JP2022543187A - 抗体を精製するための方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、組換え抗体分子を製造する分野に関する。特に、そのような組換え抗体分子を精製する方法であって、イミダゾール又はイミダゾールアナログが、プロテインAベースの樹脂などの親和性クロマトグラフィー樹脂からの組換え抗体分子の溶出の間に添加される方法が提供される。

Description

本発明は、組換え抗体分子の製造の分野に関し、特に、そのような組換え抗体分子を、親和性クロマトグラフィーを使用して精製する方法及び特定の溶出条件の使用に関する。
治療剤の分野では、特に、抗体及び抗体由来分子を含む、タンパク質などの生物学的実体の使用は、絶えず存在意義及び重要性を増してきており、それと共に、制御された大規模製造プロセスの必要性が同時に生じてきている。
プロテインAは、抗体分子のFc領域に結合する黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)のいくつかの株によって産生される細胞壁成分である。リガンドとして固定化されたプロテインAを使用する親和性クロマトグラフィーは、抗体精製のために広く使用されてきており、今まで、多くの抗体精製プロセスにおける中核となる精製ステップであり、出発材料から不純物を高レベルで除去することを可能にする。さらに、プロテインAはまた、抗体分子上に存在するVH3領域に結合することも知られており、VH3領域とプロテインAとの間の親和性相互作用に基づく、Fc領域を欠く代替的な抗体形式のためのある特定の精製戦略をもたらしている。
プロテインAは、中性pHでFcドメインに対する高い親和性を有する。結果として、精製しようとする抗体を含有する出発材料は、典型的には、中性pHでプロテインA樹脂上に装填される。典型的なプロセスに続き、できるだけ多くの不純物の除去を確保するために、これも中性pHである緩衝剤でクロマトグラフィー材料を洗浄する1つ又は複数のステップが行われることになる。最後に、結合した抗体をプロテインAから回収するために、溶出ステップが必要である。この溶出ステップは、抗体とプロテインAとの相互作用を破壊すると予想される酸性pH(典型的には、約2.5~約4.0)を有する溶出緩衝剤の使用を含む。同様に、WO2016/169992は、プロテインAからの溶出のためにpHの酸性化にも依拠するプロテインAを介するVH3領域の結合に基づくFc領域を欠く抗体分子のための精製方法を記載する。
典型的には、より低いpHはまた、より低い溶出容量を可能にし、全体のプロセス効率に直接影響する。より低い溶出容量に関する別の考慮は、それらが、高容量の溶出緩衝剤でのクロマトグラフィー樹脂の洗浄が行われる伝統的な動的結合条件とは対照的な、静的結合条件の使用を可能にし得ることである。
しかしながら、抗体分子のプロテインAへの結合を破壊するのに十分に低いpHでなければならないだけでなく、タンパク質の三次構造を破壊するほど低いものであってはならないことの間のバランスが見出されなければならない。さらに、凝集は、精製プロセスの間に除去しなければならないさらなる不純物をもたらし、最終的には、低いプロセス収率をもたらす酸性条件への曝露のよくある結果である。結果として、より不安定な一部の抗体分子については、より高いpHでプロテインAからの溶出を可能にする条件を見出すことが有利であり得る。
これらの課題を克服する試みにおいては、プロテインAへの結合について抗体分子と競合することができる追加成分を溶出緩衝剤中に添加すること、及び/又は溶出pHを増大させることによって、抗体分子のプロテインAからの溶出を増強する異なる試みがなされている。
Arakawaら、「水性アルギニン溶液によるプロテインAカラムからの抗体の溶出(Elution of antibodies from a Protein-A column by aqueous arginine solutions)」;2004;Protein Expression & Purification、244~248頁及び米国特許第8,470,328号は、4.0~5.0のpHを有する溶出緩衝剤中でのアルギニン又はアルギニン誘導体の使用を記載している。しかしながら、高いpHは、樹脂からの抗体の弱い解離を引き起こすだけでなく、その後、容易に樹脂に再結合し得るため、溶出緩衝剤のpHが増大するにつれて、溶出容量も増大する。
商業的な大規模製造プロセスに関するさらなる考慮は、順に、プロテインAなどのクロマトグラフィー支持体の装填、洗浄及び溶出において使用される容量によって直接影響される、それぞれのクロマトグラフィーサイクルにかかる時間である。小規模でのこれらのパラメーターの最適化は、製造容量に拡大される場合に大きな影響をもたらし、廃棄しなければならない廃棄物に関する改善、より短い生産時間、及び結果として改善される費用プロファイルをもたらし得る。
ヒスチジンタグを有する組換えタンパク質を発現させること、次いで、得られたタンパク質を、ニッケル親和性クロマトグラフィー(ヒスチジンタグに結合する)を使用して精製すること、及びイミダゾールの助けを借りてタンパク質を溶出させることを含む代替形態のタンパク質精製も使用されている。しかしながら、この方法の欠点は、多くの使用のために、タンパク質を使用することができる前に、精製後にタグをタンパク質分解的に除去する必要があるということである。
上記に基づくと、製造プロセスの間に抗体を精製するための迅速且つ強健な方法、特に、親和性クロマトグラフィー樹脂から抗体を溶出させる改善された方法を提供することの継続的な要求が存在する。この要求は、本発明によって対処される。
第1の態様では、本発明は、抗体を精製するための方法であって、
