーゼ活性がプローブを切断することで、レポーター色素とクエンチャー色素を分離し、レポーターの蛍光を増加させる。PCR産物の蓄積は、レポーター色素の蛍光の増加を監視することにより直接検出される。DNAポリメラーゼは、プローブがPCR中に増幅された標的SNP含有テンプレートにハイブリダイズする場合にのみ、レポーター色素とクエンチャー色素との間にプローブを切断し、プローブは、特定のSNP対立遺伝子が存在する場合にのみ、標的SNPサイトにハイブリダイズするように設計される。この方法のいくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光部分及び蛍光消光剤を含む、二重標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む。
好ましいTaqManプライマー及びプローブ配列は、本明細書で提供されたSNP及び関連する核酸配列情報を使用して容易に決定され得る。Primer Express(Applied Biosystems、Foster City、Calif.)などの多くのコンピュータプログラムを使用して、最適なプライマー/プローブセットを迅速に採取することができる。当業者には明らかなように、本発明のSNPを検出するためのそのようなプライマー及びプローブは、癌、特に前立腺癌を含む様々な障害の予後アッセイに有用であり、キット形式に容易に組み込まれ得る。本発明はまた、分子ビーコンプローブ(米国特許第5,118,801号及び第5,312,728号)及び他の変異体形式(米国特許第5,866,336号及び第6,117,635号)の使用などの当技術分野で周知のTaqmanアッセイの改変を含む。
SNPはまた、ミスマッチ検出技術を使用して検出されてもよく、この技術は、リボプローブを使用するRNase保護法(Winterら、Proc.Natl.AcadSci.USA82:7575,1985;Meyersら,Science230:1242,1985)と、大腸菌mutSタンパク質などのヌクレオチドミスマッチを認識するタンパク質(Modrich、P.Ann.Rev.Genet.25:229-253,1991)を含むが、これらに限定されない。或いは、SNPは一本鎖高次構造多型(SSCP)分析(Oritaら、Genomics 5:874-879,1989;Humphriesら、Molecular Diagnosis of Genetic Diseases,R. Elles,ed.,pp.321-340,1996)、又は変性剤濃度勾配ゲル電気泳動(DGGE)(Wartellら、Nucl. Acids Res.18:2699-2706,1990;Sheffieldら、Proc.Nat.Acad.Sci.USA 86:232-236,1989)によって同定され得る。
いくつかの実施形態では、本明細書に記載のSNPは、質量分析に基づく方法を使用して検出され得る。質量分析は、DNAの4つのヌクレオチドのそれぞれの固有の質量を利用する。SNPは、SNPを欠く対照被験者からのサンプルと比較して、SNPを有する核酸の質量の差を測定することにより、質量分析によって明確に検出され得る。MALDI-TOF(マトリックス支援レーザー脱離イオン化-飛行時間)質量分析技術は、SNPなどの分子量の非常に正確な測定に適する。質量分析に基づいて、SNP分析への多くのアプローチが開発されている。SNPジェノタイピングの好ましい質量分析ベースの方法は、従来のゲルベースのフォーマットやマイクロアレイなどの他のアプローチと組み合わせて利用され得たプライマー伸長アッセイを含む。
SNPジェノタイピングは、多くの用途に有用であり、これらの用途は、SNP疾患関連分析、疾患素因スクリーニング、疾患診断、疾患予後、疾患進行モニタリング、個人の遺伝子型に基づく治療戦略の決定、疾患又は薬物に反応する可能性に関連するSNP遺伝子型に基づく効果的な治療薬(例えば、抗eNAMPT抗体)の開発、及び治療レジメンの臨床試験のための患者集団の層別化を含むが、これらに限定されない。
治療方法
NAMPT発現に関連する状態を有するか又は発症するリスクのある被験者を治療する方法も提供される。いくつかの実施形態は、NAMPT発現に関連する状態を有するか又は発症するリスクのある被験者を同定すること、及び状態の発症又は進行を予防又は低減するように被験者を治療することを含む。いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、急性呼吸窮迫症候群(ARDS)、放射線誘発肺損傷(RILI)、肺高血圧症、又は肺線維症などの炎症状態である。いくつかの実施形態では、NAMPT関連状態は、前立腺癌である。
いくつかの実施形態では、被験者は、(例えば、NAMPTのレベルを低下させ、及び/又はNAMPT活性を低下させるために)被験者にNAMPT阻害剤を投与することにより治療される。いくつかの実施形態では、NAMPT阻害剤は、抗NAMPT抗体である。例示的な抗NAMPT抗体は、以下の表3に記載された、Ab1及びAb2、又はそれらの抗原結合部分を含む。
Figure 2022544108000005
いくつかの実施形態では、ARDS治療は、肺保護換気、呼吸補助(例えば、酸素補給、陽圧換気)、流体、栄養補給剤、抗菌剤、ステロイド(例えば、メチルプレドニゾロンなどの糖質コルチコイド)、肺血管拡張薬(例えば、一酸化窒素、プロスタグランジン)、β-アドレナリン作動薬、プロスタグランジンE、活性化プロテインC、抗酸化剤、オメガ3脂肪酸、ケトコナゾール、リソフィリン、組換えヒト因子VIIa、IFNβ1α、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子及びスタチンの1つ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、上記の治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
RILIの治療は、放射線防護剤(例えば、アミフォスチン、マンガンスーパーオキシドジスムターゼ-プラスミドリポソームなどの人工ナノ粒子、ゲニスタイン、ベルベリン及び/又はペントキシフィリン)、放射線緩和剤(例えば、メチルプレドニゾン、ACE(アンジオテンシン変換酵素)阻害剤、アンジオテンシン-2拮抗薬、クルクミン及び/又はケラチノサイト成長因子などの成長因子)の1つ以上の投与と、細胞ベースの治療法(例えば、骨髄由来間葉系幹細胞及び/又は人工多能性幹細胞)とを含む。いくつかの実施形態では、上記治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
肺高血圧症の治療は、血管拡張薬、抗凝固剤(例えば、ワルファリン)、利尿薬、酸素、ジゴキシン、内皮受容体拮抗薬(例えば、ボセンタン、アンブリセンタン及び/又はマシテンタン)、ホスホジエステラーゼ5阻害剤(例えば、シルデナフィル及び/又はタダラフィル)、プロスタグランジン(例:エポプロステノール、イロプロスト及び/又はトレプロスチニル)、可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬(例、リオシグアト)、及びカルシウムチャネル遮断剤(例えば、ニフェジピン、ジルチアゼム、ニカルジピン及び/又はアムロジピン)の1つ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、上記治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
