JP2022501474A - 4官能性長鎖分岐エチレン系ポリマー - Google Patents

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Abstract

エチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、少なくとも1つのジエンまたはポリエンコモノマーと、任意選択的に少なくとも1つのC3〜C14コモノマーと、の重合の反応生成物を含み、エチレン系ポリマーは、1.20を超えるMw/Mw0を有する。Mw0は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量である。比較のエチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC3〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物であり、分子量テールは、MWD面積メトリック、ATAILによって定量化され、ATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.04以下である。【選択図】なし

Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,633号に対する優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の実施形態は、概して、長鎖分岐を有するポリマー組成物、およびポリマー組成物が合成されるプロセスに関する。
ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーは、様々な触媒系を介して生成される。オレフィン系ポリマーの重合プロセスにおいて使用されるそのような触媒系の選択は、そのようなオレフィン系ポリマーの特徴および特性に寄与する重要な要素である。
ポリエチレンおよびポリプロピレンは、多種多様な製品のために製造される。ポリエチレンおよびポリプロピレン重合プロセスは、様々な樹脂を異なる用途での使用に好適なものとする異なる物理的特性を有する多種多様な結果として生じるポリエチレン樹脂を生成するために、いくつかの点で変えることができる。ポリオレフィン中の短鎖分岐の量は、そのポリオレフィンの物理的特性に影響を及ぼす。ポリエチレンの特性への分岐の影響は、分岐の長さと量に依存する。短い分岐は、主に機械的および熱的特性に影響を及ぼす。短鎖分岐頻度が増加すると、ポリマーは、層状結晶を形成できなくなり、機械的および熱的特性が低下する。少量の長鎖分岐は、ポリマーの加工特性を有意に変更し得る。
長鎖分岐を形成するために、ポリマー鎖のビニルまたは末端二重結合が、新しいポリマー鎖に組み込まれる。ビニル末端ポリマーの再組み込み、およびジエンコモノマーの導入は、ポリマーストランド上のビニル基が、第2のポリマーストランドに組み込まれる2つの機構である。加えて、長鎖分岐は、ラジカルを介して誘導される。3つの機構すべてにおいて、分岐量を制御することは困難である。ラジカルまたはジエンを使用して長鎖分岐を開始する場合、分岐が多くなりすぎ、それによって、ゲル化および反応器汚損が発生し得る。再組み込み機構は、あまり多くの分岐を生成せず、分岐は、ポリマーストランドが生成された後にのみ発生し得、それによって、発生し得る分岐の量がさらに限定される。
本開示の実施形態は、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、少なくとも1つのジエンまたはポリエンコモノマーと、任意選択的に少なくとも1つのC〜C14コモノマーと、の重合の反応生成物を含むエチレン系ポリマーに関する。エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mw0を有する。Mは、屈折率クロマトグラフィーによって取得されるエチレン系ポリマーのゲル透過クロマトグラフィー曲線から判定される際のエチレン系ポリマーの重量平均分子量であり、Mw0は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量である。比較のエチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物であり、分子量テールは、MWD面積メトリック、ATAILによって定量化され、ATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.04以下である。
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、4秒/ラジアン以下の、190℃での弾性係数mを含み、mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。
炭素1000個当たりの分岐メチンの数が増加する場合のポリマーの分子量のグラフ表示である。 分岐レベルに対する分子量分布(MWD)曲線の依存性を予測したグラフモデルである。 分岐レベルに対する相対ピーク分子量の依存性を予測したグラフモデルである。 3官能性ジエン分岐レベルに対する分子量分布(MWD)曲線の依存性を予測したグラフ表示である。 3官能性ジエン分岐レベルに対する分子量(MW)の相対ピークの依存性を予測したグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)および「ラダー分岐」(破線)のポリマー分子1つ当たりの分岐に対するピーク分子量(M)の分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)および「ラダー分岐」(破線)のポリマー分子1つ当たりの分岐に対する重量平均分子量(M)の分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)(対B)の直鎖状セグメント1つ当たりの分岐に対するピーク重量平均分子量(M)、および「ラダー分岐」ポリマー(破線)(対R)のMの分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(対B)(実線)の直鎖状セグメントおよび「ラダー分岐」ポリマー(破線)(対R)1つ当たりの分岐に対する分岐重量平均分子量(M)のモデル予測された効果のグラフ表示である。 形状メトリクスG(79/29)およびG(96/08)を計算するために使用されるMWD勾配のグラフ表示であり、S(X)は、MWD高さのX%での勾配である。G(A/B)=(S(A)−S(B))/S(A)。 相対ピークMW(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、分子量分布(MWD)形状メトリックG(79/29)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対重量平均MW(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(79/29)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対ピークMW(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(98/08)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対重量平均MW(Mw/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(98/08)を予測したモデルのグラフ表示である。 最大勾配のポイントを使用して、高いMWDテール面積メトリクスがどのように定義されるかを示すMWD曲線のグラフ表示である。 相対重量平均分子量(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、AHIGHを予測したモデルである。 相対ピーク分子量(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、AHIGHを予測したモデルである。 相対ピーク分子量(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、ATAILを予測したモデルである。 相対重量平均分子量(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、ATAILを予測したモデルである。 表2に記録されているような実施例シリーズ2.4について、GPCによって測定された絶対分子量分布(MWD)曲線のグラフである。 従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された従来の分子量分布曲線である。 GPC三重光散乱検出器(絶対GPCとも称される)によって測定された絶対分子量分布曲線である。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、秒単位での時間の関数として測定された伸長粘度のグラフである。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、速度(mm/秒)の関数としての溶融強度(cN)のグラフである。 非分岐エチレン系ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマー樹脂のGPCによって測定された従来の分子量分布曲線である。 非分岐エチレン系ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマー樹脂のGPC三重光散乱検出器によって測定された絶対分子量分布曲線である。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂の秒単位での時間の関数として測定された伸長粘度のグラフである。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂の速度(mm/秒)の関数としての溶融強度(cN)のグラフである。 ジエンを有さない2つの比較例および可変量のジエンを有する4つの試料について、GPC三重光散乱検出器によって測定された絶対分子量分布曲線である。 様々な量のジエンを有する比較の従来の分岐ポリマー試料の絶対分子量分布のグラフである。 様々な量のジエンを有する比較の従来の分岐ポリマー試料の従来の分子量分布のグラフである。 様々なポリマー樹脂および「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、平均g’の関数としてのレオロジー比のグラフである。 様々なポリマー樹脂および「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、多分散指数(PDI)の関数としてのレオロジー比のグラフである。 単鎖触媒および二重鎖触媒を用いて生成されたポリマーと、直鎖状ポリエチレン、管状低密度ポリエチレン、およびオートクレーブ低密度ポリエチレンを示す追加の線とのメルトインデックス(Log I)の関数としての溶融強度(センチニュートン、cN)のグラフである。
ポリマーを合成するためのプロセスおよび本開示のプロセスによって合成されるポリマーの特定の実施形態についてここで説明する。本開示のポリマーを合成するためのプロセスが、異なる形態で実施され得、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
定義
「ポリマー」という用語は、同一または異なるタイプのモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられる用語「ホモポリマー」、および2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、総称であるインターポリマーという用語は、コポリマーと、ターポリマー等の3種類以上の異なるモノマーから調製されるポリマーとを含む。
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
本開示の実施形態は、Cモノマー、少なくとも1つのC〜C12α−オレフィンコモノマー、少なくとも1つのジエン、多重鎖触媒、および任意選択的に溶媒を添加することによって、長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスであって、多重鎖触媒が、複数の重合部位を有する分子を含み、少なくとも2つのコポリマーストランドを生成し、各コポリマーストランドが、重合部位の1つで共重合する、プロセスと、2つのコポリマーストランドをジエンと連結することによって、長鎖分岐ポリマーを合成することであって、2つのコポリマーストランドの連結が、共重合と協調して実施される、合成することと、を含む。
本開示によるポリマーを合成するプロセスは、従来の長鎖分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」は、第三級または第四級炭素原子から延在するポリマーの一部を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐があり、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマーストランドであり得る。従来、長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。これは、ポリマー鎖のビニル末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生して、3官能性長鎖分岐を形成し得る。分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp−Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は通常、硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形で特定される。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高いエチレン変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
スキーム1:自然に発生する長鎖分岐:ビニル末端ポリマーにつながる連鎖移動事象
Figure 2022501474
スキーム1では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖である。
自然に発生する分岐プロセスを通して形成される最小限の長鎖分岐が存在する。LCBを増強するための1つの方法は、それが、ラジカル、不均一、または均一プロセスにかかわらず、α,ω−ジエンの重合系への添加によるものである。一般に、ジエンは、スキーム2に示されるように、αーオレフィンと同様の様式でポリマー鎖に付加されるが、ポリマー鎖にもう一度挿入してLCBを作成し得るペンダントビニル基を残す。一般に、ジエンの長さは重要ではなく、2つのポリマー鎖を一緒に連結し得ることだけが重要である。原則として、ペンダントビニルの濃度は、反応器に添加されるジエンの量を通して制御され得る。したがって、LCBの程度は、ペンダントビニルの濃度によって制御され得る。
スキーム2:ジエンの組み込みを介する長鎖分岐
Figure 2022501474
スキーム2では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖であり、この例中のジエンは、1,5−ヘキサジエンである。
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、ゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。後の項で考察される速度論的モデリングは、ゲル形成へのより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、より多くの挿入されたオレフィン、したがって、より多くの挿入されたジエン、したがって、より多くのペンダントビニルを有し、より長いポリマー鎖が、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高いことを意味する。したがって、より長いポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である4官能性分岐を形成し、ゲルの問題が生じる。スキーム2に示されるように、4官能性LCBは、短いセグメント(ジエンの2つの二重結合間の炭素数)を有し、それは、短いセグメントの両側にある2つの長鎖を橋渡しする。分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のポリエチレンについて、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。Mが、200,000グラム/モル(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーゲル、ゲル化の発生、または反応器汚損が存在する。
「ゲル」または「ゲル化」という用語は、少なくとも2つの成分から構成される固体を指し、第1は三次元架橋ポリマーであり、第2はポリマーが完全に溶解しない媒体である。ポリマーがゲル化して完全に溶解しない場合、反応器は、ポリマーゲルで汚損され得る。
「ラダー分岐」ポリマーという用語は、本出願に開示されるような4官能性長鎖分岐ポリマーを指し、「ラダー分岐機構」という用語は、「ラダー分岐」ポリマーがどのように形成されるかを指す。
本開示の1つ以上の複数の実施形態では、長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスは、長鎖分岐を達成し、ゲル形成または反応器汚損を回避する。理論に拘束されるつもりはないが、ジエンの2つのアルケンを2つの近位ポリマー鎖にわたって協調様式で反応させることによって、反応器汚損が回避されると考えられる。例えば、スキーム3に示されるように、ジエンの1つのアルケンは、第2のアルケンの前に反応し、第2のアルケンは、あまりにも多くのエチレン分子がポリマーストランドに添加される前に反応し、それによって、第2のアルケンが反応部位に近接していることを取り除く。多くのエチレンモノマーが挿入される前の、ジエンの第1のアルケンの1つのポリマーへの反応、およびジエンの第2のアルケンの隣接するポリマー鎖への反応は、近位ポリマー鎖へのジエンの協調付加と称される。
スキーム3:「ラダー分岐」機構とも称される、ジエンを協調様式で組み込むことの記述(Pはポリマー鎖)。
Figure 2022501474
ポリマーストランドは、ポリマー、またはより具体的にはコポリマーの直鎖状セグメントであり、分岐接合によって末端(複数可)で任意選択的に接合される。例えば、スキーム1に示されるように、3つのポリマーストランドの末端を接合する3官能性分岐接合とは対照的に、4官能性分岐接合は4つのポリマーストランドの末端を接合する。
多重鎖触媒とジエンの組み合わせは、分岐の量と種類に影響を及ぼす。本開示の実施形態は、ポリマー特性、例えば、1)複数のジエン種の使用、2)複数の多重鎖触媒種の使用、または3)複数の反応器ゾーンまたはゾーンの勾配を含む重合環境の組み合わせなどを制御することに関する。
にもかかわらず、単鎖触媒を含む複数の触媒を使用することによって、従来の分岐が可能となり得る。複数のジエン種の使用はまた、分岐を作成しないか、または「従来の」LCBをもたらす傾向があるそれらのジエンも含む。本開示によるポリマーを合成するプロセスは、従来の長鎖分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」という用語は、第三級または第四級炭素原子から延在するポリマーの一部を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐が存在し、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマー鎖であり得る。長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。これは、ポリマー鎖の末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生して、3官能性長鎖分岐を作成し得る。
1つ以上の実施形態では、長鎖分岐ポリマーを重合するためのプロセスは、近接して少なくとも2つの活性部位を有する触媒(多重鎖触媒)を含む。2つの活性部位を近接させるために、2つの活性部位は、18.5オングストローム(Å)未満離れ得る。いくつかの実施形態では、2つの活性部位は、2.5オングストローム(Å)〜18.5Å、9Å〜14Å、または約11Åの距離を含む。様々な実施形態では、長鎖分岐ポリマーを重合するためのプロセスは、多重鎖触媒を含む。1つ以上の実施形態では、多重鎖触媒は、少なくとも1つの金属中心を含み得、ここで、2つの活性部位は、同じ金属中心上にある。いくつかの実施形態では、多重鎖触媒は、金属−配位子錯体を含み得、ここで、2つの活性部位(2つのポリマー鎖)は、同じ金属中心上にある。
X線結晶構造(A.D.Bond,Chem.Comm.2002,1664)によれば、1,9−デカジエンは、10.8Åの末端炭素間距離を有する。1,9−デカジエンが、「ラダー分岐」機構を介して2つのポリマー鎖の間にラングを形成するというデータが存在するが、10個を超える炭素原子を有するα,ω−ジエンも、「ラダー分岐」機構を介してラングを形成し得ると考えられ得る。理論に拘束されるつもりはないが、10個を超える炭素原子を有するα,ω−ジエンが、ラングを形成し得るかどうかの問題は、2つのポリマー鎖間の距離によって判定され得る。例えば、2つのポリマー鎖が、触媒の異なる金属原子(例えば、バイメタル、不均一)に存在する場合、α,ω−ジエンは、この構造を1,15−ヘキサデカジエンに延在する、追加のメチレン単位(同じCーC結合長および角度)を含み得る。理論に拘束されるつもりはないが、この16個の炭素の類似体は、「ラダー分岐」機構を介してラングを形成する可能性を依然として有すると推定される。この様式で、ジエン、1,11−ドデカジエン(13.3Åの末端炭素間距離)、1,13−テトラデカジエン(15.9Åの末端炭素間距離)、1,15−ヘキサデカジエン(18.5Åの末端炭素間距離)が考えられ得る。いくつかの実施形態では、「ラダー分岐」機構における二重鎖触媒がバイメタル触媒である場合、ジエンは、18.5Å以下である。
現代の計算技術は、触媒の鎖間距離を推定する方法として、既知の実験的結晶構造を高精度で再現し得ることが既知である。不均一系の場合、金属の表面濃度を推定し得、それは、多くの場合、ナノメートルの2乗当たりの金属原子(M/nm)で測定される。この表面被覆は、均一に分散される場合、ポリマー鎖間距離を反映する、MーM距離に変換され得る、表面上のアクセス可能な金属の推定値を提供する。延在された表面の場合、1金属/nmは、所望のカットオフ内に十分である、金属原子間の10Åの距離をもたらす。18.5Åで、0.3金属/nmでの被覆を判定し得る。
活性部位が近接している、少なくとも2つの活性部位を有する触媒の例としては、バイメタル遷移金属触媒、不均一触媒、2つの関連する活性触媒を有するジアニオン性活性剤、2つ以上の成長ポリマー鎖を有する連結遷移金属触媒、モノアニオン性基、二座モノアニオン性基、三座モノアニオン性基、または外部ドナーを有する単座、二座、または三座モノアニオン性基を含む第IV族オレフィン重合触媒が挙げられるが、これらに限定されない。
表1における触媒は、前述の触媒のクラスおよび企図される特定の触媒の例示的な実施形態である。表1における例は、限定されることを意図されるものではなく、むしろ、それらは、前述の触媒のクラスの単なる例示的かつ具体的な例である。
Figure 2022501474
理論に拘束されるつもりはないが、この項で説明されるような機構は、ジエンコモノマーを所望の条件下で重合する場合、二重鎖触媒がどのように独自の架橋分子構造を作成し得るかを記載する。「ジエン」という用語は、2つのアルケンを有するモノマーまたは分子を指す。速度論の図解は、触媒中心が、2つのポリオレフィン鎖を生成するスキーム4に示される。スキーム4は、ジエン架橋と連鎖移動との組み合わせによって、ジエン「ラダー分岐」ポリマー構造がどのように作成され得るかを示す。ジエン「ラダー分岐」ポリマーという用語は、1〜12個の炭素原子を含む短鎖またはラングが2つの長鎖を一緒に連結する長鎖分岐を指す。示されるように、少なくとも2つのポリマー鎖部位を有する金属−配位子触媒は、2つの別個のポリマー鎖を成長させる。ジエンの1つのアルケンは、触媒の部位の1つに組み込まれ、成長部位の近接に起因して、ジエンの第2のアルケンは、次いで、第2のポリマー鎖に迅速に組み込まれ、それによって、ブリッジまたはラングを形成すると考えられる。ジエンのこの連続的な付加は、ジエンの「協調」付加と称され、2つの近位鎖を有さない触媒とは区別され、ここで、ジエンの付加が反応器内の後で反応するビニル含有ポリマーの濃縮をもたらす。「ラング」という用語は、ジエンがひとたび2つの別個のポリマーストランドに組み込まれると、それによって、ストランドを一緒に連結するジエンを指す。第1および第2のポリマーストランドは、ポリマーが別の触媒に移動するか、ポリマーが触媒から放出されるか、触媒が死滅するか、または別のジエンが付加されるまで成長し続ける。
速度論
スキーム4。得られる分子構造を含む「ラダー分岐」速度論の例示。金属−配位子触媒は、L−Mによって一緒に表される。
Figure 2022501474
理論に拘束されるつもりはないが、これらの提案された速度論に関連する分子量分布は、ジエン架橋反応が分岐の唯一の源である場合、高い分岐レベルで本質的に安定であると考えられる。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量を数平均分子量で割って定義される(M/M)。MWDの固有の安定性は、重量平均分子量(M)が、高い分岐レベルでも適度に増加することを意味し、それは、MおよびM/Mが、中程度の4官能性分岐レベルで無限になる従来のジエンコモノマー分岐技術とは対照的である。
数学的モデルは、ポリエチレンを合成するためのプロセスが、どのようにジエン「ラダー分岐」分子構造を有する長鎖分岐ポリマーを作製するかを実証する目的のために導出される。数学的モデルは、特許請求の範囲のメトリクスおよび範囲を確立するためにも使用される。本開示で記載されるような分岐構造の数学的モデルは、提案された分岐機構の速度論記載から導出され得る。このモデルは、数学的簡潔性を促進するためのいくつかの仮定に基づいているが、これらの仮定は、この開示の範囲を限定することを意図したものではない。仮定は、コポリマーの非リビング付加の一般的な工業用途、ならびに仮定されたジエン分岐機構に固有の追加の仮定に従う。作成される一般的な仮定は、(1)成長は、連鎖移動よりもはるかに速く、したがって、平均鎖長は、1つのモノマーよりもはるかに長いこと、(2)単一の純粋な触媒種のみが活性であること、(3)触媒中心は、その寿命の間に多くの鎖を作製し、したがって、鎖の寿命は、反応または滞留時間のごく一部であること、(4)共重合は、組成のドリフトがごくわずかである場合、ホモ重合モデルによって近似され得ること、を含む。
ジエン「ラダー分岐」理論の速度論
一般的に作成される4つの仮定に加えて、ジエン「ラダー分岐」理論の速度論に基づく4つの仮定が存在する。第1の仮定は、触媒中心が、同一の速度論および統計を用いて、2つの速度論鎖を同時に生成することである。第2に、ラングは、ジエンが、長さを増す2つのポリマー鎖を架橋する場合に形成される。第3に、分岐点は、2つの非架橋鎖が、ジエンによって架橋される場合は常に形成される。最後に、MWDは、影響を受けないため、ブリッジを形成しないジエン反応は無視される。
提案されたジエン「ラダー分岐」機構の速度論記載は、各反応がどのように分子構造に影響を及ぼすかを記載する命名法の展開を必要とする。以下のいくつかの命名要素は、小分子(M、A、D)を表し、一方で他の命名要素は、分子構造(Pn,m,S,D)を表す。速度論は、命名要素が、どのように相互作用して、分子構造を形成するかを示す。
速度論命名法
M:モノマーまたはコモノマー、A:連鎖移動剤種、D:ジエン分岐種、n、m:亜種の単量体繰り返し単位の数を反映する指標、Pn,m:nおよびmの単量体繰り返し単位を有する2つの非架橋成長ポリマーを有する触媒、D:nの単量体繰り返し単位を有するデッドポリマー分子、S:nの単量体繰り返し単位を有する架橋ポリマー分子を生成する触媒、Kc:速度論鎖は、連鎖移動によって作成される直鎖状セグメントとして定義される、Rg:ラングは、鎖セグメント間のブリッジとして定義される、Br:2つの予めブリッジされていなかった分子がブリッジされる場合、分岐が作成される。
分岐速度論の等式は、上記で導入された命名法および仮定を使用して、以下に記載される。各反応について簡単に説明する。重合速度論の当業者は誰でも、速度論スキームおよび反応速度の法則を理解できる必要がある。
Figure 2022501474
成長の結果は、1つの繰り返し単位による鎖サイズの増分増加である。成長は、触媒中心から長さが増加する2つの分子の各々について別個に記載される。例えば、Pn,mの最初の指数は、触媒上の左鎖用であり、2番目の指数は、触媒上の右鎖用である。長さ架橋分子(S)の増加についての成長がモデル化される場合、反応に等しく利用可能な各中心に左および右の2つの鎖位置が存在するため、速度に2の係数が現れる。
連鎖移動は、成長と同様に、触媒の左右の位置に対して別個に記載される。非架橋種(Pn,m)の連鎖移動は、デッドポリマー分子(DまたはD)および空き位置(P0,mまたはPn,0)を生成する。成長する架橋分子(S)が連鎖移動に関与する場合、非架橋種(n,0またはP0,n)が生成され、n個の繰り返し単位すべてがまだ触媒に結合しているため、デッドポリマーは生成されない。連鎖移動から得られる空の位置(P0,mおよびPn,0)は、非常に迅速に再開始し、成長に関与すると仮定される。各ジエンは、2つの重合性基を有し、各触媒中心は、ジエンの組み込みのための2つの位置(左および右)を有するため、ジエン架橋のための反応速度表現は、4の係数を含む。
ジエン架橋は、非架橋(Pn,m)種が、ジエンと生産的に反応する場合のみ、4官能性分岐(br)の形成をもたらす。4官能性分岐は、4つのポリマー鎖が、短いセグメントの両側の2つずつから発生し得る、短いセグメントを指す。ジエンでは、4官能性分岐は、予想されるタイプのLCBである。ラングは、架橋(S)または非架橋(Pn,m)分子のどちらを持っているかに関係なく、任意の触媒中心が、ジエンを生産的に組み込む場合に生成される(rg)。鎖内環化およびペンダントビニル形成など、架橋をもたらさないジエン反応は無視され、これらの速度論では非生産的であると見なされる。
