JP2022521899A - クラッドの厚さが削減されたマルチモード光ファイバ - Google Patents

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Abstract

本記述は、クラッドの厚さが削減されたマルチモード光ファイバを提供する。上記光ファイバは、小径ガラスファイバ、及び/又は厚さが削減されたコーティングを含む。上記光ファイバ全体の直径は210μm未満であり、160μm未満の直径を有する例が提示される。耐穿刺性二次コーティングにより、上記ガラスファイバの保護を損なうことなく、上記二次コーティングを薄くすることができる。上記光ファイバは、データセンター用途に好適であり、また小型のフォームファクタで、高いモード帯域幅、低い減衰、低いマイクロベンド感受性、及び耐穿刺性を特徴とする。

Description

優先権
本出願は、2019年2月22日出願の米国仮特許出願第62/809,261号に対する優先権の利益を主張するものであり、上記仮特許出願の内容は依拠され、参照によりその全体が本出願に援用される。
本開示は光ファイバに関する。より詳細には、本開示はマルチモード光ファイバに関する。より詳細には、本開示は、高いモード帯域幅及び高い耐穿刺性を特徴とする、直径が削減されたマルチモード光ファイバに関する。
データセンター(data center:DC)は、更なる帯域幅を送達するという課題に対応するために継続的に努力しており、このような取り組みの中で重要なのは、より高い帯域幅密度を有する、より大容量の相互接続及びケーブルの配備である。容量の増大を達成するために提案されている技術としては、より高いラインレート、高度な変調フォーマット、波長分割多重、空間分割多重、及び小径(reduced diameter)ファイバが挙げられる。
直径が削減された光ファイバは:所与の光ファイバ本数に対するケーブルのサイズを削減すること;所与の直径のケーブルの光ファイバ本数を増やすこと;ケーブルのコストを低減すること;既存のインフラストラクチャを効率的に使用してケーブルの設置をアップグレードすること;及び新たなケーブルの設置のフットプリントを削減することについて、魅力的である。
光ファイバは、コーティングに取り囲まれた導波ガラスファイバを含む。上記ガラスファイバは、低屈折率のクラッド領域に取り囲まれた高屈折率のコア領域を含む。上記コーティングは典型的には、上記ガラスファイバと接触する軟質の(低弾性率の)一次コーティングと、上記一次コーティングを取り囲んでこれと接触する硬質の(高弾性率の)二次コーティングとを含む。上記二次コーティングは、機械的完全性を提供し、加工及びケーブル内への設置のための光ファイバの取り扱いを可能にし、その一方で上記一次コーティングは、外力を放散させて、外力が上記ガラスファイバに伝達されるのを防止する役割を果たす。外力を減衰させることにより、上記一次コーティングは上記ガラスファイバへの損傷を防止し、マイクロベンドによって引き起こされる光信号の減衰を最小限に抑える。
光ファイバの直径を削減するための戦略は、ガラスファイバの直径の削減、並びに一次及び/又は二次コーティングの厚さの削減を含む。しかしながらこれらの戦略は、光ファイバの性能に関する妥協につながる。クラッドの直径が小さくなると、マイクロベンドに対する感受性が上昇し、コア内に伝播する光信号の減衰が大きくなる傾向がある。例えばクラッドの直径を125μmから90μmに削減すると、現行の光ファイバ設計では、マイクロベンドに対する感受性は約1桁上昇する。一次コーティングが薄いほど、加工中にせん断によって誘発される欠陥を生じやすくなり、また二次コーティングが薄いほど、穿刺を受けやすくなる。
マルチモード光ファイバはデータセンターで幅広く使用されている。データセンターにおいてより高い容量を達成するために、直径が削減されたマルチモード光ファイバを開発することが望まれている。マルチモードファイバの直径を削減するための現在までの努力は、限定的な成功しか収めていない。データセンター用途のための、直径が削減されたマルチモードファイバが、必要とされ続けている。特に、ファイバ本数がより多いケーブルに組み込むことができ、またより高密度のコネクタで終端できる、小径(reduced‐diameter)マルチモード光ファイバが必要とされている。上記小径マルチモード光ファイバは、データセンターの高い伝送容量に必要な高いモード帯域幅を維持しなければならず、また、耐穿刺性及び他の機械的特性を犠牲にすることなくマイクロベンドを緩和するために最適化されたコーティングを有する必要がある。
本記述は、小径マルチモード光ファイバを提供する。上記小径マルチモード光ファイバは、データセンター用途に好適であり、また小型のフォームファクタで、高いモード帯域幅、低い減衰、低いマイクロベンド感受性、及び耐穿刺性を特徴とする。
本記述の範囲は:
17.5μm~32.5μmの半径rを有するコア領域と、50.0μm以下の半径rを有するクラッド領域とを含む、マルチモードガラスファイバ;
上記クラッド領域を取り囲み、上記クラッド領域に直接隣接する、半径rを有する一次コーティングであって、30.0μm未満の厚さr-rと、0.30MPa以下のその場弾性率(in situ modulus)とを有する、一次コーティング;及び
上記一次コーティングを取り囲み、上記一次コーティングに直接隣接する、100.0μm以下の半径rを有する二次コーティングであって、30.0μm未満の厚さr-rと、3.6×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重とを有する、二次コーティング
を備える、光ファイバにまで及び、
上記光ファイバは、850nm又は1300nmの波長において500MHz・km超の全モード励振(OFL)帯域幅を有する。
更なる特徴及び利点は、以下の「発明を実施するための形態」に記載され、その一部は、当業者には本記述から容易に明らかとなるか、又は本記述及び特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載されているように実施形態を実施することによって認識されるだろう。
上述の「発明の概要」及び以下の「発明を実施するための形態」はいずれも単なる例であり、特許請求の範囲の性質及び特徴を理解するための概観又は枠組みを提供することを目的としたものであることを理解されたい。
添付の図面は更なる理解を提供するために含まれており、本明細書に組み込まれて本明細書の一部を構成する。これらの図面は、本開示の選択された態様の例示であり、本記述と併せて、本開示に含まれる方法、製品、及び組成物の、原理及び動作を説明する役割を果たす。
一実施形態によるコーティング済み光ファイバの概略図 代表的な光ファイバリボンの概略図 代表的な光ファイバケーブルの概略図 マルチモード光ファイバの断面図 マルチモード光ファイバの相対屈折率プロファイル 3つの二次コーティングに関する断面積に対する穿刺荷重の依存度 代表的なマルチモード光ファイバの相対屈折率プロファイル 代表的なマルチモード光ファイバの相対屈折率プロファイル 代表的なマルチモード光ファイバの相対屈折率プロファイル 850nmにおける代表的なマルチモード光ファイバの減衰 1300nmにおける代表的なマルチモード光ファイバの減衰 代表的なマルチモード光ファイバの、マクロベンドによって誘発される減衰
本開示は、本発明を実現可能とする教示として提供されるものであり、以下の説明、図面、実施例及び特許請求の範囲を参照することにより、より容易に理解できる。この目的のために、関連技術分野の当業者は、本明細書に記載の実施形態の様々な態様に対して多くの変更を実施しても、その有益な結果を依然として得られることを認識及び理解するであろう。また、これらの実施形態の望ましい便益のうちの一部を、複数の特徴のうちの一部を選択し、他の特徴を利用しないことによっても得ることができることは、明らかであろう。従って当業者は、多くの修正及び適合が可能であり、また特定の状況においては望ましい場合さえあり、これらが本開示の一部であることを認識するだろう。従って、特段の記載がない限り、本開示は、開示されている具体的な組成物、物品、デバイス及び方法に限定されないことを理解されたい。また、本明細書で使用される用語法は、特定の態様を説明することのみを目的としたものであり、限定を意図したものではないことも理解されたい。
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲では、多数の用語が参照されることになるが、これらの用語は以下の意味を有するものとして定義されるものとする。
「…を含む(include、includes、including)」等の用語は、包含するものの限定しないこと、即ち包括的ではあるものの排他的ではないことを意味する。
本明細書中で使用される場合、用語「約(about)」は、量、サイズ、処方、パラメータ、並びに他の量及び特徴が、正確ではなくかつ正確である必要がないものの、必要に応じて許容誤差、換算係数、丸め、測定誤差等、及び当業者に公知のその他の因子を反映した、おおよそのもの、及び/又は大きい若しくは小さいものであってよいことを意味している。一般に、量、サイズ、処方、パラメータ、又は他の量若しくは特徴は、そのように明記されているかいないかにかかわらず、「約」又は「おおよそ(approximate)」のものである。ある値が、「約」ある特定の数である、又はある特定の値に「おおよそ(about)」等しいと表現される場合、該値は、該数の±10%以内である。例えば約10である値は、9~11の値(端点を含む)である。用語「約」がある値又はある範囲のある端点を記述する際に使用される場合、本開示は、言及された具体的な値又は端点を含むことを理解されたい。本明細書中の数値又は範囲の端点が「約」として記載されているかどうかにかかわらず、上記数値又は範囲の端点は、2つの実施形態、即ち:「約」で修飾された実施形態、及び「約」で修飾されていない実施形態を含むことを目的としている。更に、各範囲の端点は、他の端点との関連においても、他の端点とは独立したものとしても、重要であることが理解されるだろう。
用語「約(about)」は更に、特段の記載がない限り、当該範囲内の全ての項を参照する。例えば約1、2、又は3は、約1、約2、又は約3と同義であり、更に約1~3、約1~2、及び約2~3を含む。組成物、構成要素、成分、添加物、及び類似の態様に関して開示される特定の好ましい値、並びにその範囲は、単なる例示であり、他の明確な値、又は明確な範囲内の他の値を排除するものではない。本開示の組成物及び方法は、本明細書に記載の値、特定の値、更に具体的な値、及び好ましい値のうちの、いずれの値又はいずれの組み合わせを有する組成物及び方法を含む。
本明細書中で使用される場合、不定冠詞「a」又は「an」及びこれに対応する定冠詞「the」は、特段の記載がない限り、「少なくとも1つの(at least one)」又は「1つ以上の(1つ以上の)」を意味する。
本明細書中で使用される、方向に関する用語、例えば「上(up)」、「下(down)」、「右(right)」、「左(left)」、「前(front)」、「後(back)」、「上部(top)」、「底部(bottom)」は、図面に描画された状態及びそれに伴って提供される座標軸を参照して使用されているだけのものであり、絶対的な配向を含意することを意図したものではない。
本明細書中で使用される場合、「接触(contact)」は、直接接触又は間接接触を指す。直接接触は、介在材料が存在しない接触を指し、間接接触は、1つ以上の介在材料を通した接触を指す。直接接触状態の要素は互いに接している。間接接触状態の要素は、互いに接していないが、介在材料又は一連の介在材料に接しており、上記介在材料、又は上記一連の介在材料のうちの少なくとも1つは、他方の要素に接する。接触状態の要素は、しっかりと接合されていても、緩く接合されていてもよい。「接触させること(contacting)」は、2つの要素を直接接触又は間接接触の状態に配置することを指す。直接(間接)接触状態の要素は、「互いに直接(間接的に)接触している(directly (indirectly) contact each other)」と言い表される。
本明細書中で使用される場合、「直接隣接する(directly adjacent)」は、直接接触していることを意味し、「間接的に隣接する(indirectly adjacent)」は、間接的に接触していることを意味し。用語「隣接する(adjacent)」は、互いに直接又は間接的に隣接する要素を包含する。
「光ファイバ(optical fiber)」は、コーティングで取り囲まれたガラス部分を有する、導波路を指す。上記ガラス部分はコア及びクラッドを含み、本明細書中では「ガラスファイバ(glass fiber)」と呼ばれる。
「半径方向位置(半径方向位置)」、「半径(radius)」、又は半径方向座標「r」は、ファイバの中心線(r=0)に対する半径方向位置を指す。
用語「モード(mode)」は、ガイドされるモードを指す。シングルモードファイバは、光ファイバの略全長(例えば少なくとも数メートル)にわたって基本のLP01モードのみをサポートするよう設計されているものの、特定の状況下においては短い距離(例えば数十センチメートル)にわたって複数のモードをサポートできる光ファイバである。本発明者らは、ファイバの複屈折は、LP01モードの2つの直交偏光成分が縮退し、同一の位相速度で伝播すると仮定できる程度に十分に低いものと仮定する。マルチモード光ファイバは、指定された動作波長λopにおいて、光ファイバの略全長にわたって、基本のLP01モードと、少なくとも1つの高次LPnmモードとをサポートするよう設計された光ファイバであり、ここでn≠0又はm≠1である。
光ファイバの「動作波長(operating wavelength)」λopは、光ファイバが動作する波長である。上記動作波長は、ガイドされるモードの波長に対応する。代表的な動作波長としては、850nm、980nm、1060nm、1300nm及び1550nmが挙げられ、これらは、遠距離通信システム、光データリンク、及びデータセンターにおいて一般に使用される。ある光ファイバに対してある特定の動作波長を指定してよいが、ある特定の光ファイバは、複数の動作波長において、及び/又は動作波長の連続した範囲にわたって動作できることが理解される。モード帯域幅及びモードフィールド直径等の特徴は動作波長によって変動し得、ある特定の光ファイバの相対屈折率プロファイルは、ある特定の動作波長、動作波長のある特定の組み合わせ、又は動作波長の特定の連続した範囲において最適な性能を提供するよう設計できる。
帯域幅
光のパルスがマルチモードファイバに入射すると、上記パルスは、入力位置から出力位置へとマルチモードファイバを通って伝播するにつれて、経時的に次第に広がる。この広がりにより、上記パルスの特性はマルチモードファイバに沿って変化し、出力パルスは入力パルスとは異なる。「帯域幅(bandwidth)」は、マルチモードファイバ内での光のパルスの広がりを定量化するための方法である。帯域幅は、出力パルスのフーリエ変換の、入力パルスのフーリエ変換に対する比率として決定される。より具体的には、入力パルスが強度分布Iin(t)によって記述され、出力パルスが強度分布Iout(t)によって記述される場合、振幅比は:
Figure 2022521899000002
として定義され、ここでfは周波数であり、Hout(f)はIout(t)のフーリエ変換であり、Hin(f)はIin(t)のフーリエ変換である。帯域幅は、式(1)で定義された振幅比が初めて0.5に減少する周波数として定義される。標準偏差σns/kmのガウシアン出力パルスIout(t)に関して、帯域幅はおよそ0.19/σGHz・kmとなる。
マルチモードファイバの「モード帯域幅(modal bandwidth)」は、モード分散に起因する帯域幅への寄与である。「モード分散(modal dispersion)」は、異なるモードグループの間の時間遅延の差を指す。帯域幅への他の寄与、例えば波長分散は、モード帯域幅から排除される。モード帯域幅は、異なるモードグループの相対的なパワー、及び異なるモードグループの相対的な時間遅延に依存する。モード帯域幅が、異なるモードグループの相対的な遅延のみならず、それらの相対的なパワーにも依存するため、これは入射条件に依存する。例えば、等量のパワーが個々のモードグループそれぞれへと入射する「全モード励振(overfilled launch)」は、異なるモードグループに対して等しくないパワーを送達するある特定の光源(例えばレーザダイオード又はVCSEL)からの入射とは異なる、モード帯域幅の測定値又は計算値をもたらし得る。
ファイバの「実効モード帯域幅(effective modal bandwidth)」、即ち「EMB」は、特定の入射条件下でのモード帯域幅を指す。EMBは複数のモードグループ遅延を組み合わせるが、これらは、ファイバの屈折率プロファイル、及びこれらのモードグループ内で結合されるパワーによって決定され、上記パワーは、(例えばVCSELレーザからの)上記特定の入射条件の属性である。
用語「EMBc」(又は「EMB計算値(calculated EMB)」)は、DMD(differential mode delay:モード間遅延差)パルスの加重和を用いて、出力パルスを構築することを指す。あるファイバに関する単一のDMDを用いて、異なる複数の重み関数を用いることによって異なる複数のレーザの効果をシミュレートできる。用語「minEMBc」(又は「最小EMB計算値(minimum calculated EMB)」)は、TIA/EIA 455‐220A及びIEC 60793‐1‐49によって標準化された10個の異なる重み関数を用いて生成された、10個のEMBcのセットのうちの最小のEMBcを指す。minEMBc値は、DMD測定値から決定され、係数1.13によってEMBと関連付けられる(即ち、minEMB=1.13×minEMBcである)。
用語「帯域幅」及び「モード帯域幅」は一般的なものであり、様々な入射条件を用いた帯域幅を表すことができる。用語「実効モード帯域幅」は、特定の入射条件の定義に依存する。当業者は多くの場合、これらの用語が何を意味しているかを文脈から理解できる。例えば、ある規格の文脈における帯域幅の記述は、その規格によって定義された帯域幅を表す。本明細書中で使用される場合、特段の記載がない限り、又は文脈から明らかでない限り、用語「帯域幅」、「モード帯域幅」、及び「実効モード帯域幅」は、TIA/EIA 455‐204及びIEC 60793‐1‐41規格によるOFL(全モード励振)帯域幅を指す。
「屈折率(refractive index)」は、850nmの波長における屈折率を指す。
「屈折率プロファイル(refractive index profile)」は、屈折率又は相対屈折率と半径との間の関係である。本明細書において、隣接するコア及び/又はクラッド領域間に階段状境界を有するものとして示される相対屈折率プロファイルに関して、プロセス条件の通常のバリエーションは、隣接する領域の界面において急峻な階段状境界が得られることがないようにすることができる。屈折率プロファイルの境界は、本明細書では屈折率の階段状変化として示すことができるものの、実際の境界は滑らかであってよく、又はその他の様式で完全な階段関数特性から逸脱してよいことを理解されたい。更に、相対屈折率の値は、コア領域及び/又はいずれのクラッド領域内における半径方向位置と共に変動し得ることも理解されたい。相対屈折率が、ファイバのある特定の領域(例えばコア領域及び/又はいずれのクラッド領域)内における半径方向位置と共に変動する場合、相対屈折率は、実際の若しくは近似的な関数依存関係として、又は当該領域内のある特定の位置における値として、又は当該領域全体に適用可能な平均値として、表現される。特段明記されていない限り、ある領域(例えばコア領域及び/又はいずれのクラッド領域)の相対屈折率が、単一の値として又は該領域全体に適用可能な1つのパラメータ(例えばΔ若しくはΔ%)として、表現されている場合:当該領域の相対屈折率は一定若しくはおおよそ一定であり、上記単一の値に相当すること;又は上記単一の値若しくはパラメータは、当該領域内の半径方向位置に依存する、非定常相対屈折率の平均値を表すことが理解される。例えば、特段明記されていない限り、「i」がガラスファイバのある領域である場合、パラメータΔは、以下の式(2)によって定義される、該領域における相対屈折率の平均値を指す。設計によるものであれ、又は通常の製造のばらつきによるものであれ、半径方向位置に対する相対屈折率の依存性は、傾斜していても、曲線であっても、又はその他の様式で一定でないものであってもよい。
本明細書中で使用される場合、「相対屈折率(relative refractive index)」は、以下の式(2):
Figure 2022521899000003
として定義され、ここでnは、特段明記されていない限り、ガラスファイバの半径方向位置rにおける屈折率であり、nrefは、特段明記されていない限り純シリカガラスの屈折率である。従って本明細書中で使用される場合、相対屈折率パーセントは、純シリカガラスに対するものである。本明細書中で使用される場合、相対屈折率は、Δ(若しくは「デルタ(delta)」)又はΔ%(若しくは「デルタ%(delta %)」)で表され、その値は、特段明記されていない限り、「%」を単位として与えられる。相対屈折率はΔ(r)又はΔ(r)%として表される場合もある。
ファイバのある領域の平均相対屈折率(Δave)は、式(3):
Figure 2022521899000004
から決定され、ここでrinnerは当該領域の内半径であり、routerは当該領域の外半径であり、Δ(r)は当該領域の相対屈折率である。
用語「αプロファイル(α‐profile又はalpha profile)」は、式(4):
Figure 2022521899000005
で定義される関数の形式を有する相対屈折率プロファイルΔ(r)を指し、rはΔ(r)が最大となる半径方向位置であり、Δ(r)>0であり、r>rはΔ(r)がその最小値まで減少する半径方向位置であり、rはr≦r≦rfの範囲内であり、rはαプロファイルの初期半径方向位置であり、rはαプロファイルの最終半径方向位置であり、αは実数である。αプロファイルに関するΔ(r)は、本明細書ではΔmax、又はファイバの特定の領域iに関する場合はΔi,maxと呼ぶことができる。ファイバコア領域の相対屈折率プロファイルを、rが中心線(r=0)に生じ、rがコア領域の外半径rに対応するようなαプロファイルによって記述する場合、式(4)は式(5):
Figure 2022521899000006
に簡略化される。
コア領域が式(5)で記述される屈折率を有する場合、外半径rは以下の手順によって、測定された相対屈折率プロファイルから決定できる。最大相対屈折率Δ1max、α、及び外半径r1estの推定値は、測定された相対屈折率プロファイルの精査によって得られ、これらを用いて、r=-r1estとr=r1estとの間の試験関数Δtrialが生成される。理想化された相対屈折率が図5に示されており、αプロファイルによって記述されるコアを有する代表的なガラスファイバの実際の測定された相対屈折率プロファイルが、図7~9に示されている。試験関数と測定されたプロファイル(Δmeas)との間の差の2乗の合計、χ=Σ(Δtrial-Δmeasを、Nelder‐Meadのアルゴリズム(Nelder, John A. and R. Mead, “A simplex method for function minimization,” Computer Journal 7: 308‐313 (1965))を用いて、0.1r1estと0.95r1estとの間のrの値にわたって最小化することによって、Δ1max、α、及びrを決定する。
「トレンチ容積(trench volume)」は:
Figure 2022521899000007
として定義され、ここでrTrench,innerは、屈折率プロファイルのトレンチ領域の内半径であり、rTrench,outerは、屈折率プロファイルのトレンチ領域の外半径であり、ΔTrench(r)は、屈折率プロファイルのトレンチ領域の相対屈折率であり、rはファイバの半径方向位置である。トレンチ容積は絶対値かつ正の量であり、本明細書では、%Δmicron、%Δ‐micron、%Δ・μm、又は%Δμmを単位として表され、ここでこれらの単位は本明細書では相互交換可能なものとして使用できる。トレンチ領域は本明細書では屈折率抑制クラッド領域(depressed‐index cladding region)とも呼ばれ、トレンチ容積は本明細書ではVとも呼ばれる。
特段の記載がない限り本明細書では「分散(dispersion)」と呼ばれる、光ファイバの「波長分散(chromatic dispersion)」は、材料分散、導波路分散、及びモード間分散の合計である。シングルモード導波路ファイバの場合、モード間分散はゼロである。2モードレジームにおける分散値は、モード間分散がゼロであると想定している。ゼロ分散波長(λ)は、分散の値がゼロになる波長である。分散勾配は、波長に対する分散の変化率である。
本明細書で開示される光ファイバは、コア領域、上記コア領域を取り囲むクラッド領域、及び上記クラッド領域を取り囲むコーティングを含む。コア領域及びクラッド領域はガラスである。クラッド領域は複数の領域を含む。複数のクラッド領域は、好ましくは同心の領域である。クラッド領域は、内側クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域、及び外側クラッド領域を含む。内側クラッド領域は、コア領域を取り囲み、コア領域に直接隣接する。屈折率抑制クラッド領域は、内側クラッド領域を取り囲み、内側クラッド領域に直接隣接する。外側クラッド領域は、屈折率抑制クラッド領域を取り囲み、屈折率抑制クラッド領域に直接隣接する。屈折率抑制クラッド領域は、内側クラッド領域及び外側クラッド領域より低い相対屈折率を有する。屈折率抑制クラッド領域は本明細書では、トレンチ又はトレンチ領域と呼ばれる場合もある。内側クラッド領域の相対屈折率は、外側クラッド領域の相対屈折率未満であっても、外側クラッド領域の相対屈折率と等しくても、外側クラッド領域の相対屈折率より大きくてもよい。屈折率抑制クラッド領域は、曲げ損失及びマイクロベンドへの感受性の低減に寄与し得る。コア領域、内側クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域、及び外側クラッド領域はそれぞれ、コア、クラッド、内側クラッド、屈折率抑制クラッド、及び外側クラッドとも呼ばれる。
本明細書中で使用される場合は常に、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)はコア領域を表し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)は内側クラッド領域を表し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)は屈折率抑制クラッド領域を表し、半径方向位置r及び相対屈折率Δ又はΔ(r)は外側クラッド領域を表し、半径方向位置rは一次コーティングを表し、半径方向位置rは二次コーティングを表し、半径方向位置rは、任意の三次コーティングを表す。