a)精製しようとする抗体を含む混合物を、親和性クロマトグラフィー樹脂上に装填するステップであって、親和性クロマトグラフィー樹脂は、ニッケルベース、亜鉛ベース又はコバルトベースの樹脂ではない、ステップ、
b)クロマトグラフィー樹脂を洗浄緩衝剤で洗浄するステップ、
c)0.01M~1.0Mイミダゾール又はイミダゾールアナログを含み、3~5のpHである溶出緩衝剤で抗体を溶出するステップ
を含む、方法に関する。
静的結合試験の結果である。 pH3.6±イミダゾールでのIgG1クロマトグラム溶出プロファイルの重ね合わせである。 pH4.0±イミダゾールでのIgG1クロマトグラム溶出プロファイルの重ね合わせである。 pH3.6±イミダゾールでのIgG4クロマトグラム溶出プロファイルの重ね合わせである。 pH4.0±イミダゾールでのTrYbe(VH3)クロマトグラム溶出プロファイルの重ね合わせである。 動的結合試験の結果である。 pH3.6±1,3ジメチル-1H-ピラゾールでのIgG1クロマトグラム溶出プロファイルの重ね合わせである。
本発明は、溶出がイミダゾール又はイミダゾールアナログの存在下で実施される親和性クロマトグラフィーステップを含む、抗体を精製するための新規方法を提供することによって、上に概略された課題を解決する。いかなる理論によっても束縛されるものではないが、イミダゾール又はそのアナログは、溶出ステップ中にクロマトグラフィー樹脂から解離する抗体分子に結合すると考えられる。それによって、イミダゾール、又はそのアナログは、抗体分子の樹脂への再結合を防止する。これは、溶出速度を改善し、かくして、溶出容量を減少させるのに役立ち、本技術分野で記載されていた方法を超える利点である。
本発明の方法は、静的条件および動的条件の両方の条件下で実施される親和性クロマトグラフィーステップを含む抗体精製方法に適合する。
本発明の文脈では、動的条件は、親和性樹脂が典型的にはクロマトグラフィーカラム又は膜の中にあり、精製しようとする抗体を含む混合物、洗浄緩衝剤及び/又は溶出緩衝剤がカラム上に添加され、溶出液がカラムから回収されるものと考えられる。静的クロマトグラフィー条件は、クロマトグラフィー樹脂と、精製しようとする抗体を含む混合物との混合、次いで、インキュベーション期間、及び液相からのクロマトグラフィー樹脂のその後の分離及びクロマトグラフィー樹脂からの結合画分のその後の溶出を含むものである。
本発明の方法の好ましい実施形態では、ステップa)、b)及びc)のうちの1つ、2つ又は全部が、動的条件下で実施される。
第1の態様では、本発明は、抗体を精製するための方法であって、
a)精製しようとする抗体を含む混合物を、親和性クロマトグラフィー樹脂上に装填するステップであって、親和性クロマトグラフィー樹脂は、ニッケルベース、亜鉛ベース又はコバルトベースの樹脂ではない、ステップ
b)クロマトグラフィー樹脂を洗浄緩衝剤で洗浄するステップ、及び
c)0.01M~1.0Mイミダゾール又はイミダゾールアナログを含み、3~5のpHである溶出緩衝剤で抗体を溶出するステップ
を含む、方法に関する。
親和性クロマトグラフィー樹脂は、好ましくは、抗体のFc領域又はVH3ドメインを介して、抗体に結合することができる。一実施形態では、前記親和性クロマトグラフィー樹脂は、金属イオンベースの樹脂ではない。別の実施形態では、前記親和性クロマトグラフィー樹脂は、プロテインAクロマトグラフィー樹脂、プロテインGクロマトグラフィー樹脂及びプロテインLクロマトグラフィー樹脂から選択される。
例えば、MabSelect(登録商標)(GE Healthcare)、Absolute(登録商標)(Novasep)、CaptivA(登録商標)(Repligen)、Praesto AP(Purolite)又はAmsphere(登録商標)(JSR)などの、当業者には利用可能なプロテインA、プロテインG又はプロテインLを含有する多くの親和性クロマトグラフィー材料が存在する。
プロテインAクロマトグラフィーにおける洗浄及び溶出緩衝剤としての使用にとって好適な緩衝剤は、当業界で容易に入手可能であり、リン酸緩衝食塩水(PBS)、Tris、ヒスチジン、酢酸、ギ酸、クエン酸緩衝剤、又はMES(2-(N-モルホリノ)エタンスルホン酸イミダゾール)、BES(N,N-(ビス-2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸)、MOPS(3-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸)、又はHEPES(N-2-ヒドロキシエチルピペラジン-N’-2-エタンスルホン酸)緩衝剤から非限定例として選択することができる。
一実施形態では、溶出緩衝剤は、0.01M~0.75Mのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含み、例えば、0.1M~0.5M、例えば、0.2M~0.5M、例えば、0.2M~0.3M、例えば、0.25Mの、0.01M~0.5Mなどのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含む。
一実施形態では、溶出緩衝剤のpHは、3.5~4.5であり、例えば3.5~4.0又は4.0~4.5又は3.6~3.9(例えば、3.7~3.9)などである。
一実施形態では、洗浄緩衝剤も、イミダゾール又はイミダゾールアナログを含む。一実施形態では、洗浄緩衝剤は、0.01M~0.75Mのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含み、例えば、0.1M~0.5M、例えば、0.2M~0.5M、例えば、0.2M~0.3M、例えば、0.25Mの、0.01M~0.5Mなどのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含む。
