JP2022500408A - エンザスタウリンとbtkの阻害剤との組合せおよびその使用 - Google Patents
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Abstract
本発明は、エンザスタウリンとBTK阻害剤とを一緒に含む医薬品、特に治療組合せ、医薬組成物および方法に関する。これらの組合せおよびこれらの組合せを使用するための方法は、B細胞リンパ性がんなどの特定のがんを含む様々な状態を処置するのに有用な治療効果をもたらす。本明細書において提供されるデータは、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤が、一緒に使用される場合、相乗的治療効果をもたらし得ることを実証する。
Description
関連出願
本出願は、その開示が参照によりあらゆる目的でその全体として組み込まれる、2018年9月12日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/CN2018/105217号に対する優先権を主張する。
本出願は、その開示が参照によりあらゆる目的でその全体として組み込まれる、2018年9月12日に出願されたPCT国際特許出願第PCT/CN2018/105217号に対する優先権を主張する。
発明の分野
本発明は、医薬組成物および組合せ、ならびにリンパ腫および関連する状態、特にB細胞リンパ性がんを含むがんなどの状態を処置するためにこれらの組成物および組合せを使用する方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、その例が本明細書に開示されているエンザスタウリンとブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤とを含む組合せ、ならびにリンパ腫を処置するためにこれらの組合せを使用する方法を提供する。
本発明は、医薬組成物および組合せ、ならびにリンパ腫および関連する状態、特にB細胞リンパ性がんを含むがんなどの状態を処置するためにこれらの組成物および組合せを使用する方法に関する。特定の実施形態では、本発明は、その例が本明細書に開示されているエンザスタウリンとブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤とを含む組合せ、ならびにリンパ腫を処置するためにこれらの組合せを使用する方法を提供する。
リンパ腫の最も一般的な形態である、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)は、形態学的症状、生物学的症状、免疫表現性症状、および臨床症状において、ならびに治療上の転帰において変化し得る不均一な腫瘍実体によって特徴付けられる[1、2]。遺伝子発現プロファイルによれば、2つのサブタイプ:DLBCLの胚中心B細胞様(GCB)サブグループ、および活性化B細胞様(ABC)サブグループが一般的である。組み合わされたこれらの2つのサブタイプは、DLBCL症例の約80%を占め、およそ10〜20%は「未分類」症例のままである[2]。DLBCLのABCおよびGCBサブタイプは、治療に対する応答を含む腫瘍の発達および維持を理解することに対する主な障壁となる様々な細胞経路に関与する[3]。これらの患者の半数より多くにおいて持続的な寛解が達成され得るが、患者のおよそ30%が治癒しておらず、DLBCLは大きな臨床課題のままである[4]。特に、生存率の低い再発性/難治性DLBCL患者に対しては、新規かつ有効な治療戦略が早急に必要とされる。
異常なB細胞受容体(BCR)シグナル伝達は、B細胞悪性疾患の病因に関与しており、疾患進行を促進する主要な機序の1つとして広く認識されている[5、6]。DLBCLにおけるBCRの継続的活性化によって、特にABC型DLBCLにおいて、脾臓チロシンキナーゼ(SYK)、ブルトンチロシンキナーゼ(BTK)、およびプロテインキナーゼC−β(PKCβ)などの調節およびアダプタータンパク質のリン酸化および活性化がもたらされる[3、7、8]。対照的に、GCB DLBCLにおける発がんシグナル伝達は、核因子κB(NF−κB)には依存しないが、PI3K/mTORシグナル伝達への依存を共有することによって開始および強化される[9、10]。近年では、研究量の増加によって、BCRシグナル伝達の治療的阻害、特にDLBCLを処置するための組合せに基づく治療レジメンに焦点が当てられている[7、11、12]。
DLBCLは不均一リンパ腫であり、リツキシマブの導入によって多くの転帰が大きく改善されたが、すべての症例の約30%〜40%は治癒しないままである[32]。この状況に関する1つの重要な理由は、上述したように、ABCおよびGCB DLBCLが異なるシグナル伝達経路に関与することである。ABCサブタイプの顕著な特徴は、あまり好ましくない臨床転帰を呈する、構成的に促進されたNF−κB経路シグナル伝達によって特徴付けられるMYD88、CARD11、CD79AおよびCD79Bに変異を有することである[8、33、34]。対照的に、GCBサブタイプは、NF−κB経路よりもPI3K/AKT活性により依存する[10]。このシグナルの多様性は、様々なレベルの腫瘍攻撃性および治療手法に対する異なる応答に変換される[35]。よって、BTK、PI3K、SYK、およびPKCβの阻害剤を含むBCR阻害剤によってDLBCL患者に対する有望な治療戦略が示される。本明細書のデータは、エンザスタウリンとイブルチニブ(BTK阻害剤)による組合せ処置によって、in vitroとin vivoの両方で、DLBCLへの抗腫瘍効果が増強されることをはじめて実証する。機序データは、この効果が、関連するシグナル伝達経路の不活性化とNOTCH1発現の下方調節に依拠し得ることを示唆する。
エンザスタウリンは、比較的よく研究された抗腫瘍剤である。エンザスタウリンは、6nmol/LのIC50でPKCβを標的とし、より高い濃度では他のPKCアイソフォームも阻害する。エンザスタウリンに関する前臨床研究によって、皮膚T細胞リンパ腫、B細胞リンパ腫、多発性骨髄腫(MM)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症(WM)、および他の固形腫瘍において有望な結果が生じた[36〜39]。以前の研究では、DLBCL腫瘍試料の22%が50%を超える細胞の免疫染色によって定義されるPKCβ発現について陽性であり、さらに、PKCβ発現がDLBCLの予後不良の有用なマーカーであることが確立された[40、41]。第I/II相試験では、エンザスタウリンが患者において忍容性が良好であり、患者の15%(8/55)が無増悪期間を延長し(FFP≧4サイクル)、患者の7%(4/55)が20〜50カ月のFFPをさらに経験することが示された[18、19]。しかし、第III相臨床試験(PRELUDE)では、エンザスタウリン単独では、B細胞リンパ腫の寛解後に、高リスクDLBCL患者の無病生存期間(DFS)は有意に改善されなかった。これにより、DLBCLの単剤療法としてのエンザスタウリンの開発が停止された。
失敗した治療法を解析することによって、治療組合せの開発に対する洞察をもたらすことができるため、前臨床調査と臨床調査の両方を進める機会が与えられる。以前の研究では、例えば、HDAC阻害剤(HDACi)が生存シグナルの活性化をもたらすPKCβの発現を増加させ得るため、HDACiとエンザスタウリンの組合せ処置がDLBCLにおける相乗効果を示すことが留意された[16]。さらに、レナリドマイド、NVP−BEZ235(PI3K阻害剤)、およびボルテゾミブのような他の薬剤と組み合わせてエンザスタウリンを含む治療レジメンが、非ホジキンリンパ腫細胞株を処置するために利用されている[14、42、43]。これらは、潜在的に有益なin vitro活性を有するにもかかわらず、開発するのに十分な単剤有効性を示さなかった薬剤を利用するための治療組合せを特定する試みの例である。
DLBCLなどのB細胞リンパ性がんに対する新たな処置、特に複数の生化学的経路を標的とし、よってより良く、不均一な腫瘍を処置し、かつ抵抗性機序と闘うことができる組合せに対する必要性が存在する。本発明は、このような組合せおよびそれらを使用するための方法を提供する。
いくつかのPKCアイソフォームの強力かつ選択的な経口投与阻害剤である、エンザスタウリンは、固形悪性疾患および血液悪性疾患におけるPI3K/AKT/mTOR、MAPK、およびJAK/STAT経路を調節することが示された[13〜16]。興味深いことに、何人かの研究者は、PKCβが、BTKの膜局在を変更することによってシグナル伝達経路をモジュレートする、BTK活性化のフィードバックループ阻害剤として作用することを見出した[23、24]。PKCβは、Tyr551におけるトランスリン酸化とTyr223における自己リン酸化の両方によって、BTKの活性化を下方調節することができる。そのうえ、PKCβの阻害によって、BTKの膜標的化の促進、PLCγ2のリン酸化の上方調節、およびBCRに媒介されるCa2+シグナル伝達の増幅がもたらされる[24]。
DLBCLにおけるエンザスタウリンの効果がDLBCLの前臨床研究および第I/II相臨床試験において確認されたが、その第III相臨床試験は主要エンドポイントを満たさず[17〜19]、治験依頼者(sponsor)に臨床試験を停止させた。いくつかの試みによって、異なる臨床試験においてエンザスタウリンによる治療効果が示されたが、米国ではいずれの治療用途についても認可されていない。
イブルチニブ(PCI−32765)は、BTKのキナーゼドメインのシステイン−481に結合するBTK阻害剤の経***性阻害剤であり、Tyr−223における不可逆的阻害をもたらす。近年、イブルチニブの開発が著しく進行し、種々のB細胞悪性疾患における有効性が実証されている。DLBCLのABCおよびGCBサブタイプにおいて、シグナル経路の差異がBTKに対する応答の差異に変換され、このことは、DLBCL再発患者におけるイブルチニブの第II相試験において大いに確認されている。この結果によって、ABC−DLBCLを有する患者の37%(14/38)が、GCB−DLBCLを有する患者では5%(1/20)のみが、奏効率(ORR)を生じることが明らかになった[3]。これ以外に、CD79A/Bmut、CARD11mut、TNFAIP3mut、またはMYD88mutを有するABC−DLBCL患者は、イブルチニブに対する一次耐性を示した[3、7]。最初に、イブルチニブによる処置後の応答が良好であった患者のサブセットは、最終的に再発し、これは明らかにBTKまたはPLC−γ2(BTKのすぐ下流のタンパク質)における活性化変異によるものであった。このことは、耐性が腫瘍不均一性に起因して存在するかまたは処置の結果として生じる場合に、処置の転帰を改善するために新たな標的薬剤および組合せ処置を開発する必要性を強調する[44]。より最近では、DLBCLにおいて、薬物の組合せ、特にBTK阻害剤とレナリドマイド、ボルテゾミブ、PIK3阻害剤、およびPan−SRCキナーゼ阻害剤との同時処置に注目が集まっている[7、12、45〜48]。イブルチニブがこれらの薬剤で処置したDLBCL細胞に添加された場合、薬物は細胞への相乗的な細胞毒性効果を示した。再発性または難治性CLL/SLLの処置に対してリツキシマブとオファツムマブとによる併用療法におけるイブルチニブの使用を支持する臨床データも存在する[49]。現在進行中の試験は、B細胞リンパ系悪性疾患における先行療法および/または組合せ処置としてのイブルチニブの役割をさらに定義することとなる。
本明細書のデータによって、PKCβ阻害剤であるエンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤との組合せによって、DLBCLにおける相乗的抗腫瘍効果がもたらされることが実証される。エンザスタウリンと低用量のイブルチニブ(例えば、単剤用量よりも少ない)との組合せは、in vitroおよびin vivoでDLBCLの細胞成長を抑制するために相乗的に作用する。この結果に基づき、エンザスタウリンのイブルチニブなどのBTK阻害剤との組合せは、分子サブタイプおよびシグナル伝達への依存性とは無関係に、DLBCLを有する患者に対する有効な治療処置となり、細胞免疫系の他の悪性疾患、特にB細胞起源の悪性疾患の処置に対して有効であることが期待される。
さらに、本明細書において提供されるデータに基づいて、エンザスタウリンは、概して治療上の使用のためのBTK阻害剤の有効性を増強することができるようである。理論に拘束されないが、生化学的相互作用によって、エンザスタウリンが、腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害、および代謝障害を処置するために、BTK阻害剤と組み合わせて使用される場合に相乗効果を示すことが可能になると考えられる。
本発明の組合せにより処置可能な免疫学的障害としては、移植片対宿主病(GVHD)、関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、尋常性疱瘡、シューグレン症候群、および他の自己免疫障害が挙げられる。
本発明の組合せにより処置可能な胃腸障害としては、全身性肥満細胞症が挙げられる。
本発明の組合せにより処置可能なCNS障害としては、多発性硬化症、特に再発性の多発性硬化症が挙げられる。
本発明の組合せにより処置可能な皮膚障害としては、慢性蕁麻疹が挙げられる。
本発明の組合せにより処置可能な血液学的障害としては、血小板減少性紫斑病が挙げられる。
本発明の組合せにより処置可能な腫瘍学適応症としては、慢性リンパ性白血病(CLL)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTリンパ腫)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、再発性CLL、難治性CLL、濾胞性リンパ腫、腺癌、転移性腺癌(例えば、膵臓の)、非ホジキンリンパ腫、膵がん、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、転移性乳がん、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫(multiple meloma)、難治性多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、胃がん、結腸直腸がん、膀胱がん、ホジキンリンパ腫(B細胞ホジキンリンパ腫)、転移性黒色腫、非小細胞肺がん、原発性CNSリンパ腫、腎細胞癌、続発性CNSリンパ腫、移行上皮癌、尿路上皮細胞癌、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫(nodal marginal B−cell lymphoma)、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、卵巣上皮細胞、卵管がん、腹膜がん、(再発)頭頚部がん、扁平上皮癌、(再発)多形神経膠芽腫(GBM)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞リンパ腫が挙げられる。
一態様では、本発明は、腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害、および代謝障害から選択される疾患または状態を処置するための方法を提供する。本方法は、このような処置を必要とする被験体に、有効量のエンザスタウリンとBTK阻害剤とを投与することを含み、好ましくは本方法は、相乗的有効性をもたらすのに十分な量でエンザスタウリンおよびBTK阻害剤を投与することを含む。一部の実施形態では、本発明は、がん、特にB細胞関連がんを処置するための方法を提供する。
一態様では、本開示は、リンパ腫および関連する状態を処置するための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩、および第2の治療剤を投与することを含み、第2の治療剤がブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤である、方法を提供する。一部の実施形態では、本方法は、リンパ腫、特にDLBCLを処置するために使用される。
別の態様では、本開示は、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩およびBTK阻害剤を含む組成物であって、典型的には、低分子量有機化合物、例えば、200から約2000の間の分子量を有するものである、組成物を提供する。必要に応じて、組成物は、薬学的に許容される担体または賦形剤を含んでもよい。好適には、BTK阻害剤はイブルチニブであってもよい。
別の態様では、本開示は、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩、およびBTK阻害剤を含む治療組合せを提供する。2つの治療剤(エンザスタウリンおよびBTK阻害剤)は一緒にまたは別々に投与されてもよく、通常は、これらは、一緒にまたは異なる時間に摂取されてもよい別々の投与単位(例えば、丸剤またはカプセル剤)中に存在する。各構成成分は、投与するために別々に調製されてもよく、またはこの2つが単一組成物中で組み合わされてもよい。
前述の態様に関するBTK阻害剤は、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ(poseltinib)、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、またはこれらのうちの1つの薬学的に許容される塩から選択され得る。本発明の組成物、組合せおよび方法は、これらのBTK阻害剤のいずれかまたはこれらのうちの2つもしくはそれより多くの混合物、またはこれらのBTK阻害剤の薬学的に許容される塩を用いて実施することができる。
GDC−0834は、in vitroでの酵素および細胞実験において、それぞれ5.9nMおよび6.4nMのIC50を有する強力かつ選択的なBTK阻害剤であり、in vivoでは、マウスおよびラットにおいて、それぞれ1.1μMおよび5.6μMのIC50を示した。BMX−IN−1は、第X染色体(BMX)阻害剤に関する選択的な、不可逆的骨髄チロシンキナーゼである。BMX ATP結合ドメインでは、化合物は、8nMのIC50でCys496を標的とし、BTKでは、そのIC50値は10.4nMである。RN486は、4.0nMのIC50を有する高度に活性なBtk阻害剤である。SNS−062は、それぞれ0.3nMおよび2.2nMのKd値を有する、BTKの強力な、非共有結合阻害剤およびインターロイキン−2−誘導性T細胞キナーゼ(ITK)阻害剤であり、SNS−062はITKに対して24nMのIC50を有する。LFM−A13は、それぞれ2.5μM、10μMおよび61μMのIC50でBTK、Plx1およびPLK3の活性を阻害する、強力なBTK、JAK2、PLK阻害剤である。PCI−32765はイブルチニブのラセミ形態であり、0.5nMのIC50を有するBtkの選択的阻害剤であり、Bmx、CSK、FGR、BRK、およびHCKの中程度の阻害ならびにEGFR、Yes、ErbB2、およびJAK3に対してより低い活性を示す。CGI−1746は、1.9nMのIC50を有する、強力な、高度に選択的なBTK阻害剤である。ONO−4059は、2.2nmのIC50値を有し、選択的なBTK阻害剤である。B細胞では、ONO−4058はBTKに結合し、よって、B細胞受容体のシグナル伝達をブロックし、B細胞の発達を妨げる。QL47は、7nMのIC50を有する不可逆的なBTK阻害剤である。
好ましくは、BTKの阻害剤は、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される。イブルチニブは、本組成物、組合せおよび方法に対して好ましいBTK阻害剤である。
別の態様では、本発明は、in vivoでの治療組合せであって、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびイブルチニブなどのBTK阻害剤、またはその薬学的に許容される塩が同時に被験体に投与される場合に、被験体においてin vivoで形成されるエンザスタウリンおよびBTK阻害剤を含む混合物である、治療組合せを提供する。2つの活性物質の投与は、これらが一緒に投与される場合、または両方が1時間以内、もしくは2時間以内に投与される場合、またはこれらが、この両方が、個々の構成成分のそれぞれについて、少なくとも5%、典型的には少なくとも10%のレベルのCmaxで被験体の血漿もしくは血液中に同時に存在するのに十分近接した時間内に投与される場合に、同時に起こる。好ましくは、治療組合せは、構成成分のそれぞれ(使用されるエンザスタウリンおよびBTK阻害剤)について、少なくとも約20%のCmaxの血中または血漿中濃度を同時に含む。この文脈でのCmaxは、併用療法においてその構成成分に関して使用されるのと同じ投与経路、投与および製剤を使用して、成分が単独で投与される場合に見られる最大血中または血漿中濃度を指す。本明細書で使用される場合、「BTK阻害剤」および「BTKの阻害剤」は同じ意味を有することが意図され、別段に明示的に示されていなければ、この用語は薬学的に許容される塩を含む。
本明細書における組成物および方法は、任意の好適な状態を処置するため、最も典型的には、ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫ならびにマントル細胞リンパ腫などのB細胞リンパ系障害の処置のために使用することができる。本明細書のデータは、本方法および組成物が、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)を処置するのに特に有用であることを示す。
一部の実施形態では、処置される被験体は、B細胞増殖性障害、例えば、リンパ腫の一形態を有すると診断されている被験体である。一部の実施形態では、被験体は、DGM1(Denovo Genetic Marker 1)などのバイオマーカーの存在に基づいて選択される。