肺線維症の治療は、免疫抑制剤(例えば、プレドニゾロン及び/又はアザチオプリン)、抗酸化剤(例えば、N-アセチルシステイン)、抗線維薬(例えば、ピルフェニドン及び/又はニンテダニブ)、制酸薬、酸素、結合組織成長因子(CTFG)阻害剤、αvβ6インテグリン阻害剤、オートタキシン阻害剤、IL-13阻害剤及びガレクチン-3阻害剤の1つ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、上記治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
COVID-19の治療は、ACE阻害剤、アンジオテンシン受容体遮断剤、レムデシビル、酸素、PIKfyveキナーゼ阻害剤(例:apilimod)及びシステインプロテアーゼ阻害剤(例えば、MDL-28170、Z LVG CHN2、VBY-825及び/又はONO5334)の1つ以上の投与を含む。いくつかの実施形態では、上記治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
前立腺癌の治療は、手術(例えば、前立腺若しくは睾丸の切除又は癌細胞を殺すための凍結手術)と、放射線療法(例えば、外部ビーム放射線及び/又は近接照射療法)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)アゴニスト(例えば、リュープロレリン、ゴセレリン、トリプトレリン及び/又はヒストレリン)などのホルモン療法、又は体がテストステロン(例えば、ケトコナゾール及び/又はアビラテロン)を産生するのを防ぐ他の薬物療法、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド及び/又はエンザルタミド)、化学療法、及び生物学的療法(例えば、シプロイセルT)の1つ以上の投与と、を含む。いくつかの実施形態では、上記治療法の1つ以上は、1つ以上のeNAMPT阻害剤(例えば、抗体)と組み合わせて投与される。
以下の実施例は、本開示の組成物及び方法を更に説明及び実証する。実施例は、いかなる方法でも開示を制限することを意図するものではない。他の態様は、当業者には明らかであろう。例えば、本明細書の各例において、用語「含む」、「本質的に~からなる」及び「からなる」のいずれかを、他の2つの用語のいずれかで置き換えることができ、更に、本明細書に開示された特徴を参照して、任意の用語を使用することができる。
実施例1.前立腺癌に関連するSNPの同定
NAMPTプロモータSNPは、前立腺癌のリスク及び/又は重症度が高い患者を同定するために使用される指標として同定される。
12つのNAMPT SNPは、著しく過剰表現されたアフリカ系の数人で、前立腺癌の進行のリスクを評価するためにレビュー及び改良された。ARDSの感受性及び死亡率に寄与するNAMPT SNPも同定された。SNPは、rs7789066(位置:chr7:106287306(GRCh38.p12))、rs116647506(位置:chr7:106287180(GRCh38.p12))、rs61330082(位置:chr7:106286419(GRCh38.p12))、rs114382471(位置:chr7:106286288(GRCh38.p12))、rs9770242(位置:chr7:106285885(GRCh38.p12))、rs59744560(位置:chr7:106285832(GRCh38.p12))、rs190893183(位置:chr7:106285663(GRCh38.p12))、及びrs1319501(位置:chr7:106285307(GRCh38.p12))である。
これらのNAMPT SNPは、低酸素誘導転写因子HIF2αによる重要な関与と、-1535Gではなく、ARDSの保護SNPであるNAMPTプロモータSNP -948T、-1001G及び-2422Gによる大きな影響と伴い、ARDS感受性に寄与し、その後、機械的ストレスと、低酸素とに応答して、NAMPTプロモータ活性を複製及び変化させる。正常な前立腺細胞(RWPE-1)及びPCa細胞(PC3、DU-145)における基礎及び放射線誘発NAMPTプロモータ活性を評価した。基礎NAMPTTプロモータ活性は、正常な前立腺細胞よりも前立腺癌細胞の方が著しく大きく、放射線(8Gy、4hrs)により更に増大した。これは、活性酸素種に応答してNAMPT発現を刺激して前立腺癌の進行を促進する潜在的なメカニズムを示す。
実施例2.侵襲性前立腺癌のリスクを同定するためのNAMPTジェノタイピング及び血漿eNAMPTアッセイ
この実施例は、侵襲性前立腺癌のバイオマーカーとしてのNAMPTプロモータSNP及び/又は増加したeNAMPTの血漿レベルを示す。eNAMPTレベルの上昇及び/又はNAMPT SNPの存在が前立腺癌の死亡率及び疾患の進行の増加に関連することを実証するために、NAMPTジェノタイピングアッセイパネルと、前立腺生検結果、PSAレベル、骨スキャン及びMRI前立腺イメージングを含む表現型情報を含む、以前に前立腺癌臨床試験に登録された被験者からのバイオバンク標本における血漿ベースのeNAMPTELISA値とを評価する。被験者は第II/III相PCa研究に登録され、前立腺癌の生検が最初に陰性である166人の個体と、3~5年間に採取された約20つの血漿サンプルとを含む。このコホートの半分以上(55%)は、最終的に生検により証明された前立腺癌を発症するため、NAMPT SNP及びeNAMPTレベルがPCaのリスク及び進行を予測するかを決定するための貴重な標本セットを提供する。アフリカ系アメリカ人の被験者から得られたペアのDNAと複数の血漿サンプルとの第2のセットを評価して前立腺癌の進行及び致死性をもたらす疾患予測因子を決定する。
実施例3.ヒト浸潤性PCaにおけるNAMPT発現
PCaの浸潤性及び進行に対するNAMPTの役割を評価するために、PCa組織においてNAMPT発現を研究した。正常前立腺組織、前立腺に限局し被膜浸潤を伴わない前立腺腺癌(即ち、臓器限定性PCa)、及び前立腺外脂肪組織(即ち、浸潤性PCa)への被膜浸潤を伴う前立腺腺癌における免疫組織化学的(IHC)染色によってNAMPTの発現を評価した。代表的な顕微鏡写真は、図1A~1Cに提供される。図1Dは、図1A~1Cの顕微鏡写真から評価されたNAMPT染色をまとめたものである。
正常な組織及びPCa組織のIHC分析によれば、正常前立腺組織におけるNAMPT発現の事実上の欠如(図1A~1D)と、前立腺に限局し被膜浸潤を伴わない前立腺腺癌におけるNAMPTのかなりの発現(図1B及び1D、p<0.05)が示された。対照的に、前立腺外脂肪組織への被膜浸潤を伴う前立腺腺癌は、著しく強いNAMPT染色を示した(図1C及び1D、p<0.05)。
PCA浸潤性及び進行におけるNAMPTの役割を更に評価するために、健常対照者、PCa患者、及び上昇したPSAレベルを示すが前立腺生検で陰性であるハイリスク被験者から得られた血漿サンプルにおいて、ELISAによって細胞外NAMPT発現を評価した。分析の結果を図2Aに示す。図2Aに示すように、PCa患者は、ハイリスク被験者よりNAMPT血漿レベルが高かった(p<0.05)。また、PCa患者及びハイリスク患者のNAMPT血漿レベルは、健常対照者からのものと比較した場合に高いことが分かった(p<0.05)。更に、臓器限定性PCa(又は非浸潤性PCa)の患者と前立腺外PCa(又は浸潤性PCa)の患者のNAMPT血漿レベルを比較した。比較分析は、図2Bに示すように、臓器限定性又は非浸潤性PCaの患者と比較して、前立腺外又は浸潤性PCaの患者のNAMPT血漿レベルが著しく高かったことを示す。
したがって、図1A~1D、2A、及び2Bに概説した結果は、浸潤性PCaにおけるNAMPTの発現の増加を示し、PCaの浸潤性におけるNAMPTの重要な役割を強調する。
実施例4.PCa細胞浸潤に対するヒト化抗NAMPT抗体の効果
