JP2022528804A - 抗体力価試験 - Google Patents

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チョンサプ シム,
サヒム ザビエル ウォレス,
リンダ ギットモン チャン,
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マイケル トーマス エビー,
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Abstract

本発明は、抗体の力価を測定するための細胞ベースの試験を提供するものである。表面に結合した抗原を抗体と接触させ、それをレポーター細胞と接触させる。組成物及びキットも企図される。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
[0001] 本願は、2019年4月18日に出願された米国仮出願第62/835,960号(参照によりその全内容が本明細書に援用される)の利益を主張するものである。
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
[0002] ASCIIテキストファイルでの以下の提出物の内容は、参照によりその全内容が本明細書に援用される:コンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:146392046740SeqList.txt、記録日:2020年4月17日、サイズ:1,112バイト)。
[0003] 本発明は、ポリペプチド(例:抗体又イムノアドヘシン)の力価を分析するための方法を提供する。組成物及びキットも企図される。
[0004] 最適な抗体力価試験は、正確で精密、且つ使い勝手がよく、所要時間が短く、自動化とハイスループットスケーリングに適したものである必要がある。分泌サイトカイン用のELISA、PBMCベースの方法、及びFACSベースの方法など、ADCP及び関連する作用機序を反映する従来のバイオ試験がいくつか利用可能である。残念ながら、これらの試験の多くは、結果が大きく変動し、且つ/又は時間がかかる。本明細書に記載されている新規の力価試験は、ADCP活性を反映する、レポーター細胞を用いた細胞ベースのアプローチを使用しており、抗体と抗原の結合相互作用の検出に使用することができる。
[0005] 特許出願及び特許公開を含む本明細書に引用されるすべての参考文献は、参照によりその全文が援用される。
[0006] いくつかの態様において、本発明は、標的抗原に結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチドの活性を決定する方法であって、a)固定化された標的抗原をポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させることを含み;レポーターの発現がポリペプチドの活性を示す、ポリペプチドの活性を決定する方法を提供する。
[0007] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合するポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、c)レポーターの発現を測定すること、及びd)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、本方法は、標準試料に対するマルチパラメーター・ロジスティックフィットを使用して、ポリペプチド調製物のEC50に基づく力価を計算することを更に含む。いくつかの実施態様において、マルチパラメーター・ロジスティックフィットは、3パラメーター、4パラメーター又は5パラメーター・ロジスティックフィットである。いくつかの実施態様において、標準試料のEC50は、ポリペプチド調製物のEC50と同時に決定される。
[0008] 上記態様のいくつかの実施態様において、レポーターは、ルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列は、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子(例:Elk1)である。
[0009] 上記態様のいくつかの実施態様において、食細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、食細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。いくつかの実施態様において、Fcγ受容体は、FcγRI(CD64)又はFcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である。いくつかの実施態様において、食細胞は、Fcγ受容体を過剰発現させるように操作される。いくつかの実施態様において、食細胞は、FcγRIIaを過剰発現させるように操作される。いくつかの実施態様において、食細胞は、FcγRIIIを発現させない。
[0010] 上記態様のいくつかの実施態様において、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)又はCD20である。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)である。いくつかの実施態様において、Aβは、ヒトAβである。いくつかの実施態様において、Aβは、モノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む。いくつかの実施態様において、ヒトAβは、Aβ1-40又はAβ1-42である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、Aβに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、クレネズマブである。
[0011] 上記態様のいくつかの実施態様において、標的抗原は、表面に固定化される。いくつかの実施態様において、表面は、プレートである。いくつかの実施態様において、プレートは、マルチウェルプレートである。いくつかの実施態様において、抗原は、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍で表面に固定化される。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される。いくつかの実施態様において、標的抗原はビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む。いくつかの実施態様において、標的抗原は、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している。
[0012] 上記態様のいくつかの実施態様において、レポーターは、抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させてから、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24時間又は24時間を超える時間のうちのいずれか1つ又は複数の時間が経過後したに検出される。
[0013] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を決定するためのキットであって、固定化された標的抗原と食細胞とを含むキットを提供し、ここで、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、レポーターの発現が、ポリペプチドの力価を示す。
[0014] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を定量化するためのキットであって、固定化された標的抗原と、食細胞と、標準試料とを含むキットを提供し、ここで、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、レポーターの発現が、ポリペプチドの力価を示し、標準試料は、力価が既知のポリペプチドの調製物を含む。
[0015] 本キットのいくつかの実施態様では、レポーターは、ルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列は、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子(例:Elk1)である。
[0016] 本キットのいくつかの実施態様では、食細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、食細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。いくつかの実施態様において、Fcγ受容体は、FcγRI(CD64)又はFcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である。いくつかの実施態様において、食細胞は、Fcγ受容体を過剰発現させるように操作される。いくつかの実施態様において、食細胞は、FcγRIIaを過剰発現させるように操作される。いくつかの実施態様において、食細胞は、FcγRIIIを発現させない。
[0017] 本キットのいくつかの実施態様では、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)又はCD20である。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)である。いくつかの実施態様において、Aβは、ヒトAβである。いくつかの実施態様において、Aβは、モノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む。いくつかの実施態様において、ヒトAβは、Aβ1-40又はAβ1-42である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、Aβに特異的に結合する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、クレネズマブである。
本キットのいくつかの実施態様では、標的抗原は、表面に固定化される。いくつかの実施態様において、表面は、プレートである。いくつかの実施態様において、プレートは、マルチウェルプレートである。いくつかの実施態様において、抗原は、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍で表面に固定化される。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される。いくつかの実施態様において、標的抗原はビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む。いくつかの実施態様において、標的抗原は、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される。いくつかの実施態様において、標的抗原はビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む。
[0018] CD32A発現ベクターの構築を示すマップである。 [0019] NF-κB-ルシフェラーゼ発現ベクターの構築を示すマップである。 [0020] 食作用レポーター細胞における.FcγRの発現を示す。親U-937細胞、U-937食作用レポーター細胞、及びTHP-1食作用レポーター細胞におけるCD16、CD32、及びCD64の発現を示す。影付きのヒストグラムは未染色の細胞であり(U-937のみに含まれる)、実線はCD16/CD32/CD64、破線はアイソタイプ対照である。U937細胞とTHP-1細胞は、異なる機器を使用して異なる日に検査された。 [0021] 図4A-Cは、Aβペプチドを組み込むための異なるフォーマットの評価を示している。クレネズマブと異なる形態のAβと試験プレートとを使用して、THP-1食作用レポーター細胞(THP-1)の活性がスクリーニングされた。図4Aは、クレネズマブ及びTHP-1細胞とインキュベートされた、可溶性の非ビオチン化Aβを示す。図4Bは、非ビオチン化Aβを高結合プレートに吸着させた後、クレネズマブの希釈系列とインキュベートし、その後、細胞とインキュベートしたものを示す。図4Cは、Aβペプチドを吸着させた高結合プレートと、ビオチン-Aβを結合させたストレプトアビジン(SA)高結合プレートを比較したものである。陰性対照として、Aβを含まないSA高結合プレートを用いた。図4Aと図4Bでは、異なるクローン(「XXX株」)が評価された。図4Cでは、THP-1 416株が利用された。 [0022] 本力価試験の模式図である。 [0023] クレネズマブの代表的な検量線を示す。 [0024] 食作用レポーター細胞試験におけるオクレリズマブ活性を示す。ルシフェラーゼレポーター遺伝子発現によって測定した場合の、CD20ペプチドに結合するとU-937食作用レポーター細胞を活性化するオクレリズマブの能力を示す代表的な検量線が提示されている。 [0025] 異なる播種密度でのTHP-1の増殖を示す。3日間の培養を目標に細胞を播種し、Incucyte Zoomを用いてモニターした。数字は播種密度×10細胞/mlを表す。 [0026] 組換えAβと合成Aβに対するTHP-1クローンの用量反応を示す。組換えAβのエンドトキシン試験の結果、細菌性リポ多糖(LPS)が912EU/mgのであったのに対し、合成ペプチドは検出限界を下回った。 [0027] EC50に影響を与える要因を示している。 [0028] 勾配に影響を与える要因を示している。 [0029] 応答倍率に影響を与える要因を示している。 [0030] 力価(平均及び標準偏差)に影響を与える要因を示している。
[0031] いくつかの態様において、本発明は、標的抗原に結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチドの活性を決定する方法であって、a)固定化された標的抗原をポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させることを含み;レポーターの発現がポリペプチドの活性を示す、ポリペプチドの活性を決定する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合するポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、c)レポーターの発現を測定すること、及びd)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。組成物及びキットも提供される。
定義
[0032] 用語「ポリペプチド」又は「タンパク質」は、本明細書においては、任意の長さのアミノ酸のポリマーを指すために互換可能に使用される。ポリマーは、直鎖状でも分岐状でもよく、修飾アミノ酸を含んでもよく、非アミノ酸によって中断されていてもよい。この用語は、自然に又は介入により修飾されたアミノ酸ポリマーも包含し;その例として、ジスルフィド結合の形成、グリコシル化、脂質化、アセチル化、リン酸化、又は任意の他の操作若しくは修飾、例えば、標識化成分又は毒素とのコンジュゲーションが挙げられる。この定義には、例えば、アミノ酸(例えば、非天然アミノ酸などを含む)の1つ又は複数のアナログを含有するポリペプチドだけではなく、当技術分野で知られているその他の修飾も含まれる。用語「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、本明細書において使用される場合、特に抗体を包含する。
[0033] 「精製された」ポリペプチド(例:抗体又はイムノアドヘシン)とは、そのポリペプチドの純度が増加したことを意味し、自然環境下で、或いは実験室条件下で最初に合成及び/又は増幅されたときよりも純度の高い形態で存在する。純度は相対用語であり、必ずしも絶対純度を意味するのではない。
[0034] 用語「アンタゴニスト」は最も広い意味で使用され、天然ポリペプチドの生物学的活性を部分的に又は完全に阻止、阻害又は中和する任意の分子を含む。同様に、用語「アゴニスト」も最も広い意味で使用され、天然ポリペプチドの生物学的活性を模倣する任意の分子を含む。好適なアゴニスト又はアンタゴニスト分子は、具体的には、アゴニスト又はアンタゴニストの抗体又は抗体断片、天然ポリペプチドの断片又はアミノ酸配列バリアント等を含む。ポリペプチドのアゴニスト又はアンタゴニストを同定するための方法は、ポリペプチドを候補アゴニスト又はアンタゴニスト分子と接触させることと、ポリペプチドに通常関連する1つ又は複数の生物学的活性の検出可能な変化を測定することとを含み得る。
[0035] 目的抗原と「結合する」ポリペプチドとは、十分な親和性で該抗原と結合することから、該抗原を発現させる細胞又は組織の標的化における診断剤及び/又は治療剤として有用であり、他のポリペプチドとはそれほど交差反応しないような、ポリペプチドである。そのような実施態様において、「非標的」ポリペプチドへの該ポリペプチドの結合の程度は、蛍光活性化セルソーティング(FACS)分析又は放射性免疫沈降法(RIA)により決定した場合、該ポリペプチドのその特定の標的ポリペプチドへの結合の約10%未満であろう。
[0036] 標的分子へのポリペプチドの結合に関して、特定のポリペプチド又は特定のポリペプチド標的上のエピトープへの「特異的結合」又はそれに「特異的に結合する」又はそれに対して「特異的である」という表現は、非特異的相互作用とは測定可能なほど異なる結合を意味する。特異的結合は、例えば、ある分子の結合を、一般に結合活性を持たない類似の構造の分子である対照分子の結合との比較で決定することによって測定することができる。特異的結合は、例えば、該標的と類似の対照分子、例えば過剰な非標識標的との競合により決定され得る。この場合、特異的結合は、標識標的のプローブへの結合が、過剰な非標識標的により競合的に阻害される場合に示される。
[0037] 用語「抗体」とは、本明細書では最も広い意味で使用され、具体的には、モノクローナル抗体と、ポリクローナル抗体と、少なくとも2つのインタクトな抗体から形成される多重特異性抗体(例:TDBを含む二重特異性抗体)と、所望の生物学的活性を示す限り、抗体断片とを包含する。用語「免疫グロブリン」(Ig)は、本明細書では抗体と互換可能に使用される。
[0038] 抗体は、すべて免疫グロブリンフォールドに基づく、様々な構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子である。例えば、IgG抗体は、ジスルフィド結合されて機能性抗体を形成する、2つの「重」鎖及び2つの「軽」鎖を有する。各重鎖及び軽鎖自体は、「定常」(C)及び「可変」(V)領域を含む。V領域は抗体の抗原結合特異性を決定し、一方、C領域は、構造的な支持体を提供し、免疫エフェクターとの非抗原特異的相互作用において機能を果たす。抗体又は抗体の抗原結合断片の抗原結合特異性とは、抗体が特定の抗原と特異的に結合する能力のことである。
[0039] 抗体の抗原結合特異性は、V領域の構造的特徴により決定される。可変性は、可変ドメインの110アミノ酸スパンにわたって均一に分布しているのではない。その代わり、V領域は、15~30アミノ酸のフレームワーク領域(FR)と呼ばれる比較的不変のストレッチで構成され、それぞれが9~12アミノ酸長の「超可変領域」(HVR)と呼ばれる極度に可変性の、より短い領域で区切られている。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、大部分がβシート構造を取る4つのFRを含み、これらは3つの超可変領域によって繋がれており、この3つの超可変領域は、βシート構造を繋ぐ(場合によってはβシート構造の一部を形成する)ループを形成する。各鎖における超可変領域は、FRにより互いに極めて近接した状態で保持され、他の鎖の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md, (1991を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しているものではないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への抗体の関与といった、種々のエフェクター機能を呈する。
[0040] 各V領域は典型的には3つのHVR、例えば相補性決定領域(それぞれが「超可変ループ」を含む「CDR」)と4つのフレームワーク領域とを含む。したがって、抗原結合部位は、特定の所望の抗原に十分な親和性で結合するのに必要な最小の構造単位であり、通常、3つのCDRと、それらの間に組み入れられていて、CDRを適切な立体構造(conformation)に保持して提示する少なくとも3つ、好ましくは4つのフレームワーク領域とを含む。古典的な4本鎖抗体は、VドメインとVドメインが協働して定める抗原結合部位を有している。ラクダ抗体及びサメ抗体などの特定の抗体は、軽鎖を欠いており、重鎖だけで形成される結合部位に依存している。VとVの間の協働がなくても、重鎖又は軽鎖だけで結合部位が形成される単一ドメイン操作免疫グロブリンを調製することができる。
[0041] 用語「可変」とは、可変ドメインのある部分が、抗体間で配列が広範囲にわたって異なっており、各特定の抗体のその特定の抗原に対する結合及び特異性に使用されるということを指す。しかしながら、可変性は、抗体の可変ドメイン全体に均一に分布しているのではない。それは、軽鎖及び重鎖可変ドメイン双方の超可変領域と称される3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存されている部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインはそれぞれ、大部分がβシート構造を取る4つのFRを含み、これらは3つの超可変領域によって繋がれており、この3つの超可変領域は、βシート構造を繋ぐ(場合によってはβシート構造の一部を形成する)ループを形成する。各鎖における超可変領域は、FRにより互いに極めて近接した状態で保持され、他の鎖の超可変領域と共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, MD. (1991)を参照のこと)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しているものではないが、例えば抗体依存性細胞傷害性(ADCC)への抗体の関与といった、種々のエフェクター機能を呈する。
[0042] 「超可変領域」(HVR)という用語は、本明細書において使用される場合、抗原結合を担う抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、「相補性決定領域」すなわち「CDR」のアミノ酸残基(例:Vでは残基24~34(L1)、50~56(L2)及び89~97(L3)辺り、並びにVでは31~35B(H1)、50~65(H2)及び95~102(H3)辺り(Kabat et al., Sequences of Proteins of Immunological Interest, 5th Ed. Public Health Service, National Institutes of Health, Bethesda, Md. (1991))及び/又は「超可変ループ」のアミノ酸残基(例:Vでは残基26~32(L1)、50~52(L2)及び91~96(L3)、並びにVでは26~32(H1)、52A~55(H2)及び96~101(H3)(Chothia and Lesk J. Mol. Biol.196:901-917 (1987))を含み得る。
[0043] 「フレームワーク」又は「FR」残基は、本明細書で定義している超可変領域残基以外の可変ドメイン残基である。
