JP2022521237A - 振戦治療のためのボツリヌス神経毒素の新規用途 - Google Patents

振戦治療のためのボツリヌス神経毒素の新規用途 Download PDF

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Abstract

本発明は、振戦治療におけるボツリヌス神経毒素の新規用途に関し、特にボツリヌス神経毒素を前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与することを含む上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素に関し、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に2~6Uの範囲の用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。【選択図】なし

Description

本発明は振戦治療のためのボツリヌス神経毒素の新規用途、特に、本態性振戦を有する大人または小児、あるいはその他の理由で振戦の軽減が対象にとって有益である大人または小児の上肢振戦治療におけるボツリヌス神経毒素の用途に関する。
クロストリジウムは、フィルミクテス門に属する嫌気性グラム陽性細菌属である。クロストリジウムは約100種から成り、ありふれた自由生息性細菌ならびにボツリヌス菌(Clostridium botulinum)および破傷風菌(Clostridium tetani)などの、重要な病原体を含む。上記2種はそれぞれ、神経毒であるボツリヌス毒素および破傷風毒素を産生する。これらの神経毒は、神経細胞のカルシウム依存性神経伝達物質の分泌に関する強力な阻害剤であり、人に既知の最強毒素の一つである。ヒトにおける致死量は、体重1キログラムあたり0.1ng~1ngの範囲である。
汚染された食品を介したボツリヌス毒素の経口摂取または創傷におけるボツリヌス毒素の生成は、様々な筋肉の麻痺を特徴とする、ボツリヌス中毒症を引き起こす場合がある。呼吸筋の麻痺は、罹患者に死をもたらすことがある。
ボツリヌス神経毒素(BoNT)および破傷風神経毒素(TxNT)はいずれも、類似の初期の生理的作用機序により機能し、障害されたニューロンの軸索からシナプスへの神経伝達物質放出を阻害するが、両者はそれらの臨床応答において異なる。ボツリヌス神経毒素は、末梢神経系において神経筋接合部およびその他のコリン作動性シナプスに作用し、神経伝達物質アセチルコリンの放出を阻害し、それにより弛緩性麻痺を引き起こすが、破傷風神経毒は、トランスサイトーシスで中枢神経に運ばれ、主に中枢神経系で作用し、蛋白質のシナプトブレビンを分解することにより、抑制性神経伝達物質GABA(γ-アミノ酪酸)とグリシンの放出を阻止する。その結果として生じる脊髄運動ニューロンの活動亢進は、強直痙攣(強直性麻痺)とよばれる、主動筋と拮抗筋の筋組織全身性収縮を引き起こす。
破傷風神経毒素は、免疫学的に明確な単一の型で存在するが、一方、ボツリヌス神経毒素は、さらなるサブタイプを有しBoNT/AからBoNT/Gと命名された、7種の異なる免疫原性血清型で存在することが知られている。ほとんどのボツリヌス菌株は、1種類の神経毒を産生するが、複数種の神経毒を産生する菌株も記載されている。
ボツリヌス神経毒素および破傷風神経毒素は、相同性の高いアミノ酸配列を有し、類似のドメイン構造を示す。それらの生物学的に活性な形態は、ジスルフィド結合により連結される、約50kDaの軽鎖と約100kDaの重鎖の2本のペプチド鎖から成る。リンカーまたはループ領域は、異なるクロストリジウム神経毒素間でその長さに違いが見られ、ジスルフィド結合を形成する2つのシステイン残基の間に位置する。このループ領域がクロストリジウムの未知のエンドプロテアーゼで蛋白質分解的に切断されて、生物学的に活性な神経毒を得る。
TxNTおよびBoNTによる中毒の分子機構もまた、類似していると考えられる、すなわち、標的ニューロンへの侵入は、重鎖C末端部への細胞表面の特異的受容体の結合により媒介される;神経毒がその後、受容体媒介性飲食作用により取り込まれる。このように形成されたエンドソーム中の低いpHが次に、クロストリジウム毒素に構造変化を引き起こし、それは、毒素がエンドソーム膜中へそれ自体を組み込むこと、およびエンドソーム膜を介して細胞質へ移行することを可能にし;そこで重鎖と軽鎖を連結するジスルフィド結合が還元される。軽鎖は次いで、いわゆるSNARE蛋白質を選択的に切断でき;それは、神経伝達物質のシナプス間隙中への放出の種々の段階(例えば、認識、ドッキングおよび神経伝達物質含有小胞の細胞膜との融合)に不可欠である、TxNT、BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、およびBoNT/Gは、シナプトブレビンまたはVAMP(小胞関連膜蛋白質)の蛋白質分解的切断を引き起こし、BoNT/AおよびBoNT/Eは、細胞膜関連蛋白質であるSNAP-25を切断し、かつBoNT/Cは、内在性細胞膜蛋白質であるシンタキシンおよびSNAP-25を切断する。
ボツリヌス菌において、ボツリヌス毒素は、神経毒成分と非毒性蛋白質を含む蛋白質複合体として形成される。補助蛋白質は、神経毒成分を埋め込み、それにより消化管中の消化酵素による分解から神経毒成分を保護する。したがって、ほとんどの血清型のボツリヌス神経毒素は、経口毒性である。例えば、450kDaまたは900kDaの複合体は、ボツリヌス菌の培養物から得られる。
近年、ボツリヌス神経毒素は、例えばジストニアおよび攣縮の治療において、治療薬として利用されており、さらに化粧用途(例えば、ちりめん皺の処置など)でも利用されている。ボツリヌス神経毒素複合体を含む調製物は、例えば、Ipsen Ltd(Dysport(登録商標))またはAllergan Inc.(Botox(登録商標))から市販されている。いかなる複合体形成蛋白質も含まない、高純度の神経毒成分は、例えば、フランクフルトのMerz Pharmaceuticals GmbH(ゼオマイン(登録商標))から入手可能である。
クロストリジウム神経毒素は通常、障害のある筋肉組織に注入され、薬剤を神経筋終板の近傍、すなわち、この障害のある筋肉を制御する神経細胞への取り込みを媒介する細胞受容体の近傍、へ近づける。様々な程度の神経毒素の広がりが観察されている。神経毒素の広がりは、注射量と特定の神経毒素調製に依存すると考えられる。それは、近くの筋肉組織の麻痺などの有害副作用を起こすこともあるが、これは、注射用量を治療上妥当な量に減らすことにより大部分は回避できる。過剰用量もまた、免疫系を誘発して、神経毒素を不活性化する中和抗体を産生し得、毒素が筋肉の不随意活動を緩和することを妨げる。ボツリヌス毒素に対する免疫寛容は、累積投与量と相関することが示されている。
クロストリジウム神経毒素は、血清型特異的である様々な作用持続時間を示す。BoNT/Aの臨床治療効果は、神経筋疾患に関してはおおよそ3カ月持続し、多汗症に関しては6~12カ月間持続する。他方、BoNT/Eの効果は、約4週間持続する。作用持続時間の違いに対する可能な説明の一つは、BoNT血清型の細胞内局在性の相違である。BoNT/A軽鎖のプロテアーゼドメインは、神経細胞の細胞膜に点在的に局在し、その基質であるSNAP-25と共局在する。対照的に、短期持続型であるBoNT/E血清型は、細胞質に存在する。膜に結合していることが、BoNT/Aを細胞質内の分解機構から守り、神経細胞中でBoNT/Aの長期持続を可能にすると思われる。
より長く持続するBoNT/Aの治療効果は、他の血清型、例えば血清型B、C、D、E、F、Gと比べて、特定の臨床的用途にとって好ましく、また特に特定の美容用途にとっても好ましい。
振戦は、最もよく見られる運動性疾患である。それに対する医療的ニーズが満たされていないことは、身体の異なる部位に振戦症状をもたらす様々な臨床病態が存在することから分かる。これらの症状としては、例えば、頭部、腕、手、指、脚、足、体幹、声帯の痙攣様、周期性律動あるいはそれらに付随的に起こる付加的な運動が挙げられる。その結果、対象において、身体の罹患部位の機能障害や生活の質の低下が起こる。定義により、振戦は、筋肉の振動性不随意運動であり、それは安静時あるいは活動時に起こり得る。振戦は、その運動に依存して随意運動時に身体部位の姿勢に影響を与えることもある(運動性振戦)。個々の基礎疾患、ならびに振戦症状および症候群は、臨床現象学的により明確に区分されない。振戦症候群についての統一的意見が最近示されたが(Bhatiaら、Movement Disorders, Vol.33, No.1,2018)、提案された用語の一貫性のある使用は、未だ行われていない。いくつかの場合(例えば、本態性振戦)、および基礎疾患の病理学的機序において原因が不明であることから、この統一的意見は、将来改定を余儀なくされるであろうと思われる。
振戦の原因は、様々であり、かつ生理機能(寒さによって引き起こされる生理的な震え)、病理学的発端(不随意運動振戦)、パーキンソン振戦、ホルムズ振戦、本態性振戦、薬剤に関連した副作用、アルコールあるいは麻薬の離脱症状(振戦せん妄)もしくは機能的振戦(心因性振戦ともよばれる)に関連することがある。これらの要因の共存は、原因の明確な区別を難しくする。上に列挙した診断や症状のような記述語句は、国際パーキンソン病・運動障害疾患学会(the International Parkinson and Movement Disorder Society:IPMDS)臨床診断基準(Bhatiaら、Movement Disorders, Vol.33,No.1, 2018)の振戦に関するタスクフォース、およびそれ以前に公表されたコンセンサス声明に準拠して用いられる。
