JP2022537914A - アポリポタンパク質e断片 - Google Patents

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Abstract

本発明は、アポリポタンパク質E(ApoE)の新規断片に関する。本ApoE断片は、ワクチン組成物、特にアルツハイマー病などの神経学的障害の予防又は治療用ワクチンの成分としての用途を含め、種々の用途がある。本ApoE断片はまた、スクリーニング方法及び検出方法にも用いられ得る。【選択図】なし

Description

本発明は、アポリポタンパク質E(ApoE)の新規断片に関する。本ApoE断片は、ワクチン組成物、特にアルツハイマー病などの神経学的障害の予防又は治療用ワクチンの成分としての用途を含め、種々の用途がある。本ApoE断片はまた、本明細書に記載されるとおりのスクリーニング方法及び検出方法にも用いられ得る。
アポリポタンパク質E(ApoE)は、低密度リポタンパク質(LDL)受容体ファミリーに対するその高親和性結合を介してリポタンパク質代謝の中心的な役割を担うタンパク質である。ApoEは血中を循環し、また、脳脊髄液及び中枢神経系間質液中では高密度リポタンパク質と会合して見られる。
完全長ヒトApoEは、2つのドメインからなる34kDaのタンパク質である。N末端ドメイン(残基1~191)は主にApoEのLDL受容体結合活性に関与する一方、C末端ドメイン(残基216~299)はリポタンパク質に高親和性で結合する。
ApoEは、3つの異なるアイソフォーム、ApoE2、ApoE3及びApoE4で存在し、これらは、それぞれ、APOE ε2、ε3及びε4アレルによってコードされる。APOE ε4アレルは、遅発性アルツハイマー病(AD)の最も強力な公知の遺伝的危険因子である。
アルツハイマー病(AD)は、進行性で神経変性性の認知症障害であり、より多く見られる遅発型と、早期発症家族型とがある。ADは、進行性の記憶及び認知機能喪失を特徴とする。現時点では、AD治療は対症的管理に限られており、AD患者の予後は不良である。現在、世界中で約1800万人がADに罹患していると推定され、人口の高齢化が進んでいるため、AD罹患者数は増加すると見られている。ADの有病率は、60歳以降では年齢が5歳上がる毎にほぼ倍増し、65歳の10%が、85歳以上では50%になる(Solomon,Expert Opin.Investig.Drugs(2007)16(6):819-828)。
ApoE4がAD及び他の神経学的障害の病変の一因であると考えられる種々の機構について、Mahley and Huang(Neuron(2012)76:871-885)にレビューされている。これらの機構には、アミロイドβ(Aβ)代謝、クリアランス、凝集及び沈着の調節を含め、アミロイド斑形成レベルでの効果が含まれる。ApoE4及びその断片はAβに結合することが報告されており、従ってAβ代謝回転及びAβ原線維の形成に直接影響を及ぼす(Garai et al.Biochemistry(2014)53:6323-6331;Jones et al.PLoS ONE(2011)6(1):e14586;Mouchard et al.Sci.Rep.(2019)9(1):3989;及びWellnitz et al.J.Neurochem.(2005)94:1351-1360)。
神経学的疾患の進行に関連するAβ活性の阻害を通じたApoEの保護的役割を報告している研究もある。AβのC末端ドメインは、ウイルスの融合タンパク質の活性と同様の融合特性を示す。Aβのこうした融合特性が、少なくとも一部には、神経細胞膜を直接不安定化させることによりAβの細胞毒性に関与することが提唱されてきた(Pillot et al.J.Biol.Chem.(1996)271:28757-28765)。諸研究によれば、ApoEのC末端ドメインがAβのC末端ドメインとの相互作用を媒介し、それによってAβの融合特性を阻害し得ることが示されている。Lins et al.(J.Neurochemistry(1999)73:758-769)に報告される研究では、AβとApoEとのC末端ドメイン間の相互作用が、分子モデリング法を用いて研究された。Pillot et al.(J.Neurochemistry(1999)72:230-237)に報告される研究では、これら2つのタンパク質間の相互作用が、ApoEのC末端脂質結合ドメインの人工的に作成された断片(残基200~299)を用いて研究された。この研究では、ApoEのC末端断片に、Aβの融合特性を阻害する能力があることが明らかになり、従ってApoEのC末端がアルツハイマー病などの神経学的疾患において果たす保護的役割が示唆された。
ApoEはまた、神経病変を引き起こす直接的な役割を有するとも報告されている。正常な生理条件下では、脳内のApoEは主にアストロサイトによって合成され、脂質輸送及び膜修復過程を支える。しかしながら、神経細胞の損傷又は傷害に応答すると、ApoEは神経細胞によって合成される。神経細胞によって産生されるApoEはタンパク質分解を起こし易く、諸研究によれば、キモトリプシン様セリンプロテアーゼによって生成される神経毒性のあるC末端トランケート型断片の蓄積が明らかになっている(Harris et al.PNAS(2003)100(19):10966-10971)。
こうしたC末端断片が更に特徴付けられ、ApoE4(1-272)断片がミトコンドリア機能不全を引き起こし、神経毒性があったこと、しかし完全長ApoE4(1-299)及び更に短い断片ApoE4(1-240)はそのような効果をもたらさなかったことが明らかになった。加えて、LDL受容体結合領域(アミノ酸135~150)を含むN末端領域(1~170)をトランケートすると、ApoE4(1-272)断片で見られた効果が消失したことから、ApoEのN末端受容体結合領域とC末端脂質結合領域とが連携してミトコンドリア機能不全及び神経毒性を引き起こすように働くことが指摘された(Chang et al.PNAS(2005)102(51):18694-18699)。
諸研究によれば、ADを有するヒトの脳及び脳脊髄液にApoE断片が存在することが明らかになっており、最近になって、ApoE断片がADにおいて果たす役割が、Munyoz et alによってNeurochem Res(2019)44(6):1297-1305でレビューされている。Munyoz et alに記載されるApoE断片の大多数は、このタンパク質のN末端断片である。ApoEのそれらのN末端断片に起因するとされる機能には、(数ある中でも)細胞死の増加、Aβ42蓄積の増加、炎症の増加、神経毒性の増加、タウリン酸化の増加及びミトコンドリア機能不全の増加が含まれる。これらの研究が指し示すところは、このタンパク質のN末端に由来するApoE断片の原因的役割である。しかしながら、C末端脂質結合ドメインからのApoE断片については、Munyoz et alの表2及び図2が指摘するところによれば、1つのかかる断片が既に研究されており、Aβ原線維形成に阻害効果を及ぼし、Aβペプチドの六量体に安定効果を及ぼすことが示されている。問題の研究は、J Neurochem(2005)94:1351-1360においてWellnitzらによって報告されたもので、N末端がApoEのアミノ酸位置187位から始まるApoEの13kDa断片について記載している。
ごく最近、Mouchard et al(Sci Rep(2019)9(1):3989)による研究において、ADe患者の死後脳におけるApoE断片の同定が報告された。この研究では、AD患者の皮質に12kDa、16kDa及び18kDa ApoE形態の存在が見られることが報告された。AD患者では、18kDa断片のみが著しく増加していることが認められた。ApoEのNH2半分及びC端側末端の両方を欠く16kDa及び18kDa形態のApoEはAβと会合することが認められ、AD病変のメディエーターとして提唱された。対照的に、ApoEの小さい12kDa断片については、Aβへの結合は認められなかった。
種々の神経学的障害、特にアルツハイマー病(AD)などの神経変性病態の病理においてApoEが重要な役割を果たすことは明らかである。従って、有効な治療戦略を組み立てるため、このタンパク質の生物学を理解する必要がある。本願は、AD患者から入手した脳組織における新規ApoE断片の同定を報告する。本明細書に記載される新規ApoE断片は、ApoEタンパク質のC末端ドメインからの残基を含む。以上に報告したとおり、これまでの研究からは、ApoEのC末端ドメインが、例えばAβの融合特性を阻害し、及びAβ原線維形成を阻害することにより、神経学的疾患の発症において保護的役割を果たすことが示唆されている。本明細書に記載される結果が示すところによれば、AD患者の脳に見出された新規ApoE C末端断片は神経毒活性を持ち得る。これまで神経毒性効果がApoEのN末端断片に起因するとされていたことを考えると、これは意外である。
従って、第1の態様において、本明細書には、アポリポタンパク質E(ApoE)の断片であって、配列番号2及び配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる断片が提供される。
更に、そのApoE断片をコードする単離核酸;その単離核酸を含むベクター;並びにそのベクターを含む宿主細胞及びトランスジェニック非ヒト動物が包含される。