[0044] 「抗体断片」は、インタクトな抗体の一部を含み、好ましくはその抗原結合領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)、及びFv断片;ダイアボディ;タンデムダイアボディ(taDb)、線状抗体(例:米国特許第5,641,870号、実施例2;Zapata et al., Protein Eng. 8(10):1057-1062 (1995));1アーム抗体、単一可変ドメイン抗体、ミニボディ、単鎖抗体分子;抗体断片から形成される多特異性抗体(例えば、限定されるものではないが、Db-Fc、taDb-Fc、taDb-CH3、(scFV)4-Fc、di-scFv、bi-scFv又はタンデム(di、tri)-scFv);及び二重特異性T細胞エンゲージャー(BiTE)が挙げられる。
[0045] 抗体のパパイン消化は、各々が単一の抗原結合部位を持つ「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、その名前が容易に結晶化する能力を反映している残りの「Fc」断片を生成する。ペプシン処置により、2つの抗原結合部位を有し、更に架橋抗原を結合する能力を持つF(ab’)断片が得られる。
[0046] 「Fv」は、完全な抗原認識及び抗原結合部位を含む最小抗体断片である。この領域は、1つの重鎖可変ドメインと1つの軽鎖可変ドメインが緊密に非共有結合した二量体で構成されている。このような構成で、各可変ドメインの3つの超可変領域が相互に作用し、V-V二量体の表面に抗原結合部位を形成する。集合的に、6つの超可変領域が抗体に抗原結合特異性を付与する。しかしながら、単一の可変ドメイン(又は抗原に対して特異的な3つの超可変領域のみを含むFvの半分)でさえ、結合部位全体に比べて親和性は低いものの、抗原を認識して結合する能力を有している。
[0047] またFab断片は、軽鎖の定常ドメインと重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)を有する。Fab’断片は、重鎖CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域の1つ又は複数のシステインを含む数個の残基が付加されている点で、Fab断片とは異なる。Fab’-SHは、定常ドメインのシステイン残基が少なくとも1つの遊離チオール基を有するFab’の本明細書での呼称である。F(ab’)抗体断片は、元々、ヒンジシステインを間に持つFab’断片の対として製造された。抗体断片の他の化学結合も知られている。
[0048] 任意の脊椎動物種由来の抗体(免疫グロブリン)の「軽鎖」は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの明確に区別される型の1つに割り当てられ得る。
[0049] その重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、抗体は異なるクラスに割り当てられ得る。インタクトな抗体には5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMがあり、これらのいくつかは、更にサブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IGA、及びIgA2に分けられる。抗体のこれらの異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれα、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。免疫グロブリンの異なるクラスのサブユニット構造及び三次元構造はよく知られている。
[0050] 「単鎖Fv」すなわち「scFv」抗体断片は、抗体のVドメイン及びVドメインを含み、これらのドメインは、単一ポリペプチド鎖に存在する。いくつかの実施態様において、scFvポリペプチドは、VドメインとVドメインとの間に、scFVが抗原結合に所望の構造を形成することを可能にするポリペプチドリンカーを更に含む。scFvの総説については、PlueckthunのThe Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照のこと。
[0051] 用語「ダイアボディ」は、同一ポリペプチド鎖(V-V)内で軽鎖可変ドメイン(V)に連結された重鎖可変ドメイン(V)を含んでいる、2つの抗原結合部位を持つ小さな抗体断片を指す。同一鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーを使用することによって、これらのドメインは別の鎖の相補的ドメインと対形成すること余儀なくされ、2つの抗原結合部位が作られる。ダイアボディは、例えば、EP第404,097号;WO第93/11161号;及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に更に詳細に記載されている。
[0052] 用語「多重特異性抗体」は、最も広い意味で使用され、特にポリエピトープ特異性を有する抗体を包含する。このような多重特異性抗体には、限定されないが、V単位がポリエピトープ特異性を有する、重鎖可変ドメイン(V)及び軽鎖可変ドメイン(V)を含む抗体、各V単位が異なるエピトープに結合する2つ以上のV及びVドメインを有する抗体、各単一可変ドメインが異なるエピトープに結合する2つ以上の単一可変ドメインを有する抗体、完全長抗体、Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、及びトリアボディなどの抗体断片、共有結合又は共有結合している抗体断片が含まれる。「ポリエピトープ特異性」とは、同じ又は異なる標的(複数可)上で2つ以上の異なるエピトープと特異的に結合する能力を指す。「単一特異性」は唯一のエピトープに結合する能力を指す。一実施態様によれば、多重特異性抗体は、親和性が5μMから0.001pM、3μMから0.001pM、1μMから0.001pM、0.5μMから0.001pM、又は0.1μMから0.001pMである各エピトープと結合するIgG抗体である。
[0053] 「単一ドメイン抗体」(sdAb)又は「単一可変ドメイン(SVD)抗体」なる表現は、単一可変ドメイン(VH又はVL)が抗原結合を付与することができる抗体を一般に指す。言い換えれば、単一可変ドメインは、標的抗原を認識するために別の可変ドメインと相互作用する必要がない。単一ドメイン抗体の例には、ラクダ科の動物(ラマ及びラクダ)並びに軟骨魚類(例:コモリザメ)に由来するもの、並びに、ヒト及びマウス抗体からの組換え法によるものが含まれる(Nature (1989) 341:544-546; Dev Comp Immunol(2006) 30:43-56; Trend Biochem Sci(2001) 26:230-235; Trends Biotechnol(2003):21:484-490; WO第2005/035572号; WO第03/035694号; Febs Lett (1994) 339:285-290; WO第00/29004号; WO第02/05187号0)。
[0054] 本明細書で使用される用語「モノクローナル抗体」とは、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を意味し、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、モノクローナル抗体の製造中に生じ得るバリアント(一般に、そのようなバリアントは微量存在する)を除いて、同一であり、且つ/又は同じエピトープに結合する。異なる決定基(エピトープ)に対する異なる抗体を通常含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対するものである。その特異性に加えて、モノクローナル抗体は、他の免疫グロブリンで汚染されていないという点で有利である。修飾語「モノクローナル」は、実質的に均一な抗体集団から得られているという抗体の特徴を示し、抗体を何か特定の方法で作製しなければならないと解釈されるものではない。例えば、本明細書において提供される方法により使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)によって最初に記載されたハイブリドーマ法により作製されてもよく、又は組換えDNA法により作製されてもよい(例:米国特許第4,816,567号を参照のこと)。「モノクローナル抗体」はまた、例えば、Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol. 222:581-597(1991)に記載されている手法を用いてファージ抗体ライブラリーから単離されてもよい。
[0055] 本明細書においては、モノクローナル抗体は、重鎖及び/又は軽鎖の一部分は特定の種に由来する抗体又は特定の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同であるが、鎖(複数可)の残りの部分は別の種に由来する抗体又は別の抗体クラス若しくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一又は相同である、「キメラ」抗体(免疫グロブリン)、並びに、所望の生物学的活性を呈するものである限り、そのような抗体の断片を特に含む(米国特許第4,816,567号;Morrison et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 81:6851-6855 (1984))。本明細書における目的のキメラ抗体は、非ヒト霊長動物(例:旧世界サル、例えばヒヒ、アカゲザル又はカニクイザル)に由来する可変ドメイン抗原結合配列及びヒト定常領域配列を含む「霊長類化」抗体を含む(米国特許第5,693,780号)。
[0056] 非ヒト(例:マウス)抗体の「ヒト化」型は、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含むキメラ抗体である。ほとんどの場合、ヒト化抗体は、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)の超可変領域の残基を、所望の特異性、親和性、及び能力を有するマウス、ラット、ウサギ又は非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)の超可変領域の残基で置き換えたものである。いくつかの例においては、ヒト免疫グロブリンのフレームワーク領域(FR)の残基は、対応する非ヒト残基によって置き換えられている。更に、ヒト化抗体はレシピエント抗体にも、又はドナー抗体にも見出されない残基を含み得る。これらの修飾は、抗体性能を更に洗練させるためになされる。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインのすべてを実質的に含み、その超可変ループのすべて又は実質的にすべてが非ヒト免疫グロブリンのループに対応し、FRのすべて又は実質的にすべてが、上記のFR置換(複数可)を除き、ヒト免疫グロブリン配列のものである。また、ヒト化抗体は、場合によっては、免疫グロブリン定常領域、典型的にはヒト免疫グロブリンの定常領域の少なくとも一部を含む。更なる詳細については、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986);Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988);及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol. 2:593-596(1992)を参照のこと。
[0057] 本明細書において、「インタクトな抗体」は、重及び軽可変ドメイン、並びにFc領域を含むものである。その定常ドメインは、天然配列定常ドメイン(例:ヒト天然配列定常ドメイン)又はそのアミノ酸配列バリアントである。好ましくは、インタクトな抗体は、1つ又は複数のエフェクター機能を有する。
[0058] 「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽(L)鎖及び2つの同一の重(H)鎖からなる、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖は、1つの共有ジスルフィド結合により重鎖に結合しており、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。また、各重鎖と軽鎖は、一定の間隔で鎖内ジスルフィド架橋を有する。各重鎖は、一端に可変ドメイン(V)を持ち、その後に複数の定常ドメインが続く。各軽鎖は、一端に可変ドメイン(V)を、他端に定常ドメインを有する。軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列している。特定のアミノ酸残基は、軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインの間の界面を形成すると考えられる。
[0059] 「ネイキッド抗体」は、細胞傷害性部分又は放射性標識などの異種分子とコンジュゲートされない、(本明細書において定義する)抗体である。
[0060] 本明細書で使用される場合、用語「エフェクター機能」又は「Fc媒介性エフェクター機能」とは、抗体のFc領域(天然配列Fc領域又はアミノ酸配列バリアントFc領域)に起因する生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプによって異なる。抗体エフェクター機能の例には、限定されないが、C1q結合及び補体依存性細胞傷害(CDC)、Fc受容体結合親和性、抗体依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)、抗体依存性細胞食作用(ADCP)、及びサイトカイン分泌が含まれる。
[0061] 「抗体依存性細胞媒介細胞傷害性」及び「ADCC」は、Fc受容体(FcR)(例:ナチュラルキラー(NK)細胞、好中球、及びマクロファージ)を発現させる非特異性細胞傷害性細胞が標的細胞上の結合した抗体を認識し、続いて該標的細胞の溶解を引き起こす、細胞媒介反応を指す。ADCCを媒介する主要な細胞であるNK細胞がFcγRIIIのみを発現させるのに対し、単球はFcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIを発現させる。造血細胞におけるFcRの発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991)の464ページの表3に要約されている。目的の分子のADCC活性を評価するために、米国特許第5,500,362号又は同第5,821,337号に記載されているようなin vitroのADCC試験を実施してもよい。このような試験に有用なエフェクター細胞には、末梢血単核球(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。代替的又は追加的に、目的の分子のADCC活性は、例えば、Clynes et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 95:652-656(1998)に開示されているような動物モデルにおいて、in vivoで評価してもよい。
[0062] 「ヒトエフェクター細胞」とは、1つ又は複数のFcRを発現させ、エフェクター機能を実行する白血球である。いくつかの実施態様において、該細胞が少なくともFcγRIIIを発現させ、ADCCエフェクター機能を実行する。ADCCを媒介するヒト白血球の例には、末梢血単核球(PBMC)、ナチュラルキラー(NK)細胞、単球、細胞傷害性T細胞、及び好中球が含まれるが、PBMCとNK細胞が好適である。
[0063] 「補体依存性細胞傷害」又は「CDC」は、分子が補体の存在下で標的を溶解する能力を指す。補体活性化経路は、補体系の第1の成分(C1q)が、同種抗原と複合体化された分子(例えばポリペプチド(例:抗体))と結合することにより開始される。補体活性化を検討評価するために、CDC試験、例えばGazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)に記載されているようなCDC試験を実施してもよい。
[0064] 「抗体依存性細胞食作用」又は「ADCP」は、抗体でコーティングされた細胞が、免疫グロブリンのFc領域に結合する食作用免疫細胞(例:マクロファージ、好中球又は樹状細胞)によって全体的又は部分的に内在化される過程を意味する。
[0065] 用語「Fc受容体」又は「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を説明するために使用される。いくつかの実施態様において、FcRは、天然配列ヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)と結合するものであり、FcγRI、FcγRII、及びFcγRIIIサブクラスの受容体を含み、これらの受容体の対立遺伝子バリアント及び代替的にスプライスされた形態も含む。FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「抑制受容体」)が含まれ、これらは、その細胞質ドメインが主に異なる類似のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメイン中に免疫受容活性化チロシンモチーフ(ITAM)を含有する。抑制受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメイン中に免疫受容抑制性チロシンモチーフ(ITIM)を含有する(Daeron, Annu. Rev. Immunol. 15:203-234 (1997)を参照のこと)。FcRは、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol 9:457-92(1991);Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994);及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med. 126:330-41(1995)において総説されている。将来的に同定されることになるものを含め、他のFcRは、本明細書においては用語「FcR」に包含される。この用語には、母親のIgGの胎児への移行を担う新生児の受容体、FcRnも含まれる(Guyer et al., J. Immunol. 117:587 (1976) and Kim et al., J. Immunol. 24:249 (1994))。
[0066] 本明細書における「Aβ(X-Y)」という用語は、以下を含むヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yまでのアミノ酸配列を指す。XとYはいずれも、アミノ酸配列DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)のアミノ酸位置Xからアミノ酸位置Yまでのアミノ酸配列又はその天然に存在する任意のバリアント、特に、A2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル型」)、E22G(「北極型」)、E22Q(「オランダ型」)、E22K(「イタリア型」)、D23N(「アイオア型」)、A42T、及びA42Vからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有するものを指し、ここで、数字は、位置Xと位置Yの両方を含むAβペプチドの開始位置、又は最大3つの追加のアミノ酸置換を伴う配列に対するものであり、これらはいずれもグロブロマーの形成を妨げるものではない。「追加の」アミノ酸置換とは、本明細書では、自然界には存在しない、カノニカル配列からの逸脱と定義される。
[0067] より具体的には、本明細書における「Aβ(1-42)」という用語は、1と42の両方を含む、ヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置1からアミノ酸位置42までのアミノ酸配列を指し、特に、アミノ配列DAEFRHDSGYEVHHQKLVFFAEDVGSNKGAIIGLMVGGVVIA(配列番号1)(アミノ酸位置1から42に対応)のアミノ酸位置1からアミノ酸位置42までのアミノ酸配列又はその天然に存在するバリアントを指す。このようなバリアントは、例えば、A2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル型」)、E22G(「北極型」)、E22Q(「オランダ型」)、E22K(「イタリア型」)、D23N(「アイオア型」)、A42T、及びA42Vからなる群から選択される少なくとも1つの変異を有するものを指し、ここで、数字は、アミノ酸位置1とアミノ酸位置42の両方を含むAβペプチドの開始位置、又は最大3つの追加のアミノ酸置換を伴う配列に対するものであり、これらはいずれもグロブロマーの形成を妨げるものではない。同様に、本明細書における「Aβ(1-40)」という用語は、アミノ酸位置1とアミノ酸位置40の両方を含む、ヒトアミロイドβタンパク質のアミノ酸位置1からアミノ酸位置40までのアミノ酸配列を指し、特に、アミノ酸配列DAEFRHDSGYEVHHQKLVFF AEDVGSNKGAIIGLMVGGVV(配列番号2)のアミノ酸位置1からアミノ酸位置40までのアミノ酸配列又はその天然に存在する任意のバリアントを指す。このようなバリアントは、例えば、A2T、H6R、D7N、A21G(「フランドル型」)、E22G(「北極型」)、E22Q(「オランダ型」)、E22K(「イタリア型」)、及びD23N(「アイオア型」)からなる群から選択される少なくとも1つの変異を有するものを指し、ここで、数字は、アミノ酸位置1とアミノ酸位置40の両方を含むAβペプチドの開始位置、又は最大3つの追加のアミノ酸置換を伴う配列に対するものであり、これらはいずれもグロブロマーの形成を妨げるものではない。
[0068] 「混入物」とは、所望のポリペプチド産物とは異なる物質を指す。本発明のいくつかの実施態様において、混入物は、ポリペプチドの電荷バリアントを含む。本発明のいくつかの実施態様において、混入物は、抗体又は抗体断片の電荷バリアントを含む。本発明の他の実施態様において、混入物は、限定されるものではないが:宿主細胞物質、例えばCHOP;浸出されたプロテインA;核酸;所望のポリペプチドのバリアント、断片、凝集体又は誘導体;別のポリペプチド;エンドトキシン;ウイルス混入物;細胞培地成分等を含む。いくつかの例において、混入物は、例えば、限定されるものではないが、細菌細胞(大腸菌細胞など)、昆虫細胞、原核細胞、真核細胞、酵母細胞、哺乳動物細胞、鳥類細胞、真菌細胞に由来する宿主細胞タンパク質(HCP)であってもよい。
[0069] 本明細書において使用される場合、用語「イムノアドヘシン」は、異種ポリペプチドの結合特異性を免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせた抗体様の分子を指している。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(すなわち「異種」である)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合体を含む。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的には、少なくとも受容体又はリガンドの結合部位を含む連続するアミノ酸配列である。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えばIgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4サブタイプ、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgE、IgD又はIgMから得ることができる。
[0070] 本明細書中で使用されている「レポーター分子」とは、その化学的性質により、抗体活性の検出を可能にする分析的に識別可能なシグナルを提供する分子を意味する。この種の試験で最も一般的に使用されるレポーター分子は、酵素、フルオロフォア又は放射性核種含有分子(すなわち放射性同位元素)と化学発光分子である。
