JP2022536829A - 熱可塑性加硫物組成物 - Google Patents

熱可塑性加硫物組成物 Download PDF

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JP2022536829A JP2021567973A JP2021567973A JP2022536829A JP 2022536829 A JP2022536829 A JP 2022536829A JP 2021567973 A JP2021567973 A JP 2021567973A JP 2021567973 A JP2021567973 A JP 2021567973A JP 2022536829 A JP2022536829 A JP 2022536829A
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ナラヤナ アヤール、クリシュナン アナンサ
ドウファス、アントニオス、ケー
ゴンシー、マイケル、ジェイ
ジュールダン、エリック、ピー
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エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク
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Abstract

【解決手段】TPV組成物は、エチレンベースコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、および、油または可塑剤の1種以上を含んでいる。エチレンベースコポリマーは、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有する。TPV組成物中の油または可塑剤の1種以上の量は、エチレンベースコポリマーの100重量部当たり10重量部~200重量部であり、また、TPV組成物は50μインチ(1.27μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有する。別の実施形態では、TPV組成物を形成する方法が提供される。別の実施形態では、TPV組成物を含んでいる物品を形成する方法が提供される。別の実施形態では、TPV組成物を含んでいる物品が提供される。【選択図】なし

Description

発明者名
アナンサ ナラヤナ アヤール、クリシュナン;ドウファス、アントニオス、ケー;ゴンシー、マイケル、ジェイ;ジュールダン、エリック、ピー
関連出願の相互参照
本出願は、2019年6月21日に出願された米国特許仮出願第62/864,978号の優先権を主張し、その開示内容は参照によって本明細書に完全に組み込まれる。
技術分野
本開示は、改善された弾性および流動性を有する熱可塑性加硫物(TPV)組成物に関する。
自動車機器製造業者および供給業者は、自動車用ウェザーシールにEPDMまたは他の熱硬化性コンパウンドに代えてTPV組成物をますます使用するようになっている。TPV組成物の使用が増加しているいくつかの理由には、加工性とリサイクル性の優位性が含まれる。リップはウェザーシール構造の一部であり、弾性および復元力に対する非常に厳しい要件がある。たとえば、約90℃までの温度でガラスに接触したときに、リップは、たわんだ後その元の位置に直ちに戻らなければならない。
EPDMとの比較では、TPV組成物は、典型的には熱可塑性相の存在によりそれより劣った弾性特性を示す。弾性に加えて、TPV組成物は、硬度および伸張性などの他の機械的特性の良好なバランスを有しなければならない。さらに、ガラスランチャンネルのような押し出し用途は、端部裂け、表面スポットなどの欠陥およびロココ調などの光学的欠点のないTPV組成物の優れた表面仕上げが求められる。この劣った弾性特性は、一部には、融解物状態でのTPV組成物の高い降伏応力に関連しており、その結果、不十分な流動性/融解物の滞流が生じる。この問題を軽減する手法、たとえば、EPDM内容物を希釈することおよび/またはEPDM粒子の硬化状態を変更することを含む手法は、弾性特性に悪影響を及ぼす可能性がある。他の流動性促進添加物、たとえばプラストマーは、弾性特性に悪影響を与える可能性がある。さらに、弾性特性への悪影響を最小限に抑えながら加工性を改善することは、あるEPDMにとっては依然として課題である。
機械的特性と組み合わせた弾性特性の優れたバランス、それとともに優れた流動性および押出機加工性を備えたTPV組成物を開発する必要が存在する。
1つの実施形態では、熱可塑性加硫物(TPV)組成物は、エチレンベースコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、および油または可塑剤の1種以上を含んでおり、このエチレンベースコポリマーは、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有する。エチレンベースコポリマーに含まれている油または可塑剤の1種以上の量は、エチレンベースコポリマー100重量部当たり10重量部~200重量部であり、また、この油または可塑剤の1種以上は、TPV組成物の成形加工の間に、硬化剤の添加の前または後に、油または可塑剤の1種以上の全量の3重量%~37重量%が硬化の前に加えられ、かつ、油または可塑剤の1種以上の63重量%~97重量%が硬化剤の後に加えられるように、添加される。
別の実施形態では、TPV組成物は、エチレンベースコポリマー、熱可塑性ポリオレフィン、および油または可塑剤の1種以上を含んでいる。エチレンベースコポリマーは、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有する。TPV組成物中の油または可塑剤の1種以上の量は、エチレンベースコポリマーの100重量部当たり10重量部~200重量部であり、また、TPV組成物は50μインチ(1.27μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有する。
別の実施形態では、TPV組成物を作る方法は、エチレンベースコポリマーを押し出しリアクターに導入する工程;熱可塑性ポリオレフィンを押し出しリアクターに導入する工程;フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを押し出しリアクターに導入する工程;第1の量の油または可塑剤の1種以上を硬化剤の前に押し出しリアクターに導入する工程;硬化剤を押し出しリアクターに導入する工程;第2の量の油または可塑剤の1種以上を硬化剤の後に押し出しリアクターに導入する工程であって、油または可塑剤の1種以上の全量の3重量%~37重量%が硬化剤の前に押し出しリアクターに加えられ、かつ、油または可塑剤の1種以上の全量の63重量%~97重量%が硬化剤の後に押し出しリアクターに加えられる工程、および熱可塑性ポリオレフィンの存在下で硬化剤とともにエチレンベースコポリマーを動的加硫して、TPV組成物を形成する工程を含む。
別の実施形態では、物品を形成する方法は、押し出す工程、射出成形する工程、ブロー成形する工程、圧縮成形する工程、熱成形する工程、またはTPV組成物を3D印刷する工程、および物品を形成する工程を含む。
別の実施形態では、TPV組成物を含んでいる物品が提供される。いくつかの実施形態では、物品は、押し出されたテープ、ウェザーシール、ドアパネル、ガスケット、パイプシール、ホース、ベルトまたはトランクである。
本開示は、エチレンベースコポリマー(たとえば、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)およびポリオレフィン(たとえば、ポリプロピレン)を含んでいるTPV組成物に関する。本開示は、優れた弾性回復および成形性/加工性を備えた改善されたTPV組成物を提供し、それは成形された物品および複合構造物の一部としての成形された部材に適していることができる。本明細書に開示されたTPV組成物は、従来のTPV組成物に比較して流動特性と弾性特性との優れたバランスを有することができる。
本発明者らは驚くべきことに、添加される硬化後油と硬化前油との比を調整することによって、優れた弾性特性および改善された流動性を備えたTPV組成物が得られることができることを発見した。さらに、本発明者らは、粘度を低減するために過剰の油を取り込むことは弾性および押し出し表面特性に悪影響を与えることを見い出した。しかし、驚くべきことに、過剰の油が硬化剤の導入の後に加えられた場合(硬化後添加)、弾性を高めながらTPV融解物粘度が著しく低減されることができることが見い出された。硬化後油の含有量を増加させると、高い温度条件の下での圧縮後の弾性回復および短い回復時間での永久伸びが改善されることが見い出された。この技術は、ポリオレフィン、硬化性ゴム(たとえば、EPDMゴム5-エチリデン-2-ノルボルネンおよび/または5-ビニル2-ノルボルネン(VNB))、フィラー(たとえば、粘土)、油(たとえば、パラフィン系プロセス油、グループII油、グループI油、合成油)および硬化剤システム(たとえば、フェノール硬化剤、ヒドロシリル化剤、過酸化物、シラングラフト/湿気硬化剤等、好ましくはフェノール硬化剤)を含んでいるTPV配合物で採用されることができる。
本開示はまた、TPV組成物を作る方法も示す。少なくとも1つの実施形態では、油(たとえば、プロセス油)は、色々な供給場所で導入され、その場合に、押し出しリアクターへの硬化剤の導入前の第1の油注入場所で導入される油の量は、押し出しリアクターへの硬化剤の導入後の第2の油注入場所で導入される油の量よりも少ない。硬化剤は、第1の油の注入の後で押出機に加えられることができる。TPV組成物の全重量当たり合計油の20重量%超が硬化剤の添加の後で取り込まれたTPV組成物は、系の粘度を低減するのを促進しながら著しく改善された弾性特性を示すことが発見された。他の有利な特性、たとえば改善された表面性能および低減された比重は、硬化前と硬化後との油の添加量の比を調整することによって達成されることができる。たとえばおよびいくつかの実施形態では、油の10%未満が第1の注入で加えられる場合に、優れた表面押し出し特性が達成される可能性が高い。第1の油の添加量と第2の油の添加量との比とともに合計油量を調整することによって、並外れた弾性および優れた押し出し成形性を備えたTPV組成物が製造されることができる。この技術は、Vistalon 9600のような、油展されていないバイモーダルのEPDMを使用して、良好な弾性を備えたTPVを製造するのに有用であることができる。
この開示の目的のためには、また、別段の指定がない限り、「組成物」とは、その組成物の成分および/またはその組成物の2種以上の成分の反応生成物を含んでいる。
この開示の目的のためには、また、別段の指定がない限り、「硬化前」とは、押し出しリアクターへの硬化剤の添加の前を言う。たとえば、硬化前油とは、押し出しリアクターへの硬化剤の添加の前に押し出しリアクターに加えられる油を指す。この硬化前油はまた、第1の量の油と呼ばれてもよい。
この開示の目的のためには、また、別段の指定がない限り、「硬化後」とは、押し出しリアクターへの硬化剤の添加の後を言う。たとえば、硬化後油とは、押し出しリアクターへの硬化剤の添加の後であるが硬化する前に、押し出しリアクターに加えられる油が硬化後油であることを指す。この油はまた、第2の量の油と呼ばれてもよい。
TPV組成物の配合物化
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、ゴムと熱可塑性ポリオレフィンとの合計量当たり約25重量%以上、たとえば約45重量%以上、たとえば約65重量%以上、たとえば約75重量%以上の量のゴム(たとえば動的加硫ゴム、たとえばエチレンベースコポリマー)を含んでいることができる。少なくとも1つの実施形態では、TPV組成物中のゴムの量は、ゴムと熱可塑性ポリオレフィンとの合計量当たり約5重量%~約95重量%、たとえば約10重量%~約90重量%、たとえば約20重量%~約85重量%、たとえば約45重量%~約80重量%、たとえば約60重量%~約75重量%であることができる。
これらのおよび他の実施形態では、TPV組成物は、ゴムと熱可塑性ポリオレフィンとの合計量当たり約10重量%~約85重量%(たとえば約10重量%~約80重量%、たとえば約10重量%~約55重量%、たとえば約10重量%~約50重量%、たとえば約10重量%~約40重量%、たとえば約12重量%~約30重量%、)である、熱可塑性相(たとえば、熱可塑性ポリマーまたは熱可塑性ポリオレフィン)、たとえばプロピレンベースポリマー、エチレンベースポリマー、ブテン-1-ベースポリマーまたはこれらの組み合わせの量を含んでいることができる。これらのまたは他の実施形態では、熱可塑性相内の熱可塑性のポリマーの量は、ゴム100重量部当たり約5部(phr)~250phr(たとえば約10phr~約150phr、たとえば約20phr~約150phr、たとえば約25phr~約150phr、たとえば約50phr~約150phr、たとえば約60phr~約100phr、)であってもよい。
熱可塑性相については、その相内に存在するポリマーの量は、補足的な熱可塑性樹脂の存在下で様々であってもよい。たとえば、いくつかの実施形態では、熱可塑性相は、熱可塑性相の全重量当たり約75重量%~約100重量%(たとえば約65重量%~約99.5重量%、たとえば約85重量%~約99重量%、たとえば約95重量%~約98重量%)のブテン-1-ベースポリマーを含んでいてもよく、熱可塑性相の残余はエチレンベースポリマーを含んでいる。たとえば、熱可塑性相は、熱可塑性相の全重量当たり約0重量%~約25重量%(たとえば約1重量%~約15重量%、たとえば約2重量%~約5重量%)のエチレンベースポリマーを含んでいてもよい。
これらのまたは他の実施形態では、熱可塑性相はブテン-1-ベースポリマーに加えてプロピレンベースポリマーを含んでいてもよいところ、熱可塑性相は、熱可塑性相の全重量当たり約51重量%~約100重量%(たとえば約65重量%~約99.5重量%、たとえば約85重量%~約99重量%、たとえば約95重量%~約98重量%)のブテン-1-ベースポリマーを含んでいてもよく、熱可塑性相の残余はプロピレンベースポリマーを含んでいる。たとえば、いくつかの実施形態では、熱可塑性相は、熱可塑性相の全重量当たり約0重量%~約49重量%(たとえば約1重量%~約15重量%、たとえば約2重量%~約5重量%)のプロピレンベースポリマーを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、フィラー(たとえば、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、造核剤、マイカ、木粉等およびこれらのブレンドとともに無機質および有機質のナノスケールフィラー)が、約1phr~約250phr(たとえば約10phr~約250phr、たとえば約10phr~約150phr、たとえば約25phr~約50phr)の量でTPV組成物に加えられてもよい。使用されることができるフィラーの量は、少なくとも部分的には、使用されるフィラーのタイプおよび(もし使用されるとしたら)エキステンダー油の量に依存してもよい。
いくつかの実施形態では、油(たとえば、エキステンダー油)および/または可塑剤が、約5phr~約300phr(たとえば約10phr~約250phr、たとえば約25phr~約250phr、たとえば約50phr~約200phr、たとえば約50phr~約150phr、たとえば約75phr~約130phr)の量でTPV組成物に加えられてもよい。加えられる油の量は、所望の特性に依存することができ、特定の油とブレンド成分との相容性に依存してもよい上限を有し、油の過剰のにじみ出しが生じるときはこの上限を超えている可能性がある。油の量は、少なくとも部分的にはゴムの種類に依存することができる。高粘度のゴムは、より高度に油展可能である。エステル可塑剤が使用される場合には、エステル可塑剤は一般に約250phr以下、たとえば約175phr以下、たとえば約100phr以下の量で使用される。
いくつかの実施形態では、硬化前油および/または硬化前可塑剤のある量がTPV組成物に加えられてもよい。加えられる硬化前物のそのような量は、約2phr~約150phr(たとえば約5phr~約100phr、たとえば約10phr~約100phr、たとえば約25phr~約100phr、たとえば約50phr~約100phr、たとえば約75phr~約130phr)である。
いくつかの実施形態では、硬化後油および/または硬化後可塑剤のある量がTPV組成物に加えられてもよい。加えられる硬化後物のそのような量は、約2phr~約150phr(たとえば約5phr~約145phr、たとえば約10phr~約140phr、たとえば約25phr~約135phr、たとえば約50phr~約130phr、たとえば約75phr~約125phr)である。
いくつかの実施形態では、加えられる硬化後油(および/または硬化後可塑剤)と加えられる硬化前油(および/または硬化前可塑剤)との重量比は、約1超:1、たとえば約2:1~約10:1、たとえば約3:1~約8:1である。
いくつかの実施形態では、加えられる合計油(および/または合計可塑剤)と硬化前油(および/または硬化前可塑剤)との重量比は、約10未満:1、たとえば約2:1~約7:1、たとえば約3:1~約5:1である。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は硬化剤を含んでいる。硬化剤の量および種類とともに硬化剤の成分が、以下で議論される。
いくつかの実施形態では、また使用されたときには、TPV組成物は加工添加物(たとえば、ポリマー加工添加物)を約0phr~約20phr、たとえば約1phr~約10phr、たとえば約2phr~約6phrの量で含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、強化用および非強化用フィラー、着色剤、酸化防止剤、安定剤、ゴム加工油、潤滑剤、ブロッキング防止剤、静電防止剤、ワックス、起泡剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、スリップ剤マスターバッチ、紫外線防止剤、酸化防止剤、およびゴムおよびTPVコンパウンド技術分野で知られた他の加工助剤を任意的に含んでいてもよい。これらの添加物は、TPV組成物の全重量の約50重量%までの量でTPV組成物中に使用されることができる。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、ゴムおよび熱可塑性成分を合わせた全重量当たり、約10重量%~約85重量%(たとえば約15重量%~約70重量%、たとえば約20重量%~約50重量%)の熱可塑性成分を含んでいてもよい。熱可塑性の成分の量はまた、ゴム成分の量に関連付けて表されることもできる。いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約20phr~約400phr(たとえば約40phr~約300phr、たとえば約80phr~約200phr)のゴム成分を含んでいてもよい。
