JP2022523212A - ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬 - Google Patents

ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬 Download PDF

Info

Publication number
JP2022523212A
JP2022523212A JP2021549801A JP2021549801A JP2022523212A JP 2022523212 A JP2022523212 A JP 2022523212A JP 2021549801 A JP2021549801 A JP 2021549801A JP 2021549801 A JP2021549801 A JP 2021549801A JP 2022523212 A JP2022523212 A JP 2022523212A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pneumocystis
formula
pharmaceutically acceptable
acceptable salt
compound
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2021549801A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2020176527A5 (ja
Inventor
アングロ・ゴンザレス,デイビット・エー
バラ,ステファン・アンドリュ
Original Assignee
サイネクシス,インコーポレーテッド
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by サイネクシス,インコーポレーテッド filed Critical サイネクシス,インコーポレーテッド
Publication of JP2022523212A publication Critical patent/JP2022523212A/ja
Publication of JPWO2020176527A5 publication Critical patent/JPWO2020176527A5/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/435Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having six-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom
    • A61K31/44Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof
    • A61K31/4427Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof containing further heterocyclic ring systems
    • A61K31/4439Non condensed pyridines; Hydrogenated derivatives thereof containing further heterocyclic ring systems containing a five-membered ring with nitrogen as a ring hetero atom, e.g. omeprazole
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P11/00Drugs for disorders of the respiratory system
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P31/00Antiinfectives, i.e. antibiotics, antiseptics, chemotherapeutics
    • A61P31/10Antimycotics

Landscapes

  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Pharmacology & Pharmacy (AREA)
  • Animal Behavior & Ethology (AREA)
  • Veterinary Medicine (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Public Health (AREA)
  • General Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Nuclear Medicine, Radiotherapy & Molecular Imaging (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Communicable Diseases (AREA)
  • Oncology (AREA)
  • Epidemiology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Pulmonology (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
  • Steroid Compounds (AREA)
  • Heterocyclic Carbon Compounds Containing A Hetero Ring Having Oxygen Or Sulfur (AREA)
  • Polysaccharides And Polysaccharide Derivatives (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)

Abstract

エンフマフンギン誘導体トリテルペノイド抗真菌性化合物は、それらがニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対して予想外の効力(これは、当該真菌の嚢胞形態及び栄養形態の肺における負荷を低減させる能力を包含する)を有しているので、ニューモシスチス肺炎(PCP)を治療及び/又は予防するために使用される。該エンフマフンギン誘導体トリテルペノイド類(又は、その薬学的に許容される塩若しくは水和物)は、(1,3)-β-D-グルカン合成の阻害薬であり、そして、インビボモデルにおいてニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対して強力な活性を示し、肺への充分な組織浸透性を示し及び充分に耐容されるので、PCPの治療及び/又は予防において有用である。【選択図】図1