一部の実施形態では、本方法および組成物は、本発明の組合せで処置される被験体を処置するのに有用な少なくとも1種のさらなる治療剤と組み合わせて使用される。一例として、被験体は、被験体における同じ状態を処置するのに有用な従来の化学療法剤、例えば、リツキシマブで処置されてもよく、または被験体は、薬物としてシクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、およびプレドニゾンを含む従来の化学療法レジメンであるCHOPなどの組合せ処置と併せて、本発明の組合せで処置されてもよい。他の実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤を含む本方法および組成物は、非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を処置するために使用され、他のタイプのがんの処置において研究されている化学療法組合せに対する略語であるR−CHOPと一緒に使用されてもよい。R−CHOPは、薬物としてリツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、およびプレドニゾンを含む。エンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せと共に使用され得る他の治療剤としては、例えば、レナリドマイド、ボルテゾミブ、およびBEZ235などのPI3K阻害剤が挙げられる。
また、ますます一般的になっているように、本明細書に開示される治療組合せは、がん免疫治療剤、例えばPD−1またはPD−L1阻害剤、またはがん細胞を認識し、それと闘う身体自体の免疫系を補助する他の公知の免疫チェックポイント阻害剤と併せて投与することができる。チェックポイント阻害剤は、がん性細胞などの異常細胞を認識および攻撃する際に被験体の免疫系を助け、本明細書に開示されているようにエンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せなどの化学療法の有効性を有意にブーストすることができる。好適なチェックポイント阻害剤としては、生物製剤および小分子治療薬が挙げられ、これらの例としては、イピリムマブ、ニボルマブ、アテゾリズマブ、アベルマブ、ペンブロリズマブ、チスレリズマブ、およびデュルバルマブが挙げられる。
任意の好適なBTK阻害剤は、本発明の組成物、組合せおよび方法に対して、エンザスタウリンと組み合わせて使用することができる。前述の態様に関するBTK阻害剤は、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、またはこれらのうちの1つの薬学的に許容される塩から選択され得る。好ましくは、BTKの阻害剤は、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される。イブルチニブは、本発明の組合せ、組成物および方法に対して好ましいBTK阻害剤である。
組成物および方法は、DLBCLを処置するために使用されるのが好ましい。
本明細書のデータにおいて、PKCβ阻害剤であるエンザスタウリンとBTK阻害剤であるイブルチニブとの組合せは、DLBCLのABCおよびGCBタイプにおいて相乗的な抗腫瘍効果を示し、それによって、これらの組合せの前臨床および臨床調査に対する理論的根拠を与え、DLBCLに対する、特に再発性または難治性DLBCLを有する被験体に対する特定の、忍容性が良好かつ効率的ながん治療薬の開発を可能とする。
一部の研究は、BTKの負の調節におけるPKCβの役割を実証し、PKCβ阻害剤は、BTKシグナル伝達を増強させるBTKのリン酸化レベルを変更する[23、24]。本明細書に開示される結果はこの関連性を支持する。p−BTKの発現は、エンザスタウリンによる処置後に著しい増加を示した。よって、PKCβは、BTKの負のフィードバックシグナルとして強力に作用し、このことは、PKCβ阻害剤が、BTKの活性化を上方調節し、BCRの下流の発がんシグナル(oncogenic signal)を変更し得ることを意味する。このことにより、PKCβ阻害剤であるエンザスタウリンとBTK阻害剤であるイブルチニブとの組合せがDLBCLにおける相乗的抗腫瘍効果を有する理由が説明され得る。これら2つの薬剤の相乗的抗腫瘍効果は、それらのIC50値より低い濃度で見られ、増殖の低減、アポトーシスの促進、G1期停止の誘導、細胞侵入および遊走の防止、ならびに下流シグナル伝達の下方調節活性化を含む。理論に拘束されないが、この関係によって、エンザスタウリンがBTK阻害剤の治療効力を増加させ、本明細書に記載されている相乗効果を生じると考えられる。
下流シグナル伝達カスケードの研究は、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤による組合せ処置によってNOTCH1のmRNAレベルの時間依存的阻害を誘発することも実証したが、一方、これらの薬物のいずれか単独では、NOTCH1の発現にほんのわずかしか影響を及ぼさない。NOTCH1は、細胞外シグナルを遺伝子発現の変化に直接変換する膜貫通受容体ファミリーに属する[29]。NOTCH1の発がん能は、T細胞急性リンパ芽球性白血病、多発性骨髄腫(MM)、ホジキンおよび未分化大細胞リンパ腫を含む血液疾患において検証された[27、28、30]。多くの近年の研究によって、多数のDLBCL患者がNOTCH1の変異および異常を有することも示され、DLBCLの遺伝的ドライバーとしてのNOTCH1の発がん的役割が強調される[50〜52]。さらに、NOTCH1は、PI3K−AKT−mTORおよびNF−кBシグナル伝達経路の活性化を促進し、T細胞新生物だけでなくB細胞新生物の成長を加速させ、これらのアポトーシスを阻害する際に重要な役割を果たす[28、29]。本研究は、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せによるDLBCLの処置がNOTCH1の遺伝子発現を有意に低減させたことを示す。NOTCH1発現におけるshRNAに媒介される低減によって、DLBCLの細胞増殖が劇的に阻害された。これらのデータは、NOTCH1の下方調節が、細胞成長を抑制することにおけるエンザスタウリンとBTK阻害剤とによる同時処置の相乗効果の根底にある重要な生体機序である可能性があることを示す。これらの研究によって、エンザスタウリンがBTK阻害剤と組み合わせて使用される場合に相乗的活性を示す理由が説明され得る。
それにもかかわらず、この機序に関する理論に拘束されないが、本明細書において実証されるin vitroおよびin vivoでのDLBCLにおけるエンザスタウリンとイブルチニブとの組合せの相乗効果は、エンザスタウリンとBTKの阻害剤との同時処置によって、分子サブタイプとは無関係に、DLBCLにおいて抗腫瘍効果がもたらされることを示す。これらの結果は、このような組合せが実行可能な治療処置であり、BTKおよびPKCβを同時に抑制することはDLBCLのABCサブタイプとGCBサブタイプの両方を処置するための新たな手法であると考えられる。
本明細書に記載の組成物および方法は、任意の好適な目的のために使用することができる。一部の実施形態では、上記組成物は、治療、特にリンパ腫などのB細胞関連悪性疾患の処置において使用することができる。示されているように、この組合せの相乗効果は、DLBCLのABC形態とGCB形態の両方に適用される。
また別の態様では、本開示は、エンザスタウリンおよび本明細書に記載されているものなどのBTK阻害剤を含む医薬組成物を提供する。これらの実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と混合される場合が多い。一部の実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、少なくとも2つの薬学的に許容される担体または賦形剤と混合される。
さらに別の態様では、本開示は、リンパ腫などのB細胞リンパ系障害を処置および/または防止するための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリンおよびイブルチニブなどのBTK阻害剤を含む、上記のような組合せ、または本明細書に記載されているこれらの物質を含有する医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、必要に応じて、薬学的に許容される塩の形態で使用され得る。一部の実施形態では、B細胞リンパ系障害はDLBCLであり、DLBCLのABCおよびGCBサブタイプを含む。これらの方法の一部の実施形態では、被験体は、バイオマーカー、例えば、バイオマーカーDGM1の存在などに基づいて選択される。
さらに別の態様では、本開示は、リンパ腫などのB細胞リンパ系障害に関して処置された、被験体における転移または再発のリスクを低減するための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤とを含む、上記のような組合せ、または本明細書に記載されているこれらの物質を含有する医薬組成物の有効量を投与することを含む、方法を提供する。エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、必要に応じて、薬学的に許容される塩の形態で使用され得る。一部の実施形態では、B細胞リンパ系障害は、DLBCLであり、DLBCLのABCおよびGCBサブタイプを含む。これらの方法の一部の実施形態では、被験体は、バイオマーカー、例えば、バイオマーカーDGM1の存在などに基づいて選択される。
別の態様では、本発明は、治療において使用するための、特にDLBCLなどのリンパ腫の治療処置のための治療組合せであって、エンザスタウリンと本明細書に開示されるものから選択されるBTK阻害剤とを含む、組合せを提供する。治療組合せは、エンザスタウリンとBTK阻害剤の両方を含有する単一の医薬組成物であってもよく、またはその組合せは一緒に使用するためであって、別々に投与することができない2つの別々の医薬組成物であってもよい。治療組合せは、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤の両方を関連する血漿中または血中濃度で同時に存在させるように、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤を被験体に投与する際に、in vivoで生じさせてもよい。
さらに別の態様では、本開示は、医薬の製造のための、上記治療組合せ、例えばエンザスタウリンおよびイブルチニブの使用を提供する。2つの活性治療剤は別々に投与することができることが理解されるが、本発明の一部の実施形態では、これらは、医薬、特にDLBCLを含むリンパ腫を処置するための医薬として投与するための単一投与単位中に一緒に製剤化される。
さらに別の態様では、本開示は、リンパ性がん、好ましくはDLBCLなどのB細胞リンパ腫を処置および/または防止するために使用するための、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤との組合せを提供する。
さらに別の態様では、本開示は、リンパ性がん、特にDLBCLなどのB細胞リンパ腫のための処置を受けた被験体において転移または再発のリスクを低減するために使用するための、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤との組合せを提供する。
さらに別の態様では、本開示は、リンパ性がん、好ましくはDLBCLなどのB細胞リンパ腫を処置および/または防止するための方法であって、それを必要とする被験体に、有効量の上記組合せを投与することを含む、方法を提供する。一部の実施形態では、被験体は、DGM1(Denovo Genetic Marker 1)などのバイオマーカーの発現または存在のレベルに基づいて選択される。DGM1およびエンザスタウリンによる処置のために被験体を選択するためのバイオマーカーとしてのその使用については、公開された特許出願第WO2018/045240号において開示および記載されており、この方法は、本明細書の治療組合せ、例えばエンザスタウリンおよびイブルチニブを用いて処置される被験体を選択するために同様に使用することができる。
さらに別の態様では、本開示は、細胞、器官または組織中で、ブルトンチロシンキナーゼ(BtkまたはBTK)およびPKCβの活性、およびそれぞれの経路を阻害するための方法であって、BTKまたは細胞、器官もしくは組織を、上記のような有効量のエンザスタウリンとBTK阻害剤、例えばイブルチニブとの組合せ、または上記のような組合せを含む医薬組成物と接触させることを含む、方法を提供する。
さらに別の態様では、本開示は、このような処置または防止を必要とする被験体における腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害および代謝障害から選択される障害または疾患を処置または防止するための医薬の製造のための、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩と、BTKの阻害剤との組合せの使用を提供する。
さらに別の態様では、本開示は、このような処置もしくは防止を必要とする被験体におけるリンパ腫を処置もしくは防止するための、またはリンパ腫のための処置を受けた被験体における転移もしくは再発のリスクを低減するための、医薬の製造のための、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩と、BTKの阻害剤との組合せの使用を提供する。
詳細な説明
一般的定義
別段に定義されていなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。この項で示される定義が参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、または他の刊行物に示される定義に反するかまたは他の点で一致しない場合、この項で示される定義が参照により本明細書に組み込まれる定義に対して優先される。
一般的定義
別段に定義されていなければ、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本発明の属する技術分野における当業者によって通常理解されているのと同じ意味を有する。本明細書で言及されるすべての特許、出願、公開された出願および他の刊行物は、参照によりその全体が組み込まれる。この項で示される定義が参照により本明細書に組み込まれる特許、出願、または他の刊行物に示される定義に反するかまたは他の点で一致しない場合、この項で示される定義が参照により本明細書に組み込まれる定義に対して優先される。
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」または「1つの(an)」は、「少なくとも1つの(at least one)」または「1つまたは複数の(one or more)」を意味する。
「処置すること(treating)」または「処置(treatment)」または「緩和(alleviation)」は、標的病態または障害が治癒しないか、またはその状態の再発が防止されない場合に、対象物を遅延させる(軽減する)治療処置を指す。治療量の治療剤または処置を受けた後、被験体が特定の疾患の1つもしくは複数の徴候および症状の観察可能なおよび/もしくは測定可能な低減またはその非存在を示した場合、被験体は「処置される」ことに成功している。疾患の徴候または症状の低減は、患者に感じられるものであってもよい。患者は、その患者が安定した疾患を経験する場合に処置されるとも考えられる。一部の実施形態では、治療剤による処置は有効であり、患者を処置後3カ月、好ましくは6カ月、より好ましくは1年、さらにより好ましくは処置後2年またはそれより長い年月無病状態にする。一部の実施形態では、治療剤による処置は有効であり、結果として患者により長い生存時間および/またはより良い生存率をもたらす、例えば、患者の全生存期間を増加させる。処置の成功および疾患の改善を評価するためのこれらのパラメーターは、当技術分野において適切な技術を有する医師によく知られている日常的手順によって容易に測定可能である。一部の実施形態では、「処置(treatment)」は、状態、障害または疾患の症状が好転するかまたは他の点で有益に変更される任意の手法を意味する。処置は、本明細書の組成物の任意の薬学的使用も包含する。一部の実施形態では、特定の医薬組成物の投与による特定の障害の症状の「好転」は、永久的であろうと一時的であろうと、持続的であろうと一過性であろうと、その組成物の投与に起因または関連する可能性のあるいずれかの軽減を指す。
用語「予測」または「予後」は、薬物または薬物のセットに対し、患者が好ましい応答をするかまたは好ましくない応答をするかのいずれかの見込み、または疾患について予想される転帰を指すために本明細書において使用されることが多い。一実施形態では、予測は、これらの応答または転帰の程度に関する。一実施形態では、予測は、患者が、処置、例えば特定の治療剤による処置後に、疾患の再発なしに一定期間生存するもしくは改善するか否か、および/またはその確率に関する。本発明の予測方法は、任意の特定の患者に対する最も適切な処置モダリティを選択することによって処置決定を行うために臨床的に使用され得る。本発明の予測方法は、処置レジメン、例えば、所与の治療剤または組合せの投与、外科的介入、ステロイド処置などを含む所与の治療レジメンなどの処置レジメンに対して患者が好ましい応答をする可能性があるかどうかを予測する際に、価値のあるツールである。
本明細書で使用される場合、専門語「薬学的に許容される担体」は、薬学的投与に適合する任意のおよびすべての溶媒、分散媒、コーティング、等張剤および吸収遅延剤などを含むことが意図される。薬学的に活性な物質のためのこのような媒体および薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。例えば、Remington, The Science and Practice of Pharmacy, 20th ed., (Lippincott, Williams & Wilkins 2003)を参照されたい。任意の従来の媒体または薬剤が活性化合物と不適合である場合を除いて、組成物におけるこのような使用が企図される。
「薬学的に許容される塩」は、被験体への投与に対して非毒性であるか、生物学的に忍容性があるか、または他の点で生物学的に好適である、本明細書で表される化合物の遊離酸または塩基の塩を意味することが意図される。概して、Berge, et al., J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19を参照されたい。好ましい薬学的に許容される塩は、薬理学的に有効、かつ過度な毒性、刺激、またはアレルギー応答なく、被験体の組織と接触するのに好適なものである。エンザスタウリンおよび本明細書に記載のブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤は、十分な酸性基、十分な塩基性基、両タイプの官能基、または各タイプのうちの2つ以上を有していてもよく、したがって、いくつかの無機または有機塩基、ならびに無機および有機酸と反応し、薬学的に許容される塩を形成する。
一部の実施形態では、用語「薬学的に許容される塩」は、患者、例えば哺乳動物、例えばヒトに投与するのに許容される塩(所与の投薬量レジメンに対して許容される哺乳動物安全性を有するカウンターイオンとの塩)を意味する。このような塩は、薬学的に許容される無機または有機塩基および薬学的に許容される無機または有機酸に由来し得る。一部の実施形態では、「薬学的に許容される塩」は、化合物の薬学的に許容される塩を指し、この塩は当技術分野で周知の種々の有機および無機カウンターイオンに由来し、例としてのみであるが、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム、テトラアルキルアンモニウムなど;分子が塩基性官能基を含有する場合は、有機酸または無機酸の塩、例えば塩酸塩、臭化水素酸塩、ギ酸塩、酒石酸塩、ベシル酸塩、メシル酸塩、酢酸塩、マレイン酸塩、シュウ酸塩などが挙げられる。
薬学的に許容される塩の例としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、硫酸水素塩、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、メタリン酸塩、ピロリン酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオル酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン−1,4−二酸塩、ヘキシン−1,6−二酸塩、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、スルホン酸塩、メチルスルホン酸塩、プロピルスルホン酸塩、ベシル酸塩、キシレンスルホン酸塩、ナフタレン−1−スルホン酸塩、ナフタレン−2−スルホン酸塩、フェニル酢酸塩、フェニルプロピオン酸塩、フェニル酪酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、γ−ヒドロキシ酪酸塩、グリコール酸塩、酒石酸塩、およびマンデル酸塩が挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」または「有効量」は、単独で、または追加の治療剤と組み合わせて、細胞、組織、または被験体に投与される場合に、被験体における疾患または障害、増殖性疾患もしくは障害を防止または好転させるのに有効な治療剤の量を指す。さらに、治療有効用量は、症状の好転、例えば関連する医学的状態の処置、治癒、防止もしくは好転、またはこのような状態の処置、治癒、防止もしくは好転の速度の増加をもたらすのに十分な治療剤の量を指す。単独で投与される個々の有効成分に適用される場合、治療有効用量はその成分単独を指す。組合せに適用される場合、治療有効用量は、組み合わせて、連続してまたは同時に投与されるか否かにかかわらず、治療効果をもたらす有効成分の合計量を指す。一部の実施形態では、「特定の疾患を処置するための化合物の有効量」は、好転させるか、または一部の方式では疾患に関連する症状を低減するのに十分な量である。このような量は単一投薬量として投与されてもよく、レジメンに従って投与され、それによってこのような量が有効であってもよい。この量は、疾患を治癒させることができるが、典型的には、疾患の症状を好転させるために投与される。症状の所望の好転を達成するために反復投与が必要とされてもよい。