イミダゾールは、式Cを有する有機化合物である。それは芳香族複素環であり、ジアゾールとして分類され、非隣接窒素原子を有する。
本明細書で使用される用語「イミダゾールアナログ」とは、イミダゾール環構造、又はピラゾール及びトリアゾールなどの、少なくとも2個の窒素原子を含有する他の5員環構造(すなわち、ジアゾール若しくはトリアゾール)を指す。
この環は置換されていても、置換されていなくてもよい。置換が存在する場合、それらは、一実施形態では、メチル、エチル、ヒドロキシ又はヒドロキシメチルから選択される。一実施形態では、1個のメチル基などの、ただ1つの置換が存在する。別の実施形態では、2個のメチル基などの、2つの置換が存在する。
一実施形態では、環は、1又は2位で置換されておらず、例えば、1又は2位で置換されていないイミダゾール環(式I)などのである。
Figure 2022543187000001

(式I-イミダゾール)
好ましいイミダゾールアナログとしては、4(5)-メチルイミダゾール、ピラゾール、1,5-ジメチル-1H-ピラゾール、1,3-ジメチル-1H-ピラゾール及び1H-イミダゾール-1-イルメタノールが挙げられる。
別の実施形態では、イミダゾールアナログは、ヒスチジン又はn-boc-L-ヒスチジン、n-ベンジルオキシカルボニル-D-ヒスチジン若しくはL-ヒスチジンメチルエステル二水素塩化物などのヒスチジンアナログである。
好ましい実施形態では、環は、非置換、好ましくは、非置換イミダゾール又はピラゾールである。
一実施形態では、本発明の方法は、抗体を含む混合物のクロマトグラフィー樹脂上への装填前に、イミダゾール又はイミダゾールアナログを含む平衡化緩衝剤を用いてクロマトグラフィー樹脂を平衡化するさらなるステップを含む。
さらなる実施形態では、本発明の方法は、残存する不純物を除去するための1つ又は複数の追加のクロマトグラフィーステップを含むことになる。一般に、そのようなステップは、ゲル濾過クロマトグラフィー、陽イオンクロマトグラフィー、陰イオンクロマトグラフィー、混合様式クロマトグラフィー、疎水性クロマトグラフィー及び疎水性電荷誘導クロマトグラフィーにおける使用のための適切な機能を有する固相を使用する非親和性クロマトグラフィーステップを用いることになる。これらのものを、結合及び溶出様式で、又は流出様式で操作することができる。流出様式では、不純物は、固相に結合するか、又は固相中での移動度が低下するが、標的タンパク質は、溶出液又は流出液画分中に回収される。適切な機能を有するビーズ樹脂又は膜などのクロマトグラフィーにおける使用のための適切な固相は、当業者には容易に利用可能である。本発明の方法による特定の実施形態では、方法は、流出様式で操作される陰イオン交換クロマトグラフィーのステップをさらに含む。
さらなる特定の実施形態では、本発明の方法は、プロテインAクロマトグラフィーステップ、次いで、タンパク質を含有する流出液を産生する陰イオン交換クロマトグラフィーである第1のクロマトグラフィーステップ及びタンパク質を含有する溶出液が回収される陽イオン交換クロマトグラフィーである第2のクロマトグラフィーステップを含む。
別の実施形態では、本発明の方法は、プロテインAクロマトグラフィー、次いで、タンパク質を含有する溶出液が回収される陽イオン交換クロマトグラフィーである第1のクロマトグラフィーステップ及びタンパク質を含有する流出液を産生するための陰イオン交換クロマトグラフィーである第2のクロマトグラフィーステップを含む。
抗体
本明細書で使用される用語「抗体」又は「複数の抗体」は、モノクローナル及びポリクローナル抗体を含む。さらに、本明細書で使用される用語「抗体」又は「複数の抗体」は、限定されるものではないが、当業界で公知の組換え技術によって生成される組換え抗体を含む。「抗体」又は「複数の抗体」は、任意の種の抗体、特に、IgD、IgG、IgG2a、IgG2b、IgG、IgG、IgE並びにIgGA、IgGAを含むこの基本構造の二量体若しくはIgM及びその改変バリアントなどの五量体として産生される抗体を含む、任意のアイソタイプのヒト抗体、例えば、チンパンジー、ヒヒ、アカゲザル若しくはカニクイザルに由来する非ヒト霊長類抗体;例えば、マウス若しくはラットに由来する齧歯類抗体;ウサギ、ヤギ若しくはウマ抗体;並びにラクダ科抗体(例えば、Nanobodies(商標)などのラクダ若しくはラマに由来する)及びその誘導体などの哺乳動物種の抗体;又はニワトリ抗体などの鳥類若しくはサメ抗体などの魚類の抗体を含む。用語「抗体」又は「複数の抗体」はまた、少なくとも1つの重鎖及び/又は軽鎖抗体配列の第1の部分が第1の種に由来し、重鎖及び/又は軽鎖抗体配列の第2の部分が第2の種に由来する「キメラ」抗体も指す。本明細書における目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長類(例えば、ヒヒ、アカゲザル又はカニクイザルなどの旧世界ザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む「霊長類化」抗体を含む。「ヒト化」抗体は、非ヒト抗体に由来する配列を含有するキメラ抗体である。多くの部分について、ヒト化抗体は、レシピエントの超可変領域に由来する残基が、所望の特異性、親和性、及び活性を有する、マウス、ラット、ウサギ、ニワトリ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域[又は相補性決定領域(CDR)]に由来する残基で置き換えられた、ヒト抗体(レシピエント抗体)である。多くの例では、CDRの外部、すなわち、フレームワーク領域(FR)中のヒト(レシピエント)抗体の残基は、対応する非ヒト残基によってさらに置き換えられる。さらに、ヒト抗体は、レシピエント抗体又はドナー抗体中には見出されない残基を含んでもよい。