本態性振戦(ET)は、最もよく見られる大人の運動性疾患である(Hessら、Tremor Other Hyperkinet Mov 2012、2;Jankovicら、Movement Disorders Vol.11,No. 3,1996,pp.250-256)。本態性振戦(ET)の診断は、国際疾病分類の第10回改訂版(ICD-10;2018)のG250(G25.0)にコード化されており、コードG250は独自にこの疾患のみを説明する。最新の罹患率推定(Louisら、Tremor and Other Hyperkinetic Movements 2014)は、本態性振戦(手、頭部、および口蓋部に症状があるものを含む)を患っている米国市民はおおよそ7百万人であると予測する。既存の治療法は、いくつかの欠点があり、全ての患者人口を治療するのに充分でない。経口薬(FDAが本態性振戦に唯一認可している薬剤であるプロプラノロール、およびFDAの認可外であるプリミドン)は、1970年代から利用されているが、奏効率は不十分である。加えて、これらの治療は、高率の全身性の有害事象(例えば、低血圧症、鎮静状態、悪心、運動失調、あるいは精神錯乱)を伴う。プロプラノロールのようなベータ遮断薬は、パーキンソン病の発症において原因として働き(Mittalら、Science 357,891-898(2017))、したがって治療的アプローチとしては疑問であると、最近では論争になっている。脳深部刺激療法(DBS)は、強力であるが侵襲的な治療の選択肢であり、磁気共鳴画像誘導高周波超音波視床切除術(MRgHIFU)は、効果的であるが、脳において恒久的損傷をもたらす。両者は、振戦が重度に身体機能を奪う患者に対し高度に専門化した神経外科センターのみでしか利用可能でない。
振戦に関する治療選択肢は一般に、保存的手段(薬剤治療)に重点をおくが、パーキンソン病の場合のように進行性の神経疾患に罹患している患者においては、振戦の無意識的機序を適切に治療することはほとんど不可能である。したがって、振戦治療は、振幅を低減することに重きをおいた。最初期のアプローチは、エタノール(グルタミン酸作動性抑制神経に阻害的に働く快楽物質としてよく知られている)を利用した。その理由は、この基本的に快楽性である物質は手の静止を必要とするスポーツ(例えば、オリンピック種目の射撃における)でドーピングとして用いられたからである。降圧剤であり不整脈治療薬であるプロプラノロール(ベータアドレナリン遮断薬)がその後、特に抗振戦薬として利用された。降圧剤の薬剤群からベータアドレナリン遮断薬の複数の誘導体が試験され、この症状に関してFDA認可外で用いられた。
神経外科的治療の選択肢は、振戦回路に関与する脳中枢であることが知られている視床に対し破壊的解決策を提供し、視床切除術による破壊、磁気共鳴画像誘導高周波超音波療法は、最新の解決法である。特定の脳領域における脳深部刺激療法も、限られた数の患者において振戦性病態を治療するのに効果的であることが報告される。
別の治療代替手段は、ボツリヌス毒素Aであり、これは異なる広範な疾患および病状(頸部ジストニア、痙直、失禁、片頭痛などを含む)で利用される。ボツリヌス毒素Aは、例えば、ジストニア振戦、タスク特異的振戦、パーキンソン振戦および本態性振戦の治療にも用いられた。ボツリヌス毒素Aの筋肉内注射は、治療対象筋肉での筋緊張を低減し、したがって関連する筋肉の局所的かつ部分的な脱力をもたらすことにより振戦振幅を減らす。
ボツリヌス神経毒素の注入を振戦性筋肉中に適用することによる振戦の局所療法は、常に困難であり、その理由は、振戦は腕全体あるいはその一部のみに影響を与え、基礎疾患や振戦のパターンに依存して多様な臨床的現象を引き起こすからである。手根部および前腕の複数の筋肉への(主に、手根部の屈筋群および伸筋群中への)決められた用量/決められた筋肉のアプローチでボツリヌス神経毒素を投与することによる上肢振戦治療は、強い有効性を示したが、脱力性の副作用も示した。有害事象は主に、腕、手根部の脱力および指の下垂であった。これらは、追跡治療において用量を減らすことにより(注入される筋肉の選択を変えることにより、あるいは初期投与量を減らし、その後の漸次薬量増量または追加注入を緩徐にする対処法へと変更することにより)部分的に軽減できるであろう。その一方で、これらの変更により有効性が低下することもある。あらゆる低い初期の開始用量は、振戦の不充分な初期治療に対抗するために早期の追跡治療(追加投与)を必要とする。肢部の衰弱パターンを変えることを意図した注入される筋肉の選択の変更は、さらに他の筋肉の衰弱を引き起こすこともあり得るので、患者にとって治療をより耐えがたいものにする。
筋肉の選択も、振戦中の動きの範囲に依存して、困難である。理由は、理想的にこれは、筋肉機能とその総和の精密分析に基づいて決定されるべきだからである。振動の運動方向と振幅の臨床的視覚的評価は、不正確であり、複合運動の不明瞭な構成要素に関する検査担当者の識別能力の不足により限定される。しかし、より正確で信頼できる代替法が無いので、視覚的評価が未だに通常利用されて筋肉と用量を決めており、そのため手根部の明瞭な動き(最も多いのが、屈曲と伸展)に注目する。それゆえ、初期のアプローチは、予め選択した前腕の筋肉群(主に、手根部の屈筋と伸筋)に対し決められた用量を用いた。このため、初期の研究において手根部の筋力低下が予期せず高頻度で起こっていた可能性がある。しかしながら、腕の振戦性運動は、腕の遠い位置の筋肉(肘の筋肉および肩の筋肉)の振戦の結果である可能性がある。これらの関節の可動範囲が手根部の振戦を増大させ、これは結果として包括的な総効果をもたらす。さらに、身体の他の部位(例えば、下肢、頭部、体幹)が振戦を有することもあり、これは手根部のような遠位身体部位に向かって伝達される振動波による身体の不安定化をもたらすこともあり得る。手の上肢振戦において、振戦性運動は、典型的な振動パターン無しに、近位および遠位の筋群(手根を動かす筋肉と肩を動かす筋肉)に同時に影響を及ぼすことがある。視覚的に検出される総和としての振戦の個々の構成要素(個々の筋肉の振戦、あるいはさらに筋群の振戦)は、医者による視覚的観察のみではほとんど識別不能である。
振戦に寄与する筋群の識別に利用可能な、運動学的測定または筋電図検査(EMG)などの技術的手段がある。しかし、これらの技術は、臨床治療において振戦の分析に広く普及しているわけではない。とりわけ、針筋電図検査(needle EMG)は、これが痛みを伴う処置であるので、検査する筋肉の数が多い場合不都合である。さらなる問題は、注射担当者のトレーニングが確立されていないこと、およびボツリヌス毒素Aによる振戦治療の筋選択および用量選択法に関する一般に認められた指針が無いことである。適切な筋肉および筋肉当たりの適切な用量を選択することは、上肢、下肢、頭頚部および声帯の振戦治療の治療有効性および安全性にとって重要である。適切な有効性および忍容性で最適治療を可能にする、総計のあるいは筋肉当たりの定義された治療用量の範囲(therapeutic dose window)は、現在のところ存在しない。特に、ボツリヌス神経毒素の一般的作用様式(すなわち、筋肉麻痺)のために、ボツリヌス神経毒素で治療される筋肉の筋力低下の可能性を、考慮に入れる必要がある。
国際公開公報第2015039244号には、振戦を治療する技術が記載されており、それは、上肢の運動学的分析(主に、振戦振幅)により筋活動を決定し、かつ個別の筋肉に投与する個々の用量を計算するための、適応型慣用システムを利用する。Jogらは、ボ19人の患者でツリヌス神経毒素Aのゼオマイン(登録商標)を用いる臨床治験において、このフレキシブルな用量決定の妥当性を示した(Jogら、TOXINS 2017におけるポスター発表,Madrid,Spain,18-21 January 2017)。
振戦治療に利用可能な治療選択肢をさらに改善することが強く望まれている。とりわけ、本態性振戦、パーキンソン病および他の上肢の振戦を有する患者において上肢振戦を、有害事象無しに効果的に治療することが望まれている。
本発明の目的
振戦治療を改善すること、特に上肢の何らかの振戦症状の治療を提供することが、本発明の目的の一つであった。さらに、詳細な振戦分析および総合的な振戦要素分解無しに患者に投与することが容易な、上肢の振戦を治療するための安全かつ有効な治療方略を提供することも本発明の目的であった。上肢の振戦の治療で用いるためのボツリヌス神経毒素を投与するための投与システムであって、肘の筋肉と肩の筋肉への投与簡便な定型的投与と組み合わせた、手根および前腕の筋肉への適応されカスタマイズされる投与を可能にする投与システム、を開発することが、本発明の具体的な目的であった。
意外にも、ボツリヌス神経毒素が前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与されるのであれば、ボツリヌス神経毒素は、上肢振戦治療を提供するために有効に利用し得ることが明らかにされており、ここで、ボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に2~6Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
したがって、一局面においては、本発明は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉にボツリヌス神経毒素を投与することを含む上肢振戦治療用途のボツリヌス神経毒に関し、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に2~6Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
別の一局面においては、本発明は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉にボツリヌス神経毒素を投与することを含む上肢振戦治療用途のボツリヌス神経毒から成る医薬組成物に関し、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に2~6Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
さらに別の一局面においては、本発明は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉にボツリヌス神経毒素を投与することを含む上肢振戦に関連した疾患または病状を治療する方法に関し、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に2~6Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