第2の態様において、本明細書には、配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E(ApoE)断片を含むワクチン組成物が提供される。更に、対象の神経学的疾患、特に神経変性疾患を予防又は治療する方法が提供され、この方法は、ApoEワクチンを対象に投与することを含む。好ましい実施形態において、このワクチンは、アルツハイマー病を予防又は治療するために投与される。
更なる態様において、本明細書には、配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の神経細胞毒性を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法が提供され、この方法は、断片の存在下で神経細胞又は非ヒト動物を候補薬理作用物質と接触させること、及び神経細胞毒性又は神経細胞死を検出することを含む。
更なる態様において、本明細書には、配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の産生を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法が提供され、この方法は、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞を候補薬理作用物質と接触させること、及び断片の量を検出することを含む。
更なる態様において、本明細書には、対象における配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の存在又は量を検出する方法が提供され、この方法は、対象から入手された試料を、その断片に結合するアプタマーと接触させること、及び試料中の断片の存在又は量を検出することを含む。
実施例1に記載されるとおりのヒト脳抽出物のウエスタンブロット分析結果を示す。 実施例1に記載されるとおりの、個々の低分子量ApoE断片を示すのに十分に高い分解能による遺伝子型APOE ε4/ε4のAD脳からのヒト脳抽出物のウエスタンブロット分析結果を示す。 実施例1に記載されるとおり定量化した、AD(黒色の丸)及び対照(白色の四角)における完全長ApoEに対する12kDa ApoE断片の比率を示す図である。 実施例1に記載されるとおり定量化した、APOE E4遺伝子型がないAD(-E4;黒色の丸)又はAPOE E4遺伝子型があるAD(+E4;白色の四角)における完全長ApoEに対する12kDa ApoE断片の比率を示す図である。 実施例2に記載される免疫沈降実験のワークフローの概略図である。 実施例2に記載されるとおりの免疫沈降処理した試料のウエスタンブロット分析結果を示す。 実施例2に記載されるとおりの免疫沈降処理した試料の銀染色結果を示す。 実施例3に記載されるとおりの、指示されるとおりの12kDa、15kDa及びrhApoE4ゲルのトリプシン消化物のLC-MS/MS分析結果を示す。 実施例4に記載されるとおりのApoE配列のLysC切断部位解析の結果を示す。 実施例5に記載されるとおりの理論上のApoE切断部位を抽出イオンクロマトグラム(XIC)によって調べた結果を示す。左側:5ppm質量精度による可能性のあるペプチドのうちの1つ(200~233)の3つの荷電状態の理論値における抽出イオンクロマトグラム、3つ全てについてピークは同じ保持時間で観察される。右側:各抽出ピークからの質量スペクトル。 実施例5に記載されるとおりの切断部位周辺のペプチドを検出するためのショットガンプロテオミクス法によるnanoLC-MS/MS結果を示す。同じドナーからの試料のレプリケート分析において(ApoE ε3/ε4、A及びB)、ApoEの198L、199A又は200GにN末端を有し、C末端がインタクトなペプチドが検出された。 実施例6に記載されるとおりの、指示されるとおりのApoE ε4/ε4、ε2/ε3及びε3/ε3保因者からの試料中における198L、199A又は200GにN末端を有するペプチドのMS強度を示す図である。 (A)Neuro2A細胞及び(B)ラット初代海馬ニューロンにおいて、実施例7に記載される実験に従いヒトApoE4及びApoE C末端断片によって誘導されたミトコンドリア損傷;並びに(C)ウエスタンブロット分析で測定したときのヒトApoE4又はApoE C末端断片のタンパク質発現を示す。 (A)Neuro2A細胞及び(B)ラット初代海馬ニューロンにおいて、実施例7に記載される実験に従いヒトApoE4及びApoE C末端断片によって誘導されたミトコンドリア損傷;並びに(C)ウエスタンブロット分析で測定したときのヒトApoE4又はApoE C末端断片のタンパク質発現を示す。 (A)Neuro2A細胞及び(B)ラット初代海馬ニューロンにおいて、実施例7に記載される実験に従いヒトApoE4及びApoE C末端断片によって誘導されたミトコンドリア損傷;並びに(C)ウエスタンブロット分析で測定したときのヒトApoE4又はApoE C末端断片のタンパク質発現を示す。 実施例8に記載される実験に従うPH-002治療ラット海馬ニューロンからの試料のウエスタンブロット分析(A)及び細胞毒性分析(B)の結果を示す。 実施例8に記載される実験に従うPH-002治療ラット海馬ニューロンからの試料のウエスタンブロット分析(A)及び細胞毒性分析(B)の結果を示す。
ApoE断片
本開示は、アポリポタンパク質E(ApoE)の断片に関する。本明細書に報告されるとおり、アルツハイマー病(AD)患者、特にAPOE ε4アレルを有するAD患者では、ApoE断片が有意に増加する。
本開示のApoE断片は、完全長ヒトApoEタンパク質のC末端に由来する。完全長ヒトApoEタンパク質は、以下の表1に示される(ApoE2、ApoE3及びApoE4)。表1にはまた、ヒトApoEのアミノ酸200~299(配列番号1)、アミノ酸199~299(配列番号2)及びアミノ酸198~299(配列番号3)からなるC末端断片も示される。異なるApoEアイソフォームの完全長配列から明らかなとおり、これらのC末端断片(配列番号1~3によって表されるとおり)は、全てのアイソフォームに共通である。従って、本明細書に記載されるApoE断片は、ε2、ε3及びε4から選択されるAPOEアレルのいずれを有する個体にも産生され、又は見出され得る。本明細書に報告されるとおり、本ApoE断片は、少なくとも1つのε4アレルを有するAD患者に高いレベルで認められる。
Figure 2022537914000001
一実施形態において、本明細書には、配列番号1のアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。特定の実施形態において、本明細書には、配列番号1と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列からなるApoE断片が提供される。一実施形態において、本明細書には、ヒトApoEのアミノ酸200~299からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。
一実施形態において、本明細書には、配列番号2のアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。特定の実施形態において、本明細書には、配列番号2と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列からなるApoE断片が提供される。一実施形態において、本明細書には、ヒトApoEのアミノ酸199~299からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。
一実施形態において、本明細書には、配列番号3のアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。特定の実施形態において、本明細書には、配列番号3と少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の同一性を有するアミノ酸配列からなるApoE断片が提供される。一実施形態において、本明細書には、ヒトApoEのアミノ酸198~299からなるアポリポタンパク質E(ApoE)の断片が提供される。
本明細書に報告されるとおり、ApoE断片は、培養下の神経細胞の呼吸能を決定することによりインビトロで測定したとき、神経毒性を呈する。従って、特定の実施形態において、本明細書に記載されるApoE断片は神経毒性を呈する。神経毒性は、神経細胞における毒性効果の検出に好適な任意のアッセイを用いて測定されてもよい。好適なアッセイは本明細書に例示され(実施例7を参照)、本明細書に記載されるApoE断片の神経毒性特性の評価に用いることができる。
本開示はまた、本明細書に記載されるApoE断片をコードする核酸も包含する。本ApoE断片をコードする核酸には、例えば、組換えDNA分子が含まれる。用語「核酸」は、本明細書では、「ポリヌクレオチド」又は「ポリヌクレオチド分子」と同義的に使用され、一本鎖又は二本鎖のいずれかの任意のDNA又はRNA分子を指し、一本鎖の場合には、その相補配列の分子を指す。核酸を議論する際、特定の核酸の配列又は構造は、配列を5’から3’方向に提供するという通常の慣習に従い記載され得る。特定の実施形態において、本核酸は、配列番号1のアミノ酸配列からなるApoE断片をコードする。特定の実施形態において、本核酸は、配列番号2のアミノ酸配列からなるApoE断片をコードする。特定の実施形態において、本核酸は、配列番号3のアミノ酸配列からなるApoE断片をコードする。