Description

本発明は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療及び/又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬の使用に関する。より詳細には、本発明は、(1,3)-β-D-グルカン(真菌細胞構造のビルディングブロック)の欠損をもたらす(1,3)-β-D-グルカン合成の阻害薬であるエンフマフンギン誘導体トリテルペノイド類(又は、それらの薬学的に許容される塩又は水和物)の、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎の治療及び/又は予防における使用に関する。ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎に関する現在利用可能な治療の選択肢は、限られており、そして、重大な関連毒性を有している。それとは対照的に、(1,3)-β-D-グルカン合成酵素阻害薬であるイブレキサフンゲルプ(SCY-078)は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対して強力な抗真菌活性を示し、肺への適切な組織浸透を示し、そして、耐容性も良好である。本発明に従って、イブレキサフンゲルプの使用は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎の治療及び/又は予防において有利点を提供することができる。
真菌感染症は、主要な医療問題であり、そして、最も一般的には、侵襲性又は全身性の真菌症(例えば、カンジダ症、侵襲性アスペルギルス症)、粘膜皮膚感染症(例えば、口腔、食道及び外陰膣カンジダ症)及び限局性真菌感染症(例えば、肺炎、胸膜蓄膿、及び、腹部、脳、骨などに限局する膿瘍)として現れる。感染の種類及び範囲は、真菌病原体の病原性因子、宿主の防御及び関与する解剖学的領域に依存する。
重度の全身性又は侵襲性の真菌感染症は、免疫不全の患者において、例えば、悪性腫瘍を治療するために化学療法を受けている患者、又は、慢性炎症状態を治療するために免疫調節剤を投与されている患者、又は、後天的(例えば、エイズの場合)若しくは遺伝的障害による免疫不全を患っている患者などにおいて、より一般的である。現在利用可能な抗真菌療法にもかかわらず、全身性真菌感染症は、その病原体及びその患者の基礎症状に応じて、死亡率は最大で50%である。
粘膜皮膚真菌感染症は、免疫不全の個体及び免疫不全ではない個体で発症し得る。最も一般的な粘膜皮膚真菌感染症は、外陰膣酵母感染症であり、続いて、口腔咽頭カンジダ症及び食道カンジダ症であり、これらは主にカンジダ(Candida)の種によって引き起こされる。
限局性真菌感染症は、免疫不全の個体及び免疫不全ではない個体で発症する可能性があり、そして、真菌がそれらが通常コロニーを形成する局所領域から通常は無菌の領域に播種されることによって(例えば、腸の穿孔処理又は手術の後の腹腔内膿瘍)、又は、特定の臓器(例えば、肺、肝臓、脾臓)に到達する血液若しくはリンパ系に真菌が侵入することによって、又は、環境から獲得することによって(例えば、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎)を発症し、深在性感染症を引き起こす。
ヒトにおけるニューモシスチス肺炎(PCP)は、遍在する真菌であるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる。ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)は、免疫不全の個体、特に、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)に感染している個体に病気を引き起こす、日和見真菌生物である。その罹患率は抗レトロウイルス療法(ART)の出現により低減してきたが、PCPは、依然として、エイズを患っている患者で最も一般的な日和見感染症である。さらに、非HIV免疫不全の集団(骨髄移植レシピエントと固形臓器移植レシピエントを包含する)の増加、現在の治療法の不順守、薬剤耐性ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)株の出現及び開発途上国におけるHIV+症例の増加、全てによって、ニューモシスチス(Pneumocystis)は、継続的な関心のある病原体及び公衆衛生上の懸念になっている(Kelly MN, Shellito JE. Current understanding of Pneumocystis immunology. Future Microbiol. 2010 Jan;5(1):43-65)。
ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)は、以前は、ニューモシスチス・カリニイ(Pneumocystis carinii)と称されていたが、生物の分類法が変更された: ニューモシスチス・カリニイ(P. carinii)は、現在、適切には、ラットに感染するニューモシスチス種(Pneumocystis species)のみを示しており、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)は、ヒトに感染する異なる種を示している。しかしながら、略語「PCP」は、ニューモシスチス肺炎を示すために依然として使用されている。ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)による最初の感染は、通常、幼児期に起こる: 健康な子供の3分の2は、2歳から4歳までに、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)に対する抗体を有している。齧歯類の研究及び免疫抑制患者における症例クラスターは、ニューモシスチスが空気を介して広がることを示唆している。病気は、おそらく、気道を介して新たに感染することによって又は潜伏感染が再活性化することによって発症する。PCP予防とARTが広く使用される前は、PCPはエイズを患っている患者の70%~80%で発症していた; 治療されたPCPの経過は、重度の免疫抑制を有する個人における20%~40%の死亡率と関連していた。PCP症例の約90%は、CD4Tリンパ球(CD4)細胞数が200細胞/mm未満の患者で発生した。PCPの発症率は減少したが、死亡率は同じままである。PCPのリスクが高いことに関連する他の要因としては、CD4細胞の割合の低下、PCPの以前のエピソード、口腔カンジダ症、再発性細菌性肺炎、意図しない体重減少、血漿HIV RNAレベルの上昇及び免疫抑制療法などがある。PCPの発症率は、PCP予防とARTの普及により低減し、PCPの殆どの症例は、現在、HIV感染に気付いていないか又はHIVの継続的なケアを受けていない患者において、及び、他の状態(例えば、悪性腫瘍)に起因する進行性の免疫抑制の患者において、発生している。
PCPの最も一般的な症状は、進行性呼吸困難、発熱、乾性咳嗽及び胸部不快感の亜急性発症であり、これらは、数日~数週間以内に悪化し、そして、致命的な呼吸不全をもたらし得るが、急速に進行する劇症肺炎を発生する可能性もある。血液検査及び胸部X線検査はPCPに関して特徴的ではないため(及び、生物は日常的に培養することができないため)、PCPの確定診断には、組織サンプル、気管支肺胞洗浄(BAL)液サンプル又は誘発された唾液サンプルの中の生物の組織病理学的又は細胞病理学的又は分子的実証が必要である。
ニューモシスチス(Pneumocystis)に対して活性を有する抗菌薬による治療は、診断がなされたらすぐに開始されるべきである。当該疾患は潜在的に致命的な結果をもたらすので、この感染症を発症するリスクが高い免疫不全の患者は、多くの場合、リスクがある間(これは、数ヶ月であり得る)に抗菌薬の予防的投与(予防)を受ける。トリメトプリム-スルファメトキサゾール(TMP-SMX)(これは、トリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX)とも記載される)は、PCPを予防及び治療するための現在推奨されている抗菌薬である。しかしながら、この薬物に対する不耐性の発生率が高く、TMP-SMXの使用後に深刻な、時には生命を脅かす有害反応が報告されている。これらの望ましくない反応は、多くの場合、TMP-SMXの中断又は永久的な中止につながる。HIVを患っている患者では、TMP-SMXに対する有害反応の発生率が高い(患者の20%~85%)。一般的な有害作用は、発疹(患者の30%~55%)(スティーヴンス・ジョンソン症候群を包含する)、発熱(患者の30%~40%)、白血球減少症(患者の30%~40%)、血小板減少症(患者の15%)、高窒素血症(患者の1%~5%)、肝炎(患者の20%)及び高カリウム血症である(Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in Adults and Adolescents with HIV, Pneumocystis Pneumonia, Last Updated: March 28, 2019; Last Reviewed: June 26, 2019. https://aidsinfo.nih.gov/guidelines/ html/4/adult-and-adolescent-opportunistic-infection/321/pneumocystis-pneumonia.)。TMP-SMXが耐容されない場合の代替療法が存在するが、そのような療法は、全ての設定において同じ有効性を示しておらず、及び、重大な毒性も伴っている。代替療法の最も一般的な有害作用としては、以下のものなどがある:ダプソン又はプリマキンによるメトヘモグロビン血症及び溶血(特に、G6PD欠損症の患者において);ダプソンによる発疹と発熱;ペンタミジンによる高窒素血症、膵炎、低血糖症又は高血糖症、白血球減少症、電解質異常及び不整脈;プリマキン及びクリンダマイシンによる貧血、発疹、発熱及び下痢;並びに、アトバコンによる頭痛、吐き気、下痢、発疹及びトランスアミナーゼの上昇。
さらに、ニューモシスチス(Pneumocystis)がコロニー形成した個体における治療及び/又は長期予防的使用に対するノンアドヒアランスは、薬剤耐性株を生じさせる突然変異の選択をもたらしてきた。これらには、トリメトプリムとピリメタミン、アトバコン及びサルファ剤の標的における突然変異が含まれ、治療の失敗及び死亡率の増加につながる(Kelly MN, Shellito JE. Current understanding of Pneumocystis immunology. Future Microbiol. 2010 Jan;5(1):43-65)。薬剤耐性が最も効果的な既存の治療法を脅かしているため、新しい治療法が非常に求められている。
原生動物として以前に分類されたニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)は、肺胞内の細胞外に存在して、哺乳類に感染し得る酵母様真菌であり、ここで、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)はヒトに感染し、ニューモシスチス・カリニイ(P. carinii)はラットに感染し、及び、ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)はマウスに感染する。他の真菌類とは対照的に、ニューモシスチス(Pneumocystis)は、典型的な真菌増殖培地内でインビトロで培養することが不可能であり、そのライフサイクルについて知られていることの大部分は、感染の動物モデルにおける観察に由来している。当該生物をインビトロで培養できないことは、この日和見感染症に対する治療法を研究する上での大きな障害であり、そして、殆どの研究はインビボでの観察に依存している。哺乳類宿主の体内では、ニューモシスチス(Pneumocystis)は肺胞に対して向性を有している。顕微鏡観察及び分子遺伝学的研究は、アメーバ様栄養型(栄養)形態の二***を介した複製の無性的様式と8つの子嚢胞子を含む子嚢(嚢胞)の形成をもたらす性的様式を含んでいるライフサイクルを示唆している。
PCPは、現在、治療選択肢が限られている。アンホテリシンBやアゾール系などの、エルゴステロール及びエルゴステロール生合成を標的とする標準的な抗真菌薬は効果がない。エキノカンジン系(カスポファンギン、アニデュラファンギン及びミカファンギン)は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)の嚢胞形態を包含する多くの真菌の細胞壁の必須成分である(1,3)-β-D-グルカンの合成を阻害する。しかしながら、患者のPCPに対するエキノカンジン系の有効性に関する報告は、このクラスの薬剤の不確実性と限界を明らかにしている。マウスPCPに対するエキノカンジン系の活性を評価するマウスモデル(Cushion MT, Linke MJ, Ashbaugh A, Sesterhenn T, Collins MS, Lynch K, Brubaker R, Walzer PD. Echinocandin treatment of pneumocystis pneumonia in rodent models depletes cysts leaving trophic burdens that cannot transmit the infection. PLoS One. 2010 Jan 29;5(1):e8524)は、エキノカンジンを3週間非経口(腹腔内)投与することによって、未処置のマウスと比較して嚢胞負荷が有意に低減されたことを示した。いずれのエキノカンジンに関しても用量反応は観察されなかった。嚢胞の顕著な減少とは対照的に、多数の栄養形態が処置されたマウスの肺の中に残り、多くの場合、未処置対照と有意には異ならないレベルに達した。各エキノカンジンに対する反応は異なっており、ここで、カスポファンギンが最も効果的であり、ミカファンギンが最も効果が低く、未処置対照マウスと比較して、ミカファンギンはどの用量でも栄養負荷の有意な減少を示さなかった。これらの観察は、エキノカンジン系がニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)の嚢胞形態に対しては効果を有し得るが、当該真菌の栄養形態に対するそれらの効果はあまり明確ではなく、おそらく化合物特異的であることを示唆している。
エキノカンジン系は、現在、PCPの治療又は予防に対しては適応がないが、単発的なレポートが、臨床現場における単独の又はTMP-SMXと組み合わされた殆どの場合サルベージ療法としてそれらの使用について文書化しており(結果はさまざまである)、この真菌感染症を治療するための新しい抗真菌薬を開発することの重要性を強調している(Zhang G et al. Efficacy of caspofungin combined with trimethoprim/ sulfamethoxazole as first-line therapy to treat non-HIV patients with severe pneumocystis pneumonia. Exp Ther Med. 2018 Feb;15(2):1594-1601.; Huang YS et al. Echinocandins as alternative treatment for HIV-infected patients with Pneumocystis pneumonia. AIDS. 2019 Jul 1;33(8):1345-1351.)。PCPの治療又は予防の潜在的な代替としてのエキノカンジン系の別の制限は、それらが静脈内注射の形態でのみ利用可能であるということ、及び、PCPの治療又は予防には、多くの場合、数週間又は数ヶ月の治療が必要であるということである。長期にわたるIV投与は、最適ではなく、多くの場合、実行不可能である。さらに、3種類のエキノカンジンについて報告された低い分布体積(0.15~0.8リットル/kgの範囲)と一致して、肺で達成される組織濃度は、通常、血漿中濃度よりも低くなり(Felton T, Troke PF, Hope WW. Tissue penetration of antifungal agents. Clin Microbiol Rev. 2014 Jan;27(1):68-88)、これは、感染部位(即ち、肺)において有効濃度を下回る可能性がある。
エンフマフンギンは、セイヨウネズ(Juniperus communis)の生きている葉に付いているホルモネマ属種(Hormonema spp.)の発酵において生成されるヘミアセタールトリテルペン配糖体である(米国特許第5,756,472号; Pelaez et al., Systematic and Applied Microbiology, 23:333-343 (2000); Schwartz et al., JACS, 122: 4882-4886 (2000); Schwartz, R.E., Expert Opinion on Therapeutic Patents, 11(11): 1761-1772 (2001))。エンフマフンギンは、インビトロの抗真菌活性を有する何種類かのトリテルペン配糖体のうちの1つである。エンフマフンギン及び別の抗真菌トリテルペノイド配糖体の抗真菌作用機序は、(1,3)-β-D-グルカン合成酵素に対するその特異作的用による、真菌細胞壁グルカン合成の阻害であると確認された(Onishi et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 44: 368-377 (2000); Pelaez et al., (2000))。1,3-β-D-グルカン合成酵素は、多くの種類の病原性真菌の中に存在し、従って、広範な抗真菌スペクトルをもたらすので、抗真菌薬作用にとって依然として魅力的な標的である。加えて、哺乳類には1,3-β-D-グルカン合成酵素に相当するものが存在しないので、本明細書中に記載されているエンフマフンギン誘導体は、その機序に基づく毒性を殆ど有さないか又は全く有さない。本発明に従って使用されるエンフマフンギンのトリテルペノイド化合物誘導体は、アゾール系又は別のグルカン合成酵素阻害薬(例えば、エキノカンジン系などのリポペプチド類)に対して耐性を示す分離株を包含するカンジダ属種(Candida spp.)の真菌分離株に対して活性を示し、このことは、エンフマフンギン誘導体の生物学的及び分子的標的が他のグルカン合成酵素阻害薬の標的とは異なっていることを示している。