前述の例で概説した結果は、PCaの浸潤性におけるNAMPTの役割を示し、浸潤性PCaの潜在的な治療標的としてのNAMPTを強調する。浸潤性PCaの治療標的としてのNAMPTの役割を更に検証するために、PCa細胞浸潤に対するヒト化抗NAMPTモノクローナル抗体(mAb)の効果を評価した。そのために、重症複合免疫不全症(SCID)マウス中のヒトPCa細胞の腹膜浸潤を評価した。
まず、転移性ヒトPCa細胞PC3をSCIDマウスに腹腔内注射(I.P.)した。具体的な実験では、マウスに2μgのヒト化抗NAMPT mAb又はビヒクルのみを週に2回注射した。PC3細胞注射の6週間後にPC3細胞の腹膜浸潤を評価した。代表的な顕微鏡写真を図3A~3Cに示し、結果のグラフ要約を図3D及び3Eに示す。
図3A~3Cに示すように、ヒトPCa細胞株の注射により、浸潤癌細胞内の顕著なNAMPT染色に関連する実質的な腹膜筋浸潤を引き起こし(図3A及び3B)、これに対して、ヒト化抗NAMPT mAbが投与されたPC3チャレンジSCIDマウスは、平滑筋腹膜へのPC3浸潤の著しい減少を示した(図3C)。図3D及び3Eにまとめたように、ヒト化抗NAMPT mAbが投与されたPC3チャレンジSCIDマウスは、著しく低下した腫瘍浸潤率(図3D、p<0.05)及び腫瘍浸潤深度(図3E、p<0.05)を示した。
したがって、この研究からの観察は、PCa細胞の浸潤性におけるNAMPTの役割と、この浸潤性の挙動を緩慢にするためのヒト化抗NAMPT抗体の重要な可能性を強く示唆する。
実施例5.ヒトARDSの診断/予後バイオマーカーとしての血漿NAMPTレベル
血漿サンプルは、COVID-19感染、ARDS又は外傷を有する患者、又は健常対照者(「Ctl」)から得られ、血漿サンプル中のNAMPTレベルはELISAによって評価された。結果は、図4Aに示すように、COVID-19感染、ARDS又は外傷などの急性炎症状態を有する患者の血漿NAMPTレベルが、健常対照者の血漿NAMPTレベルと比較して著しく高かった(p<0.001)ことを示す。次に、生存及び死亡したARDS患者におけるNAMPT、及びIL-6、IL-8、マクロファージ遊走阻害因子(MIF)などの他の炎症性サイトカインの血漿レベルを評価して、これらの炎症性サイトカインの血漿レベルとARDS死亡率との相関を評価した。この結果は、図4Bに示すように、死亡したARDS患者におけるNAMPT、及びIL-6、IL-8、MIFなどの他の炎症性サイトカインの血漿レベルが高いことを示し、これによって、これらのサイトカインのより高い血漿レベルは、ARDS死亡率と関連することを示す。
したがって、その結果は、ARDS及び他の急性炎症状態におけるNAMPT発現の調節不全を示し、これによって、ARDSにおける診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を示す。
実施例6.膵炎の診断/予後バイオマーカーとしての血漿NAMPTレベル
実施例5は、ARDS及び他の炎症状態の診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTを確立する。膵臓の実質性炎症を特徴とする状態である膵炎がARDSに関連することが多いという事実を考慮すると、膵炎の診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を評価した。
そのために、まず、膵炎患者及び健常対照者から得られたサンプルにおいて、ELISAによってNAMPT血漿レベルを評価した。結果は、図5Aに示すように、健常対照者と比較して、膵炎患者の血漿NAMPTレベルが著しく高かった(p<0.0001)ことを示し、これによって、膵炎におけるNAMPT発現の調節不全を示す。次に、軽度、中程度、又は重度膵炎患者から得られたサンプルにおいて、ELISAによってNAMPT血漿レベルを評価した。図5Bに示すように、軽度膵炎患者と比較して、中程度膵炎患者は、血漿NAMPTレベルが著しく高かったが、重度膵炎患者は血漿NAMPTレベルが更に高いことを示した。したがって、図5Bは、膵炎の重症度の増加に伴う血漿NAMPTの増加を示す。
したがって、図5A及び5Bに概説した結果は、膵炎の病因及び進行におけるNAMPTの役割を実証し、膵炎及び膵炎関連ARDSの診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を強調する。
実施例7.敗血症の診断/予後バイオマーカーとしての血漿NAMPTレベル
実施例5は、ARDSにおける診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTを確立する。重症敗血症がARDSの最も一般的な病因であるという事実を考慮すると、敗血症の診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を評価した。
健常対照者又は敗血症患者から得られたサンプルにおいて、ELISAによってNAMPT血漿レベルを評価した。図6Aに示すように、健常対照者と比較して、敗血症患者は、血漿NAMPTレベルが著しく高かった(p<0.0001)ことを示し、これによって、敗血症におけるNAMPT発現の調節不全を示す。次に、敗血症性ショックの有無にかかわらず敗血症患者から得られたサンプルにおいて、ELISAによってNAMPT血漿レベルを評価した。図6Bに示すように、敗血症性ショックのない敗血症患者と比較して、敗血症性ショックのある敗血症患者は、血漿NAMPTレベルが著しく高かった。これらの結果は、敗血症の重症度の増加に伴う血漿NAMPTレベルの増加を示す。したがって、データは、敗血症の病因及び進行におけるNAMPTの役割を実証し、敗血症及び敗血症誘発性ARDSの診断/予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を強調する。
実施例8.NAMPTの遺伝的変異によるARDS重症度の予測
遺伝子の一塩基多型(SNP)は、NAMPTなどのサイトカインを調節する。あるSNPの存在は、細胞外NAMPTの存在を示す。前述の例では、血漿NAMPTをARDSの診断/予後バイオマーカーとして確立したので、遺伝子内のある(SNP)の検出及び測定を使用してNAMPTを検出し、ARDSのリスクに相関させるかを評価した。そのために、ARDS患者又は健常対照者からのDNAサンプルは、NAMPTプロモータに関連するあるSNPについて評価された。
図7に示すように、NAMPT SNP rs61330082及びrs9770242は、より高い血漿NAMPTレベル及びより高いARDS死亡率と関連することが見出された。更に、ARDS死亡率指数は、血漿NAMPTレベル、NAMPT SNP及び臨床共変量遺伝子型を統合することが見出された。したがって、図7に記載された結果は、NAMPT遺伝子型がより高い血漿NAMPTレベル及びより高いARDS死亡率を効果的に予測できることを実証する。
更に、NAMPTシークエンシングにより、アフリカ系の被験者に過剰発現されたSNPを含む、ARDSを発症するリスクが高い5つのSNPを同定した。NAMPT SNPとARDSリスク及びARDS死亡率との相関を確立するために、単一のNAMPT SNP及び2つのNAMPT SNPを有するARDS患者を、NAMPT SNPを有さない対照ARDS患者(即ち、野生型NAMPT対立遺伝子を有するARDS患者)と比較した。結果は、図8に記載される。図8に示すように、NAMPT SNPは、対照者におけるARDSリスク及びARDS死亡率との著しい相関を示した(p<0.05)。また、2つのNAMPT SNPを有するハプロタイプは、単一のNAMPT SNPを有するハプロタイプと比較して、ARDSリスク(図8の左側パネル)及びARDS死亡率(図8の中央パネル)との高い相関を示した。したがって、図8に記載された結果は、「ハイリスク」NAMPT遺伝子型(SNP)がARDSリスクとARDSの重症度及び死亡率とを効果的に予測できることを実証する。