下記の本発明の詳細な説明およびそれに含まれる実施例を参照することによって、本発明をさらに容易に理解できる。
一局面において、本発明は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉にボツリヌス神経毒素を投与することを含む上肢振戦治療用途のボツリヌス神経毒に関し、ここでボツリヌス神経毒は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に約2~6Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に約2.5~5Uの範囲の用量で投与され、およびボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明のさらなる好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に約2.5Uの用量で投与され、およびボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に約2~6Uの範囲の用量で投与され、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり4~16Uの用量範囲で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明のさらなる実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に約2.5Uの用量で投与され、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり約10Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の一局面において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)および方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2~6Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、橈側手根伸筋(ECR)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の5つの筋肉に投与され、橈側手根伸筋(ECR)および回外筋に投与される用量は、約2~6Uの範囲であり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲であり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明のさらなる一局面において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)および方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2~6Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、総指伸筋(EDC)、上腕二頭筋、三角筋および大円筋には投与されない。
本発明のさらなる好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、橈側手根伸筋(ECR)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の5つの筋肉に投与され、橈側手根伸筋(ECR)および回外筋に投与される用量は、約2~6Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、総指伸筋(EDC)、上腕二頭筋、三角筋および大円筋には投与されない。
本発明の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5~5Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約5~15Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、橈側手根伸筋(ECR)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の5つの筋肉に投与され、橈側手根伸筋(ECR)および回外筋に投与される用量は、約2~5Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5~5Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約5~15Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、総指伸筋(EDC)、上腕二頭筋、三角筋および大円筋には投与されない。
本発明のさらなる好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、橈側手根伸筋(ECR)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の5つの筋肉に投与され、橈側手根伸筋(ECR)および回外筋に投与される用量は、約2~5Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、総指伸筋(EDC)、上腕二頭筋、三角筋および大円筋には投与されない。
本発明の特定の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5~5Uの範囲にあり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約5~15Uの範囲にあり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつ前腕/手根の筋肉に投与するボツリヌス神経毒素の総用量は、65Uを超えない。
本発明のさらなる好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、橈側手根伸筋(ECR)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の5つの筋肉に投与され、橈側手根伸筋(ECR)および回外筋に投与される用量は、約2~5Uの範囲であり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約4~16Uの範囲であり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつ前腕/手根の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量は、65Uを超えない。
本発明の別の一局面において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5Uであり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約10Uであり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明のさらなる一局面において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5Uであり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約10Uであり、かつボツリヌス神経毒は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、総指伸筋(EDC)、上腕二頭筋、三角筋および大円筋には投与されない。
本発明の特定の好ましい一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)、回外筋、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される前腕/手根の7つの筋肉に投与され、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋に投与される用量は、約2.5Uであり、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)に投与される用量は、筋肉当たり約10Uであり、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与され、かつ前腕/手根の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒の総用量は、40Uを超えない。
本発明の文脈において、上肢振戦は、本態性振戦を有する患者、パーキンソン病、ジストニア振戦、小脳性振戦、およびその他の上肢振戦(例えば、音楽家の振戦、ホルムズ振戦、ニューロパチーに伴う振戦、タスク特異的または位置特異的振戦、静止時振戦、動作時振戦など)などの神経変性疾患による振戦を有する患者における振戦であってよい。
さらに、小児期と思春期の振戦症状および振戦症候群は、本発明の文脈に含まれる。このような患者では、治療投与は、治療される小児の体重を考慮すべきである。適合用量は、上肢当たり1~8U/体重kgの範囲(最大、140U)である。
一般的に、本発明に従い、使用のためのボツリヌス神経毒素は、30U~65Uの範囲の総容量で前腕/手根の筋肉に投与されることが想定される。より具体的な一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、40U~65Uの範囲の総容量で前腕/手根の筋肉に投与されることが想定される。本発明の特定の実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、65Uを超えない総容量で前腕/手根の筋肉に投与される。本発明のさらなる一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、40Uを超えない総容量で前腕/手根の筋肉に投与される。本発明の特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、1:2~1:6の範囲の用量比で手根/前腕の伸筋と屈筋に投与される。
