JP2022538663A - アニリンの精製方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アニリンの精製方法であって、以下の工程:a)粗製アニリン画分を準備する工程と、b)水性抽出剤の総質量に対して0.009質量%~2.05質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物、及び2.40質量%~25.0質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を含有する水性抽出剤で粗製アニリン画分を抽出することで、相分離後に有機アニリン相及び水性アミノフェノレート相が得られる工程と、c)工程b)からの有機アニリン相を蒸留して、精製アニリン流、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流、並びにアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物及びアニリンを含有する液状流を得る工程とを含む、方法に関する。【選択図】図1

Description

本発明は、アニリンの精製方法であって、a)粗製アニリン画分を準備する工程と、b)水性抽出剤の総質量に対して、0.009質量%~2.05質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物、及び2.40質量%~25.0質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を含有する水性抽出剤で粗製アニリン画分を抽出することで、相分離後に有機アニリン相及び水性アミノフェノレート相が得られる工程と、c)工程b)からの有機アニリン相を蒸留して、精製アニリン流、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流、並びにアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流を得る工程とを含む、方法に関する。
アニリンは、例えば、ジフェニルメタン系列のジイソシアネート及びポリイソシアネート(MDI)の製造に重要な中間体であり、一般に、気相又は液相におけるニトロベンゼンの接触水素化によって工業的規模で生産される(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、及び特許文献4を参照)。この反応では、目標産物のアニリンに加えて、例えばフェノール又はアミノフェノール等の二次成分も形成され、これらは下流の過程でアニリンを更に使用する前に除去しなければならない。特に懸念されることは、生産される目標産物と沸点が非常に類似しているそのような二次成分の除去である。それというのも、この場合に蒸留がかなり面倒であるからである。アニリン(標準圧力での沸点:184℃)を生産する場合に、特にフェノール(標準圧力での沸点:182℃)の除去は蒸留技術にとっての大きな課題であり、これは多数の分離段及び高い還流比、したがって高い所要エネルギーを伴う長い蒸留塔の使用に反映される。アニリンからフェノールを除去する真空蒸留は、例えば、特許文献5に記載されている。
この理由から、フェノール(及び他のフェノール性化合物)をアニリンから、他の方式で、特に適切な塩基との反応によるフェノレート塩への変換によって分離するアプローチには事欠かない。これによって形成されるフェノレート塩は、不揮発性で易水溶性の化合物として、フェノール性化合物自体よりも実質的に容易にアニリンから分離される。
例えば、特許文献6は、アニリンを固定床において固体アルカリ金属水酸化物と接触させた後にのみ蒸留に送る方法、又は蒸留されるアニリンの量に対して0.1質量%~3質量%の割合の固体アルカリ金属水酸化物の存在下で蒸留を行う方法を記載している。これにより、アミノフェノール等の重要な成分の除去が簡易化される。しかしながら、この方法は、除去される酸性の二次成分に対して高モル過剰の固体アルカリ金属水酸化物が使用され、アルカリ性化合物を正確に投入することができないという不利点を有する。一方で、過剰な投入の場合には、これは腐食の問題、故障、及び蒸留塔内の高粘度の塔底相につながる可能性があり、他方で、過少な投入の場合には、重要な成分の不完全な除去につながる可能性がある。
特許文献7は、フェノール性ヒドロキシル基を有する化合物を芳香族アミンから分離する方法であって、蒸留の前に、精製されるアミンに塩基をフェノール性化合物に対して0.5:1~10:1のモル比で、任意に、例えばポリエチレングリコール等のポリオールの存在下で添加する、方法を記載している。しかしながら、特に非常に大量に生産されるアニリンの場合に、そのようなポリオールの添加は経済的に不利であり、生産物をポリオール(フラグメント)で汚染するリスクがある。しかしながら、そのようなポリオールを使用しないと、塩の沈殿のため頻繁なプロセスの中断が予想されることとなる。
特許文献8は、蒸留前又は蒸留中にアルカリ金属水酸化物水溶液を添加することによるアニリンの精製方法を記載しており、ここで、蒸留中の固形物の堆積、ファウリング、及び/又は激しい粘度増加によって引き起こされる問題は、蒸留の塔底相を部分的に排出し、それを水又は希アルカリ金属水酸化物溶液で洗浄し、洗浄された有機相を蒸留に戻して再循環させることによって防がれる。ここでの不利点は、信頼性の高い動作を維持するのに追加の方法工程が必要となることである。さらに、この方法は、後処理して廃棄する必要がある有機汚染された追加の廃水流を生ずる。
特許文献9は、芳香族アミンを精製する方法であって、プロセス水の除去後に得られる粗製アミンをアルカリ金属水酸化物水溶液で処理し、こうして得られたプロセス産物を蒸留する、方法を記載している。蒸留塔の塔底生成物を部分的ないしは完全に排出し、2つの直列接続又は並列接続された蒸発器(E)及び(E)を介して或る程度蒸発させる。この目的は、最小限の装置費用及びエネルギー消費で、蒸留塔の塔底において有益なアミンの最大限の低減を達成することである。
上述の方法において、芳香族アミンは、塩基の存在下で蒸留される。この手順では、蒸留中の腐食、固形物の堆積、及び/又はファウリングによって引き起こされる問題を、複雑な及び/又は高価な措置によって防ぐ必要がある。さらに、このような方法は、高いアミノフェノール含有量を有する粗製アニリンの精製にはあまり適していない。それというのも、塩基との反応中に形成されるアミノフェノレートは非常に少ない割合でしかアニリン中に可溶性でなく、したがって後続のアニリン塔においてファウリング及び堆積をもたらす固形物を形成するからである。
水性塩基による抽出によってフェノール及び他のフェノール性化合物を除去する方法も知られている。その他の非酸性不純物を除去するためであっても、アニリンを少なくとも或る程度蒸留する必要がある。このような方法は、例えば、特許文献10、特許文献11、特許文献12、又は更に特許文献13に記載されている。これらの中でも、特許文献10が例としてより詳細に考慮される。この文献は、抽出に使用されるアルカリ金属水酸化物溶液の濃度及び温度を選択することで、後続の相分離において水相が常に下相となることを保証する方法を記載している。このようにして、相分離の問題、特に相反転が抽出中に回避される。好ましいアルカリ金属水酸化物濃度は、0.71重量%から35重量%の間である。しかしながら、例えば50重量%等のより高い濃度も記載されている。十分に高い温度(最大140℃、好ましくは最大100℃、特に好ましくは最大95℃)によって、水相が常に下相となることが保証される場合には、より低い濃度、例えば最大0.1重量%も使用され得る。それぞれの実施例では、抽出は90℃で行われた。したがって、十分に高いアルカリ金属水酸化物濃度又は十分に高い温度のいずれかが存在しなければならず、これらは両方とも費用と紐付いている。この特許出願は、これらの措置なしで良好な相分離に必要とされる水相と有機相との間の密度差をどのように達成し得るのかを明らかにしていない。
特許文献10の教示によれば、抽出に使用されるアルカリ金属水酸化物溶液を、抽出後に、場合によっては追加の精製及び/又は濃縮後に再循環し、抽出に再利用することができる。これを具体的にどのように行うことができるか、特に有機不純物(特にフェノレート)で汚染されたアルカリ金属水酸化物溶液を問題のない再循環が可能なようにどのように経済的に精製することができるかを、この文献から導き出すことはできない。抽出への再循環に替わるものとして、この文献は、抽出に使用されたアルカリ金属水酸化物溶液を、場合によっては追加の精製後に廃水流に供給し、これを例えば後続の後処理後に水処理プラントに送ることを開示している。この場合に、アルカリ金属水酸化物の損失は避けられない。したがって、まとめると、この特許出願は、水相が常に下相になること(相反転の防止)を確実に保証することを可能にする方法を確かに開示しているが、この代償は、高いアルカリ金属水酸化物濃度又は高い抽出温度という不利点である。さらに、過剰なアルカリ金属水酸化物を再利用する実用的な概念は存在しない。
特許文献14は、フェノール含有アニリンを精製する方法であって、アニリンを希アルカリ金属水酸化物溶液で抽出する、方法を記載している。好ましくは、水相中のアルカリ金属水酸化物の濃度は、アニリンとアルカリ金属水酸化物溶液とを混合した後に、0.1質量%~0.7質量%の範囲に設定される。フェノールに対するアルカリ金属水酸化物のモル比は、好ましくは3~500の範囲である。
現在の純度要件を満たすには、例えば特許文献15に記載されるように、2つ以上の抽出段階が一般に必要とされ、それにより更に複雑さが増す。さらに、これらの方法は全て、フェノレートを含有する大量の廃水流を生じ、これはまた慎重に後処理して廃棄する必要がある。