少なくとも1つの実施形態では、油および/または可塑剤の1種以上は、TPV組成物の成形加工の間に、硬化剤の添加の前および/または硬化剤の添加の後に加えられることができる。硬化剤の前に加えられる油および/または可塑剤(硬化前油および/または硬化前可塑剤)の1種以上の量は、加えられる油の全量当たり、約1重量%~約49重量%、たとえば約5重量%~約45重量%、たとえば約10重量%~約40重量%、たとえば約15重量%~約30重量%、たとえば約20重量%~約25重量%の量であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、硬化剤の前に加えられる油および/または可塑剤の1種以上の量は、加えられる油の全量当たり、約3重量%~約37重量%、たとえば約10重量%~約33重量%、たとえば約20重量%~約30重量%の量であってもよい。
いくつかの実施形態では、硬化剤の後に加えられる油および/または可塑剤(硬化後油および/または硬化後可塑剤)の1種以上の量は、加えられる油の全量当たり、約51重量%~約99重量%、たとえば約55重量%~約95重量%、たとえば約60重量%~約90重量%、たとえば約65重量%~約85重量%、たとえば約70重量%~約75重量%の量であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、硬化剤の後に加えられる油または可塑剤の1種以上の量は、加えられる油の全量当たり、約63重量%~約97重量%、たとえば約67重量%~約90重量%、たとえば約70重量%~約80重量%であってもよい。
ゴム相
ゴム相を形成するために使用されてもよいゴムとしては、フェノール樹脂もしくはヒドロシリル化硬化剤(たとえば、シラン含有硬化剤)、助剤と一体となった過酸化物、シラングラフトによる湿気硬化剤、またはアジドによって硬化されもしくは架橋されることができるポリマーが挙げられる。ゴムの非限定的な例としては、オレフィンエラストマーターポリマーおよびその混合物が挙げられる。いくつかの実施形態では、オレフィンエラストマーターポリマーとしては、エチレンベースエラストマー、たとえばエチレンベースコポリマーゴムおよびエチレン-プロピレン-非共役ジエンゴムが挙げられる。
エチレンベースコポリマー
用語「エチレンベースコポリマー」とは、エチレン、少なくとも1種の他のαオレフィンおよび少なくとも1種のジエンモノマーから重合されたゴム質のターポリマー(たとえば、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーまたはEPDMターポリマー)を指す。αオレフィンモノマーとしては、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、4-メチル-1-ペンテン、1-オクテン、1-デセンまたはこれらの組み合わせが挙げられてもよい。少なくとも1つの実施形態では、αオレフィンモノマーとしては、プロピレン、1-ヘキセン、1-オクテンまたはこれらの組み合わせが挙げられることができる。ジエンモノマーとしては、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB);5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB); ジビニルベンゼン;1,4-ヘキサジエン;5-メチレン-2-ノルボルネン;1,6-オクタジエン;5-メチル-1,4-ヘキサジエン;3,7-ジメチル-1,6-オクタジエン;1,3-シクロペンタジエン;1,4-シクロヘキサジエン;ジシクロペンタジエン;またはこれらの組み合わせが挙げられてもよい。エチレン、αオレフィンモノマーおよびジエンモノマーから調製されたポリマーはターポリマーと、または複数のαオレフィンモノマーまたはジエンが使用される場合でさえもターポリマーと呼ばれてもよい。エチレンベースコポリマーの例は、エチレン-プロピレンコポリマーゴム(またはエチレン-プロピレンコポリマー)である。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、エチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、約10重量%~約99.9重量%(たとえば約10重量%~約90重量%、たとえば約12重量%~約90重量%、たとえば約15重量%~約90重量%、たとえば約20重量%~約80重量%、たとえば約40重量%~約70重量%、たとえば約50重量%~約70重量%、たとえば約55重量%~約65重量%、たとえば約60重量%~約65重量%)であるエチレン由来含有量を有してもよい。いくつかの実施形態では、エチレン由来含有量は、エチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、約40重量%~約85重量%、たとえば約40重量%~約85重量%である。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、エチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、約0.1重量%~約15重量%(たとえば約0.1重量%~約5重量%、たとえば約0.2重量%~約10重量%、たとえば約2重量%~約8重量%、または約4重量%~約12重量%、たとえば約4重量%~約9重量%)であるジエン由来含有量を有してもよい。いくつかの実施形態では、ジエン由来含有量はエチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、約3重量%~約15重量%であることができる。
いくつかの実施形態では、ジエンモノマーが5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)および/または5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)を含む場合に、エチレンベースコポリマーは、エチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、少なくとも約0.1重量%(たとえば少なくとも約1重量%、たとえば少なくとも約3重量%、たとえば少なくとも約4重量%、たとえば少なくとも約5重量%)のジエンモノマーを含んでいてもよい。これらのおよび他の実施形態では、ジエンモノマーがENBまたはVNBを含む場合に、エチレンベースコポリマーは、エチレン-プロピレンゴムの全重量当たり、約1重量%~約15重量%(たとえば約3重量%~約15重量%、たとえば約4重量%~約12重量%、たとえば約5重量%~約12重量%、たとえば約7重量%~約11重量%)のジエンモノマーを含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、ゴム100部当たり約0部(phr)~約200phr、たとえば約0phr~約100phr、たとえば75phr~100phrである油の量を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、αオレフィン由来含有量(たとえばC~C40、たとえばC~C20、たとえばC~C10オレフィン、たとえばプロピレン)を含んでいるエチレン-プロピレンゴムの残余を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約100,000g/モル以上(たとえば約200,000g/モル以上、たとえば約400,000g/モル以上、たとえば約600,000g/モル以上)である重量平均分子量(Mw)を有してもよい。これらのまたは他の実施形態では、Mwは、1,200,000g/モル以下(たとえば約1,000,000g/モル以下、たとえば約900,000g/モル以下、たとえば約800,000g/モル以下、たとえば約400,000g/モル~約700,000g/モル)であることができる。これらのまたは他の実施形態では、Mwは、約400,000g/モル~約3,000,000g/モル(たとえば約400,000g/モル~約2,000,000g/モル、たとえば約400,000g/モル~約1,500,000g/モル、たとえば約400,000g/モル~約1,000,000g/モルまたは約600,000g/モル~約1,200,000g/モル、たとえば約600,000g/モル~約1,000,000g/モル)であることができる。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約20,000g/モル以上(たとえば約60,000g/モル以上、たとえば約100,000g/モル以上、たとえば約150,000g/モル以上)である数平均分子量(Mn)を有してもよい。これらのまたは他の実施形態では、Mnは、500,000g/モル未満(たとえば約400,000g/モル以下、たとえば約30,000g/モル以下、たとえば約250,000g/モル以下)であることができる。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約10,000g/モル~約7,000,000g/モル(たとえば、約50,000g/モル~約3,000,000g/モル、たとえば約100,000g/モル~約2,000,000g/モル、たとえば約200,000g/モル~約1,500,000g/モル、たとえば約200,000g/モル~約1,000,000g/モル、たとえば約200,000g/モル~約500,000g/モル、)であるZ平均分子量(Mz)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約1~約15(たとえば約1~約10、たとえば約1~約5、たとえば約1~約4、たとえば約2~約4、たとえば約1~約3、たとえば約1.8~約3、たとえば約1~約2、たとえば約1~約2.5)である多分散指数(Mw/Mn;PDI)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約10MU~約500MUまたは約50MU~約450MUであるASTM D1646による乾燥ムーニー粘度(ML(1+4)@125℃)を有してもよい。これらのまたは他の実施形態では、ムーニー粘度は約50MU以上、たとえば約250MU以上、たとえば約350MU以上である。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、0.7以上(たとえば約0.75以上、たとえば約0.8以上、たとえば約0.85以上、たとえば約0.9以上、たとえば約0.95以上、たとえば約0.96、約0.97、約0.98、約0.90、約1)であるg’visを有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレン-プロピレンゴムは、約-20℃以下(たとえば約-30℃以下、たとえば約-50℃以下)であるASTM E1356による示差走査熱量測定(DSC)によって決定されたガラス転移温度(Tg)を有してもよい。いくつかの実施形態では、Tgは約-20℃~約-60℃である。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約10未満、たとえば約5未満、たとえば約-1~約5の大振幅振動せん断(LAOS)分枝指数を有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約3未満のLAOS分枝指数を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、約2.5以下、たとえば2.0以下のLCB指数(@125℃)を有してもよい。
少なくとも1つの実施形態では、エチレンベースコポリマーは、小振幅振動せん断(SAOS)からの約30度~80度、たとえば約32°以上、たとえば約35°以上のΔδを有してもよい。Δδは、125℃での周波数掃引から誘導される0.1ラジアン/秒の周波数での位相角(δ)と128ラジアン/秒の周波数での位相角(δ)との差、すなわち、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である。
エチレンベースコポリマーは、様々な技術を使用することによって製造されまたは合成されてもよい。たとえば、これらのターポリマーは、溶液、スラリーもしくは気相重合技術またはこれらの組み合わせを使用することによって合成されることができ、これらの重合技術は、バナジウム触媒を含むジーグラー-ナッタシステムを含む様々な触媒システムを使用し、かつ溶液、スラリーまたは気相などの様々な相の中で行われる。典型的な触媒としては、第IV~VI族メタロセンを含む拘束幾何触媒を含むシングルサイト触媒が挙げられる。いくつかの実施形態では、EPDMは、スラリープロセスを使用して従来のジーグラー-ナッタ触媒、とりわけ米国特許第5,783,645号に開示されているようなバナジウム化合物を含む触媒によって、それとともにまた米国特許第5,756,416号に開示されているメタロセン触媒によって製造されることができる。Brookhart触媒システムなどの他の触媒システムもまた使用されてもよい。任意的に、そのようなEPDMは、溶液プロセスで上記の触媒システムを使用して調製されることができる。
いくつかの実施形態では、ゴムは高度に硬化されることができる。いくつかの実施形態では、有利なことに、ゴムは部分的にまたは十分に(完全に)硬化される。硬化度は、シクロヘキサンまたは沸騰キシレンを抽出剤として使用することによりTPV組成物から抽出可能なゴムの量を決定することによって測定されることができる。この方法は米国特許第4,311,628号に開示されており、米国特許の慣行の目的で、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。いくつかの実施形態では、ゴムは、約5.9重量%以下、たとえば約5重量%以下、たとえば約4重量%以下、たとえば約3重量%以下が米国特許第5,100,947号および第5,157,081号に記載されたように23℃のシクロヘキサンによって抽出可能である硬化度を有し、これらの特許の内容は米国特許の慣行の目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。これらのまたは他の実施形態では、ゴムは、約94重量%超、たとえば約95重量%超、たとえば約96重量%超、たとえば約97重量%超のゴムが23℃のシクロヘキサンに不溶性になる程度まで硬化される。あるいは、いくつかの実施形態では、ゴムは、架橋密度が少なくともゴム1ミリリットル当たり4×10-5モル、たとえば少なくともゴム1ミリリットル当たり7×10-5モル、たとえば少なくともゴム1ミリリットル当たり10×10-5モルである硬化度を有する。Ellulらによる「動的加硫されたTPE中の架橋密度および相モルフォロジー」、RUBBER CHEMISTRY AND TECHNOLOGY、68巻、573~584頁(1995年)も見よ。
ゴムは部分的にまたは完全に硬化されてもよいという事実にもかかわらず、本開示のTPV組成物は、従来のプラスチック加工処理技術、たとえば押し出し、射出成形、ブロー成形および/または圧縮成形によって加工処理されまた再加工処理されて、物品を形成することができる。これらの熱可塑性エラストマー内のゴムは、連続的な熱可塑性相すなわちマトリクス内の加硫されたまたは硬化されたゴムの微細に分割されかつ十分に分散された粒子の形態であることができる。いくつかの実施形態では、共連続のモルフォロジーまたは相反転が達成されることができる。硬化されたゴムが熱可塑性媒体内で微細に分割されかつ十分に分散された粒子の形態であるこのような実施形態では、ゴム粒子は、約50μm以下(たとえば約30μm以下、たとえば約10μm以下、たとえば約5μm以下、たとえば約1μm以下)である平均直径を有することができる。いくつかの実施形態では、粒子の少なくとも約50%、たとえば少なくとも約60%、たとえば少なくとも約75%が、約5μm以下、たとえば約2μm以下、たとえば約1μm以下の平均直径を有する。
いくつかのエラストマーターポリマーは、Vistalon(商標)(ExxonMobil Chemical社、米国、テキサス州、ヒューストン)、Keltan(商標)(Arlanxeo Performance Elastomers社、米国、テキサス州、オレンジ)、Nordel(商標)IP(Dow社)、NORDEL MG(商標)(Dow社)、Royalene(商標)(Lion Elastomers社)およびSuprene(商標)(SK Global Chemical社)の商品名の下で市販で入手可能である。特定の例としては、Vistalon(商標)3666、EXP-Vistalon(WO2017127184A1によって作られたもの)、Keltan(商標)5469 Q、Keltan(商標)4969 Q、Keltan(商標)5469 C、Keltan(商標)4869 C、Royalene(商標)694、Royalene(商標)677、Suprene(商標)512F、Nordel(商標)6555、Keltan 5467CおよびNordel(商標)4555OEが挙げられる。
いくつかの実施形態では、エチレンプロピレンゴムは、エチレンプロピレンゴム100phr当たり約50phr~約200phrのプロセス油、たとえば約75phr~約120phrのプロセス油を用いて油展された形態で得られてもよい。
表1は、例となるエチレンプロピレンゴムの特性を示す。g’visはGPC-4Dを使用して測定されることができる。分枝指数(BI)(LAOS)は、APAレオメーターを125℃で使用して測定されることができる。位相角差(Δδ)(SAOS)は、「位相角δ(@0.1秒-1)-位相角δ(@128秒-1)」の差として定義され、APAレオメーターを125℃で使用して測定されることができる。分子の特性を測定するための手法が以下に記載される。
表1において、EPDM 1は、国際出願公開第WO2017/127184号によって作られ、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
Figure 2022536829000001
熱可塑性相