相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ1max及び最小値Δ1minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ2max及び最小値Δ2minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ3max及び最小値Δ3minを有する。相対屈折率Δ(r)は、最大値Δ4max及び最小値Δ4minを有する。相対屈折率がある領域にわたって一定又は略一定である実施形態では、相対屈折率の最大値と最小値とは、等しいか又は略等しい。特段明記されていない限り、ある単一の値が、ある領域の相対屈折率に関して報告されている場合、この単一の値は、該領域に関する平均値に対応する。
中央のコア領域は略円筒形であること、並びに周囲の内側クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域、外側クラッド領域、一次コーティング、及び二次コーティングは略環状であることが理解される。環状領域は、内半径及び外半径に関して特性決定される。本明細書では、半径方向位置r、r、r、r、r、r、及びrはそれぞれ、コア、内側クラッド、屈折率抑制クラッド、外側クラッド、一次コーティング、二次コーティング、及び三次コーティングの最外半径を指す。三次コーティングを備えない実施形態では、半径rは、光ファイバの外半径にも相当する。三次コーティングが存在する場合、半径rが、光ファイバの外半径に相当する。
2つの領域が互いに直接隣接している場合、これら2つの領域のうちの内側の領域の外半径は、これら2つの領域のうちの外側の領域の内半径と一致する。例えば光ファイバは、外側クラッド領域に取り囲まれた、外側クラッドに直接隣接する屈折率抑制クラッド領域を含む。半径rは、屈折率抑制クラッド領域の外半径及び外側クラッド領域の内半径に相当する。相対屈折率プロファイルはまた、内側クラッド領域を取り囲んで内側クラッド領域に直接隣接する、屈折率抑制クラッド領域を含む。半径方向位置rは、内側クラッド領域の外半径及び屈折率抑制クラッド領域の内半径に相当する。同様に、半径方向位置rは、コア領域の外半径及び内側クラッド領域の内半径に相当する。
以下の用語法は、相対屈折率プロファイルが:コアを取り囲んでコアに直接隣接する内側クラッド領域;内側クラッド領域を取り囲んで内側クラッド領域に直接隣接する屈折率抑制クラッド領域;屈折率抑制クラッド領域を取り囲んで屈折率抑制クラッド領域に直接隣接する外側クラッド領域;外側クラッド領域を取り囲んで外側クラッド領域に直接隣接する一次コーティング;及び一次コーティングを取り囲んで一次コーティングに直接隣接する二次コーティングを含む実施形態に適用される。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では内側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では屈折率抑制クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの差は、本明細書では外側クラッド領域の厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では一次コーティングの厚さと呼ばれる。半径方向位置rと半径方向位置rとの間の差は、本明細書では二次コーティングの厚さと呼ばれる。
これ以降で更に説明するように、コア領域、内側クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域及び外側クラッド領域の相対屈折率は異なっていてよい。各領域は、ドープ又はアップドープシリカガラスから形成してよい。アップドープシリカガラスに関する屈折率の変動は、当業者に公知の技法を用いて、目標の屈折率又は屈折率プロファイルを提供するように設計されたレベルのアップドーパント又はダウンドーパントを組み込むことにより、達成できる。アップドーパントは、非ドープガラス組成物に比べてガラスの屈折率を上昇させるドーパントである。ダウンドーパントは、非ドープガラス組成物に比べてガラスの屈折率を低下させるドーパントである。一実施形態では、非ドープガラスはシリカガラスである。非ドープガラスがシリカガラスである場合、アップドーパントとしてはCl、Br、Ge、Al、P、Ti、Zr、Nb及びTaが挙げられ、ダウンドーパントとしてはF及びBが挙げられる。定常屈折率の領域は、ドープしないことによって、又は該領域の厚さ全体にわたって均一の濃度でドープすることによって、形成できる。可変屈折率の領域は、該領域の厚さ全体にわたるドーパントの不均一な空間的分散によって、及び/又は異なる領域に異なるドーパントを組み込むことによって、形成される。ダウンドープは、シリカガラスに空隙を組み込むことによっても達成できる。空隙は、空気若しくは他のガス(例えばN、Ar、SO、CO、Kr、O)が充填された局所的領域、及び/又はガラスファイバの全長より短い長さにわたって延在する空間に相当する。空隙は好ましくは、ガラスファイバの長さに沿ってランダムに、又は非周期的に分布する。
一実施形態は、光ファイバに関する。光ファイバは、コーティングに取り囲まれたガラスファイバを含む。光ファイバの一例が、図1に概略断面図で示されている。光ファイバ10は、一次コーティング16及び二次コーティング18に取り囲まれたガラスファイバ11を含む。ガラスファイバ11、一次コーティング16、及び二次コーティング18に関する更なる説明を以下で提供する。
図2は光ファイバリボン30を示す。リボン30は、複数の光ファイバ20と、上記複数の光ファイバをカプセル化するマトリクス32とを含む。光ファイバ20は、上述のように、コア領域、クラッド領域、一次コーティング、及び二次コーティングを含む。光ファイバ20は上述のように、三次コーティングを含む場合もある。二次コーティングは顔料を含んでよい。光ファイバ20は、互いに対して、略平面内かつ平行な関係に整列される。光ファイバリボン内の光ファイバは、従来の光ファイバリボン作製方法によって、複数の公知の構成のうちのいずれ(例えば縁部結合リボン、薄膜カプセル化リボン、厚膜カプセル化リボン、又は多層リボン)でリボンマトリクス32によってカプセル化される。図2では、光ファイバリボン30は12本の光ファイバ20を内包しているが、ある特定の用途のために配置される光ファイバリボン30を形成するために、いずれの本数の光ファイバ20(例えば2本以上)を採用してよいことは、当業者には明らかであろう。リボンマトリクス32は、二次コーティングの引張特性と同様の引張特性を有し、二次コーティングの調製に使用されるものと同一の、類似した、又は異なる組成物から形成できる。
図3は光ファイバケーブル40を示す。ケーブル40は、ジャケット42に取り囲まれた複数の光ファイバ20を含む。光ファイバ20は、ジャケット42の内面44によって囲まれた導管内に、密に又は緩く詰め込まれていてよい。ジャケット42内に配置されるファイバの本数は、光ファイバケーブル40の「ファイバ数(fiber count)」と呼ばれる。ジャケット42は、押出成形されたポリマー材料から形成され、ポリマー又は他の材料の複数の同心層を含んでよい。光ファイバケーブル40は、ジャケット42内に埋め込まれた、又は内面44によって画定される導管内に配置された、1つ以上の強化部材(図示せず)を含んでよい。強化部材は、ジャケット42より高い剛性を有するファイバ又はロッドを含む。強化部材は、金属、編組鋼、ガラス補強プラスチック、ファイバガラス、又は他の好適な材料から作製される。光ファイバケーブル40は、ジャケット42に取り囲まれた他の層(例えば装甲層、防湿層、リップコード等)を含んでよい。光ファイバケーブル40は、撚り線状の緩いチューブのコア、又は他の光ファイバケーブル構成を有してよい。
ガラスファイバ
ガラスファイバ11は、当業者には公知であるように、コア領域12及びクラッド領域14を含む。コア領域12はクラッド領域14より高い屈折率を有し、ガラスファイバ11は導波路として機能する。
好ましいガラスファイバはグレーデッドインデックス(graded‐index)ガラスファイバであり、これは、ガラスファイバの中心からの距離と共に屈折率が変化するコア領域を有する。グレーデッドインデックスガラスファイバの一例は、上述の式(4)によって定義されたαプロファイルによる相対屈折率プロファイルを有するコア領域を備える、ガラスファイバである。ある好ましい実施形態では、グレーデッドインデックスガラスファイバは、ガラスファイバの中心線とコア領域の外半径rとの間で連続的に変化する、コア領域の相対屈折率を有する。また、グレーデッドインデックスガラスファイバの相対屈折率を、コア領域の外半径r付近よりもガラスファイバの中心線付近において高くすることが好ましい。
本明細書に記載の光ファイバは、内側クラッド領域に取り囲まれたコア、内側クラッド領域を取り囲む屈折率抑制クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域を取り囲む外側クラッド領域、外側クラッド領域を取り囲む一次コーティング、及び一次コーティングを取り囲む二次コーティングを含む。内側クラッド領域はコアに直接隣接し、屈折率抑制クラッド領域は内側クラッド領域に直接隣接し、外側クラッド領域は屈折率抑制クラッド領域に直接隣接し、一次コーティングは外側クラッド領域に直接隣接し、二次コーティングは一次コーティングに直接隣接する。
光ファイバの概略断面図が図4に示されている。図4では、光ファイバ46は、コア領域48、クラッド領域50、一次コーティング56、及び二次コーティング58を含む。クラッド領域50は、内側クラッド領域51、屈折率抑制クラッド領域53、及び外側クラッド領域55を含む。任意に、三次層(例えばインク層)が二次コーティングを取り囲むか、又は二次コーティングに直接隣接する。
ガラスファイバの代表的な相対屈折率を図5に提示する。図5は:外半径r及び相対屈折率Δ(最大相対屈折率Δ1max)を有するコア領域(1);半径方向位置rから半径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する、内側クラッド領域(2);半径方向位置rから半径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する、屈折率抑制クラッド領域(3);並びに半径方向位置rから半径方向位置rまで延在し、相対屈折率Δを有する、外側クラッド領域(4)を有するガラスファイバ60に関する、長方形のトレンチプロファイルを示す。図5のプロファイルでは、屈折率抑制クラッド領域(3)は本明細書中ではトレンチと呼ばれる場合があり、内側クラッド領域(2)及び外側クラッド領域(4)の相対屈折率未満の定常又は平均相対屈折率を有する。コア領域(1)は、このプロファイルにおいて最高の平均及び最大相対屈折率を有する。コア領域(1)は、中心線又はその付近に比較的低屈折率の領域を含んでよい(当該技術分野では「中心線ディップ(centerline dip)」として知られる)(図示せず)。
図5の相対屈折率プロファイルでは、ガラスファイバのコア領域(1)は、あるαプロファイルによって記述されるグレーデッドインデックス型相対屈折率プロファイルを有する。上記αプロファイルの(Δ1maxに対応する)半径方向位置rは、ファイバの中心線(r=0)に対応し、上記αプロファイルの半径方向位置rは、コア半径rに対応する。中心線ディップを有する実施形態では、半径方向位置rはファイバの中心線からわずかにずれる。別の実施形態では、コア領域(1)は、αプロファイルによって定義されないグレーデッドインデックス型相対屈折率プロファイルを有する。いくつかの実施形態では、相対屈折率Δは、中心線から離れる半径方向に、連続的に減少する。他の実施形態では、相対屈折率Δは、中心線とrとの間のいくつかの半径方向位置にわたって変動し、また中心線とrとの間の他の半径方向位置にわたって一定又は略一定の値を含む。
図5では、内側クラッド領域(2)から屈折率抑制クラッド領域(3)への遷移領域62、及び屈折率抑制クラッド領域(3)から外側クラッド領域(4)への遷移領域64が、階段状の変化として示されている。階段状の変化は理想化されたものであること、並びに遷移領域62及び/又は遷移領域64は実際には、図5に示されているように厳密に垂直でない場合があることを理解されたい。そうではなく、遷移領域62及び/又は遷移領域64は、傾斜又は湾曲を有する場合がある。遷移領域62及び/又は遷移領域64が垂直でない場合、屈折率抑制クラッド領域(3)の内半径r及び外半径rは、それぞれ遷移領域62及び遷移領域64の中点に対応する。これら中点は、屈折率抑制クラッド領域(3)の深さ67の半分に対応する。
図5に示す相対屈折率プロファイル中の相対屈折率Δ、Δ、Δ及びΔの相対的順序は、条件Δ1max>Δ>Δ及びΔ1max>Δ>Δを満たす。Δ及びΔの値は等しくてよく、又はいずれかが他方より大きくてよいが、Δ及びΔはいずれもΔ1maxとΔとの間である。
コア領域はシリカガラスを含む。コア領域のシリカガラスは、非ドープシリカガラス、アップドープシリカガラス、及び/又はダウンドープシリカガラスである。アップドープシリカガラスは、GeO、Al、P、又はハロゲン(例えばCl、Br)がドープされたシリカガラスを含む。ダウンドープシリカガラスは、Fがドープされたシリカガラスを含む。いくつかの実施形態では、コア領域には、Fと、GeO、Al、及びPのうちの1つ以上とが、同時にドープされる。コア中のCl又はBrの濃度は、0.5重量%~6.0重量%、又は1.0重量%~5.5重量%、又は1.5重量%~5.0重量%、又は2.0重量%~4.5重量%、又は2.5重量%~4.0重量%である。
いくつかの実施形態では、コア領域は、1つのアップドーパント及び1つのダウンドーパントを含み、ここでアップドーパントの濃度は、中心線(r=0)において最高かつコア半径rにおいて最低であり、ダウンドーパントの濃度は、中心線(r=0)において最低かつコア半径rにおいて最高である。このような実施形態では、相対屈折率Δは、中心線(r=0)付近で正の値を有することができ、コア半径rにおける負の値に向かって減少できる。多重ドープコア領域に関して、GeOが好ましいアップドーパントであり、Fが好ましいダウンドーパントである。
いくつかの実施形態では、ガラスファイバのコアの相対屈折率は、α値が1.70~2.50、又は1.80~2.40、又は1.90~2.30、又は1.90~2.20、又は1.90~2.10、又は1.95~2.25、又は2.00~2.20、又は1.95~2.05、又は2.05~2.15のαプロファイルによって記述される。
半径rは、中心線(r=0)から半径方向位置が増大する方向において相対屈折率ΔがΔ1maxから0.0%まで低下する、半径方向位置として定義される。コア領域の半径rは、15.0μm~35.0μm、又は17.5μm~32.5μm、又は17.5μm~27.5μm、又は17.5μm~22.5μm、又は20.0μm~30.0μm、又は22.5μm~27.5μm、又は23.0μm~27.0μm、又は23.5μm~26.5μm。
コア領域の最大相対屈折率Δ1maxは、0.50%~1.40%、又は0.60%~1.30%、又は0.70%~1.20%、又は0.80%~1.10%である。コア領域の相対屈折率Δは、-0.20%~1.40%、又は-0.10%~1.30%、又は-0.05%~1.20%である。
内側クラッド領域は、非ドープシリカガラス、アップドープシリカガラス、又はダウンドープシリカガラスで構成される。アップドープシリカガラスは、GeO、Al、P、又はハロゲン(例えばCl、Br)がドープされたシリカガラスを含む。ダウンドープシリカガラスは、Fがドープされたシリカガラス、及び空隙を有するシリカガラスを含む。アップドーパントがドープされている場合、内側クラッド領域中のアップドーパントの平均濃度は、コア領域中のアップドーパントの平均濃度未満である。ダウンドーパントがドープされている場合、内側クラッド領域中のダウンドーパントの平均濃度は、コア領域中のダウンドーパントの平均濃度より高い。
内側クラッド領域の相対屈折率Δ又はΔ2maxは、-0.20%~0.20%、又は-0.15%~0.15%、又は-0.10%~0.10%、又は-0.05%~0.05%である。相対屈折率Δは好ましくは一定又は略一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ2max)は、0.80%超、又は0.90%超、又は1.00%超、又は0.80%~1.20%、又は0.90%~1.10%である。
内側クラッド領域の半径rは、15.5μm~38.0μm、又は18.0μm~35.5μm、又は18.0μm~30.5μm、又は18.0μm~25.5μm、又は20.5μm~33.0μm、又は23.0μm~30.5μm、又は23.5μm~30.0μm、又は24.0μm~29.5μmである。内側クラッド領域の厚さr-rは、0.3μm~3.0μm、又は0.5μm~2.5μm、又は0.5μm~2.0μmである。
屈折率抑制クラッド領域はダウンドープシリカガラスを含む。好ましいダウンドーパントは、Fである。Fの濃度は、0.30重量%~2.50重量%、又は0.60重量%~2.25重量%、又は0.90重量%~2.00重量%である。
相対屈折率Δ又はΔ3minは、-0.10%~-0.80%、又は-0.20%~-0.70%、又は-0.30%~-0.60%である。相対屈折率Δは好ましくは一定又は略一定である。差Δ1max-Δ(又は差Δ1max-Δ3min、又は差Δ-Δ、又は差Δ-Δ3min)は、0.90%超、又は1.10%超、又は1.30%超、又は0.90%~1.80%、又は1.00%~1.60%である。差Δ-Δ(又は差Δ-Δ3min、又は差Δ2max-Δ、又は差Δ2max-Δ3min)は、0.10%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%、又は0.30%~0.60%である。
屈折率抑制クラッド領域の内半径はrであり、上で指定された値を有する。屈折率抑制クラッド領域の外半径rは、16.0μm~48.0μm、又は18.5μm~45.5μm、又は18.5μm~40.5μm、又は21.0μm~43.0μm、又は23.5μm~40.5μm、又は23.5μm~35.5μm、又は24.0μm~40.0μm、又は24.5μm~39.5μmである。屈折率抑制クラッド領域の厚さr-rは、0.5μm~10.0μm、又は1.0μm~8.0μm、又は1.5μm~7.0μm、又は2.0μm~6.0μmである。
外側クラッド領域の相対屈折率Δ又はΔ4maxは、-0.20%~0.20%、又は-0.15%~0.15%、又は-0.10%~0.10%、又は-0.05%~0.05%である。相対屈折率Δは好ましくは一定又は略一定である。差Δ-Δ(又は差Δ-Δ3min、又は差Δ4max-Δ、又は差Δ4max-Δ3min)は、0.10%超、又は0.30%超、又は0.50%超、又は0.10%~0.80%、又は0.30%~0.60%である。
外側クラッド領域の内半径はrであり、上で指定された値を有する。外半径rを、標準的なガラスファイバに関する値(約62.5μm)未満に削減することによって、光ファイバ全体の直径の削減を達成する。この実施形態では、任意に、以下に記載されるコーティング組成物を用いた一次及び/又は二次コーティングの厚さも削減することによって、光ファイバ全体の直径の削減を更に促進する。これらの実施形態では、外側クラッド領域の外半径rは、57.5μm以下、又は55.0μm以下、又は52.5μm以下、又は50.0μm以下、又は47.5μm以下、又は45.0μm以下、又は42.5μm以下、又は37.5μm~57.5μm、又は37.5μm~47.5μm、又は37.5μm~42.5μm、又は39.0μm~42.0μm、又は39.5μm~41.5μm、又は40.0μm~41.0μmである。
本明細書に記載のガラスファイバ及びコーティングを有するマルチモード光ファイバは、850nm、又は980nm、又は1060nm、又は1300nmの波長において、200MHz・km超、又は300MHz・km超、又は500MHz・km超、又は1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は2500MHz・km超、又は3500MHz・km超の全モード励振帯域幅を有する。
本明細書で開示されるガラスファイバ及びコーティングを備えたマルチモード光ファイバのいくつかの実施形態は、OTDRによって測定される850nmにおける減衰が、10.0dB/km未満、又は8.0dB/km未満、又は6.0dB/km未満、又は5.0dB/km未満、又は4.0dB/km未満、又はわずか3.5dB/km未満である。本明細書で開示されるガラスファイバを備えたマルチモード光ファイバの他の実施形態は、OTDRによって測定される850nmにおける減衰が、3.0dB/km未満、2.5dB/km未満、2.4dB/km未満、又は2.3dB/km未満である。本明細書で開示されるガラスファイバを備えたマルチモード光ファイバの更に他の実施形態は、OTDRによって測定される1300nmにおける減衰が、8.0dB/km未満、又は6.0dB/km未満、4.0dB/km未満、2.0dB/km未満、又は1.5dB/km未満である。本明細書で開示されるガラスファイバを備えたマルチモード光ファイバの更なる実施形態は、OTDRによって測定される1300nmにおける減衰が、1.0dB/km未満、0.8dB/km未満、0.7dB/km未満、又は0.6dB/km未満である。本明細書で開示されるガラスファイバを備えたマルチモード光ファイバの追加の実施形態は、OTDRによって測定される、820~1600nmの波長範囲にわたる減衰が、8.0dB/km未満、又は6.0dB/km未満、5.0dB/km未満、4.0dB/km未満、又は3.0dB/km未満、又は2.5dB/km未満である。
コーティング
光ファイバを通る光の透過率は、ガラスファイバに適用されるコーティングの特性に依存する。コーティングは典型的には一次コーティング及び二次コーティングを含み、ここで二次コーティングは一次コーティングを取り囲み、また一次コーティングは、(クラッド領域に取り囲まれた中央コア領域を含む)ガラスファイバに接触する。ある典型的な構成では、一次コーティングはガラスファイバに直接接触し、二次コーティングは一次コーティングに直接接触する。二次コーティングは、一次コーティングよりも硬質の(ヤング率が高い)材料であり、光ファイバの加工、取り扱い、及び設置中に生じる摩擦又は外力によって引き起こされる損傷から、ガラスファイバを保護するように設計される。一次コーティングは、二次コーティングよりも軟質の(ヤング率が低い)材料であり、二次コーティングの外面に印加される力に起因する応力を緩衝する又は放散させるように設計される。一次コーティング内での応力の放散により、応力は減衰し、ガラスファイバに到達する応力が最小限に抑えられる。一次コーティングは、光ファイバがケーブル内への配備時に受けるマイクロベンドによって生じる応力の放散において、特に重要である。ガラスファイバに伝達されるマイクロベンド応力は、最小限に抑える必要がある。というのは、マイクロベンド応力はガラスファイバの屈折率プロファイルに局所的な混乱を生成するためである。局所的な屈折率の混乱は、ガラスファイバを通して伝送される光の強度損失につながる。応力を放散させることにより、一次コーティングは、マイクロベンドによって生じる強度損失を最小限に抑える。
マルチモード光ファイバは、一次コーティング及び二次コーティングを伴う、本明細書で開示されるガラスファイバを含む。一次コーティングは、ガラスファイバを取り囲んでガラスファイバに直接接触し、二次コーティングは、一次コーティングを取り囲んで一次コーティングに直接接触する。任意の三次層(例えばインク層)は、二次コーティングを取り囲んで二次コーティングに直接接触する。
一次コーティングは好ましくは、ガラスファイバのクラッド領域より高い屈折率を有し、これにより一次コーティングはコア領域から不規則な光信号を除去できる。一次コーティングは、熱及び加水分解による経年劣化の間、ガラスファイバへの十分な接着を維持する必要があるが、スプライシングのためにガラスファイバから剥離可能なものである必要もある。
一次及び二次コーティングは典型的には、硬化性コーティング組成物をガラスファイバに粘性液体として塗布し、硬化させることによって形成される。光ファイバは、二次コーティングを取り囲む三次コーティングを含む場合もある。この三次コーティングは、識別を目的として光ファイバをマークするための、顔料、インク、又は他の着色剤を含んでよく、また典型的には、二次コーティングのヤング率と同様のヤング率を有する。
以下の用語法は、本明細書に記載のコーティング及びコーティング組成物に関して使用される。
本明細書に記載のコーティングは、硬化性コーティング組成物から形成される。硬化性コーティング組成物は、1つ以上の硬化性成分を含む。本明細書中で使用される場合、用語「硬化性(curable)」は、好適な硬化エネルギ源に曝露した場合に、上記成分が、上記成分の上記成分自体への又は上記コーティング組成物の他の成分への結合に関与する共有結合を形成できる、1つ以上の官能基を含むことを意味することを目的としている。硬化性コーティング組成物の硬化によって得られる産物は、本明細書では上記組成物の硬化産物、又はコーティングと呼ばれる。硬化産物は好ましくはポリマーである。硬化プロセスはエネルギによって誘発される。エネルギの形態としては、放射線又は熱エネルギが挙げられる。好ましい実施形態では、硬化は放射線によって実施され、ここで放射線は電磁放射線を指す。放射線によって誘発された硬化は、本明細書では放射線硬化又は光硬化と呼ばれる。放射線硬化性成分は、好適な強度の好適な波長の放射線に十分な期間曝露された場合に光化学硬化反応を起こすよう誘導できる成分である。好適な波長としては、電磁スペクトルの赤外部分、可視部分、又は紫外部分が挙げられる。放射線硬化反応は好ましくは、光開始剤の存在下で発生する。放射線硬化性成分はまた、熱硬化性であってもよい。同様に、熱硬化性成分は、十分な強度の熱エネルギに十分な期間曝露された場合に硬化反応を起こすよう誘導できる成分である。熱硬化性成分はまた、放射線硬化性であってもよい。
硬化性成分は、1つ以上の硬化性官能基を含む。硬化性官能基を1つだけ含む硬化性成分は、本明細書では単官能性硬化性成分と呼ばれる。2つ以上の硬化性官能基を有する硬化性成分は、本明細書では多官能性硬化性成分と呼ばれる。多官能性硬化性成分は、硬化プロセス中に共有結合を形成できる2つ以上の官能基を含み、硬化プロセス中に形成されるポリマーネットワークに架橋を導入できる。多官能性硬化性成分はまた、本明細書では「架橋剤(crosslinker)」又は「硬化性架橋剤(硬化性架橋剤)」とも呼ぶことができる。硬化性成分は、硬化性モノマー及び硬化性オリゴマーを含む。硬化プロセス中の共有結合形成に関与する官能基の例を以下に特定する。
用語「(メタ)アクリレート((meth)acrylate)」は、メタクリレート、アクリレート、又はメタクリレートとアクリレートとの組み合わせを意味する。
ヤング率、%伸び、及び引裂き強度の値は、本明細書に記載の手順による測定条件下で決定される値を指す。
一次コーティング‐組成物