特許文献16は、アニリン後処理の改善に非常に一般的に取り組んでいる。アニリン蒸留塔の塔底物の一部を上記塔から排出し、別個に、すなわち、塔の本来の蒸発器とは異なる第2の蒸発器で気相に変換する方法が記載されている。こうして得られた気相は、純粋なアニリン塔に再循環され、蒸発し得ない重沸点物画分が除去される。この方法の不利点は、低沸点物及び水を、脱水塔の機構が複雑な方法において本来のアニリン蒸留塔の上流にある追加の蒸留によって別個に除去する必要があることである。
最後に、特許文献17は、直列接続された2つの蒸留塔においてアミン水溶液を精製する方法を記載している。一方の塔は2bar~20barで作動され、もう一方の塔は0.1bar~10barで作動される。ここでは、高い方の圧力で作動する塔から出る蒸気の凝縮熱を使用して、低い方の圧力で作動する塔底部を加熱する。塔底生成物としてアミンが得られる。したがって、この方法は、アニリンから高沸点物(例えば、アミノフェノール)又はフェノールを除去するには適していない。圧力が高いため、生成物の或る程度の分解につながり、したがって収率の減少又はファウリングにつながり得る高い塔底温度も必要である。
欧州特許出願公開第0696573号 欧州特許出願公開第0696574号 欧州特許出願公開第1882681号 国際公開第2013/139737号 独国特許出願公開第1935363号 特開昭49-035341号 欧州特許第1670747号 欧州特許出願公開第1845079号 欧州特許出願公開第2028176号 欧州特許出願公開第1845080号 欧州特許出願公開第2263997号 特開08-295654号 欧州特許出願公開第2641892号 日本国特許第3804082号 特開2007-217405号 特開2005-350388号 欧州特許出願公開第1602640号
したがって、アニリン精製の分野では更なる改善が必要とされていた。フェノール性化合物の除去に関しては、これまで主にフェノール自体に注目が集められていて、アミノフェノールに対しては、それほど注目は集められていなかった。塩基を使用する既知の方法は、高いアミノフェノール含有量を有する粗製アニリン画分を精製する場合には上記で概説した不利点を有する。蒸留に塩基を使用する場合に、固形物の形成という上記の問題が発生する。塩基を省く場合に、いつも同様に存在するフェノールの除去は困難である。アルカリ抽出を使用する場合に、大量の塩基が必要とされる。使用される塩基溶液(通常は水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム)の濃度及び/又は量を、抽出効率及び/又は後続の相分離を妨害することなく任意に減らすことはできない。
全く驚くべきことに、塩基抽出が粗製アニリンの蒸留の上流に位置し、その塩基抽出において、塩基性成分として使用されるアルカリ金属水酸化物に加えて、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩も使用し、特に相分離後に得られる水相を酸性化後に、蒸留において得られる高沸点物に富む塔底流等の有機流での逆抽出に供する場合に、上述の問題を解決し又は少なくとも大幅に軽減し得ることが判明した。
したがって、概説された必要性を考慮して、本発明の主題は、以下の工程(図1も参照):
a)アニリン及び有機不純物を含有する(水性成分及び有機成分を含む)粗製アニリン画分1を準備する工程であって、ここで、有機不純物が、フェノール、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物(「低沸点物」と呼ばれる)、及びアミノフェノール、並びにまたアニリンよりも高い沸点を有する更なる有機不純物(「高沸点物」と呼ばれる)を含み、かつ粗製アニリン画分の有機成分の総質量に対するアミノフェノールの濃度が、0.001質量%~1.00質量%の範囲、好ましくは0.001質量%~0.50質量%の範囲、特に好ましくは0.001質量%~0.10質量%の範囲にある、工程と、
b)工程a)からの粗製アニリン画分を、水性抽出剤の総質量に対して、
0.009質量%~2.05質量%、好ましくは0.010質量%~2.00質量%、特に好ましくは0.010質量%~1.00質量%、非常に特に好ましくは0.50質量%~1.00質量%、極めて特に好ましくは0.76質量%~1.00質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物、特に水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、及び、
2.40質量%~25.0質量%、好ましくは4.00質量%~25.0質量%、特に好ましくは5.00質量%~25.0質量%、非常に特に好ましくは10.0質量%~20.0質量%、極めて特に好ましくは12.0質量%~17.0質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩、特に塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム又は硫酸ナトリウム若しくは硫酸カリウム、
を含有する水性抽出剤4で抽出することで、相分離後にアミノフェノール(及び当然ながらフェノールも)が低減された有機アニリン相5及び水性アミノフェノレート相6が得られる工程と、
c)工程b)からの有機アニリン相6を蒸留して、精製アニリン流8、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流7、並びにアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流9を得る工程と、
を含み、好ましくは、濃縮の段階、酸処理の段階、及び抽出の段階を含む工程d)~工程f)を含み、ここで、これらの段階は、段階の順序、及び個々の材料流れが導かれる様式の点で異なる第1の変形形態(工程d.1)~工程f.1)、図2aも参照)及び第2の変形形態(工程d.2)~工程f.2)、図2bも参照)において存在し、第1の変形形態は、
d.1)アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含む工程c)からの液状流9をアニリンの蒸発により濃縮して、アニリン含有留出物流17及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する塔底流18を得る工程と、
e.1)工程b)で得られた水性アミノフェノレート相6を酸21で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換する工程と(好ましくは酸の添加と並行して)、
f.1)酸処理によって形成されたアミノフェノールを、アニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程d.1)からの塔底流18を含む有機流で抽出して、相分離後に有機相19及び水相20を得て、ここで、水相にアルカリ金属水酸化物を添加し、この水相を工程a)で使用される抽出剤4の成分として使用する工程と、
を含み、第2の変形形態は、
d.2)工程b)で得られた水性アミノフェノレート相6を酸21で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換する工程と(好ましくは酸の添加と並行して)、
e.2)酸処理によって形成されたアミノフェノールを、アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程c)からの液状流9を含む有機流で抽出して、相分離後に有機相19及び水相20を得て、ここで、水相にアルカリ金属水酸化物を添加し、この水相を工程a)で使用される抽出剤4の成分として使用する工程と、
f.2)工程e.2)からの有機相19をアニリンの蒸発により濃縮して、アニリン含有留出物流17及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する塔底流18を得る工程と、
を含む、アニリンの精製方法である。
両方の好ましくは実施される変形形態である第1の変形形態及び第2の変形形態を、以下に記載される本発明の他の全ての実施の形態と組み合わせることができる。
アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の混合物を抽出剤として使用する本発明による方法により、比較的低いアルカリ金属水酸化物濃度の場合でさえも、(例えば、特許文献10に教示されるように)比較的高い抽出温度に頼る必要なくスムーズな相分離を保証することが可能となる。工程b)による抽出においてアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を追加で使用することにより、特に温度の選択を制限せず、かつ比較的高価なアルカリ金属水酸化物の使用を増加させずに相分離中の水相が一貫して下(「重」)相であることを確実に保証することが可能となる。さらに、本発明による方法の好ましい構成においては、酸性化後に水相から有機成分を逆抽出することが可能であり、これにより、消費された塩基を交換した後に、抽出剤の必須成分を再循環させることが可能となる。さらに、逆抽出で除去された有機成分を(あらゆる場合に得られる)廃棄物流に供給することが可能であり、これは好ましい実施の形態の主題であり、これにより、追加の廃棄物流の廃棄処分が不必要となる。