これらの改変は、抗体特性をさらに精緻化するために為される。ヒト化は、ヒトにおける非ヒト抗体の免疫原性を低減し、かくして、ヒト疾患の処置への抗体の適用を容易にする。ヒト化抗体及びそれらを生成するためのいくつかの異なる技術は、当業界で周知である。用語「抗体」又は「複数の抗体」はまた、ヒト化の代替手段として生成することができるヒト抗体も指す。例えば、免疫化の際に、内因性マウス抗体の産生の非存在下でヒト抗体の完全なレパートリーを産生することができるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を生産することができる。in vitroでヒト抗体/抗体断片を得るための他の方法は、少なくとも部分的に人工的に生成されるか、又はドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーに由来する組換えDNAライブラリーが使用される、ファージディスプレイ又はリボソームディスプレイ技術などのディスプレイ技術に基づくものである。ヒト抗体を生成するためのファージ及びリボソームディスプレイ技術は、当業界で周知である。ヒト抗体を、目的の抗原を用いてex vivoで免疫された単離されたヒトB細胞から生成した後、融合させて、ハイブリドーマを生成することもでき、次いで、これらを最適なヒト抗体についてスクリーニングすることができる。本明細書で使用される用語「抗体」又は「複数の抗体」はまた、非グリコシル化抗体も指す。
本明細書で使用される用語「抗体」又は「複数の抗体」とは、ヒト(例えば、IgG)及び他の哺乳動物種に由来するものを含む任意の種の完全長抗体を指すだけでなく、抗体断片も指す。抗体の断片は、当業界で公知のように、少なくとも1つの重鎖又は軽鎖免疫グロブリンドメインを含み、1つ又は複数の抗原に結合する。本発明による抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv及びscFv断片;並びにダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、ミニボディ、sdAbなどのドメイン抗体(dAb)、VH及びVNAR断片、一本鎖抗体、限定されるものではないが、Fab-Fv又はFab-Fv-Fv構築物などの抗体断片又は抗体から形成される二重特異性、三重特異性、四重特異性又は多重特異性抗体が挙げられる。上で定義された抗体断片は、当業界で公知である。
一実施形態では、本発明の方法を使用して精製される抗体は、以下のモチーフ:ポリヒスチジンモチーフ、HQモチーフ、HNモチーフ又はHATモチーフのいずれかを含まず、ここで、ポリヒスチジンモチーフは、5個以上の連続するヒスチジン残基の配列であり、HQモチーフは、少なくとも3個交互のヒスチジン及びグルタミンを含む配列(HQHQHQ(配列番号7))であり、HNモチーフは、少なくとも3個交互のヒスチジン及びアスパラギンを含む配列(HNHNHN(配列番号8))であり、HATモチーフは、配列KDHLIHNVHKEEHAHAHNK(配列番号9)である。
本発明の方法の一実施形態では、精製しようとする抗体は、Fc領域を含む抗体である。
一実施形態では、精製しようとする抗体は、CH2及びCH3ドメインを含む抗体である。
一実施形態では、精製しようとする抗体は、VH3領域を含有し、VH3領域を介して親和性クロマトグラフィー樹脂に結合する抗体である。
別の実施形態では、抗体は、IgG、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fab-Fv、Fab-scFv、Fab-(scFv)2、Fab-(Fv)2、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディから選択される。
本発明の方法の一実施形態では、抗体は、参照により本明細書に組み込まれる、PCT/EP2014/074409に開示されたFabFv又はそのジスルフィド安定化形態である。
一実施形態では、抗体は、特に、参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/068563に開示されたCDR又は可変領域を有する、ヒト血清アルブミンに特異的な結合ドメインを含む。
一実施形態では、Fab-dsFv形式などの抗体は、参照により本明細書に組み込まれる、PCT/EP2014/074409又はWO2014/019727に開示されたものである。
別の実施形態では、抗体は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2013/068571に開示されたFab-scFv融合タンパク質形式である。
別の実施形態では、抗体は、
a)式(I):
VH-CH1-X-V1
のポリペプチド鎖;及び
b)式(II):
VL-CL-Y-V2
のポリペプチド鎖
(式中、
VHは、重鎖可変ドメインを表し;
CH1は、重鎖定常領域のドメイン、例えば、そのドメイン1を表し;
Xは、結合又はリンカーを表し;
Yは、結合又はリンカーを表し;
V1は、dsFv、sdAb、scFv又はdsscFvを表し;
VLは、軽鎖可変ドメインを表し;
CLは、Cカッパなどの軽鎖定常領域に由来するドメインを表し;
V2は、dsFv、sdAb、scFv又はdsscFvを表し;
V1又はV2のうちの少なくとも一方は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2015/197772に記載されたdsFv又はdsscFvである)
を含むか、又はそれからなる多重特異性抗体分子である。