一部の実施形態において、核酸又はポリヌクレオチドは「単離」されている。この用語は、核酸に適用されるとき、その由来である生物の天然に存在するゲノム中ではそれが直接隣接している配列から分離されている核酸分子を指す。例えば、「単離核酸」は、プラスミド又はウイルスベクターなど、ベクターに挿入されるか、又は原核細胞若しくは真核細胞又は非ヒト宿主生物のゲノムDNAに組み込まれたDNA分子を含み得る。RNAに適用されるとき、用語「単離ポリヌクレオチド」は、主に、上記に定義するとおりの単離DNA分子によってコードされるRNA分子を指す。或いは、この用語は、その自然状態であれば(即ち、細胞又は組織内では)それが結び付いているであろう他の核酸から精製/分離されているRNA分子を指し得る。単離ポリヌクレオチドとは(DNA又はRNAのいずれも)、更に、生物学的又は合成的手段によって直接作製され、その作製中に存在する他の成分から分離された分子を表し得る。
また、本ApoE断片をコードする核酸を含むベクターも包含される。このベクターは、特定の宿主細胞又は無細胞発現系におけるApoE断片の発現に好適な複製可能なベクターであり得る。種々の異なる発現系における使用に好適なベクターが、発現ベクターを含め、当該技術分野で公知である。本明細書に記載されるApoE断片をコードする核酸を取り込んだベクターは、任意の標準的な分子生物学技術を用いて調製し得る。
本ApoE断片をコードする核酸を含むベクターは、宿主細胞に取り込まれてもよい。好適な宿主細胞は、原核細胞、酵母細胞、又は高等真核細胞、具体的には哺乳類細胞であり得る。有用な哺乳類宿主細胞株の例は、SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胎児腎臓株(293細胞又は浮遊培養下での成長用にサブクローニングされた293細胞、Graham et al.,J.Gen.Virol.(1977)36:59);ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);チャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA(1980)77:4216);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.(1980)23:243-251);マウス骨髄腫細胞SP2/0-AG14(ATCC CRL 1581;ATCC CRL 8287)又はNS0(HPAカルチャーコレクション85110503番);サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝臓細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝臓細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC 5細胞;FS4細胞;及びヒト肝細胞癌株(Hep G2)、並びにDSMのPERC-6細胞株である。
用語「宿主細胞」は、概して培養細胞株を指すことに留意しなければならない。ApoE断片をコードする発現ベクターが導入されたヒト全体は、「宿主細胞」の定義から明示的に除外される。
特定の実施形態において、本ApoE断片をコードする核酸を含むベクターは、トランスジェニック非ヒト動物に取り込まれてもよい。かかる動物としては、限定はされないが、マウス、ラット、ウサギ、ブタを挙げることができる。
本開示はまた、本明細書に記載されるApoE断片を作製する方法も包含し、この方法は、本ApoE断片をコードする核酸(例えば発現ベクター)を含む宿主細胞(又は無細胞発現系)を、本断片の発現が許容される条件下で培養すること、及び発現した断片を回収することを含む。この組換え発現方法は、例えば、本明細書の他の部分に記載されるとおりのワクチン又はスクリーニング方法における使用に向けた、ApoE断片の大規模生産に用いることができる。組換えポリペプチドの大規模製造に好適なベクター、細胞株及び作製方法は、概して当該技術分野で利用可能であり、当業者に周知であり得る。
ワクチン
本明細書に記載されるApoE断片は、ワクチン、特に、神経学的障害又は病態、例えばアルツハイマー病の予防又は治療に用いられるワクチンに取り込まれてもよい。
特定の実施形態において、本ワクチンは、1つ以上のApoE断片と、少なくとも1つのアジュバントとを含む。特定の実施形態において、本ワクチンは、配列番号1のアミノ酸配列からなるApoE断片と、少なくとも1つのアジュバントとを含む。特定の実施形態において、本ワクチンは、配列番号2のアミノ酸配列からなるApoE断片と、少なくとも1つのアジュバントとを含む。特定の実施形態において、本ワクチンは、配列番号3のアミノ酸配列からなるApoE断片と、少なくとも1つのアジュバントとを含む。特定の実施形態において、本ワクチンは、配列番号1、2及び3から選択される少なくとも2つ又は少なくとも3つのApoE断片と、少なくとも1つのアジュバントとを含む。
本ワクチン又はワクチン組成物は、2つ以上のアジュバントを含み得る。1つ又は複数のアジュバントの目的は、対象の免疫応答を増加させること、又はそれを刺激することである。当該技術分野においては種々のアジュバントが公知であり、本明細書に記載されるワクチンに使用し得る。利用し得る特定のアジュバントとしては、限定はされないが、数ある中でも水酸化アルミニウム(ミョウバン)及び/又はCpGが挙げられる。
本ワクチンは予防的に使用されてもよく、即ち、本ワクチンは、疾患に関して無症候性の対象に対し、神経学的障害又は病態の発症を予防することを目的とした免疫応答を誘導するために投与されてもよい。本ワクチンは、神経変性疾患又は障害の発症を予防するための対象の免疫化に使用されてもよい。本ワクチンは、認知記憶能力の喪失を特徴とする疾患又は障害の発症を予防するための対象の免疫化に使用されてもよい。かかる疾患又は障害としては、限定はされないが、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、及びアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)が挙げられる。特定の実施形態において、本ワクチンは、脳アミロイドアンギオパチー、パーキンソン病、及びアミロイドβ沈着に起因する白内障など、アミロイド形成タンパク質に関連する疾患又は障害の予防に使用されてもよい。好ましい実施形態において、本ワクチンは、MCI又はAD、好ましくはADの予防に使用される。対象は、典型的には哺乳類であり、好ましくはヒトである。
或いは、又は加えて、本ワクチンは治療的に使用されてもよく、即ち、本ワクチンは、神経学的疾患若しくは病態を有するか、又は神経学的疾患若しくは病態を有する疑いがある対象に対し、その疾患に関連する症状を軽減することを目的とした免疫応答を誘導するために投与されてもよい。本ワクチンは、神経変性疾患又は障害の治療に使用されてもよい。本ワクチンは、認知記憶能力の喪失を特徴とする疾患又は障害の治療に使用されてもよい。かかる疾患又は障害としては、限定はされないが、アルツハイマー病(AD)、軽度認知障害(MCI)、レビー小体型認知症、ダウン症候群、及びアミロイドーシスを伴う遺伝性脳出血(オランダ型)が挙げられる。特定の実施形態において、本ワクチンは、脳アミロイドアンギオパチー、パーキンソン病、及びアミロイドβ沈着に起因する白内障など、アミロイド形成タンパク質に関連する疾患又は障害の治療に使用されてもよい。好ましい実施形態において、本ワクチンは、MCI又はAD、好ましくはADの治療に使用される。対象は、典型的には哺乳類であり、好ましくはヒトである。
以上から、本発明は、それを必要としている対象の神経学的疾患又は病態を予防又は治療する方法であって、本明細書に記載されるとおりのApoE断片を含むワクチンを対象に投与することを含む方法を包含することになる。好ましい実施形態において、本方法は、MCI及び/又はAD、好ましくはADの予防又は治療のための方法である。本明細書には更に、それを必要としている対象の神経学的疾患又は病態の予防又は治療における使用のための、記載される実施形態のいずれかに係るワクチンが提供される。好ましい実施形態において、本ワクチンは、MCI及び/又はAD、好ましくはADの予防又は治療における使用のためのワクチンである。
本ワクチンは、任意の適切な投与経路によって対象に投与されてもよい。当業者であれば認識しているであろうとおり、ワクチン組成物は、局所、経口、直腸、鼻腔又は非経口(静脈内、皮内、皮下、又は筋肉内など)経路によって投与されてもよい。加えて、ワクチンは、生分解性ポリマーなどの徐放性マトリックスに取り込まれてもよく、こうしたポリマーは、送達が所望されるところの近傍に、又はそれと近接して植え込まれる。好ましい実施形態において、ワクチンは筋肉内又は皮下投与される。
本ワクチンは、対象に単回投与されることで免疫応答を生じ得る。一部の実施形態では、本ワクチンは、同じ対象に複数回投与されてもよい。従って、いわゆるプライム・ブーストレジメンが利用されてもよい。
本明細書には更に、本明細書に記載されるとおりのワクチンを含むキットが提供される。かかるキットには、好適な使用説明書が提供されてもよい。この使用説明書は、ワクチンの投与スケジュールを説明し得る。従って本キットは、対象に投与するための複数の(別個の)用量を含み得る。使用説明書は更に、特にワクチンのそれらの用量を投与する合間の時間におけるワクチンの貯蔵条件を説明し得る。