さまざまなエンフマフンギン誘導体が開示されており、例えば、国際特許公開第2007/126900号及び国際特許公開第2007/127012号に開示されている。
これらのエンフマフンギン誘導体の特定の代表物は、経口投与することが可能であり、カンジダ種(Candida species)及びアスペルギルス種(Aspergillus species)に対して抗真菌活性を示しており、並びに、肺組織を包含する組織への適切な分布を示した(Wring S, Borroto-Esoda K, Solon E, Angulo D. 2019. SCY-078, a novel fungicidal agent, demonstrates distribution to tissues associated with fungal infections during mass balance studies with intravenous and oral [14C]SCY-078 in albino and pigmented rats. Antimicrob Agents Chemother 63:e02119-18. https://doi.org/10.1128/AAC.02119-18.)。
抗真菌薬の肺組織内に分配される能力は、PCPの治療又は予防に関連している。本明細書に記載されているエンフマフンギン誘導体の代表的な化合物であるSCY-078の肺組織内に分配される能力について、動物モデルで評価した。Id。雄アルビノWistar Han(WH; Charles River, Raleigh, NC)(n=38)又は雄(n=18)及び雌(n=3)の色素性Long-Evans(LE; Hilltop Lab Animals, Inc., Scottdale, PA)ラットに、[14C]SCY-078を、経口投与によって投与した(15mg/kg、約150μCi/kg、0.5%メチルセルロース水溶液中)又は1時間の注入(10mL/kg/h)としてi.v.投与した(5mg/kg、約108μCi/kg、生理食塩水中のカプチゾール:SCY-078のモル比7.5:1)。WHラットを、i.v.投与後及び経口投与後における物質収支及び薬物動態学的(PK)測定に使用し、並びに、WHラットとLEラットの両方を、定量的全身オートラジオグラフィー(QWBA)測定に使用した。用量レベルは、カンジダ属種(Candida spp.)感染症に対して臨床的に適切な11.2μg・h/mLの標的曝露を反映するように選択した。投与製剤の濃度、均一性、放射性純度及び安定性は、投与前に許容可能であることを確認した。全ての主要な組織、臓器及び体液が示されているQWBA全身切片(Leica CM3600クライオミクロトームによる厚さ約40μm; Nussloch, Germany)の場合、切片を、校正標準と一緒に、リンイメージング(Fuji Biomedical, Stamford, CT)のために露光させた。動物をイソフルラン麻酔で深く麻酔し、そして、血液サンプルを採取した後、ヘキサン/固体二酸化炭素浴内で少なくとも15分間凍結させることにより安楽死させた。イメージングプレートを、GE Healthcare Typhoon FLA 9500画像収集システム(GE/Molecular Dynamics, Sunnyvale, CA)でスキャンした。MCID画像解析ソフトウェア(v.7.0; Interfocus Imaging Ltd., Linton, Cambridge, UK)を使用する画像デンシトメトリーによって定量化を実施し、標準曲線は、統合された応答(分子動力学カウント[MDC]/mm2)及び14C校正標準の公称濃度から作成した。放射能の濃度は、[14C]SCY-078μg当量/g組織として表した。定量下限は、SCY-078のi.v.投与及び経口投与に対して、それぞれ、組織1g当たり、0.024μg当量及び0.049μg当量であった。
雄の色素性Long-Evansラットに[14C]-SCY-078を15mg/kg経口投与した後の総放射能の組織対血液AUC比が以下に示されている:
Figure 2022523212000002
この研究において、肺内で観察された曝露は血漿中で測定された曝露の20倍を超えた。
SCY-078の安全性及び耐容性は、最大で1年間の投与を含む、種々の用量及び治療期間で、約20の臨床試験において900人を超える被験者において評価されてきた。最も一般的な有害事象は、悪心、下痢及び腹痛などの軽度から中等度の一過性の胃腸障害であった。SCY-078に関連する可能性のある重篤な有害事象は、非常にまれであり、有害反応に起因する治療の中断又は中止は殆どなかった。さらに、経口SCY-078の安全性プロフィールは、ICHガイドラインに従い、ヒトで予想されるよりも高い用量及び暴露で、イヌで9ヶ月間の投与及びラットで6ヶ月間の投与が含まれる標準的な長期非臨床毒性試験で評価されている。これらの非臨床試験からの結果は、ヒトにおける経口SCY-078の長期投与を支持している。SCY-078は、現在、カンジダ症やアスペルギルス症などの真菌感染症の治療を目的とした進行中の臨床試験で評価中である。SCY-078は、PCPの治療又は予防に関する臨床試験ではまだ評価されていない。
米国特許第5,756,472号 国際特許公開第2007/126900号 国際特許公開第2007/127012号
Kelly MN, Shellito JE. Current understanding of Pneumocystis immunology. Future Microbiol. 2010 Jan;5(1):43-65 Guidelines for the Prevention and Treatment of Opportunistic Infections in Adults and Adolescents with HIV, Pneumocystis Pneumonia, Last Updated: March 28, 2019; Last Reviewed: June 26, 2019. https://aidsinfo.nih.gov/guidelines/ html/4/adult-and-adolescent-opportunistic-infection/321/pneumocystis-pneumonia. Kelly MN, Shellito JE. Current understanding of Pneumocystis immunology. Future Microbiol. 2010 Jan;5(1):43-65 Cushion MT, Linke MJ, Ashbaugh A, Sesterhenn T, Collins MS, Lynch K, Brubaker R, Walzer PD. Echinocandin treatment of pneumocystis pneumonia in rodent models depletes cysts leaving trophic burdens that cannot transmit the infection. PLoS One. 2010 Jan 29;5(1):e8524 Zhang G et al. Efficacy of caspofungin combined with trimethoprim/ sulfamethoxazole as first-line therapy to treat non-HIV patients with severe pneumocystis pneumonia. Exp Ther Med. 2018 Feb;15(2):1594-1601 Huang YS et al. Echinocandins as alternative treatment for HIV-infected patients with Pneumocystis pneumonia. AIDS. 2019 Jul 1;33(8):1345-1351 Felton T, Troke PF, Hope WW. Tissue penetration of antifungal agents. Clin Microbiol Rev. 2014 Jan;27(1):68-88 Pelaez et al., Systematic and Applied Microbiology, 23:333-343 (2000) Schwartz et al., JACS, 122: 4882-4886 (2000) Schwartz, R.E., Expert Opinion on Therapeutic Patents, 11(11): 1761-1772 (2001) Onishi et al., Antimicrobial Agents and Chemotherapy, 44: 368-377 (2000) Pelaez et al., (2000) Wring S, Borroto-Esoda K, Solon E, Angulo D. 2019. SCY-078, a novel fungicidal agent, demonstrates distribution to tissues associated with fungal infections during mass balance studies with intravenous and oral [14C]SCY-078 in albino and pigmented rats. Antimicrob Agents Chemother 63:e02119-18. https://doi.org/10.1128/AAC.02119-18.
PCPを治療又は予防するために利用することが可能な抗菌薬の数が限られていること、現在承認されている化合物が示す重大で時には生命を脅かす毒性及び現在利用可能な抗菌薬の選択肢に対するニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)耐性の発生率が増加していることを考えると、ヒトにおけるPCPを治療及び予防するのに効果的であり、この感染症を予防及び治療するのに必要な多くの場合長期の投与期間にわたって安全且つ便利に投与することが可能な抗真菌療法が当技術分野で求められている。
エンフマフンギンから誘導されたトリテルペノイド化合物SCY-078又はイブレキサフンゲルプ(本明細書に記載されているエンフマフンギン誘導体の代表的な化合物)は、マウスモデルにおいて、PCPの治療及び/又は予防において高レベルの有効性を示す。SCY-078は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対して強力な抗真菌活性を示し、肺への適切な組織浸透を示し、及び、耐容性も良好である。本発明によれば、SCY-078又はイブレキサフンゲルプは、ヒトにおけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療及び/又は予防するために使用することができる。
SCY-078は、予想外に、PCPの治療のための現在のゴールドスタンダードである陽性対照であるバクトリム(登録商標)(トリメトプリム/スルファメトキサゾール)と同等の薬理学的活性を示した。さらに驚くべきことに、該化合物は、嚢胞形態(子嚢)と栄養形態(核)の両方の負荷の低減を示した。ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)のライフサイクルは、嚢胞形態と栄養形態の2つの形態で存在する。嚢胞形態は、(1,3)-β-D-グルカンを含む細胞壁を有しているが、この特徴は栄養形態には存在しない。ヒトの疾患における当該真菌の各形態(嚢胞形態及び栄養形態)の役割は完全には解明されていないが、PCP感染を制御し、播種を防止するためには、両方の形態を阻害することが最適であると考えられる。本発明によれば、(1,3)-β-D-グルカン合成酵素の阻害薬としてのSCY-078は、嚢胞形態に対する薬理学的効果(例えば、嚢胞負荷の低減)をもたらした。驚くべきことに、SCY-078による治療は、核(核は、栄養負荷を示す)の有意な低減ももたらした。さらに、嚢胞形態と栄養形態の低減は、PCPの予防モデル及び治療モデルの両方で生じた。
該化合物は、別の(1,3)-β-D-グルカン合成酵素阻害薬と比較した場合、予想外に、肺への増強された浸透を示した。SCY-078は、経口投与することが可能であり、このことは、PCPの場合には典型的には長期にわたる抗真菌薬投与が必要となることを考えると、PCPの予防と治療において有利点をもたらす。
本発明は、PCPを治療及び/又は予防するためのエンフマフンギン誘導体の使用に関する。エンフマフンギン誘導体及びその薬学的に許容される塩又は水和物は、(1,3)-β-D-グルカン合成酵素の阻害において有用であり、そして、当技術分野において強力な抗真菌活性が必要とされる感染症であるPCPの治療及び/又は予防において特に有用である。
本明細書中に記載されているエンフマフンギン誘導体が、(a)PCPの治療及び予防において予想外に高い有効性を達成したので、(b)ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)の両方の形態(嚢胞形態及び栄養形態)に対して活性を示したので、(c)驚くべきことに、血漿中と比較して数倍高い肺中濃度を達成したので、(d)経口投与することができ、それによって、数ヶ月の治療を必要とすることが多いこれらの感染症の最適な治療を可能にするので、及び、(e)耐容性が良好であり、それによって、長期間にわたる安全な投与が可能になるので、本発明は、上記で記載したような当技術分野におけるニーズに焦点を当てる。
本発明の効用としては、限定するものではないが、上記で概説した理由のために、PCPの治療及び/又は予防において成功した結果をより容易に達成する能力などがある。
本発明は、PCPを治療及び/又は予防するための対象者における、式(I):
Figure 2022523212000003
〔式中、
Xは、O又はH、Hであり;
は、C(O)NR、又は、1個若しくは2個の窒素原子を含んでいる6員環ヘテロアリール基(ここで、該ヘテロアリール基は、環炭素において、フルオロ若しくはクロロで1置換されていてもよいか、又は、環窒素において、酸素で1置換されていてもよい)であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC-Cアルキルであり;
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル又はC-Cシクロアルキル-アルキルであり;
は、メチル又はエチルであり;及び、
とRは、一緒に、1個の酸素原子を含んでいる6員飽和環を形成してもよい〕
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することによる。さらに、本発明は、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防するための薬物の調製における式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用も提供する。
本発明により、エンフマフンギンから誘導されたトリテルペノイド系抗真菌薬は、感染のニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)モデルにおいて、栄養負荷(核の低減によって証明される)及び嚢胞負荷(子嚢の低減によって証明される)の両方を低減させることができる。
図1は、6週間の研究後のlog10平均核数及びlog10平均子嚢数のグラフであり、これらは、SCY-078の予防的投与により、未処置対照と比較した場合、核数及び子嚢数の両方が統計的に有意に低減したことを示している。 図2は、未処置対照及びTMP/SMXと比較した、SCY-078で7日間、14日間及び21日間処置された後のlog10平均核数及びlog10平均子嚢数のグラフである。 図3は、未処置対照及びTMP/SMXと比較した、SCY-078で28日間、35日間及び42日間処置された後のlog10平均核数及びlog10平均子嚢数のグラフである。
本発明は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療及び/又は予防するためのエンフマフンギン誘導体トリテルペノイド抗真菌性化合物の使用に関する。より詳細には、本発明は、PCP(該疾患を治療及び/又は予防するためには、長期にわたる抗真菌療法(4週間を超える)に対する充分な耐容性が必要とされ、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)の嚢胞形態及び核形態の負荷の低減が望ましく、並びに、当該感染した組織への抗真菌薬の充分な浸透が必要とされる)の治療及び/又は予防における、(1,3)-β-D-グルカン合成の阻害薬であるエンフマフンギン誘導体トリテルペノイド(又は、その薬学的に許容される塩若しくは水和物)の使用に関する。本発明は、現在PCPに対して選択される治療と考えられているがその使用に関連する重大な毒性によって制限されているトリメトプリム/スルファメトキサゾール(TMP/SMX)(他のいくつかの現在利用可能な選択肢も、全て、意味のある安全上の懸念を有している)の必要とされる有利な代替物を提供する。本明細書中に記載されているエンフマフンギン誘導体トリテルペノイド類は、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対して強力な抗真菌活性を示し、肺への適切な組織浸透を示し、及び、充分に耐容され、これらによって、ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎の治療及び/又は予防において利点を提供する。