本明細書で用いられる場合、「一本鎖可変断片」又は「scFv」とは、VHとVL可変ドメイン間のペプチドリンカーによって安定化された重鎖可変ドメイン(VH)と軽鎖可変ドメイン(VL)とを含むか、又はそれからなる一本鎖可変断片を指す。VH及びVL可変ドメインは、任意の好適な向きにあってよく、例えば、VHのC末端を、VLのN末端に連結するか、又はVLのC末端を、VHのN末端に連結してもよい。
「ジスルフィド安定化一本鎖可変断片」又は「dsscFv」とは、VHとVL可変ドメイン間のペプチドリンカーによって安定化され、VHとVLとの間にドメイン間ジスルフィド結合も含む一本鎖可変断片を指す。
「ジスルフィド安定化可変断片」又は「dsFv」とは、VHとVL可変ドメイン間にペプチドリンカーを含まず、その代わりにVHとVLとの間のドメイン間ジスルフィド結合によって安定化された一本鎖可変断片を指す。
1つの特定の実施形態では、抗体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/197772に記載された形式Fab-2x dsscFvの多重特異性抗体である。
さらに特定の実施形態では、形式Fab-2x dsscFvの多重特異性抗体は、三価抗体である、すなわち、それぞれのFvは異なるエピトープに結合する。
さらに特定の実施形態では、多重特異性抗体は、参照により本明細書に組み込まれるWO2015/197772に記載されたFab-dsscFv-dsFv形式を有する。
一実施形態では、精製しようとする抗体は、配列番号1、配列番号2、配列番号3、配列番号4、配列番号5、及び配列番号6からなる群から選択される配列を含む。
配列番号1:(a)抗アルブミン抗体の重鎖可変ドメイン(dsなし)

Figure 2022543187000002
配列番号2:(b)抗アルブミン抗体の重鎖可変ドメイン(ds)

Figure 2022543187000003
配列番号3:(c)抗アルブミン抗体の軽鎖可変ドメイン(dsなし)

Figure 2022543187000004
配列番号4:(d)抗アルブミン抗体の軽鎖可変ドメイン(ds)

Figure 2022543187000005
配列番号5:アルブミンに特異的な645 gH5gL4

Figure 2022543187000006
配列番号6:アルブミンに特異的な645 gH5gL4ds

Figure 2022543187000007
本発明の方法のステップa)において親和性クロマトグラフィー樹脂上に装填される抗体を含む混合物は、多くの実施形態では、抗体が組換え産生される細胞培養物(例えば、哺乳動物又は細菌培養物)に直接又は間接に由来する。
大規模商業目的で製造される、抗体断片などの組換え抗体又は抗体誘導体を、組換え抗体をコードする1つ又は複数の発現ベクターをトランスフェクトされた真核宿主細胞を培養することによって生産することができる。真核宿主細胞は、好ましくは、哺乳動物細胞、より好ましくは、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞である。
哺乳動物細胞を、その増殖及び抗体の発現を支援する任意の培地中で培養することができ、好ましくは、培地は、動物血清及びペプトンなどの動物由来生成物を含まない化学規定培地である。細胞増殖及びタンパク質産生を可能にする適切な濃度で存在する、様々な組合せのビタミン、アミノ酸、ホルモン、増殖因子、イオン、緩衝剤、ヌクレオシド、グルコース又は同等のエネルギー源を含む、当業者には利用可能な様々な細胞培養培地がある。追加の細胞培養培地成分を、当業者には公知である細胞培養サイクル中の異なる時間に適切な濃度で細胞培養培地中に含有させることができる。
哺乳動物細胞培養は、必要とされる生産規模に応じて、フェドバッチ様式で操作しても、しなくてもよい、振とうフラスコ又はバイオリアクターなどの任意の好適な容器中で行うことができる。これらのバイオリアクターは、例えば、撹拌タンク又はエアリフトリアクターであってもよい。1,000L~50,000Lを超える、好ましくは、5,000L~20,000L、又は10,000Lまでの限度容量を有する種々の大規模バイオリアクターが利用可能である。或いは、2L~100Lなどのより小規模のバイオリアクターを使用して、本発明の方法に従って精製しようとする抗体を製造することもできる。
本発明の方法に従って製造することができる抗体又はその抗原結合断片は、典型的には、哺乳動物宿主細胞培養物、典型的には、CHO細胞培養物の上清中に見出される。抗体又はその抗原結合断片などの目的のタンパク質が上清中に分泌されるCHO培養プロセスのために、前記上清は、当業界で公知の方法によって、典型的には、遠心分離によって収集される。疑いを避けるために、上清とは、細胞培養物の遠心分離から得られる沈降した細胞の上にある液体を指す。
本発明の一実施形態では、方法は、目的の抗体を発現するCHO細胞を培養すること、上清を回収すること、及び混合物から前記抗体を精製することを含み、前記精製は、本発明の方法に従って実施される少なくとも1つの親和性クロマトグラフィーステップを含む。
或いは、宿主細胞は、好ましくは、原核細胞、好ましくは、グラム陰性細菌である。より好ましくは、宿主細胞は、大腸菌(E.coli)細胞である。タンパク質発現のための原核宿主細胞は、当業界で周知である(Terpe,K.(2006)「分子及び生化学的基礎から商業システムまでの、異種タンパク質生産のための細菌発現系の概説(Overview of bacterial expression systems for heterologous protein production:From molecular and biochemical fundamentals to commercial systems)」、Appl Microbiol Biotechnol 72、211~222頁)。宿主細胞は、抗体断片などの目的のタンパク質を産生するように遺伝子操作された組換え細胞である。組換え大腸菌宿主細胞は、MC4100、TG1、TG2、DHB4、DH5α、DH1、BL21、K12、XL1Blue及びJM109を含む任意の好適な大腸菌株に由来してもよい。一例は、組換えタンパク質発酵のために一般的に使用される宿主株である大腸菌株W3110(ATCC 27,325)である。抗体断片を、改変された大腸菌株、例えば、代謝突然変異体又はプロテアーゼ欠損大腸菌株を培養することによって生産することもできる。