用語「組合せ」は、1つの単位剤型に固定された組合せ、またはエンザスタウリンとブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤(例えば、「治療剤」または「補助剤(co−agent)」とも称される、以下に説明されるような別の薬物)とが、独立して同時にまたは特に組合せパートナーが協同性、例えば、相乗効果を示すのを可能にする時間間隔内で別々に投与させ得る組合せ投与のキットの部分のいずれかを指す。用語「同時投与」または「組合せ投与」などは、本明細書で利用される場合、選択された組合せパートナーの、それを必要とする単一の被験体(例えば、患者)への投与を包含し、薬剤が同じ投与経路でまたは同時に必ずしも投与される必要のない治療レジメンを含むことが意図される。用語「医薬組成物」は、本明細書で使用される場合、2つ以上の有効成分の混合または組合せから生じる生成物を意味し、有効成分の固定された組合せと固定されていない組合せの両方を含む。一部の実施形態では、用語「固定された組合せ」は、エンザスタウリンとブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤とがいずれも単一の実体または投薬量の形態で患者に同時に投与されることを意味する。一部の実施形態では、用語「固定されていない組合せ」は、エンザスタウリンとブルトンチロシンキナーゼ(BTK)の阻害剤がいずれも、別々の実体として、具体的な時間制限なく同時に、一致してまたは逐次的に患者に投与されることを意味し、ここで、このような投与は、患者の体内に治療有効レベルの2つの物質を提供する。後者はまた、カクテル療法、例えば、3つまたはそれより多い有効成分の投与も適用する。
用語「レベル(複数可)」は、標的、例えば、疾患または障害の病因の一部である物質または生物の存在および/または量を指すために使用され、定性的または定量的に決定され得る。標的レベルの「定性的」変化は、検出可能でないか、または正常な対照から得られた試料中に存在する標的の出現または消失を指す。1つまたは複数の標的のレベルの「定量的」変化は、健康な対照と比較した場合の標的レベルの測定可能な増加または低下を指す。
「健康な対照」または「正常な対照」は、疾患または障害、例えば増殖性疾患または障害を患っていない個体から得られた生体試料である。「陰性対照」は、アッセイが検出するために設計されている特定の解析物のいずれかを欠き、よって、アッセイのための基準ベースラインを提供する試料である。
本明細書で使用される場合、「哺乳動物」は、哺乳綱の種のいずれかを指す。高頻度で、用語「哺乳動物」は、本明細書で使用される場合、ヒト、ヒト被験体またはヒト患者を指す。「哺乳動物」は、非ヒト哺乳綱の種のいずれか、例えば実験、伴侶または経済上の非ヒト哺乳動物も指す。例示的な非ヒト哺乳動物としては、マウス、ラット、ウサギ、ネコ、イヌ、ブタ、ウシ、ヒツジ、ヤギ、ウマ、サル、ゴリラおよびチンパンジーが挙げられる。
本明細書で使用される場合、用語「被験体」は、特定の種または試料のタイプに限定されない。例えば、用語「被験体」は、患者、および高頻度でヒト患者を指し得る。しかし、この用語はヒトに限定されず、よって、種々の非ヒト動物または哺乳類の種を包含する。
本明細書で使用される場合、「プロドラッグ」は、in vivo投与の際に、代謝されるか、または他の点で物質の生物学的、薬学的または治療的に活性な形態に変換される物質である。プロドラッグを生成するために、薬学的に活性な物質は、活性物質が代謝プロセスで再生成されるように改変される。プロドラッグは、薬物の代謝安定性または輸送特徴を変更する、副作用もしくは毒性を遮蔽する、薬物の風味を改良するまたは薬物の他の特徴または特性を変更するように設計されてもよい。in vivoでの薬力学プロセスおよび薬物代謝についての知識のおかげで、当業者は、一旦薬学的に活性な化合物が公知になると、その化合物のプロドラッグを設計することができる(例えば、Nogrady (1985) Medicinal Chemistry A Biochemical Approach, Oxford University Press, New York, pages 388-392を参照されたい)。
本明細書において交換可能に使用される「ポリヌクレオチド」、または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNAおよびRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、改変ヌクレオチドもしくは塩基、および/またはそれらのアナログ、またはDNAもしくはRNAポリメラーゼによってポリマー中に組み込むことができる任意の基質であってもよい。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチドおよびそれらのアナログなどの改変ヌクレオチドを含んでもよい。存在する場合、ヌクレオチド構造への改変は、ポリマーのアセンブリーの前または後に加えられてもよい。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド構成成分によって妨げられる場合もある。ポリヌクレオチドは、例えば標識化構成成分によるコンジュゲーションによって、重合後にさらに改変されてもよい。改変の他のタイプとしては、例えば、「キャップ」、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つまたは複数のアナログによる置換、例えば、荷電していない連結(例えば、メチルホスホネート、ホスホトリエステル、ホスホロアミデート(phosphoamidate)、カルバメート(cabamate)など)および荷電した連結(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)を有するものなどのヌクレオチド間の改変、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ−L−リシン(ply-L-lysine)など)などのペンダント部分を含有するもの、インターカレーター(例えば、アクリジン、ソラレンなど)を有するもの、キレート化剤(例えば、金属、放射性金属、ホウ素、酸化金属など)を含有するもの、アルキル化剤を含有するもの、改変された連結を有するもの(例えば、アルファアノマー核酸など)、ならびにポリヌクレオチドの非改変形態が挙げられる。さらに、糖中に通常存在するヒドロキシル基のいずれかは、例えば、ホスホネート基、ホスフェート基によって置き換えられてもよく、標準的な保護基によって保護されてもよく、または活性化されてさらなるヌクレオチドへのさらなる連結を調製してもよく、または固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’および3’末端のOHはリン酸化されてもよく、またはアミンまたは1から20個の炭素原子の有機キャッピング基部分で置換されてもよい。他のヒドロキシルは、標準的保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル−2’−O−アリル、2’−フルオロ−または2’−アジド−リボース、炭素環式糖アナログ、α−アノマー糖、アラビノース、キシロースもしくはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、非環式アナログおよびメチルリボシドなどの無塩基ヌクレオシドアナログを含む、当技術分野で一般的に公知であるリボースまたはデオキシリボース糖のアナログ形態も含有することができる。1つまたは複数のホスホジエステル連結は、代替の連結基によって置き換えられてもよい。これらの代替の連結基としては、以下に限定されないが、ホスフェートがP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール(formacetal)」)によって置き換えられている実施形態(ここで各RまたはR’は、独立して、H、またはエーテル(−−O−−)連結、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルまたはアラルキル(araldyl)を必要に応じて含有する置換されたかまたは置換されていないアルキル(1〜20C)である)が挙げられる。ポリヌクレオチドにおける連結のすべてが同一である必要はない。前述の説明は、RNAおよびDNAを含む、本明細書で言及されるすべてのポリヌクレオチドに当てはまる。
「オリゴヌクレオチド」は、本明細書で使用される場合、一般的に、概して長さが約200ヌクレオチド未満であるが、必ずしもそうでなくてもよい、短い、概して一本鎖の、概して合成のポリヌクレオチドを指す。用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、相互に排他的ではない。ポリヌクレオチドに関する上記の説明は、等しくかつ十分に、オリゴヌクレオチドに適用可能である。
本明細書で使用される場合、用語「ホモログ」は、天然に存在する核酸(例えば、「プロトタイプ」または「野生型」核酸)とは天然に存在する核酸に対するわずかな改変によって異なるが、天然に存在する形態の基本的なヌクレオチド構造を維持する核酸を指すために使用される。このような変化としては、以下に限定されないが、欠失(例えば、核酸の短縮型バージョン)、挿入および/または置換を含む1つまたは数個のヌクレオチドにおける変化が挙げられる。ホモログは、天然に存在する核酸と比較して、増強されたか、減少したか、または実質的に類似の特性を有し得る。ホモログは、天然に存在する核酸と相補的であってもよく、またはマッチしていてもよい。ホモログは、以下に限定されないが、組換えDNA技法、化学合成などを含む核酸の生成に関して当技術分野で公知の技法を使用して生成されてもよい。
本明細書で使用される場合、「実質的に相補的なまたは実質的にマッチした」とは、2つの核酸配列が少なくとも90%の配列同一性を有することを意味する。好ましくは、2つの核酸配列は、少なくとも95%、96%、97%、98%、99%または100%の配列同一性を有する。あるいは、「実質的に相補的なまたは実質的にマッチした」とは、2つの核酸配列が高いストリンジェンシー条件下でハイブリダイズし得ることを意味する。
一般的に、ハイブリッドの安定性は、イオン濃度および温度の関数である。典型的には、ハイブリダイゼーション反応は、より低いストリンジェンシー条件下で実施され、その後、種々の、しかしより高いストリンジェンシーの洗浄が実施される。中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーションとは、プローブなどの核酸分子が相補的な核酸分子に結合することを可能にする条件を指す。ハイブリダイズした核酸分子は、一般的に、少なくとも60%の同一性(例えば、70%、75%、80%、85%、90%、または95%の同一性のうちの少なくともいずれかが挙げられる)を有する。中程度にストリンジェントな条件は、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS中、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.2×SSPE、0.2%のSDS中、42℃での洗浄に等しい条件である。高いストリンジェンシー条件は、例えば、50%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、5×SSPE、0.2%のSDS中、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて、0.1×SSPE、および0.1%のSDS中、65℃での洗浄によって提供され得る。低いストリンジェンシーのハイブリダイゼーションとは、10%のホルムアミド、5×デンハルト溶液、6×SSPE、0.2%のSDS中、22℃でのハイブリダイゼーション、続いて、1×SSPE、0.2%のSDS中、37℃での洗浄に等しい条件を指す。デンハルト溶液は、1%のFicoll、1%のポリビニルピロリドン、および1%のウシ血清アルブミン(BSA)を含有する。20×SSPE(塩化ナトリウム、リン酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA))は、3Mの塩化ナトリウム、0.2Mのリン酸ナトリウム、および0.025Mの(EDTA)を含有する。他の好適な中程度のストリンジェンシーおよび高いストリンジェンシーのハイブリダイゼーション緩衝液および条件は、当業者に周知である。
本明細書で使用される場合、「ベクター(またはプラスミド)」は、その発現または複製のいずれかのために、細胞内に異種DNAを導入するために使用される別の要素を指す。このようなビヒクルの選択および使用は、当業者に周知である。発現ベクターには、このようなDNAフラグメントの発現に影響を与えることが可能である、プロモーター領域などの調節配列と作動可能に連結しているDNAを発現可能なベクターが含まれる。よって、発現ベクターは、プラスミド、ファージ、組換えウイルスまたは適切な宿主細胞への導入に際し、クローン化されたDNAの発現をもたらす他のベクターなどの組換えDNAまたはRNA構築物を指す。適切な発現ベクターは、当業者に周知であり、真核細胞および/もしくは原核細胞中で複製可能であるものならびにエピソーム性のままであるもの、または宿主細胞ゲノム中に組み込まれるものを含む。
本明細書で使用される場合、「プロモーター領域またはプロモーターエレメント」は、プロモーターが作動可能に連結しているDNAまたはRNAの転写を制御するDNAまたはRNAのセグメントを指す。プロモーター領域は、RNAポリメラーゼの認識、結合および転写開始に十分な特異的配列を含む。プロモーター領域のこの部分は、プロモーターと称される。さらに、プロモーター領域は、RNAポリメラーゼの認識、結合および転写開始活性をモジュレートする配列を含む。これらの配列は、シス作用性であるかまたはトランス作用因子に対して応答性であってもよい。プロモーターは、調節の性質に応じて、構成的であるかまたは調節的であってもよい。原核生物における使用を企図される例示的なプロモーターとしては、バクテリオファージT7およびT3プロモーターなどが挙げられる。
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結したまたは作動可能に会合した」は、DNAの、ヌクレオチドの調節およびエフェクター配列、例えば、プロモーター、エンハンサー、転写および翻訳停止部位、ならびに他のシグナル配列との機能的関係を指す。例えば、DNAのプロモーターへの作動可能な連結は、このようなDNAの転写がDNAを特異的に認識し、DNAに結合し、およびDNAを転写するRNAポリメラーゼによってプロモーターから開始されるように、DNAとプロモーターの間の物理的かつ機能的関係を指す。発現および/またはin vitro転写を最適化するために、クローンの5’非翻訳部分を除去、付加または変更して、余分な潜在的に不適切な選択的翻訳開始(initiation)(すなわち、開始(start))コドンまたは転写もしくは翻訳レベルいずれかで発現に干渉するかもしくは発現を低減することがある他の配列を排除することが必要である場合がある。あるいは、コンセンサス部位を開始コドンのすぐ5’側に挿入して発現を増進させることができる。例えば、Kozak (1991) J. Biol. Chem. 266:19867-19870を参照されたい。このような改変の望ましさ(または必要性)は、経験的に決定されてもよい。
本明細書で使用される場合、「生体試料」は、巨大分子および生体分子の、生物もしくはウイルス供給源または他の供給源から得られた任意の試料を指し、核酸またはタンパク質または他の巨大分子を得ることができる被験体の任意の細胞型または組織を含む。生体試料は、生物源から直接得られた試料または処理された試料であってもよい。例えば、増幅された、単離された核酸は、生体試料を構成する。生体試料としては、以下に限定されないが、血液、血漿、血清、脳脊髄液、滑液、尿および汗などの体液、動物および植物からの組織および器官試料、ならびにそれらに由来する処理された試料が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「組換え手段による生成」は、クローン化された核酸によってコードされるポリペプチドまたはタンパク質を発現させるために、分子生物学の周知の方法に依拠する組換え核酸方法を使用する生成方法を指す。
本明細書に記載の本発明の態様および実施形態は、態様および実施形態「からなる(consisting of)」および/または「から本質的になる(consisting essentially of)」を含むことが理解される。
本開示全体を通して、本発明の様々な態様は範囲形式で表される。範囲形式での記載は単に便利かつ簡便なだけでなく、本発明の範囲の柔軟性のない限定として解釈されるべきではないことが理解されるべきである。したがって、範囲についての記載は、すべての可能な下位範囲およびその範囲内の個々の数値を具体的に開示していると考えられるべきである。例えば、1から6までなどの範囲についての記載は、1から3まで、1から4まで、1から5まで、2から4まで、2から6まで、3から6までなどの下位範囲、およびこの範囲内の個々の数、例えば、1、2、3、4、5、および6を具体的に開示していると考えられるべきである。これは、範囲の幅に関係なく当てはまる。
本発明の他の目的、利点および特徴は、添付の図面と併せて以下の明細書から明らかとなるであろう。
例示的な実施形態
一部の実施形態では、本発明は、以下に列挙した実施形態によって例示される。
1.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む組成物。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンは、その塩酸塩として存在する。
2.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態1に記載の組成物。
3.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはイブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態1または2に記載の組成物。
4.少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、実施形態1から3のいずれかに記載の組成物。必要に応じて、組成物は、2種またはそれより多い薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
5.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む治療組合せ。
6.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態5に記載の治療組合せ。
7.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはその薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態5または6に記載の治療組合せ。
8.エンザスタウリンおよびBTKの阻害剤が同時投与用に調製される、実施形態5から7のいずれか1つに記載の治療組合せ。
9.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTK阻害剤が別個の投与用に調製される、実施形態5から7のいずれか1つに記載の治療組合せ。
10.被験体の血液または血漿中にエンザスタウリンとBTK阻害剤とを含むin vivo治療組合せ。
11.腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害、および代謝障害から選択される障害または疾患を処置するための方法であって、このような処置を必要とする被験体に、エンザスタウリンおよびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。これらの方法では、被験体は、典型的にはヒトであり、必要に応じてリンパ腫を有すると診断されたヒトである。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンはその塩酸塩として使用される。一部の実施形態では、有効量のエンザスタウリンおよび/またはBTK阻害剤が投与される。好ましい実施形態では、相乗的量のエンザスタウリンおよびBTK阻害剤が投与される、すなわちエンザスタウリンおよびBTK阻害剤の量は相乗効果をもたらすのに十分である。
12.慢性リンパ性白血病(CLL)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTリンパ腫)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、再発性CLL、難治性CLL、濾胞性リンパ腫、腺癌、転移性腺癌(例えば、膵臓の)、非ホジキンリンパ腫、膵がん、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、転移性乳がん、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、胃がん、結腸直腸がん、膀胱がん、ホジキンリンパ腫(B細胞ホジキンリンパ腫)、転移性黒色腫、非小細胞肺がん、原発性CNSリンパ腫、腎細胞癌、続発性CNSリンパ腫、移行上皮癌、尿路上皮細胞癌、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、卵巣上皮細胞、卵管がん、腹膜がん、(再発)頭頚部がん、扁平上皮癌、(再発)多形神経膠芽腫(GBM)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞リンパ腫から選択されるがんの処置のための方法である、実施形態11に記載の方法。
13.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態12に記載の方法。一部のこのような実施形態では、BTKの阻害剤は、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である。
14.リンパ腫の処置もしくは防止、またはリンパ腫のための処置を受けた被験体における転移もしくは再発のリスクの低減のための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。
15.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態14に記載の方法。
16.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態15に記載の方法。