アニリンを生産するあらゆる工業的に関連する方法においては、水は副産物(反応水)として形成される。つまり、(反応水を含有する)水相及び(形成されたアニリン及び有機不純物を含有する)有機相から構成される2相粗生成物は、アニリンの生産でいつも最初に得られる。粗生成物からの水相の部分的ないしは完全な、好ましくは完全な除去(いわゆる当業者に知られる相分離による)の後に残るアニリン含有相は、本発明の文脈において「粗製アニリン画分」と呼称される。当業者に知られるように、2つの相の相互の或る特定の残留溶解度のため、2相のプロセス産物の有機相からの水相のそのような分離は、水性成分からの有機成分の残留物不含の分離が可能であろうという意味では決して完璧ではない。したがって、本発明の文脈における「水相の完全な除去」又は「完全な相分離」という用語は、水相の画分が意図的に有機相に残されていないことを意味するだけである。したがって、水相の完全な除去でさえも、粗製アニリン画分は、有機成分とともに水性成分も含む。
本発明の用語法における「アミノフェノール」という用語は、全ての異性体を包含する(したがって、存在する全ての異性体の全集合を意味する)が、この場合に、経験から言うと、オルトアミノフェノール及びパラアミノフェノールのみがいつも検出可能な量で存在する。
本発明の文脈において指定される有機化合物の質量濃度は、これらが測定値である(既知の原料から計算された値ではない)場合に、ガスクロマトグラフィーによって決定された値に関連する。ガスクロマトグラフィーによる低分子量有機化合物の濃度の定量化は、この点において更なる説明が必要とされない当業者に既知の方法である。本発明の文脈において、有機成分の総質量が参照変数である。
一方では、アルカリ金属水酸化物の質量濃度について、他方ではアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の質量濃度について、上記の工程b)で指定された範囲及び好ましい範囲を、原則として、所望であれば互いに組み合わせることができる。すなわち、例えば、アルカリ金属水酸化物を0.010質量%~2.00質量%の範囲(2番目に広い範囲)の濃度で使用し、かつアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を12.0質量%~17.0質量%の範囲(最も狭い範囲)の濃度で使用することが可能である。これは、個々の下限及び上限にも当てはまる。したがって、例えば、アルカリ金属水酸化物を0.010質量%~2.00質量%の範囲(2番目に広い範囲)の濃度で使用し、かつアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を2.40質量%(最も広い範囲の下限)~17.0質量%(最も狭い範囲の上限)の範囲の濃度で使用することも同様に可能である。しかしながら、相互に対応する範囲を互いに組み合わせること、すなわち、例えば、アルカリ金属水酸化物の濃度についての好ましい範囲と、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の濃度についての好ましい範囲とを組み合わせること、又はアルカリ金属水酸化物の濃度についての非常に好ましい範囲と、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の濃度についての非常に好ましい範囲とを組み合わせること等が特に好ましい。
本発明の文脈における「低沸点物」は、アニリンよりも低い沸点を有する有機化合物(及び場合によっては共沸混合物)であると理解される。沸騰挙動の点では、当然ながら水は低沸点物に属するが、水は二次反応に寄与し得る有機不純物ではなく、むしろアニリン生産の副産物であるか(ニトロベンゼンの水素化、フェノールのアンモニア分解)、又は使用される試薬とともに導入される(ニトロベンゼンの塩酸の存在下での鉄等の卑金属による還元、水性アンモニアによるアンモニア分解)ので、水は一般的に、そして本発明の文脈においても別個に考慮される。本発明の文脈における典型的な低沸点物は、シクロヘキシルアミン、シクロヘキサノン、シクロヘキサノール、及びベンゼンである。したがって、本発明の文脈における「高沸点物」は、アニリンよりも高い沸点を有する有機化合物(及び場合によっては共沸混合物)であると理解される。典型的な高沸点物は、アミノフェノール、トルイジン、フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、N-シクロヘキシルアニリン、又は更には生産からの未変換の出発物質、例えばニトロベンゼンである。原則として、物質の低沸点物又は高沸点物としての分類は圧力に依存するため、この場合に、工程c)で蒸留用に選択された圧力条件に依存する(物質は、或る特定の圧力では低沸点物となり、別の圧力では高沸点物となる場合がある)。しかしながら、典型的な低沸点物及び高沸点物について上述された例は、工程c)に関連する全ての圧力範囲において、なされた割り当てに対応する。しかしながら、フェノールは、アニリンと非常に類似した沸騰挙動を有しており、工程c)において、存在する圧力に依存して低沸点物又は高沸点物として分離され得る。
「精製アニリン流」は、本発明の文脈において、低沸点物及び高沸点物の蒸留による除去に供されたアニリン流であると理解される。本発明により得られる精製アニリン流は、その総質量に対して、99.5000質量%~99.9999質量%の範囲、好ましくは99.9000質量%~99.9999質量%の範囲、特に好ましくは99.9500質量%~99.9999質量%の範囲の割合でアニリンを含有する。
本発明による方法の一実施形態を示す図である。 上記の第1の変形形態を含む本発明による方法の更なる実施形態を示す図である。 上記の第2の変形形態を含む本発明による方法の更なる実施形態を示す図である。 様々な抽出剤を使用したフェノール及びアミノフェノールを含有するアニリンの抽出におけるフェノール及びアミノフェノールの低減の程度、並びに純水での抽出と比較した相対的な相分離時間を示す図である。 種々のpH値での2相混合物における有機相と水相との間のフェノール及びオルトアミノフェノールの分配係数を示す図である。
次に最初に、本発明の種々の可能な実施形態の概要を示すが、実施形態の列挙は網羅的ではないと見なされるべきである。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第1の実施形態において、工程c)は、側方抜出部を備えた蒸留塔における蒸留を含み、ここで、精製アニリン流は、側方流として抜き出され、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流は、塔頂流として抜き出され、そしてアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流は、側方抜出部を備えた蒸留塔から塔底流として抜き出される。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第2の実施形態において、工程c)は、直列接続された2つの蒸留塔における蒸留を含み、ここで、第1の蒸留塔において、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流が、塔頂流として抜き出され、第1の蒸留塔において得られた塔底流が、第2の蒸留塔への供給物として導かれ、第2の蒸留塔において、精製アニリン流が、塔頂流として得られ、かつアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流が、塔底流として得られる。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第3の実施形態において、工程c)は、3つの蒸留塔における蒸留を含み、ここで、水及び有機不純物を含有する塔頂流が、第1の蒸留塔から抜き出され、水相及び有機相へと分離され、有機相は、第2の蒸留塔へと導かれ、そこからアニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流が、塔頂流として抜き出され、かつ第1の蒸留塔において得られた塔底流が、第3の蒸留塔への供給物として導かれ、第3の蒸留塔において、精製アニリン流が、塔頂流として得られ、かつアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流が、塔底流として得られる。
第1の実施形態~第3の実施形態の特定の構成である(すなわち、これらの3つの実施形態のそれぞれに適用することができる)本発明の第4の実施形態において、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流を部分的に液化し、こうして得られた液相を、任意に存在する全ての水の除去後に、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流が塔頂流として抜き出されたその蒸留塔へと(還流として)再循環し、ここで、部分的な液化後に残る気相(非凝縮性ガスに加えて、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する)が蒸留から排出される。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第5の実施形態において、工程d.1)又は工程f.2)における濃縮のために蒸留塔が使用される。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第6の実施形態において、部分的な液化後に工程c)において残る気相(非凝縮性ガスに加えて、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する)を凝縮し、得られた凝縮物を、工程f.1)又は工程e.2)で使用される有機流の追加成分として使用する。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第7の実施形態において、