本発明は、PCPを治療及び/又は予防するための対象者における、式(I):
Figure 2022523212000004
〔式中、
Xは、O又はH、Hであり;
は、C(O)NR、又は、1個若しくは2個の窒素原子を含んでいる6員環ヘテロアリール基(ここで、該ヘテロアリール基は、環炭素において、フルオロ若しくはクロロで1置換されていてもよいか、又は、環窒素において、酸素で1置換されていてもよい)であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素又はC-Cアルキルであり;
は、C-Cアルキル、C-Cシクロアルキル又はC-Cシクロアルキル-アルキルであり;
は、メチル又はエチルであり;及び、
とRは、一緒に、1個の酸素原子を含んでいる6員飽和環を形成してもよい〕
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することによる。さらに、本発明は、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防するための薬物の調製における式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用も提供する。
本発明は、さらに、PCPを治療及び/又は予防するための対象者における、式(Ia):
Figure 2022523212000005
〔式中、該置換基は、式(I)において与えられているとおりである〕
で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(Ia)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することによる。さらに、本発明は、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防するための薬物の調製における式(Ia)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用も提供する。
実施形態1では: Xは、H、Hであり、及び、その他の置換基は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態2では: Rは、ピリジル又はピリミジニル(ここで、該ピリジル又はピリミジニルは、環炭素において、フルオロ若しくはクロロで1置換されていてもよいか、又は、環窒素において、酸素で1置換されていてもよい)であり、及び、その他の置換基は実施形態1又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態3では: Rは、4-ピリジルであり、及び、その他の置換基は実施形態1又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態4では: Rは、C(O)NH又はC(O)NH(C-Cアルキル)であり、及び、その他の置換基は実施形態1又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態5では: Rは、C-Cアルキルであり、及び、Rは、メチルであり;及び、その他の置換基は実施形態1、実施形態2、実施形態3若しくは実施形態4又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態6では: Rは、t-ブチルであり、Rは、メチルであり;及び、その他の置換基は実施形態1、実施形態2、実施形態3若しくは実施形態4又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態7では: R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルであり、及び、その他の置換基は実施形態1、実施形態2、実施形態3、実施形態4、実施形態5若しくは実施形態6又は式(I)において与えられているとおりである。
実施形態1’では: Xは、H、Hであり、及び、その他の置換基は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態2’では: Rは、ピリジル又はピリミジニル(ここで、該ピリジル又はピリミジニルは、環炭素において、フルオロ若しくはクロロで1置換されていてもよいか、又は、環窒素において、酸素で1置換されていてもよい)であり、及び、その他の置換基は実施形態1’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態3’では: Rは、4-ピリジルであり、及び、その他の置換基は実施形態1’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態4’では: Rは、C(O)NH又はC(O)NH(C-Cアルキル)であり、及び、その他の置換基は実施形態1’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態5’では: Rは、C-Cアルキルであり、及び、Rは、メチルであり;及び、その他の置換基は実施形態1’、実施形態2’、実施形態3’若しくは実施形態4’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態6’では: Rは、t-ブチルであり、Rは、メチルであり;及び、その他の置換基は実施形態1’、実施形態2’、実施形態3’若しくは実施形態4’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
実施形態7’では: R及びRは、それぞれ独立して、水素又はメチルであり、及び、その他の置換基は実施形態1’、実施形態2’、実施形態3’、実施形態4’、実施形態5’若しくは実施形態6’又は式(Ia)において与えられているとおりである。
好ましい実施形態では、本発明は、PCPを治療及び/又は予防するための対象者における、式(II):
Figure 2022523212000006
で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することによる。さらに、本発明は、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防するための薬物の調製における式(II)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用も提供する。
好ましい別の実施形態では、本発明は、PCPを治療及び/又は予防するための対象者における、式(IIa):
Figure 2022523212000007
で表される化合物(本明細書中では、SCY-078又はイブレキサフンゲルプ(ibrexafungerp)と称される)(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[(2R)-2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することによる。さらに、本発明は、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防するための薬物の調製における式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用も提供する。
好ましい実施形態では、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物のリン酸塩を、本明細書中に記載されているように使用又は投与する。
好ましい実施形態では、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物のクエン酸塩を、本明細書中に記載されているように使用又は投与する。
好ましい実施形態では、式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは水和物形態は、経口投与される。
好ましい実施形態では、式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物又はそれらの薬学的に許容される塩若しくは水和物形態は、静脈内投与される。
本発明は、さらに、対象者において、PCPを治療及び/又は予防するための、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物及び薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルを含んでいる医薬組成物の使用を提供する。
本発明は、さらに、対象者におけるPCPを治療及び/又は予防する方法も提供し、ここで、該方法は、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物及び薬学的に許容される担体、アジュバント又はビヒクルを含んでいる医薬組成物を投与することによる。
本発明は、PCPを治療及び/又は予防する方法を提供し、ここで、該方法は、有効量の式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物(又は、その薬学的に許容される塩若しくは水和物)を投与することを含んでいる。
上記で記載した実施形態における化合物の説明において、示されている置換は、その置換基が当該定義と調和する安定な化合物をもたらす範囲内においてのみ包含される。
式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物形態は、以下の1種以上を包含する酵母菌及び別の真菌に対して抗菌(例えば、抗真菌)活性を示す:アクレモニウム属(Acremonium)、アブシジア属(Absidia)(例えば、アブシジア・コリムビフェラ(Absidia corymbifera))、アルテルナリア属(Alternaria)、アスペルギルス属(Aspergillus)(例えば、アスペルギルス・クラバツス(Aspergillus clavatus)、アスペルギルス・フラブス(Aspergillus flavus)、アスペルギルス・フミガツス(Aspergillus fumigatus)、アスペルギルス・ニズランス(Aspergillus nidulans)、アスペルギルス・ニゲル(Aspergillus niger)、アスペルギルス・テレウス(Aspergillus terreus)、及び、アスペルギルス・ベルシコロル(Aspergillus versicolor))、ビポラリス属(Bipolaris)、ブラストミセス属(Blastomyces)(例えば、ブラストミセス・デルマチチジス(Blastomyces dermatitidis))、ブラストシゾミセス属(Blastoschizomyces)(例えば、ブラストシゾミセス・カピタツス(Blastoschizomyces capitatus))、カンジダ属(Candida)(例えば、カンジダ・アルビカンス(Candida albicans)、カンジダ・アウリス(Candida auris)、カンジダ・グラブラタ(Candida glabrata)、カンジダ・グイリエルモンジイ(Candida guilliermondii)、カンジダ・ケフィル(Candida kefyr)、カンジダ・クルセイ(Candida krusei)、カンジダ・ルシタニアエ(Candida lusitaniae)、カンジダ・パラプシロシス(Candida parapsilosis)、カンジダ・シュードトロピカリス(Candida pseudotropicalis)、カンジダ・ステラトイデア(Candida stellatoidea)、カンジダ・トロピカリス(Candida tropicalis)、カンジダ・ウチリス(Candida utilis)、カンジダ・リポリチカ(Candida lipolytica)、カンジダ・ファマタ(Candida famata)、及び、カンジダ・ルゴサ(Candida rugosa))、クラドスポリウム属(Cladosporium)(例えば、クラドスポリウム・カリオニイ(Cladosporium carrionii)、及び、クラドスポリウム・トリクロイデス(Cladosporium trichloides))、コクシジオイデス属(Coccidioides)(例えば、コクシジオイデス・イミチス(Coccidioides immitis))、クリプトコッカス属(Cryptococcus)(例えば、クリプトコッカス・ネオフォルマンス(Cryptococcus neoformans))、クルブラリア属(Curvularia)、クニングハメラ属(Cunninghamella)(例えば、クニングハメラ・エレガンス(Cunninghamella elegans))、皮膚糸状菌(Dermatophyte)、エキソフィアラ属(Exophiala)(例えば、エキソフィアラ・デルマチチジス(Exophiala dermatitidis)、及び、エキソフィアラ・スピニフェラ(Exophiala spinifera))、エピデルモフィトン属(Epidermophyton)(例えば、エピデルモフィトン・フロコスム(Epidermophyton floccosum))、フォンセカエア属(Fonsecaea)(例えば、フォンセカエア・ペドロソイ(Fonsecaea pedrosoi))、フザリウム属(Fusarium)(例えば、フザリウム・ソラニ(Fusarium solani))、ゲオトリクム属(Geotrichum)(例えば、ゲオトリクム・カンジズム(Geotrichum candidum)、及び、ゲオトリクム・クラバツム(Geotrichum clavatum))、ヒストプラズマ属(Histoplasma)(例えば、ヒストプラズマ・カプスラツム・var.・カプスラツム(Histoplasma capsulatum var. capsulatum))、マラセジア属(Malassezia)(例えば、マラセジア・フルフル(Malassezia furfur))、ミクロスポルム属(Microsporum)(例えば、ミクロスポルム・カニス(Microsporum canis)、及び、ミクロスポルム・ギプセウム(Microsporum gypseum))、ムコル属(Mucor)、パラコクシジオイデス属(Paracoccidioides)(例えば、パラコクシジオイデス・ブラシリエンシス(Paracoccidioides brasiliensis))、ペニシリウム属(Penicillium)(例えば、ペニシリウム・マルネフェイ(Penicillium marneffei))、フィアロフォラ属(Phialophora)、ピチロスポルム・オバレ(Pityrosporum ovale)、ニューモシスチス属(Pneumocystis)(例えば、ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii))、シュードアレスケリア属(Pseudallescheria)(例えば、シュードアレスケリア・ボイジイ(Pseudallescheria boydii))、リゾプス属(Rhizopus)(例えば、リゾプス・ミクロスポルス・var.・リゾポジホルミス(Rhizopus microsporus var. rhizopodiformis)、及び、リゾプス・オリザエ(Rhizopus oryzae))、サッカロミセス属(Saccharomyces)(例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerevisiae))、セドスポリウム属(Scedosporium)(例えば、セドスポリウム・アピオスペルム(Scedosporium apiosperum))、スコプラリオプシス属(Scopulariopsis)、スポロトリキス属(Sporothrix)(例えば、スポロトリキス・シェンキイ(Sporothrix schenckii))、トリコデルマ属(Trichoderma)、トリコフィトン属(Trichophyton)(例えば、トリコフィトン・メンタグロフィテス(Trichophyton mentagrophytes)、及び、トリコフィトン・ルブルム(Trichophyton rubrum))、及び、トリコスポロン属(Trichosporon)(例えば、トリコスポロン・アサヒイ(Trichosporon asahii)、トリコスポロン・ベイゲリイ(Trichosporon beigelii)、及び、トリコスポロン・クタネウム(Trichosporon cutaneum))。
式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物形態は、米国特許第8,188,085号(この特許の内容は、参照によりその全体を本明細書に組み入れる)に開示されている合成方法に従って製造することができる。
本明細書中で使用されている場合、用語「アルキル」は、指定されている範囲内の数の炭素原子を有する任意の直鎖又は分枝鎖のアルキル基を示している。従って、例えば、「C1-6アルキル」(又は、「C-Cアルキル」)は、ヘキシルアルキル及びペンチルアルキルの全ての異性体、並びに、n-、イソ-、sec-及びt-ブチル、n-及びイソプロピル、エチル及びメチルを表す。別の例として、「C1-4アルキル」は、n-、イソ-、sec-及びt-ブチル、n-及びイソプロピル、エチル及びメチルを表す。