したがって、NAMPT遺伝的変異(SNP)は、NAMPT血漿レベル、最終的にはARDSリスク及びARDS死亡率を予測するのに効果的である。
実施例9.放射線性肺炎のインビボモデルを使用したNAMPT発現に対する放射線の影響の評価
RILIにおけるNAMPTの役割を評価するために、NAMPT発現に対する放射線の影響を研究した。そのために、WT C57/B6マウスを20Gyの全胸肺照射(WTLI)に被曝し、4週間にわたって所定の時点で評価した。結果は、図9に記載される。
図9Aに示すように、対照マウス(図9Aの左側パネルに示された非照射マウス)と比較して、WTLIに被曝したWTマウスは、特に肺胞マクロファージ及び上皮細胞におけるNAMPT発現の増加と、20Gy WTLIの1週間後(図9Aの中央パネル)及び4週間後(図9Aの右側パネル)の炎症、血管漏出及び炎症性肺損傷の増加とを示した。図9Bは、IR被曝の1週間後及び4週間後のWTLI被曝マウスの肺組織、又は対照マウス(非照射マウス)の肺組織におけるNAMPT染色をまとめたものである。
したがって、その結果は、放射線誘発性のNAMPT発現の増加を示し、これによって、RILIの病因におけるNAMPTの役割と、RILIのバイオマーカーとしてNAMPTを使用する可能性を示す。
実施例10.ヒト組織及び血液におけるNAMPT発現に対する放射線の影響
RILIにおけるNAMPTの役割を更に調査するために、ヒト組織及び血液におけるNAMPT発現に対する放射線の影響を調査した。結果は、図10A~Cに記載される。
NAMPT発現に対する放射線の影響を評価するために、ヒト扁桃上皮組織を8Gy電離放射線(IR)に24時間被曝した。図10Aに示すように、ヒト扁桃腺組織におけるNAMPT発現は、8GyのIR被曝後に急速かつ著しくアップレギュレートされた。放射線療法を受けている癌患者におけるNAMPT発現を研究することにより、NAMPT発現に対する放射線の影響を更に評価した。図10Bに示すように、乳癌又は肺癌のための放射線療法を受けている被験者は、対照被験者と比較して、NAMPTの血漿レベルの著しい増加を示した(p<0.05)。放射線性肺炎患者のNAMPT発現を研究することにより、NAMPT発現に対する放射線の影響を評価した。図10Cに記載されるように、放射線性肺炎患者は、対照被験者よりも4~5倍高いNAMPT血漿レベルを示した(p<0.05)。
したがって、その結果は、ヒトRILIにおけるNAMPT発現及び分泌の調節不全を示す。
実施例11.RILIにおけるNAMPTの役割の調査
C57/B6マウスでのインビボ実験によって、RILIにおけるNAMPTの役割を更に評価した。マウスの第1の群は、20Gyの胸部放射線を受けた野生型(WT)マウスからなる。非照射マウスを陰性対照(「対照」又は「Ctrl」)とした。4週間にわたって所定の時間にマウスから肺組織を採取した。気管支肺胞洗浄(BAL)タンパク質の量を測定し、BAL発現細胞の数を求めた。また、肺の炎症を評価するために、肺組織にヘマトキシリン・エオシン(H&E)染色をかけた。更に、BAL指数及びH&E染色に基づいて、RILI重症度スコアを評価した。対応する分析の結果を図11A~Eに示す。
図11Aに示すように、マウスにおけるRILIの発生は、非照射対照の肺組織(図11Aの挿入図の左側パネル)と比較して、放射線被曝の1週間後(図11Aの左側パネル)及び4週間後の急性びまん性肺胞損傷(図11Aの右側パネル)を示した肺組織のH&E染色によって確認された。図11Bは、非照射対照マウスの肺組織と比較する、IR被曝の1週間後と4週間後の照射マウスの肺組織におけるH&E染色をまとめたものである。図11Bに示すように、IR被曝の4週間後の照射マウスの肺組織では、H&E染色領域の著しい増加が見られ(p<0.001)、これはRILIの効率的な発生を示唆する。図11Cは、非照射対照マウスの肺組織と比較する、IR被曝の1週間後と4週間後の照射マウスの肺組織におけるBALタンパク質レベルを示す。図11Cに示すように、対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスは、放射線被曝後の1週目からBALタンパク質レベルの増加を示し、照射の4週間後のBALタンパク質レベルの著しい増加が見られた(p<0.05)。同様に、図11Dに示すように、放射線に被曝したマウスにBAL発現細胞(BAL細胞)の数が増加し、放射線被曝の4週間後のBAL細胞数の著しい増加が観察された(p<0.05)。更に、図11Eに示すように、対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスは、放射線被曝後の1週目からRILI重症度スコアの増加を示し、照射の4週間後のRILI重症度スコアの著しい増加が観察された(p<0.05)。
第2の群は、20Gyの胸部放射線を受けて4週間観察されたNAMPTヘテロ接合型(Nampt+/-;「Nampt het」)マウスからなる。非照射WT及びNAMPTヘテロ接合型マウスと、照射WTマウスを対照として使用した。BALタンパク質の量を測定し、BAL発現細胞の数を求めた。また、肺の炎症を評価するために、肺組織にH&E染色をかけた。更に、BAL指数及びH&E染色に基づいて、急性肺損傷(ALI)重症度スコアを評価した。対応する分析の結果を図12A~Eに示す。
図12Aに示すように、非照射WTマウスからの肺組織(図12Aの左側パネルの挿入図)と比較して、照射WTマウスからの肺組織のH&E染色は、放射線被曝の4週間後の肺胞損傷(図12Aの左側パネル)を示した。対照的に、Nampt+/-マウスの肺組織(図12Aの右側パネル)は、低下したH&E染色を示し、これによって、放射線被曝後のNampt+/-マウスの肺胞損傷が少ないことを示す。図12Bは、照射又は非照射のWT及びNampt+/-マウスの肺組織におけるH&E染色をまとめたものである。図12Bに示すように、照射WTマウスと比較して、照射Nampt+/-マウスの肺組織では、H&E染色領域の減少が観察され、RILIの病因におけるNAMPTの役割を示す。図12Cは、照射又は非照射のWT及びNampt+/-マウスの肺組織におけるBALタンパク質レベルを示す。図12Cに示すように、非照射対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスは、増加したBALタンパク質レベルを示した。しかし、照射Nampt+/-マウスは、照射WT対照マウスと比較して、低下したBALタンパク質レベルを示した。同様に、照射Nampt+/-マウスは、照射WT対照マウスと比較して著しく減少したBAL細胞数を示したが、放射線に被曝したマウスでは、BAL細胞の数が増加した。更に、図12Eに記載されるように、対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスが増加したALI重症度スコアを示したが、照射Nampt+/-マウスは、照射WT対照マウスと比較して、低下したALI重症度スコアを示した。したがって、その結果は、Nampt+/-マウスにおけるRILIの発現の減少を示し、これによって、RILIの発症及び進行におけるNAMPTの役割を示す。
第3の群は、20Gyの胸部放射線を受け、ポリクローナルNAMPT中和抗体(pAb)又はモノクローナル抗NAMPT抗体(mAb)を腹腔内注射した放射マウスからなる。非照射マウス及びビヒクルのみを注射した照射マウスを対照(「Ctrl」)として使用した。BALタンパク質の量を測定し、BAL発現細胞の数を求めた。また、肺の炎症を評価するために、肺組織にH&E染色をかけた。更に、BAL指数及びH&E染色に基づいて、急性肺損傷(ALI)重症度スコアを評価した。対応する分析の結果を図13A~Eに示す。