工程f.1)において相分離後に得られた有機相、又は、
アニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程f.2)において得られた塔底流、
を焼却する。
第1の変形形態及び第2の変形形態のどちらとも組み合わせることができる(上記の記載を参照)本発明の第8の実施形態において、アルカリ金属水酸化物とは異なる使用されるアルカリ金属塩は、(i)アルカリ金属塩化物、又は(ii)アルカリ金属硫酸塩である。
第8の実施形態の特定の構成である本発明の第9の実施形態において、工程e.1)又は工程d.2)において(i)の場合に使用される酸は塩酸であり、(ii)の場合に使用される酸は硫酸である。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第10の実施形態において、工程b)における粗製アニリン画分の抽出は、幾つかの工程、好ましくは2つの工程において向流で行われる。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第11の実施形態において、工程b)で得られた有機アニリン相は、工程c)における蒸留の前に、アルカリ金属水酸化物の水溶液と混合され、こうして得られた混合物は、その水性成分を事前に除去することなく、工程c)の蒸留に供される。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第12の実施形態において、粗製アニリン画分は、触媒の存在下でのニトロベンゼンの水素化及び水素化において形成された水の除去によって得られる。
第12の実施形態の特定の構成である本発明の第13の実施形態において、ニトロベンゼンの水素化は気相中で行われ、得られたガス状反応生成物は凝縮される。
第13の実施形態の特定の構成である本発明の第14の実施形態において、ガス状反応生成物の凝縮は、温度が連続的に降下する2段階(すなわち、「部分凝縮」及び「全凝縮」)で行われ、ここで、第2の凝縮段階の後にのみ、水素化において形成された水を除去する相分離が行われる。
第14の実施形態の特定の構成である本発明の第15の実施形態において、第1の凝縮段階で得られた凝縮物は、第2の凝縮段階後の相分離において水を除去した後に残る有機相と合わされ、工程a)における粗製アニリン流として(部分的又は完全に)使用される。
第14の実施形態の更なる特定の構成である本発明の第16の実施形態において、工程a)において準備される粗製アニリン流は、第1の凝縮段階で得られた凝縮物、又は第2の凝縮段階後の相分離において水を除去した後に残る有機相のいずれかから抜き出される。
第13の実施形態の更なる特定の構成である本発明の第17の実施形態において、ガス状反応生成物の凝縮は1段階で行われ、ここで、凝縮に続いて、水素化において形成された水を除去する相分離が行われ、かつ水を除去した後に残る有機相は、工程a)における粗製アニリン流として(部分的又は完全に)使用される。
第12の実施形態~第17の実施形態の特定の構成である本発明の第18の実施形態において、水素化は断熱的に(adiabatically)行われる。
第12の実施形態~第17の実施形態の更なる特定の構成である本発明の第19の実施形態において、水素化は等温的に(isothermally)行われる。
第18の実施形態の特定の構成である本発明の第20の実施形態において、触媒は、二酸化ケイ素担体上の銅を含む。
第19の実施形態の特定の構成である本発明の第21の実施形態において、触媒は、酸化アルミニウム担体上のパラジウムを含む。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第22の実施形態において、アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩のアルカリ金属は、それぞれの場合にナトリウム又はカリウムである。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第23の実施形態において、工程b)において、フェノール性ヒドロキシル基に対するアルカリ金属水酸化物のモル比は、0.80~50の範囲、好ましくは0.95~10の範囲、特に好ましくは1.0~5.0の範囲、非常に特に好ましくは1.0~2.4の範囲に設定される。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第24の実施形態において、工程b)における抽出は、20℃~95℃、特に好ましくは25℃~85℃、非常に特に好ましくは25℃~70℃、極めて特に好ましくは25℃~40℃の範囲の温度で行われる。
(第1の変形形態又は第2の変形形態における)工程d)~工程f)を含む全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第25の実施形態において、有機流による酸処理によって形成されたアミノフェノールの抽出(工程f.1又は工程e.2)は、混合ユニット及び分離ユニットを備えるミキサセトラ装置(ミキサセトラ)において実施され、ここで、工程b)で得られた水性アミノフェノレート相6を酸21で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換することは、工程b)で得られた水性アミノフェノレート相6を混合ユニットにおいて酸21及び(流れ18又は流れ9を含む)有機流と混合し(酸及び有機流を水性アミノフェノレート相に同時に添加し、すなわち有機流での抽出を酸処理と並行して行い)、これに続いて、分離ユニットにおいて有機相19及び水相20への相分離が行われるように実施される。
全ての他の実施形態と組み合わせることができる本発明の第26の実施形態において、
使用されるアルカリ金属水酸化物は、
0.009質量%~2.05質量%、好ましくは0.010質量%~2.00質量%、特に好ましくは0.010質量%~1.00質量%、非常に特に好ましくは0.50質量%~1.00質量%、極めて特に好ましくは0.76質量%~1.00質量%の濃度範囲の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウム、
であり、かつアルカリ金属水酸化物とは異なる使用されるアルカリ金属塩は、
4.00質量%~25.0質量%、好ましくは5.00質量%~25.0質量%、特に好ましくは10.0質量%~20.0質量%、非常に特に好ましくは12.0質量%~17.0質量%の濃度範囲の塩化ナトリウム又は塩化カリウム、又は、
2.40質量%~25.0質量%、好ましくは4.00質量%~25.0質量%、特に5.00質量%~25.0質量%、非常に特に好ましくは10.0質量%~20.0質量%、極めて特に好ましくは12.0質量%~17.0質量%の濃度範囲の硫酸ナトリウム又は硫酸カリウム、
のいずれかである。
上記で簡潔に概説された実施形態及び本発明の更なる可能な実施形態を、以下でより詳細に説明する。文脈から逆のことが明らかでない限り、所望であれば、実施形態を互いに組み合わせることができる。
図1は、本発明による方法の単純な構成を示している。参照符号は以下の意味を有する。
装置又は方法工程:
1000 混合機、
2000 相分離を含む塩基抽出、
3000 蒸留塔、
3100 蒸留塔3000の塔底蒸発器。
材料流:
1 粗製アニリン画分、
2 アルカリ金属水酸化物溶液、
3 アルカリ金属水酸化物溶液とは異なるアルカリ金属塩溶液(好ましくは、アルカリ金属塩化物溶液又はアルカリ金属硫酸塩溶液)、
4 水性抽出剤、
5 アミノフェノール(及びフェノール)が低減された有機アニリン相、
6 水性アミノフェノレート相、
7 蒸留塔の塔頂流(低沸点物、水、非凝縮性ガス)、
8 精製されたアニリン、
9 塔底蒸発器からの排出物、
10 塔底蒸発器からの留出物。
アニリンの製造についての従来の技術で現在慣用の工業的方法(特に、ニトロベンゼンの水素化、比較的程度は低いが鉄等の卑金属によるニトロベンゼンの還元、そして今日ではあまり重要ではないが、フェノール又はクロロベンゼンのアンモニア分解)は、違いはあるにせよ、全てが最終的にフェノール含有及びアミノフェノール含有の粗製アニリンを生ずるので、本発明による方法をこれらの製造方法の全てに合理的に適用することができ、したがって工程a)で準備される粗製アニリンは同様にこれらの方法の全てに由来し得る。
精製されるアニリンの本来の生産は、好ましくは、ニトロベンゼンの接触水素化によって行われる。この場合に得られる粗製プロセス産物は、アニリン及び二次成分に加えて、水素化の副産物としてのかなりの割合の水(反応水)を含有し、これは更なる精製の前に部分的ないしは完全に、好ましくは完全に除去される。この除去は、当業者に知られる相分離によって行われる。それにより得られた水相は、完全な相分離を伴う好ましい構成において(この点に関しては上記の説明を参照)反応水の大部分(アニリン中での水の溶解度が低いため相分離によって除去することができない残留量を除く)を含有し、これは除去される。アニリンに加えて、残りの有機相はまた有機不純物及び溶存水を含有する。
有利には、水素化を気相中で実施することができ、ここで、水素は、好ましくは化学量論的に過剰に使用される。当業者に知られるように、水素化は、断熱的に(反応熱の制御された除去なしに)又は等温的に(例えば、水、油、又は溶融塩等の冷却伝熱媒体を使用するシェルアンドチューブ式反応器における反応熱の制御された除去により)実施され得る。