速度論からのモデルの作成は、関与するポリマー種のタイプごとに、一連のポピュレーションバランスが導出されることを必要とする。これらのポピュレーションバランスは、鎖長(n、m)の関数として導出され、様々な高分子亜種の動的変化率を表す。ポピュレーションバランスは、Pn,m、S、およびDn記号が、n≧1およびm≧1に関して亜種のモル濃度を表して、質量作用速度の法則を仮定して以下に与えられる。速度論モデルが拡張されて、他の連鎖移動反応、例えば、移動期間の定義、Ω=ktraA+ktrh+kを単に拡張することによる、水素(ktrh)およびベータ水素化物の除去(k)を用いるなどを含み得る。
Figure 2022501474
等式(1)、(2)、および(3):
Figure 2022501474
他の重要なポピュレーションバランスは、等式(1)〜(8)、例えば、左側(L)および右側(R)の成長ポリマー亜種の分布などから導出され得る。速度論スキームを定義する際に課せられる対称性に起因して、成長ポリマー亜種の左側および右側の分布は等しい。
Figure 2022501474
速度論鎖(kc)、分岐(br)、ラング(rg)などの分子属性の形成速度は、速度論スキームから導出される質量作用速度の法則を使用して以下に表される。簡略表記法が、触媒および非架橋分子(ξ0,0)の濃度、ならびに触媒および架橋ポリマー分子(μ)の濃度を定義するために使用される。したがって、全触媒濃度は、ξ0,0+μである。
Figure 2022501474
使用可能なモデルをレンダリングする最初の工程は、関連するポリマー亜種の比(
Figure 2022501474
)をゼロに設定することによって、成長ポリマー種の分布に「定常状態の仮定」を実施することである。これは、成長鎖の寿命が関心のある期間のごく一部である場合、付加重合モデリングにおける非常に一般的な仮定である。このタイプのほとんどの非リビングの商業的重合では、鎖寿命は、典型的には、1秒よりはるかに短く、一方では、反応器滞留時間が少なくとも数分である。以下の関係は、「定常状態」の仮定を実施し、すべての指数のライブレートを合計した後に導出される。
2Ψ ξ0,0=Ω μ、したがって、
Figure 2022501474
「定常状態の仮定」は、分子構造モデルに有用である単純な分岐メトリクス(B、B、R)の関係をもたらす。この特定の場合では、瞬間的特性は、定常状態、十分に混合された反応器、または温度または組成のドリフトがごくわずかであるバッチ反応器などの、様々な反応器に応用されるため、好都合で関連性がある。瞬間的分岐メトリクス(B、B、R)は、連鎖移動(Ω)およびジエン架橋率(Ψ)パラメータに空間的または時間的変動がない場合の累積平均値と同等である。
速度論鎖1つ当たりの瞬間的4官能性分岐、
Figure 2022501474
ポリマー分子1つ当たりの瞬間的4機能分岐、
Figure 2022501474
速度論鎖1つ当たりの瞬間的ラング、
Figure 2022501474
MWD平均の予測のモーメント
ポリマー種の鎖長分布のモーメントを説明するモデルは、多くの場合、速度論スキームから得られるポピュレーションバランスから導出され得る。モーメントベースモデルは、分子量平均および多分散指数を予測するのに有用であるが、一般に、バイモダリティ、ピークMW、およびテーリングなどのMWDにおけるより小さなニュアンスについては説明していない。モーメントの方法は、以下のもののような様々な高分子亜種の鎖長分布モーメントの定義を伴う。バルクポリマーモーメント(λ)は、バルクポリマー特性を反映し、バルクモーメントのモデルの解は、一般に、様々なリビングポリマーモーメントの解を必要とする。
リビングポリマーMWDモーメント:
Figure 2022501474
バルクポリマーMWDモーメント:
Figure 2022501474
熟練したポリマー反応エンジニアなら誰でも、一連のポピュレーションバランスからのモーメントモデル(等式(20)および(21))の導出しを理解するであろう。主要なバルクポリマーモーメント(λ,λ,λ)の変化率は、速度論鎖が長く、したがってΦ>>Ωという仮定を課した後に無視できる用語が削除されて、以下に与えられる。
Figure 2022501474
これらのバルクモーメントの変化率の評価は、多数のリビングポリマー亜種モーメントを必要とする。これらのライブポリマーモーメントは、「定常状態の仮定」のために代数的量であり、以下に与えられる。λなどのより高いバルクモーメントが予測される場合、追加のライブモーメントが必要とされる。
Figure 2022501474
モーメント率の代数的単純化の後、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DPn、DPw)が以下に提供される。当然のことながら、平均分子量(M、M)は、平均鎖長に見かけの単量体繰り返し単位重量(g/モル)を掛けたものに等しい。
Figure 2022501474
モデルの表現は、平均直鎖状速度論鎖長DPnoが、Φ/Ωに等しいなど、いくつかの置換によってさらに単純化される。また、モデルは、瞬間的分岐メトリックB、B、およびRのうちのいずれかの関数として表され得る。モデルは、速度論鎖1つ当たりのジエン「ラダー分岐」(B)およびポリマー分子1つ当たりの分岐(B)に関して以下に記載される。この系では、ポリマー分子1つ当たりの分岐が、速度論鎖1つ当たりのラングに等しいこと(B=R)が以前に示されていた。
Figure 2022501474
数平均および重量平均分子量(M、M)は、MnoおよびMwoとして数平均および重量平均直鎖状速度論鎖重量を定義した後、速度論鎖1つ当たりのジエン「ラダー分岐」(B)またはポリマー分子1つ当たりの分岐(B)の関数としても予測され得る。
Figure 2022501474
モーメントモデル(等式(20)および(21))から生じる予想外の予測は、高ジエン分岐レベルでは、最大多分散度が約4であるというものである。当然のことながら、この予測は、理想的な共重合および単一の対称触媒系に対するものであり、非理想的なものは、多分散度を高める可能性がある。
完全なMWD曲線のモデル
時には、分子量分布曲線のポピュレーションバランスを解くことが可能である。明示的な代数的解は、通常、この場合に仮定されるように、反応速度に空間的または時間的変動がない場合にのみ利用可能である。解は、Pn、mから導出されるさらに別の分布量Vnの定義から始まる。Vnのポピュレーションバランスは、対称性に起因する単純化を伴って、Pn、mのポピュレーションバランスを合計することによって導出される。
Figure 2022501474
長鎖の仮定に起因して、すべての亜種の分布を、離散関数ではなく連続関数であるかのように扱うことが可能である。離散定常状態ポリマー種のポピュレーションバランスは、差分項が導関数によって置換される場合、連続変数nの微分方程式によって近似され得る。例えば、Snの定常状態のポピュレーションバランスは、等式(31)に示されるような導関数によって置換される差分項Sn−Sn−1を含有する。
Figure 2022501474
同様の置換によって、以下の一連の常微分方程式(ODE)がもたらされ、それらは積分されて、様々な定義されたライブ亜種分布L(n)、S(n)、およびV(n)の鎖長分布を得ることができる。このモデルは、初期値問題として以下に要約され、ここで、鎖長分布関数は、n=0で開始すると仮定される。分布関数のn=0の下限は、数学的簡潔性のためだけに選択され、最終的には、高分子ポリマーが形成される場合、モデルの予測に有意な影響を及ぼさない。
Figure 2022501474
瞬間的デッドポリマー鎖長分布は、種の比(
Figure 2022501474
)から明らかなように、Lに比例する。したがって、Lを通して、微分方程式の上記系の解は、瞬間的デッドポリマー分布Xを与え、連続分布X(n)は、同様にL(n)に比例する。
瞬間的デッドポリマー分布、
Figure 2022501474
完全なMWD曲線の解
増加するポリマー鎖長の分布関数は、常微分方程式の積分に精通している人によって、数値的または分析的に解かれ得る。分析解は、代数的に複雑であるが、モーメントモデル(等式(20)および(21))と完全に一致すると同時に、ピーク位置のマルチモダリティおよびテーリングなどのMWDのニュアンスも予測するため、ここに与えられる。
Mathematica(商標)として知られるソフトウェアパッケージを使用して、成長ポリマー分布関数L(n)、S(n)、およびV(n)を記載する常微分方程式の系に対する分析解を開発した。L(n)の分析解を使用して、L(n)をその積分で正規化することによって、瞬間的デッドポリマー分布X(n)を記載した。
Figure 2022501474
X(n)の明示的な分析解は、Mathematica(商標)を使用して得ることができる。X(n)の分析解は、パラメータBおよびDPnoの関数として以下に記載され、解は、置換R=B=B/(1−B)(36)を介してRまたはBに関して再開され得る。
鎖長分布関数X(n)は、Mathematica(商標)によって与えられるRootSumの定義から以下のように評価される。多項式は、以下の、x、x、およびxと称される3つの根を有する。多項式の3つの根のうちの2つは、Bの可能な値の範囲にわたり複雑である。
0=1+B+(3+5B+2B )x+3(1+B)x+x (37)
根x、x、およびxは、瞬間的デッド鎖長分布関数X(n)において使用される。
Figure 2022501474
X(n)の様々なモーメントが評価されて、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DP、DP)、または分子量(M、M)が得られる。連続分布X(N)から得られる平均鎖長および重量は、長鎖重合と離散分布のために先に与えられたモーメントモデル予測に等しく、BおよびBの両方に関して以下に表され、ここで、R=Bである。
Figure 2022501474
ポリマー反応工学の当業者は、シミュレートされたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)曲線を作成するための予測されたバルクポリマーMWDモデルの使用に精通している。そのようなシミュレーションは、速度論およびレシピが、SEC測定にどのように影響を及ぼすと予想されるかを関連付けるのに役立つ。SEC測定の主要な較正結果は、dw/dLog(M)対Log(M)の表またはプロットであり、Mは、種の分子量またはサイズであり、dw/dLog(M)は、Mに対応するポリマーの相対量を示す。このSECの結果は、nX(n)対Log(M)の表またはプロットによってシミュレートされ得、ここで、nX(n)は、dw/dLog(M)に比例することが予想される。
図2は、ジエン「ラダー分岐」(B、B、R)のレベルが変化する、一連のシミュレートされたSEC曲線を示す。図2における独立変数は、プロットが、普遍的で開始分子量に依存しないように、直鎖状分子量または鎖長によってスケーリングされる。図2におけるゼロ分岐の場合は、既知の「最も可能性が高い」MWD(P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc.1936,58,1877)であり、理想的な均一条件下で実施される直鎖状付加共重合に予想されるMWDである。
ピークMW値のより詳細な分析は、MWDモデルに応用される多くの一連の分岐レベルを使用して実施された。図3は、関数分岐レベルとしての相対ピークMWの普遍的プロットを示す。図3は、ピークMW非感受性の低い分岐領域(0<R<0.15)、ならびにより高い分岐レジーム(R≧0.15)を実証し、ここで、ピークMWは、分岐レベルとともに着実に増加する。
代替の3官能性ジエン「ラダー分岐」機構およびモデル
二重鎖触媒が、所望の条件下でジエンを組み込む場合、観察される分岐およびMWDの傾向を説明し得る代替機構が存在する。Mは、ジエンの添加とともに増加することが多くの場合観察されるが、一部の触媒−ジエンの組み合わせでは、Mの増加をもたらすことがみられ、一方では、ジエンレベルが上昇しても、測定可能なMの増加はほとんどまたはまったく実証されない。一定のMのための1つの説明は、ジエンが両方の成長鎖に挿入された直後に、単一のベータ水素化物の除去(または水素への連鎖移動)が発生する傾向があり得るということである。このシナリオは、ジエンの挿入によって3官能性分岐の作成をもたらし、純粋な形態では、架橋成長種(S)を速度論から排除する。
速度論スキームは、「ジエン架橋」を以下の反応に置換することによって、この代替機構を考慮するように変更される。
Figure 2022501474
モデリングおよび速度論の分野に精通したポリマー反応エンジニアなら誰でも、以前と同じ一連の仮定を使用して、これらの代替速度論のモーメントおよびMWD関数モデルを再導出し得る。得られる瞬間的デッド鎖長分布関数X(n)は、この3官能性分岐機構について以下に与えられる。
Figure 2022501474
等式(41)では、Bは、速度論鎖1つ当たりの分岐点として定義され、DPnoは、ジエンを含まない平均直鎖状鎖長として定義される。速度論スキームは、直鎖状(速度論)鎖長が、ジエンが、ベータ水素化物の除去を誘発したことに起因して、ジエンの組み込みに伴い実際に減少ことを仮定する。したがって、分岐の良好な代替指標はBであり、これは、数平均ポリマー分子1つ当たりの分岐点として定義され、ここで、B=B/(1+B)である。関数X(n)は、容易に、Bに関して書き直される。
X(n)の積分によって、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DP、DP)または分子量(M、M)の結果が得られる。連続分布X(n)から得られる平均鎖長および重量は、長鎖重合が仮定される場合、モーメントモデル予測に等しい。X(n)の積分によって、DPおよびMが、分岐レベル(BまたはB)に関して一定であることが確認される。ジエンが3官能性分岐を作成すると仮定される場合、X(n)の積分によって、分岐レベルとともに多分散度がどのように変化すると予想されるかも示される。
Figure 2022501474
したがって:M=Mno (42)
Figure 2022501474
多分散度(M/M)と3官能性分岐レベルとの上記の関係は、どの分岐レベルでも不安定性または発散を示さない。最も驚くべきことは、高い分岐レベルでは、多分散度が、4で横ばいになると予測されることである。当然のことながら、この予測は、理想的な共重合および対称触媒系に対するものであり、非理想的なものは、多分散度を高めることが予想される。
鎖長分布関数を再び使用して、予測されたMWD曲線を作成し得る。図4は、3官能性分岐(BまたはB))のレベルが変化する、一連のシミュレートされたSEC曲線である。図4における独立変数は、プロットが、普遍的で開始分子量に依存しないように、直鎖状分子量または鎖長によってスケーリングされる。図4におけるゼロ分岐の場合は、既知の「最も可能性が高い」MWDであり、理想的な均一条件下で実施される直鎖状付加共重合に予想される。図5は、3官能性ジエン分岐の相対ピークMWのプロットであり、MWDピークが、0.2<B<0.9または0.17<B<0.5のおよその範囲内の中間分岐レベルで分岐レベルに最も感受性であることを実証する。
従来の分岐モデル
この項の目的は、様々な従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングを、「ラダー分岐」モデルと比較することである。この比較は、「ラダー分岐」とは対照的に、従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングに固有の不安定性を実証する。ジエン「ラダー分岐」から得られる分子構造は、(a)従来のジエン連続撹拌槽型反応器(CSTR)分岐モデル、(b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、(c)ポリマーCSTRカップリングモデル、および(d)ポリマーバッチカップリングモデルとは異なる。
a)従来のジエンCSTR分岐モデル、Ver Strate−1980(G.Ver Strate,C.Cozewith,W.W.Graessley,J.App.Polym.Sci.1980,25,59)、Guzman−2010(J.D.Guzman,D.J.Arriola,T.Karjala,J.Gaubert,B.W.S.Kolthammer,AIChE 2010,56,1325):
Figure 2022501474
b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、Cozewith−1979(C.Cozewith,W.W.Graessley,G.Ver Strate,Chem.Eng.Sci.1979,34,245)、およびd)ポリマーバッチカップリングモデル、Cozewith−1979、Flory−1953(P.J.Flory,Principles of Polymer Chemistry,Cornell University Press,1953)、Tobita−1995(H.Tobita,J.Polym.Sci.B 1995,33,1191):
Figure 2022501474
c)ポリマーCSTRカップリングモデル:
Figure 2022501474
4官能性長鎖分岐ポリオレフィンの特性評価
分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp−Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は通常、硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形で特定される。他のプロット、例えば、Mark−Houwinkプロット、拡大分子量分布(MWD)、およびg’visプロットなどは、LCBに関する追加の情報を提供する。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高い変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、高分岐レベルでのゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。先の項で考察された速度論的モデリングは、ゲル形成のより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、比例してより多くのペンダントビニルを有し、より多くのペンダントビニルを含有するポリマー鎖は、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高い。したがって、より大きなポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である4官能性分岐を形成し、LCBレベルが閾値に達する場合、ゲルの問題または不安定結果が生じる。従来の4官能性分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のエチレン系ポリマーのために、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。この例では、Mが、1モル当たり200,000グラム(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーの分子量分布(MWD)は不安定になり、ゲル形成が始まる。MWDは、重量平均分子量Mを数平均分子量Mで割って定義される(M/M)。
ポリマーゲルは、本開示の目的のために、その高分岐レベルおよび/または高分子量に起因して相分離されたポリマー画分であると狭義に定義される。ポリマーゲルは、溶液中または溶融状態で観察され得、光学的透明度、ならびにフィルムおよび繊維の性能などの特性を妨害する傾向がある。ポリエチレンインターポリマーゲルは、高温キシレンへのポリマーの不溶性度によって測定され得る。ゲル含有量は、多くの場合、GPCポリマーの回収パーセンテージと相関し、したがって、それから推定される。ポリマーゲルが形成される場合、それらは反応器内に堆積し、汚損をもたらし得る。
図7および図8は、従来の分岐ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマーから予想されるMWD曲線における差異を示す。MWD特性を記載する一連のメトリクスは、MWDデータの研究およびMWDモデルとの比較から開発された。本明細書に提示されるMWD記載メトリクスの各々は、平均MWから独立し、MWDの高MW部分に焦点を当てている。MWDメトリクスは、スケーリングされたMWD曲線(dW/dlogM)から導出され、MWDの主要ピークまたは最高ピークは、単一性の値を持つものとして定義される。2つ以上のピークが同じ高さを有する場合、最も高いMWピークが主要ピークである。MWD曲線における独立変数は、Log(M)であり、これは、10を底とするMの対数である。メトリクスが定義され、図6、図7、図8、および図9を使用して、分子またはセグメント1つ当たりの分岐に変換され得るM/MwoおよびM/Mpoの関数として提示される。GPCデータ解釈の当業者は、これらのメトリクスを理解し、GPCデータからそれらを計算し得るであろう。
GPC形状メトリクスのファミリーG(A/B)は、MWD曲線の右側の定義されたポイントでの勾配から計算され、ここで、S(A)およびS(B)は、主要ピークの高さのA%およびB%で、主要ピークの右側のこれらの勾配の最初の出現である。ポイントAおよびBは、MWDが「最も可能性が高い」場合、ほぼ同じ勾配を有するペアとして選択される。これらのポイントおよびそれらの勾配の記述は、最も可能性が高いMWDに関して、図10のグラフに示される。これらの勾配ペアS(A)とS(B)を一緒に使用して、二次導関数に類似する関数G(A/B)を計算し、これは、「ラダー分岐」MWDを従来型またはランダムに分岐したMWDから区別するための有用なメトリックであることが示される。G(79/29)およびG(96/08)の値は、MWDの右側(RHS)の勾配の変化を記載し、高MW勾配から以下に定義される。
G(79/29)=(S(79)−S(29))/S(79) (48)
G(96/08)=(S(96)−S(8))/S(96) (49)
形状メトリクスG(79/29)およびG(96/08)は、4官能性「ラダー分岐」および従来のジエン分岐についてのMWDモデル上で試験され、その結果が、図11、図12、図13、図14においてプロットされる。これらの図は、従来の分岐が、MWが分岐に応答するにつれて着実に増加するG(79/29)およびG(96/08)値が得られることを示す。しかしながら、「ラダー分岐」に応用する場合、これらの形状メトリクスは、低レベルの分岐(低M/Mwo)で急激に低下し、次いで、中レベルから高レベルの分岐でゼロに近づく。「ラダー分岐」MWDの高MW部分は、最も可能性が高いMWDに類似しているため、これは驚くべきことではない。
図11、図12、図13、および図14は、分岐に対するG(79/29)およびG(96/08)メトリクスの同様の応答を示すが、G(96/08)メトリックは、従来のジエン分岐から得られる高MWテーリングに対してより感受性であると予想される。「高MWテーリング」または「高分子量テール」という用語は、従来のGPCおよび絶対GPCによって示されるような高分子量画分を指す。触媒とジエンとのペアリングおよび実験条件に応じて、「ラダー分岐」系が何らかの従来の分岐を有し、それによって、上記の形状メトリック値が、純粋な「ラダー分岐」に予想される値よりも高くなることが予想され得る。
MWD面積メトリクス
「ラダー分岐」MWDの目視検査は、分岐ポリマーで通常みられる高MWテールの特徴的な欠如が存在することを示す。図16および図17は、モデルが、「ラダー分岐」ポリマーのテーリングの欠如をどのように予測するかを実証する。「ラダー分岐」MWDデータは、多くの実験でテールが特徴的に欠如していることを示すが、重合条件およびジエン/触媒のペアリングに応じてテールが形成される可能性があることも示す。
多分散度指数(M/M、M/Mなど)は、テーリングの既知のメトリクスであるが、低MWD人工物に対する感受性に起因して好ましくない。したがって、多分散度指数のより焦点を絞ったバージョンを使用して、MWDの高MW部分でのみ積分が実施される標準物を開発する。M/MおよびM/Mメトリクスは、ジエン「ラダー分岐」を従来の分岐から区別することに成功し、高MWベースライン選択およびベースラインノイズに非常に感受性である。
MWD曲線の下の面積は、MWD分散度指数(M/M、M/Mなど)を計算するために必要とされるより高いモーメントと比較して、ベースラインの問題に比較的非感受性である。したがって、MWDの非加重積分を伴うメトリクスを開発することが決定された。これらのMWD面積メトリクス、AHIGHおよびATAILは、MWD曲線の右側に定義された領域についてGPC曲線の面積から計算される。MWD面積メトリクス(AHIGHおよびATAIL)は、スケーリングされたMWD曲線(dW/logM)から導出され、MWDの主要ピークまたは最高ピークは、単一性の値を有するものとして定義される。2つ以上のピークが同じ高さを有する場合、最も高いMWピークが主要ピークである。MWD曲線における独立変数は、Log(M)であり、これは、10を底とするMの対数である。MWD面積メトリクスの両方は、MWDの高MW部分の最大勾配のポイントに依存する。面積メトリクスを評価するために必要な量および限界は、以下に列記され、最も可能性が高いMWDについて図15に実証される。
max=スケーリングされたMWDの主要ピーク(勾配の絶対値)のRHS(より高いMW側)での最大下降勾配の最初の場合
smax=最大勾配のポイントでのスケーリングされたMWDの高さ
pt1=SmaxのLogM値
pt2=Smax正接がx軸と交差するLogM値
MWD面積メトリクスは、以下に定義され、ここで、AHIGHは、最大勾配のポイントの後にあるMWD領域の面積に過ぎない。第2の面積メトリックであるATAILは、図15に示される小さな高MW面積であり、AHIGHから三角形の面積を差し引きすることによって評価される。
Figure 2022501474
面積メトリクスであるAHIGHおよびATAILは、「ラダー分岐」および従来のジエン分岐についてのMWDモデル上で試験され、その結果が、図16、図17、図18、および図19においてプロットされる。プロットは、AHIGHまたはATAILによって定義される高MW面積が、従来の分岐レベルが増加するにつれて劇的に増加することを示す。しかしながら、「ラダー分岐」モデルは、高MW面積メトリクス(AHIGHまたはATAIL)は、「ラダー分岐」レベルによってほとんど影響を受けないと予測する。最も可能性が高いMWDのAHIGHおよびATAILの値は、それぞれ約0.07および0.015である。例示的MWDデータは、ジエンフリーの直鎖状ポリマーが、重合の非理想的な態様に起因して、AHIGHおよびATAILのわずかに高い値を有する傾向があること実証する。例示的データは、最も可能性が高いMWDから予想されるものを超える高MWテールが本質的にない、様々な高度に分岐した「ラダー分岐」ポリマーも示す。高MW面積メトリクスは、ある程度の従来の分岐を伴う場合、「ラダー分岐」ポリマーが示し得るわずかなレベルの高MWテール形成の診断にもなる。メトリックATAILは、AHIGHよりも直鎖状MWD非理想による影響を受けにくい。ただし、理論的には、AHIGHおよびATAILメトリクスは、高MWテール形成を等しく示す。
4官能性長鎖分岐ポリオレフィン
スキーム4に記載されているように、「ラダー分岐」から生成されたポリマーは、本開示に含まれる。
実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、少なくとも10の190℃での溶融粘度比またはレオロジー比(V0.1/V100)を含み、ここで、V0.1は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度である。1つ以上の実施形態では、溶融粘度比は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも25、または少なくとも30である。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、50を超え、少なくとも60、または100を超える。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、14〜200のものである。
「レオロジー比」および「溶融粘度比」は、190℃でのV0.1/V100によって定義され、ここで、V0.1は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度である。
1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.86未満の平均g’を有し、ここで、平均g’は、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される固有粘度比である。いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.64〜0.86の平均g’を有する。「0.64〜0.86」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーの平均g’は、0.64〜0.75、0.68〜0.79、または0.65〜0.83の範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、平均g’は、0.65〜0.84、0.66〜0.82、または0.66〜0.80である。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、ピーク高さ、ピーク高さの79%での勾配M79、およびピーク高さの29%での勾配M29を有するゲル浸透クロマトグラフィー曲線から判定される際、0.035以下のG(79/29)値を有し、ここで、G(79/29)値は、(M79−M29)/M79に等しい。「0.035以下」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、「0.035以下」は、0.0超〜0.035、0.010〜0.034を含み、負の値を含む。1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー曲線から判定される際、0.030以下のG(79/29)値を有し得る。