本発明の方法に従って精製することができる抗体断片は、典型的には、タンパク質の性質、生産規模及び使用される大腸菌株に応じて、大腸菌宿主細胞のペリプラズム又は宿主細胞培養上清中に見出される。タンパク質をこれらの区画に標的化するための方法は、当業界で周知である(Makrides,S.C.(1996)「大腸菌中で遺伝子の高レベル発現を達成するための戦略(Strategies for achieving high-level expression of genes in Escherichia coli)」、Microbiol Rev 60、512~538頁)。大腸菌のペリプラズムにタンパク質を指向させる好適なシグナル配列の例としては、大腸菌PhoA、OmpA、OmpT、LamB及びOmpFシグナル配列が挙げられる。天然の分泌経路に依拠することによって、又はタンパク質分泌を引き起こすための外膜の限定的漏出の誘導によって、タンパク質を上清に標的化することができ、それらの例は、pelBリーダー、プロテインAリーダーの使用、培養培地へのグリシンの添加と一緒の、バクテリオシン放出タンパク質、マイトマイシン誘導バクテリオシン放出タンパク質の同時発現及び膜透過化のためのkil遺伝子の同時発現である。最も好ましくは、本発明の方法では、抗体は、宿主大腸菌のペリプラズム中で発現される。
大腸菌宿主細胞中での抗体の発現はまた、大腸菌中での組換え抗体の発現が誘導性プロモーターの制御下にある、誘導系の制御下にあってもよい。大腸菌中での使用にとって好適な多くの誘導性プロモーターが当業界で周知であり、プロモーターに応じて、組換えタンパク質の発現を、温度又は増殖培地中の特定の物質の濃度などの種々の因子によって誘導することができる。誘導性プロモーターの例としては、ラクトース又は非加水分解性ラクトースアナログ、イソプロピル-b-D-1-チオガラクトピラノシド(IPTG)を用いて誘導可能である大腸菌lac、tac、及びtrcプロモーター並びにそれぞれ、ホスファート、トリプトファン及びL-アラビノースによって誘導されるphoA、trp及びaraBADプロモーターが挙げられる。例えば、誘導剤の添加又は誘導が温度依存性である場合、温度の変化によって、発現を誘導することができる。組換えタンパク質発現の誘導が、培養物への誘導剤の添加によって達成される場合、発酵システム及び誘導剤に応じて、誘導剤を任意の好適な方法によって添加することができる。
大腸菌宿主細胞培養物(発酵物)を、大腸菌の増殖及び組換えタンパク質の発現を支援する任意の培地中で培養することができる。培地は、例えば、Durany O、C.G.d.M.C.L.-S.J.(2004)「大腸菌における組換えフクロース-1-リン酸アルドラーゼの発現に関する研究(Studies on the expression of recombinant fuculose-1-phosphate aldolase in Escherichia coli)」、Process Biochem 39、1677~1684頁などに記載された任意の化学規定培地であってもよい。
大腸菌宿主細胞の培養は、必要とされる生産規模に応じて、振とうフラスコ又は発酵器などの任意の好適な容器中で行うことができる。1,000リットルを超えて約100,000リットルまでの限度容量を有する種々の大規模発酵器が利用可能である。好ましくは、1,000~50,000リットル、より好ましくは、1,000~25,000、20,000、15,000、12,000又は10,000リットルの発酵器が使用される。0.5~1,000リットルの限度容量を有するより小規模の発酵器を使用することもできる。
大腸菌の発酵を、任意の好適な系、例えば、タンパク質及び必要とされる収量に応じて、連続様式、バッチ様式又はフェドバッチ様式で実施することができる。バッチ様式は、必要に応じて、栄養素又は誘導剤のショット添加と共に使用することができる。或いは、フェドバッチ培養を使用し、発酵器中に最初から存在する栄養素及び発酵が完了するまで増殖速度を制御するために使用される1つ又は複数の栄養素供給レジメンを使用して持続させることができる最大比増殖速度で誘導前にバッチ様式で培養物を増殖させることができる。フェドバッチ様式を誘導前に使用して、大腸菌宿主細胞の代謝を制御し、より高い細胞密度に到達させることもできる。
必要に応じて、宿主細胞を、発酵培地からの収集にかけてもよく、例えば、宿主細胞を、遠心分離、濾過又は濃縮によって試料から収集することができる。
一実施形態では、本発明によるプロセスは、遠心分離のステップと、抗体を抽出する前の細胞回収のステップとを含む。
抗体断片などの目的のタンパク質が宿主細胞のペリプラズム空間中に見出される大腸菌発酵プロセスのためには、宿主細胞からタンパク質を放出させることが必要である。放出は、機械的若しくは圧力処理、凍結乾燥処理、浸透圧ショック、抽出剤又は熱処理による細胞溶解などの任意の好適な方法によって達成することができる。タンパク質放出のためのそのような抽出方法は、当業界で周知である。
さらなる実施形態では、本発明による方法は、細胞培養培地から宿主細胞を回収すること、還元剤の存在下で実施されるタンパク質抽出ステップを使用してタンパク質を収獲すること、タンパク質抽出ステップから得られる抗体含有混合物を回収すること、及び混合物から前記抗体を精製することをさらに含み、前記精製は、本発明の方法に従って実施される少なくとも1つの親和性クロマトグラフィーステップを含む。