いくつかの実施形態では、TPV組成物の熱可塑性相は、その融解温度超で流れることができるポリマーを含んでいる。いくつかの実施形態では、熱可塑性相の主要成分は、少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィン、たとえばポリプロピレン(たとえばホモポリマー、ランダムコポリマーもしくはインパクトコポリマーまたはこれらの組み合わせ)、エチレンベースポリマー(たとえばポリエチレン)またはブテンベースポリマー(たとえばポリブテン)を含んでいる。いくつかの実施形態では、熱可塑性相はまた、少量成分として、少なくとも1種の熱可塑性ポリオレフィン、たとえばエチレンベースポリマー(たとえば、ポリエチレン)、プロピレンベースポリマー(たとえば、ポリプロピレン)またはブテンベースポリマー(たとえば、ポリブテンまたはポリブテン-1)を含んでいてもよい。
1. プロピレンベースポリマー
プロピレンベースポリマーとしては、固体の、概して高い分子量の可塑性の樹脂であって、プロピレンの重合に由来する単位を主として含んでいるようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーの単位の少なくとも75%、他の実施形態では少なくとも90%、他の実施形態では少なくとも95%、また他の実施形態では少なくとも97%は、プロピレンの重合に由来する。いくつかの実施形態では、これらのポリマーはプロピレンのホモポリマーを含んでいる。ホモポリマーポリプロピレンは、直鎖状の連鎖および/または長鎖分枝を有する連鎖を含んでいることができる。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーはまた、エチレンおよび/またはαオレフィンの重合に由来する単位を含んでいてもよく、αオレフィンとしては、たとえば1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセンおよびこれらの混合物が挙げられる。特に含まれるのは、プロピレンとエチレンとの、または上記の、より高級のαオレフィンとの、またはC10~C20オレフィンとのリアクター、インパクトおよびランダムコポリマーである。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは半結晶性ポリマーを含んでいる。いくつかの実施形態では、これらのポリマーは、少なくとも25重量%以上(たとえば約55重量%以上、たとえば約65重量%以上、たとえば約70重量%以上)の結晶化度によって特徴付けられてもよい。結晶化度は、サンプルの融解熱(Hf)を100%結晶性のポリマーの融解熱で割ることによって決定されてもよく、100%結晶性のポリマーの融解熱はポリプロピレンについては209ジュール/グラムであると見なされている。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約52.3J/g以上(たとえば約100J/g以上、たとえば約125J/g以上、たとえば約140J/g以上、)のHfを有してもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、ポリスチレン標準物を用いたGPCによって測定された約50,000g/モル~約2,000,000g/モル(たとえば約100,000g/モル~約1,000,000g/モル、たとえば約100,000g/モル~約600,000g/モルまたは約400,000g/モル~約800,000g/モル)の重量平均分子量(Mw)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、ポリスチレン標準物を用いたGPCによって測定された約25,000g/モル~約1,000,000g/モル(たとえば約50,000g/モル~約300,000g/モル)の数平均分子量(Mn)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約1以下(たとえば0.9以下、たとえば0.8以下、たとえば0.6以下、たとえば0.5以下)のg’visを有してもよい。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、約0.90超、たとえば約0.97超であるg’visを有してもよい。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは約0.7~約0.88であるg’visを有する。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約0.1g/10分以上(たとえば約0.2g/10分以上、たとえば約0.2g/10分以上)のメルトマスフローレート(MFR)(ASTM D1238、2.16kg荷重@230℃)を有してもよい。あるいは、MFRは約0.1g/10分~約50g/10分、たとえば約0.5g/10分~約5g/10分、、たとえば約0.5g/10分~約3g/10分であってもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約110℃~約170℃(たとえば約140℃~約168℃、たとえば約160℃~約165℃)の融解温度(Tm)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約-50℃~約10℃(たとえば約-30℃~約5℃、たとえば約-20℃~約2℃)のガラス転移温度(Tg)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、約75℃以上(たとえば約95℃以上、たとえば約100℃以上、たとえば約105℃以上、たとえば約105℃~約130℃)であることができる結晶化温度(Tc)を有している。
いくつかの実施形態では、プロピレンベースポリマーは、高い結晶化度のアイソタクチックまたはシンジオタクチックのポリプロピレンのホモポリマーを含んでいることができる。このポリプロピレンは、約0.89~約0.91g/mlの密度を有することができ、大部分がアイソタクチックであるポリプロピレンは約0.90~約0.91g/mlの密度を有する。また、1未満のメルトフローレートを有する高または超高分子量ポリプロピレンが使用されることもできる。いくつかの実施形態では、ポリプロピレン樹脂は、約10dg/分以下(たとえば約1.0dg/分以下、たとえば約0.5dg/分以下)であるMFR(ASTM D-1238; 2.16kg@230℃)によって特徴付けられてもよい。
いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマーもしくはインパクトコポリマーのポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、高融解物強度(HMS)で長鎖分枝状(LCB)のホモポリマーポリプロピレンである。
プロピレンベースポリマーは、従来のジーグラー-ナッタタイプの重合などの当該技術分野で知られた適当な重合技術、およびメタロセン触媒を包含するシングルサイト有機金属触媒を使用する触媒反応を使用して合成されてもよい。
本明細書に記載されたTPV組成物に有用なポリプロピレンの例としては以下のものが挙げられる;ExxonMobil(商標)PP5341(ExxonMobil社から入手可能);Achieve(商標)PP6282NE1(ExxonMobil社から入手可能);および/または米国特許第9,453,093号および第9,464,178号に記載された広い分子量分布を備えたポリプロピレン樹脂;および米国特許出願公開第20180016414号および第20180051160号に記載された他のポリプロピレン樹脂(たとえば、下の表に示されたEXP-PP);Waymax(商標)MFX6(日本ポリプロ社から入手可能);Borealis Daploy(商標)WB140(Borealis社から入手可能);およびBraskem Ampleo 1025MAおよびBraskem Ampleo 1020GA(Braskem Ampleo社から入手可能)。表2は、選択されたプロピレンベースポリマーの特性を示す。g’visはGPC-4Dを使用して測定されることができる。分子特性を決定するための手法が以下に記載される。
Figure 2022536829000002
2.エチレンベースポリマー
エチレンベースポリマーとしては、固体の、概して高い分子量の可塑性の樹脂であって、エチレンの重合に由来する単位を主として含んでいるようなものが挙げられる。いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーの単位の少なくとも90%、他の実施形態では少なくとも95%、他の実施形態では少なくとも99%は、エチレンの重合に由来することができる。特定の実施形態では、これらのポリマーはエチレンのホモポリマーを含んでいる。
いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーはまた、αオレフィンコモノマー、たとえばプロピレン、1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセンまたはこれらの混合物の重合に由来する単位を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーは、約0.1dg/分~約1,000dg/分(たとえば約1.0dg/分~約200dg/分、たとえば約7.0dg/分~約20.0dg/分)のメルトインデックス(MI)(ASTM D1238、2.16kg@190℃)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーは、示差走査熱量測定(DSC)によって10℃/分で測定された約140℃~約90℃(たとえば約135℃~約125℃、たとえば約130℃~約120℃)の融解温度(Tm)を有してもよい。
エチレンベースポリマーは、従来のジーグラー-ナッタタイプの重合などの当該技術分野で知られた適当な重合技術、およびメタロセン触媒を包含するシングルサイト有機金属触媒を使用する触媒反応を使用して合成されてもよい。いくつかのエチレンベースポリマーは市販で入手可能である。たとえば、ポリエチレンは、ExxonMobil(商標)ポリエチレン(ExxonMobil社)の商品名の下で市販で入手可能である。エチレンベースコポリマーは、ExxonMobil(商標)ポリエチレン(ExxonMobil社)の商品名の下で市販で入手可能であり、これはメタロセンで製造された直鎖状低密度ポリエチレン、たとえばExceed(商標)、Enable(商標)およびExceed(商標)XPを含む。
いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーとしては、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンまたは高密度ポリエチレンが挙げられる。いくつかの実施形態では、エチレンベースポリマーは、高融解物強度(HMS)で長鎖分枝状(LCB)のホモポリマーポリエチレンであることができる。
使用されることができる他のエチレンベースポリマーとしては、Hostalen(LBI社)、Paxxon(ExxonMobil社)およびEscorene(ExxonMobil社)が挙げられることができる。
3. 1-ブテンベースポリマー
ブテン-1ベースのポリマーとしては、固体の、概して高い分子量でアイソタクチックのブテン-1樹脂であって、1-ブテンの重合に由来する単位を主として含んでいるようなものが挙げられる
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、アイソタクチックのポリ(ブテン-1)ホモポリマーを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーはまた、αオレフィンコモノマー、たとえばエチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ヘキサン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、2-メチル-1-プロペン、3-メチル-1-ペンテン、4-メチル-1-ペンテン、5-メチル-1-ヘキセンまたはこれらの2種以上の混合物の重合に由来する単位を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、以下の特性の1つ以上を含んでいる:
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、1-ブテンの重合に由来する1-ブテンベースポリマーの単位の少なくとも90重量%以上(たとえば約95重量%以上、たとえば約98重量%以上、たとえば約99重量%以上)を有することができる。いくつかの実施形態では、これらのポリマーは、1-ブテンのホモポリマーを含んでいることができる。
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、約0.1dg/分~800g/分(たとえば約0.3dg/分~約200g/分、たとえば約0.3dg/分~約4.0g/分)であることができるメルトインデックス(MI)(ASTM D1238、2.16kg@190℃)を有することができる。これらのまたは他の実施形態では、MIは、約500dg/分以下(たとえば約100dg/分以下、たとえば約10dg/分以下、たとえば約5dg/分以下)であることができる。
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、10℃/分におけるDSCによって測定された約130℃~約110℃(たとえば約125℃~約115℃、たとえば約125℃~約120℃)であることができる融解温度(Tm)を有することができる。
いくつかの実施形態では、1-ブテンベースポリマーは、ASTM D792によって決定された約0.897g/ml~約0.920g/ml、たとえば約0.910g/ml~約0.920g/mlであることができる密度を有することができる。これらのまたは他の実施形態では、密度は、約0.910g/ml以上、約0.915g/ml以上または約0.917g/ml以上であることができる。
1-ブテンベースポリマーは、従来のジーグラー-ナッタタイプの重合などの当該技術分野で知られた適当な重合技術、およびメタロセン触媒を包含するシングルサイト有機金属触媒を使用する触媒反応を使用して合成されてもよい。いくつかの1-ブテンベースポリマーは市販で入手可能である。たとえば、アイソタクチックのポリ(1-ブテン)は、Polybutene ResinsまたはPB(商標)(Basell社)の商品名の下で、市販で入手可能である。
他の成分
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、ポリマー加工添加物を含んでいてもよい。加工添加物は、非常に高いメルトフローインデックスを有するポリマー樹脂であってもよい。これらのポリマー樹脂は、約500dg/分以上、たとえば約750dg/分以上、たとえば約1000dg/分以上、たとえば約1200dg/分以上、たとえば約1500dg/分以上であるメルトフローレートを有する直鎖状および分枝状の両方のポリマーを含んでいる。様々な直鎖状または様々な分枝状のポリマーの加工添加物の混合物とともに直鎖状および分枝状の両方のポリマーの加工添加物の混合物が使用されることができる。ポリマー加工添加物への言及は、他に特に規定がなければ、直鎖状および分枝状の両方の添加物を含むことができる。直鎖状ポリマー加工添加物としてはポリプロピレンホモポリマーが挙げられ、分枝状ポリマー加工添加物としてはジエン変性ポリプロピレンポリマーが挙げられる。同じような加工添加物を含んでいるTPV組成物は、米国特許第6,451,915号に開示されており、その内容は米国特許の慣行の目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、本開示のTPV組成物は、強化用および非強化用フィラー、着色剤、酸化防止剤、安定剤、ゴム加工油、潤滑剤、ブロッキング防止剤、静電防止剤、ワックス、起泡剤、顔料、難燃剤、帯電防止剤、スリップ剤マスターバッチ、紫外線防止剤、酸化防止剤、およびゴムおよびTPVコンパウンド技術分野で知られた他の加工助剤を任意的に含んでいてもよい。これらの添加物は、TPV組成物の全重量の約50重量%までの量でTPV組成物中に使用されることができる。
使用されることができるフィラーおよびエキステンダーとしては、従来型の無機物、たとえば、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、造核剤、マイカ、木粉等およびこれらのブレンドとともに無機質および有機質のナノスケールフィラーが挙げられる。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、可塑剤、たとえば油、たとえば鉱油、合成油、エステル可塑剤またはこれらの組み合わせを含んでいてもよい。これらの油はまた、可塑剤またはエキステンダーと呼ばれてもよい。鉱油は、芳香族油、ナフテン油、パラフィン油、イソパラフィン油、合成油およびこれらの組み合わせを含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、鉱油は、処理済みまたは未処理のものでもよい。有用な鉱油は、SUNPAR(商標)(Sun Chemical社)の商品名の下で得られることができる。他の油は、PARALUX(商標)(Chevron社)およびPARAMOUNT(商標)(Chevron社)、たとえばParamount(商標)6001R(Chevron Phillips社)の商品名の下で入手可能である。使用されてもよい他の油としては、炭化水素油および可塑剤、たとえば有機エステルおよび合成可塑剤が挙げられる。多くの添加物油は石油留分に由来し、それらがパラフィン、ナフテンまたは芳香族油のどのグループに分類されるかに応じて特定のASTM表示を有する。他のグループの添加物油としては、アルファオレフィン合成油、たとえば液状ポリブチレンが挙げられる。石油ベースの油以外の添加物油もまた使用されることができ、たとえばコールタールおよびパインタールに由来する油とともに合成油、たとえばポリオレフィン材料が挙げられる。
油の例としては、ベースストックが挙げられる。米国石油協会(API)の分類によれば、ベースストックは、それらの飽和炭化水素含有量、硫黄のレベルおよび粘度指数(表3)に基いて5つのグループに分類される。潤滑油ベースストックは典型的には、非再生可能な石油源から大規模に生産される。グループI、IIおよびIIIのベースストックは全て、溶剤抽出、溶剤または接触脱ろう、水素化異性化、「水素化分解およびイソ脱ろう(isodewaxing)」、「イソ脱ろう(isodewaxing)および水素化仕上げ」などの広範な処理を経て原油から得られる。以下を見よ:Oil&Gas Journal、1997年9月1日の中の「新しい潤滑油プラントは最先端の水素化脱ろう技術を使用する」;Krishnaら、「高品質基油の生産用の次世代イソ脱ろう(isodewaxing)および水素化仕上げ技術」、2002年NPRA潤滑油およびワックス会議、2002年11月14~15日;「TPEs 2000」、米国、ペンシルベニア州、フィラデルフィア、1999年9月27~28日で発表されたGedeonおよびYenni、「「クリーンな」パラフィンプロセス油を使用してTPE特性を改善する」。