1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーの溶融粘度比は、弾性係数の10倍を超え得、溶融粘度比(V0.1/V100)は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度V0.1、および190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度V100によって判定され、弾性係数mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、ここで、tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。
1つ以上の実施形態では、エチレン系ポリマーは、8秒/ラジアン以下である、190℃での弾性係数mを有し得、ここで、mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]である。他の実施形態では、エチレン系ポリマーは、4秒/ラジアン以下である、190℃での弾性係数mを有し得る。
様々な実施形態において、本開示のエチレン系ポリマーの溶融強度は、6cNを超え得る(Rheotens装置、190℃、2.4mm/秒、ダイ出口からホイールの中心まで120mm、38.2秒−1の押出速度、長さ30mm、直径2mm、および入口角度180°のキャピラリーダイ)。いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーの溶融強度は、10cNを超え得る。
実施形態では、エチレン系ポリマーは、MWD面積メトリックATAILによって定量化された分子量テールを有し得、ATAILは、0.04以下である。「0.04以下」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーのATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0を超え、0.03以下である。
実施形態では、エチレン系ポリマーのMは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、800,000ダルトン以下であり得る。1つまたは複数の実施形態では、エチレン系ポリマーのMは、400,000ダルトン以下であり得る。
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mp0を有し得、ここで、Mは、従来のゲル浸透クロマトグラフィーから判定される際のエチレン系ポリマーのピーク分子量であり、Mp0は、ポリエンコモノマーを含まないエチレン系ポリマーの初期ピーク分子量である。
実施形態では、エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mw0を有し、ここで、Mは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られたエチレン系ポリマーのGPC曲線から判定される際のエチレン系ポリマーの重量平均分子量である。Mw0は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量である。比較のエチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物である。
各Mw0およびMp0は、先に考察されたように、重合中に反応器にジエンを添加しないポリマー樹脂のメトリックである。ジエンの各後続の添加は、メトリックMまたはMが判定され得るポリマー樹脂を生成する。反応器に組み込まれるジエンの量は、反応器内の他の反応物と比較して少ない。したがって、ジエンの添加は、反応器内のコモノマー、エチレン、および溶媒の総量に影響を及ぼさない。
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.1〜3.0のgpcBR分岐指数を有する。「0.10〜3.00」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーは、0.10〜2.00、0.10〜1.00、0.15〜0.65、0.20〜0.75、または0.10〜0.95のgpcBR分岐指数を含み得る。
前項に記載される長鎖分岐重合プロセスは、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用される。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα−オレフィンのみが存在し、本質的に少量の組み込まれたジエンコモノマーンを有するホモポリマーを作成する。しかしながら、追加のα−オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα−オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、およびエチリデンノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から、または代替的に1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択され得る。
長鎖分岐ポリマー、例えば、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも50重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも60重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも70重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも80重量パーセントのエチレンに由来する単位、または50〜100重量パーセントのエチレンに由来する単位、または80〜100重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、追加のα−オレフィンを含む。エチレン系ポリマー中の追加のα−オレフィンの量は、50モルパーセント(モル%)以下であり、他の実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも0.01モル%〜25モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも0.1モル%〜10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは、1−オクテンである。
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、少なくとも50モルパーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。少なくとも90モルパーセントからのすべての個々の値および部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも93モルパーセント、単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来の単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来の単位を90〜100モルパーセント、エチレン由来の単位を90〜99.5モルパーセント、エチレン由来の単位を97〜99.5モルパーセント含み得る。
長鎖分岐ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(モル%)〜20モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも5モル%〜10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは、1−オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを用いて、長鎖分岐ポリマーを生成し得る。かかる従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意に1つ以上のα−オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
別の実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、一重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示に記載の触媒系、および前項に記載の任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖分岐重合プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含む。
長鎖分岐ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。かかる添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤の合計重量で約0〜約10パーセント妥協し得る。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに含み得、その充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。長鎖分岐ポリマーは、エチレン系ポリマーおよびすべての添加剤または充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、またはMg(OH)などの充填剤を約0〜約20重量パーセント含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖重合プロセスは、2つのポリマー生成部位を有する触媒の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含み得る。2つのポリマー生成部位を有するそのような触媒から得られる長鎖分岐ポリマーは、例えば、0.850g/cm〜0.960g/cm、0.880g/cm〜0.920g/cm、0.880g/cm〜0.910g/cm、または0.880g/cm〜0.900g/cmの、ASTM D792(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に準拠した密度を有し得る。
別の実施形態では、長鎖重合プロセスから得られる長鎖分岐ポリマーは、5〜100のメルトフロー比(I10/I)を有し得、ここで、メルトインデックスIは、190℃および2.16kgの負荷下で、ASTM D1238(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に準拠して測定され、メルトインデックスI10は、190℃および10kgの負荷下で、ASTM D1238に準拠して測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I)は、5〜50であり、他では、メルトフロー比は、5〜25であり、他では、メルトフロー比は、5〜9である。
いくつかの実施形態では、長鎖重合プロセスから得られる長鎖分岐ポリマーは、1〜20の分子量分布(MWD)を有し得、ここで、MWDは、M/Mとして定義され、Mは、重量平均分子量であり、Mは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒系から得られたポリマーは、1〜10のMWDを有する。別の実施形態は、1〜3のMWDを含み、他の実施形態は、1.5〜2.5のMWDを含む。
並列重合反応器(PPR)
小規模な溶液重合の例は、5mLの総液体体積、150psigの一定のエチレン圧力、および120℃の重合温度を使用して、15mLバイアル内で実施される。5mLの液体体積は、500nモルのMMAO−3Aを含有する0.84mLのコモノマー混合物と、トルエン中の触媒および活性剤溶液と、5mLの液体体積を達成するのに添加される十分なIsopar−Eとからなる。水素(H)を、任意の所定のジエンのための実験が、同じH負荷で実施されるように、空の反応バイアルを、20±3psigのH、80℃で、同時に予圧することによって、反応混合物に添加した。すべての液体体積を、室温で分注し、5mLの総容量との関係で体積的に添加した。触媒を、トルエン中に5mM溶液として反応混合物に最後に添加し、それを、1.5当量の共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)によって別個に活性化した。コモノマー溶液は、主に1−オクテン、および少量(0〜6%)の体積分率のジエン種から構成されていた。重合を、約30分を超えない時間実施し、CO添加、続いてバイアル減圧によってクエンチした。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(従来のGPC)
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC−IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、およびPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された4−キャピラリー粘度計(DV)からなる。すべての絶対光散乱測定に関して、15度角が測定に使用される。オートサンプラオーブンコンパートメントを摂氏160度に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150度に設定した。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線状混合床カラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
GPCカラムセットの較正は、580〜8400000の範囲の分子量を有する少なくとも20の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実施し、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に該標準物を配置した。標準物は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準物を調製した。ポリスチレン標準物を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物のピーク分子量を、等式52(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されている):
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(52)
を使用して、ポリエチレン分子量に変換した。
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
第3次と第5次との間の多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準物NBS 1475が52000Mwで得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するため、Aに対してわずかな調整(約0.415〜0.44)を行った。
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、エイコサン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行った。プレートカウント(式53)および対称性(式54)を、以下の式に従って、200マイクロリットル注入で測定した。
Figure 2022501474
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
Figure 2022501474
式中、RVは、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、1/10の高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークは、ピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークは、ピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、24,000超となるべきであり、対称性は、0.98〜1.22の間となるべきである。
試料は、PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製され、2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付バイアルに溶媒(200 ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪しながら摂氏160度で2時間溶解した。
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ収集ポイント(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、およびポイント(i)に関する狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン当量分子量を使用して、等式55〜57に従って、PolymerChar GPC−IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
Figure 2022501474
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC−IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークと整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると仮定される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は式58のように計算される。フローマーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行われた。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけ流量の+/−2%以内であるべきである。
流量(有効)=流量(見かけ)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(58)
三重検出器GPC(TDGPC)(絶対GPC)
クロマトグラフィーシステム、分析条件、カラムセット、カラム較正および従来の分子量モーメントの計算および分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に記載されている方法に従って実施された。
IR5検出器からの粘度計および光散乱検出器オフセットの判定に関して、多重検出器オフセットの判定のための体系的手法は、Balke、Moureyらによって公開されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))に一致する様式で行われ、それは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準物(M/M>3)からの三重検出器log(MWおよびIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))、およびKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一致する様式で得られる。分子量の判定において使用される全体的な注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物のうちの1つに由来する、質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上に由来する、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般に、(GPCOne(商標)を使用して判定される)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する直鎖状標準物から判定され得る。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して判定される)は、製造業者によって記載される方法を使用して、または代替的に、標準参照材料(SRM)1475a(米国国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)などの好適な直鎖状標準物の公開された値を使用して、達成され得る。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)および注入された質量を、その固有粘度に関連付ける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)の面積積分クロマトグラム(光散乱定数によって因数分解)を、質量定数および質量検出器(IR5)面積から回収された質量で割って得られる。分子量および固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィーの端部で線形に外挿される(GPCOne(商標)を使用して)。他のそれぞれのモーメント、Mn(Abs)およびMz(Abs)は、以下のように、等式59〜60に従って計算される。
Figure 2022501474
g’ave
g’は、分岐ポリマーの粘度を同じMWでの直鎖状ポリマーの粘度で割ったものとして定義される。
Figure 2022501474
g’aveまたは平均g’は、g’の重量平均値である(B.H.Zimm,W.H.Stockmayer,J.Chem.Phys.1949,17,1301)。
動的機械的スペクトル(または小角度振動せん断)
複素粘度(η*)、弾性率(G’、G’’)、タンデルタ、および位相角(δ)は、190℃での、0.1〜100rad/秒の周波数範囲における動的振動周波数掃引試験によって得られる。歪のレベルは、100rad/秒、190℃での歪掃引試験によって特定される線形粘弾性レジーム内に設定される。試験は、TA Instrumentsによる歪制御レオメーターARES−G2上の直径25mmのステンレス鋼平行板で実施される。実際の試験の前に、厚さ3.3mmの試料を絞り、次いで、2工程でトリミングする。第1の工程では、試料を2.5分間溶融し、3mmのギャップに絞り、トリミングする。190℃でのさらなる2.5分の浸漬時間後、試料を2mmのギャップまで絞り、余分な材料をトリミングする。この方法は、系が温度平衡に達成できるように、さらに5分の遅延が組み込まれる。試験は、窒素雰囲気下で実施される。
三重検出器GPC(TDGPC)によるgpcBR分岐指数
gpcBR分岐指数は、前述の光散乱、粘度、および濃度検出器をまず較正することによって判定された。その後、光散乱、粘度計、および濃度クロマトグラムからベースラインを差し引いた。その後、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲のすべての積分を確保するために、積分ウィンドウを設定した。その後、直鎖状ポリエチレン標準物を使用して、ポリエチレンおよびポリスチレンのマルク−ホウインク定数を確立した。定数を得ると、2つの値を使用して、式(62)および(63)に示すように、溶出体積の関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度についての2つの線形基準従来較正を構築した。
Figure 2022501474
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,“Examples of Using 3D−GPC−TREF for Poly−olefin Characterization,”Macromol.Symp.,2007,257,29−45に記載のように、長鎖分岐を特性評価するための堅固な方法である。この指数は、ポリマー検出器面積全体に有利な、g’値の判定および分岐頻度計算において従来使用されている「スライスごとの」TDGPC計算を回避する。TDGPCデータから、ピーク面積法を使用して、光散乱(LS)検出器によって試料バルク絶対重量平均分子量(M、絶対)を得ることができる。この方法は、従来のg’判定において必要に応じて、光散乱検出器信号の濃度検出器信号に対する「スライスごとの」比を回避する。TDGPCでは、等式(64)を使用して、独立して試料の固有粘度も得た。この場合の面積計算は、全体的な試料面積として、検出器ノイズおよびTDGPC設定によってベースラインおよび積分限界に対して引き起こされる変動にはるかにより低感受性であるため、より高い精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器体積オフセットの影響を受けなかった。同様に、高精度試料固有粘度(IV)を、等式(64)における面積法によって得た。
Figure 2022501474
等式中(64)、DPiは、オンライン粘度計から直接監視される差圧信号を表す。gpcBR分岐指数を判定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を判定した。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積を使用して、試料の固有粘度(IVまたは[η])を判定した。最初に、溶出体積の関数としての分子量および固有粘度の両方について、従来の較正(「cc」)を使用して、SRM1475aまたは等価物などの直鎖状ポリエチレン標準試料の分子量および固有粘度を判定した。
Figure 2022501474

等式(66)を使用して、gpcBR分岐指数を判定した。
Figure 2022501474

式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正(または従来のGPC)からの固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。光散乱(LS)による重量平均分子量は、通常、「絶対重量平均分子量」または「M(絶対値)」と呼ばれる。従来のGPC分子量較正曲線(「従来の較正」)を使用することによるMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来の重量平均分子量」、および「M(従来)」と呼ばれることが多い。
「ccまたは従来」の下付き文字を有するすべての統計値は、それらそれぞれの溶出体積、前述の対応する従来の較正、および濃度(Ci)を使用して判定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づく測定値である。KPEの値は、線形基準試料がゼロのgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合において、gpcBRを判定するためのαおよびログKの最終値は、ポリエチレンではそれぞれ0.725および−3.355、ポリスチレンではそれぞれ0.722および−3.993である。考察された手順を使用して、ひとたびKおよびα値が判定されると。
以前は、分岐試料を使用して、手順を繰り返していた。最良の「cc」較正値として最終的なマルク−ホウインク定数を使用して、分岐試料を分析した。
gpcBRの解釈は、単純である。直鎖状ポリマーの場合、LSおよび粘度計によって測定される値が従来の較正標準に近いため、gpcBRはゼロに近くなる。分枝ポリマーの場合、測定されるポリマー分子量が計算されるMw,ccよりも高く、また計算されるIVccが測定されるポリマーIVよりも高いため、特に高レベルの長鎖分枝では、gpcBRがゼロよりも大きくなる。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果としての分子サイズ収縮効果による分数IV変化率を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、等価重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%および200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。これらの特定の例では、伝統的な「g’指数」および分岐頻度計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRのより高い精度によるものである。gpcBR指数判定に使用されるすべてのパラメータは、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低TDGPC検出器応答による悪影響を受けない。検出器体積の整列の誤差も、gpcBR指数判定の精度には影響しない。
バッチ反応器重合手順
バッチ反応器の重合反応は、2LのParr(商標)バッチ反応器内で行われる。反応器は、電気加熱マントルによって加熱し、冷却水を含有する内部蛇管冷却コイルによって冷却した。反応器および加熱/冷却システムの両方は、Camile(商標)TGプロセスコンピュータによって制御および監視される。反応器の底部には、反応器の内容物をステンレス鋼のダンプポットに移すダンプ弁が取り付けられている。ダンプポットには、触媒失活溶液(典型的には、5mLのIrgafos/Irganox/トルエン混合液)が事前に充填されている。ポットおよびタンクの両方を窒素でパージして、ダンプポットを30ガロンのブローダウンタンクに通気する。重合または触媒補給のために使用したすべての溶媒を溶媒精製カラムに通過させて、重合に影響を及ぼし得る一切の不純物を除去する。1−オクテンおよびIsoparEを、A2アルミナを含有する第1のカラム、Q5を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。エチレンを、A204アルミナおよび
Figure 2022501474
のモレキュラーシーブを含有する第1のカラム、Q5反応物を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。移送に使用されるNを、A204アルミナ、
Figure 2022501474
モレキュラーシーブ、およびQ5を含有する単一のカラムに通す。