一次コーティングは、硬化性一次コーティング組成物の硬化産物である。硬化性一次コーティング組成物は、低いヤング率、低い引き抜き力、及び強い凝集力を示す、光ファイバのための一次コーティングを提供する。硬化性一次コーティング組成物は更に、きれいに剥離できる性質、及び剥離作業中の欠陥の形成に対する高い耐性を特徴とする、一次コーティングを形成できる。低い引き抜き力により、残留物を最小限に抑えた、一次コーティングのきれいな剥離が容易になり、また強い凝集力によって、剥離力を受けたときの一次コーティング内での欠陥の発生及び伝播が阻害される。一次コーティングは、厚さが削減されていても、これらの利点を示す。
一次コーティングは、オリゴマー、モノマー、光開始剤、及び任意に添加剤を含む、放射線硬化性一次コーティング組成物の硬化産物である。以下の開示は:放射線硬化性一次コーティング組成物のためのオリゴマー;上記オリゴマーのうちの少なくとも1つを含有する放射線硬化性一次コーティング組成物;上記オリゴマーのうちの少なくとも1つを含有する放射線硬化性一次コーティング組成物の硬化産物;上記オリゴマーのうちの少なくとも1つを含有する放射線硬化性一次コーティング組成物でコーティングされたガラスファイバ;及び上記オリゴマーのうちの少なくとも1つを含有する放射線硬化性一次コーティング組成物の硬化産物でコーティングされたガラスファイバを説明する。
オリゴマーは好ましくは、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体(di‐adduct)化合物を含む。一実施形態では、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物は、直鎖分子構造を有する。一実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物、ポリオール化合物、及びヒドロキシアクリレート化合物の間の反応から形成され、上記反応は、一次産物(主要産物)としてポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を、そして副産物(少量の産物)として二付加体化合物を生成する。上記反応は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基とポリオールのアルコール基との反応時に、ウレタン結合を形成する。ヒドロキシアクリレート化合物は、ジイソシアネート化合物とポリオール化合物との反応から形成される組成物中に存在する残留イソシアネート基をクエンチするように反応する。本明細書中で使用される場合、用語「クエンチ(quench)」は、ヒドロキシアクリレート化合物のヒドロキシル基との化学反応によるイソシアネート基の変換を指す。ヒドロキシアクリレート化合物による残留イソシアネート基のクエンチにより、末端イソシアネート基が末端アクリレート基に変換される。
好ましいジイソシアネート化合物は、式(I):
Figure 2022521899000008
で表され、これは結合基Rで隔てられた2つの末端イソシアネート基を含む。一実施形態では、結合基Rはアルキレン基を含む。結合基Rのアルキレン基は、直鎖状(例えばメチレン若しくはエチレン)、分岐状(例えばイソプロピレン)、又は環状(例えばシクロへキシレン、フェニレン)である。環状基は、芳香族又は非芳香族である。いくつかの実施形態では、結合基Rは、4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシル)基であり、ジイソシアネート化合物は、4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)である。いくつかの実施形態では、結合基Rは、芳香族基を含まないか、又はフェニレン基を含まないか、又はオキシフェニレン基を含まない。
ポリオールは、分子式(II)
Figure 2022521899000009
で表され、ここでRはアルキレン基を含み、‐O‐R‐は反復するアルコキシレン基であり、xは整数である。好ましくは、xは20超、又は40超、又は50超、又は75超、又は100超、又は125超、又は150超、又は20~500、又は20~300、又は30~250、又は40~200、又は60~180、又は70~160、又は80~140である。Rは好ましくは直鎖又は分岐アルキレン基、例えばメチレン、エチレン、プロピレン(通常のプロピレン、イソプロピレン、若しくはこれらの組み合わせ)、又はブチレン(通常のブチレン、イソブチレン、第2級ブチレン、第3級ブチレン、若しくはこれらの組み合わせ)である。ポリオールは、ポリエチレンオキシド等のポリアルキレンオキシド、又はポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコールであってよい。ポリプロピレングリコールは、好ましいポリオールである。ポリオールの分子量は、1000g/mol超、又は2500g/mol超、又は5000g/mol超、又は7500g/mol超、又は10000g/mol超、又は1000g/mol~20000g/mol、又は2000g/mol~15000g/mol、又は2500g/mol~12500g/mol、又は2500g/mol~10000g/mol、又は3000g/mol~7500g/mol、又は3000g/mol~6000g/mol、又は3500g/mol~5500g/molであってよい。いくつかの実施形態では、ポリオールは多分散性であり、複数の分子全体が組み合わさることで上述の数平均分子量が提供されるような分子量の範囲にわたる、複数の分子を含む。
ポリオールの不飽和は、0.25meq/g未満、又は0.15meq/g未満、又は0.10meq/g未満、又は0.08meq/g未満、又は0.06meq/g未満、又は0.04meq/g未満、又は0.02meq/g未満、又は0.01meq/g未満、又は0.005meq/g未満、又は0.001meq/g~0.15meq/g、又は0.005meq/g~0.10meq/g、又は0.01meq/g~0.10meq/g、又は0.01meq/g~0.05meq/g、又は0.02meq/g~0.10meq/g、又は0.02meq/g~0.05meq/gである。本明細書中で使用される場合、「不飽和(unsaturation)」は、ASTM D4671‐16で報告されている標準的な方法で決定される値を指す。この方法では、ポリオールを、メタノール溶液中で酢酸水銀及びメタノールと反応させて、アセトキシ水銀メトキシ化合物及び酢酸を生成する。ポリオールと酢酸水銀との反応は等モルであり、放出される酢酸の量は、アルコール性水酸化カリウムを用いた滴定によって決定され、これにより、本明細書中で使用される不飽和の尺度が提供される。酢酸の滴定に対する余剰の酢酸水銀の影響を防止するために、臭化ナトリウムを添加して、酢酸水銀を臭化物に変換する。
オリゴマーを形成するための反応は更に、未反応の開始材料(例えばジイソシアネート化合物)中に存在する末端イソシアネート基と、又はジイソシアネート化合物とポリオールとの(例えばウレタン化合物と末端イソシアネート基との)反応で形成された産物と反応させるための、ヒドロキシアクリレート化合物の添加を含む。ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基と反応して、オリゴマーの1つ以上の構成要素のための末端アクリレート基を提供する。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な量より多く存在する。オリゴマーは、単一のポリエーテルウレタンアクリレート化合物、又は2つ以上のポリエーテルウレタンアクリレート化合物の組み合わせを含む。
ヒドロキシアクリレート化合物は、分子式(III):
Figure 2022521899000010
で表され、ここでRはアルキレン基を含む。Rのアルキレン基は、直鎖状(例えばメチレン若しくはエチレン)、分岐状(例えばイソプロピレン)、又は環状(例えばフェニレン)である。いくつかの実施形態では、ヒドロキシアクリレート化合物は、アクリレート基のエチレン不飽和基の置換を含む。エチレン不飽和基の置換基としては、アルキル基が挙げられる。エチレン不飽和基が置換されたヒドロキシアクリレート化合物の一例は、ヒドロキシメタクリレート化合物である。以下の議論は、ヒドロキシアクリレート化合物について説明する。しかしながら、以下の議論は、置換されたヒドロキシアクリレート化合物、特にヒドロキシメタクリレート化合物に適用されることを理解されたい。
異なる複数の実施形態において、ヒドロキシアクリレート化合物は、2‐ヒドロキシエチルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレートである。ヒドロキシアクリレート化合物は、残留物レベル又はそれ以上のレベルで、水を含んでよい。ヒドロキシアクリレート化合物中に水が存在することにより、イソシアネート基の反応を促進でき、最終反応組成物中の未反応のイソシアネート基の濃度が低下する。様々な実施形態において、ヒドロキシアクリレート化合物の水分含有量は、少なくとも300ppm、又は少なくとも600ppm、又は少なくとも1000ppm、又は少なくとも1500ppm、又は少なくとも2000ppm、又は少なくとも2500ppmである。
以上の例示的な分子式(I)、(II)、及び(III)において、基R、R、及びRは独立して、全て同一であるか、全て異なっているか、又は同一である2つの基及び異なる1つの基を含んでいる。
ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールは、同時に組み合わされて反応するか、又は(いずれの順序で)順次組み合わされて反応する。一実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物をヒドロキシアクリレート化合物と反応させ、得られた産物組成物をポリオールと反応させることによって、形成される。別の実施形態では、オリゴマーは、ジイソシアネート化合物をポリオール化合物と反応させ、得られた産物組成物をヒドロキシアクリレート化合物と反応させることによって、形成される。
オリゴマーは、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールの反応から形成され、ここで、反応プロセスにおけるジイソシアネート化合物:ヒドロキシアクリレート化合物:ポリオールのモル比をn:m:pとする。n、m、及びpは、本明細書では、ジイソシアネート、ヒドロキシアクリレート、及びポリオールのモル数又はモル比率を指す。モル数n、m及びpは、正の整数又は正の非整数である。実施形態では、pが2.0である場合、nは3.0~5.0、又は3.2~4.8、又は3.4~4.6、又は3.5~4.4、又は3.6~4.2、又は3.7~4.0であり;mは1.5~4.0、又は1.6~3.6、又は1.7~3.2、又は1.8~2.8、又は1.9~2.4である。2.0以外のpの値に関して、モル比n:m:pは比例的にスケーリングする。例えば、モル比n:m:p=4.0:3.0:2.0は、モル比n:m:p=2.0:1.5:1.0と同等である。
モル数mは、オリゴマーの形成に使用されるジイソシアネート化合物とポリオールとの反応から形成される産物組成物中に存在する未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応する量の、ヒドロキシアクリレート化合物を提供するように、選択してよい。イソシアネート基は、未反応のジイソシアネート化合物(未反応の開始材料)中、又はジイソシアネート化合物とポリオールとの反応中に形成されるイソシアネート末端ウレタン化合物中に存在し得る。あるいは、モル数mは、ジイソシアネート化合物とポリオールとの反応から形成される産物組成物中に存在するいずれの未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応するために必要な量を超える量のヒドロキシアクリレート化合物を提供するように、選択してよい。ヒドロキシアクリレート化合物は、単一のアリコート又は複数のアリコートとして添加される。一実施形態では、ヒドロキシアクリレートの最初のアリコートは、オリゴマーを形成するために使用される反応混合物中に含まれ、形成される産物組成物を、(例えばFTIR分光分析を用いて、イソシアネート基の存在を検出することにより)未反応のイソシアネート基の存在に関して試験できる。ヒドロキシアクリレート化合物の更なるアリコートを上記産物組成物に添加して、(例えばFTIR分光分析を用いて、ヒドロキシアクリレート化合物によるイソシアネート基の変換に伴う、特徴的なイソシアネートの周波数(例えば2260cm-1~2270cm-1)の低下を監視することによって)未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応させてよい。代替実施形態では、未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応するために必要な量を超えた、ヒドロキシアクリレート化合物のアリコートを添加する。以下で更に十分に説明されるように、ある所与の値のpに関して、モル数mとモル数nとの比は、オリゴマー中のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体化合物の相対比率に影響を及ぼし、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体化合物の相対比率の違いは、オリゴマーから形成されるコーティングの引裂き強度及び/又は臨界応力の違いにつながる。
一実施形態では、オリゴマーは、4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、2‐ヒドロキシエチルアクリレート、及びポリプロピレングリコールを、上述したモル比n:m:pで含む、反応混合物から形成され、ここでポリプロピレングリコールは、2500g/mol~6500g/mol、又は3000g/mol~6000g/mol、又は3500g/mol~5500g/molの数平均分子量を有する。
オリゴマーは2つの成分を含む。第1の成分は、分子式(IV):
Figure 2022521899000011
を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物であり、第2の成分は、分子式(V):
Figure 2022521899000012
を有する二付加体化合物であり、ここで基R、R、R、及び整数xは、上述の通りであり、yは正の整数であり、また、分子式(IV)及び(V)中の基Rは、分子式(I)中の基Rと同一であり、分子式(IV)中の基Rは、分子式(II)中のRと同一であり、分子式(IV)及び(V)中の基Rは、分子式(III)中の基Rと同一であることが理解される。二付加体化合物は、分子式(I)のジイソシアネート化合物の両方の末端イソシアネート基と、分子式(II)のヒドロキシアクリレート化合物との反応によって形成される化合物に相当し、ここで上記ジイソシアネート化合物は、分子式(II)のポリオールとは全く反応しない。
二付加体化合物は、オリゴマーを形成するために使用される反応中に、ジイソシアネート化合物とヒドロキシアクリレート化合物との反応から形成される。あるいは、二付加体化合物は、オリゴマーの形成に使用される反応とは独立して形成されて、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物の形成に使用される反応の産物に、又はポリエーテルウレタンジアクリレート化合物の精製形態に、添加される。ヒドロキシアクリレート化合物のヒドロキシ基は、ジイソシアネート化合物のイソシアネート基と反応して、末端アクリレート基を提供する。この反応がジイソシアネート化合物の各イソシアネート基で発生することにより、二付加体化合物が形成される。二付加体化合物はオリゴマー中に、少なくとも1.0重量%、又は少なくとも1.5重量%、又は少なくとも2.0重量%、又は少なくとも2.25重量%、又は少なくとも2.5重量%、又は少なくとも3.0重量%、又は少なくとも3.5重量%、又は少なくとも4.0重量%、又は少なくとも4.5重量%、又は少なくとも5.0重量%、又は少なくとも7.0重量%、又は少なくとも9.0重量%、又は1.0重量%~10.0重量%、又は2.0重量%~9.0重量%、又は2.5重量%~6.0重量%、又は3.0重量%~8.0重量%、又は3.0重量%~5.0重量%、又は3.0重量%~5.5重量%、又は3.5重量%~5.0重量%、又は3.5重量%~7.0重量%の量で存在する。なお、二付加体化合物の濃度は、コーティング組成物の重量%ではなく、オリゴマーの重量%で表現されている。
本開示に従ってオリゴマーを合成するための例示的な反応は、ジイソシアネート化合物(4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、本明細書ではH12MDIとも呼ばれる)と、ポリオール(Mが~4000g/molのポリプロピレングリコール、本明細書ではPPG4000とも呼ばれる)との反応を含み、これは、式(VI):
H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI (VI)
のポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物を形成し、ここで:「~」は、H12MDIの末端イソシアネート基とPPG4000の末端アルコール基との反応によって形成されるウレタン結合を示し;~H12MDI、~H12MDI~、及び~PPG4000~は、H12MDI及びPPG4000の残渣が反応後に残っていることを意味し;Mは数平均分子量を表す。ポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物は~(H12MDI~PPG4000)~のタイプの反復単位を有する。示されている特定のポリエーテルウレタンジイソシアネートは、2つのPPG4000単位を含む。この反応は、1つのPPG4000単位、又は3つ以上のPPG4000単位を有する産物を提供する場合もある。ポリエーテルウレタンジイソシアネート及びいずれの未反応のH12MDIは、末端イソシアネート基を含む。本開示によると、ヒドロキシアクリレート化合物(例えば2‐ヒドロキシエチルアクリレート、本明細書ではHEAと呼ばれる)をこの反応に含め、末端イソシアネート基と反応させて、これらを末端アクリレート基に変換する。末端イソシアネート基の末端アクリレート基への変換は、イソシアネート基のクエンチをもたらす。この反応に含まれるHEAの量は、予想された濃度の未反応のイソシアネート基と化学量論的に反応すると推定される量、又は予想された化学量論的な量を超える量であってよい。HEAとポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物との反応により、式(VII):
HEA~H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI (VII)
のポリエーテルウレタンアクリレート化合物、及び/又は式(VIII):
HEA~H12MDI~PPG4000~H12MDI~PPG4000~H12MDI~HEA (VIII)
のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物が形成され、
またHEAと、未反応のH12MDIとの反応によって、式(IX):
HEA~H12MDI~HEA (IX)
の二付加体化合物が形成され、ここで上述のように、~はウレタン結合を表し、~HEAは、ウレタン結合を形成する反応の後にHEAの残渣が残っていることを表す(式(IV)及び(V)と矛盾しない)。産物組成物中でのポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と二付加体化合物との組み合わせにより、本開示によるオリゴマーが構成される。以下で更に十分に説明されるように、1つ以上のオリゴマーをコーティング組成物中で使用すると、引裂き強度及び臨界応力特性が改善されたコーティングが得られる。特に、二付加体化合物の割合が高いオリゴマーは、高い引裂き強度及び/又は高い臨界応力値を有するコーティングを提供することが実証されている。
H12MDI、HEA及びPPG4000の例示的な組み合わせを示したが、上述の反応は、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールの任意の組み合わせへと一般化でき、ここで、ヒドロキシアクリレート化合物は末端イソシアネート基と反応して末端アクリレート基を形成し、ウレタン結合は、イソシアネート基と、ポリオール又はヒドロキシアクリレート化合物のアルコール基との反応から形成される。
オリゴマーは、式(X):
(ヒドロキシアクリレート)~(ジイソシアネート~ポリオール)~ジイソシアネート~(ヒドロキシアクリレート) (X)
のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物である化合物と、式(IX):
(ヒドロキシアクリレート)~ジイソシアネート~(ヒドロキシアクリレート) (XI)
の二付加体化合物である化合物とを含み、ここで、オリゴマーを形成するための上記反応で使用されるジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールの相対比率は、上で開示されているモル数n、m、及びpに対応する。
上述の分子式(I)及び(II)で表される化合物は例えば、反応して、分子式(XII):
Figure 2022521899000013
で表されるポリエーテルウレタンジイソシアネート化合物を形成し、ここで:yは、式(IV)におけるyと同一であり、1、又は2、又は3、又は4、又はそれより大きく;xは、(上述のように)ポリオールの反復単位の数によって決定される。
分子式(VI)のポリエーテルウレタンイソシアネートと分子式(III)のヒドロキシアクリレートとの更なる反応は、上で参照されているが以下に再び記載される分子式(IV):
Figure 2022521899000014
で表されるポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を提供し、ここで(上述のように):yは1、又は2、又は3、又は4、又はそれより大きく;xはポリオールの反復単位の数によって決定される。
ある実施形態では、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールの間の反応は、yが異なる一連のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物をもたらすため、最終反応混合物中に存在する化合物の分布にわたるyの平均値は整数にならない。ある実施形態では、分子式(VI)のポリエーテルウレタンジイソシアネート及び分子式(IV)のポリエーテルウレタンジアクリレートにおけるyの平均値は、p又はp-1に対応する(ここでpは上で定義されている通りである)。ある実施形態では、分子式(XII)のポリエーテルウレタンジイソシアネート及び分子式(IV)のポリエーテルウレタンジアクリレートにおける基Rの平均出現数は、nに対応する(ここでnは上で定義されている通りである)。
上記反応で生成されるポリエーテルウレタンジアクリレートと二付加体化合物との相対比率は、モル数n、m、及びpのモル比を変化させることによって制御される。例としてp=2.0の場合を考える。完全な反応の理論的限界では、2当量pのポリオールが3当量nのジイソシアネートと反応して、分子式(VI)(ただしy=2)の化合物を形成する。この化合物は2つの末端イソシアネート基を含み、これらは、この理論的限界において2当量mのヒドロキシアクリレート化合物を後で添加することによってクエンチでき、これによって、対応するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物(IV)(ただしy=2)が形成される。理論上のモル比n:m:p=3.0:2.0:2.0が、この状況に関して画定される。
上述の例示的な理論的限界において、理論上のモル比n:m:p=3.0:2.0:2.0でのジイソシアネート、ヒドロキシアクリレート、及びポリオールの反応は、二付加体化合物を形成することなく、分子式(IV)(ただしy=2)のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物を提供する。モル数n、m、及びpを変化させることにより、反応中に形成されるポリエーテルウレタンジアクリレート及び二付加体化合物の相対比率の制御を提供する。例えば、モル数nをモル数m又はモル数pに対して増大させると、反応中に形成される二付加体化合物の量を増大させることができる。例えばnが3.0~5.0であり、mが2n-4の±15%以内又は2n-4の±10%以内又は2n-4の±5%以内であり、pが2.0であるモル比n:m:pでの、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオール化合物の反応は、好ましい一次コーティング特性を達成するために十分な、オリゴマー中の化合物の量を生成する。例として、n=4.0であり、mが2n-4の±15%以内であり、p=2.0である実施形態は、n=4.0であり、mが4の±15%以内であり、p=2.0であることを意味し、これは、n=4.0であり、mが3.4~4.6であり、p=2.0であることを意味する。
二付加体化合物及びポリエーテルウレタンジアクリレートの相対比の変化は、モル数n、m、及びpの変更によって得られ、またこのような変化により、上記オリゴマーを含むコーティング組成物から形成されるコーティングのヤング率、その場弾性率、引裂き強度、臨界応力、引張じん性、及び他の機械的特性を、正確に制御できる。一実施形態では、特性の制御は、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物中のポリオールの単位の数を変化させること(例えばp=2.0、p=3.0、p=4.0)によって達成できる。別の実施形態では、引裂き強度、引張じん性、及び他の機械的特性の制御は、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体化合物の比率を変化させることによって達成される。ある所与の数のポリオール単位を有するポリエーテルウレタン化合物に関して、様々な比率の二付加体化合物を有するオリゴマーを調製できる。二付加体化合物の比率の変動性を繊細に制御することにより、引裂き強度、臨界応力、引張じん性、又は他の機械的特性の正確な値又は目標値を提供するコーティングを提供する、固定された数のポリオール単位を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物をベースとするオリゴマーを提供できる。