17.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態14、15または16に記載の方法。
18.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が一緒に投与される、実施形態11から17のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩は、必要に応じて単一の医薬組成物としてBTK阻害剤と同時に製剤化される。これらの実施形態のうちの他のものでは、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩およびBTK阻害剤は別々の医薬組成物中に存在するが、ほとんど同時に投与される、すなわちそれらは、別々であるが、1時間を超えて間隔を空けずに、せいぜい数分以内または約1時間以内に摂取される。
19.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が別々に投与される、実施形態11から17のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩およびBTK阻害剤は、別々の医薬組成物中に存在し、ほとんど同時に投与されてもよい、すなわちそれらは、別々であるがせいぜい数分以内に摂取されてもよく、またはそれらは、1時間もしくはそれより長い時間、または食事もしくは他の事象の介在によって間隔を空けるなどの異なる時間に投与されてもよいが、いずれも24時間の期間内、または48時間の期間内に投与される。
20.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が、処置された被験体の血液または血漿中に両者を一緒に存在させるようなスケジュールで投与される、実施形態19に記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、処置された被験体の血液または血漿中に、2つの個々の薬剤のそれぞれのCmaxについて測定可能なレベルで、典型的には少なくとも5%のレベルで、典型的には少なくとも10%のレベルで両者を存在させるのに十分な時間で密接に投与される。
21.リンパ腫が、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、実施形態11から20のいずれか1つに記載の方法。
22.リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、実施形態21に記載の方法。
23.リンパ腫が、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、菌状息肉腫、小リンパ球性リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫から選択される、実施形態22に記載の方法。この実施形態の好ましいバージョンでは、リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
24.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩が経口投与される、実施形態11から23のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンはその塩酸塩として投与される。これらの実施形態の一部では、被験体に投与されるエンザスタウリンおよびエンザスタウリン塩酸塩の量は、1日当たり500mg、または1日当たり500mg未満である。
25.BTKの阻害剤が経口投与される、実施形態24に記載の方法。
26.BTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態11から25のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態の一部では、BTK阻害剤の投薬量は、1日当たり400mg、または1日当たり400mg未満である。一部の実施形態では、エンザスタウリンのBTK阻害剤(特に、BTK阻害剤はイブルチニブである)に対する重量比は、1:1またはそれを超える、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、または8:1である。
27.被験体が、バイオマーカーの発現または存在に基づいて選択される、実施形態11から26のいずれかに記載の方法。
28.バイオマーカーがDGM1である、実施形態26に記載の方法。
一部の実施形態では、本発明は、以下に列挙した実施形態によって例示される。
1.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む組成物。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンは、その塩酸塩として存在する。
2.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態1に記載の組成物。
3.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはイブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態1または2に記載の組成物。
4.少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、実施形態1から3のいずれかに記載の組成物。必要に応じて、組成物は、2種またはそれより多い薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。
5.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む治療組合せ。
6.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態5に記載の治療組合せ。
7.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはその薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態5または6に記載の治療組合せ。
8.エンザスタウリンおよびBTKの阻害剤が同時投与用に調製される、実施形態5から7のいずれか1つに記載の治療組合せ。
9.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTK阻害剤が別個の投与用に調製される、実施形態5から7のいずれか1つに記載の治療組合せ。
10.被験体の血液または血漿中にエンザスタウリンとBTK阻害剤とを含むin vivo治療組合せ。
11.腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害、および代謝障害から選択される障害または疾患を処置するための方法であって、このような処置を必要とする被験体に、エンザスタウリンおよびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。これらの方法では、被験体は、典型的にはヒトであり、必要に応じてリンパ腫を有すると診断されたヒトである。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンはその塩酸塩として使用される。一部の実施形態では、有効量のエンザスタウリンおよび/またはBTK阻害剤が投与される。好ましい実施形態では、相乗的量のエンザスタウリンおよびBTK阻害剤が投与される、すなわちエンザスタウリンおよびBTK阻害剤の量は相乗効果をもたらすのに十分である。
12.慢性リンパ性白血病(CLL)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTリンパ腫)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、再発性CLL、難治性CLL、濾胞性リンパ腫、腺癌、転移性腺癌(例えば、膵臓の)、非ホジキンリンパ腫、膵がん、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、転移性乳がん、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、胃がん、結腸直腸がん、膀胱がん、ホジキンリンパ腫(B細胞ホジキンリンパ腫)、転移性黒色腫、非小細胞肺がん、原発性CNSリンパ腫、腎細胞癌、続発性CNSリンパ腫、移行上皮癌、尿路上皮細胞癌、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、卵巣上皮細胞、卵管がん、腹膜がん、(再発)頭頚部がん、扁平上皮癌、(再発)多形神経膠芽腫(GBM)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞リンパ腫から選択されるがんの処置のための方法である、実施形態11に記載の方法。
13.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態12に記載の方法。一部のこのような実施形態では、BTKの阻害剤は、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である。
14.リンパ腫の処置もしくは防止、またはリンパ腫のための処置を受けた被験体における転移もしくは再発のリスクの低減のための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。
15.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態14に記載の方法。
16.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態15に記載の方法。
17.BTKの阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、実施形態14、15または16に記載の方法。
18.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が一緒に投与される、実施形態11から17のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩は、必要に応じて単一の医薬組成物としてBTK阻害剤と同時に製剤化される。これらの実施形態のうちの他のものでは、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩およびBTK阻害剤は別々の医薬組成物中に存在するが、ほとんど同時に投与される、すなわちそれらは、別々であるが、1時間を超えて間隔を空けずに、せいぜい数分以内または約1時間以内に摂取される。
19.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が別々に投与される、実施形態11から17のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩およびBTK阻害剤は、別々の医薬組成物中に存在し、ほとんど同時に投与されてもよい、すなわちそれらは、別々であるがせいぜい数分以内に摂取されてもよく、またはそれらは、1時間もしくはそれより長い時間、または食事もしくは他の事象の介在によって間隔を空けるなどの異なる時間に投与されてもよいが、いずれも24時間の期間内、または48時間の期間内に投与される。
20.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤が、処置された被験体の血液または血漿中に両者を一緒に存在させるようなスケジュールで投与される、実施形態19に記載の方法。これらの実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、処置された被験体の血液または血漿中に、2つの個々の薬剤のそれぞれのCmaxについて測定可能なレベルで、典型的には少なくとも5%のレベルで、典型的には少なくとも10%のレベルで両者を存在させるのに十分な時間で密接に投与される。
21.リンパ腫が、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、実施形態11から20のいずれか1つに記載の方法。
22.リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、実施形態21に記載の方法。
23.リンパ腫が、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、菌状息肉腫、小リンパ球性リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫から選択される、実施形態22に記載の方法。この実施形態の好ましいバージョンでは、リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫である。
24.エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩が経口投与される、実施形態11から23のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態の一部では、エンザスタウリンはその塩酸塩として投与される。これらの実施形態の一部では、被験体に投与されるエンザスタウリンおよびエンザスタウリン塩酸塩の量は、1日当たり500mg、または1日当たり500mg未満である。
25.BTKの阻害剤が経口投与される、実施形態24に記載の方法。
26.BTKの阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、実施形態11から25のいずれか1つに記載の方法。これらの実施形態の一部では、BTK阻害剤の投薬量は、1日当たり400mg、または1日当たり400mg未満である。一部の実施形態では、エンザスタウリンのBTK阻害剤(特に、BTK阻害剤はイブルチニブである)に対する重量比は、1:1またはそれを超える、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、または8:1である。
27.被験体が、バイオマーカーの発現または存在に基づいて選択される、実施形態11から26のいずれかに記載の方法。
28.バイオマーカーがDGM1である、実施形態26に記載の方法。
全体を通して、エンザスタウリンまたはイブルチニブへの言及は、中性化合物または各化合物の薬学的に許容される塩を含むことを意図する。特に、エンザスタウリンは、中性分子として、またはその塩酸塩として調製、製剤化または使用され得る。イブルチニブは、国際出願第PCT/EP2016/056312号および同第PCT/EP2015/069430号に開示されている塩および固体形態を含む、任意の好適な酸付加生成物として調製、製剤化または使用され得る。好ましくは、イブルチニブは中性化合物として使用される。本明細書に開示される重量および投薬量は中性化合物を指し、例えば、量が500mgのエンザスタウリンまたはその薬学的に許容される塩について言及する場合、重量は、存在する場合、塩が使用されているか否かにかかわらず、一貫性のために使用される中性エンザスタウリンの重量を記載することが意図される。別段に指定されていなければ、エンザスタウリンまたはBTK阻害剤の重量は、特定の量の±10%の範囲を含む。
本明細書に記載の化合物および組成物は、がんなどの細胞増殖性障害、特にBTKの阻害剤による処置に対して応答するがんに対する処置、または本明細書に開示される他の適応症の処置を必要とする被験体に投与され得る。
一部の実施形態では、障害は、白血病、リンパ腫、肺がん、結腸がん、CNSがん、黒色腫、卵巣がん、腎臓がん、前立腺がん、乳がん、頭頚部がん、および膵臓がんから選択されるがんである。被験体は、典型的にはこのような増殖性障害のうちの1つまたは複数に対する処置を必要としていると診断された哺乳動物であり、高頻度で、被験体はヒトである。方法は、組合せ、すなわちエンザスタウリンまたはBTK阻害剤のうちの少なくとも1つの化合物の有効量、および他の化合物の有効量であってもよい量を投与することを含む。一部の実施形態では、2つの構成成分は、相乗的活性をもたらす量または割合もしくは比率で投与され、よって、投与される組合せは有効量であり、別々に投与される場合でさえ、個々の薬剤はその量で使用される場合に治療効果をもたらすことが期待されず、よって、組合せの文脈における「有効」には相乗効果が含まれる。必要に応じて、治療組合せまたは医薬組成物は、1つもしくは複数の追加の治療剤、特に特定の被験体を苦しめるがんもしくは増殖性障害を処置するのに有用であることが公知の治療剤、および/またはPD−1もしくはPD−L1アンタゴニストと組み合わせて投与されてもよい。
本発明の組合せに加えて、またはその使用前に、被験体は、処置される特定の状態に対して指示された他の治療剤で処置されてもよい。一般的に、リンパ腫を有する被験体は、他の認可された治療薬と組み合わせて、リツキシマブおよび/またはドキソルビシンで処理される。エンザスタウリンおよびBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)による処置と組み合わせてまたはその処置の前に使用され得る従来の化学療法組合せとしては、CHOPおよびR−CHOPが挙げられる。CHOPは、シクロホスファミド、ヒドロキシダウノルビシン(塩酸ドキソルビシン)、Oncovin(硫酸ビンクリスチン)、およびプレドニゾンを含む処置レジメンに対する頭文字である。R−CHOPは、非ホジキンリンパ腫およびマントル細胞リンパ腫を処置するために使用され、他のタイプのがんの処置において研究されている化学療法組合せに対する略記である。これは、薬物として、リツキシマブ、シクロホスファミド、塩酸ドキソルビシン(ヒドロキシダウノルビシン)、硫酸ビンクリスチン(Oncovin)、およびプレドニゾンを含む。
一部の実施形態では、本発明は、被験体がDLBCLなどのリンパ腫に対して任意の好適な方法によって処置された後に、被験体を転移または再発から保護するための方法であって、このような保護を必要とする被験体に、エンザスタウリンおよびイブルチニブなどのBTK阻害剤を投与することを含む、方法を提供する。
前記方法のそれぞれにおいて、この方法を使用して、DLBCLなどのリンパ腫を有する被験体を処置することができ、一部の方法では、被験体は、例えば、CHOP、R−CHOPなどの少なくとも1つの他の方法によってすでに処置されており、さらに進行を経験した被験体である。他の実施形態では、被験体は、これらの方法によって処置されており、少なくとも部分奏功を達成した被験体であり、この場合には、被験体はエンザスタウリンおよびイブルチニブなどのBTK阻害剤で処置され、再発または転移から被験体を保護することができる。さらに、一部の実施形態では、被験体は、バイオマーカーの応答に基づいて選択され、例えば、被験体は、特にバイオマーカーの発現または存在に基づいて選択される場合に、本明細書に開示される組成物および治療組合せによる処置に対して好適であると思われ得る。
医薬組成物、組合せ、および他の関連する使用
また別の態様では、本開示は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と混合した、本明細書に記載されているエンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。必要に応じて、医薬組成物は、少なくとも2種の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。これらの化合物の医薬組成物中で使用するのに好適な賦形剤および担体は当技術分野で公知である。
また別の態様では、本開示は、少なくとも1つの薬学的に許容される担体または賦形剤と混合した、本明細書に記載されているエンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せを含む医薬組成物を提供する。必要に応じて、医薬組成物は、少なくとも2種の薬学的に許容される担体または賦形剤を含む。これらの化合物の医薬組成物中で使用するのに好適な賦形剤および担体は当技術分野で公知である。
上記組合せおよび組成物は、任意の好適な目的のために使用することができる。例えば、これらは治療および/または試験において使用することができる。典型的には、これらを使用して、B細胞障害、特にリンパ腫などのB細胞がんに対する処置を必要とする被験体を処置する。
さらに別の態様では、本開示は、医薬を製造するために上記のような組合せの使用を提供する。
一態様では、本発明は、治療において使用するための、エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤との組合せを提供する。
一部の実施形態では、この組合せは、DLBCLなどのリンパ腫の形態を処置するための治療において有用である。
さらに別の態様では、本開示は、細胞、器官または組織中でBTKの活性を阻害するための方法であって、細胞、器官または組織を、エンザスタウリンとBTK阻害剤、好ましくはイブルチニブとの組合せと接触させることを含む、方法を提供する。
製剤
本明細書に記載の化合物の任意の好適な製剤を使用することができる。全体として、Remington's Pharmaceutical Sciences, (2000) Hoover, J. E. editor, 20th edition, Lippincott Williams and Wilkins Publishing Company, Easton, Pa., pages 780-857を参照されたい。製剤は、適切な投与経路に関して好適であるように選択される。エンザスタウリンの実行可能な製剤は公知であり、BTK阻害剤との組合せのような新たな製剤の設計に関する情報として使用することができる。同様に、イブルチニブを含むいくつかのBTK阻害剤の安全かつ有効な製剤も公知であり、本発明に対して使用することができ、エンザスタウリンも含有する医薬組成物において使用するためなど、必要に応じて改変することもできる。