スクリーニング方法
本明細書には更に、本明細書に記載される新規ApoE断片に基づきスクリーニングする方法が提供される。
一態様において、本明細書には、ApoE断片の神経細胞毒性を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法が提供され、ここでApoE断片は、配列番号1、2又は3のいずれか1つによって表される断片から選択される。特定の実施形態において、本スクリーニング方法は、配列番号2及び配列番号3によって表される断片から選択されるApoE断片の神経細胞毒性を調節する能力のある薬理作用物質の同定に使用される。
好ましい実施形態において、本方法は、配列番号1、2又は3のいずれか1つによって表される断片から選択されるApoE断片の神経細胞毒性を低下させる能力のある薬理作用物質をスクリーニングするために行われる。本方法は、配列番号2及び配列番号3によって表される断片から選択されるApoE断片の神経細胞毒性を低下させる能力のある薬理作用物質をスクリーニングするために行われ得る。
神経細胞毒性を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法は、少なくとも1つのApoE断片の存在下で神経細胞又は非ヒト動物を候補薬理作用物質と接触させるステップ、及び結果として生じた毒性を測定又は検出するステップを含む。
神経毒性を評価するため候補薬理作用物質を神経細胞と接触させる実施形態について、アッセイは、典型的には、神経細胞培養物を使用してインビトロで実施されてもよい。神経細胞は、好ましくはニューロン細胞である。細胞は、初代ニューロン細胞、例えば、ラット海馬細胞培養物を表し得る。或いは、又は加えて、神経細胞又はニューロン細胞は、樹立細胞株、例えばNeuro2A又はN2a細胞などの神経芽細胞腫株を表し得る。
ApoE断片は、細胞への外因性投与、例えば細胞培養培地を通じた投与の結果として神経細胞培養物中に存在し得る。或いは、又は加えて、ApoE断片は、培養物の神経細胞によるApoE断片の組換え発現の結果として存在し得る。より具体的には、培養物の神経細胞又はニューロン細胞は、配列番号1~3のいずれか1つによって表されるとおりのApo断片を組換え発現するように操作されていてもよく、その断片を発現する細胞を使用して、候補薬理作用物質の効果が評価されてもよい。
候補薬理作用物質がApoE断片の神経毒性効果を調節する能力、例えば低下させる能力は、任意の好適なアッセイ技法によって評価し得る。細胞死をモニタする技法が当業者に公知であり、それを用いて神経細胞毒性の尺度としての神経細胞死が検出されてもよい。神経毒性はまた、本明細書に記載される例示的な技法又はアッセイのいずれかを用いて評価されてもよい。例えば、神経毒性は、細胞代謝を測定することによって間接的に検出又はモニタされてもよい。実施例7に記載される技法に従いミトコンドリア呼吸が測定されてもよい。
候補薬理作用物質がApoE断片の神経細胞毒性を調節する能力を評価する目的で、候補薬理作用物質の存在下で見られる効果が対照と比較されてもよい。対照は、単純に、いかなる候補薬理作用物質も存在しない神経細胞又はニューロン細胞培養物であってもよい。或いは、ApoE断片誘導毒性に何ら効果を及ぼさないことが公知の対照薬理作用物質に曝露したニューロン細胞培養物の神経毒性が測定されてもよい。特定の実施形態において、候補薬理作用物質の効果は、ApoE断片の神経毒性効果を低下させる又は阻害することが公知の対照薬理作用物質と並行して決定されてもよい。かかる実施形態では、候補薬理作用物質は、ApoE断片の神経毒性効果を低下させる又は阻害することが公知の作用物質に対する相対的な有効性に関して評価され得る。
神経毒性を評価するため候補薬理作用物質を非ヒト動物と接触させる実施形態について、薬理作用物質は、任意の好適な投与経路で非ヒト動物に投与されてもよい。非ヒト動物は、マウス、ラット、ウサギ、又は任意の他の好適な実験動物から選択されてもよい。ApoE断片は、薬理作用物質より前又はそれと同時に非ヒト動物に提供されてもよい。或いは、非ヒト動物は、神経毒性のあるApoE断片を組換え発現するように遺伝子操作されていてもよい。例えば、実験動物が、神経毒性のあるApoE断片を脳内で組換え発現してもよく、従って候補薬理作用物質が神経毒性に及ぼす効果を決定することができるようになる。
候補薬理作用物質が非ヒト動物で試験される実施形態について、候補作用物質の効果は、神経毒性を測定する任意の好適なアッセイ技法によって決定し得る。特定の実施形態において、神経毒性は、動物の脳のインビボイメージングによって評価される。或いは、又は加えて、試験期間の終了時に動物を犠牲死させて、神経毒性効果のエビデンスに関して脳組織を調べてもよい。インビトロアッセイには、上記に記載されるとおりの好適な対照を利用し得る。
本明細書に記載されるスクリーニング方法は、ApoE断片の神経毒性を調節する能力のある特定の薬理作用物質の選択につながり得る。例えば、ある薬理作用物質が、本明細書に記載される1つ以上のApoE断片の神経毒性を少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも50%、少なくとも80%又は少なくとも90%低下させる又は阻害することが分かった場合、それが選択されてもよい。
更なる態様において、本明細書には、ApoE断片の産生を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法が提供され、ここでApoE断片は、配列番号1、2又は3のいずれか1つによって表される断片から選択される。特定の実施形態において、本方法は、配列番号2及び配列番号3によって表される断片から選択されるApoE断片の産生を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングすることを含む。特定の実施形態において、本方法は、配列番号1、2又は3のいずれか1つによって表される断片から選択されるApoE断片の産生を阻害する能力のある薬理作用物質をスクリーニングするために行われる。特定の実施形態において、本方法は、配列番号2及び配列番号3によって表される断片から選択されるApoE断片の産生を阻害する能力のある薬理作用物質をスクリーニングするために行われる。
本方法は、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞を候補薬理作用物質と接触させること、及び産生された断片の量を検出することを含む。本方法は、典型的には、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞集団を候補薬理作用物質と接触させること、及び集団によって産生されたApoE断片の量を検出することを含む。ApoE断片の量は、典型的には、候補薬理作用物質を神経細胞集団と接触させる決められた期間の後に測定し得る。
特定の実施形態において、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞は、候補薬理作用物質とインビトロで接触させる。かかる実施形態において、候補薬理作用物質は神経細胞培養物に適用されてもよい。培養物の神経細胞は、ニューロン細胞であってもよく、初代ニューロン細胞又は上記に記載されるとおりのニューロン細胞株であってもよい。
特定の実施形態において、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞は、候補薬理作用物質とインビボで接触させてもよい。かかる実施形態では、候補薬理作用物質は、アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞を有する動物、好ましくは非ヒト動物に投与されてもよく、インビボで神経細胞によって産生されたApoE断片の量が検出されてもよい。薬理作用物質は、任意の好適な投与経路で動物に投与されてもよい。薬理作用物質の存在下で産生されたApoE断片の量は、動物のインビボイメージング、例えば動物の脳のイメージングによって検出されてもよい。或いは、又は加えて、産生されたApoE断片の量は、動物から入手された試料中で検出されてもよく、これにより検出ステップはインビトロで実施されることになる。動物から入手された試料は、ApoE断片を含有する疑いがある任意の試料、例えば脳組織又は脳脊髄液であってよい。
候補薬理作用物質がApoE断片の産生を調節又は阻害する能力は、対照との比較に基づき決定されてもよい。例えば、候補薬理作用物質の存在下で測定されるApoE断片の量が、アポリポタンパク質Eを発現する対照神経細胞集団で測定されるApoE断片の量と比較されてもよく、ここで対照神経細胞集団は、いかなる薬理作用物質にも曝露されていない。或いは、対照神経細胞集団は、ApoE断片の産生に影響を及ぼさないことが公知の対照薬理作用物質で処理されてもよい。
神経細胞集団によって産生されるApoE断片の量は、mRNA又はタンパク質レベルで決定されてもよい。転写産物の検出/定量化に好適な技法及びタンパク質レベルの評価に好適な技法は、当該技術分野において公知である。例えば、ApoE断片のmRNAレベルは、ノーザンブロッティング又はマイクロアレイ技術などのハイブリダイゼーション技法、及び/又はRT-PCR又は核酸配列ベース増幅(NASBA)などの増幅ベースの技法によって決定されてもよい。ApoE断片のタンパク質レベルは、イムノブロット分析、ELISA、ラジオイムノアッセイ、Elispot等のイムノアッセイ技法によって決定されてもよい。