分子式(IV)で表されるポリエーテルウレタンアクリレート化合物及び分子式(V)で表される二付加体化合物を含むオリゴマーを組み込んだ一次コーティング組成物を利用すると、改良されたファイバの一次コーティングが得られ、ここで上記オリゴマー中の二付加体化合物の濃度は、少なくとも1.0重量%、又は少なくとも1.5重量%、又は少なくとも2.0重量%、又は少なくとも2.25重量%、又は少なくとも2.5重量%、又は少なくとも3.0重量%、又は少なくとも3.5重量%、又は少なくとも4.0重量%、又は少なくとも4.5重量%、又は少なくとも5.0重量%、又は少なくとも7.0重量%、又は少なくとも9.0重量%、又は1.0重量%~10.0重量%、又は又は2.0重量%~9.0重量%、又は3.0重量%~8.0重量%、又は3.5重量%~7.0重量%又は2.5重量%~6.0重量%、又は3.0重量%~5.5重量%、又は3.5重量%~5.0重量%である。なお、二付加体化合物の濃度は、コーティング組成物の重量%ではなく、オリゴマーの重量%で表現されている。二付加体化合物の濃度は、一実施形態では、ジイソシアネート:ヒドロキシアクリレート:ポリオールのモル比n:m:pを変化させることによって上昇する。一態様では、ポリオールに対してジイソシアネートが豊富であるモル比n:m:pによって、二付加体化合物の形成が促進される。
上述の例示的な化学量論比n:m:p=3:2:2において、反応は、p当量のポリオール、n=p+1当量のジイソシアネート、及び2当量のヒドロキシアクリレートを用いて進行する。モル数nがp+1を超える場合、ジイソシアネート化合物は、分子式(IV)のポリエーテルウレタンアクリレートを形成するために必要なポリオール化合物の量に対して過剰に存在する。余剰のジイソシアネートの存在により、反応産物の分布が、二付加体化合物の形成の増強にシフトする。
余剰のジイソシアネート化合物からの二付加体化合物の形成を促進するために、ヒドロキシアクリレートの量を増大させることもできる。上述のジイソシアネートの各当量、化学量論的モル数n=p+1に関して、二付加体化合物を形成するために、2当量のヒドロキシアクリレートが必要である。任意のモル数p(ポリオール)の場合、化学量論的モル数n(ジイソシアネート)及びm(ヒドロキシアクリレート)は、それぞれp+1及び2となる。モル数nがこの化学量論的な値を超えて増大すると、二付加体化合物を形成するための余剰のジイソシアネートの完全な反応に必要なヒドロキシアクリレートの当量は、m=2+2[n-(p+1)]として表現でき、ここで、最初の項「2」は、ポリエーテルウレタンアクリレート化合物(分子式(V)を有する化合物)を終端させるために必要なヒドロキシアクリレートの当量を表し、項2[n-(p+1)]は、開始材料である余剰のジイソシアネートを二付加体化合物に変換するために必要なヒドロキシアクリレートの当量を表す。モル数mの実際の値がこの当量の値より小さい場合、利用可能なヒドロキシアクリレートが、オリゴマー又は遊離ジイソシアネート分子上に存在するイソシアネート基と反応して、末端アクリレート基が形成される。これら2つの反応経路の相対的な動態は、形成されるポリエーテルウレタンジアクリレート及び二付加体化合物の相対量を規定し、全ての未反応のイソシアネート基をクエンチするために必要な量に対するヒドロキシアクリレートの欠乏を制御することによって、この反応で形成されるポリエーテルウレタンジアクリレート及び二付加体化合物の相対比率に更に影響を及ぼすことができる。
いくつかの実施形態では、上記反応は、ジイソシアネート化合物、ヒドロキシアクリレート化合物、及びポリオールから形成される反応組成物を加熱するステップを含む。この加熱は、ヒドロキシアクリレート化合物と末端イソシアネート基との反応による、末端イソシアネート基の末端アクリレート基への変換を促進する。異なる複数の実施形態において、ヒドロキシアクリレート化合物は、初期反応混合物中に過剰に存在し、及び/又はその他の方法で利用可能であるか若しくは未反応形態で添加され、これにより、末端イソシアネート基の末端アクリレート基への変換が発生する。加熱は、40℃超の温度で少なくとも12時間、又は40℃超の温度で少なくとも18時間、又は40℃超の温度で少なくとも24時間、又は50℃超の温度で少なくとも12時間、又は50℃超の温度で少なくとも18時間、又は50℃超の温度で少なくとも24時間、又は60℃超の温度で少なくとも12時間、又は60℃超の温度で少なくとも18時間、又は60℃超の温度で少なくとも24時間、行われる。
ある実施形態では、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物又は開始材料のジイソシアネート化合物上の末端イソシアネート基(未反応の初期量、又は過剰に存在する量)の、末端アクリレート基への変換を、補助的な量のヒドロキシアクリレート化合物を反応混合物に添加することによって促進する。上述のように、末端イソシアネート基をクエンチ(中和)するために必要なヒドロキシアクリレート化合物の量は、例えば不完全な反応、又はポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体化合物の相対比率を制御したいという要求により、理論上の当量値からずれる場合がある。上述のように、反応が完了点又は他の終点まで進行した後、残留イソシアネート基をクエンチ(中和)して、安定化された反応産物を提供することが好ましい。ある実施形態では、補助的なヒドロキシアクリレートを添加することによってこの目的を達成する。
ある実施形態では、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量は、初期反応プロセスに含まれる量に追加されるものである。反応のいずれの段階における末端イソシアネート基の存在を、例えば(2265cm-1付近の特徴的なイソシアネート伸縮モードを用いた)FITR分光分析によって監視し、このイソシアネート基の特徴的な伸縮モードの強度が無視できるものとなるか又は所定の閾値未満となるまで、補助的なヒドロキシアクリレート化合物を必要に応じて添加する。ある実施形態では、補助的なヒドロキシアクリレート化合物は、末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な量を超えて添加される。異なる複数の実施形態において、補助的なヒドロキシアクリレート化合物は:(ジイソシアネート及びポリオールのモル量から予想される理論上の量を超えた量として)初期反応混合物に含まれ;反応の進行に従って添加され;並びに/又はジイソシアネート及びポリオール化合物の反応が完了点又は所定の範囲まで行われた後で添加される。
イソシアネート基を完全に変換するために必要な量を超えたヒドロキシアクリレート化合物の量は、本明細書では、ヒドロキシアクリレート化合物の「余剰量(excess amount)」と呼ばれる。ヒドロキシアクリレート化合物の余剰量が添加される場合、これは:末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量の、少なくとも20%;又は末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量の、少なくとも40%;又は末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量の、少なくとも60%;又は末端イソシアネート基を末端アクリレート基に完全に変換するために必要な、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量の、少なくとも90%である。
ある実施形態では、補助的なヒドロキシアクリレート化合物の量は、反応で形成されたオリゴマー中に存在する残留イソシアネート基を完全に又は略完全にクエンチするために十分なものであってよい。イソシアネート基のクエンチが望ましいのは、イソシアネート基が比較的不安定であり、時間が経つと反応することが多いためである。このような反応は、反応組成物又はオリゴマーの特徴を変化させ、これらから形成されるコーティングのムラにつながる場合がある。開始材料のジイソシアネート及びポリオール化合物から形成される、残留イソシアネート基を含まない反応組成物及び産物は、より優れた安定性及び特性の予測可能性を有するものと予想される。
一次コーティング組成物のオリゴマーは、上述のように、ポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び二付加体化合物を含む。いくつかの実施形態では、上記オリゴマーは、2つ以上のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物及び/又は2つ以上の二付加体化合物を含む。一次コーティング組成物のオリゴマー含有量は、1つ以上のポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と1つ以上の二付加体化合物との合計量を含み、20重量%超、又は30重量%超、又は40重量%超、又は20重量%~80重量%、又は30重量%~70重量%、又は40重量%~60重量%であり、ここで、上記オリゴマー含有量中の二付加体化合物の濃度は、上述の通りである。
硬化性一次コーティング組成物は更に、1つ以上のモノマーを含む。上記1つ以上のモノマーは:オリゴマーと共存できるように;加工を容易にするために一次コーティングの粘度を制御するように;及び/又は一次コーティング組成物の硬化産物として形成されたコーティングの物理的若しくは化学的特性に影響を及ぼすように、選択される。上記モノマーとしては、エチレン不飽和化合物、エトキシ化アクリレート、エトキシ化アルキルフェノールモノアクリレート、プロピレンオキシドアクリレート、n‐プロピレンオキシドアクリレート、イソプロピレンオキシドアクリレート、単官能性アクリレート、単官能性脂肪族エポキシアクリレート、多官能性アクリレート、多官能性脂肪族エポキシアクリレート、及びこれらの組み合わせといった、放射線硬化性モノマーが挙げられる。
代表的な放射線硬化性エチレン不飽和モノマーとしては、1つ以上のアクリレート又はメタクリレート基を含むアルコキシ化モノマーが挙げられる。アルコキシ化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここでアルコキシレン基は、‐O‐R‐の形態を有し、Rは直鎖又は分岐アルキレン基である。アルコキシレン基の例としては、エトキシレン(‐O‐CH‐CH‐)、n‐プロポキシレン(‐O‐CH‐CH‐CH‐)、イソプロポキシレン(‐O‐CH‐CH(CH)‐、又は‐O‐CH(CH)‐CH‐)等が挙げられる。本明細書中で使用される場合、アルコキシ化度とは、モノマー中のアルコキシレン基の数を指す。一実施形態では、複数のアルコキシレン基がモノマー中で連続して結合される。
いくつかの実施形態では、一次コーティング組成物は、R‐R‐O‐(CH(CH)CH‐O)‐C(O)CH=CH(ここでR及びRは、脂肪族、芳香族、若しくはこれら両方の混合物であり、q=1~10である)、又はR‐O‐(CH(CH)CH‐O)‐C(O)CH=CH(ここでC(O)はカルボニル基であり、Rは脂肪族若しくは芳香族であり、q=1~10である)の形態の、アルコキシ化モノマーを含む。
モノマーの代表的な例としては、ラウリルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR335、BASF製AGEFLEX FA12、及びIGM Resins製PHOTOMER 4812)、エトキシ化ノニルフェノールアクリレート(例えばMiwon Specialty Chemical Company Ltd.製M164、Sartomer Company, Inc.製SR504、及びIGM Resins製PHOTOMER 4066)、カプロラクトンアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR495、及びDow Chemical製TONE M‐100)、フェノキシエチルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR339、BASF製AGEFLEX PEA、及びIGM Resins製PHOTOMER 4035)、イソオクチルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR440、及びBASF製AGEFLEX FA8)、トリデシルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR489)、イソボルニルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR506、及びCPS Chemical Co.製AGEFLEX IBOA)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR285)、ステアリルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR257)、イソデシルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR395、及びBASF製AGEFLEX FA10)、2‐(2‐エトキシエトキシ)エチルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製SR256)、エポキシアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製CN120、並びにCytec Industries Inc.製EBECRYL 3201及び3604)、ラウリルオキシグリシジルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製CN130)、並びにフェノキシグリシジルアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.製CN131)といったエチレン不飽和モノマー、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、一次コーティング組成物のモノマー成分としては、多官能性(メタ)アクリレートが挙げられる。多官能性エチレン不飽和モノマーとしては、多官能性アクリレートモノマー及び多官能性メタクリレートモノマーが挙げられる。多官能性アクリレートは、分子1つあたり2つ以上の重合性アクリレート部分、又は分子1つあたり3つ以上の重合性アクリレート部分を有する、アクリレートである。多官能性(メタ)アクリレートの例としては:ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート(例えばIGM Resins製PHOTOMER4399);トリメチロールプロパントリアクリレート、及びジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えばPHOTOMER 4355、IGM Resins)といった、アルコキシ化した又はアルコキシ化していないメチロールプロパンポリアクリレート;プロポキシ化度3以上のプロポキシ化グリセリルトリアクリレート(例えばPHOTOMER 4096、IGM Resins)といった、アルコキシ化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)製SR295)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えばSR494、Sartomer Company, Inc.)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えばPHOTOMER 4399、IGM Resins;及びSR399、Sartomer Company, Inc.)といった、アルコキシ化した又はアルコキシ化していないエリスリトールポリアクリレート;トリプロピレングリコールジアクリレート、プロポキシ化ヘキサンジオールジアクリレート、テトラプロピレングリコールジアクリレート、ペンタプロピレングリコールジアクリレート;これらのメタクリレート類似体;並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
いくつかの実施形態では、一次コーティング組成物は、N‐ビニルラクタム、又はN‐ビニルピロリドン、又はN‐ビニルカプロラクタムといったN‐ビニルアミドモノマーを含み、ここで上記N‐ビニルアミドモノマーは、コーティング組成物中に、1.0重量%超、又は2.0重量%超、又は3.0重量%超、又は1.0重量%~15.0重量%、又は2.0重量%~10.0重量%、又は3.0重量%~8.0重量%の濃度で存在する。
ある実施形態では、一次コーティング組成物は、1つ以上の単官能性アクリレート又はメタクリレートモノマーを、15重量%~90重量%、又は30重量%~75重量%、又は40重量%~65重量%の量で含む。別の実施形態では、一次コーティング組成物は、1つ以上の単官能性脂肪族エポキシアクリレート又はメタクリレートモノマーを、5重量%~40重量%、又は10重量%~30重量%の量で含んでよい。
ある実施形態では、一次コーティング組成物のモノマー成分としては、ヒドロキシ官能性モノマーが挙げられる。ヒドロキシ官能性モノマーは、ペンダントヒドロキシ部分を、(メタ)アクリレート等の他の反応官能性に加えて有する、モノマーである。ペンダントヒドロキシ基を含むヒドロキシ官能性モノマーの例としては:カプロラクトンアクリレート(Dow ChemicalからTONE M‐100として入手可能);ポリ(エチレングリコール)モノアクリレート、ポリ(プロピレングリコール)モノアクリレート、及びポリ(テトラメチレングリコール)モノアクリレート(それぞれMonomer, Polymer & Dajac Labs製)といった、ポリ(アルキレングリコール)モノ(メタ)アクリレート;2‐ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、及び4‐ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート(それぞれAldrich製)が挙げられる。
ある実施形態では、上記ヒドロキシ官能性モノマーは、光ファイバに対する一次コーティングの接着を改善するために十分な量で存在する。ヒドロキシ官能性モノマーはコーティング組成物中に、約0.1重量%~約25重量%の量で、又は約5重量%~約8重量%の量で存在する。ヒドロキシ官能性モノマーの使用により、光ファイバに対する一次コーティングの十分な接着に必要な接着促進剤の量を削減できる。またヒドロキシ官能性モノマーの使用により、コーティングの親水性が向上する傾向もあり得る。ヒドロキシ官能性モノマーは、米国特許第6,563,996号明細書に更に詳細に説明されており、上記特許文献の開示は、参照によりその全体が本出願に援用される。
異なる複数の実施形態において、一次コーティング組成物の合計モノマー含有量は、約15重量%~約90重量%、又は約30重量%~約75重量%、又は約40重量%~約65重量%である。
硬化性モノマー及び硬化性オリゴマーに加えて、硬化性一次コーティング組成物は、重合開始剤も含む。重合開始剤は、コーティングを形成するための一次コーティング組成物の硬化に関連する重合プロセスの開始を促進する。重合開始剤としては、熱開始剤、化学開始剤、電子ビーム開始剤、及び光開始剤が挙げられる。光開始剤としては、ケトン性光開始剤及び/又はホスフィンオキシド光開始剤が挙げられる。コーティング組成物の硬化に使用される場合、光開始剤は、迅速な放射線硬化を可能とするために十分な量で存在する。
代表的な光開始剤としては:1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えばBASF製IRGACURE 184));ビス(2,6‐ジメトキシベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えばBASF製の市販の混合物IRGACURE 1800、1850、及び1700);2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン(例えばBASF製IRGACURE 651);ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819);(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF(ドイツ、ミュンヘン)製LUCIRIN TPO);エトキシ(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルホスフィンオキシド(BASF製LUCIRIN TPO‐L);並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
コーティング組成物は、単一の光開始剤、又は2つ以上の光開始剤の組み合わせを含む。コーティング組成物の合計光開始剤含有量は、最高約10重量%、又は約0.5重量%~約6重量%である。
硬化性一次コーティング組成物は任意に、1つ以上の添加剤を含む。添加剤としては、接着促進剤、強度補助剤、抗酸化剤、触媒、安定剤、蛍光増白剤、特性向上添加剤、アミン相乗剤、ワックス、潤滑剤、及び/又はスリップ剤が挙げられる。一部の添加剤は、重合プロセスを制御することによって、コーティング組成物から形成される重合産物の物理的特性(例えば弾性、ガラス転移温度)に影響を及ぼすように作用する。他の添加剤は、一次コーティング組成物の硬化産物の完全性(例えば脱重合又は酸化分解に対する保護)に影響を及ぼす。
接着促進剤は、ガラス(例えばガラスファイバのクラッド部分)に対する一次コーティング及び/又は一次コーティング組成物の接着を促進する化合物である。好適な接着促進剤としては、アルコキシシラン、メルカプト‐官能性シラン、有機チタン酸塩、及びジルコン酸塩が挙げられる。代表的な接着促進剤としては、メルカプトアルキルシラン、又は3‐メルカプトプロピル‐トリアルコキシシラン(例えば3‐メルカプトプロピル‐トリメトキシシラン、Gelest(ペンシルベニア州タリータウン)製)等のメルカプトアルコキシシラン;ビス(トリアルコキシシリル‐エチル)ベンゼン;アクリロキシプロピルトリアルコキシシラン(例えば(3‐アクリロキシプロピル)‐トリメトキシシラン、Gelest製)、メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシラン、ビス(トリアルコキシシリルエチル)ヘキサン、アリルトリアルコキシシラン、スチリルエチルトリアルコキシシラン、及びビス(トリメトキシシリルエチル)ベンゼン(United Chemical Technologies(ペンシルベニア州ブリストル)製)が挙げられる。米国特許第6,316,516号明細書を参照されたい(上記特許文献の開示は、その全体が参照により本出願に援用される)。
接着促進剤は一次コーティング組成物中に、0.02重量%~10.0重量%、又は0.05重量%~4.0重量%、又は0.1重量%~4.0重量%、又は0.1重量%~3.0重量%、又は0.1重量%~2.0重量%、又は0.1重量%~1.0重量%、又は0.5重量%~4.0重量%、又は0.5重量%~3.0重量%、又は0.5重量%~2.0重量%、又は0.5重量%~1.0重量%の量で存在する。
代表的な抗酸化剤は、チオジエチレンビス[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル)‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)プロピオネート](例えばBASF製IRGANOX 1035)である。いくつかの態様では、抗酸化剤はコーティング組成物中に、0.25重量%超、又は0.50重量%超、又は0.75重量%超、又は1.0重量%超、又は0.25重量%~3.0重量%、又は0.50重量%~2.0重量%、又は0.75重量%~1.5重量%の量で存在する。
代表的な蛍光増白剤としては:TINOPAL OB(BASF製);Blankophor KLA(Bayer製);ビスベンズオキサゾール化合物;フェニルクマリン化合物;及びビス(スチリル)ビフェニル化合物が挙げられる。ある実施形態では、蛍光増白剤はコーティング組成物中に、0.005重量%~0.3重量%の濃度で存在する。
代表的なアミン相乗剤としては:トリエタノールアミン;1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、及びメチルジエタノールアミン。ある実施形態では、アミン相乗剤は0.02重量%~0.5重量%の濃度で存在する。
一次コーティング‐特性
一次コーティングの関連特性としては、半径、厚さ、ヤング率、及びその場弾性率が挙げられる。
一次コーティングの半径rは、85.0μm以下、又は80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は65.0μm以下、又は60.0μm以下、又は55.0μm以下、又は50.0μm以下、又は47.5μm~85.0μm、又は50.0μm~80.0μm、又は55.0μm~75.0μm、又は75.0μm~85.0μm、又は77.5μm~82.5μm、又は57.5μm~67.5μm、又は60.0μm~65.0μm、又は47.5μm~52.5μmである。
光ファイバの直径の削減を促進するために、一次コーティングの厚さr-rを最小限に抑えることが好ましい。一次コーティングの厚さr-rは、30.0μm以下、又は25.0μm以下、又は20.0μm以下、又は15.0μm以下、又は10.0μm以下、又は7.5μm~30.0μm、又は10.0μm~30.0μm、又は12.5μm~27.5μm、又は12.5μm~25.0μm、又は15.0μm~30.0μm、又は15.0μm~27.5μm、又は15.0μm~25.0μm、又は15.0μm~20.0μm、又は20.0μm~35.0μm、又は7.5μm~12.5μmである。
いくつかの実施形態では、光ファイバは、37.5μm~57.5μm、又は37.5μm~47.5μm、又は37.5μm~42.5μmの範囲内の半径rを有するガラスファイバと、80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は65.0μm以下、又は60.0μm以下、又は55.0μm以下、又は55.0μm~77.5μm、又は57.5μm~72.5μm、又は57.5μm~67.5μm、又は60.0μm~65.0μm、又は47.5μm~60.0μm、又は47.5μm~55.0μm、又は47.5μm~52.5μmの半径rを有する一次コーティングとを含む。
いくつかの実施形態では、光ファイバは、37.5μm~57.5μm、又は37.5μm~47.5μm、又は37.5μm~42.5μmの範囲内の半径rを有するガラスファイバと、30.0μm以下、又は25.0μm以下、又は20.0μm以下、又は10.0μm~30.0μm、又は12.5μm~27.5μm、又は12.5μm~25.0μm、又は15.0μm~30.0μm、又は15.0μm~27.5μm、又は15.0μm~25.0μm、又は15.0μm~20.0μm、又は20.0μm~25.0μm、又は7.5μm~15.0μm、又は7.5μm~12.5μmの厚さr-rを有する一次コーティングとを含む。