本明細書に記載の化合物の任意の好適な製剤を使用することができる。全体として、Remington's Pharmaceutical Sciences, (2000) Hoover, J. E. editor, 20th edition, Lippincott Williams and Wilkins Publishing Company, Easton, Pa., pages 780-857を参照されたい。製剤は、適切な投与経路に関して好適であるように選択される。エンザスタウリンの実行可能な製剤は公知であり、BTK阻害剤との組合せのような新たな製剤の設計に関する情報として使用することができる。同様に、イブルチニブを含むいくつかのBTK阻害剤の安全かつ有効な製剤も公知であり、本発明に対して使用することができ、エンザスタウリンも含有する医薬組成物において使用するためなど、必要に応じて改変することもできる。
化合物が、安定した非毒性の酸または塩基塩を形成するのに十分な塩基性または酸性である場合には、塩としての化合物の投与は適切であり得る。薬学的に許容される塩の例は、生理学的に許容されるアニオン、例えば、トシル酸イオン、メタンスルホン酸イオン、酢酸イオン、クエン酸イオン、マロン酸イオン、酒石酸イオン、コハク酸イオン、安息香酸イオン、アスコルビン酸イオン、α−ケトグルタル酸イオン、およびα−グリセロリン酸イオンを形成する酸と形成された有機酸付加塩である。塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、炭酸水素塩、および炭酸塩を含む、好適な無機塩も形成することができる。薬学的に許容される塩は、当技術分野で周知の標準的手順を使用して、例えば、生理学的に許容されるアニオンを与える、アミンなどの十分に塩基性の化合物と好適な酸とによって、得られる。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も作製される。エンザスタウリンの場合には、本明細書に開示される組成物、組合せおよび方法において、公知の塩酸塩を使用することができる。
企図された化合物が薬理組成物中で投与される場合、化合物は薬学的に許容される賦形剤および/または担体との混合物中で製剤化され得ることが企図される。例えば、企図された化合物は、中性化合物として、もしくは薬学的に許容される塩として経口投与されるか、または食塩水溶液中で静脈内投与され得る。リン酸緩衝液、重炭酸緩衝液またはクエン酸緩衝液などの従来の緩衝液をこの目的のために使用することができる。当然のことながら、当業者は、本明細書の教示内で製剤を改変させて、特定の投与経路のための多数の製剤を提供することができる。特に、企図された化合物は、水または他のビヒクルにおいてそれらをより可溶性にするために改変することができ、これは、例えば、十分に当業者の技量の範囲内である軽微な改変(塩形成、エステル化など)によって容易に達成することができる。患者における有益な効果の最大化のために本化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬量レジメンを改変することもまた十分に当業者の技量の範囲内である。
本明細書に記載の化合物は、全体として、有機溶媒、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、酢酸エチル、エタノール、メタノール、イソプロパノール、アセトニトリル、グリセロール、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド(N,N-dimetheylaceatmide)、ジメチルスルホキシドなどに可溶性である。一実施形態では、本発明は、エンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せを薬学的に許容される担体と混合することによって調製される製剤を提供する。一態様では、製剤は、a)選択された化合物を水溶性有機溶媒、非イオン性溶媒、水溶性脂質、シクロデキストリン、トコフェロールなどのビタミン、脂肪酸、脂肪酸エステル、リン脂質、またはこれらの組合せ中に溶解させて、溶液を提供することと、b)食塩水または1〜10%の炭水化物溶液を含有する緩衝液を付加することとを含む方法を使用して調製することができる。一例では、炭水化物はデキストロースを含む。本発明の方法を使用して得られた医薬組成物は、動物および臨床適用に対して安定かつ有用である。
本発明の方法において使用するための水溶性有機溶媒の実例は、ポリエチレングリコール(PEG)、アルコール、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。アルコールの例としては、以下に限定されないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール、グリセロール、またはプロピレングリコールが挙げられる。
本発明の方法において使用するための可溶性非イオン性界面活性剤の実例は、CREMOPHOR(登録商標)EL、ポリエチレングリコール改変CREMOPHOR(登録商標)(ポリオキシエチレングリセロールトリリシノレート35)、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH40、水素化CREMOPHOR(登録商標)RH60、PEG−スクシネート、ポリソルベート20、ポリソルベート80、SOLUTOL(登録商標)HS(ポリエチレングリコール660 12−ヒドロキシステアレート)、モノオレイン酸ソルビタン、ポロキサマー、LABRAFIL(登録商標)(エトキシル化杏仁油)、LABRASOL(登録商標)(カプリル−カプロイルマクロゴール−8−グリセリド)、GELUCIRE(登録商標)(グリセロールエステル)、SOFTIGEN(登録商標)(PEG6カプリリルグリセリド)、グリセリン、グリコール−ポリソルベート、またはこれらの組合せを含むがこれらに限定されない。
本発明の方法において使用するための水溶性脂質の実例としては、以下に限定されないが、植物油(vegetable oil)、トリグリセリド、植物油(plant oil)、またはこれらの組合せが挙げられる。脂質油の例としては、以下に限定されないが、ヒマシ油、ポリオキシヒマシ油、コーン油、オリーブ油、綿実油、落花生油、ペパーミント油、ベニバナ油、ゴマ油、ダイズ油、水素化植物油、水素化ダイズ油、ココナッツ油のトリグリセリド、パーム核油、およびこれらの水素化形態、またはこれらの組合せが挙げられる。
本発明の方法において使用するための脂肪酸および脂肪酸エステルの実例としては、以下に限定されないが、オレイン酸、モノグリセリド、ジグリセリド、PEGのモノもしくはジ脂肪酸エステル、またはこれらの組合せが挙げられる。
本発明の方法において使用するためのシクロデキストリンの実例としては、以下に限定されないが、アルファ−シクロデキストリン、ベータ−シクロデキストリン、ヒドロキシプロピル−ベータ−シクロデキストリン、またはスルホブチルエーテル−ベータ−シクロデキストリンが挙げられる。
本発明の方法において使用するためのリン脂質の実例としては、以下に限定されないが、ダイズホスファチジルコリン、またはジステアロイルホスファチジルグリセロール、およびそれらの水素化形態、またはそれらの組合せが挙げられる。
一部の実施形態では、エンザスタウリンおよび選択されたBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)を単一の医薬組成物中で、典型的には、1種または複数の薬学的に許容される担体または賦形剤と共に組み合わせる。別々の化合物のそれぞれに対して好適な担体および賦形剤は当技術分野で公知であり、組合せに対する担体および賦形剤は、別々の製剤に対して好適であることが公知のものから選択することができる。これらの実施形態では、医薬組成物中のエンザスタウリンのBTK阻害剤に対する割合は、当技術分野で公知の情報に基づいて選択することができ、典型的には、BTK阻害剤に応じて約5:1から約1:2の範囲である。単位用量サイズは、同様に、別々の有効成分の臨床試験などの情報と組み合わせて、本明細書のデータに基づいて決定することができる。本明細書の情報は、その組合せに対して相乗効果が期待されることが実証されるため、さらなるガイダンスを提供することができる。
一部の実施形態では、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤は、別々に製剤化される。これらの化合物のそれぞれに対して好適な製剤は当技術分野で公知である。
好ましくは、本発明の医薬組成物および組合せは、丸剤、ロゼンジ剤、トローチ剤、カプセル剤、または類似する固形剤型として、経口投与用に調製される。構成成分は単一の組成物中に組み合わされてもよいが、一部の実施形態では、これらは、単一の組成物または単位用量中に組み合わされる代わりに別々の単位用量として調製される。このことによって、特定の患者に対する組合せを最適化する際に最大限の柔軟性をもたらし、よって、各構成成分の投与頻度、タイミングおよび投薬量は、処置される特定の被験体に対して最も最適化することができる。エンザスタウリンとイブルチニブなどのBTK阻害剤の両方の固体剤型は当技術分野で公知であり、本発明の一部の実施形態では、公知の固体剤型は被験体に投与され、投薬量は投与される個々の治療剤に対するガイドラインを使用して確立される。
別個の投与用に調製される場合、本発明の治療組合せの構成成分は別々の投与単位中に含有されてもよく、例えば、エンザスタウリンおよびイブルチニブなどの選択されたBTK阻害剤は、異なる丸剤、カプセル剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、または懸濁剤中に存在してもよい。組合せの2つの活性構成成分が混合されない場合、別々の投与単位は、同時投与のためのブリスターパックなどに一緒にパッケージングされてもよく、2つの活性物質(例えば、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤(イブルチニブであってもよい))のいずれかまたは両方は、別々の投与単位中に存在する場合、エンザスタウリン組成物をBTK阻害剤組成物と共に使用するための使用説明書と共にパッケージングすることができ、逆もまた同様である。よって、一部の実施形態では、治療組合せは、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤を、リンパ腫、特にDLBCLなどのB細胞リンパ性がんに対する処置を必要とする被験体に投与するために、本明細書の方法に従って使用するための使用説明書と共にパッケージングされたエンザスタウリンまたはイブルチニブ(または別の選択されたBTK阻害剤)のいずれかを含む医薬組成物を含み得る。一部の実施形態では、治療組合せは、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤を、リンパ腫、特にDLBCLなどのB細胞リンパ性がんに対する処置を必要とする被験体に投与するための使用説明書と共に、単一の組成物として製剤化するか別々の単位用量として製剤化するかにかかわらず、有効量のエンザスタウリンおよびイブルチニブを含むキットであってもよい。
投薬量
一部の実施形態では、個々の構成成分は、単剤治療薬として使用するための通常投薬量の範囲の下限、またはより低い投薬量で投与される、すなわち、これらは、単剤療法として有効であることが期待される最低投薬量で、またはより低い投薬量で投与することができる。よって、被験体は、治療効果を得ることが意図される1日の投薬量よりも少ない活性剤(エンザスタウリン、または例えば、イブルチニブ)を含有する1日の投薬量で処置されてもよい。よって、被験体は、治療効果を誘発するために投与されるよりも少ない1日当たりの単位用量で処置されてもよく、活性剤の一方または両方の単位用量は、単剤としての治療効果を誘発することが意図される場合にそれらが投与される頻度よりも少ない頻度で投与されてもよい。「単位用量」は、本明細書で使用される場合、被験体への投与を意図した最小単位、例えば、注射用単一アンプル、または経口投与用単一錠剤もしくはカプセル剤として調製された治療剤または組合せの用量を指す。単回用量は、2つまたはそれより多くのこのような単位用量から構成されてもよく、1日の投薬量は、1回ですべてを得られるか、または1日の間に2時間もしくはそれより長時間の間隔を空けて2もしくは3回の別個の投与のような複数回用量ですべてを得られてもよいことが理解される。
一部の実施形態では、個々の構成成分は、単剤治療薬として使用するための通常投薬量の範囲の下限、またはより低い投薬量で投与される、すなわち、これらは、単剤療法として有効であることが期待される最低投薬量で、またはより低い投薬量で投与することができる。よって、被験体は、治療効果を得ることが意図される1日の投薬量よりも少ない活性剤(エンザスタウリン、または例えば、イブルチニブ)を含有する1日の投薬量で処置されてもよい。よって、被験体は、治療効果を誘発するために投与されるよりも少ない1日当たりの単位用量で処置されてもよく、活性剤の一方または両方の単位用量は、単剤としての治療効果を誘発することが意図される場合にそれらが投与される頻度よりも少ない頻度で投与されてもよい。「単位用量」は、本明細書で使用される場合、被験体への投与を意図した最小単位、例えば、注射用単一アンプル、または経口投与用単一錠剤もしくはカプセル剤として調製された治療剤または組合せの用量を指す。単回用量は、2つまたはそれより多くのこのような単位用量から構成されてもよく、1日の投薬量は、1回ですべてを得られるか、または1日の間に2時間もしくはそれより長時間の間隔を空けて2もしくは3回の別個の投与のような複数回用量ですべてを得られてもよいことが理解される。
また、エンザスタウリンをBTK阻害剤と組み合わせることによってもたらされる相乗的活性により、この組合せの個々の構成成分は、単剤療法として投与される場合にそれらが投与される頻度よりも低い頻度で投与されて、単剤の治療効果に対して標的とされるものより低い血漿中濃度を生じ得る。一部の実施形態では、この組合せの2つの構成成分のうちの少なくとも1つは、単独で使用される場合に治療結果を達成することが期待されない投薬量、例えば、単剤投薬量の約90%もしくは90%未満、または単剤療法に対して使用される投薬量の半分、もしくはその投薬量の半分未満で投与される。
イブルチニブは、例えば、特定のB細胞がん(マントル細胞リンパ腫、CLL、小リンパ球性リンパ腫、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、辺縁帯リンパ腫)を処置するために米国において認可されており、カプセル剤(70mgおよび140mg)と錠剤(140mg、280mg、420mgおよび560mg)の両方として入手可能である。処置される状態に応じて、推奨される投薬量は、420mgまたは560mgのいずれかを1日に1回である。Imbruvica(登録商標)の処方情報を参照されたい。エンザスタウリンと組み合わせて使用される場合、イブルチニブは、1日当たり400mg未満の投薬量で摂取することができ、一部の実施形態では、本明細書の組成物、組合せおよび方法において使用するためのイブルチニブの1日の投薬量は、70mg、140mg、210mg、280mg、または350mgであってもよい。
エンザスタウリンは、R−CHOP(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンを含む)として公知の強力な化学療法レジメンと組み合わせて使用するための臨床試験におけるものであり、エンザスタウリンの開始投薬量は、エンザスタウリンが有意な治療利益をもたらさない一部のより早期のがん試験において使用したのと同じ投薬量である1日に500mgである。本発明の組成物、組合せおよび方法に対して、BTK阻害剤と組み合わせて使用する場合、エンザスタウリンは、1日当たり500mg、または500mg未満、例えば、250mg、300mg、350mg、400mg、または450mgの1日の投薬量で投与されてもよい。
好ましくは、本発明の範囲内の組合せの2つの構成成分である、エンザスタウリンおよびBTK阻害剤(例えば、イブルチニブ)は、相乗効果を生じる投薬量で投与される。in vitroでのデータが実証するように、この組合せは、濃度および割合の範囲にわたり相乗効果をもたらす。例えば、図2にまとめられたデータによって示されているように、2〜12μMの濃度のエンザスタウリンは、0.002μMから8μMの範囲の濃度のイブルチニブと組み合わせた場合に、5つの異なるDLBCL細胞株で相乗的活性を生じた。実際に、相乗効果に関する指数(CI)は、試験した濃度および細胞株のすべてにおいて1未満であり、これは相乗効果を示し、1つの事例を除くすべてにおいて0.8未満であった(7μMのイブルチニブと組み合わせた6μMのエンザスタウリンにおけるSU−DHL2細胞株ではCI=0.923)。したがって、DBCLCを処置するためにこれら2つの治療剤が一緒に使用される場合、相乗効果が期待される。さらに、エンザスタウリンおよびイブルチニブが100対12の割合で毎日経口投与される場合、エンザスタウリンおよびイブルチニブがin vivoでDBCLC(マウスの異種移植片)を処置するために使用される際に相乗効果が観察された。よって、BTK阻害剤(特にBTK阻害剤がイブルチニブである場合)に対するエンザスタウリンの重量比が1:1またはそれより高い比率、例えば、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、または8:1である場合に、相乗効果の観察が期待される。
例として、エンザスタウリンは、処置される被験体に対して100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、400mg、500mg、525mgまたは700mgの1日の投薬量で投与されてもよく、投薬量は単回用量で投与されてもよく、または投薬量は、1日の間に2回、3回、または3回より多い用量に分割されてもよい。一部の実施形態では、エンザスタウリンは、1日に1回または1日に2回投与される。イブルチニブは、エンザスタウリンの投薬量と比較して同じ1日の投薬量またはそれより低い1日の投薬量で投与されてもよく、典型的には、1日1回用量で投与される。
投与の用量および頻度は特定の被験体に対して処置する医師によって最適化され得るが、イブルチニブは、通常、1日当たり100から1000mgの間の1日の投薬量で、しばしば150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、420mgまたは560mgを1日に1回の単回1日用量として、カプセル剤の形態で投与される。さらに、本明細書において議論されるように、エンザスタウリンおよびイブルチニブのようなBTK阻害剤が組み合わせて使用される場合に相乗的有効性が観察され、よって、各薬剤が治療用に単剤として使用される場合に典型的に推奨される用量よりも低い用量で2つの薬剤を投与することが好適であり得る。
本発明の組合せにおける2つの治療剤が別々に投与される場合、これらは同じ投薬スケジュールで(およそ同じ時間に摂取される別々の投与単位として)または異なる投薬スケジュールで投与されてもよく、但し、これらが、被験体の系において両者を同時に存在させるように投与される、すなわち、それぞれが他方と同じ日に、典型的には12時間もしくはそれより短い時間内、または4時間もしくはそれより短い時間内に投与されるように投与されるか、あるいはこれらがそれぞれ、両化合物(エンザスタウリンおよびBTK阻害剤)をこれらそれぞれの最大血中または血漿中レベル(Cmax)の少なくとも約10%のレベルで同時に存在させるのに十分な時間内に他方に密接に投与されることを条件とする。
当業者は、本明細書の教示内で製剤を改変して、特定の投与経路に対する多数の製剤を提供することができる。特に、化合物は、これらを水または他のビヒクル中により可溶性にするように改変され得る。患者における有益な効果の最大化のために本化合物の薬物動態を管理するために、特定の化合物の投与経路および投薬量レジメンを改変することもまた十分に当業者の技量の範囲内である。
薬物の組合せ
この実施形態の方法は、有効量のエンザスタウリンおよびBTKを阻害することが公知の少なくとも1つの化合物を投与することを含み、必要に応じて、この組合せは、1つまたは複数の追加の治療剤、特に本発明の組合せで治療されるリンパ性増殖性障害を処置するのに有用であることが公知の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。
この実施形態の方法は、有効量のエンザスタウリンおよびBTKを阻害することが公知の少なくとも1つの化合物を投与することを含み、必要に応じて、この組合せは、1つまたは複数の追加の治療剤、特に本発明の組合せで治療されるリンパ性増殖性障害を処置するのに有用であることが公知の治療剤と組み合わせて投与されてもよい。
追加の有効成分は、本開示の組合せと別の医薬組成物中で投与されてもよく、または本発明の組合せの少なくとも1つの化合物と共に単一の医薬組成物中に含まれてもよい。追加の有効成分は、本開示の少なくとも1つの例示的化合物の投与と同時に、その前に、またはその後に投与されてもよい。
以下の実施例は、本発明の特定の態様を例示するため、およびその実施を補助するために提供され、これらは本発明の全範囲またはその範囲の限定とみなされるべきではない。
(実施例1)
材料および方法
細胞株および細胞培養
HBL−1、TMD8、OCI−LY7細胞株は、ネブラスカ大学のMedical Center(Omaha、NE、USA)のFu博士によって厚意により提供された。SU−DHL−2およびSU−DHL−6細胞は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から入手した。10〜20%のウシ胎仔血清(Gibco,Life Technology、CA、USA)、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン、ベータ−メルカプトエタノールを追加補充したRPMI1640培地(Gibco,Life Technologies、CA、USA)中で細胞を成長させた。ベータ−メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン、および20%のヘパリン処理ヒト血漿を追加補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(Gibco,Life Technology、CA、USA)中で維持したOCI−Ly7を除く。すべての細胞株は、37℃で加湿した5%CO2インキュベーター中で維持した。すべてのDLBCL細胞株の同定は、ショートタンデムリピートDNAフィンガープリント解析(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)によって確認した。