用語「シクロアルキル」は、指定されている範囲内の数の炭素原子を有するアルカンの任意の環式環を示している。従って、例えば、「C3-4シクロアルキル」(又は、「C-Cシクロアルキル」)は、シクロプロピル及びシクロブチルを表す。
用語「シクロアルキル-アルキル」(又は、同義的に、「アルキル-シクロアルキル」)は、本明細書中で使用されている場合、上記で記載したアルキル部分を含んでおり且つ上記で記載したシクロアルキル部分も含んでいる系を示している。「シクロアルキル-アルキル」(又は、「アルキル-シクロアルキル」)への結合は、シクロアルキル部分又はアルキル部分のいずれかを介することができる。「シクロアルキル-アルキル」系において指定されている炭素原子の数は、アルキル部分及びシクロアルキル部分の両方における炭素原子の総数を示している。C-Cシクロアルキル-アルキルの例としては、限定するものではないが、メチルシクロプロピル、ジメチルシクロプロピル、メチルシクロブチル、エチルシクロプロピル、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル及びシクロブチルメチルなどがある。
用語「ハロゲン」(又は、「ハロ」)は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を表す(代替え的に、フルオロ、クロロ、ブロモ及びヨードとも称される)。
本明細書中で使用されている場合、用語「又は」は、適切な場合には組合せてもよい、代替えを意味する。
別途明示されていない限り、本明細書中に記載されている全ての範囲は包括的である。例えば、「1~4個のヘテロ原子」を含有すると記載されたヘテロ環式環は、該環が、1個、2個、3個又は4個のヘテロ原子を含有し得ることを意味する。本明細書中に記載されている任意の範囲が、その範囲内に、その範囲内の全ての下位範囲を包含することも理解されるべきである。従って、例えば、「1~4個のヘテロ原子」を含有すると記載されているヘテロ環式環は、その態様として、2~4個のヘテロ原子、3個又は4個のヘテロ原子、1~3個のヘテロ原子、2個又は3個のヘテロ原子、1個又は2個のヘテロ原子、1個のヘテロ原子、2個のヘテロ原子などを含有するヘテロ環式環を包含することが意図されている。
本明細書中において定義されているさまざまなシクロアルキル並びにヘテロ環式環/ヘテロアリール環及びヘテロ環式環系/ヘテロアリール環系は、いずれも、結果として安定な化合物が得られるという条件の下で、当該化合物の残部に任意の環原子(即ち、任意の炭素原子又は任意のヘテロ原子)で結合することができる。適切な5員又は6員のヘテロ芳香族環としては、限定するものではないが、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル及びトリアゾリルなどがある。
「安定な」化合物は、調製及び単離することが可能で、且つ、その構造及び特性が本明細書中に記載されている目的(例えば、対象者への治療的又は予防的な投与)のために該化合物を使用することを可能にするのに充分な時間にわたり本質的に変化しないままでいるか又は変化しないままでいるようにさせることが可能な化合物である。ある化合物について言及されている場合、その言及は、その化合物の安定な錯体(例えば、安定な水和物)も包含する。
置換基及び置換基パターンの選択の結果として、式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物の特定のものは、不斉中心を有することができ、そして、立体異性体の混合物として、又は、個々のジアステレオマー若しくはエナンチオマーとして、存在することができる。別途示されていない限り、これらの化合物の全ての異性体形態(並びに、それらの薬学的に許容される塩及び水和物形態)は、単離されたものか又は混合物の状態であるかにかかわらず、本発明の範囲内にある。また、示されている該化合物の互変異性体形態(並びに、それらの薬学的に許容される塩及び水和物形態)も、本発明の範囲内に包含される。
任意の構成要素の中に、又は、式(I)、式(Ia)、式(II)若しくは式(IIa)の中に、任意の可変部分が2回以上出現する場合、各出現におけるその定義は、他の全ての出現におけるその定義から独立している。また、置換基及び/又は可変部分の組合せは、そのような組合せが結果として安定な化合物を生じる場合にのみ許容される。
用語「置換されている」は、そのような一置換及び多置換(同一部位における複数の置換を包含する)が化学的に可能である範囲内において、指定された置換基による一置換及び多置換を包含する。別途明示されていない限り、指定された置換基による置換は、環(例えば、アリール、シクロアルキル、ヘテロアリール又はヘテロシクリル)の中の任意の原子上で可能であるが、但し、そのような環置換が化学的に可能であり且つ結果として安定な化合物を生じることを条件とする。
波線で終わっている結合は、本明細書中では、置換基又は部分構造の結合点を示すために使用されている。この使用法は、以下の例によって例示される:
Figure 2022523212000008
式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物は、さらに、抗真菌薬化合物用のスクリーニングアッセイの調製及び実施においても有用である。例えば、該化合物は、さらなる抗真菌薬化合物を確認するための優れたスクリーニング手段である突然変異体を単離するのに有用である。
式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物は、適切な場合には、「薬学的に許容される塩」又は水和物の形態で投与することができる。しかしながら、別の塩は、該化合物又はそれらの薬学的に許容される塩の調製において有用であり得る。例えば、該化合物が塩基性アミン基を含んでいる場合、それらは、好都合には、トリフルオロ酢酸塩として単離することができる(例えば、HPLC精製により)。そのトリフルオロ酢酸塩を別の塩(これは、薬学的に許容される塩を包含する)に変換することは、当技術分野において既知の多くの標準的な方法で達成することができる。例えば、適切なイオン交換樹脂を使用して、所望の塩を生成させることができる。あるいは、トリフルオロ酢酸塩を親化合物遊離アミンに変換することは、当技術分野において既知の標準的な法(例えば、NaHCOなどの適切な無機塩基で中和すること)によって達成することができる。次いで、その遊離塩基を適切な有機酸又は無機酸と反応させることにより、別の所望のアミン塩を慣習的な方法で調製することができる。代表的な薬学的に許容される第四級アンモニウム塩としては、以下のものを挙げることができる:塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、リンゴ酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、ステアリン酸塩、フマル酸塩、ヒプル酸塩、マレイン酸塩、グルコン酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、グルセプト酸塩、グルタミン酸塩、グルクロン酸塩(glucoronate)、プロピオン酸塩、安息香酸塩、メシル酸塩、トシル酸塩、オレイン酸塩、ラクトビオ酸塩、ラウリル硫酸塩、ベシル酸塩、カプリル酸塩、イセチオン酸塩、ゲンチジン酸塩、マロン酸塩、ナプシル酸塩、エジシル酸塩、パモ酸塩、キシナホ酸塩、ナパジシル酸塩、臭化水素酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、ケイ皮酸塩、マンデル酸塩、ウンデシレン酸塩、及び、カンシル酸塩。式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物の多くは、酸性のカルボン酸部分を有しており、この場合、その適切な薬学的に許容される塩は、アルカリ金属塩(例えば、ナトリウム塩又はカリウム塩);アルカリ土類金属塩(例えば、カルシウム塩又はマグネシウム塩);及び、適切な有機配位子を用いて形成された塩(例えば、第四級アンモニウム塩)を包含し得る。
本発明は、その範囲内に、式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表されるプロドラッグの使用を包含する。一般に、そのようなプロドラッグは、該化合物の機能的誘導体であり、それは、必要とされる化合物にインビボで容易に変換される。従って、本発明の治療方法において、用語「投与すること」は、記載されているさまざまな状態を、特定的に開示されている化合物で治療すること、又は、患者への投与後に特定されている化合物にインビボで変換する化合物で治療することを、包含する。適切なプロドラッグ誘導体の選択及び調製に関する慣習的な方法は、例えば、「“Design of Prodrugs,” ed. H. Bundgaard, Elsevier, 1985」(これは、参照によりその全体を本明細書中に組み入れる)に記載されている。式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物の代謝産物は、該化合物を生物学的環境中に導入したときに産生される活性化学種を包含する。
用語「投与」及びその変形(例えば、化合物を「投与すること」)は、治療を必要とする対象者に特定の化合物(場合により、その塩又は水和物の形態にある)又はその化合物の特定のプロドラッグを提供することを意味する。式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩又はその水和物若しくはプロドラッグを第2の活性薬(例えば、真菌/細菌感染症を治療するのに有用な別の抗真菌/抗細菌薬)と組合されて供与する場合、「投与」及びその変形は、それぞれ、該化合物(又は、その塩、水和物若しくはプロドラッグ)と該別の活性薬を同時供与すること及び順次に供与することを包含するものと理解される。
本明細書中で使用されている場合、用語「組成物」は、特定された成分を含んでいる生成物、及び、特定された成分を合わせることで直接的又は間接的に生じる任意の生成物を包含することが意図されている。
「薬学的に許容される」は、医薬組成物の成分が、互いに適合性を示さなければならないこと及びそのレシピエントに対して有害であってはならないことを意味する。
用語「対象者(subject)」(代替え的に、本明細書中では、「患者(patient)」とも称される)は、本明細書中で使用されている場合、治療、観察又は実験の対象となった、動物(好ましくは、哺乳動物、最も好ましくは、ヒト)を表す。
用語「有効量」は、本明細書中で使用されている場合、研究者、獣医師、医師又は別の臨床家によって求められている組織、系、動物又はヒトにおける生物学的又は医学的な応答を誘発する活性成分又は医薬の量を意味する。一実施形態では、「有効量」は、治療対象の疾患又は状態の症状を緩和する「治療上有効な量」であり得る。別の実施形態では、「有効量」は、予防対象の疾患若しくは状態の症状を予防するため又は発症の可能性を低減させるための「予防上有効な量」であり得る。この用語は、さらにまた、(1,3)-β-D-グルカン合成酵素を阻害し、それによって、求められている応答を誘発するのに充分な該エンフマフンギン誘導体の阻害有効量も意味し得る。
「治療する」、「治療すること」、「治療」及びそれらの変形への言及は、一般に、投与された後で真菌感染症に関連する1以上の徴候若しくは症状の解消若しくは改善をもたらす治療、又は、感染症の原因となる真菌の根絶をもたらす治療、又は、これらの結果の任意の組み合わせをもたらす治療を意味する。
PCPを治療及び/又は予防する目的で、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物(場合により、塩又は水和物の形態にある)は、医薬品と組み合わせて使用するのに利用可能な慣習的な方法で投与することができる。
PCPを治療及び/又は予防する目的で、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物(場合により、塩又は水和物の形態にある)は、個々の治療薬として単独で投与することができるか、又は、治療剤の組み合わせとして1種類以上の別の抗菌薬と一緒に(逐次的に又は同時に)投与することができる。
PCPを治療及び/又は予防する目的で、式(I)、式(Ia)、式(II)又は式(IIa)で表される化合物(場合により、塩又は水和物の形態にある)は、選択された投与経路及び標準的な薬務に基づいて選択された医薬担体と一緒に投与することができる。
例えば、式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物形態は、以下の経路のうちの1つ以上で投与することができる: 有効量の該化合物並びに慣習的な無毒性の薬学的に許容される担体、アジュバント及びビヒクル含んでいる医薬組成物の単位投与量の形態で、経口的に、非経口的に(これは、皮下注射、静脈内、筋肉内、病変内注射又は注入技術を包含する)、吸入により(例えば、鼻又は口腔内の吸入スプレー、定量吸入器からのエアロゾル及び乾燥粉末吸入器)、噴霧器により、経眼的に、局所的に、経皮的に、又は、経直腸的に。経口投与に適した液体調製物(例えば、懸濁液剤、シロップ剤及びエリキシル剤など)は、当技術分野で既知の技術に従って調製することが可能であり、そして、水、グリコール類、油類及びアルコール類などの通常の媒体を使用することができる。経口投与に適した固形調製物(例えば、散剤、丸剤、カプセル剤及び錠剤)は、当技術分野で既知の技術に従って調製することが可能であり、そして、デンプン類、糖類、カオリン、滑沢剤、結合剤及び崩壊剤などの固形賦形剤を使用することができる。非経口組成物は、当技術分野で既知の技術に従って調製することが可能であり、そして、典型的には、担体として滅菌水を使用し、及び、場合により、溶解性補助剤のような別の成分を使用する。注射可能な溶液は、当技術分野で既知の方法に従って調製することが可能であり、その際、当該担体は、生理食塩水、グルコース溶液又は生理食塩水とグルコースの混合物を含有する溶液を含んでいる。
医薬組成物の調製において使用するのに適した方法及びそのような組成物で使用するのに適した成分についてのさらなる説明は、「Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th edition, edited by A. R. Gennaro, Mack Publishing Co., 2000」の中に記載されている。
式(I)、式(Ia)、式(II)及び式(IIa)で表される化合物並びにそれらの薬学的に許容される塩及び水和物形態は、例えば、経口的に又は静脈内に、例えば、1日当たり、哺乳動物(例えば、ヒト)の体重1kg当たり、0.001~1000mgの投与量範囲内で、単一用量又は分割用量で、投与することができる。投与量範囲の一例は、単一用量又は分割用量で、経口的に又は静脈内に、1日当たり、体重1kg当たり、0.01~500mgである。投与量範囲の別の例は、単一用量又は分割用量で、経口的に又は静脈内に、1日当たり、体重1kg当たり0.1~50mgである。経口投与に関しては、該組成物は、治療対象の患者に対して投与量を対症的に調節するために、例えば、1.0~1000ミリグラムの活性成分、特に、1、5、10、15、20、25、50、75、100、150、200、250、300、400、500、600、750及び1000ミリグラムの活性成分を含有する錠剤又はカプセル剤の形態で提供することができる。任意の特定の患者に対する特定の用量レベル及び投与頻度は変えることができ、そして、それらは、使用する特定の化合物の活性、その化合物の代謝安定性及び作用の長さ、年齢、体重、一般的な健康状態、性別、食事、投与方法及び投与時間、排出速度、薬物の組合せ、特定の状態の重症度並びに宿主が受けている治療などを包含する種々の要因に依存するであろう。例えば、実施形態において、式(IIa)で表される化合物の薬学的に許容される塩は、150~1500mgの1日総投与量の式(IIa)で表される化合物を提供するために対象者に投与される。特定の実施形態では、150mgの1日総投与量、又は、250mgの1日総投与量、又は、500mgの1日総投与量、又は、750mgの1日総投与量、又は、1000mgの1日総投与量、又は、1500mgの1日総投与量の、式(IIa)で表される化合物を投与する; その1日総投与量は、1日1回基準で投与することが可能であるか、又は、BID(1日2回)投与若しくはTID(1日3回)投与などのために、分割することが可能であるか、又は、特にPCPを治療及び/若しくは予防するために、さらに少ない頻度で(例えば、週3回、週2回、又は、週1回)投与することが可能である。実施形態において、式(IIa)で表される化合物の薬学的に許容される塩は、1日当たり150~750mgの式(IIa)で表される化合物を提供するために、又は、1日当たり250~750mgの式(IIa)で表される化合物を提供するために、又は、1日当たり250~1000mgの式(IIa)で表される化合物を提供するために、QD(1日1回)投与するか又はBID投与する。
好ましい実施形態では、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療するために、式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物は、経口投与され、そして、250mg~1000mgの該化合物の総1日投与量を提供する。好ましい実施形態では、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療するために、式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物は、2~6週間投与される。