効果的な応力の緩衝及びガラスファイバの保護を促進するために、一次コーティングが低いヤング率及び/又は低いその場弾性率を有することが好ましい。一次コーティングのヤング率は、0.7MPa以下、又は0.6MPa以下、又は0.5MPa以下、又は0.4MPa以下、又は0.1MPa~0.7MPa、又は0.3MPa~0.6MPaである。一次コーティングのその場弾性率は、0.30MPa以下、又は0.25MPa以下、又は0.20MPa以下、又は0.15MPa以下、又は0.10MPa以下、又は0.05MPa~0.25MPa、又は0.10MPa~0.20MPaである。
二次コーティング‐組成物
二次コーティングは、モノマー、光開始剤、及び任意の添加剤を含む、硬化性二次コーティング組成物の硬化産物である。ある好ましい実施形態では、二次コーティング及び硬化性二次コーティング組成物は、ウレタン非含有である。本開示は、放射線硬化性二次コーティング組成物、上記放射線硬化性二次コーティング組成物の硬化産物、放射線硬化性二次コーティング組成物でコーティングされた光ファイバ、及び放射線硬化性二次コーティング組成物の硬化産物でコーティングされた光ファイバについて説明する。
二次コーティングは、1つ以上のモノマーを含むモノマー成分を含む放射線硬化性二次コーティング組成物の、硬化産物として形成される。上記モノマーは好ましくは、エチレン不飽和化合物を含む。上記1つ以上のモノマーは、50重量%以上の量で、又は約60重量%~約99重量%の量で、又は約75重量%~約99重量%の量で、又は約80重量%~約99重量%の量で、又は約85重量%~約99重量%の量で存在する。ある好ましい実施形態では、上記モノマー成分のモノマーはいずれも、ウレタン結合を含まない。
上記モノマーは官能基を含み、上記官能基は、重合性の基、及び/又は架橋を促進する若しくは架橋を可能にする基である。上記モノマーは、単官能性モノマー又は多官能性モノマーである。2つ以上のモノマーの組み合わせにおいて、構成要素のモノマーは、単官能性モノマー、多官能性モノマー、又は単官能性モノマーと多官能性モノマーとの組み合わせである。一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物のモノマー成分は、エチレン不飽和モノマーを含む。エチレン不飽和モノマーに関する好適な官能基としては、限定するものではないが、(メタ)アクリレート、アクリルアミド、N‐ビニルアミド、スチレン、ビニルエーテル、ビニルエステル、酸エステル及びこれらの組み合わせが挙げられる。
硬化性二次コーティング組成物のための例示的な単官能性エチレン不飽和モノマーとしては、限定するものではないが、以下の化合物及びそのフッ素化変異体が挙げられる:2‐ヒドロキシエチル‐アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル‐アクリレート及び2‐ヒドロキシブチル‐アクリレートといった、ヒドロキシアルキルアクリレート;メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、アミルアクリレート、イソブチルアクリレート、t‐ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、イソアミルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレート、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ウンデシルアクリレート、ドデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、オクタデシルアクリレート、並びにステアリルアクリレートといった、長鎖及び短鎖アルキルアクリレート;ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート、及び7‐アミノ‐3,7‐ジメチルオクチルアクリレートといった、アミノアルキルアクリレート;ブトキシエチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート(例えばSR339、Sartomer Company, Inc.)、及びエトキシエトキシエチルアクリレートといった、アルコキシアルキルアクリレート;シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、ジシクロペンタジエンアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート(例えばSR423、Sartomer Company, Inc.)、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えばSR285、Sartomer Company, Inc.)、カプロラクトンアクリレート(例えばSR495、Sartomer Company, Inc.)、並びにアクリロイルモルホリンといった、単環式及び多環式芳香族又は非芳香族アクリレート;ポリエチレングリコールモノアクリレート、ポリプロピレングリコールモノアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシポリプロピレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコールアクリレート、並びにエトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート(例えばPhotomer 4066、IGM Resins)等の様々なアルコキシ化アルキルフェノールアクリレートといった、アルコール系アクリレート;ジアセトンアクリルアミド、イソブトキシメチルアクリルアミド、N,N’‐ジメチル‐アミノプロピルアクリルアミド、N,N‐ジメチルアクリルアミド、N,N‐ジエチルアクリルアミド、及びt‐オクチルアクリルアミドといった、アクリルアミド;N‐ビニルピロリドン及びN‐ビニルカプロラクタムといったビニル化合物;並びにマレイン酸エステル及びフマル酸エステルといった酸エステル。上に列挙した長鎖及び短鎖アルキルアクリレートに関して、短鎖アルキルアクリレートは、6個以下の炭素を有するアルキル基であり、長鎖アルキルアクリレートは、7個以上の炭素を有するアルキル基である。
他の代表的な放射線硬化性エチレン不飽和モノマーとしては、1つ以上のアクリレート又はメタクリレート基を含むアルコキシ化モノマーが挙げられる。アルコキシ化モノマーは、1つ以上のアルコキシレン基を含むものであり、ここでアルコキシレン基は、‐O‐R‐の形態を有し、Rは直鎖又は分岐炭化水素である。アルコキシレン基の例としては、エトキシレン(‐O‐CH‐CH‐)、n‐プロポキシレン(‐O‐CH‐CH‐CH‐)、イソプロポキシレン(‐O‐CH‐CH(CH)‐)等が挙げられる。
本明細書中で使用される場合、アルコキシ化度とは、アルコキシレン基の数を、モノマーの1つの分子中のアクリレート及びメタクリレート基の数で除算したものを指す。単官能性アルコキシ化モノマーについて、アルコキシ化度は、モノマーの1つの分子中のアルコキシレン基の数に相当する。ある好ましい実施形態では、単官能性アルコキシ化モノマーのアルコキシレン基は連続して結合される。二官能性アルコキシ化モノマーについて、アルコキシ化度は、モノマーの1つの分子中のアルコキシレン基の数の半分に相当する。ある好ましい実施形態では、二官能性アルコキシ化モノマー中のアルコキシレン基は、2つの基それぞれにおいて連続して結合され、ここでこれら2つの基は化学結合で隔てられ、各基は該分子のアルコキシレン基の数の半分又は約半分を含む。三官能性アルコキシ化モノマーについて、アルコキシ化度は、モノマーの1つの分子中のアルコキシレン基の数の1/3に相当する。ある好ましい実施形態では、三官能性アルコキシ化モノマー中のアルコキシレン基は、3つの基それぞれにおいて連続して結合され、ここでこれら3つの基は化学結合で隔てられ、各基は該分子のアルコキシレン基の数の1/3又は約1/3を含む。
硬化性二次コーティング組成物のための代表的な多官能性エチレン不飽和モノマーとしては、限定するものではないが:エトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレート等のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレート;及びエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート等のアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートが挙げられ、アルコキシ化度は、2以上、又は4以上、又は6以上、又は16未満、又は12未満、又は8未満、又は5未満、又は2~16、又は2~12、又は2~8、又は2~4、又は3~12、又は3~8、又は3~5、又は4~12、又は4~10、又は4~8である。
硬化性二次コーティング組成物の多官能性エチレン不飽和モノマーとしては、以下が挙げられる:エトキシ化度が2~16のエトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)製SR349、SR601、及びSR602、並びにIGM Resins製Photomer 4028)、又はプロポキシ化度が2以上、例えば2~16のプロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート;エトキシ化度が2以上、例えば2~16又は3~10である、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート又はエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えばPhotomer4149、IGM Resins;及びSR499、Sartomer Company, Inc.)といった、アルコキシ化した又はアルコキシ化していないメチロールプロパンポリアクリレート;プロポキシ化度が2以上、例えば2~16であるプロポキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート(例えばPhotomer4072、IGM Resins;及びSR492、Sartomer);ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(例えばPhotomer4355、IGM Resins);プロポキシ化度が2以上、例えば2~16のプロポキシ化グリセリルトリアクリレート(例えばPhotomer4096、IGM Resins;及びSR9020、Sartomer)といった、アルコキシ化グリセリルトリアクリレート;ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えばSartomer Company, Inc.(ペンシルベニア州ウェストチェスター)製SR295)、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(例えばSR494、Sartomer)、並びにジペンタエリスリトールペンタアクリレート(例えばPhotomer4399、IGM Resins;及びSR399、Sartomer Company, Inc.)といった、アルコキシ化した又はアルコキシ化していないエリスリトールポリアクリレート;トリス‐(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(例えばSR368、Sartomer Company, Inc.)及びトリス‐(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジアクリレートといった、適切な官能性イソシアヌレートをアクリル酸又は塩化アクリロイルと反応させることによって形成されたイソシアヌレートポリアクリレート;トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(例えばCD406、Sartomer Company, Inc.)、及びエトキシ化度が2以上、例えば2~16のエトキシ化ポリエチレングリコールジアクリレートといった、アルコキシ化した又はアルコキシ化していないアルコールポリアクリレート;アクリレートをビスフェノールAジグリシジルエーテル等に添加することによって形成されたエポキシアクリレート(例えばPhotomer3016、IGM Resins);並びにジシクロペンタジエンジアクリレート及びジシクロペンタンジアクリレートといった単環式及び多環式芳香族又は非芳香族ポリアクリレート。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、3つ以上の硬化性官能基を含む多官能性モノマーを、2.0重量%超、又は5.0重量%超、又は7.5重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は20重量%超、又は2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記3つ以上の硬化性官能基はそれぞれアクリレート基である。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、三官能性モノマーを、2.0重量%超、又は5.0重量%超、又は7.5重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は20重量%超、又は2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、二官能性モノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更に三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、単官能性モノマーを含まず、二官能性モノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更に三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、2つ以上の二官能性モノマーを、70重量%超、又は75重量%超、又は80重量%超、又は85重量%超、又は70重量%~95重量%、又は75重量%~90重量%の合計量で含み、更に三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、単官能性モノマーを含まず、2つ以上の二官能性モノマーを、70重量%超、又は75重量%超、又は80重量%超、又は85重量%、又は70重量%~95重量%、又は75重量%~90重量%の合計量で含み、更に三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。ある好ましい実施形態では、上記二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、2つ以上の二官能性モノマーを、70重量%超、又は75重量%超、又は80重量%超、又は85重量%超、又は70重量%~95重量%、又は75重量%~90重量%の合計量で含み、更に2つ以上の三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の合計量で含む。ある好ましい実施形態では、上記2つ以上の二官能性モノマーはそれぞれジアクリレートモノマーであり、上記2つ以上の三官能性モノマーはそれぞれトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
いくつかの実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、単官能性モノマーを含まず、2つ以上の二官能性モノマーを、70重量%超、又は75重量%超、又は80重量%超、又は85重量%、又は70重量%~95重量%、又は75重量%~90重量%の合計量で含み、更に2つ以上の三官能性モノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の合計量で含む。ある好ましい実施形態では、各上記二官能性モノマーはジアクリレートモノマーであり、各上記三官能性モノマーはトリアクリレートモノマーである。好ましいジアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートが挙げられる。好ましいトリアクリレートモノマーとしては、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、及びイソシアヌレートトリアクリレートが挙げられる。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
好ましい二官能性モノマーは、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートである。アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートは、一般式(XIII):
Figure 2022521899000015
を有し、ここでR及びRはアルキレン基であり、R‐O及びR‐Oはアルコキシレン基であり、RはHである。基R、R、及びRのうちのいずれの2つは、同一であるか又は異なっている。一実施形態では、基R及びRは同一である。各基R及びR中の炭素の数は、1~8、又は2~6、又は2~4である。アルコキシ化度は1/2(x+y)である。x及びyの値は同一であるか又は異なっている。一実施形態では、x及びyは同一である。
好ましい三官能性モノマーは、アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートである。アルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートは、一般式(XIV):
Figure 2022521899000016
を有し、ここでR及びRはアルキレン基であり、O‐R、O‐R、及びO‐Rはアルコキシレン基である。基R、R、及びRのうちのいずれの2つは、同一であるか又は異なっている。一実施形態では、基R、R、及びRは同一である。各基R、R、及びR中の炭素の数は、1~8、又は2~6、又は2~4である。アルコキシ化度は1/3(x+y+z)である。x、y、及びzのうちのいずれの2つの値は同一であるか又は異なっている。一実施形態では、x、y、及びzは同一である。
別の好ましい三官能性モノマーは、トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートである。トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートは、トリス[n‐ヒドロキシアルキル)イソシアヌレートトリアクリレートとも呼ばれる。代表的なトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートは、トリス[2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり、これは一般式(XV):
Figure 2022521899000017
を有する。式(III)では、エチレン結合(‐CH‐CH‐)が、各アクリロイルオキシ基をイソシアヌレート環の窒素に結合させる。トリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートの他の実施形態では、エチレン結合以外のアルキレン結合が、アクリロイルオキシ基をイソシアヌレート環の窒素に結合させる。これら3つのアルキレン結合のうちのいずれの2つのアルキレン結合は、同一であるか又は異なっている。一実施形態では、上記3つのアルキレン結合は同一である。各アルキレン結合の炭素の数は、1~8、又は2~6、又は2~4である。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、エトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、エトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、エトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、エトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にエトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にエトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にエトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にエトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
一実施形態では、硬化性二次コーティング組成物は、ビスフェノール‐Aエポキシジアクリレートモノマーを、5.0重量%超、又は10重量%超、又は15重量%超、又は5.0重量%~20重量%、又は8重量%~17重量%、又は10重量%~15重量%の量で含み、更にエトキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートモノマーを、55重量%超、又は60重量%超、又は65重量%超、又は70重量%超、又は55重量%~80重量%、又は60重量%~75重量%の量で含み、更にトリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートモノマーを、2.0重量%~25重量%、又は5.0重量%~20重量%、又は8.0重量%~15重量%の量で含む。好ましくは、硬化性二次コーティング組成物は、アルコキシ化度が17超、又は20超、又は25超、又は15~40、又は20~35のアルコキシ化ビスフェノール‐Aジアクリレートを含まない。
代表的な光開始剤としては:1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(例えばBASF製IRGACURE184));ビス(2,6‐ジメトキシベンゾイル)‐2,4,4‐トリメチルペンチルホスフィンオキシド(例えばBASF製の市販の混合物IRGACURE 1800、1850、及び1700);2,2‐ジメトキシ‐2‐フェニルアセトフェノン(例えばBASF製IRGACURE 651);ビス(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルホスフィンオキシド(IRGACURE 819);(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF(ドイツ、ミュンヘン)製LUCIRIN TPO);エトキシ(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐フェニルホスフィンオキシド(BASF製LUCIRIN TPO‐L);並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
硬化性二次コーティング組成物は、単一の光開始剤、又は2つ以上の光開始剤の組み合わせを含む。硬化性二次コーティング組成物の合計光開始剤含有量は、最高約10重量%、又は約0.5重量%~約6重量%である。
任意の添加剤としては、強度補助剤、抗酸化剤、触媒、安定剤、蛍光増白剤、特性向上添加剤、アミン相乗剤、ワックス、潤滑剤、及び/又はスリップ剤が挙げられる。一部の添加剤は、重合プロセスを制御することによって、コーティング組成物から形成される重合産物の物理的特性(例えば弾性、ガラス転移温度)に影響を及ぼすように作用する。他の添加剤は、硬化性二次コーティング組成物の硬化産物の完全性(例えば脱重合又は酸化分解に対する保護)に影響を及ぼす。
代表的な抗酸化剤は、チオジエチレンビス[3‐(3,5‐ジ‐tert‐ブチル)‐4‐ヒドロキシ‐フェニル)プロピオネート](例えばBASF製IRGANOX 1035)である。いくつかの態様では、抗酸化剤は硬化性二次コーティング組成物中に、0.25重量%超、又は0.50重量%超、又は0.75重量%超、又は1.0重量%超、又は0.25重量%~3.0重量%、又は0.50重量%~2.0重量%、又は0.75重量%~1.5重量%の量で存在する。
代表的な蛍光増白剤としては:TINOPAL OB(BASF製);Blankophor KLA(Bayer製);ビスベンズオキサゾール化合物;フェニルクマリン化合物;及びビス(スチリル)ビフェニル化合物が挙げられる。ある実施形態では、蛍光増白剤は硬化性二次コーティング組成物中に、0.005重量%~0.3重量%の濃度で存在する。
代表的なアミン相乗剤としては:トリエタノールアミン;1,4‐ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリエチルアミン、及びメチルジエタノールアミン。ある実施形態では、アミン相乗剤は0.02重量%~0.5重量%の濃度で存在する。
二次コーティング‐特性
一次コーティングの関連特性としては、半径、厚さ、ヤング率、引張強さ、降伏強さ、降伏時の伸び、ガラス転移温度、及び耐穿刺性が挙げられる。
二次コーティングの半径rは、110.0μm以下、又は100.0μm以下、又は90.0μm以下、又は85.0μm以下、又は80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は65.0μm以下、又は62.5μm以下、又は62.5μm~110.0μm、又は72.5μm~100.0μm、又は75.0μm~90.0μm、又は95.0μm~105.0μm、又は75.0μm~85.0μm、又は62.5μm~67.5μmである。
光ファイバの直径の削減を促進するために、二次コーティングの厚さr-rを最小限に抑えることが好ましい。二次コーティングの厚さr-rは、30.0μm以下、又は25.0μm以下、又は20.0μm以下、又は15.0μm以下、又は10.0μm以下、又は7.5μm~30.0μm、又は10.0μm~30.0μm、又は10.0μm~20.0μm、又は10.0μm~15.0μm、又は12.5μm~27.5μm、又は12.5μm~25.0μm、又は12.5μm~22.5μm、又は15.0μm~30.0μm、又は15.0μm~27.5μm、又は15.0μm~25.0μmである。
いくつかの実施形態では、光ファイバは:37.5μm~57.5μm、又は37.5μm~47.5μm、又は37.5μm~42.5μmの範囲内の半径rを有するガラスファイバと;80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は65.0μm以下、又は60.0μm以下、又は55.0μm以下、又は55.0μm~77.5μm、又は57.5μm~72.5μm、又は57.5μm~67.5μm、又は60.0μm~65.0μm、又は47.5μm~60.0μm、又は47.5μm~55.0μm、又は47.5μm~52.5μmの半径rを有する一次コーティングと;110.0μm以下、又は100.0μm以下、又は90.0μm以下、又は85.0μm以下、又は80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は70.0μm~110.0μm、又は72.5μm~100.0μm、又は75.0μm~90.0μm、又は75.0μm~85.0μm、又は62.5μm~67.5μmの半径rを有する二次コーティングとを含む。