材料および方法
細胞株および細胞培養
HBL−1、TMD8、OCI−LY7細胞株は、ネブラスカ大学のMedical Center(Omaha、NE、USA)のFu博士によって厚意により提供された。SU−DHL−2およびSU−DHL−6細胞は、American Type Culture Collection(Manassas、VA)から入手した。10〜20%のウシ胎仔血清(Gibco,Life Technology、CA、USA)、ペニシリン/ストレプトマイシン、グルタミン、ベータ−メルカプトエタノールを追加補充したRPMI1640培地(Gibco,Life Technologies、CA、USA)中で細胞を成長させた。ベータ−メルカプトエタノール、ペニシリン/ストレプトマイシン、および20%のヘパリン処理ヒト血漿を追加補充したイスコフ改変ダルベッコ培地(IMDM)(Gibco,Life Technology、CA、USA)中で維持したOCI−Ly7を除く。すべての細胞株は、37℃で加湿した5%CO2インキュベーター中で維持した。すべてのDLBCL細胞株の同定は、ショートタンデムリピートDNAフィンガープリント解析(Applied Biosystems、Foster City、CA、USA)によって確認した。
薬物および試薬
エンザスタウリンはDenovo Biopharma(San Diego、USA)からの寄贈であり、イブルチニブはMedchem Express(NJ、USA)から購入した。最初に、10mMの濃度で100%のジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Chemical)中に溶解させ、−80℃で保存した。一次および二次抗体を追加ファイル1に列挙した。
エンザスタウリンはDenovo Biopharma(San Diego、USA)からの寄贈であり、イブルチニブはMedchem Express(NJ、USA)から購入した。最初に、10mMの濃度で100%のジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Chemical)中に溶解させ、−80℃で保存した。一次および二次抗体を追加ファイル1に列挙した。
細胞増殖の解析
細胞を100μl当たり3000個の細胞密度で96ウェル培養プレート中に播種し、異なる濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで72時間にわたり処置した。細胞を計数し、Cell Titer−Glo Luminescent Cell生存率アッセイシステム(Promega、Madison、WI、USA)を使用して生存率を評価した。ルミネッセントシグナルをLMax II(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)によって測定した。式:阻害率=(1−投薬/ビヒクル)×100%に従って、阻害率を計算した。
細胞を100μl当たり3000個の細胞密度で96ウェル培養プレート中に播種し、異なる濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで72時間にわたり処置した。細胞を計数し、Cell Titer−Glo Luminescent Cell生存率アッセイシステム(Promega、Madison、WI、USA)を使用して生存率を評価した。ルミネッセントシグナルをLMax II(Molecular Devices、Sunnyvale、CA、USA)によって測定した。式:阻害率=(1−投薬/ビヒクル)×100%に従って、阻害率を計算した。
アポトーシス細胞および細胞周期アッセイ
細胞を、アポトーシスおよび細胞周期解析のために、ビヒクルまたは示した濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで48時間にわたり処置した。アポトーシスアッセイでは、プロトコールに従って、細胞をアネキシンV−APC(Biolegend、CA、USA)で染色した。細胞周期アッセイでは、製造業者のプロトコールに従って、細胞をPI染色緩衝液(Sigma−Aldrich、Darmstadt、Germany)で染色した。最後に、標識細胞をBD Accuri C6フローサイトメーター(BD,Biosciences、San Jose、CA)を使用して解析した。
細胞を、アポトーシスおよび細胞周期解析のために、ビヒクルまたは示した濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで48時間にわたり処置した。アポトーシスアッセイでは、プロトコールに従って、細胞をアネキシンV−APC(Biolegend、CA、USA)で染色した。細胞周期アッセイでは、製造業者のプロトコールに従って、細胞をPI染色緩衝液(Sigma−Aldrich、Darmstadt、Germany)で染色した。最後に、標識細胞をBD Accuri C6フローサイトメーター(BD,Biosciences、San Jose、CA)を使用して解析した。
リアルタイム逆転写−PCR(qRT−PCR)アッセイ
全細胞RNAをTrizol試薬(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して抽出し、cDNAをTransScript First−Strand cDNA Synthesis SuperMix(TransGen Biotech、Beijing、China)を使用して合成した。Go Taq qPCR Master Mix(Promega Corporation、Madison、USA)を使用してqRT−PCR解析を実施した。qRT−PCRを実施するために、NOTCH1に対する特異的プライマー(フォワード:5’ −TCCACCAGTTTGAATGGTCAAT−3’(配列番号1);リバース:5’−CGCAGAGGGTTGTATTGGTTC−3’(配列番号2))およびGAPDHに対する特異的プライマー(フォワード:5’−GCACCGTCAAGGCTGAGAAC−3’(配列番号3);リバース:5’−TGGTGAAGACGCCAGTGGA−3’(配列番号4))を使用した。すべての反応をApplied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems、Woburn、MA、USA)において実行し、mRNA発現データを以下の式:RQ=2−ΔΔCtを使用して計算した。
全細胞RNAをTrizol試薬(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して抽出し、cDNAをTransScript First−Strand cDNA Synthesis SuperMix(TransGen Biotech、Beijing、China)を使用して合成した。Go Taq qPCR Master Mix(Promega Corporation、Madison、USA)を使用してqRT−PCR解析を実施した。qRT−PCRを実施するために、NOTCH1に対する特異的プライマー(フォワード:5’ −TCCACCAGTTTGAATGGTCAAT−3’(配列番号1);リバース:5’−CGCAGAGGGTTGTATTGGTTC−3’(配列番号2))およびGAPDHに対する特異的プライマー(フォワード:5’−GCACCGTCAAGGCTGAGAAC−3’(配列番号3);リバース:5’−TGGTGAAGACGCCAGTGGA−3’(配列番号4))を使用した。すべての反応をApplied Biosystems 7500 Fast Real−Time PCR System(Applied Biosystems、Woburn、MA、USA)において実行し、mRNA発現データを以下の式:RQ=2−ΔΔCtを使用して計算した。
ウエスタンブロッティングおよびシグナル伝達アッセイ
回収した培養細胞をプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤(Roche、Mannheim、Germany)を含むRIPA緩衝液(Cell Signaling Technology、Danvers、MA)中で溶解させた。以前に記載されたように[25]、ウエスタンブロットによってシグナル伝達タンパク質を検出した。製造業者の使用説明書に従って、ケミルミネッセンス検出システム(Alpha Innotech、San Leandro、CA、USA)を使用して免疫陽性バンドを可視化した。
回収した培養細胞をプロテアーゼ/ホスファターゼ阻害剤(Roche、Mannheim、Germany)を含むRIPA緩衝液(Cell Signaling Technology、Danvers、MA)中で溶解させた。以前に記載されたように[25]、ウエスタンブロットによってシグナル伝達タンパク質を検出した。製造業者の使用説明書に従って、ケミルミネッセンス検出システム(Alpha Innotech、San Leandro、CA、USA)を使用して免疫陽性バンドを可視化した。
侵入および遊走アッセイ
FBSを含まないRPMI1640中で、細胞をビヒクルまたは示した濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで示した時間にわたり処置した。細胞侵入アッセイでは、8.0μMの孔を有するトランスウェルプレート(Corning Costar、NY、USA)のMatrigelの基底膜マトリックスをコーティングした上のチャンバー中に細胞を配置させた。細胞遊走アッセイでは、8.0μmの孔のポリカーボネート膜インサートを有するトランスウェルプレート(Corning Costar、NY、USA)中に細胞を播種した。チャンバーの下の部分は、化学誘引物質として使用するための30%のFBSを含有した。24時間(48時間)後に、下のチャンバーに遊走(侵入)している細胞数をCell Titer−Glo Assayを使用して計数した。侵入および遊走能は、下のチャンバー中の生存細胞数によって決定した。
FBSを含まないRPMI1640中で、細胞をビヒクルまたは示した濃度のエンザスタウリンおよびイブルチニブで示した時間にわたり処置した。細胞侵入アッセイでは、8.0μMの孔を有するトランスウェルプレート(Corning Costar、NY、USA)のMatrigelの基底膜マトリックスをコーティングした上のチャンバー中に細胞を配置させた。細胞遊走アッセイでは、8.0μmの孔のポリカーボネート膜インサートを有するトランスウェルプレート(Corning Costar、NY、USA)中に細胞を播種した。チャンバーの下の部分は、化学誘引物質として使用するための30%のFBSを含有した。24時間(48時間)後に、下のチャンバーに遊走(侵入)している細胞数をCell Titer−Glo Assayを使用して計数した。侵入および遊走能は、下のチャンバー中の生存細胞数によって決定した。
遺伝子発現プロファイリングおよび京都遺伝子ゲノム百科事典(Kyoto Encyclopedia of Genes and Genomes)(KEGG)の経路エンリッチメント解析
HBL−1細胞を示した薬物単独または組合せで24時間にわたり処置し、次いで、全RNAを単離した。TransScript First−Strand cDNA Synthesis SuperMixを使用して、全RNA(3μg)をcDNAに変換した。RNAの定量および定性、ライブラリー調製、クラスタリングおよびシーケンシング、リードマッピングおよびデータ処理をNovogene Bioscience(Beijing、China)において実施した。2つの群(条件当たり2つの生物学的反復)の差示的発現解析は、DESeq2 Rパッケージ(1.16.1)を使用して実施した。補正P値0.05および絶対倍率変化2を有意な差示的発現に対する閾値として設定した。各処置後に差示的に発現された遺伝子セットの根底にある機序を解析するために、本発明者らはclusterProfiler Rパッケージを使用して、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)の経路における差示的発現遺伝子の統計学的エンリッチメントを検査した。
HBL−1細胞を示した薬物単独または組合せで24時間にわたり処置し、次いで、全RNAを単離した。TransScript First−Strand cDNA Synthesis SuperMixを使用して、全RNA(3μg)をcDNAに変換した。RNAの定量および定性、ライブラリー調製、クラスタリングおよびシーケンシング、リードマッピングおよびデータ処理をNovogene Bioscience(Beijing、China)において実施した。2つの群(条件当たり2つの生物学的反復)の差示的発現解析は、DESeq2 Rパッケージ(1.16.1)を使用して実施した。補正P値0.05および絶対倍率変化2を有意な差示的発現に対する閾値として設定した。各処置後に差示的に発現された遺伝子セットの根底にある機序を解析するために、本発明者らはclusterProfiler Rパッケージを使用して、京都遺伝子ゲノム百科事典(KEGG)の経路における差示的発現遺伝子の統計学的エンリッチメントを検査した。
レンチウイルスのパッキングおよび感染
緑色蛍光タンパク質(GFP)(shControl)またはNOTCH1特異的低分子ヘアピン型RNA(shNOTCH1、配列番号1:5’−TGCCAACATCCAGGACAACAT−3’(配列番号5))を含有するレンチウイルスベクター(GV493)をGenechem(Shanghai、China)によって構築し、パックし、精製した。細胞をMOI 1:100でshControl、shNOTCH1に感染させ、下流実験に使用されるよう72時間を超えて培養した。枯渇効率はウエスタンブロット解析によって評価した。
緑色蛍光タンパク質(GFP)(shControl)またはNOTCH1特異的低分子ヘアピン型RNA(shNOTCH1、配列番号1:5’−TGCCAACATCCAGGACAACAT−3’(配列番号5))を含有するレンチウイルスベクター(GV493)をGenechem(Shanghai、China)によって構築し、パックし、精製した。細胞をMOI 1:100でshControl、shNOTCH1に感染させ、下流実験に使用されるよう72時間を超えて培養した。枯渇効率はウエスタンブロット解析によって評価した。
in vivoでの処置有効性の検出
すべての動物実験は、実験動物の管理と使用に関する指針(the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従い、CrownBio(Beijing、China)の倫理指針に従って実施した。6から8週齢の雌の免疫欠損NPGマウス(NOD−Prkdcscid Il2rgnull)をHFK Bioscience Co. Ltd.(Beijing、China)から入手した。マトリゲルを含む無血清培地(1:1の比率)中のHBL−1腫瘍細胞(2.5×106)を各マウスの右側腹部の皮下領域に皮下注射した。腫瘍が100〜150mm3に達した際に、マウスを無作為に4つの群に分割した(対照、エンザスタウリンで処置、イブルチニブで処置、エンザスタウリンとイブルチニブの両方で処置)。エンザスタウリン(50mg/kg、10%のAcacia中に溶解させた)を1日に2回経口投与した、および/またはイブルチニブ(12mg/kg、1%のメチルセルロース、0.4%のCremophor(登録商標)EL)を1日に1回21日間経口投与した。腫瘍体積(V)および体重を1週間に2から3回モニターした。腫瘍体積(V)をV=(長さ×幅2)/2として計算した。腫瘍組織試料を最終用量の4時間後にすべての群から採取した。
すべての動物実験は、実験動物の管理と使用に関する指針(the Guide for the Care and Use of Laboratory Animals)に従い、CrownBio(Beijing、China)の倫理指針に従って実施した。6から8週齢の雌の免疫欠損NPGマウス(NOD−Prkdcscid Il2rgnull)をHFK Bioscience Co. Ltd.(Beijing、China)から入手した。マトリゲルを含む無血清培地(1:1の比率)中のHBL−1腫瘍細胞(2.5×106)を各マウスの右側腹部の皮下領域に皮下注射した。腫瘍が100〜150mm3に達した際に、マウスを無作為に4つの群に分割した(対照、エンザスタウリンで処置、イブルチニブで処置、エンザスタウリンとイブルチニブの両方で処置)。エンザスタウリン(50mg/kg、10%のAcacia中に溶解させた)を1日に2回経口投与した、および/またはイブルチニブ(12mg/kg、1%のメチルセルロース、0.4%のCremophor(登録商標)EL)を1日に1回21日間経口投与した。腫瘍体積(V)および体重を1週間に2から3回モニターした。腫瘍体積(V)をV=(長さ×幅2)/2として計算した。腫瘍組織試料を最終用量の4時間後にすべての群から採取した。
統計解析
in vitroでのすべての実験は、少なくとも3回独立して行った。すべての値は、平均±SEMとして表した。すべての解析にSPSS 22.0統計ソフトウェア(IBM、New York、NY、USA)を使用した。データは、対応のあるまたは対応のないスチューデントのt検定比較または一元配置ANOVAを使用して解析した。p値<0.05を統計的に有意とみなした。薬物組合せに関する組合せ指数(CI)は、CalcuSynソフトウェア(バージョン2、Biosoft、Cambridge、UK)を使用するChou−Talalay法[26]に従って決定した。CI値<1、=1、および>1は、それぞれ、相乗効果、相加効果、および拮抗効果を示す。
in vitroでのすべての実験は、少なくとも3回独立して行った。すべての値は、平均±SEMとして表した。すべての解析にSPSS 22.0統計ソフトウェア(IBM、New York、NY、USA)を使用した。データは、対応のあるまたは対応のないスチューデントのt検定比較または一元配置ANOVAを使用して解析した。p値<0.05を統計的に有意とみなした。薬物組合せに関する組合せ指数(CI)は、CalcuSynソフトウェア(バージョン2、Biosoft、Cambridge、UK)を使用するChou−Talalay法[26]に従って決定した。CI値<1、=1、および>1は、それぞれ、相乗効果、相加効果、および拮抗効果を示す。
結果
エンザスタウリンは、用量依存的方式でABCおよびGCB細胞株の増殖を阻害し、BTKのリン酸化を上方調節した
DLBCL細胞株の生存に対するエンザスタウリンの効果を決定するために、本発明者らは、エンザスタウリン(0から20.0μM)の存在下で9種の細胞株を72時間培養した。細胞株は、DMSO単独(担体)またはDMSO中のエンザスタウリンを用いて培養した。Cell Titer−Gloルミネッセント細胞生存率アッセイによって細胞生存率を測定した。各細胞株を三連で解析し、図1aは、3回の反復の平均および標準偏差を示す。図1aに示されているように、エンザスタウリンによる処置によって、細胞増殖の用量依存的阻害がもたらされ、50%阻害濃度(IC50)は6.7から16μMの間であった(図1a)。これらの結果は、エンザスタウリンが、DLBCL細胞株のABCタイプとGCBタイプの両方において細胞毒性を誘発することを実証した。
エンザスタウリンは、用量依存的方式でABCおよびGCB細胞株の増殖を阻害し、BTKのリン酸化を上方調節した
DLBCL細胞株の生存に対するエンザスタウリンの効果を決定するために、本発明者らは、エンザスタウリン(0から20.0μM)の存在下で9種の細胞株を72時間培養した。細胞株は、DMSO単独(担体)またはDMSO中のエンザスタウリンを用いて培養した。Cell Titer−Gloルミネッセント細胞生存率アッセイによって細胞生存率を測定した。各細胞株を三連で解析し、図1aは、3回の反復の平均および標準偏差を示す。図1aに示されているように、エンザスタウリンによる処置によって、細胞増殖の用量依存的阻害がもたらされ、50%阻害濃度(IC50)は6.7から16μMの間であった(図1a)。これらの結果は、エンザスタウリンが、DLBCL細胞株のABCタイプとGCBタイプの両方において細胞毒性を誘発することを実証した。
PKCβは、BTKの一般的な下流標的である。驚くべきことに、本発明者らは、HBL−1およびTMD8細胞が、エンザスタウリンによる処置の際に、p−BTKの有意な上方調節を示したことを観察した(図1bは、DMSO中のエンザスタウリンまたはビヒクル単独による2時間の処置後の各細胞株におけるp−BTKレベルのウエスタンブロット解析を示す)。それによって、PKCβの阻害はDLBCL細胞において治療的に有効であるが、BCRシグナル伝達の正の調節をもたらす。エンザスタウリンの薬理学的阻害は、BCRシグナル伝達の一部の分岐しか遮断せず、その経路の不活性化は他のものによって補われ得る。図1cはBCR経路を示し、その代償経路は、特に単剤療法としての、DLBCLにおけるエンザスタウリンの有効性を制限し得る。
分子サブタイプまたはイブルチニブに対する応答性と無関係なDLBCL細胞の阻害率
エンザスタウリンとイブルチニブの相乗効果を評価するために、エンザスタウリン単独、イブルチニブ単独、またはこれら2つの組合せによる細胞成長の阻害を様々な濃度で5つの細胞株(HBL−1、TMD8、SU−DHL−2、SU−DHL−6およびOCL−LY7)において測定した:図2aに示されているように、72時間、エンザスタウリンは2〜12μMの濃度で試験し、イブルチニブは0.002から10μMの濃度で試験した。Cell Titer−Gloルミネッセントアッセイを使用して、阻害率を検出した。このデータから、CalcuSSynソフトウェアを使用して組合せ指数(CI)値を計算した(図2b)。1.0未満のCI値は相乗効果を示す。組合せ処置は、すべての試験した用量で、0.239から0.686の範囲のCI値で、HBL−1、TMD8、SU−DHL−6およびOCL−LY7細胞株の成長に対する強力な相乗的阻害効果を示した。SU−DHL2における相乗効果は、より低いイブルチニブ濃度では弱かったが(CI=0.92)、10μMのイブルチニブでは有意であった。エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは、検査したほぼすべての投薬量の組合せで、GCBおよびABC DLBCL細胞株において相乗効果を示した(CI<1、図2b)。