断熱方式の場合に、一般に2つ以上の反応器が連続的に直列に配置される。この場合に、反応熱が反応ガスの温度のかなりの上昇をもたらす(いわゆる「断熱的温度ジャンプ」)ため、反応ガスは反応器を出た後に冷却される。冷却後に、ガス状ニトロベンゼン及び更なる水素を任意に新たに加え、更なる反応器に供給することができる。反応熱を抑えるために、断熱的方法は一般に特に大過剰の水素を用いて動作する。したがって、未消費の水素は、好ましくは循環される。
等温的方法においては、一般に単一の反応器が使用される。この反応器は、記載されるように能動冷却される。断熱的方法と比較して一般にはるかに少ない水素の過剰にもかかわらず、未消費の水素を循環させることが通常適切である。
断熱的に実施される方法の利点は、触媒床の冷却が必要とされないので、反応器のより簡易的な設計にある。等温的方法は、触媒床の冷却が必要であるため、相応してより高価である。しかしながら、実現可能な反応器サイズのため、ここでは一般に、2つ以上の反応器及び対応する中間冷却器の直列配置は必要とされない。
本発明による方法は、水素化が、酸化アルミニウム担体上にパラジウムを含む触媒を使用して等温的に、又は二酸化ケイ素担体上に銅を含む触媒を使用して断熱的に行われる場合に、特に有利に使用可能である。どちらの場合も、フェノールに加えて、比較的大量のアミノフェノールが形成され、これは本発明による方法によって効率的に除去することができる。
両方の手順で最初に得られるガス状反応生成物は凝縮される。このような凝縮を1段階で実施した(すなわち、単一の凝縮物を得た)後に、相分離を行うことができる。反応水の除去後に残る有機相を、粗製アニリン画分として工程b)に供給することができる。
しかしながら、異なる組成の2つの凝縮物が得られるように、2段階で凝縮を行うことも可能である。このために、最初に得られるガス状粗生成物流を連続的に降下する温度に曝すと、最初に、より高沸点の成分のみがアニリンと一緒に凝縮する。このようにして、水をほとんど含まず、好ましくは単相である第1の凝縮物(いわゆる「部分凝縮物」)が得られるため、この場合に、相分離は不必要である。したがって、この「部分凝縮物」は、実質的にアニリン及び高沸点物のみからなる。より低い温度で行われる第2の凝縮(いわゆる「全凝縮」)においてのみ、更なるアニリンに加えて低沸点物及び水も凝縮する。したがって、相分離による反応水の除去は、依然としてこの「全凝縮物」に限定され得る。相分離後に残る有機相を、有利には、部分凝縮物と合わせて、粗製アニリン画分として工程b)に供給することができる。しかしながら、2つの流れの一方(部分凝縮物又は相分離後に得られる全凝縮物の有機相)のみを粗製アニリン画分として工程b)に供給することも可能である。
粗製アニリンを準備する正確な方法に関係なく、本発明は、粗製アニリン画分の有機成分の総質量に対して0.001質量%~1.00質量%の範囲、好ましくは0.001質量%~0.50質量%の範囲、特に好ましくは0.001質量%~0.10質量%の範囲のアミノフェノールの濃度を有する粗製アニリン画分の精製に使用され得る。アミノフェノールの形成は常にフェノールの形成を伴うので、そのような粗製アニリン画分はいつも、具体的には、粗製アニリン画分の有機成分の総質量に対して、特に0.001質量%~1.00質量%の範囲、好ましくは0.001質量%~0.50質量%の範囲、特に好ましくは0.001質量%~0.10質量%の範囲のフェノールも含有する。
アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を追加で使用するという本発明による要件が守られる限り、工程b)における抽出は、原則として、従来技術においてそれ自体が既知の装置及び手順を使用して実施され得る。理論に縛られることを望むものではないが、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩は、抽出剤中のアルカリ金属水酸化物濃度が比較的低い場合でさえも、水相と有機相との間に十分な密度差を保証するため、単純な相分離を促進することが想定される。2つの非混和性又は非常に難混和性の相の分離のそのような促進は、水相を塩で飽和させることによって水相中での有機化合物の溶解度を低下させ、したがって水性-有機プロセス産物の後処理において(水相中でのこの有機標的生成物の残留溶解度による損失を最小限に抑えることによって)有機標的生成物の収率を上げるという有機化学で知られる手順とは区別されるべきである。
本発明に必須である水性抽出剤の2つの成分であるアルカリ金属水酸化物(本来の反応性成分)及びアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩は、予備混合された形態(これが好ましい)で、又は更には別々に(別個の供給装置を介して)供給され得る。抽出は、当業者に知られる装置、特にいわゆる「ミキサセトラ」装置(ミキサセトラ)において1段階以上で実施され得る。向流での多段階の、特に2段階の抽出が特に好ましい。各抽出工程の後に相を分離し、最終的な(場合によっては唯一の)抽出工程の後に得られたアミノフェノール(及び当然ながらフェノールも)が低減された有機相を工程c)に供給する。
工程b)における抽出は、好ましくは、20℃~95℃、特に好ましくは25℃~85℃、非常に特に好ましくは25℃~70℃、極めて特に好ましくは25℃~40℃の範囲の温度で行われる。
本発明によれば、抽出剤の総質量に対して、アルカリ金属水酸化物は、0.009質量%~2.05質量%、好ましくは0.010質量%~2.00質量%の濃度範囲で、特に好ましくは0.010質量%~1.00質量%の濃度範囲で、非常に特に好ましくは0.50質量%~1.00質量%の濃度範囲で、極めて特に好ましくは0.76質量%~1.00質量%の濃度範囲で使用され、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩は、2.40質量%~25.0質量%、好ましくは4.00質量%~25.0質量%の濃度範囲で、特に好ましくは5.00質量%~25.0質量%の濃度範囲で、非常に特に好ましくは10.0質量%~20.0質量%の濃度範囲で、極めて特に好ましくは12.0質量%~17.0質量%の濃度範囲で使用される。既に述べたように、本発明に必須の2つの成分を予備混合することが好ましい。工程b)に使用される抽出装置への本発明に必須の2つの成分の同様に可能な別個の供給の場合(混合の結果として抽出剤が抽出装置内で最初に形成される)には、上述の質量濃度についての参照変数は、本発明に必須の2つの成分の個々の質量の合計である(これは、好ましい実施形態における予備混合された抽出剤の質量に等しい)。
好ましい実施形態において、粗製アニリン画分中のフェノール及びアミノフェノールの総濃度は連続的に又は間隔を置いて監視され、抽出剤の組成及び/又は量はこれに適合される。アミノフェノール(及びフェノール)を最大限に完全に除去するには、アルカリ金属水酸化物を、フェノール性ヒドロキシル基に対して少なくとも化学量論量で、好ましくは過剰に使用しなければならない(本発明の文脈におけるフェノール性ヒドロキシル基は、フェノール及びアミノフェノールのヒドロキシル基を総称し、フェノール及びアミノフェノールはまた、フェノール性化合物と総称される)。しかしながら、或る特定の状況下では、工程b)で全てのフェノール性化合物を意図的に中和せず、代わりに除去の一部を後続の工程c)の蒸留にずらすことが適切な場合もある。工程c)における蒸留により問題なく或る特定量のフェノール性化合物が除去され得る場合に、工程b)における抽出剤の使用をこのようにして最小限に抑えることができる。したがって、有利に使用されるアルカリ金属水酸化物の相対量は、正確な手順に応じて変動し得る。特に、フェノール性ヒドロキシル基に対するアルカリ金属水酸化物の有用なモル比は、0.80~50の範囲、好ましくは0.95~10の範囲、特に好ましくは1.0~5.0の範囲、非常に特に好ましくは1.0~2.4の範囲のモル比であると判明した。本発明の文脈において、モル比は、本条件下でフェノール性ヒドロキシル基の濃度を必要な程度まで低下させるという目的に対してのみ向けられ得る。さらに、従来技術の方法で絶対に必要とされ得るように、所望の密度を確立するのに、更なるアルカリ金属水酸化物を添加することは特に必要とされない。対照的に、本発明による方法において場合によっては必要とされる密度の調整は、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を添加することによって、簡単かつ費用効果の高い様式で行われ得る。
抽出において得られ、工程c)において上記相を蒸留する前にアミノフェノールが低減されたアニリン相に更なる水性アルカリ金属水酸化物を加え、こうして得られた混合物をその水性成分を除去することなく工程c)の蒸留に供することが適切な場合もある。これは、アルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の存在下での本発明による塩基性抽出と、文献から知られる塩基の存在下での蒸留との組合せと同等である。
使用されるアルカリ金属水酸化物は、好ましくは、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムである。アルカリ金属水酸化物とは異なる使用されるアルカリ金属塩は、好ましくは、塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、又は硫酸ナトリウム若しくは硫酸カリウムである。使用される水酸化物のアルカリ金属塩は、好ましくは、アルカリ金属水酸化物とは異なる使用されるアルカリ金属塩のアルカリ金属塩と同じ、特にそれぞれの場合にナトリウム又はカリウムであるべきである。