図13Aに記載されるように、非照射対照マウスからの肺組織(図13Aの左側パネルの挿入図)と比較して、(ビヒクルのみが注射された)照射対照マウスからの肺組織のH&E染色は、放射線被曝の4週間後にびまん性肺胞損傷(図13Aの左側パネル)を示した。対照的に、抗NAMPT pAb(図13Aの中央パネル)又は抗NAMPT mAb(図13Aの右側パネル)が注射されたマウスからの肺組織は、減少したH&E染色を示し、これによって、放射線被曝後の抗NAMPT Ab治療マウスの肺胞損傷が少ないことを示す。図13Bは、非照射対照マウス、照射対照マウス、及び抗NAMPT pAb又はmAbが注射された照射マウスの肺組織におけるH&E染色をまとめたものである。図13Bに示すように、非照射対照マウスと比較して、H&E染色領域は、照射対照マウスの肺組織で増加した。しかしながら、照射対照マウスと比較して、抗NAMPT pAb又はmAbが注射されたマウスからの肺組織でH&E染色領域の著しい減少が観察され(p<0.05)、これは、RILIの発症におけるNAMPTの役割を示唆する。図13Cは、非照射対照マウス、照射対照マウス、及び抗NAMPT pAb又はmAbが注射された照射マウスの肺組織におけるBALタンパク質レベルをまとめたものである。図13Cに示すように、非照射対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスは、増加したBALタンパク質レベルを示した。しかしながら、照射対照マウスと比較して、抗NAMPT pAb又はmAbが注射された照射マウスは、著しく低下したBALタンパク質レベルを示し(p<0.05)、抗NAMPT mAbで治療された照射マウスにおいてより顕著な低下が観察された。同様に、BAL細胞の数は、放射線に被曝したマウスで増加したが、抗NAMPT pAb又はmAbが注射された照射マウスは、照射対照マウスと比較して、著しく減少したBAL細胞数を示し(p<0.05)、抗NAMPT mAbで治療された照射マウスにおいてより顕著な減少が観察された。更に、図13Eに示すように、対照マウスと比較して、放射線に被曝したマウスは、増加したALI重症度スコアを示したが、抗NAMPT pAb又はmAbが注射された照射マウスは、照射対照マウスと比較して、著しく低下したALI重症度スコアを示し、抗NAMPT mAbで治療された照射マウスにおいてより顕著な低下が観察された。したがって、図13A~Eに記載された結果は、抗NAMPT Absによる治療後のRILIの軽減を示し、これによって、RILIの潜在的な治療標的としてのNAMPTを強調する。
したがって、その結果は、RILIにおけるNAMPTの発現及び分泌の調節不全を実証し、NAMPTが、肺組織における放射線誘発損傷の病理生物学に寄与するRILIの新規バイオマーカー及び治療標的であることを示す。
実施例12.炎症を起こした肺組織における増加したNAMPT発現の、放射性標識抗NAMPT抗体による同定
放射性標識抗NAMPT抗体は、様々な組織におけるNAMPTシグナル伝達経路及びNAMPT発現をインビボで非浸潤的に検出することを目的として開発された。放射性標識抗NAMPT mAbを使用してRILIを有するマウスモデルを画像化すると、治療的介入として抗NAMPT mAbを成長させる最適な時間を定義し、そして原子力事故などで全身照射(TBI)又は部分照射(PBI)の後に、他の特定の放射性標識を使用して炎症アポトーシス及び細胞アポトーシスについて主要な臓器を調査することができる。放射性標識抗NAMPT抗体によるNAMPT発現の検出を試験するために、99mTc標識抗NAMPT mAbプローブを、対照マウス及び8GyのPBIに被曝したマウスに注射し、迅速なオートラジオグラフイメージングを実施した。分析の結果は、図14A~Dに記載される。
図14A~Bに示すように、非照射対照マウスと比較して、照射マウスの肺においてより高い放射性取り込みが観察され、RILIによって誘発されたより高いNAMPT発現を示す。更に、放射性標識抗NAMPT抗体の取り込みを、照射マウス又は非照射対照マウスの肺活動の基準として使用した。図14Cに示すように、非照射対照マウスからの右肺及び左肺と比較して、照射マウスからの右肺と左肺の両方において組織バックグラウンドを超える肺活動の著しい増加が観察された(p<0.05)。更に、照射マウス又は非照射対照マウスにおける放射能のレベルを決定して、放射性標識抗NAMPT mAbの取り込みを評価した。図14Dに示すように、非照射対照マウスと比較して、照射マウスにおいて放射能の著しい増加が観察された(p<0.05)ため、照射マウスにおける放射性標識抗NAMPT mAbの取り込みの増加が確認された。
したがって、放射性標識抗NAMPT抗体は、炎症を起こした肺組織における増加したNAMPT発現を検出するのに効果的であった。これは、放射性標識抗NAMPT抗体をNAMPTの検出ツールとして利用する可能性を強調し、RILIのバイオマーカーとしてのNAMPTを使用する上で極めて重要である可能性がある。
実施例13.放射線誘発性肺線維症のインビボモデルを使用したRILIの治療標的としてのNAMPTの検証
RILIの治療標的としてのNAMPTを更に検証するために、WT C57/B6マウスを20GyのWTLIに被曝した。照射マウスに、10μgの抗NAMPT mAb又はビヒクル対照を腹腔内注射した。BAL細胞数と、コラーゲン沈着と、筋線維芽細胞移行及び線維症の反映である肺組織平滑筋アクチン(SMA)の発現とを評価することにより、放射線被曝の18週間後に放射線誘発性肺線維症(RILF)についてマウスを評価した。結果は、図15A~Cに示される。
図15A~Cに示すように、ビヒクルで治療された対照マウスと比較して、Abで治療されたマウスにおいて、抗NAMPT mAbがIR誘導RILIを著しく減少させ、この減少は、BAL細胞数の減少(図15A)、(ウェスタンブロット分析で検出され、図15Bに示される)肺組織SMAの発現の減少、及び(肺組織のトリクローム染色によって検出され、図15Cに示される)コラーゲン沈着の減少に反映される。
したがって、その結果は、RILFの軽減における抗NAMPT Abの役割を強調し、RILIの治療標的としてのNAMPTを更に検証する。
実施例14.肺損傷の前臨床モデルにおける抗NAMPT mAbの有効性の評価
外傷(爆傷)/人工呼吸器誘発性肺損傷(VILI)のラットモデルで抗NAMPT mAbの有効性を検証した。Sprague Dawleyラットは外傷(爆傷)/VILIでチャレンジされ、爆傷の30分後に100μgの抗NAMPT mAb(ALT-100)を静脈内(IV)注射した。外傷(爆傷)/VILIに被曝し、ビヒクルが注射されたラットは、対照として機能した。そして、ラットの肺は、人工呼吸の4時間後に、損傷について評価した。また、ヘマトキシリン・エオジン(H&E)染色によって、肺組織における浮腫及び炎症細胞浸潤を肺損傷の読み取り値として評価した。この外傷(爆傷)/VILI肺損傷モデルの結果は、図16A~Cに提供される。
図16Aに示すように、非チャレンジラット(図16Aの最も右側のボックス中の挿入図)と比較して、ビヒクルが注射された対照外傷/VILIラットからの肺組織は、炎症細胞浸潤及び浮腫を示し、これによって、外傷/VILI誘発性肺損傷を示す。対照的に、図16Bに示すように、抗NAMPT mAbで治療された外傷/VILIラットからの肺組織が炎症細胞浸潤及び浮腫の著しい減少を示したので、抗NAMPT mAbによる外傷/VILI誘発性肺損傷の軽減を示す。外傷/VILI誘発性肺損傷に対する抗NAMPT mAbの効果は、H&E染色指数から評価されたように、ラットの肺損傷スコアを示す図16Cに要約された。図16Cに示すように、ビヒクル対照が注射されたラットと比較して、抗NAMPT mAbで治療されたラットで肺損傷スコアが著しく減少した(p<0.05)。したがって、図16A~Cに概説された結果は、外傷/VILI誘発性肺損傷の軽減におけるNAMPT中和mAbの有効性を示す。