好ましい実施形態では、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を予防するために、式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物は、経口投与され、そして、150mg~750mgの該化合物の総1日投与量を提供する。好ましい実施形態では、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を予防するために、式(IIa)で表される化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物は、4週間以上投与される。
ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)に対する化合物の抗真菌活性は、当技術分野で知られている様々なアッセイによって、例えば、マウスにおけるニューモシスチス・ムリナ(Pneumocystis murina)肺炎の予防モデル又は治療モデルによって、実証することができる。化合物の活性は、典型的には、肺内のニューモシスチスの嚢胞形態(別名、子嚢)及び栄養形態(別名、核)の定量的評価によって示されるように、生存率及び肺真菌負荷を測定することによって評価される。ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)は、インビトロでの抗真菌的な評価を可能にするのに充分に長い時間、インビトロで培養することは不可能であり、ニューモシスチス感染のマウスモデルが最良の代替法と考えられる。ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)は、それらが感染する哺乳動物に応じて種特異性を有する。ヒトでの感染に関与する種であるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)は、マウスには効率的には感染しない。ニューモシスチス・ムリナ(Pneumocystis murina)は、マウスに対して特異的な種である。PCPのマウスモデルに関する免疫及び生理病理学の見地は、ヒトの感染症に適用可能であると考えられる。
本発明は、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療する方法を提供し、ここで、該方法は、該対象者にトリテルペノイド系抗真菌薬を投与することを含む。実施形態では、該トリテルペノイド系抗真菌薬は、イブレキサフンゲルプである。実施形態では、該ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)は、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)である。実施形態では、該イブレキサフンゲルプは、経口投与される。実施形態では、栄養負荷及び嚢胞負荷の両方が低減される。
本発明は、さらに、対象者におけるニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を予防する方法も提供し、ここで、該方法は、該対象者にトリテルペノイド系抗真菌薬を投与することを含む。実施形態では、該トリテルペノイド系抗真菌薬は、イブレキサフンゲルプである。実施形態では、該ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)は、ニューモシスチス・ジロベシイ(P. jirovecii)である。実施形態では、該イブレキサフンゲルプは、経口投与される。実施形態では、栄養負荷及び嚢胞負荷の両方が低減される。
実施例
以下の実施例は、本発明及びその実施について例証するためにのみ役立つ。該実施例は、本発明の範囲又は精神に対する制限として解釈されるべきではない。
実施例1
PCPに対する予防のマウスモデルにおけるSCY-078の効果の評価
この研究の目的は、比較対照として標準治療TMP-SMXを使用して、PCPの予防における経口投与されたSCY-078(イブレキサフンゲルプ)の有効性を評価することであった。
材料及び方法
化合物の調製: SCY-078(イブレキサフンゲルプ)を、経口投与用に、0.5%メチルセルロース中で調製した。塩と水分含有量に関しては、このロットの補正係数1.37を考慮に入れた。マウスの平均体重20gに基づいて、高投与量群のマウスには、0.6mgのSCY-078BIDを投与し、中投与量群のマウスには、0.3mgのSCY-078BIDを投与し、及び、低投与量群のマウスには、0.15mgのSCY-078BIDを投与した。
研究デザイン(群): 研究群は、以下の通りであった。
Figure 2022523212000009
ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)予防研究方法: C3H/HeNマウス(Charles River)に、液体窒素貯蔵容器からの2×10/50μLのニューモシスチス・ムリナ(P. murina)生物を鼻腔内接種によって感染させた。接種に先立ち、該ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)を、ウシ血清と抗生物質を補足したRPMI 1640培地の中で一晩プレインキュベートして、細菌による汚染を排除した。マウスの免疫系は、酸性飲料水(1mL/リットルの塩酸)に4mg/リットルのデキサメタゾンを添加することによって抑制させた。酸性化は、二次微生物感染を防ぐために使用される。該マウスは、陰性(未処置)対照群(対照ステロイド - C/S)、陽性対照群(トリメトプリム/スルファメトキサゾール - TMP/SMX)及び処置群に分けた。SCY-078は、指定された投与量で経口(po)BID投与した。マウスは、接種されたのと同時に予防療法を開始した。免疫抑制と処置は、6週間の研究全体にわたって継続した。その期間の終わりに、マウスをCOで安楽死させ、肺を分析用に均質化によって処理した。さまざまな希釈率の肺ホモジネートからスライドを作成し、Diff-Quikで染色して全核(栄養形態)を定量化し、及び、クレシルエクトバイオレットで染色して子嚢(嚢胞形態)を定量化した。
計算: 有効性は、顕微鏡評価によって決定された、処置群と陰性対照群との間の生物負荷の減少に基づいていた。各肺に関する核と子嚢の数を対数変換し、分散分析(ANOVA)によって統計分析を求めた;個々の群は、GraphPad Prismを使用した多重比較のために、Student-Newman-Keuls t検定によって比較した。統計的有意性は、P値≦0.05で認められた。
結果
図1は、6週間の処置の後のlog10平均核及び子嚢数を示している。C/Sは、ビヒクルで処置された陰性対照を示している。TMP/SMXは、トリメトプリム/スルファメトキサゾールを示している。括弧は、処置群とC/S群の間の統計的に有意な差を示している。#は、処置群とTMP/SMXの間に統計的に有意な差がないことを示している。有意性は、P値≦0.05で認められた。
図1に示されているように、SCY-078の予防的投与は、未処置対照と比較した場合、核数と子嚢数の両方において統計的に有意な減少をもたらした。良好な用量反応相関が存在した。SCY-078の最高用量の有効性は、ゴールドスタンダードであるTMP/SMXと同等であった。
処置群及び週に基づいた生存率(%)が以下の表に示されており、ここで、*は処置群とC/S群との間の統計的に有意な差を示している。このモデルは、典型的には、高い死亡率とは関連していないが、表に示されているように、SCY-078の投与計画は、未処置対照よりも良好な生存率を示し、TMP/SMXに匹敵した。
Figure 2022523212000010
結論
SCY-078は、3種類の用量の全てにおいて、ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)肺炎のこのマウス予防モデルにおいて非常に良好に機能した。
SCY-078は、3種類の用量レベルの全てにおいて、ビヒクルで処置された陰性対照群(C/S)と比較して、核及び子嚢の両方の負荷を有意に減少させた。
SCY-078は、30mg/kgで、子嚢の負荷を軽減することにおいて、ニューモシスチス肺炎の治療のためのゴールドスタンダードであるTMP/SMXと同様に良好に機能した。
SCY-078は、30mg/kgで、ビヒクルで処置された陰性対照群と比較して、生存において有意な改善を示した。
このPCP予防モデルにおいて、SCY-078は、ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)の嚢胞形態及び栄養形態の両方に対して強力な抗真菌活性を示した。
SCY-078は、ヒトのニューモシスチス肺炎を治療するための実用的な可能性のある予防薬の候補の代表となる。
実施例2
PCPの治療のマウスモデルにおけるSCY-078の効果の評価(早期反応)
この研究の目的は、比較対照として標準治療TMP/SMXを使用して、反応の初期の時点(7日目、14日目及び21日目)に焦点を合わせて、PCPの治療における経口投与されたSCY-078の有効性を評価することであった。
方法
化合物の調製: SCY-078(イブレキサフンゲルプ)を、経口投与用に、0.5%メチルセルロース中で調製した。塩と水分含有量に関しては、補正係数1.37を考慮に入れた。マウスの平均体重20gに基づいて、高投与量群のマウスには、0.3mgのイブレキサフンゲルプBIDを投与し、及び、低投与量群のマウスには、0.1mgのイブレキサフンゲルプBIDを投与した。
研究デザイン(群): 研究群は、以下の通りであった。
Figure 2022523212000011
ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)治療研究方法: Charles Riverから取り寄せたC3H/HeNマウスを、劇症ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)感染マウス(シードマウス)に曝露させることによってニューモシスチス・ムリナ(P. murina)肺炎に感染させた。これらのマウスは、飲料水に4mg/リットルのデキサメタゾンを添加することによって免疫抑制させた。消毒のために、1mL/リットルの硫酸も飲料水に加えた。シードマウスをケージ内で2週間回転させた後、取り出した。マウスが中等度の感染レベルを発症した後(約5週間)、それらを陰性対照群(対照ステロイド)、陽性対照群(TMP/SMX)及び処置群に分けた。被験薬物は、最大で3週間、mg/kg/日に基づいて強制経口投与(PO)によって投与した。処置の終わりに、マウスをCOで安楽死させ、肺を分析のために処理した。スライドは、さまざまな希釈率の肺ホモジネートから作成し、Diff-Quikで染色して核(全ての生活環段階)を定量化し、クレシルエクトバイオレットで染色して子嚢を定量化した。
計算: 有効性は、顕微鏡評価によって決定された、処置群と陰性対照群との間の生物負荷の減少に基づいていた。各肺に関する核と子嚢の数を対数変換し、分散分析(ANOVA)によって統計分析を求めた;個々の群は、GraphPad Prismを使用した多重比較のために、Student-Newman-Keuls t検定によって比較した。統計的有意性は、P値≦0.05で認められた。
結果
図2は、7日間、14日間及び21日間の処置の後のlog10平均核及び子嚢数を示している。C/Sは、ビヒクルで処置された陰性対照を示している。TMP/SMXは、トリメトプリム/スルファメトキサゾールを示している。括弧は、処置群とC/S群の間の統計的に有意な差を示している。#は、処置群とTMP/SMXの間の統計的に有意な差を示している。有意性は、P値≦0.05で認められた。
図2に示されているように、SCY-078は、両方の用量レベルで、ビヒクルで処置された陰性対照群(C/S)と比較して14日目及び21日目の評価で子嚢負荷を有意に減少させ、その減少の程度は、ニューモシスチス肺炎の治療に関するゴールドスタンダードであるTMP/SMXと比較して同程度あった。SCY-078は、両方の用量レベルで、7日目の子嚢負荷の減少においては、ゴールドスタンダードであるTMP/SMXよりも統計的に有意に優れていた。SCY-078は、両方の用量レベルで、ビヒクルで治療された陰性対照群(C/S)と比較して14日目及び21日目の評価で核負荷を有意に減少させた。核負荷に対する効果の大きさは、TMP/SMX対照で観察されたものよりは低いものの、未処置対照と比較した場合に有意であった。生存は、全ての群の90%~100%で観察され、顕著な相違はなかった。
結論
SCY-078は、両方の用量レベルで、ニューモシスチス肺炎の治療のためのゴールドスタンダードであるTMP/SMXよりも7日目に子嚢負荷を低減させるのに有意に良好に機能した。
SCY-078は、両方の用量レベルで、14日目及び21日目に、ビヒクルで処理された陰性対照群(C/S)と比較して、核及び子嚢の両方の負荷を有意に減少させた。
このPCP治療モデルにおいて、SCY-078は、ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)の嚢胞形態及び栄養形態の両方に対して強力な抗真菌活性を示した。
SCY-078は、ヒトのニューモシスチス肺炎に関する実用的な可能性のある治療の選択肢である。
SCY-078の2つの群の間で用量反応が見られなかったので、より低い用量及びより長い追跡期間を使用する研究が認可された。
実施例3
PCPの治療のマウスモデルにおけるSCY-078の効果の評価
この研究の目的は、比較対照として標準治療TMP/SMXを使用して、PCPの治療における経口投与されたSCY-078の有効性を評価することであった。
方法
化合物の調製: SCY-078(イブレキサフンゲルプ)を、経口投与用に、0.5%メチルセルロース中で調製した。塩と水分含有量に関しては、補正係数1.37を考慮に入れた。マウスの平均体重20gに基づいて、高投与量群のマウスには、0.3mgのイブレキサフンゲルプBIDを投与し、及び、低投与量群のマウスには、0.1mgのイブレキサフンゲルプBIDを投与した。
研究デザイン(群): 研究群は、以下の通りであった。
Figure 2022523212000012
ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)治療研究方法: Charles Riverから取り寄せたBalb/cマウスを、劇症ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)感染マウス(シードマウス)に曝露させることによってニューモシスチス・ムリナ(P. murina)肺炎に感染させた。これらのマウスは、飲料水に4mg/リットルのデキサメタゾンを添加することによって免疫抑制させた。消毒のために、1mL/リットルの硫酸も飲料水に加えた。シードマウスをケージ内で2週間回転させた後、取り出した。マウスが中等度の感染レベルを発症した後(約5週間)、それらマウスを陰性対照群(対照ステロイド)、陽性対照群(TMP/SMX)及び処置群に分けた。被験薬物は、最大で6週間、mg/kg/BIDに基づいて強制経口投与(PO)によって投与した。処置の終わりに、マウスをCOで安楽死させ、肺を分析のために処理した。スライドは、さまざまな希釈率の肺ホモジネートから作成し、Diff-QuikTMで染色して核(全ての生活環段階)を定量化し、クレシルエクトバイオレットで染色して子嚢を定量化した。
計算: 有効性は、顕微鏡評価によって決定された、処置群と陰性対照群との間の生物負荷の減少に基づいていた。各肺に関する核と子嚢の数を対数変換し、分散分析(ANOVA)によって統計分析を求めた;個々の群は、GraphPad Prismを使用した多重比較のために、Student-Newman-Keuls t検定によって比較した。統計的有意性は、P値≦0.05で認められた。
結果
図3は、28日間、35日間及び42日間の処置の後のlog10平均核及び子嚢数を示している。C/Sは、ビヒクルで処置された陰性対照を示している。TMP/SMXは、トリメトプリム/スルファメトキサゾールを示している。括弧は、処置群とC/S群の間の統計的に有意な差を示している。*は、処置群とTMP/SMXの間に統計的に有意な差がないことを示している。有意性は、P値≦0.05で認められた。
図3に示されているように、SCY-078は、全ての用量レベルで、ビヒクルで処置された陰性対照群(C/S)と比較して3つの全ての時点で核と子嚢の両方の負荷を有意に減少させた。
生存率は、28日目、35日目及び42日目のSCY-078とTMP/SMXの全ての処置群に関して90%~100%であり、生存に関して統計的な差は観察されなかった。
結論
SCY-078は、全ての用量レベルで、ビヒクルで処置された陰性対照群(C/S)と比較して3つの全ての時点で核と子嚢の両方の負荷を有意に減少させた。
SCY-078は、全ての用量レベルで、42日目に子嚢負荷を低減させることにおいて、陽性対照(TMP/SMX)と同様に良好に機能した。28日目及び35日目では、15mg/kgの群と10mg/kgの群は、子嚢負荷を低減させることにおいて、陽性対照と同様に良好に機能した。
28日目及び35日目では、15mg/kgの群と10mg/kgの群において、子嚢は観察されなかった。しかしながら、42日目では、3種の用量の群全てにおいて、多少の子嚢が観察された。
いかなる時点においても、有効な治療群の間で生存率に統計的差異はなかった。
このPCP治療モデルにおいて、SCY-078は、ニューモシスチス・ムリナ(P. murina)の嚢胞形態及び栄養形態の両方に対して強力な抗真菌活性を示した。
SCY-078は、ヒトのニューモシスチス肺炎に関する実用的な可能性のある治療の選択肢である。
本発明について、特に、その好ましい実施形態を参照して示し、説明してきたが、当業者は本開示に鑑みて、添付されている特許請求の範囲に包含される本発明の範囲から逸脱することなく形態及び詳細にさまざまな変更を加えることができるということを理解するであろう。