工程c)において、工程b)における抽出によって予備精製された粗製アニリンの蒸留による(高純度)精製が行われる。原則として、アニリン精製に適していると当業者に知られるあらゆる蒸留装置及び方法を使用することができる。
本発明の工程c)についての第1の構成の選択肢においては、一方で低沸点物及び溶存水、他方で高沸点物は、別々の蒸留塔で除去される。すなわち、蒸留による精製は直列接続された2つの蒸留塔を含む。第1の蒸留塔の供給物は、工程b)からの塩基性抽出によって予備精製された粗製アニリン画分である。
第1の蒸留塔(いわゆる「低沸点物塔」)においては、低沸点物が塔頂部から留去される一方で、アニリン及び高沸点物は塔底部に貯まる。溶存水は、同様に塔頂部から又は更には側方抜出部において抜き出され得る。第1の塔の塔底部は、更なる(第2の)蒸留塔(いわゆる「アニリン塔」)の供給物を形成し、その蒸留塔において、アニリンは塔頂部から留去され、アニリン含有高沸点物流がその塔底部に貯まる。この実施形態において塔頂部から留去されたアニリンは、本発明の目的の精製アニリン流を構成する。
第1の構成の選択肢においては、「低沸点物蒸留」は、好ましくは、1000mbar(絶対)~1100mbar(絶対)の範囲の塔頂圧力及び97℃~100℃の範囲の塔頂温度で実施され得る。アニリン塔における蒸留は、好ましくは、100mbar(絶対)~200mbar(絶対)の範囲の塔頂圧力及び110℃~130℃の範囲の塔頂温度で実施される。
本発明の工程c)についての第2の構成の選択肢においては、溶存水は、専用の蒸留塔(いわゆる「脱水塔」)において除去される。工程b)からの塩基性抽出によって予備精製された粗製アニリン画分は、この脱水塔(この構成の選択肢においては、第1の蒸留塔)に供給される。水、アニリン、及び低沸点物を含有する流れは、脱水塔の塔頂部で抜き出された後に、水相と有機相とに分離される。有機相は、更なる蒸留塔(「低沸点物塔」、この構成の選択肢においては、第2の蒸留塔)に供給され、そこで低沸点物が塔頂部から留去される。この低沸点物塔の塔底流は、脱水塔に再循環される。
脱水塔の塔底部は、第3の蒸留塔(いわゆる「アニリン塔」)の供給物を形成し、その蒸留塔においては、第1の構成の選択肢と同様に、アニリンが塔頂部から留去され、アニリン含有高沸点物流がその塔底部に貯まる。塔頂部から留去されたアニリンは、第1の構成の選択肢と同様に、本発明の目的の精製アニリン流を構成する。
第2の構成の選択肢においては、「脱水塔」は、好ましくは、100mbar(絶対)~400mbar(絶対)の範囲の塔頂圧力及び100℃~150℃の範囲の塔頂温度で動作され得る。「低沸点物蒸留」は、好ましくは、1000mbar(絶対)~1100mbar(絶対)の範囲の塔頂圧力及び70℃~90℃の範囲の塔頂温度で実施される。アニリン塔における蒸留は、好ましくは、250mbar(絶対)~350mbar(絶対)の範囲の塔頂圧力及び140℃~160℃の範囲の塔頂温度で実施される。
しかしながら、工程b)からの塩基性抽出によって予備精製された粗製アニリン画分を側方抜出部を備えた蒸留塔(側方抜出塔(side draw column)とも呼称される)へと導入し、そこで、1回の蒸留工程において低沸点物及び高沸点物(及び更には溶存水)を除去することも可能であり、これが本発明の工程c)についての第3の構成の選択肢の主題である。第3の構成の選択肢の一実施形態においては、側方抜出塔は、仕切り壁を有する(いわゆる、仕切り壁塔)。第3の構成の選択肢においては、精製アニリン流が側方抜出物として蒸留塔から抜き出される一方で、塔頂部からは低沸点物(及び水)が抜き出される。上述の構成の選択肢のアニリン塔中と同様に、アニリン含有高沸点物流は塔底部に貯まる。この蒸留は、好ましくは200mbar(絶対)~500mbar(絶対)の範囲の側方抜出塔の塔頂圧力及び100℃~150℃の範囲の側方抜出塔の塔頂温度で実施される。
全ての場合に、低沸点物流(すなわち、第1の構成の選択肢における第1の蒸留塔の塔頂流、第2の構成の選択肢における第2の蒸留塔の塔頂流、及び第3の構成の選択肢における側方抜出塔の塔頂流)は、最初にガス形で得られる。このガス状低沸点物流は、好ましくは部分的に液化され、こうして得られた液相は、任意に存在する全ての水を除去した後に、有利には最初の塔へと還流として返送され得る。一定割合の例えば窒素等の(産業で慣例的な条件下で)非凝縮性のガスに加えて実質的に低沸点物のみからなる凝縮されない気相は、蒸留から排出される。
工程c)についての上述の構成の選択肢において得られるアニリン含有高沸点物流を工程d.1)における高沸点物の濃縮に供し、こうして、有用生成物のアニリンの損失を最小限に抑えることが有利であり得る(上述の第1の変形形態に相当する)。この方法において、アニリン含有流は蒸発され、有利には、工程c)の蒸留へと再循環され得る。このアニリン含有流は、好ましくは、アニリン含有高沸点物流の元々の起源であるその蒸留塔の塔底部へと導かれる。さらに、この工程において、アニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する塔底流(高沸点物流)が得られる。工程d.1)の濃縮は、好ましくは、このために特別に準備された蒸留塔で行われる。
第1の変形形態において、抽出工程、つまり工程b)で得られた水性アミノフェノレート相を工程e.1)において酸で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換し、工程f.1)において有機流で抽出して、相分離後に(アミノフェノールに富んだ)有機相及び(アミノフェノールが低減された)水相を得る場合に、本発明による方法の経済性が更に改善され得る。アミノフェノールが固形物として沈殿するのを防ぐために、工程e.1)と並行して工程f.1)を実施すること(=水性アミノフェノレート相への酸及び有機流の同時の添加)が好ましい。次いで、アルカリ金属水酸化物を、有利にはこの水相に添加することができ、この水相を、工程a)で使用される抽出剤の成分として使用することができる。このように、工程a)で使用されるアルカリ金属水酸化物の全量を供給することが可能である。このように、工程a)で使用されるアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩の全量を、すなわち工程e.1)で使用される酸の塩の形で供給することも可能であり、ここで、この塩は、この実施形態においていかなる場合でも(アミノフェノールが低減された)水相中に存在する。抽出に特に適した有機流は、工程d.1)で得られる高沸点物塔底流である。この高沸点物塔底流は、このために他の有機流と混合することもできる。例えば、工程c)において、ガス状低沸点物塔頂流の好ましくは実施される部分液化の間に得られる、一定割合の例えば窒素等の(産業で慣例的な条件下で)非凝縮性のガスに加えて実質的に低沸点物のみからなる凝縮されない気相を、その凝縮性画分の液化によって液状の低沸点物流に変換することができ、ここで、上記液状の低沸点物流は、アミノフェノールを抽出する目的で、工程d.1)において得られる高沸点物塔底流と混合するのに適している。いかなる場合でも、抽出及び相分離後に得られるアミノフェノール含有有機相のアニリン含有量は非常に低いので、この有機相を、認められるほどの経済的損失なしに焼却することができる。工程f.1)において、アミノフェノール(及び当然ながら存在する場合はフェノールも)は、水相から有機相(これらは実際、粗製アニリン画分である有機相を元々の起源とする)に返送されるため、この工程は逆抽出とも呼ばれる。
上記の第2の変形形態も、この意味での逆抽出を利用する(ここでは、工程e.2))。しかしながら、第1の変形形態とは対照的に、ここでの有機流は、アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程c)からの液状流であり、一方で、酸処理(ここでは、工程d.2))は、原則として、第1の変形形態と同様に実施され得る。第1の変形形態とは対照的に、ここでは、逆抽出において得られる有機相が濃縮され(工程f.2)で)、この工程は、工程f.2)の蒸留物を介してアミノフェノール/フェノールが工程c)に再導入されるのを防ぐように構成される。しかしながら、濃縮に供給される有機相の流れの量が比較的少ないため、これは、方法のエネルギー関連の利点を脅かすことなく可能である。この第2の変形形態の利点は、より高い自由度をもたらす、より堅牢な方法様式であることが分かる。逆抽出に送られる有機流の量(ここでは、流れ9)は、必要に応じて第2の変形形態において、第1の変形形態におけるよりも多くなるように選択され得る(上述の有機流(流れ18)の量は、本質的に粗製アニリン画分中の高沸点物の濃度によって決定される)。流れ9に含まれるアニリンは流れ19に至り、高沸点物を濃縮する蒸留塔5000へと再循環され、そこからアニリンは流れ17を経由してアニリン蒸留3000に至るため、失われない。したがって、第2の変形形態において、有機流(ここでは、アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程c)からの液状流(流れ9))は、得られる高沸点物の量とは独立して選択され得る。したがって、工業的用途に関連する規模での相分離は、e.2)において粗製アニリン画分の全ての組成について実施され得る。第2の変形形態においても、アミノフェノールが固形物として沈殿するのを防ぐために、酸処理の工程(ここでは、工程d.2))と並行して有機流での抽出の工程(ここでは、工程e.2))を実施すること(=水性アミノフェノレート相への酸及び有機流の同時の添加)が好ましい。