(例1)
静的結合MODDE試験
方法
PrA MabSelect SuRe樹脂、GEを、静的結合様式で使用した(CV=1mL)。4つのイミダゾール溶出緩衝剤(N1~N4)を試験するMODDE DoE試験を設計し、第5の緩衝剤を、中心点のために三重に使用した(N5~N7)(表1)。樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で平衡化させた。モノクローナルIgG1抗体を、40g/L樹脂で樹脂上に装填した。次いで、樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で洗浄した。5つの緩衝剤のうちの1つで溶出を実施し、回収を最大化するために4つの連続溶出サイクルを実施した。次いで、溶出した総量を、それぞれの溶出サイクルについて算出した。
Figure 2022543187000008
結果&結論
図1は、MODDE分析ソフトウェアにおいて表1中のデータから生成された係数プロットである。それぞれのバーは、精査されたパラメーターの1つを表し、パラメーターの値が増大した時に測定因子に何が起こるかを表す。プラスのバーは、より高い値のパラメーターが測定因子の値を増加させることを示すが、マイナスのバーは、より高い値のパラメーターが測定因子を減少させることを示す。
図1は、イミダゾールが、サイクル1及び2で回収された量に対する統計的に有意な効果を有することを示す。サイクル3及び4ではないが、イミダゾールが存在しない場合と同じぐらい多くの生成物が溶出し、これらのステップの間に同等の量をもたらした。高いpHは、溶出される量及び回収に負に影響するが、イミダゾールの添加はこの効果に対抗することができる。より早いサイクルではより多くのIgG1が回収されるため、イミダゾールは、そのより速い溶出速度のため、サイクル数、かくして、溶出容量の減少を可能にする。例えば、pH4.0+イミダゾールでは、4サイクルについてイミダゾールがない場合と比較して、同じ量を達成するのにわずか3サイクルが必要である。
(例2)
IgGクロマトグラム溶出プロファイル
方法
2つのMabSelect SuRe HiScreenカラム、GE(9.4mLのCV)を、動的結合様式で使用した。樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で平衡化させた。モノクローナル抗体IgG1又はIgG4を、50g/L樹脂で樹脂上に装填した。次いで、樹脂を100mMリン酸ナトリウムpH7.0で洗浄した後、100mMリン酸ナトリウム及び500mM塩化ナトリウムpH6.9で塩洗浄した。溶出を、100mMクエン酸ナトリウムpH3.6若しくはpH4.0(NaOHを用いて調整)又は100mMクエン酸ナトリウム+300mMイミダゾールpH3.6若しくはpH4.0(HClを用いて調整)のいずれかを用いて実施した。
結果&結論
図2及び3は、IgG1モノクローナル抗体について得られた結果を示す:クエン酸溶出は、pH3.6では83%及びpH4.0では39%の生成物を回収した。しかしながら、イミダゾールを添加することによって、これらの収率は、それぞれ、94%及び65%まで上昇した。さらに、pH3.6で、溶出容量は、イミダゾールの添加と共に低下する。pH4.0+イミダゾールでの溶出容量は、イミダゾールなしの緩衝剤よりも大きいが、これは、より多くの生成物が溶出したためであり、同じ回収率を達成するためのイミダゾールを用いない実行については、それがより遅い溶出速度を有するため、ほぼ無限の溶出容量が必要であると予想される。図4は、IgG4についても同等の結果が得られたことを示す。
(例3)
VH3クロマトグラム溶出プロファイル
方法
2つのMabSelect HiScreenカラム、GE(9.4mLのCV)を、動的結合様式で使用した。樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で平衡化させた。WO2015/197772に記載のような、形式Fab-2x dsscFvの多重特異性三価抗体分子(TrYbe(登録商標))を、30g/L樹脂で樹脂上に装填した。次いで、樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で洗浄した。溶出を、100mMクエン酸ナトリウムpH4.0(NaOHを用いて調整)又は100mMクエン酸ナトリウム+300mMイミダゾールpH4.0(HClを用いて調整)のいずれかを用いて実施した。
結果&結論
図5は、クエン酸溶出が、pH4.0で36%の生成物を回収したことを示す。しかしながら、イミダゾールを添加することによって、この収率は、同じ容量の溶出緩衝剤中で49%まで上昇した。したがって、イミダゾールの添加は、溶出速度を増加させ、より多くの生成物をより速く溶出させ、かくして、同じ回収率を達成するために必要とされる緩衝剤がより少ない。さらに、この実験は、イミダゾールが、Fc及びVH3結合部位を介して樹脂リガンドへの生成物の再結合を防止することができることを示した。
(例4)
IgG MODDE試験
方法
2つのMabSelect SuRe HiScreenカラム、GE(9.4mLのCV)を、動的結合様式で使用した。樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で平衡化させた。モノクローナル抗体IgG1を、50g/L樹脂で樹脂上に装填した。次いで、樹脂を100mMリン酸ナトリウムpH7.0で洗浄した後、100mMリン酸ナトリウム及び500mM塩化ナトリウムpH6.9で塩洗浄した。様々な異なる0.1Mクエン酸溶出緩衝剤を、イミダゾール濃度及びpH値を変化させながら、DoEにおいて試験した(表2)。さらなるイミダゾール洗浄緩衝剤を試験し、最後の溶出前洗浄液を交換して、カラムにイミダゾールを予め装填することが溶出速度に対するより大きな効果を有するかどうかを精査した。