特定の実施形態において、候補薬理作用物質と接触させる1つ又は複数の神経細胞は、完全長アポリポタンパク質Eタンパク質、好ましくは完全長ヒトアポリポタンパク質Eタンパク質を発現する。好ましい実施形態において、神経細胞は、完全長ヒトApoE4を発現する。神経細胞は、アポリポタンパク質Eタンパク質を組換え発現するように遺伝子修飾されていてもよい。神経細胞が完全長アポリポタンパク質Eタンパク質を発現する実施形態について、本明細書に記載される方法を用いると、完全長アポリポタンパク質Eの転写、翻訳及び/又は分泌を阻害する能力のある薬理作用物質を、また、アポリポタンパク質Eが翻訳後プロセシングを受けて本明細書に記載される神経毒性のあるApoE断片になることを阻害する能力のある薬理作用物質も、スクリーニングすることができる。特定の実施形態において、本明細書に記載されるスクリーニング方法は、完全長アポリポタンパク質Eがプロセシング又は切断を受けて神経毒性のあるApoE断片になることを阻害する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする。
特定の実施形態において、候補薬理作用物質と接触させる1つ又は複数の神経細胞は、本明細書に記載されるとおりのアポリポタンパク質E断片を発現する。神経細胞は、完全長アポリポタンパク質Eに加えて、又はその代わりに、組換えApoE断片を発現するように遺伝子修飾されていてもよい。神経細胞がApoE断片を発現する実施形態について、本明細書に記載される方法を用いると、かかる神経毒性のある断片の直接的な発現を阻害する能力のある薬理作用物質をスクリーニングすることができる。
本明細書に記載されるスクリーニング方法のいずれかにおいて試験する薬理作用物質は、任意のクラスの作用物質から選択し得る。本方法において試験され得る薬理作用物質としては、限定はされないが、小分子、有機又は無機分子、抗体及びその抗原結合断片を含む生体分子、天然又は合成ポリペプチド又はペプチド、RNA干渉剤として用いられるアンチセンスRNA種及び二本鎖RNA種、例えばsiRNA分子を含めた核酸療法剤が挙げられる。
本明細書に記載されるスクリーニング方法によって同定される薬理作用物質は、本明細書の他の部分で定義するとおりの認知低下を伴う神経学的疾患又は病態を有する対象の予防及び/又は治療用の作用物質として有用であってもよい。薬理作用物質は、神経変性疾患又は障害の治療に使用されてもよい。特定の実施形態において、本明細書に記載されるスクリーニング方法によって同定される薬理作用物質は、軽度認知障害(MCI)又はアルツハイマー病(AD)の予防又は治療に使用されてもよい。
検出方法
更なる態様において、本明細書には、対象における配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E(ApoE)断片の存在又は量を検出する方法が提供される。特定の実施形態において、本方法は、配列番号1のアミノ酸配列からなるApoE断片の存在又は量を検出する方法である。特定の実施形態において、本方法は、配列番号2のアミノ酸配列からなるApoE断片の存在又は量を検出する方法である。特定の実施形態において、本方法は、配列番号3のアミノ酸配列からなるApoE断片の存在又は量を検出する方法である。
本方法は、対象から入手された試料を、その断片に結合するアプタマーと接触させることであって、それによって試料中のApoE断片の存在又は量を検出することを含む。本方法はインビトロで行われる。
対象から入手される試料は、1つ以上のApoE断片を含むと予想される任意の試料であり得る。試料は、血液、例えば、血清、末梢血、全血若しくはヘパリンなどの抗凝固薬で予め処理された全血、血漿又は血清から取られてもよい。試料は、脳脊髄液を含め、対象の脳又は中枢神経系の領域から入手されてもよい。
対象から入手された試料中のApoE断片の存在又は量は、試料をアプタマーと接触させることによって検出される。本明細書で使用されるとき、用語「アプタマー」は、特定の標的、この場合には本明細書に記載されるとおりの1つ以上のApoE断片に対して結合特異性を呈する一本鎖オリゴヌクレオチド(DNA又はRNA)を指す。本明細書に記載される検出方法に用いられるアプタマーは、任意のオリゴヌクレオチド配列又は三次構造を有してもよく、但し、これらのアプタマーは、本明細書に記載されるとおりの少なくとも1つのApoE断片に特異的に結合するものとする。本明細書で使用されるとき、用語「特異的に結合する」とは、分子(アプタマー)が所与の標的に優先的に結合する能力を指す。
試料中のApoE断片の存在又は量を決定するため、任意の好適な技術によってアプタマーと試料中のApoE断片との間の結合が測定されてもよい。
特定の実施形態において、試料は、神経学的疾患又は障害、例えば神経変性性障害を有する又は有する疑いがある対象から入手される。特定の実施形態において、試料は、MCI又はADを有する又は有する疑いがある対象から入手される。対象は、以前に神経学的又は神経変性性疾患又は障害、例えばアルツハイマー病と診断されたことがあってもよい。或いは、又は加えて、対象は、神経学的又は神経変性性疾患又は障害、例えばアルツハイマー病に対する治療を受けているところであるか、又は治療を受けたことがあってもよい。
本開示のこの態様に係る方法は、対象の神経学的又は神経変性性疾患を検出し、診断し、又はその診断を支援するために行われ得る。例えば、本方法は、アルツハイマー病を検出し、診断し、又はその診断を支援するために行われ得る。
疾患を診断し、又はその診断を支援するためにApoE断片の量が検出される実施形態について、対象における疾患の可能性を評価するため、試料中のApoE断片の量が所定の閾値又はカットオフと比較されてもよい。例えば、所定の閾値又はカットオフは、健常対象コホートで検出される対応するApoE断片のレベルを基準として決定されたものであってもよく、又はそのように決定されてもよい。対象から入手された試料中のApoE断片の量が健常対象コホートの所定の閾値を超える場合、その対象は、疾患、例えばアルツハイマー病を有すると診断され得る。
特定の実施形態において、対象の治療に対する臨床反応をモニタするため、対象から入手された試料中のApoE断片が検出されてもよい。治療は、任意の神経学的又は神経変性性障害の治療であってよいが、好ましくは、アルツハイマー病の治療である。ある期間、例えば治療過程と重なる期間にわたって対象から入手された複数の試料で測定されるApoE断片レベルの低下が、治療に対する臨床反応を示し得る。
参照による援用
本願には様々な文献が引用され、それらの各々は、全体として参照により本明細書に援用される。
本発明は、以下の非限定的な例を参照して更に理解されることになる。
実施例1
アルツハイマー病患者及び対照からのヒト脳抽出物におけるApoE断片の分析
本実施例は、ヒト脳組織のホモジナイゼーションと、それに続く2%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含有する放射性免疫沈降アッセイ(RIPA)緩衝液中の脳抽出物からのApoE断片のウエスタンブロット分析について記載する。
材料及び方法
脳組織ホモジナイゼーション及び試料調製:様々なAPOE遺伝子型を持つアルツハイマー病(AD)患者(n=24)及び対照(n=14)からの新鮮凍結ヒト脳組織をRIPA 2%SDS抽出緩衝液中1:5の重量:体積でホモジナイズし、続いて16000×gで1時間遠心した。得られた上清は、分析時まで-80℃で凍結した。
ヒト脳抽出物におけるApoE断片の分析:10μg総タンパク質量を含有するRIPA 2%SDS脳抽出物を2×レムリ試料緩衝液と混合し、95℃で5分間煮沸し、SDS-PAGEゲル(Bolt(商標)12%Bis-Tris Plus 10ウェル、Thermo Fisher)にロードした。ゲルを180Vで30~40分間泳動した後、Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)システム(BioRad)を使用してタンパク質をゲルからニトロセルロース膜に転写した。Odyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で膜を1時間ブロックし、次に、0.1%Tween(登録商標)20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で1:2000希釈したポリクローナル抗ApoE抗体(Calbiochem、カタログ番号#178479)と共に室温で一晩インキュベートした。膜を洗浄し、0.1%Tween(登録商標)20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で1:25000希釈した検出抗体抗ヤギ800CW(LI-COR、カタログ番号925-32214)と共に室温で1時間インキュベートした。膜を洗浄し、Odyssey(登録商標)FC(LI-COR)を使用して画像を取得した。Image Studioソフトウェア(バージョン5.2)を使用して、取得されたウエスタンブロット画像上での完全長ApoEの量に対する比率としてApoE断片の相対量を定量化した。
結果
ヒト脳RIPA 2%SDS抽出物(n=38)のウエスタンブロット分析により、完全長ApoE並びに数種の低分子量(LMW)ApoE断片が同定された。図1は、ウエスタンブロット分析からの代表し得る膜を示す。LMW ApoE断片は、10、12、14~15及び17kDaのサイズと推定された(図2)。