エンザスタウリンとイブルチニブの相乗効果を評価するために、エンザスタウリン単独、イブルチニブ単独、またはこれら2つの組合せによる細胞成長の阻害を様々な濃度で5つの細胞株(HBL−1、TMD8、SU−DHL−2、SU−DHL−6およびOCL−LY7)において測定した:図2aに示されているように、72時間、エンザスタウリンは2〜12μMの濃度で試験し、イブルチニブは0.002から10μMの濃度で試験した。Cell Titer−Gloルミネッセントアッセイを使用して、阻害率を検出した。このデータから、CalcuSSynソフトウェアを使用して組合せ指数(CI)値を計算した(図2b)。1.0未満のCI値は相乗効果を示す。組合せ処置は、すべての試験した用量で、0.239から0.686の範囲のCI値で、HBL−1、TMD8、SU−DHL−6およびOCL−LY7細胞株の成長に対する強力な相乗的阻害効果を示した。SU−DHL2における相乗効果は、より低いイブルチニブ濃度では弱かったが(CI=0.92)、10μMのイブルチニブでは有意であった。エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは、検査したほぼすべての投薬量の組合せで、GCBおよびABC DLBCL細胞株において相乗効果を示した(CI<1、図2b)。
細胞死の時間経過解析によって、組合せ処置へのより長時間の曝露が細胞増殖をより有意に阻害することがさらに確認された(図2c)。この実験では、細胞を、図2cに示した濃度のエンザスタウリン(ENZ)、イブルチニブ(IB)、または両方一緒(Combo)のエンザスタウリンとイブルチニブとで、24、48および72時間にわたり処置し、Cell Titer−Gloルミネッセントアッセイによって細胞生存率をモニターした。阻害率は(1−処置/ビヒクル)×100%として計算した。データは、三連の観察からの平均値プラスまたはマイナス標準偏差として表す。まとめると、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは、それらのサブタイプとは無関係に、DLBCL細胞の生存および増殖に対して長期にわたって相乗効果を示した。
エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せによって、アポトーシスが促進され、DLBCL細胞におけるG1期停止が誘導された
エンザスタウリンとイブルチニブとの同時処置により細胞成長の阻害がアポトーシスおよび/または細胞周期停止に関連したか否かを決定するために、示した濃度を有するエンザスタウリンおよび/またはイブルチニブに48時間曝露した後に、4種の細胞株においてアポトーシスをモニターした。図3aを参照されたい。細胞をアネキシンVで染色し、アポトーシスをフローサイトメトリーによって評価した。アポトーシスは、APC+細胞として評価した。HBL−1では、エンザスタウリンの2つの異なる用量のイブルチニブとの組合せは、アネキシンV染色によって測定した場合、43.8±8.7%または51.4±5.9%のアポトーシスを誘導し、それぞれ単剤単独よりも高かった(エンザスタウリン=25.5±5.4%、イブルチニブ=15.9±6.0%および19.0±6.7%、図3a)。これらの結果は、エンザスタウリンとイブルチニブとの同時処置によって、アポトーシスの促進に対する相乗効果がもたらされることを示した。
エンザスタウリンとイブルチニブとの同時処置により細胞成長の阻害がアポトーシスおよび/または細胞周期停止に関連したか否かを決定するために、示した濃度を有するエンザスタウリンおよび/またはイブルチニブに48時間曝露した後に、4種の細胞株においてアポトーシスをモニターした。図3aを参照されたい。細胞をアネキシンVで染色し、アポトーシスをフローサイトメトリーによって評価した。アポトーシスは、APC+細胞として評価した。HBL−1では、エンザスタウリンの2つの異なる用量のイブルチニブとの組合せは、アネキシンV染色によって測定した場合、43.8±8.7%または51.4±5.9%のアポトーシスを誘導し、それぞれ単剤単独よりも高かった(エンザスタウリン=25.5±5.4%、イブルチニブ=15.9±6.0%および19.0±6.7%、図3a)。これらの結果は、エンザスタウリンとイブルチニブとの同時処置によって、アポトーシスの促進に対する相乗効果がもたらされることを示した。
フローサイトメトリーの結果と一致して、アポトーシスに関連するタンパク質は、HBL−1細胞によって変化した(図3b)。この実験では、細胞を示したように(図3c参照)エンザスタウリンおよび/またはイブルチニブに48時間曝露させ、次いで、タンパク質を抽出し、アポトーシスに関連するタンパク質(PARP、XIAP、MCL−1、カスパーゼ−3、Bcl−2、ベータ−アクチン)のレベルを測定した。より詳細には、エンザスタウリンとイブルチニブは、PARPおよびカスパーゼ−3の切断をわずかに増加させることができたが、この効果は、エンザスタウリンとイブルチニブを一緒に適用した場合に有意に増強された(図3b)。組合せ処置はまた、Mcl−1、XIAP、およびBcl−2を含むいくつかの抗アポトーシスBcl−2ファミリーメンバーの発現において、急速な分解を誘導した。同様の効果は、TMD8、SU−DHL−6およびOCL−LY7細胞においても観察された(図3b)。まとめると、上記の結果により、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せ使用によって、DLBCL細胞においてカスパーゼに依存するミトコンドリア経路を介してアポトーシスの増加がもたらされ、最終的にDLBCL細胞における細胞毒性を誘導したことが判明した。
細胞周期のヒストグラムは、細胞周期に対する薬物組合せの効果をさらに実証した(図3c)。この研究では、細胞を示したようにイブルチニブおよび/またはエンザスタウリンで48時間にわたり処置し、次いで、細胞をヨウ化プロピジウム(PI)で染色した。細胞周期は、フローサイトメトリーを使用して評価した。G1期のHBL−1細胞は、対照群の28.5±0.05%から組合せ処置群の46.4±0.84%および47.2±3.12%に増加し、これはS期の細胞の減少と相関した。同様の結果をTMD8、SU−DHL−6およびOCL−LY7細胞に対しても得た(図3c)。グラフは3回の反復からの平均値を表し、エラーバーは標準偏差を示す。統計的に有意な結果は、対照群と比較した場合にはバー上の*(p<0.05)、**(p<0.01)、または***(p<0.001)によって示し、エンザスタウリン単独群と比較した場合にはバー上の#(p<0.05)または##(p<0.01)で示した。
さらに、G1/S遷移、CDK2、CDK4、CDK6およびサイクリンD1に関連するマーカータンパク質の発現または存在のレベルを、図3dに示されているように、これらの細胞において評価した。エンザスタウリンおよび/またはイブルチニブによる48時間の処置後にタンパク質を抽出し、標的タンパク質をウエスタンブロットによって解析した。組合せ処置によってマーカータンパク質のレベルは急速に低下したが、いずれか単一の薬物による処置では、G1/S遷移に関連するタンパク質の発現または存在に対してわずかな効果しか有さなかった。同様の傾向は、他の3つの細胞株においても見ることができた(図3d)。これらのデータは、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せによってG1期停止が誘導され、同時処置療法によって、部分的に細胞周期停止に、および部分的にアポトーシス経路に起因する細胞増殖が抑制されたことを示唆する。
低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる処置は、DLBCLにおける遊走および侵入を相乗的に阻害する
低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる処置は、DLBCLにおける遊走および侵入を相乗的に阻害する
細胞運動性に対する低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる処置の可能な効果を評価するために、細胞遊走および侵入アッセイをDLBCL細胞を使用して実施した。HBL−1細胞を2マイクロモル濃度のエンザスタウリンおよび/または0.02マイクロモル濃度のイブルチニブで、示した時間(30〜60分)前処置し、次いで、Corningの遊走チャンバーのトランスウェルプレート中に配置させた。侵入試験のために(遊走試験のためではない)、トランスウェルプレートをMatrigelで予めコーティングした。48時間後、遊走または侵入の程度(24時間で測定した)を、下のチャンバー内の細胞を計数することによって評価し、対照のパーセンテージとして表した。侵入能については、HBL−1細胞において、エンザスタウリンまたはイブルチニブ単独による処置によって、侵入能はそれぞれ対照の97.0%および85.0%にわずかに低下した。侵入能は、対照細胞と比較して、エンザスタウリンとイブルチニブとによって処置された組合せ群において著しく抑制された(32.8%)(図4a)。遊走試験では、単剤は、遊走能をそれぞれHBL−1細胞における対照の79.0%および70.2%に低下させた。対照的に、膜を通過した、エンザスタウリンとイブルチニブの両方で処置した細胞の数は、対照レベルのおよそ25.5%まで低下した(図4b)。侵入および遊走のヒストグラムにおいて示されているように(図4b、図4d)、同様の傾向は、実験をTMD8、SU−DHL−6およびOCL−LY7細胞株において繰り返した場合に見られた。図4bおよび4dのヒストグラムでは、統計的有意性を、対照と比較した場合にはバーの上の*(p<0.05)または**(p<0.01)または***(p<0.001)によって示し、エンザスタウリン単独群と比較した場合にはバーの上の#(p<0.05)または##(p<0.01)によって示した。これらの知見は、エンザスタウリンとイブルチニブとの同時投与が相乗的に作用し、DLBCL細胞運動性において必須の役割を果たし、疾患進行と相関することが予測される細胞の遊走および侵入を低下させ得ることを示す。
エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは下流のシグナル伝達経路を相乗的に阻害する
DLBCLモデルにおけるエンザスタウリンとイブルチニブとの組合せの増殖作用の根底にある機序への洞察を得るために、それぞれ単独および組合せによってもたらされるシグナル伝達経路の変化を調査した。HBL−1、TMD−8、およびSU−DHL−6細胞を、図5にまとめたように、低用量のエンザスタウリン単剤療法で60分間および120分間処置し、ウエスタンブロットによる解析のためにタンパク質を細胞から回収した。エンザスタウリン単独では、エンザスタウリン活性に関するバイオマーカーとして作用するグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)のリン酸化が明らかに低減した。短期間かつ低用量のエンザスタウリン処置は、p−BTK、p−ERKおよびp−AKTの発現を増加させても、PKCβのリン酸化に有意な影響を与えない(データは示さず)。同様に、イブルチニブ単独での処置は、mTOR、PLCγ2、ERKおよびP38のリン酸化に対する軽微な効果と共に、BTKおよびAKTのリン酸化を低減させた。しかし、エンザスタウリンとイブルチニブの両方による処置は、それぞれ単独での単剤療法と比較して、ERK、mTOR、PLCγ2、P38のリン酸化のさらなる低減をもたらした(図5)。これらの結果は、TMD8およびSU−DHL−6細胞においても確認された。全体的に、単一処置と対照的に、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは、ABCとGCBの両方の細胞モデルにおけるシグナル伝達の阻害により効果的であると考えられ、このことは、同時曝露によって、BCRの下流の複数のシグナルのさらなる抑制の促進がもたらされることを意味する。
DLBCLモデルにおけるエンザスタウリンとイブルチニブとの組合せの増殖作用の根底にある機序への洞察を得るために、それぞれ単独および組合せによってもたらされるシグナル伝達経路の変化を調査した。HBL−1、TMD−8、およびSU−DHL−6細胞を、図5にまとめたように、低用量のエンザスタウリン単剤療法で60分間および120分間処置し、ウエスタンブロットによる解析のためにタンパク質を細胞から回収した。エンザスタウリン単独では、エンザスタウリン活性に関するバイオマーカーとして作用するグリコーゲンシンターゼキナーゼ3β(GSK3β)のリン酸化が明らかに低減した。短期間かつ低用量のエンザスタウリン処置は、p−BTK、p−ERKおよびp−AKTの発現を増加させても、PKCβのリン酸化に有意な影響を与えない(データは示さず)。同様に、イブルチニブ単独での処置は、mTOR、PLCγ2、ERKおよびP38のリン酸化に対する軽微な効果と共に、BTKおよびAKTのリン酸化を低減させた。しかし、エンザスタウリンとイブルチニブの両方による処置は、それぞれ単独での単剤療法と比較して、ERK、mTOR、PLCγ2、P38のリン酸化のさらなる低減をもたらした(図5)。これらの結果は、TMD8およびSU−DHL−6細胞においても確認された。全体的に、単一処置と対照的に、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せは、ABCとGCBの両方の細胞モデルにおけるシグナル伝達の阻害により効果的であると考えられ、このことは、同時曝露によって、BCRの下流の複数のシグナルのさらなる抑制の促進がもたらされることを意味する。
DLBCLにおける全トランスクリプトーム変化は低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによって誘導される
DLBCL細胞における低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる同時処置の役割をより理解するために、本発明者らは、ビヒクル細胞と比較して、エンザスタウリンおよび/またはイブルチニブによる処置を使用して、RNA−seqによる全トランスクリプトーム変化をアッセイした。この実験では、HBL−1細胞を、2マイクロモル濃度のエンザスタウリン、または0.02マイクロモル濃度のイブルチニブ、またはその両方に一緒に24時間曝露させた。シーケンシングのためにRNAを採取した。様々な処置によって上方調節または下方調節された数百個の転写物を特定した。上方調節された遺伝子はこれらの阻害剤に密接に関連しなかったため、下方調節された遺伝子のみをさらに研究した。図6aのベン図は、異なる処置によって生じたこれらの下方調節された遺伝子変化の上位を示す(<2倍、p<0.05)。エンザスタウリンおよびイブルチニブは、組合せ処置よりもあまり効率的ではなく、組合せ処置の605個と比較して、それぞれ339個および336個の転写物が有意に下降した。エンザスタウリンによって下方調節された転写物のおよそ91%(365個の遺伝子)およびイブルチニブによって下方調節された転写物の73%(246個の遺伝子)が組合せ処置群に含有されていた。さらに、163個の転写物も組合せ処置によって効率的に低下し、これはそれぞれ単独での単剤療法においては示されなかった(図6a)。
DLBCL細胞における低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる同時処置の役割をより理解するために、本発明者らは、ビヒクル細胞と比較して、エンザスタウリンおよび/またはイブルチニブによる処置を使用して、RNA−seqによる全トランスクリプトーム変化をアッセイした。この実験では、HBL−1細胞を、2マイクロモル濃度のエンザスタウリン、または0.02マイクロモル濃度のイブルチニブ、またはその両方に一緒に24時間曝露させた。シーケンシングのためにRNAを採取した。様々な処置によって上方調節または下方調節された数百個の転写物を特定した。上方調節された遺伝子はこれらの阻害剤に密接に関連しなかったため、下方調節された遺伝子のみをさらに研究した。図6aのベン図は、異なる処置によって生じたこれらの下方調節された遺伝子変化の上位を示す(<2倍、p<0.05)。エンザスタウリンおよびイブルチニブは、組合せ処置よりもあまり効率的ではなく、組合せ処置の605個と比較して、それぞれ339個および336個の転写物が有意に下降した。エンザスタウリンによって下方調節された転写物のおよそ91%(365個の遺伝子)およびイブルチニブによって下方調節された転写物の73%(246個の遺伝子)が組合せ処置群に含有されていた。さらに、163個の転写物も組合せ処置によって効率的に低下し、これはそれぞれ単独での単剤療法においては示されなかった(図6a)。
さらなる分析によって、上位の経路(KEGGによる)から著しく下方調節された遺伝子が特定された。ビヒクル処置対照と比較して、処置によって上位の経路(KEGGによる)から著しく下方調節された遺伝子が、ヒートマップに表される(図6b)。カラーのスケールバーは、FPKM値で表したより高い発現レベル(赤色)からより低い発現レベル(青色)を表し、差は、Zスコア変換後のカラースケールで示される。下方調節された遺伝子をlog2倍率変化<0によって決定した。FKPMは、マッピングされた100万フラグメント当たりのエクソンのキロベース当たりのフラグメントである。低用量のエンザスタウリンとイブルチニブとによる同時処置によって、BCR、NF−κB、JAKおよびMAPKシグナル伝達経路に関連する遺伝子が効果的に下方調節され、経路解析の結果は、イムノブロッティング解析と一致した(図3および5)。まとめると、これらの結果は、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せが相乗的に作用し、全トランスクリプトーム変化を調節することを示した。
エンザスタウリンとイブルチニブとの相乗的抗腫瘍効果をさらに評価するために、本発明者らは、qRT−PCRを使用して、組合せ処置において変化した転写物のmRNA発現を検出した。特に、DLBCL細胞株におけるNOTCH1の発現をqRT−PCRおよびウエスタンブロットを使用して検出した。shRNAによるNOTCH1ノックダウンをHBL−1、TMD9、OCI−LY7、およびSU−DHL−6細胞においてウエスタンブロットによって検証した。ベータ−アクチンをローディング対照として使用する。NOTCH1の発現をqRT−PCRによってさらに確認した。図6c、図6dを参照されたい。
エンザスタウリンおよびイブルチニブの単剤療法と比較して、組合せ処置は、NOTCH1のmRNA発現をより有意に低減することができた(図6e)。膨大なエビデンスによって、細胞の代謝、成長および増殖を促進すること、ならびにシグナル伝達経路の活性を増強することにおけるNOTCH1の重要な発がん性の役割が明らかである[27〜30]。DLBCL細胞におけるNOTCH1 mRNAおよびタンパク質の発現は、中から高レベルであった(図6c)。異常なNOTCH1活性は、血液悪性疾患の重要な発がん調節因子として出現している[30、31]。DLBCL細胞の増殖を阻害する際のエンザスタウリンとイブルチニブとの組合せ効果は、NOTCH1発現の抑制によって達成される可能性が高い。
DLBCL細胞の生存および増殖におけるNOTCH1の役割を検証するために、shRNAトランスフェクションを使用してNOTCH1をノックダウンさせた(図6d)。DLBCL細胞をNOTCH1を標的とするshRNAでトランスフェクトし、エンザスタウリンとイブルチニブとで48時間および72時間にわたり処置した。次いで、細胞生存率をCell Titer−Gloルミネッセント細胞生存率アッセイを使用して決定した。図6eに示されている結果は、3回の独立した反復からの平均および標準偏差を表し、統計的有意性は、対照と比較した場合には、バーの上の*(p<0.05)または**(p<0.01)または***(p<0.001)で示し、エンザスタウリン単独群と比較した場合にはバーの上の#(p<0.05)または##(p<0.01)で示した。
DLBCL細胞におけるNOTCH1のサイレンシングによって腫瘍細胞に対する抗増殖活性がもたらされ、NOTCH1発現がDLBCL細胞の生存にとって重要であることを示した。驚くべきことに、類似する増殖阻害効果が検出され、NOTCH1 shRNAおよび同時処置療法の時間と一致し、組合せ処置によってもNOTCH1発現の下方調節によって相乗的抗DLBCL効果がもたらされ得ることを示した(図6f)。
DLBCL細胞由来の異種移植片におけるエンザスタウリンとイブルチニブとの相乗的抗腫瘍効果
最後に、本発明者らは、ABC−DLBCL HBL−1細胞がNPGマウスに移植された、リンパ腫異種移植片モデルにおける腫瘍成長を低減する、エンザスタウリン単独およびイブルチニブとの組合せの能力を評価した(図7)。NPGマウスにHBL−1細胞(2.5×106個の細胞)を皮下注射し、4つの群(1群当たりn=5)に無作為化した。それぞれ、エンザスタウリン、イブルチニブ、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せ、およびビヒクルで群を処置した。エンザスタウリンは、50mg/kgの投薬量で、BIDにて経口投与した。イブルチニブは、12mg/kgの投薬量で、QDにて経口投与した(1日の投与の合計は、1日当たり100mg/kgのエンザスタウリンと1日当たり12mg/kgのイブルチニブであった)。腫瘍サイズおよび重量は平均±標準偏差として記載し、統計的有意性は、対照と比較した場合には*(p<0.05)または**(p<0.01)または***(p<0.001)で示し、エンザスタウリン単独の群と比較した場合には#(p<0.05)または##(p<0.01)で示される。
最後に、本発明者らは、ABC−DLBCL HBL−1細胞がNPGマウスに移植された、リンパ腫異種移植片モデルにおける腫瘍成長を低減する、エンザスタウリン単独およびイブルチニブとの組合せの能力を評価した(図7)。NPGマウスにHBL−1細胞(2.5×106個の細胞)を皮下注射し、4つの群(1群当たりn=5)に無作為化した。それぞれ、エンザスタウリン、イブルチニブ、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せ、およびビヒクルで群を処置した。エンザスタウリンは、50mg/kgの投薬量で、BIDにて経口投与した。イブルチニブは、12mg/kgの投薬量で、QDにて経口投与した(1日の投与の合計は、1日当たり100mg/kgのエンザスタウリンと1日当たり12mg/kgのイブルチニブであった)。腫瘍サイズおよび重量は平均±標準偏差として記載し、統計的有意性は、対照と比較した場合には*(p<0.05)または**(p<0.01)または***(p<0.001)で示し、エンザスタウリン単独の群と比較した場合には#(p<0.05)または##(p<0.01)で示される。