Claims (34)

  1. ニューモシスチス肺炎を治療することが必要な対象者におけるニューモシスチス肺炎を治療する方法であって、該対象者に、式(II):
    Figure 2022523212000013
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
  2. 前記ニューモシスチス肺炎がニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる、請求項1に記載の方法。
  3. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)の嚢胞負荷及び栄養負荷が低減される、請求項2に記載の方法。
  4. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を経口投与する、請求項1、2及び3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を静脈内投与する、請求項1、2及び3のいずれか1項に記載の方法。
  6. 前記対象者がヒトである、請求項1、2、3、4及び5のいずれか1項に記載の方法。
  7. ニューモシスチス肺炎を予防することが必要な対象者におけるニューモシスチス肺炎を予防する方法であって、該対象者に、式(II):
    Figure 2022523212000014
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
  8. 前記ニューモシスチス肺炎がニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)によって引き起こされる、請求項7に記載の方法。
  9. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)の嚢胞負荷及び栄養負荷が低減される、請求項8に記載の方法。
  10. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を経口投与する、請求項7、8及び9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を静脈内投与する、請求項7、8及び9のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記対象者がヒトである、請求項7、8、9、10及び11のいずれか1項に記載の方法。
  13. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療することが必要なヒトにおけるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療する方法であって、該ヒトに、式(IIa):
    Figure 2022523212000015
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[(2R)-2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
  14. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)の嚢胞負荷及び栄養負荷が低減される、請求項13に記載の方法。
  15. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を経口投与する、請求項13及び14のいずれか1項に記載の方法。
  16. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を静脈内投与する、請求項13及び14のいずれか1項に記載の方法。
  17. 式(IIa)で表される化合物のクエン酸塩を投与する、請求項13、14、15及び16のいずれか1項に記載の方法。
  18. 式(IIa)で表される化合物の薬学的に許容される塩を錠剤に含ませて経口投与する、請求項13、14及び15のいずれか1項に記載の方法。
  19. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を、経口投与し、そして、250mg~1000mgの該化合物の総1日投与量を提供する、請求項13に記載の方法。
  20. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を2~6週間投与する、請求項13に記載の方法。
  21. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を予防することが必要なヒトにおけるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を予防する方法であって、該ヒトに、式(IIa):
    Figure 2022523212000016
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[(2R)-2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を投与することを含む、前記方法。
  22. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)の嚢胞負荷及び栄養負荷が低減される、請求項21に記載の方法。
  23. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を経口投与する、請求項21及び22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を静脈内投与する、請求項21及び22のいずれか1項に記載の方法。
  25. 式(IIa)で表される化合物のクエン酸塩を投与する、請求項21、22、23及び24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 式(IIa)で表される化合物の薬学的に許容される塩を錠剤に含ませて経口投与する、請求項21、22及び23のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を、経口投与し、そして、150mg~750mgの該化合物の総1日投与量を提供する、請求項21に記載の方法。
  28. 前記化合物又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を4週間以上投与する、請求項21に記載の方法。
  29. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療することが必要なヒトにおけるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療する方法であって、該ヒトに、式(IIa):
    Figure 2022523212000017
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[(2R)-2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)の薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
  30. 式(IIa)で表される化合物のクエン酸塩を投与する、請求項29に記載の方法。
  31. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を予防することが必要なヒトにおけるニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を予防する方法であって、該ヒトに、式(IIa):
    Figure 2022523212000018
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[(2R)-2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)の薬学的に許容される塩を投与することを含む、前記方法。
  32. 式(IIa)で表される化合物のクエン酸塩を投与する、請求項31に記載の方法。
  33. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療又は予防するための薬物の調製であって、特定量の式(II):
    Figure 2022523212000019
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物を使用することを含む、前記調製。
  34. ニューモシスチス・ジロベシイ(Pneumocystis jirovecii)肺炎を治療又は予防するための薬物の調製における、式(II):
    Figure 2022523212000020
    で表される化合物(これは、(1S,4aR,6aS,7R,8R,10aR,10bR,12aR,14R,15R)-15-[[2-アミノ-2,3,3-トリメチルブチル]オキシ]-8-[(1R)-1,2-ジメチルプロピル]-14-[5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,4-トリアゾール-1-イル]-1,6,6a,7,8,9,10,10a,10b,11,12,12a-ドデカヒドロ-1,6a,8,10a-テトラメチル-4H-1,4a-プロパノ-2H-フェナントロ[1,2-c]ピラン-7-カルボン酸である)又はその薬学的に許容される塩若しくは水和物の使用。
JP2021549801A 2019-02-27 2020-02-25 ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬 Pending JP2022523212A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201962811456P 2019-02-27 2019-02-27
US62/811,456 2019-02-27
PCT/US2020/019724 WO2020176527A1 (en) 2019-02-27 2020-02-25 Triterpenoid antifungals for the treatment or prevention of pneumocystis spp. pneumonia