グループIIIベースストックはまた、天然ガス、石炭または他の化石資源から得られた合成炭化水素液体から製造されることができ、グループIVベースストックはポリアルファオレフィン(PAO)であり、1-デセンなどのアルファオレフィンのオリゴマー化によって製造される。グループVベースストックは、グループI~IVベースストックに属さない全てのベースストック、たとえばナフタレン系樹脂、ポリアルキレングリコール(PAG)およびエステルを含んでいる。
Figure 2022536829000003
いくつかの実施形態では、グループIIベースストックは、ベースストックの全重量当たり、ASTM 2007によって測定された約4.5重量%超または約4.5重量%未満の芳香族化合物および極性化合物の合計量を含んでおり、および/またはこの油の粘度は40℃で少なくとも約80cStである。
いくつかの実施形態では、鉱油は、100℃で少なくとも10cStの粘度を有することができる。
いくつかの実施形態では、この油は、ASTM 2007によって測定された約4重量%未満の芳香族化合物および/または約0.3重量%未満の極性化合物を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、合成油は、ブテンのポリマーおよびオリゴマーを含んでいる。たとえば、合成油は1-ブテンのオリゴマーであることができる。いくつかの実施形態では、合成油のオリゴマーの形態は、約300g/モル~約9,000g/モル、および他の実施形態では約700g/モル~約1,300g/モルの数平均分子量(Mn)によって特徴付けられることができる。いくつかの実施形態では、これらのオリゴマーはイソブテニルマー単位を含んでいる。典型的な合成油は、ポリイソブチレン、ポリ(イソブチレン-コ-ブテン)およびこれらの混合物を含んでいる。いくつかの実施形態では、合成油は、ポリ直鎖状αオレフィン、ポリ分枝状αオレフィン、水素化ポリアルファオレフィンおよびこれらの混合物を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、合成油は、約20cps以上、たとえば約100cps以上、たとえば約190cps以上の粘度を有する合成のポリマーまたはコポリマーをを含んでおり、この場合に粘度は38℃でASTM D-4402によるブルックフィールド粘度計で測定される。これらのまたは他の実施形態では、これらの油の粘度は、約4,000cps以下、たとえば約1,000cps以下であることができる。
いくつかの実施形態では、この油は、IP-346によって測定された3重量%未満のDMSO抽出分を有する。
有用な合成油は、Polybutene(商標)(Soltex社、米国、テキサス州、ヒューストン)およびIndopol(商標)(Ineos社)の商品名の下で、市販で得られることができる。透明な合成油は、SPECTRASYN(商標)(ExxonMobil社)、旧名はSHF Fluids(Mobil社)、Elevast(商標)(ExxonMobil社)、およびガス-ツー-リキッド技術から製造されたホワイトオイル、たとえばRisella(商標)X415/420/430(Shell社)またはPrimol(商標)(ExxonMobil社)シリーズのホワイトオイル、たとえばPrimol(商標)352、Primol(商標) 382、Primol(商標)542もしくはMarcol(商標)82、Marcol(商標)52、Drakeol(商標)(Pencero社)シリーズのホワイトオイル、たとえば Drakeol(商標)34またはこれらの組み合わせの商品名の下で入手できる。米国特許第5,936,028号に記載された油も使用されてよい。
TPV組成物の調製
いくつかの実施形態では、ゴムは動的加硫によって硬化されまたは架橋される。用語「動的加硫」とは、熱可塑性樹脂とのブレンドの中に含有されたゴムの加硫または硬化プロセスを指し、それによってゴムが熱可塑性物の融点超の温度で高せん断の条件の下で架橋されまたは加硫される。ゴムは、硬化剤を包含する様々な硬化システムを使用することによって硬化されることができる。典型的な硬化剤としては、フェノール樹脂硬化システム、過酸化物加硫システム、ケイ素ベース硬化システム(たとえばヒドロシリル化およびシラングラフトとそれに続く湿気硬化)、硫黄ベース硬化システムまたはこれらの組み合わせが挙げられる。
動的加硫は、熱可塑性ポリオレフィンの存在下で行われることができ、熱可塑性ポリオレフィンは動的加硫の後で加えられることができ(たとえば、後添加され)、またはそれらの両方であることができる(たとえば、いくつかの長鎖分枝状ポリオレフィンは動的加硫の前に加えられることができ、また、いくつかの長鎖分枝状ポリオレフィンは動的加硫の後に加えられることができる。)。本開示のいくつかの実施形態のTPV組成物の結晶化温度は、有利なことに、動的加硫が高粘度で長鎖分枝状のポリオレフィンの存在下で行われる場合に増加されることができる。
いくつかの実施形態では、ゴムは、熱可塑性マトリクス内の微粒子として同時に架橋されかつ分散される。もっとも、他のモルフォロジーが存在してもよい。動的加硫は、従来の混合装置、たとえばロールミル、スタビライザー、バンバリーミキサー、ブラベンダーミキサー、連続ミキサー、混合押出機等の中で高められた温度で熱可塑性エラストマー成分を混合することによって達成されることができる。TPV組成物を調製する方法は、米国特許第4,311,628号、第4,594,390号、第6,503,984号および第6,656,693号に記載されている。もっとも、低いせん断速度を用いる方法もまた使用されることができる。国際出願番号PCT/US04/30517に開示されたように、多段階プロセスもまた使用されることができ、それによって、追加の熱可塑性樹脂などの成分が、動的加硫が達成された後で加えられることができる。
有用なフェノール樹脂硬化システムは、米国特許第2,972,600号、第3,287,440号、第5,952,425号および第6,437,030号に記載されている。
いくつかの実施形態では、フェノール樹脂硬化剤はレゾール樹脂を含んでおり、レゾール樹脂は、アルカリ性媒体中でのアルキル置換フェノールまたは不飽和フェノールと、ホルムアルデヒドなどのアルデヒドと、の縮合によって、または2官能性フェノールジアルコールの縮合によって作られることができる。アルキル置換フェノールのアルキル置換基は約1炭素原子~約10炭素原子を有していてもよく、アルキル置換フェノールは、たとえば約1炭素原子~約10炭素原子を有するアルキル基でパラ位が置換されたジメチロールフェノールまたはフェノール樹脂である。いくつかの実施形態では、オクチルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂とノニルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂とのブレンドが使用される。このブレンドは、約25重量%~約40重量%のオクチルフェノール-ホルムアルデヒドおよび約75重量%~約60重量%のノニルフェノール-ホルムアルデヒド、たとえば約30重量%~約35重量%のオクチルフェノール-ホルムアルデヒドおよび約70重量%~約65重量%のノニルフェノール-ホルムアルデヒドを含んでいる。いくつかの実施形態では、このブレンドは、約33重量%のオクチルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂および約67重量%のノニルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂を含んでおり、その場合にオクチルフェノール-ホルムアルデヒドおよびノニルフェノール-ホルムアルデヒドの各々はメチロール基を含んでいる。このブレンドは、相分離することなく約30%の固形分でパラフィン系油に可溶化されることができる。
有用なフェノール樹脂は、SP-1044、SP-1045(Schenectady International社、米国、ニューヨーク州)の商品名の下で得られてもよく、この樹脂はアルキルフェノール-ホルムアルデヒド樹脂と呼ばれてもよい。
フェノール樹脂硬化剤の一例は、以下の一般式:
Figure 2022536829000004
によって定義されたものを含んでおり、
この式で、Qは、-CH-、-CH-O-CH-から成る群から選ばれた2価の基であり;mは0または1~20の正の整数であり;R’は有機基である。いくつかの実施形態では、Qは2価の基-CH-O-CH-であり;mは0または1~10の正の整数であり;R’は20未満の炭素原子を有する有機基である。他の実施形態では、mは0または1~10の正の整数であり、R’は4~12の炭素原子を有する有機基である。
いくつかの実施形態では、フェノール樹脂は、塩化第2スズなどのハロゲン源、および酸化亜鉛などの金属酸化物または還元剤と組み合わされて使用される。
いくつかの実施形態では、フェノール樹脂は、約1phr~約10phr、たとえば約2phr~約6phr、たとえば約3phr~約5phr、たとえば約4phr~約5phrの量で使用されてもよい。補足的な量の塩化第2スズ(これはマスターバッチ、たとえばSnCl-45%のマスターバッチであってもよい。)は、100phr当たり約0.5phr~約2.0phr、たとえば約1phr~約2.0phr、たとえば約1.0phr~約1.5phr、たとえば約1.2phr~約1.3phrを含んでいてもよい。これと併せて、酸化亜鉛は、約0.05phr~約6phr、たとえば約0.1phr~約5.0phr、たとえば約1.0phr~約5.0phr、たとえば約2.0phr~約4.0phrの量であってもよい。いくつかの実施形態では、フェノール硬化剤とともに使用されるオレフィンゴムは、5-エチリデン-2-ノルボルネンに由来するジエン単位を含んでいる。
いくつかの実施形態では、有用な過酸化物硬化剤としては、有機過酸化物が挙げられる。有機過酸化物の例としては、ジターシャリブチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、t-ブチルクミルパーオキシド、α,α-ビス(ターシャリブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン(DBPH)、1,1-ジ(ターシャリブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(ターシャリブチルパーオキシ)バリレート、ベンゾイルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ジラウロイルパーオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ターシャリブチルパーオキシヘキシン-3およびこれらの混合物が挙げられる。また、ジアリールパーオキシド、ケトンパーオキシド、パーオキシジカーボネート、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキシド、ヒドロパーオキシド、パーオキシケタールおよびこれらの混合物が使用されてもよい。有用な過酸化物およびTPV組成物の動的加硫へのそれらの使用方法は、米国特許第5,656,693号に開示されており、米国特許の慣行の目的で、その内容は参照によって本明細書に組み込まれる。
いくつかの実施形態では、過酸化物硬化剤は助剤とともに使用される。助剤の例としては、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、硫黄、N-フェニルビスマレイミド、亜鉛ジアクリレート、亜鉛ジメタクリレート、ジビニルベンゼン、1,2-ポリブタジエン、トリメチロールプロパントリメタクリレート、テトラメチレンエチレングリコールジアクリレート、3官能性アクリル酸エステル、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、多官能性アクリレート、遅延処理されたシクロヘキサンジメタノールジアクリレートエステル、多官能性メタクリレート、アクリレートおよびメタクリレートの金属塩ならびにキノンジオキシムなどのオキシムが挙げられる。過酸化物/助剤の架橋の効率を最大限にするために、混合および動的加硫は窒素雰囲気の中で実施されてもよい。
いくつかの実施形態では、ケイ素含有硬化システムは、少なくとも2つのSi-H基を有する水素化ケイ素化合物を含んでいてもよい。本開示を実施するのに有用な水素化ケイ素化合物としては、メチル水素ポリシロキサン、メチル水素ジメチルシロキサンコポリマー、アルキルメチル-コ-メチル水素ポリシロキサン、ビス(ジメチルシリル)アルカン、ビス(ジメチルシリル)ベンゼンおよびこれらの混合物が挙げられる。
ヒドロシリル化に有用な触媒としては、VIII族遷移金属が挙げられる。これらの金属としては、パラジウム、ロジウムおよび白金とともにこれらの金属の錯体が挙げられる。有用なケイ素含有硬化剤および硬化システムは、米国特許第5,936,028号、第4,803,244号、第5,672,660号および第7,951,871号に開示されている。
いくつかの実施形態では、シラン含有化合物は、約0.5phr~約5.0phr(たとえば約1.0phr~約4.0phr、たとえば約2.0phr~約3.0phr)の量で使用されてもよい。補助的な量の触媒は、ゴム100万重量部当たり約0.5部の金属~約20部の金属(たとえば約1.0部の金属~約5.0部の金属、たとえば約1.0部の金属~約2.0部の金属)を含んでいてもよい。いくつかの実施形態では、ヒドロシリル化硬化剤とともに使用されるオレフィンゴムは、5-ビニル-2-ノルボルネンに由来するジエン単位を含んでいる。
当業者は、過度の計算または実験をすることなく、使用されるべき十分なまたは有効な加硫剤の量を容易に決定することができるだろう。
たとえば、フェノール樹脂は、約2phr~約10phr(たとえば約3.5phr~約7.5phr、たとえば約5phr~約6phr)の量で使用されることができる。いくつかの実施形態では、フェノール樹脂は、塩化第2スズおよび任意的に酸化亜鉛とともに使用されることができる。塩化第2スズは、約0.2phr~約10phr(たとえば約0.3phr~約5phr、たとえば約0.5phr~約3phr)の量で使用されることができる。酸化亜鉛は、約0.25phr~約5phr(たとえば約0.5phr~約3phr、たとえば約1phr~約2phr)の量で使用されることができる。
あるいは、いくつかの実施形態では、過酸化物は、ゴムの100重量部当たり約1×10-5モル~約1×10-1モル(たとえば約1×10-4モル~約9×10-2モル、たとえば約1×10-2モル~約4×10-2モル)の量で使用されることができる。この量はまたゴム100重量部当たりの重量として表現されてもよい。しかし、この量は使用される硬化剤に応じて変わってもよい。たとえば、4,4-ビス(ターシャリブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼンが使用される場合、使用される量は、ゴム100重量部当たり約0.5重量部~約12重量部、たとえば約1重量部~約6重量部を含んでいてもよい。当業者は、過度の計算または実験をすることなく、使用されるべき十分なまたは有効な助剤の量を容易に決定することができるだろう。いくつかの実施形態では、使用される助剤の量は、モルの観点からは使用される硬化剤のモル数に類似している。助剤の量はまたゴム100重量部当たりの重量として表現されてもよい。たとえば、トリアリルシアヌレート助剤が使用される場合、使用される量は、ゴム100重量部当たり約0.25phr~約20phr、たとえば約0.5phr~約10phrを含んでいることができる。
TPV組成物の特性
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたTPV組成物は、以下の特性の1つ以上を有することができる。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、ポリオレフィン、たとえばポリプロピレンを含んでいることができる。たとえば、ポリプロピレンは、約0.1g/10分~約50g/10分(たとえば約0.5g/10分~約10g/10分、たとえば約0.5g/10分~約3g/10分)のMFR、および約100,000g/モル~約1,000,000g/モル(たとえば約100,000g/モル~約600,000g/モルまたは約400,000g/モル~約800,000g/モル)の重量平均分子量(Mw)を有していてもよく、その場合にポリプロピレンはホモポリマー、ランダムコポリマーまたはインパクトコポリマーのポリプロピレンまたはこれらの組み合わせを含んでいる。いくつかの実施形態では、ポリプロピレンは、高い融解物強度(HMS)で長鎖分枝状(LCB)のホモポリマーポリプロピレンである。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約20ショアA~約60ショアD、たとえば約40ショアA~約80ショアA、たとえば約50ショアA~約70ショアA、たとえば約55ショアA~約70ショアAの硬度を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約2MPa~約9MPa、たとえば約2MPa~約8MPa、たとえば約3MPa~約8MPa、たとえば約5MPa~約7MPaの横断方向の引張強度を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約150%~約600%、たとえば約150%~約500%、たとえば約200%~約450%の横断方向の破断点伸び(%)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約8%~約19%、たとえば約10%~約17%、たとえば約10%~約15%、たとえば約12%~約15%の横断方向の永久伸びを有してもよい。少なくとも1つの実施形態では、TPV組成物は、約16%以下、たとえば約14%以下の永久伸びを有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約30%~約100%、たとえば約40%~約80%、たとえば約50%~約80%、たとえば約60%~約80%の重量増加(24時間@121℃)を有してもよい。この重量増加測定は、TPVサンプルが121℃でASTM RM903の油に浸漬されて24時間後の重量増加を指す。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約200μインチ(5.08μm)未満、たとえば約50μインチ(1.27μm)~約150μインチ(3.81μm)、たとえば約58μインチ(1.47μm)~約120μインチ(3.05μm)の押し出し表面粗さ(「ESR」)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、1.5インチ(38mm)(スクリュー直径)のDavis Standard社単軸押出機上を用いた押し出しに基いて、約50psi~約300psi、たとえば約70psi~約200psi、たとえば約80psi~約150psi、たとえば約90psi~約130psiのダイ圧力を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約600kPa~約2000kPa、たとえば約700kPa~約1500kPa、たとえば約800kPa~約1500kPaのせん断弾性率G’値(@90℃、0.6ラジアン/秒および1%ひずみ)を有してもよい。