一般的に、本発明に従い、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩のそれぞれの少なくとも1つの筋肉に投与されることが想定される。
本発明のさらなる一局面において、橈側手根伸筋(ECR)は、長橈側手根伸筋と短橈側手根伸筋に分けることができる。
本発明のさらなる一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、方形回内筋(PQ)、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、方形回内筋(PQ)および回外筋に約2.5~6Uの範囲の用量で投与され、長橈側手根伸筋に1.25U~3Uの範囲の用量で投与され、かつ短橈側手根伸筋に1.25U~3Uの範囲の用量で投与され、かつ橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり4~16Uの範囲の用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明のさらなる一実施態様において、上肢振戦治療に用いるボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、方形回内筋(PQ)、長橈側手根伸筋、短橈側手根伸筋および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に投与され、ここでボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、方形回内筋(PQ)および回外筋に約2.5~5Uの範囲の用量で投与され、長橈側手根伸筋に1.25Uの用量で投与され、短橈側手根伸筋に1.25Uの用量で投与され、かつ橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり4~16Uの範囲の用量で投与され、かつボツリヌス神経毒素は、肘の少なくとも1つの筋肉に約20Uの用量で投与され、かつ肩の少なくとも1つの筋肉に約15Uの用量で投与される。
本発明に従い、使用のボツリヌス神経毒素は、浅指屈筋および深指屈筋、長掌筋、長母指屈筋、短母指伸筋および長母指伸筋、母指外転筋、母指対立筋、短母指外転筋、短母指屈筋、母指内転筋、背側骨間筋、虫様筋、小指対立筋、小指外転筋、および短小指屈筋の群から選択される前腕/手根の筋肉には投与されない。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、総指伸筋には投与されない。
本発明のさらなる実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、上腕筋および上腕三頭筋の群から選択される肘の少なくとも1つの筋肉に投与される。好ましい一実施態様においては、使用のためのボツリヌス神経毒素は、上腕筋および上腕三頭筋の群から選択される肘の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり約20Uの用量で投与される。本発明の特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、肘の筋肉に40Uを超えない総用量で投与される。
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、腕橈骨筋および肘筋から選択される肘の筋肉には投与されない。本発明のさらなる一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、上腕二頭筋には投与されない。
本発明のさらなる実施態様において、使用のためのボツリヌス毒素は、広背筋、大胸筋、棘上筋および棘下筋の群から選択される肩の少なくとも1つの筋肉に投与される。本発明の特定の一実施態様において、使用のためのボツリヌス毒素は、広背筋、大胸筋、棘上筋および棘下筋の群から選択される肩の少なくとも1つの筋肉に筋肉当たり約15Uの用量で投与される。本発明のさらなる実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、肩の筋肉に投与され、その総用量は、60Uを超えない。
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、烏口腕筋、小胸筋、鎖骨下筋、肩甲下筋、前鋸筋、肩甲挙筋、小菱形筋および大菱形筋、および僧帽筋の群から選択される肩の筋肉には投与されない。本発明のさらなる好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、三角筋および大円筋には投与されない。
一般的に、本発明に従い、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の筋肉に130U~165Uの範囲の総用量で投与されることが想定される。さらに具体的な実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の筋肉に140U~165Uの範囲の総用量で投与されることが想定される。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の筋肉に165Uを超えない総用量で投与される。本発明のさらなる好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根、肘および肩の筋肉に140Uを超えない総用量で投与される。使用のためのボツリヌス神経毒素が両側に投与されるのであれば、各投与は、適切に調整され、片側治療と比べて2倍である。一般的に、本発明に従い、使用のためのボツリヌス神経毒素は、両側の前腕/手根、肘および肩の筋肉に260U~330Uの範囲の総用量で投与されることが想定される。より具体的な実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、両側の前腕/手根、肘および肩の筋肉に280U~330Uの範囲の総用量で投与されることが想定される。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、両側の前腕/手根、肘および肩の筋肉に330Uを超えない総用量で投与される。本発明のさらなる好ましい実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、両側の前腕/手根、肘および肩の筋肉に280Uを超えない総用量で投与される。
好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の少なくとも1つの筋肉、肘の少なくとも1つの筋肉、および肩の少なくとも1つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5~5.0U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
方形回内筋(PQ) 約2.5~5.0U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉、肘の2つの筋肉、および肩の4つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5~5.0U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
方形回内筋(PQ) 約2.5~5.0U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の5つの筋肉、肘の2つの筋肉、および肩の4つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
さらなる好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の少なくとも1つの筋肉、肘の少なくとも1つの筋肉および肩の少なくとも1つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U
橈側手根屈筋(FCR) 約10U
尺側手根屈筋(FCU) 約10U
円回内筋(PT) 約10U
方形回内筋(PQ) 約2.5U
回外筋 約2.5U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の7つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の4つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U
橈側手根屈筋(FCR) 約10U
尺側手根屈筋(FCU) 約10U
円回内筋(PT) 約10U
方形回内筋(PQ) 約2.5U
回外筋 約2.5U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
本発明の別の一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の少なくとも1つの筋肉、肘の少なくとも1つの筋肉および肩の少なくとも1つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5~5.0U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
方形回内筋(PQ) 約2.5~5.0U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
三角筋 約10~15U
本発明のさらに別の一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の4つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5~5.0U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
方形回内筋(PQ) 約2.5~5.0U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