反応器は、反応器の負荷に応じて、IsoparE溶媒、および/または1−オクテンを含有し得るショットタンクからまず装填する。ショットタンクは、ショットタンクに取り付けたラボスケールを使用して負荷設定点まで充填する。液体供給物を添加した後、反応器を重合温度設定点に加熱する。エチレンが使用される場合、反応圧力設定点を維持するための反応温度で、エチレンが反応器に添加される。添加されるエチレンの量は、マイクロモーション流量計(Micro Motion)によって監視される。いくつかの実験では、150℃での標準条件は、585gのIsoparE中の、13gのエチレン、15gの1−オクテン、240psiの水素であり、150℃での標準条件は、555gのIsoparE中の、15gのエチレン、45gの1−オクテン、200psiの水素である。
プロ触媒および活性剤を適量の精製したトルエンと混合して、所望のモル濃度の溶液を得る。プロ触媒および活性化剤は、不活性グローブボックス内で処理され、シリンジ内に引き込まれ、触媒ショットタンク内に加圧移送される。シリンジを5mLのトルエンで3回すすぐ。触媒が添加された直後に、実行タイマーが始まる。エチレンを使用する場合は、それは、反応器内の反応圧力設定点を維持するためにカミールによって添加される。重合反応を10分間実行し、次いで、撹拌機を停止し、下部のダンプ弁を開放して、反応器の内容物をダンプポットに移す。ダンプポットの内容物をトレイ中に注ぎ、ラボフード内に置き、そこで、溶媒を一晩蒸発させる。残存するポリマーを含有するトレイは、真空オーブンに移送され、真空下で140℃まで加熱されて、いずれの残存する溶媒も除去する。トレイが周囲温度に冷却された後、効率を測定するためにポリマーの収量が測定され、ポリマー試験に供された。
様々な多重鎖触媒および様々なジエンの存在下での4官能性分岐
小規模重合の結果が、表3〜表7に要約される(実験は、並列重合反応器、PPR内で行われる)。表3〜表7に記録されるポリマーの結果は、多重鎖触媒および単鎖触媒対照の存在下で、エチレン、オクテン、およびジエン種を重合することによってもたらされた。表3〜表7の各表におけるポリマーの結果は、様々な触媒およびジエン種の生成物であった。表3における結果は、比較触媒C1(「比較触媒C1」)、触媒1(「触媒1」)、および触媒2(「触媒2」)の存在下での、3−メチル−1,4−ペンタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表4における結果は、触媒2、および触媒4(「触媒4」)の存在下での、1,4−ペンタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表5における結果は、比較触媒C1、触媒3(「触媒3」)、触媒5(「触媒5」)、および触媒6(「触媒6」)の存在下での、1,5−ヘキサジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表6における結果は、比較触媒C1、触媒6、触媒2、および触媒4の存在下での、1,7−オクタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表7における結果は、触媒3、触媒5、触媒6、および触媒2の存在下での、1,9−デカジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。(Figueroa,R.;Froese,R.D.;He,Y.;Klosin,J.;Theriault,C.N.;Abboud,K.A.Organometallics 2011,30,1695−1709,Froese,R.D.;Jazdzewski,B.A.;Klosin,J.;Kuhlman,R.L.;Theriault,C.N.;Welsh,D.M;Abboud,K.A.Organometallics 2011,30,251−262)
Figure 2022501474
シリーズ3.Cにおける短鎖触媒(比較触媒C1)は、他の触媒と比較した場合、ポリマー中の2倍以上のオクテンレベルによって示されるように、増加した量のα−オレフィンを組み込んだ。シリーズ3.Cにおける短鎖触媒(比較触媒C1)を使用する場合、添加されたジエンの様々なレベルは、ポリマーMWDに有意な影響を及ぼさなかった。しかしながら、ジエンを表3〜表7における二重鎖触媒に添加することによって、ジエンレベルが増加したので、より高いM値およびM値がもたらされ、多くの場合、高分子量テール形成の証拠は存在しなかった。
各実施例では、ジエンを含有し、反応器に組み込まれたジエンの量は、反応器内の他の反応物と比較して少なかった。したがって、ジエンの添加は、反応器に添加されるコモノマー、エチレン、および溶媒の量に影響を及ぼさなかった。
実施例1−3−メチル−1,4−ペンタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例2−1,4−ペンタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
Figure 2022501474
図20は、ジエンの量が増加するにつれて、ピーク重量平均分子量がシフトすることを示す。図20では、表4に記録されるような、P2.4.1〜P2.4.4シリーズが、GPCプロットであるLogMとしての関数としてdWdLogMとしてプロットされる。ジエンの体積パーセントが増加するにつれて、GPCプロットのピークが右にシフトした。
実施例3−1,5−ヘキサジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例4−1,7−オクタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例5−1,9−デカジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
バッチ反応器からの分岐実施例
2つの分岐実施例の分子量分布(MWD)曲線およびDSCを調査し、直鎖状試料と比較した。
バッチ反応器の実施例1
表8〜12では、比較の直鎖状ポリマー試料(1C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応を、150℃の温度、555gのISOPAR−E(商標)、および200psiの水素圧力(ΔH)で行った。エチレン圧力を、0.3μモルの触媒8、0.36μモルの助触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10μモルのMMAO−3Aの存在下で、150psiで一定に保った。
Figure 2022501474
Figure 2022501474
図21は、GPCによって判定された、シリーズ8.C(直鎖状)および8.1(分岐)におけるポリマーの従来の分子量分布曲線である。分岐ポリマー、シリーズ8.1の曲線の形状は、直鎖状ポリマーと比較して変更される。加えて、分子量曲線のピークは、右にシフトする。
図22は、GPCによって判定された、シリーズ8.C(直鎖状)および8.1(分岐)におけるポリマーの絶対分子量分布曲線である。
図23は、シリーズ8.1である分岐試料の伸長粘度フィクスチャである。
Figure 2022501474
分岐実施例8.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表9に記録した。0.1ラジアン/秒での粘度は、27,457Pa sと計算され、100ラジアン/秒での粘度は、974Pa sと測定され、28.2のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。
弾性係数mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]である。tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。実施例8.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.6であり、実施例1のtan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で7.9の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
比較例8.Cの動的機械的スペクトルを測定し、結果を表10に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、892Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、526Pa sと測定され、1.7のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。比較の直鎖状ポリマー8.Cのtan(δ0.1)は53.3であり、tan(δ100)は、2.0であり、それは、190℃で513.4の弾性係数をもたらす。
直鎖状の比較ポリマー樹脂のレオロジー比は、分岐実施例、シリーズ8.1のレオロジー比と比較した場合、非常に低かった(1.7)。分岐実施例1、シリーズ8.1の増加したレオロジー比および低い弾性係数は、非直鎖状ポリマー挙動を示す。強いせん断減粘挙動および弾性挙動は、多くの場合、絡み合った長鎖分岐ポリマーの実例となる。
図24は、分岐実施例1、シリーズ8.1のRheotens装置によって得られた溶融強度である。
分岐実施例2
表11では、ジエンが1,9−デカジエンである、分岐ポリエチレンを合成した。分岐ポリマーを、150℃の温度、555gのIsoparE、および200psiの水素圧力(ΔH)で重合した。エチレン圧力を、0.3μモルの触媒7、0.36μモルの助触媒A、および10μモルのMMAO−3Aの存在下で、150psiで一定に保った。
Figure 2022501474
図25は、GPCによって判定された、シリーズ11.C(直鎖状)および11.1(分岐)における分岐実施例2のポリマーの従来の分子量分布曲線である。図26は、光散乱三重光検出器によって判定された、シリーズ11.C(直鎖状)および11.1(分岐)におけるポリマーの絶対分子量分布曲線である。分岐ポリマー、シリーズ11.1の曲線の形状は、直鎖状ポリマーと比較して変更される。
図27は、シリーズ11.1における分岐実施例2の伸長粘度フィクスチャによって得られた伸長粘度である。
Figure 2022501474
比較例の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表12に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、17,643Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、857Pa sと測定され、20.6のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例2、シリーズ11.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は2.0であり、tan(δ100)は1.0であり、それは、190℃で10.4の弾性係数をもたらす。
図28は、分岐実施例2、シリーズ11.1のRheotens装置によって得られた溶融強度である。
様々な条件下での分岐研究
4官能性「ラダー分岐」を、エチレン圧力の増加、オクテンモノマーの増加、開始分子量の増加、開始分子量の減少、様々なジエン、ジエン量の増加または減少、および様々な多重鎖触媒などの様々な条件下で研究した。
実施例1:様々なジエンおよびジエンの量
表13〜表22における実施例を、同一条件下で調製し、150度の温度で触媒7の存在下で重合した。含まれる条件:585gのIsoparE、15gの1−オクテン、240psiの水素圧力、150psiのエチレン圧力、0.3μモルの触媒7、0.36μモルの助触媒A、および10μモルのMMAO−3A。
Figure 2022501474
Figure 2022501474
表13における結果は、ジエンが重合反応中に存在した場合、高分子量テールなしで分子量が増加したことを示した。
実施例2:高分子量を得る条件
Figure 2022501474
これらの重合条件を利用して高分子量ポリマーを生成することによって、ジエンが重合反応に組み込まれた場合に発生した4官能性「ラダー分岐」がもたらされた。重合反応によって、高分子量で、4官能性「ラダー分岐」を有するポリマー樹脂が得られた。
実施例3:分岐ホモポリマーを得る条件
Figure 2022501474
ホモポリマー(少量のジエンを有する)を作製するために使用される重合反応にジエンを組み込むことによって、分子量の増加がもたらされた(4官能性「ラダー分岐」)。表15において記録されたデータは、2つの異なるジエンが重合反応に組み込まれる場合、エチレンのみの樹脂の実施例が、分子量が増加したことを示した。
Figure 2022501474
表16における結果は、分岐が、異なる触媒および異なる密度で発生することを示す。表16における樹脂は、触媒8を用いる分岐、およびポリマー中の7モル%に十分なオクテンを実証した。
Figure 2022501474
表17における結果に基づいて、分子量は、4官能性「ラダー分岐」を示すジエンの添加によって増加した。これらの実施例は、より高い直鎖状分子量を有していた。実施例5.1および5.2では、触媒8は、デカジエンまたはペンタジエンが重合反応に存在する場合、より高分子量を有するポリマー樹脂を生成した。
Figure 2022501474
表18における結果は、異なるα−オレフィンコモノマーが使用された場合、分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)が発生したことを示した。表18におけるポリマー樹脂を、2つの異なる触媒および2つの異なるヘキセンの配合量によって生成した。
Figure 2022501474
表19における結果に基づいて、ジエンを用いる分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)は、様々なレベルのオクタンで発生した。表19の実施例は、ポリマー中7モル%のオクテンでも、4官能性「ラダー分岐」が発生したことを示した。
Figure 2022501474
表20で証明されるように、4官能性「ラダー分岐」は、様々なレベルのオクテンおよびより高い開始分子量で発生した。実施例8.1および8.2は、7モル%のオクテンおよび約83,000g/モルの開始Mを有するポリマー樹脂が、デカジエンおよびペンタジエンの両方で分岐をもたらすことを示した。
Figure 2022501474
表21における結果は、はるかに低い密度(ポリマー中の高レベルのオクテン)およびより低い開始分子量で分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)が存在したことを示した。実施例9.1では、ポリマー樹脂は、9モル%を超えるオクテン、および約43,000g/モルの開始Mを有していた。ジエンが重合反応に組み込まれた場合、分子量が増加した(「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
表22における結果は、より低い開始分子量で、異なるレベルの組み込まれたオクテンを有するジエン(4官能性「ラダー分岐」)を用いた、分子量の増加を示した。実施例22.1では、ポリマー樹脂の開始分子量は、約51,000g/モルであったが、ジエンを重合反応に組み込んだ場合、分子量は、70,000g/モルに増加した(4官能性「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
表23および表24におけるデータによれば、エチレン圧力および反応器内のオクテンの量が増加した場合、分子量が増加した(4官能性「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
実施例4:デカジエン−ホモポリマーに触媒作用を及ぼす触媒7
Figure 2022501474
Figure 2022501474
結果を、表25に要約し、それは、オクテンが反応器中に存在しない場合、4官能性「ラダー分岐」が発生することを示す。表25における各試料の分子量は、重合反応におけるデカジエンの量が増加するにつれて増加した。
Figure 2022501474
実施例26.C.1は、0.2オクテンを含有する重合反応の結果である。図29は、実施例26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4のLog(MW)のグラフである。デカジエンの量が増えると、分子量のピークが右にシフトする。表27〜表32は、実施例26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4の動的機械的スペクトルの結果を要約する。表27〜表32の各々の結果は、4官能性「ラダー分岐」の量が増えると、弾性係数、mが減少することを示す。加えて、表27〜表32の各々の結果は、4官能性「ラダー分岐」の量が増えると、レオロジー比が減少することを示す。
図29は、シリーズ26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4の従来の分子量分布曲線である。
Figure 2022501474
比較例の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表27に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、762Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、552Pa sと測定され、1.4のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.C.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は192.8であり、tan(δ100)は2.8であり、それは、190℃で1901.6の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
比較例、実施例26.C.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表28に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、662Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、501Pa sと測定され、1.3のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.C.1の直鎖状ポリマーのtan(δ0.1)は401.3であり、tan(δ100)は3.1であり、それは、190℃で3986.2の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表29に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、7,410Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、883Pa sと測定され、8.4のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例13.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は4.3であり、tan(δ100)は1.3であり、それは、190℃で29.8の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.2の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表30に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、56,549Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、1,236Pa sと測定され、45.8のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.2における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.2であり、tan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で4.2の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.3の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表31に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、56,549Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、1,236Pa sと測定され、117.8のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.3における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.2であり、tan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で4.2の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.4の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表32に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、909,000Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、3,054Pa sと測定され、297.6のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.4における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は0.3であり、tan(δ100)は0.3であり、それは、190℃で0.4の弾性係数をもたらす。
Guzman−2010は、定常状態のCSTRにおける従来のジエン分岐から得られるMWDおよび物理的特性を実証および分析した。拘束幾何触媒(CGC)を使用して、非常によく混合された1ガロンの反応器系において、エチレン、1−オクテン、および1,9−デカジエンを共重合した。Guzmanによって使用された特定のCGC触媒は、米国特許第5,965,756(構造IX)、および米国特許第7,553,917(実施例3)によって詳細に記載された。Guzman−2010触媒は、触媒中心から単鎖を成長させるように設計された。Guzmanのデータを、CSTRを、525psigの圧力および155℃の温度でジエン供給濃度の範囲にわたって操作しながら、定常状態で収集した。Guzmanによって収集された様々な定常状態のポリマー試料には、測定可能なレベルのゲルまたは不溶性物質は含有されていなかった。しかしながら、最高レベルのジエン供給では、若干の内部反応器汚損が観察され、より高いレベルのジエン供給は、ゲル形成または反応器MWD不安定性をもたらすことが見込まれた。
表33では、Guzmanからの選択されたシリーズのデータを、ジエン供給レベルのスペクトルにわたって他の方法で固定された反応器条件について要約した。シリーズ全体にわたって、エチレンおよび1−オクテンの供給濃度を、それぞれ13.8重量%および3.6重量%に設定した。触媒供給速度を、シリーズ全体にわたって79%の一定のエチレン変換を維持するように連続的に調整し、2.2kg/時の固定のポリマー生成速度がもたらされた。コポリマー組成の尺度であるポリマー密度は、約0.922g/ccで一定であった。
Figure 2022501474
表33におけるデータは、IおよびI10によって反映されるような、従来のジエン分岐レベルの変化が、平均分子量、および多分散度、ならびに粘度などの特性にどのように影響を及ぼすかを実証した。従来のジエン分岐の分子量への影響を、絶対および従来のMWD測定技術の両方について、表33に示した。絶対MWD測定は、分岐ポリマーに好ましい方法であるが、常に利用できるとは限らない。したがって、表33はまた、屈折率検出器を使用する従来の技術によって測定される分子量も含有する。表33における結果は、どちらの測定技術でも、ジエンの供給がゼロから923ppmに増加すると、重量平均分子量(M)が実質的に上昇することを実証する。
Guzmanでは報告されていないが、表33に関連するMWD曲線を見出し、絶対および従来のGPC測定技術について、それぞれ図30Aおよび30Bにプロットした。図30Aおよび30BにおけるMWD曲線データは、従来のジエン分岐から得られる予想される高いMテール形成が発生したことを実証した。ジエン分岐の増加に伴うピークMWの有意な動きの欠如もまた、MWD曲線から明らかである。
図30Aおよび30Bにおける分子量分布のデータを、より多くのジエンモノマーがCSTRに供給されるにつれて、MWD曲線の位置および形状の進化を説明する単純なメトリクスに縮小させた。表34におけるデータは、Guzmanのポリマー試料の絶対MWD測定および従来のMWD測定の両方に対するこれらのMWDメトリクスを示した。表34における絶対MWD測定データは、1,9−デカジエンの供給が0〜923ppmの範囲であったため、分子量が最大87%増加することを示した。Mによって示されるような、ピーク分子量変化は、分子量測定のどちらの手段でも大幅に変化することはなく、「ラダー分岐」ポリマーの結果と矛盾する。形状係数が、表34に要約され、ジエン供給レベルおよびMが増加するにつれて、G79/29およびATAILの両方の値が増加するため、「ラダー分岐」ポリマーと矛盾する。
Figure 2022501474
市販の樹脂に関するいくつかの重要なパラメータを、表35に要約する。材料の基本的なパラメータのいくつかを、溶液、気相、および高圧反応器中で作成した。
Figure 2022501474
表35に要約されたデータを、図31および図32のグラフにプロットする。データは、LDPE、LLDPE、ULDPE、およびジエンモノマーを含有するエチレン樹脂と比較すると、「ラダー分岐」ポリマーにおいて差異を示す。図31および図32では、本開示の「ラダー分岐」ポリマー(グラフの凡例におけるラダー−PE)は、一緒にクラスタ化され、したがって、「ラダー分岐」ポリマーが、他のエチレン系樹脂と比較すると、独自のポリマー特性を有することを示す。図31のグラフに示されるように、「ラダー分岐」ポリマーは、少なくとも10のレオロジー比、および0.86未満の平均g’を有する。図31では、プロットされたLDPE樹脂は、0.65未満の平均g’を有し、先行技術のエチレン−ジエン樹脂(凡例において先行技術のET−ジエンとして列記)は、一緒にクラスタ化しない。
図33では、溶融強度(センチニュートン、cN)を、メルトインデックス(Log I)の関数として測定した。三角形および円によって示されるように、二重鎖触媒から生成されたポリマーを、単鎖触媒から生成されたポリマー、およびオートクレーブLDPE、管状LDPE、および直鎖状ポリエチレンの文献ベースの曲線と比較した。二重鎖触媒から生成されたポリマーの溶融強度は、オートクレーブLDPE、管状LDPE、および単鎖触媒から生成されたポリマーの溶融強度よりも低かったが、直鎖状ポリエチレンよりも有意に高かった。これは、二重鎖触媒から生成されたポリマーが、絡み合った長鎖分岐を有することを示す。
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る限り、記載された実施形態の修正形態および変形形態を網羅することが意図される。
関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日に出願された米国仮特許出願第62/738,633号に対する優先権を主張し、その開示全体は、参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の実施形態は、概して、長鎖分岐を有するポリマー組成物、およびポリマー組成物が合成されるプロセスに関する。
ポリエチレンおよびポリプロピレンなどのオレフィン系ポリマーは、様々な触媒系を介して生成される。オレフィン系ポリマーの重合プロセスにおいて使用されるそのような触媒系の選択は、そのようなオレフィン系ポリマーの特徴および特性に寄与する重要な要素である。
ポリエチレンおよびポリプロピレンは、多種多様な製品のために製造される。ポリエチレンおよびポリプロピレン重合プロセスは、様々な樹脂を異なる用途での使用に好適なものとする異なる物理的特性を有する多種多様な結果として生じるポリエチレン樹脂を生成するために、いくつかの点で変えることができる。ポリオレフィン中の短鎖分岐の量は、そのポリオレフィンの物理的特性に影響を及ぼす。ポリエチレンの特性への分岐の影響は、分岐の長さと量に依存する。短い分岐は、主に機械的および熱的特性に影響を及ぼす。短鎖分岐頻度が増加すると、ポリマーは、層状結晶を形成できなくなり、機械的および熱的特性が低下する。少量の長鎖分岐は、ポリマーの加工特性を有意に変更し得る。
長鎖分岐を形成するために、ポリマー鎖のビニルまたは末端二重結合が、新しいポリマー鎖に組み込まれる。ビニル末端ポリマーの再組み込み、およびジエンコモノマーの導入は、ポリマーストランド上のビニル基が、第2のポリマーストランドに組み込まれる2つの機構である。加えて、長鎖分岐は、ラジカルを介して誘導される。3つの機構すべてにおいて、分岐量を制御することは困難である。ラジカルまたはジエンを使用して長鎖分岐を開始する場合、分岐が多くなりすぎ、それによって、ゲル化および反応器汚損が発生し得る。再組み込み機構は、あまり多くの分岐を生成せず、分岐は、ポリマーストランドが生成された後にのみ発生し得、それによって、発生し得る分岐の量がさらに限定される。
本開示の実施形態は、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、少なくとも1つのジエンまたはポリエンコモノマーと、任意選択的に少なくとも1つのC〜C14コモノマーと、の重合の反応生成物を含むエチレン系ポリマーに関する。エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mw0を有する。Mは、屈折率クロマトグラフィーによって取得されるエチレン系ポリマーのゲル透過クロマトグラフィー曲線から判定される際のエチレン系ポリマーの重量平均分子量であり、Mw0は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量である。比較のエチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物であり、分子量テールは、MWD面積メトリック、ATAILによって定量化され、ATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.04以下である。