Figure 2022543187000009
結果&結論
図6は、図1と同じ方法であるが、表2中のデータを使用するMODDE分析ソフトウェアにおいて生成された係数プロットである。「ImE」は、溶出緩衝剤中のイミダゾール濃度であり、「ImW」は、洗浄緩衝剤中のイミダゾール濃度である。「」は、項(単数又は複数)間の相互作用を示す。
図6は、イミダゾールが溶出容量の減少に対する統計的に有意な効果を有し、かくして、溶出液中の生成物濃度を増加させることを決定したため、以前の実験をさらに支持するMODDE試験の結果を示す。この試験はまた、イミダゾール濃度についての2次の項(ImEImE)も決定したが、これは、使用するための最適濃度が存在し、この範囲からの逸脱が溶出容量の増加をもたらすであろうことを示す。さらに、溶出前にイミダゾール緩衝剤でカラムを洗浄することにより、溶出容量がさらに減少した。溶出ステップの前に、カラム上にイミダゾールを予め装填することにより、カラムを下方に移動している溶出前部がイミダゾールを含まない環境になることが防止される。かくして、イミダゾールの予備装填は、溶出ステップの全ての態様が樹脂への再結合の防止を可能にし、したがって、溶出速度を増大させる。
(例5)
イミダゾールアナログ溶出プロファイル
方法
2つのMabSelect HiScreenカラム、GE(9.4mLのCV)を、動的結合様式で使用した。樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で平衡化させた。モノクローナル抗体IgG1を、35g/L樹脂で樹脂上に装填した。次いで、樹脂を、100mMリン酸ナトリウムpH7.0で洗浄した。溶出を、100mMクエン酸ナトリウムpH3.6又は100mMクエン酸ナトリウム+250mMの1,3ジメチル-1H-ピラゾールpH3.6のいずれかを用いて実施した。このアナログは、予備アナログ試験において溶出容量を減少させるのに有効であると考えられた。
結果&結論
図7は、対照のクエン酸による溶出が、2.85カラム容量で、pH3.6で生成物の95%を回収したことを示す。しかしながら、1,3-ジメチル-1H-ピラゾールを添加することにより、溶出容量は1.76カラム容量に減少し、94%の同等の回収率であった。したがって、1,3-ジメチル-1H-ピラゾールの添加は、溶出速度を増大させ、生成物をより速く溶出させ、かくして、同様の回収率を達成するのに必要な緩衝剤をより少なくした。
配列番号1:<223>抗アルブミン抗体の重鎖可変ドメイン(dsなし)
配列番号2:<223>抗アルブミン抗体の重鎖可変ドメイン(ds)
配列番号3:<223>抗アルブミン抗体の軽鎖可変ドメイン(dsなし)
配列番号4:<223>抗アルブミン抗体の軽鎖可変ドメイン(ds)
配列番号5:<223>アルブミンに特異的な645 gH5gL4
配列番号6:<223>アルブミンに特異的な645 gH5gL4ds
配列番号7:<223>HQモチーフ
配列番号8:<223>HNモチーフ
配列番号9:<223>HATモチーフ

Claims (9)

  1. 抗体を精製するための方法であって、
    a)精製しようとする該抗体を含む混合物を、親和性クロマトグラフィー樹脂上に装填するステップであって、該親和性クロマトグラフィー樹脂は、ニッケルベース、亜鉛ベース又はコバルトベースの樹脂ではない、ステップ、
    b)該クロマトグラフィー樹脂を洗浄緩衝剤で洗浄するステップ、
    c)0.01M~1.0Mイミダゾール又はイミダゾールアナログを含み、3~5のpHである溶出緩衝剤で該抗体を溶出するステップ
    を含む、方法。
  2. 前記親和性クロマトグラフィー樹脂が、金属イオンベースの樹脂ではない、請求項1に記載の方法。
  3. 前記親和性クロマトグラフィー樹脂が、プロテインAクロマトグラフィー樹脂、プロテインGクロマトグラフィー樹脂及びプロテインLクロマトグラフィー樹脂から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記溶出緩衝剤が、0.01M~0.5Mのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含む、請求項1から3までのいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記洗浄緩衝剤が、イミダゾール又はイミダゾールアナログを含む、請求項1から4までのいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記洗浄緩衝剤が、0.01M~0.5Mのイミダゾール又はイミダゾールアナログを含む、請求項5に記載の方法。
  7. 前記抗体を含む混合物の前記クロマトグラフィー樹脂上への装填前に、イミダゾール又はイミダゾールアナログを含む平衡化緩衝剤を用いて前記クロマトグラフィー樹脂を平衡化するさらなるステップを含む、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップa)、b)及びc)の1つ、2つ又は全部が、動的条件下で実行される、請求項1から7までのいずれか一項に記載の方法。
  9. 前記抗体が、IgG、Fab’、F(ab’)2、scFv、Fab-Fv、Fab-scFv、Fab-(scFv)2、Fab-(Fv)2、ダイアボディ、トリアボディ、及びテトラボディから選択される、請求項1から8までのいずれか一項に記載の方法。
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