[0071] 本明細書において使用される場合、「本質的に同じ」とは、値又はパラメーターが有意な効果によって変化していないことを示す。例えば、カラム出口のクロマトグラフィー移動相は、イオン強度が有意に変化していない場合、移動相の初期イオン強度と本質的に同じである。例えば、初期イオン強度の10%、5%又は1%内のカラム出口のイオン強度は、初期イオン強度と本質的に同じである。
[0072] 本明細書で値又はパラメーターを「約」と言及することは、その値又はパラメーターそれ自体に対するバリエーションを含む(且つ記述する)。例えば、「約X」に言及する記述には、「X」の記述が含まれる。
[0073] 本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用されているように、単数形の「a」、「or」、及び「the」は、文脈が明らかに他を指さない限り、複数の指示対象を含む。本明細書に記載の本発明の態様及び変形例は、それら「からなる」及び/又はそれら「から本質的になる」ことを含む。
細胞ベースの力価試験
[0074] 本発明は、ポリペプチドが抗原結合ドメイン及びFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の活性又は力価を決定するための、細胞ベースの試験を提供する。ポリペプチドの抗原結合ドメインは、固定化された抗原に結合し、次に、Fc受容体を含む食細胞と接触し、Fc受容体がポリペプチドのFcドメインと結合すると、レポーターが活性化される。このレポーターの活性(レポーターの発現と相関している)を、既知の活性又は力価を持つポリペプチドによって活性化されたレポーターの活性と比較する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。細胞ベースの試験は、特に、組成物中のポリペプチドを検出するため、組成物中のポリペプチドの量を定量化するため、組成物中のポリペプチドの特異性を決定するため、及び/又はポリペプチド組成物の力価を決定するために有用である。
レポーター
[0075] レポーター試験とは、細胞内でのレポーターの発現誘導をモニターすることにより、ある刺激の生物学的生物学的特性評価を可能にする分析法である。刺激によって細胞内シグナル伝達経路が誘導され、その結果、典型的には遺伝子転写の調節を含む細胞応答が生じる。いくつかの例では、細胞内シグナル伝達経路が刺激されると、タンパク質産生につながるRNA転写の開始に必要なDNAの上流非コード領域への転写因子の制御及び動員を介して、遺伝子発現が調節される。刺激に反応した遺伝子の転写と翻訳の制御は、細胞増殖、分化、生存、及び免疫応答などの生物学的応答の大部分を引き出すために必要である。DNAのこれらの非コード領域は、応答配列とも呼ばれ、遺伝子転写の効率、したがって刺激に反応して細胞によって生成されるタンパク質の量と種類を調節する転写因子の認識配列である特定の配列を含む。レポーター試験では、標準的な分子生物学的手法を用いて、ある刺激に反応する応答配列と最小プロモーターを操作し、レポーター遺伝子の発現を駆動する。その後、このDNAを、刺激に特異的に応答するすべての機構を含む細胞にトランスフェクト又は形質導入し、レポーター遺伝子の転写、翻訳又は活性のレベルが、生物学的応答の代替的測定値として測定される。
[0076] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原に結合し且つFc受容体結合ドメイン(例:Fcγ受容体結合ドメイン)を含むポリペプチド調製物の活性を決定する方法であって、a)固定化された標的抗原をポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に応答する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させることを含み;レポーターの発現がポリペプチドの活性を示す、ポリペプチド調製物の活性を決定する方法を提供する。いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメイン(例:Fcγ受容体結合ドメイン)を含むポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に応答する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、c)レポーターの発現を測定すること、及びd)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。レポーターは、刺激に反応して細胞が産生する分子の量を測定するための試験が開発できる分子であれば、どのような分子でもよい。例えば、レポーターは、刺激(例:Fc受容体へのポリペプチドの結合)に応答するレポーター遺伝子によってコードされるレポータータンパク質であってもよい。レポーター分子の一般的な例としては、基質の触媒作用の副産物として実験的に測定できる光を放出する、ルシフェラーゼなどの発光タンパク質が挙げられるが、これに限定されない。ルシフェラーゼは、多くの供給源から得られる発光タンパク質の一種であり、ホタルルシフェラーゼ(Photinus pyralis種由来)、ウミシイタケ由来のウミシイタケルシフェラーゼ(Renilla reniformis)、コメツキムシルシフェラーゼ(Pyrearinus termitilluminans由来)、海生カイアシ類ガウシアルシフェラーゼ(Gaussia princeps由来)、及び深海エビ由来のナノルシフェラーゼ(Oplophorus gracilirostris由来)が含まれる。ホタルルシフェラーゼは、ルシフェリンのオキシルシフェリンへの酸素化を触媒して発光するが、ウミシイタケなどの他のルシフェラーゼは、セレンテラジンの酸素化を触媒することによって発光する。異なるルシフェラーゼの形態及びバリアントが発する光の波長は、異なるフィルターシステムを用いて読み取ることができ、多重化が容易になる。発光量は、細胞内で発現されているルシフェラーゼの量に比例し、ルシフェラーゼ遺伝子は、生体反応を誘発する刺激の効果を定量的に評価する高感度レポーターとして用いられていた。レポーター遺伝子試験は、基礎研究、HTSスクリーニング、及び力価測定など、幅広い目的で長年使用されてきたR(Brogan J, et al., 2012, Radiat Res. 177(4):508-513; Miraglia LJ, et al., 2011, Comb Chem High Throughput Screen. 14(8):648-657; Nakajima Y, and Ohmiya Y. 2010, Expert Opin Drug Discovery, 5(9):835-849; Parekh BS, et al., 2012, Mabs, 4(3):310-318; Svobodova K, and Cajtham L T., 2010, Appl Microbiol Biotechnol., 88(4): 839-847)。
[0077] いくつかの実施態様において、本発明は、ポリペプチド-抗原複合体を、レポーター複合体を含む操作された食細胞と接触させる、ポリペプチドの活性及び/又は力価を決定するための細胞ベースの試験を提供する。いくつかの実施態様において、レポーターコンストラクトは、ルシフェラーゼを含む。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ(例:Photinus pyralis種由来)、ウミシイタケ由来のウミシイタケルシフェラーゼ(例:Renilla reniformis種由来)、コメツキムシルシフェラーゼ(例:Pyrearinus termitilluminans種由来)、海生カイアシ類ガウシアルシフェラーゼ(例:Gaussia princeps種由来)又は深海エビ由来のナノルシフェラーゼ(例:Oplophorus gracilirostris種由来)である。いくつかの実施態様において、操作された食細胞におけるルシフェラーゼの発現は、食細胞へのポリペプチド又はイムノアドヘシンの結合活性を示す。他の態様では、レポーターコンストラクトは、β-グルクロニダーゼ(GUS);緑色蛍光タンパク質(GFP)、赤色蛍光タンパク質(RFP)、青色蛍光タンパク質(BFP)、黄色蛍光タンパク質(YFP)などの蛍光タンパク質若しくはそのバリアント;クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT);β-ガラクトシダーゼ;β-ラクタマーゼ;又は分泌型アルカリホスファターゼ(SEAP)をコードする。
[0078] いくつかの実施態様において、レポーター分子(例:ルシフェラーゼなどのレポータータンパク質)をコードする核酸を含む操作された細胞が提供され、レポーター細胞は、該細胞の表面でFcドメインのFcへの結合に応答するプロモーター及び/又は配列を含む制御配列に作動可能に連結されている。プロモーター及び/又は配列は、FcR活性化に応答することが当技術分野で知られているものの中から選択することができる。いくつかの実施態様において、核酸は細胞ゲノムに安定的に組み込まれている。
[0079] いくつかの実施態様において、1つ又は複数のFcR活性化応答配列に作動可能に連結された最小プロモーターの制御下でレポーター分子をコードする核酸を含む操作された細胞(例:食細胞)が提供される。いくつかの実施態様において、最小プロモーターは、チミジンキナーゼ(TK)最小プロモーター、サイトメガロウイルス(CMV)由来の最小プロモーター、SV40由来のプロモーター又は伸長因子1アルファ(EF1α)の最小プロモーターである。いくつかの実施態様において、最小プロモーターは、最小TKプロモーターである。いくつかの実施態様において、最小プロモーターは、最小CMVプロモーターである。いくつかの実施態様において、上記活性化応答配列は、NFAT(活性化T細胞の核内因子)応答配列、AP-1(Fos/Jun)応答配列、NFAT/AP1応答配列、NFκB応答配列、FOXO応答配列、STAT3応答配列、STAT5応答配列又はIRF応答配列を含む。いくつかの実施態様において、FcR活性化応答配列は、タンデムリピート(例えば、約2、3、4、5、6、7、8、又はそれ以上のタンデムリピートのいずれか)として配置される。FcR活性化応答配列は、レポーターコード化配列に対して5’又は3’に配置されてもよい。いくつかの実施態様において、FcR活性化応答配列は、最小プロモーターから5’の部位に位置している。いくつかの実施態様において、FcR活性化応答配列は、NFκB応答配列である。いくつかの実施態様において、上記レポーター分子は、ホタル又はウミシイタケルシフェラーゼなどのルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、上記核酸は、マクロファージゲノムに安定的に組み込まれている。
細胞
[0080] いくつかの実施態様において、ポリペプチド-抗原複合体を、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む細胞の集団と接触させることにより、ポリペプチドが抗原結合ドメインとFc受容体結合ドメイン(例:FcγR結合ドメイン)とを含むポリペプチド調製物の活性及び/又は力価を決定する方法が提供される。いくつかの実施態様において、上記細胞は、食細胞である。いくつかの実施態様において、食細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、食細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、食細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。
[0081] いくつかの実施態様において、上記レポーター細胞は、Fc受容体を含む。いくつかの実施態様において、Fc受容体は、Fcγ受容体である。いくつかの実施態様において、Fcγ受容体は、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)及び/又はFcγRIII(CD16)である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)のうちの1つ又は複数を発現させるように操作されている。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)のうちの1つ又は複数を過剰発現させるように操作されている。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRIIaを過剰発現させるように操作されている。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRIIIを発現させない。
[0082] いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸を含む。いくつかの実施態様において、レポーターは、ルシフェラーゼをコードするポリヌクレオチドを含む。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、レポーター(例:ルシフェラーゼ)をコードするポリヌクレオチドは、FcR活性化応答性調節配列(例:FcR活性化応答性プロモーター及び/又は配列)に作動可能に連結されている。いくつかの実施態様において、FcR活性化に応答するプロモーター及び/又は配列は、NFATプロモーター、AP-1プロモーター、NFκBプロモーター、FOXOプロモーター、STAT3プロモーター、STAT5プロモーター又はIRFプロモーターである。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸を含み、且つ、FcγRI、FcγRIIa又はFcγRIIIの1つ又は複数を含む。
[0083] いくつかの実施態様において、本発明は、FcR活性化に反応するプロモーター及び/又は配列を含む制御配列に作動可能に連結されたレポーター分子をコードするFcR活性化レポーターコンストラクトで操作された細胞の組成物を提供する。いくつかの実施態様において、本発明は、FcγR活性化に反応するプロモーター及び/又は配列を含む制御配列に作動可能に連結されたレポーター分子をコードするFcγR活性化レポーターコンストラクトで操作された細胞の組成物を提供する。いくつかの実施態様において、レポーター分子は、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質(例:GFP、YFPなど)、アルカリホスファターゼ又はベータガラクトシダーゼである。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、FcR(例:FcγR)活性化に応答するプロモーター及び/又は配列は、NFATプロモーター、AP-1プロモーター、NFκBプロモーター、FOXOプロモーター、STAT3プロモーター、STAT5プロモーター又はIRFプロモーターである。いくつかの実施態様において、FcRシグナル伝達に反応する配列は、NFκB配列を含む。
[0084] いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、1つ又は複数のFc受容体を含み、且つ、FcRシグナル伝達によって活性化されるプロモーター及び/又は配列の制御下でレポーターをコードする核酸を更に含む食細胞である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、1つ又は複数のFc受容体を含み、且つ、FcRシグナル伝達によって活性化されるプロモーター及び/又は配列の制御下でレポーターをコードする核酸を更に含む単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI、FcγRIIa又はFcγRIIIのうちの1つ又は複数を含み、且つ、FcRシグナル伝達によって活性化されるプロモーター及び/又は配列の制御下でレポーターをコードする核酸を更に含む単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、1つ又は複数のFc受容体を含み、且つ、NF-κBプロモーターの制御下でルシフェラーゼレポーターをコードする核酸を更に含む単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI、FcγRIIa又はFcγRIIIのうちの1つ又は複数を含み、且つ、NF-κBプロモーターの制御下でルシフェラーゼレポーターをコードする核酸を更に含む単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI、FcγRIIa及び/又はFcγRIIIを含み、且つ、NF-κBプロモーターの制御下でルシフェラーゼレポーターをコードする核酸を更に含むTHP-1細胞である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、FcγRI、FcγRIIa及び/又はFcγRIIIを含み、且つ、NF-κBプロモーターの制御下でルシフェラーゼレポーターをコードする核酸を更に含むU-937細胞である。
抗体活性又は力価試験
[0085] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが抗原結合ドメイン及びFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の活性又は力価のための方法を提供する。いくつかの実施態様において、上記方法は、固定化された抗原とポリペプチドの調製物を接触させることと、その後、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、Fc受容体と、Fc受容体活性化に反応するプロモーター及び/又は配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む細胞の集団に接触させることとを含む。このレポーターの発現は、ポリペプチド調製物の活性又は力価を示す。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。いくつかの実施態様において、レポーターは、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質、アルカリホスファターゼ、ベータラクタマーゼ又はベータガラクトシダーゼである。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、単球活性化に反応するプロモーター及び/又は配列は、NFATプロモーター、AP-1プロモーター又はNFκBプロモーターである。いくつかの実施態様において、Fc受容体活性化に反応するプロモーター及び/又は配列は、NFAT、AP-1、及びNFκBのうちのいずれか1つ又は複数からのFc受容体活性化応答性配列を含む。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、食細胞である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)又はCD-20である。いくつかの実施態様において、Aβは、ヒトAβである。いくつかの実施態様において、Aβは、モノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む。本発明のいくつかの実施態様では、モノマーAβとオリゴマーAβの比率は、約10:1、9:1、8:1、7:1、6:1、5:1、4:1、3:1、2:1、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9;又は1:10のいずれかである。いくつかの実施態様において、ヒトAβは、Aβ1-40又はAβ1-42である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、クレネズマブである。
[0086] 本発明のいくつかの実施態様では、抗原は、表面に固定化される。いくつかの実施態様において、表面は、プレートである。いくつかの実施態様において、表面は、ウェルを備えたプレートであるいくつかの実施態様において、表面は、約96、182、288、384、480、576又は672ウェルを備えたプレートである。いくつかの実施態様において、抗原は、接着により表面に固定化される。いくつかの実施態様において、抗原は、ストレプトアビジン-ビオチンシステムを用いて表面に固定化される。いくつかの実施態様において、ストレプトアビジンは表面に連結され、ビオチンは抗原に連結され、その後、ストレプトアビジンに対するビオチンの高い親和性のために抗原が固定化される。いくつかの実施態様において、表面は、ストレプトアビジンコートプレート(例:市販のストレプトアビジンコートプレート)である。いくつかの実施態様において、表面は、ストレプトアビジンコート96ウェルプレートである。
[0087] いくつかの実施態様において、抗原は、抗原のN末端又はその近傍の表面に固定化される。いくつかの実施態様において、抗原は、抗原のC末端又はその近傍の表面に固定化される。いくつかの実施態様において、抗原は、抗原が表面上で逆の向きになるように、抗原のN末端又はその近傍の表面と、抗原のC末端又はその近傍の表面に固定化される。いくつかの実施態様において、抗原は、抗原が表面上でループを形成するように、抗原のN末端又はその近傍の表面と、抗原のC末端又はその近傍の表面に固定化される。いくつかの実施態様において、ストレプトアビジンが表面に連結され、抗原はそのN末端にビオチンを含み、ビオチンがストレプトアビジンと結合して抗原をそのN末端で固定化する。いくつかの実施態様において、ストレプトアビジンが表面に連結され、抗原はそのC末端にビオチンを含み、ビオチンがストレプトアビジンと結合して抗原をそのC末端で固定化する。いくつかの実施態様において、ストレプトアビジンが表面に連結され、抗原は、抗原が表面上で逆の向きになるように、そのN末端とそのC末端にビオチンを含む。いくつかの実施態様において、ストレプトアビジンが表面に連結され、抗原はそのN末端とそのC末端にビオチンを含み、両方のビオチン部分がストレプトアビジンと結合して、抗原が表面上にループを形成するように、そのN末端及びC末端によって抗原を固定化する。
[0088] いくつかの実施態様において、抗原は、ビオチンとコンジュゲートして、ビオチン化抗原を形成する。いくつかの実施態様では、約0.1μg/mL、0.2μg/mL、0.3μg/mL、0.4μg/mL、0.5μg/mL、0.6μg/mL、0.7μg/mL、0.8μg/mL、0.9μg/mL、1.0μg/mL、1.5μg/mL、2.0μg/mL、2.5μg/mL、3.0μg/mL、3.5μg/mL、4.0μg/mL、4.5μg/mL、5.0μg/mL、5.5μg/mL、6.0μg/mL、6.5μg/mL、7.0μg/mL、7.5μg/mL、8.0μg/mL、8.5μg/mL、9.0μg/mL、9.5μg/mL、10μg/mL、25μg/mL又は50μg/mLのいずれかよりも低い濃度であるビオチン化抗原を、ストレプトアビジンでコーティングされた表面に接触させる。いくつかの実施態様では、各ウェルに約10ng、20ng、30ng、40ng、50ng、60ng、70ng、80ng、90ng、0.1μg、0.2μg、0.3μg、0.4μg、0.5μg、0.6μg、0.7μg、0.8μg、0.9μg、1.0μg若しくは1.0μgを超える、又はその間の任意の値のいずれかの量のビオチン化抗原が添加されているストレプトアビジンコートマルチウェルプレートとビオチン化抗原を接触させる。
[0089] いくつかの実施態様では、固定化された抗原を、約0.01ng/mL~約30,000ng/mL、約0.01ng/mL~約20,000ng/mL、約0.01ng/mL~約10,000ng/mL、約0.05ng/mL~約10,000ng/mL、約0.1ng/mL~約10,000ng/mL、約0.5ng/mL~約10,000ng/mL、約1ng/mL~約10,000ng/mL、約5ng/mL~約10,000ng/mL、約10ng/mL~約10,000ng/mL、約0.01ng/mL~約5000ng/mL、約0.01ng/mL~約4000ng/mL、約0.01ng/mL~約3000ng/mL、約0.01ng/mL~約2000ng/mL、約0.01ng/mL~約1000ng/mL、約0.01ng/mL~約500ng/mL、約0.01ng/mL~約100ng/mL、約0.01ng/mL~約50ng/mL、約0.01ng/mL~約10ng/mL、約0.01ng/mL~約5ng/mL、約0.1ng/mL~約1000ng/mL、約0.5ng/mL~約1000ng/mL、約1ng/mL~約100ng/mL、約1ng/mL~約1000ng/mL、又は約5ng/mL~約5000ng/mLのいずれかの濃度範囲のポリペプチドを含む組成物と接触させる。