いくつかの実施形態では、光ファイバは:37.5μm~57.5μm、又は37.5μm~47.5μmの範囲内の半径rを有するガラスファイバと;30.0μm以下、又は25.0μm以下、又は20.0μm以下、又は15.0μm以下、又は10.0μm以下、又は7.5μm~30.0μm、又は10.0μm~30.0μm、又は10.0μm~20.0μm、又は10.0μm~15.0μm、又は12.5μm~27.5μm、又は12.5μm~25.0μm、又は12.5μm~22.5μm、又は15.0μm~30.0μm、又は15.0μm~27.5μm、又は15.0μm~25.0μmの厚さr-rを有する一次コーティングと;110.0μm以下、又は100.0μm以下、又は90.0μm以下、又は85.0μm以下、又は80.0μm以下、又は75.0μm以下、又は70.0μm以下、又は70.0μm~110.0μm、又は72.5μm~100.0μm、又は75.0μm~90.0μm、又は75.0μm~85.0μm、又は62.5μm~67.5μmの半径rを有する二次コーティングとを含む。
ファイバドロープロセス
連続光ファイバ製造プロセスでは、ガラスファイバを、加熱されたプリフォームからドロー加工して、目標の直径へとサイズ調整する。続いてガラスファイバを冷却してコーティングシステムへと向かわせ、上記コーティングシステムは、液体の一次コーティング組成物をガラスファイバに塗布する。液体の一次コーティング組成物をガラスファイバに塗布した後、2つのプロセス選択肢が実行可能である。第1のプロセス選択肢(ウェット・オン・ドライプロセス)では、液体の一次コーティング組成物を硬化させて、固化済み一次コーティングを形成し、液体の二次コーティング組成物を硬化した一次コーティングに塗布し、液体の二次コーティング組成物を硬化させて、固化済み二次コーティングを形成する。第2のプロセス選択肢(ウェット・オン・ウェットプロセス)では、液体の二次コーティング組成物を液体の一次コーティング組成物に塗布し、両方の液体コーティング組成物を同時に硬化させて、固化済み一次コーティング及び固化済み二次コーティングを提供する。ファイバがコーティングシステムを出た後、ファイバを回収し、室温で保管する。ファイバの回収は典型的には、ファイバをスプールに巻き付けて、このスプールを保管することを伴う。
一部のプロセスでは、コーティングは更に、三次コーティング組成物を二次コーティングに塗布し、三次コーティング組成物を硬化させて、固化済み三次コーティングを形成する。典型的には、三次コーティングは、識別を目的としてファイバにマーキングするために使用されるインク層であり、顔料を含むがそれ以外は二次コーティングと同様の組成を有する。三次コーティングを二次コーティングに塗布して硬化させる。二次コーティングは典型的には、三次コーティングの塗布の時点で硬化している。一次、二次、及び三次コーティング組成物は、共通の連続製造プロセスで塗布して硬化させることができる。あるいは、一次及び二次コーティング組成物を、共通の連続製造プロセスで塗布して硬化させ、コーティング済みのファイバを回収し、別個のオフラインプロセスで三次コーティング組成物を塗布して硬化させることにより、三次コーティングを形成する。
硬化用放射線の波長は、赤外波長、可視波長、又は紫外(UV)波長である。代表的な波長としては、250nm~1000nm、又は250nm~700nm、又は250nm~450nm、又は275nm~425nm、又は300nm~400nm、又は320nm~390nm、又は330nm~380nm、又は340nm~370nmの波長が挙げられる。硬化は、ランプ光源(例えばHgランプ)、LED光源(例えばUVLED、可視光LED、若しくは赤外LED)、又はレーザ光源を含む光源を用いて達成できる。
一次、二次、及び三次コーティング組成物はそれぞれ、上述の波長のうちのいずれ及び上述の光源のうちのいずれを用いて硬化させることができる。一次、二次、及び三次コーティング組成物それぞれを硬化させるために、同一の波長又は光源を使用してよく、又は一次、二次、及び三次コーティング組成物を硬化させるために、異なる波長及び/若しくは光源を使用してよい。一次、二次、及び三次コーティング組成物の硬化は、単一の波長、又は2つ以上の波長の組み合わせを用いて達成できる。
プロセスの効率を改善するために、プリフォームから回収地点まで延在するプロセス経路に沿ったファイバのドロー速度を上昇させることが望ましい。しかしながら、ドロー速度を上昇させると、コーティング組成物の硬化速度を上昇させなければならない。本開示のコーティング組成物は、35m/秒超、又は40m/秒超、又は45m/秒超、又は50m/秒超、又は55m/秒超、又は60m/秒超、又は65m/秒超、又は70m/秒超のドロー速度で動作するファイバドロープロセスと適合する。
本開示の範囲は、硬化性二次コーティング組成物の硬化産物でコーティングされた光ファイバにまで及ぶ。上記光ファイバは、比較的低屈折率のガラスクラッド領域に取り囲まれた、比較的高屈折率のガラスコア領域を備える、導波路ガラスファイバを含む。硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成されるコーティングは、一次コーティングを取り囲んで一次コーティングと直接接触し、一次コーティングはガラスクラッドと直接接触する。硬化性二次コーティング組成物の硬化産物は、ガラスファイバの三次コーティングとしても機能できる。
以下の実施例は、代表的な硬化性二次コーティング組成物、硬化性二次コーティング組成物から作製された硬化産物、及び硬化性二次コーティング組成物の硬化産物でコーティングされたマルチモード光ファイバの特性を示す。比較例の二次コーティングを備えたマルチモード光ファイバの対応する特性も提示する。
測定技法
一次及び二次コーティングの特性を、以下に記載の測定技法を用いて決定した。
引張特性
硬化性二次コーティング組成物を硬化させ、ヤング率、降伏時の引張強さ、降伏強さ、及び降伏時の伸びの測定のための硬化済みロッド試料の形状に構成した。上記硬化済みロッドは、硬化性二次コーティング組成物を、内径約0.025インチ(0.635mm)のテフロン(登録商標)チューブに注入することによって調製した。ロッド試料を、線量約2.4J/cm(International Light製Light Bug model IL390によって、225~424nmの波長範囲にわたって測定)のFusion Dタイプバルブを用いて硬化させた。硬化後、テフロンチューブを剥ぎ取り、二次コーティング組成物の硬化済みロッド試料を提供した。試験前に、硬化済みロッドを、23℃及び相対湿度50%の条件下に18~24時間置いた。ヤング率、破断時の引張強さ、降伏強さ、及び降伏時の伸びを、ゲージ長51mmの、欠陥のないロッド試料に対して、Sintech MTS Tensile Testerを用いて試験速度250mm/分で測定した。引張特性は、ASTM規格D882‐97に従って測定した。これらの特性は、少なくとも5つの試料の平均として決定され、欠陥を有する試料は平均から排除した。
その場ガラス転移温度
一次及び二次コーティングのその場T測定を、コーティング済みファイバから得られたファイバチューブオフ試料に対して実施した。コーティング済みファイバは、直径125μmのガラスファイバと、上記ガラスファイバを取り囲んで上記ガラスファイバと直接接触する厚さ32.5μmの一次コーティングと、上記ガラスファイバを取り囲んで上記ガラスファイバと直接接触する厚さ26.0μmの二次コーティングとを含んでいた。ガラスファイバ及び一次コーティングは、測定した全ての試料について同一であった。一次コーティングは、以下で説明する基準一次コーティング組成物から形成された。比較例の二次コーティング及び本開示による二次コーティングを有する試料を測定した。
ファイバチューブオフ試料を以下の手順を用いて得た:0.0055インチ(0.1397mm)Millerストリッパーを、コーティング済みファイバの端部からおよそ1インチ(2.54cm)下にクランプ留めした。このファイバの1インチ(2.54cm)の領域を液体窒素流中に落とし、液体窒素中で3秒間保持した。その後、コーティング済みファイバを液体窒素流から取り出し、迅速に剥離することでコーティングを除去した。ファイバの剥離済みの端部を、残留コーティングに関して検査した。残留コーティングがガラスファイバ上に残っている場合、試料を廃棄し、新たな試料を調製した。剥離プロセスの結果は、清浄なガラスファイバと、無傷の一次及び二次コーティングを含む、剥離されたコーティングの中空チューブとであった。上記中空チューブを、「チューブオフ試料(tube‐off sample)」と呼ぶ。ガラス、一次コーティング、及び二次コーティングの直径は、剥離されていないファイバの端面から測定した。
チューブオフ試料のその場Tを、Rheometrics DMTA IV試験機器を試料ゲージ長9~10mmで使用することによって測定した。チューブオフ試料の幅、厚さ、及び長さを、試験機器の操作プログラムに入力した。チューブオフ試料を設置した後、およそ-85℃まで冷却した。安定した後、温度傾斜を、以下のパラメータを用いて実施した:
周波数:1Hz
歪み:0.3%
加熱速度:2℃/分
最終温度:150℃
初期静的力=20.0g
静的力は、動的力よりも10.0%だけ大きい
コーティングのその場Tは、温度の関数としてのtanδのプロットにおけるtanδの最大値として定義され、ここでtanδは:
tanδ=E’’/E’
として定義され、E’’は損失弾性率であり、変形のサイクルにおける熱としてのエネルギの損失に比例し、またE’は貯蔵弾性率又は弾性率であり、変形のサイクルにおいて貯蔵されるエネルギに比例する。
チューブオフ試料は、一次及び二次コーティングに関するtanδのプロットにおいて、明確な複数の最大値を示した。低温(約-50℃)における最大値は、一次コーティングに関するその場Tに対応し、高温(50℃超)における最大値は、二次コーティングに関するその場Tに対応する。
一次コーティングのその場弾性率
その場弾性率を、以下の手順を用いて測定した:6インチ(15.24cm)のファイバの試料を得て、このファイバの中央からの1インチ(2.54cm)のセクションをウィンドウストリッパで剥ぎ取り、イソプロピルアルコールで拭いた。ウィンドウストリッパで処理されたファイバを、ファイバの固定に使用される10mm×5mmの長方形アルミニウムタブを備えた試料ホルダ/整列用ステージ上に、設置した。2つのタブは水平に配向され、また5mmの短い方の片が互いに対面して、5mmの空隙によって隔てられるように、位置決めされた。ウィンドウストリッパで処理されたファイバを、試料ホルダ上に、両方のタブを横切って、タブを隔てる空隙にわたって水平に配置した。ファイバの、ウィンドウストリッパで処理された領域の片側のコーティング済み端部は、一方のタブ上に位置決めされ、タブの間の5mmの空隙内に半分ほど延在する。ウィンドウストリッパで処理された1インチ(2.54cm)の領域は、空隙の残りの半分にわたって、反対側のタブを横断して延在する。整列後、試料を移動させ、各タブの、5mmの空隙に近い方の半分に、小さなドット状の接着剤を塗布した。その後、ファイバを所定の位置に戻し、接着剤がファイバに接触する瞬間まで、整列ステージを上昇させた。タブの間の5mmの空隙の大半が、ファイバの、ウィンドウストリッパで処理された領域によって占有されるように、コーティング済み端部を、接着剤を通過するように空隙から引き抜いた。ウィンドウストリッパで処理された領域の、反対側のタブ上に残っている一部分を、接着剤と接触させた。コーティング済みの端部のごく先端のみを、タブを越えてタブの間の空隙内へと延在したままとした。コーティング済みの端部のこの部分は、接着剤の中に埋め込まれず、その場弾性率の測定の対象となった。接着剤を、この構成のファイバ試料と共に乾燥させて、ファイバをタブに固定した。乾燥後、各タブに固定されたファイバの長さを5mmにトリミングした。接着剤中に埋め込まれたコーティング済みの長さ、埋め込まれていないコーティング済みの長さ(タブの間の空隙内へと延在している部分)、及び一次直径を測定した。
その場弾性率の測定は、Rheometrics DMTA IV動的機械的試験装置上で、9e-6 1/sの定歪みで、45分にわたって室温(21℃)で実施した。ゲージ長は15mmであった。力及び長さの変化を記録し、これらを用いて、一次コーティングのその場弾性率を計算した。クランプとファイバとが接触しないこと、及び試料がクランプにまっすぐに固定されることを保証するために、試験装置の15mmのクランプ留め長さと干渉するいずれのエポキシをタブから除去することによって、タブに設置された状態のファイバ試料を準備した。機器の力はゼロにした。ファイバのコーティングされていない端部が固定されたタブを、試験装置の下側のクランプ(測定プローブ)に設置し、ファイバのコーティング済み端部が固定された端部を、試験装置の上側の(固定された)クランプに設置する。続いて試験を実施し、分析が完了した後で試料を除去した。
二次コーティングのその場弾性率
二次コーティングに関して、その場弾性率を、ファイバ試料から準備したファイバチューブオフ試料を用いて測定した。0.0055インチ(0.1397mm)Millerストリッパーを、ファイバ試料の端部からおよそ1インチ(2.54cm)下にクランプ留めした。このファイバ試料の1インチ(2.54cm)の領域を液体窒素流中に浸漬して3秒間保持した。続いてファイバ試料を取り出し、迅速に剥離した。次にファイバ試料の剥離済みの端部を検査した。コーティングがファイバ試料のガラス部分上に残っている場合、チューブオフ試料を、欠陥があるものとみなし、新たなチューブオフを調製した。適切なチューブオフ試料は、ガラスからきれいに剥ぎ取られた、一次及び二次コーティングを有する中空チューブからなるものである。ガラス、一次コーティング、及び二次コーティングの直径は、剥離されていないファイバ試料の端面から測定した。
チューブオフ試料に対して、Rheometrics DMTA IV試験機器を試料ゲージ長11mmで使用して測定を実施し、二次コーティングのその場弾性率を得た。幅、厚さ、及び長さを決定し、試験機器の操作ソフトウェアに入力として提供した。試料を設置し、以下のパラメータを用いて、周囲温度(21℃)において時間掃引プログラムを用いて測定を実施した:
周波数:1Rad/秒
歪み:0.3%
合計時間=120秒
測定あたりの時間=1秒
初期静的力=15.0g
静的力は、動的力よりも10.0%だけ大きい
完了後、最後の5つのE’(貯蔵弾性率)データ点を平均した。各試料に対して3回の測定を実施し(測定毎に新たな試料を使用)、合計15個のデータ点を得た。これら3回の測定の平均値を報告した。
二次コーティングの耐穿刺性
耐穿刺性の測定を、ガラスファイバ、一次コーティング、及び二次コーティングを含む試料に対して実施した。ガラスファイバの直径は125μmであった。一次コーティングを、以下の表1に記載された基準一次コーティング組成物から形成した。以下に記載されているように、様々な二次コーティングを有する試料を調製した。一次コーティング及び二次コーティングの厚さを調整することによって、以下に記載されているように二次コーティングの断面積を変化させた。一次コーティングの厚さに対する二次コーティングの厚さの比は、全ての試料について約0.8に維持した。
耐穿刺性は、第52回International Wire & Cable Symposiumの会議録の237~245ページ(2003年)において公開された、G. Scott Glaesemann及びDonald A. Clarkによる文献「Quantifying the Puncture Resistance of Optical Fiber Coatings」に記載されている技法を用いて測定した。この方法の概要をここで提供する。この方法は、インデンテーション法である。長さ4cmの光ファイバを、厚さ3mmのガラススライド上に置いた。光ファイバの一方の端部を、光ファイバを制御下で回転させることができるデバイスに取り付けた。光ファイバを、透過について100倍の倍率で検査し、また光ファイバを、ガラススライドに対して平行な方向において二次コーティング厚さがガラスファイバの両側で等しくなるまで、回転させた。この位置では、二次コーティングの厚さは、ガラススライドに対して平行な方向において、光ファイバの両側で等しかった。ガラススライドに対して垂直な方向における、ガラスファイバの上方又は下方の二次コーティングの厚さは、ガラススライドに対して平行な方向における二次コーティングの厚さとは異なっていた。ガラススライドに対して平行な方向における厚さに比べて、ガラススライドに対して垂直な方向における厚さのうちの一方は大きく、ガラススライドに対して垂直な方向における厚さのうちのもう一方は小さかった。光ファイバの両端をガラススライドにテープで貼り付けることによって、光ファイバのこの位置を固定した。この位置は、インデンテーション試験に使用される光ファイバの位置である。
一般的な試験用機械(Instron model 5500R、又は同等のもの)を用いて、インデンテーションを実施した。倒立顕微鏡を、試験用機械のクロスヘッドの下に配置した。顕微鏡の対物レンズを、試験用機械内に設置された75°ダイヤモンドウェッジ圧子の真下に位置決めした。ファイバがテープで貼り付けられたガラススライドを、顕微鏡のステージ上に置き、圧子のウェッジの幅が光ファイバの方向と直交するように、圧子の真下に位置決めした。光ファイバを所定の位置に置いたまま、ダイヤモンドウェッジを、二次コーティングの表面に接触するまで下げた。次にダイヤモンドウェッジを、0.1mm/分の速度で二次コーティングの中へと押し込み、二次コーティングに対する荷重を測定した。二次コーティングに対する荷重は、ダイヤモンドウェッジが二次コーティングの中へと深く推押し込まれるにつれて、穿刺が発生するまで増大し、穿刺が発生した時点で、荷重の急激な低下が観察された。穿刺が観察されたインデンテーション荷重を記録した。これは本明細書では重量グラム(g)として報告され、また本明細書では「穿刺荷重(puncture load)」と呼ばれる。同一の配向の光ファイバを用いて実験を繰り返し、10個の測定点を得てこれらを平均し、この配向に関する穿刺荷重を決定した。10個の測定点の第2のセットを、光ファイバの配向を180°回転させて得た。
マクロベンド損失
マクロベンド損失を、規格IEC 60793‐1‐47で指定されているマンドレルラップ試験を用いて決定した。マンドレルラップ試験では、ファイバを、指定された直径を有する円筒状のマンドレルの周りに1回以上巻き、曲げを原因とする、指定された波長における減衰の増大を決定する。マンドレルラップ試験での減衰は、dB/ターンを単位として表現され、1ターンは、マンドレルの周りでのファイバの1周を意味する。直径15mm及び30mmのマンドレルを用いたマンドレルラップ試験で、以下に記載されている選択された実施例に関して、850nm及び1300nmの波長におけるマクロベンド損失を決定した。
全モード励振(OFL)帯域幅
全モード励振帯域幅を、規格ISO/IEC 11801及びANSI/TIA‐568‐C.3に記載されている手順に従って決定した。
減衰
指定された長さのマルチモード光ファイバを、25gの巻き付け張力を用いて測定用スプールの周りに巻き、指定された波長の光をファイバに入射させ、光時間領域反射率計(optical time domain reflectometry:OTDR)を用いて減衰を決定した。測定用スプール上のマルチモード光ファイバの、上側にある巻き及び下側にある巻きからの入射を用いた、別個の複数の測定を完了した。マルチモード光ファイバに沿った距離の関数としての減衰を測定し、マルチモード光ファイバに沿った2つの位置の間の平均勾配を決定した。これら2つの位置は、端部の影響を回避するために、マルチモード光ファイバの端部から十分に離して選択された。平均減衰は上記平均勾配に対応する。OTDRを用いて減衰を決定するために使用される方法は、IEC 61746‐2、「Calibration of optical time‐domain reflectometers (OTDR) ‐ Part 2: OTDR for multimode fibers」に記載されている。
基準一次コーティング
その場ガラス転移温度(T)及び耐穿刺性の測定において、測定試料は、ガラスファイバと二次コーティングとの間に一次コーティングを含んでいた。一次コーティング組成物は、表1に記載の配合を有し、また市販の一次コーティング組成物の典型である。
Figure 2022521899000018
ここで:オリゴマー材料は、モル比n:m:p=3.5:3.0:2.0を用いて、H12MDI、HEA、及びPPG4000から、本明細書に記載されているように調製され;SR504は、エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート(Sartomer製)であり;NVCは、N‐ビニルカプロラクタム(Aldrich製)であり;TPO(光開始剤)は、(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)‐ジフェニルホスフィンオキシド(BASF製)であり;Irganox 1035(抗酸化剤)は、ベンゼンプロパン酸、3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシチオジ‐2,1‐エタンジイルエステル(BASF製)であり;3‐アクリロキシプロピルトリメトキシシランは、接着促進剤(Gelest製)であり;ペンタエリスリトールテトラキス(3‐メルカプトプロピオネート)(テトラチオールとしても公知、Aldrich製)は、連鎖移動剤である。濃度の単位「pph」は、モノマー、オリゴマー、及び光開始剤の全てを含むベース組成物に対する量を表す。例えば、Irganox 1035に関する1.0pphの濃度は、オリゴマー材料、SR504、NVC、及びTPOの組み合わせ100gに対する、1gのIrganox 1035に相当する。
H12MDI(4,4’‐メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート))、ジブチルスズジラウレート、及び2,6‐ジ‐tert‐ブチル‐4メチルフェノールを、500mLフラスコ内で室温で混合することによって、オリゴマー材料を調製した。500mLフラスコは、温度計、塩化カルシウム管、及び撹拌装置を備えていた。フラスコの内容物を連続的に撹拌しながら、添加用ろうとを用いて、PPG4000を30~40分の期間にわたって添加した。PPG4000を添加する際に、反応混合物の内部温度を監視し、PPG4000の導入を制御して、(この反応の発熱性に起因する)過剰な発熱を防止した。PPG4000の添加後、反応混合物を、約70℃~75℃の油浴中で、約1~1.5時間加熱した。未反応のイソシアネート基の濃度を決定することによって反応の進行を監視するための、赤外線分光分析(infrared spectroscopy:FTIR)による分析のために、反応混合物の試料を様々な間隔で採取した。未反応のイソシアネート基の濃度は、2265cm-1付近の特徴的なイソシアネート伸縮モードの強度に基づいて評価した。フラスコを油浴から取り出し、その内容物を65℃未満まで冷却した。イソシアネート基の完全なクエンチを保証するために、補助的なHEAを添加した。補助的なHEAは、添加用漏斗を用いて2~5分間にわたって滴下された。補助的なHEAの添加後、フラスコを油浴に戻し、その内容物を、約70℃~75℃まで、約1~1.5時間再び加熱した。FTIR分析を反応混合物に対して実施して、イソシアネート基の存在を評価し、未反応のイソシアネート基を完全に反応させるために十分な、補助的なHEAが添加されるまで、このプロセスを繰り返した。評価可能なイソシアネート伸縮強度がFTIR測定において検出されない場合に、この反応は完了したとみなした。
二次コーティング‐組成物
1つの比較例の硬化性二次コーティング組成物(A)、並びに本開示の範囲内の3つの代表的な硬化性二次コーティング組成物(SB、SC、及びSD)を、表2に記載する。
Figure 2022521899000019
PE210はビスフェノール‐Aエポキシジアクリレート(Miwon Specialty Chemical(韓国)製)であり;M240はエトキシ化(4)ビスフェノール‐Aジアクリレート(Miwon Specialty Chemical(韓国)製)であり;M2300はエトキシ化(30)ビスフェノール‐Aジアクリレート(Miwon Specialty Chemical(韓国)製)であり;M3130はエトキシ化(3)トリメチロールプロパントリアクリレート(Miwon Specialty Chemical(韓国)製)であり;TPO(光開始剤)は(2,4,6‐トリメチルベンゾイル)ジフェニルホスフィンオキシド(BASF製)であり;Irgacure 184(光開始剤)は1‐ヒドロキシシクロヘキシル‐フェニルケトン(BASF製)であり;Irganox 1035(抗酸化剤)はベンゼンプロパン酸、3,5‐ビス(1,1‐ジメチルエチル)‐4‐ヒドロキシチオジ‐2,1‐エタンジイルエステル(BASF製)である。DC190(スリップ剤)は、シリコーン‐エチレンオキシド/プロピレンオキシドコポリマー(Dow Chemical製)である。濃度の単位「pph」は、モノマー、オリゴマー、及び光開始剤の全てを含むベース組成物に対する量を表す。例えば二次コーティング組成物Aについて、DC‐190に関する1.0pphの濃度は、PE210、M240、M2300、TPO、及びIrgacure 184の組み合わせ100gに対する、1gのDC‐190に相当する。
二次コーティング‐引張特性
二次コーティング組成物A、SB、SC、及びSDから作製された二次コーティングの、ヤング率、降伏時の引張強さ、降伏強さ、及び降伏時の伸びを、上述の技法を用いて測定した。結果を表3にまとめる。
Figure 2022521899000020
結果は、組成物SB、SC、及びSDから調製された二次コーティングが、比較例の組成物Aから調製された二次コーティングに比べて、高いヤング率及び高い降伏強さを示したことを示している。これらの高い値は、本明細書に記載の硬化性コーティング組成物のために調製された二次コーティングを、小径マルチモード光ファイバに更に適したものとするような、改善を表す。より具体的には、これらの高い値により、性能を犠牲にすることなく、より薄い二次コーティングをマルチモード光ファイバに使用できる。二次コーティングが薄くなると、光ファイバの全体的な直径が削減され、ある所与の断面積のケーブル内のファイバの数が増大する。
本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物からの硬化産物として調製される二次コーティングのヤング率及び/又はその場弾性率は、1600MPa超、又は1800MPa超、又は2000MPa超、又は2200MPa超、又は2500MPa超、又は2600MPa超、又は2700MPa超、又は1600MPa~3000MPa、又は1800MPa~2800MPa、又は2000MPa~2800MPa、又は2400MPa~2800MPaである。