引張弾性率(E’)は、たとえば以下の第1の式によって計算されることができ、これらの式でδは実験からの応答する力の位相角である:
Figure 2022536829000005
また、曲げ変形試験におけるtan δは以下のように動的弾性率と関係している:
Figure 2022536829000006
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約0.03~約1、たとえば約0.03~約0.07のtan δ値(@ 90℃、5ラジアン/秒および1%ひずみ)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、0.25~1.0のtan δ(@ 215℃、5.0ラジアン/秒および100%ひずみ)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約5000Pa・秒~約35000Pa・秒、たとえば約10000Pa・秒~約26000Pa・秒であることができる
複素粘度(η*、@ 215℃)を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、204℃において1200秒-1のせん断速度でISO 11443によって測定された約20Pa・秒~約150Pa・秒、たとえば約50Pa・秒~約110Pa・秒、たとえば約70Pa・秒~約105Pa・秒の毛細管粘度(Pa・秒)を有してもよい。いくつかの実施形態では、毛細管粘度は100Pa・秒以下であってもよい。少なくとも1つの実施形態では、TPV組成物は、120Pa・秒の毛細管粘度を有してもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、約0染み数~約50染み数、たとえば約0染み数~約30染み数、たとえば約1染み数~約20染み数の全表面染み数を含んでいてもよい。
いくつかの実施形態では、TPV組成物は、Elastocon社応力緩和試験機によって測定された約-1~約-5(1/分)、たとえば約-2~約-4.5(1/分)の応力緩和勾配を有してもよい。
上記の特性では、硬度はASTM D2240によって測定され、引張強度はASTM D412によって測定され、破断点伸びはASTM D412によって測定され、永久伸びはASTM D412によって測定され、重量増加はASTM D471によって測定され、また、これらの試験方法は以下に提示される。ESR、ダイ圧力、G’、tan δ、複素粘度、毛細管粘度および全表面染み数は、以下の試験方法によって測定される。
TPV組成物を作る方法
いくつかの実施形態では、TPV組成物を作る方法は以下の工程を含んでいる:エチレンベースコポリマーを押し出しリアクターに導入する工程;熱可塑性樹脂を押し出しリアクターに導入する工程;フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを押し出しリアクターに導入する工程;第1の量の油(硬化前油としても知られている。)を押し出しリアクターに導入する工程;硬化剤を押し出しリアクターに導入する工程;第2の量の油(硬化後油としても知られている。)を押し出しリアクターに導入する工程;および熱可塑性ポリオレフィンの存在下でエチレンベースコポリマーを硬化剤とともに動的加硫して、TPV組成物を形成する工程。
いくつかの実施形態では、硬化後油の量と硬化前油の量との比は、様々なTPV組成物を提供するために調整されることができる。いくつかの実施形態では、硬化後油の量と硬化前油の量との比は、1超:1、たとえば約2:1~約10:1、たとえば約2:1~約8:1、たとえば約2:1~約7:1、たとえば約4:1~約5:1である。
個々の成分の量は、本明細書に記載されている。
TPV組成物を作る方法は、フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを押し出しリアクターに導入する工程をさらに含んでいる。
いくつかの実施形態では、押し出しリアクターは2軸押出機である。
最終用途
本開示のTPV組成物は、様々な成形されたおよび押し出された物品、たとえば押し出しテープ、ウェザーシール(たとえば、ガラスランチャンネルウェザーシール)、ドアパネル、ホース、ベルト、ガスケット、成形品、トランク、パイプシールおよび同様の物品を作るのに有用である。本開示のTPV組成物は、ブロー成形、押出し、射出成形、熱成形、エラスト溶接および圧縮成形の技術によって物品を作るのに有用である。本開示のTPV組成物は、乗り物部品、たとえばウェザーシール、ブレーキ部品、たとえばカップ、連結ディスクおよびダイアフラムカップ、トランク、たとえば等速継ぎ手およびラックアンドピニオン継ぎ手、管類、シーリングガスケット、油圧または空気圧で操作される装置の部品、Oリング、ピストン、バルブ、バルブシート、バルブガイド、および他のエラストマーポリマーベースの部品または金属/プラスチック組み合わせ材料などの他の材料と組み合わされたエラストマーポリマーを作るのに有用である。同様に検討されているものは、トランスミッションベルト、たとえばVベルト、先端が切り取られたリブを備えた歯付きベルトを含有する布面V、粉砕短繊維強化V、または短繊維植毛された成型ゴムVである。
いくつかの実施形態では、物品を形成する方法は、本明細書に記載された任意のTPV組成物を、押し出す、射出成形する、ブロー成形する、圧縮成形する、熱成形する、または3D印刷する、工程;および物品を形成する工程を含む。物品は、本明細書に提示された上記の物品を含んでいる。
いくつかの実施形態では、本開示のTPV組成物は、熱成形プロセスで使用されることができる。熱成形プロセスとしては、ブロー成形(射出ブロー成形、押し出しブロー成形およびプレスブロー成形を含む。)および射出成形プロセスが挙げられる。当業者は理解することができるように、これらの熱成形プロセスは一般に、予備成形品を形成するためにTPV組成物の融解温度と等しいまたはそれを超える温度にTPV組成物を加熱する工程;型内で予備成形品を形成して成型された部品を形成する工程;成型された部品をTPV組成物の結晶化温度以下の温度に冷却する工程;および成型された部品を型から取り出す工程を含んでいる。
たとえば、TPV組成物が射出ブロー成形される場合には、TPV組成物のパリソンが、射出ステーションとして知られているホットランナー型内に内蔵された鋼鉄製コアピン上に成型されることによって形成される。まだ熱い間に、ピンおよびパリソンはブローステーションに移され、そこでパリソンが型内でブロー成形される。ピンとブロー成形された部品とは、次に別のステーションに移されて部品が取り出される。いくつかの実施形態では、3ステーション成形機が使用される。射出ブロー成形および押し出しブロー成形に関するさらなる詳細は、「Bekum社ブロー成形ハンドブック」(版権1989年、Tony Whelan)に見い出されることができる。
別の例は射出成形を含んでいる。これらのプロセス内では、TPV組成物の融解物は貯留槽から通路を通って閉じられた割り型内の空洞中に注入される。型の空洞は、成形品の形状を画定する。成形品はTPV組成物の結晶化温度以下の温度で型内で冷却され、成形品は続いて型から取り出されることができる。
他の様相では、本明細書に記載された本開示の実施形態は以下のものに関する:
A1. 熱可塑性加硫物(TPV)組成物。これは:エチレンベースコポリマーであって、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有するエチレンベースコポリマー;熱可塑性ポリオレフィン;および油または可塑剤の1種以上、を含んでおり、その場合に、TPV組成物のエチレンベースコポリマーに含まれている油または可塑剤の1種以上の量は、エチレンベースコポリマーの100重量部当たり10重量部~200重量部であり、油または可塑剤の1種以上は、TPV組成物の成形加工の間に、硬化剤の添加の前または後に、油または可塑剤の1種以上の全量の3重量%~37重量%が硬化剤の前に加えられ、かつ、油または可塑剤の1種以上の63重量%~97重量%が硬化剤の後に加えられるように、添加される。
A2. 熱可塑性加硫物(TPV)組成物。これは:エチレンベースコポリマーであって、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有するエチレンベースコポリマー;熱可塑性ポリオレフィン;および油または可塑剤の1種以上、を含んでおり、その場合に、TPV組成物のエチレンベースコポリマー中の油または可塑剤の1種以上の量は、エチレンベースコポリマーの100重量部当たり10重量部~200重量部であり、かつ、TPV組成物は50μインチ(1.27μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有する。
A3. A1またはA2のTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.9以上のg’visを有するTPV組成物。
A4. A3のTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.97以上のg’visを有するTPV組成物。
A5. A1またはA2のTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.9未満のg’visを有するTPV組成物。
A6. A5のTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.7~0.88のg’visを有するTPV組成物。
A7. A1~A6のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレン-プロピレン-ジエンターポリマーであるTPV組成物。
A8. A1~A7のいずれかのTPV組成物であって、当該油が鉱油、合成油、エステル可塑剤またはこれらの組み合わせであるTPV組成物。
A9. A8のTPV組成物であって、当該鉱油が芳香族油、ナフテン油、パラフィン油、イソパラフィン油、合成油またはこれらの組み合わせであるTPV組成物。
A10. A8のTPV組成物であって、当該鉱油がグループII油であり、当該油の中の芳香族化合物および極性化合物の合計量が、ASTM 2007によって測定された4.5重量%未満であり、また当該油の粘度が40℃で少なくとも80cStであるTPV組成物。
A11. A8のTPV組成物であって、当該鉱油がグループII油であり、当該油の中の芳香族化合物および極性化合物の合計量が、ASTM 2007によって測定された4.5重量%超であり、また当該油の粘度が40℃で少なくとも80cStであるTPV組成物。
A12. A8のTPV組成物であって、当該鉱油が100℃で少なくとも10cStの粘度を有するTPV組成物。
A13. A8のTPV組成物であって、当該油が4重量%未満の芳香族化合物の量および0.3重量%未満の極性化合物の量を有するTPV組成物。
A14. A7のTPV組成物であって、当該油がIP-346によって測定された3重量%未満のDMSO抽出物を有するTPV組成物。
A15. A1~A14のいずれかのTPV組成物であって、相溶化剤、フィラー、造核剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでいるTPV組成物。
A16. A1~A15のいずれかのTPV組成物であって、炭酸カルシウム、粘土、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、木粉、造核剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでいるTPV組成物。
A17. A1~A16のいずれかのTPV組成物であって、硬化剤をさらに含んでいるTPV組成物。
A18. A1~A17のいずれかのTPV組成物であって、当該硬化剤がフェノール樹脂、過酸化物、マレイミド、ケイ素ベース硬化剤、シランベース硬化剤、硫黄ベース硬化剤またはこれらの組み合わせを含んでいるTPV組成物。
A19. A18のTPV組成物であって、当該硬化剤がフェノール樹脂であるTPV組成物。
A20. A1~A18のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレンベースコポリマーの全重量当たり70重量%以下のエチレン含有量を有するTPV組成物。
A21. A1~A18のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレンベースコポリマーの全重量当たり50重量%~70重量%のエチレン含有量を有するTPV組成物。
A22. A1~A18のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレンベースコポリマーの全重量当たり55重量%~65重量%のエチレン含有量を有するTPV組成物。
A23. A1~A22のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが400,000g/モル~1,000,000g/モルのMwを有するTPV組成物。
A24. A1~A22のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが400,000g/モル~700,000g/モルのMwを有するTPV組成物。
A25. A1~A24のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)およびこれらの組み合わせから成る群から選ばれたジエンモノマーを含んでいるTPV組成物。
A26. A1~A25のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーのジエン含有量がエチレンベースコポリマーの全重量当たり3重量%~15重量%であるTPV組成物。
A27. A1~A25のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーのジエン含有量がエチレンベースコポリマーの全重量当たり4重量%~12重量%であるTPV組成物。
A28. A1~A27のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがジーグラー-ナッタ触媒またはメタロセン触媒を使用して、スラリー重合プロセスによって製造されるTPV組成物。
A29. A1~A28のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがジーグラー-ナッタ触媒またはメタロセン触媒を使用して、溶液または気相重合プロセスによって製造されるTPV組成物。
A30. A1~A29のいずれかのTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.1g/10分~50g/10分のメルトマスフローレート(ASTM D1238;230℃;2.16kg);および100,000g/モル~1,000,000g/モルのMwを有するTPV組成物。
A31. A1~A30のいずれかのTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.5g/10分~5g/10分のメルトマスフローレート(ASTM D1238;230℃;2.16kg);および400,000g/モル~800,000g/モルのMwを有するTPV組成物。
A32. A1~A31のいずれかのTPV組成物であって、当該組成物が20ショアA~60ショアDの硬度を有するもの。
A33. A1~A31のいずれかのTPV組成物であって、当該組成物が40ショアA~80ショアAの硬度を有するもの。
A34. A1~A33のいずれかのTPV組成物であって、当該組成物が600kPa~2000kPaのG’値(@90℃、0.6ラジアン/秒および1%ひずみ)を有するもの。
A35. A1~A33のいずれかのTPV組成物であって、当該組成物が700kPa~1500kPaのG’値(@90℃、0.6ラジアン/秒および1%ひずみ)を有するもの。
A36. A1~A35のいずれかのTPV組成物であって、当該組成物が204℃および1200秒-1のせん断速度で測定された120Pa・秒以下の毛細管粘度を有するもの。
A37. A1~A36のいずれかのTPV組成物であって、当該熱可塑性ポリオレフィンが0.9以上のg’visを有するTPV組成物。
A38. A1~A37のいずれかのTPV組成物であって、当該油または可塑剤の1種以上の全量の10重量%~33重量%が硬化剤の前に加えられ、かつ当該油または可塑剤の1種以上の全量の67重量%~90重量%が硬化剤の後に加えられるTPV組成物。
A39. A1~A37のいずれかのTPV組成物であって、当該油または可塑剤の1種以上の全量の20重量%~30重量%が硬化剤の前に加えられ、かつ当該油または可塑剤の1種以上の全量の70重量%~80重量%が硬化剤の後に加えられるTPV組成物。
A40. A1~A39のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物の当該エチレンベースコポリマーが、小振幅振動せん断(SAOS)からの30度~80度のΔδまたは3未満の大振幅振動せん断(LAOS)分枝指数を有し、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、TPV組成物。