[0090] いくつかの実施態様では、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、レポーター細胞と接触させる。いくつかの実施態様では、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、約1×10、5×10、7.5×10、1×10、1.25×10、1.5×10、1.75×10、2×10、2.25×10、2.5×10、2.75×10、3×10、3.25×10、3.5×10、3.75×10、4×10、4.25×10、4.5×10、4.75×10、5×10、5.5×10、6×10、6,5×10、7×10、7.5×10、8×10、8.5×10、9×10、9.5×10、1×10、2×10、3×10、4×10、又は5×10のいずれかのレポーター細胞と接触させる。いくつかの実施態様では、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、約1×10から5×10まで、5×10から1×10まで、1×10から1×10まで、1×10から2×10まで、2×10から3×10まで、3×10から4×10まで、4×10から5×10まで、5×10から6×10まで、6×10から7×10まで、7×10から8×10まで、8×10から9×10まで、又は9×10から1×10までのいずれかのレポーター細胞と接触させる。いくつかの実施態様では、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、約1×10細胞/ml、2×10細胞/ml、3×10細胞/ml、4×10細胞/ml、5×10細胞/ml、6×10細胞/ml、7×10細胞/ml、8×10細胞/ml、9×10細胞/ml、1×10細胞/ml、2×10細胞/ml、2.5×10細胞/ml、3×10細胞/ml、4×10細胞/ml、5×10細胞/ml、6×10細胞/ml、7×10細胞/ml、7.5×10細胞/ml、8×10細胞/ml、9×10細胞/ml、又は1×10細胞/mlのいずれかよりも低い濃度であるレポーター細胞と接触させる。いくつかの実施態様では、固定化された抗原-ポリペプチド複合体を、約1×10細胞/mlから1×10細胞/mlまで、1×10細胞/mlから1×10細胞/mlまで、5×10細胞/mlから5×10細胞/mlまで、又は1×10細胞/mlから1×10細胞/mlまでのいずれかの濃度であるレポーター細胞と接触させる。
[0091] いくつかの実施態様では、レポーターは、固定化された抗原-ポリペプチド複合体をレポーター細胞と接触させてから約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、24時間、28時間、30時間、又は36時間のいずれか以上経過した後に検出される。いくつかの実施態様において、レポーターは、固定化された抗原-ポリペプチド複合体をレポーター細胞と接触させてから約1時間から約36時間、約1時間から約24時間、約1時間から約12時間、約1時間から約8時間、約1時間から約6時間、約1時間から約4時間、約1時間から約2時間、約4時間から約24時間、約4時間から約12時間、約4時間から約8時間、約8時間から約24時間、約8時間から約12時間、約16時間から約24時間、約16時間から約20時間、又は約20時間から約24時間のいずれかの間に検出される。
[0092] いくつかの態様において、本発明は、ポリペプチドが標的抗原と結合するポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、c)レポーターの発現を測定すること、及びd)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法を提供する。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、抗体又はイムノアドヘシンである。いくつかの実施態様において、レポーターは、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質、アルカリホスファターゼ、ベータラクタマーゼ又はベータガラクトシダーゼである。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、Fc受容体活性化(例:Fcγ受容体活性化)に反応するプロモーター及び/又は配列は、NFAT、AP-1又はNFκBのうちのいずれか1つ又は複数に対するFc受容体活性化応答性配列を含む。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、食細胞である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、食細胞(複数)である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。いくつかの実施態様において、標的抗原は、ベータアミロイド(Aβ)又はCD-20である。いくつかの実施態様において、Aβは、ヒトAβである。いくつかの実施態様において、Aβは、モノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む。いくつかの実施態様において、ヒトAβは、Aβ1-40又はAβ1-42である。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、クレネズマブである。
[0093] いくつかの実施態様では、ポリペプチド調製物のEC50を、活性又は力価が既知のポリペプチド調製物(例:標準試料又は標準調製物)のEC50と比較する。本明細書で使用する場合、EC50とは、指定した曝露時間後にベースラインと最大値の中間の応答を誘発するポリペプチドの濃度を指す。いくつかの実施態様において、固定化された抗原-標準ポリペプチド複合体をレポーター細胞と接触させた後のレポーター活性の検量線を生成することにより、活性又は力価が既知のポリペプチド調製物のEC50が決定される。いくつかの実施態様において、検量線は、細胞の集団を、約0.01ng/mLから約30,000ng/mLまでの範囲の複数の濃度の標準ポリペプチド調製物と接触させることによって生成される。いくつかの実施態様において、検量線は、細胞の集団を、約0.01ng/mLから約10,000ng/mLまでの範囲の複数の濃度の標準ポリペプチド調製物と接触させることによって生成される。いくつかの実施態様において、検量線は、細胞の集団を、約0.01ng/mLから約15,000ng/mLまでの範囲の複数の濃度の標準ポリペプチド調製物と接触させることによって生成される。いくつかの実施態様において、検量線は、細胞の集団を、約0.01ng/mLから約5,000ng/mLまでの範囲の複数の濃度の標準ポリペプチド調製物と接触させることによって生成される。いくつかの実施態様において、標準ポリペプチド調製物の複数の濃度としては、約0.01ng/ml、0.1ng/ml、1ng/ml、10ng/ml、100ng/mL、150ng/mL、200ng/mL、250ng/mL、500ng/mL、750ng/mL、1μg/mL、2.5μg/mL、5μg/mL、10μg/mL、25μg/mL、50μg/mL、100μg/mL、250μg/mL又は500μg/mLのうちのいずれか1つが挙げられる。いくつかの実施態様において、標準ポリペプチド調製物の複数の濃度としては、約10μg/mL、40μg/mL、100μg/mL、250μg/mL、750μg/mL、1000μg/mL、1600μg/mL、4000μg/mL又は10000μg/mLのうちのいずれか1つが挙げられる。いくつかの実施態様において、標準ポリペプチド調製物の複数の濃度は、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、又は15を超える濃度である。
[0094] いくつかの実施態様において、レポーターは、細胞を組成物と接触させてから約1時間、2時間、3時間、4時間、5時間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、12時間、16時間、20時間、24時間、26時間、28時間、30時間又は36時間のいずれか以上経過した後に検出される。いくつかの実施態様において、レポーターは、細胞を組成物と接触させてから約1時間から約24時間、約1時間から約12時間、約1時間から約8時間、約1時間から約6時間、約1時間から約4時間、約1時間から約2時間、約4時間から約24時間、約4時間から約12時間、約4時間から約8時間、約8時間から約24時間、約8時間から約12時間、約16時間から約24時間、約16時間から約20時間、又は約20時間から約24時間のいずれかの間に検出される。
[0095] 本発明のいくつかの実施態様において、本方法は、標準試料に対するマルチパラメーター・ロジスティックフィットを使用して、ポリペプチド調製物のEC50に基づく力価を計算することを更に含む。いくつかの実施態様において、マルチパラメーター・ロジスティックフィットは、3パラメーター、4パラメーター又は5パラメーター・ロジスティックフィットである。このようなマルチパラメーター・フィットの方法は、当技術分野で既知である。
[0096] いくつかの実施態様において、ポリペプチド調製物の力価は、以下のように4パラメーター・ロジスティックフィットを使用するポリペプチド調製物のEC50に基づく。
[0097] 個々のウェルの相対発光量(RLU)で測定された発光値を用いて、各標準品(ST)及び試験品(対照及び試料(複数可);TA)濃度の平均ウェル値が計算され、複製ウェルが試験される。
[0098] 標準品、対照、及び試料の用量反応曲線が、各濃度の平均ウェル値をy軸(線形スケール)上に、濃度をx軸(対数スケール)上にプロットすることによって作製される。
[0099] 4パラメーター・ロジスティック曲線あてはめプログラムを使用して、ST及び各TAの個別の曲線が作製される。4パラメーター・ロジスティック曲線あてはめ式は、以下の通りである。
Figure 2022528804000001
上式中、
x=ST又はTAの濃度
y=ウェルの応答平均値(average well value response)(RLU)
A=用量反応なし(下方漸近線=LA):
B=勾配
C=EC50(最大有効濃度の半分)
D=最大用量反応(上方漸近線=UA)
[0100] 各曲線の決定係数(R)を計算する。
[0101] 標準品、対照、及び試料の曲線の反応倍率を計算する。
反応倍率=UA÷LA
[0102] 勾配比は、以下のように計算される。
Figure 2022528804000002
[0103] 上方漸近線のパーセント差は、次のように計算される。
Figure 2022528804000003
[0104] 下方漸近線のパーセント差は、次のように計算される。
Figure 2022528804000004
[0105] 試験品の相対的力価は、4パラメーターの平行曲線分析を使用して計算される。STと各TAの制約付き4-P平行曲線を、共通のパラメーターセット:勾配(パラメーターB)、上方漸近線(パラメーターD)、及び下方漸近線(パラメーターA)を使用して生成する。結果として得られる、標準品(ST)と試験品(TA)の曲線数式は、以下のとおりである。
Figure 2022528804000005
上式中、
x=抗体の濃度
yST=標準品RLU
yTA=試験品RLU
A=共通の下方漸近線
B=共通の勾配
CST=標準品EC50
D=共通の上方漸近線
ρ=試料の相対的力価(相対的力価とは、TAのEC50に対するSTのEC50の比率)
[0106] 以下の式に従って試験品の力価を計算する。
力価=ρ×標準試料の活性
キット
[0107] 本発明のいくつかの態様において、ポリペプチド調製物の活性又は力価を決定するための試験で使用するためのキット又は製造品が提供され、これは、本明細書に記載のFc受容体活性化に反応するプロモーター及び/又は配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸を含む操作された細胞を含む組成物を入れる容器を含む。いくつかの実施態様において、キットは、標準ポリペプチド調製物試験試料(reference polypeptide preparation assay standard)(活性又は力価が既知のポリペプチド調製物)が入る容器及び/又はポリペプチド調製物標準試料が入る容器を更に備える。いくつかの実施態様において、キットは、固定化された抗原を含む容器又は表面を更に備える。いくつかの実施態様において、レポーターは、ルシフェラーゼ、蛍光タンパク質、アルカリホスファターゼ、ベータラクタマーゼ又はベータガラクトシダーゼである。いくつかの実施態様において、ルシフェラーゼは、ホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである。いくつかの実施態様において、Fc受容体活性化に反応するプロモーター及び/又は配列は、NFAT、AP-1、NFκB、FOXO、STAT3、STAT5、及びIRFのうちのいずれか1つ又は複数からのFc受容体活性化応答性配列を含む。いくつかの実施態様において、レポーター細胞は、食細胞である。いくつかの実施態様において、食細胞は、単球である。いくつかの実施態様において、食細胞は、細胞株からのものである。いくつかの実施態様において、食細胞株は、THP-1細胞株又はU-937細胞株である。
[0108] 容器には製剤が入り、容器上の又は容器に付随するラベルは、使用説明書を示し得る。製造品は、他のバッファー、希釈剤、培養用品、レポーター分子を検出するための試薬、及び使用説明書付きの添付文書など、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
[0109] 本発明のいくつかの態様において、ビオチンとコンジュゲートした抗原を含む組成物が入り、任意選択的に使用説明書を提供する容器を備えるキット又は製造品が提供される。いくつかの実施態様において、キットは、標準ポリペプチド試験試料(活性又は力価が既知のポリペプチド調製物)及び/又は抗原結合対照も更に提供する。上記容器には上記製剤が入り、容器上の又は容器に付随するラベルは、使用説明書を示し得る。製造品は、他のバッファー、希釈剤、培養用品、レポーター分子を検出するための試薬、及び使用説明書付きの添付文書など、商業的及びユーザーの観点から望ましい他の材料を更に含み得る。
ポリペプチド
[0110] 本明細書に記載の方法を使用して分析されるポリペプチドは、一般に、組換え技術を使用して生産される。組換えタンパク質を生産する方法は、例えば、参照により本明細書に具体的に援用されている米国特許第5,534,615号及び第4,816,567号に記載されている。いくつかの実施態様において、目的のタンパク質は、CHO細胞内で産生される(例:WO第94/11026号参照)。いくつかの実施態様において、目的のポリペプチドは、大腸菌細胞内で産生される。例えば、発現及び分泌を最適化するための翻訳開始領域(TIR)とシグナル配列を記載した米国特許第5,840,523号、米国特許第5,648,237号、及び米国特許第5,789,199号を参照されたい。また、大腸菌におけるポリペプチド断片の発現について記載したCharlton,Methods in Molecular Biology、248巻(B. K. C. Lo, ed., Humana Press, Totowa, N.J., 2003)、245-254頁も参照されたい。組換え技術を使用した場合、ポリペプチドは、細胞周辺腔内で細胞内に産生されるか又は、培地中に直接分泌され得る。
[0111] ポリペプチドは、培地又は宿主細胞溶解物から回収されてもよい。ポリペプチドの発現に用いられる細胞は、様々な物理的又は化学的手段、例えば凍結融解サイクリング、超音波処理、機械的破壊又は細胞溶解剤により破壊され得る。ポリペプチドが細胞内に産生される場合、最初の工程として、宿主細胞か又は溶解断片の何れかである微粒子片は、例えば遠心分離又は限外濾過により除去される。Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992)は、大腸菌の細胞周辺腔に分泌されるポリペプチドを単離するための手順を記載している。手短に述べると、酢酸ナトリウム(pH3.5)、EDTA、及びフェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF)の存在下、細胞ペーストを約30分にわたって解かす。細胞片は、遠心分離によって除去することができる。ポリペプチドが培地中に分泌される場合、一般に、そのような発現系からの上清は、市販のポリペプチド濃縮フィルター、例えばAmicon(登録商標)又はMillipore Pellicon(登録商標)限外濾過ユニットを使用して、最初に濃縮される。PMSFなどのプロテアーゼ阻害剤を、タンパク質分解を阻害するための前述の工程のいずれかに含めることができ、抗生物質を、偶発的混入物の増殖を防ぐために含めることもできる。
[0112] いくつかの実施態様において、ポリペプチドと1種以上の混入物とを含む組成物中のポリペプチドは、本発明の方法により、分析前に精製されているか又は部分的に精製されている。例えば、本発明の方法のポリペプチドは、アフィニティークロマトグラフィー、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィー、混合モードクロマトグラフィー及び疎水性相互作用クロマトグラフィーからの溶離液中にある。いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、プロテインAクロマトグラフィーからの溶離液中にある。
[0113]本発明の方法により分析され得るポリペプチドの例には、限定されないが、免疫グロブリン、イムノアドヘシン、抗体、酵素、ホルモン、融合タンパク質、Fc含有タンパク質、免疫コンジュゲート、サイトカイン、及びインターロイキンが挙げられる。
(A)抗体
[0114] 本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施態様において、本明細書に記載の方法によってポリペプチド及びポリペプチドを含む製剤を分析する方法のいずれかで使用するためのポリペプチドは、抗体又はイムノアドへシンである。いくつかの実施態様において、本発明のポリペプチドの抗原標的は、Aベータ又はCD20である。
[0115] その他の例示的な抗体としては、限定されないが、抗エストロゲン受容体抗体、抗プロゲステロン受容体抗体、抗p53抗体、抗HER-2/neu抗体、抗EGFR抗体、抗カテプシンD抗体、抗Bcl-2抗体、抗Eカドヘリン抗体、抗CA125抗体、抗CA15-3抗体、抗CA19-9抗体、抗c-erbB-2抗体、抗P糖タンパク質抗体、抗CEA抗体、抗網膜芽細胞腫タンパク質抗体、抗ras腫瘍性タンパク質抗体、抗Lewis X抗体、抗Ki-67抗体、抗PCNA抗体、抗CD3抗体、抗CD4抗体、抗CD5抗体、抗CD7抗体、抗CD8抗体、抗CD9/p24抗体、抗CD10抗体、抗CD11a抗体、抗CD11c抗体、抗CD13抗体、抗CD14抗体、抗CD15抗体、抗CD19抗体、抗CD22抗体、抗CD23抗体、抗CD30抗体、抗CD31抗体、抗CD33抗体、抗CD34抗体、抗CD35抗体、抗CD38抗体、抗CD41抗体、抗LCA/CD45抗体、抗CD45RO抗体、抗CD45RA抗体、抗CD39抗体、抗CD100抗体、抗CD95/Fas抗体、抗CD99抗体、抗CD106抗体、抗ユビキチン抗体、抗CD71抗体、抗c-myc抗体、抗サイトケラチン抗体、抗ビメンチン抗体、抗HPVタンパク抗体、抗カッパ軽鎖抗体、抗ラムダ軽鎖抗体、抗メラノソーム抗体、抗前立腺特異抗原抗体、抗S100抗体、抗タウ抗原抗体、抗フィブリン抗体、抗ケラチン抗体、抗TebB2抗体、抗STEAP抗体、及び抗Tn抗原抗体から選択されるものが挙げられる。
(i)モノクローナル抗体
[0116] いくつかの実施態様において、抗体は、モノクローナル抗体である。モノクローナル抗体は、実質的に均一な抗体の集団から得られ、すなわち、その集団を構成する個々の抗体は、モノクローナル抗体の製造中に生じ得るバリアント(一般に、そのようなバリアントは微量存在する)を除いて、同一であり、且つ/又は同じエピトープに結合する。したがって、修飾語「モノクローナル」は、別々の抗体又はポリクローナル抗体の混合物ではないという抗体の性質を示す。
[0117] 例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature 256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を用いて作製されてもよく、又は組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製されてもよい。
[0118] ハイブリドーマ法では、マウスか又はハムスターなどのその他の適切な宿主動物を免疫して、免疫のために使用されたポリペプチドに特異的に結合する抗体を生産するか又は生産する能力のあるリンパ球を誘発する。或いは、リンパ球をin vitroで免疫してもよい。その後、リンパ球を、ポリエチレングリコールなどの適切な融合剤を使用して骨髄腫細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice, pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。
[0119] したがって、ハイブリドーマ細胞は、非融合の親骨髄腫細胞の増殖又は生存を阻害する1種以上の物質を好ましくは含有する適切な培地中で播種され、培養される。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRT又はHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマの培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)が含まれ、これらの物質はHGPRT欠損細胞の増殖を妨げる。
[0120] いくつかの実施態様において、骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による抗体の安定した高レベルの産生をサポートし、HAT培地などの培地に感受性であるものである。このうち、いくつかの実施態様では、骨髄腫細胞株は、マウス骨髄種株、例えば、米国カリフォルニア州サンディエゴのSalk Institute Cell Distribution Centerから入手可能なMOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍に由来するもの及び米国メリーランド州ロックビルのAmerican Type Culture Collectionから入手可能なSP-2又はX63-Ag8-653細胞である。ヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor, J. Immunol. 133:3001 (1984); Brodeur et al., Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications pp. 51-63 (Marcel Dekker, Inc., New York, 1987))。
[0121] ハイブリドーマ細胞が増殖している培地は、抗原に対するモノクローナル抗体の産生について試験される。いくつかの実施態様において、ハイブリドーマ細胞によって産生されたモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降法によって、又は放射免疫測定法(RIA)若しくは酵素免疫測定法(ELISA)などのin vitroの結合試験によって決定される。