三角筋 約10~15U
本発明のさらに別の一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の5つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の4つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5~5.0U
橈側手根屈筋(FCR) 約5~15U
尺側手根屈筋(FCU) 約5~15U
円回内筋(PT) 約5~15U
回外筋 約2.5~5.0U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
三角筋 約10~15U
本発明のさらに別の一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の少なくとも1つの筋肉、肘の少なくとも1つの筋肉、および肩の少なくとも1つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U
橈側手根屈筋(FCR) 約10U
尺側手根屈筋(FCU) 約10U
円回内筋(PT) 約10U
方形回内筋(PQ) 約2.5U
回外筋 約2.5U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
三角筋 約10~15U
本発明のさらに別の一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、前腕/手根の7つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の5つの筋肉に以下の投与スキームに従い投与される:
尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U
橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U
橈側手根屈筋(FCR) 約10U
尺側手根屈筋(FCU) 約10U
円回内筋(PT) 約10U
方形回内筋(PQ) 約2.5U
回外筋 約2.5U
上腕筋 約20U
上腕三頭筋 約20U
広背筋 約15U
大胸筋 約15U
棘上筋 約15U
棘下筋 約15U
三角筋 約10~15U
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、片側あるいは両側に投与されてよい。好ましい実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、両側に投与される。
本発明の特定の実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、再構成水溶液として20~80U/mLの範囲の濃度で手根/前腕、肘および肩の筋肉に投与される。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、水溶液として25~60U/mLの範囲の濃度で手根/前腕、肘および肩の筋肉に投与される。特定の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、水溶液として25U/mLの濃度で手根/前腕、肘および肩の筋肉に投与される。ボツリヌス神経毒素が薬学的に許容される賦形剤と共に活性薬剤を含む凍結乾燥品として調製可能であることは、一般に理解される。使用の前に、凍結乾燥品は、適当な量の生理食塩水または他の適切な再構成媒体を加えることにより再構成されて、目的の濃度で再構成されたボツリヌス神経毒素溶液を与える。あるいは、使用のためのボツリヌス神経毒素は、例えば国際公開公報第2016/102068号、第2016/124213号または第2017/220553号に開示されるように、予めそれが充填されている注射筒として提供されてよい。後者の利用形態は、再構成工程がなく、すでに適切に濃縮されたボツリヌス神経毒を製造し提供できる。
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、手根/前腕、肘および肩につながる腕の筋肉に腕当たり6.6mL以下の総容量で投与される。本発明のさらなる一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、個々の筋肉に筋肉当たり0.1~0.8mLで投与される。
一般的に、使用のためのボツリヌス神経毒素は、筋肉解剖と関連付けて個々の筋肉に投与される。当業者であれば、使用のためのボツリヌス神経毒素を運動単位の解剖学的位置にどのように投与するか、その方法を承知している。筋肉の解剖学的サイズ、形態、生理学的強度および機能、ならびにボツリヌス神経毒素の影響を受ける神経運動終板の位置と範囲に依存して、筋肉当たりの注射部位の数は、変化する。解剖学図版が、個々の筋肉の注射部位と範囲を決めるために利用される。使用のためのボツリヌス神経毒素の注入は、個々の筋肉のEMG、超音波または電気刺激の手段を用いることにより導かれてよい。
注射部位の数は一般的に、個々の筋肉のサイズにしたがい決定され、当業者であれば、特定の筋肉にボツリヌス神経毒素を投与する方法を承知している。本発明の文脈において、ボツリヌス神経毒素は、尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)、円回内筋(PT)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される手根/前腕の筋肉に、各筋肉につき1カ所の注射部位を用いて注射される。ボツリヌス神経毒素は、上腕筋および上腕三頭筋から選択される肘の筋肉に、各筋肉につき2カ所の注射部位を用いて注射される。ボツリヌス神経毒素は、広背筋および大胸筋から選択される肩の筋肉に、各筋肉につき2カ所の注射部位を用いて注射される。ボツリヌス神経毒素は、棘上筋および棘下筋から選択される肩の筋肉に、各筋肉につき3カ所の注射部位を用いて注射される。
振戦の重症度は、本発明に従い本態性振戦評価アセスメントスケール(the essential tremor Rating Assessment Scale;TETRAS)により評価される。本評価は、本態性振戦重症度(ET severity)の評価のために特異的に設計された有効臨床スケールを用いる。立っている間に、頭部、顎を含む顔部、声、上肢、下肢のより重度の側に対し0.5刻みの0~4で評価する。このスケールは、上肢の動作時振戦評価に焦点を当て、以下の下位カテゴリーを利用する:顕性側のみ手書き;以下の状態に関し両側を個々に評価:腕を前に伸ばした姿勢および羽ばたきの位置、指鼻試験を利用した運動、アルキメデスのらせんの描画、および紙片上の点にできるだけ近くペンを保持する(しかしそれに触れないようにする)点近似作業。TETRASシステムは、振戦振幅の広い範囲(>20cm=評点4)にわたってアンカーを有し、それを重症本態性振戦患者の評価に適合させる。TETRASの全項目の総合スコアを評価して、振戦重症度を明らかにする。上肢の運動能力サブスコアを、対象による課題達成(検査担当者の指示のもと)をもとに経験のある医師が評価する。達成サブスケールは、採点における0.5点幅の増加を可能にする。上肢振戦評価における0.5点幅の増加は、振戦振幅の特定範囲により決定される。TETRAS達成スケールの検出可能な最小変化は、基線測定の8.9%である(Vollerら、Mov Disord. 2015)。
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、検査担当者が評価するTETRASの上肢運動能力サブスコア尺度に従い、振戦重症度を少なくとも9.0%改善する。好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒は、検査担当者が評価するTETRASの上肢運動能力サブスコア尺度に従い、振戦重症度を少なくとも15%改善する。より好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、検査担当者が評価するTETRASの上肢運動能力サブスコア尺度に従い、振戦重症度を少なくとも25%改善する。最も好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、検査担当者が評価するTETRASの上肢運動能力サブスコア尺度に従い、振戦重症度を少なくとも40%改善する。
あるいは、振戦重症度は、コンピューター化された標準的運動学的振戦分析を利用することにより、本発明に準拠して評価されてよい。この分析は、肩(屈曲/伸展、内転/外転)、肘(屈曲/伸展)および手根/前腕(屈曲/伸展、橈側偏位/尺骨偏位、回内/回外)の位置の機能的筋群に関連した振戦の角振動数を測定することにより振戦強度を評価し、その際、以下のタスクのそれぞれに対し一連の3回の分析検査を行う:I.姿勢1:前腕を前に伸ばして回内した状態で肩を90°に屈曲させる;II.姿勢2:前腕を前に伸ばして中立位にした状態で肩を90°に屈曲させる;III.姿勢3:肘も屈曲させ、手を口の近くに近づけた状態で肩を90°に屈曲させる;IV.負荷1:空のプラスチックカップ(33g)を保持する;V.負荷2:重量1ポンド(355mlのソーダの缶)になるように満たした同じプラスチックカップを保持する;VI.負荷3:携帯電話を保持する(これは、別の物を保持することを模倣する)。全ての3種の負荷の評価は、前腕を前方に伸展させて肩を90°に屈曲させた姿勢で行う。