本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物からの硬化産物として調製される二次コーティングの降伏強さは、55MPa超、又は60MPa超、又は65MPa超、又は70MPa超、又は55MPa~75MPa、又は60MPa~70MPaである。
ある実施形態では、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物から調製される二次コーティングは、2200MPa超のヤング率及び/又はその場弾性率、及び55MPa超の降伏強さを有する。別の実施形態では、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物から調製される二次コーティングは、2500MPa超のヤング率及び/又はその場弾性率、及び60MPa超の降伏強さを有する。更なる実施形態では、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物から調製される二次コーティングは、2600MPa超のヤング率及び/又はその場弾性率、及び65MPa超の降伏強さを有する。
二次コーティング‐特性‐その場ガラス転移温度(T
2つのファイバ試料のその場ガラス転移温度を決定した。各ファイバ試料は、直径125μmのガラスファイバと、(上記ガラスファイバと直接接触するように形成された、厚さ32.5μmの)上述の基準一次コーティングとを含んでいた。一方のファイバ試料は、比較例の硬化性二次コーティング組成物Aから形成された二次コーティングを含み、もう一方のファイバ試料は、硬化性二次コーティング組成物SDから形成された二次コーティングを含んでいた。各二次コーティング組成物は、基準一次コーティングと直接接触しており、26.0μmの厚さを有していた。
これら2つのファイバ試料のガラス転移温度を、上述の手順に従って測定した。結果は:(1)基準一次コーティングのその場ガラス転移温度が、両方のファイバ試料においておよそ-50℃であること;(2)比較例の硬化性二次コーティング組成物Aから形成された二次コーティングのその場ガラス転移温度が、約74℃であること;及び(3)硬化性二次コーティング組成物SDから形成された二次コーティングのその場ガラス転移温度が、約113℃であることを示した。本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物から形成された二次コーティングに関して、有意に高いその場ガラス転移温度が観察される。その場ガラス転移温度が高いと、スプライシング及びコネクタ接続の用途での使用中の、ガラスファイバからのコーティングの剥離が容易になるため、有利である。
本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成される二次コーティングのその場ガラス転移温度は、80℃超、又は90℃超、又は100℃超、又は110℃超、又は80℃超かつ125℃まで、又は85℃超かつ120℃まで、又は90℃超かつ~110℃までである。
二次コーティング‐特性‐耐穿刺性
比較例の硬化性二次コーティング組成物A;独自の組成を有する、販売業者(DSM Desotech)からの市販の硬化性二次コーティング組成物(CPC6e);及び硬化性二次コーティング組成物SDから作製された、二次コーティングの耐穿刺性を、上述の方法に従って決定した。上記3つの二次コーティングそれぞれを有する複数のファイバ試料を調製した。各ファイバ試料は、直径125μmのガラスファイバと、表1に記載の基準一次コーティング組成物から形成された一次コーティングと、上記二次コーティングのうちの1つとを含んでいた。一次コーティング及び二次コーティングの厚さを調整することによって、図6に示されているように二次コーティングの断面積を変化させた。一次コーティングの厚さに対する二次コーティングの厚さの比は、全ての試料について約0.8に維持した。
二次コーティングの厚さに対する穿刺荷重の依存度を決定するために、各二次コーティングについて、ある範囲の厚さを有するファイバ試料を調製した。ケーブル内のファイバ数を増やすための1つの戦略は、二次コーティングの厚さを削減することである。しかしながら、二次コーティングの厚さを削減すると、その性能が低下し、その保護機能が損なわれる。耐穿刺性は、二次コーティングの保護機能の尺度である。高い耐穿刺性を有する二次コーティングは、より強い衝撃に、破損することなく耐え、ガラスファイバにより良好な保護を提供する。
これら3つのコーティングに関する、断面積の関数としての穿刺荷重を、図6に示す。二次コーティングの穿刺荷重と断面積と略線形の相関関係が観察されたため、断面積が、穿刺荷重を報告するためのパラメータとして選択される。トレース72、74、及び76は、それぞれ従来のCPC6e二次コーティング組成物、比較例の硬化性二次コーティング組成物A、及び硬化性二次コーティング組成物SDを硬化させることによって得られる二次コーティングに関する、断面積に対する穿刺荷重の略線形の依存度を示す。垂直な破線は、10000μm、15000μm、及び20000μmの断面積を示すガイドとして提供されている。
トレース72が示すCPC6e二次コーティングは、当該技術分野で公知の従来の二次コーティングに対応する。トレース74が示す比較例の二次コーティングAは、大きな断面積に関する穿刺荷重の改善を示す。しかしながらこの改善は、断面積が小さくなると減少する。これは、比較例の硬化性二次コーティング組成物Aからの硬化産物として得られる二次コーティングが、直径が小さくファイバ数が多い用途には好適でない可能性があることを示している。対照的に、トレース76は、硬化性二次コーティング組成物SDからの硬化産物として得られる二次コーティングに関する、穿刺荷重の有意な増大を示す。例えば7000μmの断面積における、硬化性二次コーティング組成物SDから得られる二次コーティングの穿刺荷重は、他の2つの二次コーティングのいずれの穿刺荷重より50%以上大きい。
10000μmの断面積における、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成される二次コーティングの穿刺荷重は、36g超、又は40g超、又は44g超、又は48g超、又は36g~52g、又は40g~48gである。15000μmの断面積における、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成される二次コーティングの穿刺荷重は、56g超、又は60g超、又は64g超、又は68g超、又は56g~72g、又は60g~68gである。20000μmの断面積における、本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成される二次コーティングの穿刺荷重は、68g超、又は72g超、又は76g超、又は80g超、又は68g~92g、又は72g~88gである。実施形態は、上述の穿刺荷重のいずれの組み合わせを有する二次コーティングを含む。
本明細書中で使用される場合、「正規化穿刺荷重(normalized puncture load)」は、断面積に対する穿刺荷重の比を指す。本明細書で開示される硬化性二次コーティング組成物の硬化産物として形成される二次コーティングの穿刺荷重は、3.2×10-3g/μm超、又は3.6×10-3g/μm超、又は4.0×10-3g/μm超、又は4.4×10-3g/μm超、又は4.8×10-3g/μm超、又は3.2×10-3g/μm~5.6×10-3g/μm、又は3.6×10-3g/μm~5.2×10-3g/μm、又は4.0×10-3g/μm~4.8×10-3g/μmの正規化穿刺荷重を有する。
コーティング‐モデル化された結果
本明細書で開示される実験例及び原理は、モル数n、m、及びpを変化させることによって、オリゴマー中の二付加体化合物の相対量、及び一次コーティング組成物から形成される硬化済みフィルムの特性を、ヤング率及びその場弾性率に関して本明細書で明記した範囲を含む広い範囲にわたって、制御できることを示している。同様に、2次コーティング組成物中の異なる複数のモノマーのタイプ及び濃度を変化させると、本明細書で開示されている範囲にわたるヤング率の変化につながる。硬化用線量は、本明細書で開示される硬化性組成物から形成される一次及び二次コーティングの弾性率を変化させるために使用できる、別のパラメータである。
ガラスファイバに対する半径方向の力の伝達に対する、一次及び二次コーティングの厚さ及び弾性率の影響を調査するために、一連のモデル化された実施例を検討した。このモデルでは、半径方向外部荷重Pを、光ファイバの二次コーティングの表面に印加し、その結果として得られる、ガラスファイバの表面における荷重を計算した。ガラスファイバは、(シリカガラスと一致する)73.1GPaのヤング率、及び125μmの直径を用いてモデル化した。一次及び二次コーティングのポアソン比ν及びνは、それぞれ0.48及び0.33に固定された。比較例の試料C1と、本開示による6つの試料M1~M6とを検討した。比較例の試料は、当該技術分野で公知の光ファイバと一致する厚さ及び弾性率を有する一次及び二次コーティングを含んでいた。試料M1~M6は、一次及び二次コーティングの厚さが削減された実施例である。一次及び二次コーティングの構成を記述するパラメータを表4にまとめる。
Figure 2022521899000021
表5は、二次コーティングの表面に印加された荷重Pの関数としての、ガラスファイバの外面における荷重P1をまとめたものである。比P1/Pは、本明細書では荷重伝達パラメータ(load transfer parameter)と呼ばれ、外部荷重のPの、一次及び二次コーティングを通ってガラスファイバの表面へと伝達される割合に相当する。荷重Pは半径方向の荷重であり、荷重伝達パラメータP1/Pは、式(7)~(9)に基づくモデルから計算された:
Figure 2022521899000022
ただし
Figure 2022521899000023
及び
Figure 2022521899000024
式(7)~(9)では、ν及びνは、一次及び二次コーティングのポアソン比であり、rはガラスファイバの外半径であり、rは一次コーティングの外半径であり、rは二次コーティングの外半径であり、Eは一次コーティングのその場弾性率であり、Eは二次コーティングのヤング率である。表5のスケーリングされた荷重伝達パラメータP1/P(scaled)は、比較例の試料C1のP1/Pに対する各試料のP1/Pの比に対応する。
Figure 2022521899000025
モデル化された実施例は、本明細書に記載の一次及び二次コーティングを有する光ファイバが、コーティング厚さが小さいにも関わらず、従来の厚さの従来の一次及び二次コーティングを有する比較例の光ファイバに比べて、ガラスファイバが受ける力の減少を示すことを示している。ここで得られる、本明細書に記載の光ファイバの全体のサイズの削減により、外力によって引き起こされるガラスファイバの損傷のリスクを上昇させることなく、ある所与のサイズのケーブル内のファイバ数を増やす(又はある所与のファイバ数に対するケーブル直径を小さくする)ことができる。
二次コーティングのスケーリングされた荷重伝達パラメータP1/P(scaled)は、0.99未満、又は0.97未満、又は0.95未満である。二次コーティングの荷重伝達パラメータP/Pは、0.0200未満、又は0.0180未満、又は0.0178未満、又は0.0176未満、又は0.0174未満、又は0.0172未満、又は0.0170未満、又は0.0168未満、又は0.0160~0.0180、又は0.0162~0.0179、又は0.0164~0.0178、又は0.0166~0.0177、又は0.0168~0.0176である。
マルチモード光ファイバ
複数の代表的なマルチモード光ファイバの構成を、以下の表6~9に示し、実施例1~17として標識する。表6~9には:ガラスファイバの半径r;一次コーティングのその場弾性率、厚さ、及び半径r;並びに二次コーティングのその場弾性率、厚さ、及び半径rが記載されている。記載されている弾性率を有する一次及び二次コーティングは、本明細書に記載の硬化性一次及び二次コーティング組成物から得ることができる。これらの実施例のうちのいくつかは、三次コーティングを含む。三次コーティングは、二次コーティングと同一のその場弾性率を有する。表6~9には、一次コーティングに関するばね定数χも記載されている。ばね定数χは、式(10):
Figure 2022521899000026
から算出され、ここでEは一次コーティングのその場弾性率であり、tは一次コーティングの厚さであり、dはガラスファイバの直径2rである。ばね定数は、一次コーティングがガラスファイバに対する二次コーティングの結合を軽減する程度を記述する、現象論的パラメータである。(J. Baldauf et al., “Relationship of Mechanical Characteristics of Dual Coated Single Mode Optical Fibers and Microbending Loss”, IEICE Transactions on Communications, Vol. E76‐B, No. 4, pp. 352‐357 (1993)を参照。)現象論的モデルでは、一次コーティングの緩衝効果を、式(10)で与えられるばね定数を有するばねとしてモデル化する。低いばね定数は、マイクロベンドに対する高い耐性につながる。マイクロベンドに対する一次コーティングの耐性を確立するにあたってのその場弾性率と厚さとのトレードオフは、ばね定数に反映される。
従来の光ファイバは、およそ62.5μmの半径rと、(三次コーティングを備えない実施形態では)およそ121μmの外半径r又は(三次コーティングを備える実施形態では)およそ125μmの外半径rとを有する、ガラスファイバを有する。表6及び7には、40μmの半径rを有するガラスファイバと、様々な厚さの一次コーティング、二次コーティング、及び任意の三次コーティングとを有する、代表的なマルチモードファイバが記載されている。表8及び9には、約31μmの半径rを有するガラスファイバと、様々な厚さの一次コーティング、二次コーティング、及び任意の三次コーティングとを有する、代表的なマルチモードファイバが記載されている。表6の代表的なマルチモードファイバはそれぞれ、82.5μmの外半径(r又はr)を有する。表7の代表的なマルチモードファイバはそれぞれ、100μm又は104μmの外半径(r又はr)を有する。表8の代表的なマルチモードファイバはそれぞれ、60μm~67.5μmの外半径(r又はr)を有する。表9の代表的なマルチモードファイバはそれぞれ、60μm以下の外半径(r又はr)を有する。代表的なマルチモードファイバは全て、従来のファイバに比べて削減された外径を有し、また全て、従来の直径を有するファイバに匹敵する、又はそれより良好な、マイクロベンド耐性を示す。ガラスファイバの半径rは、表6及び7に示されている実施例に関して同一である。表7に示されている実施例は、表6に示されている実施例より厚い一次コーティングを有し、従来のマルチモード光ファイバの外半径より小さな全体としての外半径を有するマルチモード光ファイバに関して、どのようにして低いばね定数を達成できるかを例示している。表6~9では、Eは一次コーティングのその場弾性率であり、Eは二次コーティングのその場弾性率である。三次コーティングのその場弾性率は、二次コーティングのその場弾性率と同一である。
Figure 2022521899000027
Figure 2022521899000028
Figure 2022521899000029
Figure 2022521899000030
ばね定数χの好ましい値は、1.80MPa未満、又は1.60MPa未満、又は1.30MPa未満、又は1.00MPa未満、又は0.80MPa未満、又は0.70MPa未満、又は0.60MPa未満、又は0.50MPa~1.80MPa、又は0.50MPa~1.50MPa、又は0.55MPa~1.20MPa、又は0.60MPa~1.00MPaである。
表10は、表8及び9に記載されている代表的なマルチモード光ファイバに関する、荷重伝達パラメータ及びスケーリングされた荷重伝達パラメータの測定値をまとめたものである。荷重伝達パラメータの決定に用いた手順は、表5に関連して上述した通りである。
Figure 2022521899000031
表10の結果は、実施例10~17の半径r及び外半径r又はrがはるかに小さくても、荷重伝達パラメータが好ましいままであり、また比較例の試料C1の荷重伝達パラメータに匹敵するものとなることを示している。
表6~9には、複数の代表的なマルチモード光ファイバに関する、ガラスファイバの外半径r及びコーティング特性が記載されている。表11~14は、代表的なガラスファイバのコア領域及びクラッド領域の寸法及び特性を示す。表15~18は、選択された実施例に関する、全モード励振(OFL)帯域幅、マクロベンド損失、減衰、開口数、及び最小実効モード帯域幅(minEMB)のデータを示す。表15には、850nm及び1300nmにおける全モード励振(OFL)帯域幅、並びに15mm及び30mmのマンドレル直径についての850nm及び1300nmにおけるマクロベンド損失が、実施例18~22に関して示されている。開口数及びminEMBを、表12~14に記載された一連の実施例に関して決定し、表16~18に示す。開口数は、TIA SP3‐2839‐URV2 FOTP‐177 IEC‐60793‐1‐43、タイトル「Measurement Methods and Test Procedures ‐ Numerical Aperture」に記載された方法を用いて、850nmの波長で測定された。表11~14に示されている実施例の相対屈折率プロファイルは、図5に示されているタイプのものであった。コア領域の相対屈折率は、αプロファイルであった。内側クラッド領域、屈折率抑制クラッド領域、及び外側クラッド領域は、おおよそ一定の値の相対屈折率を有していた。実施例18、19、及び22の、測定された相対屈折率プロファイルを、図7~9に示す(IFA‐100 Refractive Index Profilerを用いて測定)。
Figure 2022521899000032
Figure 2022521899000033
Figure 2022521899000034
Figure 2022521899000035
Figure 2022521899000036
本明細書に記載のガラスファイバ及びコーティングを有するマルチモード光ファイバは、850nm又は1300nmの波長において200MHz・km超、又は500MHz・km超、又は1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は3000MHz・km超、又は3500MHz・km超、又は200MHz・km~10000MHz・km、又は500MHz・km~7000MHz・km、又は1000MHz・km~5000MHz・kmの全モード励振(OFL)帯域幅を有する。
実施例21及び実施例22の減衰を、光時間領域反射率計(optical time domain reflectometry:OTDR)によって決定した。実施例22に関して、代表的なプロットを図10及び11に示す。各図において、OTDRトレースは、マルチモード光ファイバに沿った位置の関数としての減衰を示す。マルチモード光ファイバに沿った位置は、マルチモード光ファイバの入射開始端部(位置=0m)から反対側の端部(位置=2000m(実施例21)又は5800m(実施例22))までで測定した。図10は、850nmにおける、実施例22の5800mの長さのマルチモード光ファイバの減衰を示す。1000mの位置と5000mの位置との間のOTDRトレースの平均勾配は、およそ3.25dB/kmであった。図11は、1300nmにおける、実施例22の5800mの長さのマルチモード光ファイバの減衰を示す。500mの位置と1500mの位置との間のOTDRトレースの平均勾配は、およそ1.5dB/kmであった。実施例21の2000mの長さのマルチモード光ファイバに対して実施した同様の測定により、850nm及び1300における500mの位置と1500mの位置との間のOTDRトレースの平均勾配が、それぞれおよそ5.0dB/km、及びおよそ4.0dB/kmであることが示された。
850nmにおける、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバの、OTDRで決定される平均減衰は、10.0dB/km未満、又は8.0dB/km未満、又は6.0dB/km未満、又は4.0dB/km未満、又は2.0dB/km~10.0dB/km、又は3.0dB/km~8.0dB/kmである。
1300nmにおける、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバの、OTDRで決定される平均減衰は、8.0dB/km未満、又は6.0dB/km未満、又は4.0dB/km未満、又は2.0dB/km未満、又は1.0dB/km~8.0dB/km、又は2.0dB/km~6.0dB/kmである。
図12は、700nm~1400nmの波長の関数としての、実施例21のマルチモード光ファイバのマクロベンド損失を示す。マクロベンド損失は、15mmの直径を有する円筒状マンドレルの周りの、2周のマルチモード光ファイバを用いる、マンドレルラップ試験によって決定した。1300nmにおけるマクロベンド損失は約0.15dB/ターンであることが観察され、また850nmにおけるマクロベンド損失は約0.06dB/ターンであることが観察された。
直径15mmのマンドレルについて850nmにおいてマンドレルラップ試験で決定される、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバのマクロベンド損失は、0.15dB/ターン未満、又は0.12dB/ターン未満、又は0.10dB/ターン未満、又は0.08dB/ターン未満、又は0.05dB/ターン~0.15dB/ターン、又は0.07dB/ターン~0.12dB/ターンである。
直径30mmのマンドレルについて850nmにおいてマンドレルラップ試験で決定される、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバのマクロベンド損失は、0.07dB/ターン未満、又は0.05dB/ターン未満、又は0.03dB/ターン未満、又は0.02dB/ターン未満、又は0.005dB/ターン~0.07dB/ターン、又は0.01dB/ターン~0.05dB/ターンである。
直径15mmのマンドレルについて1300nmにおいてマンドレルラップ試験で決定される、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバのマクロベンド損失は、0.30dB/ターン未満、又は0.25dB/ターン未満、又は0.20dB/ターン未満、又は0.16dB/ターン未満、又は0.10dB/ターン~0.30dB/ターン、又は0.15dB/ターン~0.25dB/ターンである。
直径30mmのマンドレルについて1300nmにおいてマンドレルラップ試験で決定される、本明細書で開示されるマルチモード光ファイバのマクロベンド損失は、0.12dB/ターン未満、又は0.10dB/ターン未満、又は0.08dB/ターン未満、又は0.06dB/ターン未満、又は0.03dB/ターン~0.12dB/ターン、又は0.05dB/ターン~0.10dB/ターンである。
表16~18には、表12~14で提示された代表的なマルチモード光ファイバに関する、開口数及びminEMBの結果が記載されている。
Figure 2022521899000037
Figure 2022521899000038
Figure 2022521899000039
表16~18のデータは、実施例23~29が840nm~960nmにおいてminEMBのピーク値を有する一方で、実施例30~34が1000nm超においてminEMBのピーク値を有することを示す。
マルチモード光ファイバは、0.18超、又は0.20超、又は0.18~0.22の、850nmにおける開口数を有する。
マルチモード光ファイバは、1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は4700MHz・km超、又は6000MHz・km超、又は10000MHz・km超、又は1000MHz・km~15000MHz・km、又は2000MHz・km~12000MHz・km、又は4700MHz・km~10000MHz・kmの、850nmにおける最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する。
マルチモード光ファイバは、1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は4700MHz・km超、又は6000MHz・km超、又は10000MHz・km、又は1000MHz・km~15000MHz・km、又は2000MHz・km~12000MHz・km、又は4700MHz・km~10000MHz・kmの、900nmにおける最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する。
マルチモード光ファイバは、1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は4700MHz・km超、又は6000MHz・km超、又は10000MHz・km、又は1000MHz・km~15000MHz・km、又は2000MHz・km~12000MHz・km、又は4700MHz・km~10000MHz・kmの、953nmにおける最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する。
マルチモード光ファイバは、1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は4700MHz・km超、又は6000MHz・km超、又は10000MHz・km超、又は1000MHz・km~15000MHz・km、又は2000MHz・km~12000MHz・km、又は4700MHz・km~10000MHz・kmの、1064nmにおける最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する。
マルチモード光ファイバは、1000MHz・km超、又は2000MHz・km超、又は4700MHz・km超、又は6000MHz・km超、又は10000MHz・km、又は1000MHz・km~15000MHz・km、又は2000MHz・km~12000MHz・km、又は4700MHz・km~10000MHz・kmの、1300nmにおける最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する。
本記載の第1項は:
17.5μm~32.5μmの半径rを有するコア領域と、50.0μm以下の半径rを有するクラッド領域とを含む、マルチモードガラスファイバ;
上記クラッド領域を取り囲み、上記クラッド領域に直接隣接する、半径rを有する一次コーティングであって、30.0μm以下の厚さr-rと、0.30MPa未満のその場弾性率とを有する、一次コーティング;及び