[0122] モノクローナル抗体の結合親和性は、例えば、Munson et al.,Anal.Biochem. 107:220(1980)のスキャッチャード解析により決定することができる。
[0123] 所望の特異性、親和性及び/又は活性の抗体を産生するハイブリドーマ細胞が同定された後で、クローンを、限定希釈手順によりサブクローニングし、標準的な方法により増殖させてもよい(Goding, Monoclonal Antibodies: Principles and Practice pp. 59-103 (Academic Press, 1986))。この目的のための好適な培地には、例えば、D-MEM又はRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、動物における腹水腫瘍としてin vivoで増殖させてもよい。
[0124] サブクローンによって分泌されたモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えばポリペプチドA-セファロース、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析又はアフィニティークロマトグラフィーにより、培地、腹水又は血清から適切に分離される。
[0125] モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を用いて(例えば、マウス抗体の重鎖と軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合できるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)容易に単離され、配列決定される。いくつかの実施態様において、ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの供給源として機能する。単離されたDNAは、発現ベクターに入れられ、その後、大腸菌細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞又は骨髄腫細胞など、他の方法では免疫グロブリンポリペプチドを産生しない宿主細胞にトランスフェクトされ、組換え宿主細胞におけるモノクローナル抗体の合成を得ることができる。抗体をコードするDNAの細菌における組み換え発現に関する総説としては、Skerra et al.,Curr.Opinion in Immunol. 5:256-262(1993)及びPlueckthun,Immunol.Revs.,130:151-188(1992)が挙げられる。
[0126] 更なる実施態様において、抗体又は抗体断片は、McCafferty et al.,Nature 348:552-554(1990)に記載の技術を使用して生成された抗体ファージライブラリーから単離することができる。Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)とMarks et al.,J.Mol.Biol. 222:581-597(1991)には、ファージライブラリーを使用したマウス及びヒト抗体の単離についてそれぞれ記載されている。その後の出版物には、鎖シャッフリングによる高親和性(nMレンジ)ヒト抗体の産生(Marks et al., Bio/Technology 10:779-783 (1992))、並びに、非常に大きなファージライブラリーを構築するための方策としてのコンビナトリアル感染及びin vivo組換え(Waterhouse et al., Nuc. Acids. Res. 21:2265-2266 (1993))が記載されている。したがって、これらの技術は、モノクローナル抗体を単離するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技術の実行可能な代替手段である。
[0127] DNAは、例えば相同マウス配列の代わりにヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインのコード配列を置換することにより(米国特許第4,816,567号;Morrison et al., Proc. Natl Acad. Sci. USA 81:6851 (1984))、又は免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドのコード配列の全部若しくは一部を共有結合することによっても修飾することができる。
[0128] 典型的には、このような非免疫グロブリンポリペプチドは、抗体の定常ドメインに置換されるか、又は抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインに置換されて、抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位と、異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原部位とを含むキメラ二価抗体が作製される。
[0129] 本明細書に記載の方法のいずれかのいくつかの実施態様において、抗体は、IgA、IgD、IgE、IgG又はIgMである。いくつかの実施態様において、抗体は、IgGモノクローナル抗体である。
(ii)ヒト化抗体
[0130] いくつかの実施態様において、抗体は、ヒト化抗体である。非ヒト抗体をヒト化する方法は、当技術分野で記載されている。いくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ又は複数のアミノ酸残基を有する。こうした非ヒトアミノ酸残基は、通常、「移入」残基と呼ばれ、典型的には「移入」可変ドメインから得られる。ヒト化は、基本的には、Winterとその同僚の方法(Jones et al., Nature 321:522-525 (1986); Riechmann et al., Nature 332:323-327 (1988); Verhoeyen et al., Science239:1534-1536 (1988))の方法に従って、超可変領域の配列をヒト抗体の対応する配列と置換することにより実施することができる。よって、このような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインよりも実質的に少ないものが非ヒト種の対応する配列で置換されたキメラ抗体(米国特許第4,816,567号)である。実際には、ヒト化抗体は、通常、いくつかの超可変領域残基と場合によってはいくつかのFR残基がげっ歯類の抗体の類似部位の残基で置換されているヒト抗体である。
[0131] 抗原性を低下させるには、ヒト化抗体を作製する際に使用する軽重両方のヒト可変ドメインの選択が非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、げっ歯類の抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメインの配列のライブラリー全体に対してスクリーニングする。その後、そのげっ歯類の配列と最も近いヒト配列が、ヒト化抗体のヒトフレームワーク領域(FR)として受け入れられる(Sims et al., J. Immunol. 151:2296 (1993); Chothia et al., J. Mol. Biol. 196:901 (1987))。別の方法では、軽鎖又は重鎖可変領域の特定のサブグループの、すべてのヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワーク領域を使用する。同じフレームワークを、いくつかの異なるヒト化抗体について使用してもよい(Carter et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 89:4285 (1992); Presta et al., J. Immunol. 151:2623 (1993))。
[0132] 抗体が抗原に対する高親和性及び他の望ましい生物学的特性を保持した状態でヒト化されることが、更に重要である。この目標を達成するために、本方法のいくつかの実施態様において、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用する親配列及び多様な概念的ヒト化産物の分析プロセスを経て調製される。三次元の免疫グロブリンモデルは、一般に入手可能であり、当業者によく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される三次元立体構造(conformational structure)を描き、表示するコンピュータープログラムが入手可能である。これらの表示を調べることにより、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の推定役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンのその抗原へ結合する能力に影響を及ぼす残基の分析が可能になる。このようにして、FR残基をレシピエント配列及び移入配列から選択して組み合わせることができ、その結果、標的抗原に対する親和性の向上などの所望の抗体特性が得られる。一般に、超可変領域残基は、抗原結合に影響を与えることに直接且つ最も実質的に関与している。
(iii)ヒト抗体
[0133] いくつかの実施態様において、抗体は、ヒト抗体である。ヒト化の代替策として、ヒト抗体を生成することができる。例えば、免疫の際に、内因性免疫グロブリン産生なしでヒト抗体の完全なレパートリーを生成する能力があるトランスジェニック動物(例:マウス)を作製することが現在可能になっている。例えば、キメラマウス及び生殖系列変異体マウスにおいて、抗体の重鎖接合領域(J)遺伝子のホモ接合型欠失は内因性抗体産生を完全に阻害することが記載されている。こうした生殖系列変異体マウスにおけるヒト生殖系列免疫グロブリン遺伝子アレイの導入は、抗原チャレンジの際にヒト抗体の産生をもたらす。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:2551(1993);Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993);Bruggermann et al.,Year in Immuno. 7:33(1993);並びに米国特許第5,591,669号;同第5,589,369号;及び同第5,545,807号参照。
[0134] 或いは、ファージディスプレイ技術((McCafferty et al., Nature 348:552-553 (1990))を使用して、免疫されていないドナー由来の免疫グロブリン可変(V)ドメインの遺伝子レパートリーから、in vitroでヒト抗体及び抗体断片を産生することができる。この技術によれば、抗体Vドメイン遺伝子は、繊維状バクテリオファージ(M13又はfdなど)の主働又は微働被膜ポリペプチド遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングされ、ファージ粒子の表面上で機能的抗体断片としてディスプレイされる。繊維状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAのコピーを含んでいるため、抗体の機能特性に基づく選択は、その特性を呈する抗体をコードする遺伝子の選択にもつながる。このように、ファージは、B細胞の特性の一部を模倣している。ファージディスプレイは、様々なフォーマットで実施することができ、それらの総説については、例えばJohnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Current Opinion in Structural Biology 3:564-571(1993)を参照のこと。ファージディスプレイには、V遺伝子セグメントの複数の供給源を使用することができる。Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)は、免疫されたマウスの脾臓に由来するV遺伝子の小規模なランダムコンビナトリアルライブラリーから、抗オキサゾロン抗体の多種多様なアレイを単離した。免疫されていないヒトドナー由来のV遺伝子のレパートリーを構築し、抗原の多種多様なアレイに対する抗体(自己抗原を含む)を、Marks et al.,J.Mol.Biol. 222:581-597(1991)又はGriffith et al.,EMBO J. 12:725-734(1993)により記載された技術に基本的に従って単離することができる。米国特許第5,565,332号及び第5,573,905号も参照のこと。
[0135] ヒト抗体は、in vitroで活性化されたB細胞により産生されてもよい(米国特許第5,567,610号及び第5,229,275号を参照のこと)。
(iv)抗体断片
[0136] いくつかの実施態様において、抗体は、抗体断片である。いくつかの実施態様では、抗体は、Fc受容体結合ドメインを含む抗体断片である。抗体断片を生産するために様々な技術が開発されてきた。従来、このような断片は、インタクトな抗体のタンパク分解消化を介して誘導された(例えばMorimoto et al., Journal of Biochemical and Biophysical Methods 24:107-117 (1992);及びBrennan et al., Science 229:81 (1985)を参照のこと)。しかし、このような断片は現在、組換え宿主細胞により直接生産することができる。例えば、抗体断片は、上述の抗体ファージライブラリーから単離することができる。
[0137] いくつかの実施態様において、本明細書に記載の抗体の断片が提供される。いくつかの実施態様において、抗体断片は、抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、抗体断片は、Fc受容体結合ドメインを含む抗原結合断片である。いくつかの実施態様において、抗体断片は、Fcγ受容体結合ドメインを含む抗原結合断片である。
(v)二重特異性抗体
[0138] いくつかの実施態様において、抗体は、二重特異性抗体である。二重特異性抗体は、少なくとも2つの異なるエピトープに対して結合特異性を有する抗体である。例示的な二重特異性抗体は、2つの異なるエピトープに結合してもよい。或いは、二重特異性抗体の結合アームは、白血球上のトリガー分子、例えばT細胞受容体分子(例:CD2又はCD3)又はIgGのFc受容体(FcγR)、例えばFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)、及びFcγRIII(CD16)と結合するアームと組み合わせることで、細胞防御機構を細胞に集中させることができる。二重特異性抗体は、完全長抗体又は抗体断片(例:F(ab’)二重特性抗体)として調製することができる。
[0139] 二重特異性抗体を作製するための方法は、当技術分野で既知である。完全長の二重特異性抗体の従来の生産は、2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づいており、2つの鎖は異なる特異性を有する(Millstein et al., Nature 305:537-539 (1983))。免疫グロブリンの重鎖及び軽鎖はランダムに取り合わされるため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10の異なる抗体分子の混合物を生成する可能性があり、そのうち1つだけが正しい二重特異性構造を有する。正しい分子の精製は、通常アフィニティークロマトグラフィー工程により行われるが、かなり面倒であり、生成物の収率は低い。同様の手順は、WO第93/08829号及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655-3659(1991)に開示されている。
[0140] 異なるアプローチでは、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)が免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合される。いくつかの実施態様において、この融合は、ヒンジ領域、CH2領域、及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの間で行われる。いくつかの実施態様において、軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)が、融合体のうちの少なくとも1つに存在する。免疫グロブリン重鎖融合体と、所望により免疫グロブリン軽鎖とをコードしているDNAを別々の発現ベクター中に挿入し、好適な宿主生物の中にコトランスフェクトする。これにより、構築に使用する3つのポリペプチド鎖の等しくない比率が最適な収率をもたらす実施態様において、3つのポリペプチド断片の相互の割合を調節する際に大きな柔軟性がもたらされる。しかしながら、等しい比率での少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が高収率をもたらす場合、又はその比率に特に意味がない場合、2つ若しくは3つすべてのポリペプチド鎖のコード配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
[0141] このアプローチのいくつかの実施態様において、二重特異性抗体は、第1の結合特異性を一方のアームに、複合免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)を他方のアームに有する、複合免疫グロブリン重鎖から構成される。このような非対称的構造により、不要な免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離が容易になることが見出された。これは、二重特異性分子の半分にのみ免疫グロブリン軽鎖が存在することで、分離が容易になるためである。このアプローチは、WO第94/04690号に開示されている。二重特異性抗体生成の更なる詳細については、例えばSuresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照のこと。
[0142] 米国特許第5,731,168号に記載されている別のアプローチによれば、一対の抗体分子の分子間の界面は、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体のパーセンテージが最大になるように操作することができる。いくつかの実施態様において、界面は、抗体定常ドメインのC3ドメインの少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面からの1つ又は複数の小さなアミノ酸側鎖が、より大きな側鎖(例えばチロシン又はトリプトファン)で置き換えられる。大きなアミノ酸側鎖をそれよりも小さなもの(例えばアラニン又はスレオニン)で置き換えることにより、大きな側鎖(複数可)と同じ又は類似のサイズを有する代償性「空洞」が第2の抗体分子の界面に創出される。これは、ヘテロ二量体の収率をホモ二量体などの他の不要な最終生成物よりも高める機構を提供する。
[0143] 二重特異性抗体には、架橋又は「ヘテロコンジュゲート」抗体が含まれる。例えば、ヘテロコンジュゲートの抗体の一方をアビジンに、他方をビオチンに結合させることができる。このような抗体は、例えば、免疫系細胞を不要な細胞に標的化するために提案され(米国特許第4,676,980号)、また、HIV感染症の治療としても提案されている(WO第91/00360号、WO第92/200373号、及びEP第0308936号)。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製され得る。好適な架橋剤は、当技術分野でよく知られており、米国特許第4,676,980号において、いくつかの架橋手法と共に開示されている。
[0144] 抗体断片から二重特異性抗体を生成するための技術も、文献に記載されている。例えば、化学結合を用いて二重特異性抗体を調製することができる。Brennan et al.,Science 229:81(1985)は、インタクトな抗体をタンパク質分解で切断してF(ab’)断片を生成する手順を記載している。こうした断片をジチオール錯化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して隣接ジチオールを安定化させ、分子間ジスルフィドの形成を防止する。その後、生成されたFab’断片をチオニトロベンゾエート(TNB)誘導体に変換する。その後、Fab’-TNB誘導体の一方を、メルカプトエチルアミンを用いた還元によりFab’-チオールに再変換し、等モル量の他方のFab’-TNB誘導体と混合して二重特異性抗体を形成する。生成された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化用薬剤として使用され得る。
[0145] 組換え細胞培養から直接二重特異性抗体断片を作製及び単離するための様々な技術も記載されている。例えば、二重特異性抗体はロイシンジッパーを用いて製造されている。Kostelny et al.,J.Immunol.148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドは、遺伝子融合により、2つの異なる抗体のFab’部分に連結された。この抗体ホモ二量体は、ヒンジ領域で還元されてモノマーを形成し、その後再酸化されて抗体ヘテロ二量体を形成した。この方法は、抗体ホモ二量体の製造にも利用することができる。Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 90:6444-6448(1993)で記載された「ダイアボディ」技術は、二重特異性抗体断片を作製するための代替機構を提供した。これらの断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対形成を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(V)に接続された重鎖可変ドメイン(V)を含む。したがって、ある断片のV及びVドメインは、別の断片の相補的なV及びVドメインと対形成することを余儀なくされることにより、2つの抗原結合部位を形成する。単鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性抗体断片を作製するための別の方策も報告されている。Gruber et al.,J.Immunol.152:5368(1994)を参照のこと。
[0146] 三価以上の抗体が企図される。例えば、三重特異性抗体が調製され得る。Tutt et al.,J.Immunol. 147:60(1991)。
(v)多価抗体
[0147] いくつかの実施態様において、抗体は、多価抗体である。多価抗体は、抗体が結合する抗原を発現させる細胞により、二価抗体より速く内部移行(及び/又は異化)され得る。本明細書において提供される抗体は、3つ以上の抗原結合部位を有する多価抗体(IgMクラスの抗体以外である)であってもよく(例えば四価抗体)、そのような抗体は、抗体のポリペプチド鎖をコードしている核酸の組換え発現により、容易に産生され得る。多価抗体は、二量体化ドメイン及び3つ以上の抗原結合部位を含み得る。好ましい二量体化ドメインは、Fc領域又はヒンジ領域を含む(又はそれからなる)。この場合、抗体は、Fc領域と、Fc領域のアミノ末端にある3つ以上の抗原結合部位とを含む。本明細書における好ましい多価抗体は、3つから約8つ、ただし好ましくは4つの抗原結合部位を含む(又はそれらからなる)。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含み、そのポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含む。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fc(ここで、VD1は、第1の可変ドメインであり、VD2は、第2の可変ドメインであり、Fcは、Fc領域の一方のポリペプチド鎖であり、X1及びX2は、アミノ酸又はポリペプチドを表し、nは、0又は1である)を含んでもよい。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH-CH1-柔軟性リンカー-VH-CH1-Fc領域鎖;又はVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含んでもよい。本明細書における多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを更に含む。本明細書における多価抗体は、例えば、約2つから約8つの軽鎖可変ドメインポリペプチドを含んでもよい。ここで企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択的にCLドメインを更に含む。