次に、抗NAMPT mAbの有効性をLPS/VILIのマウスモデルで検証した。マウスにLPSを18時間チャレンジした後、人工呼吸を4時間行った。LPSチャレンジの1時間後に、10μg(IV)の抗NAMPT mAb(ALT-100)、抗NAMPTポリクローナル抗体(pAb、IV)、又はビヒクル対照(PBS)をマウスに注射した。LPS/VILIに被曝しないマウスは、対照として機能した。次に、マウスからの肺組織における浮腫及び炎症細胞浸潤を、肺損傷の読み出しとして、H&E染色によって評価した。このLPS/VILI肺損傷モデルの結果は、図17A~Cに提供される。
図17Aに示すように、非チャレンジマウス(図17Aの挿入図)と比較して、ビヒクルが注射された対照マウスからの肺組織は、炎症細胞浸潤及び浮腫を示し、これによって、LPS/VILI誘発性肺損傷を示す。対照的に、図17Bに示すように、抗NAMPT mAbで治療されたマウスからの肺組織が炎症細胞浸潤及び浮腫の著しい減少を示したので、抗NAMPT mAbによるLPS/VILI誘発性肺損傷の軽減を示す。外傷/VILI誘発性肺損傷に対する抗NAMPT mAbの効果は、H&E染色指数から評価されたように、マウスの急性肺損傷(ALI)重症度スコアを示す図17Cに要約された。図17Cに示すように、ビヒクルが注射されたマウスと比較して、抗NAMPT pAb又はmAbで治療されたマウスにおいてALIが著しく減少し、抗NAMPT mAbで治療されたマウスにおいてALI重症度スコアの最も強力な減少が観察された(p<0.001)。したがって、図17A~Cに概説された結果は、外傷/VILI誘発性肺損傷の軽減におけるNAMPT中和mAbの有効性を示す。
よって、その結果は、前臨床のインビボ肺損傷モデルにおける肺損傷の減少における抗NAMPT mAbの有効性を示す。
実施例15.炎症を起こした肺組織における増加したNAMPT発現の、放射性標識抗NAMPT抗体による同定
ヒト化抗NAMPT mAbを放射性標識して、様々な組織におけるNAMPTシグナル伝達経路及びNAMPT発現をインビボで非浸潤的に検出できるイメージングプローブを開発した。急性炎症状態(例えば、COVID-19、ARDS及び肺損傷)における診断及び/又は予後バイオマーカーとしてのNAMPTの可能性を考慮すると、放射性標識抗NAMPT mAbは、このような状態を発症するリスクのある被験者に、診断ツールとして使用されるか、又は肺線維症、放射線障害及び心臓線維症などの慢性状態を含むこのような炎症状態の抗NAMPT mAbによる治療に反応する可能性が高い被験者を選択するために使用され得る。この例では、放射性標識抗NAMPT mAbを使用した、LPSチャレンジ及び電離放射線被曝肺などの炎症組織におけるNAMPT発現の検出が説明される。
まず、放射性標識抗NAMPT抗体によるNAMPT発現の検出を試験するために、99mTc標識抗NAMPT mAbプローブ又は放射性標識IgG対照Abを20Gy全胸肺照射(WTLI)に被曝したマウスに注射し、高速オートラジオグラフイメージングを実行した。
図18Aに示すように、放射性標識IgG対照が注射された照射マウス(図18Aの左側パネル)と比較して、放射性標識抗NAMPT mAb PRONAMPTORが注射された照射マウス(図18Aの右側パネル)において著しく高い放射性取り込みが観察された。したがって、図18Aに示される結果は、放射線誘発性NAMPT発現の検出における放射性標識抗NAMPTイメージングプローブの能力を示す。
放射性標識抗NAMPTイメージングプローブによるNAMPT発現の検出を更に評価するために、99mTc標識抗NAMPT mAbをビヒクルチャレンジ対照マウス又はLPSチャレンジマウスにLPSチャレンジの3時間又は18時間後に注射し、迅速なオートラジオグラフイメージングを実施した。分析の結果は、図18B~Dに示される。
図18Bに示すように、対照マウス(図18Bの左側パネル)と比較して、LPSチャレンジマウスは、LPSチャレンジの3時間後に放射性標識抗NAMPTイメージングプローブの著しく高い取り込みを示した(図18Bの右側パネル)。LPSチャレンジマウス又は対照マウスからの肺のオートラジオグラフイメージングにより、この観察が更に確認され、対照マウス(図18Cの左側パネル)と比較して、LPSチャレンジマウスの肺は、LPSチャレンジの3時間後に放射性標識抗NAMPTイメージングプローブの著しく高い取り込みを示した(図18Cの右側パネル)。更に、図18Dに示すように、対照マウスと比較して、LPSチャレンジマウスは、LPSチャレンジの3時間後及び18時間後に著しく高い放射能を示し(p<0.05)、これは、放射性標識抗NAMPTイメージングプローブの取り込みが高いことを示した。したがって、図18B~Dに記載されている結果は、LPS誘発性NAMPT発現の検出における放射性標識抗NAMPTイメージングプローブの能力を示す。
よって、放射性標識抗NAMPT抗体は、炎症を起こした組織におけるNAMPT発現の増加を検出するのに効果的であった。これは、放射性標識抗NAMPT抗体をNAMPTの検出ツールとして利用する可能性を強調し、急性炎症状態において診断及び/又は予後バイオマーカーとしてNAMPTを使用する上で極めて重要である可能性がある。更に、炎症組織におけるNAMPT発現の増加を検出することにより、この放射性標識抗NAMPTイメージングプローブは、中和抗NAMPT mAbによる急性炎症状態の治療に反応する可能性が高い被験者を選択するために使用され得る。
実施例16.ヒトIPFにおけるNAMPTの発現
肺線維症におけるNAMPTの役割を評価するために、特発性肺線維症(IPF)患者の肺組織及び血漿でNAMPTの発現を評価した。結果は、図19及び図20A~Cに示される。そのために、IPFの診断が確認された患者から肺組織を単離し、免疫組織化学的(IHC)染色によってNAMPT発現について評価した。図19に示すように、NAMPTは、IHC染色を介してIPF肺組織の線維性領域内の線維芽細胞で特異的に発現することがわかり、これによって、IPFの病態生理学におけるNAMPTの役割を示す。次に、血漿サンプルをIPF患者と健常対照者から採取し、NAMPTの発現をELISAによって評価した。図20Aに示すように、健常対照者の血漿サンプルと比較して、IPF患者の血漿サンプルは、NAMPTレベルの著しい増加を示した。IPFにおけるNAMPT血漿レベルを更に評価するために、NAMPTの発現を、死亡したIPF患者、生存しているIPF患者、治療されたIPF患者及び未治療のIPF患者からの血漿サンプルで評価した。図20Bに示すように、NAMPTレベルの違いは、死亡したIPF患者、生存しているIPF患者及び未治療のIPF患者からの血漿サンプル間で明らかではなかった。しかし、治療を受けたIPF患者は、NAMPT血漿レベルが著しく低下し、これによって、IPF病因におけるNAMPTの役割を強調する。IPFの病因及び進行におけるNAMPTの役割は、進行したIPF患者と初期のIPF患者から単離された線維芽細胞のNamptm RNAレベルを評価することにより更に評価された。図20Cに示すように、初期IPF患者の線維芽細胞と比較して、Nampt mRNAレベルの著しい増加が、進行したIPF患者の線維芽細胞において観察され(p<0.05)、これによって、IPF重症度の増加に伴うNAMPT発現の増加を示す。