上記一次コーティングを取り囲み、上記一次コーティングに直接隣接する、100.0μm以下の半径rを有する二次コーティングであって、30.0μm未満の厚さr-rと、3.6×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重とを有する、二次コーティング
を備える、光ファイバであって、
上記光ファイバは、850nm又は1300nmの波長において500MHz・km超の全モード励振(OFL)帯域幅を有する、光ファイバを開示する。
本記載の第2項は:
上記半径rが17.5μm~27.5μmである、第1項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第3項は:
上記コア領域が、αが1.90~2.30のαプロファイルによって記述される相対屈折率Δを有する、第1項又は第2項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第4項は:
上記相対屈折率Δが0.50%~1.40%の最大Δ1maxを有する、第3項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第5項は:
上記半径rが45.0μm以下である、第1~4項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第6項は:
上記半径rが40.0μm以下である、第1~4項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第7項は:
上記クラッド領域が:
半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、内側クラッド領域;
半径rと、最小相対屈折率Δ3minが-0.10%~-0.80%である相対屈折率Δとを有する、屈折率抑制クラッド領域;及び
上記半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、外側クラッド領域
を備える、第1~6項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第8項は:
上記内側クラッド領域の上記厚さr-rが0.3μm~6.0μmである、第7項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第9項は:
上記屈折率抑制クラッド領域の上記厚さr-rが1.0μm~8.0μmである、第7項又は第8項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第10項は:
上記半径rが75.0μm以下である、第1~9項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第11項は:
上記半径rが65.0μm以下である、第1~9項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第12項は:
上記厚さr-rが25.0μm以下である、第1~11項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第13項は:
上記一次コーティングが、0.20MPa未満のその場弾性率を有する、第1~12項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第14項は:
上記一次コーティングが、以下の式:
Figure 2022521899000040
を有する分子式を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と、以下の式:
Figure 2022521899000041
を有する二付加体化合物とを含む、一次コーティング組成物の硬化産物であり、ここでR、R、及びRがアルキレン基を含む、第1~13項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第15項は:
上記半径rが85.0μm以下である、第1~14項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第16項は:
上記半径rが45.0μm以下である、第15項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第17項は:
上記厚さr-rが30.0μm以下である、第1~16項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第18項は:
上記厚さr-rが25.0μm以下である、第17項に記載の光ファイバを開示する。
本記載の第19項は:
上記二次コーティングが4.0×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、第1~18項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第20項は:
上記二次コーティングが4.4×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、第1~18項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第21項は:
上記二次コーティングが4.8×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、第1~18項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第22項は:
上記二次コーティングが、0.97未満の、スケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(scaled)を有する、第1~21項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第23項は:
上記二次コーティングが0.0178未満の荷重伝達パラメータP/Pを有する、第1~21項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第24項は:
上記二次コーティングが、2.0重量%~25重量%の量のトリアクリレートモノマーを含む二次コーティング組成物の硬化産物であり、上記トリアクリレートモノマーが、アルコキシ化度2~16のアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、又はトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む、第1~23項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第25項は:
上記二次コーティングが、1600MPa超のヤング率を有する、第1~24項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第26項は:
上記光ファイバが、850nmにおいて0.160超の開口数を有する、第1~25項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第27項は:
上記光ファイバが、850nmにおいて0.180超の開口数を有する、第1~25項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第28項は:
上記光ファイバが、850nm、953nm、980nm、1064nm、及び1300nmからなる群から選択される1つ以上の波長において、1000MHz・km超の最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する、第1~27項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第29項は:
上記光ファイバが、850nm、953nm、980nm、1064nm、及び1300nmからなる群から選択される1つ以上の波長において、2000MHz・km超の最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する、第1~27項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第30項は:
上記光ファイバが、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.12dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第31項は:
上記光ファイバが、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.08dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第32項は:
上記光ファイバが、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.05dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第33項は:
上記光ファイバが、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.03dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第34項は:
上記光ファイバが、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.25dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第35項は:
上記光ファイバが、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.20dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第36項は:
上記光ファイバが、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.10dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第37項は:
上記光ファイバが、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.06dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第38項は:
上記光ファイバが、OTDRによって測定される、10.0dB/km未満の、850nmにおける平均減衰を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第39項は:
上記光ファイバが、OTDRによって測定される、6.0dB/km未満の、850nmにおける平均減衰を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第40項は:
上記光ファイバが、OTDRによって測定される、8.0dB/km未満の、1300nmにおける平均減衰を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
本記載の第41項は:
上記光ファイバが、OTDRによって測定される、4.0dB/km未満の、1300nmにおける平均減衰を有する、第1~29項のいずれか1つに記載の光ファイバを開示する。
そうでないことがはっきりと言明されていない限り、本明細書に記載のいずれの方法が、その複数のステップをある具体的な順序で実施することを要求するものとして解釈されることは、全く意図されていない。従って、方法クレームが、その複数のステップが従うべき順序を実際に記載していない場合、又はそうでなくても、請求項若しくは本説明中に、上記複数のステップがある具体的な順序に限定されることが具体的に言明されていない場合、いずれの特定の順序が推定されることは全く意図されていない。
本発明の精神又は範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変形を実施できることは、当業者には明らかであろう。本発明の精神及び実質が組み込まれた、本開示の実施形態の修正、組み合わせ、部分的組み合わせ及び変形は、当業者に想起され得るため、本発明は、添付の請求項及びその均等物の範囲内の全てを含むものとして解釈されるものとする。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
17.5μm~32.5μmの半径rを有するコア領域と、50.0μm以下の半径rを有するクラッド領域とを含む、マルチモードガラスファイバ;
上記クラッド領域を取り囲み、上記クラッド領域に直接隣接する、半径rを有する一次コーティングであって、30.0μm以下の厚さr-rと、0.30MPa未満のその場弾性率とを有する、一次コーティング;及び
上記一次コーティングを取り囲み、上記一次コーティングに直接隣接する、100.0μm以下の半径rを有する二次コーティングであって、30.0μm未満の厚さr-rと、3.6×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重とを有する、二次コーティング
を備える、光ファイバであって、
上記光ファイバは、850nm又は1300nmの波長において500MHz・km超の全モード励振(OFL)帯域幅を有する、光ファイバ。
実施形態2
上記半径rは17.5μm~27.5μmである、実施形態1に記載の光ファイバ。
実施形態3
上記コア領域は、αが1.90~2.30のαプロファイルによって記述される相対屈折率Δを有する、実施形態1又は2に記載の光ファイバ。
実施形態4
上記相対屈折率Δは0.50%~1.40%の最大Δ1maxを有する、実施形態3に記載の光ファイバ。
実施形態5
上記半径rは45.0μm以下である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態6
上記半径rは40.0μm以下である、実施形態1~4のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態7
上記クラッド領域は:
半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、内側クラッド領域;
半径rと、最小相対屈折率Δ3minは-0.10%~-0.80%である相対屈折率Δとを有する、屈折率抑制クラッド領域;及び
上記半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、外側クラッド領域
を備える、実施形態1~6のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態8
上記内側クラッド領域の上記厚さr-rは0.3μm~6.0μmである、実施形態7に記載の光ファイバ。
実施形態9
上記屈折率抑制クラッド領域の上記厚さr-rは1.0μm~8.0μmである、実施形態7又は8に記載の光ファイバ。
実施形態10
上記半径rは75.0μm以下である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態11
上記半径rは65.0μm以下である、実施形態1~9のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態12
上記厚さr-rは25.0μm以下である、実施形態1~11のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態13
上記一次コーティングは、0.20MPa未満のその場弾性率を有する、実施形態1~12のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態14
上記一次コーティングは、以下の式:
Figure 2022521899000042
を有する分子式を有するポリエーテルウレタンジアクリレート化合物と、以下の式:
Figure 2022521899000043
を有する二付加体化合物とを含む、一次コーティング組成物の硬化産物であり、ここでR、R、及びRはアルキレン基を含む、実施形態1~13のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態15
上記半径rは85.0μm以下である、実施形態1~14のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態16
上記半径rは45.0μm以下である、実施形態15に記載の光ファイバ。
実施形態17
上記厚さr-rは30.0μm以下である、実施形態1~16のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態18
上記厚さr-rは25.0μm以下である、実施形態17に記載の光ファイバ。
実施形態19
上記二次コーティングは4.0×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態20
上記二次コーティングは4.4×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態21
上記二次コーティングは4.8×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、実施形態1~18のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態22
上記二次コーティングは、0.97未満の、スケーリングされた荷重伝達パラメータP/P(scaled)を有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態23
上記二次コーティングは0.0178未満の荷重伝達パラメータP/Pを有する、実施形態1~21のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態24
上記二次コーティングは、2.0重量%~25重量%の量のトリアクリレートモノマーを含む二次コーティング組成物の硬化産物であり、上記トリアクリレートモノマーは、アルコキシ化度2~16のアルコキシ化トリメチロールプロパントリアクリレートモノマー、又はトリス[(アクリロイルオキシ)アルキル]イソシアヌレートモノマーを含む、実施形態1~23のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態25
上記二次コーティングは、1600MPa超のヤング率を有する、実施形態1~24のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態26
上記光ファイバは、850nmにおいて0.160超の開口数を有する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態27
上記光ファイバは、850nmにおいて0.180超の開口数を有する、実施形態1~25のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態28
上記光ファイバは、850nm、953nm、980nm、1064nm、及び1300nmからなる群から選択される1つ以上の波長において、1000MHz・km超の最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態29
上記光ファイバは、850nm、953nm、980nm、1064nm、及び1300nmからなる群から選択される1つ以上の波長において、2000MHz・km超の最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する、実施形態1~27のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態30
上記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.12dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態31
上記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.08dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態32
上記光ファイバは、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.05dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態33
上記光ファイバは、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.03dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態34
上記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.25dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態35
上記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.20dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態36
上記光ファイバは、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.10dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態37
上記光ファイバは、直径30mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.06dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態38
上記光ファイバは、OTDRによって測定される、10.0dB/km未満の、850nmにおける平均減衰を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態39
上記光ファイバは、OTDRによって測定される、6.0dB/km未満の、850nmにおける平均減衰を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態40
上記光ファイバは、OTDRによって測定される、8.0dB/km未満の、1300nmにおける平均減衰を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
実施形態41
上記光ファイバは、OTDRによって測定される、4.0dB/km未満の、1300nmにおける平均減衰を有する、実施形態1~29のいずれか1つに記載の光ファイバ。
10 光ファイバ
11 ガラスファイバ
12 コア領域
14 クラッド領域
16 一次コーティング
18 二次コーティング
20 光ファイバ
30 光ファイバリボン
32 マトリクス、リボンマトリクス
40 光ファイバケーブル
42 ジャケット
44 ジャケット42の内面
46 光ファイバ
48 コア領域
50 クラッド領域
51 内側クラッド領域
53 屈折率抑制クラッド領域
55 外側クラッド領域
56 一次コーティング
58 二次コーティング
60 ガラスファイバ
62、64 遷移領域
67 屈折率抑制クラッド領域の深さ

Claims (10)

  1. 17.5μm~32.5μmの半径rを有するコア領域と、50.0μm以下の半径rを有するクラッド領域とを含む、マルチモードガラスファイバ;
    前記クラッド領域を取り囲み、前記クラッド領域に直接隣接する、半径rを有する一次コーティングであって、25.0μm以下の厚さr-rと、0.30MPa未満のその場弾性率とを有する、一次コーティング;及び
    前記一次コーティングを取り囲み、前記一次コーティングに直接隣接する、100.0μm以下の半径rを有する二次コーティングであって、30.0μm未満の厚さr-rと、3.6×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重とを有する、二次コーティング
    を備える、光ファイバであって、
    前記光ファイバは、850nm又は1300nmの波長において500MHz・km超の全モード励振(OFL)帯域幅を有する、光ファイバ。
  2. 前記半径rは17.5μm~27.5μmである、請求項1に記載の光ファイバ。
  3. 前記コア領域は、αが1.90~2.30のαプロファイルによって記述される相対屈折率Δを有する、請求項1又は2に記載の光ファイバ。
  4. 前記クラッド領域は:
    半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、内側クラッド領域;
    半径rと、最小相対屈折率Δ3minは-0.10%~-0.80%である相対屈折率Δとを有する、屈折率抑制クラッド領域;及び
    前記半径rと、-0.20%~0.20%の相対屈折率Δとを有する、外側クラッド領域
    を備える、請求項1~3のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  5. 前記半径rは65.0μm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  6. 前記半径rは85.0μm以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  7. 前記二次コーティングは4.0×10-3g/μm超の正規化穿刺荷重を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  8. 前記光ファイバは、850nm、953nm、980nm、1064nm、及び1300nmからなる群から選択される1つ以上の波長において、2000MHz・km超の最小実効モード帯域幅(minEMB)を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  9. 前記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.12dB/ターン未満の、850nmにおけるマクロベンド損失を有する、請求項1~8のいずれか1項に記載の光ファイバ。
  10. 前記光ファイバは、直径15mmのマンドレルの周りに巻き付けた場合に、0.25dB/ターン未満の、1300nmにおけるマクロベンド損失を有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の光ファイバ。
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