[0148] いくつかの実施態様において、抗体は、多重特異性抗体である。多重特異性抗体の例には、限定されないが、V単位がポリエピトープ特異性を有する、重鎖可変ドメイン(V)及び軽鎖可変ドメイン(V)を含む抗体、各V単位が異なるエピトープに結合する2つ以上のV及びVドメインを有する抗体、各単一可変ドメインが異なるエピトープに結合する2つ以上の単一可変ドメインを有する抗体、完全長抗体、Fab、Fv、dsFv、scFvなどの抗体断片、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、トリアボディ、三官能性抗体、共有結合又は共有結合で結合された抗体断片が含まれる。いくつかの実施態様において、その抗体は、ポリエピトープ特異性;例えば、同じ又は異なる標的(複数可)上の2つ以上の異なるエピトープに特異的に結合する能力を有する。いくつかの実施態様において、抗体は、単一特異性であり、例えば、1つのエピトープのみに結合する抗体である。一実施態様によれば、多重特異性抗体は、親和性が5μM~0.001pM、3μM~0.001pM、1μM~0.001pM、0.5μM~0.001pM、又は0.1μM~0.001pMである各エピトープに結合するIgG抗体である。
(vi)その他の抗体修飾
[0149] 本明細書において提供される抗体を修飾することは、エフェクター機能、例えば、抗体の抗原依存性細胞媒介性細胞傷害性(ADCC)及び/又は補体依存性細胞傷害(CDC)を強化するためのエフェクター機能に関して、望ましい場合がある。これは、抗体のFc領域において1つ又は複数のアミノ酸置換基を導入することにより達成してもよい。代替的又は追加的に、システイン残基(複数可)をFc領域に導入して、それにより、この領域における鎖間ジスルフィド結合形成が可能になるようにしてもよい。このようにして生成されたホモ二量体抗体は、内部移行能力が向上し、且つ/又は補体媒介性細胞殺傷及び抗体依存性細胞傷害(ADCC)が増加する可能性がある。Caron et al.,J.Exp Med. 176:1191-1195(1992)及びShopes,B.J.,Immunol. 148:2918-2922(1992)を参照のこと。抗腫瘍活性が強化されているホモ二量体型抗体は、Wolff et al.,Cancer Research 53:2560-2565(1993)に記載されているように、ヘテロ二官能性の架橋剤を使用して調製されてもよい。或いは、2つのFc領域を有し、それにより補体媒介性溶解及びADCC能が強化され得る抗体を操作することができる。Stevenson et al.,Anti-Cancer Drug Design 3:219-230(1989)を参照されたい。
[0150] 抗体の血清半減期を延長させるために、米国特許出願公開第2006/0067930号(参照によりその全体が本明細書に援用される)に記載されているように抗体のアミノ酸に変更を加えることができる。
(B)ポリペプチドバリアントと修飾
[0151] 本明細書に記載されているポリペプチド(抗体を含む)のアミノ酸配列の修飾(複数可)は、本明細書に記載のポリペプチド(例:抗体)を精製する方法で使用することができる。
(i)バリアントポリペプチド
[0152] 「ポリペプチドバリアント」は、ポリペプチドの全長天然配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、ポリペプチドの細胞外ドメイン(シグナルペプチドの有無を問わない)と少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性を有する、本明細書で定義されるポリペプチド、好ましくは活性ポリペプチドを意味する。このようなポリペプチドバリアントには、例えば、全長天然アミノ酸配列のN又はC末端で1つ又は複数のアミノ酸残基が付加され又は欠失しているポリペプチドが含まれる。通常、TATポリペプチドバリアントは、全長天然配列ポリペプチド配列、シグナルペプチドを欠くポリペプチド配列、ポリペプチドの細胞外ドメイン(シグナルペプチドの有無を問わない)に対して少なくとも約80%のアミノ酸配列同一性、或いは少なくとも約85%、90%、95%、96%、97%、98%又は99%のいずれかのアミノ酸配列同一性を有する。場合により、バリアントポリペプチドは、天然ポリペプチド配列と比較して1つだけの保存的アミノ酸置換を有し、或いは、天然ポリペプチド配列と比較してわずか約2、3、4、5、6、7、8、9又は10のいずれかの保存的アミノ酸置換を有する。
[0153] バリアントポリペプチドは、全長天然ポリペプチドと比較して、例えば、N末端又はC末端で切断されているか、又は内部残基を欠いている可能性がある。特定のバリアントポリペプチドは、所望の生物学的活性に必須ではないアミノ酸残基を欠いている可能性がある。切断、欠失、及び挿入を伴うこれらのバリアントポリペプチドは、複数の従来技術のいずれによっても調製することができる。所望のバリアントポリペプチドは、化学合成されてもよい。別の好適な技術は、所望のバリアントポリペプチドをコードする核酸断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により単離及び増幅することを含んでいる。PCRの5’及び3’プライマーにおいては、核酸断片の所望の末端を決定するオリゴヌクレオチドが用いられる。好ましくは、バリアントポリペプチドは、本明細書で開始されている天然ポリペプチドと少なくとも1つの生物学的及び/又は免疫学的活性を共有する。
[0154] アミノ酸配列挿入には、長さが1残基から100又はそれ以上の残基を有するポリペプチドまでの範囲のアミノ末端及び/又はカルボキシル末端融合、並びに単一又は複数のアミノ酸残基の配列内挿入が含まれる。末端挿入の例としては、N末端メチオニン残基を有する抗体又は細胞傷害性ポリペプチドと融合した抗体が含まれる。抗体分子の他の挿入バリアントには、抗体の血清半減期を延長させる酵素又はポリペプチドに対する抗体のN又はC末端への融合体が含まれる。
[0155] 例えば、ポリペプチドの結合親和性及び/又は他の生物学的特性を改善することが望まれ得る。ポリペプチドのアミノ配列バリアントは、適切なヌクレオチド変化を抗体核酸に導入することにより、又はペプチド合成により調製される。このような修飾には、例えば、ポリペプチドのアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/又はそれらへの挿入、及び/又はそれらの置換が含まれる。最終コンストラクトが所望の特性を保有することを条件として、欠失、挿入、及び置換の任意の組み合わせが行われて、最終コンストラクトに到達する。また、アミノ酸の変化は、グリコシル化部位の数又は位置の変化など、ポリペプチド(例えば抗体)の翻訳後プロセスを変化させる可能性がある。
[0156] 所望の活性に悪影響を及ぼすことなくどのアミノ酸残基を挿入、置換又は欠失させ得るかを決定する際の指針は、ポリペプチドの配列を相同の既知のポリペプチド分子の配列と比較して、相同性の高い領域においてなされるアミノ酸配列変化の数を最小限にすることにより見出され得る。
[0157] 突然変異誘発にとって好ましい位置である、ポリペプチド(例えば抗体)の特定の残基又は領域の特定のための有用な方法は、Cunningham and Wells,Science 244:1081-1085(1989)により記載されているように、「アラニンスキャニング変異誘発」と呼ばれる。この方法では、標的となる残基又は残基群が特定され(例:Arg、Asp、His、Lys、Gluなどの荷電残基)、中性の又は負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニン又はポリアラニン)により置き換えられ、抗原とアミノ酸との相互作用に影響を与える。その後、置換に対して機能的感受性を示すこれらのアミノ酸位置は、置換部位に又はそれに対して更なる又は他のバリアントを導入することによって改良される。このように、アミノ酸配列バリアントを導入する部位は予め決定されるが、突然変異自体の性質は予め決まっている必要はない。例えば、所与の部位での突然変異の成果を分析するために、alaスキャニング又はランダム突然変異誘発が標的コドン又は領域で行われ、発現された抗体バリアントが所望の活性についてスクリーニングされる。
[0158] バリアントの別の種類には、アミノ酸置換バリアントがある。こうした置換バリアントは、異なる残基により置換された抗体分子に少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換型突然変異誘発で最も関心の高い部位としては超可変領域が挙げられるが、FRの変更も企図される。保存的置換が、表1の「例示的置換」という見出しの下に示されている。次いで、このような置換が生物活性に変化をもたらす場合は、表1で「置換」と呼ばれる、又はアミノ酸クラスに関連して以下で更に説明されるような、より大幅な変更を導入し、生成物をスクリーニングすることができる。
Figure 2022528804000006
[0159] ポリペプチドの生物学的特性の大幅な改変は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えばシート若しくはへリックス構造、(b)標的部位での分子の電荷若しくは疎水性又は(c)側鎖の嵩を維持する効果が大きく異なる置換を選択することによって達成される。アミノ酸は、側鎖の特性の類似性に従って、以下のようにグループ化することができる(A. L. Lehninger,Biochemistry, second ed., pp. 73-75, Worth Publishers, New York (1975))。
(1)非極性:Ala(A)、Val(V)、Leu(L)、Ile(I)、Pro(P)、Phe(F)、Trp(W)、Met(M)
(2)非荷電極性:Gly(G)、Ser(S)、Thr(T)、Cys(C)、Tyr(Y)、Asn(N)、Gln(Q)
(3)酸性:Asp(D)、Glu(E)
(4)塩基性:Lys(K)、Arg(R)、His(H)
[0160] 或いは、天然に存在する残基は、共通の側鎖特性に基づいて、以下のグループに分けることができる。
(1)疎水性:ノルロイシン、Met、Ala、Val、Leu、Ile
(2)中性の親水性:Cys、Ser、Thr、Asn、Gln
(3)酸性:Asp、Glu
(4)塩基性:His、Lys、Arg
(5)鎖配向に影響する残基:Gly、Pro
(6)芳香族:Trp、Tyr、Phe
[0161] 非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つの要素を別のクラスの要素と交換することを必然的に伴うものである。
[0162] また、抗体の適切な立体構造の維持に関与しないシステイン残基も、分子の酸化安定性を改善し、異常な架橋を防ぐために、一般にセリンで置換することができる。逆に、システイン結合(複数可)をポリペプチドに付加して、その安定性を改善することもできる(特に、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
[0163] 特に好ましいタイプの置換型バリアントは、親抗体(例:ヒト化抗体)の1つ又は複数の超可変領域の残基を置換することを含む。一般に、更なる開発のために選択された結果として得られるバリアント(複数可)は、それらを生成する親抗体と比較して改善された生物学的特性を有するであろう。このような置換型バリアントを生成する簡便な方法には、ファージディスプレイを使用した親和性成熟が含まれる。簡潔に言えば、いくつかの超可変領域部位(例:6~7部位)を変異させて、各部位で可能なすべてのアミノ置換を生成する。このようにして生成された抗体バリアントは、繊維状ファージ粒子から、各粒子内に充填されたM13の遺伝子III産物への融合体として一価の様式でディスプレイされる。その後、ファージディスプレイされたバリアントは、本明細書において開示されているように、その生物学的活性(例:結合親和性)についてスクリーニングされる。修飾のための候補となる超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング突然変異誘発を実施して、抗原結合に大きく寄与する超可変領域残基を特定することができる。代替的又は追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を解析して、抗体と標的との間の接触点を特定することが有益である場合もある。このような接触残基及び隣接残基は、本明細書において詳述した技術に従って置換の候補になる。このようなバリアントが生成されたら、本明細書に記載されているようにバリアントのパネルをスクリーニングし、1つ又は複数の関連する試験において優れた特性を持つ抗体を選択して、更なる開発を行うことができる。
[0164] ポリペプチドの別のタイプのアミノ酸バリアントは、抗体の元のグリコシル化パターンを変える。ポリペプチドは、非アミノ酸部分を含んでもよい。例えば、ポリペプチドは、グリコシル化されていてもよい。このようなグリコシル化は、宿主細胞又は宿主生物におけるポリペプチドの発現中に自然に起きてもよく、又はヒトの介入にから生じる意図的な修飾であってもよい。変更とは、ポリペプチドに見られる1つ若しくは複数の炭水化物部分を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ若しくは複数のグリコシル化部位を付加することを意味する。
[0165] ポリペプチドのグリコシル化は、典型的にはN-結合型又はO-結合型のいずれかである。N-結合型は、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列のアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニン(ここで、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素的結合のための認識配列である。よって、ポリペプチドにおけるこれらトリペプチド配列のいずれかの存在が、潜在的なグリコシル化部位を作る。O-結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレオニンに、糖類であるN-アセチルガラクトサミン、ガラクトース又はキシロースの1つが結合することを指すが、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンを用いてもよい。
[0166] ポリペプチドへのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列のうちの1つ又は複数を含むようにアミノ酸配列を変更することによって簡便に達成される(N-結合型グリコシル化部位の場合)。この変更は、1つ又は複数のセリン又はスレオニン残基を元の抗体の配列に付加又は置換することによってもなされ得る(O-結合型グリコシル化部位の場合)。
[0167] ポリペプチド上に存在する炭水化物部分の除去は、化学的若しくは酵素的に、又はグリコシル化のための標的として機能するアミノ酸残基をコードするコドンの突然変異置換によって達成され得る。ポリペプチド上の炭水化物部分の酵素的切断は、様々なエンドグリコシダーゼ及びエキソグリコシダーゼの使用により達成され得る。
[0168] 他の修飾としては、グルタミニル残基及びアスパラギニル残基の、それぞれ対応するグルタミル残基及びアスパルチル残基への脱アミド化、プロリン及びリジンのヒドロキシル化、セリル又はスレオニル残基のヒドロキシル基のリン酸化、リジン、アルギニン及びヒスチジン側鎖のα-アミノ基のメチル化、N末端アミンのアセチル化、並びに任意のC末端カルボキシル基のアミド化が挙げられる。
(ii)キメラポリペプチド
[0169] 本明細書に記載されているポリペプチドは、別の異種ポリペプチド又はアミノ酸配列と融合したポリペプチドを含むキメラ分子を形成するように修飾されてもよい。いくつかの実施態様において、キメラ分子は、抗タグ抗体が選択的に結合することができるエピトープをもたらすタグポリペプチドとポリペプチドの融合体を含む。エピトープタグは、一般に、ポリペプチドのアミノ又はカルボキシル末端に配置される。ポリペプチドのこのようなエピトープタグ付き形態の存在は、タグポリペプチドに対する抗体を使用して検出することができる。また、エピトープタグの提供により、抗タグ抗体を用いるか又はエピトープタグに結合する別の種類のアフィニティーマトリックスを用いるアフィニティー精製によって、ポリペプチドを容易に精製することができる。
[0170] 代替的な実施態様において、キメラ分子は、免疫グロブリン又は免疫グロブリンの特定領域とポリペプチドの融合体を含んでもよい。二価の形態のキメラ分子は、「イムノアドヘシン」と称される。
[0171] 本明細書において使用される場合、用語「イムノアドヘシン」は、異種ポリペプチドの結合特異性を免疫グロブリン定常ドメインのエフェクター機能と組み合わせた抗体様の分子を指している。構造的に、イムノアドヘシンは、抗体の抗原認識及び結合部位以外の、所望の結合特異性を有するアミノ酸配列(すなわち「異種」である)と免疫グロブリン定常ドメイン配列との融合体を含む。イムノアドヘシン分子のアドヘシン部分は、典型的には、少なくとも受容体又はリガンドの結合部位を含む近接するアミノ酸配列である。イムノアドヘシンにおける免疫グロブリン定常ドメイン配列は、任意の免疫グロブリン、例えばIgG1、IgG2、IgG3若しくはIgG4サブタイプ、IgA(IgA1及びIgA2を含む)、IgE、IgD又はIgMから得ることができる。
[0172] Ig融合体は、好ましくは、Ig分子内の少なくとも1つの可変領域の代わりに、ポリペプチドの可溶性(膜貫通ドメインが欠失又は不活性化されている)形態の置換を含む。特に好ましい実施態様において、免疫グロブリン融合体は、IgG1分子のヒンジ、CH及びCH、又はヒンジ、CH及びCH領域を含む。
(iii)ポリペプチドコンジュゲート
[0173] ポリペプチド製剤における使用のためのポリペプチドは、化学療法剤などの細胞傷害剤;成長阻害剤;毒素(例:細菌、真菌、植物若しくは動物起源の酵素活性毒素又はこれらの断片);又は放射性同位体(すなわち放射性コンジュゲート(radioconjugate))にコンジュゲートしていてもよい。
[0174] このようなコンジュゲートの生成に有用な化学療法剤が使用され得る。加えて、使用され得る酵素的に活性な毒素及びそれらの断片には、ジフテリアA鎖、ジフテリア毒素の非結合活性断片、(緑膿菌からの)外毒素A鎖、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデシンA鎖、アルファ-サルシン、シナアブラギリタンパク質、ジアンチン(dianthin)タンパク質、ヨウシュヤマゴボウタンパク質(PAPI、PAPII及びPAP-S)、ニガウリ阻害剤、クルシン、クロチン、サボンソウ阻害剤、ゲロニン、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン、フェノマイシン(phenomycin)、エノマイシン、及びトリコテセンが含まれる。種々の放射性核種が、放射性コンジュゲートポリペプチドの製造のために利用され得る。例としては、212Bi、131I、131In、90Y、及び186Reが挙げられる。ポリペプチドと細胞傷害性剤とのコンジュゲートは、種々の二官能性タンパク質カップリング剤、例えば、N-スクシンイミジル-3-(2-ピリジルジチオール)プロピオネート(SPDP)、イミノチオラン(IT)、イミドエステルの二官能性誘導体(ジメチルアジピミデートHCLなど)、活性エステル(ジスクシンイミジルスベレートなど)、アルデヒド(グルタルアルデヒドなど)、ビスアジド化合物(ビス(p-アジドベンゾイル)ヘキサンジアミンなど)、ビス-ジアゾニウム誘導体(ビス-(p-ジアゾニウムベンゾイル)-エチレンジアミン)、ジイソシアネート(2,6-ジイソシアン酸トリレンなど)、及びビス活性フッ素化合物(1,5-ジフルオロ-2,4-ジニトロベンゼンなど)を使用して作られる。例えば、リシンイムノトキシンは、Vitetta et al.,Science 238:1098(1987)に記載のようにして調製することができる。炭素-14-標識1-イソチオシアナトベンジル-3-メチルジエチレントリアミン五酢酸(MX-DTPA)は、放射性ヌクレオチドのポリペプチドへのコンジュゲートのためのキレート剤の例である。
[0175] ポリペプチドと1種以上の低分子毒素、例えば、カリケアマイシン、メイタンシノイド、トリコテセン及びCC1065、並びに毒素活性を有するこれらの毒素の誘導体とのコンジュゲートもまた、本明細書において企図される。
[0176] メイタンシノイドは、チューブリン重合を阻害することにより作用する有糸***阻害剤である。メイタンシンは、東アフリカの低木マイテヌス・セルラタから最初に単離された。その後、特定の微生物がメイタンシノール及びC-3メイタンシノールエステルなどのメイタンシノイドも生成することが発見された。合成のメイタンシノール、並びにその誘導体及びアナログも企図される。ポリペプチド-メイタンシノイドコンジュゲートを作製するための、当技術分野において既知の多くの連結基(例えば米国特許第5,208,020号に開示されているものを含む)がある。連結基には、上で特定した特許において開示されているジスルフィド基、チオエーテル基、酸解離性基、光解離性基、ペプチダーゼ解離性基又はエステラーゼ解離性基が含まれ、ジスルフィド基及びチオエーテル基が好ましい。
[0177] リンカーは、連結の種類に応じて、多様な位置でメイタンシノイド分子に結合させることができる。例えば、エステル結合は、従来のカップリング技術を使用したヒドロキシル基との反応によって形成することができる。この反応は、ヒドロキシル基を有するC-3位、ヒドロキシメチルで修飾されたC-14位、ヒドロキシル基で修飾されたC-15位、及びヒドロキシル基を有するC-20位で起こり得る。好ましい実施態様では、結合は、メイタンシノール又はメイタンシノールアナログのC-3位において形成される。
[0178] 目的の別のコンジュゲートは、1つ又は複数のカリケアマイシン分子にコンジュゲートされたポリペプチドを含む。抗生物質のカリケアマイシンファミリーは、ピコモル以下の濃度で二本鎖DNA破壊を生じさせる能力がある。カリケアマイシンファミリーのコンジュゲートの調製については、例えば米国特許第5,712,374号を参照されたい。使用され得るカリケアマイシンの構造的iアナログとしては、限定されないが、γ 、α 、α 、N-アセチル-γ 、PSAG、及びθ が挙げられる。抗体をコンジュゲートすることができる別の抗腫瘍薬は、葉酸代謝拮抗薬であるQFAである。カリケアマイシンアマイシン及びQFAはいずれも、細胞内作用部位を有しており、原形質膜を容易に通過しない。したがって、細胞がポリペプチド(例:抗体)媒介性の内部移行を通じてこれらの薬剤を取り込むと、その細胞傷害効果は大きく強化される。
[0179] 本明細書に記載されているポリペプチドにコンジュゲートすることができる他の抗腫瘍剤としては、BCNU、ストレプトゾイシン、ビンクリスチン、及び5-フルオロウラシル、まとめてLL-E33288複合体として知られている薬剤のファミリー、並びにエスペラマイシンが挙げられる。