完全長(FL)ApoEに対する比率としてApoE断片を分析したところ、対照群(n=14)と比較したとき、AD群(n=24)では12kDa ApoE断片が有意に増加していることが実証された。図3を参照のこと。加えて、AD群のAPOE ε4保因者で12kDa ApoE断片の有意な増加が観察された(図4)。
実施例2
アルツハイマー病患者のヒト脳抽出物からのApoE断片の抽出及び単離
本実施例は、アミノ酸配列分析に十分なタンパク質濃度の高純度ApoE試料を調製するための、ヒト脳抽出物からの完全長ApoE並びに12及び15kDa ApoE断片の単離及び濃縮手順について記載する。
材料及び方法
様々なAPOE遺伝子型を持つAD患者のヒト脳抽出物からのApoEの単離:ヒト脳抽出物からのApoEの免疫沈降(IP)プロトコルを作成した。プロトコルを最適化したことにより、アミノ酸配列分析に十分なタンパク質濃度の高純度ApoE試料が得られた。このワークフローの概略図については、図5を参照のこと。1.5mgの総タンパク質濃度のヒト脳RIPA 2%SDS抽出物をIP緩衝液(1×PBS、0.05%Tween(登録商標)20、0.1%トリトンX-100、プロテアーゼ阻害薬カクテル)と混合し、アミノ酸237~299の範囲内に結合エピトープを有する200μgの抗ApoE C末端抗体(Thermo Scientific、カタログ番号PA5-27088)を加えることにより、ApoEを免疫沈降させた。上下に回転させながら室温で2時間インキュベートする間に、IP抗体と脳抽出物中のApoEとの間で複合体を形成させた。このIP混合物に500μlのプロテインA Dynabeads(Dynal、Thermo Scientific、カタログ番号10002D)を加え、上下に回転させながら室温で1時間インキュベートした後、プロテインA Dynabeadsを洗浄して、ビーズへの非特異的結合を除去した。プロテインA Dynabeadsに(IP抗体を介して)結合したApoEタンパク質を250μl溶離緩衝液(1.25mMトリス pH6.8、0.005%SDS)で溶離させて、900rpmで振盪しながら95℃で5分間インキュベートした。手早くスピンした後、試料をDynaMag(商標)-2磁石上に置き、液体を新しいチューブに移し替えた。
単離されたApoEの濃縮と、続くSDS-PAGEによる分析:ApoEタンパク質を濃縮するため、溶離したIP試料を回転式真空濃縮機において1300rpm、40℃で約2時間遠心することにより、容積を250μlから約15μlに減少させた。濃縮した試料に2×レムリ緩衝液を加え、試料を900rpm、95℃で5分間インキュベートした。手早くスピンした後、試料をSDS-PAGEゲル(Bolt(商標)12%Bis-Tris Plus 10ウェル、Thermo Fisher、カタログ番号NW04120BOX)にロードした。ゲルを180Vで30~40分間泳動した後、1つのゲルはウエスタンブロット分析によるApoE断片の確認に使用し、1つのゲルは銀染色して、ApoEの切り出しに使用した。
SDS-PAGEゲルのウエスタンブロット分析:Trans-Blot(登録商標)Turbo(商標)システム(BioRad)を使用してタンパク質をゲルからニトロセルロース膜に転写した。Odyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で膜を1時間ブロックし、次に0.1%Tween(登録商標)20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で1:2000希釈した抗ApoE C末端抗体(Thermo Scientific、カタログ番号PA5-27088)と共に室温で一晩インキュベートした。膜を洗浄し、0.1%Tween(登録商標)20を含有するOdyssey(登録商標)ブロッキング緩衝液で1:25000希釈した検出抗体抗ウサギ800CW(LI-COR、カタログ番号925-32211)と共に室温で1時間インキュベートした。膜を洗浄し、Odyssey(登録商標)FC(LI-COR)を使用して画像を取得した。
SDS-PAGEゲルの銀染色:ゲルを固定し、製造者の指示に従い銀染色で染色した(Pierce質量分析用銀染色、Thermo Scientific、カタログ番号24600)。銀染色の完了後、停止緩衝液をMilli-Q HOに交換し、10分間のリンスを2回行った。ゲルから完全長ApoE、並びに12及び15kDa ApoEバンドを切り出し、清浄なエッペンドルフ試験管内のMilli-Q HO中に置いた。
結果
作成したIPプロトコル(図5)を用いて、様々なAPOE遺伝子型(ε2/ε3、ε3/ε3、ε3/ε4及びε4/ε4)のヒトAD脳からApoEを単離し、溶離したタンパク質をSDS-PAGE上で泳動させた。
ApoEの抽出は、ウエスタンブロット分析によって確認した。図6は、ApoE断片、並びに完全長ApoEの幾つかのバンドを実証する代表的なウエスタンブロット膜を示す。加えて、図7に示されるとおり、単離及び濃縮したApoEタンパク質をSDS-PAGEゲルの銀染色によって染色した。約12及び15kDaサイズのApoE断片が可視化され、銀染色したゲルからそれらを切り出した。参照試料として、組換え完全長ApoEタンパク質及びヒト脳IP試料からの完全長ApoEもまた、銀染色したゲルから切り出した。
実施例3
12kDa ApoE断片におけるトリプシン切断部位の同定
試料調製
組換えヒト完全長ApoE4(rhApoE4)及び/又は免疫沈降からの34kDaのバンド、免疫沈降からの15kDaのバンド、及び免疫沈降からの12kDaのバンドを含む、1.5ml PPチューブ内にある実施例2からの銀染色したゲルストリップを十分な水で洗浄し、続いて500μlアセトニトリル(ACN;供給元Wako)を用いて脱水した。各ゲルが白色になった後、溶媒を全て除去し、続いて500μlの水を加えて各ゲルを膨潤させた。水を除去した後、各ゲルに500μlのSilver Quest脱染剤(Invitrogen)を加え、室温で15分間インキュベートした。脱染溶媒を全て除去した後、1000μlの水を加え、次に室温で10分間インキュベートした。水を除去した後、再び1000μlの水を加えて各ゲルを洗浄し、次にチューブから溶媒を全て除去した。各ゲルに500μl ACNを加え、次に各ゲルが白色になった後、過剰のACNを除去した。
500μlの10mMジチオスレイトール(DTT;供給元Wako)をゲルに加え、続いて56℃で30分間インキュベートした。DTT溶液を除去した後、500μl ACNを加えることにより、室温で10分間穏やかに混合インキュベートしながら各ゲルを収縮させた。ACNを除去した後、各チューブに55mMヨードアセトアミド(iodoacetoamide)(IAA;供給元Wako)を加え、次に暗所下室温で30分間インキュベートした。IAA溶液を除去した後、各チューブに再び500μl ACNを、10分間、時々ボルテックス混合しながら加えて、収縮したゲルを得た。ACNを除去した後、10%ACNを含有する10mM炭酸水素アンモニウム中の300μlの13μg/mlトリプシンをゲルに加え、次に5℃で6時間インキュベートした。次に、ゲルを37℃のチャンバに置いて各ゲルにおけるタンパク質消化を促し、続いて一晩インキュベートした。
水/ACNの1/2(v/v)溶液中にある600μlの5%ギ酸を各チューブに加え、ボルテックスしながら十分に混合した。次に、穏やかに回転させながら37℃でのインキュベーションを行うことにより、各ゲルからのトリプシンペプチドを含む溶液を入手した。入手された溶液をSpeedVacシステム(Thermo Fisher Scientific)によって乾燥させ、続いて0.1%TFA-水中の300μlの5%メタノールを使用して再構成した。この溶液をMonospin C18固体抽出カラム(GL Sciences)によって販売業者の取扱説明書のとおりに脱塩した後、溶離液をSpeedVacシステムによって乾燥させた。各チューブに0.1%TFA-水中の30μlの5%メタノールを加えて最終的な再構成溶液を入手した。この溶液をLC-MS分析に供した。
LC/MS分析
入手した試料はナノフローLC-MS/MSシステムで分析し、これにはQ Exactive HF質量分析計(Thermo Fisher Scientific)をオンラインUltiMate 3000 Rapid Separation LC(Dionex)及びHTC PAL試料インジェクター(CTC Analytics)と結合し、それにマイクロキャピラリーカラム(360nm外径(OD)×100μm ID)を装着したものを使用し、カラムは20cm未満のReproSil C18-AQ 3μmビーズ(Dr.Maisch GmbH)を充填したもので、集積エレクトロスプレーエミッターチップ(P-2000レーザーベースのプラー、Sutter Instruments)を備えていた。各試料をキャピラリーカラムに4μlフルループモード注入によってロードした。LC分離については、4%ACN及び0.5%酢酸(Wako)の移動相A並びに80%アセトニトリル及び0.5%酢酸の移動相Bを使用して、60分で1~40%のB、10分で40~70%のB、及び5分で70~99%のB、次に99%のBで10分間保持する500nl/分の多重直線グラジエント溶離を行った。各試料の総分析時間は120分であった。