工程e.1)又は工程d.2)の酸処理に適した酸は、特に塩酸又は硫酸である。酸は、アルカリ金属水酸化物とは異なる、工程a)で使用されるアルカリ金属塩の選択に対応して選択され、アルカリ金属塩化物(特に塩化ナトリウム又は塩化カリウム)の場合には、塩酸が使用され、アルカリ金属硫酸塩(特に硫酸ナトリウム又は硫酸カリウム)の場合には、硫酸が使用される。工程e.1)又は工程d.2)における酸処理は、好ましくは、2.0~8.5の範囲のpH(20℃)まで、好ましくは3.5~8.5の範囲のpH(20℃)まで、特に好ましくは5.0~8.5の範囲のpH(20℃)まで行われる。
図2aは、気相アニリン水素化の粗生成物の2段階凝縮、つまりアニリン蒸留の塔底流の濃縮、及び塩基抽出で得られた廃水の、濃縮工程からの高沸点物による抽出を伴う第1の変形形態における本発明による方法の好ましい構成を示す。図2bは、第2の変形形態に対応する構成を示す。図1中と同一の参照符号はそれぞれ、その図中と同じ意味を有する。更なる参照符号は以下の意味を有する。
装置又は方法工程:
4100 部分凝縮、
4200 混合機、
4300 全凝縮、
4400 相分離、
5000 高沸点物を濃縮する蒸留塔、
6000 中和、
7000 相分離を含む抽出。
材料流:
11 アニリン水素化のガス状粗生成物、
12 部分凝縮物、
13 部分凝縮において凝縮されなかった粗生成物の画分、
14 全凝縮物、
15 全凝縮において凝縮されなかった画分(本質的に、過剰の水素)、
16 全凝縮物の有機相、
17 アニリン含有留出物流、
18 高沸点物を含有する塔底流(図2bによる第2の変形形態において:好ましくは焼却の前)、
19 抽出からの高沸点物流(図2aによる第1の変形形態において:好ましくは焼却の前)、
20 水相(アミノフェノールが低減されている)(流れ3に加えられる;一部は廃水として排出される場合もある)、
21 酸(好ましくは、塩酸又は硫酸)。
図2a/図2bにおける2つの段階6000及び7000における中和及び抽出(相分離を含む)の表現は、これらの方法工程を必ず2つの装置で実施する必要があることを意味するものではない。好ましい実施形態においては、抽出は、既に述べたように、いわゆる「ミキサセトラ」装置、すなわち、混合ユニット及び分離ユニットを備える装置において行われる。この実施形態の特に好ましい構成においては、酸(図中の流れ21)及び有機流(それぞれ、図2a及び図2b中の流れ18及び流れ9)は混合ユニットに供給され、これに続いて、分離ユニットにおいて相分離が行われる。
実施例1:アミノフェノールの低減及び相分離時間についての原理実証実験(図3を参照)
精製される粗製アニリンは、その有機成分の総質量に対して、750ppmのフェノール及び500ppmのアミノフェノールを含有し、水で飽和されていた。この混合物を、様々な実験において、4:1のアニリン相対抽出剤の容量比を守って、水、水酸化ナトリウム溶液、塩化ナトリウム溶液、並びに水酸化ナトリウム及び塩化ナトリウムを含有する溶液で抽出した。この場合に、NaOH濃度を、様々なNaCl濃度(0質量%、1.25質量%、2.50質量%、5.00質量%、10.0質量%、及び20.0質量%)で0.800質量%の一定値に調整した。NaCl溶液の代わりに硫酸ナトリウム溶液を用いた実験列も同様に実施した。
5.00質量%の塩濃度での実験においては、NaCl及びNaSOの両方の塩の場合に、相分離が大幅に加速されることが判明した。10.0質量%の塩濃度での実験においては、両方の塩の場合における相分離に必要とされる時間は、純水-アニリン混合物の時間と同等であった。2.50質量%の塩濃度では、硫酸ナトリウムの場合に相分離時間の大幅な短縮も観察された。
全ての試験(純水及び純塩化ナトリウム溶液を使用した場合を除く)において、オルトアミノフェノールが有機相から検出限界未満まで除去され、添加されたフェノールは粗製アニリンから75%~85%の程度まで除去することができた。いずれの試験においても固形物の形成は観察されなかった。
これらの結果は、図3にグラフの形で表されている。
フェノール/オルトアミノフェノールの低減のパーセンテージは、棒の高さに関連して左側の縦軸(Y1)に表されている(例えば、左側の縦軸での100の値は、対応するフェノール性化合物が検出限界未満まで低減されていることを意味する)。
相対的な分離時間(相分離の所要時間)は、三角形(硫酸ナトリウムを使用した実験についての分離時間)及び円(塩化ナトリウムを使用した実験、及び更なる塩を添加しない実験)の位置に関連して、右側の縦軸(Y2)に表されている。このために、脱塩水の上述の組成のアニリンの分離についての所要時間を1(=参照)に設定し、残りの値はこれに関連して報告した(例えば、右側の縦軸における80の値は、相分離が参照の場合の80倍続いたことを意味する)。
全ての実験列の結果は、横軸において上記の意味を有する複数の棒及び記号(三角形、円)の形で表されている。この図においては、以下の実験列が左から右に向かって示されている。
粗アニリンの、
(1)更なる塩含有量を有しない水酸化ナトリウム溶液、
(2)1.25%の質量割合の更なる塩を含有する水酸化ナトリウム溶液、
(3)2.50%の質量割合の更なる塩を含有する水酸化ナトリウム溶液、
(4)5.00%の質量割合の更なる塩を含有する水酸化ナトリウム溶液、
(5)10.0%の質量割合の更なる塩を含有する水酸化ナトリウム溶液、
(6)20.0%の質量割合の更なる塩を含有する水酸化ナトリウム溶液、
(7)10.0%の質量割合の塩を含有する水(NaOHなし)、及び、
(8)脱塩水(NaOHも更なる塩も含有しない)、
による抽出。
実験列(1)においては、棒は、左から右に向かって、
(a)フェノール、及び、
(b)オルトアミノフェノール、
の低減のパーセンテージを示しており、いずれの場合も、更なる塩は添加されていない。
実験列(2)~実験列(6)においては、棒は、左から右に向かって、
(a)更なる塩として硫酸ナトリウムを使用した場合のフェノール、
(b)更なる塩として塩化ナトリウムを使用した場合のフェノール、
(c)更なる塩として硫酸ナトリウムを使用した場合のオルトアミノフェノール、及び、
(d)更なる塩として塩化ナトリウムを使用した場合のオルトアミノフェノール、
の低減のパーセンテージを示している。
実験列(7)においては、棒は、左から右に向かって、
(a)更なる塩として硫酸ナトリウムを使用した場合のフェノール、及び、
(b)更なる塩として硫酸ナトリウムを使用した場合のオルトアミノフェノール、
の低減のパーセンテージを示している。
実験列(8)においては、棒は、左から右に向かって、
(a)フェノール、及び、
(b)オルトアミノフェノール、
の低減のパーセンテージを示しており、いずれの場合も、更なる塩は添加されていない。
実施例2:アミノフェノールが低減された水相の中和及び形成されたアミノフェノールのその後の抽出についての原理実証実験(図4を参照)
NaOH水溶液(0.800質量%の濃度)をアニリンで飽和させた後に、それぞれのフェノール性化合物の塩が存在するように5000ppmのオルトアミノフェノール及び5000ppmのフェノールを添加した。次いで、様々な試料を、30質量%の濃度の塩酸で、6.0~7.0の範囲及び3.5未満のpHに調整した。次いで、酸性化された試料を、1:1の質量比における(例示的な高沸点物としての)ジフェニルアミン及びアニリンからなる合成高沸点物廃棄物流で抽出した。ここでは、pH及びフェノール性化合物の性質に依存して、水性媒体中の全てのフェノール性化合物の濃度を1.5分の1~9.0分の1に下げることができた。フェノール性化合物を、pH値に依存して様々な成功の度合いで抽出することができることも分かる。
これらの結果は、図4に棒グラフの形で表されている。
有機相中のそれぞれのフェノール性化合物の質量割合の、水相中のその質量割合に対する比としてのそれぞれのフェノール性化合物の分配係数が、縦軸(Y)において棒の高さに関連して報告される。
各実験列の結果は、横軸(X)において、3.4及び6.5のpH値でそれぞれ2本の棒の形で示されている。この場合に、それぞれの左側の棒(a)はフェノールの分配係数を示し、それぞれの右側の棒(b)はオルトアミノフェノールの分配係数を示している。
実施例3:方法に関する連続実験
粗製アニリンの生産試料(およそ2500ppmのフェノール及び250ppmのアミノフェノールを含有する)を、2段階のミキサセトラシステムにおいて、10質量%のNaSO及び1質量%のNaOH(pH=12)を含有する水溶液と4:1の容量比(有機相と水相との比)で連続的に接触させた(抽出)。有機抽残液流及び水性抽出物流を得た。水性抽出物流を硫酸の添加によって中性のpHに連続的に調整し、2段階のミキサセトラにおいて、合成により生成された高沸点物流(50質量%のアニリン及びアニリンの方法の典型的な高沸点物の代表例としての50質量%のジフェニルアミンを含有する)と2:1の容量比(水相と有機相との比)で接触させた(酸処理及び逆抽出)。抽出及び逆抽出を30℃の温度で連続的に直列にて実施した。抽出からのアニリン抽残液において、フェノール及びアミノフェノールがもはや検出され得ないことが判明した。これにより、連続的な方法様式の場合についての原理実証実験も同様に確認される。逆抽出中には、フェノール及びアミノフェノールが高沸点物抽出物中に高濃度で見られた。後処理過程全体を考慮すると、平均してフェノールの85%及びアミノフェノールの95%が粗製アニリン流から逆抽出流(高沸点物抽出物中)へと移送され得ることが判明した。相分離は全ての分離器において問題なく進行し、塩NaSOを添加すると、全ての分離器で重相として水相が得られた。