したがって、その結果は、IPFにおけるNAMPTの発現及び分泌の調節不全を示し、これによって、肺線維症の病因及び進行におけるNAMPTの役割を示す。
実施例17.ブレオマイシン誘発マウス肺線維症モデルを使用したIPFにおけるNAMPTの役割の調査
IPFにおけるNAMPTの役割は、ブレオマイシン誘発マウス肺線維症モデルを使用して更に調査された。そのために、NAMPTヘテロ接合型(Nampt+/-;「Nampt het」)マウス又はWTマウスをブレオマイシンでチャレンジし、ブレオマイシンでチャレンジされなかったWT及びNampt+/-マウスを対照として使用した。肺全体の可溶性コラーゲンを評価することにより、ブレオマイシンチャレンジ群と非チャレンジ対照群における肺線維症を評価した。
図21に示すように、対照WTマウスと比較して、ブレオマイシンチャレンジWTマウスは、肺全体の可溶性コラーゲンに反映された肺線維症の顕著な増加を示した(p<0.05)。しかし、ブレオマイシンチャレンジNampt+/-マウスの肺全体の可溶性コラーゲンは、ブレオマイシンチャレンジWTマウスよりも著しく少なく(p<0.05)、これによって、Nampt+/-マウスがブレオマイシン誘発性の肺損傷及び肺線維症から保護されることを示す。
したがって、その結果は、Namptのインビボターゲティングが肺線維症からの保護につながり、肺線維症の効果的な治療標的としてのNAMPTを強調するという概念実証を示す。
実施例18.PAH患者におけるNAMPT発現とNAMPT SNPの評価
肺動脈高血圧症(PAH)におけるNAMPTの役割を評価するために、特発性肺動脈高血圧症(IPAH)患者の肺組織及び血漿におけるNAMPTの発現を評価した。結果は、図22A~Cに示される。図22Aに示すように、健常対照者の肺組織と比較して、IPAH患者の肺組織は、NAMPT発現の著しい増加を示した(図22Aの挿入図)。次に、PAH患者、非PAH肺疾患の患者及び健常対照被験者から血漿サンプルを採取し、NAMPT血漿レベルをELISAによって評価した。結果は、図22Bに示される。健常対照者と比較して、PAH患者と非PAH肺疾患の患者の両方がNAMPT血漿レベルの増加を示したが、PAH患者においてはNAMPT血漿レベルの顕著な増加が観察された。IPAH患者におけるNAMPT発現を更に確認するために、IPAH患者又は正常な健常対照者の肺組織から調製された溶解物に対してウェスタンブロット分析を行った。図22Cに示すように、正常な健常対照者の肺組織と比較して、IPAH患者の肺組織においてNAMPT発現の顕著な増加が観察された。したがって、その結果は、PAHにおけるNAMPTの発現及び分泌の調節不全を示し、これによって、PAHの病因におけるNAMPTの役割を示す。
次に、IPAH患者からのDNAを分析して、ゲノムワイド関連解析(GWAS)でNAMPTプロモータSNPと右心室(RV)インデックスとの相関を確認した。図22Dに示すように、NAMPTプロモータSNP rs59744560は、RVインデックスと著しく相関し、これによって、NAMPTプロモータSNPを、PAHの遺伝的バイオマーカー、PAH重症度の予測因子、及びeNAMPT中和mAb療法に反応する可能性が高い持続性PAH(pPAH)患者を同定するメカニズムとして使用する可能性を示す。
実施例19.ラットモデルにおけるPAH発現の抗NAMPT抗体による減少
PAHの治療標的としてのNAMPTの可能性を調査するために、PAHのラットモノクロタリン(MCT)モデルを使用した。MCTの1回用量(60mg/kg体重)をSprague-Dawleyラット(190-200g)に皮下注射した。次に、MCTチャレンジラットに、抗NAMPT mAb(毎週、100μg/ラット、腹腔内(i.p.))又はビヒクル対照(対照MCTラット)を注射した。次に、ラットの右心室収縮期圧(RVSP)と肺動脈リモデリングを評価した。結果は、図23A及び23Bに示される。
Millar圧力トランスデューサカテーテルを使用した右心カテーテル検査により、抗NAMPTAbで治療されたMCTラット又は対照MCTラットにおいてRVSPを測定した。図23Aに示すように、対照MCTラットと比較して、抗NAMPT mAbで治療されたMCTラットでRVSPの著しい減少が観察された(p<0.05)。
抗NAMPT mAbで治療されたMCTラット又は対照MCTラットからの肺をH&Eで染色した後、Aperio ImageScopeソフトウェアを使用して肺動脈リモデリングを評価した。図23Bに示すように、対照MCTラットと比較して、抗NAMPT mAbで治療されたMCTラットにおいて肺動脈の厚さの顕著な減少が観察された。
その結果は、抗NAMPT mAbによるNAMPTの中和が、PAHのラットモデルにおける血管リモデリング及びRV機能不全を逆転させることを示し、これによって、PAHの治療標的としてのNAMPTの有効性を示す。

Claims (32)

  1. 侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者を同定する方法であって、
    (a)無痛性前立腺癌を有する被験者からサンプルを採取するステップと、
    (b)前記サンプル中のヒトニコチンアミドホスホリボシルトランスフェラーゼ(NAMPT)に関連する少なくとも1つの一塩基多型(SNP)の存在を検出するステップと、を含み、
    前記SNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択される、方法。
  2. 前記被験者は、遺伝性の無痛性前立腺癌を有する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記被験者は、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNP、少なくとも3つのSNP、少なくとも4つのSNP、少なくとも5つのSNP、少なくとも6つのSNP、少なくとも7つのSNPS、又は8つのSNPを有する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNPを検出するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  5. rs7789066、rs61330082、rs9770242及びrs59744560からなる群から選択された少なくとも1つのSNPを検出するステップを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. rs116647506、rs61330082、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも1つのSNPを検出するステップを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記被験者はアフリカ系である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、SNPマイクロアレイ、SNP制限断片長多型(SNP-RFLP)、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、プライマー伸長(MALDI-TOF)質量分析、一本鎖高次構造多型、及び/又は次世代シーケンシング(NGS)の使用を含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記検出は、前記SNPを含むヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと前記サンプルとを接触させることと、前記オリゴヌクレオチドプローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することとを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  10. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能な標識を含み、前記プローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することは、前記検出可能な標識を検出することを含む、請求項9に記載の方法。