本発明の文脈において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、6週目に少なくと-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のより好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、6週目に少なくとも-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ8週目に少なくとも-0.10m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明の好ましい一局面において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ6週目に少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のより好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手の振戦の最大対数変換加速度値を基準値対プラセボから少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、6週目に少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ8週目に少なくとも-0.20m/s(最小二乗(LS)平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のさらなる一局面において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のさらなる一局面において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ6週目に少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のより好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、6週目に少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ8週目に少なくとも-0.7度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のさらなる好ましい一局面において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明の好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ6週目に少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。本発明のより好ましい一実施態様において、使用のためのボツリヌス神経毒素は、4週目に手根の振戦の最大角振動数を基準値対プラセボから少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、6週目に少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させ、かつ8週目に少なくとも-0.14度(LS平均差(ボツリヌス神経毒素A対プラセボ))減少させる。
ボツリヌス神経毒素の生物学的活性を評価するインビボ測定法としては、Pearceら、(Pearce 1994,Toxicol.Appl.Pharmacol.128:69-77)およびDressierら、(Dressier 2005,Mov.Disord.20:1617-1619,Keller 2006,Neuroscience 139:629-637)が記載するようなマウスのLD50測定法およびエクスビボ(ex vivo)のマウス片側横隔膜測定法、あるいは国際公開公報第2009/114748号、第2014/207109号または第2013/049508号に記載されるような細胞系測定法が挙げられる。生物学的活性は通常、マウスの単位(U)で表される。本明細書中で用いる場合には、1Uは、ボツリヌス神経毒素の神経毒成分の量であり、腹腔内注射後に特定のマウス集団の50%(すなわち、マウスi.p.LD50)を死に至らしめる量である。ボツリヌス神経毒素の生物学的活性を決定する特定の有用な方法は、例えば国際公開公報第2009/114748号、第2013/049508号または第2014/207109号に開示されるような細胞系測定法である。そのような細胞系測定法によって得られた活性の結果は、マウスi.p.LD50測定法で得られる活性値に対応する。インコボツリヌストキシンA(Incobotulinumtoxin A;ボツリヌス毒素血清型A、複合体形成蛋白質を含まない、ゼオマイン(登録商標)、Merz Pharmaceuticals GmbH))またはオナボツリナムトキシンA(Onabotulinumtoxin A;ボツリヌス毒素血清型A、複合体形成蛋白質を含む、ボトックス(登録商標)、Allergan Inc.)のような市販のボツリヌス血清型A製剤に関して得られる活性の結果は、当業者に公知の変換率を利用して他の毒素についての値に変換できる。例えば、アボボツリナムトキシンA(Abobotulinumtoxin A;ボツリヌス毒素血清型A、複合体形成蛋白質を含む、ディスポート(登録商標)、Ipsen Biopharm Limited)の必要用量は、インコボツリヌストキシンAまたはオナボツリナムトキシンAの用量を2.5倍~5倍増大することにより決定できる。リマボツリナムトキシンB(Rimabotulinumtoxin B;ボツリヌス毒素血清型B、ミオブロック(登録商標)、Solstice Neurosciences/US WorldMeds LLC)の用量は、インコボツリヌストキシンAまたはオナボツリナムトキシンAの用量を20倍~40倍増大することにより決定できる。
本発明の文脈において、用語「ボツリヌス神経毒素」は、ボツリヌス菌から得られる天然の神経毒素または代替源から得られる神経毒素(組み換え技術によるもの、あるいは遺伝学的改変または化学的修飾によるものを含む)を指す。特に、ボツリヌス神経毒素は、エンドペプチダーゼ活性を有する。本発明の文脈において、用語「ボツリヌス毒素」および「ボツリヌス神経毒素」は、同義語として用いられ、相互に代替可能である。
特定の実施態様においては、本発明に準拠するボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス神経毒素複合体である。
本発明の文脈において、用語「毒素複合体」または「ボツリヌス毒素複合体」または「ボツリヌス神経毒素複合体」は、互いに言い換え可能であり、ボツリヌス菌のおおよそ150kDaの神経毒成分と、それに加えて非毒性の蛋白質(血球凝集蛋白質および非血球凝集蛋白質(Sakaguchi 1983;Sugiyama 1980)を含む)から成る高分子量の複合体を指す。溶菌した培養クロストリジウム(Clostridium)から放出されるボツリヌス毒素は一般に、共に毒素複合体を形成する他の細菌蛋白質と会合している。この複合体は通常、付加的にいわゆる「非毒性」蛋白質を含み、それを本明細書中で「複合体形成蛋白質」もしくは「細菌蛋白質」とよぶ。神経毒成分と細菌蛋白質の複合体を、「クロストリジウム・ボツリヌス菌毒素複合体(Clostridium botulinum toxin complex)」もしくは「ボツリヌス毒素複合体(botulinum toxin complex)」とよぶ。この複合体の分子量は、約300,000ダルトンから約900,000ダルトンの間で変わり得る。これは、ボツリヌス毒素A蛋白質複合体として、例えば、商品名ボトックス(BOTOX;Allergan Inc)もしくは商品名ディスポート(DYSPORT;Ipsen Ltd)として市販されている。
本明細書中で使用される用語「神経毒成分」または「神経毒素成分」は、本発明の文脈において、神経毒活性を有し、かつ血清型Aでおおよそ150kDaの分子量を有する、ボツリヌス毒素複合体のサブユニットに関する。毒素複合体とは異なり、単離された純粋な形態の(すなわち、複合体形成クロストリジウム蛋白質を欠いている)神経毒成分は、酸に不安定であり、消化管内の過酷な環境に耐えない。ボツリヌス神経毒素の神経毒成分を純化し生産する方法は、米国特許第8,398,998号に示されている。化されて複合体形成蛋白質を含まない、高純度の神経毒成分は、例えばMerz Pharmaceuticals GmbH,Frankfurt(ゼオマイン(登録商標))から入手可能である。
用語「神経毒成分」は、ボツリヌス菌の他の血清型に見いだされる機能的相同体をも含む。
特定の実施態様において、本発明に準拠するボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス神経毒素複合体の神経毒成分であり、ここで神経毒成分は、ボツリヌス菌神経毒素複合体のいかなる他の蛋白質成分も含まない。
本発明の文脈において、用語「クロストリジウム・ボツリヌス神経毒素複合体のいかなる他の蛋白質成分も含まない」は、ボツリヌス菌の非毒性蛋白質(例えば、血球凝集蛋白質)のいずれをも伴わないことを意味する。
特定の実施態様において、本発明に準拠するボツリヌス神経毒素は、ボツリヌス神経毒素血清型A(BoNT/A)、ボツリヌス神経毒血清型B(BoNT/B)、ボツリヌス神経毒素血清型C1(BoNT/C1)、ボツリヌス神経毒素血清型D(BoNT/D)、ボツリヌス神経毒素血清型E(BoNT/E)、ボツリヌス神経毒素血清型F(BoNT/F)またはボツリヌス神経毒素血清型G(BoNT/G)を含む異なる血清型の群から選択される。ボツリヌス神経毒素および、特にその軽鎖と重鎖は、抗原性の異なる血清型の上記ボツリヌス神経毒素の1つから誘導できる。一局面において、ボツリヌス神経毒素の軽鎖と重鎖は、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、またはBoNT/Gから成る群から選択されるボツリヌス神経毒素の軽鎖と重鎖である。別の一局面において、本発明のボツリヌス神経毒素をコードするポリヌクレオチドは、配列番号1(BoNT/A)、配列番号3(BoNT/B)、配列番号5(BoNT/C1)、配列番号7(BoNT/D)、配列番号9(BoNT/E)、配列番号11(BoNT/F)、または配列番号13(BoNT/G)に示されるような核酸配列を含む。さらに、一局面において、配列番号2(BoNT/A)、配列番号4(BoNT/B)、配列番号6(BoNT/C1)、配列番号8(BoNT/D)、配列番号10(BoNT/E)、配列番号12(BoNT/F)、または配列番号14(BoNT/G)に示されるようなアミノ酸配列をコードする核酸配列を含むポリヌクレオチドが含まれる。さらに、一局面において、配列番号2(BoNT/A)、配列番号4(BoNT/B)、配列番号6(BoNT/C1)、配列番号8(BoNT/D)、配列番号10(BoNT/E)、配列番号12(BoNT/F)、および配列番号14(BoNT/G)から成る群から選択されるアミノ酸配列から成る、あるいは含むボツリヌス神経毒素を生産する本発明の手段または方法が、含まれる。