各試料はデータ依存解析(DDA)モードを用いて分析し、ここでは、フルスキャンMSイオン標的を3×10個のイオンとし、MS/MSイオン標的を2×10個のイオンとして、m/z300~3000(分解能60000)の各フルスキャンMSのうち存在量の多い上位15個のイオンに高エネルギー衝突解離(HCD)MS/MSスキャン(分解能30000)を使用した。MS/MSスキャンの最大イオン注入時間は100msであった。HCD正規化後衝突エネルギーは27に設定し、ダイナミックエクスクルージョン時間は20秒に設定し、ペプチドマッチ及びアイソトープエクスクルージョン機能は有効にした。
データ解析
DDA質量スペクトルは全て、Proteome Discoverer バージョン2.1(Thermo Fisher Scientific)でヒトApoE4 FASTAファイルを使用して分析した。データセットのMS/MS検索には、SEQUEST-HTアルゴリズムを以下のパラメータで:メチオニンの酸化を可変修飾とし、システインのカルバミドメチル化を固定修飾とし、及びトリプシンを消化酵素として使用した。ペプチド1個当たり2つの切断の見逃しは許容した。プリカーサイオンのマストレランスは10ppmに設定し、プロダクトイオンのマストレランスは20mDaに設定した。ペプチドの同定には1%の最大偽発見率(FDR)を適用した。タンパク質の同定には、タンパク質1個当たり2個より多いペプチドが必要であった。次に、ApoE4のみに焦点を置く詳細な分析を行い、12kDaバンドの切断部位が同定された(ApoE4断片)。
結果
この12kDa ApoE断片をトリプシン消化に供して、ApoEの切断部位をペプチドベースで調べた。参照としてrhApoE4及び15kDaバンドを分析した。結果(図8)が示すところによれば、12kDaバンドからのトリプシンペプチドには、ApoEのアミノ酸残基192~206に対応するペプチドとアミノ酸残基207~213に対応するペプチドとの間に「存在量の崖(abundance cliff)」があった。「207~213ペプチド」は高いMS強度で明確に検出されたため、これはつまり、アミノ酸残基190~アミノ酸残基206の領域に少なくとも1つの切断部位があることを意味する。短鎖ペプチド(5残基未満のアミノ酸)は分析から除外しており、そのため、例えば190~191位のVRジペプチドは観察されなかった。
実施例4
12kDa ApoE断片におけるLysC切断部位の同定
材料及び方法
試料調製、LC/MS分析及びデータ解析は、上記に実施例3について記載するとおり実施した。
結果
12kDa ApoE断片の切断部位をアミノ酸ベースで絞り込むため、別の酵素、リシルエンドペプチダーゼ(LysC)による消化を行った。12kDaバンドの標準的なLysCプロテオーム解析(リジンC末端での切断は固定)の結果、検出された唯一のペプチドは、ApoEのアミノ酸残基234~299に対応するペプチドであった(図9)。このことから、190~206位の間に少なくとも1つの切断部位があるという旨の実施例3の結果が確認される。特に、rhApoE4の切断時にApoEのアミノ酸残基158~233に対応するペプチドが検出されたが(図示せず)、12kDaバンドを切断したときは検出されなかったことから、190~206位の間に少なくとも1つの切断部位が存在することが更に裏付けられる。
実施例5
12kDa ApoE断片におけるLysC切断部位の更なる特徴付け
材料及び方法
試料調製及びLC/MS分析は、上記に実施例4について記載するとおり実施した。データ解析は、上記に実施例4について記載するとおり実施したが、但し、予想外の領域で切断された特定のペプチドについては、抽出イオンクロマトグラム(XIC)からのターゲット分析(ピーク及び積分を記述する)を実施した。このピーク適格性評価分析は、Xcalibur 4.0ソフトウェア(Thermo Fisher Scientific)のQual Browserによって行った。
結果
同定された12kDa断片を生じさせる予想切断部位の詳細な分析の前に、rhApoE4バンド、免疫沈降からの34kDaバンド、及び免疫沈降からの12kDaバンドのいずれかに、LysC消化によって得られたApoEのアミノ酸残基158~233に対応するペプチド(RLAVYQAGAR EGAERGLSAIR ERLGPLVEQG RVRAATVGSL AGQPLQERAQ AWGERLRARM EEMGSRTRDR LDEVK)が検出されるかどうかを調べた。これは、理論上のm/z(z=10~15、5ppmマストレランス)で各XICを記述することにより行った。これらの結果は、rhApoE4及び34kDaバンドからの溶液に158~233ペプチドが明確に検出されることを示したが、これはつまり、試料調製ステップにアーチファクトの切断がないことを意味している。他方で、12kDaバンドからの試料溶液には、158~233ペプチドは観察されなかった。このことから、12kDa ApoE4断片には158~233の間に少なくとも1つの切断部位があることが指摘された。要約すれば、実施例3に記載されるトリプシン法のLC/MS結果から、190~205位の間の予備的な切断部位が解明され、次に、実施例4及び上記に記載されるとおり、その部位がLysC法によって確認された。190~205の間の可能性のある切断部位をアミノ酸ベースで絞り込むため、12kDaバンドのLysC消化によって提供されるあらゆる理論上の「非従来型」ペプチド(即ち、190~233、191~233、192~233、193~233、194~233、195~233、196~233、197~233、198~233、199~233、200~233、201~233、202~233、203~233、204~233、205~233、及び206~233)について、各XICを記述してフラグメントピークが検出されるか否かを確かめることにより調べた。図10は、ApoEのアミノ酸残基200~233に対応する「非従来型LysCペプチド」を探したときの、これらの結果の一例を示す(GQPLQERAQA WGERLRARME EMGSRTRDRL DEVK;[M]=4054.04490)。200~233ペプチドの理論上のモノアイソトピックm/z値(電荷6、7及び8)は、それぞれ、676.68143、580.15655及び507.76289である。各m/z値についての抽出クロマトグラムは、同じ保持時間でシングルピークを提供し、観察される質量は、いずれの場合も2ppm未満の質量精度で理論値と合致する。これらの結果は、非従来型LysCペプチドが同定されたことを強力に補強するもので、12kDa ApoE断片を生じる具体的な切断部位の肯定的な同定につながった(図11A)。別の試料(ApoE e3/e4アレル)でデュプリケート実験を行ったところ、再現性のある結果が示され(図11B)、切断部位の決定が確認された。
結論として、個別の3ドナー(ApoE ε3/ε4)からの脳試料のナノLC-MS/MS分析により、12kDa ApoE断片を生じる主要な切断部位が198L、199A及び200GのN末端にあることが実証された(図11)。
実施例6
ε4/ε4、ε2/ε3及びε3/ε3アレルを有するヒト脳の12kDa ApoE断片における切断部位の同定
材料及び方法
試料調製、LC/MS分析及びデータ解析は、上記に実施例3~5について記載するとおり実施した。
結果
N末端198L、199A及び200Gが、ApoE ε3/ε4からの12kDa ApoE断片を生じる主要な切断部位と同定された。これらの切断部位が、ε2又はε3ではなく、ε4アレルのみに特異的かどうかを明らかにするため、前節と同じ方法を用いてApoE ε4/ε4、ε2/ε3及びε3/ε3保因者の脳からの12kDaバンドを分析した。
結果は図12に提供し、これにより、ε4/ε4保因者が予想どおりの切断を198L、199A及び200G(主に199A及び200G)のN末端に呈した一方、ε2/ε3及びε3/ε3保因者は、この部位の切断についてε4/ε4保因者と比べて著しく低いシグナルを示したことが明らかになった。これらの結果から、ε3/ε4及びε4/e4アレル保因者では198L、199A及び200GのN末端での切断が一層多いことが指摘された。
実施例7
同定されたApoE断片の神経細胞毒性
材料及び方法
細胞培養:24ウェルプレート(Falcon)にNeuro2A細胞(ATCC)を5.0×10細胞/ウェルで播種し、10%ウシ胎仔血清を含有するD-MEM高グルコース(WAKO)で培養した。播種の翌日、リポフェクタミンLTX及びPlus Reagent(Invitrogen)を使用して、ヒトApoE4(完全長)又は同定されたApoE断片(198~299、199~299、200~299)をコードするpAAV-CMVベクターのトランスフェクションを行った。2日後、ベクターをトランスフェクトした細胞をウエスタンブロット分析用に回収し、又はミトコンドリア呼吸測定の4時間前にSeahorse XF96細胞培養マイクロプレート(Agilent Technologies)に2.0×10細胞/ウェルで再び播種した。
ラット海馬ニューロンを使用したアッセイのため、妊娠時期が調整されたウィスターラット(Charles River Laboratories)からの胎生期(E)18で入手した胎仔の解剖した海馬をトリプシン処理及び機械的解離を用いて消化した。解離したニューロンをミトコンドリア呼吸測定用にSeahorse XF96細胞培養マイクロプレート(Agilent Technologies)に1.5×10細胞/ウェルで播種し、又はウエスタンブロット分析用に24ウェルプレート(Falcon)に1.0×10細胞/ウェルで播種した。7インビトロ日数(DIV)で、完全長ヒトApoE4又は同定されたApoE断片(198~299、199~299、200~299)のAAV6感染を実施した。感染7日後(14DIV)に、ミトコンドリア呼吸測定又はウエスタンブロット分析用の試料回収を実施した。