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022523212A true JP2022523212A (ja) 2022-04-21
JPWO2020176527A5 JPWO2020176527A5 (ja) 2023-02-24

Family

ID=70005768

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2021549801A Pending JP2022523212A (ja) 2019-02-27 2020-02-25 ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬

Country Status (14)

Country Link
US (1) US20230149376A1 (ja)
EP (1) EP3930716A1 (ja)
JP (1) JP2022523212A (ja)
KR (1) KR20210133241A (ja)
CN (1) CN113631165A (ja)
AU (1) AU2020228036A1 (ja)
BR (1) BR112021016876A2 (ja)
CA (1) CA3131298A1 (ja)
EA (1) EA202192344A1 (ja)
IL (1) IL285839A (ja)
MA (1) MA55081A (ja)
MX (1) MX2021010311A (ja)
TW (1) TW202045169A (ja)
WO (1) WO2020176527A1 (ja)

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5166135A (en) * 1988-09-12 1992-11-24 Merck & Company, Inc. Method for the control of pneumocystis carinii
US5756472A (en) 1996-01-31 1998-05-26 Merck & Co., Inc. Antifungal agent obtained from hormonema
DK2007396T3 (da) 2006-04-03 2013-03-18 Merck Sharp & Dohme Enfumafungin-derivat som antimykotika
AU2009282474B2 (en) 2008-08-12 2014-03-20 Scynexis, Inc. Antifungal agents
CN108883152A (zh) * 2016-01-08 2018-11-23 奇达拉治疗公司 防止和治疗肺孢子虫感染的方法
US11110102B2 (en) * 2017-04-10 2021-09-07 Scynexis, Inc. Antifungal agents used in combination
WO2019028034A1 (en) * 2017-08-04 2019-02-07 Scynexis, Inc. ANTIFUNGAL AGENTS WITH IMPROVED PH ACID ACTIVITY

Also Published As

Publication number Publication date
AU2020228036A1 (en) 2021-09-23
BR112021016876A2 (pt) 2021-11-03
EA202192344A1 (ru) 2021-11-15
EP3930716A1 (en) 2022-01-05
CA3131298A1 (en) 2020-09-03
KR20210133241A (ko) 2021-11-05
US20230149376A1 (en) 2023-05-18
TW202045169A (zh) 2020-12-16
WO2020176527A1 (en) 2020-09-03
MA55081A (fr) 2022-01-05
IL285839A (en) 2021-10-31
MX2021010311A (es) 2022-01-04
CN113631165A (zh) 2021-11-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20240076347A1 (en) Methods for preventing fungal infections
US20230364067A1 (en) Antifungal agents with enhanced activity in acidic ph
JP2023030113A (ja) 併用される抗真菌剤
JP2022523212A (ja) ニューモシスチス属種(Pneumocystis spp.)肺炎を治療又は予防するためのトリテルペノイド系抗真菌薬
RU2497521C1 (ru) Фармацевтическая композиция, обладающая противогрибковой активностью, и способ ее получения
JP2022519500A (ja) 真菌性骨-関節感染症を治療するためのトリテルペノイド系抗真菌薬
EP3968986A1 (en) Antifungal agents, like ibrexafungerp for candida auris decolonization
WO2020209215A1 (ja) 抗真菌剤
MX2007014485A (es) Medicamento a base de saponina sc-2 para el tratamiento de candidiasis.

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20230215

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230215

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20240123

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20240419