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、4秒/ラジアン以下の、190℃での弾性係数mを含み、mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。
炭素1000個当たりの分岐メチンの数が増加する場合のポリマーの分子量のグラフ表示である。 分岐レベルに対する分子量分布(MWD)曲線の依存性を予測したグラフモデルである。 分岐レベルに対する相対ピーク分子量の依存性を予測したグラフモデルである。 3官能性ジエン分岐レベルに対する分子量分布(MWD)曲線の依存性を予測したグラフ表示である。 3官能性ジエン分岐レベルに対する分子量(MW)の相対ピークの依存性を予測したグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)および「ラダー分岐」(破線)のポリマー分子1つ当たりの分岐に対するピーク分子量(M)の分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)および「ラダー分岐」(破線)のポリマー分子1つ当たりの分岐に対する重量平均分子量(M)の分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(実線)(対B)の直鎖状セグメント1つ当たりの分岐に対するピーク重量平均分子量(M)、および「ラダー分岐」ポリマー(破線)(対R)のMの分岐のモデル予測された効果のグラフ表示である。 従来のジエン分岐(対B)(実線)の直鎖状セグメントおよび「ラダー分岐」ポリマー(破線)(対R)1つ当たりの分岐に対する分岐重量平均分子量(M)のモデル予測された効果のグラフ表示である。 形状メトリクスG(79/29)およびG(96/08)を計算するために使用されるMWD勾配のグラフ表示であり、S(X)は、MWD高さのX%での勾配である。G(A/B)=(S(A)−S(B))/S(A)。 相対ピークMW(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、分子量分布(MWD)形状メトリックG(79/29)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対重量平均MW(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(79/29)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対ピークMW(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(98/08)を予測したモデルのグラフ表示である。 相対重量平均MW(Mw/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD形状メトリックG(98/08)を予測したモデルのグラフ表示である。 最大勾配のポイントを使用して、高いMWDテール面積メトリクスがどのように定義されるかを示すMWD曲線のグラフ表示である。 相対重量平均分子量(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、AHIGHを予測したモデルである。 相対ピーク分子量(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、AHIGHを予測したモデルである。 相対ピーク分子量(M/Mpo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、ATAILを予測したモデルである。 相対重量平均分子量(M/Mwo)によって示されるような分岐レベルの関数として、従来分岐および「ラダー分岐」と比較した、MWD面積メトリック、ATAILを予測したモデルである。 表2に記録されているような実施例シリーズ2.4について、GPCによって測定された絶対分子量分布(MWD)曲線のグラフである。 従来のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定された従来の分子量分布曲線である。 GPC三重光散乱検出器(絶対GPCとも称される)によって測定された絶対分子量分布曲線である。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、秒単位での時間の関数として測定された伸長粘度のグラフである。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、速度(mm/秒)の関数としての溶融強度(cN)のグラフである。 非分岐エチレン系ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマー樹脂のGPCによって測定された従来の分子量分布曲線である。 非分岐エチレン系ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマー樹脂のGPC三重光散乱検出器によって測定された絶対分子量分布曲線である。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂の秒単位での時間の関数として測定された伸長粘度のグラフである。 「ラダー分岐」ポリマー樹脂の速度(mm/秒)の関数としての溶融強度(cN)のグラフである。 ジエンを有さない2つの比較例および可変量のジエンを有する4つの試料について、GPC三重光散乱検出器によって測定された絶対分子量分布曲線である。 様々な量のジエンを有する比較の従来の分岐ポリマー試料の絶対分子量分布のグラフである。 様々な量のジエンを有する比較の従来の分岐ポリマー試料の従来の分子量分布のグラフである。 様々なポリマー樹脂および「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、平均g’の関数としてのレオロジー比のグラフである。 様々なポリマー樹脂および「ラダー分岐」ポリマー樹脂について、多分散指数(PDI)の関数としてのレオロジー比のグラフである。 単鎖触媒および二重鎖触媒を用いて生成されたポリマーと、直鎖状ポリエチレン、管状低密度ポリエチレン、およびオートクレーブ低密度ポリエチレンを示す追加の線とのメルトインデックス(Log I)の関数としての溶融強度(センチニュートン、cN)のグラフである。
ポリマーを合成するためのプロセスおよび本開示のプロセスによって合成されるポリマーの特定の実施形態についてここで説明する。本開示のポリマーを合成するためのプロセスが、異なる形態で実施され得、本開示に記載される特定の実施形態に限定されると解釈されるべきではないことを理解されたい。むしろ、実施形態は、本開示が、徹底的かつ完全となり、また主題の範囲を当業者に完全に伝えるように、提供される。
定義
「ポリマー」という用語は、同一または異なるタイプのモノマーにかかわらず、モノマーを重合することにより調製されるポリマー化合物を指す。したがって、ポリマーという総称は、1つのタイプのモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられる用語「ホモポリマー」、および2つ以上の異なるモノマーから調製されるポリマーを指す「コポリマー」を包含する。本明細書で使用される、「インターポリマー」という用語は、少なくとも2つの異なるタイプのモノマーの重合によって調製されるポリマーを指す。したがって、総称であるインターポリマーという用語は、コポリマーと、ターポリマー等の3種類以上の異なるモノマーから調製されるポリマーとを含む。
「ポリエチレン」または「エチレン系ポリマー」は、エチレンモノマーに由来する50重量%を超える単位を含むポリマーを意味するものとする。これは、ポリエチレンホモポリマーまたはコポリマー(2つ以上のコモノマーに由来する単位を意味する)を含む。当該技術分野において既知であるポリエチレンの一般的な形態としては、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)、極低密度ポリエチレン(VLDPE)、直鎖状および実質的に直鎖状の低密度樹脂の両方を含むシングルサイト触媒直鎖状低密度ポリエチレン(m−LLDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、ならびに高密度ポリエチレン(HDPE)が挙げられる。
本開示の実施形態は、Cモノマー、少なくとも1つのC〜C12α−オレフィンコモノマー、少なくとも1つのジエン、多重鎖触媒、および任意選択的に溶媒を添加することによって、長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスであって、多重鎖触媒が、複数の重合部位を有する分子を含み、少なくとも2つのコポリマーストランドを生成し、各コポリマーストランドが、重合部位の1つで共重合する、プロセスと、2つのコポリマーストランドをジエンと連結することによって、長鎖分岐ポリマーを合成することであって、2つのコポリマーストランドの連結が、共重合と協調して実施される、合成することと、を含む。
本開示によるポリマーを合成するプロセスは、従来の長鎖分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」は、第三級または第四級炭素原子から延在するポリマーの一部を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐があり、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマーストランドであり得る。従来、長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。これは、ポリマー鎖のビニル末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生して、3官能性長鎖分岐を形成し得る。分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp−Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は通常、硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形で特定される。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高いエチレン変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
スキーム1:自然に発生する長鎖分岐:ビニル末端ポリマーにつながる連鎖移動事象
Figure 2022501474
スキーム1では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖である。
自然に発生する分岐プロセスを通して形成される最小限の長鎖分岐が存在する。LCBを増強するための1つの方法は、それが、ラジカル、不均一、または均一プロセスにかかわらず、α,ω−ジエンの重合系への添加によるものである。一般に、ジエンは、スキーム2に示されるように、αーオレフィンと同様の様式でポリマー鎖に付加されるが、ポリマー鎖にもう一度挿入してLCBを作成し得るペンダントビニル基を残す。一般に、ジエンの長さは重要ではなく、2つのポリマー鎖を一緒に連結し得ることだけが重要である。原則として、ペンダントビニルの濃度は、反応器に添加されるジエンの量を通して制御され得る。したがって、LCBの程度は、ペンダントビニルの濃度によって制御され得る。
スキーム2:ジエンの組み込みを介する長鎖分岐
Figure 2022501474
スキーム2では、「Cat」は触媒であり、「P」はポリマー鎖であり、この例中のジエンは、1,5−ヘキサジエンである。
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、ゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。後の項で考察される速度論的モデリングは、ゲル形成へのより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、より多くの挿入されたオレフィン、したがって、より多くの挿入されたジエン、したがって、より多くのペンダントビニルを有し、より長いポリマー鎖が、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高いことを意味する。したがって、より長いポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である4官能性分岐を形成し、ゲルの問題が生じる。スキーム2に示されるように、4官能性LCBは、短いセグメント(ジエンの2つの二重結合間の炭素数)を有し、それは、短いセグメントの両側にある2つの長鎖を橋渡しする。分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のポリエチレンについて、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。Mが、200,000グラム/モル(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーゲル、ゲル化の発生、または反応器汚損が存在する。
「ゲル」または「ゲル化」という用語は、少なくとも2つの成分から構成される固体を指し、第1は三次元架橋ポリマーであり、第2はポリマーが完全に溶解しない媒体である。ポリマーがゲル化して完全に溶解しない場合、反応器は、ポリマーゲルで汚損され得る。
「ラダー分岐」ポリマーという用語は、本出願に開示されるような4官能性長鎖分岐ポリマーを指し、「ラダー分岐機構」という用語は、「ラダー分岐」ポリマーがどのように形成されるかを指す。
本開示の1つ以上の複数の実施形態では、長鎖分岐ポリマーを合成するプロセスは、長鎖分岐を達成し、ゲル形成または反応器汚損を回避する。理論に拘束されるつもりはないが、ジエンの2つのアルケンを2つの近位ポリマー鎖にわたって協調様式で反応させることによって、反応器汚損が回避されると考えられる。例えば、スキーム3に示されるように、ジエンの1つのアルケンは、第2のアルケンの前に反応し、第2のアルケンは、あまりにも多くのエチレン分子がポリマーストランドに添加される前に反応し、それによって、第2のアルケンが反応部位に近接していることを取り除く。多くのエチレンモノマーが挿入される前の、ジエンの第1のアルケンの1つのポリマーへの反応、およびジエンの第2のアルケンの隣接するポリマー鎖への反応は、近位ポリマー鎖へのジエンの協調付加と称される。
スキーム3:「ラダー分岐」機構とも称される、ジエンを協調様式で組み込むことの記述(Pはポリマー鎖)。
Figure 2022501474
ポリマーストランドは、ポリマー、またはより具体的にはコポリマーの直鎖状セグメントであり、分岐接合によって末端(複数可)で任意選択的に接合される。例えば、スキーム1に示されるように、3つのポリマーストランドの末端を接合する3官能性分岐接合とは対照的に、4官能性分岐接合は4つのポリマーストランドの末端を接合する。
多重鎖触媒とジエンの組み合わせは、分岐の量と種類に影響を及ぼす。本開示の実施形態は、ポリマー特性、例えば、1)複数のジエン種の使用、2)複数の多重鎖触媒種の使用、または3)複数の反応器ゾーンまたはゾーンの勾配を含む重合環境の組み合わせなどを制御することに関する。
にもかかわらず、単鎖触媒を含む複数の触媒を使用することによって、従来の分岐が可能となり得る。複数のジエン種の使用はまた、分岐を作成しないか、または「従来の」LCBをもたらす傾向があるそれらのジエンも含む。本開示によるポリマーを合成するプロセスは、従来の長鎖分岐とは異なる。「長鎖分岐」という用語は、100個を超える炭素原子を有する分岐を指す。「分岐」という用語は、第三級または第四級炭素原子から延在するポリマーの一部を指す。分岐が第三級炭素原子から延在する場合、他に2つの分岐が存在し、それらは、集合的に、分岐が延在するポリマー鎖であり得る。長鎖分岐(LCB)は、スキーム1に示されるように、重合プロセスにおいて自然に発生し得る。これは、ポリマー鎖の末端化および高分子ビニルの再挿入を通して発生して、3官能性長鎖分岐を作成し得る。
1つ以上の実施形態では、長鎖分岐ポリマーを重合するためのプロセスは、近接して少なくとも2つの活性部位を有する触媒(多重鎖触媒)を含む。2つの活性部位を近接させるために、2つの活性部位は、18.5オングストローム(Å)未満離れ得る。いくつかの実施形態では、2つの活性部位は、2.5オングストローム(Å)〜18.5Å、9Å〜14Å、または約11Åの距離を含む。様々な実施形態では、長鎖分岐ポリマーを重合するためのプロセスは、多重鎖触媒を含む。1つ以上の実施形態では、多重鎖触媒は、少なくとも1つの金属中心を含み得、ここで、2つの活性部位は、同じ金属中心上にある。いくつかの実施形態では、多重鎖触媒は、金属−配位子錯体を含み得、ここで、2つの活性部位(2つのポリマー鎖)は、同じ金属中心上にある。
X線結晶構造(A.D.Bond,Chem.Comm.2002,1664)によれば、1,9−デカジエンは、10.8Åの末端炭素間距離を有する。1,9−デカジエンが、「ラダー分岐」機構を介して2つのポリマー鎖の間にラングを形成するというデータが存在するが、10個を超える炭素原子を有するα,ω−ジエンも、「ラダー分岐」機構を介してラングを形成し得ると考えられ得る。理論に拘束されるつもりはないが、10個を超える炭素原子を有するα,ω−ジエンが、ラングを形成し得るかどうかの問題は、2つのポリマー鎖間の距離によって判定され得る。例えば、2つのポリマー鎖が、触媒の異なる金属原子(例えば、バイメタル、不均一)に存在する場合、α,ω−ジエンは、この構造を1,15−ヘキサデカジエンに延在する、追加のメチレン単位(同じCーC結合長および角度)を含み得る。理論に拘束されるつもりはないが、この16個の炭素の類似体は、「ラダー分岐」機構を介してラングを形成する可能性を依然として有すると推定される。この様式で、ジエン、1,11−ドデカジエン(13.3Åの末端炭素間距離)、1,13−テトラデカジエン(15.9Åの末端炭素間距離)、1,15−ヘキサデカジエン(18.5Åの末端炭素間距離)が考えられ得る。いくつかの実施形態では、「ラダー分岐」機構における二重鎖触媒がバイメタル触媒である場合、ジエンは、18.5Å以下である。
現代の計算技術は、触媒の鎖間距離を推定する方法として、既知の実験的結晶構造を高精度で再現し得ることが既知である。不均一系の場合、金属の表面濃度を推定し得、それは、多くの場合、ナノメートルの2乗当たりの金属原子(M/nm)で測定される。この表面被覆は、均一に分散される場合、ポリマー鎖間距離を反映する、MーM距離に変換され得る、表面上のアクセス可能な金属の推定値を提供する。延在された表面の場合、1金属/nmは、所望のカットオフ内に十分である、金属原子間の10Åの距離をもたらす。18.5Åで、0.3金属/nmでの被覆を判定し得る。
活性部位が近接している、少なくとも2つの活性部位を有する触媒の例としては、バイメタル遷移金属触媒、不均一触媒、2つの関連する活性触媒を有するジアニオン性活性剤、2つ以上の成長ポリマー鎖を有する連結遷移金属触媒、モノアニオン性基、二座モノアニオン性基、三座モノアニオン性基、または外部ドナーを有する単座、二座、または三座モノアニオン性基を含む第IV族オレフィン重合触媒が挙げられるが、これらに限定されない。
表1における触媒は、前述の触媒のクラスおよび企図される特定の触媒の例示的な実施形態である。表1における例は、限定されることを意図されるものではなく、むしろ、それらは、前述の触媒のクラスの単なる例示的かつ具体的な例である。
Figure 2022501474
理論に拘束されるつもりはないが、この項で説明されるような機構は、ジエンコモノマーを所望の条件下で重合する場合、二重鎖触媒がどのように独自の架橋分子構造を作成し得るかを記載する。「ジエン」という用語は、2つのアルケンを有するモノマーまたは分子を指す。速度論の図解は、触媒中心が、2つのポリオレフィン鎖を生成するスキーム4に示される。スキーム4は、ジエン架橋と連鎖移動との組み合わせによって、ジエン「ラダー分岐」ポリマー構造がどのように作成され得るかを示す。ジエン「ラダー分岐」ポリマーという用語は、1〜12個の炭素原子を含む短鎖またはラングが2つの長鎖を一緒に連結する長鎖分岐を指す。示されるように、少なくとも2つのポリマー鎖部位を有する金属−配位子触媒は、2つの別個のポリマー鎖を成長させる。ジエンの1つのアルケンは、触媒の部位の1つに組み込まれ、成長部位の近接に起因して、ジエンの第2のアルケンは、次いで、第2のポリマー鎖に迅速に組み込まれ、それによって、ブリッジまたはラングを形成すると考えられる。ジエンのこの連続的な付加は、ジエンの「協調」付加と称され、2つの近位鎖を有さない触媒とは区別され、ここで、ジエンの付加が反応器内の後で反応するビニル含有ポリマーの濃縮をもたらす。「ラング」という用語は、ジエンがひとたび2つの別個のポリマーストランドに組み込まれると、それによって、ストランドを一緒に連結するジエンを指す。第1および第2のポリマーストランドは、ポリマーが別の触媒に移動するか、ポリマーが触媒から放出されるか、触媒が死滅するか、または別のジエンが付加されるまで成長し続ける。
速度論
スキーム4。得られる分子構造を含む「ラダー分岐」速度論の例示。金属−配位子触媒は、L−Mによって一緒に表される。
Figure 2022501474
理論に拘束されるつもりはないが、これらの提案された速度論に関連する分子量分布は、ジエン架橋反応が分岐の唯一の源である場合、高い分岐レベルで本質的に安定であると考えられる。分子量分布(MWD)は、重量平均分子量を数平均分子量で割って定義される(M/M)。MWDの固有の安定性は、重量平均分子量(M)が、高い分岐レベルでも適度に増加することを意味し、それは、MおよびM/Mが、中程度の4官能性分岐レベルで無限になる従来のジエンコモノマー分岐技術とは対照的である。
数学的モデルは、ポリエチレンを合成するためのプロセスが、どのようにジエン「ラダー分岐」分子構造を有する長鎖分岐ポリマーを作製するかを実証する目的のために導出される。数学的モデルは、特許請求の範囲のメトリクスおよび範囲を確立するためにも使用される。本開示で記載されるような分岐構造の数学的モデルは、提案された分岐機構の速度論記載から導出され得る。このモデルは、数学的簡潔性を促進するためのいくつかの仮定に基づいているが、これらの仮定は、この開示の範囲を限定することを意図したものではない。仮定は、コポリマーの非リビング付加の一般的な工業用途、ならびに仮定されたジエン分岐機構に固有の追加の仮定に従う。作成される一般的な仮定は、(1)成長は、連鎖移動よりもはるかに速く、したがって、平均鎖長は、1つのモノマーよりもはるかに長いこと、(2)単一の純粋な触媒種のみが活性であること、(3)触媒中心は、その寿命の間に多くの鎖を作製し、したがって、鎖の寿命は、反応または滞留時間のごく一部であること、(4)共重合は、組成のドリフトがごくわずかである場合、ホモ重合モデルによって近似され得ること、を含む。
ジエン「ラダー分岐」理論の速度論
一般的に作成される4つの仮定に加えて、ジエン「ラダー分岐」理論の速度論に基づく4つの仮定が存在する。第1の仮定は、触媒中心が、同一の速度論および統計を用いて、2つの速度論鎖を同時に生成することである。第2に、ラングは、ジエンが、長さを増す2つのポリマー鎖を架橋する場合に形成される。第3に、分岐点は、2つの非架橋鎖が、ジエンによって架橋される場合は常に形成される。最後に、MWDは、影響を受けないため、ブリッジを形成しないジエン反応は無視される。
提案されたジエン「ラダー分岐」機構の速度論記載は、各反応がどのように分子構造に影響を及ぼすかを記載する命名法の展開を必要とする。以下のいくつかの命名要素は、小分子(M、A、D)を表し、一方で他の命名要素は、分子構造(Pn,m,S,D)を表す。速度論は、命名要素が、どのように相互作用して、分子構造を形成するかを示す。
速度論命名法
M:モノマーまたはコモノマー、A:連鎖移動剤種、D:ジエン分岐種、n、m:亜種の単量体繰り返し単位の数を反映する指標、Pn,m:nおよびmの単量体繰り返し単位を有する2つの非架橋成長ポリマーを有する触媒、D:nの単量体繰り返し単位を有するデッドポリマー分子、S:nの単量体繰り返し単位を有する架橋ポリマー分子を生成する触媒、Kc:速度論鎖は、連鎖移動によって作成される直鎖状セグメントとして定義される、Rg:ラングは、鎖セグメント間のブリッジとして定義される、Br:2つの予めブリッジされていなかった分子がブリッジされる場合、分岐が作成される。
分岐速度論の等式は、上記で導入された命名法および仮定を使用して、以下に記載される。各反応について簡単に説明する。重合速度論の当業者は誰でも、速度論スキームおよび反応速度の法則を理解できる必要がある。
Figure 2022501474
成長の結果は、1つの繰り返し単位による鎖サイズの増分増加である。成長は、触媒中心から長さが増加する2つの分子の各々について別個に記載される。例えば、Pn,mの最初の指数は、触媒上の左鎖用であり、2番目の指数は、触媒上の右鎖用である。長さ架橋分子(S)の増加についての成長がモデル化される場合、反応に等しく利用可能な各中心に左および右の2つの鎖位置が存在するため、速度に2の係数が現れる。
連鎖移動は、成長と同様に、触媒の左右の位置に対して別個に記載される。非架橋種(Pn,m)の連鎖移動は、デッドポリマー分子(DまたはD)および空き位置(P0,mまたはPn,0)を生成する。成長する架橋分子(S)が連鎖移動に関与する場合、非架橋種(n,0またはP0,n)が生成され、n個の繰り返し単位すべてがまだ触媒に結合しているため、デッドポリマーは生成されない。連鎖移動から得られる空の位置(P0,mおよびPn,0)は、非常に迅速に再開始し、成長に関与すると仮定される。各ジエンは、2つの重合性基を有し、各触媒中心は、ジエンの組み込みのための2つの位置(左および右)を有するため、ジエン架橋のための反応速度表現は、4の係数を含む。
ジエン架橋は、非架橋(Pn,m)種が、ジエンと生産的に反応する場合のみ、4官能性分岐(br)の形成をもたらす。4官能性分岐は、4つのポリマー鎖が、短いセグメントの両側の2つずつから発生し得る、短いセグメントを指す。ジエンでは、4官能性分岐は、予想されるタイプのLCBである。ラングは、架橋(S)または非架橋(Pn,m)分子のどちらを持っているかに関係なく、任意の触媒中心が、ジエンを生産的に組み込む場合に生成される(rg)。鎖内環化およびペンダントビニル形成など、架橋をもたらさないジエン反応は無視され、これらの速度論では非生産的であると見なされる。
速度論からのモデルの作成は、関与するポリマー種のタイプごとに、一連のポピュレーションバランスが導出されることを必要とする。これらのポピュレーションバランスは、鎖長(n、m)の関数として導出され、様々な高分子亜種の動的変化率を表す。ポピュレーションバランスは、Pn,m、S、およびDn記号が、n≧1およびm≧1に関して亜種のモル濃度を表して、質量作用速度の法則を仮定して以下に与えられる。速度論モデルが拡張されて、他の連鎖移動反応、例えば、移動期間の定義、Ω=ktraA+ktrh+kを単に拡張することによる、水素(ktrh)およびベータ水素化物の除去(k)を用いるなどを含み得る。
Figure 2022501474
等式(1)、(2)、および(3):
Figure 2022501474
他の重要なポピュレーションバランスは、等式(1)〜(8)、例えば、左側(L)および右側(R)の成長ポリマー亜種の分布などから導出され得る。速度論スキームを定義する際に課せられる対称性に起因して、成長ポリマー亜種の左側および右側の分布は等しい。
Figure 2022501474
速度論鎖(kc)、分岐(br)、ラング(rg)などの分子属性の形成速度は、速度論スキームから導出される質量作用速度の法則を使用して以下に表される。簡略表記法が、触媒および非架橋分子(ξ0,0)の濃度、ならびに触媒および架橋ポリマー分子(μ)の濃度を定義するために使用される。したがって、全触媒濃度は、ξ0,0+μである。
Figure 2022501474
使用可能なモデルをレンダリングする最初の工程は、関連するポリマー亜種の比(
Figure 2022501474
)をゼロに設定することによって、成長ポリマー種の分布に「定常状態の仮定」を実施することである。これは、成長鎖の寿命が関心のある期間のごく一部である場合、付加重合モデリングにおける非常に一般的な仮定である。このタイプのほとんどの非リビングの商業的重合では、鎖寿命は、典型的には、1秒よりはるかに短く、一方では、反応器滞留時間が少なくとも数分である。以下の関係は、「定常状態」の仮定を実施し、すべての指数のライブレートを合計した後に導出される。
2Ψ ξ0,0=Ω μ、したがって、
Figure 2022501474
「定常状態の仮定」は、分子構造モデルに有用である単純な分岐メトリクス(B、B、R)の関係をもたらす。この特定の場合では、瞬間的特性は、定常状態、十分に混合された反応器、または温度または組成のドリフトがごくわずかであるバッチ反応器などの、様々な反応器に応用されるため、好都合で関連性がある。瞬間的分岐メトリクス(B、B、R)は、連鎖移動(Ω)およびジエン架橋率(Ψ)パラメータに空間的または時間的変動がない場合の累積平均値と同等である。
速度論鎖1つ当たりの瞬間的4官能性分岐、
Figure 2022501474
ポリマー分子1つ当たりの瞬間的4機能分岐、
Figure 2022501474
速度論鎖1つ当たりの瞬間的ラング、
Figure 2022501474
MWD平均の予測のモーメント
ポリマー種の鎖長分布のモーメントを説明するモデルは、多くの場合、速度論スキームから得られるポピュレーションバランスから導出され得る。モーメントベースモデルは、分子量平均および多分散指数を予測するのに有用であるが、一般に、バイモダリティ、ピークMW、およびテーリングなどのMWDにおけるより小さなニュアンスについては説明していない。モーメントの方法は、以下のもののような様々な高分子亜種の鎖長分布モーメントの定義を伴う。バルクポリマーモーメント(λ)は、バルクポリマー特性を反映し、バルクモーメントのモデルの解は、一般に、様々なリビングポリマーモーメントの解を必要とする。
リビングポリマーMWDモーメント:
Figure 2022501474
バルクポリマーMWDモーメント:
Figure 2022501474