[0180] いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、ポリペプチドと、核酸分解活性を有する化合物(例:リボヌクレアーゼ又はDNAエンドヌクレアーゼ、例えばデオキシリボヌクレアーゼ;DNase)との間のコンジュゲートであってもよい。
[0181] また別の実施態様において、ポリペプチド(例:抗体)は、腫瘍の事前標的化に利用するための「受容体」(ストレプトアビジンなど)にコンジュゲートしていてもよく、ポリペプチド受容体コンジュゲートが患者に投与され、続いて、クリアリング剤(clearing agent)を使用して、結合されていないコンジュゲートを循環から除去し、次いで、細胞傷害性剤(例:放射性ヌクレオチド)にコンジュゲートされている「リガンド」(例:アビジン)が投与される。
[0182] いくつかの実施態様において、ポリペプチドは、プロドラッグ(例:ペプチジル化学療法剤)を活性のある抗がん薬物に変換させるプロドラッグ活性化酵素にコンジュゲートされていてもよい。免疫コンジュゲートの酵素成分には、プロドラッグをより活性な細胞傷害性形態に変換させるような方法でプロドラッグに作用する能力がある任意の酵素が含まれる。
[0183] 有用である酵素としては、限定されないが、ホスフェート含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なアルカリホスファターゼ;スルフェート含有プロドラッグを遊離薬剤物変換するのに有用なアリールスルファターゼ;非毒性の5-フルオロシトシンを抗がん薬物の5-フルオロウラシルに変換するのに有用なシトシンデアミナーゼ;ペプチド含有プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用なプロテアーゼ(セラチアプロテアーゼ、サーモリシン、サブチリシン、カルボキシペプチダーゼ、及びカテプシン(例えばカテプシンB及びL)など);D-アミノ酸置換基を含有するプロドラッグを変換するのに有用なD-アラニルカルボキシペプチダーゼ;グリコシル化プロドラッグを遊離薬物に変換するのに有用な炭水化物切断酵素(β-ガラクトシダーゼ及びノイラミニダーゼなど);β-ラクタムで誘導体化されている薬物を遊離薬物に変換するのに有用なβ-ラクタマーゼ;並びに、アミン窒素の位置にてそれぞれフェノキシアセチル基又はフェニルアセチル基で誘導体化されている薬剤物を遊離物に変換するのに有用なペニシリンアミダーゼ(ペニシリンVアミダーゼ又はペニシリンGアミダーゼなど)が挙げられる。或いは、酵素活性を有する抗体は、当技術分野においては「アブザイム」としても知られているが、これを使用してプロドラッグを遊離活性薬物に変換することができる。
(iv)その他
[0184] ポリペプチドの別のタイプの共有結合修飾は、ポリペプチドを様々な非タンパク質性ポリマー、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシアルキレン、又はポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとのコポリマーのうちの1つと連結させることを含む。ポリペプチドは、例えば、コアセルベーション技術又は界面重合法によって調製されたマイクロカプセル(例えば、それぞれヒドロキシメチルセルロース又はゼラチン-マイクロカプセル及びポリ-(メチルメタシレート)マイクロカプセル)に、コロイド薬物送達系(例えば、リポソーム、アルブミンミクロスフィア、ミクロエマルジョン、ナノ粒子、及びナノカプセル)に、又はマクロエマルジョンに封入されてもよい。このような技術は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,第18版,Gennaro,A.R.,Ed.,(1990)に開示されている。
製剤及び方法において使用するためのポリペプチドの取得
[0185] 本明細書に記載されている分析方法において使用されるポリペプチドは、組換え法を含め、当技術分野においてよく知られている方法を使用して取得することができる。次のセクションでは、これらの方法に関するガイダンスを提供する。
[0186] (A)ポリヌクレオチド
[0187] 本明細書で互換可能に使用される「ポリヌクレオチド」又は「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。
[0188] ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ポリペプチドmRNAを有し、それを検出可能なレベルで発現させると考えられる組織から調製されたcDNAライブラリーを含むがこれに限定されない、任意の供給源から得ることができる。したがって、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドは、ヒト組織から調製されたcDNAライブラリーから簡便に取得できる。ポリペプチドをコードする遺伝子は、ゲノムライブラリーから又は既知の合成手順(例:自動化された核酸合成)により取得されてもよい。
[0189] 例えば、ポリヌクレオチドは、軽鎖又は重鎖などの免疫グロブリン分子鎖全体をコードし得る。完全な重鎖は、重鎖可変領域(V)だけでなく、典型的には3つの定常ドメイン:CH1、CH2及びCH3と「ヒンジ」領域から構成される重鎖定常領域(C)も含む。状況によっては、定常領域が存在することが望ましい。いくつかの実施態様において、ポリヌクレオチドは、TDBの1つ又は複数の免疫グロブリン分子鎖をコードする。
[0190] ポリヌクレオチドによりコードされ得るその他のポリペプチドとしては、抗原結合抗体断片、例えば単一ドメイン抗体(「dAb」)、Fv、scFv、Fab’及びF(ab’)、並びに「ミニボディ」が挙げられる。ミニボディは、C1及びC又はCドメインが切り出された(典型的には)二価の抗体断片である。ミニボディは従来の抗体より小さいため、臨床/診断用途においてより良好な組織穿通を達成するはずであるが、二価であることから、dAbなどの一価抗体断片よりも高い結合親和性を保持するはずである。したがって、文脈上でそうでないことが示されない限り、本明細書において使用される「抗体」という用語は、全抗体分子だけでなく、上述の種類の抗原結合抗体断片を包含する。好ましくは、コードされているポリペプチド中に存在する各フレームワーク領域は、対応するヒトアクセプターフレームワークに対して少なくとも1つのアミノ酸置換を含む。したがって、例えば、フレームワーク領域は、アクセプターフレームワーク領域に対して合計で3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14又は15のアミノ酸置換基を含み得る。
例示的な実施態様
[0191] 1. 標的抗原に結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチドの活性を決定する方法であって、
a)固定化された標的抗原をポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、
b)抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること
を含み;
レポーターの発現がポリペプチドの活性を示す、ポリペプチドの活性を決定する方法。
[0192] 2. ポリペプチドが標的抗原と結合するポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、
a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、
b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、
c)レポーターの発現を測定すること、及び
d)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、
ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法。
[0193] 3. 標準試料に対するマルチパラメーター・ロジスティックフィットを使用して、ポリペプチド調製物のEC50に基づく力価を計算することを更に含む、実施態様2に記載の方法。
[0194] 4. マルチパラメーター・ロジスティックフィットが3パラメーター、4パラメーター又は5パラメーター・ロジスティックフィットである、実施態様3に記載の方法。
[0195] 5. 標準試料のEC50が、ポリペプチド調製物のEC50と同時に決定される、実施態様2から4のいずれか1つに記載の方法。
[0196] 6. レポーターがルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である、実施態様1から5のいずれか1つに記載の方法。
[0197] 7. ルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである、実施態様6に記載の方法。
[0198] 8. Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列が、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子(例:Elk1)である、実施態様1から7のいずれか1つに記載の方法。
[0199] 9. 食細胞が単球である、実施態様1から8のいずれか1つに記載の方法。
[0200] 10. 食細胞が細胞株からのものである、実施態様1から9のいずれか1つに記載の方法。
[0201] 11. 細胞株がTHP-1細胞株又はU-937細胞株である、実施態様10に記載の方法。
[0202] 12. Fcγ受容体がFcγRI(CD64)又はFcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である、実施態様1から11のいずれか1つに記載の方法。
[0203] 13. 食細胞がFcγ受容体を過剰発現させるように操作される、実施態様1から12のいずれか1つに記載の方法。
[0204] 14. 食細胞がFcγRIIaを過剰発現させるように操作される、実施態様13に記載の方法。
[0205] 15. 食細胞がFcγRIIIを発現させない、実施態様1から14のいずれか1つに記載の方法。
[0206] 16. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)又はCD20である、実施態様1から15のいずれか1つに記載の方法。
[0207] 17. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)である、実施態様16に記載の方法。
[0208] 18. AβがヒトAβである、実施態様17に記載の方法。
[0209] 19. Aβがモノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む、実施態様17又は18に記載の方法。
[0210] 20. ヒトAβがAβ1-40又はAβ1-42である、実施態様17に記載の方法。
[0211] 21. ポリペプチドが全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む、実施態様1から20のいずれか1つに記載の方法。
[0212] 22. ポリペプチドがAβに特異的に結合する、実施態様1から21のいずれか1つに記載の方法。
[0213] 23. ポリペプチドが抗体又はイムノアドヘシンである、実施態様1から22のいずれか1つに記載の方法。
[0214] 24. ポリペプチドがクレネズマブである、実施態様22又は23に記載の方法。
[0215] 25. 標的抗原が表面に固定化される、実施態様1から24のいずれか1つに記載の方法。
[0216] 26. 表面がプレートである、実施態様25に記載の方法。
[0217] 27. プレートがマルチウェルプレートである、実施態様26に記載の方法。
[0218] 28. 抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍で表面に固定化される、実施態様25から27のいずれか1つに記載の方法。
[0219] 29. 標的抗原がビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される、実施態様25から28のいずれか1つに記載の方法。
[0220] 30. 標的抗原がビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む、実施態様29に記載の方法。
[0221] 31. 標的抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している、実施態様29又は30に記載の方法。
[0222] 32. レポーターが、抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させてから、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24時間又は24時間を超える時間のうちのいずれか1つ又は複数の時間が経過した後に検出される、実施態様1から31のいずれか1つに記載の方法。
[0223] 33. ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を決定するための、固定化された標的抗原と食細胞とを含むキットであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、
レポーターの発現がポリペプチドの力価を示す、
キット。
[0224] 34. ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を定量化するための、固定化された標的抗原と、食細胞と、標準試料とを含むキットであって;
食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、レポーターの発現がポリペプチドの力価を示し;且つ、
標準試料は、力価が既知のポリペプチドの調製物を含む、
キット。
[0225] 35. レポーターがルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である、実施態様33又は34に記載のキット。
[0226] 36. ルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである、実施態様35に記載のキット。
[0227] 37. レポーターの発現を検出する試薬を更に含む、実施態様33から36のいずれか1つに記載のキット。
[0228] 38. Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列が、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子(例:Elk1)である、実施態様33から37のいずれか1つに記載のキット。
[0229] 39. 食細胞が細胞株からのものである、実施態様33から38のいずれか1つに記載のキット。
[0230] 41. 細胞株がTHP-1細胞株又はU-937細胞株である、実施態様39に記載のキット。
[0231] 41. Fcγ受容体がFcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である、実施態様33から40のいずれか1つに記載のキット。
[0232] 42. 食細胞がFcγ受容体を過剰発現させるように操作される、実施態様33から41のいずれか1つに記載のキット。
[0233] 43. 食細胞がFcγRIIaを過剰発現させるように操作される、実施態様42に記載のキット。
[0234] 44. 食細胞がFcγRIIIを発現させない、実施態様33から43のいずれか1つに記載のキット。
[0235] 45. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)又はCD20である、実施態様33から44のいずれか1つに記載のキット。
[0236] 46. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)である、実施態様33から45のいずれか1つに記載のキット。
[0237] 47. AβがヒトAβである、実施態様46に記載のキット。
[0238] 48. Aβがモノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む、実施態様46又は47に記載のキット。
[0239] 49. ヒトAβがAβ1-40又はAβ1-42である、実施態様48に記載のキット。
[0240] 50. ポリペプチドが全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む、実施態様33から49のいずれか1つに記載のキット。
[0241] 51. ポリペプチドがAβに特異的に結合する、実施態様33から50のいずれか1つに記載のキット。
[0242] 52. ポリペプチドが抗体又はイムノアドヘシンである、実施態様33から51のいずれか1つに記載のキット。
[0243] 53. ポリペプチドがクレネズマブである、実施態様52に記載のキット。
[0244] 54. 標的抗原が表面に固定化される、実施態様33から53のいずれか1つに記載のキット。
[0245] 55. 表面がプレートである、実施態様54に記載のキット。
[0246] 56. プレートがマルチウェルプレートである、実施態様55に記載のキット。
[0247] 57. 標的抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している、実施態様55又は56に記載のキット。
[0248] 58. 標的抗原がビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される、実施態様54からの57いずれか1つに記載のキット。
[0249] 59. 標的抗原がビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む、実施態様58に記載のキット。
[0250] 本明細書に開示されるすべての特徴は、任意の組み合せで組み合わされてもよい。本明細書に開示される各特徴は、同一、同等又は類似の目的を果たす代替的な特徴により置き換えられてもよい。したがって、特に断らない限り、開示されている各特徴は、包括的な一連の同等又は類似の特徴の一例に過ぎない。
[0251] 本発明の更なる詳細は、以下の非限定的な実施例により説明される。本明細書中のすべての引用文献の開示は、参照により本明細書に明示的に援用される。
[0252] 以下の実施例は、単に本発明の例示であることが意図されており、したがって、決して本発明を限定するものと考えられるべきではない。以下の実施例及び詳細な記述は、説明のために提供されるものであり、限定のために提供されるものではない。
実施例1
材料及び方法
食作用レポーター細胞生成
[0253] ヒトFCGR2A(CD32A)cDNA(protein_id=NP_067674.2;coded by=NM_021642.3;HIS variant)を最初に化学合成した(GeneArtTM Gene Synthesis)。制限部位(EcoRI、5’末端;NotI、3’末端)をcDNAテンプレートに付加し、すぐにATG開始コドンの5’にコザック配列(GCCACC)を付加した。EcoRIとNotIを使用して、cDNAをレンチウイルスベクターpCDH-CMV-MCS-IRES-Puroにサブクローニングした(図1)。得られたコンストラクト、pCDH-CMV-CD32A-IRES-Puroの配列を決定し、cDNAインサート全体を確認した。ホタルルシフェラーゼ(Luc)遺伝子の上流で核内因子-κB(NF-κB)応答配列(RE)をレンチウイルスベクターにクローニングすることにより、レポーターコンストラクトを作製した(図2)。これらのコンストラクトを用いてレンチウイルス粒子を作製し、これを用いてU-937及びTHP-1単球細胞株を形質導入した。1μg/mLのピューロマイシン(Clontech)で選択することにより親プールを作製し、NF-κBも活性化するTNFαを陽性対照として発光活性を確認した、限界希釈を行ってクローンを単離し、クレネズマブ及びアミロイドβ(Aβ)を用いてクローンの活性をスクリーニングした。細胞は、10%熱不活性化ウシ胎児血清(HI FBS)(Gibco)、1x Glutamax(Gibco)及び1x ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を添加したRPMI(Gibco)で培養し、90%HI FBS、10%ジメチルスルホキシド(DMSO)(ATCC)中で凍結させた。
試薬及びバッファー
[0254] 非ビオチン化Aβペプチド(rPeptide又はAnaspec)及びビオチンベータアミロイド1-42ペプチド(ビオチン-Aβ)(Anaspec)を、まず40μLの室温のDMSをペプチドのバイアル(各0.5mg)に添加することによって再構成した。バイアルの壁を2~3回洗浄した後、pH8.0に調整したリン酸緩衝食塩水(PBS)960μLを添加した。試薬が溶解するまでバイアルを約1分間ボルテックスし、その後試薬をプールして分注し、使用するまで-60℃以下で保存した。追加のペプチドには、各末端にビオチンを有するCD20の51アミノ酸ペプチド(CD20-ビオチン)(CPC Scientific)が含まれていた。このペプチドをDMSO中で同様に再構成し、PBSで1mg/mLのストック濃度にした。
[0255] TBS結合バッファーは、トリス緩衝食塩水(10mM トリス pH8.0、150mM NaCl)で構成されている。洗浄バッファーは、1mM CaCl、1mM MgClを含むPBSで構成されている。試験培地は、10%HI-FBS(Gibco)、1x Glutamax(Gibco)及び1x ペニシリン-ストレプトマイシン(Gibco)を含むRPMI(Gibco)である。開発初期及びオクレリズマブバージョンの試験では、HI-FBSの代わりにLow-IgG HI FBS(Hyclone Ultra-Low IgG又はGibco)を使用した。ルシフェラーゼ発現の定量化には、発光試薬(Promega、Steady-Glo(登録商標)ルシフェラーゼ試験システム)を利用する。ELISAブロックバッファーは、1mM CaClと1mM MgClを含むダルベッコのリン酸緩衝食塩水(DPBS)に0.5%ウシ血清アルブミン(BSA)を加えたものであった。ELISA試験希釈剤は、PBS、0.5%BSA、0.05%ポリソルベート20であった。
[0256] クレネズマブの標準試料及び試料は、ジェネンテックによって製造された。製剤バッファーは、200mM アルギニンスクシネート(0.05%(w/v))、ポリソルベート20(pH5.5±0.3)である。光ストレス試料を作製するために、25mLのクレネズマブをガラスバイアルに入れ、キャリブレーション付きライトボックスにセットして、16時間にわたって240万ルクス時間の累積露光を行った。調光(light control)は、露光に対してアルミ箔で包んで行った。
フローサイトメトリー
[0257] 細胞をPBS又はFACS Wash(0.5%ウシ血清アルブミン、0.1%アジ化ナトリウムを含むPBS)で洗浄し、FACS Washに再懸濁させた。U-937の実験では、まず細胞を生体色素(Invitrogen)で染色し、Fcブロッキング抗体(eBioscience、抗CD16:16-0166-85、抗CD32:16-0329-85、抗CD64:14-0649-82)で10~15分プレインキュベートした。その後、以下の抗FcγR抗体又はアイソタイプ対照で細胞を30~60分染色した:CD16-フィコエリトリン(PE)(eBio、12-0167-42)、CD32-PE(BD Pharmingen、550586)、CD64-PE(eBio、12-0649)、CD64-FITC(eBio、11-0649-42)、FITC-マウスIgG1κ(eBio、11-4714-42)、PE-マウスIgG1κ(eBio、12-4714-42)、PE-マウスIgG2bκ(BD Pharmingen、555743)。細胞を洗浄し、FACS Washに再懸濁させ、フローサイトメーター(BD、LSR II又はFACSCaliber)で蛍光を検出した。