別の一局面において、本発明のボツリヌス神経毒素をコードするポリヌクレオチドは、1つまたはそれ以上のヌクレオチド置換、欠失および/または付加を含む上記のポリヌクレオチドの変異体であり、これはさらに別の一局面において、1つまたはそれ以上のアミノ酸置換、欠失および/または付加を有するポリペプチドをもたらす。さらに、本発明のポリヌクレオチド変異体は、別の一局面において、配列番号1、3、5、7、9、11、13、または15のいずれかに示すような核酸配列に少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、あるいは少なくとも99%同一である変異体核酸配列、もしくは配列番号2、4、6、8、10、12、14、または16のいずれかに示すようなアミノ酸配列に少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%または少なくとも99%同一であるアミノ酸配列をコードする変異体核酸配列を含むであろう。本明細書中で用いられる用語「同一の」は、最も高い合致度を得るように整列された2つの核酸配列間または2つのアミノ酸配列間の同一のアミノ酸の数を決定することにより特徴付けられる配列同一性を指す。それは、例えば、BLASTP、BLASTNまたはFASTA(Altschul 1990,J Mol Biol 215,403)などの、コンピュータープログラム中に書き込まれた公開された技術または方法を用いて計算されてよい。同一性のパーセント値は、一局面において、アミノ酸配列全体にわたって計算される。当業者であれば、各種のアルゴリズムに基づく一連のプログラムを異なる配列の比較に利用できる。これに関連して、NeedlemanとWunschのアルゴリズム、もしくはSmithとWatermanのアルゴリズムは、特に信頼性の高い結果を与える。配列整列を行うために、PileUpプログラム(Higgins 1989,CABIOS 5,151)、もしくはGapプログラムとBestFitプログラム(Needleman 1970, J Mol Biol 48;443;Smith 1981,Adv Appl Math 2,482)(これらはGCGソフトウエアパケットの一部である(Genetics Computer Group 1991,575 Science Drive,Madison,Wisconsin,USA 53711))を利用できる。上に列挙したパーセント(%)での配列同一性の値は、本発明の別の一局面において、GAPプログラムを利用し配列全領域にわたり以下の設定を用いて決定され:ギャップ重み(Gap Weight):50、長さ重み(Length Weight):3、一致平均(Average Match):10.000および不一致平均(Average Mismatch):0.000、これらは他で特に規定しない限り、常に配列整列化の標準的な設定として用いられるであろう。一局面において、上記ポリヌクレオチド変異体のそれぞれが、個々のボツリヌス神経毒素(すなわち、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/FまたはBoNT/G)の生物学的特性の1つまたは複数を有するポリペプチドをコードし、別の一局面において、それらの全部を有するポリペプチドをコードする。当業者であれば、未処理の前駆体がいくらかの生物学的機能を発揮するか部分的に活性であると考え得るとしても、完全な生物学的活性は蛋白質切断による活性化の後にのみ保持されることを理解するであろう。本明細書中で用いられる「生物学的特性」は、(a)受容体結合;(b)内在化;(c)エンドソーム膜を隔てた細胞質への輸送;および/または(d)シナプス小胞膜の融合に関与する蛋白質の非末端蛋白質分解性切断、を指す。さらなる一局面において、ポリヌクレオチド変異体は、改善された、または改変された生物学的特性を有するボツリヌス神経毒素をコードしてよい(例えば、それらは酵素認識に関して改善された切断部位を含む、あるいは受容体結合または上記の他のいずれかの特性に関して改善されてよい)。
本発明の特定の一実施態様において、上肢の振戦を治療することにおける使用のためのボツリヌス神経毒は、プロプラノロール、プリミドン、他の任意の抗てんかん薬またはカルシウムチャンネル遮断薬から選択される少なくとも1つの標準的治療と組み合わせて投与されるか、あるいはボツリヌス神経毒素は、脳深部刺激療法または磁気共鳴画像誘導高周波超音波療法、局所電気刺激、バイオフィードバック法、運動学的評価を指針とした刺激療法、抗振戦器具、抗振戦スマートフォンアプリ、もしくはそれらの組み合わせと同時に、または逐次的に適用される。
別の一局面において、本発明は、上肢の振戦を治療することにおける使用のための本発明に準拠したボツリヌス神経毒素を含む医薬組成物に関する。ボツリヌス神経毒素を含む医薬製剤を調製するために、神経毒素は、当該技術分野において公知である所望の適用目的に応じた各種技術により製剤化されてよい。例えば、(生物学的活性のある)ボツリヌス神経毒素は、薬学的に許容される1つまたはそれ以上の担体と組み合わせて、医薬組成物として用いられてよい。薬学的に許容される担体は、製剤の他の成分と適合するという意味で、および受容者にとって有害ではないという意味において許容されるものでなければならない。用いられる薬学的に許容される担体としては、固体、ゲル、または液体が挙げられる。固体担体の例としては、乳糖、白土、ショ糖、タルク、ゼラチン、寒天、ペクチン、アラビアゴム(acacia)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸などが挙げられる。液体担体の例としては、グリセロール、リン酸緩衝生理食塩水、水、エマルジョン、各種の湿潤剤などが挙げられる。好適な担体は、上記のものを含み、また当該技術分野で周知の他のものを含む(例えば、レミントンの薬剤科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、Mack Publishing Company、Easton、Pennsylvaniaを参照のこと)。一局面において、医薬組成物は、投与前に希釈剤に溶解されてよい。希釈剤もまた、ボツリヌス神経毒素製品の生物学的活性に影響を与えることのないように選択される。そのような希釈剤の例としては、蒸留水もしくは生理食塩水が挙げられる。さらに、医薬組成物または製剤は、他の担体または非毒性、非治療性、非免疫原性の安定化剤なども含んでよい。したがって、製剤化されたボツリヌス神経毒素製品は、一局面において、液体状あるいは凍結乾燥形態であり得る。一局面において、ボツリヌス神経毒素は、グリセロール、蛋白質性安定化剤(HSA)または非蛋白質性安定化剤(ポリビニル・ピロリドン(PVP)、ヒアルロン酸または遊離アミノ酸(メチオニンまたはヒスチジンなど)など)と共に存在してよい。一局面において、好適な非蛋白質性安定化剤は、国際公開公報第2005/007185号、第2006/020208号、第2018/135722号、第2006/005910号または第2012/134240号に開示されている。本発明に準拠したボツリヌス神経毒素を含むHSAで安定化された製剤の好適な製剤化法は、例えば米国特許第8,398,998B2号に開示されている。
本発明の文脈において、用語「含む(comprises)」または「含んでいる(comprising)」は、「含むが、~にのみ限定されるのもではない(including, but not limited to)」を意味する。この用語は、記載の特徴、要素、整数値、工程もしくは構成成分の存在を特定する際に、非限定的であることを意図するが、1つまたはそれ以上の他の特徴、要素、整数値、工程、構成成分、もしくはそれらの群の存在または追加を除外するものではない。用語「含んでいる(comprising)」は、したがって、より制限的な用語「から成る(consisting of)」および「本質的にから成る(consisting essentially of)」を含む。
本発明の文脈において、用語「約」は、筋肉に実際に投与されたボツリヌス神経毒素の用量の、計算用量からの通常的な偏差を指す。使用のためのボツリヌス神経毒素が注射筒を用いて再構成水溶液として投与されるとき、当業者であれば、このような偏差は計算用量の+/-10%であることを一般的に承認する。
特定の実施態様において、本発明に準拠したボツリヌス神経毒素を含む医薬組成物は、上肢の振戦を治療することにおける使用のためである。
別の一局面において、本発明は、上肢の振戦を治療する方法であって、本発明に従う治療有効量のボツリヌス神経毒素の投与を含む、方法に関する。
実施例
実施例1:NT201を用いる上肢の振戦の一般的治療
NT201(活性成分:NT101、ボツリヌス神経毒素A型、複合体化蛋白質を含まない、米国で採用されている名称:インコボツリヌストキシンA(Incobotulinumtoxin A)、添加剤はヒト血清アルブミンおよびショ糖)は、再構成用のバイアルで提供される。片側治療では、100UのNT201を含むバイアル2本を、8.0ml食塩水で再構成し25U/ml濃度の溶液を提供する。両側治療では、3本または4本のバイアルを、8.0または16.0mlの食塩水で再構成し同じ濃度を提供する。さらなる希釈は、必要はない。
初回の治療では、NT201を、片側の手根/前腕の筋肉に注射し、かつ肘および肩の筋肉にも必ず注射する(以下の表、投与スキームA)。この投与スキームは、いかなる強度(軽度、中等度、重度)の上肢振戦および手根/前腕/肘/肩の筋肉群の何らかの関与を含む上肢振戦を有する全ての患者に適用可能である。
投与スキームBは、熟練した注射担当者により初回に片側または両側に用いられてよく、またはスキームAを用いる患者への初回注射の後に用いられてよい。投与スキームBでは、前腕/手根における自由な筋肉数での振戦性筋肉の選択が、臨床分析に基づき検査担当者により決められ、かつEMGもしくは他の技術的対症手段(例えば、運動学的分析)により補助されてよい。