ウエスタンブロット分析:完全(EDTA不含)プロテアーゼ阻害薬カクテル(Roche)及びPhosSTOPタンパク質ホスファターゼ阻害薬(Sigma)を含有するRIPA緩衝液(50mMトリス-HCl pH7.6、5mM EDTA、1mM EGTA、1%NP40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、0.1M NaCl、0.5mM PMSF)によって細胞を溶解させて、超音波処理した。SDS-PAGE前に、還元試薬含有試料緩衝溶液(6倍)(Nacalai Tesque)を加えた。SDS-PAGEには、XV PANTERA MPゲル(DRC)15%を使用した。転写には、Trans-Blot Turbo(Turbo)(BIO-RAD)を使用した。イムノブロッティングには、iBind Western Systems(ThermoFisher Scientific)を以下の抗体と共に使用した:抗ApoE PA5-27088(ThermoFisher Scientific);178479(Calbiochem)。
ミトコンドリア呼吸測定:細胞外フラックスアナライザーXFe96(Agilent Technologies)を使用して酸素消費速度(OCR)のリアルタイム測定を実施した。測定前に、10mMピルビン酸ナトリウム(Sigma)、10mM D-グルコース(Sigma)、2mMグルタミン(Sigma)を含有する37℃の予め温めたXF基本培地(Agilent Technologies)に培養培地を交換した。測定培地のpHは7.4に調整した。アッセイ前に、培養プレートを37℃で60分間インキュベートした。ミトコンドリア機能の分析には、XF細胞ミトストレス試験キット(Agilent Technologies)を使用した。基礎OCRの測定後、各細胞にミトコンドリア複合体阻害薬を順次注入した。阻害薬は以下の濃度で使用した:オリゴマイシン1μM;カルボニルシアニド4-(トリフルオロメトキシ)フェニルヒドラゾン(FCCP) Neuro2A細胞には0.25μM、ラット海馬ニューロンには2μM;ロテノン/アンチマイシンA 0.5μM。XFe96ソフトウェアによってOCR値が自動的に計算され、記録され、プロットされた。予備呼吸能は(FCCP呼吸-基礎呼吸)として測定した。
結果
Neuro2A細胞及びラット初代海馬ニューロンの両方で、同定されたApoE断片(198~299、199~299、200~299)のいずれか1つを発現する群は予備呼吸能の減少を示したことから(図13A及び図13B)、これらの断片がミトコンドリア損傷を負わせることが示唆される。加えて、これらの断片は、ApoE4完全長と比べてはるかに低い発現レベルでミトコンドリア機能不全を引き起こした(図13A~図13C)。これらの結果は、ヒト脳から同定されたApoEのC末端断片が神経毒性を持つことを示している。
実施例8
神経毒性のある12kDa ApoE断片の産生を調節する化合物を入手するためのスクリーニング方法
材料及び方法
細胞培養:妊娠時期が調整されたウィスターラット(Charles River Laboratories)からの胎生期(E)18で入手した胎仔の解剖した海馬をトリプシン処理及び機械的解離を用いて消化した。解離したニューロンを24ウェルプレート(Falcon)に1.0×10細胞/ウェルで播種した。7インビトロ日数(DIV)で、完全長ヒトApoE4のAAV-DJ感染を実施した。感染4日後(11DIV)に、4-{4-[2-(3-メチル-4-オキソ-3,4-ジヒドロ-フタラジン-1-イル)-アセチルアミド]-ベンジル}-ピペラジン-1-カルボン酸tert-ブチルエステル(以下、PH-002とも称する)(Merck)を処理した。感染7日後(14DIV)に、ウエスタンブロット及び細胞毒性分析用の試料回収を実施した。
ウエスタンブロット分析:完全(EDTA不含)プロテアーゼ阻害薬カクテル(Roche)及びPhosSTOPタンパク質ホスファターゼ阻害薬(Sigma)を含有するRIPA緩衝液(50mMトリス-HCl pH7.6、5mM EDTA、1mM EGTA、1%NP40、0.25%デオキシコール酸ナトリウム、0.1M NaCl、0.5mM PMSF)によって細胞を溶解させて、超音波処理した。SDS-PAGE前に、還元試薬含有試料緩衝溶液(6倍)(Nacalai Tesque)を加えた。SDS-PAGEには、XV PANTERA MPゲル(DRC)15%を使用した。転写には、Trans-Blot Turbo(Turbo)(BIO-RAD)を使用した。イムノブロッティングには、iBind Western Systems(ThermoFisher Scientific)を抗ApoE PA5-27088抗体(ThermoFisher Scientific)と共に使用した。検出には、Fusion FX7(Vilber Lourmat)を使用した。
細胞毒性分析:処理した化合物の細胞毒性をCytoTox-Glo(商標)細胞毒性アッセイ(Promega)によって評価した。端的には、50uLの馴化培地と50uLの調製したCytoTox-Glo(商標)細胞毒性アッセイ試薬とを96ウェル白色壁プレート(Sumitomo Bakelite)中に混合した。室温で15分間インキュベートした後、SpectraMax iD5(Molecular Devices)によって発光を測定した。
結果
このアッセイでは、細胞毒性を示さないPH-002による神経毒性12kDa ApoE断片の量の減少が濃度依存的に観察されたことから(図14A及び図14B)、この減少がPH-002の細胞毒性に起因するものではなく、この方法がApoE断片化阻害薬の同定に有効であることが指摘される。

Claims (19)

  1. 配列番号2及び配列番号3からなる群から選択されるアミノ酸配列からなる、アポリポタンパク質Eの断片。
  2. 配列番号2のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の断片。
  3. 配列番号3のアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の断片。
  4. 神経毒性を呈する、請求項1~3のいずれか一項に記載の断片。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の断片をコードする単離核酸。
  6. 請求項5に記載の単離核酸を含むベクター。
  7. 請求項6に記載のベクターを含む宿主細胞。
  8. 請求項6に記載のベクターを含むトランスジェニック非ヒト動物。
  9. 配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片を含むワクチン。
  10. それを必要としている対象の神経学的疾患を予防又は治療する方法であって、請求項9に記載のワクチンを前記対象に投与することを含む方法。
  11. 配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の神経細胞毒性を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法であって、
    前記断片の存在下で神経細胞又は非ヒト動物を候補薬理作用物質と接触させること、及び神経細胞毒性又は神経細胞死を検出することを含む方法。
  12. 配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の産生を調節する能力のある薬理作用物質をスクリーニングする方法であって、
    アポリポタンパク質Eを発現する神経細胞を候補薬理作用物質と接触させること、及び前記断片の量を検出することを含む方法。
  13. 前記神経細胞が前記アポリポタンパク質E断片を発現する、請求項12に記載の方法。
  14. 前記神経細胞が完全長アポリポタンパク質Eを発現する、請求項12に記載の方法。
  15. 前記アポリポタンパク質Eがアポリポタンパク質E4(ApoE4)である、請求項14に記載の方法。
  16. 前記アポリポタンパク質E断片又は完全長タンパク質を発現する前記神経細胞が、遺伝子修飾された細胞である、請求項12~15のいずれか一項に記載のスクリーニング方法。
  17. 対象における配列番号1~3のうちのいずれか1つのアミノ酸配列からなるアポリポタンパク質E断片の存在又は量を検出する方法であって、
    前記対象から入手された試料を、前記断片に結合するアプタマーと接触させること、及び前記試料中の前記断片の存在又は量を検出することを含む方法。
  18. 前記試料が、アルツハイマー病(AD)又は軽度認知障害(MCI)を有する又は有する疑いがある対象から入手される、請求項17に記載の方法。
  19. 前記アポリポタンパク質E断片の前記存在又は量を用いてAD又はMCIが検出され、診断され、又はその診断が支援される、請求項17又は18に記載の方法。

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