Aβペプチドとプレートフォーマットの評価
[0258] 5μg/mLmの可溶性非ビオチン化Aβ(25μL)を、組織培養処理を施した白色試験プレート(Costar)に入れた試験培地で、1対3希釈系列のクレネズマブ(25μL、開始濃度600,000ng/mL)及びTHP-1食作用レポーター細胞(50μL、500,000細胞/mL)と共に37℃で5時間インキュベートした。発光試薬Steady-Glo(登録商標)(100μL)(Promega)を加え、20分間振とうした後、発光プレートリーダー(Perkin-Elmer、EnVision)を用いて発光を検出した。或いは、PBS中1μg/mLの非ビオチン化Aβ100μLを高結合白色プレート(Thermo、Maxisorp)に4℃で一晩吸着させた。プレートをPBSで洗浄し、200μLの試験培地で30分間ブロックし、再度洗浄した。その後、プレートを、試験培地中1対3希釈系列のクレネズマブ(開始濃度50,000ng/mL)100μLと共に、37℃で30分間インキュベートした。プレートを再度洗浄し、200,000細胞/mLのTHP-1食作用レポーター細胞100μLを37℃で5時間インキュベートした。発光試薬Steady-Glo(登録商標)(100μL)(Promega)を加え、20分間振とうした後、発光プレートリーダー(Perkin-Elmer、EnVision)を用いて発光を検出した。本手順のこのバリエーションは、ビオチン-Aβとストレプトアビジンの高結合能96ウェル白色プレートを最初に評価するためにも使用された(図4)。
クレネズマブAβ結合ELISA
[0259] 組換えヒトアミロイドβ1-42ペプチド(rPeptide)をDMSOで再構成し、使い捨てアリコートで凍結させた。試験のために、ペプチドをDPBSで1μg/mLに希釈し、100vLを高結合ポリスチレンプレート(Nunc)に加えた。プレートを2~8℃で16~72時間インキュベートした後、ダンプし、200μLのELISAブロックバッファーで25℃で1~2時間ブロックした。プレートをPBS+0.05%ポリソルベート20で洗浄し、ELISA試験希釈剤で希釈した100μLのクレネズマブ標準試料及び試料希釈液を加えた。プレートを25℃で1時間インキュベートした後、再度洗浄した。2ng/mLのヤギ抗ヒトIgG-ホースラディッシュペルオキシダーゼ(HRP)溶液(Jackson Immunoresearch)をプレートに加え、25℃で40分培養した後、洗浄した。比色TMB検出試薬(SureBlue Reserve、KPL)を添加し、プレートを振とうしながら10~30分にわたって展開した後、0.6N硫酸を添加した。吸光度は、プレートリーダー(Molecular Devices)を使用して450nで検出し、650nmの吸光度を標準吸光度として使用した。クレネズマブ標準試料と比較した力価は、平行線分析曲線あてはめプログラム(parallel line analysis curve-fitting program)を使用して計算した。
クレネズマブ食作用レポーター法
[0260] ビオチン-AβをTBS結合バッファーで1.5μg/mLの濃度に希釈し、ストレプトアビジンコート高結合能96ウェル白色プレート(Pierce、Thermo Scientific)に25℃で16~72時間結合させた。プレートウォッシャー(Biotek)を用いて洗浄バッファーで3回プレートを洗浄し、通気性のあるプレートシーラー(Aeraseal、Sigma)又は蓋で覆われた5%CO2の加湿インキュベーター内で1~2.5時間、温かい試験培地を37℃で平衡化した。UV SpecScanによるタンパク質の定量を行うために、標準試料及び試料を、製剤バッファーで希釈した。10,000、4000、1600、750、250、100、40、10ng/mLの濃度を目標に、温かい試験培地中の標準試料、試験対照(標準試料を独立して希釈)及び試料の8点希釈曲線を作製した。食作用レポーター細胞を、遠心分離によりフラスコから回収し、温かい試験培地に再懸濁させた後、カウントし、2.5×10細胞/mLに希釈した。プレートを再度洗浄し、試料希釈液と細胞調製物を50μLずつ加えた。プレートを、通気性のあるプレートシーラー又は蓋で覆われた5%COの加湿インキュベーター内で、37℃で3~5時間インキュベートした。その後、試験プレートを25℃のインキュベーター内で15~20分間冷却し、続いて100μLの発光試薬を添加した。プレートを卓上シェーカーを使用して室温で振とうした後、発光シグナルを発光プレートリーダー(Molecular Devices、Paradigm又はLUM96カートリッジを備えたi3x)で検出する。力価を、クレネズマブ標準試料に対する4P拘束適合(constrained fit)を用いて、EC50比に基づいて算出した。プレート読み取りと力価の計算は、ソフトウェア(Molecular Devices、SoftMax(登録商標)Pro v6.5)を用いて行った。
オクレリズマブ食作用レポーター法
[0261] オクレリズマブ試験方法は、以下の変更を加えたクレネズマブ試験方法と同様であった。CD20-ビオチンペプチドを、PBS(pH6.5)で8μg/mLに希釈し、2~8℃で16~72時間プレートに結合させた。洗浄バッファーは、PBS+0.05%ポリソルベート20であった。ペプチド結合後、プレートを6回洗浄し、試験培地を平衡化し、洗浄し、オクレリズマブの希釈液100μLと共に37℃で1.5時間インキュベートした。オクレリズマブの濃度は、100,000、30,000、15,000、8000、4000、2000、1000、及び100ng/mLであった。その後、プレートを洗浄し、1.5×10細胞/mLの濃度で100μLのU-937食作用レポーター細胞を添加した。プレートを37℃で2時間40分間インキュベートした。試験培地にはLow IgG HI FBSを使用した。
結果
食作用レポーター細胞
[0262] 食作用レポーター試験は、可溶性Aβオリゴマーに結合し、ミクログリアによる免疫複合体の取り込みを促進するクレネズマブを対象に最初に開発された(Adolfsson et al.)。このメカニズムは、食細胞が関与し、Fcγ受容体(FcγR)が介在するという点で、抗体依存性細胞性食作用(ADCP)と類似している。ADCPの生物学的特性を最もよく反映させるために、食作用ヒト単球細胞株であるTHP-1とU-937を親細胞株として選択し、食作用レポーター細胞株を作製した。THP-1及びU-937細胞株は、「材料及び方法」に記載したように、NF-κB応答配列の制御下でホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現させるように操作された。NF-κBは、数ある免疫受容体の中でもFcγRを介したシグナル伝達によって誘導される転写制御因子である。クレネズマブによるAβのミクログリアクリアランスに関与する特定のFcγ受容体は不明だが、IgG4であるクレネズマブは、CD64(FcγRI)に最も高い親和性で結合する。CD32A(FcγRIIaとしても知られる)は、モノマーのIgGよりも免疫複合体を好むことから、ADCPに関連すると考えられており、また、この受容体は、Fcのガラクトシル化にも感受性があり、潜在的な抗体治療薬である。そのため、細胞は、潜在的な製品バリアントに対する感度を最大化するように、追加のCD32Aコンストラクトで操作された。U-937及びTHP-1細胞は、CD64も発現するが、CD16(FcγRIIIa)はほとんど発現しない(図3)。U-937及びTHP-1レポーター細胞はいずれも食作用の作用機序を代表しており、細胞株の選択を含め、各特異的抗体及び標的に対する力価試験が最適化された。THP-1細胞は、この抗体/標的の試験精度と一貫性が優れているため、最終的にクレネズマブ力価試験に選択された。
Aβペプチドとプレートフォーマットの評価
[0263] Aβペプチドオリゴマーを試験に導入するために、3つのアプローチが評価された(図4)。最初のものは、水溶液中でオリゴマー形成する可溶性Aβペプチド調製物をクレネズマブ及びレポーター細胞と混合して利用したものだった。このアプローチでは、おそらくAβオリゴマー複合体の不完全又は非効率的形成のために、発光シグナルが生じなかった。Aβ複合体を模倣し、且つ/又は複合体の形成の種とするために、Aβペプチドでコーティングされたプレート上にクレネズマブ及びレポーター細胞を層状に重ねたプレート結合フォーマットが調査された。高結合プレートに吸着したAβペプチドは、レポーター細胞内で陽性であるが一貫性のないシグナルを示した。シグナル及びプレート表面へのAβ結合の一貫性を改善するために、ビオチン化Aβをストレプトアビジンコートプレートに結合させたストレプトアビジン(SA)-ビオチンシステムを利用した。
試験フォーマット及びクレネズマブ検量線
[0264] 食作用レポーター細胞試験のフォーマットには、ストレプトアビジンコートプレートへのビオチン化ペプチドの結合が含まれる(図5)。ペプチド特異的抗体はペプチド標的に結合し、FcγRのクラスター化と活性化を誘発する。これにより、NF-κBが活性化され、レポーター遺伝子であるルシフェラーゼが発現し、基質を添加すると発光を定量化することができる。クレネズマブ標準試料の代表的な用量反応曲線を図6に示す。
クレネズマブ力価決定の例:劣化試料
[0265] 本試験は、クレネズマブ試料の力価を決定するために使用された。食作用レポーター細胞試験が製品の劣化による力価の変化を検出できることを実証するために、光ストレス研究から得たクレネズマブのストレス試料の活性を試験した。これらの試料は、ELISAで測定して、Aβ結合活性の喪失を示し、食作用レポーター細胞試験を使用しても同様の喪失が観察された(表2)ことから、レポーター細胞試験はAβ結合化活性の喪失による力価の喪失を検出できることを示している。
Figure 2022528804000007
結果は、クレネズマブ標準試料を100%として割り当てた相対力価%であり、独立した3つの試験の平均値である。
試験フォーマットの他製品/標的への適用
[0266] 食作用レポーター試験を他の抗体製品に適用できるかどうかを決定するために、フォーマットを他のペプチド標的/抗体の組み合わせに適合させた。オクレリズマブは、作用機序として提案されているADCPを有するCD20結合抗体である。そこで、ビオチン化CD20ペプチドをストレプトアビジンプレートに結合させ、このペプチドにオクレリズマブを結合させて、CD20発現細胞の表面へのオクレリズマブの結合を模倣した。U-937食作用レポーター細胞を使用して、発光シグナルを観察し、用量反応曲線を作製した。これにより、オクレリズマブに対するADCPの力価を評価することができる(図7)。
概要
[0267] レポーター細胞株とプレート結合ペプチドを用いてクレネズマブの力価を測定する試験を開発した(図5)。この試験は、FcγRを介した免疫複合体の取り込み/ADCPの代用として機能する。食作用単球細胞株を利用して、クレネズマブとAβペプチドとの免疫複合体によるFcγRの関与と活性化を測定するという点で、これは作用機序を反映している。この試験は、クレネズマブのストレス試料を使用して力価の喪失に感受性であることが実証された。更に、この試験フォーマットは、オクレリズマブ(CD20結合)で実証されたように、他の標的及び製品にも適用することができる。
実施例2
[0268] 食作用レポーター細胞の開発と試験フォーマットは前述のとおりである。ここでは、クレネズマブ試験の試験条件の最適化に関する追加データを記載する。
細胞株最適化
[0269] THP-1及びU-937細胞株は、潜在的な製品バリアントに対する感受性を最大化するために、核内因子-(NF-κB)応答配列の制御下でホタルルシフェラーゼ遺伝子を発現させて、CD32を過剰発現させるように操作された。
[0270] 操作されたU-937細胞株は、当初、より高い応答倍率及びより速い増殖に基づいて、クレネズマブ試験のために選択された。しかし、クレネズマブ試験性能の更なる比較の後、THP-1食作用レポーター細胞が選択された。THP-1食作用レポーター細胞の増殖に対する細胞播種密度の影響を評価する実験を行い、試験での細胞増殖と収率を向上させた。THP-1細胞は、より低い細胞播種密度で成長がより遅かったため(図8)、比較的高い播種濃度が細胞培養手順に取り入れられた。
試薬の選択と最適化
[0271] NF-κBは、いくつかの免疫受容体の下流で活性化されるため、組換えAβペプチド調製物中の細菌性リポ多糖(LPS)などの混入物によるレポーター細胞のオフターゲット活性化が潜在的懸念であった。そこで、組換え源と合成源のAβペプチドを、クレネズマブの非存在下でレポーター細胞を活性化するそれらの能力について比較した(図9)。合成Aβペプチドが、レポーター細胞のエンドトキシン媒介性活性化の可能性を最小限に抑えるために選択された。
実験計画法 試験パラメーターの最適化
[0272] 試験を更に最適化し、試験の読み出しに対する試験因子の影響を評価するために、Plackett-Burman設計を使用した。評価した試験因子には、試験細胞濃度、Aβペプチド濃度、インキュベーション時間、細胞増殖濃度(フラスコ内の播種密度)、SteadyGlo(登録商標)インキュベーション時間、及びFBSの種類(HI又はlow IgG FBS)が含まれる(表3)。更に、Aβペプチド調製物の2つのバッチと複数の分析者を設計に組み込んだ。試験因子は、EC50、勾配、応答倍率、力価の平均値、及び力価標準偏差(SD)への影響について主効果分析で評価された(図10~13)。
Figure 2022528804000008

Claims (59)

  1. 標的抗原に結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチドの活性を決定する方法であって、
    a)固定化された標的抗原をポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、
    b)抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること
    を含み;
    レポーターの発現がポリペプチドの活性を示す、
    ポリペプチドの活性を決定する方法。
  2. ポリペプチドが標的抗原と結合するポリペプチド調製物の力価を定量化する方法であって、
    a)固定化された標的抗原の複数の集団を異なる濃度のポリペプチド調製物と接触させて、抗原-ポリペプチド複合体を形成すること、
    b)これらの抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させることであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含む、接触させること、
    c)レポーターの発現を測定すること、及び
    d)ポリペプチド調製物のEC50を決定し、ポリペプチド調製物のEC50と、力価が既知のポリペプチドの標準試料のEC50とを比較することを含む、
    ポリペプチド調製物の力価を定量化する方法。
  3. 標準試料に対するマルチパラメーター・ロジスティックフィットを使用して、ポリペプチド調製物のEC50に基づく力価を計算することを更に含む、請求項2に記載の方法。
  4. マルチパラメーター・ロジスティックフィットが3パラメーター、4パラメーター又は5パラメーター・ロジスティックフィットである、請求項3に記載の方法。
  5. 標準試料のEC50が、ポリペプチド調製物のEC50と同時に決定される、請求項2から4のいずれか1項に記載の方法。
  6. レポーターがルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である、請求項1から5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである、請求項6に記載の方法。
  8. Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列が、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 食細胞が単球である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 食細胞が細胞株からのものである、請求項1から9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 細胞株がTHP-1細胞株又はU-937細胞株である、請求項10に記載の方法。
  12. Fcγ受容体がFcγRI(CD64)又はFcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である、請求項1から11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 食細胞がFcγ受容体を過剰発現させるように操作される、請求項1から12のいずれか1項に記載の方法。
  14. 食細胞がFcγRIIaを過剰発現させるように操作される、請求項13に記載の方法。
  15. 食細胞がFcγRIIIを発現させない、請求項1から14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)又はCD20である、請求項1から15のいずれか1項に記載の方法。
  17. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)である、請求項16に記載の方法。
  18. AβがヒトAβである、請求項17に記載の方法。
  19. Aβがモノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む、請求項17又は18に記載の方法。
  20. ヒトAβがAβ1-40又はAβ1-42である、請求項17に記載の方法。
  21. ポリペプチドが全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む、請求項1から20のいずれか1項に記載の方法。
  22. ポリペプチドがAβに特異的に結合する、請求項1から21のいずれか1項に記載の方法。
  23. ポリペプチドが抗体又はイムノアドヘシンである、請求項1から22のいずれか1項に記載の方法。
  24. ポリペプチドがクレネズマブである、請求項22又は23に記載の方法。
  25. 標的抗原が表面に固定化される、請求項1から24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 表面がプレートである、請求項25に記載の方法。
  27. プレートがマルチウェルプレートである、請求項26に記載の方法。
  28. 抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍で表面に固定化される、請求項25から27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 標的抗原がビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される、請求項25から28のいずれか1項に記載の方法。
  30. 標的抗原がビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む、請求項29に記載の方法。
  31. 標的抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している、請求項29又は30に記載の方法。
  32. レポーターが、抗原-ポリペプチド複合体を食細胞と接触させてから、約1、2、3、4、5、6、7、8、12、16、20、24時間又は24時間を超える時間のうちのいずれか1つ又は複数の時間が経過した後に検出される、請求項1から31のいずれか1項に記載の方法。
  33. ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を決定するための、固定化された標的抗原と食細胞とを含むキットであって、食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、
    レポーターの発現が、ポリペプチドの力価を示す、
    キット。
  34. ポリペプチドが標的抗原と結合し且つFc受容体結合ドメインを含むポリペプチド調製物の力価を定量化するための、固定化された標的抗原と食細胞と標準試料とを含むキットであって、
    食細胞は、Fcγ受容体と、Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列に作動可能に連結されたレポーターをコードする核酸とを含み、レポーターの発現が、ポリペプチドの力価を示し、
    標準試料は、力価が既知のポリペプチドの調製物を含む、
    キット。
  35. レポーターがルシフェラーゼ又は蛍光タンパク質である、請求項33又は34に記載のキット。
  36. ルシフェラーゼがホタルルシフェラーゼ、ウミシイタケルシフェラーゼ又はナノルシフェラーゼである、請求項35に記載のキット。
  37. レポーターの発現を検出する試薬を更に含む、請求項33から36のいずれか1項に記載のキット。
  38. Fcγ受容体による活性化に反応する応答配列が、NFκB応答配列、NFAT応答配列、AP-1応答配列又はERK応答性転写因子である、請求項33から37のいずれか1項に記載のキット。
  39. 食細胞が細胞株からのものである、請求項33から38のいずれか1項に記載のキット。
  40. 細胞株がTHP-1細胞株又はU-937細胞株である、請求項39に記載のキット。
  41. Fcγ受容体がFcγRI(CD64)、FcγRIIa(CD32a)又はFcγRIII(CD16)である、請求項33から40のいずれか1項に記載のキット。
  42. 食細胞がFcγ受容体を過剰発現させるように操作される、請求項33から41のいずれか1項に記載のキット。
  43. 食細胞がFcγRIIaを過剰発現させるように操作される、請求項42に記載のキット。
  44. 食細胞がFcγRIIIを発現させない、請求項33から43のいずれか1項に記載のキット。
  45. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)又はCD20である、請求項33から44のいずれか1項に記載のキット。
  46. 標的抗原がベータアミロイド(Aβ)である、請求項33から45のいずれか1項に記載のキット。
  47. AβがヒトAβである、請求項46に記載のキット。
  48. Aβがモノマー及び/又はオリゴマーのAβを含む、請求項46又は47に記載のキット。
  49. ヒトAβがAβ1-40又はAβ1-42である、請求項48に記載のキット。
  50. ポリペプチドが全長Fcドメイン、又はFcドメインのFcR結合断片を含む、請求項33から49のいずれか1項に記載のキット。
  51. ポリペプチドがAβに特異的に結合する、請求項33から50のいずれか1項に記載のキット。
  52. ポリペプチドが抗体又はイムノアドヘシンである、請求項33から51のいずれか1項に記載のキット。
  53. ポリペプチドがクレネズマブである、請求項52に記載のキット。
  54. 標的抗原が表面に固定化される、請求項33から53のいずれか1項に記載のキット。
  55. 表面がプレートである、請求項54に記載のキット。
  56. プレートがマルチウェルプレートである、請求項55に記載のキット。
  57. 標的抗原が、N末端若しくはその近傍で、C末端若しくはその近傍で、又はN末端若しくはその近傍とC末端若しくはその近傍でビオチンと結合している、請求項55又は56に記載のキット。
  58. 標的抗原がビオチン-ストレプトアビジンシステムを用いて表面に固定化される、請求項54からの57のいずれか1項に記載のキット。
  59. 標的抗原がビオチンに結合しており、表面は結合されたストレプトアビジンを含む、請求項58に記載のキット。
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