熟練したポリマー反応エンジニアなら誰でも、一連のポピュレーションバランスからのモーメントモデル(等式(20)および(21))の導出しを理解するであろう。主要なバルクポリマーモーメント(λ,λ,λ)の変化率は、速度論鎖が長く、したがってΦ>>Ωという仮定を課した後に無視できる用語が削除されて、以下に与えられる。
Figure 2022501474
これらのバルクモーメントの変化率の評価は、多数のリビングポリマー亜種モーメントを必要とする。これらのライブポリマーモーメントは、「定常状態の仮定」のために代数的量であり、以下に与えられる。λなどのより高いバルクモーメントが予測される場合、追加のライブモーメントが必要とされる。
Figure 2022501474
モーメント率の代数的単純化の後、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DPn、DPw)が以下に提供される。当然のことながら、平均分子量(M、M)は、平均鎖長に見かけの単量体繰り返し単位重量(g/モル)を掛けたものに等しい。
Figure 2022501474
モデルの表現は、平均直鎖状速度論鎖長DPnoが、Φ/Ωに等しいなど、いくつかの置換によってさらに単純化される。また、モデルは、瞬間的分岐メトリックB、B、およびRのうちのいずれかの関数として表され得る。モデルは、速度論鎖1つ当たりのジエン「ラダー分岐」(B)およびポリマー分子1つ当たりの分岐(B)に関して以下に記載される。この系では、ポリマー分子1つ当たりの分岐が、速度論鎖1つ当たりのラングに等しいこと(B=R)が以前に示されていた。
Figure 2022501474
数平均および重量平均分子量(M、M)は、MnoおよびMwoとして数平均および重量平均直鎖状速度論鎖重量を定義した後、速度論鎖1つ当たりのジエン「ラダー分岐」(B)またはポリマー分子1つ当たりの分岐(B)の関数としても予測され得る。
Figure 2022501474
モーメントモデル(等式(20)および(21))から生じる予想外の予測は、高ジエン分岐レベルでは、最大多分散度が約4であるというものである。当然のことながら、この予測は、理想的な共重合および単一の対称触媒系に対するものであり、非理想的なものは、多分散度を高める可能性がある。
完全なMWD曲線のモデル
時には、分子量分布曲線のポピュレーションバランスを解くことが可能である。明示的な代数的解は、通常、この場合に仮定されるように、反応速度に空間的または時間的変動がない場合にのみ利用可能である。解は、Pn、mから導出されるさらに別の分布量Vnの定義から始まる。Vnのポピュレーションバランスは、対称性に起因する単純化を伴って、Pn、mのポピュレーションバランスを合計することによって導出される。
Figure 2022501474
長鎖の仮定に起因して、すべての亜種の分布を、離散関数ではなく連続関数であるかのように扱うことが可能である。離散定常状態ポリマー種のポピュレーションバランスは、差分項が導関数によって置換される場合、連続変数nの微分方程式によって近似され得る。例えば、Snの定常状態のポピュレーションバランスは、等式(31)に示されるような導関数によって置換される差分項Sn−Sn−1を含有する。
Figure 2022501474
同様の置換によって、以下の一連の常微分方程式(ODE)がもたらされ、それらは積分されて、様々な定義されたライブ亜種分布L(n)、S(n)、およびV(n)の鎖長分布を得ることができる。このモデルは、初期値問題として以下に要約され、ここで、鎖長分布関数は、n=0で開始すると仮定される。分布関数のn=0の下限は、数学的簡潔性のためだけに選択され、最終的には、高分子ポリマーが形成される場合、モデルの予測に有意な影響を及ぼさない。
Figure 2022501474
瞬間的デッドポリマー鎖長分布は、種の比(
Figure 2022501474
)から明らかなように、Lに比例する。したがって、Lを通して、微分方程式の上記系の解は、瞬間的デッドポリマー分布Xを与え、連続分布X(n)は、同様にL(n)に比例する。
瞬間的デッドポリマー分布、
Figure 2022501474
完全なMWD曲線の解
増加するポリマー鎖長の分布関数は、常微分方程式の積分に精通している人によって、数値的または分析的に解かれ得る。分析解は、代数的に複雑であるが、モーメントモデル(等式(20)および(21))と完全に一致すると同時に、ピーク位置のマルチモダリティおよびテーリングなどのMWDのニュアンスも予測するため、ここに与えられる。
Mathematica(商標)として知られるソフトウェアパッケージを使用して、成長ポリマー分布関数L(n)、S(n)、およびV(n)を記載する常微分方程式の系に対する分析解を開発した。L(n)の分析解を使用して、L(n)をその積分で正規化することによって、瞬間的デッドポリマー分布X(n)を記載した。
Figure 2022501474
X(n)の明示的な分析解は、Mathematica(商標)を使用して得ることができる。X(n)の分析解は、パラメータBおよびDPnoの関数として以下に記載され、解は、置換R=B=B/(1−B)(36)を介してRまたはBに関して再開され得る。
鎖長分布関数X(n)は、Mathematica(商標)によって与えられるRootSumの定義から以下のように評価される。多項式は、以下の、x、x、およびxと称される3つの根を有する。多項式の3つの根のうちの2つは、Bの可能な値の範囲にわたり複雑である。
0=1+B+(3+5B+2B )x+3(1+B)x+x (37)
根x、x、およびxは、瞬間的デッド鎖長分布関数X(n)において使用される。
Figure 2022501474
X(n)の様々なモーメントが評価されて、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DP、DP)、または分子量(M、M)が得られる。連続分布X(N)から得られる平均鎖長および重量は、長鎖重合と離散分布のために先に与えられたモーメントモデル予測に等しく、BおよびBの両方に関して以下に表され、ここで、R=Bである。
Figure 2022501474
ポリマー反応工学の当業者は、シミュレートされたサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)曲線を作成するための予測されたバルクポリマーMWDモデルの使用に精通している。そのようなシミュレーションは、速度論およびレシピが、SEC測定にどのように影響を及ぼすと予想されるかを関連付けるのに役立つ。SEC測定の主要な較正結果は、dw/dLog(M)対Log(M)の表またはプロットであり、Mは、種の分子量またはサイズであり、dw/dLog(M)は、Mに対応するポリマーの相対量を示す。このSECの結果は、nX(n)対Log(M)の表またはプロットによってシミュレートされ得、ここで、nX(n)は、dw/dLog(M)に比例することが予想される。
図2は、ジエン「ラダー分岐」(B、B、R)のレベルが変化する、一連のシミュレートされたSEC曲線を示す。図2における独立変数は、プロットが、普遍的で開始分子量に依存しないように、直鎖状分子量または鎖長によってスケーリングされる。図2におけるゼロ分岐の場合は、既知の「最も可能性が高い」MWD(P.J.Flory,J.Am.Chem.Soc.1936,58,1877)であり、理想的な均一条件下で実施される直鎖状付加共重合に予想されるMWDである。
ピークMW値のより詳細な分析は、MWDモデルに応用される多くの一連の分岐レベルを使用して実施された。図3は、関数分岐レベルとしての相対ピークMWの普遍的プロットを示す。図3は、ピークMW非感受性の低い分岐領域(0<R<0.15)、ならびにより高い分岐レジーム(R≧0.15)を実証し、ここで、ピークMWは、分岐レベルとともに着実に増加する。
代替の3官能性ジエン「ラダー分岐」機構およびモデル
二重鎖触媒が、所望の条件下でジエンを組み込む場合、観察される分岐およびMWDの傾向を説明し得る代替機構が存在する。Mは、ジエンの添加とともに増加することが多くの場合観察されるが、一部の触媒−ジエンの組み合わせでは、Mの増加をもたらすことがみられ、一方では、ジエンレベルが上昇しても、測定可能なMの増加はほとんどまたはまったく実証されない。一定のMのための1つの説明は、ジエンが両方の成長鎖に挿入された直後に、単一のベータ水素化物の除去(または水素への連鎖移動)が発生する傾向があり得るということである。このシナリオは、ジエンの挿入によって3官能性分岐の作成をもたらし、純粋な形態では、架橋成長種(S)を速度論から排除する。
速度論スキームは、「ジエン架橋」を以下の反応に置換することによって、この代替機構を考慮するように変更される。
Figure 2022501474
モデリングおよび速度論の分野に精通したポリマー反応エンジニアなら誰でも、以前と同じ一連の仮定を使用して、これらの代替速度論のモーメントおよびMWD関数モデルを再導出し得る。得られる瞬間的デッド鎖長分布関数X(n)は、この3官能性分岐機構について以下に与えられる。
Figure 2022501474
等式(41)では、Bは、速度論鎖1つ当たりの分岐点として定義され、DPnoは、ジエンを含まない平均直鎖状鎖長として定義される。速度論スキームは、直鎖状(速度論)鎖長が、ジエンが、ベータ水素化物の除去を誘発したことに起因して、ジエンの組み込みに伴い実際に減少ことを仮定する。したがって、分岐の良好な代替指標はBであり、これは、数平均ポリマー分子1つ当たりの分岐点として定義され、ここで、B=B/(1+B)である。関数X(n)は、容易に、Bに関して書き直される。
X(n)の積分によって、瞬間的数平均および重量平均鎖長(DP、DP)または分子量(M、M)の結果が得られる。連続分布X(n)から得られる平均鎖長および重量は、長鎖重合が仮定される場合、モーメントモデル予測に等しい。X(n)の積分によって、DPおよびMが、分岐レベル(BまたはB)に関して一定であることが確認される。ジエンが3官能性分岐を作成すると仮定される場合、X(n)の積分によって、分岐レベルとともに多分散度がどのように変化すると予想されるかも示される。
Figure 2022501474
したがって:M=Mno (42)
Figure 2022501474
多分散度(M/M)と3官能性分岐レベルとの上記の関係は、どの分岐レベルでも不安定性または発散を示さない。最も驚くべきことは、高い分岐レベルでは、多分散度が、4で横ばいになると予測されることである。当然のことながら、この予測は、理想的な共重合および対称触媒系に対するものであり、非理想的なものは、多分散度を高めることが予想される。
鎖長分布関数を再び使用して、予測されたMWD曲線を作成し得る。図4は、3官能性分岐(BまたはB))のレベルが変化する、一連のシミュレートされたSEC曲線である。図4における独立変数は、プロットが、普遍的で開始分子量に依存しないように、直鎖状分子量または鎖長によってスケーリングされる。図4におけるゼロ分岐の場合は、既知の「最も可能性が高い」MWDであり、理想的な均一条件下で実施される直鎖状付加共重合に予想される。図5は、3官能性ジエン分岐の相対ピークMWのプロットであり、MWDピークが、0.2<B<0.9または0.17<B<0.5のおよその範囲内の中間分岐レベルで分岐レベルに最も感受性であることを実証する。
従来の分岐モデル
この項の目的は、様々な従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングを、「ラダー分岐」モデルと比較することである。この比較は、「ラダー分岐」とは対照的に、従来のジエン分岐およびランダムポリマーカップリングに固有の不安定性を実証する。ジエン「ラダー分岐」から得られる分子構造は、(a)従来のジエン連続撹拌槽型反応器(CSTR)分岐モデル、(b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、(c)ポリマーCSTRカップリングモデル、および(d)ポリマーバッチカップリングモデルとは異なる。
a)従来のジエンCSTR分岐モデル、Ver Strate−1980(G.Ver Strate,C.Cozewith,W.W.Graessley,J.App.Polym.Sci.1980,25,59)、Guzman−2010(J.D.Guzman,D.J.Arriola,T.Karjala,J.Gaubert,B.W.S.Kolthammer,AIChE 2010,56,1325):
Figure 2022501474
b)従来のジエンセミバッチ分岐モデル、Cozewith−1979(C.Cozewith,W.W.Graessley,G.Ver Strate,Chem.Eng.Sci.1979,34,245)、およびd)ポリマーバッチカップリングモデル、Cozewith−1979、Flory−1953(P.J.Flory,Principles of Polymer Chemistry,Cornell University Press,1953)、Tobita−1995(H.Tobita,J.Polym.Sci.B 1995,33,1191):
Figure 2022501474
c)ポリマーCSTRカップリングモデル:
Figure 2022501474
4官能性長鎖分岐ポリオレフィンの特性評価
分岐の程度に応じて、核磁気共鳴(NMR)などの様々な方法が、LCBを判定するか、またはポリマー中のLCBの影響を識別し得る。例えば、LCBの効果は、van Gurp−Palmen分析のせん断流において観察され、また、低い角周波数でのせん断粘度の増加およびせん断減粘挙動の強度は、LCBに起因し得る。伸長流では、LCBの影響は通常、硬化の程度または溶融物の強度、および達成される最大変形で特定される。他のプロット、例えば、Mark−Houwinkプロット、拡大分子量分布(MWD)、およびg’visプロットなどは、LCBに関する追加の情報を提供する。ビニル末端ポリマーの限定された濃度(ポリマー鎖1つ当たり最大1つ)、およびLCBの形成を確保するために高い変換を実行する必要性に起因して、ポリマー内の高レベルの天然LCBを達成することは困難である。高い変換を確保するために、反応器内のエチレン濃度が低く、したがって、大量のビニル末端ポリマーを第2のポリマー鎖に再挿入し得る。
ジエンをポリマー合成系に組み込む従来のプロセスは、高分岐レベルでのゲル形成または反応器汚損の根本的な欠陥をこうむる。先の項で考察された速度論的モデリングは、ゲル形成のより良好な理解を可能にする良好な予測結果を提供し得る。例えば、より長いポリマー鎖は、比例してより多くのペンダントビニルを有し、より多くのペンダントビニルを含有するポリマー鎖は、触媒に再挿入されてLCBを形成する可能性が高い。したがって、より大きなポリマー鎖が、優先的に再挿入されて、さらに大きなポリマー分子である4官能性分岐を形成し、LCBレベルが閾値に達する場合、ゲルの問題または不安定結果が生じる。従来の4官能性分岐の関数としての重量平均分子量(M)および数平均分子量(M)のシミュレーションが、一定圧力のセミバッチ反応器内のエチレン系ポリマーのために、図1に示される。図1では、Mは、Mが無限大になると、わずかに増加するだけである。この例では、Mが、1モル当たり200,000グラム(g/モル)を超える数に増加すると、ポリマーの分子量分布(MWD)は不安定になり、ゲル形成が始まる。MWDは、重量平均分子量Mを数平均分子量Mで割って定義される(M/M)。
ポリマーゲルは、本開示の目的のために、その高分岐レベルおよび/または高分子量に起因して相分離されたポリマー画分であると狭義に定義される。ポリマーゲルは、溶液中または溶融状態で観察され得、光学的透明度、ならびにフィルムおよび繊維の性能などの特性を妨害する傾向がある。ポリエチレンインターポリマーゲルは、高温キシレンへのポリマーの不溶性度によって測定され得る。ゲル含有量は、多くの場合、GPCポリマーの回収パーセンテージと相関し、したがって、それから推定される。ポリマーゲルが形成される場合、それらは反応器内に堆積し、汚損をもたらし得る。
図7および図8は、従来の分岐ポリマーおよび「ラダー分岐」ポリマーから予想されるMWD曲線における差異を示す。MWD特性を記載する一連のメトリクスは、MWDデータの研究およびMWDモデルとの比較から開発された。本明細書に提示されるMWD記載メトリクスの各々は、平均MWから独立し、MWDの高MW部分に焦点を当てている。MWDメトリクスは、スケーリングされたMWD曲線(dW/dlogM)から導出され、MWDの主要ピークまたは最高ピークは、単一性の値を持つものとして定義される。2つ以上のピークが同じ高さを有する場合、最も高いMWピークが主要ピークである。MWD曲線における独立変数は、Log(M)であり、これは、10を底とするMの対数である。メトリクスが定義され、図6、図7、図8、および図9を使用して、分子またはセグメント1つ当たりの分岐に変換され得るM/MwoおよびM/Mpoの関数として提示される。GPCデータ解釈の当業者は、これらのメトリクスを理解し、GPCデータからそれらを計算し得るであろう。
GPC形状メトリクスのファミリーG(A/B)は、MWD曲線の右側の定義されたポイントでの勾配から計算され、ここで、S(A)およびS(B)は、主要ピークの高さのA%およびB%で、主要ピークの右側のこれらの勾配の最初の出現である。ポイントAおよびBは、MWDが「最も可能性が高い」場合、ほぼ同じ勾配を有するペアとして選択される。これらのポイントおよびそれらの勾配の記述は、最も可能性が高いMWDに関して、図10のグラフに示される。これらの勾配ペアS(A)とS(B)を一緒に使用して、二次導関数に類似する関数G(A/B)を計算し、これは、「ラダー分岐」MWDを従来型またはランダムに分岐したMWDから区別するための有用なメトリックであることが示される。G(79/29)およびG(96/08)の値は、MWDの右側(RHS)の勾配の変化を記載し、高MW勾配から以下に定義される。
G(79/29)=(S(79)−S(29))/S(79) (48)
G(96/08)=(S(96)−S(8))/S(96) (49)
形状メトリクスG(79/29)およびG(96/08)は、4官能性「ラダー分岐」および従来のジエン分岐についてのMWDモデル上で試験され、その結果が、図11、図12、図13、図14においてプロットされる。これらの図は、従来の分岐が、MWが分岐に応答するにつれて着実に増加するG(79/29)およびG(96/08)値が得られることを示す。しかしながら、「ラダー分岐」に応用する場合、これらの形状メトリクスは、低レベルの分岐(低M/Mwo)で急激に低下し、次いで、中レベルから高レベルの分岐でゼロに近づく。「ラダー分岐」MWDの高MW部分は、最も可能性が高いMWDに類似しているため、これは驚くべきことではない。
図11、図12、図13、および図14は、分岐に対するG(79/29)およびG(96/08)メトリクスの同様の応答を示すが、G(96/08)メトリックは、従来のジエン分岐から得られる高MWテーリングに対してより感受性であると予想される。「高MWテーリング」または「高分子量テール」という用語は、従来のGPCおよび絶対GPCによって示されるような高分子量画分を指す。触媒とジエンとのペアリングおよび実験条件に応じて、「ラダー分岐」系が何らかの従来の分岐を有し、それによって、上記の形状メトリック値が、純粋な「ラダー分岐」に予想される値よりも高くなることが予想され得る。
MWD面積メトリクス
「ラダー分岐」MWDの目視検査は、分岐ポリマーで通常みられる高MWテールの特徴的な欠如が存在することを示す。図16および図17は、モデルが、「ラダー分岐」ポリマーのテーリングの欠如をどのように予測するかを実証する。「ラダー分岐」MWDデータは、多くの実験でテールが特徴的に欠如していることを示すが、重合条件およびジエン/触媒のペアリングに応じてテールが形成される可能性があることも示す。
多分散度指数(M/M、M/Mなど)は、テーリングの既知のメトリクスであるが、低MWD人工物に対する感受性に起因して好ましくない。したがって、多分散度指数のより焦点を絞ったバージョンを使用して、MWDの高MW部分でのみ積分が実施される標準物を開発する。M/MおよびM/Mメトリクスは、ジエン「ラダー分岐」を従来の分岐から区別することに成功し、高MWベースライン選択およびベースラインノイズに非常に感受性である。
MWD曲線の下の面積は、MWD分散度指数(M/M、M/Mなど)を計算するために必要とされるより高いモーメントと比較して、ベースラインの問題に比較的非感受性である。したがって、MWDの非加重積分を伴うメトリクスを開発することが決定された。これらのMWD面積メトリクス、AHIGHおよびATAILは、MWD曲線の右側に定義された領域についてGPC曲線の面積から計算される。MWD面積メトリクス(AHIGHおよびATAIL)は、スケーリングされたMWD曲線(dW/logM)から導出され、MWDの主要ピークまたは最高ピークは、単一性の値を有するものとして定義される。2つ以上のピークが同じ高さを有する場合、最も高いMWピークが主要ピークである。MWD曲線における独立変数は、Log(M)であり、これは、10を底とするMの対数である。MWD面積メトリクスの両方は、MWDの高MW部分の最大勾配のポイントに依存する。面積メトリクスを評価するために必要な量および限界は、以下に列記され、最も可能性が高いMWDについて図15に実証される。
max=スケーリングされたMWDの主要ピーク(勾配の絶対値)のRHS(より高いMW側)での最大下降勾配の最初の場合
smax=最大勾配のポイントでのスケーリングされたMWDの高さ
pt1=SmaxのLogM値
pt2=Smax正接がx軸と交差するLogM値
MWD面積メトリクスは、以下に定義され、ここで、AHIGHは、最大勾配のポイントの後にあるMWD領域の面積に過ぎない。第2の面積メトリックであるATAILは、図15に示される小さな高MW面積であり、AHIGHから三角形の面積を差し引きすることによって評価される。
Figure 2022501474
面積メトリクスであるAHIGHおよびATAILは、「ラダー分岐」および従来のジエン分岐についてのMWDモデル上で試験され、その結果が、図16、図17、図18、および図19においてプロットされる。プロットは、AHIGHまたはATAILによって定義される高MW面積が、従来の分岐レベルが増加するにつれて劇的に増加することを示す。しかしながら、「ラダー分岐」モデルは、高MW面積メトリクス(AHIGHまたはATAIL)は、「ラダー分岐」レベルによってほとんど影響を受けないと予測する。最も可能性が高いMWDのAHIGHおよびATAILの値は、それぞれ約0.07および0.015である。例示的MWDデータは、ジエンフリーの直鎖状ポリマーが、重合の非理想的な態様に起因して、AHIGHおよびATAILのわずかに高い値を有する傾向があること実証する。例示的データは、最も可能性が高いMWDから予想されるものを超える高MWテールが本質的にない、様々な高度に分岐した「ラダー分岐」ポリマーも示す。高MW面積メトリクスは、ある程度の従来の分岐を伴う場合、「ラダー分岐」ポリマーが示し得るわずかなレベルの高MWテール形成の診断にもなる。メトリックATAILは、AHIGHよりも直鎖状MWD非理想による影響を受けにくい。ただし、理論的には、AHIGHおよびATAILメトリクスは、高MWテール形成を等しく示す。
4官能性長鎖分岐ポリオレフィン
スキーム4に記載されているように、「ラダー分岐」から生成されたポリマーは、本開示に含まれる。
実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、少なくとも10の190℃での溶融粘度比またはレオロジー比(V0.1/V100)を含み、ここで、V0.1は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度である。1つ以上の実施形態では、溶融粘度比は、少なくとも14、少なくとも20、少なくとも25、または少なくとも30である。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、50を超え、少なくとも60、または100を超える。いくつかの実施形態では、溶融粘度比は、14〜200のものである。
「レオロジー比」および「溶融粘度比」は、190℃でのV0.1/V100によって定義され、ここで、V0.1は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度であり、V100は、190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度である。
1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.86未満の平均g’を有し、ここで、平均g’は、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される固有粘度比である。いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、0.64〜0.86の平均g’を有する。「0.64〜0.86」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーの平均g’は、0.64〜0.75、0.68〜0.79、または0.65〜0.83の範囲であり得る。1つ以上の実施形態では、平均g’は、0.65〜0.84、0.66〜0.82、または0.66〜0.80である。
いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、ピーク高さ、ピーク高さの79%での勾配M79、およびピーク高さの29%での勾配M29を有するゲル浸透クロマトグラフィー曲線から判定される際、0.035以下のG(79/29)値を有し、ここで、G(79/29)値は、(M79−M29)/M79に等しい。「0.035以下」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、「0.035以下」は、0.0超〜0.035、0.010〜0.034を含み、負の値を含む。1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーは、ゲル浸透クロマトグラフィー曲線から判定される際、0.030以下のG(79/29)値を有し得る。
1つ以上の実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーの溶融粘度比は、弾性係数の10倍を超え得、溶融粘度比(V0.1/V100)は、190℃、0.1ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度V0.1、および190℃、100ラジアン/秒の角周波数でのエチレン系ポリマーの粘度V100によって判定され、弾性係数mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、ここで、tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。
1つ以上の実施形態では、エチレン系ポリマーは、8秒/ラジアン以下である、190℃での弾性係数mを有し得、ここで、mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]である。他の実施形態では、エチレン系ポリマーは、4秒/ラジアン以下である、190℃での弾性係数mを有し得る。
様々な実施形態において、本開示のエチレン系ポリマーの溶融強度は、6cNを超え得る(Rheotens装置、190℃、2.4mm/秒、ダイ出口からホイールの中心まで120mm、38.2秒−1の押出速度、長さ30mm、直径2mm、および入口角度180°のキャピラリーダイ)。いくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーの溶融強度は、10cNを超え得る。
実施形態では、エチレン系ポリマーは、MWD面積メトリックATAILによって定量化された分子量テールを有し得、ATAILは、0.04以下である。「0.04以下」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、いくつかの実施形態では、本開示のエチレン系ポリマーのATAILは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0を超え、0.03以下である。
実施形態では、エチレン系ポリマーのMは、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、800,000ダルトン以下であり得る。1つまたは複数の実施形態では、エチレン系ポリマーのMは、400,000ダルトン以下であり得る。
様々な実施形態では、エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mp0を有し得、ここで、Mは、従来のゲル浸透クロマトグラフィーから判定される際のエチレン系ポリマーのピーク分子量であり、Mp0は、ポリエンコモノマーを含まないエチレン系ポリマーの初期ピーク分子量である。
実施形態では、エチレン系ポリマーは、1.20を超えるM/Mw0を有し、ここで、Mは、ゲル浸透クロマトグラフィーによって得られたエチレン系ポリマーのGPC曲線から判定される際のエチレン系ポリマーの重量平均分子量である。Mw0は、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量である。比較のエチレン系ポリマーは、定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物である。
各Mw0およびMp0は、先に考察されたように、重合中に反応器にジエンを添加しないポリマー樹脂のメトリックである。ジエンの各後続の添加は、メトリックMまたはMが判定され得るポリマー樹脂を生成する。反応器に組み込まれるジエンの量は、反応器内の他の反応物と比較して少ない。したがって、ジエンの添加は、反応器内のコモノマー、エチレン、および溶媒の総量に影響を及ぼさない。
様々な実施形態において、エチレン系ポリマーは、0.1〜3.0のgpcBR分岐指数を有する。「0.10〜3.00」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマーは、0.10〜2.00、0.10〜1.00、0.15〜0.65、0.20〜0.75、または0.10〜0.95のgpcBR分岐指数を含み得る。