  11. 前記検出可能な標識は、蛍光標識、発光標識、放射性核種、又は化学発光標識を含む、請求項10に記載の方法。
  12. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光部分及び蛍光消光剤を含む、二重標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項9に記載の方法。
  13. ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルよりも高いNAMPTプロモータ活性レベルに関連する1つ以上の追加のSNPを検出するステップを更に含む、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記サンプルは血漿サンプルである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 無痛性前立腺癌を有する被験者を治療する方法であって、
    (a)無痛性前立腺癌を有する被験者からサンプルを採取するステップと、
    (b)前記サンプル中の少なくとも1つのSNPの有無を検出するステップであって、前記SNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択され、前記少なくとも1つのSNPの存在は、前記被験者が侵襲性前立腺癌を発症するリスクがあることを示す、ステップと、
    (c)(i)有効量のeNAMPT阻害剤及び/又は(ii)放射線療法(例えば、外部ビーム放射線、及び/又は近接照射療法)、黄体形成ホルモン放出ホルモン(LH-RH)アゴニスト(例えば、リュープロレリン、ゴセレリン、トリプトレリン及び/又はヒストレリン)などのホルモン療法、又は体がテストステロン(例えば、ケトコナゾール及び/又はアビラテロン)を産生するのを防ぐ他の薬物療法、抗アンドロゲン(例えば、ビカルタミド、ニルタミド、フルタミド及び/又はエンザルタミド)、化学療法、及び生物学的療法(例えば、シプロイセルT)の1つ以上を、侵襲性前立腺癌を発症するリスクのある被験者に投与して、無痛性前立腺癌を有する被験者を治療するステップと、を含む、方法。
  16. 前記サンプルは血漿サンプルである、請求項15に記載の方法。
  17. rs7789066、rs61330082、rs9770242、rs59744560、rs116647506、rs1319501、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択された少なくとも2つのSNP、少なくとも3つのSNP、少なくとも4つのSNP、少なくとも5つのSNP、少なくとも6つのSNP、少なくとも7つのSNPS、又は8つのSNPを検出するステップを含む、請求項15又は16に記載の方法。
  18. 前記SNPは、rs7789066、rs61330082、rs9770242及びrs59744560からなる群から選択される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記SNPは、rs116647506、rs61330082、rs114382471及びrs190893183からなる群から選択される、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記被験者はアフリカ系である、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記検出は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、SNPマイクロアレイ、SNP制限断片長多型(SNP-RFLP)、動的対立遺伝子特異的ハイブリダイゼーション(DASH)、プライマー伸長(MALDI-TOF)質量分析、一本鎖高次構造多型、及び/又は次世代シーケンシング(NGS)の使用を含む、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 前記SNPの存在は、前記SNPを含むヌクレオチド配列又はそれに相補的なヌクレオチド配列に選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブと前記サンプルとを接触させることと、前記オリゴヌクレオチドプローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することとにより決定される、請求項15~21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、検出可能な標識を含み、前記プローブの選択的ハイブリダイゼーションを検出することは、前記検出可能な標識を検出することを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記検出可能な標識は、蛍光標識、発光標識、放射性核種、又は化学発光標識を含む、請求項23に記載の方法。
  25. 前記オリゴヌクレオチドプローブは、蛍光部分及び蛍光消光剤を含む、二重標識されたオリゴヌクレオチドプローブを含む、請求項22に記載の方法。
  26. ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルよりも高いNAMPTプロモータ活性レベルに関連する1つ以上の追加のSNPを検出するステップを更に含む、請求項15~25のいずれか一項に記載の方法。
  27. 前記ベースラインNAMPTプロモータ活性レベルは、無痛性前立腺癌に関連するレベルである、請求項13又は26に記載の方法。
  28. eNAMPT阻害剤を投与するステップを含み、前記eNAMPT阻害剤は抗eNAMPT抗体である、請求項15~27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記抗eNAMPT抗体は、それぞれ配列番号4、5及び6のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む重鎖と、それぞれ配列番号7、8及び9のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む軽鎖と、を含む、請求項28に記載の方法。
  30. 前記重鎖可変領域は、配列番号2に示されたアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号3に示されたアミノ酸配列を含む、請求項29に記載の方法。
  31. 前記抗eNAMPT抗体は、それぞれ配列番号12、13及び14のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む重鎖と、それぞれ配列番号15、16及び17のアミノ酸配列に示されたCDR1、CDR2及びCDR3ドメインを含む可変領域を含む軽鎖と、を含む、請求項28に記載の方法。
  32. 前記重鎖可変領域は、配列番号10に示されたアミノ酸配列を含み、前記軽鎖可変領域は、配列番号11に示されたアミノ酸配列を含む、請求項31に記載の方法。
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