A41. A1~A40のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が50μインチ(1.27μm)~150μインチ(3.81μm)である押し出し表面粗さを有するもの。
A42. A1~A40のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が58μインチ(1.47μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有するもの。
A43. A1~A42のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が16%未満の永久伸びを有するもの。
A44. A1~A42のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が14%未満の永久伸びを有するもの。
A45. A1~A44のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が50μインチ(1.27μm)~150μインチ(3.81μm)である押し出し表面粗さおよび16%未満の永久伸びを有するもの。
A46. A1~A44のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が58μインチ(1.47μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さおよび14%未満の永久伸びを有するもの。
A47. A1~A46のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが250MU以上の乾燥ムーニー粘度(ML1+4@125℃)を有するTPV組成物。
A48. A1~A47のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが350MU以上の乾燥ムーニー粘度(ML1+4@125℃)を有するTPV組成物。
A49. A1~A48のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが2.5以下のLCB指数(@125℃)を有するTPV組成物。
A50. A1~A48のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが2.0以下のLCB指数(@125℃)を有するTPV組成物。
A51. A1~A50のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが32°以上のΔδを有し、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、TPV組成物。
A52. A1~A50のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーが35°以上のΔδを有し、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、TPV組成物。
A53. A1~A52のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレンベースコポリマー100phr当たり50phr~200phrを有する油を用いて油展されているTPV組成物。
A54. A1~A52のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマーがエチレンベースコポリマー100phr当たり75phr~120phrを有する油を用いて油展されているTPV組成物。
A55. A1~A54のいずれかのTPV組成物であって、当該エチレンベースコポリマー含有量がTPV組成物の全重量当たり10重量%~90重量%であるTPV組成物。
A56. A1~A55のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物がElastocon社応力緩和試験機によって測定された-1~-5(1/分)の応力緩和勾配を有するTPV組成物。
A57. A1~A56のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物が0.25~1.0のtan δ値(@ 215℃、5.0ラジアン/秒および100%ひずみ)を有するTPV組成物。
A58. A1~A57のいずれかのTPV組成物であって、当該TPV組成物がElastocon社応力緩和試験機によって測定された-2~-4.5(1/分)の応力緩和勾配を有するTPV組成物。
B1. TPV組成物を作る方法であって、以下の工程を含む方法:エチレンベースコポリマーを押し出しリアクターに導入する工程;熱可塑性ポリオレフィンを押し出しリアクターに導入する工程;フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを押し出しリアクターに導入する工程;第1の量の油または可塑剤の1種以上を硬化剤の前に押し出しリアクターに導入する工程;硬化剤を押し出しリアクターに導入する工程;第2の量の油または可塑剤の1種以上を硬化剤の後に押し出しリアクターに導入する工程であって、当該油または可塑剤の1種以上の全量の3重量%~37重量%が硬化剤の前に押し出しリアクターに加えられ、かつ、当該油または可塑剤の1種以上の全量の63重量%~97重量%が硬化剤の後に押し出しリアクターに加えられる工程;および熱可塑性ポリオレフィンの存在下で硬化剤とともにエチレンベースコポリマーを動的加硫して、TPV組成物を形成する工程。
B2. B1の方法であって、フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを導入する工程をさらに含む方法。
B3. B1またはB2の方法であって、当該押し出しリアクターが2軸押出機である方法。
B4. B59~B62のいずれかの方法であって、当該第2の量の油または可塑剤の1種以上と当該第1の量の油または可塑剤の1種以上との重量比が2:1~10:1である方法。
B5. B59~B62のいずれかの方法であって、当該第2の量の油または可塑剤の1種以上と当該第1の量の油または可塑剤の1種以上との比が2:1~7:1である方法。
B6. B59~B63のいずれかの方法であって、当該油または可塑剤の1種以上の全量の10重量%~33重量%が硬化剤の前に押し出しリアクターに加えられ、かつ、当該油または可塑剤の1種以上の全量の67重量%~90重量%が硬化剤の後に押し出しリアクターに加えられる方法。
B7. B59~B63のいずれかの方法であって、当該油または可塑剤の1種以上の全量の20重量%~30重量%が硬化剤の前に押し出しリアクターに加えられ、かつ、当該油または可塑剤の1種以上の全量の70重量%~80重量%が硬化剤の後に押し出しリアクターに加えられる方法。
B8. B1~B7のいずれかの方法であって、当該TPV組成物がA1~A58のいずれかのTPV組成物である方法。
C1. 物品を形成する方法であって、以下の工程を含む方法:A1~A58のいずれかのTPV組成物を、押し出す、射出成形する、ブロー成形する、圧縮成形する、熱成形する、または3D印刷する、工程;および物品を形成する工程。
C2. C1の方法であって、当該物品が押し出されたテープ、ウェザーシール、ドアパネル、ガスケット、パイプシール、ホース、ベルトまたはトランクである方法。
D1. 物品であって、A1~A58のいずれかのTPV組成物を含んでいる物品。
D2. D1の物品であって、当該物品が押し出されたテープ、ウェザーシール、ドアパネル、ガスケット、パイプシール、ホース、ベルトまたはトランクである物品。
E1. 物品であって、B1~B8およびC1のいずれかの方法で作られたTPV組成物を含んでいる物品。
実験結果
2軸押出機(TSE)を使用するサンプル調製
以下の記載は、他様の特定がない限り、以下のサンプルに使用されたプロセスを説明する。Coperion社(米国、ニュージャジー州、Ramsey)製の同方向回転、完全噛み合い型2軸押出機が、米国特許第4,594,391号および米国特許出願公開第2011/0028637号に記載された方法(本明細書で特定された、変更された条件のものを除く。)に類似した方法に従って使用された。EPDMは、約44のL/D(押出機の長さとその直径との比)のZSK 53押出機の供給口に供給された。熱可塑性樹脂(ポリプロピレン)もまた、他の反応速度調節剤、たとえば酸化亜鉛および塩化第2スズとともに供給口に供給された。フィラー、たとえば粘土およびブラックマスターバッチ(MB)もまた、押出機の供給口に加えられた。プロセス油は、押出機に沿って2つの異なる場所で押出機に注入された。硬化剤は、ゴム、熱可塑性物、油およびフィラーの約18.7のL/Dでのブレンドが始まる前であるが、約4.5のL/Dでの第1のプロセス油(硬化前油)の導入の後で押出機に注入された。いくつかの例では、硬化剤はプロセス油とともに注入され、このプロセス油は押出機に導入された他方の油またはゴムが油展された油と同じであってもまたは同じでなくてもよい。第2のプロセス油(硬化後油)は、硬化剤の注入の後の約34.5のL/Dで押出機に注入された。ゴムの架橋反応は、せん断を加えることによる粘性発熱、バレル温度設定点、触媒の使用および滞在時間の組み合わせをバランスさせることによって開始されかつ調節された。
他様の指定がない限り、押し出しは90kg/時の押出量で実施され、また押し出し混合は毎分320回転数(RPM)で実施された。押出機の第2のバレル区画から始まってダイに向かって下流のバレル区画12までの℃での160/160/160/160/165/165/165/165/180/180/180/180℃(最後の値はダイの温度である。)のバレルメタル温度プロフィールが使用された。バレル区画は、ホッパーに最も近いバレルまたはバレル区画1と表示された供給口を備えた押出機のさまざまなバレルを指す。低分子量汚染物質、反応副生成物、残留湿分等は、必要により、典型的には真空下の1つ以上のベント口を通ってベントされることによって除去された。最終製造物は、融解物ギヤポンプおよび所望のメッシュサイズのフィルタースクリーンを使用してろ過された。プロセス油、硬化剤を混合し、押出機中でのスリップやサージングなしで硬化反応を完了するのに十分な滞留時間およびせん断を提供するために、前方搬送、中立、左ひねりのニーディングブロック、および左ひねり搬送要素の組み合わせを含むいくつかのミキシング区画を備えたスクリュー設計が使用された。
GPC 4D試験方法:複数検出器がハイフンでつながれて記載されたGPC-IRによる、分子量、コモノマー組成および長鎖分枝の測定
他様に指定のない限り、分子量(Mw、Mn、Mw/Mn等)の分布およびモーメント、コモノマー含有量(C、C、C等)および分枝指数(g’vis)は、マルチチャネルバンドフィルターベースの赤外線検出器IR5、18角度光散乱検出器、および粘度計を備えた高温ゲル浸透クロマトグラフィー(Polymer Char社GPC-IR)を使用することによって測定される。3本のAgilent社PLゲル、10μm、ミックスB、LSカラムが使用されて、ポリマー分離がされる。Aldrich社試薬等級1,2,4-トリクロロベンゼン(TCB)に300ppmの酸化防止剤ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を加えたものが移動相として使用される。このTCB混合物は0.1μmテフロン(商標)フィルタ-を通してろ過され、GPC測定器に入る前にオンライン脱ガス装置で脱ガスされる。名目流量は1.0ml/分であり、名目注入体積は200μLである。移送ライン、カラムおよび検出器を含むシステム全体は、145℃に維持されたオーブンに収容されている。ポリマーサンプルは秤量され、標準ガラス瓶の中に入れられ、80μLのフローマーカー(ヘプタン)がそこに加えられて密閉される。ガラス瓶をオートサンプラーに装填した後、ポリマーは、測定器の中でTCBの加えられた8mlの溶媒に自動的に溶解される。ポリマーは、ほとんどのPEサンプルの場合に約1時間またはPPサンプルの場合に2時間連続的に振とうされながら、160℃で溶解される。濃度の計算に使用されるTCBの密度は、室温で1.463g/mlおよび145℃で1.284g/mlである。サンプル溶液の濃度は0.2~2.0mg/mlであり、より低い濃度がより高い分子量サンプルに使用される。クロマトグラム中の各点における濃度(c)は、ベースラインを差し引かれたIR5の広帯域シグナル強度(I)から式:c=βIを使用して計算され、この式でβは質量定数である。質量回収率は、溶出体積に対する濃度クロマトグラフィーの積分された面積と、所定の濃度に注入ループの体積を掛けたものに等しい注入質量と、の比から計算される。従来の分子量(IR MW)は、普遍的較正関係式とカラムの較正とを組み合わせることによって決定され、カラムの較正は、700~10,000,000g/モルの範囲の一連の単分散ポリスチレン(PS)標準物を用いて行なわれる。各溶出体積のMWは、以下の式を用いて計算される。
Figure 2022536829000007
この式で、下付き文字「PS」を有する変数はポリスチレンを表し、他方、下付き文字のないものは試験サンプルを表す。この方法で、αPS=0.67およびKPS=0.000175であり、他方、αおよびKは、文献(Sun,T.ら、Macromolecules、2001年、34巻、6812頁)に公表されたとおりに計算された他の材料を表し、但し、本開示の目的のためには以下が使用される:直鎖状エチレンポリマーの場合、α=0.695およびK=0.000579;直鎖状プロピレンポリマーの場合、α=0.705およびK=0002288;直鎖状ブテンポリマーの場合、α=0.695およびK=000181;エチレンブテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)であり、ここでw2bはブテンコモノマーのバルク重量パーセントであり;エチレンヘキセンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0075*w2b)であり、ここでw2bはヘキセンコモノマーのバルク重量パーセントであり;またエチレンオクテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0077*w2b)であり、ここでw2bはオクテンコモノマーのバルク重量パーセントである。別段の指定のない限り、濃度はg/cm単位で表され、分子量はg/モルで表され、また固有粘度(したがって、KはMark-Houwinkの式の中のKである。)はdL/g単位で表される。
LS検出器は、18角度Wyatt Technology社High Temperature DAWN HELEOS IIである。クロマトグラムの各点でのLS分子量(M)は、静的光散乱についての以下のZimmモデル(「ポリマー溶液からの光散乱」;Huglin,M.B.編;Academic Press社、1972年)を使用して、LS出力を分析することによって決定される:
Figure 2022536829000008
この式で、ΔR(θ)は散乱角θで測定された超過レーリー散乱強度であり、cはIR5分析から決定されたポリマー濃度であり、Aは第二ビリアル係数であり、P(θ)は単分散ランダムコイルについての形状因子であり、Kは以下の式の系の光学定数である:
Figure 2022536829000009
この式で、Nはアボガドロ数であり、また(dn/dc)はこの系の屈折率増分である。屈折率(n)は、145℃のTCBおよびλ=665nmの場合にn=1.500である。ポリエチレンホモポリマー、エチレン-ヘキセンコポリマーおよびエチレン-オクテンコポリマーを分析する場合、dn/dc=0.1048ml/mgおよびA=0.0015であり;エチレン-ブテンコポリマーを分析する場合、dn/dc=0.1048*(1-0.00126*w2)ml/mgおよびA=0.0015であり、w2はブテンコモノマー重量パーセントである。
高温Agilent社(またはViscotek社)粘度計、これは2台の圧力変換器を備えたホイートストンブリッジ状に配置された4本のキャピラリーを有し、これが比粘度を測定するために使用された。1台の変換器は検出器を通しての全圧力低下を測定し、ブリッジの2つの側の間に配置された他方の変換器は差圧を測定する。粘度計を通って流れる溶液の比粘度(η)は、それらの出力から計算される。クロマトグラムの各点における固有粘度「η」は式「η」=η/cから計算され、cは濃度であり、IR5広帯域チャンネル出力から決定される。各点における粘度MWは以下の式のように計算され、
Figure 2022536829000010
この式で、αPSは0.67であり、KPSは0.000175である。
分枝指数(g’vis)は、GPC-IR5-LS-VIS法の出力を使用して以下のように計算される。サンプルの平均固有粘度([η]avg)は以下の式によって計算され、
Figure 2022536829000011
この式で、総和は積分限界間のクロマトグラフのスライス(i)の全体にわたる。
分枝指数g’visは、以下の式のように定義され、
Figure 2022536829000012
この式で、Mvは、LS分析によって決定された分子量に基いた粘度平均分子量である。Kおよびαは、参照直鎖状ポリマーについてものであり、これらは本開示の目的のためには、エチレン、プロピレン、ジエンモノマーコポリマーの場合、α=0.700およびK=0.0003931;直鎖状エチレンポリマーの場合、α=0.695およびK=0.000579;直鎖状プロピレンポリマーの場合、α=0.705およびK=0002288;直鎖状ブテンポリマーの場合、α=0.695およびK=000181;エチレンブテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0087*w2b+0.000018*(w2b)^2)であり、ここでw2bはブテンコモノマーのバルク重量パーセントであり;エチレンヘキセンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0075*w2b)であり、ここでw2bはヘキセンコモノマーのバルク重量パーセントであり;またエチレンオクテンコポリマーの場合、αは0.695であり、Kは0.000579*(1-0.0077*w2b)であり、ここでw2bはオクテンコモノマーのバルク重量パーセントである。別段の指定のない限り、濃度はg/cm単位で表され、分子量はg/モルで表され、また固有粘度(したがって、KはMark-Houwinkの式の中のKである。)はdL/g単位で表される。w2b値の計算は上で議論したとおりである。