Claims (15)

  1. アニリンの精製方法であって、以下の工程:
    a)アニリン及び有機不純物を含有する粗製アニリン画分を準備する工程であって、ここで、前記有機不純物が、フェノール、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物、及びアミノフェノール、並びにまたアニリンよりも高い沸点を有する更なる有機不純物を含み、かつ前記粗製アニリン画分の有機成分の総質量に対するアミノフェノールの濃度が、0.001質量%~1.00質量%の範囲にある、工程と、
    b)工程a)からの前記粗製アニリン画分を、水性抽出剤の総質量に対して、0.009質量%~2.05質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物、及び2.40質量%~25.0質量%の濃度範囲のアルカリ金属水酸化物とは異なるアルカリ金属塩を含有する水性抽出剤で抽出することで、相分離後にアミノフェノールが低減された有機アニリン相及び水性アミノフェノレート相が得られる工程と、
    c)工程b)からの前記有機アニリン相を蒸留して、精製アニリン流、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有するガス状流、並びにアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する液状流を得る工程と、
    を含む、方法。
  2. d.1)アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程c)からの前記液状流をアニリンの蒸発により濃縮して、アニリン含有留出物流及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する塔底流を得る工程と、
    e.1)工程b)で得られた前記水性アミノフェノレート相を酸で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換する工程と、
    f.1)前記酸処理によって形成されたアミノフェノールを、アニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程d.1)からの前記塔底流を含む有機流で抽出して、相分離後に有機相及び水相を得て、ここで、前記水相にアルカリ金属水酸化物を添加し、この水相を、工程a)で使用される前記抽出剤の成分として使用する工程と、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  3. d.2)工程b)で得られた前記水性アミノフェノレート相を酸で処理して、アミノフェノレートをアミノフェノールに変換する工程と、
    e.2)前記酸処理によって形成されたアミノフェノールを、アニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程c)からの前記液状流を含む有機流で抽出して、相分離後に有機相及び水相を得て、ここで、前記水相にアルカリ金属水酸化物を添加し、この水相を、工程a)で使用される前記抽出剤の成分として使用する工程と、
    f.2)工程e.2)からの前記有機相をアニリンの蒸発により濃縮して、アニリン含有留出物流及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する塔底流を得る工程と、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 前記抽出工程(工程f.1)又は工程e.2))を、前記酸処理工程(工程e.1)又は工程d.2))と並行して行う、請求項2又は3に記載の方法。
  5. 工程c)は、
    側方抜出部を備えた蒸留塔における蒸留を含み、ここで、前記精製アニリン流が、側方流として抜き出され、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する前記ガス状流が、塔頂流として抜き出され、かつアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する前記液状流が、側方抜出部を備えた前記蒸留塔から塔底流として抜き出される、又は、
    直列接続された2つの蒸留塔における蒸留を含み、ここで、第1の蒸留塔において、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する前記ガス状流が、塔頂流として抜き出され、前記第1の蒸留塔において得られた塔底流が、第2の蒸留塔への供給物として導かれ、前記第2の蒸留塔において、前記精製アニリン流が、塔頂流として得られ、かつアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する前記液状流が、塔底流として得られる、又は、
    3つの蒸留塔における蒸留を含み、ここで、水及び有機不純物を含有する塔頂流が、第1の蒸留塔から抜き出され、水相及び有機相へと分離され、前記有機相は、第2の蒸留塔へと導かれ、そこからアニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する前記ガス状流が、塔頂流として抜き出され、かつ前記第1の蒸留塔において得られた塔底流が、第3の蒸留塔への供給物として導かれ、前記第3の蒸留塔において、前記精製アニリン流が、塔頂流として得られ、かつアニリン及びアニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する前記液状流が、塔底流として得られる、請求項2~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する前記ガス状流は、部分的に液化され、こうして得られた液相は、任意に存在する全ての水を除去した後に、アニリンよりも低い沸点を有する有機不純物を含有する前記ガス状流が塔頂流として抜き出されたその蒸留塔へと再循環され、かつ部分的な液化後に残る気相は蒸留から排出される、請求項5に記載の方法。
  7. 前記部分的な液化後に工程c)において残る前記気相を凝縮し、得られた凝縮物を、工程f.1)又は工程e.2)で使用される前記有機流の追加成分として使用する、請求項2~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 工程f.1)において前記相分離後に得られた前記有機相、又は、
    アニリンよりも高い沸点を有する有機不純物を含有する工程f.2)において得られた前記塔底流、
    を焼却する、請求項2~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. アルカリ金属水酸化物とは異なる前記アルカリ金属塩は、(i)アルカリ金属塩化物、又は(ii)アルカリ金属硫酸塩である、請求項2~8のいずれか一項に記載の方法。
  10. 工程e.1)又は工程d.2)において(i)の場合に使用される前記酸は塩酸であり、(ii)の場合に使用される前記酸は硫酸である、請求項9に記載の方法。
  11. 前記粗製アニリン画分は、触媒の存在下でのニトロベンゼンの水素化及び前記水素化において形成された水の除去によって得られる、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ニトロベンゼンの前記水素化を気相中で行い、得られたガス状反応生成物を凝縮し、
    (i)前記ガス状反応生成物の前記凝縮を、温度が連続的に降下する2段階で行い、第2の凝縮段階の後にのみ相分離を行って、前記水素化において形成された水を除去する、又は、
    (ii)前記ガス状反応生成物の前記凝縮を1段階で行い、前記凝縮に続いて相分離を行って、前記水素化において形成された水を除去し、かつ前記水を除去した後に残る有機相を工程a)における粗製アニリン流として使用する、請求項11に記載の方法。
  13. (i)の場合を含み、
    (i-1)第1の凝縮段階で得られた凝縮物を、第2の凝縮段階後の前記相分離において水を除去した後に残る前記有機相と合わせ、工程a)における粗製アニリン流として使用する、又は、
    (i-2)工程a)において準備される前記粗製アニリン流を、第1の凝縮段階で得られた凝縮物、又は第2の凝縮段階後の前記相分離において水を除去した後に残る前記有機相のいずれかから抜き出す、請求項12に記載の方法。
  14. 前記アルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属水酸化物とは異なる前記アルカリ金属塩のアルカリ金属は、それぞれの場合にナトリウム又はカリウムである、請求項1~13のいずれか一項に記載の方法。
  15. 使用される前記アルカリ金属水酸化物は、0.009質量%~2.05質量%の濃度範囲の水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムであり、
    前記アルカリ金属水酸化物とは異なる使用される前記アルカリ金属塩は、
    4.00質量%~25.0質量%の濃度範囲の塩化ナトリウム若しくは塩化カリウム、又は、
    2.40質量%~25.0質量%の濃度範囲の硫酸ナトリウム若しくは硫酸カリウム、
    のいずれかである、請求項14に記載の方法。
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