前項に記載される長鎖分岐重合プロセスは、オレフィン、主にエチレンおよびプロピレンの重合に利用される。いくつかの実施形態では、重合スキーム中に単一種類のオレフィンまたはα−オレフィンのみが存在し、本質的に少量の組み込まれたジエンコモノマーンを有するホモポリマーを作成する。しかしながら、追加のα−オレフィンを重合手順に組み込んでもよい。追加のα−オレフィンコモノマーは、典型的には、20個以下の炭素原子を有する。例えば、α−オレフィンコモノマーは、3〜10個の炭素原子、または3〜8個の炭素原子を有し得る。例示的なα−オレフィンコモノマーとしては、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、4−メチル−1−ペンテン、およびエチリデンノルボルネンが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、1つ以上のα−オレフィンコモノマーは、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンからなる群から、または代替的に1−ヘキセンおよび1−オクテンからなる群から選択され得る。
長鎖分岐ポリマー、例えば、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも50重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。「少なくとも50重量パーセントから」によって包含されるすべての個々の値および部分範囲は、別個の実施形態として本明細書に開示され、例えば、エチレン系ポリマー、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンなどのコモノマーのホモポリマーおよび/またはインターポリマー(コポリマーを含む)は、少なくとも60重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも70重量パーセントのエチレンに由来する単位、少なくとも80重量パーセントのエチレンに由来する単位、または50〜100重量パーセントのエチレンに由来する単位、または80〜100重量パーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。
エチレン系ポリマーのいくつかの実施形態では、エチレン系ポリマーは、追加のα−オレフィンを含む。エチレン系ポリマー中の追加のα−オレフィンの量は、50モルパーセント(モル%)以下であり、他の実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも0.01モル%〜25モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも0.1モル%〜10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは、1−オクテンである。
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、少なくとも50モルパーセントのエチレンに由来する単位を含み得る。少なくとも90モルパーセントからのすべての個々の値および部分範囲は本明細書に含まれ、別個の実施形態として本明細書に開示される。例えば、エチレン系ポリマーは、エチレン由来の単位を少なくとも93モルパーセント、単位を少なくとも96モルパーセント、エチレン由来の単位を少なくとも97モルパーセント、または代替的に、エチレン由来の単位を90〜100モルパーセント、エチレン由来の単位を90〜99.5モルパーセント、エチレン由来の単位を97〜99.5モルパーセント含み得る。
長鎖分岐ポリマーのいくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、50%未満であり、他の実施形態は、少なくとも1モルパーセント(モル%)〜20モル%を含み、さらなる実施形態では、追加のα−オレフィンの量は、少なくとも5モル%〜10モル%を含む。いくつかの実施形態では、追加のα−オレフィンは、1−オクテンである。
任意の従来の重合プロセスを用いて、長鎖分岐ポリマーを生成し得る。かかる従来の重合プロセスとしては、1つ以上の従来の反応器、例えばループ反応器、等温反応器、流動床気相反応器、撹拌槽型反応器、バッチ反応器などの並列、直列、またはそれらの任意の組み合わせを使用する、溶液重合プロセス、気相重合プロセス、スラリー相重合プロセス、およびそれらの任意の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系および任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。別の実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意に1つ以上のα−オレフィンは、本開示および本明細書に記載の触媒系および任意に1つ以上の他の触媒の存在下で重合される。本明細書に記載の触媒系は、任意に1つ以上の他の触媒と組み合わせて、第1の反応器または第2の反応器において使用することができる。一実施形態では、エチレン系ポリマーは、二重反応器系、例えば二重ループ反応器系において、溶液重合によって生成することができ、そこで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本明細書に記載の触媒系の存在下で両方の反応器において重合される。
別の実施形態では、長鎖分岐ポリマーは、一重反応器系、例えば一重ループ反応器系において、溶液重合によって生成され得、ここで、エチレン、および任意選択的に1つ以上のα−オレフィンは、本開示に記載の触媒系、および前項に記載の任意選択的に1つ以上の助触媒の存在下で重合される。いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖分岐重合プロセスは、触媒系の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含む。
長鎖分岐ポリマーは、1つ以上の添加剤をさらに含み得る。かかる添加剤としては、帯電防止剤、色増強剤、染料、潤滑剤、顔料、一次酸化防止剤、二次酸化防止剤、加工助剤、紫外線安定剤、およびそれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。エチレン系ポリマーは、任意の量の添加剤を含有し得る。エチレン系ポリマーは、エチレン系ポリマーおよび1つ以上の添加剤の重量に基づいて、そのような添加剤の合計重量で約0〜約10パーセント妥協し得る。エチレン系ポリマーは、充填剤をさらに含み得、その充填剤としては、有機または無機充填剤を挙げることができるが、これらに限定されない。長鎖分岐ポリマーは、エチレン系ポリマーおよびすべての添加剤または充填剤の合計重量に基づいて、例えば炭酸カルシウム、タルク、またはMg(OH)などの充填剤を約0〜約20重量パーセント含有し得る。エチレン系ポリマーは、1つ以上のポリマーとさらに配合されてブレンドを形成することができる。
いくつかの実施形態では、長鎖分岐ポリマーを生成するための長鎖重合プロセスは、2つのポリマー生成部位を有する触媒の存在下で、エチレンおよび少なくとも1つの追加のα−オレフィンを重合することを含み得る。2つのポリマー生成部位を有するそのような触媒から得られる長鎖分岐ポリマーは、例えば、0.850g/cm〜0.960g/cm、0.880g/cm〜0.920g/cm、0.880g/cm〜0.910g/cm、または0.880g/cm〜0.900g/cmの、ASTM D792(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に準拠した密度を有し得る。
別の実施形態では、長鎖重合プロセスから得られる長鎖分岐ポリマーは、5〜100のメルトフロー比(I10/I)を有し得、ここで、メルトインデックスIは、190℃および2.16kgの負荷下で、ASTM D1238(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に準拠して測定され、メルトインデックスI10は、190℃および10kgの負荷下で、ASTM D1238に準拠して測定される。他の実施形態では、メルトフロー比(I10/I)は、5〜50であり、他では、メルトフロー比は、5〜25であり、他では、メルトフロー比は、5〜9である。
いくつかの実施形態では、長鎖重合プロセスから得られる長鎖分岐ポリマーは、1〜20の分子量分布(MWD)を有し得、ここで、MWDは、M/Mとして定義され、Mは、重量平均分子量であり、Mは、数平均分子量である。他の実施形態では、触媒系から得られたポリマーは、1〜10のMWDを有する。別の実施形態は、1〜3のMWDを含み、他の実施形態は、1.5〜2.5のMWDを含む。
並列重合反応器(PPR)
小規模な溶液重合の例は、5mLの総液体体積、150psigの一定のエチレン圧力、および120℃の重合温度を使用して、15mLバイアル内で実施される。5mLの液体体積は、500nモルのMMAO−3Aを含有する0.84mLのコモノマー混合物と、トルエン中の触媒および活性剤溶液と、5mLの液体体積を達成するのに添加される十分なIsopar−Eとからなる。水素(H)を、任意の所定のジエンのための実験が、同じH負荷で実施されるように、空の反応バイアルを、20±3psigのH、80℃で、同時に予圧することによって、反応混合物に添加した。すべての液体体積を、室温で分注し、5mLの総容量との関係で体積的に添加した。触媒を、トルエン中に5mM溶液として反応混合物に最後に添加し、それを、1.5当量の共触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)によって別個に活性化した。コモノマー溶液は、主に1−オクテン、および少量(0〜6%)の体積分率のジエン種から構成されていた。重合を、約30分を超えない時間実施し、CO添加、続いてバイアル減圧によってクエンチした。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)(従来のGPC)
クロマトグラフィー系は、内部IR5赤外検出器(IR5)を装備したPolymerChar GPC−IR(Valencia、Spain)高温GPCクロマトグラフ、およびPrecision Detectors(現在は、Agilent Technologies)2角レーザ光散乱(LS)検出器モデル2040に結合された4−キャピラリー粘度計(DV)からなる。すべての絶対光散乱測定に関して、15度角が測定に使用される。オートサンプラオーブンコンパートメントを摂氏160度に設定し、カラムコンパートメントを摂氏150度に設定した。使用したカラムは、4つのAgilent「Mixed A」30cm、20ミクロンの直線状混合床カラムであった。使用したクロマトグラフィー溶媒は、1,2,4−トリクロロベンゼンであり、200ppmのブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)を含有していた。溶媒源は、窒素注入された。使用した注入体積は200マイクロリットルであり、流速は1.0ミリリットル/分であった。
GPCカラムセットの較正は、580〜8400000の範囲の分子量を有する少なくとも20の狭い分子量分布のポリスチレン標準物を用いて実施し、個々の分子量の間に少なくとも10の間隔を空けて、6つの「カクテル」混合物中に該標準物を配置した。標準物は、Agilent Technologiesから購入した。1,000,000以上の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.025グラムで、また1,000,000未満の分子量については50ミリリットルの溶媒中0.05グラムでポリスチレン標準物を調製した。ポリスチレン標準物を穏やかに撹拌しながら摂氏80度で30分間溶解させた。ポリスチレン標準物のピーク分子量を、等式52(Williams and Ward,J.Polym.Sci.,Polym.Let.,6,621(1968)に記載されている):
ポリエチレン=A×(Mポリスチレン(52)
を使用して、ポリエチレン分子量に変換した。
式中、Mは、分子量であり、Aは、0.4315の値を有し、Bは、1.0に等しい。
第3次と第5次との間の多項式を使用して、それぞれのポリエチレン同等較正点にあてはめた。NIST標準物NBS 1475が52000Mwで得られるように、カラム分解能およびバンドの広がり効果を補正するため、Aに対してわずかな調整(約0.415〜0.44)を行った。
GPCカラムセットの合計プレートカウントは、エイコサン(50ミリリットルのTCB中0.04gで調製され、穏やかに撹拌しながら20分間溶解した)を用いて行った。プレートカウント(式53)および対称性(式54)を、以下の式に従って、200マイクロリットル注入で測定した。
Figure 2022501474
式中、RVはミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅はミリリットルであり、ピーク最大値はピークの最大高さであり、1/2高さはピーク最大値の1/2の高さである。
Figure 2022501474
式中、RVは、ミリリットルでの保持体積であり、ピーク幅は、ミリリットルであり、ピーク最大値は、ピークの最大位置であり、1/10の高さは、ピーク最大値の1/10の高さであり、リアピークは、ピーク最大値よりも後の保持体積でのピークテールを指し、フロントピークは、ピーク最大値よりも早い保持体積でのピーク前部を指す。クロマトグラフィーシステムのプレート計数は、24,000超となるべきであり、対称性は、0.98〜1.22の間となるべきである。
試料は、PolymerChar「Instrument Control」ソフトウェアを用いて半自動で調製され、2mg/mlを試料の標的重量とし、PolymerChar高温オートサンプラを介して、予め窒素をスパージしたセプタキャップ付バイアルに溶媒(200 ppmのBHTを含有)を添加した。試料を、「低速」振盪しながら摂氏160度で2時間溶解した。
n(GPC)、Mw(GPC)、およびMz(GPC)の計算は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェア、各等間隔のデータ収集ポイント(i)においてベースラインを差し引いたIRクロマトグラム、およびポイント(i)に関する狭い標準較正曲線から得られるポリエチレン当量分子量を使用して、等式55〜57に従って、PolymerChar GPC−IRクロマトグラフの内部IR5検出器(測定チャネル)を使用した、GPC結果に基づいた。
Figure 2022501474
経時的な偏差を監視するために、PolymerChar GPC−IRシステムで制御されたマイクロポンプを介して各試料に流量マーカー(デカン)を導入した。この流量マーカー(FM)は、試料中のそれぞれのデカンピーク(RV(FM試料))を狭い標準較正(RV(FM較正済み))内のデカンピークと整合することによって各試料のポンプ流量(流量(見かけ))を直線的に較正するために使用された。こうして、デカンマーカーピークの時間におけるいかなる変化も、流量(流量(有効))における線形シフトに関連すると仮定される。流量マーカーピークのRV測定の最高精度を促進するために、最小二乗フィッティングルーチンを使用して、流量マーカー濃度クロマトグラムのピークを二次方程式に適合させる。次に、二次方程式の一次導関数を使用して、真のピーク位置を求める。流量マーカーのピークに基づいてシステムを較正した後、(狭い標準較正に対する)有効流量は式58のように計算される。フローマーカーピークの処理は、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを介して行われた。許容可能な流量補正は、有効流量が見かけ流量の+/−2%以内であるべきである。
流量(有効)=流量(見かけ)*(RV(FM較正済み)/RV(FM試料))(58)
三重検出器GPC(TDGPC)(絶対GPC)
クロマトグラフィーシステム、分析条件、カラムセット、カラム較正および従来の分子量モーメントの計算および分布は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)に記載されている方法に従って実施された。
IR5検出器からの粘度計および光散乱検出器オフセットの判定に関して、多重検出器オフセットの判定のための体系的手法は、Balke、Moureyらによって公開されたもの(Mourey and Balke,Chromatography Polym.Chpt 12,(1992))(Balke,Thitiratsakul,Lew,Cheung,Mourey,Chromatography Polym.Chpt 13,(1992))に一致する様式で行われ、それは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、広いホモポリマーポリエチレン標準物(M/M>3)からの三重検出器log(MWおよびIV)の結果を、狭い標準較正曲線からの狭い標準カラム較正の結果に最適化する。
絶対分子量データは、PolymerChar GPCOne(商標)ソフトウェアを使用して、Zimm(Zimm,B.H.,J.Chem.Phys.,16,1099(1948))、およびKratochvil(Kratochvil,P.,Classical Light Scattering from Polymer Solutions,Elsevier,Oxford,NY(1987))によって公開されたものと一致する様式で得られる。分子量の判定において使用される全体的な注入濃度は、好適な直鎖状ポリエチレンホモポリマー、または既知の重量平均分子量のポリエチレン標準物のうちの1つに由来する、質量検出器面積および質量検出器定数から得られる。(GPCOne(商標)を使用して)計算される分子量は、以下に述べるポリエチレン標準物のうちの1つ以上に由来する、光散乱定数、および0.104の屈折率濃度係数、dn/dcを使用して得られる。一般に、(GPCOne(商標)を使用して判定される)質量検出器応答(IR5)および光散乱定数は、約50,000g/モルを超える分子量を有する直鎖状標準物から判定され得る。粘度計の較正(GPCOne(商標)を使用して判定される)は、製造業者によって記載される方法を使用して、または代替的に、標準参照材料(SRM)1475a(米国国立標準技術研究所(NIST)から入手可能)などの好適な直鎖状標準物の公開された値を使用して、達成され得る。較正標準に関する特定の粘度面積(DV)および注入された質量を、その固有粘度に関連付ける(GPCOne(商標)を使用して得られる)粘度計定数を計算する。クロマトグラフィー濃度は、第2のウイルス係数効果(分子量に対する濃度効果)への対処を排除するのに十分に低いと仮定される。
絶対重量平均分子量(Mw(Abs))は、(GPCOne(商標)を使用して)光散乱(LS)の面積積分クロマトグラム(光散乱定数によって因数分解)を、質量定数および質量検出器(IR5)面積から回収された質量で割って得られる。分子量および固有粘度応答は、信号対雑音が低くなるクロマトグラフィーの端部で線形に外挿される(GPCOne(商標)を使用して)。他のそれぞれのモーメント、Mn(Abs)およびMz(Abs)は、以下のように、等式59〜60に従って計算される。
Figure 2022501474
g’ave
g’は、分岐ポリマーの粘度を同じMWでの直鎖状ポリマーの粘度で割ったものとして定義される。
Figure 2022501474
g’aveまたは平均g’は、g’の重量平均値である(B.H.Zimm,W.H.Stockmayer,J.Chem.Phys.1949,17,1301)。
動的機械的スペクトル(または小角度振動せん断)
複素粘度(η*)、弾性率(G’、G’’)、タンデルタ、および位相角(δ)は、190℃での、0.1〜100rad/秒の周波数範囲における動的振動周波数掃引試験によって得られる。歪のレベルは、100rad/秒、190℃での歪掃引試験によって特定される線形粘弾性レジーム内に設定される。試験は、TA Instrumentsによる歪制御レオメーターARES−G2上の直径25mmのステンレス鋼平行板で実施される。実際の試験の前に、厚さ3.3mmの試料を絞り、次いで、2工程でトリミングする。第1の工程では、試料を2.5分間溶融し、3mmのギャップに絞り、トリミングする。190℃でのさらなる2.5分の浸漬時間後、試料を2mmのギャップまで絞り、余分な材料をトリミングする。この方法は、系が温度平衡に達成できるように、さらに5分の遅延が組み込まれる。試験は、窒素雰囲気下で実施される。
三重検出器GPC(TDGPC)によるgpcBR分岐指数
gpcBR分岐指数は、前述の光散乱、粘度、および濃度検出器をまず較正することによって判定された。その後、光散乱、粘度計、および濃度クロマトグラムからベースラインを差し引いた。その後、屈折率クロマトグラムからの検出可能なポリマーの存在を示す光散乱および粘度計クロマトグラムにおける低分子量保持体積範囲のすべての積分を確保するために、積分ウィンドウを設定した。その後、直鎖状ポリエチレン標準物を使用して、ポリエチレンおよびポリスチレンのマルク−ホウインク定数を確立した。定数を得ると、2つの値を使用して、式(62)および(63)に示すように、溶出体積の関数としてのポリエチレン分子量およびポリエチレン固有粘度についての2つの線形基準従来較正を構築した。
Figure 2022501474
gpcBR分岐指数は、Yau,Wallace W.,“Examples of Using 3D−GPC−TREF for Poly−olefin Characterization,”Macromol.Symp.,2007,257,29−45に記載のように、長鎖分岐を特性評価するための堅固な方法である。この指数は、ポリマー検出器面積全体に有利な、g’値の判定および分岐頻度計算において従来使用されている「スライスごとの」TDGPC計算を回避する。TDGPCデータから、ピーク面積法を使用して、光散乱(LS)検出器によって試料バルク絶対重量平均分子量(M、絶対)を得ることができる。この方法は、従来のg’判定において必要に応じて、光散乱検出器信号の濃度検出器信号に対する「スライスごとの」比を回避する。TDGPCでは、等式(64)を使用して、独立して試料の固有粘度も得た。この場合の面積計算は、全体的な試料面積として、検出器ノイズおよびTDGPC設定によってベースラインおよび積分限界に対して引き起こされる変動にはるかにより低感受性であるため、より高い精度を提供する。さらに重要なことに、ピーク面積計算は、検出器体積オフセットの影響を受けなかった。同様に、高精度試料固有粘度(IV)を、等式(64)における面積法によって得た。
Figure 2022501474
等式中(64)、DPiは、オンライン粘度計から直接監視される差圧信号を表す。gpcBR分岐指数を判定するために、試料ポリマーの光散乱溶出面積を使用して、試料の分子量を判定した。試料ポリマーの粘度検出器溶出面積を使用して、試料の固有粘度(IVまたは[η])を判定した。最初に、溶出体積の関数としての分子量および固有粘度の両方について、従来の較正(「cc」)を使用して、SRM1475aまたは等価物などの直鎖状ポリエチレン標準試料の分子量および固有粘度を判定した。
Figure 2022501474

等式(66)を使用して、gpcBR分岐指数を判定した。
Figure 2022501474

式中、[η]は、測定された固有粘度であり、[η]ccは、従来の較正(または従来のGPC)からの固有粘度であり、Mwは、測定された重量平均分子量であり、Mw,ccは、従来の較正の重量平均分子量である。光散乱(LS)による重量平均分子量は、通常、「絶対重量平均分子量」または「M(絶対値)」と呼ばれる。従来のGPC分子量較正曲線(「従来の較正」)を使用することによるMw,ccは、「ポリマー鎖骨格分子量」、「従来の重量平均分子量」、および「M(従来)」と呼ばれることが多い。
「ccまたは従来」の下付き文字を有するすべての統計値は、それらそれぞれの溶出体積、前述の対応する従来の較正、および濃度(Ci)を使用して判定される。下付き文字のない値は、質量検出器、LALLS、および粘度計面積に基づく測定値である。KPEの値は、線形基準試料がゼロのgpcBR測定値を有するまで反復して調整される。例えば、この特定の場合において、gpcBRを判定するためのαおよびログKの最終値は、ポリエチレンではそれぞれ0.725および−3.355、ポリスチレンではそれぞれ0.722および−3.993である。考察された手順を使用して、ひとたびKおよびα値が判定されると。
以前は、分岐試料を使用して、手順を繰り返していた。最良の「cc」較正値として最終的なマルク−ホウインク定数を使用して、分岐試料を分析した。
gpcBRの解釈は、単純である。直鎖状ポリマーの場合、LSおよび粘度計によって測定される値が従来の較正標準に近いため、gpcBRはゼロに近くなる。分枝ポリマーの場合、測定されるポリマー分子量が計算されるMw,ccよりも高く、また計算されるIVccが測定されるポリマーIVよりも高いため、特に高レベルの長鎖分枝では、gpcBRがゼロよりも大きくなる。実際に、gpcBR値は、ポリマー分岐の結果としての分子サイズ収縮効果による分数IV変化率を表す。0.5または2.0のgpcBR値は、等価重量の直鎖状ポリマー分子に対する、それぞれ50%および200%のレベルでのIVの分子サイズ収縮効果を意味する。これらの特定の例では、伝統的な「g’指数」および分岐頻度計算と比較して、gpcBRを使用する利点は、gpcBRのより高い精度によるものである。gpcBR指数判定に使用されるすべてのパラメータは、良好な精度で得られ、濃度検出器からの高分子量での低TDGPC検出器応答による悪影響を受けない。検出器体積の整列の誤差も、gpcBR指数判定の精度には影響しない。
バッチ反応器重合手順
バッチ反応器の重合反応は、2LのParr(商標)バッチ反応器内で行われる。反応器は、電気加熱マントルによって加熱し、冷却水を含有する内部蛇管冷却コイルによって冷却した。反応器および加熱/冷却システムの両方は、Camile(商標)TGプロセスコンピュータによって制御および監視される。反応器の底部には、反応器の内容物をステンレス鋼のダンプポットに移すダンプ弁が取り付けられている。ダンプポットには、触媒失活溶液(典型的には、5mLのIrgafos/Irganox/トルエン混合液)が事前に充填されている。ポットおよびタンクの両方を窒素でパージして、ダンプポットを30ガロンのブローダウンタンクに通気する。重合または触媒補給のために使用したすべての溶媒を溶媒精製カラムに通過させて、重合に影響を及ぼし得る一切の不純物を除去する。1−オクテンおよびIsoparEを、A2アルミナを含有する第1のカラム、Q5を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。エチレンを、A204アルミナおよび
Figure 2022501474
のモレキュラーシーブを含有する第1のカラム、Q5反応物を含有する第2のカラムの2つのカラムに通す。移送に使用されるNを、A204アルミナ、
Figure 2022501474
モレキュラーシーブ、およびQ5を含有する単一のカラムに通す。
反応器は、反応器の負荷に応じて、IsoparE溶媒、および/または1−オクテンを含有し得るショットタンクからまず装填する。ショットタンクは、ショットタンクに取り付けたラボスケールを使用して負荷設定点まで充填する。液体供給物を添加した後、反応器を重合温度設定点に加熱する。エチレンが使用される場合、反応圧力設定点を維持するための反応温度で、エチレンが反応器に添加される。添加されるエチレンの量は、マイクロモーション流量計(Micro Motion)によって監視される。いくつかの実験では、150℃での標準条件は、585gのIsoparE中の、13gのエチレン、15gの1−オクテン、240psiの水素であり、150℃での標準条件は、555gのIsoparE中の、15gのエチレン、45gの1−オクテン、200psiの水素である。
プロ触媒および活性剤を適量の精製したトルエンと混合して、所望のモル濃度の溶液を得る。プロ触媒および活性化剤は、不活性グローブボックス内で処理され、シリンジ内に引き込まれ、触媒ショットタンク内に加圧移送される。シリンジを5mLのトルエンで3回すすぐ。触媒が添加された直後に、実行タイマーが始まる。エチレンを使用する場合は、それは、反応器内の反応圧力設定点を維持するためにカミールによって添加される。重合反応を10分間実行し、次いで、撹拌機を停止し、下部のダンプ弁を開放して、反応器の内容物をダンプポットに移す。ダンプポットの内容物をトレイ中に注ぎ、ラボフード内に置き、そこで、溶媒を一晩蒸発させる。残存するポリマーを含有するトレイは、真空オーブンに移送され、真空下で140℃まで加熱されて、いずれの残存する溶媒も除去する。トレイが周囲温度に冷却された後、効率を測定するためにポリマーの収量が測定され、ポリマー試験に供された。
様々な多重鎖触媒および様々なジエンの存在下での4官能性分岐
小規模重合の結果が、表3〜表7に要約される(実験は、並列重合反応器、PPR内で行われる)。表3〜表7に記録されるポリマーの結果は、多重鎖触媒および単鎖触媒対照の存在下で、エチレン、オクテン、およびジエン種を重合することによってもたらされた。表3〜表7の各表におけるポリマーの結果は、様々な触媒およびジエン種の生成物であった。表3における結果は、比較触媒C1(「比較触媒C1」)、触媒1(「触媒1」)、および触媒2(「触媒2」)の存在下での、3−メチル−1,4−ペンタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表4における結果は、触媒2、および触媒4(「触媒4」)の存在下での、1,4−ペンタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表5における結果は、比較触媒C1、触媒3(「触媒3」)、触媒5(「触媒5」)、および触媒6(「触媒6」)の存在下での、1,5−ヘキサジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表6における結果は、比較触媒C1、触媒6、触媒2、および触媒4の存在下での、1,7−オクタジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。表7における結果は、触媒3、触媒5、触媒6、および触媒2の存在下での、1,9−デカジエン、エチレン、およびオクテンのポリマー生成物に基づく。(Figueroa,R.;Froese,R.D.;He,Y.;Klosin,J.;Theriault,C.N.;Abboud,K.A.Organometallics 2011,30,1695−1709,Froese,R.D.;Jazdzewski,B.A.;Klosin,J.;Kuhlman,R.L.;Theriault,C.N.;Welsh,D.M;Abboud,K.A.Organometallics 2011,30,251−262)
Figure 2022501474