投与スキームAにおける総用量は、140Uであり、投与スキームBにおける最大許容用量は、患者当たり腕当たり165Uである。前腕の振戦性筋肉は、投与スキームBで最少の4つの筋肉かつ最多の7つの筋肉で処置される。全ての7つの前腕/手根は、投与スキームAで処置される。
両側治療において、総容量は、投与スキームAでは患者当たり280.0Uであり、投与スキームBでは患者当たり330.0Uである。両側治療において、片側治療と同じ投与基準を適用し、これを並行して、治療される腕の両方に適用する。
Figure 2022521237000001
注射は、EMG、超音波または筋肉の電気刺激により導かれてよく、注射担当者の裁量で決定される。これらのガイダンス技術の組み合わせもまた、1人の患者内で利用されてよく、また異なる技術を異なる筋肉に用いてもよい。
実施例:個々の患者の治療
両腕に本態性振戦があり、上肢の運動性振戦に関するTETRASスコアが3(振幅が5cmから10cm未満)である、男性患者が、以下の決められた投与スキームを用いてNT201による治療を受ける:
Figure 2022521237000002
4週間後に、右腕の運動性振戦におけるTETRASスコアが、1スコア点減少する(-33%)。8週間後に、TETRAS スコアが、注射直前と比較して0.5スコア点減少する(-17%)。
半フレキシブルな投与の患者:
手根部の屈曲/伸展で優勢な本態性振戦を主に有し、腕部姿勢による2.5スコア点のTETRASスコア(振戦振幅は、3cmから5cm未満である)を有する、男性患者が、以下の半フレキシブルな投与スキームを用いたNT201治療を受ける:
Figure 2022521237000003
4週間後、TETRASスコアが、1スコア点(-40%)減少する。8週間後に、TETRASスコアが、注射直前のスコアと比較して0.5スコア点(-25%)減少する。
半フレキシブルな投与の患者:
回転成分とともに手根部の屈曲/伸展で優勢な本態性振戦を有し、腕部姿勢による3スコア点のTETRASスコア(振戦振幅は、5cmから10cm未満である)を有する、女性患者が、以下の半フレキシブルな投与スキームを用いたNT201治療を受ける:
Figure 2022521237000004
4週後、TETRASスコアが、1スコア点(-33%)減少する。8週間後に、TETRASスコアが、注射直前のスコアと比較して1スコア点(-33%)さらに減少する。

Claims (20)

  1. 前腕/手根、肘および肩の少なくとも1つの筋肉へのボツリヌス神経毒素の投与を含む上肢の振戦を治療することにおける使用のためのボツリヌス神経毒素であって、2~6Uの範囲の用量で尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に投与されかつ約20Uの用量で肘の少なくとも1つの筋肉に投与されかつ約15Uの用量で肩の少なくとも1つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  2. 請求項1に記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、筋肉当たり4~16Uの範囲の用量で橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に追加で投与される、ボツリヌス神経毒素。
  3. 請求項1に記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、約2.5Uの用量で尺側手根伸筋(ECU)、橈側手根伸筋(ECR)、方形回内筋(PQ)および回外筋の群から選択される前腕/手根の少なくとも1つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  4. 請求項3に記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、筋肉当たり約10Uの用量で橈側手根屈筋(FCR)、尺側手根屈筋(FCU)および円回内筋(PT)の群から選択される手根/前腕の少なくとも1つの筋肉に追加で投与される、ボツリヌス神経毒素。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、総指伸筋には投与されない、ボツリヌス神経毒素。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、前腕/手根の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量が、65Uを超えない、ボツリヌス神経毒素。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、上腕筋および上腕三頭筋の群から選択される肘の少なくとも1つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  8. 請求項1~7のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、上腕二頭筋には投与されない、ボツリヌス神経毒素。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、肘の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量が、40Uを超えない、ボツリヌス神経毒素。
  10. 請求項1~9のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、広背筋、大胸筋、棘上筋および棘下筋の群から選択される肩の少なくとも1つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  11. 請求項1~10のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、三角筋および大円筋には投与されない、ボツリヌス神経毒素。
  12. 請求項1~11のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、肩の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量が、60Uを超えない、ボツリヌス神経毒素。
  13. 請求項1~12のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、前腕/手根、肘および肩の筋肉に投与されるボツリヌス神経毒素の総用量が、165Uを超えない、ボツリヌス神経毒素。
  14. 請求項1に記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、以下のスキーム:
    尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U~5U
    橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U~5U
    橈側手根屈筋(FCR) 約5U~15U
    尺側手根屈筋(FCU) 約5U~15U
    円回内筋(PT) 約5U~15U
    方形回内筋(PQ) 約2.5U~5U
    回外筋 約2.5U~5U
    上腕筋 約20U
    上腕三頭筋 約20U
    広背筋 約15U
    大胸筋 約15U
    棘上筋 約15U
    棘下筋 約15U;
    による用量で前腕/手根の4つ、5つ、6つ、または7つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の4つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  15. 請求項1に記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、以下のスキーム:
    尺側手根伸筋(ECU) 約2.5U
    橈側手根伸筋(ECR) 約2.5U
    橈側手根屈筋(FCR) 約10U
    尺側手根屈筋(FCU) 約10U
    円回内筋(PT) 約10U
    方形回内筋(PQ) 約2.5U
    回外筋 約2.5U
    上腕筋 約20U
    上腕三頭筋 約20U
    広背筋 約15U
    大胸筋 約15U
    棘上筋 約15U
    棘下筋 約15U;
    による用量で前腕/手根の7つの筋肉、肘の2つの筋肉および肩の4つの筋肉に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  16. 請求項1~15のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、ボツリヌス神経毒素複合体の神経毒成分であり、前記神経毒成分が、ボツリヌス菌神経毒複合体の他のいかなる蛋白質成分も含まない、ボツリヌス神経毒素。
  17. 請求項1~16のいずれかに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、血清型A、BおよびEから成る群から選択される、ボツリヌス神経毒素。
  18. 請求項1~17のいずれか一つに記載の使用のためのボツリヌス神経毒素であって、プロプラノロール、プリミドン、他の任意の抗てんかん薬、カルシウムチャンネル遮断薬、脳深部刺激療法(DBS)、磁気共鳴画像誘導高周波超音波療法(MRgHiFUS)、局所電気刺激、バイオフィードバック法、運動学的評価に導かれる刺激療法、抗振戦器具、抗振戦スマートフォンアプリもしくはそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの標準的治療と共に投与される、ボツリヌス神経毒素。
  19. 上肢の振戦を治療することにおける使用のための請求項1~18のいずれか一つに記載のボツリヌス神経毒素を含む医薬組成物。
  20. 上肢の振戦を治療する方法であって、請求項1~19のいずれか一つに記載のボツリヌス神経毒素の治療的有効量の投与を含む、方法。
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