いくつかの実施形態では、本開示で使用される高粘度で長鎖分枝状ポリオレフィンは、固体で高分子量の直鎖状プロピレンポリマー材料を米国特許第5,414,027号に開示された照射エネルギーで変換することによって調製され、同特許の内容は米国特許の慣行の目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。他の技術としては、米国特許第5,047,485号に開示された直鎖状ポリマーを熱および過酸化物で処理するものが挙げられ、同特許の内容は米国特許の慣行の目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。他の有用な高粘度で長鎖分枝状ポリオレフィンは、米国特許第4,916,198号、第5,047,446号、第5,570,595号、および欧州特許出願公開第0190889号、第0384431号、第0351866号および第0634441号に開示されており、これらの内容もまた、米国特許の慣行の目的で、参照によって本明細書に組み込まれる。
上に記載されていない実験および分析の詳細は、検出器の較正方法ならびにMark-Houwinkのパラメーターおよび第二ビリアル係数の組成依存性の計算方法を含めて、T.Sun,P.Brant,R.R.ChanceおよびW.W.Graessley、(Macromolecules、2001年、34巻(19号)、6812~6820頁)によって説明されている。
コモノマーの組成は、その名目値がNMRまたはFTIRによって予め決定されている一連のPEおよびPPのホモ/コポリマー標準物を用いて較正されたCHおよびCHチャンネルに対応するIR5検出器強度の比によって決定される。特に、これは、分子量の関数として1,000個の全炭素当たりのメチル基数(CH/1000TC)を提供する。次に、1000TC当たりの短鎖分岐(SCB)含有量(SCB/1000TC)が、各ポリマー鎖が直鎖状であり各末端がメチル基によって停止されると仮定して、CH/1000TC関数にポリマー鎖末端部の補正を適用することにより、分子量の関数として計算される。コモノマー重量%が、次に以下の式から得られ、
Figure 2022536829000013
この式で、fは、C、C、C、C等々コモノマーについて、各々0.3、0.4、0.6、0.8等々である。
GPC-IRおよびGPC-4D分析からのポリマーのバルク組成は、濃度クロマトグラムの積分限界間のCHおよびCHチャンネルの全シグナルを考慮することによって得られる。最初に、以下の比が得られる。
Figure 2022536829000014
次に、CHとCHとのシグナル比の同じ較正が、分子量の関数としてCH3/1000TCを得る際に前に言及されたように、バルクCH3/1000TCを得るために適用される。1000TC当たりのバルクメチル鎖末端部(バルクCH3末端部/1000TC)が、分子量の範囲にわたって鎖末端部の補正を重量平均することによって得られる。そうすると、
Figure 2022536829000015
となり、バルクSCB/1000TCは、上に記載されたのと同じ様式でバルクw2に変換される。
小振幅振動せん断(SAOS)からの位相角およびΔδ
EPDMのレオロジー測定値特性は、小振幅振動せん断(SAOS)の測定によって測定された。SAOSの測定は、2.5mmのギャップを有する25mmの平行板を使用するAlpha Technologies社ATD1000を用いて達成された。EPDMサンプルは、60℃の温度で8時間真空オーブンの中で乾燥することによって調製された。サンプルが平行板治具にくっつくのを防ぐために、5グラムの量の材料が2枚の0.001インチ(0.025mm)のポリエステルシート(Alpha社部品#F0141)の間に置かれた。この材料は、治具を閉じる前に30秒間放置融解された。最初のせん断測定は、治具の内部に4.5分間クランプした後で行われた。ポリマーの動的性質は、0.1ラジアン/秒~256ラジアン/秒(対数目盛)の周波数範囲で特性付けられた。加えられた応力および変形量は、線形粘弾性の範囲内である。振動測定が、周波数の関数として位相角δを測定するために使用された。Δδパラメーターは、125℃での周波数掃引から誘導され、0.1ラジアン/秒の周波数での位相角(δ)と128ラジアン/秒の周波数での位相角(δ)との差と定義される。
EPDMの非線形レオロジー測定値特性は、大振幅振動せん断(LAOS)測定によって測定された。LAOSの測定は、2.5mmのギャップを有する25mmの平行板を使用するAlpha Technologies社ATD1000を用いて達成された。EPDMサンプルは、60℃の温度で8時間真空オーブンの中で乾燥することによって調製された。サンプルが平行板治具にくっつくのを防ぐために、5グラムの量の材料が2枚の0.001インチ(0.025mm)のポリエステルシート(Alpha社部品#F0141)の間に置かれた。この材料は、治具を閉じる前に30秒間放置融解された。最初のせん断測定は、治具の内部に4.5分間クランプした後で行われた。ポリマーの大振幅振動特性は、0.63ラジアン/秒の周波数および1000%の応力振幅を使用して特性付けられた。異なるモードまたは高調波に関連付けられる貯蔵弾性率は、応力-歪み曲線のフーリエ変換を使用することによって引き出されることができる。たとえば、Hyunら、「非線形振動せん断試験の総括:大振幅振動せん断(LAOS)の分析および応用」、Progress of Polymer Science、36巻、12号、1697~1753頁、2011年を見よ。各高調波に関連した対応する貯蔵弾性率は、G’、G’、G’等と定義されることができる。LAOS測定は、第1、第3および第5高調波を測定するために使用された。LAOS分枝指数(BI)は、
Figure 2022536829000016
と定義され[T. Rauschumann、「ゴムのポリマーおよびコンパウンドの線形および非線形レオロジー測定」、(Rubber in Engineering Groupによって企画された)「ゴム設計の進歩」会議で行われた講演、英国、ロンドンW1J 7BQ、Hamilton P1、2016年12月6~7日]、この式で、Gは第1の高調波貯蔵弾性率に、Gは第2の高調波貯蔵弾性率に、またGは第3の高調波貯蔵弾性率に対応する。
ショアA硬度は、ASTM D2240(15秒間の遅延)によってZwick社自動化デュロメーターを使用して測定された。ショアD硬度は、ASTM D2240によってZwick自動化デュロメーターを使用して測定された。
引張強度および破断点伸びは、Instron社試験機を使用することによって毎分50mmで23℃(別段の定めがない限り)でASTM D412による射出成型片を用いて測定された。
永久伸びは、70℃でおよび22時間50%の変形を加えることによって測定された。サンプルは張力下に取り出され、2時間放置冷却される。測定は、張力からの解放30分間後に行なわれる。
圧縮永久ひずみは、70℃でおよび94時間、3層の積層板に50%のたわみを加えることによって測定された。サンプルは圧縮下に取り出され、圧縮下で3時間放置冷却される。測定は、圧縮から解放後5秒間以内に行なわれる。
重量増加%は、24時間および121℃でIRM903油を使用して、ASTM D471によって測定された。
マイクロインチ単位での押し出し表面粗さ(「ESR」)は、以下のように測定された:およそ1kg(2ポンド)の試験されるTPVが、3.0~3.5の圧縮比を有する24:1のL/Dのスクリューを装備した1インチ(25.4mm)または1.5インチ(38.1mm)直径の押出機(Davis社標準品)中に供給された。押出機は、幅25.4mm(1インチ)×厚さ0.5mm(0.019インチ)×長さ7~10mm(0.25~0.40インチ)のストリップダイが取り付けられていた。ブレーカープレートがダイとともに使用されたが、スクリーンパックはブレーカープレートの前に置かれていなかった。押出機の温度プロフィールは以下のとおりであった:ゾーン1=180℃(供給ゾーン); ゾーン2=190℃(供給ゾーン); ゾーン3=200℃(供給ゾーン); ゾーン4=205℃(ダイゾーン)。ゾーン温度に到達した時に、スクリューが始動された。スクリュー速度は、材料のパージの間、毎分およそ50グラムの出力を維持するように設定された。押し出しの最初の5分間、押出機は洗い流され、押し出された材料は廃棄された。長さおよそ30.5cm(12インチ)の細長片が、ダイの直下に置かれダイの下側に接触している平らな基板上に押し出された。3つの代表的なサンプルがこのようにして収集され、ESRがこのサンプルについて、ユニバーサルプローブ200mg針圧およびSurfanayzer固有チップタイプEPT-01049(0.025 mm(0.0001インチ)探針半径)を含む型式EMD-04000 W5 Surfanalyzerシステム4000を使用して測定された。
全表面染み数は以下のように測定された:およそ1kg(2ポンド)の試験されるTPVが、1インチ(25.4mm)または1.5インチ(38.1mm)直径の押出機中に供給された。押出機は、幅25.4mm(1インチ)×厚さ0.5mm(0.019インチ)×長さ7~10mm(0.25~0.40インチ)のストリップダイが取り付けられていた。押出機の温度プロフィールは以下のとおりであった:ゾーン1=180℃(供給ゾーン); ゾーン2=190℃(供給ゾーン); ゾーン3=200℃(供給ゾーン); ゾーン4=205℃(ダイゾーン)。3つの代表的なサンプルがこのようにして収集され、全表面染み数がこのサンプルについて、1.75倍の倍率で100ワットの照明を使用して表面染みを視覚的に調べて数を数えることによって測定された。TAPPI図表によって0.8mm超の全表面染みの平均数が決定された。
TPV組成物のレオロジー特性は、小角度振動せん断測定によって測定された。SAOSの測定は、鋸歯状の2.5mmのギャップを有する25mmの平行板を使用するAlpha Technologies社ATD1000を用いて達成された。TPVサンプルは、分析の前に約60℃~約70℃の温度で約8~約12時間真空オーブンの中にサンプルを置くことによって試験のために準備された。サンプルが平行板治具にくっつくのを防ぐために、5グラムの量の材料が2枚の0.001インチ(0.025mm)のポリエステルシート(Alpha社部品#F0141)の間に置かれた。この材料は、治具を閉じる前に30秒間放置融解された。最初のせん断測定は、治具の内部に4.5分間クランプした後で行われた。各試験からの体積弾性率成分およびせん断粘度成分は、マシンソフトウェア(AlphaTechnologies社によって公表されたWorkbench 5.70版)によって計算された。G’は1%のひずみ、0.6ラジアン/秒、90℃で測定された。Tan δは1%のひずみ、0.6ラジアン/秒、90℃で測定された。
最初の30分間の70℃(73°F)での応力緩和または力保持の推定値は、毎分2.54mmで負荷をかけられた射出成形ボタンを用いて測定される。パーセント保持係数が初期シール力に適用され、t = 0からt = 30分の緩和時間が決定される。t = 30分から所望の時間までの力の減衰量は、通常、圧縮応力緩和ISO 3384(A)に従って測定される。ここでは、厚さ2mmのシートが厚さ6mmに積層されて、35%だけ圧縮されたボタンが形成され、初期圧縮力の減少が経時的に測定される。
試験結果が、以下の関係式によって提示される:
Figure 2022536829000017
この式で、Rt(%)=時間t(分)での圧縮力の保持率、Ft=時間t(分)での力、F0=時間t=0分での力。応力緩和勾配は、分単位での時間の関数としてのFt/F0の折れ線グラフの勾配から決定される。
ダイ圧力は、TA Instruments社の測定器を使用して測定された。
複素粘度(η*、@ 215℃)は、Alpha社の測定器APAを使用して測定された。複素粘度は2mm厚さのシートを用いて測定され、215℃で0.1Hzの周波数を使用して測定され報告される。
毛細管粘度は、204℃の温度で毛細管レオメーターを使用して測定された。報告される毛細管粘度は1200秒-1のせん断速度で測定される。
本開示の実施を実証するために、以下の実施例が準備され、試験された。 しかし、これらの実施例は、本開示の範囲を限定するものと見なされてはならない。
実施例および比較例の準備は上に提示されている。全ての比較例および実施例サンプルは、2軸押出機(TSE)を用いて作られ、射出成型片を用いて試験された。
SnCl-45重量%MBは、無水塩化第一スズポリプロピレンマスターバッチである。SnCl MBは、45重量%の塩化第一スズおよび55重量%の、0.8g/10分のMFR(ASTM D1238; 230℃および2.16kg荷重)を有するポリプロピレンを含んでいる。
酸化亜鉛(ZnO)はKadox 911である。
フェノール硬化剤(油中フェノール樹脂、すなわち30重量%のフェノール樹脂および70重量%の油)は、Schenectady International社から得られたレゾールタイプの樹脂である。
フィラーは、Icecap(商標)K Clay(Burgess社から入手可能)およびAmpacet 49974ブラックMB(Ampacet社から入手可能)であり、Ampacet 49974ブラックMBは以下ではブラックMBと呼ばれる。
パラフィン油は、Paramount 6001R(Chevron Phillips社)であった。
表4および5は、各サンプルで使用された成分および量(ゴム100部当たり、phr)、ならびに各サンプルで実施された物理的試験の結果を示す。本開示に対応する実施例サンプルは「Ex.」で示され、比較例であるサンプルは文字「C.」で示される。
エラストマー(ゴム)ターポリマーは、EPDMゴム(Keltan(商標)4969QおよびKeltan(商標)5469Q)であり、各EPDMの分子特性は上に提示されている。使用されたポリプロピレンの1種はPP5341(商標)(ExxonMobil社)の商品名の下で得られ、このポリプロピレンの分子特性は上に記載されている。EXP-PPは、米国特許出願公開第20180016414号および第20180051160号に記載された高融解物強度ポリプロピレンである。
Figure 2022536829000018
Figure 2022536829000019
Figure 2022536829000020
表4および5に示されたように、実施例のTPV組成物は一般に、比較例のTPV組成物と比較してより低い永久伸びおよびより低い重量増加(より高い硬化状態および改善された耐油性を表す。)を示す。実施例のTPV組成物は、比較例のTPV組成物と比較してより高いまたは同様の硬度でより低い永久伸び(改善された弾性および復元力)を有する。実施例のTPV組成物は、永久伸びの値が比較例のTPV組成物の値の実験上の変動範囲内にありながら、より良好な表面粗さおよび粘度を有する。
通常は、油の添加はTPV組成物の粘度に悪い影響を及ぼす。しかしながら、本発明者らは、添加される油の位置および量が、TPV組成物の弾性、粘度および表面粗さを決定する上で役割を果たすことを見い出した。得られたデータは、より多くの硬化後油を加えると、より良好な弾性、改善された加工性および改善された表面粗さを有するTPV組成物が生成されることを示す。
実施例のTPV組成物はまた、ESR、ダイ圧力、G’およびtan δについて改善された特性を示し、この改善された特性は、より低いESR、より低いダイ圧力、より高いG’およびより低いtan δとして測定される。そのため、実施例のTPV組成物は、これらの特性の著しく改善されたバランスを示す。
本発明者らはまた、硬化が形態(モルフォロジー)を固定した後に硬化後油の注入を使用すると、弾性の改善が観察されることができることを見い出した。加えて、硬化前油の量が増加されると、弾力特性は悪化する。過剰の硬化前油が加えられると、押出機のスクリューとバレルとの間の滑りが増加する可能性がある。これは、おそらくPPとEPDMとの非効率的な混合をもたらし、この不十分な混合は、得られるTPV組成物の弾性および表面粗さに悪影響を及ぼし得る形態(モルフォロジー)の発達の不足をもたらす可能性がある。
本開示は、エチレンベースコポリマー(たとえば、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマー)および熱可塑性ポリオレフィン(たとえば、ポリプロピレン)を含んでいるTPV組成物を提供する。本開示の実施形態は、改善されたTPV組成物に優れた弾性回復および成形性/加工性を付与して、成形された物品および複合構造の一部として成形された部材に特に適するようにすることができる。本明細書に開示されたTPV組成物は、従来のTPV組成物と比較して、流動性と弾性特性との優れたバランスを有することができる。
本発明者らは、加えられた硬化後油と硬化前油との比を調整することによって、優れた弾性特性および改善された流動性を備えたTPV組成物が得られることができることを発見した。さらに、本発明者らは、粘度を低減するために過剰の油を取り込むことは、弾性および表面押し出し特性に否定的な影響を与えることを見い出した。しかし、過剰な油が硬化後に加えられた場合には、弾性を高めると同時に、TPV融解物粘度は著しく低減されることができることが分かった。硬化後油の含有量を増加させると、高温条件下における短い回復時間での圧縮および引張後の弾性回復が改善されることが分かった。TPV組成物を配合物にするときに、この技術は採用されることができる。
本明細書に記載された全ての文書は、優先権書類および/または試験手順を含めて、本明細書の記載と矛盾しない範囲において参照によって本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書で引用された全ての文書および参照文献は、試験手順、刊行物、特許、雑誌記事等を含め、そのような組み込みが許されている全ての管轄区域についておよびそのような開示が本開示の記載と矛盾しないことを限度として、参照によって本明細書に完全に組み込まれる。上記の一般的な説明および特定の実施形態から明らかなように、実施形態の形態が図示および記述されてきたが、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正が行われることができる。したがって、本開示がそれによって限定されることは意図されていない。同様に、用語「comprising(含んでいる)」は、用語「including(含んでいる)」と同義であると考えられる。同様に、組成物、要素または一群の要素の前に「含んでいる」という移行語句が付されている場合は常に、組成物、要素または複数の要素の前の「から本質的になる」、「から成る」、「から成る群から選ばれる」または「I」という移行語句を有する同じ組成物または一群の要素もまた想定されており、その逆も同様であることが理解され、たとえば、「含んでいる」、「から本質的になる」、「から成る」という用語は、その用語の後にリストされた要素の組み合わせの生成物も含んでいる。