上記投薬量におけるエンザスタウリンまたはイブルチニブの単剤療法としての投与は、腫瘍体積の低減において弱い活性しか生じさせず、いずれの治療剤も単独では腫瘍成長の統計的に有意な低減をもたらさなかった。対照および単剤療法と比較して、腫瘍体積は、接種後18日目に処置を開始した2〜3週間後に、組合せ処置により処置したマウスにおいてより有意に少なかった(p<0.01、図7a)。すべての処置は忍容性が非常に良好であり、いずれの処置群でも有意な体重変化を有さなかった(図7b)。
実験の終わり(39日目)に、エンザスタウリン単独(1151.62±163.79mg)でもイブルチニブ単独(1141.80±235.57mg)でも、ビヒクル群(1321.50±168.84mg)のものと比較して腫瘍成長の有意な阻害を生じなかったが、組合せは、腫瘍成長を強く抑制し、腫瘍重量を抑えた(871.80±111.44mg、図7c、7d)。まとめると、これらの結果は、前臨床モデルにおいてエンザスタウリンをイブルチニブと組み合わせて使用する相乗的活性を実証し、上記in vitroでの知見を確認するものである。よって、エンザスタウリンとイブルチニブとの組合せによって、ABC(HBL−1、TMD8、SU−DHL−2)およびGCB(SU−DHL−6、OCI−LY7)DLBCL細胞株の生存および増殖に対する長期にわたる相乗効果が得られた。
患者選択のためのバイオマーカー
DenovoによってエンザスタウリンのDLBCL臨床データの解析が行われ、生存の改善を示した患者のサブセットを特定した。その独自のバイオマーカー発見プラットフォームを使用して、会社は新規バイオマーカーを特定し、それをDenovo Genomic Marker 1(DGM1)と命名した。DGM1およびエンザスタウリンによる処置のために被験体を選択するためのバイオマーカーとしてのその使用は、公開された特許出願第WO2018/045240号に開示および記載されている。データは、DGM1陽性患者が、エンザスタウリンのDLBCL試験において、DGM1陰性患者に対して有意に改善された生存を示したことを示した。エンザスタウリンは現在、DGM1の発現または存在を使用して処置に応答する可能性が高いDLBCL患者を選択する第III相臨床試験中である。
DenovoによってエンザスタウリンのDLBCL臨床データの解析が行われ、生存の改善を示した患者のサブセットを特定した。その独自のバイオマーカー発見プラットフォームを使用して、会社は新規バイオマーカーを特定し、それをDenovo Genomic Marker 1(DGM1)と命名した。DGM1およびエンザスタウリンによる処置のために被験体を選択するためのバイオマーカーとしてのその使用は、公開された特許出願第WO2018/045240号に開示および記載されている。データは、DGM1陽性患者が、エンザスタウリンのDLBCL試験において、DGM1陰性患者に対して有意に改善された生存を示したことを示した。エンザスタウリンは現在、DGM1の発現または存在を使用して処置に応答する可能性が高いDLBCL患者を選択する第III相臨床試験中である。
ENGINE試験(NCT03263026)は、DGM1バイオマーカーを有するまたは有さない、第一選択のDLBCL患者において、R−CHOP単独に対して、R−CHOPレジメン(リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、およびプレドニゾンからなる)と組み合わせたエンザスタウリンを評価している。この試験の主な評価項目は、バイオマーカーを有する患者における全生存期間であり、これは、2020年10月の主要な完了日を有する。
(実施例2)
材料および方法
細胞株および細胞培養
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の細胞株である、SU−DHL−5およびSU−DHL−6をAmerican Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から購入した。10%のウシ胎仔血清(Gibco,Life Technology、CA、USA)を追加補充したRPMI1640培地(Gibco,Life Technologies、CA、USA)中で細胞を成長させた。加湿した5%CO2インキュベーター中で37℃にてすべての細胞株を維持した。
材料および方法
細胞株および細胞培養
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)の細胞株である、SU−DHL−5およびSU−DHL−6をAmerican Type Culture Collection(ATCC、Manassas、VA)から購入した。10%のウシ胎仔血清(Gibco,Life Technology、CA、USA)を追加補充したRPMI1640培地(Gibco,Life Technologies、CA、USA)中で細胞を成長させた。加湿した5%CO2インキュベーター中で37℃にてすべての細胞株を維持した。
薬物および試薬
エンザスタウリン(LY317615)、アカラブルチニブ(ACP−196)、スペブルチニブ(CC−292、AVL−292)、およびARQ531をSelleckchem(Houston、TX、USA)から購入し、ザヌブルチニブ(BGB−3111)をMedKoo BioSciences(Morrisville、NC、USA)から購入し、ベカブルチニブ(SNS−062)をMedChemExpress(Monmouth Junction、NJ、USA)から購入した。すべての化合物を最初に10mMの濃度で100%ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Chemical)中に溶解させ、アリコートに分け、−20℃で保存した。
エンザスタウリン(LY317615)、アカラブルチニブ(ACP−196)、スペブルチニブ(CC−292、AVL−292)、およびARQ531をSelleckchem(Houston、TX、USA)から購入し、ザヌブルチニブ(BGB−3111)をMedKoo BioSciences(Morrisville、NC、USA)から購入し、ベカブルチニブ(SNS−062)をMedChemExpress(Monmouth Junction、NJ、USA)から購入した。すべての化合物を最初に10mMの濃度で100%ジメチルスルホキシド(DMSO、Sigma Chemical)中に溶解させ、アリコートに分け、−20℃で保存した。
細胞増殖アッセイ
細胞をウェル当たり2.5×104個の密度で96ウェル細胞培養プレート中に三連で播種し、異なる濃度のエンザスタウリンもしくはブルトンチロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)単独、または組合せで72時間にわたり処置した。処置後に、Cell Titer AQueous One Solution Cell Proliferation Assay Kits(Promega、Madison、WI、USA)を使用して細胞生存率を評価した。BioTek Elx800マイクロプレートリーダーによって、細胞の細胞毒性を490nmの吸光度で測定した。各薬物のIC50値を薬物濃度0.014μMから10μMの曲線から計算した。
細胞をウェル当たり2.5×104個の密度で96ウェル細胞培養プレート中に三連で播種し、異なる濃度のエンザスタウリンもしくはブルトンチロシンキナーゼ阻害剤(BTKi)単独、または組合せで72時間にわたり処置した。処置後に、Cell Titer AQueous One Solution Cell Proliferation Assay Kits(Promega、Madison、WI、USA)を使用して細胞生存率を評価した。BioTek Elx800マイクロプレートリーダーによって、細胞の細胞毒性を490nmの吸光度で測定した。各薬物のIC50値を薬物濃度0.014μMから10μMの曲線から計算した。
統計解析
すべての実験は、独立して少なくとも2回行った。すべての値は、平均±SEMとして表した。P値についてのスチューデントのt検定を使用して、データを解析した。p値<0.05を統計的に有意とみなした。複合阻害効果は、未処置対照細胞と比較して計算した。薬物組合せに対する組合せ指数(CI)をCalcuSynソフトウェア(バージョン2、Biosoft、Cambridge、UK)を使用するChou−Talalay法に従って決定した。CI値<1、=1、および>1は、それぞれ、相乗効果、相加効果、および拮抗効果を示す。
すべての実験は、独立して少なくとも2回行った。すべての値は、平均±SEMとして表した。P値についてのスチューデントのt検定を使用して、データを解析した。p値<0.05を統計的に有意とみなした。複合阻害効果は、未処置対照細胞と比較して計算した。薬物組合せに対する組合せ指数(CI)をCalcuSynソフトウェア(バージョン2、Biosoft、Cambridge、UK)を使用するChou−Talalay法に従って決定した。CI値<1、=1、および>1は、それぞれ、相乗効果、相加効果、および拮抗効果を示す。
結果
薬物組合せは、多くの疾患、例えばがんの処置において広く使用される。DLBCL細胞増殖に対するエンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せ効果を決定するために、各薬物の用量応答曲線を0.014μM〜10μMでの薬物の処置によって決定した。有効性および50%阻害濃度(IC50)を計算し、組合せ用量選択のために使用した。エンザスタウリンの処置によって、SU−DHL−5細胞株において3.6μM、およびSU−DHL−6細胞株において5.9μMのIC50での細胞増殖の用量依存的阻害がもたらされた(データは示さず)。組合せ研究では、1μM、3μM、および5μMのエンザスタウリンを、異なる濃度のBTK阻害剤、ザヌブルチニブ、アカラブルチニブ、およびARQ531との処置組合せのために選択した。図8に示されているように、0.125μMのザヌブルチニブと組み合わせた3種の異なる用量のエンザスタウリンの処置は、SU−DHL−6細胞の有意な抗増殖性活性を示したが、アカラブルチニブおよびARQ531と組み合わせた3つの同様の用量のエンザスタウリンは、0.06μMというより低濃度で同様の効果を達成した。
薬物組合せは、多くの疾患、例えばがんの処置において広く使用される。DLBCL細胞増殖に対するエンザスタウリンとBTK阻害剤との組合せ効果を決定するために、各薬物の用量応答曲線を0.014μM〜10μMでの薬物の処置によって決定した。有効性および50%阻害濃度(IC50)を計算し、組合せ用量選択のために使用した。エンザスタウリンの処置によって、SU−DHL−5細胞株において3.6μM、およびSU−DHL−6細胞株において5.9μMのIC50での細胞増殖の用量依存的阻害がもたらされた(データは示さず)。組合せ研究では、1μM、3μM、および5μMのエンザスタウリンを、異なる濃度のBTK阻害剤、ザヌブルチニブ、アカラブルチニブ、およびARQ531との処置組合せのために選択した。図8に示されているように、0.125μMのザヌブルチニブと組み合わせた3種の異なる用量のエンザスタウリンの処置は、SU−DHL−6細胞の有意な抗増殖性活性を示したが、アカラブルチニブおよびARQ531と組み合わせた3つの同様の用量のエンザスタウリンは、0.06μMというより低濃度で同様の効果を達成した。
エンザスタウリンの相乗効果定量化研究では、Chou−Talalayによって開発された一定比率の濃度方法を組合せ実験設計のために使用した。データ解析および組合せ指数(CI)の計算のためにCalcuSynソフトウェアを実施した。得られたCIによって、薬物組合せにおける相加効果(CI=1)、相乗効果(CI<1)、および拮抗効果(CI>1)に関する定量的定義がもたらされる。エンザスタウリンとBTK阻害剤であるベカブルチニブをこのアッセイにおいて調査した。エンザスタウリンは、単独では5μMの濃度で、または一定比率(IC50比率)の4μMのベカブルチニブと組み合わせて開始し、両薬物を、同じIC50比率の後に、1:1希釈でそれぞれ最終的に0.08μMおよび0.06μMまで希釈した。図9に示されているように、エンザスタウリンとベカブルチニブとの組合せによって、両細胞株における72時間の処置後に、単一薬物よりも相乗的な細胞生存率の低下がもたらされた。SU−DHL−5細胞では、組合せ処置によって、エンザスタウリン0.08〜5μMから選択されたすべての用量に対してCI<1(0.135〜0.78のCI)で細胞増殖に対する強力な相乗的阻害効果が示され、SU−DHL−6細胞ではエンザスタウリン0.08〜0.6μMで同様であった(0.143〜0.852のCI)。
上記に示した詳細な説明は、本発明を実施する際に当業者を補助するために提供される。しかし、本明細書に記載され、特許請求された発明は、本明細書に開示された特定の実施形態によって範囲を制限されるべきではなく、例および実施形態は、本発明のいくつかの態様の例示として意図される。いかなる均等な実施形態も本発明の範囲内にあることが意図される。実際に、本明細書において示され、記載されたものに加えて、本発明の様々な修正が、本発明の発見の趣旨または範囲から逸脱せずに、前記記載から当業者に明らかとなるであろう。このような修正は、添付の特許請求の範囲の範囲内にあることも意図される。
本出願において引用されたすべての刊行物、特許、特許出願および他の参照文献は、それぞれ個々の刊行物、特許、特許出願または他の参照文献が具体的かつ個別に、参照によりあらゆる目的でその全体として組み込まれることを示されたのと同程度に、参照によりあらゆる目的でその全体として本明細書に組み込まれる。本明細書における参照文献の引用は、このような文献が本発明の先行技術であることの自認として解釈されるべきではない。
Claims (30)
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む組成物。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項1に記載の組成物。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブならびにこれらの前記薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはイブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1または2に記載の組成物。
- 少なくとも1種の薬学的に許容される担体または賦形剤をさらに含む、請求項1から3のいずれかに記載の組成物。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を含む治療組合せ。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくは前記BTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにそれらの前記薬学的に許容される塩から選択される、請求項5に記載の治療組合せ。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはその薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの前記阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項5または6に記載の治療組合せ。
- エンザスタウリンおよびBTKの前記阻害剤が同時投与用に調製される、請求項5から7のいずれか一項に記載の治療組合せ。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、および前記BTK阻害剤が別個の投与用に調製される、請求項5から7のいずれか一項に記載の治療組合せ。
- 被験体の血液または血漿中にエンザスタウリンおよびBTK阻害剤を含むin vivo治療組合せ。
- 腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害、および代謝障害から選択される障害または疾患を処置または防止するための方法であって、このような処置を必要とする被験体に、エンザスタウリンおよびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。
- 慢性リンパ性白血病(CLL)、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、粘膜関連リンパ組織リンパ腫(MALTリンパ腫)、ワルデンシュトレームマクログロブリン血症、マントル細胞リンパ腫、再発性CLL、難治性CLL、濾胞性リンパ腫、腺癌、転移性腺癌(例えば、膵臓の)、非ホジキンリンパ腫、膵がん、急性リンパ性白血病、急性リンパ芽球性白血病、ヘアリーセル白血病、転移性乳がん、急性骨髄性白血病、急性骨髄芽球性白血病、多発性骨髄腫、難治性多発性骨髄腫、再発性多発性骨髄腫、胃がん、結腸直腸がん、膀胱がん、ホジキンリンパ腫(B細胞ホジキンリンパ腫)、転移性黒色腫、非小細胞肺がん、原発性CNSリンパ腫、腎細胞癌、続発性CNSリンパ腫、移行上皮癌、尿路上皮細胞癌、結節性辺縁帯B細胞リンパ腫、脾辺縁帯B細胞リンパ腫、T細胞リンパ腫、卵巣上皮細胞、卵管がん、腹膜がん、(再発)頭頚部がん、扁平上皮癌、(再発)多形神経膠芽腫(GBM)、およびびまん性大細胞型B細胞リンパ腫を含むB細胞リンパ腫から選択されるがんの処置または防止のための方法である、請求項11に記載の方法。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項12に記載の方法。
- リンパ腫の処置もしくは防止、またはリンパ腫のための処置を受けた被験体における転移もしくは再発のリスクの低減のための方法であって、それを必要とする被験体に、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの阻害剤を投与することを含む、方法。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、エボブルチニブ、チラブルチニブ、フェネブルチニブ、ポセルチニブ、BMS−986142、ARQ−531、LOU−064、PRN−1008、ABBV−599、AC−058、ARQ−531、BIIB−068、BMS−986195、HWH−486、PRN−2246、TAK−020、GDC−0834、BMX−IN−1、RN486、SNS−062、LFM−A13、PCI−32765(イブルチニブのラセミ体)、CGI−1746、ONO−4059、およびSHR−1459、ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくは前記BTK阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459、ならびにこれらの前記薬学的に許容される塩から選択される、請求項14に記載の方法。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、アカラブルチニブ、ザヌブルチニブ、CT−1530、DTRMWXHS−12、スペブルチニブベシル酸塩、ベカブルチニブ、ARQ−531、およびSHR−1459ならびにそれらの薬学的に許容される塩から選択され、好ましくはBTKの前記阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項15に記載の方法。
- BTKの前記阻害剤が、M7583、イブルチニブ、およびアカラブルチニブ、またはこれらの薬学的に許容される塩から選択される、請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの前記阻害剤が一緒に投与される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの前記阻害剤が別々に投与される、請求項11から17のいずれか一項に記載の方法。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩、およびBTKの前記阻害剤が、処置された前記被験体の血液または血漿中に両者を一緒に存在させるようなスケジュールで投与される、請求項19に記載の方法。
- リンパ腫が、ホジキンリンパ腫または非ホジキンリンパ腫である、請求項11から20のいずれか一項に記載の方法。
- リンパ腫が、非ホジキンリンパ腫である、請求項21に記載の方法。
- 前記リンパ腫が、バーキットリンパ腫、小リンパ球性リンパ腫、B細胞リンパ腫、リンパ形質細胞性リンパ腫、節外性辺縁帯B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、マントル細胞リンパ腫、菌状息肉腫、小リンパ球性リンパ腫、および未分化大細胞リンパ腫から選択される、請求項22に記載の方法。
- エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩が経口投与される、請求項11から23のいずれか一項に記載の方法。
- BTKの前記阻害剤が経口投与される、請求項24に記載の方法。
- BTKの前記阻害剤が、イブルチニブまたはその薬学的に許容される塩である、請求項11から25のいずれか一項に記載の方法。
- 前記被験体が、バイオマーカーの発現または存在に基づいて選択される、請求項11から26のいずれかに記載の方法。
- バイオマーカーがDGM1である、請求項26に記載の方法。
- このような処置または防止を必要とする被験体における腫瘍学的状態、免疫学的障害、胃腸障害、CNS障害、皮膚障害、血液学的障害および代謝障害から選択される障害または疾患を処置または防止するための医薬の製造のための、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩と、BTKの阻害剤との組合せの使用。
- このような処置もしくは防止を必要とする被験体におけるリンパ腫を処置もしくは防止するための、またはリンパ腫のための処置を受けた被験体における転移もしくは再発のリスクを低減するための、医薬の製造のための、エンザスタウリン、またはその薬学的に許容される塩と、BTKの阻害剤との組合せの使用。
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