シリーズ3.Cにおける短鎖触媒(比較触媒C1)は、他の触媒と比較した場合、ポリマー中の2倍以上のオクテンレベルによって示されるように、増加した量のα−オレフィンを組み込んだ。シリーズ3.Cにおける短鎖触媒(比較触媒C1)を使用する場合、添加されたジエンの様々なレベルは、ポリマーMWDに有意な影響を及ぼさなかった。しかしながら、ジエンを表3〜表7における二重鎖触媒に添加することによって、ジエンレベルが増加したので、より高いM値およびM値がもたらされ、多くの場合、高分子量テール形成の証拠は存在しなかった。
各実施例では、ジエンを含有し、反応器に組み込まれたジエンの量は、反応器内の他の反応物と比較して少なかった。したがって、ジエンの添加は、反応器に添加されるコモノマー、エチレン、および溶媒の量に影響を及ぼさなかった。
実施例1−3−メチル−1,4−ペンタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例2−1,4−ペンタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
Figure 2022501474
図20は、ジエンの量が増加するにつれて、ピーク重量平均分子量がシフトすることを示す。図20では、表4に記録されるような、P2.4.1〜P2.4.4シリーズが、GPCプロットであるLogMとしての関数としてdWdLogMとしてプロットされる。ジエンの体積パーセントが増加するにつれて、GPCプロットのピークが右にシフトした。
実施例3−1,5−ヘキサジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例4−1,7−オクタジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
実施例5−1,9−デカジエンを用いる4官能性分岐
Figure 2022501474
バッチ反応器からの分岐実施例
2つの分岐実施例の分子量分布(MWD)曲線およびDSCを調査し、直鎖状試料と比較した。
バッチ反応器の実施例1
表8〜12では、比較の直鎖状ポリマー試料(1C)のポリマー特性を、バッチ反応器からの分岐ポリマーと比較した。重合反応を、150℃の温度、555gのISOPAR−E(商標)、および200psiの水素圧力(ΔH)で行った。エチレン圧力を、0.3μモルの触媒8、0.36μモルの助触媒A(メチルジ(テトラデシル)アンモニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート)、および10μモルのMMAO−3Aの存在下で、150psiで一定に保った。
Figure 2022501474
Figure 2022501474
図21は、GPCによって判定された、シリーズ8.C(直鎖状)および8.1(分岐)におけるポリマーの従来の分子量分布曲線である。分岐ポリマー、シリーズ8.1の曲線の形状は、直鎖状ポリマーと比較して変更される。加えて、分子量曲線のピークは、右にシフトする。
図22は、GPCによって判定された、シリーズ8.C(直鎖状)および8.1(分岐)におけるポリマーの絶対分子量分布曲線である。
図23は、シリーズ8.1である分岐試料の伸長粘度フィクスチャである。
Figure 2022501474
分岐実施例8.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表9に記録した。0.1ラジアン/秒での粘度は、27,457Pa sと計算され、100ラジアン/秒での粘度は、974Pa sと測定され、28.2のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。
弾性係数mは、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]である。tan(δ0.1)は、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)は、100ラジアン/秒での位相角の正接である。実施例8.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.6であり、実施例1のtan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で7.9の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
比較例8.Cの動的機械的スペクトルを測定し、結果を表10に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、892Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、526Pa sと測定され、1.7のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。比較の直鎖状ポリマー8.Cのtan(δ0.1)は53.3であり、tan(δ100)は、2.0であり、それは、190℃で513.4の弾性係数をもたらす。
直鎖状の比較ポリマー樹脂のレオロジー比は、分岐実施例、シリーズ8.1のレオロジー比と比較した場合、非常に低かった(1.7)。分岐実施例1、シリーズ8.1の増加したレオロジー比および低い弾性係数は、非直鎖状ポリマー挙動を示す。強いせん断減粘挙動および弾性挙動は、多くの場合、絡み合った長鎖分岐ポリマーの実例となる。
図24は、分岐実施例1、シリーズ8.1のRheotens装置によって得られた溶融強度である。
分岐実施例2
表11では、ジエンが1,9−デカジエンである、分岐ポリエチレンを合成した。分岐ポリマーを、150℃の温度、555gのIsoparE、および200psiの水素圧力(ΔH)で重合した。エチレン圧力を、0.3μモルの触媒7、0.36μモルの助触媒A、および10μモルのMMAO−3Aの存在下で、150psiで一定に保った。
Figure 2022501474
図25は、GPCによって判定された、シリーズ11.C(直鎖状)および11.1(分岐)における分岐実施例2のポリマーの従来の分子量分布曲線である。図26は、光散乱三重光検出器によって判定された、シリーズ11.C(直鎖状)および11.1(分岐)におけるポリマーの絶対分子量分布曲線である。分岐ポリマー、シリーズ11.1の曲線の形状は、直鎖状ポリマーと比較して変更される。
図27は、シリーズ11.1における分岐実施例2の伸長粘度フィクスチャによって得られた伸長粘度である。
Figure 2022501474
比較例の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表12に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、17,643Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、857Pa sと測定され、20.6のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例2、シリーズ11.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は2.0であり、tan(δ100)は1.0であり、それは、190℃で10.4の弾性係数をもたらす。
図28は、分岐実施例2、シリーズ11.1のRheotens装置によって得られた溶融強度である。
様々な条件下での分岐研究
4官能性「ラダー分岐」を、エチレン圧力の増加、オクテンモノマーの増加、開始分子量の増加、開始分子量の減少、様々なジエン、ジエン量の増加または減少、および様々な多重鎖触媒などの様々な条件下で研究した。
実施例1:様々なジエンおよびジエンの量
表13〜表22における実施例を、同一条件下で調製し、150度の温度で触媒7の存在下で重合した。含まれる条件:585gのIsoparE、15gの1−オクテン、240psiの水素圧力、150psiのエチレン圧力、0.3μモルの触媒7、0.36μモルの助触媒A、および10μモルのMMAO−3A。
Figure 2022501474
Figure 2022501474
表13における結果は、ジエンが重合反応中に存在した場合、高分子量テールなしで分子量が増加したことを示した。
実施例2:高分子量を得る条件
Figure 2022501474
これらの重合条件を利用して高分子量ポリマーを生成することによって、ジエンが重合反応に組み込まれた場合に発生した4官能性「ラダー分岐」がもたらされた。重合反応によって、高分子量で、4官能性「ラダー分岐」を有するポリマー樹脂が得られた。
実施例3:分岐ホモポリマーを得る条件
Figure 2022501474
ホモポリマー(少量のジエンを有する)を作製するために使用される重合反応にジエンを組み込むことによって、分子量の増加がもたらされた(4官能性「ラダー分岐」)。表15において記録されたデータは、2つの異なるジエンが重合反応に組み込まれる場合、エチレンのみの樹脂の実施例が、分子量が増加したことを示した。
Figure 2022501474
表16における結果は、分岐が、異なる触媒および異なる密度で発生することを示す。表16における樹脂は、触媒8を用いる分岐、およびポリマー中の7モル%に十分なオクテンを実証した。
Figure 2022501474
表17における結果に基づいて、分子量は、4官能性「ラダー分岐」を示すジエンの添加によって増加した。これらの実施例は、より高い直鎖状分子量を有していた。実施例5.1および5.2では、触媒8は、デカジエンまたはペンタジエンが重合反応に存在する場合、より高分子量を有するポリマー樹脂を生成した。
Figure 2022501474
表18における結果は、異なるα−オレフィンコモノマーが使用された場合、分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)が発生したことを示した。表18におけるポリマー樹脂を、2つの異なる触媒および2つの異なるヘキセンの配合量によって生成した。
Figure 2022501474
表19における結果に基づいて、ジエンを用いる分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)は、様々なレベルのオクタンで発生した。表19の実施例は、ポリマー中7モル%のオクテンでも、4官能性「ラダー分岐」が発生したことを示した。
Figure 2022501474
表20で証明されるように、4官能性「ラダー分岐」は、様々なレベルのオクテンおよびより高い開始分子量で発生した。実施例8.1および8.2は、7モル%のオクテンおよび約83,000g/モルの開始Mを有するポリマー樹脂が、デカジエンおよびペンタジエンの両方で分岐をもたらすことを示した。
Figure 2022501474
表21における結果は、はるかに低い密度(ポリマー中の高レベルのオクテン)およびより低い開始分子量で分子量の増加(4官能性「ラダー分岐」)が存在したことを示した。実施例9.1では、ポリマー樹脂は、9モル%を超えるオクテン、および約43,000g/モルの開始Mを有していた。ジエンが重合反応に組み込まれた場合、分子量が増加した(「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
表22における結果は、より低い開始分子量で、異なるレベルの組み込まれたオクテンを有するジエン(4官能性「ラダー分岐」)を用いた、分子量の増加を示した。実施例22.1では、ポリマー樹脂の開始分子量は、約51,000g/モルであったが、ジエンを重合反応に組み込んだ場合、分子量は、70,000g/モルに増加した(4官能性「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
表23および表24におけるデータによれば、エチレン圧力および反応器内のオクテンの量が増加した場合、分子量が増加した(4官能性「ラダー分岐」が発生した)。
Figure 2022501474
実施例4:デカジエン−ホモポリマーに触媒作用を及ぼす触媒7
Figure 2022501474
Figure 2022501474
結果を、表25に要約し、それは、オクテンが反応器中に存在しない場合、4官能性「ラダー分岐」が発生することを示す。表25における各試料の分子量は、重合反応におけるデカジエンの量が増加するにつれて増加した。
Figure 2022501474
実施例26.C.1は、0.2オクテンを含有する重合反応の結果である。図29は、実施例26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4のLog(MW)のグラフである。デカジエンの量が増えると、分子量のピークが右にシフトする。表27〜表32は、実施例26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4の動的機械的スペクトルの結果を要約する。表27〜表32の各々の結果は、4官能性「ラダー分岐」の量が増えると、弾性係数、mが減少することを示す。加えて、表27〜表32の各々の結果は、4官能性「ラダー分岐」の量が増えると、レオロジー比が減少することを示す。
図29は、シリーズ26.C.1、26.C.2、および26.1〜26.4の従来の分子量分布曲線である。
Figure 2022501474
比較例の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表27に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、762Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、552Pa sと測定され、1.4のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.C.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は192.8であり、tan(δ100)は2.8であり、それは、190℃で1901.6の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
比較例、実施例26.C.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表28に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、662Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、501Pa sと測定され、1.3のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.C.1の直鎖状ポリマーのtan(δ0.1)は401.3であり、tan(δ100)は3.1であり、それは、190℃で3986.2の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.1の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表29に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、7,410Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、883Pa sと測定され、8.4のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例13.1における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は4.3であり、tan(δ100)は1.3であり、それは、190℃で29.8の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.2の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表30に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、56,549Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、1,236Pa sと測定され、45.8のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.2における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.2であり、tan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で4.2の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.3の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表31に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、56,549Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、1,236Pa sと測定され、117.8のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.3における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は1.2であり、tan(δ100)は0.8であり、それは、190℃で1.5の弾性係数をもたらす。
Figure 2022501474
実施例26.4の動的機械的スペクトルを測定し、結果を表32に記録した。0.1ラジアン/秒でのせん断粘度は、909,000Pa sと計算され、100ラジアン/秒でのせん断粘度は、3,054Pa sと測定され、297.6のレオロジー比(V0.1/V100)をもたらした。実施例26.4における分岐ポリマーのtan(δ0.1)は0.3であり、tan(δ100)は0.3であり、それは、190℃で0.4の弾性係数をもたらす。
Guzman−2010は、定常状態のCSTRにおける従来のジエン分岐から得られるMWDおよび物理的特性を実証および分析した。拘束幾何触媒(CGC)を使用して、非常によく混合された1ガロンの反応器系において、エチレン、1−オクテン、および1,9−デカジエンを共重合した。Guzmanによって使用された特定のCGC触媒は、米国特許第5,965,756(構造IX)、および米国特許第7,553,917(実施例3)によって詳細に記載された。Guzman−2010触媒は、触媒中心から単鎖を成長させるように設計された。Guzmanのデータを、CSTRを、525psigの圧力および155℃の温度でジエン供給濃度の範囲にわたって操作しながら、定常状態で収集した。Guzmanによって収集された様々な定常状態のポリマー試料には、測定可能なレベルのゲルまたは不溶性物質は含有されていなかった。しかしながら、最高レベルのジエン供給では、若干の内部反応器汚損が観察され、より高いレベルのジエン供給は、ゲル形成または反応器MWD不安定性をもたらすことが見込まれた。
表33では、Guzmanからの選択されたシリーズのデータを、ジエン供給レベルのスペクトルにわたって他の方法で固定された反応器条件について要約した。シリーズ全体にわたって、エチレンおよび1−オクテンの供給濃度を、それぞれ13.8重量%および3.6重量%に設定した。触媒供給速度を、シリーズ全体にわたって79%の一定のエチレン変換を維持するように連続的に調整し、2.2kg/時の固定のポリマー生成速度がもたらされた。コポリマー組成の尺度であるポリマー密度は、約0.922g/ccで一定であった。
Figure 2022501474
表33におけるデータは、IおよびI10によって反映されるような、従来のジエン分岐レベルの変化が、平均分子量、および多分散度、ならびに粘度などの特性にどのように影響を及ぼすかを実証した。従来のジエン分岐の分子量への影響を、絶対および従来のMWD測定技術の両方について、表33に示した。絶対MWD測定は、分岐ポリマーに好ましい方法であるが、常に利用できるとは限らない。したがって、表33はまた、屈折率検出器を使用する従来の技術によって測定される分子量も含有する。表33における結果は、どちらの測定技術でも、ジエンの供給がゼロから923ppmに増加すると、重量平均分子量(M)が実質的に上昇することを実証する。
Guzmanでは報告されていないが、表33に関連するMWD曲線を見出し、絶対および従来のGPC測定技術について、それぞれ図30Aおよび30Bにプロットした。図30Aおよび30BにおけるMWD曲線データは、従来のジエン分岐から得られる予想される高いMテール形成が発生したことを実証した。ジエン分岐の増加に伴うピークMWの有意な動きの欠如もまた、MWD曲線から明らかである。
図30Aおよび30Bにおける分子量分布のデータを、より多くのジエンモノマーがCSTRに供給されるにつれて、MWD曲線の位置および形状の進化を説明する単純なメトリクスに縮小させた。表34におけるデータは、Guzmanのポリマー試料の絶対MWD測定および従来のMWD測定の両方に対するこれらのMWDメトリクスを示した。表34における絶対MWD測定データは、1,9−デカジエンの供給が0〜923ppmの範囲であったため、分子量が最大87%増加することを示した。Mによって示されるような、ピーク分子量変化は、分子量測定のどちらの手段でも大幅に変化することはなく、「ラダー分岐」ポリマーの結果と矛盾する。形状係数が、表34に要約され、ジエン供給レベルおよびMが増加するにつれて、G79/29およびATAILの両方の値が増加するため、「ラダー分岐」ポリマーと矛盾する。
Figure 2022501474
市販の樹脂に関するいくつかの重要なパラメータを、表35に要約する。材料の基本的なパラメータのいくつかを、溶液、気相、および高圧反応器中で作成した。
Figure 2022501474
表35に要約されたデータを、図31および図32のグラフにプロットする。データは、LDPE、LLDPE、ULDPE、およびジエンモノマーを含有するエチレン樹脂と比較すると、「ラダー分岐」ポリマーにおいて差異を示す。図31および図32では、本開示の「ラダー分岐」ポリマー(グラフの凡例におけるラダー−PE)は、一緒にクラスタ化され、したがって、「ラダー分岐」ポリマーが、他のエチレン系樹脂と比較すると、独自のポリマー特性を有することを示す。図31のグラフに示されるように、「ラダー分岐」ポリマーは、少なくとも10のレオロジー比、および0.86未満の平均g’を有する。図31では、プロットされたLDPE樹脂は、0.65未満の平均g’を有し、先行技術のエチレン−ジエン樹脂(凡例において先行技術のET−ジエンとして列記)は、一緒にクラスタ化しない。
図33では、溶融強度(センチニュートン、cN)を、メルトインデックス(Log I)の関数として測定した。三角形および円によって示されるように、二重鎖触媒から生成されたポリマーを、単鎖触媒から生成されたポリマー、およびオートクレーブLDPE、管状LDPE、および直鎖状ポリエチレンの文献ベースの曲線と比較した。二重鎖触媒から生成されたポリマーの溶融強度は、オートクレーブLDPE、管状LDPE、および単鎖触媒から生成されたポリマーの溶融強度よりも低かったが、直鎖状ポリエチレンよりも有意に高かった。これは、二重鎖触媒から生成されたポリマーが、絡み合った長鎖分岐を有することを示す。
Figure 2022501474
特許請求の範囲に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明した実施形態に様々な修正を加えることができることが当業者には明らかであろう。したがって、本明細書は、そのような修正形態および変形形態が添付の特許請求の範囲およびそれらの均等物の範囲内に入る限り、記載された実施形態の修正形態および変形形態を網羅することが意図される。

Claims (13)

  1. 定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、少なくとも1つのジエンまたはポリエンコモノマーと、任意選択的に少なくとも1つのC〜C14コモノマーと、の重合の反応生成物を含むエチレン系ポリマーであって、
    1.20を超えるM/Mw0であって、Mが、屈折率クロマトグラフィーによって取得される前記エチレン系ポリマーのゲル透過クロマトグラフィー曲線から判定される前記エチレン系ポリマーの重量平均分子量であり、Mw0が、ゲル浸透クロマトグラフィーによる比較のエチレン系ポリマーの初期重量平均分子量であり、前記比較のエチレン系ポリマーが、前記定義された重合反応条件下で、エチレンモノマーと、前記エチレン系ポリマー中に存在するすべてのC〜C14コモノマー(存在する場合)と、の重合の、前記少なくとも1つのポリエンコモノマーを含まない、反応生成物である、1.20を超えるM/Mw0と、
    MWD面積メトリック、ATAILによって定量化される分子量テールであって、ATAILが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.04以下である、分子量テールと、を有する、エチレン系ポリマー。
  2. 4秒/ラジアン以下の、190℃での弾性係数mであって、mが、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)が、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)が、100ラジアン/秒での位相角の正接である、190℃での弾性係数mを含む、エチレン系ポリマー。
  3. 分子量テールが、MWD面積メトリック、ATAILによって定量化され、ATAILが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.04以下である、請求項2に記載のエチレン系ポリマー。
  4. 前記エチレン系ポリマーが、1.20を超えるM/Mp0を有し、Mが、屈折率ゲル浸透クロマトグラフィーから判定される際の前記エチレン系ポリマーのピーク分子量であり、Mp0が、ポリエンコモノマーを含まない前記エチレン系ポリマーの初期ピーク分子量である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  5. 190℃での溶融粘度比(V0.1/V100)が、少なくとも10であり、V0.1が、190℃、0.1ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度であり、V100が、190℃、100ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  6. 190℃での溶融粘度比(V0.1/V100)が、少なくとも25であり、V0.1が、190℃、0.1ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度であり、V100が、190℃、100ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  7. 190℃での弾性係数mが、1秒/ラジアン以下であり、mが、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)が、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)が、100ラジアン/秒での位相角の正接である、請求項1〜6のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  8. 前記エチレン系ポリマーが、ピーク高さ、前記ピーク高さの79%での勾配M79、および前記ピーク高さの29%での勾配M29を有する三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィー曲線から判定される際、0.04以下のG(79/29)値を有し、前記G(79/29)値が、(M79−M29)/M79に等しい、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  9. 前記エチレン系ポリマーが、MWD面積メトリック、ATAILによって定量化される分子量テールを有し、ATAILが、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される際、0.03以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  10. 平均g’が、0.64〜0.86であり、前記平均g’が、三重検出器を使用するゲル浸透クロマトグラフィーによって判定される固有粘度比である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  11. 溶融強度が、6cNを超える(Rheotens装置、190℃、2.4mm/秒、ダイ出口からホイールの中心まで120mm、38.2秒−1の押出速度、長さ30mm、直径2mm、および入口角度180°のキャピラリーダイ)、請求項1〜10のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  12. 前記溶融粘度比(V0.1/V100)が、前記弾性係数(m)の10倍を超え、前記溶融粘度比(V0.1/V100)が、190℃、0.1ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度V0.1、および190℃、100ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度V100によって判定され、前記弾性係数mが、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)が、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)が、100ラジアン/秒での位相角の正接である、請求項1〜11のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
  13. 前記溶融粘度比(V0.1/V100)が、50を超え、前記弾性係数(m)が、8秒/ラジアン未満であり、前記溶融粘度比(V0.1/V100)が、190℃、0.1ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度V0.1、および190℃、100ラジアン/秒のせん断速度での前記エチレン系ポリマーの粘度V100によって判定され、前記弾性係数mが、[((tan(δ0.1)−tan(δ100))*1000)/(0.1−100))]であり、tan(δ0.1)が、0.1ラジアン/秒での位相角の正接であり、tan(δ100)が、100ラジアン/秒での位相角の正接である、請求項1〜12のいずれか一項に記載のエチレン系ポリマー。
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