簡潔さのために、特定の範囲のみが本明細書では明示的に開示されている。しかし、任意の下限からの範囲は、任意の上限と組み合わされて、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。また、任意の下限からの範囲は、任意の他の下限と組み合わされて、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。同じように、任意の上限からの範囲は、任意の他の上限と組み合わされて、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。さらに、たとえ明示的に記載されていなくても、範囲内にはその終点間の全ての点または個々の値が含まれる。したがって、全ての点または個々の値は、任意の他の点もしくは個々の値または任意の他の下限もしくは上限と組み合わされて独自の下限または上限として機能して、明示的に記載されていない範囲を記載することができる。

Claims (65)

  1. 熱可塑性加硫物(TPV)組成物であって、
    エチレンベースコポリマーであって、400,000g/モル~3,000,000g/モルのMw、10以下のMw/Mnおよび0.7以上のg’visを有するエチレンベースコポリマー;
    熱可塑性ポリオレフィン;および
    油または可塑剤の1種以上
    を含んでおり、前記TPV組成物中の前記油または可塑剤の1種以上の量は、前記エチレンベースコポリマーの100重量部当たり10重量部~200重量部であり、かつ、前記TPV組成物は50μインチ(1.27μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有する、TPV組成物。
  2. 前記熱可塑性ポリオレフィンが0.9以上のg’visを有する、請求項1に記載のTPV組成物。
  3. 前記熱可塑性ポリオレフィンが0.97以上のg’visを有する、請求項1または2に記載のTPV組成物。
  4. 前記熱可塑性ポリオレフィンが0.9未満のg’visを有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  5. 前記熱可塑性ポリオレフィンが0.7~0.88のg’visを有する、請求項4に記載のTPV組成物。
  6. 前記エチレンベースコポリマーが、エチレン-プロピレン-ジエンターポリマーである、請求項1~5のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  7. 前記油が、鉱油、合成油、エステル可塑剤またはこれらの組み合わせである、請求項1~6のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  8. 前記鉱油が、芳香族油、ナフテン油、パラフィン油、イソパラフィン油、合成油またはこれらの組み合わせである、請求項7に記載のTPV組成物。
  9. 前記鉱油が、グループII油であり、前記油の中の芳香族化合物および極性化合物の合計量が、ASTM 2007によって測定された4.5重量%未満であり、かつ、前記油の粘度が40℃で少なくとも80cStである、請求項7に記載のTPV組成物。
  10. 前記鉱油が、100℃で少なくとも10cStの粘度を有する、請求項7に記載のTPV組成物。
  11. 相溶化剤、フィラー、造核剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでいる、請求項1~10のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  12. 炭酸カルシウム、粘土、シリカ、タルク、二酸化チタン、カーボンブラック、マイカ、木粉、造核剤またはこれらの組み合わせをさらに含んでいる、請求項1~11のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  13. 硬化剤をさらに含んでいる、請求項1~12のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  14. 前記硬化剤がフェノール樹脂、過酸化物、マレイミド、ケイ素ベース硬化剤、シランベース硬化剤、硫黄ベース硬化剤またはこれらの組み合わせを含んでいる、請求項1~13のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  15. 前記硬化剤がフェノール樹脂である、請求項14に記載のTPV組成物。
  16. 前記エチレンベースコポリマーが、前記エチレンベースコポリマーの全重量当たり70重量%以下のエチレン含有量を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  17. 前記エチレンベースコポリマーが、前記エチレンベースコポリマーの全重量当たり50重量%~70重量%のエチレン含有量を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  18. 前記エチレンベースコポリマーが、前記エチレンベースコポリマーの全重量当たり55重量%~65重量%のエチレン含有量を有する、請求項1~15のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  19. 前記エチレンベースコポリマーが、400,000g/モル~1,000,000g/モルのMwを有する、請求項1~18のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  20. 前記エチレンベースコポリマーが、400,000g/モル~700,000g/モルのMwを有する、請求項1~18のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  21. 前記エチレンベースコポリマーが、5-エチリデン-2-ノルボルネン(ENB)、5-ビニル-2-ノルボルネン(VNB)およびこれらの組み合わせから成る群から選ばれたジエンモノマーを含んでいる、請求項1~20のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  22. 前記エチレンベースコポリマーのジエン含有量が、前記エチレンベースコポリマーの全重量当たり3重量%~15重量%である、請求項1~21のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  23. 前記エチレンベースコポリマーのジエン含有量が、前記エチレンベースコポリマーの全重量当たり4重量%~12重量%である、請求項1~21のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  24. 前記エチレンベースコポリマーが、ジーグラー-ナッタ触媒またはメタロセン触媒を使用して、スラリー重合プロセスによって製造される、請求項1~23のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  25. 前記エチレンベースコポリマーが、ジーグラー-ナッタ触媒またはメタロセン触媒を使用して、溶液または気相重合プロセスによって製造される、請求項1~24のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  26. 前記熱可塑性ポリオレフィンが、
    0.1g/10分~50g/10分のメルトマスフローレート(ASTM D1238;230℃;2.16kg);および
    100,000g/モル~1,000,000g/モルのMwを有する、
    請求項1~25のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  27. 前記熱可塑性ポリオレフィンが、
    0.5g/10分~5g/10分のメルトマスフローレート(ASTM D1238;230℃;2.16kg);および
    400,000g/モル~800,000g/モルのMwを有する、
    請求項1~25のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  28. 前記組成物が、20ショアA~60ショアDの硬度を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  29. 前記組成物が、40ショアA~80ショアAの硬度を有する、請求項1~27のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  30. 前記組成物が、600kPa~2000kPaのG’値(@90℃、0.6ラジアン/秒および1%ひずみ)を有する、請求項1~29のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  31. 前記組成物が、700kPa~1500kPaのG’値(@90℃、0.6ラジアン/秒および1%ひずみ)を有する、請求項1~29のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  32. 前記組成物が、204℃および1200秒-1のせん断速度で測定された120Pa・秒以下の毛細管粘度を有する、請求項1~31のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  33. 前記熱可塑性ポリオレフィンが0.9以上のg’visを有する、請求項1~32のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  34. 前記TPV組成物の前記エチレンベースコポリマーが、小振幅振動せん断(SAOS)からの30度~80度のΔδまたは3未満の大振幅振動せん断(LAOS)分枝指数を有し、Δδ=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、請求項1~33のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  35. 前記TPV組成物が、50μインチ(1.27μm)~150μインチ(3.81μm)である押し出し表面粗さを有する、請求項1~34のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  36. 前記TPV組成物が、58μインチ(1.47μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さを有する、請求項1~34のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  37. 前記TPV組成物が16%未満の永久伸びを有する、請求項1~36のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  38. 前記TPV組成物が14%未満の永久伸びを有する、請求項1~36のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  39. 前記TPV組成物が、50μインチ(1.27μm)~150μインチ(3.81μm)である押し出し表面粗さおよび16%未満の永久伸びを有する、請求項1~38のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  40. 前記TPV組成物が、58μインチ(1.47μm)~120μインチ(3.05μm)である押し出し表面粗さおよび14%未満の永久伸びを有する、請求項1~38のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  41. 前記エチレンベースコポリマーが、250MU以上の乾燥ムーニー粘度(ML1+4@125℃)を有する、請求項1~40のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  42. 前記エチレンベースコポリマーが、350MU以上の乾燥ムーニー粘度(ML1+4@125℃)を有する、請求項1~41のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  43. 前記エチレンベースコポリマーが、2.5以下のLCB指数(@125℃)を有する、請求項1~42のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  44. 前記エチレンベースコポリマーが、2.0以下のLCB指数(@125℃)を有する、請求項1~43のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  45. 前記エチレンベースコポリマーが、32°以上のΔδを有し、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、請求項1~44のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  46. 前記エチレンベースコポリマーが、35°以上のΔδを有し、Δδ(125℃)=δ(0.1ラジアン/秒)-δ(128ラジアン/秒)である、請求項1~44のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  47. 前記エチレンベースコポリマーが、前記エチレンベースコポリマー100phr当たり50phr~200phrを有する油を用いて油展されている、請求項1~46のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  48. 前記エチレンベースコポリマーが、前記エチレンベースコポリマー100phr当たり75phr~120phrを有する油を用いて油展されている、請求項1~46のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  49. 前記エチレンベースコポリマー含有量が、前記TPV組成物の全重量当たり10重量%~90重量%である、請求項1~48のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  50. 前記TPV組成物が、Elastocon社応力緩和試験機によって測定された-1~-5(1/分)の応力緩和勾配を有する、請求項1~49のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  51. TPV組成物が0.25~1.0のtan δ値(@ 215℃、5.0ラジアン/秒および100%ひずみ)を有する、請求項1~50のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  52. 前記TPV組成物が、Elastocon社応力緩和試験機によって測定された-2~-4.5(1/分)の応力緩和勾配を有する、請求項1~51のいずれか1項に記載のTPV組成物。
  53. TPV組成物を作る方法であって、以下の工程を含む方法:
    エチレンベースコポリマーを押し出しリアクターに導入する工程;
    熱可塑性ポリオレフィンを前記押し出しリアクターに導入する工程;
    フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを前記押し出しリアクターに導入する工程;
    第1の量の油または可塑剤の1種以上を硬化剤の前に前記押し出しリアクターに導入する工程;
    前記硬化剤を前記押し出しリアクターに導入する工程;
    第2の量の油または可塑剤の1種以上を前記硬化剤の後に前記押し出しリアクターに導入する工程であって、前記油または可塑剤の1種以上の全量の3重量%~37重量%が前記硬化剤の前に前記押し出しリアクターに加えられ、かつ、前記油または可塑剤の1種以上の全量の63重量%~97重量%が前記硬化剤の後に前記押し出しリアクターに加えられる工程;および
    前記熱可塑性ポリオレフィンの存在下で前記硬化剤とともに前記エチレンベースコポリマーを動的加硫して、前記TPV組成物を形成する工程。
  54. フィラー、添加物またはフィラーと添加物との組み合わせを導入する工程をさらに含む、請求項53に記載の方法。
  55. 前記押し出しリアクターが2軸押出機である、請求項53または54に記載の方法。
  56. 前記第2の量の油または可塑剤の1種以上と前記第1の量の油または可塑剤の1種以上との重量比が2:1~10:1である、請求項53~55に記載の方法。
  57. 前記第2の量の油または可塑剤の1種以上と前記第1の量の油または可塑剤の1種以上との比が2:1~7:1である、請求項53~55に記載の方法。
  58. 前記油または可塑剤の1種以上の全量の10重量%~33重量%が前記硬化剤の前に前記押し出しリアクターに加えられ、かつ、前記油または可塑剤の1種以上の全量の67重量%~90重量%が前記硬化剤の後に前記押し出しリアクターに加えられる、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
  59. 前記油または可塑剤の1種以上の全量の20重量%~30重量%が前記硬化剤の前に前記押し出しリアクターに加えられ、かつ、前記油または可塑剤の1種以上の全量の70重量%~80重量%が前記硬化剤の後に前記押し出しリアクターに加えられる、請求項53~57のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記TPV組成物が、請求項1~52のいずれか1項に記載のTPV組成物である、請求項53~59のいずれか1項に記載の方法。
  61. 物品を形成する方法であって、以下の工程を含む方法:
    請求項1~52のいずれか1項に記載のTPV組成物を、押し出す、射出成形する、ブロー成形する、圧縮成形する、熱成形する、または3D印刷する、工程;および
    物品を形成する工程。
  62. 前記物品が、押し出されたテープ、ウェザーシール、ドアパネル、ガスケット、パイプシール、ホース、ベルトまたはトランクである、請求項61に記載の方法。
  63. 請求項1~52のいずれか1項に記載のTPV組成物を含んでいる、物品。
  64. 前記物品が、押し出されたテープ、ウェザーシール、ドアパネル、ガスケット、パイプシール、ホース、ベルトまたはトランクである、請求項63に記載の物品。
  65. 請求項53~64のいずれか1項に記載の方法で作られたTPV組成物を含んでいる、物品。
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